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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023024977
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】吹付け方法及び吹付けノズル
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/12 20060101AFI20230214BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230214BHJP
   B05B 7/32 20060101ALI20230214BHJP
   E04F 21/08 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
B05D1/12
B05D7/24 302A
B05D7/24 301G
B05D7/24 303B
B05D7/24 303G
B05B7/32
E04F21/08 T
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022174587
(22)【出願日】2022-10-31
(62)【分割の表示】P 2018169665の分割
【原出願日】2018-09-11
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 紘史
(72)【発明者】
【氏名】坂上 肇
(72)【発明者】
【氏名】池田 雄一
(57)【要約】
【課題】ロックウールの飛散を抑制することができる吹付け方法及び吹付けノズルを提供する。
【解決手段】吹付け装置は、吹付けノズル40と、この吹付けノズル40に接続されるRW供給管、スラリー供給管及びエア供給管を備える。吹付けノズル40は、円筒形状の吐出管41と、この吐出管41の外周に配置された円環状の接続部45とを備える。吐出管41に、スラリー供給管16の複数の噴出口46aを設ける。更に、吐出管41において、複数の噴出口46a同士を対向する位置に設ける。そして、複数の噴出口46aから噴出させたセメントスラリーと、ロックウールとを吐出管41の内部で混合した混合物を、吐出管41の吐出口41aから吐出させて吹付ける。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロックウールが供給される吐出管の周囲に、セメントスラリーが供給されるスラリー供給管の複数の噴出口が前記吐出管の吐出口を向くように、前記複数の噴出口を設け、前記吐出管の周囲に、ミストを噴霧する噴霧口を設けた吹付けノズルを用いて、
前記複数の噴出口から噴出させた前記セメントスラリーと、前記ロックウールとの混合物を、前記混合物の周囲を覆うように前記噴霧口から前記ミストを噴霧させた状態で、吐出させて吹付けることを特徴とする吹付け方法。
【請求項2】
前記吐出管に圧縮空気を供給して、前記圧縮空気により前記混合物を、前記吐出口から圧出させることを特徴とする請求項1に記載の吹付け方法。
【請求項3】
ロックウールが供給される吐出管を備え、前記吐出管に、セメントスラリーが供給されるスラリー供給管の複数の噴出口を設けた吹付けノズルであって、
前記吐出管の周囲に前記複数の噴出口を、前記スラリー供給管の複数の噴出口が前記吐出管の吐出口を向くように設け、
前記吐出管の周囲に、ミストを噴霧する噴霧口を設け、
前記複数の噴出口から噴出させた前記セメントスラリーと、前記ロックウールとの混合物を、前記混合物の周囲を覆うように前記噴霧口から前記ミストを噴霧させた状態で、吐出させて吹付けることを特徴とする吹付けノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロックウールを吹き付ける吹付け方法及びこれに用いる吹付けノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
