IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツングの特許一覧

特開2023-2489機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法
<>
  • 特開-機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法 図1
  • 特開-機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002489
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20221227BHJP
【FI】
G06N20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022099749
(22)【出願日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】10 2021 206 375.6
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ツィマー
(57)【要約】
【課題】本発明は、不確実性を伴う機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法に関する。
【解決手段】本方法(1)は、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響をそれぞれ決定するステップ(4)と、複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、対応する検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、対応する検出されたデータの解像度を決定するステップ(5)と、複数の時点の各時点について、検出されたデータを、対応する決定された解像度に基づいて制御装置に伝送するステップ(6)と、制御装置により、制御装置に伝送されたデータに基づいて、初期モデルを再トレーニングするステップ(7)と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法であって、
前記機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するアルゴリズムであり、前記機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、前記機械学習アルゴリズムは、前記入力値と前記出力値との各割り当てについて不確実性を有し、前記不確実性は、それぞれ、前記入力値と前記可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示す、方法において、
-初期モデルを取得するために、前記機械学習アルゴリズムをトレーニングする制御装置により初期収集されたデータに基づいて機械学習アルゴリズムを事前トレーニングするステップ(2)と、
-前記少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、前記少なくとも1つの制御可能なシステムの現在の状態を特徴付けるデータを複数の時点においてそれぞれ検出するステップ(3)と、
-前記複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響をそれぞれ決定するステップ(4)と、
-前記複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、前記対応する時点において検出されたデータが前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、前記対応する時点において検出されたデータの解像度を決定するステップ(5)と、
-前記複数の時点の各時点について、前記対応する時点において検出されたデータを、対応する決定された解像度に基づいて前記制御装置に伝送するステップ(6)と、
-前記制御装置により、前記制御装置に伝送されたデータに基づいて、前記初期モデルを再トレーニングするステップ(7)と、
を含む方法。
【請求項2】
前記初期モデルは、ガウス過程である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記確定されたデータレベルは、前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する前記制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかを示す、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、前記対応する時点において検出されたデータが前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、前記対応する時点において検出されたデータの解像度を決定する前記ステップ(5)は、さらに以下のステップ、即ち、
-前記制御装置に伝送すべきデータのメモリサイズが最小になると同時に、前記制御装置に伝送されるデータの情報量が、前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する前記制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかと少なくとも同程度になるように、対応する前記解像度を決定するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記データの解像度は、前記データの空間解像度、面解像度又は時間解像度である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するための方法であって、
-請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法(1)により、前記少なくとも1つの制御可能なシステムを制御する機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、
-トレーニングされた前記機械学習アルゴリズムに基づいて、前記少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置であって、
前記機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するアルゴリズムであり、
前記機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、
前記機械学習アルゴリズムは、入力値と出力値との各割り当てについて不確実性を有し、
前記不確実性は、それぞれ、前記入力値と前記可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示し、
前記機械学習アルゴリズムは、初期モデルを取得するために、初期収集されたデータに基づいて事前トレーニングされ、
前記制御装置(11)は、
