(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024963
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】発光素子、及びそれを含む電子装置
(51)【国際特許分類】
H10K 50/00 20230101AFI20230214BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20230214BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20230214BHJP
C07D 403/10 20060101ALI20230214BHJP
C07D 491/048 20060101ALI20230214BHJP
C07D 487/04 20060101ALI20230214BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20230214BHJP
C07D 251/24 20060101ALI20230214BHJP
C07D 403/04 20060101ALI20230214BHJP
C07D 471/22 20060101ALI20230214BHJP
C07D 495/04 20060101ALI20230214BHJP
C07D 405/04 20060101ALI20230214BHJP
C07D 413/04 20060101ALI20230214BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
H05B33/14 B
H05B33/22 B
H05B33/12 C
C07D403/10
C07D491/048
C07D487/04 137
C07D471/04 102
C07D251/24
C07D403/04
C07D471/22
C07D495/04 103
C07D405/04
C07D413/04
C07D471/04 112T
C09K11/06 660
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126392
(22)【出願日】2022-08-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0104807
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】朴 興 洙
(72)【発明者】
【氏名】康 南 洙
(72)【発明者】
【氏名】李 松 恩
(72)【発明者】
【氏名】李 鍾 源
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ヒョン▼ 植
(72)【発明者】
【氏名】韓 ▲ウォン▼ 錫
【テーマコード(参考)】
3K107
4C050
4C063
4C065
4C071
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
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4C071LL05
(57)【要約】
【課題】発光素子、及びそれを含む電子装置を提供する。
【解決手段】発光層が、ホスト化合物(H-1)及びドーパント化合物(D)を含み、中間層が、第1電子輸送性化合物(ET-1)を含む第1バッファ層、第2電子輸送性化合物(ET-2)を含む第2バッファ層、及び第3電子輸送性化合物(ET-3)を含む電子輸送層を含み、第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギーの絶対値が、ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さい発光素子である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配され、発光層を含む中間層と、を含む発光素子であり、
前記発光層が、ホスト化合物(H-1)及びドーパント化合物(D)を含み、
前記中間層が、第1電子輸送性化合物(ET-1)を含む第1バッファ層、第2電子輸送性化合物(ET-2)を含む第2バッファ層、及び第3電子輸送性化合物(ET-3)を含む電子輸送層を含み、
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギーの絶対値が、前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さい、発光素子。
【請求項2】
前記第1バッファ層が前記発光層と接触する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
前記第2バッファ層が前記電子輸送層と接触する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項4】
前記第1バッファ層が前記第2バッファ層と接触する、請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギー、及び前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーが、次の数式1を満足する、請求項1に記載の発光素子。
<数式1>
|ELUMO_ET-1-ELUMO_H-1|≦0.20eV
【請求項6】
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギー、及び前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーが次の数式2を満足する、請求項1に記載の発光素子。
<数式2>
|ELUMO_ET-2-ELUMO_ET-3|≧0.20eV
【請求項7】
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギー、及び前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーが次の数式3を満足する、請求項1に記載の発光素子。
<数式3>
|ELUMO_ET-2-ELUMO_ET-1|≦0.20eV
【請求項8】
前記発光層が他のホスト化合物をさらに含み、
前記他のホスト化合物のLUMOエネルギーの絶対値が、前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さいか、あるいはそれと同じである、請求項1に記載の発光素子。
【請求項9】
前記ホスト化合物(H-1)のモル%は、前記発光層の全体のホスト化合物を基準に、90モル%ないし10モル%である、請求項8に記載の発光素子。
【請求項10】
前記第1バッファ層が他の電子輸送性化合物をさらに含み、
前記他の電子輸送性化合物のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値よりも大きいか、あるいはそれと同じである、請求項1に記載の発光素子。
【請求項11】
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のモル%は、前記第1バッファ層の全体の化合物を基準に、90モル%ないし30モル%である、請求項10に記載の発光素子。
【請求項12】
前記第2バッファ層が他の電子輸送性化合物をさらに含み、
前記他の電子輸送性化合物のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値よりも大きいか、あるいはそれと同じである、請求項1に記載の発光素子。
【請求項13】
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のモル%は、前記第2バッファ層の全体化合物を基準に、90モル%ないし30モル%である、請求項12に記載の発光素子。
【請求項14】
前記ドーパント化合物(D)がリン光ドーパント化合物である、請求項1に記載の発光素子。
【請求項15】
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)が下記化合物1-1~1-23のうちから選択される、請求項1に記載の発光素子。
【請求項16】
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)が下記化合物2-1~2-12のうちから選択される、請求項1に記載の発光素子。
【請求項17】
前記ドーパント化合物(D)が、下記化合物G-1ないしG-12のうちから選択された、請求項1に記載の発光素子。
【請求項18】
前記中間層が、m個の発光ユニットと、隣接した前記発光ユニットとの間に介在された(m-1)個の電荷生成ユニットを含み、
前記m個の発光ユニットのうちいずれか1個のユニットが、前記発光層、前記第1バッファ層、前記第2バッファ層及び前記電子輸送層を含む、請求項1に記載の発光素子。
【請求項19】
請求項1ないし18のうちいずれか1項に記載の発光素子を含む、電子装置。
【請求項20】
前記m個の発光ユニットが、1ないし7個の青色発光ユニットを含む、請求項19に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、及びそれを含む電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子(light emitting device)は、自発光型素子であり、従来の素子に比べ、視野角が広く、コントラストにすぐれるだけではなく、応答時間が短く、輝度、駆動電圧及び応答速度の特性にすぐれる。
【0003】
前記発光素子は、基板の上側に第1電極が配されており、前記第1電極の上側に、正孔輸送領域(hole transport region)、発光層、電子輸送領域(electron transport region)及び第2電極が順次に形成されている構造を有することができる。前記第1電極から注入された正孔は、正孔輸送領域を経由して発光層に移動し、第2電極から注入された電子は、電子輸送領域を経由して発光層に移動する。前記正孔及び前記電子といったキャリアは、発光層領域にて再結合して光が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第2019-0123821号公報
【特許文献2】韓国公開特許第2019-0108217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来技術よりも効率及び寿命が向上された素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配され、発光層を含む中間層と、を含む発光素子であり、
前記発光層が、ホスト化合物(H-1)及びドーパント化合物(D)を含み、
前記中間層が、第1電子輸送性化合物(ET-1)を含む第1バッファ層、第2電子輸送性化合物(ET-2)を含む第2バッファ層、及び第3電子輸送性化合物(ET-3)を含む電子輸送層を含み、
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギーの絶対値が、前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さい発光素子が提供される。
【0007】
他の一態様によれば、
前記発光素子を含む電子装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
一具現例による発光素子は、従来技術より効率及び寿命が向上された結果を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一具現例による発光素子の構造を概略的にそれぞれ示した図である。
【
図2】一具現例による発光素子の構造を概略的にそれぞれ示した図である。
【
図3】本発明の一具現例による発光装置の断面図である。
【
図4】本発明の他の具現例による発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来技術のリン光緑色発光層を含む発光素子の場合、電子輸送層から発光層への電子注入が早く、リン光緑色発光層における励起子プロファイルは、正孔輸送領域の側に偏っている。すなわち、該発光層と該正孔輸送領域との界面近辺で励起子が形成される。
【0011】
また、緑色発光層への迅速な電子注入により、狭い再結合ゾーン(narrow recombination zone)が形成されるのであり、そのような狭い再結合ゾーンにおいて、三重項(triplet)が発光に寄与するというよりも、三重項・三重項消滅(TTA:triplet-triplet annihilation)発生により、ロールオフ(roll-off)現象が生じた。
【0012】
一態様による発光素子は、
第1電極と、
前記第1電極に対向する第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に配され、発光層を含む中間層と、を含む発光素子であり、
前記発光層が、ホスト化合物(H-1)及びドーパント化合物(D)を含み、
前記中間層が、第1電子輸送性化合物(ET-1)を含む第1バッファ層、第2電子輸送性化合物(ET-2)を含む第2バッファ層、及び第3電子輸送性化合物(ET-3)を含む電子輸送層を含み、
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMO(lowest unoccupied molecular orbital)エネルギーの絶対値が、前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さい。
【0013】
本発明の一具現例による発光素子において、電子輸送層からの浅い(shallow)LUMOを有する第2バッファ層を介して電子が注入される。その場合、該電子輸送層と該第2バッファ層とのLUMO差によるバリア(barrier)によって電子注入が調節される。
【0014】
ホスト化合物(H-1)と、第1バッファ層の第1電子輸送性化合物(ET-1)とのLUMO差は、小さく、第2バッファ層の第2電子輸送性化合物(ET-2)と、第1バッファ層の第1電子輸送性化合物(ET-1)とのLUMO差も小さく、発光層への電子注入は、円滑である。
【0015】
前記ホスト化合物(H-1)は、例えば、電子輸送性ホスト化合物でありうる。
【0016】
一方、第2バッファ層によって電子注入が調節されることから、発光層における電子と正孔との再結合ゾーン(recombination zone)が、相対的に広く形成されるのであり、該再結合ゾーンが、該発光層と正孔輸送層との界面から、発光層の内側に移動する。
【0017】
また、広い(broad)再結合ゾーンの形成により、発光層内三重項・三重項消滅(TTA)の発生確率が低くなり、ロールオフが改善される。
【0018】
本発明の一具現例によれば、
前記第1電極がアノードであり、前記第2電極がカソード(cathode)であり、
前記第1電極と前記発光層との間に配置され、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、またはその任意の組み合わせを含む正孔輸送領域、及び/または
前記第2電極と前記発光層との間に配され、正孔阻止層、電子注入層、またはその任意の組み合わせを含む電子輸送領域をさらに含むものでありうる。
【0019】
前記電子輸送領域は、前記電子輸送層を含むものでありうる。
【0020】
一具現例によれば、前記第1バッファ層が前記発光層と接触しうる。例えば、前記第1バッファ層は、前記発光層と物理的に直接接触しうる。
【0021】
一具現例によれば、前記第2バッファ層が前記電子輸送層と接触しうる。例えば、前記第2バッファ層は、前記電子輸送層と物理的に直接接触しうる。
【0022】
一具現例によれば、前記第1バッファ層が前記第2バッファ層と接触しうる。例えば、前記第1バッファ層は、前記第2バッファ層と物理的に直接接触しうる。
【0023】
一具現例によれば、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギー、及び前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーが、次の数式1を満足しうる。
【0024】
<数式1>
|ELUMO_ET-1-ELUMO_H-1|≦0.20eV
【0025】
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーと、前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーとの差が0.20eVを超える場合、ホストへの電子注入が相対的に円滑ではなく、発光層における電荷の均衡が最適状態を外れてしまう。
【0026】
一具現例によれば、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーと、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーとが、次の数式3を満足しうる。
【0027】
<数式3>
|ELUMO_ET-2-ELUMO_ET-1|≦0.20eV
【0028】
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーと、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーとの差が0.20eVを超える場合、電子注入方向への電子フローが相対的に円滑ではなく、発光層における電荷均衡が最適状態を外れてしまう。
【0029】
前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギー、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギー、及び前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの関係が、前記数式1,3を満足する場合、発光層への電子注入が相対的に円滑である。その結果、該発光層における電荷均衡が最適状態でありうる。
【0030】
一具現例によれば、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーと、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーとが、次の数式2を満足しうる。
【0031】
<数式2>
|ELUMO_ET-2-ELUMO_ET-3|≧0.20eV
【0032】