建物の断熱材として、ロックウールを用いることがある。このロックウールは、セメントスラリーとともに、鉄骨や壁等の吹付け対象物に吹付けられる。ロックウールの吹付け方法には、乾式工法や半乾式工法がある。乾式工法では、ロックウールとセメントとを配合した材料をノズルに圧送して、ノズルから噴出させ、この混合材を噴霧した水で湿潤させながら吹付け対象物に吹付ける。また、半乾式工法では、水とセメントを予めスラリー槽で混合したセメントスラリーを、ロックウールと別々にノズルまで圧送して、吹付け対象物に吹付ける(例えば、特許文献1参照。)。この文献には、ロックウールを吐出する吐出管の先端外周にセメントスラリー噴霧チップを設けたノズルが記載されている。これにより、吐出管から吐出させたロックウールに、吐出管の周囲からセメントスラリーを供給する。そして、吐出管の外周において、セメントスラリーが供給されたロックウールを吹付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56-110858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半乾式工法では、ロックウールとセメントスラリーを別々に搬送するので、ノズルの先端まで材料を効率的に搬送することができる。しかし、半乾式工法では、ノズルから吐出されたロックウールの中で、セメントスラリーに付着しなかったロックウールが、吐出管の周囲に飛散することがある。このため、ロックウールの飛散を抑制するために、吹付け作業区域毎にシート等で養生囲いを行なう必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する吹付け方法は、ロックウールが供給される吐出管の周囲に、セメントスラリーが供給されるスラリー供給管の複数の噴出口が前記吐出管の吐出口を向くように、前記複数の噴出口を設け、前記吐出管の周囲に、ミストを噴霧する噴霧口を設けた吹付けノズルを用いて、前記複数の噴出口から噴出させた前記セメントスラリーと、前記ロックウールとの混合物を、前記混合物の周囲を覆うように前記噴霧口から前記ミストを噴霧させた状態で、吐出させて吹付ける。
【0006】
上記課題を解決する吹付けノズルは、ロックウールが供給される吐出管を備え、前記吐出管に、セメントスラリーが供給されるスラリー供給管の複数の噴出口を設けた吹付けノズルであって、前記吐出管の周囲に前記複数の噴出口を、前記スラリー供給管の複数の噴出口が前記吐出管の吐出口を向くように設け、前記吐出管の周囲に、ミストを噴霧する噴霧口を設け、前記複数の噴出口から噴出させた前記セメントスラリーと、前記ロックウールとの混合物を、前記混合物の周囲を覆うように前記噴霧口から前記ミストを噴霧させた状態で、吐出させて吹付ける。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロックウールの飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における吹付け装置の概略構成図。
図2】第1実施形態における吹付けノズルを説明する図であって、(a)はノズルの要部の斜視図、(b)は吐出方向側から見た側面図。
図3】第2実施形態における吹付け装置の概略構成図。
図4】第2実施形態における吹付けノズルを説明する要部の一部断面図。
図5】第3実施形態における吹付け装置の概略構成図。
図6】第4実施形態における吹付け装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、図1及び図2を用いて、吹付け方法及び吹付けノズルを具体化した第1実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の吹付け装置11の構成図である。図2(a)は、吹付け装置11の吹付けノズル30の要部の斜視図、図2(b)は、吹付けノズル30の吐出方向側から見た側面図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態の吹付け装置11は、吹付けノズル30、RW供給管15、スラリー供給管16及び水供給管17を備える。RW供給管15、スラリー供給管16及び水供給管17には、それぞれ、ロックウール、セメントスラリー、圧縮空気で圧送された水が供給される。吹付けノズル30には、RW供給管15、スラリー供給管16及び水供給管17が接続される。
【0012】
図2(a)に示すように、吹付けノズル30は、円筒形状の吐出管31と、この吐出管31の吐出口31a側の外周に設けられた噴霧部35とを備える。
吐出管31は、直径(内径)が50mmで、全長約14cmの鋼管で構成される。
吐出管31の内部(空間)31sには、スラリー供給管16の端部が挿入される。具体的には、吐出管31の管壁に設けた開口部31hにスラリー供給管16を挿入し、この開口部31hの周囲をシール等で密閉する。吐出管31の内部に挿入されたスラリー供給管16の端部は屈曲されており、その先端部が吐出管31の中心軸C1に、ほぼ沿う形状を有している。
【0013】
このスラリー供給管16の噴出口16aは、吐出管31の吐出口31aよりも(例えば20mm程度)上流側に配置される。
