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特開2023-2495誘電体材料、及びこれを備えた可撓性銅張積層板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002495
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】誘電体材料、及びこれを備えた可撓性銅張積層板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/03 20060101AFI20221227BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20221227BHJP
   C09J 7/35 20180101ALI20221227BHJP
   C09J 7/24 20180101ALI20221227BHJP
   C09J 127/18 20060101ALI20221227BHJP
   C09J 127/20 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
H05K1/03 650
B32B27/00 M
H05K1/03 670
H05K1/03 630H
H05K1/03 610H
H05K1/03 610R
C09J7/35
C09J7/24
C09J127/18
C09J127/20
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100281
(22)【出願日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】202110693171.7
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】518241908
【氏名又は名称】ダイキン・フルオロケミカルズ・(チャイナ)・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Daikin Fluorochemicals (China) Co., Ltd.
(71)【出願人】
【識別番号】522251157
【氏名又は名称】ファーウェイ デバイス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】徐 有
(72)【発明者】
【氏名】唐 潔
(72)【発明者】
【氏名】全 正茂
(72)【発明者】
【氏名】王 偉
(72)【発明者】
【氏名】田頭 修二
(72)【発明者】
【氏名】徐 鋼
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲びん▼
(72)【発明者】
【氏名】傅 方傑
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4F100AA01
4F100AA01B
4F100AA19
4F100AA19B
4F100AA20
4F100AA20B
4F100AB17
4F100AB17D
4F100AB17E
4F100AB33
4F100AB33D
4F100AB33E
4F100AG00
4F100AG00B
4F100AH05
4F100AH05A
4F100AH05C
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK01C
4F100AK17
4F100AK17B
4F100AK18
4F100AK18A
4F100AK18B
4F100AK18C
4F100AL01
4F100AL01A
4F100AL01C
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA07
4F100BA08
4F100CB00
4F100CB00A
4F100CB00C
4F100DE00
4F100DE00B
4F100DE01
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4F100DG01B
4F100EH17
4F100EH46
4F100EJ18
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4F100YY00E
4J004AA06
4J004AB03
4J004CA03
4J004CB03
4J004CC02
4J004EA05
4J004FA05
4J040DA031
4J040DA121
4J040EE011
4J040GA03
4J040JA09
4J040JB01
4J040LA06
4J040LA07
4J040LA09
4J040MA02
4J040MA10
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】誘電体材料、及びこれを備えた可撓性銅張積層板の提供。
【解決手段】本発明は、誘電体材料、及び該誘電体材料を備えた可撓性銅張積層板を提供する。前記誘電体材料は、第1接着層、第1コア層、及び任意の第2接着層を順次含み、前記第1コア層の厚さが25~500μmであり、前記第1接着層及び第2接着層の厚さがそれぞれ5~35μmである。前記可撓性銅張積層板は、上記の誘電体材料をベースとし、第1銅箔及び第2銅箔をさらに積層してプレスすることによって形成されるものである。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接着層、第1コア層、及び任意の第2接着層を順次含み、
前記第1コア層の厚さが25~500μmであり、
前記第1接着層及び前記第2接着層の厚さがそれぞれ5~35μmであることを特徴とする、誘電体材料。
【請求項2】