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーと、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーとの差が0.20eVに及ばない場合、電子輸送層と第2バッファ層とのLUMO差によるバリア(barrier)が低く、電子注入の調節が困難になる。その結果、発光層の内側の電子と正孔との再結合ゾーンが、発光層と正孔輸送層との界面に移動することになり、正孔輸送層の劣化が、早い時期に生じてしまう。
【0033】
前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーと、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーとの関係が、前記数式2を満足する場合、電子注入の調節が容易である。
【0034】
例えば、前記ホスト化合物(H-1)、例えば、電子輸送性ホスト化合物のLUMOエネルギーは、-2.5eVないし-2.7eVでありうる。
【0035】
例えば、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーは、-2.5eVないし-2.8eVでありうる。
【0036】
例えば、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーは、-2.1eVないし-2.4eVでありうる。
【0037】
例えば、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーは、-2.6eVないし-2.8eVでありうる。
【0038】
一具現例によれば、前記発光層は、単一ホストを含むものでありうるか、あるいは混合されたホストを含むものでありうる。
【0039】
例えば、前記発光層が他のホスト化合物、例えば、正孔輸送性ホスト化合物をさらに含む場合、前記他のホスト化合物のLUMOエネルギーの絶対値は、前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さいか、あるいはそれと同じでありうる。
【0040】
その場合、例えば、前記ホスト化合物(H-1)のモル%は、前記発光層の全体のホスト化合物を基準に、90モル%ないし10モル%でありうる。電子は、ホスト化合物(H-1)のLUMOに流れるために、ホスト化合物(H-1)のモル%が、10モル%以上であることが要求される。
【0041】
一具現例によれば、前記第1バッファ層及び前記第2バッファ層は、それぞれ第1電子輸送性化合物(ET-1)、第2電子輸送性化合物(ET-2)のみを含むものでありうる。あるいは、前記第1バッファ層及び前記第2バッファ層は、互いに独立して、他の輸送性化合物をさらに含むものでありうる。
【0042】
例えば、前記第1バッファ層が他の電子輸送性化合物をさらに含む場合、前記他の電子輸送性化合物のLUMOエネルギーの絶対値は、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値より大きいか、あるいはそれと同じでありうる。すなわち、第1バッファ層において、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)が最も浅いLUMOを有する。該第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOに電子が流れる。
【0043】
その場合、例えば、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のモル%は、前記第1バッファ層の全体化合物を基準に、90モル%ないし30モル%でありうる。電子は、第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOに流れるために、第1電子輸送性化合物(ET-1)のモル%が、30モル%以上であることが要求される。
【0044】
例えば、前記第2バッファ層が他の電子輸送性化合物をさらに含む場合、前記他の電子輸送性化合物のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値より大きいか、あるいはそれと同じでありうる。すなわち、第2バッファ層において、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)が最も浅いLUMOを有する。該第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOに電子が流れる。
【0045】
その場合、例えば、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のモル%は、前記第2バッファ層の全体の化合物を基準に、90モル%ないし30モル%でありうる。電子は、第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOに流れるために、第2電子輸送性化合物(ET-2)のモル%が、30モル%以上であることが要求される。
【0046】
一具現例によれば、前記ドーパント化合物(D)が、リン光ドーパント化合物でありうる。ドーパントに係わる、さらに具体的な内容は、後述する。
【0047】
一具現例によれば、前記発光層は、緑色発光層または赤色発光層でありうる。
【0048】
一具現例によれば、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)及び第2電子輸送性化合物(ET-2)が、互いに独立して、下記化学式312-1ないし312-4、及び313のうちの、いずれか一つで表される化合物でありうる。
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
前記化学式312-1ないし312-4,313及び313Aで、
X321ないしX328は、互いに独立して、NまたはC[(L324)xb24-R324](N[(L324)xb24-R324]またはC[(L324)xb24-R324])であり、
Y321は、*-O-*’、*-S-*’、*-N[(L325)xb25-R325]-*’、*-C[(L325)xb25-R325][(L326)xb26-R326]-*’、*-C[(L325)xb25-R325]=C[(L326)xb26-R326]-*’、*-C[(L325)xb25-R325]=N-*’または*-N=C[(L326)xb26-R326]-*’であり、
【0056】
k21は、0、1または2であり、k21が0である場合、Y321が存在せず、
xb21ないしxb26は、互いに独立して、0、1、2、3、4または5であり、
A31、A32及びA34は、互いに独立して、C3-C60の炭素環基またはC1-C30のヘテロ環基であり、
【0057】
A33は、前記化学式313Aで表される基であり、
X31は、N[(L335)xb35-(R335)]、O、S、Se、C[(L335)xb35-(R335)][(L336)xb36-(R336)]またはSi[(L335)xb35-(R335)][(L336)xb36-(R336)]であり、
【0058】
xb31ないしxb36は、互いに独立して、0、1、2、3、4または5であり、
xb42ないしxb44は、互いに独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10であり、
【0059】
L321ないしL326、及びL331ないしL336は、互いに独立して、単結合、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C20のアルキレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C20のアルケニレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C20のアルキニレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C10のシクロアルキレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C10のヘテロシクロアルキレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C10のシクロアルケニレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C10のヘテロシクロアルケニレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC6-C60のアリーレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロアリーレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換の二価の非芳香族縮合多環基(non-aromatic condensed polycyclic group)、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換の二価の非芳香族ヘテロ縮合多環基(non-aromatic condensed heteropolycyclic group)であり、
【0060】
R321ないしR326、及びR331ないしR336は、互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のアルキル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC2-C60のアルケニル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC2-C60のアルキニル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のアルコキシ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C10のシクロアルキル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C10のヘテロシクロアルキル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C10のシクロアルケニル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C10のヘテロシクロアルケニル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC6-C60のアリール基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC6-C60のアリールオキシ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC6-C60のアリールチオ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロアリール基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロアリールオキシ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロアリールチオ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換の一価非芳香族縮合多環基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換の一価非芳香族ヘテロ縮合多環基、
-Si(Q1)(Q2)(Q3)、-B(Q1)(Q2)、-N(Q1)(Q2)、-P(Q1)(Q2)、-C(=O)(Q1)、-S(=O)(Q1)、-S(=O)2(Q1)、-P(=O)(Q1)(Q2)、または、-P(=S)(Q1)(Q2)であり、
【0061】
R321ないしR324のうちの、隣接する2つ以上の置換基は、任意選択的に(optionally)互いに結合することで、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60の炭素環基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロ環基を形成することができ、
【0062】
前記R10aは、
重水素(-D)、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基またはニトロ基;
【0063】
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C3-C60の炭素環基、C1-C60のヘテロ環基、C6-C60のアリールオキシ基、C6-C60のアリールチオ基、C7-C60のアリールアルキル基、C2-C60のヘテロアリールアルキル基、-Si(Q11)(Q12)(Q13)、-N(Q11)(Q12)、-B(Q11)(Q12)、-C(=O)(Q11)、-S(=O)2(Q11)、-P(=O)(Q11)(Q12)、または、これらの任意の組み合わせでされたか、置換もしくは非置換の、C1-C60のアルキル基、C2-C60のアルケニル基、C2-C60のアルキニル基またはC1-C60のアルコキシ基;
【0064】
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C1-C60のアルキル基、C2-C60のアルケニル基、C2-C60のアルキニル基、C1-C60のアルコキシ基、C3-C60の炭素環基、C1-C60のヘテロ環基、C6-C60のアリールオキシ基、C6-C60のアリールチオ基、C7-C60のアリールアルキル基、C2-C60のヘテロアリールアルキル基、-Si(Q21)(Q22)(Q23)、-N(Q21)(Q22)、-B(Q21)(Q22)、-C(=O)(Q21)、-S(=O)2(Q21)、-P(=O)(Q21)(Q22)、または、これらの任意の組み合わせで置換されたか、もしくは非置換の、C3-C60の炭素環基、C1-C60のヘテロ環基、C6-C60のアリールオキシ基、C6-C60のアリールチオ基、C7-C60のアリールアルキル基、またはC2-C60のヘテロアリールアルキル基;あるいは、
【0065】
-Si(Q31)(Q32)(Q33)、-N(Q31)(Q32)、-B(Q31)(Q32)、-C(=O)(Q31)、-S(=O)2(Q31)または-P(=O)(Q31)(Q32);であり、
【0066】
Q1ないしQ3、Q11ないしQ13、Q21ないしQ23、Q31ないしQ33は、互いに独立して、
水素;重水素;-F;-Cl;-Br;-I;ヒドロキシル基;シアノ基;ニトロ基;C1-C60のアルキル基;C2-C60のアルケニル基;C2-C60のアルキニル基;C1-C60のアルコキシ基;あるいは、
重水素、-F、シアノ基、C1-C60アルキル基、C1-C60アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、またはその任意の組み合わせで置換されたか、もしくは非置換の、C3-C60の炭素環基、C1-C60のヘテロ環基、C7-C60のアリールアルキル基、またはC2-C60のヘテロアリールアルキル基である。
【0067】
一具現例によれば、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)が下記化合物のうちから選択されうる。
【0068】
【0069】
【0070】
一具現例によれば、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)が下記化合物のうちから選択されうる。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
一具現例によれば、前記ドーパント化合物(D)は、最大発光波長が490nmないし580nmでありうる。例えば、前記ドーパント化合物(D)は、最大発光波長が510nmないし545nmでありうる。
【0075】
一具現例によれば、前記中間層が、m個の発光ユニットと、隣接した前記発光ユニットとの間に介在された(m-1)個の電荷生成ユニットを含み、
前記m個の発光ユニットのうちの、いずれか1個のユニットが、前記発光層、前記第1バッファ層、前記第2バッファ層及び前記電子輸送層を含むものでありうる。
【0076】
前記発光素子は、前記m個の発光ユニットのうちの隣接した発光ユニット同士の間に介在された(m-1)個の電荷生成ユニットを含む。
【0077】
図2を参照すれば、中間層が、m個の発光ユニット145(1),…,145(m-1),145(m)と、隣接した前記発光ユニットとの間に介在された(m-1)個の電荷生成ユニット(図示せず)と、を含み、前記m個の発光ユニットのうちいずれか一つが、前記発光層、前記第1バッファ層、前記第2バッファ層及び前記電子輸送層を含む発光素子を含むものでありうる。
【0078】
例えば、mが2である場合、第1電極、第1発光ユニット、第1電荷生成ユニット及び第2発光ユニットが、この順に配置されうる。このように配置されるとき、前記第1発光ユニットは、第1色光を放出し、前記第2発光ユニットは、第2色光を放出するのであって、前記第1色光の最大発光波長と、前記第2色光の最大発光波長とが、互いに、同一であるか、あるいは異なるのでありうる。ここで、該第1発光ユニット及び該第2発光ユニットのうちの、いずれか1個のユニットは、前記発光層、前記第1バッファ層、前記第2バッファ層及び前記電子輸送層を含む。
【0079】
他の例として、mが3である場合、第1電極、第1発光ユニット、第1電荷生成ユニット、第2発光ユニット、第2電荷生成ユニット及び第3発光ユニットが、この順に配置されうる。このように配置されるとき、前記第1発光ユニットは、第1色光を放出し、前記第2発光ユニットは、第2色光を放出し、前記第3発光ユニットは、第3色光を放出するのであって、前記第1色光の最大発光波長、前記第2色光の最大発光波長、及び前記第3色光の最大発光波長が、互いに、同一であるか、あるいは異なるのでありうる。ここで、該第1発光ユニット、該第2発光ユニット及び該第3発光ユニットのうちの1個以上のユニットは、前記発光層、前記第1バッファ層、前記第2バッファ層及び前記電子輸送層を含むものでありうる。
【0080】
他の例として、mが4である場合、第1電極、第1発光ユニット、第1電荷生成ユニット、第2発光ユニット、第2電荷生成ユニット、第3発光ユニット、第3電荷生成ユニット及び第4発光ユニットが順に配されうる。このように配置されるとき、前記第1発光ユニットは、第1色光を放出し、前記第2発光ユニットは、第2色光を放出し、前記第3発光ユニットは、第3色光を放出し、前記第4発光ユニットは、第4色光を放出するのであって、前記第1色光の最大発光波長、前記第2色光の最大発光波長、前記第3色光の最大発光波長と、前記第4色光の最大発光波長とが、互いに同一でありうるのであり、あるいは異なるのでありうる。