また、スラリー供給管16には、開閉弁を内蔵した供給制御部16cが設けられる。供給制御部16cは、ハンドルH1の操作に応じてセメントスラリーの供給及びこの供給の停止を制御する。
【0014】
吹付けノズル30の噴霧部35には、水供給管17が複数個所で接続されている。噴霧部35は、その外縁部の吐出方向側の側面が、5mm程度、吐出口31aよりも上流側に位置するように、吐出管31に設けられている。
【0015】
図2(b)に示すように、噴霧部35の外縁部の吐出方向側の側面には、複数(ここでは12個)の噴霧口37が等間隔で形成される。噴霧部35の内部には、各噴霧口37に対応してミスト発生部がそれぞれ区画されて、各ミスト発生部には水供給管17が接続される。そして、ミスト発生部は、圧縮空気によって高圧で搬送された水を、水供給管17よりも細い噴霧口37から噴出して、霧状の水(ミスト)を発生させる。なお、水供給管17には、水の供給及びこの供給の停止を制御する供給制御部(図示せず)が設けられている。
【0016】
一方、図1に示すように、吹付けノズル30の吐出管31の上流側には、RW供給管15が接続される。このRW供給管15は、エアーブロア22を介して解綿機21に接続される。解綿機21は、ロックウールを解繊・破砕して送り出す。本実施形態では、この解綿機21として、例えば、最大12kg/分の吐出能力の岩綿解綿機を用いる。そして、この解綿機21から送り出されたロックウールは、RW供給管15を介して、エアーブロア22により圧送され、吹付けノズル30の吐出管31に供給される。
【0017】
吐出管31の中央に端部が配置されたスラリー供給管16は、スラリー用ポンプ24を介して、スラリー槽23に接続される。スラリー槽23には、スラリーと水とが混合されて、スラリー濃度が25~40%となるセメントスラリーが収容される。具体的には、セメント:水=1:2の比率で混ぜた33.3%濃度のセメントスラリーを用いる。
スラリー用ポンプ24は、スラリー槽23のセメントスラリーを、スラリー供給管16を介して吹付けノズル30に供給する。本実施形態では、スラリー用ポンプ24として、最高圧力3.5Mpaで、吸水量3.5リットル/分のポンプを用いる。
【0018】
噴霧部35に接続された水供給管17は、水用ポンプ26を介して貯水タンク25に接続される。水用ポンプ26と吹付けノズル30の間には、コンプレッサー28が接続される。本実施形態では、コンプレッサー28として、制御圧力が0.8~1.0Mpaであり、吐出空気量が370リットル/分の圧縮機を用いる。これにより、水用ポンプ26により貯水タンク25から供給される水を、コンプレッサー28で圧縮された圧縮空気によって噴霧部35に供給し、噴霧部35の噴霧口37から高圧で噴霧して、ミストを発生させる。
【0019】
次に、上述した吹付け装置11の使用方法について説明する。
まず、解綿機21及びエアーブロア22を稼働させ、RW供給管15を介して、ロックウールR1を吐出管31の内部31sに供給する。また、スラリー用ポンプ24を稼働させるとともに供給制御部16cのハンドルH1を操作して、スラリー槽23から、スラリー供給管16を介して、セメントスラリーを吐出管31の内部31sに圧送する。これにより、吐出管31の内部31sにおいて、噴出口16aよりも下流側では、ロックウールR1とセメントスラリーとが同じ方向に送出される。そして、吐出管31の吐出口から、セメントスラリーとともにロックウールR1が噴出される。
【0020】
この場合、ロックウールR1とセメントスラリーとの配合比率が、ロックウール工業会の認定範囲内の配合比率(標準配合比)となるように、エアーブロア22の風量及びスラリー用ポンプ24の吐出量を調整する。ここでは、ロックウールR1の吐出量に対するセメントスラリーの吐出量が標準配合比となるように、スラリー用ポンプ24の回転数を調整する。更に、この標準配合比として、ロックウール:セメント=60%:40%(それぞれの許容範囲は±5%)を用いる。
【0021】
そして、セメントスラリー及びロックウールR1が、標準配合比で安定して吐出されるようになった場合に、水供給管17の供給制御部を操作して、ミストM1を噴霧する。具体的には、水用ポンプ26、コンプレッサー28を稼働させる。これにより、水供給管17を介して、圧縮空気とともに吹付けノズル30に供給された水は、細い噴霧口37から高圧で噴射されて、セメントスラリーが添加されたロックウールR1の周囲を覆うようにミストM1が噴霧される。
そして、作業者は、吹付けノズル30を把持して、鉄骨部材や壁等の吹付け対象物に向けて、セメントスラリーが添加されたロックウールR1を吹付ける。