前記少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、前記少なくとも1つの制御可能なシステムの現在の状態を特徴付けるデータを複数の時点においてそれぞれ検出するように構成された検出ユニット(13)と、
前記複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響をそれぞれ決定するように構成された第1の決定ユニット(14)と、
前記複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、前記対応する時点において検出されたデータが前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、前記対応する時点において検出されたデータの解像度を決定するように構成された第2の決定ユニット(15)と、
前記複数の時点の各時点について、前記対応する時点において検出されたデータを、対応する決定された解像度に基づいて、前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置に伝送するように構成された伝送ユニット(16)と、
を備えている制御装置。
【請求項8】
前記初期モデルは、ガウス過程である、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記確定されたデータレベルは、前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する前記制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかを示す、請求項7又は8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第2の決定ユニット(15)は、前記複数の時点の各時点について、
前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置に伝送されるデータのメモリサイズが最小になると同時に、前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置に伝送されるデータの情報量が、前記初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかと少なくとも同程度になるように、対応する前記解像度を決定するように構成されている、請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記データの解像度は、前記データの空間解像度、面解像度又は時間解像度である、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
機械学習アルゴリズムをトレーニングするためのシステムであって、
前記機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するアルゴリズムであり、
前記機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、
前記機械学習アルゴリズムは、前記入力値と前記出力値との各割り当てについて不確実性を有し、
前記不確実性は、それぞれ、前記入力値と前記可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示し、
前記システム(10)は、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置(11)と、前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置(12)とを備え、
前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするための前記制御装置(12)は、初期モデルを取得するために、前記機械学習アルゴリズムを初期収集されたデータに基づいて事前トレーニングし、前記初期モデルを、前記機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための前記制御装置(11)から得られたデータに基づいて再トレーニングするように構成されている、システム。
【請求項13】
制御可能なシステムを制御するためのシステムであって、
少なくとも1つの制御可能なシステムと、
請求項12に記載の機械学習アルゴリズムをトレーニングするためのシステムによってトレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて前記少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するための制御装置と、
を含むシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1つの制御可能なシステムは、自律走行型自動車である、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御する機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法に関し、ここでは、少なくとも1つの制御可能なシステムは、不確定要素を有する機械学習アルゴリズムに基づいてトレーニングされ、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に再トレーニングすることができ、機械学習アルゴリズムを再トレーニングする制御装置へのトレーニングデータの伝送が最適化される。
【背景技術】
【0002】
デジタル制御装置は、以下においては一般に制御可能なシステムとも称する、技術システムを開ループ及び閉ループ制御するための多くの用途において使用される。この制御装置は、その際、センサ信号又は他の入力値を、予め定められた制御アルゴリズムに応じて処理するため、機能部のための1つ又は複数の出力値、例えば、アクチュエータの駆動制御のための操作変数が求められる。
【0003】
制御アルゴリズムは、ここでは、例えば、機械学習アルゴリズムであり得る。この場合、個々の制御可能なシステムは、それぞれ、その使用に関するデータを収集し、ここで、これらのデータは、専ら機械学習アルゴリズムを相応にトレーニングするために使用される。一般に、この種の機械学習アルゴリズムは、データ処理システムが初めからこの目的のために明示的にプログラミングされることなく、特定のタスクを実行することができるようにデータ処理システムをトレーニングするために、統計的手法を使用することに基づいている。この場合、機械学習の目標は、データから学習して予測を当てることができるアルゴリズムを構築することからなる。これらのアルゴリズムは、例えば、データの分類に使用することができる数学的モデルを作成する。
【0004】
この場合、不確実性を伴う初期モデルを取得するために、アルゴリズムが最初に初期収集されたデータに対して事前トレーニングされる方法が公知である。このことは、機械学習のアルゴリズムが、最初に、すべての可能な割り当てを、特に稀にしか発生しない割り当ても含めて手間をかけて正確にトレーニングする必要性なしで、ここでは既に比較的迅速に、少なくとも1つの制御可能なシステムの制御のために使用することができるという利点をもたらす。次いで、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、機械学習アルゴリズム又は初期モデルは、不確実性を排除するために、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に検出された対応するデータに基づいて再トレーニングすることができる。
