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特開2023-25182T細胞レセプター及びT細胞抗原の同定及び特徴決定のための遺伝子操作された多成分システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025182
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】T細胞レセプター及びT細胞抗原の同定及び特徴決定のための遺伝子操作された多成分システム
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20230214BHJP
   C12N 5/0781 20100101ALI20230214BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20230214BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20230214BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230214BHJP
   C40B 50/06 20060101ALI20230214BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20230214BHJP
   C40B 40/06 20060101ALN20230214BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20230214BHJP
【FI】
C12N15/63 Z ZNA
C12N5/0781
C12N5/0784
C12N5/0786
C12N5/10
C40B50/06
C12N15/12
C40B40/06
C12N5/0783
【審査請求】有
【請求項の数】47
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193623
(22)【出願日】2022-12-02
(62)【分割の表示】P 2019546059の分割
【原出願日】2017-11-07
(31)【優先権主張番号】PA201670872
(32)【優先日】2016-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(71)【出願人】
【識別番号】519162570
【氏名又は名称】ジェノヴィー エービー
【氏名又は名称原語表記】GENOVIE AB
【住所又は居所原語表記】Forskargatan 20 C,151 36 Sodertalje,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100189429
【弁理士】
【氏名又は名称】保田 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ジャーヴィス,リーガン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ヒル,ライアン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ペース,ルーク ベンジャミン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】共通の及び新生の病原体に有効なワクチンを開発する系統的アプローチの提供。
【解決手段】遺伝子操作抗原提示細胞(eAPC)(成分A)と、被分析物抗原提示複合体(aAPX)及び/又は被分析物抗原性分子(aAM)をコードする1又は2以上のORFの送達用遺伝子ドナーベクター(成分C)で、成分Aがa.aAPX及び/又はaAMの少なくとも1つのファミリーの内因性表面発現を欠き、b.各々が少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFの組込みのための少なくとも2つのリコンビナーゼ媒介交換(RMCE)用のゲノム受容部位(成分B及び成分D)を含有し、成分Cが成分Bにマッチし、c.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF又は、d.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORFを送達するように設計された、多成分システムとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分が遺伝子操作抗原提示細胞(eAPC)(成分Aと呼ぶ)であり、第2の成分が被分析物 抗原提示複合体(aAPX)及び/又は被分析物 抗原性分子(aAM)をコードする1又は2以上のORFの送達用の一対の遺伝子ドナーベクター(成分C及びEと呼ぶ)である多成分システ
ムであって、
成分Aが
a.aAPX及び/又はaAMの少なくとも1つのファミリーの内因性表面発現を欠くように遺伝子操作されており及び/又は選択され、
b.各々が少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFの組
込みのための少なくとも2つのゲノム受容部位(成分B及び成分Dと呼ぶ)を含有し、
成分C及びEがそれぞれ成分B及びDにマッチし、
c.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF又は
d.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORF
を送達するように設計されており、
ゲノム受容部位B及びDはリコンビナーゼ媒介交換(RMCE)用に設計されている合成構築物である、多成分システム。
【請求項2】
前記ORFがBゲノム受容部位に安定的に組み込まれることができ、aAPX及び/又はaAMが発
現されるように、c及び/又はdが組込みの選択マーカーをコードしていてもいなくても
よい、請求項1に記載の多成分システム。
【請求項3】
更なる成分(Eと呼ぶ)がDとマッチした遺伝子ベクターであり、成分Eが
a.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF、又は
b.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORF
を送達するように設計されており、
前記ORFがDゲノム受容部位に安定的に組み込まれることができ、aAPX及び/又はaAMが発
現されるように、a及び/又はbが任意に組込みの選択マーカーをコードしていてもよい
、請求項1又は2に記載の多成分システム。
【請求項4】
1又は2以上の追加のゲノム受容部位及びマッチする遺伝子ドナーベクターが追加成分として付加されている請求項1~3のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項5】
aAPXが以下:
a.HLAクラスIの1又は2以上のメンバー
b.HLAクラスIIの1又は2以上のメンバー
c.1又は2以上の非HLA抗原提示複合体、又は
d.a、b及びcのいずれかの組合せ
のいずれかであり得る、請求項1~4のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項6】
aAMが以下:
a.被分析物抗原として提供されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
b.被分析物抗原として提供されるポリペプチドに由来するペプチド
c.被分析物抗原として提供されるペプチド
d.被分析物抗原として提供される代謝物
e.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
f.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチドに由来するペプチド
g.成分Aプロテオームの変更に由来するペプチド
h.成分Aプロテオームの変更に由来するポリペプチド
i.成分Aメタボロームの変更に由来する代謝物
及び/又はそれらの組合せ
から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項7】
成分B及び/又はDが以下の遺伝子エレメント:
a.異種特異的リコンビナーゼ部位
b.相同性アーム
c.真核生物プロモーター
d.真核生物条件付き調節エレメント
e.真核生物ターミネーター
f.選択マーカー
g.スプライスアクセプター部位
h.スプライスドナー部位
i.非タンパク質コーディング遺伝子
j.インスレーター
k.可動遺伝子エレメント
l.メガヌクレアーゼ認識部位
m.内部リボソーム進入部位(IRES)
n.ウイルス性自己切断ペプチドエレメント
o.コザックコンセンサス配列
の少なくとも1つを含んでなる、請求項1~6のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項8】
成分B及び/又はDが単一ORFのRMCE組込み用であり、以下:
a.真核生物プロモーター
b.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
c.コザックコンセンサス配列
d.選択マーカー
e.真核生物ターミネーター
を含んでなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項9】
成分Eが存在し、成分C及び/又はEが単一ORFのRMCE組込み用であり、以下の遺伝子エレメント:
a.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
b.コザックコンセンサス配列
c.抗生物質耐性カセット
d.細菌性複製起点
e.1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする単一ORFの導入用のクローニング部位
を含んでなる、請求項3~8のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項10】
成分C及び/又はEが、成分C'及び/又はE'が得られるように少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFと組み合わされている、請求項3~9のいず
れか1項に記載の多成分システム。
【請求項11】
組合せが成分C'及び/又はE'のライブラリーを得るために複数回行われている、請求項
10に記載の多成分システム。
【請求項12】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-pがaAPXを細胞表面で発現するように、成
分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORFを成分B及び/又はDに組み込んで細胞(eAPC-pと呼ぶ)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、請求項10又は11に記載の多成分システム。
【請求項13】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-aがaAMを細胞表面又は細胞内で発現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAM ORFを成分B及び/又はD
に組み込んで、細胞(eAPC-aと呼ぶ)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、請求項10又は11に記載の多成分システム。
【請求項14】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発
現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORF及び/又は1又は2以上のaAMを成分B及び/又はDに組み込んで細胞(eAPC-paと呼ぶ)を得るために、
成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、請求項10又は11に記載の多成分システム。
【請求項15】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現
するように、成分C'又はE'にコードされる1又は2以上のaAM ORFを成分B又はDに組
み込んで細胞(eAPC-paと呼ぶ)を得るために、eAPC-pと組み合わされており、ここで、成
分B又はDは成分B'又はD'となる、請求項12に記載の多成分システム。
【請求項16】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現
するように、成分C'又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORFを成分B又はDに組み込んで細胞(eAPC-paと呼ぶ)を得るために、eAPC-aと組み合わされており、成分B又は
Dは成分B'又はD'となる、請求項13に記載の多成分システム。
【請求項17】
a.成分Aを成分C'及び/又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合
わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAPXをコー
ドし、及び
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つ
を含んでなる、請求項12に規定されるeAPC-pを製造する方法。
【請求項18】
b、c及びdを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が単一のaAPXをコードする、請求項17又は18に
記載の方法。
【請求項20】
離散的及び規定されたeAPC-pのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程aが、別異のeAPC-pが得られるように、別異のaAPXを用いて行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aにおける2
又は3以上の別異のaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-pが単一aAPXを発現するeAPC-pの混合集団を含んでなる、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項22】
a.成分Aを成分C'及び/又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合
わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAMをコードし、及び
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つ
を含んでなる、請求項13に規定されるeAPC-aを製造する方法。
【請求項23】
b及びdを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が工程aにおける単一aAMをコードする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
離散的及び規定されたeAPC-aのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程aが、別異のeAPC-aが得られるように、別異のaAMを用いて行われる、請求項24に記載の方
法。
【請求項26】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aにおける2
又は3以上の別異のaAMの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-aが
単一aAMを発現するeAPC-aの混合集団を含んでなる、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項27】
a.eAPC-aを成分C'及び/又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合
わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAPX ORFを
コードし、及び
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つ
を含んでなる、請求項16に規定されるeAPC-paを製造する方法。
【請求項28】
b、c及びdを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が工程aにおける単一aAPXをコードする、請求項27
又は28に記載の方法。
【請求項30】
離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程a
が、別異のeAPC-paが得られるように、別異のaAPXを用いて行われる、請求項29に記載
の方法。
【請求項31】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aおける2又は3以上の別異のaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが請
求項39の工程aに用いるプールから単一aAPXを発現するeAPC-paの混合集団を含んでな
る、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項32】
a.eAPC-pを成分C'又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合わせること、ここで、1若しくは2以上の成分C'又はE'は1又は2以上のaAM ORFをコードし

b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAMの発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
を含んでなる、請求項15に規定されるeAPC-paを製造する方法。
【請求項33】
b及びdを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が工程aにおける単一aAMをコードする請求項32又
は33に記載の方法。
【請求項35】
離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程a
が、別異のeAPC-paが得られるように、別異のaAMを用いて行われる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aおける2又は3以上の別異のaAMの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが工程aに用いるプールから単一aAMを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項37】
a.eAPCを成分C'又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAM ORF及び1又は2以上のaAPX ORFをコードし、
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAMの発現及び/又は1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
を含んでなる、請求項14に規定されるeAPC-paを製造する方法。
【請求項38】
b、c及びdを含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が工程aにおける単一aAM及び単一aAPXをコードする、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程a
が、別異のeAPC-paが得られるように、別異のaAM及び/又は別異のaAPXの少なくとも1つ
を用いて行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aにおける2
又は3以上の別異のaAM及び/又は2又は3以上の別異のaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが工程aに用いるプールから単一aAM及び単一aAPXを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項42】
a.発現した被分析物抗原の被分析物TCRに対する特異性、及び/又は
b.発現した被分析物抗原の被分析物TCRに対する親和性、又は
c.1又は2以上の被分析物TCRを発現する被分析物細胞(被分析物TC)の発現した被分析
物抗原に対するシグナル応答
の特徴決定のためのeAPC:Tシステムにおける使用のための、請求項1~16のいずれか1項に記載の多成分システムから得られるeAPCであって、被分析物抗原がaAPX:aAM及び/又
はaAM及び/又はaAPX及び/又はaAPX:CMから選択され、被分析物eAPCがeAPC-p及び/又はeAPC-a及び/又はeAPC-paから選択されるeAPC。
【請求項43】
請求項1~16のいずれか1項に記載の多成分システムの、eAPC-p及び/又はeAPCa及び/
又はeAPC-paから選択される1又は2以上の被分析物eAPCを製造するための使用。
【請求項44】
eAPC:Tシステムを含む診断デバイスにおける、請求項43に規定されるように得られる1又は2以上の被分析物eAPCの使用。
【請求項45】
請求項12~16に規定される1又は2以上の被分析物eAPCを含んでなる診断デバイス。
【請求項46】
1若しくは2以上の被分析物TCR又は被分析物TCを更に含んでなる請求項45に記載の診
断デバイス。
【請求項47】
抗原-特異的T細胞を製造するための、請求項12~16に規定される1又は2以上の被
分析物eAPCの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、少なくとも、遺伝子操作抗原提示細胞(eAPC)、遺伝子操作されたゲノム受容部位及びマッチする遺伝子ドナーベクターである3つの成分で構成される多成分システムの構築、組立て及び使用に関する。本発明は、抗原及び同族TCR配列の同定及び特徴決定
のための、種々の形態の抗原性分子を提示する安定な派生細胞の迅速で高スループットな作製に用いられる。