前記第1接着層及び前記第2接着層の厚さがそれぞれ10~20μmであることを特徴とする、請求項1に記載の誘電体材料。
【請求項3】
前記第1接着層及び前記第2接着層の厚さがそれぞれ10~15μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の誘電体材料。
【請求項4】
前記第1接着層及び前記第2接着層が主成分としてフッ素含有溶融樹脂を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の誘電体材料。
【請求項5】
前記フッ素含有溶融樹脂がテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン-エチレン共重合体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項4に記載の誘電体材料。
【請求項6】
前記フッ素含有溶融樹脂がテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体であることを特徴とする、請求項5に記載の誘電体材料。
【請求項7】
前記第1コア層の厚さが50~125μmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の誘電体材料。
【請求項8】
前記第1コア層が、無機フィラーによって改質されたフッ素含有樹脂から構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の誘電体材料。
【請求項9】
前記フッ素含有樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、及びテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項8に記載の誘電体材料。
【請求項10】
前記フッ素含有樹脂はポリテトラフルオロエチレン樹脂であることを特徴とする、請求項8に記載の誘電体材料。
【請求項11】
前記無機フィラーと前記フッ素含有樹脂の合計量を100重量%とし、前記無機フィラーの添加量が30~70重量%であることを特徴とする、請求項8に記載の誘電体材料。
【請求項12】
前記無機フィラーと前記フッ素含有樹脂の合計量を100重量%とし、前記無機フィラーの添加量が50~60重量%であることを特徴とする、請求項8に記載の誘電体材料。
【請求項13】
前記無機フィラーが、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸バリウム、及びガラス繊維から選択される少なくとも1種であることを特徴とする、請求項8に記載の誘電体材料。
【請求項14】
前記無機フィラーがシリカであることを特徴とする、請求項8に記載の誘電体材料。
【請求項15】
前記シリカが角状、略球状又は球状の粒子であることを特徴とする、請求項14に記載の誘電体材料。
【請求項16】
前記シリカが球状の粒子であることを特徴とする、請求項15に記載の誘電体材料。
【請求項17】
前記シリカの粒子の粒子径が1~45μmであることを特徴とする、請求項15に記載の誘電体材料。
【請求項18】
前記シリカの粒子の粒子径が1~15μmであり、粒子の累積の50%粒子径が5~7μmであることを特徴とする、請求項15に記載の誘電体材料。
【請求項19】
請求項1に記載の誘電体材料の第1接着層の、第1コア層とは反対側の面に第1銅箔を積層するとともに、該誘電体材料の第2接着層の、第1コア層とは反対側の面に第2銅箔を重ね合わせ、積層して形成されることを特徴とする、可撓性銅張積層板。
【請求項20】
請求項1に記載の誘電体材料の第1接着層の、第1コア層とは反対側の面に第1銅箔を積層するとともに、該誘電体材料の第1コア層の、第1接着層とは反対側の面に第2銅箔を重ね合わせ、積層して形成されることを特徴とする、可撓性銅張積層板。
【請求項21】
前記第1銅箔と前記第2銅箔の表面粗さRzがそれぞれ0.1~1.0μmであることを特徴とする、請求項19又は20に記載の可撓性銅張積層板。
【請求項22】
前記第1銅箔と前記第2銅箔の表面粗さRzがそれぞれ0.2~0.85μmであることを特徴とする、請求項19又は20に記載の可撓性銅張積層板。
【請求項23】
前記第1銅箔と前記第2銅箔の表面粗さRzがそれぞれ0.4~0.6μmであることを特徴とする、請求項19又は20に記載の可撓性銅張積層板。
【請求項24】
前記第1銅箔と前記第2銅箔の厚さがそれぞれ6~35μmであることを特徴とする、請求項19又は20に記載の可撓性銅張積層板。
【請求項25】
前記第1銅箔と前記第2銅箔の厚さがそれぞれ12~18μmであることを特徴とする、請求項19又は20に記載の可撓性銅張積層板。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体材料、及び当該誘電体材料を備えた可撓性銅張積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信の分野では、基板上に銅箔を重ね合わせたて形成された銅張積層板等が広く使用されている。5G無線通信の商用アプリケーションの開発に伴い、無線通信の周波数帯域は、低周波数から高周波数、さらにはミリ波の周波数帯域へと徐々に発展している。表皮効果の原理によれば、周波数が高いほど、電気信号がより導体(即ち銅箔)の表面に集中し、銅箔の表面粗さが小さいほど、電気信号の伝送経路が短くなり、損失が少なくなる。従って、表面粗さが非常に小さい銅箔、特に表面粗さRzが1.0以下の銅箔を使用すると、銅張積層板の導体損失を減らすことができる。
【0003】