【0005】
ただし、ここでは、制御可能なシステムが、ますます多くの制御すべき機能部又は対応するアクチュエータを有することが問題になることは分かっている。しかしながら、制御可能なシステムの動作中に、これらのすべての制御すべき機能部に関するデータがここで検出され、それに伴って多数のデータ又は大量のデータが、機械学習アルゴリズムの再トレーニングのために対応する制御装置に伝送される場合には、これらは、データ伝送において、例えば、待ち時間や干渉などの相互作用の影響といった問題につながる可能性がある。
【0006】
独国特許出願公開第102016216945明細書からは、データベースの関数モデルのモデル値に基づいて機能を実行するための方法が公知であり、ここでは、データベースの関数モデルのモデル値が、問い合わせ時点において求められ、問い合わせ時点におけるデータベースの関数モデルのモデル値の精度又は妥当性を示すモデル精度表示又はモデル妥当性表示が求められ、機能が、モデル精度表示又はモデル妥当性表示に依存して実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016216945明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための最適化された方法、特に、不確実性を伴う機械学習アルゴリズムを再トレーニングするための最適化された方法を提供するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴による機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法によって解決される。
【0010】
この課題は、さらに、請求項7の特徴を有する制御装置によって解決される。
【0011】
さらに、この課題は、請求項12に従って機械学習アルゴリズムをトレーニングするためのシステムによっても解決される。
【0012】
好適な実施形態及び発展形態は、従属請求項及び図面を参照した説明からもたらされる。
【0013】
発明の開示
本発明の一実施形態によれば、この課題は、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法によって解決され、ここで、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するアルゴリズムであり、機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、機械学習アルゴリズムは、入力値と出力値との各割り当てについて不確実性を有し、不確実性は、それぞれ、入力値と可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示す。ここでは、本方法は、初期モデルを取得するために、機械学習アルゴリズムをトレーニングする制御装置により初期収集されたデータに基づいて機械学習アルゴリズムを事前トレーニングするステップを含む。さらに、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、複数の時点において少なくとも1つの制御可能なシステムの現在の状態を特徴付けるデータが検出され、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響がそれぞれ決定され、複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、対応する時点において検出されたデータの解像度が決定され、この場合、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが、対応する決定された解像度に基づいて又はそれと共に制御装置に伝送され、初期モデルが、制御装置に伝送されたデータに基づいて、制御装置により再トレーニングされる。
【0014】
不確実性とは、ここでは、入力値と、対応する出力値との間の割り当ての品質、即ち、この割り当てが、どの程度の情報量に基づいているか、又は、この割り当て近傍でこれまでどれくらいのトレーニングデータが記録されたかを示す値又は変数を意味するものと理解される。
【0015】
さらに、初期収集されたデータとは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするために最初に利用することができるデータ又はトレーニングデータ、特に、この場合は、頻繁に又は定期的に発生する状況を説明するデータを意味するものと理解される。この初期収集されたデータでトレーニングされた機械学習アルゴリズムは、ここでは、初期モデルと称される。
【0016】
さらに、特定の時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響とは、対応するデータの情報量を意味するものと理解され、ここで、情報量とは、これらのデータが初期モデルの再トレーニングにどの程度関与しているかを示すものであり、即ち、このデータに基づいて初期モデルを再トレーニングすることによって、初期モデル内の不確実性を低減することができるかどうか、又は、どの程度低減することができるかということである。この場合、特定の時点において場合によっては既に再トレーニングされている初期モデルに含まれている不確実性は、現在含まれている不確実性と称される。
【0017】
さらに、解像度とは、検出されたデータが制御装置に伝送され、表示又はマッピングされる精度を意味するものと理解される。例えば、解像度は、検出された画像データがどの程度の品質で伝送されるか、又は、検出された画像データのいくつの画素が伝送されるかを示すことができる。動的測定の場合、解像度は、さらに、例えば、検出されたデータがどの時点において制御装置に伝送されるかを示すことができる。この場合、解像度は、対応するデータのメモリサイズにも影響する。
【0018】
さらに、確定されたデータレベルは、制御装置に伝送されるデータ内の情報における定義されたレベル、例えば、伝送すべき最大のデータ量、又は、伝送されるデータ内の情報量全体を、少なくともどの程度にすべきかなどを表すものである。この場合、確定されたデータレベルは、例えば、モデル製造業者若しくは少なくとも1つの制御可能なシステムの製造業者、又は、制御装置又は対応するデータセンタの事業者によって設定することができる。
【0019】
従って、全体として、検出されたデータの解像度、ひいてはメモリサイズは、検出されたデータがその完全な解像度又はメモリサイズで伝送されないように適合させることができる。これにより、データ伝送の際の問題、例えば、待ち時間や干渉などの相互作用の影響を予防することができる。さらに、データ伝送は、対応するデータ伝送システムの所与条件、例えば、CANバスの容量又は無線データ伝送の利用可能な帯域幅が考慮されるように構成することができる。さらに、本方法は、アルゴリズムの動的な改良又は能動的学習を保証し、この場合、伝送されるデータは、同時に所望の情報量も有することに基づいて、実際には非常に稀な状況においてもトレーニングすることができる。これにより、さらに、入力値を出力値に割り当てる際の精度を機械学習アルゴリズムによって高めることができる。従って、全体として、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための最適化された方法、特に、不確実性を伴う機械学習アルゴリズムを再トレーニングするための最適化された方法が提示される。