【背景技術】
【0002】
発明の序論
Tリンパ球(T細胞)による免疫監視機構は、全ての有顎脊椎動物の適応免疫における中心的な機能である。T細胞による免疫監視機構は、T細胞サブタイプにわたる豊富な機能的多様性を介して達成され、該T細胞サブタイプは、病原体感染及び腫瘍性細胞の排除に貢献し、侵入病原体、共生微生物、食物の分子成分のような共生非自己因子に対する適応免疫応答を組織化し、更には自己の免疫寛容を維持する。様々な外来及び自己因子に応答するために、T細胞は、これらの外来及び自己因子の分子構成成分を特異的に検出できなければならない。よって、T細胞は、個体が遭遇する自己及び非自己分子の大多数を、病原性生物及び病的な自己に対する有効な応答を開始するために十分な特異性を持って、健常な自己に対するそのような応答の開始を回避しながら検出できなければならない。この任務の非常に複雑な性質は、外来及び自己の分子の両方の実際的に無限の多様性を考慮した場合に明らかになり、病原性生物は、T細胞による検出を逃れるための進化圧力の下にある。
【0003】
T細胞レセプター(TCR)
T細胞は、主として、T細胞レセプター(TCR)の発現により規定される。TCRは、T細胞適応免疫の標的と相互作用しそれを感知する役割を担うT細胞の成分である。一般的に言えば、TCRは、細胞表面で提示されるヘテロ二量体タンパク質複合体で構成される。2つのTCR鎖の各々は、共に免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)ドメインに属し、逆並行βシートを形成する可変(V)領域及び定常(C)領域である2つの細胞外ドメインで構成される。これらは、短い細胞質尾部に隣接するI型膜貫通ドメインにより細胞膜に係留されている。多様な分子構成成分に適応してそれを検出するT細胞の素質は、T細胞発生中に生じるTCR鎖におけるバリエーションから生じる。このバリエーションは、B細胞における抗体発生に類似の様式で体細胞組換えにより生じる。
【0004】
TCR鎖多様性
T細胞プールは、幾つかの機能及び表現型が不均質な下位集団からなる。しかし、T細胞は、その表面で発現される体性再編成TCRアイソフォームに従ってαβ又はγδに大きく分類できる。2つのTCR鎖対アイソフォーム、すなわちTCRα(TRA)とTCRβ(TRB)との対、及びTCRガンマ(TRG)とTCRデルタ(TRD)との対が存在する。TRA:TRB対を発現するT細胞はαβT細胞と呼ばれ、TRG:TRD対を発現するT細胞は、しばしばγδT細胞と呼ばれる。
αβ及びγδ形のTCRは、共に多様なリガンド、すなわち「抗原」の認識を担い、各T細胞は、T細胞成熟中にαβ又はγδレセプター鎖を新たに生じる。これらの新たなTCR鎖対は、体細胞V(D)J組換えと呼ばれるプロセスにおいてレセプター配列多様性を生じることにより認識の多様性を達成し、体細胞V(D)J組換えの後に各T細胞は、別個に再編成された単一TCRのコピーを発現する。TRA及びTRG遺伝子座では、幾つかの分離した可変(V)及び機能的(J)遺伝子セグメントが組換えのために利用可能であり、定常(C)遺伝子セグメントに並置されるので、VJ組換えと呼ばれる。TRB及びTRD遺伝子座での組換えは、更に、多様性(D)遺伝子セグメントを含むので、VDJ組換えと呼ばれる。
組換えられた各TCRは、αβT細胞の場合にα及びβ鎖、又はγδT細胞の場合にγ及びδ鎖により形成されるリガンド結合部位の構造により決定される、ユニークなリガンド特異性の能力を有する。TCRの構造多様性は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる、各鎖の3つの短いヘアピンループに主に限定される。3つのCDRは、レセプター鎖対の各鎖からもたらされ、これらの6つのCDRループはまとめて、TCR細胞外ドメインの膜から遠い末端に存在して、抗原結合部位を形成する。
各TCR鎖における配列多様性は、2つの形態で達成される。第一に、組換えのための遺伝子セグメントの無作為選択は、基本的な配列多様性をもたらす。例えば、TRB組換えは、47のユニークV、2のユニークD及び13のユニークJ生殖系列遺伝子セグメントの間で起こる。一般的に、V遺伝子セグメントは、CDR1及びCDR2ループの両方に貢献し、よって生殖系列にコードされている。配列多様性を生じるための第2の形態は、組み換えられるV、(D)及びJ遺伝子セグメントの間の接合部にて鋳型ヌクレオチドの無作為欠失及び非鋳型ヌクレオチドの付加により生じる超可変CDR3ループ内で起こる。
【0005】
TCR:CD3複合体
成熟αβ及びγδTCR鎖対は、ε、γ、δ及びζと呼ばれる幾つかのアクセサリーCD3サブユニットと一緒に複合体として細胞表面にて提示される。これらのサブユニットは、αβ又はγδTCRと一緒に3つの二量体(εγ、εδ、ζζ)として会合する。このTCR:CD3複合体は、αβ又はγδTCRと同族抗原との結合の際に細胞シグナル伝達応答を開始するためのユニットを形成する。TCR:CD3複合体として結合したCD3アクセサリーは、免疫レセプター活性化チロシンモチーフ(ITAM)と呼ばれるシグナル伝達モチーフに貢献する。
CD3ε、CD3γ及びCD3δは各々、単一のITAMに貢献するが、CD3ζホモ二量体は3つのITAMを含む。TCRと共に組み立てられる3つのCD3二量体(εγ、εδ、ζζ)は、よって、10のITAMに貢献する。同族抗原とのTCRライゲーションの際に、直列型チロシン残基のリン酸化は、重要な70kDaのζ鎖関連タンパク質(ζ-chain-associated protein of 70 kDa;ZAP-70)のようなSrcホモロジー2(Scr homology 2;SH2)ドメインを含むタンパク質のための対形成したドッキング部位を創出する。このようなタンパク質の動員は、T細胞活性化及び分化を最終的に担うTCR:CD3シグナル伝達複合体の形成を開始する。
【0006】
αβT細胞
αβT細胞は、一般的に、ヒトにおいて、対応するγδT細胞よりも豊富に存在する。αβT細胞の多くは、細胞表面でHLA複合体により提示されるペプチド抗原と相互作用する。ペプチド-HLA(pHLA)認識T細胞は、最初に記述され、最もよく特徴決定されている。αβT細胞のより稀な形も記述されている。粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞は、比較的限定されたα及びβ鎖多様性を有するとみられ、タンパク質断片よりもむしろ細菌代謝産物を認識する。インバリアントナチュラルキラーT細胞(invariant natural killer T-cell;iNK T細胞)及び生殖系列によりコードされるミコリル反応性T細胞(germline-encoded mycolyl-reactive T-cell;GEM T細胞)は、非HLA分子により交差提示される糖脂質の認識に限定される。iNK T細胞は、大部分が、CD1dにより提示される糖脂質と相互作用すると考えられるが、GEM T細胞細胞は、CD1bにより提示される糖脂質と相互作用する。更に別の形のT細胞は、CD1a及びCD1cに関連付けられた糖脂質と相互作用すると考えられるが、このような細胞は、まだ詳細に特徴決定されていない。
【0007】
通常型αβT細胞
ほとんどのαβT細胞の重要な特徴は、HLA分子に関連したペプチド抗原の認識である。これらは、しばしば、「通常型」αβT細胞と呼ばれる。個体内で自己HLA分子は、自己及び外来タンパク質からのペプチドをT細胞に提示し、悪性病変及び外来病原体に対する適応免疫、共生生物、食物及び自己に向けての適応寛容のための必須の基礎を提供する。HLAタンパク質をコードするHLA遺伝子座は、ヒトゲノムのうちで最も遺伝子密度が高く、多型性の領域であり、ヒトにおいて12,000を超えるアレレが記載されている。HLA遺伝子座における多型の程度が高いことにより、個体間のペプチド抗原提示の多様性が確実になり、このことは、集団レベルでの免疫のために重要である。
【0008】
HLAクラスI及びII
2つの形の古典的HLA複合体、すなわちHLAクラスI(HLAI)及びHLAクラスII(HLAII)が存在する。3つの古典的HLAI遺伝子、すなわちHLA-A、HLA-B及びHLA-Cが存在する。これらの遺伝子は、インバリアントβ2ミクログロブリン(β2M)鎖と会合する膜貫通型α鎖をコードする。HLAIα鎖は、免疫グロブリンフォールド型の3つのドメイン、すなわちα1、α2及びα3で構成される。α3ドメインは、膜の近くにあり、大部分がインバリアントであるが、α1及びα2ドメインは一緒になって、多型の膜から遠くにある抗原結合窩を形成する。6つの古典的HLAII遺伝子、すなわちHLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA及びHLA-DRB1が存在する。これらの遺伝子は、α鎖及びβ鎖を含む、対形成したDP、DQ及びDRヘテロ二量体HLA複合体をコードする。各鎖は、免疫グロブリンフォールド型の2つの主要な構造ドメインを有し、ここで、α2及びβ2ドメインは、HLAIα3ドメインのものに類似の、膜に近い大部分がインバリアントのモジュールを含む。HLAIIα2及びβ2ドメインは一緒になって、膜から遠くにある抗原結合窩を形成し、多型性が高い領域である。
HLAI及びHLAIIの抗原結合窩は、8つの逆平行βシートのプラットフォーム上に2つの逆平行αヘリックスを含む。この窩において、ペプチド抗原が結合し、伸ばされた立体構造で提示される。HLAI及びHLAIIにおけるペプチド接触残基は、ほとんどの配列多型の場所であり、これは、異なるHLAアレレにより提示される多様なペプチドレパートリーの分子的基礎を構成する。ペプチドは、抗原結合窩と広範囲で接触し、その結果、各HLAアレレは、提示されたペプチドに対する別個の配列制約及び優先性を課す。所定のペプチドは、よって、限定された数のHLAとだけ結合し、相互的に、各アレレは、所定のタンパク質からのペプチドコレクションの特定の画分だけを受け入れる。各個体に存在するHLAI及びHLAIIアレレのセットは、HLAハプロタイプと呼ばれる。HLAI及びHLAII遺伝子の多型並びに遺伝性のアレレの相互優性発現は、ヒト集団全体にわたるHLAハプロタイプの非常に大きい多様性を駆動し、これは、αβTCRの莫大な配列多様性と組み合わせた場合に、これらのHLA-抗原-TCR相互作用の分析の標準化のために大きな障害となる。
【0009】
HLAI及びHLAIIのαβTCR結合
αβTCRは、HLA及びペプチド抗原(変化した自己)の両方の残基により形成される混合pHLA結合界面の一部としてペプチドを認識する。HLAI複合体は、ほぼ全ての有核細胞の表面に提示され、内因性タンパク質に由来するペプチドを提示すると一般的に考えられている。T細胞は、よって、相互作用細胞のpHLAI複合体をサンプリングすることにより、HLAI提示細胞の内因性細胞性プロテオームを調べることができる。HLAIの結合は、相互作用T細胞によるTCR共レセプターCD8の発現を必要とするので、HLAIサンプリングは、CD8+αβT細胞に制限される。これとは対照的に、HLAII複合体の表面発現は、プロフェッショナルAPCに主に制限され、提示細胞にとって外因性のタンパク質に由来するペプチドを提示すると一般的に考えられている。相互作用T細胞は、よって、提示細胞が存在する細胞外微小環境のプロテオームを調べることができる。HLAIIの結合は、相互作用T細胞によるTCR共レセプターCD4の発現を必要とするので、HLAIIサンプリングは、CD4+αβT細胞に制限される。
【0010】
αβTCRの胸腺選択
上記のαβTCRの役割は、pHLA複合体の検出であり、TCR提示T細胞は、確立された免疫におけるそのT細胞の役割と密接な関係がある応答を高めることができる。個体において生じたαβTCRレパートリーは、特定のハプロタイプと関連して、多様性が実際に起こる前に遭遇する可能性が高い全ての外来抗原の巨大で予測できない多様性の理由であるはずである。この結果は、自己pHLAとの強い相互作用を回避するように特異的に教授されただけで特定されていないpHLA複合体を認識する能力を有して非常に多様で多数のαβTCRがある程度無作為化された様式で生じる背景に対して達成される。これは、胸腺選択と呼ばれるプロセスにおいてT細胞成熟中に注意深く調整される。
胸腺におけるT細胞成熟の第1の工程中に、十分な親和性をもって自己pHLA複合体と相互作用できないαβTCRを有するT細胞は、生存シグナルを奪われ、排除される。ポジティブ選択と呼ばれるこの工程により、正しいHLAに関連付けられて提示される外来又は変化したペプチドを少なくとも認識できる可能性があるTCRレパートリーを生存T細胞が確実に有することになる。その後、自己pHLAと強く相互作用し、よって自己免疫を駆動する能力を有するαβTCRは、ネガティブ選択のプロセスにより能動的に除去される。ポジティブ及びネガティブ選択のこの組合せは、末梢にある自己pHLAに対する低い親和性を有するαβTCRを有するT細胞だけをもたらす。これは、自己に制限されるが自己反応性ではないαβT細胞レパートリーを確立する。HLAハプロタイプに対するT細胞発生のこの高度に個別化された性質は、αβTCR-抗原-HLA相互作用の標準化された分析における困難を強調する。更に、これは、移植片拒絶及び移植片対宿主病の両方の基礎、並びに一個体において同定されるαβTCRが第2の個体において完全に異なる影響を有し得るという一般的な原理の基礎を形成し、このことは、実際の臨床において現れるTCRベース及びT細胞ベースの治療及び診断方策について明確な意味を有する。
【0011】
非通常型αβT細胞
αβT細胞の非HLA拘束又は「非通常型」の形は、非常に異なる分子抗原標的を有する。これらの非通常型αβT細胞は、古典的HLA複合体を結合させないが、CD1ファミリー又はMR1のような保存されたHLA様タンパク質を結合させる。CD1ファミリーは、抗原交差提示に関与する4つの形(CD1a、b、c及びd)を含む。これらの細胞表面複合体は、HLAIによく似たα鎖を有し、これがβ2Mとヘテロ二量体を形成する。α鎖の膜から遠い表面で提示される小さい疎水性ポケットは、病原体由来の脂質ベースの抗原のための結合部位を形成する。自然様NK T細胞(innate like NK T-cell;iNK T細胞)は、脂質/CD1ファミリー認識の最もよく理解された例であり、GEM T細胞は、別の顕著な例を表す。「I型」iNK T細胞は、CD1dに関連付けられた脂質α-GalCerと強く相互作用することが知られている。これらのiNK T細胞は、固定されたTCRα鎖(Vα10/Jα18)及び限定された数のβ鎖(制限されたvβ使用を有する)を有する非常に限定されたTCR多様性を示し、これらは、Toll様及びNod様レセプターのような自然の病原体関連分子パターン(PAMPS)認識レセプターになぞらえられている。これとは対照的に、「II型」NK T細胞は、より多様なTCRレパートリーを示し、より多様な形態のCD1d-脂質複合体結合を有するとみられる。GEM T細胞は、CD1bにより提示されるマイコバクテリア由来糖脂質を認識するが、CD1a、b及びcによる抗原提示並びにそれらのT細胞認識の分子的な詳細は、理解され始めたばかりである。
MAIT細胞は、インバリアントTCRα鎖(TRAJ33、TRAJ20又はTRAJ12とライゲーションされたTRAV1-2)を主に発現し、該鎖は、一連のTCRβ鎖と対形成できる。ペプチド又は脂質の代わりに、MAIT TCRは、HLAI様分子であるMR1により提示される病原体由来葉酸及びリボフラビンベースの代謝産物と結合できる。MAIT TCRについて観察されるTCRにおける限定されているが著しい多様性は、保存されたMR1に関連付けられた多様であるが相関する代謝産物の認識を可能にするとみられる。
非古典的HLA拘束αβT細胞TCRがどのようにして成熟中に胸腺において選択されるのか、よく理解されていない。しかし、上で概説したネガティブ及びポジティブ選択の基本的なプロセスが当てはまるようであり、胸腺内で特殊化した適所においてこのことが生じることを示唆するいくらかの証拠がある。
【0012】
γδT細胞
αβTCR発生及びpHLA結合の詳細な機械論的理解とは対照的に、抗原標的及びそれらのγδT細胞対応物の関係性については比較的ほとんど知られていない。このことは、循環T細胞区画中のそれらの量が比較的低いことが理由の一つである。しかし、γδT細胞は、厳密にHLA拘束されないと広く考えられており、抗体と同様に、より自由に表面抗原を認識するとみられる。加えて、より最近では、γδT細胞は、外来抗原との免疫系の主な相互作用部位である上皮組織の常在型T細胞区画を支配できることが認識されるようになってきている。更に、γδT細胞腫瘍免疫監視及び調節不全になった自己のその他の形の監視機構についての様々な機序が文献において明らかにされ始めている。自然様及び適応γδT細胞の両方の特異的抗原標的は、まだほとんど定義されていないが、PAMPの組織分布及び迅速な認識は、外来抗原に対する応答の初期及び適応免疫系がまだ成熟中の生命の初期の両方におけるγδT細胞の基本的な役割を示唆する。
γδT細胞の多様な機能は、異なるVγVδ遺伝子セグメント使用に基づくとみられ、γδT細胞が主にインバリアントTCRと一緒に、感染中の非常に初期にPAMPの自然様認識を媒介する2つの主なカテゴリーにおいて広く理解できる。PAMP以外に、これらのタイプのγδT細胞は、更に、細胞ストレス、感染及びおそらく腫瘍発生の非常に初期のサインを与え得るリン酸抗原を含む自己分子を認識すると考えられている。PAMP及びこのようないわゆる損傷関連分子パターン(danger associated molecular pattern;DAMPS)並びに多数の組織拘束自然様γδT細胞の認識は、これらの細胞が、予め活性化、ホーミング及びクローン増殖を必要とせず抗原負荷に対して迅速に応答するのに適していることを強く示唆する。
【0013】
γδT細胞の第2の形は、実際はより適応性があり、非常に多様性のγδTCRレパートリー及び末梢を循環してリンパ系組織に直接アクセスする能力を有すると考えられている。このような抗原特異的γδT細胞は、CMVのような一般的なヒト病原体について記載されており、メモリー応答を形成するとみられる。しかし、γδT細胞は、活性化の後に比較的限定されたクローン性増殖のみを示し、末梢循環又は組織におけるTCR多様性及びγδT細胞の特異的応答の程度についてはほとんど利用可能なデータはない。更に、γδTCRはpHLA複合体と相互作用せず、よって、この状況においてペプチド抗原と結合しないと一般的に考えらえているが、γδT細胞の幾つかの抗原標的だけが特徴決定されており、根底にある分子フレームワークはわずかに理解されているだけである。
【0014】
末梢γδT細胞の頻度が低いこと及びヒトにおける組織常在性T細胞を研究することが困難であることのために、この重要で多様なタイプのT細胞がどのようにして適応免疫応答に参加するのかについての我々の知識が制限されてきた。この台頭してきた研究領域は、稀なγδT細胞を捕捉して特徴決定し、それらのTCR対を単離し、それらの同族抗原を同定する、より信頼できる技術を必要とする。
【0015】
抗原及び抗原提示細胞
T細胞及びTCRとの関係において、抗原は、TCRと結合でき、T細胞内のシグナル伝達をもたらす任意の分子と定義できる。最もよく特徴決定されているT細胞抗原は、HLAI及びHLAII複合体において提示され、通常型αβT細胞と結合するペプチドである。しかし、近年、非通常型αβT細胞及びγδT細胞が抗原として広範囲の生体分子、例えば脂質、リポペプチド、糖ペプチド、糖脂質並びに一連の代謝産物及び異化産物を結合できることが明らかになってきた。更に、γδT細胞が、抗体様の様式で完全にフォールドされたタンパク質と直接結合できることが明らかになってきた。よって、T細胞抗原がHLAにより提示されるペプチドに主に拘束されるという視点は、過去20年間で、ほぼ全ての生体分子を含むように拡大されている。この概念を念頭に置いて、何を抗原提示細胞(APC)と考えることができるかを定義することが適切である。
抗原及び抗原提示細胞
【0016】
前出のセクションで定義したように、HLAI及びHLAIIは、細胞型全体にわたって共通点のない発現プロファイルを有する。ほぼ全ての有核細胞が細胞表面でHLAI複合体を提示し、よって、T細胞サンプリングのためにペプチド抗原を提示する能力があることが広く受け入れられている。これとは対照的に、HLAIIは制限された発現プロファイルを有し、少なくとも定常状態条件において、樹状細胞(DC)、マクロファージ及びB細胞を含む抗原提示の専門的な役割を有する細胞の表面でだけ発現される。これらの専門細胞型は、しばしばプロフェッショナルAPCと呼ばれる。この文書の目的のために、用語「APC」は、αβ又はγδT細胞によるサンプリングのために抗原を提示できる任意の有核細胞を表すために用いる。このような抗原は、特異的抗原提示複合体、例えばHLA及びHLA様分子において「カーゴ」として提示されるものに限定されないが、αβ又はγδTCR保有細胞と結合できる任意の細胞表面提示部分を含むことができる。
【0017】
TCRの治療への使用
初代T細胞の養子移入は、免疫不全患者にウイルス免疫を与えるために、ウイルス抗原に向かう、エクスビボで増殖させたT細胞をまず用いて、1990年代初期に臨床背景において初めて試験された。特定のがん抗原に対してエクスビボで増殖させた初代T細胞を用いる同様のアプローチが、そのすぐ後に悪性腫瘍の処置において試験された。現在でも課題であり続けるこれらの初期のアプローチにおけるある限界は、治療製品において組成を精細に最適化する必要性と対立する、T細胞の性質及び多様性についての理解の欠如である。現在、エクスビボで増殖させた初代T細胞の使用は、ウイルス抗原に対する特異性を有する初代T細胞を用いる一握りのイニシアティブ以外は、製薬業界においてほぼあきらめられている。
【0018】
近年、遺伝物質を初代ヒト細胞に安定して導入する能力により、実験的遺伝子改変T細胞治療剤の種類が増えてきている。このような治療用細胞製品は、T細胞応答の力を利用し、T細胞特異性を疾患関連抗原標的、例えば悪性細胞によってのみ発現される抗原に向けなおすことを目的とする。これらは、実際のTCR鎖対ではなく、キメラ抗原レセプター(CAR)をレシピエントT細胞に移入することに主に頼っている。CARは、CD3-TCR機能を模倣する合成キメラレセプターを生成するための、シグナルレセプターエレメント、例えばCD3複合体のζ鎖にグラフトされた標的化部分(多くの場合、悪性細胞の表面発現タンパク質を標的にする一本鎖抗体エレメント)である。これらのいわゆるCAR T細胞(CAR-T)製品は、現在までに臨床試験においてまちまちの成功度を示しており、その可能性にもかかわらず、固有のユニークな分子標的を有する腫瘍、例えばB細胞悪性病変を超えて解釈することは容易ではない。代わりに、全長TCR鎖対ORFをT細胞に移入することについての興味が増えてきている。このようなTCRが操作されたT細胞治療剤は、困難な製造プロセスや、CAR-T製品と同様に、確認された抗原標的及び標的化構築物の欠如により現在制限されている。現在までに、悪性細胞上のHLAIにより提示されるペプチド抗原の認識のためのαβTCRの使用に焦点が当てられており、このアプローチの基本的な困難は、悪性細胞に特異的な抗原が必要であるということである。