さらに、基板として低誘電・低損失の誘電体材料を使用することは、銅張積層板の誘電損失を低減するのにも有益であり、アンテナ帯域幅を増やすこともできる。典型的な低誘電・低損失の誘電体材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと略す)、液晶ポリマー(以下、LCPと略す)、及びそれらの改質材料などの樹脂が挙げられる。しかしながら、基板と銅箔の接着力は、主に銅箔の接合面の凹凸による定着効果で得られ、銅箔の凹凸(表面粗さ)が大きいほど、得られる接着力(銅箔の剥離強度)が大きくなる。一方、銅箔の表面粗さが小さすぎると、得られる接着力が小さくなり、銅箔が剥がれやすくなる。そのため、上記樹脂と超低表面粗さの銅箔との剥離強度が比較的低く、フレキシブル基板に使用される場合、曲げられると剥離が発生し、プリント回路基板(以下、PCBと略す)、フレキシブル回路基板(以下、FPCと略す)などのバックエンドプロセスからの要求を満たすことができなくなる。
【0004】
従って、低表面粗さの銅箔と低誘電・低損失の誘電体材料を使用する時の低剥離強度の問題を解決するために、低い誘電率(以下、Dkと略す)と低い誘電損失(以下、Dfと略す)の接着層を増設することにより誘電体と銅箔の接着力を向上させることが一般的である。一般的に使用されている接着材としては低誘電率のエポキシ接着剤が挙げられるが、エポキシ接着剤は、PTFEやLCPなどの誘電体に比べてDkやDfが比較的高いため、接着材として使用されると、銅張積層板の誘電損失が増えるという問題がある。
【0005】
上記の問題を解決するために、接着材として、エポキシ接着剤に代えて、フッ素含有接着シート(例えば、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(以下、PFAと略す)、ポリパーフルオロエチレンプロピレン(以下、FEPと略す))を使用しようとすることが提案されている。例えば、特許文献1は、LCP/PFA複合フィルムを使用した銅張積層板を開示している。しかしながら、フッ素含有接着シートを使用することにより、得られる銅張積層板のDk及びDfを低減することができ、且つ製造コストが低いが、接着シートの限界膜厚を10μm以内にすることが困難であるから、複数枚の銅張積層板を重ね合わせて得られた多層PCB又は多層FPCなどの全体的な厚さが大きくなり、これは電子機器の小型化には不利である。また、基材に接着シートを積層すると、完全に接着シートを平坦化することが難しく、気泡やシワなどの欠陥が発生しやすい。更に、フッ素含有粘着シートは、静電気が比較的強く、空気中のホコリを吸収しやすいため、良品率が低下してしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第101277816号明細書(A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の先行技術の問題点に鑑みて開発されたものであり、電気特性に優れるだけでなく、高い剥離強度、極めて低い吸水率、低い熱膨張係数、及び比較的小さい厚さを兼ねた可撓性銅張積層板を得ることができる誘電体材料、及びこの誘電体材料を備えた可撓性銅張積層板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1接着層、第1コア層、及び任意の第2接着層を順次含み、前記第1コア層の厚さが25~500μmであり、前記第1接着層及び前記第2接着層の厚さがそれぞれ5~35μmであることを特徴とする、誘電体材料に関する。
【0009】
本発明の誘電体材料において、前記第1接着層及び前記第2接着層の厚さはそれぞれ5~35μm、好ましくは10~20μm、より好ましくは10~15μmである。また、前記第1接着層及び前記第2接着層は主成分としてフッ素含有溶融樹脂を含み、好ましくはテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)から選択される少なくとも1種を主成分として含み、より好ましくはPFAを主成分として含む。
【0010】
本発明の誘電体材料において、前記第1コア層の厚さは25~500μm、好ましくは50~200μm、より好ましくは50~125μmである。前記第1コア層は、無機フィラーによって改質されたフッ素含有樹脂から構成される。前記フッ素含有樹脂は、好ましくはポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、及びテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはPTFE樹脂である。
【0011】
また、前記無機フィラーと前記フッ素含有樹脂の合計量を100重量%とすると、前記無機フィラーの添加量は30~70重量%、好ましくは50~60重量%である。また、改質に使用される無機フィラーは、シリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸バリウム、及びガラス繊維から選択される少なくとも1種であり、好ましくはシリカである。無機フィラーとして使用されるシリカは、好ましくは角状、略球状又は球状の粒子であり、より好ましくは球状の粒子である。前記粒子の粒子径は、好ましくは1~30μm、より好ましくは1~15μmであり、粒子の累積の50%粒子径は5~7μmである。
【0012】
更に、本発明は、前記誘電体材料の第1接着層の、第1コア層とは反対側の面に第1銅箔を積層するとともに、該誘電体材料の第2接着層の、第1コア層とは反対側の面に第2銅箔を重ね合わせ、積層して形成されることを特徴とする、可撓性銅張積層板に関する。
【0013】
更に、本発明の誘電体材料は、第2接着層を備えなくてもよい。この場合、本発明は、前記誘電体材料の第1接着層の、第1コア層とは反対側の面に第1銅箔を積層するとともに、該誘電体材料の第1コア層の、第1接着層とは反対側の面に第2銅箔を重ね合わせ、積層して形成されることを特徴とする、可撓性銅張積層板に関する。
【0014】