【0022】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)本実施形態では、セメントスラリーが添加されたロックウールR1の周囲を覆うように、ミストM1を噴霧する。これにより、飛び散ったロックウールR1がミストM1により湿潤されて重くなるため、外部への飛散を抑制することができる。
【0023】
(1-2)本実施形態では、スラリー供給管16の噴出口16aの中心を、吐出管31の中心軸C1とほぼ合わせるように、スラリー供給管16の端部を配置する。これにより、吐出管31内でロックウールR1の存在領域の中央領域で、セメントスラリーを効率的に拡散させることができる。
【0024】
<第2実施形態>
以下、図3及び図4を用いて、吹付け方法及び吹付けノズルを具体化した第2実施形態を説明する。上記第1実施形態では、セメントスラリーが添加されたロックウールR1の外周にミストM1を噴霧した。本実施形態では、吹付けノズル内の上流側でロックウールR1とセメントスラリーとを混合する。以下の実施形態において、上記実施形態と同様な構成については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0025】
図3は、本実施形態の吹付け装置12の構成図であり、図4は、本実施形態の吹付けノズル40の要部の正面図である。
図3に示すように、本実施形態の吹付け装置12は、RW供給管15、スラリー供給管16及びエア供給管19が接続された吹付けノズル40を備える。エア供給管19は、コンプレッサー28に接続され、後述するロックウールR1とセメントスラリーとの混合物B1を圧送するための圧縮空気を供給する。本実施形態では、コンプレッサー28として、制御圧力が0.8~1.0Mpaであり、吐出空気量が370リットル/分の圧縮機を用いる。
【0026】
図4に示すように、吹付けノズル40は、円筒形状の吐出管41と、吐出管41の外周に配置された円環状の接続部45とを備える。
吐出管41は、直径(内径)が50mmで、全長約20cmの鋼管で構成される。この吐出管41の上流側には、RW供給管15が接続される。
【0027】
吐出管41の内部(空間)41sには、エア供給管19の端部が挿入される。具体的には、吐出管41の管壁に設けた開口部41hにエア供給管19を挿入し、この開口部41hの周囲をシール等で密閉する。吐出管41の内部に挿入されたエア供給管19の端部は屈曲されており、その先端部19aが吐出管41の中心軸C2に、ほぼ沿う形状を有している。また、エア供給管19には、ハンドルH1の操作に応じて圧縮空気の供給及びこの供給の停止を制御する供給制御部19cが設けられる。なお、エア供給管19は、図示しない部材を介して、スラリー供給管16の分岐部を支持する。
【0028】
スラリー供給管16は、複数(例えば4つ)に分岐された分岐管46を有する。4つの分岐管46は、接続部45に形成された導入部にそれぞれ接続される。各導入部は、360度の円環状の接続部45において、90度間隔で配置されている。そして、導入部の噴出口46aは、吐出方向で(下流側の)中心軸C2に向かって斜めに向かって設けられる。本実施形態では、対となる噴出口46aが、中心軸C2に対して線対称(180度=360度/2)の位置で、径方向の同一断面内に配置される。噴出口46aの吐出方向は、対向する噴出口46aの吐出方向と、中心軸C2上で交わるように、各噴出口46aを中心軸C2に対して同じ角度θ1で向ける。本実施形態では、この角度θ1としては、30度~60度の範囲で、例えば45度等を用いる。
【0029】
スラリー供給管16の噴出口46aは、第1実施形態における噴出口16aよりも上流側に位置する。具体的には、スラリー供給管16の噴出口46aは、吐出管41の吐出口41aよりも(例えば70mm程度)上流側に配置する。
【0030】
次に、本実施形態における吹付け方法を説明する。
まず、図3に示す解綿機21、エアーブロア22を稼働させて、ロックウールR1を吐出管41の内部41sに圧送する。また、スラリー用ポンプ24を稼働させて、スラリー供給管16の噴出口46aから、セメントスラリーを吐出管41の内部41sに供給する。
【0031】
この場合、図4に示すように、対となる噴出口46aが、垂直平面内で対向し、中心軸C2に対して同じ角度で配置されているため、吐出管41の径方向の圧力は相殺されて、吐出管41の中心軸C2の下流方向にセメントスラリーは圧送されることになる。
【0032】
そして、図3に示すように、吐出管41の内部41sで、ロックウールR1とセメントスラリーとが混合された混合物B1が生成され、吐出口41aから混合物B1が噴出される。この場合も、ロックウールR1とセメントスラリーとの配合比率が標準配合比となるように、スラリー用ポンプ24の吐出量を調整する。その後、コンプレッサー28を稼働させるとともに供給制御部19cのハンドルH1を操作して、エア供給管19を介して圧縮空気を吐出管41に供給して、混合物B1を圧送する。そして、作業者は、吹付けノズル30を把持して、吹付け対象物に向けて、混合物B1を吹付ける。