【0019】
TCR-pHLA相互作用が比較的低親和性のものであるので、天然型TCRは、TCRが操作されたT細胞療法のために最適ではないようであると考えられている。幾つかのアプローチが、一本鎖抗体親和性成熟と同じ方法で、インビトロで親和性成熟TCRのために考案されている。これらのTCR親和性成熟アプローチも、一般的に、一方の鎖のV領域を別の鎖のV領域に融合させて単一ポリペプチド構築物を作製する一本鎖フォーマットを用いる。このような単一ポリペプチドを、次いで、抗体操作ワークフローから適応させたファージ又は酵母ディスプレイシステムにおいて用いることができ、標的結合に基づく何回かの選択を経ることができる。このような一本鎖TCRアプローチにおいて、機能的TCR鎖対を得る点において2つの固有の限界が存在する。第一に、選択が標的との結合親和性に基づくことである。しかし、TCR親和性がTCRシグナル伝達出力の強さ又は能力と常に相関するわけではないことが十分に文書化されている。第二に、親和性に基づく一本鎖構築物の選択が、それらが全長レセプターとして一旦再構成されると、等価な親和性であると常に解釈されない。
【0020】
治療との関係において、親和性成熟化TCR対において更なる重要な限界が存在する。つまり、それらの配列が変更されたことを考慮すると、定義による得られた構築物はもはや胸腺選択に供されず、ここで、自己抗原と強く反応するTCRは、レパートリーから削除される。よって、これらの改変TCRは、自己反応性である固有の危険性を有し、この危険性を、現在の方法を用いてインビトロで除くことは非常に難しい。同じ理由により、治療用途のための選択されたか又は操作されたTCRはいずれも、個別化される必要がある。もしTCRが人工的に操作されるか又は天然型TCRが個体にわたって用いられるならば、破滅的な可能性がある自己免疫を回避するために、特定の各個体のHLAハプロタイプ及び提示されるペプチドレパートリーに基づいて交差反応性を除かなければならない。このことは、胸腺選択が、その所定の個体にのみ特異的な全ての利用可能なHLA分子の背景において行われるという事実のためである。このような交差反応性の可能性は不明である。しかし、我々のTCRレパートリーが、同じ種の他の個体のpHLA複合体を外来であると認識する能力は、適応免疫の基本的な特性であり、移植片拒絶及び移植片対宿主病を支持する。がん特異的黒色腫関連抗原(MAGE)に対する成熟TCR鎖対を用いる最近の臨床試験は、胸腺選択を迂回することの潜在的な問題に光を当てた。成熟TCRを有する自家T細胞を2名のがん患者に注入して戻したとき、これらの患者は、致命的な心臓疾患を迅速に発症した。その後の研究により、MAGE特異的成熟化TCRは、心臓タンパク質であるタイチンからのHLAIにより提示されるペプチドと交差反応性であったことがわかった。このことは、交差反応性は、TCRの治療への使用において別個の可能性であることを強く示唆する。
【0021】
TCRを治療目的のために利用するための別の達成手段は、抗体治療用物質とほぼ同じ方法でそれらを親和性反応剤として用いることにある。一本鎖TCR分子は、コンジュゲート薬物物質を特定のHLA-抗原発現細胞集団に送達するために試験されている。このようなアプローチは、一般的に、CAR-T又はTCRが操作されたT細胞療法より安全であると考えられている。なぜなら、薬物物質の投与を単純に撤回することができるからである。しかし、交差反応性の可能性及び予測困難なオフターゲット効果により、この背景における可能性のある限界がまだ存在する。
【0022】
臨床診断におけるTCRレパートリー検出
関連する観点において、臨床診断目的のために特定のTCR配列の量の検出を用いることに対する興味が増加している。特にディープシーケンシング法の台頭につれて、ある個体内の全体の、そして特定の関係におけるマッチするαβ対についての完全なTCR多様性を把握することが可能である。このことは、患者における疾患関連抗原に対する免疫応答の確立のための代理の読み出しとして、増殖したT細胞クローンの量を単に検出することにより特定の状態及び疾患状態を診断するための手段になる可能性がある。しかし、このような包括的なアプローチは、確立された臨床タイムポイントを有する非常に強い免疫応答に現在のところ限定されており、配列決定により同定された任意の特定のTCRの特異的抗原標的を同定することの根底にある困難に苦しんでいる。
【0023】
T細胞抗原の治療及び診断のための使用
適応免疫応答を活用する基本的な強さは、TCR-抗原相互作用の精巧な特異性が、各病原体、がん細胞又は自己免疫疾患に特異的に関連する抗原についての詳細な知識を必要とするという中心的な技術的困難と言い換えられる。更に、各抗原は、特異的抗原提示複合体又はそのアレレにより提示され得るので、抗原の発見は、関連する各HLA遺伝子及びアレレについて行わなければならない。強い適応免疫応答と関連し、保存されたエピトープ応答階層を一般的に示すHIV、インフルエンザ及びCMVのような幾つかの感染性疾患について、最も重要なエピトープが、幾つかの一般的なHLAと関連付けられてマッピングされている。同様に、がん、アレルギー及び自己免疫の分野において、関連T細胞抗原をマッピングする系統的な試みが増えてきている。しかし、これらは、困難な手順であり、異なる臨床状況と関連するT細胞抗原を系統的に表す努力は、効率的で確固とした迅速で適応性のあるプロトコールが存在しないことにより妨げられている。
特に、がん細胞は、困難で重要な態様である。なぜなら、悪性細胞の表面で提示されるペプチドのほとんどは自己抗原であるか又は自己抗原に非常に類似しているからである。よって、胸腺選択は、これらのペプチドを強く認識しうるTCRを削除するであろう。それと同時に、腫瘍は免疫認識を逃れるように発展する。このことは、確立された腫瘍に対する有力な免疫応答が比較的稀であり、標的を予測又は発見することが難しいことを意味する。しかし、これらの応答は存在し、そして重要なことには、通常、よりよい結果と関連している。このような応答の標的、腫瘍関連抗原(TAA)は、ほとんどの場合、自己からの区別可能な特徴を有し、がん発展中に過剰発現されるか、発展のこの段階では細胞型に存在しないか、又は遺伝子変異若しくは翻訳後改変、例えばリン酸化により特異的に変更されたタンパク質に由来する。
【0024】
利用可能な場合、このようなエピトープの知識により、基礎的な発見、診断目的のため及び例えばワクチン効力の試験として関連するT細胞応答を調べることが可能になる。重要なことに、これらは、アレルギー及び自己免疫におけるT細胞寛容化のための高度に特異的な標的と、重大なことに、特異的免疫療法のため及び悪性細胞に対抗する価値のある標的に向かう点とを提供する。悪性病変は、細胞免疫療法の有望性として特に価値のある標的であり、T細胞操作における進展は、がんのタイプについての特異的マーカーがたまたま利用可能である幾つかの場合を超える確認された標的TAAの欠如により遅くなる。
細胞療法の可能性及び確認された標的の欠如に鑑みて、見込のあるTCR抗原の同定は、いまだに、特に癌を処置するための努力におけるTCRに基づく免疫療法の最も急を要する障害の一つである。
【0025】
TCR及びT細胞抗原分析の技術的観点
全体として、TCRに基づく療法の発展はまだその初期段階であり、限定された成功しかしていない。とてつもない可能性があるが、診断的アプローチは、患者の疾患状態又は療法に対する応答を評価することを目的とする比較臨床研究においてほとんど実施されていない。天然型TCR鎖対の安定した捕捉と、高スループットにて細胞同士のコミュニケーションの機能的関係におけるTCR-抗原相互作用の系統的な分析とについて十分に発展していない技術は、TCRに基づく療法及び診断の発展のための主な障害である。
【0026】
ディープシーケンシングアプローチにより、健常及び疾患におけるT細胞レセプター多様性についての理解が改善されている。しかし、これらのアプローチは、主にTCRβ鎖のCDR3領域にわたる短い区間に一般的に焦点を当てている。ほとんどの研究は、TCRα鎖の寄与を無視しており、対合するαβ鎖及び興味の対象と決定されたTCRの抗原特異性を分析しようとしたものはほとんどない。単細胞封入及び遺伝子バーコーディングを用いる最近のワークフローにより、天然型TCRαβまたγδ鎖対の対形成及び全長配列の分析が可能になっているが、このようなワークフローは、まだ実験段階である。
【0027】
単離TCR鎖対は、生物物理学的又は機能的形態のいずれかで抗原特異性の点で分析できる。生物物理学的分析は、TCR及び分析物抗原の両方を可溶形で組換え生成することを必要とする。HLA拘束TCRの場合、このことは、よって、全ての個別のTCR及び同族pHLA複合体の生成を必要とするであろう。このことは、技術的に非常に困難であり、遅くてスループットが低い。更に、このような分析は、相互作用親和性のみを与え、これは予測可能な様式での機能的特徴との関連が低い。
最近まで、細胞との関係での単離TCR配列の詳細な機能解析は、初代T細胞又は不死T細胞株への分析物TCR鎖対のトランスフェクションと、細胞活性化の伝統的なフローサイトメトリ分析による細胞応答の検出又は抗原負荷の際のトランスフェクションされた細胞から分泌される因子の検出という面倒なプロトコールにより制限されてきた。Guoらによる最近の発表において、単細胞からの対形成したTCR鎖の迅速なクローニング、発現及び機能的特徴決定が報告された(Molecular Therapy - Methods and clinical development (2016) 3:15054)。この研究では、分析物ヒトαβTCR対を、αβTCR発現が欠如したレポーター細胞株で発現させているが、これは、TCR刺激の際に活性化されるNur77プロモーターと連結した緑色蛍光タンパク質(GFP)レポーター系を含んでいた。この系は、レポーター細胞株ゲノムへの標準化されたTCR組込みの欠如のために、まだ非効率であり、APCエレメントによる細胞に結合した抗原負荷のための系統的な方法を提供しない。
【0028】
既知のT細胞抗原に対するTCRの同定についてのワークフローと同様に、健常及び疾患における新規なT細胞抗原のデノボ発見は、まだ非常に困難である。ほとんどのアプローチは、いまだに実際は生物物理学的であり、免疫化プロトコールにおいて試験しようとする候補抗原を、又は上記のように同族TCRの同定により生成することを狙いとする。T細胞抗原発見の分野における標準化はほとんど又は全く存在せず、この分野は、ほとんど学術研究に限定されている。
【0029】
治療及び診断のための使用の両方においてTCR及びそれらの同族に対する興味の蓄積、並びに著しい数の天然型TCRαβ及びγδ鎖対を捕捉する手段の出現につれて、TCR-抗原相互作用の系統的解析のための信頼できる高スループットで標準化された技術がまだ欠如している。重要なことに、TCR及び抗原が共に生細胞により提示される細胞間コミュニケーションの天然の状況におけるTCR鎖対の機能解析のための標準化されたシステムが欠如している。更に、細胞間コミュニケーションの関連する状況におけるTCR候補選択及び/又はTCR鎖対の親和性/機能成熟を達成できるシステムが欠如している。
【0030】
T細胞抗原の治療用途
T細胞生物学の知識の迅速な拡大に伴って、治療製剤におけるT細胞抗原の使用に関する関心が拡がっている。このことは、主に、幾つかのタイプの免疫ストラテジの形態を採用する。最も主流としては、次世代配列決定アプローチの使用により、腫瘍細胞中の変異誘発された配列を同定することができる。このような配列は、ガン細胞に独特である可能性があるT細胞抗原を表し得、よって、配列決定した腫瘍に対する個別化治療用ワクチンについての免疫原である可能性がある。しかし、観察され得る多くの遺伝子変異に関して、これら可能性あるT細胞抗原を、患者HLAレパートリーにより提示される能力又はこれら抗原が免疫原性であるか否かについて分析する高スループット様式はいずれも存在しない。現時点で、変異体ペプチドの結合の予測は、極少数のHLAアレレについてコンピュータ上で行われる。これら予測モデルは、所与のペプチド配列がHLAに結合するかどうかの情報を大まかに提供し、結合抗原のの免疫原性の可能性を一般に予測するものではない。更に、このようなコンピュータモデルは、HLAアレレ(当該アレレに対して抗原が分析される)に関して正準の「係留(anchoring)」残基を提示しない抗原については信頼できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
例えば、アレルギー及び自己免疫症候群についての寛容治療並びに病原体に対する予防的ワクチン接種を含む他の免疫アプローチは、T細胞抗原の詳細な知識を必要とした。後者の予防ワクチンの場合、全てのHLAアレレにおいて共通の病原体に由来するT細胞抗原についての知識は驚くほど乏しく、ほんの一握りのHLAアレレに関する知識しかないという事実が依然として存在する。この知識を拡大して、共通の及び新生の病原体に有効なワクチンを開発する系統的アプローチの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は上記の必要性に取り組むものである。詳細には、本発明は、少なくとも、遺伝子操作抗原提示細胞(eAPC)、遺伝子操作されたゲノム受容部位及びマッチする遺伝子ドナーベクターである3つの成分で構成される多成分システムの構築、組立て及び使用に関する。本発明は、抗原及び同族TCR配列の同定及び特徴決定のための、種々の形態の抗原性分子を提示する安定な派生細胞の迅速で高スループットな作製に用いられる。具体的には、eAPCは、ヒト白血球抗原(HLA)分子、HLA様分子並びに別異の形態の抗原提示分子及び抗原性分子の細胞表面提示がないようにゲノム編集により遺伝子操作されている。加えて、多成分システムの一部としてのeAPCは、オープンリーディングフレーム(ORF)をコードする抗原提示分子の挿入、必要に応じて、遺伝的にコードされる被分析物抗原の挿入のためのゲノム受容部位を含む。本システムは更に、被分析物 抗原分子及び/又は抗原提示複合体をコードするORFを迅速に送達するように、APCのゲノム受容部位を標的するよう設計された遺伝子ドナーベクターを含んでなる。本多成分システムは、臨床免疫診断における分析システムとして用いられてもよい。更に、本発明は、免疫療法剤及び免疫診断剤の製造用のT細胞抗原及び同族TCRを同定し特徴付けるための、多成分システムの使用に関する。
【0033】
本発明により、系統化された様式での種々の被分析物eAPC形態の組立てのための高度に標準化されたシステムが可能となる。この標準化及びシステム化は、マッチしたドナーベクター/ゲノム受容部位サブシステムを用いる、抗原提示複合体及び抗原性分子ORFの高度に規定され制御可能なゲノム組込みにより達成される。この制御可能で予測可能なシステムは、eAPC集団を生成するプロセスに顕著な効率性をもたらし、このプロセスのサイクル時間及びコストを低減させる。以前のシステムは、無誘導のゲノム組込み及び/又はウイルスアプローチを用いるランダムな組み込みに依拠していた。更に、システムのデザインは、部分的には、組み込まれたORFの制御可能なコピー数、通常は単一コピーを確実にし、組み込まれたORF産物の達成可能な発現レベルの厳格な管理を可能にすることである。より重要なことには、ベクタープールからORFを単一コピーで組み込む能力により、いわゆる「ショットガン組込み」(ドナーベクターが組み込まれた各細胞は、多様なORF集団をコードする可能性があるベクターのライブラリーから単一ORFのみを受容し得る)が可能となる。このことにより、ドナーベクターにコードされるORFライブラリーを、eAPCクローン亜集団ごとに単一の所望の被分析物ORFを発現するeAPCライブラリー(本質的には、バクテリオファージ又は酵母ディスプレイシステムに似た細胞ベースアレイシステムである)へ変換することが可能になる。このアレイシステムは、配列ライブラリー内での未知の被分析物 抗原配列の、eAPCにより提示されたときのTCR又はその他の親和性反応剤の反応性に基づく同定、及びその後の未知の「反応性」配列の保有体eAPCからの回収を容易にすることができる。更に、ショットガン組込みにより、標的細胞内での各被分析物抗原の効率的製造が可能になる。被分析物抗原配列の大きなプールの一過性トランスフェクション(任意の所与の被分析物抗原について入手可能な転写物の僅かなレベルをもたらす)と比較して、ショットガン組込みにより作製したeAPCライブラリー中の各細胞は、eAPCによる表面提示のための単一被分析物を確実に発現し、よって、種々の手段による被分析物抗原の同定が容易になる。
【0034】
本発明は、その成分が1又は2以上の被分析物eAPCの製造に用いられる、遺伝子操作された多成分システムの提供に関する。これら被分析物eAPCは、その後、1又は2以上の出力を得るために、1又は2以上の被分析物TCR(まとめて、eAPC:TCRシステム、eAPC:T)と組み合わされる。ここで、被分析物TCRは、可溶性又は不動化反応剤として提供され得、細胞の表面に提示されるか又は非細胞ベースの粒子(NCBP)により提示され得る。eAPCは、候補の被分析物抗原を被分析物TCRに対して提示する。
【0035】
最小形態の多成分システムは、ゲノム受容部位としての第2の成分を含むeAPCとしての第1の成分(成分Aと呼ぶ)を含んでなり、第3の成分が遺伝子ドナーベクター(成分Cと呼ぶ)である(図1)。
eAPCは、本システムの他の全ての成分が関係する、多成分システムの基本成分である。したがって、eAPCは、天然型であるか又は操作された或る特徴を含み、この特徴により、eAPCは、被分析物eAPC集団を作製するための使用に適切とされる。
【0036】
本発明に関して、eAPC(成分A)は、
i.抗原提示複合体(aAPX)及び/又は被分析物抗原性分子(aAM)の少なくとも1つのファミリーの内因性表面発現を欠き、
ii.少なくとも1つのゲノム受容部位(成分Bと呼ぶ)を含有し、
ここで、i)は、aAPX及び/又はaAMの発現を欠く天然に存在する細胞集団の選択により得てもよいし、又は当該発現を欠くように操作されていてもよく、ii)は、合成のものであってもよいし、特異的若しくは非特異的なゲノム組込みにより導入されていてもよい。
【0037】
天然に存在する細胞集団からの所望のaAPX及び/又はaAM発現を欠くeAPC細胞候補の選択は、当該技術において周知の方法により達成できる。このことは、eAPCからの欠如が望ましいaAPX及び/又はaAMに特異的な親和性反応剤を用いる標的細胞の染色、並びに標的aAPX及び/又はaAM発現を欠く細胞の選択により直接達成できる。
aAPX及び/又はaAM発現を欠くように細胞を操作することは、非標的化又は標的化手段により達成できる。細胞の非標的化変異誘発は、細胞に化学的、放射線学的又はその他の変異原を提供し、次いで、標的aAPX及び/又はaAM発現を欠く細胞を選択することにより達成できる。ゲノム遺伝子座の標的化変異は、限定されないが:
i.ジンクフィンガーヌクレアーゼ、
ii.CRISPR/Cas9媒介ターゲティング、
iii.合成転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)
による部位特異的変異誘発を含む異なる手段により達成でき、
ここで、前記部位特異的ヌクレアーゼは、標的遺伝子座で部位特異的DNA修復エラー変異誘発を誘発して、その後、変異細胞を、標的aAPX及び/又はaAM発現を欠く細胞の選択により得る。
【0038】
成分A(eAPC)は、必要に応じて、追加のT細胞共刺激レセプターを含んでもよい。この特徴により、被分析物eAPCと被分析物TCR提示細胞(被分析物TC)との強固な又は変化する形態のコミュニケーションが可能となり、整調可能なコミュニケーションは、特異的被分析物TCR及び/又は被分析物抗原の同定又は特徴決定に適切である。本発明に関して、被分析物TCでの種々の形態のCD28ライゲーションは、1又は2以上のCD80、CD86及び/又は更なるB7ファミリータンパク質を含むことにより促進され得る。
成分A(eAPC)は、必要に応じて、細胞表面接着分子成分の導入又は内因性細胞表面接着分子の除去を更に含んで、それぞれ、被分析物TCとのeAPCの結合及び免疫シナプスの形成を促進し、又はeAPC:T組合せシステム内での堅固な結合及び有害な細胞クラスタリングの形成を回避してもよい。成分Aに追加のORFとして導入され得るか又は成分Aから遺伝子除去され得る接着分子は、接着タンパク質のインテグリンファミリーから選択できる。
eAPCは、、必要に応じて、抗原をプロセスし、天然型のプロセシング及び積載(loading)機構により積荷(cargo)としてaAPXに積載する能力を有していてもよい(aAPX:aAMと呼ぶ)。抗原をプロセスし、天然型のプロセシング及び積載機構により積荷としてaAPXに積載する能力を有するeAPCはまた、eAPC又は(eAPCを含む)培養系に対して内因性である積荷分子(cargo molecule;CM)をプロセスし、積載する能力も有する(CMが積載されているaAPXをaAPX:CM複合体と呼ぶ)(図17)。
【0039】
最小多成分システムの第2の成分は、少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFの組込みのために用いられる遺伝子ドナーベクター(成分C)である(図1)。
成分Cは、eAPC(成分A)のゲノム内に含まれる成分Bのゲノム受容部位とカップリングされている遺伝子ドナーベクターである。成分Cは、遺伝子ドナーベクターにコードされる、aAPX及び/又はaAMをコードする1又は2以上のORFのゲノム受容部位(成分B)への組み込みのために設計されている。ここで、この組込みは、標的eAPCによるaAPX及び/又はaAMの発現をもたらす。
本発明に関して、対をなす遺伝子ドナーベクター及びゲノム受容部位は組込みカップルとも記載される。
拡大形態の多成分システムにおいて、成分A(eAPC)は、第2の遺伝子ドナーベクター(成分Eと呼ぶ;これもまた本システムに追加される)とカップリングされた第2のゲノム受容部位(成分Dと呼ぶ)を更に含んでいてもよい(図2)。多成分システムは、1又は2以上の追加の組込みカップルを更に含んでなってもよい。
【0040】