【0081】
ここで、該第1発光ユニット、該第2発光ユニット、該第3発光ユニット及び該第4発光ユニットのうち1個以上のユニットは、前記発光層、前記第1バッファ層、前記第2バッファ層及び前記電子輸送層を含むものでありうる。
【0082】
mが5ないし7である場合も、同等に適用される。
【0083】
例えば、mが4以上である場合、
1個以上の発光ユニットは、発光層が、ホスト化合物(H-1)及びドーパント化合物(D)を含み、中間層が、第1電子輸送性化合物(ET-1)を含む第1バッファ層、第2電子輸送性化合物(ET-2)を含む第2バッファ層、及び第3電子輸送性化合物(T-3)を含む電子輸送層を含み、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記ホスト化合物(H-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第3電子輸送性化合物(ET-3)のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、前記第2電子輸送性化合物(ET-2)のLUMOエネルギーの絶対値が、前記第1電子輸送性化合物(ET-1)のLUMOエネルギーの絶対値より小さい発光素子でありうるのであり、
残りの3個以上の発光ユニットは、青色発光層を含む発光素子でありうる。
【0084】
一具現例によれば、前記m個の発光ユニットのうちの少なくとも1つの発光ユニットから放出される最大発光波長は、残りの発光ユニットのうちの少なくとも1つの発光ユニットから放出される光の最大発光波長と異なりうる。
【0085】
図2を参照し、前記m個の発光ユニットのうち、第1電極にm番目に近い発光ユニットを、第m発光ユニット(ELU(m))と称することができる。
【0086】
前記m個の発光ユニットのうち、前記第1電極に最も近い発光ユニットは、第1発光ユニット(ELU(1))と呼び、前記第1電極に最も遠い発光ユニットは、第m発光ユニット(ELU(m))と呼ぶのであり、前記第1発光ユニット(ELU(1))ないし前記第m発光ユニット(ELU(m))は、この順に配置される。すなわち、前記第1電極(ELU(1))と前記第m発光ユニット(ELU(m))との間には、第(m-1)発光ユニット(ELU(m-1)が介在される。
【0087】
前記電荷生成ユニットのうちの少なくとも一つが、n型電荷生成層(n-CGL)、p型電荷生成層(p-CGL)及び/または正孔輸送領域を含むものでありうる。
【0088】
前記正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0089】
一具現例として、前記(m-1)個の電荷生成ユニットのうち、第1電極に(m-1)番目に近い電荷生成ユニットを、第(m-1)電荷生成ユニットと称することができる。
【0090】
一具現例によれば、前記第(m-1)電荷生成ユニット(CGU(m-1))は、第(m-1)n型電荷生成層、第(m-1)p型電荷生成層及び/または第(m-1)正孔輸送領域を含むものでありうる。
【0091】
例えば、前記第(m-1)電荷生成ユニット(CGU(m-1))において、前記第(m-1)n型電荷生成層(nCGL(m-1))、第(m-1)p型電荷生成層(pCGL(m-1))及び第(m-1)正孔輸送領域が、この順に積層されうる。
【0092】
一具現例によれば、前記第(m-1)p型電荷生成層(pCGL(m-1))は、前記第(m-1)n型電荷輸送層(nCGL(m-1))及び前記正孔輸送領域と、直接に接することができる。
【0093】
さらに他の態様によれば、前述のような発光素子を含む電子装置が提供される。前記電子装置は、薄膜トランジスタをさらに含むものでありうる。例えば、前記電子装置は、ソース電極及びドレイン電極を含む薄膜トランジスタをさらに含み、前記発光素子の第1電極は、前記ソース電極または前記ドレイン電極と電気的に連結されうる。
【0094】
なお、前記電子装置は、カラーフィルタ、色変換層、タッチスクリーン層、偏光層、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含むものでありうる。前記電子装置に係わるさらに詳細な説明は、本明細書に記載されたところを参照する。
【0095】
本明細書において「中間層」は、前記発光素子において、第1電極と第2電極との間に配置された単一及び/または複数の全ての層を示す用語である。
【0096】
[
図1に係わる説明]
図1は、本発明の一具現例による発光素子10の断面図を概略的に図示したものである。前記発光素子10は、第1電極110、中間層130及び第2電極150を含む。
【0097】
以下、
図1を参照し、本発明の一具現例による発光素子10の構造及び製造方法について説明すれば、次の通りである。
【0098】
[第1電極110]
図1の第1電極110の下側、または第2電極150の上側には、基板が追加して配置されうる。前記基板として、ガラス基板またはプラスチック基板を使用することができる。または、前記基板は、可撓性基板でありうるのであり、例えば、ポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylene naphtalate)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、またはこれらの任意の組み合わせといった、耐熱性及び耐久性にすぐれるプラスチックを含むものでありうる。
【0099】
前記第1電極110は、例えば、前記基板の上側に、第1電極用物質を、蒸着法またはスパッタリング法などを利用して提供することによって形成されうる。前記第1電極110がアノードである場合、第1電極用の物質として、正孔注入が容易である高仕事関数物質を利用することができる。
【0100】
前記第1電極110は、反射型電極、半透過型電極または透過型電極でありうる。該透過型電極である第1電極110を形成するために、第1電極用物質として、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、またはその任意の組み合わせを利用することができる。または、該半透過型電極または該反射型電極である第1電極110を形成するために、第1電極用の物質として、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウム・リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム・インジウム(Mg-In)、マグネシウム・銀(Mg-Ag)、またはこれらの任意の組み合わせを利用することができる。
【0101】
前記第1電極110は、単一層からなる単層構造、または複数の層を含む多層構造を有することができる。例えば、前記第1電極110は、ITO/Ag/ITOの3層構造を有することができる。
【0102】
[中間層130]
前記第1電極110の上部には、中間層130が配置されている。前記中間層130は、発光層を含む。
【0103】
前記中間層130は、前記第1電極110と前記発光層との間に配置された正孔輸送領域(hole transport region)、及び、前記発光層と前記第2電極150との間に配置された電子輸送領域(electron transport region)を、さらに含むものでありうる。
【0104】
前記中間層130は、各種有機物以外に、有機金属化合物のような金属含有化合物、量子点のような無機物もさらに含むものでありうる。
【0105】
一方、前記中間層130は、i)前記第1電極110と前記第2電極150との間に順次に積層されている2以上の発光層、及びii)前記2個の発光層の間に配置された電荷生成層を含むものでありうる。前記中間層130が、前述のような発光層及び電荷生成層を含む場合、前記発光素子10は、タンデム(tandem)発光素子でありうる。
【0106】
[中間層130における正孔輸送領域]
前記正孔輸送領域は、i)単一物質からなる単一層からなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質を含む単一層からなる単層構造、またはiii)複数の互いに異なる物質を含む複数の層を含む多層構造を有することができる。
【0107】
前記正孔輸送領域は、正孔注入層、正孔輸送層、発光補助層、電子阻止層、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0108】
例えば、前記正孔輸送領域は、第1電極110から順に積層された正孔注入層/正孔輸送層、正孔注入層/正孔輸送層/発光補助層、正孔注入層/発光補助層、正孔輸送層/発光補助層、または正孔注入層/正孔輸送層/電子阻止層の多層構造を有することができる。
【0109】
例えば、前記正孔輸送領域は、第1電極110から順に積層された正孔輸送層/発光補助層、または正孔輸送層/電子阻止層の多層構造を有することができる。
【0110】
前記正孔輸送領域は、下記化学式201で表される化合物、下記化学式202で表される化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0111】
【0112】
【0113】
前記化学式201及び202にて、
L201ないしL204は、互いに独立して、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60の炭素環基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロ環基であり、
【0114】
L205は、*-O-*’、*-S-*’、*-N(Q201)-*’、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C20のアルキレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC2-C20のアルケニレン基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60の炭素環基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロ環基であり、
【0115】
xa1ないしxa4は、互いに独立して、0ないし5の整数のうち一つであり、
xa5は、1ないし10の整数のうち一つであり、
R201ないしR204、及びQ201は、互いに独立して、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60の炭素環基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60のヘテロ環基であり、
【0116】
R201とR202は、任意選択的に、単一結合、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C5のアルキレン基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC2-C5のアルケニレン基を介して互いに連結されることで、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC8-C60の多環基(例えば、カルバゾール基など)を形成することができ(例えば、下記化合物HT16を参照する)、
【0117】
R203とR204は、任意選択的に、単一結合、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C5のアルキレン基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC2-C5のアルケニレン基を介して互いに連結されることで、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC8-C60の多環基を形成することができ、
【0118】
na1は、1ないし4の整数のうちの一つでありうる。
【0119】
例えば、前記化学式201及び202のそれぞれは、下記化学式CY201ないしCY217で表された基のうちの少なくとも一つを含むものでありうる。
【0120】
【0121】
前記化学式CY201ないしCY217にて、R10b及びR10cに係わる説明は、それぞれ本明細書において、R10aに係わる説明を参照し、環CY201ないし環CY204は、互いに独立して、C3-C20炭素環基またはC1-C20ヘテロ環基であり、前記化学式CY201ないしCY217において、少なくとも1つの水素は、本明細書に記載されたようなR10aで置換されるか、または非置換でありうる。
【0122】
一具現例によれば、前記化学式CY201ないしCY217において、環CY201ないし環CY204は、互いに独立して、ベンゼン基、ナフタレン基、フェナントレン基またはアントラセン基でありうる。
【0123】
他の具現例によれば、前記化学式201及び202のそれぞれは、前記化学式CY201ないしCY203で表された基のうち少なくとも一つを含むものでありうる。
【0124】
さらに他の他の具現例によれば、前記化学式201は、前記化学式CY201ないしCY203で表された基のうち少なくとも一つ、及び前記化学式CY204ないしCY217で表された基のうち少なくとも一つをそれぞれ含むものでありうる。
【0125】
さらに他の具現例によれば、前記化学式201でxa1は、1であり、R201は、前記化学式CY201ないしCY203のうちの一つで表された基であり、xa2は、0であり、R202は、前記化学式CY204ないしCY207のうち一つで表された基でありうる。
【0126】
さらに他の具現例によれば、前記化学式201及び202のそれぞれは、前記化学式CY201ないしCY203で表された基を含まないものでありうる。
【0127】
さらに他の、他の具現例によれば、前記化学式201及び202のそれぞれは、前記化学式CY201ないしCY203で表された基を含まず、前記化学式CY204ないしCY217で表された基のうち少なくとも一つを含むものでありうる。
【0128】
さらに他の例として、前記化学式201及び202のそれぞれは、前記化学式CY201ないしCY217で表された基を含まないものでありうる。
【0129】
例えば、前記正孔輸送領域は、下記化合物HT1ないしHT46のうちの一つ、m-MTDATA、TDATA、2-TNATA、NPB(NPD)、β-NPB、TPD、spiro-TPD、spiro-NPB、メチル化された-NPB、TAPC、HMTPD、4,4’,4”-トリス(N-カルバゾリル)トリフェニルアミン)(TCTA)、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸)(Pani/DBSA)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、ポリアニリン/ポリ(4-スチレンスルホネート)(PANI/PSS)、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0130】
【0131】
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
前記正孔輸送領域の厚みは、約50Åないし約10,000Å、例えば、約100Åないし約4,000Åでありうる。前記正孔輸送領域が、正孔輸送層、電子阻止層、またはこれらの任意の組み合わせを含む場合、前記正孔輸送層の厚みは、約50Åないし約2,000Å、例えば、約100Åないし約1,500Åでありうる。前記正孔輸送領域及び前記正孔輸送層の厚みが、前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の上昇なしに、満足すべき正孔輸送特性を得ることができる。
【0141】
前記発光補助層は、発光層によって放出される光の波長による光学的な共振距離を補償し、光放出効率を上昇させる役割を行う層であり、前記電子阻止層は、発光層から正孔輸送領域への電子の流出を防止する役割を行う層である。前述の正孔輸送領域に含まれうる物質が、該発光補助層及び該電子阻止層に含まれうる。
【0142】
[p-ドーパント]
前記正孔輸送領域は、前述のような物質以外に、導電性向上のために、電荷生成物質を含むものでありうる。前記電荷生成物質は、前記正孔輸送領域内に、均一にまたは不均一に分散されているのでありうる(例えば、電荷生成物質からなる単一層形態でありうる)。
【0143】
前記電荷生成物質は、例えば、p-ドーパントでありうる。
【0144】
例えば、前記p-ドーパントのLUMOエネルギーレベルは、-3.5eV以下でありうる。
【0145】
一具現例によれば、前記p-ドーパントは、キノン誘導体、シアノ基含有化合物、元素EL1含有化合物及び元素EL2含有化合物、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0146】
前記キノン誘導体の例は、TCNQ、F4-TCNQを含むものでありうる。
【0147】
前記シアノ基含有化合物の例は、HAT-CN、下記化学式221で表された化合物を含むものでありうる。
【0148】
【0149】
【0150】
前記化学式221にて、
R221ないしR223は、互いに独立して、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60炭素環基、または少なくとも1つのR10aでされたか、置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
【0151】
前記R221ないしR223のうちの少なくとも一つは、互いに独立して、
シアノ基;-F;-Cl;-Br;-I;
シアノ基、-F、-Cl、-Br、-I、またはこれらの任意の組み合わせで置換されたC1-C20アルキル基;あるいは、これらの任意の組み合わせ;
でもって置換された、C3-C60炭素環基またはC1-C60ヘテロ環基でありうる。
【0152】
前記元素EL1含有化合物及び前記元素EL2含有化合物において、元素EL1は、金属、半金属、またはその組み合わせであり、元素EL2は、非金属、半金属、またはその組み合わせでありうる。
【0153】
前記金属の例は、アルカリ金属(例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)など);アルカリ土類金属(例えば、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)など);遷移金属(例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、テクネチウム(Tc)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)など);ポスト遷移金属(例えば、亜鉛(Zn)、インジウム(In)、スズ(Sn)など);ランタニド金属(例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)など);などを含むものでありうる。
