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特開2023-25149低用量チオグアニンによるインビボ化学選択
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025149
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】低用量チオグアニンによるインビボ化学選択
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/52 20060101AFI20230214BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20230214BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
A61K31/52
A61K35/28
A61P7/00
A61P43/00 121
A61K9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192549
(22)【出願日】2022-12-01
(62)【分割の表示】P 2019527238の分割
【原出願日】2017-11-17
(31)【優先権主張番号】62/423,794
(32)【優先日】2016-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512010890
【氏名又は名称】シーエスエル ベーリング ジーン セラピー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】バートレット ジェフリー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ブレトン ルイス ランダル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】造血幹細胞移植後の幹細胞生着を増大させる方法を提供する。
【解決手段】1または複数用量の6TG(6-チオグアニン)をヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法であって、各用量における6TGの量が、幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲であり、任意のサイクルで投与される6TGの総量が7 mg/kgを超えない、前記方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数用量の6TGをヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法であって、
各用量における6TGの量が、幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲であり、任意のサイクルで投与される6TGの総量が7 mg/kgを超えない、前記方法。
【請求項2】
各用量における6TGの量が、約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
各用量における6TGの量が約0.4 mg/kg/日である、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項4】
1または複数用量の6TGが、(i)週に1回;(ii)隔週で;(iii)1週間の治療後2、3または4週間休み;(iv)2週間の治療後1、2、3または4週間休み;(v)3週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vi)4週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vii)5週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;および(viii)月に1回からなる群より選択されるサイクルを有するスケジュールで投与される、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
約3から約10用量の6TGが、1週から約4週の範囲の投与期間にわたってヒト患者に投与される、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
4または5用量の6TGが、14日の投与期間にわたって患者に投与される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
6TGの用量が、等しい期間、間隔を空けられる、請求項6記載の方法。
【請求項8】
6TGの用量が3日毎に行われる、請求項6記載の方法。
【請求項9】
各用量が同量の6TGを含む、請求項6記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの6TGの後続用量が、初回用量における6TGの量を上回る6TGの量を含む、請求項6記載の方法。
【請求項11】
ヒト患者への6TGの投与と幹細胞移植との間の期間が、約2週から約6週の範囲である、請求項1から3のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
投与される6TGの量が、測定されたHPRT-酵素活性レベルに基づく、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項13】
サイクルにおいて投与される6TGの総量が5 mg/kgを超えない、請求項1から4のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
(i)幹細胞移植前に骨髄抑制コンディショニング工程を実施する、骨髄抑制コンディショニング工程、
(ii)幹細胞移植後に移植後化学選択工程を実施する工程
を含む、骨髄保護を付与する方法であって、
移植後のコンディショニング工程が、1または複数用量の6TGを投与することを含み、1または複数用量のそれぞれが、約0.3 mg/kgから約0.5 mg/kgの範囲の6TGの量を含む、前記方法。
【請求項15】
6TGの量が約0.4 mg/kgである、請求項14記載の方法。
【請求項16】
移植後コンディショニング工程が、1週から約4週の範囲の投与期間にわたって行われ、かつ約3から約10用量の6TGが該投与期間にわたって投与され、かつ投与期間中の6TGの総用量が5 mg/kgを超えない、請求項14から15のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
4または5用量の6TGが14日間にわたって投与される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
各用量が同量の6TGを含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つの後続用量が、初回用量における6TGの量を上回る6TGの量を含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
約0.2mgから約0.6mgの範囲の量で存在する6TGと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、経口投与用の製剤。
【請求項21】
幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の投与量の6TGをヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法。
【請求項22】
投与量が約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
投与量が約0.4 mg/kg/日である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の投与量のプリン類似体をヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法。
【請求項25】
投与量が、約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、請求項24記載の方法。
【請求項26】
投与量が約0.4 mg/kg/日である、請求項25記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、その開示が参照によってその全体が本明細書に組み入れられる、2016年11月18日に出願された米国特許仮出願第62/423,794号の出願日の恩典を主張する。