eAPC及び1又は2の組込みカップルを含んでなる多成分システムは、誘導体eAPC形態:i.eAPC-p
ii.eAPC-a
iii.eAPC-pa
の製造に用いられ、ここで、各遺伝子ドナーベクターは、1又は2以上のaAPX及び/又はaAMをコードする1又は2以上のORFを含み、該ORFをカップリングされたゲノム受容部位に組み込むためのものであってもよく、i)は少なくとも1つのaAPXを発現し、ii)は少なくとも1つのaAMを発現し、iii)は少なくとも1つのaAPX及び少なくとも1つのaAMを発現する(図3)。
遺伝子ドナーベクター及びゲノム受容部位は、多成分システムの組込みカップルサブシステムとして働く。遺伝子ドナーベクターは、先ず、標的ORFと組み合わされなければならず、ここで、基本ドナーベクターが当該標的ORFをコードするようになる。次いで、組立てられて準備が整ったドナーベクターは、標的ORFをゲノム受容部位と交換するために標的eAPCに導入され、よって、標的ORFが、標的細胞のカップリングされた受容部位に組み込まれる(図4)。
【0041】
遺伝子ドナーベクター成分C及び/又はEを含んでなる多成分システムは、成分C'及び/又はE'が得られるように、少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFと組み合わされてもよい。ここで、組合せは、遺伝子ドナーベクターの正しいコーディングフレームへの正しい配向での、遺伝物質のライゲーションとして定義される。
遺伝子ドナーベクターC及び/又はEへの1又は2以上のORFの組合せは、独特なORFのライブラリーを用いて、
i.複数のORFをコードするC'及び/又はE'ベクターの別個のライブラリーを得るための別個の反応
ii.複数のORFをコードするC'及び/又はE'ベクターのプールされたライブラリーを得るための単一反応
として複数回行なってもよい。ここで、別個のライブラリーは、独特なaAPX及び/又はaAMをコードする独特なORFを有するeAPCの別個のライブラリーが得られるように、成分Aと複数回組み合わされてもよく、プールされたライブラリーは、独特なaAPX及び/又はaAMをコードする独特なORFを各々が有するeAPCのプールされたライブラリーが得られるように、成分Aと単一事象として組み合わされてもよい。
ゲノム受容部位への予測可能なコピー数の1又は2以上のORFの効率的組込みは、被分析物eAPC集団が迅速に調製及び特徴決定され得る標準化eAPCの動作のために非常に有利である。よって、ゲノム受容部位及びカップリングされたドナーベクターはeAPCの機能に重要である。更に、eAPCを、成分B及びDが互いに隔離されてドナーベクター成分Cが成分Bで組み込まれず、その逆も同様であるようにすることが非常に望ましい。加えて、成分B及び/又は成分Dが、規定された単一のaAPX-及び/又はaAM-含有構築物の導入が迅速で反復可能であり、単一被分析物のみの正しい組込み及び送達の可能性が高いeAPCの作製方法に適することも望ましい。
【0042】
ゲノム受容部位は:
i.リコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)用に設計された合成構築物
ii.部位特異的相同組換え用に設計された合成構築物
iii.部位特異的相同組換え用の天然型ゲノム部位
から選択でき、ここで、i)が好ましい。RMCE法は、各成分B及びDが隔離された特異性を有するように、個別のリコンビナーゼ酵素に特異的である選択された異種特異的部位を採用してよい。
ゲノム受容部位である成分B及び/又は成分Dは、以下の遺伝子エレメント:
i.異種特異的リコンビナーゼ部位
ii.相同性アーム
iii.真核生物プロモーター
iv.真核生物条件付き調節エレメント
v.真核生物ターミネーター
vi.選択マーカー
vii.スプライスアクセプター部位
viii.スプライスドナー部位
ix.非タンパク質コーディング遺伝子
x.インスレーター
xi.可動遺伝子エレメント
xii.メガヌクレアーゼ認識部位
xiii.内部リボソーム進入部位(IRES)
xiv.ウイルス性自己切断ペプチドエレメント
xv.コザックコンセンサス配列
の少なくとも1つを含んでなる。
【0043】
好ましいゲノム受容部位は、以前に記載したエレメントのリストからの以下の選択されたエレメントを用いる2つの異なる配置で構成される。第1の配置は、RMCE組込みにより、1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする単一ORFを受け入れるためのものであり、ここで、該配置は
5'-[A] [B] [C] [D] [E] [F]-3'
であり、ここで、
A)は、エレメントiii)構成性又は誘導性真核生物プロモーターであり、
B)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位1であり、
C)は、エレメントxv)コザックコンセンサス配列であり、
D)は、エレメントvi)FACS及び/又はMACS適合性コード化タンパク質マーカーであり、
E)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位2であり、
F)は、エレメントv)真核生物ターミネーターである。
【0044】
第2の配置は、RMCE組込みにより、1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする2つのORFを受け入れるためのものであり、ここで、該配置は:
5'-[A] [B] [C] [D] [E] [F] [G] [H] [I]-3'
であり、ここで、
A)は、エレメントiii)構成性又は誘導性真核生物プロモーターであり、
B)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位1であり、
C)は、エレメントxv)コザックコンセンサス配列であり、
D)は、エレメントvi)FACS及び/又はMACS適合性のコード化タンパク質マーカー1であり、
E)は、エレメントv)真核生物二方向転写ターミネーターであり、
F)は、エレメントvi)FACS及び/又はMACS適合性コード化タンパク質マーカー2であり、
G)は、エレメントxv)コザックコンセンサス配列であり、
H)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位2であり、
I)は、エレメントiii)構成性又は誘導性真核生物プロモーターであり、
更に、この第2の配置において、エレメントF、G及びIは、アンチセンス方向にコードされる。
【0045】
成分C及び/又はEは、以下の遺伝子エレメント:
i.異種特異的リコンビナーゼ部位
ii.相同性アーム
iii.真核生物プロモーター
iv.真核生物条件付き調節エレメント
v.真核生物ターミネーター
vi.選択マーカー
vii.スプライスアクセプター部位
viii.スプライスドナー部位
ix.非タンパク質コーディング遺伝子
x.インスレーター
xi.可動遺伝子エレメント
xii.メガヌクレアーゼ認識部位
xiii.内部リボソーム進入部位(IRES)
xiv.ウイルス性自己切断fエレメント
xv.コザックコンセンサス配列
xvi.組込みの選択マーカー
xvii.抗生物質耐性カセット
xviii.細菌性複製起点
xix.酵母複製起点
xx.クローニング部位
の少なくとも1つで構成される。
【0046】
遺伝子ドナーベクターの好適な実施形態において、成分C及び/又は成分Eは、以前に記載したエレメントのリストからの以下の選択されたエレメントを用いる2つの異なる、可能性のある配置で構成される。
第1の配置は、RMCE組込みによる、1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする単一ORFの送達のためのものであり、ここで、該配置は
5'-[A] [B] [C] [D] [E]-3'
であり、ここで、
A)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位1であり、
B)は、エレメントxv)コザックコンセンサス配列であり、
C)は、エレメントxx)1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又はエレメントxvi)組込みの選択マーカーをコードする単一ORFのクローニング部位であり、
D)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位2であり、
E)は、非特異的配向でのエレメントxvii)抗生物質耐性カセット及びエレメントxviii)細菌性複製起点であり、
更に、エレメントviii及び/又はxivを、複数のaAPX及び/又はaAM及び/又はエレメントxviを一緒に連結するために用いてよい。
【0047】
第2の配置は、RMCE組込みによる、1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする2つのORFの送達のためのものであり、ここで、該配置は:
5'-[A] [B] [C] [D] [E] [F]-3'
であり、ここで、
A)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位1であり、
B)は、エレメントxv)コザックコンセンサス配列であり、
C)は、1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又はエレメントxvi)組込みの選択マーカーをコードし、真核生物のターミネーターを有する2又は3以上のORFの導入のためのクローニング部位であり、
D)は、エレメントxv)コザックコンセンサス配列(アンチセンス方向)であり、
E)は、エレメントi)異種特異的リコンビナーゼ部位2であり、
F)は、非特異的配向でのエレメントxvii)抗生物質耐性カセット及びエレメントxviii)細菌複製起点であり、
更に、エレメントviii及び/又はxivを、複数のaAPX及び/又はaAM及び/又はエレメントxviを各ORF内で一緒に連結するために用いてよい。
【0048】
多成分システムを用いる被分析物eAPCの作製
上記多成分システムは、その動作中に、eAPC:T組合せシステム内で、被分析物TCRに被分析物aAPX、aAM、aAPX:aAM及びaAPX:CMを提示するように働く、別異の形態の被分析物eAPC又はそのライブラリーを作製するために複数の様式で用いてもよい(図27を参照)。
単一組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAPXのORFと組み合わされた成分C'を提供することにより、eAPC-pを成分Aから一工程で作製するために用いてもよい。このaAPXは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPXを発現し、aAPXは細胞表面に提示される(図5)。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAPXのORFと組み合わされた成分C'を提供することにより、eAPC-pを成分Aから一工程で作製するために用いてもよい。このaAPXは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPXを発現し、aAPXは細胞表面に提示される。第2の組込みカップルD/Eは非改変のままであり、下流の組込み工程に用い得る(図6)。
単一組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAMのORFと組み合わされた成分C'を提供することにより、eAPC-aを成分Aから一工程で作製するために用いてもよい。このaAMは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAMを発現し、aAMは細胞表面に提示されるか、又は細胞内に保持される(図7)。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAMのORFと組み合わされた成分C'を提供することにより、eAPC-aを成分Aから一工程で作製するために用いてもよい。このaAMは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAMを発現し、aAMは細胞表面に提示されるか、又は細胞内に保持される。第2の組込みカップルD/Eは非改変のままであり、下流の組込み工程に用い得る(図8)。
【0049】
単一組込みカップルを含んでなる多成分システムは、一方はaAPXをコードし、他方はaAMをコードする2つのORFと組み合わされた成分C'を提供することにより、eAPC-paを成分Aから一工程で作製するために用いてもよい。aAPX及びaAMは共に部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPX及びaAMを発現し、aAPX:aAMを細胞表面に提示してもよい(図9)。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、一方はaAPXをコードし、他方はaAMをコードする2つのORFと組み合わされた成分C'を提供することにより、eAPC-paを成分Aから一工程で作製するために用いてもよい。aAPX及びaAMは共に部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPX及びaAMを発現し、aAPX:aAMを細胞表面に提示してもよい。第2の組込みカップルD/Eは非改変のままであり、下流の組込み工程に用い得る(図10)。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、各々がaAPX又はaAMのいずれかをコードする1つのORFと組み合わされた成分C'及びE'を提供することにより、eAPC-paを成分Aから一工程で作製するために用いられてもよい。aAPX及びaAMは共に部位B又はDに組み込まれ、成分B'及びD'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPX及びaAMを発現し、aAPX:aAMを細胞表面に提示してもよい(図11)。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAPXをコードするORFと組み合わされた成分C'を先ず提供することにより、eAPC-paを成分Aから二工程で作製するために使用されてもよい。このaAPXは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPXを発現し、aAPXは細胞表面に提示される(eAPC-p中間体)。第2の組込みカップルD/Eは非改変のままである。第2の工程において、ドナーベクターがaAMをコードするORFと組み合わされたE'が提供される。このaAMは部位Eに組み込まれ、成分E'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAMを発現し、これはaAPXにおいてプロセスされて積荷として積載され、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成してもよい(図12)。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAMをコードするORFと組み合わされた成分C'を先ず提供することにより、eAPC-paを成分Aから二工程で作製するために用いてもよい。このaAMは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAMを発現する(eAPC-a中間体)。第2の組込みカップルD/Eは非改変のままである。第2の工程において、ドナーベクターがaAPXをコードするORFと組み合わされたE'が提供される。このaAPXは部位Eに組み込まれ、成分E'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPXを発現し、これは細胞表面に提示される。第1の工程で組み込まれたaAMは、aAPXにおいてプロセスされて積荷として積載され、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成してもよい(図13)。
【0050】
被分析物eAPC-p、eAPC-a及びeAPC-pa集団をeAPCから作製する上記の例において、多成分システムは、既知のaAPX及びaAM候補を規定された様式で提供して、規定されたaAPX及び/又はaAMを発現する被分析物eAPCの別個の集団を作製するために用いられる。この方法は、システムの動作中にeAPC:T組合せシステムに提供するeAPC-p、eAPC-a及びeAPC-paのライブラリーを構築するために複数回繰り返されてもよい。代替アプローチは、遺伝子ドナーベクターと組み合わされる候補のaAPX及び/又はaAM ORFのプールされたライブラリーを採用し、これらを単一反応で組み込んで、複数のaAPX、aAM及び/又はaAPX:aAMを発現する被分析物eAPC-p、eAPC-a又はeAPC-paのプールされたライブラリーを取得することであ
る。ベクタープールをeAPC-p、-a及び/又は-paのプールに変換するこの方法は、ショットガン組込みと呼ばれる。これは、候補aAMの大きなライブラリーを固定されたaAPXに対して分析するとき、又はその逆のときに特に有用である。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAPXをコードするORFと組み合わせた成分C'を先ず提供することにより、eAPC-paを成分Aから二工程で作製するために用いてもよい。このaAPXは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAPXを細胞表面で発現する(eAPC-p中間体)。第2の組込みカップルD/Eは非改変のままである。第2の工程において、複数のE'のライブラリーが提供され、ここで、ドナーベクターのライブラリーは、各々がaAMをコードする単一ORFと組み合わされたベクタープールを含んでなり、各aAMは単一細胞で部位Eに組み込まれ、成分E'が作製される。得られる細胞プールは細胞の集団を含み、ここで、各細胞は元のベクタープールからの単一ランダムaAM ORFが組み込まれている。第2の工程で組み込まれたaAMは、第1の工程で組み込まれたaAPXにおいてプロセスされて積荷として積載され、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成してもよい(図14)。
【0051】
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、aAMをコードするORFと組み合わされた成分C'を先ず提供することにより、eAPC-paを成分Aから二工程で作製するために用いられてもよい。このaAMは部位Bに組み込まれ、成分B'が作製される。得られる細胞株は提供されたaAMを発現する(eAPC-a中間体)。第2の組込みカップルD/Eは非改変のままである。第2の工程において、複数のE'のライブラリーが提供され、ここで、ドナーベクターのライブラリーは、各々がaAPXをコードする単一ORFと組み合わされたベクタープールを含んでなる。各aAPXは、単一細胞内で、部位Eに組み込まれ、成分E'が作製される。得られる細胞プールは細胞の集団を含み、ここで、各細胞は、元のベクタープールからの単一ランダムaAPX ORFが組み込まれている。第1の工程で組み込まれたaAMは、第2の工程で組み込まれたaAPXにおいてプロセスされて積荷として積載され、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成してもよい(図15)。
2つの組込みカップルを含んでなる多成分システムは、各々がaAPXのライブラリー又はaAMのライブラリーのいずれかをコードするORFのライブラリーと組み合わされた成分C'及びE'を提供することにより、eAPC-paを成分Aから一工程で作製するために用いられてもよい。aAPX及びaAMは共に部位B又はDに組み込まれ、B'及びD'が作製される。得られる細胞プールは細胞の集団を含み、ここで、各細胞は、元のベクタープールからの単一ランダムaAPX ORF及び単一ランダムaAM ORFが組み込まれている。プールされたライブラリー中の各細胞内で、組み込まれたaAMは、プロセスされ、同一細胞中に組み込まれたaAPXに積荷として積載されて、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成してもよい。このプールされたライブラリーは、提供されたaAPX及びaAMセットからaAPX:aAMの可能性のある全ての組合せを含み得る(図16)。
eAPC-paのプールされたライブラリーを提供するための上記ショットガン組込み法において、システムの堅牢性は単一コピーのゲノム受容部位に依拠する。このことは、単一被分析物のみが組込みカップルを介して各細胞に導入されることを確実にする。この単一コピーゲノム受容部位は、eAPCSの1つの任意選択の側面である。なぜならば、同一ゲノム受容部位の複数コピーは、提供されたベクターのライブラリーからの複数の「アレレ」が製造されたeAPCにおいて取得され得る組込み工程の提供において有益であり得るからである。
【0052】
本発明に関して、aAPXは、以下:
i.HLAクラスIの1又は2以上のメンバー
ii.HLAクラスIIの1又は2以上のメンバー
iii.1又は2以上の非HLA抗原提示複合体
の1つから選択され得る。
本発明に関して、aAPXは、以下:
i.被分析物抗原として提供されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
ii.被分析物抗原として提供されるポリペプチドに由来するペプチド
iii.被分析物抗原として提供されるペプチド
iv.被分析物抗原として提供される代謝物
v.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
vi.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチドに由来するペプチド
vii.成分Aプロテオームの変更に由来するペプチド
viii.成分Aプロテオームに由来するポリペプチド
ix.成分Aメタボロームの変更に由来する代謝物
の1つから選択され得る。
【0053】
被分析物eAPCと被分析物TCとの接触
本発明は、遺伝子操作された多成分システムの提供に関する。成分A及び1又は2以上の成分C'及び/又は1又は2以上の成分E'を用いて1又は2以上の被分析物eAPC集団を作製する。次いで、これら被分析物eAPCを1又は2以上の被分析物TCRと組み合わせて、eAPC:TCR分析システム(eAPC:T)を構築し、1又は2以上の出力を得る(図27)。ここで、eAPCは被分析物抗原を提供し、被分析物TCRは以下:
i.TCR分子及び/又は
ii.被分析物抗原に関して親和性を有する分子
により表されてもよく、被分析物TCRは、eAPC:Tシステム内で、以下:
i.被分析物TCR提示細胞(TC)及び/又は
ii.可溶性又は不動化親和性反応剤及び/又は
iii.非細胞ベースの粒子(NCBP)
として表されるeAPCに対して異なる態様で提示されてもよく、ここで、
i)被分析物TCR提示細胞(TC)は、被分析物TCRをeAPCに提示することができる任意のTCと考えられ;ii)親和性反応剤は、APC:Tシステムにおいて、eAPCの細胞表面でのTCR結合及び/又は刺激を探索するための被分析物として作製される任意の反応剤と考えられる。この反応剤は、eAPCを染色するために用いられる被分析物TCRマルチマー反応剤(例えば、TCR「テトラマー」)であり得る。この点に関して、親和性反応剤は抗体又は類似物であり得る;iii)非細胞ベースの粒子(NCBP)は、粒子が、eAPC:Tシステム内でeAPC表面での被分析物抗原の結合について評価されるべき被分析物TCR又はその他物質である限りにおいて、親和性反応剤に類似する様式で作用する。しかし、NCBPは、提示された被分析物TCR又は他の結合体の識別体として直接又は間接に作用する、遺伝子又は他の情報を更に運搬することが可能なより大きな物質として考えることもできる。NCBPの代表例は、ファージディスプレイ場面でのバクテリオファージであり、ここで、ファージは抗体フラグメント-抗原結合(FAB)をディスプレイし得る。陽性標識されたeAPCは、ファージと共に回収され、配列決定されて、eAPC表面の被分析物抗原に特異的なFABが同定されてもよい。
【0054】
更に、被分析物TCRの細胞による提示は、以下:
i.初代T細胞
ii.組換えT細胞
iii.遺伝子操作TCR提示細胞
iv.被分析物抗原に関して親和性を有する分子を提示する遺伝子操作された細胞
(まとめて、被分析物TCと呼ぶ)のいずれの形態であってもよい。
eAPC:T分析システムは、1又は2以上の被分析物eAPC集団及び被分析物TCRで構成される(図27)。被分析物eAPC集団は上記の様に多成分システムを用いて作製される(図3~16)。eAPC:Tシステムは、被分析物eAPCと被分析物TCRとの物理的接触を可能にする形式で提供され、この接触により1又は2以上の被分析物eAPCにより提示される被分析物抗原と被分析物TCRとの間の複合体形成が可能となる。
【0055】
被分析物抗原は、被分析物TCRがeAPC:Tシステムにおいて推定上結合できる任意の物質であり:
i.aAPX(被分析物抗原提示複合体)及び/又は
ii.aAM(被分析物抗原性分子)及び/又は
iii.aAPX:aAM(被分析物抗原性分子を提示する被分析物抗原提示複合体)及び/又は
iv.CM(非被分析物積荷分子)及び/又は
v.aAPX:CM(積荷分子を提示する被分析物抗原提示複合体)
であることができ、ここで、aAPXは、aAMを提示できる複合体であり、aAMは、TCRにより直接認識されるか又はaAPXに積載された場合にTCRにより認識される任意の分子であり、aAPX:aAMは、aAMを積載したaAPXであり、CMは、aAPXに積載され得るが、被分析物でなく、よって被分析物抗原提示細胞(APC)又はアッセイシステム自体に由来し得る積荷分子であり、aAPX:CMは、CMが積載されたaAPXである。
【0056】
本発明に関して、eAPC:Tシステムは:
i.単一被分析物eAPCの入力又は
ii.プールされた被分析物eAPCのライブラリーの入力
で構成され、以下:
iii.単一被分析物TCの入力、又は
iv.単一被分析物親和性反応剤の入力、又は
v.単一被分析物NCBPの入力、又は
vi.被分析物TCのプールされたライブラリの入力、又は
vii.被分析物親和性反応剤のプールされたライブラリの入力、又は
viii.被分析物NCBPのプールされたライブラリの入力
の1つと組み合わされる。
【0057】
緩衝液系における接触
被分析物eAPCと被分析物TCとの接触は、許容される細胞培養系又は緩衝化培地で行われ、ここで、当該系は、被分析物eAPC及び被分析物TC細胞の両方、被分析物親和性反応剤又は被分析物NCBPの機能を許容する培地を含む。
可溶性被分析物TCR、不動化被分析物TCR及び/又は被分析物NCBPと被分析物eAPCとの接触は、許容される緩衝化系で行われ、ここで、当該系は、被分析物TCR及び被分析物eAPC細胞の両方の機能を許容する緩衝化培地を含む。
【0058】
親和性反応剤又はNCBPでのeAPCの標識
多成分システムから得られる被分析物eAPCは、eAPCにより提示される被分析物抗原の特徴決定に用いることができる。この特徴決定は、被分析物eAPCが不動化若しくは可溶性親和性反応剤又はNCBPと接触してeAPCが標識されるような様式で行うことができる(図24)。
eAPCの標識は、フローサイトメトリー、顕微鏡観察、分光分析若しくはルミノメトリーのような方法による標識の直接観察により、又は被分析物抗原の同定のための不動化親和性反応剤若しくはNCBPでの捕捉により検出されることが考えられる。
【0059】
シグナル応答の定義
多成分システムから得られる被分析物eAPCは、被分析物TCRに対する被分析物eAPCのシグナル応答の特徴決定のために用いられ、ここで、このシグナル応答は、二値(binary)又は徐々に変化するもののいずれであってもよく、eAPCに固有なもの(図21)及び/又は含まれるならば被分析物TCに固有なもの(図20)として測定され得る。このシグナルは、フローサイトメトリー、顕微鏡観察、分光分析若しくはルミノメトリー又は当業者に公知のその他の方法のような方法により検出できる。
【0060】
一般的方法-eAPCの選択
eAPC:T組合せシステムから、入力の被分析物eAPC又は被分析物eAPCのライブラリーからの1又は2以上の被分析物eAPCを選択して、1又は2以上の被分析物eAPCを得る方法であって、発現した被分析物抗原が1又は2以上の被分析物TCRと結合する方法は:
i.1又は2以上の被分析物eAPCを1又は2以上の被分析物TCRと組み合わせて、被分析物抗原と被分析物TCRとの接触をもたらすことと、以下の少なくとも1つ:
ii.もしあるならば、1又は2以上の被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体の形成を測定すること、及び/又は
iii.標識された被分析物TCRからのシグナルを測定すること、及び/又は
iv.もしあるならば、1又は2以上の被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体形成により誘導される被分析物eAPCによるシグナル応答を測定すること、及び/又は
v.もしあるならば、1又は2以上の被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間の複合体形成により誘導される被分析物TCによるシグナル応答を測定することと、
vi.工程ii、iii、iv及び/又はvに基づく1又は2以上の被分析物eAPCの選択であって、選択が、ポジティブ及び/又はネガティブ測定により行われることと
を含み、ここで、i、iv及びvi又はi、v及びviは、好ましい構成を含む。
【0061】
一般的方法-被分析物TCRの選択
入力の被分析物TCR又は被分析物TCRのライブラリーから1又は2以上の被分析物TCRを選択して1又は2以上の被分析物TCRを得る方法であって、発現した被分析物抗原が、1又は2以上の被分析物TCRと結合する方法は:
i.1又は2以上の被分析物APCと1又は2以上の被分析物TCRとを組み合わせて、被分析物APCにより提示される被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの接触をもたらすことと、
ii.もしあるならば、1又は2以上の被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体の形成を測定することと、及び/又は
iii.標識された被分析物TCRからのシグナルを測定することと、及び/又は
iv.もしあるならば、被分析物TCRと被分析物抗原との間での複合体形成により誘導される1又は2以上の被分析物TCにおけるシグナル応答を測定することと、及び/又は
v.もしあるならば、1又は2以上の被分析物TCRと1又は2以上の被分析物抗原との間での複合体形成により誘導される被分析物APCによるシグナル応答を測定することと、
vi.工程ii、iii、iv及び/又はvからの1又は2以上の被分析物APCの選択であって、選択が、ポジティブ及び/又はネガティブ測定により行われることと
を含み、ここで、i、iv及びvは、好ましい構成を含む。
【0062】
シグナル応答についての一般的方法
報告されるシグナル応答に基づいてeAPC:T組合せシステムから被分析物eAPC及び/又は被分析物TC及び/又は親和性反応剤及び/又はNCBPを選択する方法は:
i.天然型シグナル伝達応答を決定することと、及び/又は
ii.合成シグナル伝達応答を決定すること(eAPCがそのような応答回路を含む場合及び/又は被分析物TCが等価の合成レポーター回路を含む場合)
を含む。
APC及び/又は被分析物TCに固有である誘導された天然型又は合成のシグナル応答は、以下:
i.分泌された生体分子
ii.分泌された化学物質
iii.細胞内生体分子
iv.細胞内化学物質
v.表面発現された生体分子
vi.被分析物eAPCに対する被分析物TCの細胞毒性作用
vii.シグナル応答が被分析物APCにおいて誘導され、i~vのいずれかの増減を検出することにより決定されるような被分析物eAPCに対する被分析物TCのパラクリン作用
viii.被分析物TCの増殖
ix.被分析物TCと被分析物eAPCとの間の免疫シナプス
の1又は2以上の増減を検出することにより測定され、ここで、前記検出されるシグナル応答は、eAPC:T組合せシステム及び/又は並行して組み立てられた組合せシステムの組立ての前の、被分析物eAPC及び/又は被分析物TCに固有の非誘導シグナル応答状態と比較され、ここで、被分析物eAPC及び/又は被分析物TCは、用いるeAPC:T組合せシステム内でシグナル応答を誘導しないことが知られている対照の被分析物抗原及び/又は被分析物TCR種及び/又は可溶性被分析物抗原を提示し得る。
【0063】
標識及び/又はシグナル応答による選択の方法
eAPC:T組合せシステムから、被分析物eAPC及び/又は被分析物親和性反応剤及び/又は被分析物NCBPを選択する方法は:
i.親和性反応剤又はNCBPによるeAPCの標識を決定する
ことを含み、
ii.天然型シグナル伝達応答を決定すること、及び/又は
iii.合成シグナル伝達応答を決定すること(eAPCがそのような応答回路を含む場合)
も含んでよく、ここで、eAPCの標識を検出することによりeAPC及び/又は親和性反応剤及び/又はNCBPを選択することは、親和性反応剤及び/又はNCBPに検出可能な標識を含ませることによる、親和性反応剤及び/又はNCBPによるeAPCの表面標識の検出を含んでよい。この検出可能な標識は、蛍光、発光、分光、化学、放射化学又は親和性部分であってよい。よって、eAPCのこの選択は、FACS、MACS又は等価な高スループットスクリーニング及び選択方法に基づいて行ってよい。
【0064】
まとめ
eAPC:T組合せシステム内で、1又は2以上の被分析物eAPC又は1若しくは2以上の被分析物TCにおけるシグナル応答の測定、又は被分析物抗原と被分析物TCRとの間の複合体形成により媒介され得るeAPCの標識(図27 工程iv)は、一次システム出力の選択に重要であり(図27 工程v)、ここで、一次システム出力は、単一細胞若しくは細胞プール、及び/又は単一親和性反応剤若しくは親和性反応剤プール、及び/又は単一NCBP若しくはNCBPプールである。ここで、細胞又は反応剤の選択は、接触させた被分析物eAPC若しくは被分析物TC細胞のいずれか及び/又は両方において報告されるシグナル応答の存否に対して、或いは親和性反応剤又はNCBPでのeAPCの測定可能な標識により行うことができる。
【0065】
eAPC:Tシステムからの一次システム出力の取得
本発明は、遺伝子操作された多成分システムの提供に関する。成分A及び1又は2以上の成分C'及び/又は1又は2以上の成分E'を用いて、1又は2以上の被分析物eAPC集団を作製する。次いで、これら被分析物を、eAPC:Tシステムにより1又は2以上の被分析物TCRと組み合わせて、1又は2以上の出力を得る。被分析物TCRは、可溶性又は不動化反応剤として提供されるか、細胞表面に提示されるか又は非細胞ベースの粒子(NCBP)により提示される。被分析物TCRの細胞による提示は、以下:
i.初代T細胞
ii.組換えT細胞
iii.遺伝子操作TCR提示細胞
iv.被分析物抗原に関して親和性を有する分子を提示する遺伝子操作細胞
(以上、まとめて、被分析物TCと呼ぶ)
のいずれかの形態であり得る。
【0066】
本システムは、1又は2以上の被分析物eAPC集団と被分析物TCRの選択で構成される(図27)。被分析物eAPC集団は多成分システムを上記の様に用いて作製される(図3~16)。eAPC:Tシステムは、被分析物eAPCと被分析物TCRとの物理的接触を許容する形式で提供され、ここで、この接触は、1又は2以上の被分析物eAPCにより提示される被分析物抗原と被分析物TCRとの間の複合体形成を許容し、ここで、被分析物抗原は、以下:
i.aAPX及び/又は
ii.aAM及び/又は
iii.aAPX:aAM及び/又は
iv.CM及び/又は
v.aAPX:CM
のいずれかであり、ここで、被分析物TCRは、被分析物eAPCにより提示される被分析物抗原との可能な結合のために、被分析物TCにより提示されるか、又は可溶性若しくは不動化被分析物親和性反応剤のいずれかにより提示されるか、又は被分析物NCBPにより提示され、複合体形成は、その複合体の安定化を導くことができ、eAPCの標識及び/又は被分析物eAPC内でのシグナル伝達の誘導を導き、eAPCの標識及び/又は被分析物eAPC内でのシグナル伝達の誘導及び/又は被分析物TCが報告され、測定され得る。
【0067】
誘導されたシグナル応答の報告及び/又はeAPCの標識の態様は上述の通りであり、eAPC:Tシステムに構築される多成分システムの一次出力の取得時に測定される必要があるのは、これらの報告される応答及び/又は標識である。
eAPC:Tシステムからの一次出力は、選択された細胞集団及び/又は選択された親和性反応剤若しくは選択されたNCBPであり、ここで、選択は:
i.親和性反応剤若しくはNCBPによるeAPCの測定可能な標識、及び/又は
ii.eAPCにおいて検出されるシグナル応答、及び/又は
iii.eAPCにおける検出されるシグナル応答の欠如、及び/又は
iv.被分析物TCにおいて検出されるシグナル応答、及び/又は
v.被分析物TCにおいて検出されるシグナル応答の欠如
に基づいて行われ、ここで、一次出力は、単一細胞若しくは細胞プール及び/又は1又は2以上のeAPC結合親和性反応剤若しくはNCBP(eAPCに結合した親和性反応剤若しくはNCBP)として表すことができる。
【0068】
eAPC:T組合せシステムから、被分析物親和性反応剤、NCBP若しくは被分析物TC及び/又は被分析物eAPCを、接触細胞における応答に基づいて選択できる。つまり、被分析物TCは、接触している被分析物eAPCにおける、報告される応答又はその欠如に基づいて選択できる。逆に、被分析物eAPCは、接触している被分析物TCRにおける、報告される応答又はその欠如に基づいて選択できるか、或いは被分析物TCが被分析物親和性反応剤又はNCBPである場合は、被分析物親和性反応剤又はNCBPはeAPC応答から選択できる。
【0069】
システムからのeAPC及び/又は被分析物TC出力は、選択された細胞であり、ここで、選択は、被分析物TC又はeAPCのいずれかにおける報告されるシグナル応答の存否に基づいて行われ、これら細胞は、1若しくは2以上のeAPC及び/又は1若しくは2以上の被分析物TCを含んでよく、ここで、選択された細胞は、単一細胞、同じアイデンティティの細胞プール又は異なるアイデンティティの細胞プールを含んでよい(図27工程v)。
システムからの一次被分析物親和性反応剤又はNCBP出力は、親和性反応剤又はNCBPが結合しているか又はしていない選択された細胞であり、ここで、選択は、被分析物eAPCによる標識又は報告されるシグナル応答の存否に基づいて行われ、ここで、選択された親和性反応剤又はNCBPは、単一親和性反応剤若しくはNCBP、同じアイデンティティの親和性反応剤若しくはNCBPのプール又は異なるアイデンティティの親和性反応剤若しくはNCBPのプールを含んでよい(図27工程v)。
【0070】
二元組成物からの出力
eAPC:T組合せシステム内の被分析物eAPC及び/又は被分析物TCにおいて報告されるシグナルは、被分析物細胞集団を選択して一次出力を提供するために用いてもよい。本発明に関して、被分析物eAPCの一次出力は、eAPC:T組合せシステムが1又は2以上の被分析物eAPCと被分析物TCRとの二元組成のものである場合(例えば、図24)、二元システムから、被分析物TCRで標識される所望の被分析物eAPC集団を選択することにより達成され得る。
被分析物親和性反応剤又はNCBPの一次出力は、eAPC:T組合せシステムが1又は2以上の被分析物eAPCと被分析物親和性反応剤又は被分析物NCBPとの二元組成のものである場合(例えば図24)、二元システムから、被分析物親和性反応剤又は被分析物NCBPで標識される所望の被分析物eAPC集団を選択することにより達成できる。
eAPC及び/又は被分析物TC型の一次出力は、eAPC:T組合せシステムが、固定された被分析物eAPC及びプールされたライブラリー被分析物TCの性質のものである場合(例えば図22)又はeAPC:T組合せシステムが、固定された被分析物TC及びプールされた被分析物eAPCライブラリーの性質のものである場合(例えば、図23)、組合せの培養系から所望の被分析物APC及び/又は被分析物TC集団を選択することにより達成できる。
被分析物eAPCの一次出力は、eAPC:T組合せシステムが、固定された被分析物TCR及びプールされたライブラリー被分析物eAPCの性質のものである場合(例えば図24)又はeAPC:T組合せシステムが、固定されたeAPC及びプールされた可溶性被分析物親和性反応剤又はNCBPライブラリーの性質のものである場合、組合せの培養系から所望の被分析物eAPC集団を選択することにより達成できる。
被分析物親和性反応剤又は被分析物NCBPの一次出力は、eAPC:T組合せシステムが、固定された可溶性被分析物親和性反応剤若しくは被分析物NCBP及びプールされたライブラリー被分析物eAPCの性質のものである場合(例えば、図24)又はeAPC:T組合せシステムが、固定されたeAPC及びプールされた被分析物親和性反応剤若しくは被分析物NCBPライブラリーの性質のものである場合、組合せの培養系から所望の被分析物親和性反応剤又は被分析物NCBP集団を選択することにより達成できる。
【0071】
出力を取得する態様
一次出力を得ることができる幾つかの異なる態様があり、ここで、各態様は、細胞選別工程を伴う。選別は、蛍光活性化細胞選別(FACS)及び/又は磁性活性化細胞選別(MACS)及び/又は異なる親和性活性化細胞選別法により達成してよい。
一次出力たるeAPC及び/又は被分析物TC細胞及び/又はeAPC結合親和性反応剤若しくはNCBPは、単一細胞選別により単一細胞を得てもよく、及び/又は細胞プール選別により細胞プールを得てもよい。
一次出力たるeAPC及び/又は被分析物TC細胞は、単一細胞選別により単一細胞を得てもよく、必要に応じてその後、単一細胞を増殖させて、選択されたeAPC又は被分析物TC細胞のモノクローナルプールを得てもよい。
一次出力たるeAPC及び/又は被分析物TC細胞はまた、細胞プール選別により細胞プールを得てもよく、必要に応じてその後、細胞プールを増殖させて、選択されたeAPC及び/又はTC細胞のプールを得てもよい。
【0072】
eAPC:Tシステムからの終端システム出力の取得
測定されるシグナル応答又は安定な複合体形成に基づいて選択された被分析物eAPC及び/又は被分析物TC及び/又は被分析物NCBPである一次出力を取得する上記の方法に続いて、eAPC:Tシステムからの終端出力を、選択されたeAPC及び/又は被分析物TC及び/又はNCBP一次出力の更なる加工処理により得ることができる(図27、工程vi)。
多成分システムからの終端出力は、被分析物APC又は被分析物TC又は被分析物親和性反応剤又は被分析物NCBPにより提示され、eAPC:T組合せシステムからの選択により多成分システムからの一次出力として得られる
i.aAPX及び/又は
ii.aAM及び/又は
iii.aAPX:aAM及び/又は
iv.CM及び/又は
v.aAPX:CM及び/又は
vi.TCR
のアイデンティティである。
【0073】
eAPC:Tシステム内で、被分析物eAPC及び被分析物TCにより提示される被分析物分子が遺伝子にコードされている場合が頻繁にある。例えばNCBPがバクテリオファージによりディスプレイされる場合、被分析物NCBPが遺伝子にコードされるアイデンティティを有する場合もそうである。よって、被分析物eAPC又は被分析物TC又は被分析物NCBPにより提示される被分析物分子を同定するために、作製された被分析物eAPC、TC及びNCBPの遺伝子配列決定を行ってよい。
選択された一次出力は、選別された及び/又は増殖させた細胞のゲノム又はトランスクリプトームについて遺伝子配列を得て:
i.aAPX及び/又は
ii.aAM及び/又は
iii.aAPX:aAM
iv.CM及び/又は
v.aAPX:CM及び/又は
vi.被分析物TCR
のアイデンティティを決定するように加工処理してよく、ここで、得られるアイデンティティは、eAPC:Tシステムの終端出力を表す。遺伝子成分を有するNCBPは、選別されたNCBPのゲノム又はトランスクリプトームについて遺伝子配列を得て、被分析物TCRのアイデンティティを決定するように加工処理してよく、ここで、得られるアイデンティティはeAPC:Tシステムの終端出力を表す。
【0074】
eAPCは、選別及び/又は増殖されたTC細胞の成分B'及び/又は成分D'について遺伝子配列を得て、被分析物抗原のアイデンティティを決定するように加工処理してよく、ここで、被分析物抗原の得られるアイデンティティは、eAPC:Tシステムの終端出力を表す。