【0033】
従って、本実施形態によれば、上記(1-2)に記載の効果と同様な効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)本実施形態では、スラリー供給管16の複数の噴出口46aを、対向する位置となるように、吐出管41の内部41sに配置した。これにより、吐出管41の内部41sにて、セメントスラリーとロックウールR1とを十分に混合することができるので、ロックウールR1の飛散を抑制することができる。
【0034】
(2-2)本実施形態では、複数の噴出口46aを、中心軸C2に対して対称に対向させて、中心軸C2に対して同じ角度に向けて設けた。これにより、セメントスラリーを、吐出管41内で拡散させて、ロックウールと混合した混合物B1を生成することができる。
【0035】
(2-3)本実施形態では、吐出管41には、圧縮空気を供給するエア供給管19が接続される。これにより、吐出管41の内部41sにおいて、セメントスラリーと混合されて重くなったロックウールR1の混合物B1を圧送して、スムーズに吹付けることができる。
【0036】
<第3実施形態>
以下、図5を用いて、吹付け方法及び吹付けノズルを具体化した第3実施形態を説明する。上記第2実施形態では、ロックウールR1にセメントスラリーを、吐出管41の中央部で混合した。本実施形態では、吹付けノズル50の吐出管51内において、ロックウールR1を湿潤状態にした後、セメントスラリーとともに噴出する。
【0037】
図5に示すように、本実施形態の吹付け装置13は、RW供給管15、スラリー供給管16及び水供給管57が接続された吹付けノズル50を備える。
吹付けノズル50は、円筒形状の吐出管51を備える。この吐出管51の上流側には、吐出管31と同様に、ロックウールR1を供給するRW供給管15が接続されている。この吐出管51の内部(空間)51sには、スラリー供給管16の端部が配置されている。更に、この吐出管51には、スラリー供給管16よりも上流側において、水を供給する水供給管57の吐出口が接続される。この場合、圧縮空気を供給して、水を霧状にして供給してもよい。水供給管57は、水用ポンプ26を介して貯水タンク25に接続される。また、水用ポンプ26と吹付けノズル50との間には、コンプレッサー28が接続されている。
【0038】
本実施形態においても、上記実施形態と同様に、解綿機21、エアーブロア22を稼働させて、ロックウールR1を吐出管51の内部51sに圧送する。
更に、水用ポンプ26を稼働させて、水供給管57から水(ミスト)を、吐出管51の内部に供給する。これにより、吐出管51内のロックウールR1を湿潤させる。
【0039】
また、スラリー用ポンプ24を稼働させて、セメントスラリーを、スラリー供給管16を介して吐出管51の内部51sに供給する。そして、湿潤したロックウールR1と、セメントスラリーとの配合比率が標準配合比となるように供給量が調整されたセメントスラリーとを、吐出管51の吐出口51aから噴射して、吹付け対象物に吹付ける。
【0040】
従って、本実施形態によれば、上記(1-2)に記載の効果と同様な効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(3-1)本実施形態では、ロックウールR1に水を供給して、ロックウールR1を湿潤させた後、セメントスラリーとともに噴出させて、吐出管51から吐出する。これにより、吐出管51の内部51sにおいて、ロックウールR1が湿潤状態となり、ロックウールR1の飛散を抑制することができる。
(3-2)本実施形態では、ロックウールR1に、ミストで水を供給するため、広範囲に渡って、ロックウールR1を湿潤状態にすることができる。
【0041】
<第4実施形態>
以下、図6を用いて、吹付け方法及び吹付けノズルを具体化した第4実施形態を説明する。上記第3実施形態では、吹付けノズル50の吐出管51内において、ロックウールR1を湿潤した後、セメントスラリーとともに噴出した。本実施形態では、上記第3実施形態と同様に、ロックウールを湿潤した後、上記第1実施形態と同様に、セメントスラリーを供給したロックウールR1の周囲を覆うように、ミストM1を噴霧する。
【0042】
図6に示すように、本実施形態の吹付け装置14は、RW供給管15、スラリー供給管16及び水供給管67が接続された吹付けノズル60を備える。
吹付けノズル60は、円筒形状の吐出管61と、この吐出管61の吐出口側の外周に設けられた噴霧部65とを備える。この噴霧部65には、噴霧部35と同様に、水供給管67に接続される複数の噴霧口が等間隔で設けられている。