本発明の可撓性銅張積層板において、前記第1銅箔と前記第2銅箔の表面粗さRzは、好ましくは0.1~1.0μm、より好ましくは0.2~0.85μm、更に好ましくは0.4~0.6μmである。また、前記第1銅箔と前記第2銅箔の厚さは、好ましくは6~35μm、より好ましくは12~18μmである。
【0015】
本発明によれば、従来の銅張積層板と比較して、接着層の極限膜厚が小さく、膜厚が均一であり、剥離強度が比較的高く、吸水率が低く、連続生産だけでなく、より高い周波数と高品質の無線通信の要求を満たすことが可能である可撓性銅張積層板を得ることができる誘電体材料、及び該誘電体材料を備えた可撓性銅張積層板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の1つの実施形態にかかる誘電体材料を示す模式図である。
図2】本発明の別の実施形態にかかる誘電体材料を示す模式図である。
図3】本発明の1つの実施形態にかかる可撓性銅張積層板を示す模式図である。
図4】本発明の別の実施形態にかかる可撓性銅張積層板を示す模式図である。
【符号の説明】
【0017】
100,100’…誘電体材料、10…第1コア層、21…第1接着層、22…第2接着層、200,200’…銅張積層板、31…第1銅箔、32…第2銅箔
【発明を実施するための形態】
【0018】
先ず、本発明の誘電体材料について詳しく説明する。
【0019】
図1は、本発明の1つの実施形態にかかる誘電体材料を示す模式図である。図1に示すように、本発明の誘電体材料100は、第1接着層21、第1コア層10及び第2接着層22を順次備える。
【0020】
誘電体材料100に含まれる第1接着層21と第2接着層22は、同じでも異なっていてもよく、作製コストの観点から、同じであるものが好ましい。また、第1接着層21と第2接着層22は、高濡れ性複合塗料で得られた接着層であり、該塗料は樹脂、助剤及び溶剤を含む。前記樹脂は主成分としてフッ素含有溶融樹脂を含み、銅箔の剥離強度を更に向上させる観点から、前記フッ素含有溶融樹脂は、好ましくはテトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはPFAである。前記助剤及び溶剤は特に限定されず、本分野で一般的に使われている助剤と溶剤を使用すればよい。
【0021】
また、第1接着層21と第2接着層22の厚さはそれぞれ5~35μmであり、電子機器のさらなる小型化の観点から、好ましくは第1接着層21と第2接着層22の厚さがそれぞれ10~20μm、より好ましくは10~15μmである。
【0022】
更に、前記接着層は、好ましくは、1~100GHzにおけるDkが2.0~2.2であり、且つ1~100GHzにおけるDfが0.0002~0.001である接着層、より好ましくは1~100GHzにおけるDkが2.0~2.1であり、且つ1~100GHzにおけるDfが0.0002~0.0004である接着層である。
【0023】
誘電体材料100に含まれる第1コア層10は、無機フィラーによって改質されたフッ素含有樹脂から構成される。銅張積層板の誘電損失を低減し、且つアンテナ帯域幅を広げる観点から、前記フッ素含有樹脂は、好ましくはポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、及びテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)から選択される少なくとも1種であり、より好ましくはPTFE樹脂であり、良好な熱膨張係数と可撓性回路板の加工性の観点から、第1コア層10は、更に好ましくはセラミック粉で改質されたPTFE樹脂から構成される。
【0024】
また、改質に使用される無機フィラーは特に限定されず、例えばシリカ、チタニア、アルミナ、チタン酸バリウム及びガラス繊維から選択される少なくとも1種が挙げられ、電気性能及び熱膨張係数が良好である観点から、好ましくはシリカ、より好ましくは角状、略球状、球状のシリカ粒子、更に好ましくは球状のシリカ粒子である。そのうち、本明細書において、角状とは、不規則な多角形を指す。更に、粒子の粒子径は、好ましくは1~30μm、より好ましくは1~15μmであり、粒子の累積の50%粒子径(以下、D50粒子径と略す)は、好ましくは5~7μmである。
【0025】
更に、無機フィラーとフッ素含有樹脂の合計を100重量%とすると、無機フィラーの添加量は30~70重量%であり、成形性と熱膨張係数が優れる観点から、好ましくは50~60重量%である。
【0026】
更に、第1コア層10の厚さは25~500μmであってもよく、電子機器のさらなる小型化の観点から、好ましくは50~200μm、より好ましくは50~125μmである。
【0027】
更に、前記コア層10は、好ましくは1~100GHzにおけるDkが2.0~3.5であり、且つ10GHzにおけるDfが0.0002~0.003であるコア層であり、より好ましくは10GHzにおけるDkが2.2~3.0であり、且つ1~100GHzにおけるDfが0.0002~0.002であるコア層である。
【0028】
また、本実施形態の誘電体材料100は、一般的な方法で作製すればよい。例えば、本実施形態の誘電体材料100は、無機フィラーによって改質されたフッ素含有樹脂を、押出法、圧延法、又はキャスティング法のいずれか1つの方法によって成形して第1コア層10を形成する第1工程、コア層の両面にフッ素含有コーティング層をそれぞれ形成し、一定温度で乾燥して溶剤を除去することにより、第1コア層10の両面に第1接着層21と第2接着層22を形成する第2工程、接着層が形成されたコア層を300~330℃の高温で焼結して誘電体材料3を得る第3工程を備える方法により作製することができる。
【0029】