被分析物TCは、選別及び/又は増殖されたTC細胞のゲノム又はトランスクリプトームについて遺伝子配列を得て、被分析物TCRのアイデンティティを決定するように加工処理してよく、ここで、TCRの得られるアイデンティティはeAPC:Tシステムの終端出力を表す。
【0075】
遺伝子配列決定は、様々な態様で、様々な遺伝物質源から、特定の加工処理あり又はなしで達成できる。配列決定工程の前に
i.ゲノムDNAを抽出すること、及び/又は
ii.成分B'及び/又はD'のRNA転写物を抽出すること、及び/又は
iii.成分B'及び/又はD'のDNA及び/又はRNA転写産物をPCR及び/又はRT-PCRによりにより増幅すること
を行ってよい。
配列決定工程は、多成分システムの一次出力として得られるeAPC又はTC、NCBp又はそれらのプールに対して破壊的であってよい。
【0076】
配列決定工程が一次出力eAPCに対して破壊的であるeAPC:Tシステムから一次出力を得ることが望ましい場合、多成分システムの終端出力として得られる配列情報を用いて、被分析物eAPCと等価な出力eAPCを作製してよい。
遺伝子によりコードされる被分析物分子の上記場面において、eAPC:Tシステムの終端出力は、成分B'及び/又はD'並びに/又は細胞ゲノム及び/若しくはトランスクリプトームから配列情報を得ることにより得てよい。しかし、幾つかの実施形態では、抗原情報は、遺伝子によりコードされない。翻訳後修飾される抗原、非遺伝子的手段によりeAPC:T組合せシステムに提供される抗原、被分析物eAPCプロテオーム又は代謝産物の誘導又は改変された状態から現れる抗原、eAPC:Tシステムに固有のCMは、遺伝子配列決定手段により合理的に同定されない場合がある。
【0077】
非遺伝子手段によりeAPC:Tシステムに提供され得るaAMの重要な場合において、提供されたaAMをaAPX:aAM複合体としてAPCが提示し得る2つの異なる態様が存在する。第1の場面において、aAMは、aAPXと直接結合でき、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成する形態で提供される(図18)。このようなaAMの例は、HLA複合体についてのペプチド抗原である。第2の場面において、aAMは、被分析物eAPCにより取り込まれ、aAPXにおいて積荷として積載され、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成するようにプロセスされる形態で提供される(図19)。
aAM積荷又はCM積荷を選択し同定する方法であって、積荷が、多成分システムの一次出力として選択されて得られるeAPCのaAPXに積載される代謝物及び/又はペプチドである方法は、
i.aAPX:aAM又はaAPX:CM又は積荷aM又は積荷CMを単離することと、
ii.積載された積荷を同定することと
を含み、ここで、同定される積載された積荷(CM又はaAM)は、多成分システムの終端出力である。
【0078】
一般に、選択されたAPCから積荷分子を同定できる2つの態様が存在する。第一に、aAPX:aAM又はaAPX:CMからの積荷の強制放出により、その後の同定に利用可能なaAM又はCMの単離がもたらされる(図25)。この例は、HLA複合体からペプチドaAMを遊離させるeAPCの酸洗浄である。第二に、(例えば複合体の遊離及び免疫親和性単離法による)aAPX:aAM又はaAPX:CMの捕捉により、aAPX:aAM又はaAPX:CM複合体の単離がもたらされ、aAM又はCMを同定できる(図26)。
単離aAM及び/若しくはCMを直接に又は単離aAPX:aAM若しくはaAPX:CM複合体から同定する方法は:
i.質量分析
ii.ペプチド配列決定分析
を含むことができ、ここで、含まれるaAM及び/又はCMアイデンティティは、多成分システムの終端出力である。
【0079】
eAPC:Tシステムを用いる、被分析物抗原に関する被分析物TCRの親和性の決定
一次出力を得る上記の方法であって、一次出力が、測定されるシグナル応答に基づいて選択される被分析物eAPC細胞である方法の後に、eAPC一次出力を親和性分析に供して、同族被分析物TCRに対する被分析物抗原の親和性を決定してよく、ここで、被分析物抗原は、以下:
i.aAPX及び/又は
ii.aAM及び/又は
iii.aAPX:aAM及び/又は
iv.CM及び/又は
v.aAPX:CM
のいずれかであり、ここで、被分析物TCRは、可溶性親和性反応剤として提供されるか又は被分析物TC若しくは被分析物NCBPにより提示され、被分析物抗原の親和性は以下の方法:
i.選択された被分析物eAPCを、所定範囲の濃度の被分析物TCRで標識すること、
ii.工程aの染色された被分析物eAPCについてFACS分析を行うこと、
iii.所定の濃度範囲の被分析物TCRについて被分析物eAPCの蛍光標識の強度を決定すること、
iv.被分析物抗原の被分析物TCRに対する親和性を算出すること
により決定される。
【0080】
本発明に関して、被分析物抗原の親和性は、以前に記載された方法(ただし、標識された参照物も含んでいてよい)によって決定してもよく、親和性は参照物の蛍光強度に対する被分析物抗原の蛍光強度の比を用いて算出され、ここで、標識された参照物は:
i.1つの被分析物抗原に対する親和性反応剤で標識された被分析物eAPC、
ii.1以上のCD3タンパク質に対する親和性反応剤で標識される被分析物eTPC-t
iii.標識された参照物たる被分析物抗原を提示する細胞又は粒子
から選択される。

図面の説明
本発明を以下の非限定的図面において更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1図1-単一組込みカップル多成分システムの成分の説明。 3成分を含んでなるMCSの一例。第1の成分Aは、当該細胞の全ての要求される遺伝子操作された特徴を有するeAPC株自体である。eAPC Aは、aAPX及び/又はaAMの組込みのためのゲノム組込み部位である1つの更なる成分Bを含有する。1つの追加の成分Cは部位BへのORFの部位特異的組込み用遺伝子ドナーベクターを表し、矢印はカップリングされた特異性を示す。対をなす組込み部位/ドナーベクターカップルは、単一ORF又はORF対を組み込んでaAPX及び/又はaAM発現を導入するような形式とされ得る。
図2図2-二重組込みカップル多成分システムの成分の説明。 5成分を含んでなるMCSの一例。第1の成分Aは、当該細胞の全ての要求される遺伝子操作された特徴を有するeAPC株自体である。eAPC Aは、aAPX及び/又はaAMの組込みのためのゲノム組込み部位である2つの更なる成分B及びDを含有する。2つの追加の成分C及びEは、それぞれ部位B及びDへのORFの部位特異的組込み用遺伝子ドナーベクターを表し、矢印は対をなす特異性を示す。対をなす組込み部位/ドナーベクターカップルの各々は、単一ORF又はORF対を組み込んでaAPX及び/又はaAM発現を導入するような形式とされ得る。
図3図3-異なる被分析物抗原を提示するeAPCの編成 MCSはeAPCから始まり、ドナーベクターを利用して被分析物抗原提示複合体(aAPX)及び/又は被分析物抗原性分子(aAM)を細胞表面で発現する細胞を創出する。aAPXのみを提示するeAPCはeAPC-pと呼ばれ、aAPXをコードするORFのeAPCへの導入により創出され得る(工程i)。aAMのみを発現するeAPCはeAPC-aと呼ばれ、aAMは細胞表面で発現され得、TCR結合に利用可能であり得るか、又はプロセシング及び積荷としてのaAPXへの積載(aAPX:aAM複合体として)を必要とし得る。eAPC Aは、aAMをコードするORFのeAPCへの導入により創出され得る(工程ii)。aAPXにおいてaAMを積荷として提示するeAPCはeAPC-paと呼ばれる。eAPC-paは下記のいずれかにより作製され得る:aAM及びaAPXをコードするORFのeAPCへの同時導入(工程iii);aAMをコードするORFのeAPC-pへの導入(工程iv);aAPXをコードするORFのeAPC-aへの導入(工程v)。
図4図4-遺伝子ドナーベクター及びゲノム受容部位組込みカップルの動作 遺伝子ドナーベクター及びゲノム受容部位は組込みカップルを形成し、ここで、遺伝子ドナーベクター内でコードされる1又は2以上のORFはカップリングされたゲノム受容部位に特異的に組み込まれ得る。組込みカップルの動作における工程1は1又は2以上の標的ORFをドナーベクターに導入することである。当初のドナーベクターはXと呼ばれ、標的ORFの導入により、プライムされたドナーベクターX'に改変される。工程2は、プライムされたドナーベクターX'とゲノム受容部位を有する細胞Yとの組合せを引き起こす。プライムされたドナーベクターによりコードされたORFの受容部位への導入は、組み込まれた部位を有する細胞Y'の創出を生じる。
図5図5-1つの組込みカップルを用いる一工程でのeAPC-pの製造例 eAPC Aはゲノム受容部位Bを含有する。プライムされた遺伝子ドナーベクターC'は、Bとカップリングされており、aAPXをコードする。A eAPCがC'ドナーベクターと組み合わされたとき、得られる細胞は、部位B'を創出し、aAPX発現を導入するように、C'のORFがBゲノム受容部位に交換されている。このことが、細胞表面でのaAPXの発現及びeAPC-pの創出を生じる。
図6図6-1つの組込みカップル及び1つの未使用の組込み部位を用いる一工程でのeAPC-pの製造例 eAPC Aはゲノム受容部位B及びDを含有する。プライムされた遺伝子ドナーベクターC'は、Bとカップリングされており、aAPXをコードする。A eAPCがC'ドナーベクターと組み合わされたとき、得られる細胞は、部位B'を創出し、aAPX発現を導入するように、C'のORFがBゲノム受容部位に交換されている。このことが、細胞表面でのaAPXの発現及びeAPC-pの創出を生じる。ゲノム受容部位Dは未使用のままである。
図7図7-1つの組込みカップルを用いる一工程でのeAPC-aの製造例 eAPC Aはゲノム受容部位Bを含有する。プライムされた遺伝子ドナーベクターC'は、Bとカップリングされており、aAMをコードする。A eAPCがC'ドナーベクターと組み合わされたとき、得られる細胞は、部位B'を創出し、aAM発現を導入するように、C'のORFがBゲノム受容部位に交換されている。このことが、細胞表面又は細胞内でaAMを発現する2つの形態のeAPC-aの1つを生じる。
図8図8-1つの組込みカップル及び1つの未使用の組込み部位を用いる一工程でのeAPC-aの製造例 eAPC Aはゲノム受容部位B及びDを含有する。プライムされた遺伝子ドナーベクターC'は、Bとカップリングされており、aAMをコードする。A eAPCがC'ドナーベクターと組み合わされたとき、得られる細胞は、部位B'を創出し、aAM発現を導入するように、C'のORFがBゲノム受容部位に交換されている。このことが、細胞表面又は細胞内でaAMを発現する2つの形態のeAPC-aの1つを生じる。ゲノム受容部位Dは未使用のままである。
図9図9-1つの組込みカップルを用いる一工程でのeAPC-paの製造例 eAPC Aはゲノム受容部位Bを含有する。遺伝子ドナーベクターC'はBとカップリングイされている。ドナーベクターC'はaAPX及びaAMをコードする。 A eAPCはドナーベクターC'と組み合わされる。得られる細胞は、部位B'を創出し、aAPX及びaAMのORFを送達するように、C'のORFがBゲノム受容部位に交換されている。このことが、aAPXの細胞表面発現及びaAMの細胞内発現を生じ、aAPXにおけるaAMの積荷としての積載を生じて、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成する。
図10図10-1つの組込みカップル及び1つの未使用の組込み部位を用いる一工程でのeAPC-paの製造例 eAPC Aは別異のゲノム受容部位B及びDを含有する。遺伝子ドナーベクターC'はBとカップリングされている。ドナーベクターC'はaAPX及びaAMをコードする。A eAPCはドナーベクターC'と組み合わされる。得られる細胞は、部位B'を創出し、aAPX及びaAMのORFを送達するように、C'のORFがBゲノム受容部位に交換されている。ゲノム受容部位Dは未使用のままである。このことが、aAPXの細胞表面発現及びaAMの細胞内発現を生じ、aAPXにおけるaAMの積荷としての積載を生じて、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成する。これにより、eAPC-pa細胞株が創出される。ゲノム受容部位Dは未使用のままである。
図11図11-2つの組込みカップルを用いる一工程でのeAPC-paの製造例 eAPC Aは別異のゲノム受容部位B及びDを含有する。別異の遺伝子ドナーベクターC'及びE'は独立して、それぞれB及びDとカップリングされている。ドナーベクターC'はaAPXをコードし、ドナーベクターE'はaAMをコードする。A eAPCはドナーベクターC'及びE'と同時に組み合わされる。得られる細胞は、部位B'を創出し、aAPXのORFを送達するように、C'のORFがBゲノム受容部位に交換されている。同時に、E'のORFが、部位D'を創出し、aAMのORFを送達するように、Dゲノム受容部位に交換される。このことが、aAPXの細胞表面発現及びaAMの細胞内発現を生じ、aAPXにおけるaAMの積荷としての積載を生じて、細胞表面でaAPX:aAM複合体を形成する。これにより、eAPC-pa細胞株が創出される。
図12図12-eAPC-pを介する、2つの組込みカップルを用いる二工程でのeAPC-paの製造例 eAPC Aは別異のゲノム受容部位B及びDを含有する。別異の遺伝子ドナーベクターC'及びE'は独立して、それぞれB及びDとカップリングされている。ドナーベクターC'はaAPXをコードし、ドナーベクターE'はaAMをコードする。工程1において、A eAPCがC'ドナーベクターと組み合わされる。得られる細胞は、インサートC'が、部位B'を創出し、aAPXのORFを送達するように、Bゲノム受容部位に交換される。このことが、細胞表面でのaAPXの発現及びeAPC-pの創出を生じる。ゲノム受容部位Dは未使用のままである。工程2において、工程1で創出されたeAPC-pがE'ドナーベクターと組み合わされる。得られる細胞は、インサートE'が、部位D'を創出し、aAMのORFを送達するように、Dゲノム受容部位に交換される。このことが、発現されたaAPXの積荷としてのaAMの細胞表面での発現及びeAPC-paの創出を生じる。
図13図13-eAPC-aを介する、2つの組込みカップルを用いる二工程でのeAPC-paの製造例 eAPC Aは別異のゲノム受容部位B及びDを含有する。別異の遺伝子ドナーベクターC'及びE'は独立して、それぞれB及びDとカップリングされている。ドナーベクターC'はaAMをコードし、ドナーベクターE'はaAPXをコードする。工程1において、A eAPCがC'ドナーベクターと組み合わされる。得られる細胞は、インサートC'が、部位B'を創出し、aAMのORFを送達するように、Bゲノム受容部位に交換される。このことが、aAMの細胞表面での発現及びeAPC-aの創出を生じる。ゲノム受容部位Dは未使用のままである。工程2において、工程1で創出されたeAPC-aはE'ドナーベクターと組み合わされる。得られる細胞は、インサートE'が、部位D'を創出し、aAPXのORFを送達するように、Dゲノム受容部位に交換される。このことが、積荷としてaAMを有するaAPXの細胞表面での発現及びeAPC-paの創出を生じる。
図14図14-eAPC-pからのeAPC-paプールのショットガン製造 eAPC-pは、aAPXを発現する交換されたゲノム受容部位B'及び別異のゲノム受容部位Dを含有する。遺伝子ドナーベクターE' i-iiiのプールはDとカップリングされている。ドナーベクターE' i-iiiは各々単一aAM遺伝子をコードする。eAPC-pは、ドナーベクターE' i、E' ii、E' iiiと同時に組み合わされる。得られる細胞プールは、各々がaAM遺伝子の単一ORFを送達する部位D' i-iiiを創出するような複数の独立した例で、Dゲノム受容部位に交換されたインサートE' i-iiiのいずれかを有する。得られるeAPC-pa細胞プールは、各々がB'の別個の組合せを発現してaAPX:aAMとして当初のベクターライブラリーに含まれるaAM遺伝子を提示する3つの別異の細胞コホートの混合集団を含んでなる。
図15図15-eAPC-aからeAPC-paプールのショットガン製造 eAPC-aは、aAMを発現する交換されたゲノム受容部位B'及び別異のゲノム受容部位Dを含有する。遺伝子ドナーベクターE' i-iiiのプールはDとカップリングされている。ドナーベクターE' i-iiiは各々、単一aAPX遺伝子をコードする。eAPC-aはドナーベクターE' i、E' ii、E' iiiと同時に組み合わされる。得られる細胞プールは、部位D' i-iiiを創出し、各々がaAPX遺伝子の単一ORFを送達するような複数の独立した例で、Dゲノム受容部位に交換されたインサートE' i-iiiのいずれかを有する。得られるeAPC-pa細胞プールは、各々がB'にコードされるaAMの別個の組合せ及び当初のベクターライブラリーに含まれるaAPX遺伝子のいずれかを発現する3つの別異の細胞コホートの混合集団を含んでなる。
図16図16-aAM及びaAPX遺伝子の対の組合せを含有するeAPCからのプールされたeAPC-paライブラリーのショットガン製造 eAPC Aは別異のゲノム受容部位B及びDを含有する。別異の遺伝子ドナーベクターC'及びE'はそれぞれB及びDとカップリングされている。ドナーベクターC' i及びC' iiは各々単一aAM遺伝子をコードし、ドナーベクターE' i及びE' iiは各々、単一aAPX遺伝子をコードする。eAPC Aは、ドナーベクターC' i、C' ii、E' i及びE' iiと同時に組み合わされる。得られる細胞プールは、各々がaAMの単一ORFを送達する部位B' i及びB' iiを創出するような複数の独立した例で、Bゲノム受容部位に交換されたインサートC' i又はC' iiを有する。得られる細胞プールは、各々がAPX遺伝子の単一ORFを送達する部位E' i及びE' iiを創出するような複数の独立した例で、Dゲノム受容部位に交換されたインサートE i又はE iiを更に有する。得られるeAPC-pa細胞プールは、各々が別個のランダム化されたaAPX:aAM対(当初のベクターライブラリーに含有される各遺伝子の1つを含んでなる)を表面に発現する4つの別異の細胞コホートの混合集団を含んでなる。
図17図17-固有の積荷CMを発現するeAPC-pからのeAPC-p:CMの作製 ゲノム組換え部位からのaAM発現の非存在下、eAPC-p上のaAPX分子は、固有の積荷分子CMを表面にaAPX:CM複合体として提示する。
図18図18-可溶性の提示可能抗原aAMの付加によるeAPC-pからのeAPC-p+aAMの作製 eAPC-pは、aAPXを発現する、交換されたゲノム受容部位B'を含有する。可溶性の直接提示可能な抗原aAMはeAPC-pと組み合わされる。このことが、細胞表面でのaAPX:aAM複合体の形成及びeAPC-p+aAMの作製を生じる。
図19図19-eAPC-p及び可溶性aAMからのeAPC-p及び可溶性aAM eAPC-pは、aAPXを発現する、交換されたゲノム受容部位B'を含有する。可溶性抗原aAMはeAPC-pと組み合わされ、このことが、aAPXの細胞表面での発現、細胞内でのaAMの存在、よってaAPXにおけるaAMの積荷としての積載を生じ、細胞表面でのaAPX:aAM複合体の形成及びeAPC-p+aAMの作製を生じる。
図20図20-可能性のある被分析物TC出力状態を示すeAPC:T組合せシステムの動作 被分析物eAPCは、各々が1つのaAPX及び1つのaAMをコードする1つのORFが組み込まれた部位C'及びE'を含有し、細胞表面のaAPXにおいて積荷としてaAMが積載されている。被分析物TCはTCRspを表面に発現する。被分析物TC及びeAPC-pa集団が接触すると、4つの被分析物TC応答状態(1つのネガティブ状態及び3つのポジティブ状態)が達成され得る。ネガティブ状態は、被分析物TCの静止状態であり、シグナル強度がないことにより、eAPC aAPX:aAM複合体が被分析物TCにより提示されたTCRspを刺激できないことが示される。3つのポジティブ状態は、それぞれ低、中及び高シグナル強度を表す漸増シグナル強度*、**及び***を示し、細胞の濃淡によっても示す。このことは、eAPC-paにより提示される被分析物aAPX:aAMに対して、被分析物TC集団により発現される被分析物TCRspが段階的な応答であることを示している。
図21図21-可能性のあるeAPC-pa出力状態を示すeAPC:T組合せシステムの動作 被分析物eAPC-paは、各々が1つのaAPX及び1つのaAMをコードする1つのORFが組み込まれた部位C'及びE'を含有し、細胞表面のaAPXにおいて積荷としてaAMが積載されている。被分析物TCはTCRspを表面に発現する。被分析物TC及びeAPC-pa集団が接触すると、4つのeAPC応答状態(1つのネガティブ状態及び3つのポジティブ状態)が達成され得る。ネガティブ状態は、被分析物eAPCの静止状態であり、TCRsp鎖対が被分析物eAPCにより提示されるaAPX:aAM複合体を刺激できないことを表す。3つのポジティブ状態は、接触されたaAPX:aAMからの漸増シグナル強度を示す。3つのポジティブ状態は、それぞれ低、中及び高シグナル強度を表す漸増シグナル強度*、**及び***を示し、細胞の濃淡によっても示す。このことは、被分析物TCにより提示される被分析物TCRspに対して、被分析物aAPX:aAMが段階的な応答であることを示している。
図22図22-別個の被分析物TCRspを発現する被分析物TCのライブラリーから被分析物aAPX:aAMと反応性であるTCR鎖対を同定するためのeAPC:T組合せシステムの組合せ動作 被分析物TCプールは表面に種々のTCRspを発現する。被分析物eAPC-paは、1つのaAPX及び1つのaAMをコードする別異のORFセットが組み込まれた部位C'及びE'を含有し、細胞表面のaAPXにおいて積荷としてaAMが積載されている。本実施例では、被分析物TC iから発現されたTCRspのみが、被分析物eAPC-paにより提示されるaAPX:aAMに関して特異的であり、その結果、被分析物TCプール及び被分析物eAPC-pa集団が接触すると、TCRsp iを発現する被分析物TCの細胞コホートのみが結合する。