【0002】
開示の分野
本開示は概して、医薬および生物工学の分野に関する。本開示は、ある特定の活性医薬成分を投与することによって骨髄保護を付与することに関する。本開示はまた、幹細胞生着前に活性医薬成分を投与することにも関する。
【0003】
産業上の利用可能性の記載
本開示は、医学および遺伝子治療の分野において産業上の利用可能性を有する。
【背景技術】
【0004】
背景
6-チオグアニン(6-TG)は、1950年代初頭に臨床に導入されており、抗がん活性と免疫抑制活性との両方を有するよく研究されたプリン類似体である。チオグアニンは、酵素ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTase)についてヒポキサンチンおよびグアニンと競合し、かつそれ自体6-チオグアニル酸(TGMP)に変換される。このヌクレオチドは、治療用量で高い細胞内濃度に到達する。TGMPは、グアニンヌクレオチドの合成を複数の点で妨げる。それは、プリンリボヌクレオチドのde novo経路に特有の第1の酵素であるグルタミン-5-ホスホリボシルピロリン酸アミドトランスフェラーゼの偽フィードバック(pseudo-feedback)阻害によってde novoプリン生合成を阻害する。TGMPはまた、酵素IMPデヒドロゲナーゼでの競合によってイノシン酸(IMP)のキサンチル酸(XMP)への変換も阻害する。かつては、TGMPは、ATP:GMPホスホトランスフェラーゼ(グアニル酸キナーゼ)の重要な阻害剤であるように思われたが、最近の結果は、これがそうではないことを示している。チオグアニル酸は、グアニンヌクレオチドを代謝する同じ酵素によって、二リン酸塩および三リン酸塩、チオグアノシン二リン酸(TGDP)およびチオグアノシン三リン酸(TGTP)(ならびにそれらの2’-デオキシリボシル類似体)へとさらに変換される。
【発明の概要】
【0005】
開示の概要
本開示の1つの局面は、1用量のチオプリンをヒト患者に投与する工程を含む、造血幹細胞移植後の幹細胞生着を増大させる方法である。いくつかの態様において、チオプリンは6TGである。いくつかの態様において、任意の投与サイクル内でのチオプリンの総用量は7 mg/kgを超えない。
【0006】
本開示の別の局面は、約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の6TGの投与量をヒト患者に投与する工程を含む、造血幹細胞移植後の幹細胞生着を増大させる方法である。いくつかの態様において、任意の投与サイクル内での6TGの総用量は、7 mg/kgを超えない。いくつかの態様において、投与サイクルは3から15用量を含む。
【0007】
本開示の別の局面は、幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の6TGの投与量をヒト患者に投与する工程を含む、HPRT野生型細胞を選択的に枯渇させる方法である。いくつかの態様において、投与量は約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である。いくつかの態様において、投与量は約0.4 mg/kg/日である。いくつかの態様において、投与量は、(i)週に1回;(ii)隔週で;(iii)1週間の治療後2、3または4週間休み;(iv)2週間の治療後1、2、3または4週間休み;(v)3週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vi)4週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vii)5週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;および(viii)月に1回からなる群より選択されるサイクルによるスケジュールで週に1から3回ヒト患者に投与される。
【0008】
いくつかの態様において、約3から約10投与量の6TGが、1週から約4週の範囲の投与期間にわたって患者に投与される。いくつかの態様において、4または5投与量の6TGが、14日間にわたって患者に投与される。いくつかの態様において、投与は等しい期間、間隔を空けられる。いくつかの態様において、後続の投与量は3日毎に行われる。いくつかの態様において、各投与量は同量の6TGを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの後続用量は、初回投与量における6TGの量を上回る6TGの量を含む。いくつかの態様において、サイクルは4、6、8、または10回繰り返される。いくつかの態様において、6TG投与と幹細胞移植との間の期間は約2週から約6週の範囲である。いくつかの態様において、期間は約3週から約4週の範囲である。
【0009】
いくつかの態様において、6TGの後続用量は、少なくとも1日の期間離される。いくつかの態様において、投与される6TGの量は、測定されたHPRT-酵素活性レベルに基づく。いくつかの態様において、投与される6TGの総量は5 mg/kgを超えない。
【0010】
本開示の別の局面は、(i)幹細胞移植の前に、選択的骨髄毒性を誘発するのに有効な量で6TGを投与する工程を含む骨髄抑制コンディショニング工程を実施する工程;および(ii)幹細胞移植後に移植後化学選択工程を実施する工程を含む、骨髄保護を付与する方法であり、移植後コンディショニング工程が、それぞれが約0.3 mg/kgから約0.5 mg/kgの範囲の6TGの量を含む1または複数用量の6TGを投与する工程を含む。いくつかの態様において、移植後化学選択工程は、1または複数回の投与サイクルにわたって6TGを投与する工程を含む。いくつかの態様において、任意の単一の投与サイクルにおける6TGの総用量は、6 mg/kgを超えない。いくつかの態様において、総用量は5 mg/kgを超えない。
【0011】
いくつかの態様において、移植後のコンディショニングのための6TGの量は約0.4 mg/kgである。いくつかの態様において、約3から約10用量の6TGが、1週から約4週の範囲の投与期間にわたって患者に移植後に投与される。いくつかの態様において、または5用量の6TGが、14日間にわたって患者に移植後に投与される。いくつかの態様において、移植後用量は、等しい期間、間隔を空けられる。いくつかの態様において、後続の移植後用量は3日毎に行われる。いくつかの態様において、各移植後投与量は、同量の6TGを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの後続の移植後用量は、初回用量での6TGの量を上回る6TGの量を含む。いくつかの態様において、サイクルは4、6、8、または10回繰り返される。いくつかの態様において、骨髄抑制コンディショニング工程における1用量当たり投与される6TGの量は、約0.8 mg/kgから約3 mg/kgの範囲である。いくつかの態様において、複数の用量、例えば、2から約15用量が骨髄抑制コンディショニング工程において提供され、ここで、各用量は約0.8 mg/kgから約3 mg/kgの6TGを含む。いくつかの態様において、同様の投与量および/または投与サイクルが、免疫抑制コンディショニング工程および移植後のコンディショニング工程の両方で利用される。いくつかの態様において、免疫抑制コンディショニング工程で用いられる投与量は、移植後のコンディショニング工程で用いられる投与量を上回る。
【0012】
本開示の別の局面は、ヒト患者に1または複数用量の6TGを投与する工程を含む、幹細胞生着を増大される方法であり、ここで、各用量における6TGの量は幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲であり、任意の投与サイクルにおいて投与される6TGの総量は7 mg/kgを超えない。いくつかの態様において、投与サイクルにおいて投与される6TGの総量は6 mg/kgを超えない。いくつかの態様において、投与サイクルにおいて投与される6TGの総量は5 mg/kgを超えない。いくつかの態様において、投与サイクルにおいて投与される6TGの総量は4.5 mg/kgを超えない。いくつかの態様において、各用量における6TGの量は約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である。いくつかの態様において、各用量における6TGの量は約0.4 mg/kg/日である。いくつかの態様において、約3および約10用量の6TGが、1週から約4週の範囲の投与期間にわたってヒト患者に投与される。いくつかの態様において、4または5用量の6TGが、14日の投与期間にわたって患者に投与される。いくつかの態様において、6TGの投与量は等しい期間、間隔を空けられる。いくつかの態様において、6TGの用量は隔日で、すなわち、2日毎に行われる。いくつかの態様において、6TGの用量は3日毎に行われる。いくつかの態様において、各投与量は同量の6TGを含む。いくつかの態様において、少なくとも1つの6TGの後続投与量は、初回投与量における6TGの量を上回る6TGの量を含む。いくつかの態様において、6TGのヒト患者への投与と幹細胞移植との間の期間は、約2週から約6週の範囲である。いくつかの態様において、投与される6TGの量は、測定されたHPRT-酵素活性レベルに基づく。