【0154】
前記半金属の例は、シリコン(Si)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)などを含むものでありうる。
【0155】
前記非金属の例は、酸素(O)、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、Iなど)などを含むものでありうる。
【0156】
例えば、前記元素EL1含有化合物及び前記元素EL2含有化合物は、金属酸化物、金属ハロゲン化物(例えば、金属フッ化物、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物など)、半金属ハロゲン化物(例えば、半金属フッ化物、半金属塩化物、半金属臭化物、半金属ヨウ化物など)、金属テルリド、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0157】
前記金属酸化物の例は、タングステン酸化物(例えば、WO、W2O3、WO2、WO3、W2O5)、バナジウム酸化物(例えば、VO、V2O3、VO2、V2O5)、モリブデン酸化物(MoO、Mo2O3、MoO2、MoO3、Mo2O5)、レニウム酸化物(例えば、ReO3)などを含むものでありうる。
【0158】
前記金属ハロゲン化物の例は、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、遷移金属ハロゲン化物、ポスト遷移金属ハロゲン化物、ランタニド金属ハロゲン化物などを含むものでありうる。
【0159】
前記アルカリ金属ハロゲン化物の例は、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、LiBr、NaBr、KBr、RbBr、CsBr、LiI、NaI、KI、RbI、CsIなどを含むものでありうる。
【0160】
前記アルカリ土類金属ハロゲン化物の例は、BeF2、MgF2、CaF2、SrF2、BaF2、BeCl2、MgCl2、CaCl2、SrCl2、BaCl2、BeBr2、MgBr2、CaBr2、SrBr2、BaBr2、BeI2、MgI2、CaI2、SrI2、BaI2などを含むものでありうる。
【0161】
前記遷移金属ハロゲン化物の例は、チタンハロゲン化物(例えば、TiF4、TiCl4、TiBr4、TiI4)、ジルコニウムハロゲン化物(例えば、ZrF4、ZrCl4、ZrBr4、ZrI4)、ハフニウムハロゲン化物(例えば、HfF4、HfCl4、HfBr4、HfI4)、バナジウムハロゲン化物(例えば、VF3、VCl3、VBr3、VI3)、ニオブハロゲン化物(例えば、NbF3、NbCl3、NbBr3、NbI3)、タンタルハロゲン化物(例えば、TaF3、TaCl3、TaBr3、TaI3)、クロムハロゲン化物(例えば、CrF3、CrCl3、CrBr3、CrI3)、モリブデンハロゲン化物(例えば、MoF3、MoCl3、MoBr3、MoI3)、タングステンハロゲン化物(例えば、WF3、WCl3、WBr3、WI3)、マンガンハロゲン化物(例えば、MnF2、MnCl2、MnBr2、MnI2)、テクネチウムハロゲン化物(例えば、TcF2、TcCl2、TcBr2、TcI2)、レニウムハロゲン化物(例えば、ReF2、ReCl2、ReBr2、ReI2)、鉄ハロゲン化物(例えば、FeF2、FeCl2、FeBr2、FeI2)、ルテニウムハロゲン化物(例えば、RuF2、RuCl2、RuBr2、RuI2)、オスミウムハロゲン化物(例えば、OsF2、OsCl2、OsBr2、OsI2)、コバルトハロゲン化物(例えば、CoF2、CoCl2、CoBr2、CoI2)、ロジウムハロゲン化物(例えば、RhF2、RhCl2、RhBr2、RhI2)、イリジウムハロゲン化物(例えば、IrF2、IrCl2、IrBr2、IrI2)、ニッケルハロゲン化物(例えば、NiF2、NiCl2、NiBr2、NiI2)、パラジウムハロゲン化物(例えば、PdF2、PdCl2、PdBr2、PdI2)、白金ハロゲン化物(例えば、PtF2、PtCl2、PtBr2、PtI2)、銅ハロゲン化物(例えば、CuF、CuCl、CuBr、CuI)、銀ハロゲン化物(例えば、AgF、AgCl、AgBr、AgI)、金ハロゲン化物(例えば、AuF、AuCl、AuBr、AuI)などを含むものでありうる。
【0162】
前記ポスト遷移金属ハロゲン化物の例は、亜鉛ハロゲン化物(例えば、ZnF2、ZnCl2、ZnBr2、ZnI2)、インジウムハロゲン化物(例えば、InI3)、スズハロゲン化物(例えば、SnI2)などを含むものでありうる。
【0163】
前記ランタニド金属ハロゲン化物の例は、YbF、YbF2、YbF3、SmF3、YbCl、YbCl2、YbCl3、SmCl3、YbBr、YbBr2、YbBr3、SmBr3、YbI、YbI2、YbI3、SmI3などを含むものでありうる。
【0164】
前記半金属ハロゲン化物の例は、アンチモンハロゲン化物(例えば、SbCl5)などを含むものでありうる。
【0165】
前記金属テルリドの例は、アルカリ金属テルリド(例えば、Li2Te、Na2Te、K2Te、Rb2Te、Cs2Teなど)、アルカリ土類金属テルリド(例えば、BeTe、MgTe、CaTe、SrTe、BaTeなど)、遷移金属テルリド(例えば、TiTe2、ZrTe2、HfTe2、V2Te3、Nb2Te3、Ta2Te3、Cr2Te3、Mo2Te3、W2Te3、MnTe、TcTe、ReTe、FeTe、RuTe、OsTe、CoTe、RhTe、IrTe、NiTe、PdTe、PtTe、Cu2Te、CuTe、Ag2Te、AgTe、Au2Te)、ポスト遷移金属テルリド(例えば、ZnTe)、ランタニド金属テルリド(例えば、LaTe、CeTe、PrTe、NdTe、PmTe、EuTe、GdTe、TbTe、DyTe、HoTe、ErTe、TmTe、YbTe、LuTe)などを含むものでありうる。
【0166】
[中間層130における発光層]
前記発光素子10がフルカラー発光素子である場合、発光層は、個別副画素別に、赤色発光層、緑色発光層及び/または青色発光層にもパターニングされる。または、前記発光層は、赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層のうちの2つ以上の層が、接触または離隔されて積層された構造を有するか、あるいは赤色光放出物質、緑色光放出物質及び青色光放出物質のうちの2つ以上の物質が、層の区分なしに混合された構造を有し、白色光を放出することができる。
【0167】
前記発光層は、ホスト及びドーパントを含むものでありうる。前記ホスト及び前記ドーパントは、前述のホスト及びドーパントの内容を参照しうる。
【0168】
前記発光層においてドーパントの含量は、ホスト100重量部につき、約0.01ないし約15重量部でありうる。
【0169】
前記発光層の厚みは、約100Åないし約1,000Å、例えば、約200Åないし約600Åでありうる。前記発光層の厚みが、前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧上昇なしに、優れた発光特性を示すことができる。
【0170】
[ホスト]
前記ホストは、下記化学式301で表される化合物を含むものでありうる。
【0171】
<化学式301>
[Ar301]xb11-[(L301)xb1-R301]xb21
【0172】
前記化学式301にて、
Ar301及びL301は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、または少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
【0173】
xb11は、1、2または3であり、
xb1は、0ないし5の整数のうち一つであり、
【0174】
R301は、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60アルキル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC2-C60アルケニル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC2-C60アルキニル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60アルコキシ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60炭素環基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基、
-Si(Q301)(Q302)(Q303)、-N(Q301)(Q302)、-B(Q301)(Q302)、-C(=O)(Q301)、-S(=O)2(Q301)、または-P(=O)(Q301)(Q302)であり、
【0175】
xb21は、1ないし5の整数のうちの一つであり、
Q301ないしQ303に係わる説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係わる説明を参照する。
【0176】
例えば、前記化学式301で、xb11が2以上である場合、2以上のAr301は、単結合を介して互いに連結されうる。
【0177】
他の例として、前記ホストは、下記化学式301-1で表された化合物、下記化学式301-2で表された化合物、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0178】
【0179】
【0180】
前記化学式301-1ないし301-2にて、
環A301ないし環A304は、互いに独立して、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60炭素環基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
【0181】
X301は、O、S、N-[(L304)xb4-R304]、C(R304)(R305)またはSi(R304)(R305)であり、
xb22及びxb23は、互いに独立して、0、1または2であり、
【0182】
L301、xb1及びR301に係わる説明は、それぞれ本明細書に記載されたところを参照し、
L302ないしL304に係わる説明は、互いに独立して、前記L301に係わる説明を参照し、
xb2ないしxb4に係わる説明は、互いに独立して、前記xb1に係わる説明を参照し、
R302ないしR305、及びR311ないしR314に係わる説明は、それぞれ前記R301に係わる説明を参照する。
【0183】
さらに他の例として、前記ホストは、アルカリ土類金属錯体、ポスト遷移金属錯体、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。例えば、前記ホストは、Be錯体(例えば、下記化合物H55)、Mg錯体、Zn錯体、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0184】
さらに他の例として、前記ホストは、下記化合物H1ないしH124のうちの一つ、9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン(ADN)、2-メチル-9,10-ビス(ナフタレン-2-イル)アントラセン(MADN)、9,10-ジ-(2-ナフチル)-2-t-ブチル-アントラセン(TBADN)、4,4’-ビス(N-カルバゾリル)-1,1’-ビフェニル(CBP)、1,3-ジ-9-カルバゾリルベンゼン(mCP)、1,3,5-トリ(カルバゾール-9-イル)ベンゼン(TCP)、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる:
【0185】
【0186】
【0187】
【0188】
【0189】
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
[リン光ドーパント]
前記リン光ドーパントは、中心金属として、少なくとも1つの遷移金属を含むものでありうる。
【0200】
前記リン光ドーパントは、一座(monodenate)リガンド、二座リガンド、三座リガンド、四座リガンド、五座リガンド、六座リガンド、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0201】
前記リン光ドーパントは、電気的に中性(neutral)でありうる。
【0202】
例えば、前記リン光ドーパントは、下記化学式401で表される有機金属化合物を含むものでありうる:
【0203】
<化学式401>
M(L401)xc1(L402)xc2
【0204】
【0205】
前記化学式401及び402にて、
Mは、遷移金属(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、チタン(Ti)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ロジウム(Rh)、レニウム(Re、またはツリウム(Tm))であり、
【0206】
L401は、前記化学式402で表されるリガンドであり、xc1は、1、2または3であり、xc1が2以上である場合、2つ以上のL401は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
L402は、有機リガンドであり、xc2は、0、1、2、3または4であり、xc2が2以上である場合、2つ以上のL402は、互いに同一であるか、あるいは異なっており、
【0207】
X401及びX402は、互いに独立して、窒素または炭素であり、
環A401及び環A402は、互いに独立して、C3-C60炭素環基、またはC1-C60ヘテロ環基であり、
【0208】
T401は、単結合、-O-、-S-、-C(=O)-、-N(Q411)-、-C(Q411)(Q412)-、-C(Q411)=C(Q412)-、-C(Q411)=または=C=であり、
X403及びX404は、互いに独立して、化学結合(例えば、共有結合または配位結合)、O、S、N(Q413)、B(Q413)、P(Q413)、C(Q413)(Q414)またはSi(Q413)(Q414)であり、
【0209】
前記Q411ないしQ414に係わる説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係わる説明を参照し、
【0210】
R401及びR402は、互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C20アルキル基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C20アルコキシ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60炭素環基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基、
-Si(Q401)(Q402)(Q403)、-N(Q401)(Q402)、-B(Q401)(Q402)、-C(=O)(Q401)、-S(=O)2(Q401)、または-P(=O)(Q401)(Q402)であり、
【0211】
前記Q401ないしQ403に係わる説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係わる説明を参照し、
xc11及びxc12は、互いに独立して、0ないし10の整数のうち一つであり、
前記化学式402で、*及び*’は、それぞれ前記化学式401で、Mとの結合サイトである。
【0212】
例えば、前記化学式402にて、i)X401は窒素であってX402は炭素であるか、あるいは、ii)X401とX402とがいずれも窒素でありうる。
【0213】
他の例として、前記化学式402にて、xc1が2以上である場合、2以上のL401において、2個の環A401は、選択的に、連結基であるT402を介して互いに連結されるか、あるいは2個の環A402は、選択的に、連結基であるT403を介して互いに連結されうる(下記化合物PD1ないしPD4、及び下記化学式PD7参照)。前記T402及び前記T403に係わる説明は、それぞれ本明細書において、T401に係わる説明を参照する。
【0214】
前記化学式401でL402は、任意の有機リガンドでありうる。例えば、前記L402は、ハロゲン基、ジケトン基(例えば、アセチルアセトネート基)、カルボン酸基(例えば、ピコリネート基)、-C(=O)、イソニトリル基、-CN基、ホスホラス(phosphorous; リン)基(例えば、ホスフィン(phosphine)基、ホスファイト(phosphite)基)、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0215】
前記リン光ドーパントは、例えば、下記化合物PD1ないしPD25、下記G-1ないしG-12のうちの一つ、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【0220】
前記蛍光ドーパントは、アミン基含有化合物、スチリル基含有化合物、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0221】
例えば、前記蛍光ドーパントは、下記化学式501で表される化合物を含むものでありうる。
【0222】
【0223】
前記化学式501で、
Ar501、L501ないしL503、R501及びR502は、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC3-C60炭素環基、または少なくとも1つのR10aで置換もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
xd1ないしxd3は、互いに独立して、0、1、2または3であり、
xd4は、1、2、3、4、5または6でありうる。
【0224】
例えば、前記化学式501でAr501は、3個以上の単環基が互いに縮合された縮合環基(例えば、アントラセン基、クリセン基、ピレン基)を含むものでありうる。
【0225】
他の例として、前記化学式501にて、xd4は、2でありうる。
【0226】
例えば、前記蛍光ドーパントは、下記化合物FD1ないしFD36のうちの一つ、DPVBi、DPAVBi、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0227】