【0043】
吐出管61には、ロックウールR1を供給するRW供給管15が接続される。この吐出管61の内部(空間)61sには、スラリー供給管16の端部が配置される。スラリー供給管16の端部よりも上流側の吐出管61には、水を供給する水供給管67が接続されている。
【0044】
水供給管67の下流側は分岐しており、吹付けノズル60の吐出管61及び噴霧部65に接続される。水供給管67の上流側の端部は、水用ポンプ26を介して貯水タンク25に接続される。また、水用ポンプ26と吹付けノズル50との間には、コンプレッサー28が接続されている。
【0045】
本実施形態においても、上記実施形態と同様に、解綿機21、エアーブロア22を稼働させ、ロックウールR1を吐出管61の内部61sに圧送する。更に、水用ポンプ26及びコンプレッサー28を稼働させて、水供給管67の吐出口から水を、吐出管61の内部61sに供給する。これにより、吐出管61の内部61sにおいてロックウールR1が湿潤される。
【0046】
また、スラリー用ポンプ24を稼働させて、セメントスラリーを、スラリー供給管16を介して、吐出管61の内部61sに供給する。そして、湿潤させたロックウールR1とともに、標準配合比となる供給量のセメントスラリーを、吐出管61の吐出口61aから噴射する。
【0047】
更に、水供給管17の供給制御部を操作して、噴霧口からミストM1を、ロックウールR1の範囲を覆うように噴霧する。これにより、セメントスラリーが供給されたロックウールR1の周囲をミストM1によって覆った状態で吹付ける。
【0048】
従って、本実施形態によれば、上記(1-1)、(1-2)及び(3-1)に記載の効果と同様な効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(4-1)本実施形態では、ロックウールR1を湿潤状態にするための水と、セメントスラリーが供給されたロックウールR1の周囲を覆うように噴霧されるミストM1を生成する水は、水供給管67を介して、貯水タンク25から供給される。これにより、用途の違う水を同じ水供給管67を用いて供給するので、吹付け装置14の構成を簡素化することができる。
【0049】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記第1及び第4実施形態においては、噴出口16aを、吐出管31,61の内部31s,61sに配置した。噴霧されるミストM1が周囲を覆うのは、セメントスラリーが添加されたロックウールR1に限られない。例えば、第2実施形態のように、吐出管の内部においてロックウールR1とセメントスラリーとを混合し、混合物B1を吐出管41から吐出させる場合には、この混合物B1の周囲にミストを噴霧してもよい。また、従来技術のように、吐出管の吐出口の周囲にスラリー供給管の噴出口を設け、セメントスラリーをロックウールに重ねるように噴出する場合には、ロックウールの周囲を覆うようにミストを噴霧してもよい。
【0050】
・上記第1及び第4実施形態においては、噴霧部35,65に、12個の噴霧口37を等間隔で配置した。噴霧口の数や配置はこれに限定さない。例えば、周囲の状況に応じた飛散方向やミストM1の噴霧状況に応じて、噴霧口の数や配置を変更してもよい。この場合には、多様な数や配置の噴霧口を備え、吐出管に着脱可能な噴霧部のアタッチメントを準備してもよい。そして、噴霧状況に応じて、ロックウールの飛散を抑制できるアタッチメントを選択してもよい。更に、第2実施形態において、吐出管41の接続部45の吐出側に、ミストを噴霧する噴霧部を設けてもよい。
【0051】
・上記第2実施形態においては、スラリー供給管16の噴出口46aを、対となる噴出口46aと中心軸C2に対して線対称となるように設けた。スラリー供給管16の複数の噴出口46aは、吐出管41の内部41sにおいて対向する位置に配置すればよく、線対称に配置する場合に限られない。ここで、対向する位置とは、異なる噴出口から噴出されるスラリーの径方向成分が打ち消されるような位置を意味し、噴出口が2つ(偶数)の場合に限られない。例えば、n(>3)個の噴出口46aを〔360度/n〕の対称位置で配置してもよい。また、例えば、3つの噴出口を、対称位置でなく、供給したスラリーの径方向の圧力の少なくとも一部を打ち消すように配置してもよい。更に、一部の噴出口を、ロックウールR1の吐出方向にずらして配置してもよい。
・上記第2実施形態においては、スラリー供給管16の噴出口46aは、吐出管41に管壁に設けた。吐出管に噴出口46aを設ける構成は、吐出管41の管壁に設ける場合に限られない。例えば、スラリー供給管16の端部を、吐出管41内に突出させて、噴出口46aを、吐出管41の内部41sに設けてもよい。