【0013】
本開示の別の局面は、約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の6TGの投与量をヒト患者に投与する工程を含む、造血幹細胞移植後の幹細胞生着を増大させる方法であるが、ここで、化学選択のための任意の単一の投与サイクルにおいて投与される6TGの総蓄積用量は7 mg/kgを超えない。
【0014】
本開示の別の局面は、約0.2 mgから約0.6 mgの範囲の量で存在する6TGと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む経口投与用の製剤である。
【0015】
本開示の別の局面は、約12 mgから約20 mgの範囲の量で存在する6TGと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む経口投与用の製剤である。いくつかの態様において、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤は、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ラクトース水和物、微結晶性セルロース、およびステアリン酸マグネシウム、ならびにそれらの組み合わせから選択される。いくつかの態様において、製剤は、6TGを含む即時放出部分および6TGを含む持続放出部分を含み、ここで、持続放出部分は、投与後約30分から約12時間の範囲の期間にわたって6TGの放出を可能にする。いくつかの態様において、持続放出部分における6TGの量は持続放出部分の重量で約50%から約75%の範囲である。いくつかの態様において、持続放出部分は、(i)ワックス、および(ii)コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、ステアリン酸、コハク酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸、酢酸、ギ酸、塩酸、硫酸、リン酸、親水性ポリマー、ポリエチレングリコール、pH依存性アクリレートポリマーまたはコポリマー、および細孔形成剤からなる群より選択されるマトリックス形成成分を含む。
【0016】
遺伝子改変造血幹細胞を用いる臨床的有効性は、移植細胞に選択上の利点を与えることに依存している。出願人は、そのような遺伝子改変造血幹細胞をインビボで選択する方法を開発した。いかなる特定の理論に拘束されることを望むものではないが、インビボでの選択は臨床上の必要性および臨床転帰に基づく投与を可能にし;臨床評価に基づき反復的かつ薬理学的に治療ウインドウにダイヤルイン(dial-in)できると考えられる。選択はある程度、骨髄毒性(少なくともHSC区画における)に基づく。しかしながら、動物において、HSC区画に影響する用量では、他の造血区画(リンパ系または骨髄系)の毒性はほとんどないかまたは全くない。このHSCに対する選択的毒性は、本開示の重要な局面であり、かつ種々の細胞型におけるHPRTレベルに基づく(HSCは高いHPRT活性を有する)が、TPMT(6TGを解毒する)レベル、またはプリン生合成の全体レベルにも関連し得る。
[本発明1001]
1または複数用量の6TGをヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法であって、
各用量における6TGの量が、幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲であり、任意のサイクルで投与される6TGの総量が7 mg/kgを超えない、前記方法。
[本発明1002]
各用量における6TGの量が、約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、本発明1001の方法。
[本発明1003]
各用量における6TGの量が約0.4 mg/kg/日である、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1004]
1または複数用量の6TGが、(i)週に1回;(ii)隔週で;(iii)1週間の治療後2、3または4週間休み;(iv)2週間の治療後1、2、3または4週間休み;(v)3週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vi)4週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vii)5週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;および(viii)月に1回からなる群より選択されるサイクルを有するスケジュールで投与される、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1005]
約3から約10用量の6TGが、1週から約4週の範囲の投与期間にわたってヒト患者に投与される、本発明1001から1003のいずれかの方法。
[本発明1006]
4または5用量の6TGが、14日の投与期間にわたって患者に投与される、本発明1005の方法。
[本発明1007]
6TGの用量が、等しい期間、間隔を空けられる、本発明1006の方法。
[本発明1008]
6TGの用量が3日毎に行われる、本発明1006の方法。
[本発明1009]
各用量が同量の6TGを含む、本発明1006の方法。
[本発明1010]
少なくとも1つの6TGの後続用量が、初回用量における6TGの量を上回る6TGの量を含む、本発明1006の方法。
[本発明1011]
ヒト患者への6TGの投与と幹細胞移植との間の期間が、約2週から約6週の範囲である、本発明1001から1003のいずれかの方法。
[本発明1012]
投与される6TGの量が、測定されたHPRT-酵素活性レベルに基づく、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1013]
サイクルにおいて投与される6TGの総量が5 mg/kgを超えない、本発明1001から1004のいずれかの方法。
[本発明1014]
(i)幹細胞移植前に骨髄抑制コンディショニング工程を実施する、骨髄抑制コンディショニング工程、
(ii)幹細胞移植後に移植後化学選択工程を実施する工程
を含む、骨髄保護を付与する方法であって、
移植後のコンディショニング工程が、1または複数用量の6TGを投与することを含み、1または複数用量のそれぞれが、約0.3 mg/kgから約0.5 mg/kgの範囲の6TGの量を含む、前記方法。
[本発明1015]
6TGの量が約0.4 mg/kgである、本発明1014の方法。
[本発明1016]
移植後コンディショニング工程が、1週から約4週の範囲の投与期間にわたって行われ、かつ約3から約10用量の6TGが該投与期間にわたって投与され、かつ投与期間中の6TGの総用量が5 mg/kgを超えない、本発明1014から1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
4または5用量の6TGが14日間にわたって投与される、本発明1016の方法。
[本発明1018]
各用量が同量の6TGを含む、本発明1016の方法。
[本発明1019]
少なくとも1つの後続用量が、初回用量における6TGの量を上回る6TGの量を含む、本発明1016の方法。
[本発明1020]
約0.2mgから約0.6mgの範囲の量で存在する6TGと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、経口投与用の製剤。
[本発明1021]
幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の投与量の6TGをヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法。
[本発明1022]