【0228】
【0229】
【0230】
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
[遅延蛍光ドーパント]
前記発光層は、遅延蛍光ドーパントを含むものでありうる。
【0235】
本明細書において、遅延蛍光ドーパントは、遅延蛍光放出メカニズムにより、遅延蛍光を放出することができる任意の化合物のうちからも選択される。
【0236】
前記発光層に含まれた遅延蛍光ドーパントは、前記発光層に含まれた他物質の種類により、ホストまたはドーパントの役割を行うことができる。
【0237】
一具現例によれば、前記遅延蛍光ドーパントの三重項エネルギーレベル(eV)と、前記遅延蛍光ドーパントの一重項エネルギーレベル(eV)との差は、0eV以上0.5eV以下でありうる。前記遅延蛍光ドーパントの三重項エネルギーレベル(eV)と、前記遅延蛍光ドーパントの一重項エネルギーレベル(eV)との差が、前述のような範囲を満足することにより、前記遅延蛍光ドーパントにおいて、三重項状態から一重項状態への逆エネルギー移動(up-conversion)が効果的になされ、前記発光素子10の発光効率などが向上されうる。
【0238】
例えば、前記遅延蛍光ドーパントは、i)少なくとも1つの電子ドナー(例えば、カルバゾール基のようなπ電子過剰C3-C60環基(π electron-rich C3-C60 cyclic group))、及び少なくとも1つの電子アクセプタ(例えば、スルホキシド基、シアノ基、π電子欠乏性含窒素C1-C60環基(π electron-deficient nitrogen-containing C1-C60cyclic group))を含む物質、ii)ホウ素(B)を共有しながら縮合された2つ以上の環式基を含むC8-C60多環基を含む物質などを含むものでありうる。
【0239】
前記遅延蛍光ドーパントの例は、下記化合物DF1ないしDF9のうち少なくとも一つを含むものでありうる。
【0240】
【0241】
【0242】
[量子点(量子ドット)]
前記電子装置は、量子点を含むものでありうる。例えば、前記電子装置は、色変換層を含むものでありうるのであり、前記色変換層は、量子点を含むものでありうる。
【0243】
本明細書において量子点は、半導体化合物の結晶を意味し、該結晶の大きさにより、多様な発光の波長の光を放出することができる任意の物質を含むものでありうる。
【0244】
前記量子点の直径は、例えば、約1nmないし10nmでありうる。
【0245】
前記量子点は、湿式化学工程、有機金属化学蒸着(MOCVD:metal organic chemical vapor deposition)工程、分子線エピタキシ(MBE:molecular beam epitaxy)工程、またはそれらと類似した工程によっても合成される。
【0246】
前記湿式化学工程は、有機溶媒と前駆体物質とを混合した後、量子点の粒子結晶を成長させる方法である。前記結晶が成長する際、該有機溶媒が、自然に量子点結晶表面に配位された分散剤の役割を行い、前記結晶の成長を調節するので、有機金属化学蒸着(MOCVD)や分子線エピタキシ(MBE)といった気相蒸着法よりも、さらに容易であり、低コストの工程を通じて、量子点粒子の成長を制御することができる。
【0247】
前記量子点は、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;III-VI族半導体化合物;I-III-VI族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;IV族元素またはその化合物;あるいはその任意の組み合わせ;を含むものでありうる。
【0248】
前記II-VI族半導体化合物の例は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnO、HgS、HgSe、HgTe、MgSe、MgSのような二元素化合物;CdSeS、CdSeTe、CdSTe、ZnSeS、ZnSeTe、ZnSTe、HgSeS、HgSeTe、HgSTe、CdZnS、CdZnSe、CdZnTe、CdHgS、CdHgSe、CdHgTe、HgZnS、HgZnSe、HgZnTe、MgZnSe、MgZnSのような三元素化合物;CdZnSeS、CdZnSeTe、CdZnSTe、CdHgSeS、CdHgSeTe、CdHgSTe、HgZnSeS、HgZnSeTe、HgZnSTeのような四元素化合物;またはこれらの任意の組み合わせ;を含むものでありうる。
【0249】
前記III-V族半導体化合物の例は、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InN、InP、InAs、InSbのような二元素化合物;GaNP、GaNAs、GaNSb、GaPAs、GaPSb、AlNP、AlNAs、AlNSb、AlPAs、AlPSb、InGaP、InNP、InAlP、InNAs、InNSb、InPAs、InPSbのような三元素化合物;GaAlNP、GaAlNAs、GaAlNSb、GaAlPAs、GaAlPSb、GaInNP、GaInNAs、GaInNSb、GaInPAs、GaInPSb、InAlNP、InAlNAs、InAlNSb、InAlPAs、InAlPSbのような四元素化合物;またはこれらの任意の組み合わせ;を含むものでありうる。一方、前記III-V族半導体化合物は、II族元素をさらに含むものでありうる。II族元素をさらに含むIII-V族半導体化合物の例は、InZnP、InGaZnP、InAlZnPなどを含むものでありうる。
【0250】
前記III-VI族半導体化合物の例は、GaS、GaSe、Ga2Se3、GaTe、InS、InSe、In2Se3、InTeのような二元素化合物;InGaS3、InGaSe3のような三元素化合物;またはその任意の組み合わせ;を含むものでありうる。
【0251】
前記I-III-VI族半導体化合物の例は、AgInS、AgInS2、CuInS、CuInS2、CuGaO2、AgGaO2、AgAlO2のような三元素化合物;またはその任意の組み合わせ;を含むものでありうる。
【0252】
前記IV-VI族半導体化合物の例は、SnS、SnSe、SnTe、PbS、PbSe、PbTeのような二元素化合物;SnSeS、SnSeTe、SnSTe、PbSeS、PbSeTe、PbSTe、SnPbS、SnPbSe、SnPbTeのような三元素化合物;SnPbSSe、SnPbSeTe、SnPbSTeのような四元素化合物;またはその任意の組み合わせ;を含むものでありうる。
【0253】
前記IV族元素またはその化合物は、Si、Geのような単一元素化合物;SiC、SiGeのような二元素化合物;またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0254】
前記二元素化合物、三元素化合物及び四元素化合物のような多元素化合物に含まれたそれぞれの元素は、均一な濃度または不均一な濃度に粒子内に存在しうる。
【0255】
一方、前記量子点は、当該量子点に含まれたそれぞれの元素の濃度が均一な単一構造、またはコア・シェルの二重構造を有することができる。例えば、前記コアに含まれた物質と、前記シェルに含まれた物質は、互いに異なりうる。
【0256】
前記量子点のシェルは、前記コアの化学的変性を防止し、半導体特性を維持するための保護層の役割、及び/または量子点に電気泳動特性を付与するためのチャージング層(charging layer)の役割を遂行することができる。前記シェルは、単層または多重層でありうる。コアとシェルとの界面は、シェルに存在する元素の濃度が中心に行くほど低くなる濃度勾配(gradient)を有することができる。
【0257】
前記量子点のシェルの例としては、金属、半金属または非金属の酸化物、半導体化合物、またはそれらの組み合わせなどを挙げることができる。前述の金属、半金属または非金属の酸化物の例は、SiO2、Al2O3、TiO2、ZnO、MnO、Mn2O3、Mn3O4、CuO、FeO、Fe2O3、Fe3O4、CoO、Co3O4、NiOのような二元素化合物;MgAl2O4、CoFe2O4、NiFe2O4、CoMn2O4のような三元素化合物;またはその任意の組み合わせ;を含むものでありうる。前記半導体化合物の例は、本明細書に記載されたような、II-VI族半導体化合物;III-V族半導体化合物;III-VI族半導体化合物;I-III-VI族半導体化合物;IV-VI族半導体化合物;またはこれらの任意の組み合わせ;を含むものでありうる。例えば、前記半導体化合物は、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、ZnSeS、ZnTeS、GaAs、GaP、GaSb、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InGaP、InSb、AlAs、AlP、AlSb、またはこれらの任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0258】
該量子点は、約45nm以下、具体的には、約40nm以下、さらに具体的には、約30nm以下の発光波長スペクトルの半値幅(FWHM)を有することができ、この範囲において、色純度や色再現性を向上させることができる。また、そのような量子点を介して発光される光は、全方向に放出されるが、光視野角が向上されうる。
【0259】
また、該量子点の形態は、具体的には、球形、ピラミッド型、マルチアーム型(multi-arm)または立方体(cubic)のナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノファイバ、ナノ板状粒子のような形態でありうる。
【0260】
前記量子点の大きさを調節することにより、エネルギーバンドギャップの調節が可能であるので、量子点発光層において、多様な波長帯の光を得ることができる。従って、互いに異なる大きさの量子点を使用することにより、さまざまな波長の光を放出する発光素子を具現することができる。具体的には、前記量子点の大きさは、赤色光、緑色光及び/または青色光が放出されるようにも選択される。また、前記量子点の大きさは、多様な色の光が結合され、白色光を放出するようにも構成される。
【0261】
[中間層130における電子輸送領域]
前記電子輸送領域は、i)単一物質からなる単一層からなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質を含む単一層からなる単層構造、またはiii)複数の互いに異なる物質を含む複数の層を含む多層構造を有することができる。
【0262】
前記電子輸送領域は、バッファ層、電子輸送層、正孔阻止層、電子注入層、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。前記バッファ層は、前述の第1バッファ層及び第2バッファ層を含むものでありうる。
【0263】
例えば、前記電子輸送領域は、発光層から順に積層された第1バッファ層/第2バッファ層/電子輸送層の構造を含むものでありうる。
【0264】
前記電子輸送領域(例えば、前記電子輸送領域において、正孔阻止層または電子輸送層)は、少なくとも1つのπ電子欠乏性含窒素C1-C60環基を含む金属非含有(metal-free)化合物を含むものでありうる。
【0265】
例えば、前記電子輸送領域は、下記化学式601で表された化合物を含むものでありうる。
【0266】
<化601>
[Ar601]xe11-[(L601)xe1-R601]xe21
【0267】
前記化学式601にて、
Ar601及びL601は、互いに独立して、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60炭素環基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基であり、
【0268】
xe11は、1、2または3であり、
xe1は、0、1、2、3、4または5であり、
【0269】
R601は、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60炭素環基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基、
-Si(Q601)(Q602)(Q603)、-C(=O)(Q601)、-S(=O)2(Q601)、または-P(=O)(Q601)(Q602)であり、
【0270】
前記Q601ないしQ603に係わる説明は、それぞれ本明細書において、Q1に係わる説明を参照し、
【0271】
xe21は、1、2、3、4または5であり、
前述のAr601、L601及びR601のうち少なくとも一つは、互いに独立して、少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のπ電子欠乏性含窒素C1-C60環基でありうる。
【0272】
例えば、前記化学式601で、xe11が2以上である場合、2つ以上のAr601は、単結合を介して互いに連結されうる。
【0273】
他の例として、前記化学式601にて、Ar601は、置換もしくは非置換のアントラセン基でありうる。
【0274】
さらに他の例として、前記電子輸送領域は、下記化学式601-1で表された化合物を含むものでありうる。
【0275】
【0276】
前記化学式601-1にて、
X614は、NまたはC(R614)であり、X615は、NまたはC(R615)であり、X616は、NまたはC(R616)であり、X614ないしX616のうち少なくとも一つは、Nであり、
L611ないしL613に係わる説明は、それぞれ前記L601に係わる説明を参照し、
xe611ないしxe613に係わる説明は、それぞれ前記xe1に係わる説明を参照し、
【0277】
R611ないしR613に係わる説明は、それぞれ前記R601に係わる説明を参照し、
【0278】
R614ないしR616は、互いに独立して、水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C1-C20アルキル基、C1-C20アルコキシ基、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC3-C60炭素環基、または、
少なくとも1つのR10aで置換されたか、もしくは非置換のC1-C60ヘテロ環基でありうる。
【0279】
例えば、前記化学式601及び601-1にて、xe1、及びxe611ないしxe613は、互いに独立し、0、1または2でありうる。
【0280】
前記電子輸送領域は、下記化合物ET1ないしET45のうちの一つ、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(Bphen)、Alq3、BAlq、TAZ、NTAZ、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0281】
【0282】
【0283】
【0284】
【0285】
【0286】
【0287】
前記第1バッファ層、及び第2バッファ層に含まれる化合物については、前述のところを参照する。
【0288】
前記電子輸送領域の厚みは、約100Åないし約5,000Å、例えば、約160Åないし約4,000Åでありうる。前記電子輸送領域が、正孔阻止層、電子輸送層、またはその任意の組み合わせを含む場合、正孔阻止層または電子輸送層の厚みは、互いに独立して、約20Åないし約1,000Å、例えば、約30Åないし約300Åであり、前記電子輸送層の厚みは、約100Åないし約1,000Å、例えば、約150Åないし約500Åでありうる。前記正孔阻止層及び/または電子輸送層の厚みが、前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧上昇なしに、満足すべき電子輸送特性を得ることができる。
【0289】
前記第1バッファ層の厚み、及び前記第2バッファ層の厚みは、互いに独立して、約10Åないし約500Å、例えば、約30Åないし約300Å、例えば、約60Åないし約150Åでありうる。第1バッファ層及び第2バッファ層の厚みが10Å未満である場合、電子注入制御が困難であり、第1バッファ層及び第2バッファ層の厚みが500Åを超える場合、駆動電圧が急激に上昇される。
【0290】
前記電子輸送領域(例えば、前記電子輸送領域における電子輸送層)は、前述のような物質以外に、金属含有物質をさらに含むものでありうる。
【0291】
前記金属含有物質は、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。前記アルカリ金属錯体の金属イオンは、Liイオン、Naイオン、Kイオン、RbイオンまたはCsイオンでもあり、前記アルカリ土類金属錯体の金属イオンは、Beイオン、Mgイオン、Caイオン、SrイオンまたはBaイオンでありうる。前記アルカリ金属錯体及びアルカリ土類金属錯体の金属イオンに配位されたリガンドは、互いに独立して、ヒドロキシキノリン、ヒドロキシイソキノリン、ヒドロキシベンゾキノリン、ヒドロキシアクリジン、ヒドロキシフェナントリジン、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシフェニルオキサジアゾール、ヒドロキシフェニルチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール、ビピリジン、フェナントロリン、シクロペンタジエン、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0292】
例えば、前記金属含有物質は、Li錯体を含むものでありうる。前記Li錯体は、例えば、下記の化合物ET-D1(LiQ)または化合物ET-D2を含むものでありうる。
【0293】
【0294】
前記電子輸送領域は、第2電極150からの電子注入を容易にする電子注入層を含むものでありうる。前記電子注入層は、前記第2電極150と直接(directly)接触しうる。
【0295】
前記電子注入層は、i)単一物質からなる単一層からなる単層構造、ii)複数の互いに異なる物質を含む単一層からなる単層構造、またはiii)複数の互いに異なる物質を含む複数の層を有する多層構造を有しうる。
【0296】
前記電子注入層は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物、希土類金属含有化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0297】
