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  • 特開-時計のための方向付け可能なバック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024947
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】時計のための方向付け可能なバック
(51)【国際特許分類】
   G04B 37/11 20060101AFI20230214BHJP
【FI】
G04B37/11 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022120322
(22)【出願日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】21190403.2
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・アリマン
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・エルデムリ
(72)【発明者】
【氏名】エンツォ・アグストーニ
(57)【要約】
【課題】バックを腕時計ケースのミドル部上にねじ込んだ後で、単純かつ効果的な手法で腕時計に対してバックの向きを調整することを可能にするシステムを提案すること。
【解決手段】本発明は、腕時計ケース(100)上まで駆動されるように構成されたバック(1)を腕時計ケース(100)のミドル部(2)に固定するためのデバイスであって、ケーシング・リング(3)を備え、ケーシング・リング(3)に対して少なくとも1つのポジション・ピン(4)が接続され、上記ポジション・ピン(4)が、腕時計の12時から6時の軸に沿うようにミドル部(2)に対してバック(1)を方向付けるのを保証するために、バック(1)内の少なくとも1つの機械加工品(10)と協働するように構成される、デバイスに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミドル部(2)上まで駆動されるように構成されたバック(1)を腕時計ケース(100)の前記ミドル部(2)に固定するためのデバイスであって、前記デバイスは、ケーシング・リング(3)を備え、前記ケーシング・リング(3)に対して少なくとも1つのポジション・ピン(4)が接続され、前記ポジション・ピン(4)は、前記腕時計の12時から6時の軸に沿うように前記ミドル部(2)に対して前記バック(1)を方向付けるのを保証するために、前記バック(1)内の少なくとも1つの機械加工品(10)と協働するように構成されることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記ポジション・ピン(4)は、前記ケーシング・リング(3)内まで駆動されるピンであることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記ポジション・ピン(4)および前記ケーシング・リング(3)は、単一部片として作られる要素を形成することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの機械加工品(10)は、前記ポジション・ピン(4)の形状に対して相補的である形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デバイスは、圧縮性材料で作られたリング・ガスケット(30)を備え、前記リング・ガスケット(30)は、液密シールを得るために前記バック(1)と前記ミドル部(2)との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ポジション・ピン(4)は、前記ミドル部(2)上で前記バック(1)を案内するために前記バック(1)と前記ミドル部(2)との間の接合面(P)から突出していることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の固定デバイスを備える、時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計のためのバックに関し、より詳細には、バックの外部フェース上にパターンまたはロゴを有するそのようなバックであって、上記パターンまたはロゴが所望される通りに方向付けられ得るバックに関する。
【背景技術】
【0002】
しばしば、腕時計ケース・バック(watch case back)を腕時計のミドル部(middle)上にねじ込む場合、バックが完全に中にねじ込まれたときに、例えば、腕時計を着用する個人の手首と同じ側に位置するバックのフェース上に刻印またはエッチングされていることがある装飾的なパターンまたは銘刻が、上記腕時計の12時から6時の垂直方向軸に対して適切に位置合わせされないことが起こり、これはこの腕時計の美観を明確に損ねる。
【0003】
低コストの腕時計の場合には許容される可能性のある、このような美観における欠陥は、より高価な腕時計にとっては非常に重大な不利益となる。
【0004】
この不利益を克服するために、今までに知られている唯一の解決策は、機械加工中にバックを特定の腕時計ケースにペアリングすることから構成され、それにより、バックが完全に中にねじ込まれたときに、バックが腕時計の12時から6時の軸に完璧に位置合わせされることが保証される。しかし、この解決策はあまり満足できるというものではない。その理由は、腕時計の元のバックが紛失されるかまたは損傷した場合に問題が生じるからであり、腕時計の元のバックが別のバックに交換されなければならず、この場合、バックがミドル部上にねじ込まれたときにバックが12時から6時の垂直方向軸に適切に位置合わせされることが保証され得ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、腕時計を着用する個人の手首の方を向く腕時計のバックのフェース上に刻まれた銘刻または他の装飾的なパターンの適切な配置を保証するために、バックを腕時計ケースのミドル部上にねじ込んだ後で、単純かつ効果的な手法で腕時計に対してバックの向きを調整することを可能にするシステムを提案することにより、上記の不利益を他の不利益に加えて克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のため、本発明は、腕時計ケース上まで駆動されるように構成されたバックを腕時計ケースのミドル部に固定するためのデバイスであって、ケーシング・リングを備え、このケーシング・リングに対して少なくとも1つのポジション・ピンが接続され、上記ポジション・ピンが、腕時計の12時から6時の軸に沿うようにミドル部に対してバックを方向付けるのを保証するために、バック内の少なくとも1つの機械加工品(machining)と協働するように構成されることを特徴とする、デバイスに関する。