【0020】
少なくとも制御可能なシステムは、ここでは、例えば、自律走行型自動車の運転に該当する機能、例えば、ギア選択、速度選択又は温度設定を有する、自律走行型車両の運転者支援機能であり得る。さらに、少なくとも1つの制御可能なシステムは、例えば、機械学習アルゴリズムに基づいて制御可能なさらなる各システム、例えば、台所家電や洗濯機でもあり得る。
【0021】
個々の時点は、さらに、例えば、時間軸にわたって等距離に分散させるものとしてもよい。ただし、さらに他の分散も可能である。
【0022】
入力値は、さらに、例えば、センサ信号であり得る。さらに、入力値は、例えば、ユーザーによって設定することもできる。出力値は、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するための対応する駆動制御信号、又は、少なくとも1つの制御可能なシステムが設定される値を特徴付ける。
【0023】
一実施形態においては、初期モデルは、この場合、ガウス過程である。
【0024】
ガウス過程とは、この場合、確率変数の各有限部分集合が、多次元正規分布(ガウス分布)である確率過程を意味するものと理解される。一般に、ガウス過程は、時間的、空間的又は任意の他の関数を表し、それらの関数値は、不完全な情報に基づき特定の不確実性と確率とによってのみモデル化することができる。
【0025】
従って、この種のガウス過程は、初期モデルを迅速にかつ簡単な手法により獲得する又はトレーニングするために適している。
【0026】
さらに、初期モデルは、例えば、ベイズニューラルネットワーク(Baysian neural network)などの、不確実性を伴う他のあらゆる機械学習アルゴリズムであるものとしてもよい。
【0027】
確定されたデータレベルは、この場合、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかを示すことができ、即ち、初期モデルの再トレーニングのために、伝送されるデータ内の望ましい情報量は少なくともどの程度であるべきかを示すことができる。特に、確定されたデータレベルは、機械学習アルゴリズム又は初期モデル内の不確実性が可及的迅速に低減されるように確定することができ、これにより、初期モデルを改良又は再トレーニングする際の計算時間と対応する所要のリソースとを低減することができる。
【0028】
この場合、複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、対応する時点において検出されたデータの解像度を決定するステップは、それぞれ、制御装置に伝送すべきデータのメモリサイズが最小になると同時に、制御装置に伝送されるデータの情報量が、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかと少なくとも同程度になるように、解像度を決定するステップを含み得る。従って、対応する解像度を決定するために、制約付き最適化手法を使用することができる。
【0029】
データの解像度は、さらに、データの空間解像度、面解像度又は時間解像度であるものとしてもよい。
【0030】
空間解像度とは、3次元平面の表示又は伝送の精度を意味するものと理解される。
【0031】
面解像度とは、さらに、2次元平面の表示又は伝送の精度を意味するものと理解される。この場合、例えば、2次元平面の左下縁部の解像度が、右上縁部よりも高い状況が考えられる。
【0032】
時間解像度とは、さらに、動的測定の際に検出されたデータが制御装置に伝送される時点を意味するものと理解される。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するための方法も提示され、ここで、本方法は、上述の方法により、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御する機械学習アルゴリズムをトレーニングするステップと、トレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するステップとを含む。
【0034】
従って、全体として、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するための最適化された方法が提示され、ここで、少なくとも1つの制御可能なシステムは、最適化された方法に基づいてトレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて制御される。そのため、最初に初期モデルをトレーニングすることによって、機械学習アルゴリズムは、最初にすべての可能な割り当てを、特に稀にしか発生しない割り当ても含めて手間をかけて正確にトレーニングする必要性なしで、既に比較的迅速に、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するために使用することが可能である。これにより、機械学習アルゴリズムをトレーニングする際の計算時間及び対応する計算容量をさらに節約することができ、そのため、本方法は、例えば、通常バックエンドにおいて構成される同等の制御装置よりも少ない能力を有する、少なくとも1つの制御可能なシステム自体において構成される制御装置によって実行することも可能である。さらに、機械学習アルゴリズム又は初期モデルは、初期モデル内の不確実性を低減するために、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に再トレーニングすることができ、この場合、伝送すべきデータの解像度、ひいてはメモリサイズは、伝送すべきデータがその完全な解像度又はメモリサイズで伝送されないように適合させられる。これによって、データ伝送の際の問題、例えば、待ち時間や干渉などの相互作用の影響を予防することができる。さらに、データ伝送は、対応するデータ伝送システムの所与条件、例えば、CANバスの容量又は無線データ伝送の利用可能な帯域幅が考慮されるように構成することができる。さらに、本方法は、アルゴリズムの動的な改良又は能動的学習を保証し、この場合、選択され、伝送されるデータに基づいて、実際には非常に稀な状況においてもトレーニングすることができる。これにより、さらに、入力値を出力値に割り当てる際の精度を機械学習アルゴリズムによって高めることができる。
【0035】