以上、本発明の誘電体材料の実施形態の一例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨から逸脱しない限り、本発明に様々な変形を行うことができる。例えば、本発明の誘電体材料は、第2接着層を含まなくてもよい。具体的には、図2に示すように、本発明の誘電体材料100’は、第1接着層21と第1コア層10のみを含み、第2接着層22を含まなくてもよい。
【0030】
以下、本発明の可撓性銅張積層板について詳しく説明する。
【0031】
図3は、本発明の1つの実施形態にかかる可撓性銅張積層板を示す模式図である。図3に示すように、本発明の可撓性銅張積層板200(以下、「銅張積層板200」ともいう)は、第1銅箔31、誘電体材料100及び第2銅箔32を順次備える。銅張積層板200に含まれる第1銅箔31と第2銅箔32は、同じでも異なっていてもよく、作製コストの観点から、同じであるものが好ましい。第1銅箔31と第2銅箔32の厚さはそれぞれ6~35μmであり、得られた電子機器の小型化及び銅箔の剥離強度の向上の観点から、第1銅箔31と第2銅箔32の厚さは、好ましくはそれぞれ9~18μmであり、より好ましくは12~18μmである。
【0032】
また、第1銅箔31と第2銅箔32の表面粗さ(Rz)はそれぞれ0.1~1.0μmであり、銅張積層板の低誘電損失と銅箔の高剥離強度を両立する観点から、第1銅箔31と第2銅箔32の表面粗さ(Rz)は、好ましくはそれぞれ0.2~0.85μm、より好ましくは0.4~0.6μmである。上記Rzは、GB/T3505-1983に規定された微視的粗さの10点の高さ、具体的には、サンプルの指定された長さにおける輪郭曲線の中で、5つのもっとも高い山の高さの平均値と5つのもっとも深い谷の深さの平均値の和に基づいて求められる。
【0033】
また、第1銅箔31及び第2銅箔32は、圧延により得られた圧延銅箔、電解により得られた電解銅箔、及び電気めっきにより得られた電気めっき銅箔のいずれかであってもよく、電解銅箔が好ましく使用される。
【0034】
本実施形態の銅張積層板200の誘電体層の厚さは、(接着層の厚さ+コア層の厚さ)/積層圧縮比で50~150μmであり、電子機器の小型化の観点から、好ましくは50~100μmである。誘電体層の厚さが上記の範囲内にある銅張積層板を使用することにより、上記銅張積層板から得られるPCB又はFPCの厚さを減らすことができ、PCB又はFPCの小型化に有利である。その中で、積層圧縮比は通常約1.5である。
【0035】
本実施形態の銅張積層板200は上記構成を有することにより、銅張積層板の低誘電損失、高剥離強度、低吸水率及び低熱膨張係数を兼ねることができる。
【0036】
具体的には、本実施形態の銅張積層板200の1~100GHzにおけるDkが2.2~3.0、好ましくは2.5~3.0、より好ましくは2.5~2.8であり、銅張積層板200の1~100GHzにおけるDfが0.0002~0.002、好ましくは0.0002~0.001、より好ましくは0.0002~0.0008である。前記DkとDfは、実施例に記載される方法で測定される。具体的には、前記DkとDfは、規格IPC-TM-650 2.5.5.5を参照してSPDR法(スプリットポスト誘電体共振器法)又はストリップライン法によって測定できる。
【0037】
また、本実施形態の銅張積層板200の剥離強度は0.5~4N/mm、好ましくは0.7~4N/mmである。前記剥離強度は、実施例に記載される方法で測定される。具体的には、前記剥離強度は、IPC-TM-650 2.4.9に記載される方法Aに準じ、90°剥離法を利用して測定される。
【0038】
また、本実施形態の銅張積層板200の吸水率は0~0.1%、好ましくは0~0.04%である。前記吸水率は、実施例に記載される方法で測定される。具体的には、前記吸水率は、規格IPC-TM-650 2.6.2.1に準じて、水に浸して重量を計量する方法によって測定される。
【0039】
更に、本実施形態の銅張積層板200の熱膨張係数は15~100ppm/℃、好ましくは18~35ppm/℃である。前記熱膨張係数は、実施例に記載される方法で測定される。
【0040】
本実施形態の銅張積層板200は、一般的な方法で作製される。例えば、本実施形態の銅張積層板200は、誘電体材料の両面に銅箔を重ね合わせ、即ち、誘電体材料100の第1接着層21の、第1コア層10とは反対側の面に第1銅箔31を重ね合わせ、且つ誘電体材料100の第2接着層22の、第1コア層10とは反対側の面に第2銅箔32を重ね合わせた後、一定の温度と圧力にて、真空高温オーブン中に0.5~1hr積層して、本実施形態の可撓性銅張積層板を作製する方法により作製することができる。
【0041】
以上、本発明の可撓性銅張積層板の実施形態の一例を説明したが、本発明は上記の実施形態に限られたものではなく、本発明の要旨から逸脱しない限り、本発明に様々な変形を行うことができる。例えば、本発明の銅張積層板は、第1接着層と第2接着層のいずれか一方のみを備えてもよい。具体的には、図4に示すように、本発明の可撓性銅張積層板200’は、第1銅箔31、第1接着層21、第1コア層10、及び第2銅箔32を順次備える。また、本発明の可撓性銅張積層板200’は、誘電体材料100’の第1接着層21の、第1コア層10とは反対側の面に第1銅箔31を重ね合わせ、且つ誘電体材料100’の第1コア層10の、第1接着層21とは反対側の面に第2銅箔32を重ね合わせた後、一定の温度と圧力にて真空高温オーブン中に積層して得られたものである。
【0042】