【0052】
・上記第2実施形態においては、吐出管41の内部41sに、エア供給管19の端部を配置し、ロックウールとともに圧縮空気を吐出管41に供給した。吐出管にロックウールとともに圧縮空気を供給する構成は、これに限らない。例えば、上記第1、第3及び第4実施形態における吐出管31,51,61の上流側の端部に、RW供給管15とともにエア供給管19を接続してもよい。
【0053】
・上記各実施形態においては、作業者は、吹付けノズル30を持って、鉄骨部材や壁等の吹付け対象物に向けて、ロックウールR1にセメントスラリーを付着させて吹付ける。ロックウールの吹付けは、人手による場合に限られない。例えば、吐出管を、ロボットアーム等のノズル移動装置等に取り付けてもよい。この場合、吹付け対象面の全面に対してロックウールを吹付けるように、ノズル移動装置により吹付けノズルを移動(走査)させて、ロックウールの吹付けを行なう。
【0054】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(a)吐出管に供給されるロックウールを、セメントスラリーとともに吹付ける方法であって、
前記吐出管の吐出口の周囲から、前記吐出口から噴出させた前記ロックウールの周囲又は前記吐出管の内部で前記セメントスラリーと前記ロックウールとが混合された混合物の周囲を覆うようにミストを噴霧させた状態で、前記ロックウールを吹き付けることを特徴とする吹付け方法。
従って、この(a)に記載の発明によれば、吐出管から噴出させたロックウール又はロックウールの混合物の周囲を覆うように、ミストを噴霧するので、ロックウールがミストにより湿潤されて重くなるため、外部への飛散を抑制することができる。
【0055】
(b)前記吐出管の内部において、前記ロックウールに前記セメントスラリーを混合することを特徴とする上記(a)に記載の吹付け方法。
従って、この(b)に記載の発明によれば、吐出管内で、ロックウールをセメントスラリーと十分に混合させるので、ロックウールの飛散を低減することができる。
(c)前記吐出管の内部において、前記ロックウールに水を加えて湿潤状態とし、
この湿潤状態のロックウールに前記セメントスラリーを添加することを特徴とする上記(a)又は(b)に記載の吹付け方法。
従って、この(c)に記載の発明によれば、ロックウールを湿潤状態にした後、セメントスラリーを添加するので、ロックウールの飛散を抑制することができる。
【0056】
(d)ロックウールにセメントスラリーを添加して吹き付ける吹付けノズルであって、
セメントスラリーを供給するスラリー供給管を支持し、ロックウールが供給される吐出管と、
前記吐出管の吐出口の周囲から、前記吐出口から噴出させた前記ロックウール又は前記混合物の周囲を覆うように噴出されるミストを生成するミスト発生部とを備えることを特徴とする吹付けノズル。
従って、この(d)に記載の発明によれば、ロックウール又はロックウールとセメントスラリーを混合させた混合物の周囲を覆うように、ミストを噴霧するので、ロックウールがミストにより湿潤されて重くなるため、外部への飛散を抑制することができる。
(e)セメントスラリーが供給されるスラリー供給管が支持され、ロックウールが供給される吐出管の吐出口側の外周に着脱可能に設けられるアタッチメントであって、前記吐出管の内部において前記ロックウールと前記セメントスラリーとが混合されて前記吐出口から吐出される混合物の周囲、又は前記吐出口から吐出されるロックウールの周囲を覆うようにミストを噴霧する噴霧部が設けられていることを特徴とするアタッチメント。
従って、この(e)に記載の発明によれば、従来のロックウールの吹付けノズルの吐出口にアタッチメントを設けることにより、ロックウールの飛散を低減することができる。
【符号の説明】
【0057】
θ1…角度、B1…混合物、C1,C2…中心軸、H1…ハンドル、M1…ミスト、R1…ロックウール、11,12,13,14…吹付け装置、15…RW供給管、16…スラリー供給管、16a,46a…噴出口、16c,19c…供給制御部、17,57,67…水供給管、19…エア供給管、19a…先端部、21…解綿機、22…エアーブロア、23…スラリー槽、24…スラリー用ポンプ、25…貯水タンク、26…水用ポンプ、28…コンプレッサー、30,40,50,60…吹付けノズル、31,41,51,61…吐出管、31a,41a,51a,61a…吐出口、31h,41h…開口部、31s,41s,51s,61s…内部、35,65…噴霧部、37…噴霧口、45…接続部、46…分岐管。
図1
図2
図3
図4
図5
図6