前記アルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Cs、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。前記アルカリ土類金属は、Mg、Ca、Sr、Ba、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。前記希土類金属はSc、Y、Ce、Tb、Yb、Gd、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0298】
前記アルカリ金属含有化合物、前記アルカリ土類金属含有化合物及び前記希土類金属含有化合物は、前記アルカリ金属、前記アルカリ土類金属及び前記希土類金属それぞれの、酸化物、ハロゲン化物(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、テルリド、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0299】
前記アルカリ金属含有化合物は、Li2O、Cs2O、K2Oのようなアルカリ金属酸化物、LiF、NaF、CsF、KF、LiI、NaI、CsI、KIのようなアルカリ金属ハロゲン化物、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。前記アルカリ土類金属含有化合物は、BaO、SrO、CaO、BaxSr1-xO(xは、0<x<1を満足する実数である)、BaxCa1-xO(xは、0<x<1を満足する実数である)のようなアルカリ土類金属化合物を含むものでありうる。前記希土類金属含有化合物は、YbF3、ScF3、Sc2O3、Y2O3、Ce2O3、GdF3、TbF3、YbI3、ScI3、TbI3、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。または、前記希土類金属含有化合物は、ランタニド金属テルリドを含むものでありうる。前記ランタニド金属テルリドの例は、LaTe、CeTe、PrTe、NdTe、PmTe、SmTe、EuTe、GdTe、TbTe、DyTe、HoTe、ErTe、TmTe、YbTe、LuTe、La2Te3、Ce2Te3、Pr2Te3、Nd2Te3、Pm2Te3、Sm2Te3、Eu2Te3、Gd2Te3、Tb2Te3、Dy2Te3、Ho2Te3、Er2Te3、Tm2Te3、Yb2Te3、Lu2Te3などを含むものでありうる。
【0300】
前記アルカリ金属錯体、前記アルカリ土類金属錯体及び前記希土類金属錯体は、i)前述のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属及び希土類金属のイオンのうち一つ、及びii)前記金属イオンと結合したリガンドとして、例えば、ヒドロキシキノリン、ヒドロキシイソキノリン、ヒドロキシベンゾキノリン、ヒドロキシアクリジン、ヒドロキシフェナントリジン、ヒドロキシフェニルオキサゾール、ヒドロキシフェニルチアゾール、ヒドロキシフェニルオキサジアゾール、ヒドロキシフェニルチアジアゾール、ヒドロキシフェニルピリジン、ヒドロキシフェニルベンゾイミダゾール、ヒドロキシフェニルベンゾチアゾール、ビピリジン、フェナントロリン、シクロペンタジエン、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0301】
前記電子注入層は、前述のようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物、希土類金属含有化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、またはその任意の組み合わせだけによってなるか、あるいは有機物(例えば、前記化学式601で表された化合物)をさらに含むものでありうる。
【0302】
一具現例によれば、前記電子注入層は、i)アルカリ金属含有化合物(例えば、アルカリ金属ハロゲン化物)によってなるか、あるいはii)a)アルカリ金属含有化合物(例えば、アルカリ金属ハロゲン化物)、及びb)アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、またはその任意の組み合わせによってもなる。例えば、前記電子注入層は、KI:Yb共蒸着層、RbI:Yb共蒸着層などでありうる。
【0303】
前記電子注入層が有機物をさらに含む場合、前述のアルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類金属、アルカリ金属含有化合物、アルカリ土類金属含有化合物、希土類金属含有化合物、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、希土類金属錯体、またはその任意の組み合わせは、前記有機物を含むマトリックス中に、均一または不均一に分散されているのでありうる。
【0304】
前記電子注入層の厚みは、約1Åないし約100Å、約3Åないし約90Åでありうる。前記電子注入層の厚みが、前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧上昇なしに、満足すべき電子注入特性を得ることができる。
【0305】
[第2電極150]
前述のような中間層130上部には、第2電極150が配されている。前記第2電極150は、電子注入電極であるカソードでありうるが、このとき、前記第2電極150用物質としては、低い仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物、またはその任意の組み合わせを使用することができる。
【0306】
前記第2電極150は、リチウム(Li)、銀(Ag)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム・リチウム(Al-Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム・インジウム(Mg-In)、マグネシウム・銀(Mg-Ag)、イッテルビウム(Yb)、銀・イッテルビウム(Ag-Yb)、ITO、IZO、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。前記第2電極150は、透過型電極、半透過型電極または反射型電極でありうる。
【0307】
前記第2電極150は、単一層である単層構造、または複数の層を有する多層構造を有しうる。
【0308】
[キャッピング層]
第1電極110の外側には、第1キャッピング層が配されるか、かつ/あるいは第2電極150外側には、第2キャッピング層が配されうる。具体的には、前記発光素子10は、第1キャッピング層、第1電極110、中間層130及び第2電極150が順に積層された構造;第1電極110、中間層130、第2電極150及び第2キャッピング層が順に積層された構造;または第1キャッピング層、第1電極110、中間層130、第2電極150及び第2キャッピング層が順に積層された構造を有しうる。
【0309】
発光素子10の中間層130における発光層で生成された光は、半透過型電極または透過型電極である第1電極110及び第1キャッピング層を経て、外部に取り出され、発光素子10の中間層130における発光層で生成された光は、半透過型電極または透過型電極である第2電極150及び第2キャッピング層を経て、外部に取り出されうる。
【0310】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層は、補強干渉の原理により、外部発光効率を向上させる役割を行うことができる。それにより、前記発光素子10の光抽出効率が上昇され、前記発光素子10の発光効率が向上されうる。
【0311】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層それぞれは、1.6以上の屈折率(589nmにおけるもの)を有する物質を含むものでありうる。
【0312】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層は、互いに独立して、有機物を含む有機キャッピング層、無機物を含む無機キャッピング層、または有機物及び無機物を含む有機・無機複合キャッピング層でありうる。
【0313】
前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層のうち少なくとも1層は、互いに独立して、炭素環化合物、ヘテロ環化合物、アミン基含有化合物、ポルフィン誘導体(porphine derivatives)、フタロシアニン誘導体(phthalocyanine derivatives)、ナフタロシアニン誘導体(naphthalocyanine derivatives)、アルカリ金属錯体、アルカリ土類金属錯体、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。前記炭素環化合物、前記ヘテロ環化合物及び前記アミン基含有化合物は、選択的に、O、N、S、Se、Si、F、Cl、Br、I、またはこれらの任意の組み合わせを含む置換基で置換されうる。一具現例によれば、前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層のうち少なくとも1層は、互いに独立して、アミン基含有化合物を含むものでありうる。
【0314】
例えば、前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層のうち少なくとも1層は、互いに独立して、前記化学式201で表された化合物、前記化学式202で表された化合物、またはその任意の組み合わせを含むものでありうる。
【0315】
さらに他の具現例によれば、前記第1キャッピング層及び前記第2キャッピング層のうち少なくとも1層は、互いに独立して、前記化合物HT28ないしHT33のうち一つ、下記化合物CP1ないしCP6のうち一つ、β-NPB、またはその任意の化合物を含むものでありうる。
【0316】
【0317】
[電子装置]
前記発光素子は、各種電子装置にも含まれる。例えば、前記発光素子を含む電子装置は、発光装置、認証装置などでありうる。
【0318】
前記電子装置(例えば、発光装置)は、前記発光素子以外に、i)カラーフィルタ、ii)色変換層、またはiii)カラーフィルタ及び色変換層をさらに含むものでありうる。前記カラーフィルタ及び/または前記色変換層は、発光素子から放出される光の少なくとも1つの進行方向上に配されうる。例えば、前記発光素子から放出される光は、青色光でありうる。前記発光素子に係わる説明は、前述のところを参照する。一具現例によれば、前記色変換層は、量子点を含むものでありうる。前記量子点は、例えば、本明細書に記載されたような量子点でありうる。
【0319】
前記電子装置は、第1基板を含むものでありうる。前記第1基板は、複数の副画素領域を含み、前記カラーフィルタは、前記複数の副画素領域それぞれに対応する複数のカラーフィルタ領域を含み、前記色変換層は、前記複数の副画素領域それぞれに対応する複数の色転換領域を含みうる。
【0320】
前記複数の副画素領域同士の間に、画素定義膜が配置され、それぞれの副画素領域が区画される。
【0321】
前記カラーフィルタは、複数のカラーフィルタ領域、及び複数のカラーフィルタ領域同士の間に配された遮光パターンをさらに含みうるのであり、前記色変換層は、複数の色転換領域、及び複数の色転換領域間に配された遮光パターンをさらに含みうる。
【0322】
前記複数のカラーフィルタ領域(または、複数の色転換領域)は、第1色光を放出する第1領域;第2色光を放出する第2領域;及び/または第3色光を放出する第3領域を含み、前記第1色光、前記第2色光及び/または前記第3色光は、互いに異なる最大発光波長を有しうる。例えば、前記第1色光は、赤色光であり、前記第2色光は、緑色光であり、前記第3色光は、青色光でありうる。例えば、前記複数のカラーフィルタ領域(または、複数の色転換領域)は、量子点を含むものでありうる。具体的には、前記第1領域は、赤色量子点を含み、前記第2領域は、緑色量子点を含み、前記第3領域は、量子点を含まないものでありうる。該量子点に係わる説明は、本明細書に記載されたところを参照する。前記第1領域、前記第2領域及び/または前記第3領域は、それぞれ散乱体をさらに含むものでありうる。
【0323】
例えば、前記発光素子は、第1光を放出し、前記第1領域は、前記第1光を吸収し、第1-1色光を放出し、前記第2領域は、前記第1光を吸収し、第2-1色光を放出し、前記第3領域は、前記第1光を吸収し、第3-1色光を放出することができる。ここで、前記第1-1色光、前記第2-1色光及び前記第3-1色光は、互いに異なる最大発光波長を有しうる。具体的には、前記第1光は、青色光でありうるのであり、前記第1-1色光は、赤色光でありうるのであり、前記第2-1色光は、緑色光でありうるのであり、前記第3-1色光は、青色光でありうる。
【0324】
前記電子装置は、前述のような発光素子以外に、薄膜トランジスタをさらに含むものでありうる。前記薄膜トランジスタは、ソース電極、ドレイン電極及び活性層を含むものでありうるのであり、前記ソース電極及び前記ドレイン電極のうちいずれか一つと、前記発光素子の第1電極及び第2電極のうちいずれか一つは、電気的に連結されうる。
【0325】
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極、ゲート絶縁膜をさらに含むものでありうる。
【0326】
前記活性層は、結晶質シリコン、非晶質シリコン、有機半導体、酸化物半導体などを含むものでありうる。
【0327】
前記電子装置は、発光素子を密封する密封部をさらに含むものでありうる。前記密封部は前記カラーフィルタ及び/または色変換層と、前記発光素子との間に配置されうる。前記密封部は、前記発光素子からの光が外部に取り出されるようにしながら、同時に前記発光素子に、外気及び水分が浸透することを遮断する。前記密封部は、透明なガラス基板またはプラスチック基板を含む密封基板でありうる。前記密封部は、有機層及び/または無機層を1層以上含む薄膜封止層でありうる。前記密封部が該薄膜封止層である場合、前記電子装置は、フレキシブルでありうる。
【0328】
前記密封部上には、前記カラーフィルタ及び/または色変換層以外に、前記電子装置の用途により、多様な機能層が追加して配置されうる。前記機能層の例は、タッチスクリーン層、偏光層などを含むものでありうる。前記タッチスクリーン層は、減圧式タッチスクリーン層、静電式タッチスクリーン層または赤外線式タッチスクリーン層でありうる。前記認証装置は、例えば、生体(例えば、指先、瞳)の生体情報を利用し、個人を認証する生体認証装置でありうる。
【0329】
前記認証装置は、前述のような発光素子以外に、生体情報収集手段をさらに含むものでありうる。
【0330】
前記電子装置は、各種ディスプレイ、光源、照明、パソコン(例えば、モバイル型パソコン)、携帯電話、デジタル写真機、電子手帳、電子辞典、電子ゲーム機、医療機器(例えば、電子体温計、血圧計、血糖計、脈拍計測装置、脈波計測装置、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、プロジェクタなどにも応用される。
【0331】
[
図3及び
図4に係わる説明]
図3は、本発明の一具現例による電子装置の断面図である。
【0332】
図3の電子装置は、基板100、薄膜トランジスタ(TFT)、発光素子、及び発光素子を密封する封止部300を含む。
【0333】
前記基板100は、可撓性基板、ガラス基板または金属基板でありうる。前記基板100上には、バッファ層210が配されうる。前記バッファ層210は、基板100を介する不純物の浸透を防止し、基板100上部に、平坦な面を提供する役割を行うことができる。
【0334】
前記バッファ層210上には、薄膜トランジスタ(TFT)が配されうる。前記薄膜トランジスタ(TFT)は、活性層220、ゲート電極240、ソース電極260及びドレイン電極270を含むものでありうる。
【0335】
前記活性層220は、シリコンまたはポリシリコンのような無機半導体、有機半導体、または酸化物半導体を含みうるのであり、ソース領域、ドレイン領域及びチャネル領域を含む。
【0336】
前記活性層220の上部には、活性層220とゲート電極240とを絶縁するためのゲート絶縁膜230が配され、ゲート絶縁膜230上部には、ゲート電極240が配置されうる。
【0337】
前記ゲート電極240の上部には、層間絶縁膜250が配されうる。前記層間絶縁膜250は、ゲート電極240とソース電極260との間、及びゲート電極240とドレイン電極270との間に配され、それらを絶縁する役割を行う。
【0338】
前記層間絶縁膜250上には、ソース電極260及びドレイン電極270が配されうる。層間絶縁膜250及びゲート絶縁膜230は、活性層220のソース領域及びドレイン領域が露出されるようにも形成され、そのような活性層220の露出されたソース領域及びドレイン領域と接するように、ソース電極260及びドレイン電極270が配されうる。
【0339】
そのような薄膜トランジスタ(TFT)は、発光素子に電気的に連結され、発光素子を駆動させることができ、パッシベーション層280で覆われて保護される。パッシベーション層280は、無機絶縁膜、有機絶縁膜、またはその組み合わせを含むものでありうる。パッシベーション層280上には、発光素子が具備される。前記発光素子は、第1電極110、中間層130及び第2電極150を含む。
【0340】
前記第1電極110は、パッシベーション層280上に配置されうる。パッシベーション層280は、ドレイン電極270の全体を覆わず、所定領域を露出させるようにも配置され、露出されたドレイン電極270と連結されるように、第1電極110が配置されうる。
【0341】
前記第1電極110上に、絶縁物を含む画素定義膜290が配置されうる。画素定義膜290は、第1電極110の所定領域を露出させ、露出された領域に、中間層130が形成されうる。画素定義膜290は、ポリイミド系またはポリアクリル系の有機膜でありうる。
図3に図示されていないが、中間層130のうち一部以上の層は、画素定義膜290の上側にまで延長され、共通層の形態に配置されうる。
【0342】
前記中間層130上には、第2電極150が配され、第2電極150上には、キャッピング層170が追加して形成されうる。キャッピング層170は、第2電極150を覆うようにも形成される。
【0343】
前記キャッピング層170上には、封止部300が配されうる。封止部300は、発光素子上に配され、水分や酸素から発光素子を保護する役割を行うことができる。封止部300は、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、またはその任意の組み合わせを含む無機膜;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンスルホネート、ポリオキシメチレン、ポリアリレート、ヘキサメチルジシロキサン、アクリル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸など)、エポック時計収支(例えば、AGE(aliphatic glycidyl ether))、またはその任意の組み合わせを含む有機膜;または無機膜と有機膜との組み合わせ;を含むものでありうる。