本実施形態の銅張積層板200、200’の用途は特に限定されず、例えば、該銅張積層板を使用して印刷回路板(PCB)又はフレキシブル回路板(FPC)などを作製することができる。本発明の銅張積層板を使用して作製された印刷回路板及びフレキシブル回路板は、本発明の銅張積層板を備えたため、小型化を実現することができ、且つ良好な電気性能(例えば、低挿入損失値等)と良好な機械的特性(例えば、高剥離強度等)を兼ねることができる。具体的には、本発明の銅張積層板を使用して作製されたフレキシブル回路板の挿入損失値は、5GHzにおいて1.237~1.318dB/10cmであり、28GHzにおいて2.665~2.986dB/10cmである。本発明の銅張積層板を使用して作製されたフレキシブル回路板の剥離強度は、外層の銅箔と誘電体材料との剥離強度が1.7N/mm以上であり、層間の銅箔と誘電体材料との剥離強度が1.7N/mm以上であり、層間の銅箔と接着層との剥離強度が1.6N/mm以上である。上記フレキシブル回路板の挿入損失値と剥離強度は、本分野でよく用いられた方法により測定される。
【実施例0043】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限られるものではない。
【0044】
(実験1)
実施例1
押出し圧延法によって、60重量%のシリカ(型式:LQ-301G、メーカー:尚▲哲▼国際、形態:球状、粒子径1~15μm)及び40重量%のPTFE(型式:F104、メーカー:ダイキン)からなり、厚さが100μmであるベースシートを作製した。当該シートをコア層として使用して、該コア層の両面にPFA(型式:AD-2CRER、メーカー:ダイキンフッ素化学(中国)有限公司)を含む塗料を塗布した後、150℃にて乾燥して溶剤を除去し、これにより、厚さが10μmの接着層を得た。その後、300~330℃にて高温焼結を行い、厚さが125μmである誘電体材料を得た。次いで、該誘電体材料の両面に、表面粗さRzが0.1μm、厚さが18μmである電解銅箔を重ね合わせた後、300~380℃、1~7MPaにて真空高温オーブン中に1時間積層して、可撓性銅張積層板を得た。
【0045】
実施例2
電解銅箔のRzを0.2μmにすること以外は、実施例1と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0046】
実施例3
電解銅箔のRzを0.4μmにすること以外は、実施例1と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0047】
実施例4
電解銅箔のRzを0.6μmにすること以外は、実施例1と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0048】
実施例5
電解銅箔のRzを0.85μmにすること以外は、実施例1と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0049】
実施例6
電解銅箔のRzを1μmにすること以外は、実施例1と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0050】
実施例7
電解銅箔の厚さを9μmにすること以外は、実施例3と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0051】
実施例8
電解銅箔の厚さを18μmにすること以外は、実施例3と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0052】
実施例9
電解銅箔の厚さを6μmにすること以外は、実施例3と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0053】
実施例10
電解銅箔の厚さを35μmにすること以外は、実施例3と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0054】
上記実施例1~10で作製した可撓性銅張積層板をそれぞれ使用し、下記方法に従って作製した可撓性銅張積層板の誘電体層の厚さ、剥離強度、Dk、Df、線熱膨張係数(CTE)及び吸水率を測定した。また、各実施例中の、押出し圧延法で作製したコア層に対して、下記方法により、コア層のフィルム成形性を評価した。得られた結果は表1に示されている。
【0055】
<可撓性銅張積層板(以下、FCCLと略すこともある)の誘電体層の厚さ>
作製した可撓性銅張積層板に対して、エッチングにより銅箔を除去して測定用サンプルであるFCCL誘電体層を得た。厚さ計(型式:H型2.4N、メーカー:PEACOCK Company)を利用して、測定用サンプルの四隅と、四辺の中央に対して縁から1cm離れた4つの点との8点を取り、この8点の厚さを測定し、その平均値を算出してFCCL誘電体層の厚さとした。
【0056】
<剥離強度>
本発明において、試験規格IPC-TM-650 2.4.9に従って、90°剥離法によって作製した可撓性銅張積層板の剥離強度を測定した。具体的には、作製した可撓性銅張積層板を50×150mmのサンプルに切断し、エッチングにより可撓性銅張積層板の片面に3.2mm×228.6mmの銅線を形成し、インストロンの万能材料試験機(型式:Instron3365、メーカー:Instron Corporation)を使用して、50.8mm/minで90°剥離試験を行って、得られた値を剥離強度とした。
【0057】
<Dk>
本発明において、SPDR試験方法に従って、作製した可撓性銅張積層板のDkを測定した。具体的には、作製した可撓性銅張積層板を50×50mmに切断し、厚さ1mm未満のシート状サンプルを形成し、共振キャビティの治具に置き、Detech PNAネットワークアナライザN5225Bに接続し、10GHzの周波数におけるDk値を測定した。
【0058】
<Df>
本発明において、SPDR試験方法に従って、作製した可撓性銅張積層板のDfを測定した。具体的には、作製した可撓性銅張積層板を50×50mmに切断し、厚さ1mm未満のシート状サンプルを形成し、共振キャビティの治具に置き、Detech PNAネットワークアナライザN5225Bに接続し、10GHzの周波数におけるDf値を測定した。
【0059】
<線熱膨張係数(CTE)>