本発明のさらなる実施形態によれば、さらに、機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置も提示され、ここで、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するアルゴリズムであり、機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、機械学習アルゴリズムは、入力値と出力値との各割り当てについて不確実性を有し、不確実性は、それぞれ、入力値と可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示し、機械学習アルゴリズムは、初期モデルを取得するために、初期収集されたデータに基づいて事前トレーニングされ、制御装置は、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、少なくとも1つの制御可能なシステムの現在の状態を特徴付けるデータを複数の時点においてそれぞれ検出するように構成された検出ユニットと、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響をそれぞれ決定するように構成された第1の決定ユニットと、複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、対応する時点において検出されたデータの解像度を決定するように構成された第2の決定ユニットと、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータを、対応する決定された解像度に基づいて又はそれと共に機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置に伝送するように構成された伝送ユニットとを備えている。
【0036】
従って、全体として、機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを伝送又は選択するための制御装置が提示され、この制御装置は、検出されたデータがその完全な解像度又はメモリサイズで伝送されないように、検出されたデータの解像度、ひいてはメモリサイズが適合させられるように構成されている。これにより、データ伝送の際の問題、例えば、待ち時間や干渉などの相互作用の影響を予防することができる。さらに、データ伝送は、対応するデータ伝送システムの所与条件、例えば、CANバスの容量又は無線データ伝送の利用可能な帯域幅が考慮されるように構成することができる。
【0037】
一実施形態においては、初期モデルは、この場合、ガウス過程でもある。この種のガウス過程は、初期モデルを迅速にかつ簡単な手法により獲得する又はトレーニングするために適している。さらに、初期モデルは、例えば、ベイズニューラルネットワーク(Baysian neural network)などの、不確実性を伴う他のあらゆる機械学習アルゴリズムであるものとしてもよい。
【0038】
確定されたデータレベルは、この場合、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかを示すこともでき、即ち、初期モデルの再トレーニングのために、伝送されるデータ内の望ましい情報量は少なくともどの程度であるべきかを示すこともできる。特に、確定されたデータレベルは、機械学習アルゴリズム又は初期モデル内の不確実性が可及的迅速に低減されるように確定することができ、これにより、初期モデルを改良又は再トレーニングする際の計算時間と対応する所要のリソースとを低減することができる。
【0039】
この場合、第2の決定ユニットは、複数の時点の各時点について、制御装置に伝送されるデータのメモリサイズが最小になると同時に、制御装置に伝送されるデータの情報量が、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかと少なくとも同程度になるように、対応する時点において検出されたデータの解像度をそれぞれ決定するように構成されるものとしてもよい。従って、第2の決定ユニットは、対応する解像度を決定するために、それぞれ制約付き最適化手法を使用するように構成されるものとしてもよい。
【0040】
データの解像度は、さらに、データの空間解像度、面解像度又は時間解像度であるものとしてもよい。しかしながら、さらに、例えば、ラジオメトリック解像度など、他の種類の解像度を使用することもできる。
【0041】
本発明のさらなる実施形態により、さらに、機械学習アルゴリズムをトレーニングするためのシステムも提示され、ここで、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するためのアルゴリズムであり、機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、機械学習アルゴリズムは、入力値と出力値との各割り当てについて不確実性を有し、不確実性は、それぞれ、入力値と可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示し、本システムは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための上述の制御装置と、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置とを備え、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置は、初期モデルを取得するために、機械学習アルゴリズムを初期収集されたデータに基づいて事前トレーニングし、初期モデルを、制御可能なシステムを制御するための機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置から得られたデータに基づいて再トレーニングするように構成されている。
【0042】
従って、全体として、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための最適化されたシステム、特に、不確実性を伴う機械学習アルゴリズムを再トレーニングするための最適化されたシステムが提示される。このシステムは、この場合、検出されたデータがその完全な解像度又はメモリサイズで伝送されないように、検出されたデータの解像度、ひいてはメモリサイズが適合させられるように構成することができる。これにより、データ伝送の際の問題、例えば、待ち時間や干渉などの相互作用の影響を予防することができる。さらに、データ伝送は、対応するデータ伝送システムの所与条件、例えば、CANバスの容量又は無線データ伝送の利用可能な帯域幅が考慮されるように構成することができる。さらに、本システムは、アルゴリズムの動的な改良又は能動的学習を保証し、この場合、選択され、伝送されるデータに基づいて、実際には非常に稀な状況においてもトレーニングすることができる。これにより、さらに、入力値を出力値に割り当てる際の精度を機械学習アルゴリズムによって高めることができる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によれば、さらにまた、制御可能なシステムを制御するためのシステムが提示され、ここで、本システムは、少なくとも1つの制御可能なシステムと、上述の機械学習アルゴリズムをトレーニングするためのシステムによってトレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するための制御装置とを含む。
【0044】