投与量が約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、本発明1021の方法。
[本発明1023]
投与量が約0.4 mg/kg/日である、本発明1022の方法。
[本発明1024]
幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の投与量のプリン類似体をヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法。
[本発明1025]
投与量が、約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、本発明1024の方法。
[本発明1026]
投与量が約0.4 mg/kg/日である、本発明1025の方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本開示は、改変幹細胞をインビボで選択する方法に関する。本開示はまた、6TG投与スケジュールにも関する。本開示はまた、6TGを含む経口製剤にも関する。
【0018】
本明細書で用いられる単数形の用語「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上他に明示されていない限り、複数への言及を含む。同様に、「または」という語は、文脈上他に明示されていない限り、「および」を含むことを意図する。
【0019】
明細書および特許請求の範囲においてここで用いられる場合、1つまたは複数の構成要素のリストに関して「少なくとも1つ」という記載は、構成要素のリスト中の構成要素の任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの構成要素を意味するが、構成要素のリスト内に具体的に挙げられたあらゆる構成要素の少なくとも1つを含む必要はなく、構成要素のリスト中の構成要素の任意の組み合わせを排除しないことが理解されるべきである。この定義はまた、「少なくとも1つ」という記載が言及する構成要素のリスト内に具体的に特定された構成要素以外の構成要素が、具体的に特定されたこれらの要素に関連してもしなくても、任意で存在してもよいことも認める。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または同様に、「AまたはBの少なくとも1つ」または同様に、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、1つの態様では、Bは存在しない(任意でB以外の構成要素を含む)、任意で2以上を含む、少なくとも1つのA;別の態様では、Aは存在しない(任意でA以外の構成要素を含む)、任意で2以上を含む、少なくとも1つのB;さらに別の態様では、任意で2以上を含む、少なくとも1つのA、および任意で2以上を含む少なくとも1つのB(および任意で他の要素を含む)などを指す可能性がある。
【0020】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」等の用語は互換的に用いられ、かつ同じ意味を有する。同様に、「含む(comprises)」、「含む(includes)」、および「有する(has)」等もまた互換的に用いられ、かつ同じ意味を有する。具体的には、これらの用語のそれぞれは、「含む(comprising)」の、コモン・ローである米国特許法(common United States patent law)の定義と一致するように定義され、したがって、「少なくとも以下」を意味する非限定用語であると解釈され、また追加の特徴、限定、局面等を排除しないと解釈される。よって、例えば、「構成成分a、b、およびcを有するデバイス」は、デバイスが少なくとも構成成分a、bおよびcを含むことを意味する。同様に、「工程a、b、およびc伴う方法」という記載は、方法が少なくとも工程a、b、およびcを含むことを意味する。さらに、工程およびプロセスは、本明細書において特定の順で概説され得るが、当業者は、工程およびプロセスの順序づけは変わる可能性があることを認識している。
【0021】
本明細書で用いられる「6TG」という用語は、6-チオグアニンおよびその薬学的に許容される塩、誘導体または類似体を指す。
【0022】
本明細書で用いられる「投与する」または「投与」という用語は、対象もしくは患者、プラセボ対象、研究対象、実験対象、細胞、組織、器官、または生体液に適用する場合、これらに限定されないが、外因性リガンド、試薬、プラセボ、低分子、薬学的剤、治療剤、診断剤、または組成物の対象、細胞、組織、器官、または生体液などとの接触を指す。「投与」は、例えば、治療、薬物動態、診断、研究、プラセボ、および実験的方法を指す可能性がある。細胞の処置は、細胞と試薬の接触、ならびに細胞と接触している液体と試薬の接触を包含する。「投与」はまた、例えば、試薬、診断用組成物、結合組成物、または別の細胞による、細胞のインビトロおよびエクスビボでの処置も包含する。
【0023】
本明細書で用いられる「造血細胞移植(hematopoietic cell transplant)」または「造血細胞移植(hematopoietic cell transplantation)」という用語は、骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍静脈血移植、または多能性造血幹細胞の任意の他の供給源を指す。同様に、「幹細胞移植片」または「移植片」という用語は、薬学的に許容される担体と接触させた(例えば、その中に懸濁させた)幹細胞を含む組成物を指す。そのような組成物は、カテーテルを通じて対象に投与することができる。
【0024】
本明細書で用いられる「HPRT」は、HPRT1遺伝子によってコードされるプリン代謝に関与する酵素である。HPRT1はX染色体上に位置しており、よって、男性では単一コピーで存在する。HPRT1は、5-ホスホリボシル1-ピロホスファートからプリンへ5-ホスホリボシル基を移すことによってヒポキサンチンのイノシン一リン酸への変換およびグアニンのグノシン一リン酸への変換を触媒するトランスフェラーゼをコードする。酵素は主に、プリン再合成で用いるために分解されたDNAからプリンをサルベージする働きをする(図5を参照)。
【0025】
本明細書で用いられる「対象」または「患者」という用語は、哺乳動物を含む脊椎動物を指す。ヒト、ホモサピエンスは、対象、または患者と見なされる。
【0026】
いくつかの態様において、本開示は、HPRTを発現する、幹細胞を含む細胞、すなわちHPRT野生型細胞を選択的に枯渇させる方法に関する。いくつかの態様において、方法は、1または複数用量の6TGを投与する工程を含み、ここで、1または複数用量のそれぞれは、ヒト患者におけるがんの処置で用いられる6TGの量より少ない6TGの量を含む。例えば、ヒト患者においてがんを処置するよう設計された投与量における6TGの量は、約2 mg/kgから約4 mg/kgの範囲であり得る。
【0027】
いくつかの態様において、方法は、1または複数用量の6TGを投与する工程を含み、ここで、1または複数用量のそれぞれは、がんを処置するように設計された投与量における6TGの量の少なくとも5分の1の6TGの量を含む。他の態様において、方法は、1または複数用量の6TGを投与する工程を含み、ここで、1または複数用量のそれぞれは、がんを処置するように設計された投与量における6TGの量の少なくとも10分の1の6TGの量を含む。さらに他の態様において、方法は、1または複数用量の6TGを投与する工程を含み、ここで、1または複数用量のそれぞれは、がんを処置するように設計された投与量における6TGの量の少なくとも15分の1の6TGの量を含む。さらなる態様において、方法は、1または複数用量の6TGを投与する工程を含み、ここで、1または複数用量のそれぞれは、がんを処置するように設計された投与量における6TGの量の少なくとも20分の1の6TGの量を含む。
【0028】
いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、約0.05から約1 mg/kg/日の範囲である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、約0.05から約0.8 mg/kg/日の範囲である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、約0.05から約0.7 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.1から約0.8 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.1から約0.7 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.2から約0.7 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.15から約0.75 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.2から約0.7 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.25から約0.65 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.3から約0.5 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.35から約0.55 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.4から約0.5 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.375 mg/kg/日から約0.425 mg/kg/日の範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.35 mg/kg/日である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.375 mg/kg/日である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.4 mg/kg/日である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.425 mg/kg/日である。他の態様において、インビボ化学選択のために投与される6TGの量は、約0.45 mg/kg/日である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、0.8 mg/kg/日未満である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、0.75 mg/kg/日未満である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、0.7 mg/kg/日未満である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、0.65 mg/kg/日未満である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、0.6 mg/kg/日未満である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たりに投与される6TGの量は、0.55 mg/kg/日未満である。いくつかの態様において、インビボ化学選択のために患者に1投与量当たり投与される6TGの量は、0.5 mg/kg/日未満である。
【0029】
いくつかの態様において、6TGの投与量は、(i)週に1回;(ii)隔週で;(iii)1週間の治療後2、3または4週間休み;(iv)2週間の治療後1、2、3または4週間休み;(v)3週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vi)4週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vii)5週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;および(viii)月に1回からなる群より選択されるサイクルによるスケジュールで週に1から3回、インビボ化学選択のためにヒト患者に投与される。
【0030】
いくつかの態様において、6TGの用量は毎日ヒト患者に投与される。いくつかの態様において、6TGの用量はヒト患者に隔日で投与される。他の態様において、6TGの用量は3日毎に患者に投与される。いくつかの態様において、6TGの用量は、約1週から約4週の範囲の期間にわたって3日毎に患者に投与される。他の態様において、6TGの用量は、約1週から約3週の範囲の期間にわたって3日毎に患者に投与される。いくつかの態様において、6TGの用量は、約2週から約4週の範囲の期間にわたって3日毎に患者に投与される。
【0031】
いくつかの態様において、インビボ化学選択は、1処置サイクル、すなわち、HPRTを発現する細胞を選択的に枯渇させるための処置サイクルを提供することを含む。他の態様において、インビボ化学選択は、1から約10処置サイクルを提供することを含む。他の態様において、インビボ化学選択は1から約8処置サイクルを提供することを含む。他の態様において、インビボ化学選択は、1から約6処置サイクルを提供することを含む。他の態様において、インビボ化学選択は、1から約4処置サイクルを提供することを含む。他の態様において、インビボ化学選択は、1から約2処置サイクルを提供することを含む。
【0032】
いくつかの態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約1から約15用量の範囲である。他の態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約2から約15用量の範囲である。他の態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約3から約15用量の範囲である。他の態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約3から約12用量の範囲である。他の態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約3から約10用量の範囲である。他の態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約3から約8用量の範囲である。他の態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約3から約6用量の範囲である。他の態様において、各処置サイクルで提供される用量の総数は、約3から約5用量の範囲である。
【0033】
いくつかの態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約1 mg/kgから約7 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約1 mg/kgから約6 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約1 mg/kgから約5 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約1.25 mg/kgから約5 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約1.5 mg/kgから約5 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約2 mg/kgから約5 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約2 mg/kgから約4.5 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約2.5 mg/kgから約4.5 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約2 mg/kgから約3 mg/kgの範囲である。他の態様において、インビボ化学選択のために1サイクル当たり投与される6TGの総量は、約3 mg/kgから約4 mg/kgの範囲である。
【0034】
いくつかの態様において、任意の単一のサイクルで提供される6TGの用量は全て、同量の6TGまたは異なる量の6TGを含んでもよい。いくつかの態様において、第1の量を有する初回用量の6TGに続いて、サイクルにおける少なくとも1つの6TGの後続用量は、第1の量を上回る6TGの量を含む。例えば、初回用量が約0.4 mg/kgの6TGを含む場合、サイクル内の第3の用量は0.5 mg/kgを含んでもよい。他の態様において、任意のサイクルにおける最初の2用量の6TGは第1の量の活性剤を含み、後続用量は、第1の量に対して増大した量の活性剤を含む。あるいは、他の態様において、任意のサイクルにおける最初の2用量の6TGは第1の量の活性剤を含み、後続用量は、第1の量に対して減少した量の活性剤を含む。いくつかの態様において、増大した量は、追加の0.05 mg/kg、0.075 mg/kg、または0.1 mg/kgである。いくつかの態様において、任意のサイクルにおける6TGの用量の半分は第1の量の6TGを含んでもよく、用量の残り半分は第1の量に対して増大した量である。例えば、サイクルにおける用量1、3および5は0.35 mg/kgの用量を含んでもよく、用量2および4は0.4 mg/kgの量を含んでもよい。