熱膨張係数は、温度上昇1℃あたりの物体サイズの相対的な変化量を表す。
本発明において、試験規格IPC-TM-650 2.4.41に従い、-55~288℃の温度範囲で、作製した可撓性銅張積層板のX方向とY方向における熱膨張係数を測定した。具体的には、可撓性銅張積層板を6.35mm×6.35mm×0.8mmのサンプルとし、TMA静的熱機械分析法により、作製した可撓性銅張積層板のX方向とY方向における熱膨張係数を測定し、式α=(ΔH/ΔT)/H(式中、Hはサンプルの開始高さを示す、ΔHはΔTの温度範囲でのサンプル高さの変化を示し、ΔTは温度範囲を示す。)によりサンプルのX方向とY方向における熱膨張係数を算出した。
【0060】
また、本発明において、試験規格IPC-TM-650 2.4.24に従い、-55~288℃の温度範囲で、作製した可撓性銅張積層板のZ方向における熱膨張係数を測定し、式α=(Δt/ΔT)/t(式中、tはサンプルの開始厚さを示し、ΔtはΔTの温度範囲でのサンプル厚さの変化を示し、ΔTは温度範囲を示す。)によりサンプルのZ方向における熱膨張係数を算出した。
【0061】
<フィルム成形性>
押出し圧延法で作製したコア層の表面を目視観察した。コア層の表面に明らかなひび割れ、小さなひび割れ、又はざらざらした部分が存在しなければ、「連続的な成膜」と判断し、さもなければ、「連続的な成膜が不可能」と判断し、その結果を下記表に示した。
【0062】
【表1】
【0063】
上記の表1から分かるように、可撓性銅張積層板中の銅箔の表面粗さ及び厚さが本発明の特定の範囲内にあると、低誘電損失、高剥離強度、低吸水率及び低熱膨張係数を兼ねることが可能となる。
【0064】
(実験2)
実施例11
押出し圧延法によって、60重量%のシリカ(型式:W210、メーカー:3M社、形態:角状、粒径1~15μm)及び40重量%のPTFE(型式:F104、メーカー:ダイキン)からなり、厚さが100μmであるベースシートを製造した。当該ベースシートをコア層として使用して、該コア層の両面にPFA(型式:AD-2CRER、メーカー:ダイキンフッ素化学(中国)有限公司)を含む塗料を塗布した後、150℃にて乾燥して溶剤を除去し、これにより、厚さが10μmの接着層を得た。その後、300~330℃にて高温焼結を行い、厚さが125μmである誘電体材料を得た。次いで、誘電体材料の両面に、表面粗さRzが0.1μm、厚さが18μmである電解銅箔を重ね合わせた後、300~380℃、1~7MPaにて真空高温オーブン中に1時間積層して、可撓性銅張積層板を得た。
【0065】
実施例12
無機フィラーとして使用するシリカを略球状のシリカ粒子(型式:LQ-2202G、メーカー:尚▲哲▼国際、形態:略球状、粒径:5~45μm)にする以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0066】
実施例13
無機フィラーとして使用するシリカを球状のチタニア粒子(型式:TQO150HPW、メーカー:尚▲哲▼国際、形態:球状、粒径:10~45μm)にする以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0067】
比較例1
PTFE粉末(型式:F104、メーカー:ダイキン)のみを使用し、直径200mmのプリフォームにプレスした後、380℃で高温焼結を行い、旋削して100μmの膜を形成してコア層とした。それ以外に、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0068】
実施例14
無機フィラーとして使用するシリカの量が30重量%であること以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0069】
実施例15
無機フィラーとして使用するシリカの量を50重量%にする以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0070】
実施例16
無機フィラーとして使用するシリカの量を55重量%にする以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0071】
実施例17
無機フィラーとして使用するシリカの量が70重量%であること以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0072】
実施例18
無機フィラーとして使用するシリカの量を62重量%にする以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0073】
実施例19
無機フィラーとして使用するシリカの量を65重量%にする以外は、実施例11と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0074】
上記実施例11~19及び比較例1でそれぞれ作製した可撓性銅張積層板を用いて、実験1と同様にして、作製した可撓性銅張積層板の誘電体層の厚さ、剥離強度、Dk、Df、線熱膨張係数(CTE)及び吸水率を測定した。また、実験1と同様にして、上記実施例11~19及び比較例1で作製したコア層のフィルム成形性を評価した。得られた結果を表2に示した。
【0075】
【表2】
【0076】
上記表2から分かるように、コア層として、無機フィラーで改質されたフッ素含有樹脂を使用することにより、製造プロセスにおいてフィルム成形性に優れ、これにより作製した銅張積層板は、低誘電損失、高剥離強度、低い吸水率及び低熱膨張係数を兼ねることができる。
【0077】
(実験3)
実施例20