従って、全体として、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するための最適化されたシステムが提示され、ここで、少なくとも1つの制御可能なシステムは、最適化された方法に基づいてトレーニングされた機械学習アルゴリズムに基づいて制御される。そのため、最初に初期モデルをトレーニングすることにより、機械学習アルゴリズムは、最初にすべての可能な割り当てを、特に稀にしか発生しない割り当ても含めて手間をかけて正確にトレーニングする必要性なしで、既に比較的迅速に、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するために使用することが可能である。これにより、機械学習アルゴリズムをトレーニングする際の計算時間及び対応する計算容量をさらに節約することができる。さらに、機械学習アルゴリズム又は初期モデルは、初期モデル内の不確実性を低減するために、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に再トレーニングすることができ、この場合、検出されたデータの解像度、ひいてはメモリサイズは、検出されたデータがその完全な解像度又はメモリサイズで伝送されないように適合させられる。これにより、データ伝送の際の問題、例えば、待ち時間や干渉などの相互作用の影響を予防することができる。さらに、データ伝送は、対応するデータ伝送システムの所与条件、例えば、CANバスの容量又は無線データ伝送の利用可能な帯域幅が考慮されるように構成することができる。さらに、本システムは、アルゴリズムの動的な改良又は能動的学習を保証し、この場合、選択され、伝送されるデータに基づいて、実際には非常に稀な状況においてもトレーニングすることができる。これにより、さらに、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御する際の入力値を出力値に割り当てる際の精度を機械学習アルゴリズムによって高めることができる。
【0045】
少なくとも1つの制御可能なシステムは、ここでは、自律走行型自動車、即ち、運転中に、複数の制御可能な機能部又は制御可能なアクチュエータが、例えば、速度設定、ギア選択又は温度制御のために同時にかつ互いに独立して制御可能なシステムであり得る。さらに、少なくとも1つの制御可能なシステムは、例えば、機械学習アルゴリズムに基づいて制御可能なさらなる各システム、例えば、台所家電や洗濯機でもあり得る。
【0046】
従って、全体として、本発明によれば、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための最適化された方法、特に、不確実性を伴う機械学習アルゴリズムを再トレーニングするための最適化された方法が提示されることが確定される。
【0047】
説明した実施形態及び発展形態は、相互に任意に組み合わせることができる。
【0048】
本発明のさらなる可能な実施形態、発展形態及び実装形態は、前述した実施例及び後述する実施例に関して説明される本発明の特徴の明示的に言及されていない組合せも含むものとする。
【0049】
添付の図面は、本発明の実施形態のさらなる理解を提供するためのものである。これらは、実施形態を示すものであり、本発明の原理及び概念を説明する明細書と関連して用いられる。
【0050】
他の実施形態及び前述した利点の多くは、図面に関連して明らかとなる。図面に示された要素は、必ずしも相互に縮尺通りに示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の実施形態による機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施形態による機械学習アルゴリズムをトレーニングするためのシステムの概略的ブロック図である。
【0052】
これらの図面の図中において、同一の参照符号は、特に断りがない限り、同一の又は機能的に同等の要素、部品又は構成要素を示している。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図1は、本発明の実施形態による機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法1のフローチャートを示している。
【0054】
デジタル制御装置は、以下においては一般に制御可能なシステムとも称する、技術システムを開ループ及び閉ループ制御するための多くの用途において使用される。この制御装置は、その際、センサ信号又は他の入力値を、予め定められた制御アルゴリズムに応じて処理するため、機能部のための1つ又は複数の出力値、例えば、アクチュエータの駆動制御のための操作変数が求められる。
【0055】
制御アルゴリズムは、ここでは、例えば、機械学習アルゴリズムであり得る。この場合、個々の制御可能なシステムは、それぞれ、その使用に関するデータを収集し、ここで、これらのデータは、専ら機械学習アルゴリズムを相応にトレーニングするために使用される。一般に、この種の機械学習アルゴリズムは、データ処理システムが初めからこの目的のために明示的にプログラミングされることなく、特定のタスクを実行することができるようにデータ処理システムをトレーニングするために、統計的手法を使用することに基づいている。この場合、機械学習の目標は、データから学習して予測を当てることができるアルゴリズムを構築することからなる。これらのアルゴリズムは、例えば、データの分類に使用することができる数学的モデルを作成する。
【0056】
この場合、不確実性を伴う初期モデルを取得するために、アルゴリズムが最初に初期収集されたデータに対して事前トレーニングされる方法が公知である。このことは、機械学習のアルゴリズムが、最初に、すべての可能な割り当てを、特に稀にしか発生しない割り当ても含めて手間をかけて正確にトレーニングする必要性なしで、ここでは既に比較的迅速に、少なくとも1つの制御可能なシステムの制御のために使用することができるという利点をもたらす。これにより、機械学習アルゴリズムをトレーニングする際の計算時間及び対応する計算容量をさらに節約することができる。次いで、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、機械学習アルゴリズム又は初期モデルは、不確実性を排除するために、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に検出された対応するデータに基づいて再トレーニングすることができる。
【0057】
ただし、ここでは、制御可能なシステムが、ますます多くの制御すべき機能部又は対応するアクチュエータを有することが問題になることは分かっている。しかしながら、制御可能なシステムの動作中に、これらのすべての制御すべき機能部に関するデータがここで検出され、それに伴って、多数のデータ又は大量のデータが、機械学習アルゴリズムの再トレーニングのために対応する制御装置に伝送される場合には、これらは、データ伝送において、例えば、待ち時間又は干渉などの相互作用の影響といった問題につながる可能性がある。
【0058】