【0007】
これらの特徴により、本発明は、腕時計ケースのバックを固定するためのデバイスを提供し、このデバイスが、バックの液密密閉を保証するためにこのバックを腕時計のミドル部上まで完全に駆動するのを可能にし、さらには、腕時計の12時から6時の軸に沿うようにミドル部に対してバックを正確に方向付けるのを可能にする。
【0008】
本発明の他の有利な代替の実施形態によると:
- ポジション・ピンは、ケーシング・リング内まで駆動されるピンであり;
- ポジション・ピンおよびケーシング・リングは、単一部片として作られる要素を形成し;
- 上記少なくとも1つの機械加工品は、ポジション・ピンの形状に対して相補的である形状を有し;
- デバイスは、圧縮性材料で作られたリング・ガスケットを備え、上記ガスケットは、液密シールを得るためにバックとミドル部との間に配置され;
- ポジション・ピンは、ミドル部上でバックを案内するためにバックとミドル部との間の接合面から突出している。
【0009】
本発明は、本発明による固定デバイスを備える時計にさらに関する。
【0010】
図面によって示される少なくとも1つの非限定の実施形態に基づいて与えられる以下の記述では、バックを腕時計ケースのミドル部に固定するためのデバイスの目的、利点、および特徴がより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による、バックをミドル部に固定するためのデバイスを装備する腕時計ケースの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、バック1を腕時計ケースのミドル部2の上に固定して方向付けるためのデバイスを示しており、バック1は、ミドル部2上まで駆動されることを意図されている。
【0013】
本発明によると、本デバイスはケーシング・リング3を備え、腕時計の12時から6時の軸に沿うようにミドル部2に対してバック1を方向付けるのを保証するために、バック1内の少なくとも1つの機械加工品10と協働するように構成された少なくとも1つのポジション・ピン4は、このケーシング・リング3に接続され、バック1は、ロゴまたは商標などのパターンを有する外側面を有する。
【0014】
図1で見ることができるように、バックは、スカート11およびスカートから突出するリング12から構成され、リングは、バック1が駆動されたときにミドル部2内で静止するように構成されている。
【0015】
第1の実施形態によると、ポジション・ピン4は、ケーシング・リング3内まで駆動されるピンの形態をとり、ケーシング・リング3は、ピンを受けるように構成された開口部を有する。
【0016】
第2の実施形態によると、ポジション・ピン4およびケーシング・リング3は、単一部片として作られる要素を形成する。ポジション・ピン4およびケーシング・リング3は、例えば、プラスチック射出またはプラスチック成形によって製造され得るか、あるいは、固体ブロックから一体に機械加工され得る。この実施形態の利点は、実装がより単純となり、生産がより安価になることである。
【0017】
このような組立体により、ミドル部2に対してバック1が角回転することがポジション・ピン4によって阻止され(したがって、バック1の位置の角回転も防止される)、ポジション・ピン4は、バック1が中まで駆動されるときにバック1内に係合されている。
【0018】
完全に組み立てられた後の遊びを可能な限り制限するために、上記少なくとも1つの機械加工品10は、ポジション・ピン4に対して相補的である形状を有し、ポジション・ピンは、バック1内の機械加工品10の中に強制的に挿入されるように構成されている。
【0019】
本発明によると、圧縮性材料で作られたリング・ガスケット30は、バック1とミドル部2との間に配置され、より具体的には、バックのリング12の外側に配置され、それにより、ミドル部上にバックが組み付けられたときに、液密シールが得られる。
【0020】
有利には、ポジション・ピン4は、バック1とミドル部2との間の接合面Pからわずかに突出しており、それにより、ミドル部2上に対してのバック1の組み付け中の案内要素としても機能し、ポジション・ピン4は、リング・ガスケット30の圧縮の開始前にバック1またはケーシング・リング3に係合されている。
【0021】
ケーシング・リング3およびポジション・ピン4は、単一部片の要素を形成する場合、プラスチック材料で作られ得る。逆に、ポジション・ピン4が金属またはプラスチック材料で作られてもよい。
【0022】
本発明による固定デバイスは、以下のように設置される。ムーブメントおよびケーシング・リング3は、ミドル部2内に設置される。ケーシング・リング3は、ミドル部2内に固定されると、バック1は、ポジション・ピン4をバック1内の機械加工品10の中に部分的に挿入することになるように、ポジション・ピン4に対して配置される。バック1が配置されてポジション・ピン4が機械加工品10の中に部分的に挿入されると、バック1は、ミドル部2に当接されるようになるまで、ミドル部2上へ駆動される。
【0023】
言うまでもなく、本発明は上述の実施形態のみに限定されず、本発明の範囲内に留めながら、多様な単純な代替形態および修正形態が考察され得る。例えば、ポジション・ピンが、ケーシング・リングの上ではなく、バックの上に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 バック
2 ミドル部
3 ケーシング・リング
4 ポジション・ピン
10 機械加工品
11 スカート
12 リング
30 リング・ガスケット
100 腕時計ケース
P 接合面
図1
【外国語明細書】