【0035】
当業者はまた、任意の単一のサイクルにおいて提供される総用量はサイクルによって異なる可能性があることも理解するであろう。例えば、第1のサイクルにおける6TGの総用量は約2 mg/kgであり得るが、第2のサイクル(または任意の後続サイクル)における総用量は第1のサイクルにおける総用量より25%多くてもよくまたは少なくてもよい。
【0036】
いくつかの態様において、1用量当たり投与される6TGの量は、患者のHPRT酵素活性の決定に基づく。当業者は、より高いレベルのHPRT酵素活性を示す患者はより低い量の6TGを有する用量で提供され得ることを理解するであろう。HPRTのレベルが高くなるにつれて、6TGの毒性代謝物への変換がより大きくなる。したがって、同じ目標を達成するためにはより低い用量を投与する必要があることになる。
【0037】
6TGコンディショニング開始前のTPMT遺伝子型および/またはTPMT酵素活性の測定は、TPMT酵素活性が低いまたは該活性が存在しない個体を特定し得る。したがって、他の態様において、投与される6TGの量は、チオプリンS-メチルトランスフェラーゼ(TPMT)レベルまたはTPMT遺伝子型に基づく。
【0038】
いくつかの態様において、後続サイクルは、同じもしくは異なる数の用量の6TG、または1用量当たり同じもしくは異なる量の6TGを含んでもよい。例えば、第1のサイクルは5種類の別々の6TG用量を含んでもよく、第2のサイクルは6種類の別々の6TG用量を含んでもよい。別の例として、第1のサイクルにおける各用量は0.4 mg/kg/日の6TGを含んでもよく、第2のサイクルにおける各用量は0.45 mg/kg/日の6TGを含んでもよい。
【0039】
いくつかの態様において、インビボ選択のための6TGの投与は、幹細胞移植に続いて行われる。いくつかの態様において、6TGは、幹細胞移植の約2から約12週後に投与される。他の態様において、6TGは、幹細胞移植の約3から約8週後に投与される。他の態様において、6TGは、幹細胞移植の約2から約6週後に投与される。他の態様において、6TGは、幹細胞移植の約3から約6週後に投与される。
【0040】
いくつかの態様において、インビボ化学選択のための6TGの投与は、幹細胞移植の少なくとも1日後に行われる。他の態様において、インビボ化学選択のための6TGの投与は、幹細胞移植の約1日から約90日後に行われる。他の態様において、インビボ化学選択のための6TGの投与は、幹細胞移植の約1日から約45日後に行われる。他の態様において、インビボ化学選択のための6TGの投与は、幹細胞移植の約1日から約30日後に行われる。他の態様において、インビボ化学選択のための6TGの投与は、幹細胞移植の約1日から約20日後に行われる。他の態様において、インビボ化学選択のための6TGの投与は、幹細胞移植の約1日から約14日後に行われる。他の態様において、インビボ化学選択のための6TGの投与は、幹細胞移植の約1日から約7日後に行われる。
【0041】
製剤
本開示の別の局面は、チオプリン、6TG、または他のプリン類似体を含む投与のための製剤であり、ここで、活性剤は約12 mgから約20 mgの範囲の量で存在する。
【0042】
本開示の製剤は、これらに限定されないが、希釈剤、結合剤、潤滑剤、崩壊剤、着香剤、矯味剤、着色剤、pH調整剤、安定剤、吸収促進剤、粘度調整剤、膜形成ポリマー、充填剤、界面活性剤、流動促進剤、可塑剤、保存剤、精油および甘味剤を含む、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい。
【0043】
当業者は、製剤に適した賦形剤または賦形剤の混合物を選択することができる。概して、任意の製剤内に含まれる任意の薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または添加剤の量は、所望の作用、投与の経路、最終剤形の形態によって異なる可能性がある。しかしながら、概して、製剤と共に製剤化される薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または添加物の総量は、製剤の総重量で約1%から約99%の範囲であり得る。他の態様において、製剤と共に製剤化される薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または添加物の総量は、組成物の総重量で約1%から約90%の範囲であり得る。他の態様において、製剤と共に製剤化される薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または添加物の総量は、製剤の総重量の約1%から約80%の範囲であり得る。さらに他の態様において、組成物内の薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または添加物の総量は、製剤の総重量で約1%から約50%の範囲であり得る。他の態様において、組成物と共に製剤化される薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または添加物の総量は、製剤の総重量で約5%から約50%の範囲であり得る。単に例示として、製剤は、組成物のいずれかと薬学的に許容される賦形剤、担体、および/または添加剤との50:50混合物を含んでもよい。
【0044】
いくつかの態様において、6TGの量と薬学的に許容される賦形剤または担体の量との比率は、約100:1から約1:100の範囲である。いくつかの態様において、6TGの量と薬学的に許容される賦形剤または担体の量との比率は、約50:1から約1:50の範囲である。いくつかの態様において、6TGの量と薬学的に許容される賦形剤または担体の量との比率は、約25:1から約1:25の範囲である。いくつかの態様において、組成物の量と薬学的に許容される賦形剤または担体の量との比率は、約10:1から約1:10の範囲である。いくつかの態様において、組成物の量と薬学的に許容される賦形剤または担体の量との比率は、約5:1から約1:5の範囲である。
【0045】
本開示による製剤の対象への投与は、標的組織がその経路を介して利用可能である限り、任意の通常の経路を介してもよい。製剤は、投与量単位形態で簡便に提示されてもよく、かつ薬学の分野において周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。全ての方法は、活性医薬成分(例えば、チオプリン、6TGまたは別のプリン類似体)を賦形剤または担体と会合させる工程を含む。概して、製剤は、活性構成成分を液体担体もしくは微細固体担体またはそれら両方と均一かつ完全に会合させ、次いで、必要であれば、生成物を所望の投与形態に成形することによって調製される。本明細書において想定される製剤では、活性構成成分は、所望の薬理作用を生じるのに十分な量で含まれる。
【0046】
製剤は概して、それぞれが所定量の活性構成成分を含有する、硬カプセルもしくは軟カプセル、錠剤、トローチ剤もしくはロゼンジ剤などの別個の単位の形態で;分散性粉末剤もしくは顆粒剤の形態で;水性液体もしくは非水性液体での溶液または懸濁物の形態で;シロップ剤もしくはエリキシル剤の形態で;または水中油型乳剤もしくは油中水型乳剤の形態で提供され得る。そのような固体投与形態では、製剤は、少なくとも1つの薬学的に許容される、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの賦形剤または担体、および/または(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの注入剤もしくは増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴムなどの結合剤、(c)グリセロールなどの保湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、(e)パラフィンなどの溶解遅延剤(solution retarding agent)、(f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、(g)例えば、アセチルアルコールおよびグリセロールモノステアラートなどの湿潤剤、(h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸着剤、および(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物などの滑沢剤と混合され得る。カプセル剤、錠剤およびピル剤では、投与形態は、緩衝化剤も含み得る。