図1の実施形態によれば、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための方法1が示され、ここで、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するアルゴリズムであり、機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、機械学習アルゴリズムは、入力値と出力値との各割り当てについて不確実性を有し、不確実性は、それぞれ、入力値と可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示す。この場合、本方法1は、初期モデルを取得するために、機械学習アルゴリズムをトレーニングする制御装置により初期収集されたデータに基づいて機械学習アルゴリズムを事前トレーニングするステップ2を含む。さらに、後続のステップ3においては、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、少なくとも1つの制御可能なシステムの現在の状態を特徴付けるデータが複数の時点においてそれぞれ検出され、ステップ4においては、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響がそれぞれ決定され、ステップ5においては、複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、対応する時点において検出されたデータの解像度がそれぞれ決定され、ここで、後続のステップ6においては、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが、対応する決定された解像度に基づいて制御装置に伝送され、引き続きステップ7においては、初期モデルが制御装置に伝送されたデータに基づいて制御装置により再トレーニングされる。
【0059】
不確実性とは、ここでは、入力値と、対応する出力値との間の割り当ての品質、即ち、この割り当てが、どの程度の情報量に基づいているか、又は、この割り当て近傍でこれまでどれくらいのトレーニングデータが記録されたかを示す値又は変数を意味するものと理解される。
【0060】
初期収集されたデータとは、機械学習アルゴリズムをトレーニングするために最初に利用することができるデータ又はトレーニングデータ、特に、この場合は、頻繁に又は定期的に発生する状況を説明するデータを意味するものとさらに理解される。この初期収集されたデータでトレーニングされた機械学習アルゴリズムは、ここでは、初期モデルと称される。
【0061】
さらに、特定の時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響とは、対応するデータの情報量を意味するものと理解され、ここで、情報量とは、これらのデータが初期モデルの再トレーニングにどの程度関与しているかを示すものであり、即ち、このデータに基づいて初期モデルを再トレーニングすることによって、初期モデル内の不確実性を低減することができるかどうか、又は、どの程度低減することができるかということである。この場合、特定の時点において場合によっては既に再トレーニングされている初期モデルに含まれている不確実性は、現在含まれている不確実性と称される。
【0062】
さらに、解像度とは、検出されたデータが制御装置に伝送され、表示又はマッピングされる精度を意味するものと理解される。例えば、解像度は、検出された画像データがどの程度の品質で伝送されるか、又は、検出された画像データのいくつの画素が伝送されるかを示すことができる。動的測定の場合、解像度は、さらに、例えば、検出されたデータがどの時点において制御装置に伝送されるかを示すことができる。この場合、解像度は、対応するデータのメモリサイズにも影響する。
【0063】
さらに、確定されたデータレベルは、制御装置に伝送されるデータ内の情報における定義されたレベル、例えば、伝送すべき最大のデータ量や、伝送されるデータ内の情報量全体を少なくともどの程度にすべきかなどを表す。この場合、確定されたデータレベルは、例えば、モデル製造業者若しくは少なくとも1つの制御可能なシステムの製造業者、又は、制御装置若しくは対応するデータセンタの事業者によって設定することができる。
【0064】
従って、全体として、検出されたデータの解像度、ひいてはメモリサイズは、検出されたデータがその完全な解像度又はメモリサイズで伝送されないように適合させられる。これにより、データ伝送の際の問題、例えば、待ち時間や干渉などの相互作用の影響を予防することができる。さらに、データ伝送は、対応するデータ伝送システムの所与条件、例えば、CANバスの容量又は無線データ伝送の利用可能な帯域幅が考慮されるように構成することができる。さらに、本方法1は、アルゴリズムの動的な改良又は能動的学習を保証し、この場合、伝送されるデータは、同時に所望の情報量も有することに基づいて、実際には非常に稀な状況においてもトレーニングすることができる。これにより、さらに、入力値を出力値に割り当てる際の精度を機械学習アルゴリズムによって高めることができる。従って、全体として、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための最適化された方法1、特に、不確実性を伴う機械学習アルゴリズムを再トレーニングするための最適化された方法1が提示される。
【0065】
本方法1は、ここでは、例えば、特定の時間間隔で、例えば10分ごとに繰り返して実行することができる。さらに、方法1の個々の繰り返しの間の時間間隔を適応的に適合させることも可能である。この場合、どのデータがある特定の時点において予想されるかを示す予測モデルを使用することもでき、この予測モデル及び場合によってはその不確実性に基づいて、どの時点において又はどの期間の後に本方法1が改めて実行されるかを決定することができる。
【0066】
さらに、複数の時点のこれらの時点は、時間軸にわたって等距離に分散しているものとしてもよい。例えば、対応する時点は、1秒ごと、10秒ごと、30秒ごとに発生させることができる。ただし、さらに他の分散も可能である。
【0067】
少なくとも1つの制御可能なシステムが、複数のデータのチャネル、例えば、少なくとも1つの制御可能なシステムの異なる制御可能な機能部からのデータの複数のチャネルを有する場合は、さらに、各チャネルについて同等の解像度を決定することができるが、あるいは、チャネルの少なくとも一部についてそれぞれ異なる又は固有の解像度を決定することもできる。
【0068】
従って、全体として、本方法1に基づいて、データのどの解像度を伝送するかの情報が最適化された選択を実現することができる。
【0069】
図1の実施形態によれば、初期モデルはガウス過程である。ガウス過程とは、ここでは、ある関数上の相関を持つ多変量正規分布のことである。ガウス過程は、機械学習における方法として有用である。なぜなら、その特性を制御する共分散関数が与えられたガウス過程が、未知関数の特性に関する事前予測として理解することもできるからである。この事前予測は、データに基づいて効率的に条件付けすることができ、これにより、事後分布が発生し、これは、未知のデータ点の予測のために使用することができる。従って、ガウス過程は、関数で推論するための完全なベイズ的枠組みを提供する。
【0070】
従って、この場合、頻繁に公差とも称される、不確実性又は品質の表示は、分散、特にガウス過程の予測分散として決定することができる。
【0071】
さらに、確定されたデータレベルは、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかを示すものであり、即ち、初期モデルを再トレーニングするために、伝送されるデータ内の望ましい情報量は少なくともどの程度であるべきかを示すものである。