図23図23-別個の被分析物aAPX:aAM複合体を発現する被分析物eAPC-paのライブラリーから被分析物TCと反応性であるaAMを同定するためのeAPC:T組合せシステムの組合せ動作 被分析物eAPCは、各々が1つのaAPX及び1つのaAMをコードする別異のORFセットが組み込まれた部位C'及びE'を含有し、細胞表面のaAPXにおいて積荷としてaAMが積載されている。被分析物TCは規定されたTCRspを表面に発現する。本実施例では、複合体aAPX:aAM iのみが被分析物TCにより提示されるTCRspに関して特異的であり、その結果、被分析物eAPCプール及び被分析物TC集団が接触すると、aAM iを発現する細胞コホートのみが別異のシグナル*を発現する。
図24図24-特定の被分析物TCRと反応性であるaAPX:aAM複合体を同定するためのeAPC:T組合せシステムの動作 被分析物eAPC-paプールは、各々が1つのaAPX及び1つのaAM i-iiiを発現する別異のORFセットが組み込まれた部位C'及びE'を含有し、細胞表面のaAPXにおいて積荷としてaAMが積載されている。被分析物eAPC-paプールの亜集団により発現される別異のaAPX:aAM複合体に関して特異的である、可溶性形態、不動化形態又はNCBP形態の被分析物TCRを、被分析物eAPC-paプールと接触させる。本実施例では、aAPX:aAM iのみが被分析物TCRから形成され、その結果、aAM iを有する被分析物eAPC-paプールの細胞コホートのみが被分析物TCR(濃灰色)に対して応答する。
図25図25-aAMの強制放出による、eAPC-p+aAMにより提示されたaAMの同定 eAPC-p+aAMは、aAPXを発現する交換されたゲノム受容部位B'並びに表面にaAPX:aAM複合体として提示される内在化されたaAMを含有する。aAMは、インキュベーションによりaAPX:aAM表面複合体から放出され、放出されたaAMは同定に利用可能である。
図26図26-aAPX:aAM複合体の捕捉による、eAPC-p+aAMにより提示されたaAMの同定 eAPC-p+aAMは、aAPXを発現する交換されたゲノム受容部位B'並びに表面にaAPX:aAM複合体として提示される内在化されたaAMを含有する。aAPX:aAM表面複合体が、積載されたaAMの同定のために捕捉される。
図27図27-eAPC:T組合せシステムの組立て用の被分析物eAPCを製造するための多成分システムの動作 遺伝子操作された多成分細胞システム(MCS)が動作する全体システムは、eAPC:T組合せシステムの組み立てにおいて、製造された被分析物 遺伝子操作された抗原提示細胞(eAPC)を種々の被分析物TCRと接触させることを含んでなる。eAPC:T組合せシステムに、一次出力は由来し、これら一次出力に、終端出力は由来する。全体システムの動作は、2つの相:製造相及び分析相を含んでなる。第1相の1つの局面において、多成分システムを用いて被分析物eAPCが製造され、この被分析物集団は、eAPC-p、eAPC-a及び/又はeAPC-paを含んでなり得る。この被分析物eAPCは、次の種々の形態の抗原性部分を提示する:被分析物抗原提示複合体(aAPX);被分析物抗原性分子(aAM);aAM積荷が積載されたaAPX(aAPX:aAM);積荷分子(CM);CMが積載されたaAPX(aAPX:CM);ここで、被分析物抗原は、被分析物TCRに対する親和性又はシグナル誘導について試験されるものを表す(工程i)。第1相の別の局面において、細胞(被分析物TC)、被分析物TCR鎖対を提示する非細胞ベースの粒子、可溶性反応剤若しくは不動化された反応剤、又は被分析物抗原に対して特異性を有するその他の親和性反応剤が調製され、まとめて被分析物TCRと呼ばれる(工程ii)。全体システムの第2相は、第1相で準備された被分析物eAPC集団及び被分析物TCRを接触させ、eAPC:T組合せシステムを組み立てることである(工程iii)。接触した被分析物eAPCは被分析物TCRに結合する可能性が高く、その結合は安定な複合体形成を生じ得る。安定な複合体の形成は、被分析物eAPC物質及び/又は被分析物TC物質においてシグナル応答を誘導し得、及び/又は安定な複合体は直接選択され得る。eAPC:T組合せシステム内で、被分析物eAPC又は被分析物TCの出力は、そのシグナル状態を変化させ得(「*」及び暗い影付きで表す)、その結果、それら応答種が同定され得る(工程iv)。変化した状態は、被分析物TCRと安定な複合体を形成するeAPCの直接選択の形態でもあり得る。eAPC:Tシステム内で変化したシグナル状態に基いて、特定の被分析物eAPC及び/又は被分析物TCが、互いに応答を誘導する能力に基いて選択され得、又は当該応答を誘導できないことに基いて選択され得、及び/又は安定な複合体自体の直接選択であり得る。この応答性又は安定な複合体に基づく選択は、eAPC:T組合せシステムの一次出力を生じる(工程v)。工程vから被分析物細胞又は被分析物TCRを取得することにより、提示された被分析物aAPX、aAM、aAPX:aAM、CM、aAPX:CM及び/又はTCR及び/又は被分析物抗原に対して特異性を有するその他の親和性反応剤がシステム動作終端出力として同定され得る(工程vi)。
図28図28-HEK239細胞株におけるHLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子座の標的化変異誘発を有する細胞の選択a)HEK293コントロール細胞(破線ヒストグラム)と比較した、Cas9-P2A-GFPをコードするプラスミドとHLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子座を標的するgRNAとでのトランスフェクションの48時間後の2つの独立細胞集団におけるGFP蛍光シグナル(灰色ヒストグラム)。GFPサブセットゲート内のGFPシグナルを有する細胞をポリクローナル集団として選別した。b)PE-Cy5抗HLA-ABC接合抗体で標識されたときに2つの選別されたポリクローナル集団で観察された細胞表面HLA-ABCシグナル(灰色ヒストグラム)。低いPE-Cy5抗HLA-ABCシグナルを示しソートゲート内で提示された単一細胞を選別して、モノクローンを確立した。非標識HEK293細胞(点線ヒストグラム)及びPE-Cy5抗HLA-ABC標識HEK293細胞(漆黒線ヒストグラム)をコントロールとして供した。
図29図29-HLA-ABCnullモノクローンの表現型分析:モノクローン集団をPE-Cy5抗HLA-ABC接合抗体で染色し、フローサイトメトリーにより分析した(灰色ヒストグラム)。非標識HEK293細胞(破線ヒストグラム)及びPE-Cy5抗HLA-ABC標識HEK293細胞(漆黒線ヒストグラム)をコントロールとして供した。3つ全てのモノクローン株が、非標識コントロールに一致する蛍光シグナルを示したことにより、各株がHLA-ABC表面発現を欠いていることが証明された。
図30図30-標的付けられたHLAにおけるゲノム欠失を証明する表面HLA-ABC発現を欠くモノクローンの選択の遺伝子特徴決定。PCRアプリコンを、特定のHLAアレレのgRNAゲノム標的部位に及ぶプライマーを用いて作製し、そのサイズを電気泳動により決定した。予想されたサイズは、野生型HLA-Aアプリコンが1067bpであり、HLA-Bアプリコンが717bpであり、HLA-Cアプリコンが1221bpである。
図31図31-合成成分Dを伴うか又は伴わない合成成分Bの標的付けられたゲノム組込みを有する細胞の選択a)Cas9-P2A-GFPをコードするプラスミドとAAVS1遺伝子座を標的するgRNAとAAVS1左右相同性アームが隣接する成分B遺伝子エレメントとでのトランスフェクションの48時間後のGFP蛍光シグナル(灰色ヒストグラム)。HEK293細胞をGFPネガティブコントロールとして供した(点線ヒストグラム)。GFP+ゲート内でGFPシグナルを有する細胞をポリクローナル集団として選別した。b)Cas9-P2A-GFPをコードするプラスミドとAAVS1遺伝子座を標的するgRNAと共にAAVS1左右相同性アームが隣接する成分B及びDとでのトランスフェクションの48時間GFP蛍光シグナル(灰色ヒストグラム)。HEK293細胞をGFPネガティブコントロールとして供した(点線ヒストグラム)。GFP+ゲート内でGFPシグナルを有する細胞をポリクローナル集団として選別した。c)BFPシグナルを維持するがRFPシグナルは検出されないものがD1選別ポリクローナル集団内に観察された。Q3象限内の高いBFPシグナルを示す単一細胞を選別して、合成成分B含有eAPCモノクローンを確立した。d)BFP及びRFPシグナルを維持するものがD2選別ポリクローナル集団内に観察された。Q2象限内の高いBFP及びRFPシグナルを示す単一細胞を選別して、合成成分B及び合成成分D含有eAPCモノクローンを確立した。
図32図32-eAPCモノクローンの表現型分析a及びb)維持されたBFP発現を表示するモノクローン集団は、合成成分Bの組込みを示唆する。c)維持されたBFP及びRFP発現を表示するモノクローン集団は、合成成分B及び合成成分Dの両方の組込みを示唆する。
図33図33-AAVS1遺伝子座における成分B又は成分B及びDの組込み用のモノクローンの選択の遺伝子特徴決定a)PCRアプリコンを、成分B及び/又はDでプライムするプライマーを用いて作製し、サイズを電気泳動により決定した。ポジティブアプリコンの予想サイズは、成分B及び/又はDの安定な組込みを示す380bpである。b)PCRアプリコンを、相同性アームによりコードされる領域に対して遠位であるAAVS1ゲノム配列並びに成分B及び/又はDによりコードされるSV40 pAターミネーターでプライムするプライマーを用いて作製し、サイズを電気泳動により決定した。ポジティブアプリコンの予想サイズは、AAVS1部位に生じた成分B及び/又はDの組込みを示す660bpである。
図34図34-成分Bへの成分C'の標的付けられたゲノム組込みを有する細胞の選択a)Cas9-P2A-GFPをコードするプラスミドとAAVS1遺伝子座を標的するgRNAと成分C' HLA-A*24:02(左パネル)又は成分C' HLA-B*-07:02(右パネル)とでのトランスフェクションの48時間後のGFP蛍光シグナル。GFP+ゲート内でGFPシグナルを有する細胞をポリクローナル集団ACL-303又はACL-305選別した。b)PE-Cy5抗HLA-ABC接合抗体で標識したとき、被分析物HLA細胞表面発現が2つの選別されたポリクローナル集団で観察された(灰色ヒストグラム)。高いPE-Cy5抗HLA-ABCシグナルを示し、右ソートゲート内に表示される単一細胞を選別して、モノクローンを確立した。PE-Cy5抗HLA-ABC標識ACL-128、HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株から検出されるシグナル(点線ヒストグラム)をコントロールとして供した。
図35図35-被分析物HLAクラスIタンパク質を細胞表面に発現するeAPC-pモノクローンの表現型分析 モノクローン集団をPE-Cy5抗HLA-ABC接合抗体で染色し、フローサイトメトリーにより分析した(灰色ヒストグラム)。ACL-128、HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株(点線ヒストグラム)をコントロールとして供した。ACL-321及びACL-331モノクローン細胞株は、HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株コントロールと比較してより強い蛍光シグナルを示したことから、各株がその被分析物aAPX、HLA-A*24:02又はHLA-B*-07:02 ORFをそれぞれ発現し、したがってeAPC-p細胞株であることが証明される。
図36図36-ゲノムに成分C'が組み込まれたこと、組込みがAAVS1ゲノム受容部位に生じて成分B'が作製されたことを証明する、モノクローンの選択の遺伝子特徴決定a)PCRアプリコンによりHLAインサートの存在が確証され、810bpのバンドは正確なCMVプロモーターアプリコンを示し、380bpは、SV40pAターミネーターから生成されたアプリコンである。b)PCRアプリコンは、相同性アームによりコードされる領域に対して遠位であるAAVS1ゲノム配列でプライムされるプライマー及び被分析物HLA ORFに連結されたSV40 pAターミネーターに独特なプライマーの2セットのプライマーを用いて生成された。ポジティブアプリコンの予想サイズ1kb及び1.1kbは、成分B'の作製を示す。
図37図37-成分Bへの成分C'の標的付けられたゲノム組込みを有する細胞の選択a)Cas9-P2A-GFPをコードするプラスミドと、AAVS1遺伝子座を標的するgRNAと、成分C' HLA-DRA*01:01/HLA-DRB1*01:01(左パネル)又は成分C' HLA-DPA1*01:03/HLA-DPB1*04:01(右パネル)とでのトランスフェクションの48時間後のGFP蛍光シグナル。GFP+ゲート内でGFPシグナルを有する細胞をポリクローナル集団として選別した。b)647抗HLA-DR,DP,DQ接合抗体(灰色ヒストグラム)で標識したとき、被分析物HLA細胞表面発現が2つの選別されたポリクローナル集団に観察された。高いAlexa 647抗HLA-ABCシグナルを示し、右ソートゲート内に表示される単一細胞を選別してモノクローンを確立した。Alexa 647抗HLA-ABC標識ACL-128(HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株)(点線ヒストグラム)及びARH野生型細胞株(漆黒線ヒストグラム)から検出されたシグナルをコントロールとして供した。
図38図38-被分析物HLAクラスIIタンパク質を細胞表面に発現するeAPC-pモノクローンの表現型分析 モノクローン集団をAlexa 647抗HLA-DR,DP,DQ接合抗体で染色し、フローサイトメトリーにより分析した(灰色ヒストグラム)。ACL-128(HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株)(点線ヒストグラム)及びARH野生型細胞株(漆黒線ヒストグラム)をコントロールとして供した。ACL-341及びACL-350モノクローン細胞株は、HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株コントロールと比較してより強い蛍光シグナルを示したことから、各株がその被分析物aAPX、HLA-DRA*01:01/HLA-DRB1*01:01又はHLA-DPA1*01:03/HLA-DPB1*04:01をそれぞれ発現し、したがってeAPC-p細胞株であることが証明される。
図39図39-被分析物HLAクラスIタンパク質のRMCE組込みにより作製されるeAPC-pモノクローンa)eAPC-pモノクローン集団ACL-421及びACL-422はBFP蛍光を喪失した(灰色ヒストグラム)。親のeAPC細胞株ACL-385(漆黒線ヒストグラム)及びBFPネガティブARH野生型細胞株(破線ヒストグラム)をコントロールとして供した。b)PE-Cy5抗HLA-ABC接合抗体で標識したとき、eAPC-pモノクローン集団ACL-421及びACL-422はHLA-A*02:01発現を達成した(灰色ヒストグラム)。親のACL-385 HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株(破線ヒストグラム)及びARH野生型細胞株(漆黒線ヒストグラム)をそれぞれネガティブ及びポジティブPE-Cy5抗HLA-ABC標識コントロールとして供した。これら結果は、ACL-421及びACL-422細胞株の両方においてBFP ORFとHLA-A*02:01 ORFとの間でRMCEがうまく生じたことを強く示唆した。
図40図40-モノクローンの選択の遺伝子特徴決定によりRMCEによるHLA-A*02:01組込みが確証された 630bpのアプリコンは、HLA-A2の存在をモノクローンACL-421及び422において示したが、コントロール株ACL-128において示さなかった。
図41図41-被分析物HLAクラスIタンパク質を細胞表面に発現しaAMを発現するeAPC-paモノクローンの表現型分析a)eAPC-pモノクローン集団をPE-Cy5抗HLA-ABC接合抗体で染色し、フローサイトメトリーにより分析した(灰色ヒストグラム)。ACL-128、HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株(点線ヒストグラム)をコントロールとして供した。ACL-321及びACL-331モノクローン細胞株は、コントロールと比較してより強い蛍光シグナルを示して、各株がその被分析物aAPX、HLA-A*02:01又はHLA-B*35:01 ORFをそれぞれ発現し、したがってeAPC-p細胞株であることを証明した。b)eAPC-paモノクローン集団をGFP蛍光についてフローサイトメトリーにより評価した(灰色ヒストグラム)。ACL-128、HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull eAPC細胞株(点線ヒストグラム)をコントロールとして供した。ACL-391及びACL-395モノクローン細胞株は、コントロールと比較してより強い蛍光シグナルを示して、各株が被分析物aAM選択マーカーを発現し、したがってHLA-LA-A*02:01又はHLA-B*35:01 ORFもまたそれぞれ発現する細胞株におけるaAM発現を示唆されることが証明される。したがって、ACL-391及びACL-395はeAPC-pa株であった。
図43図43-成分C'が単一HLAI ORFをコードする、一工程で構築されたeACP-p eAPC-pは、Tyr-リコンビナーゼFlp(V4.1.8)の発現を、1つの成分C' HLA-A*02:01(V4.H.5)又はHLA-A*24:02(V4.H.6)から選択されるaAPXをコードするプラスミドと共にコードするプラスミドを有する細胞株ACL-402のエレクトロポレーションによるRMCEによって創出された。エレクトロポレーションの10日後に、HLAI表面発現についてポジティブであり成分B選択マーカーによりコードされる蛍光タンパク質シグナルRFPが低下した個々の細胞を選別した。得られるモノクローナルeAPC-p株を親のeAPC株と併行してフローサイトメトリーにより分析し、2つの例が示された:a)より成長した個々のモノクローン株(ACL-900及びACL-963)をフローサイトメトリーによりRFPの喪失、BFPの存在及びHLA-ABC(aAPX)の獲得についてアッセイした。左手プロットはBFP 対 RFPを示し、親の細胞はBFP及びRFPの両方を有し(Q2、上プロット、99.2%)、一方ACL-900(Q3、中プロット、99.7%)及びACL-963(Q3、下プロット、99.9%)は共にRFPシグナルを欠き、このことは組込みカップルが成分B/C'の間に生じたことを示している。右手プロットはBFP 対 HLA-ABC(aAPX)を示し、ここで、ACL-900(Q2、上プロット、99.2%)及びACL-963(Q2、下プロット、99.2%)は共にHLA-ABC(aAPX)について強いシグナルを示し、当該B/C'組込みが更に強化されている。ACL-900及びACL-963は共に強いBFPシグナルを有し、このことから、成分Dがオープンのまま、成分B/C'組込みカップルから単離されたままであることが示唆される。b)ACL-900及びACL-963並びにa)に提示されていない第3のeAPC-pであるACL-907を更に特徴付けるため、ゲノムDNAを抽出し、PCRを、成分B'の近傍及び内部を標的するプライマー(表5、8.B.3、15.H.2)を用いて行うことにより、奏功する組込みカップル事象のみを選択的に増幅させた。比較は成分Bを欠いている非改変親株ACL-3に対して行った。3つ全てのeAPC-pモノクローンについて成分B'に特異的なアンプリコン産物が生成された一方、ACL-3反応では生成物は検出されず、このことから、特異的組込みカップル事象が成分B及び成分C'の間で生じたことが確証される。
図44図44-成分D'が単一被分析物抗原分子(aAM)ORFをコードする、eAPC-pから一工程で構築されたeAPC-pa ゲノム受容部位(成分D)が、プライムされた遺伝子ドナーベクター(aAMをコードする単一ORFを含んでなる成分E')による組込みについて標的される複数のeAPC-paを、親のeAPC-p(ACL-905)から構築した。eAPC-p(ACL-900、実施例8)を、RMCEリコンビナーゼ酵素(Flp、V4.1.8)及びV9.E.6、V9.E.7又はV9.E.8の各成分E'の発現をコードするベクターとエレクトロポレーションにより独立して組み合わせた。エレクトロポレーションの10日後に、個々のeAPC-paを選択し、単一細胞(モノクローン)を、成分Dによりコードされる組込みの選択マーカーBFPのシグナル低下に基いて選択した。得られるモノクローナルeAPC-pa株を親のeAPC株と併行してフローサイトメトリーにより分析し、3つの例を示した。加えて、得られるモノクローンを遺伝学的にも特徴付けて組込みカップル事象を確証した。a)eAPC-pa、ACL-1219、ACL-1227及びACL-1233についてのモノクローンを分析し、フローサイトメトリーによりBFPシグナルの喪失及びHLA-ABCシグナルの保持について選択した。BFP 対 SSCのプロットはBFP-ゲートを用いて表示される。親のeAPC-pと比較したBFP事象の数の増加が観察され、このことから、組込みカップルが成分D/E'の間で生じたことが示唆される。BFP-ゲートからの単一細胞を選択し、選別し、増殖させた。b)ACL-1219、ACL-1227、ACL-1233の選択モノクローンをフローサイトメトリーにより分析してBFPの喪失及びHLA-ABCシグナルの保持を確証した。BFP 対 HLA-ABCのプロットが示され、3つ全てのモノクローンは、BFPシグナルが親のeAPC-pと比較して喪失していると観察され得(最も右側のプロット)、このことから組込みカップル事象の成功が示唆される。c)モノクローンがaAM ORFについて正しいフラグメントサイズを含有することを証明するため、aAM ORFを標的するプライマー(表5、10.D.1、15.H.4)を用いてポリメラーゼ連鎖反応を行い、代表的なアガロースゲルを表した。各aAM ORFを代表する2つのモノクローンからの結果を示す。レーン1:2_log DNAマーカー、レーン2~3:pp28 ORF(予想サイズ0.8kb)、レーン4:2_log DNAマーカー、レーン5~6:pp52 ORF(予想サイズ1.5kb)、レーン7:2_log DNAマーカー、レーン8~9:pp65 ORF(予想サイズ1.9kb)、レーン10:2_log DNAマーカー。分析した全てのモノクローンがそれぞれのaAMについて予想されたアプリコンサイズを有し、このことから、組込みカップルが生じたことが更に示唆される。