【実施例0047】
実施例1
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与された6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを、13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。任意の後続サイクルは2週間、間隔を空けた。
【0048】
任意の後続サイクル:6TGを、13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0049】
実施例2
2ラウンドの用量の6TGを、幹細胞移植後の化学選択のために投与した。
【0050】
ラウンド1は、以下に記載のような3サイクルを含んだ。
【0051】
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを、13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0052】
サイクル2:サイクル2を、第1のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを、13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0053】
サイクル3:サイクル2を、第2のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを、13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0054】
ラウンド2は、以下に記載のような3サイクルを含んだ。ラウンド1および2は2週間離した。
【0055】
サイクル4:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0056】
サイクル5:サイクル2を、第1のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0057】
サイクル6:サイクル2を、第2のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを、13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0058】
実施例3
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを19日間にわたって0.3 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.1 mg/kgであった。任意の後続サイクルは2週間、間隔を空けた。
【0059】
任意の後続サイクル:6TGを19日間にわたって0.3 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.1 mg/kgであった。
【0060】
実施例4
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを19日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.8 mg/kgであった。任意の後続サイクルは2週間、間隔を空けた。
【0061】
任意の後続サイクル:6TGを19日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.8 mg/kgであった。
【0062】
実施例5
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。任意の後続サイクルは2週間、間隔を空けた。
【0063】
任意の後続サイクル:6TGを19日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.8 mg/kgであった。
【0064】
実施例6
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの総量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを19日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.8 mg/kgであった。任意の後続サイクルは2週間、間隔を空けた。
【0065】
任意の後続サイクル:6TGを19日間にわたって0.3 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.1 mg/kgであった。
【0066】
実施例7
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを19日間にわたって0.3 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計7用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2.1 mg/kgであった。任意の後続サイクルは2週間、間隔を空けた。
【0067】
任意の後続サイクル:6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0068】
実施例8
2ラウンドの6TGによる処置を、幹細胞移植後の化学選択のために患者に提供した。2ラウンドの化学選択後、追加の幹細胞移植を実行した。この方法では、第2のラウンドの化学選択は、移植細胞の生着を増大させる役割を果たすだけではなく、第2の幹細胞移植のために患者をプレコンディショニングする役割も果たした。
【0069】
ラウンド1は以下に記載のような3サイクルを含んだ。
【0070】
サイクル1:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0071】
サイクル2:サイクル2を第1のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0072】
サイクル3:サイクル2を第2のサイクルの休止の2週間後開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.6 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は3 mg/kgであった。
【0073】
ラウンド2は以下に記載のような3サイクルを含んだ。ラウンド1および2は2週間離した。
【0074】
サイクル4:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0075】
サイクル5:サイクル2を第1のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0076】
サイクル6:サイクル2を第2のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0077】
第2の幹細胞移植:第2の幹細胞移植を第6のサイクルの終了後2週で実行した。第2の幹細胞移植後2日目に、追加の2ラウンドの6TGによる化学選択を開始した。
【0078】
ラウンド3は以下に記載のような3サイクルを含んだ。
【0079】
サイクル7:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0080】
サイクル8:サイクル2を第1のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0081】
サイクル9:サイクル2を第2のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0082】
ラウンド4は以下に記載のような3サイクルを含んだ。ラウンド3および4は2週間離した。
【0083】
サイクル10:移植後2日目に6TGを患者に投与した。投与した6TGの量は0.4 mg/kgであった。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0084】