【0072】
解像度は、この場合、それぞれ、制約付き最適化問題に基づいて決定することができる。図1の実施形態によれば、複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、対応する時点において検出されたデータの解像度を決定するステップ5は、それぞれ、制御装置に伝送すべきデータのメモリサイズが最小になると同時に、制御装置に伝送されるデータの情報量が、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかと少なくとも同程度になるように、解像度を決定するステップを含む。
【0073】
この場合、さらに、計算時間を短縮するために、メモリサイズがこの場合メモリサイズのための閾値を下回ると同時に解像度の決定も中断することができる。
【0074】
解像度は、さらに、データの空間解像度、面解像度、及び/又は、時間解像度である。
【0075】
図2は、本発明の実施形態による機械学習アルゴリズムをトレーニングするためのシステム10の概略的ブロック図を示している。
【0076】
この場合、機械学習アルゴリズムは、少なくとも1つの制御可能なシステムを制御するためのアルゴリズムでもあり、ここで、機械学習アルゴリズムは、入力値に可能な出力値を割り当て、機械学習アルゴリズムは、入力値と出力値との各割り当てについて不確実性を有し、不確実性は、それぞれ、入力値と可能な出力値との割り当てがこれまでどの程度良好にトレーニングされてきたかを示す。
【0077】
図2に示されているように、システム10は、機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置11と、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置12とを備えており、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置12は、初期モデルを取得するために、機械学習アルゴリズムを初期収集されたデータに基づいて事前トレーニングし、初期モデルを、機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置11から制御可能なシステムを制御するために得られたデータに基づいて再トレーニングするように構成されている。
【0078】
機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置11は、この場合、特に、少なくとも1つの制御可能なシステム自体において構成するものとしてもよく又はその中に統合するものとしてもよい。
【0079】
機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置12は、さらに、少なくとも1つの制御可能なシステム自体において構成されるものとしてもよいが、またバックエンドにおいて構成されるものとしてもよく、制御装置12がバックエンドにおいて構成される場合、近い将来にどのようなデータが期待され及び/又はどの解像度で将来的に伝送されるかに関して予測モデルが使用され、予測モデルは、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に学習される機械学習アルゴリズムであり得るものでもあり、さらに、予測モデルは、固定的又は適応的であるものとしてよい。予測モデルが、適応的である場合、さらに確率的予測モデルが必要となり、この確率的予測モデルを用いて対応する不確実性を評価することができ、例えば、どの時点においてデータ内の対応する情報量が期待し得るかを評価することができる。この場合、制御装置12は、例えば、予測モデルに基づいて、どのデータを近い将来に得ることができるかを予測することができ、それに応じて制御装置11に通知することにより、これらのうち近い将来に期待されるデータに基づいて、初期モデル内に現在含まれている不確実性を低減させることができる。
【0080】
少なくとも1つの制御可能なシステムは、この場合、図2の実施形態によれば、さらに、自律走行型自動車若しくは自律走行型自動車の動作に関連する機能部、特に、速度設定部、ギア選択部又は温度制御部である。
【0081】
図2がさらに示すように、機械学習アルゴリズムをトレーニングするトレーニングデータを選択するための制御装置11は、この場合、少なくとも1つの制御可能なシステムの動作中に、少なくとも1つの制御可能なシステムの現在の状態を特徴付けるデータを複数の時点においてそれぞれ検出するように構成された検出ユニット13と、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有する影響をそれぞれ決定するように構成された第1の決定ユニット14と、複数の時点の各時点について、確定されたデータレベルと、対応する時点において検出されたデータが初期モデル内に現在含まれている不確実性に対して有するそれぞれの影響とに基づいて、対応する時点において検出されたデータの解像度を決定するように構成された第2の決定ユニット15と、複数の時点の各時点について、対応する時点において検出されたデータを、対応する決定された解像度に基づいて、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置12に伝送するように構成された伝送ユニット16とを備えている。
【0082】
検出ユニット及び伝送ユニットは、ここでは、例えば、どちらもトランシーバに統合されているものとしてもよい。さらに、第1の決定ユニット及び第2の決定ユニットは、どちらもそれぞれ、例えば、メモリに格納され、プロセッサによって実行可能なコードに基づいて実現することができる。
【0083】
さらに、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置12も同様に、伝送ユニット16によって伝送されたデータを検出又は受信するように構成された検出ユニット17を備えている。
【0084】
個々のデータは、この場合、例えば、少なくとも1つの制御可能なシステム又は自律走行型自動車において構成された対応するセンサ又は対応する制御装置によって検出することができる。
【0085】
図2の実施形態によれば、初期モデルは、ガウス過程である。
【0086】
さらに、確定されたデータレベルも、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する制御装置に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかを示す。
【0087】
図2の実施形態によれば、第2の決定ユニット15は、さらに、複数の時点の各時点について、制御装置に伝送すべきデータのメモリサイズが最小になると同時に、機械学習アルゴリズムをトレーニングするための制御装置12に伝送されるデータの情報量が、初期モデル内に現在含まれている不確実性に対する制御装置12に伝送されるデータの影響を少なくともどの程度にすべきかと少なくとも同程度になるように、対応する時点において検出されたデータの解像度をそれぞれ決定するように構成されている。従って、第2の決定ユニット15も、解像度を、それぞれ制約付き最適化問題に基づいて求めるように構成されている。
図1
図2
【外国語明細書】