【0344】
図4は、本発明の他の具現例による電子装置の断面図である。
【0345】
図4の電子装置は、封止部300上部に、遮光パターン500及び機能性領域400が追加して配されているという点を除いては、
図3の発光装置と同一発光装置である。前記機能性領域400は、i)カラーフィルタ領域、ii)色転換領域、またはiii)カラーフィルタ領域と色転換領域との組み合わせでありうる。一具現例によれば、
図4の電子装置に含まれた発光素子は、タンデム発光素子でありうる。
【0346】
[製造方法]
前記正孔輸送領域に含まれた各層、発光層、及び電子輸送領域に含まれた各層は、それぞれ、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir-Blodgett)法、インクジェットプリンティング法、レーザプリンティング法、レーザ熱転写(LITI:laser induced thermal imaging)法といった多様な方法を利用し、所定領域に形成されうる。
【0347】
該真空蒸着法により、前記正孔輸送領域に含まれた各層、発光層、及び電子輸送領域に含まれた各層をそれぞれ形成する場合、蒸着条件は、例えば、約100℃ないし約500℃の蒸着温度、約10-8ないし約10-3torrの真空度、及び約0.01ないし約100Å/secの蒸着速度の範囲内において、形成する層に含まれる材料、及び形成する層の構造を考慮して選択されうる。
【0348】
該スピンコーティング法により、前記正孔輸送領域に含まれた各層、発光層、及び電子輸送領域に含まれた各層をそれぞれ形成する場合、コーティング条件は、例えば、約2,000rpmないし約5,000rpmのコーティング速度、及び約80℃ないし200℃の熱処理温度の範囲内において、形成する層に含まれる材料、及び形成する層の構造を考慮して選択されうる。
【0349】
[用語の定義]
本明細書において、C3-C60炭素環基は、環形成原子として、炭素だけからなるC3-C60環基を意味し、C1-C60ヘテロ環基は、炭素以外に、環形成原子として、ヘテロ原子をさらに含むC1-C60環基を意味する。前記C3-C60炭素環基、及び前記C1-C60ヘテロ環基それぞれは、1個の環からなる単環基、または2以上の環が互いに縮合されている多環基でありうる。例えば、前記C1-C60ヘテロ環基の環形成原子数は、3個ないし61個でありうる。
【0350】
本明細書において、環式基は、前記C3-C60炭素環基、及び、前記C1-C60ヘテロ環基いずれをも含む。
【0351】
本明細書において、π電子過剰C3-C60環基は、環形成モイエティとして、*-N=*’を含まないC3-C60環基を意味し、π電子欠乏性含窒素C1-C60環基は、環形成モイエティとして、*-N=*’を含むC1-C60ヘテロ環基を意味する。
【0352】
例えば、
前記C3-C60炭素環基は、i)グループT1、またはii)2つ以上のグループT1が互いに縮合された縮合環基(例えば、シクロペンタジエン基、アダマンタン基、ノルボルナン基、ベンゼン基、ペンタレン基、ナフタレン基、アズレン基、インダセン基、アセナフチレン基、フェナレン基、フェナントレン基、アントラセン基、フルオランテン基、トリフェニレン基、ピレン基、クリセン基、ペリレン基、ペンタフェン基、ヘプタレン基、ナフタセン基、ピセン基、ヘキサセン基、ペンタセン基、ルビセン基、コロネン基、オバレン基、インデン基、フルオレン基、スピロ-ビフルオレン基、ベンゾフルオレン基、インデノフェナントレン基またはインデノアントラセン基)でありうるのであり、
【0353】
前記C1-C60ヘテロ環基は、i)グループT2、ii)2つ以上のグループT2が互いに縮合された縮合環基、またはiii)1つ以上のグループT2と、1つ以上のグループT1とが互いに縮合された縮合環基(例えば、ピロール基、チオフェン基、フラン基、インドール基、ベンゾインドール基、ナフトインドール基、イソインドール基、ベンゾイソインドール基、ナフトイソインドール基、ベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、カルバゾール基、ジベンゾシロール基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、インデノカルバゾール基、インドロカルバゾール基、ベンゾフロカルバゾール基、ベンゾチエノカルバゾール基、ベンゾシロロカルバゾール基、ベンゾインドロカルバゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾナフトフラン基、ベンゾナフトチオフェン基、ベンゾナフトシロール基、ベンゾフロジベンゾフラン基、ベンゾフロジベンゾチオフェン基、ベンゾチエノジベンゾチオフェン基、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾピラゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイソキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾイソチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基、トリアジン基、キノリン基、イソキノリン基、ベンゾキノリン基、ベンゾイソキノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノキサリン基、キナゾリン基、ベンゾキナゾリン基、フェナントロリン基、シンノリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、イミダゾピリジン基、イミダゾピリミジン基、イミダゾトリアジン基、イミダゾピラジン基、イミダゾピリダジン基、アザカルバゾール基、アザフルオレン基、アザジベンゾシロール基、アザジベンゾチオフェン基、アザジベンゾフラン基)でありうるのであり、
【0354】
前記π電子過剰C3-C60環基は、i)グループT1、ii)2つ以上のグループT1が互いに縮合された縮合環基、iii)グループT3、iv)2つ以上のグループT3が互いに縮合された縮合環基、またはv)1つ以上のグループT3と、1つ以上のグループT1とが互いに縮合された縮合環基(例えば、前記C3-C60炭素環基、1H-ピロール基、シロール基、ボロール(borole)基、2H-ピロール基、3H-ピロール基、チオフェン基、フラン基、インドール基、ベンゾインドール基、ナフトインドール基、イソインドール基、ベンゾイソインドール基、ナフトイソインドール基、ベンゾシロール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、カルバゾール基、ジベンゾシロール基、ジベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、インデノカルバゾール基、インドロカルバゾール基、ベンゾフロカルバゾール基、ベンゾチエノカルバゾール基、ベンゾシロロカルバゾール基、ベンゾインドロカルバゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾナフトフラン基、ベンゾナフトチオフェン基、ベンゾナフトシロール基、ベンゾフロジベンゾフラン基、ベンゾフロジベンゾチオフェン基、ベンゾチエノジベンゾチオフェン基)でありうるのであり、
【0355】
前記π電子欠乏性含窒素C1-C60環基は、i)グループT4、ii)2つ以上のグループT4が互いに縮合された縮合環基、iii)1つ以上のグループT4と、1つ以上のグループT1とが互いに縮合された縮合環基、iv)1つ以上のグループT4と、1つ以上のグループT3とが互いに縮合された縮合環基、またはv)1つ以上のグループT4、1つ以上のグループT1、及び1以上のグループT3が互いに縮合された縮合環基(例えば、ピラゾール基、イミダゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、チアジアゾール基、ベンゾピラゾール基、ベンズイミダゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイソキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾイソチアゾール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基、トリアジン基、キノリン基、イソキノリン基、ベンゾキノリン基、ベンゾイソキノリン基、キノキサリン基、ベンゾキノキサリン基、キナゾリン基、ベンゾキナゾリン基、フェナントロリン基、シンノリン基、フタラジン基、ナフチリジン基、イミダゾピリジン基、イミダゾピリミジン基、イミダゾトリアジン基、イミダゾピラジン基、イミダゾピリダジン基、アザカルバゾール基、アザフルオレン基、アザジベンゾシロール基、アザジベンゾチオフェン基、アザジベンゾフラン基)でありうるのであり、
【0356】
前記グループT1は、シクロプロパン基、シクロブタン基、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、シクロヘプタン基、シクロオクタン基、シクロブテン基、シクロペンテン基、シクロペンタジエン基、シクロヘキセン基、シクロヘキサジエン基、シクロヘプテン基、アダマンタン基、ノルボルナン(または、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン)基、ノルボルネン基、ビシクロ[1.1.1]ペンタン基、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン基またはベンゼン基でありうるのであり、
【0357】
前記グループT2は、フラン基、チオフェン基、1H-ピロール基、シロール基、ボロール基、2H-ピロール基、3H-ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、チアジアゾール基、アザシロール基、アザボロール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基、トリアジン基、テトラジン基、ピロリジン基、イミダゾリジン基、ジヒドロピロール基、ピペリジン基、テトラヒドロピリジン基、ジヒドロピリジン基、ヘキサヒドロピリミジン基、テトラヒドロピリミジン基、ジヒドロピリミジン基、ピペラジン基、テトラヒドロピラジン基、ジヒドロピラジン基、テトラヒドロピリダジン基またはジヒドロピリダジン基でありうるのであり、
【0358】
前記グループT3は、フラン基、チオフェン基、1H-ピロール基、シロール基またはボロール基でありうるのであり、
【0359】
前記グループT4は、2H-ピロール基、3H-ピロール基、イミダゾール基、ピラゾール基、トリアゾール基、テトラゾール基、オキサゾール基、イソオキサゾール基、オキサジアゾール基、チアゾール基、イソチアゾール基、チアジアゾール基、アザシロール基、アザボロール基、ピリジン基、ピリミジン基、ピラジン基、ピリダジン基、トリアジン基またはテトラジン基でありうる。
【0360】
本明細書において、環式基、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、π電子過剰C3-C60環基またはπ電子欠乏性含窒素C1-C60環基という用語は、当該用語が使用された化学式の構造により、任意環式基に縮合されている基、一価基または多価基(例えば、二価基、三価基、四価基)でありうる。例えば、「ベンゼン基」は、ベンゾ基、フェニル基、フェニレン基などでありうるが、それは、「ベンゼン基」が含まれた化学式の構造により、当業者が容易に理解することができるであろう。
【0361】
例えば、一価C3-C60炭素環基及び一価C1-C60ヘテロ環基の例は、C3-C10シクロアルキル基、C1-C10ヘテロシクロアルキル基、C3-C10シクロアルケニル基、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基、C6-C60アリール基、C1-C60ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基を含むものでありうるのであり、二価C3-C60炭素環基及び二価C1-C60ヘテロ環基の例は、C3-C10シクロアルキレン基、C1-C10ヘテロシクロアルキレン基、C3-C10シクロアルケニレン基、C1-C10ヘテロシクロアルケニレン基、C6-C60アリーレン基、C1-C60ヘテロアリーレン基、二価非芳香族縮合多環基、及び置換もしくは非置換の二価非芳香族ヘテロ縮合多環基を含むものでありうる。
【0362】
本明細書において、C1-C60アルキル基は、C1-C60の線状または分枝状の脂肪族炭化水素一価基を意味し、その具体例には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、sec-イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec-ノニル基、tert-ノニル基、n-デシル基、イソデシル基、sec-デシル基、tert-デシル基などが含まれる。本明細書において、C1-C60アルキレン基は、前記C1-C60アルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0363】
本明細書において、C2-C60アルケニル基は、C2-C60アルキル基の中間または末端に、1以上の炭素・炭素二重結合を含む一価炭化水素基を意味し、その具体例には、エテニル基、プロぺニル基、ブテニル基などが含まれる。本明細書において、C2-C60アルケニレン基は、前記C2-C60アルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0364】
本明細書において、C2-C60アルキニル基は、C2-C60アルキル基の中間または末端に、1以上の炭素・炭素三重結合を含む一価炭化水素基を意味し、その具体例には、エチニル基、プロピニル基などが含まれる。本明細書において、C2-C60アルキニレン基は、前記C2-C60アルキニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0365】
本明細書において、C1-C60アルコキシ基は、-OA101(ここで、A101は、前記C1-C60アルキル基である)の化学式を有する一価基を意味し、その具体例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが含まれる。
【0366】
本明細書において、C3-C10シクロアルキル基は、C3-C10一価飽和炭化水素環基を意味し、その具体例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、ノルボルナニル基(または、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基)、ビシクロ[1.1.1]ペンチル基、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基などが含まれる。本明細書において、C3-C10シクロアルキレン基は、前記C3-C10シクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0367】
本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルキル基は、炭素原子以外に、少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含むC1-C10一価環基を意味し、その具体例には、1,2,3,4-オキサトリアゾリジニル基(1,2,3,4-oxatriazolidinyl)、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフェニル基などが含まれる。本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルキレン基は、前記C1-C10ヘテロシクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0368】
本明細書において、C3-C10シクロアルケニル基は、C3-C10一価環基であり、環内に、少なくとも1つの炭素・炭素二重結合を有するが、芳香族性(aromaticity)を有さない基を意味し、その具体例には、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基などが含まれる。本明細書において、C3-C10シクロアルケニレン基は、前記C3-C10シクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0369】
本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルケニル基は、炭素原子以外に、少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含むC1-C10一価環基であり、環内に、少なくとも1つの二重結合を有する。前記C1-C10ヘテロシクロアルケニル基の具体例には、4,5-ジヒドロ-1,2,3,4-オキサトリアゾリル基、2,3-ジヒドロフラニル基、2,3-ジヒドロチオフェニル基などが含まれる。本明細書において、C1-C10ヘテロシクロアルケニレン基は、前記C1-C10ヘテロシクロアルケニル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0370】
本明細書において、C6-C60アリール基は、C6-C60炭素環芳香族系を有する一価基を意味し、C6-C60アリーレン基は、C6-C60炭素環芳香族系を有する二価基を意味する。前記C6-C60アリール基の具体例には、フェニル基、ペンタレニル基、ナフチル基、アズレニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントラセニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ヘプタレニル基、ナフタセニル基、ピセニル基、ヘキサセニル基、ペンタセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、オバレニル基などが含まれる。前記C6-C60アリール基及びC6-C60アリーレン基が、2以上の環を含む場合、前記2以上の環は、互いに縮合されうる。