サイクル11:サイクル2を第1のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0085】
サイクル12:サイクル2を第2のサイクルの休止の2週間後に開始した。次いで、6TGを13日間にわたって0.4 mg/kg/日の量で3日毎に再び投与した。合計5用量の6TGを投与し、投与した6TGの総量は2 mg/kgであった。
【0086】
さらなる態様
1. 幹細胞移植後に約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の6TGの投与量をヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法。
2. 投与量が約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、態様1に記載の方法。
3. 投与量が約0.4 mg/kg/日である、態様2記載の方法。
4. (i)週に1回;(ii)隔週で;(iii)1週間の治療後2、3または4週間休み;(iv)2週間の治療後1、2、3または4週間休み;(v)3週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vi)4週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vii)5週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;および(viii)月に1回からなる群より選択されるサイクルでのスケジュールで、週に1から3回、投与量がヒト患者に投与される、態様1記載の方法。
5. 約3から10投与量の6TGが、1週から約4週の範囲の投与期間にわたって患者に投与される、態様1記載の方法。
6. 4または5投与量の6TGが14日間にわたって患者に投与される、態様5記載の方法。
7. 投与量が等しい期間、間隔を空けられる、態様6記載の方法。
8. 後続の投与量が3日毎に行われる、態様7記載の方法。
9. 各投与量が同量の6TGを含む、態様6記載の方法。
10. 少なくとも1つの後続用量が、初回投与量における6TGの量を上回る6TGの量を含む、態様6記載の方法。
11. サイクルが4、6、8、または10回繰り返される、態様3記載の方法。
12. ヒト患者への6TGの投与と幹細胞移植との間の期間が、約2週から約6週の範囲である、態様1記載の方法。
13. 期間が約3週から約4週の範囲である、態様5記載の方法。
14. 6TGの後続用量が、少なくとも1日の期間離される、態様1記載の方法。
15. 投与される6TGの量が、測定されたHPRT-酵素活性レベルに基づく、態様1記載の方法。
16. 投与される6TGの総量が5 mg/kgを超えない、態様4記載の方法。
17. (i)1または複数投与量の6TGを投与して選択的骨髄毒性を誘発させる工程を含む骨髄抑制コンディショニング工程を幹細胞移植前に実施する工程;および(ii)幹細胞移植後に移植後化学選択工程を実施する工程を含む、骨髄保護を付与する方法であって、移植後のコンディショニング工程が、それぞれが約0.3 mg/kgから約0.5 mg/kgの範囲の6TGの量を含む1または複数投与量の6TGを投与することを含む、前記方法。
18. 6TGの量が約0.4 mg/kgである、態様17記載の方法。
19. 約3から約10投与量の6TGが、1週から約4週の範囲の投与期間にわたって患者に投与される、態様17記載の方法。
20. 4または5投与量の6TGが、14日間にわたって患者に投与される、態様19記載の方法。
21. 投与量が等しい期間、間隔を空けられる、態様20記載の方法。
22. 後続の投与量が3日毎に行われる、態様21記載の方法。
23. 各投与量が同量の6TGを含む、態様19記載の方法。
24. 少なくとも1つの後続用量が、初回投与量における6TGの量を上回る6TGの量を含む、態様19記載の方法。
25. サイクルが4、6、8、または10回繰り返される、態様19記載の方法。
26. 約12 mgから約20 mgの範囲の量で存在する6TGと、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、経口投与用の製剤。
27. 少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤が、アルファ化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ラクトース水和物、微結晶性セルロース、およびステアリン酸マグネシウム、ならびにそれらの組み合わせから選択される、態様26記載の製剤。
28. 製剤が、6TGを含む即時放出部分および6TGを含む持続放出部分を含み、かつ持続放出部分が、投与後約30分から約12時間の範囲の期間にわたる6TGの放出を可能にする、態様26記載の製剤。
29. 持続放出部分における6TGの量が、持続放出部分の重量で約50%から約75%の範囲である、態様28記載の製剤。
30. 持続放出部分が、(i)ワックス、および(ii)コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、ステアリン酸、コハク酸、乳酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルコン酸、酢酸、ギ酸、塩酸、硫酸、リン酸、親水性ポリマー、ポリエチレングリコール、pH依存性アクリレートポリマーまたはコポリマー、および細孔形成剤からなる群より選択されるマトリックス形成成分を含む、態様28記載の製剤。
31. 幹細胞移植後に、約0.2 mg/kg/日から約0.6 mg/kg/日の範囲の投与量のプリン類似体をヒト患者に投与する工程を含む、幹細胞生着を増大させる方法。
32. 投与量が、約0.3 mg/kg/日から約0.5 mg/kg/日の範囲である、態様31記載の方法。
33. 投与量が約0.4 mg/kg/日である、態様32記載の方法。
34. (i)週に1回;(ii)隔週で;(iii)1週間の治療後2、3または4週間休み;(iv)2週間の治療後1、2、3または4週間休み;(v)3週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vi)4週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;(vii)5週間の治療後1、2、3、4または5週間休み;および(viii)月に1回からなる群より選択されるサイクルでのスケジュールで、週に1から3回、投与量がヒト患者に投与される、態様31記載の方法。
35. 約3から約10投与量のプリン類似体が、1週から約4週の範囲の投与期間にわたって患者に投与される、態様31記載の方法。
36. 4または5投与量のプリン類似体が、14日間にわたって患者に投与される、態様35記載の方法。
37. 投与量が等しい期間、間隔を空けられる、態様36記載の方法。
38. 後続の投与量が3日毎に行われる、態様37記載の方法。
39. プリン類似体が6TGである、態様31記載の方法。
40. 約8 mgから約240 mgの範囲の量で存在するプリン類似体と、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤とを含む、製剤。
41. 前記量が約12 mgから約20 mgである、態様40記載の製剤。
42. プリン類似体が6TGである、態様40記載の製剤。
43. 固体投与形態である、態様40記載の製剤。
44. 液体投与形態である、態様40記載の製剤。
【0087】
本明細書で言及されるおよび/または出願データシートに列記される、米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物は、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。態様の局面は、一層さらなる態様を提供するために種々の特許、出願および公開の概念を採用するのに必要であれば、改変され得る。
【0088】
本開示は、いくつかの例示的態様に関して記載されているが、本開示の原理の精神および範囲の範囲内に属する多数の他の改変および態様が、当業者によって想定され得ることが理解されるべきである。より具体的には、前述の開示、図面、および添付の特許請求の範囲の範囲内の、対象の組み合わせの構成の構成成分の一部および/または構成において、本開示の精神から逸脱することなく、合理的な変更および改変が可能である。構成成分の一部および/または構成における変更および改変に加えて、代替の使用も当業者に明らかであろう。