押出し圧延法によって、60重量%のシリカ(型式:LQ-301G、メーカー:尚▲哲▼国際、形態:球状、粒径範囲:1~10μm、D50粒子径:4μm)及び40重量%のPTFE(型式:F104、メーカー:ダイキン)からなり、厚さが100μmであるベースシートを作製した。当該ベースシートをコア層として使用して、このコア層の両面にPFA(型式:AD-2CRER、メーカー:ダイキンフッ素化学(中国)有限公司)を含む塗料を塗布した後、150℃にて乾燥することにより溶剤を除去し、これにより、厚さが10μmの接着層を得た。その後、300~330℃にて高温焼結を行い、厚さが125μmである誘電体材料を得た。次いで、誘電体材料の両面に、表面粗さRzが0.1μm、厚さが18μmである電解銅箔を重ね合わせた後、300~380℃、1~7MPaにて真空高温オーブン中に1時間積層して、可撓性銅張積層板を得た。
【0078】
実施例21
無機フィラーとして使用するシリカの粒子径を変え、具体的には、粒子径範囲が1~20μm、D50粒子径が6μmとなるようにする以外は、実施例20と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0079】
実施例22
無機フィラーとして使用するシリカの粒子径を変え、具体的には、粒子径範囲が1~30μm、D50粒子径が10μmとなるようにする以外は、実施例20と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0080】
実施例23
押出し圧延法によって、60重量%のシリカ(型式:LQ-301G、メーカー:尚▲哲▼国際、形態:球状、粒子径範囲:1~15μm、D50粒子径:6μm)及び40重量%のPTFE(型式:F104、メーカー:ダイキン)からなり、厚さが125μmであるベースシートを作製した。当該ベースシートをコア層として使用して、このコア層の両面にPFA(型式:AD-2CRER、メーカー:ダイキンフッ素化学(中国)有限公司)を含む塗料を塗布した後、150℃にて乾燥して溶剤を除去し、これにより、厚さが10μmの接着層を得た。その後、300~330℃にて高温焼結を行い、厚さが125μmである誘電体材料を得た。次いで、誘電体材料の両面に、表面粗さRzが0.6μm、厚さが12μmである電解銅箔を重ね合わせた後、300~380℃、1~7MPaにて真空高温オーブン中に1時間積層して、可撓性銅張積層板を得た。
【0081】
実施例24
接着層ごとの厚さを20μmにする以外は、実施例23と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0082】
実施例25
接着層ごとの厚さを35μmにする以外は、実施例23と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0083】
実施例26
接着層ごとの厚さを15μmにする以外は、実施例23と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0084】
実施例27
コア層の厚さを50μmにする以外は、実施例26と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0085】
実施例28
コア層の厚さを200μmにする以外は、実施例26と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0086】
実施例29
コア層の厚さを100μmに変え、接着層ごとの厚さを5μmにする以外は、実施例26と同様にして可撓性銅張積層板を作製した。
【0087】
実施例30
押出し圧延法によって、60重量%のシリカ(型式:LQ-301G、メーカー:尚▲哲▼国際、形態:球状、粒子径範囲:1~15μm、D50粒子径:6μm)及び40重量%のPTFE(型式:F104、メーカー:ダイキン)からなり、厚さが125μmであるベースシートを作製した。当該ベースシートをコア層として使用して、このコア層の両面に、FEP(型式:ND-110、メーカー:ダイキン)を含む塗料を塗布した後、150℃にて乾燥して溶剤を除去し、これにより、厚さが10μmの接着層を得た。その後、300℃にて高温焼結を行い、厚さが125μmである誘電体材料を得た。次いで、誘電体材料の両面に、表面粗さRzが0.6μm、厚さが12μmである電解銅箔を重ね合わせた後、300~380℃、1~7MPaにて、真空高温オーブン中に1時間積層して、可撓性銅張積層板を得た。
【0088】
実施例31
メルトキャスティング法によって、60重量%のシリカ(型式:LQ-301G、メーカー:尚▲哲▼国際、形態:球状、粒子径範囲:1~15μm、D50粒子径:6μm)及び40重量%のPFA(型式:AP-210、メーカー:ダイキン)からなり、厚さが125μmであるベースシートを作製した。当該ベースシートをコア層として使用して、このコア層の両面に、PFA(型式:AD-2CRER、メーカー:ダイキンフッ素化学(中国)有限公司)を含む塗料を塗布した後、150℃にて乾燥を行い、溶剤を除去し、これにより、厚さが10μmである接着層を得た。その後、300~330℃にて高温焼結を行い、厚さが125μmである誘電体材料を得た。次いで、誘電体材料の両面に、表面粗さRzが0.6μm、厚さが12μmである電解銅箔を重ね合わせた後、300~380℃、1~7MPaにて、真空高温オーブン中に1時間積層して、可撓性銅張積層板を得た。
【0089】
上記実施例20~31でそれぞれ作製した可撓性銅張積層板を用いて、実験1と同様にして、作製した可撓性銅張積層板の誘電体層の厚さ、剥離強度、Dk、Df、線熱膨張係数(CTE)及び吸水率を測定した。また、実験1と同様にして、上記実施例20~31で作製したコア層のフィルム成形性を評価した。得られた結果を表3に示した。
【0090】
【表3】
【0091】
上記表3から分かるように、本発明の特定のコア層と、特性の接着層を使用することにより、製造プロセスにおいてフィルム成形性に優れ、これにより作製した銅張積層板は、低誘電損失、高剥離強度、低い吸水率及び低熱膨張係数を兼ねることができる。



図1
図2
図3
図4