【0371】
本明細書において、C1-C60ヘテロアリール基は、炭素原子以外に、少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含み、C1-C60ヘテロ環芳香族系を有する一価基を意味し、C1-C60ヘテロアリーレン基は、炭素原子以外に、少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子としてさらに含み、C1-C60ヘテロ環芳香族系を有する二価基を意味する。前記C1-C60ヘテロアリール基の具体例には、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、ベンゾキノリニル基、イソキノリニル基、ベンゾイソキノリニル基、キノキサリニル基、ベンゾキノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾキナゾリニル基、シンノリニル基、フェナントロリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基などが含まれる。前記C1-C60ヘテロアリール基及びC1-C60ヘテロアリーレン基が2以上の環を含む場合、2以上の環は、互いに縮合されうる。
【0372】
本明細書において、一価非芳香族縮合多環基は、2以上の環が互いに縮合されており、環形成原子として炭素のみを含み、分子全体が非芳香族性(non-aromaticity)を有する一価基(例えば、C8-C60である)を意味する。前記一価非芳香族縮合多環基の具体例には、インデニル基、フルオレニル基、スピロ-ビフルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、インデノフェナントレニル基、インデノアントラセニル基などが含まれる。本明細書において、二価非芳香族縮合多環基は、前記一価非芳香族縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0373】
本明細書において、一価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、2以上の環が互いに縮合されており、環形成原子として炭素原子外に、少なくとも1つのヘテロ原子をさらに含み、分子全体が非芳香族性を有する一価基(例えば、C1-C60である)を意味する。前記一価非芳香族ヘテロ縮合多環基の具体例には、ピロリル基、チオフェニル基、フラニル基、インドリル基、ベンゾインドリル基、ナフトインドリル基、イソインドリル基、ベンゾイソインドリル基、ナフトイソインドリル基、ベンゾシロリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフラニル基、カルバゾリル基、ジベンゾシロリル基、ジベンゾチオフェニル基、ジベンゾフラニル基、アザカルバゾリル基、アザフルオレニル基、アザジベンゾシロリル基、アザジベンゾチオフェニル基、アザジベンゾフラニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、イミダゾピリジニル基、イミダゾピリミジニル基、イミダゾトリアジニル基、イミダゾピラジニル基、イミダゾピリダジニル基、インデノカルバゾリル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ベンゾシロロカルバゾリル基、ベンゾインドロカルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、ベンゾナフトフラニル基、ベンゾナフトチオフェニル基、ベンゾナフトシロリル基、ベンゾフロジベンゾフラニル基、ベンゾフロジベンゾチオフェニル基、ベンゾチエノジベンゾチオフェニル基などが含まれる。本明細書において、二価非芳香族ヘテロ縮合多環基は、前記一価非芳香族ヘテロ縮合多環基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0374】
本明細書において、C6-C60アリールオキシ基は、-OA102(ここで、A102は、前記C6-C60アリール基である)を示し、前記C6-C60アリールチオ基は、-SA103(ここで、A103は、前記C6-C60アリール基である)を示す。
【0375】
本明細書において、C7-C60アリールアルキル基は、-A104A105(ここで、A104は、C1-C54アルキレン基であり、A105は、C6-C59アリール基である)を示し、本明細書において、C2-C60ヘテロアリールアルキル基は、-A106A107(ここで、A106は、C1-C59アルキレン基であり、A107は、C1-C59ヘテロアリール基である)を示す。
【0376】
本明細書において、「R10a」は、
重水素(-D)、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基またはニトロ基;
【0377】
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C7-C60アリールアルキル基、C2-C60ヘテロアリールアルキル基、-Si(Q11)(Q12)(Q13)、-N(Q11)(Q12)、-B(Q11)(Q12)、-C(=O)(Q11)、-S(=O)2(Q11)、-P(=O)(Q11)(Q12)、またはその任意の組み合わせ
でもって置換されたか、もしくは非置換の、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基またはC1-C60アルコキシ基;
【0378】
重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、C1-C60アルキル基、C2-C60アルケニル基、C2-C60アルキニル基、C1-C60アルコキシ基、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C7-C60アリールアルキル基、C2-C60ヘテロアリールアルキル基、-Si(Q21)(Q22)(Q23)、-N(Q21)(Q22)、-B(Q21)(Q22)、-C(=O)(Q21)、-S(=O)2(Q21)、-P(=O)(Q21)(Q22)、またはその任意の組み合わせ
でもって置換されたか、もしくは非置換の、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C6-C60アリールオキシ基、C6-C60アリールチオ基、C7-C60アリールアルキル基またはC2-C60ヘテロアリールアルキル基;あるいは
【0379】
-Si(Q31)(Q32)(Q33)、-N(Q31)(Q32)、-B(Q31)(Q32)、-C(=O)(Q31)、-S(=O)2(Q31)または-P(=O)(Q31)(Q32);でありうる。
【0380】
本明細書において、Q1ないしQ3、Q11ないしQ13、Q21ないしQ23、及びQ31ないしQ33は、互いに独立して、
水素;重水素;-F;-Cl;-Br;-I;ヒドロキシル基;シアノ基;ニトロ基;C1-C60アルキル基;C2-C60アルケニル基;C2-C60アルキニル基;C1-C60アルコキシ基;
【0381】
重水素、-F、シアノ基、C1-C60アルキル基、C1-C60アルコキシ基、フェニル基、ビフェニル基、またはその任意の組み合わせでもって置換されたか、もしくは非置換の、C3-C60炭素環基、C1-C60ヘテロ環基、C7-C60アリールアルキル基、あるいはC2-C60ヘテロアリールアルキル基;でありうる。
【0382】
本明細書において、ヘテロ原子は、炭素原子を除いた任意の原子を意味する。前記ヘテロ原子の例は、O、S、N、P、Si、B、Ge、Se、またはその任意の組み合わせを含む。
【0383】
本明細書において、第3列遷移金属(third-row transition metal)は、ハフニウム(Hf)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、レニウム(Re)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)または金(Au)などを含む。
【0384】
本明細書において、「Ph」は、フェニル基を意味し、「Me」は、メチル基を意味し、「Et」は、エチル基を意味し、「ter-Bu」または「But」は、tert-ブチル基を意味し、「OMe」は、メトキシ基を意味する。
【0385】
本明細書において、「ビフェニル基」は、「フェニル基で置換されたフェニル基」を意味する。前記「ビフェニル基」は、置換基が「C6-C60アリール基」である「置換されたフェニル基」に属する。
【0386】
本明細書において、「ターフェニル基」は、「ビフェニル基で置換されたフェニル基」を意味する。前記「ターフェニル基」は、置換基が「C6-C60アリール基で置換されたC6-C60アリール基」である「置換されたフェニル基」に属する。
【0387】
本明細書において、*及び*’は、他の定義がない限り、当該化学式において、隣接原子との結合サイトを意味する。
【0388】
以下において、実施例を挙げ、本発明の一具現例による化合物及び発光素子についてさらに具体的に説明する。
【実施例0389】
発光素子の作製
<比較例1(no buffer layer)>
15Ω/cm2(800Å)ITO/Ag/ITOガラス基板(コーニング(Corning)社製)を、50mmx50mmx0.7mmサイズに切り、イソプロピルアルコールと純水とを利用し、それぞれ5分間超音波洗浄した後、15分間紫外線を照射し、オゾンに露出させて洗浄し、真空蒸着装置に設置した。
【0390】
前記ガラス基板のITO/Ag/ITOアノード上に、HAT-CNを50Å厚に蒸着し、正孔注入層を形成し、前記正孔注入層上に、HLT1を600Å厚に蒸着し、正孔輸送層を形成し、前記正孔輸送層上に、BH及びBDを97:3の重量比で共蒸着し、200Å厚の第1発光層(青色)を形成し、前記第1発光層上に、TPM-TAZ及びLiQを1:1の重量比で共蒸着し、200Å厚の電子輸送層を形成した。
【0391】
続けて、BCP及びLiを、99:1の重量比で共蒸着し、150Å厚のn型電荷生成層を形成し、前記n型電荷生成層上に、HAT-CNを50Å厚に蒸着し、p型電荷生成層を形成した。
【0392】
前記p型電荷生成層上に、HLT1を500Å厚に蒸着し、正孔輸送層を形成し、前記正孔輸送層上に、BH及びBDを97:3の重量比で共蒸着し、200Å厚の第2発光層(青色)を形成し、前記第2発光層上に、TPM-TAZ及びLiQを1:1の重量比で共蒸着し、200Å厚の電子輸送層を形成した。
【0393】
続けて、BCP及びLiを、99:1の重量比で共蒸着し、150Å厚のn型電荷生成層を形成し、前記n型電荷生成層上にHAT-CNを50Å厚に蒸着し、p型電荷生成層を形成した。
【0394】
続けて、HLT1を400Å厚に蒸着し、正孔輸送層を形成し、前記正孔輸送層上に、BH及びBDを97:3の重量比で共蒸着し、200Å厚の第3発光層(青色)を形成し、前記第3発光層上に、TPM-TAZ及びLiQを1:1の重量比で共蒸着し、200Å厚の電子輸送層を形成した。
【0395】
続けて、BCP及びLiを99:1の重量比で共蒸着し、150Å厚のn型電荷生成層を形成し、前記n型電荷生成層上にHAT-CNを50Å厚に蒸着し、p型電荷生成層を形成した。
【0396】
続けて、HLT1を600Å厚に蒸着し、正孔輸送層を形成し、前記正孔輸送層上に、化合物GH1及びGH2をホスト(重量比5:5)にし、G-9をドーパントとして同時蒸着し、200Å厚に第4発光層(緑色)を形成した(ドーピング濃度3重量%)。
【0397】
前記第4発光層上に、ETL1及びLiQを1:1の重量比で共蒸着し、300Å厚の電子輸送層を形成した。
【0398】
続けて、Ybを10Å厚に蒸着した後、Ag及びMgを9:1の重量比で100Å厚に共蒸着し、カソードを形成することにより、タンデム(tandem)型発光素子を作製した。
【0399】
【0400】
【0401】
<比較例2>
前記第4発光層上に、化合物1-23を200Å厚に蒸着し、単一バッファ層を形成した後、電子輸送層を形成したことを除いては、比較例1と同等に発光素子を作製した。
【0402】
<比較例3>
前記第4発光層上に、化合物2-14を200Å厚に蒸着し、単一バッファ層を形成した後、電子輸送層を形成したことを除いては、比較例2と同等に発光素子を作製した。
【0403】
<比較例4>
前記第4発光層上に、化合物2-14を100Å厚に蒸着し、第1バッファ層を形成した後、続けて、化合物1-23を100Å厚に蒸着し、第2バッファ層を形成したことを除いては、比較例2と同等に発光素子を作製した。
【0404】
<実施例1>
前記第4発光層上に、化合物1-23を100Å厚に蒸着し、第1バッファ層を形成した後、続けて、化合物2-14を100Å厚に蒸着し、第2バッファ層を形成したことを除いては、比較例2と同等に発光素子を作製した。
【0405】
比較例1ないし4、及び実施例1で作製された発光素子の特性を評価するために、電流密度10mÅ/cm2における駆動電圧、効率、寿命を測定した。結果を表2に示した。
【0406】
発光素子の駆動電圧及び電流密度は、ソースメーター(2400シリーズ;Keithley Instrument社製)を利用して測定し、効率は、ハママツホトニクス社の測定装置C9920-2-12を使用して測定した。
【0407】
なお、発光層(緑色)のホスト化合物GH-1,GH-2、バッファ層化合物1-23,2-14、電子輸送層化合物ETL1のLUMOエネルギー値を下記表1に示した。
【0408】
【0409】
【0410】
前記表2において、G-EMLは、緑色発光層を意味する。
【0411】
実施例1の発光素子は、比較例1,3,4の発光素子対比で、駆動電圧が低いということが分かる。
【0412】
なお、輝度が高いほどに効率が低下する程度を見ると、実施例1の発光素子は、全ての比較例の発光素子に比べて、ロールオフ現象が改善されているということが分かる。
【0413】
実施例1は、2層のバッファ層を含み、第1バッファ層化合物のLUMOエネルギーの絶対値が、ホスト化合物のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、第2バッファ層化合物のLUMOエネルギーの絶対値が、電子輸送層化合物のLUMOエネルギーの絶対値より小さく、第2バッファ層化合物のLUMOエネルギーの絶対値が、第1バッファ層化合物のLUMOエネルギーの絶対値より小さい。
【0414】
比較例1は、バッファ層を含まず、比較例2,3は、単一バッファ層を含み、比較例4は、2層のバッファ層を含むが、化合物間のLUMOエネルギーの関係が前述の数式1ないし数式3をいずれも満足しない。
【0415】
好ましい一実施形態によると、下記のとおりである。
【0416】
本件の背景及び課題は下記(i)~(iv)のとおりである。
【0417】
(i) 従来技術によるリン光緑色発光層を含む発光素子の場合に下記の問題があることを見出すに至った。
(a) 励起子プロファイルは、正孔輸送領域の側に偏っており、そのため、「発光層と該正孔輸送領域との界面近辺で励起子が形成される」。([0010])
(b) また、「狭い再結合ゾーン(narrow recombination zone)が形成されるので」、「三重項・三重項消滅(TTA:triplet-triplet annihilation)発生により、ロールオフ(roll-off)現象が生じた。」([0011])
【0418】
(ii) 特許文献1では、蒸着工程にてマスクが画素電極の上側の層に損傷を与えるという問題に対処すべく、バッファ層のHOMOエネルギー順位を、各発光層のHOMOエネルギー順位よりも高く設定することが提案されている。また、バッファ層のLUMOエネルギー順位について、電子制御層のLUMOエネルギー順位と、発光層のLUMOエネルギー順位との間の値としうることが開示されている。
【0419】
(iii) また、例えば、特許文献2では、リン光緑色発光層を含む複数の発光層が重ね合わされた発光素子が開示されている。
(iv) しかし、特許文献1~2には、上記問題点を解決することについて、別段の開示や示唆が含まれておらず、上記問題点についての言及もない。
【0420】
本件発明は、好ましい一実施形態によると、下記A1~A3のとおりとする。また、下記A4~A10の少なくともいずれかとすることができる。
【0421】
A1 リン光緑色発光層を含む発光ユニットは、互いに順に直接に接触する、リン光緑色発光層、第1バッファ層、第2バッファ層、及び電子輸送層を含み、これらにそれぞれ含有される、ホスト化合物(H-1)、及び第1~3電子輸送性化合物(ET-1~ET-3)は、LUMOエネルギーの絶対値の大小関係が下記のとおりとする。
H-1>ET-1>ET-2<ET-3
【0422】
A2 隣接する層同士の間での上記化合物のLUMOエネルギーの差は、0.20eV以下であり、例えば、0.02eV以上、0.03eV以上、0.04eV以上、または0.05eV以上である。
【0423】
A3 また、上記4つの化合物のLUMOエネルギーの絶対値を、下記のとおりとする。
H-1 -2.5eV~-2.7eV
ET-1 -2.5eV~-2.8eV
ET-2 -2.1eV~-2.4eV
ET-3 -2.6eV~-2.8eV
【0424】
A4 リン光緑色発光層を含む発光ユニットは、互いに重ね合わされ得るのであり(例えば表1)、青色や赤色などの発光層を含む発光ユニットと重ね合わされうる。
【0425】
A5 リン光緑色発光層、第1バッファ層、第2バッファ層、及び電子輸送層において、H-1、ET-1、ET-2、及びET-3は、それぞれ、90モル%ないし30モル%で含まれ、より好ましくは、例えば、40モル%以上、50モル%以上、60モル%以上または70モル%以上で、かつ、95モル%以下、90モル%以下または85モル%以下で含まれる。
【0426】
A6 ET-1及びET-2は、一般化学式312-1ないし312-4、及び313のいずれかである。
【0427】
A7 ET-1は、ET-1-1~ET-1-23([0068]~[0069])から選択され、ET-2は、ET-2-1~ET-2-23([0071]~[0073])から選択される。
【0428】
A8 H-1は、HT1~HT46など([0130]~[0138])から選択される。
【0429】
A9 ET-3は、ET1~ET45など([0281]~[0285])から選択される
【0430】
A10 リン光緑色発光層にH-1とともに含まれるリン光ドーパントは、一般化学式402のものであり、PD1ないしPD25及びG-1ないしG-12(請求項17及び[0215]~[0219])から選択され、特には、G-1ないしG-12から選択される。