図45-1】図45-単一工程でプールされたeAPC-pライブラリーを作製するための複数抗原のeAPC-pへのショットガン組込み eAPC-paのプールされたライブラリーを、複数のaAM ORF(HCMVpp28、HCMVpp52及びHCMVpp65)をまとめてコードするプライムされた成分Eベクター(成分E')のプールから親のeAPC-pへの単一工程での組込みにより作製した。ここで、各個細胞には、元のベクタープールに由来する単一ランダム被分析物抗原ORFが成分D'に組み込まれ、その結果、作製されたeAPC-paの各々が単一ランダムaAMを発現するが、eAPC-paのプールされたライブラリーは、集団として、元のプールされたベクターライブラリーにコードされるaAM ORFの全てを代表する。eAPC-paのライブラリーを、eAPC-p(ACL-905、aAPX:HLA-A*02:01)とHCMVpp28、HCMVpp52又はHCMVpp65の1つのORFをコードする個々のベクター(V9.E.6、V9.E.7及びV9.E.8)を含んでなるプールされたベクターライブラリーとを組み合わせ、分子比1:1:1で混合することによって、エレクトロポレーションにより作製した。得られるeAPC-pa集団を分析し、フローサイトメトリーにより親のeAPC-p株と併行して選択した。a)エレクトロポレーションの10日後、推定のeAPC-pa細胞(トランスフェクタント)を分析し、親株(ACL-905)と併行して比較するフローサイトメトリーにより選択した。プロットは、BFP集団に関してゲーティングされたBFP 対 SSCを示し、ここで、BFP-細胞の増加がBFP-ゲートにおいて親株と比較して観察される。バルク細胞を選別し、BFP-ゲートに基いてトランスフェクタントを形成した(ACL-1050と呼ぶ)。b)増殖後、ACL-1050細胞をフローサイトメトリーによりBFPの喪失について分析した。示されたプロットはBFP 対SSCであり、ここで、ACL-1050は96.4% BFP-まで富化されており、一方で親株は~4%BFP-であった。続いて、単一細胞をACL-1050のBFP-集団から選別した。
図45-2】図45-単一工程でプールされたeAPC-pライブラリーを作製するための複数抗原のeAPC-pへのショットガン組込み c)ポリクローンACL-1050がHCMVpp28、HCMVpp52及びHCMVpp65をコードする細胞の混合物を含んでなることを証明するため、12のモノクローンをランダムに選択し、増殖させ、遺伝子特徴決定に用いた。細胞を、aAM ORFに標的付けられたプライマー(成分D')(表5、10.D.1、15.H.4)を用いるPCRにより特徴付けて、組み込まれたaAMを増幅して検出した。PCRによりスクリーニングした12の全てのモノクローンは、pp28(0.8kb)、pp52(1.5kb)又はpp65(1.9kb)の1つの予想サイズである検出可能なアプリコンを有する。加えて、3つ全てのaAMが12のモノクローンに代表された。相対的に、aAMが知られている3つの別個のモノクローンからのアプリコンをコントロールとして併行して増幅した;3つ全てのコントロールが、pp28(0.8kb)、pp52(1.5kb)及びpp65(1.9kb)の正しいサイズのアプリコンを生成した。よって、プールがeAPC-paを含み、ここで、各細胞が、元の3つのベクターのプールからの単一のランダムに選択されたaAMを有することが確証される。
図46図46-eAPC-paは初代CD8細胞の抗原-特異的増殖を誘導した7つの異なるeAPC:Tシステムを、被分析物TCとしての初代CD8+ T細胞及び3つの異なるeAPC細胞株ACL-191(eAPC-p、aAPX:HLA-A*02:01)、ACL-390(eAPC-pa、aAPX:aM:HLA-A*02:01、HCMVpp65)又はACL-128(eAPC、HLA-Iヌル、すなわち、aAPXなし)を用いて作製した。更に、該当する場合、ACL-191又はACL-128を含んでなるeAPC:Tシステムを、外因的に提供される用いたaAM(可溶性NLVPMVATVペプチド)として用いた。システムを下記のとおり作製し、共培養の9日後に、細胞を、CMV-A.0201-NLVPテトラマー(aAPX:aAM)での特異的染色について分析し、て、抗原-特異的T細胞の増殖をフローサイトメトリーにより検出した。a)被分析物TC(CD8+ T細胞)と、1)aAMを有しないACL-191(非パルス)、2)aAMでパルスされたACL-191、3)ACL-128 非パルス、又は4)aAMでパルスされたACL-128とを含んでなる4つのeAPC:Tシステムを作製した。aAMを有するシステムは、「材料及び方法」の項に記載したように、ペプチド濃度1μMにて4時間のHCMVpp65タンパク質に由来するNLVPMVATVペプチド(aAM)と共に提供した。CD8 対 CMV-A.0201-NLVPのフローサイトメトリープロットを示す、ここで、プロットは、eAPC:Tシステム(左から右へ)1)、2)、3)、4)のデータを表す。CD8+CMV-A.0201-NLVP+細胞(ゲート通過)の明確な集団(27%)がプロット2に観察され(aAMでパルスされたACL-191)、対照的に、aAPX若しくはaAM又は両方を欠く他の全てのeAPC:Tシステム(プロット1、3、4)は、0.02~0.12%の間のポジティブ細胞を有する。よって、特異的被分析物TCは、外因性aAMと共に提供されたとき、eAPC-p細胞が提示するaAPX:aAMによ抗原依存性に増殖し得る。b)被分析物TC(CD8+ T細胞)と、1)ACL-128(eAPC)、2)ACL-191(eAPC-p)又は3)ACL-390(eAPC-pa)とを含んでなる3つのeAPC:Tシステムを作製し、ここでは外因性aAMなしで提供される。ACL-390は、組み込まれたaAM ORF、HCMVpp65を有する。CD8 対 CMV-A.0201-NLVPのフローサイトメトリープロットを示す、ここで、プロットはeAPC:Tシステム(左から右へ)1)、2)、3)のデータを表す。CD8+CMV-A.0201-NLVP+細胞(ゲートを通過)の明確な集団(4.89%)がプロット3に観察され(内因性aAMを有するACL-390)、対照的に、aAM又はaAPX及びaAMを欠く他のeAPC:Tシステム(プロット1及び2)は、0.02~0.12%の間のポジティブ細胞を有する。よって、このデータは、eAPC-paが天然型細胞機構により、内因性aAM ORFをaAMにプロセッシングすることができ、aAMをaAPXとの複合体として提示し、その結果、それは被分析物TCの増殖に特異的な抗原を刺激し得ることを支持する。
図47図47-eAPC-p及び外因性aAMは初代CD4細胞の抗原-特異的増殖を誘導した2つの異なるeAPC:Tシステムを、被分析物TCとしての初代CD4+ T細胞と1つのeAPC-p細胞株ACL-341(aAPX:HLA-DRB1*01:01)とを用いて作製した。更に、該当する場合には、外因性aAM(PKYVKQNTLKLATペプチド、配列番号1として)もまたシステムに提供した。システムを下記のとおり作製し、共培養の9日後に、細胞をINFL-DRB1*01:01-PKYVテトラマー(aAPX:aAM、配列番号2)での特異的染色について分析して、抗原-特異的T細胞の増殖をフローサイトメトリーにより検出した。「材料及び方法」の項に記載したように、被分析物TC(CD4+ T細胞)と、1)aAMを有さないACL-341(非パルス)、2)ペプチド濃度1μMのPKYVKQNTLKLATペプチド(aAM、配列番号1)で2時間パルスされたACL-341とを含んでなる2つのeAPC:Tシステムを作製した。CD4 対 INFL-DRB1*01:01-PKYVを有するCD4のフローサイトメトリープロットを示し、ここで、プロットは、eAPC:Tシステム(左から右へ)1)及び2)のデータを表す。CD4+/INFL-DRB1*01:01-PKYV+細胞(ゲート通過)の明確な集団(12%)がプロット2において観察され(aAMでパルスされたACL-341)、対照的に、aAMを欠くコントロールのeAPC:Tシステム(プロット1)は、0.06%のポジティブ細胞を有する。よって、特異的被分析物TC CD4+細胞は、外因性aAMと共に提供されたとき、eAPC-p細胞が提示するaAPX:aAMにより抗原依存性で増殖し得る。
図48図48-初代CD8細胞と共培養したeAPC-pa細胞の抗原-特異的細胞毒性7つの異なるeAPC:Tシステムを、被分析物TCとしての初代CD8+ T細胞及び3つの異なるeAPC細胞株ACL-191(eAPC-p、aAPX:HLA-A*02:01)、ACL-390(eAPC-pa、aAPX:aM:HLA-A*02:01、HCMVpp65)又はACL-128(eAPC、HLA-Iヌル、すなわち、aAPXなし)を用いて作製した。更に、ACL-191又はACL-128を含んでなるeAPC:Tシステムは、該当する場合、外因性に提供されるaAM(NLVPMVATVペプチド、配列番号3)として用いた。システムを下記のとおり作製し、共培養細胞を、アネキシンV及びPIでの染色によりeAPC-p又は-paに対する細胞毒性作用について分析して、フローサイトメトリーにより死細胞を検出した。a)被分析物TC(CD8+ T細胞)と、1)ACL-128 非パルス、2)aAMでパルスされたACL-128、3)aAMを有しないACL-191(非パルス)、4)aAMでパルスされたACL-191を含んでなる4つのeAPC:Tシステムを作製した。aAMを有するシステムは、「材料及び方法」の項に記載したように、ペプチド濃度1μMにて2時間のHCMVpp65タンパク質に由来するNLVPMVATVペプチド(aAM)と共に提供した。加えて、1:0、1:1及び1:8のeAPC:CD8比を有するシステムを作製した。フローサイトメトリーにより検出される死亡eAPC細胞(CD80+アネキシン+PI+)の割合の棒グラフをプロットする。eAPC-p細胞の明確な殺傷が、eAPC及びCD8+細胞の両方を比1:1又は1:8(eAPC:CD8)で含むシステム4においてのみ観察される(ACL-191+ペプチド)。バックグランドを超える死亡の有意な増加は、aAPX若しくはaAM又は両方を欠くシステム1、2及び3では観察されない。よって、外因性aAMでパルスされたeAPC-pを用いて、初代CD8+ T細胞(被分析物TC)において抗原特異的細胞毒性作用を刺激することができる。b)被分析物TC(CD8+ T細胞)と、1)ACL-128(eAPC)、2)ACL-191(eAPC-p)又は3)ACL-390(eAPC-pa)を含んでなる3つのeAPC:Tシステムを作製し、ここでは外因性aAMは提供されない。ACL-390は、組み込まれたaAM ORF、HCMVpp65を有する。フローサイトメトリーにより検出される死亡eAPC細胞(CD80+アネキシン+PI+)の割合の棒グラフをプロットする。eAPC-p細胞の明確な殺傷が、eAPC及びCD8+細胞の両方を比1:1又は1:8(eAPC:CD8)で含むシステム3(ACL-390)においてのみ観察される(ACL-191+ペプチド)。バックグランドを超える死亡の有意な増加は、aAM又はaAPX:aAMを欠くシステム1、2及び3では観察されない。よって、このデータは、eAPC-paが天然型細胞機構により、内因性aAM ORFをaAMにプロセッシングすることができ、aAMをaAPXとの複合体として提示し、その結果、それは初代CD8+ T細胞(被分析物TC)により抗原特異的細胞毒性作用を刺激し得ることを支持する。
図49図49-質量分析によるeAPC-pa細胞からの被分析物 抗原分子の同定質量分析結果を、以下の手順から得たペプチド画分について示す。2つのeAPC-p株ACL-900(aAPX:HLA-A*02:01)及びACL-963(aAPX:HLA-A*24:02)を既知の抗原性ペプチドでパルスした。ここで、各eAPC-pについて、ペプチドとして以下のaAM:NLVPMVATV(APD-2、配列番号3)、NLGPMAAGV(APD-21、配列番号4)若しくはVYALPLKML(APD-11、配列番号5)、又はペプチドなしの1つからなる4つの別個のパルスを行った。APD-2はHLA-A*02:01と複合体化し、APD-11はHLA-A*24:02と複合体化することが知られており、APD-21はAPD-2の三重変異体(V3G、T8G、V6A)であり、ここで、これら変異はHLA-A*02:01と複合体化する能力を崩壊させる。パルスされた細胞を採集し、溶解させる。清浄化溶解物をニッケルアガロース樹脂と混合し、6×-His捕捉を利用してHLAを引き降ろす。結合画分を10%酢酸に溶出させ、3kDカラムで限外濾過した。ペプチド画分を液体抽出に付し、有機相の除去を固相抽出に付した。抽出したペプチド画分を質量分析に付した。ペプチドNLVPMVATV(配列番号3)、VYALPLKML(配列番号5)及びNLGPMVAGV(配列番号4)は、それぞれのパルス実験で成功裡に同定されたが(ID 2、3、11)、他のサンプルでは同定されなかった。HLA-ミスマッチペプチドNLVPMVATV(ID 12、HLA-A*24:02、配列番号3)及びVYALPLKML(ID 13、HLA-A*02:01、配列番号5)及び三重変異体NLGPAAGV(配列番号4)は同定されなかった。よって、eAPC-p細胞のaAPX:aAM複合体の捕捉及び富化を用いて、抗原提示複合体における被分析物抗原分子のHLA-制限提示を同定し、確証し及び/又は決定することができる。
【実施例0082】
材料及び方法
ARH-77細胞のエレクトロポレーション
反応あたり、4×106細胞を、500μl RPMI 1640中、Gene Pulser XCELLTM(Bio-Rad)を使用するGlutamax-I(Life Technologies)を以下の設定で用いてエレクトロポレートした:方形波285V、パルス長12.5ms、1秒間隔で2パルス。Cas9プラスミドV1.A.8に用いたDNA濃度は、組込み部位を標的するgRNAについて10μg/ml及び7.5μg/mlであった(HLA内因性遺伝子座における組込みについてはV2.I.10及びV2.J.1、標的AAVS1部位についてはV2.J.6)(表3)。
組込みベクターを濃度7.5μg/ulでエレクトロポレートした。HLA遺伝子座におけるHDR組込みのためには、HLAクラスI V1.C.6及びV1.C.9プラスミドを用いた。AAVS1遺伝子座におけるHDR組込みのためには、HLAクラスI V1.F.8及びV1.F.10並びにHLAクラスII V1.I.5及びV1.I.7を用いた。pp65 ORFのバリアントを事前に作製したHLAモノアレレ株に組み込んだ。GFPマーカーに連結した形態のpp65を含有するプラスミドV1.G.9及びV1.H.1をこの目的に用いた。1つのRMCE部位を有するARH-77 HLA-ヌル株を作製するため、マーカーに隣接する異種特異的リコンビナーゼ部位を有するプラスミドを用いた。RFPについてはV4.B.2、BFPについてはV4.B.3を用いた。同プラスミドを同時エレクトロポレートして、2つのRMCE部位を含む安定な株を作製した。RMCEを用いてモノアレレHLA株もまた作製し、ここでは、ベクターV4.D.2を、1つのRMCE部位を含有する細胞にエレクトロポレートした。エレクトロポレーション後、細胞を、Glutamax-I+10% FBSを含む培養培地RPMI 1640中で2日間インキュベートした(37℃,5% CO2)後、分析した。
【0083】
HEK293細胞のトランスフェクション
トランスフェクションの1日前、細胞を1.2~1.4×106細胞/60mmディッシュの密度で90% DMEM+2mML-グルタミン+10% HI-FBS(Life Technologies)中に播種した。翌日、65%コンフルーエントの細胞を、総量5μgのDNA及びjetPEI(登録商標)(Polyplusトランスフェクション試薬、Life Technologies)(N/P比6)でトランスフェクトした。培地を交換した後、トランスフェクションを行った。DNA及びjetPEI(登録商標)のストック溶液を、それぞれ滅菌1M NaCl及び150mM NaClに希釈した。各溶液の最終容量を総混合容量の50%とした。次いで、PEI溶液を希釈したDNAに加え、混合物を室温にて15分間インキュベートした。最後に、DNA/PEI混合物を60mmディッシュに、細胞フィルムを破壊しないように注意深く加えた。
細胞を(37℃,5% CO2,95%相対湿度で)48時間インキュベートした後、GFP発現分析を行った。HLAクラスI遺伝子の欠失のために、細胞を、0.42μgのCas9_GFPをコードするDNAベクター(V1.A.8)、HLA-A、B及びCを標的するgRNA(それぞれ、V2.A.1、V2.A.7及びV2.B.3)及び空ベクター(V1.C.2)でトランスフェクトした。AAVS1遺伝子座におけるRMCE部位の組込みのために、細胞を0.5μgのV1.A.8;0.625μgのgRNA V2.J.6及び0.75μgの(RMCE部位によって挟まれる2つのマーカーをコードする)プラスミド(RFPについてはV4.B.2、BFPについてはV4.B.3)でトランスフェクトし、空ベクターV1.C.2を用いて5μgのDNAを満たした。
【0084】
ポリクローナルGFP発現細胞の選別
Cas9-P2A-GFP(V1.A.8)又はGFP選択マーカーをコードするプラスミド(V1.A.4)をエレクトロポレートし又はトランスフェクトした細胞を、FACSJAzzTM細胞ソーター(BD Biosciences)を用いて、一過性GFP発現について選別した。HEK 293細胞を、TrypLETM Express Trypsin(ThermoFisher Scientific)を用いて採集し、適切な容量のDPBS 1×(Life Technologies)中に再懸濁した後、20% HI-FBS及び抗Anti 100X (Life Technologies)を含有するDMEM 1×培地中で細胞選別を行った。ARH-77細胞を洗浄し、適切な容量のDPBS中に再懸濁した後、Glutamax-I並びに20% HI-FBS及び抗Anti 100X(Life Technologies)を含むRPMI 1640中で選別を行った。
【0085】
興味対象の成分の安定発現を有するポリクローナ及びモノクローナル細胞の選別
組み込まれたタンパク質又はマーカーを構成的に発現する細胞の集団を取得するために、細胞を、第1のGFP+選択の7~15日後に選別した。表面タンパク質を発現すると予測される細胞については、抗体染色を行なった後、選別を行った。HLAクラスI遺伝子については、PE-CyTM5マウス抗ヒトHLA-ABC抗体(BD Biosciences)を用いた。HLA-DR及びHLA-DPの染色は、Alexa Fluor(登録商標) 647マウス抗ヒトHLA-DR、DP、DQ(BD Biosciences)を用いて行った。HEK 293由来細胞株の場合、細胞を、TrypLETM Express Trypsin(ThermoFisher Scientific)を用いて採集し、適切な容量のDPBS 1×(Life Technologies)中で洗浄した後、20% HI-FBS及び抗Anti 100X(Life Technologies)を含有するDMEM 1×培地中で細胞選別を行った。ARH-77由来細胞株を適切な容量のDPBS中で洗浄した後、Glutamax-I並びに20% HI-FBS及び抗Anti 100X(Life Technologies)を含むRPMI 1640中で選別を行った。
【0086】
【表1】
【0087】
HLAノックアウト又は組込みのために、細胞の選択を、それぞれHLA発現の喪失又は獲得に基いて行った。RMCE部位が組み込まれた細胞を、BFP及びRFPマーカーの発現に基いて選別し、pp65変異体が組み込まれたHLAモノクローンをGFP発現について選別した(表4)。興味対象の遺伝子を発現する細胞のモノクローナル選別を、200μlの増殖培地を含む96ウェルプレート中で行った。サンプルあたり1~2のプレートを選別した。直後に、残りの細胞のポリクローナル選別を、FACSチューブ中、細胞ソーターInfluxTM(BD Biosciences)において二方式選別設定を用いて行った。
【0088】
モノクローナル集団の表現型スクリーニング
増殖させたモノクローン集団の20,000細胞のサンプルを、分析のためにマイクロタイタープレートに移し、細胞を250μlのDPBS 1×(Life Technologies)に再懸濁し、LRSFortessaTM(BD Biosciences)で分析した。BFP及びRFP発現を、それぞれBV421用PMTs及びPE-Texas Red fluorophoreを用いて検出した。表面発現を有するタンパク質については、細胞を先ず、PE-CyTM5マウス抗ヒトHLA-ABC抗体(BD Biosciences)又はAlexa Fluor(登録商標) 647マウス抗ヒトHLA-DR、DP、DQ(BD Biosciences)を用いて染色した。染色溶液は、100μlの染色緩衝液(DPBS+2% FBS)に希釈した推奨される抗体容量を用いて調製した。細胞を1時間4℃にてインキュベートし、次いで、500μlの染色緩衝液で2回洗浄した後、分析を行った。選択モノクローンは通常の増殖培地で維持した。HEK239細胞はDMEM+2mML-グルタミン+10% HI-FBS(Life Technologies)中で増殖させ、ARH-7細胞は、Glutamax-I+10% HI-FBSを含むRPMI 1640中で増殖させた。細胞のコンフルーエンスを、10~12×106に達するまで毎日モニターした。DNAを5×106細胞から、QIAamp DNA Minikit(Qiagen)を用いて抽出した。残りの細胞を更に増殖させ、密度3×106細胞/mlで、70%増殖培地+20% HI-FBS+10% DMSO中に凍結保存した。
【0089】
【表2】
【0090】
正しいゲノム位置への組込みの検証
所望の表現型特徴を有するモノクローンをスクリーニングし、分子レベルで評価し、これを、製造業者が推奨する成分及び容量を用いる20μlの反応剤中、Q5(登録商標) Hot Start High-Fidelity DNAポリメラーゼ(NBE)を用いるPCRにより行った。HLA I ORFがHLA遺伝子座に組み込まれたかどうかを決定するため、プライマー9.C.4及び9.D.6を用いた;正しい右相同性アーム組換えは1kbアプリコンにより示された(表5)。AAVS1遺伝子座におけるHLA組込みについて、4セットのプライマーを用いた:正しい左相同性アーム組換え(1.1kb)を評価する9.C.3及び9.C.8、右相同性アーム組換え(660bp)を評価する9.C.4及び9.D.1、内部構築物のCMVプロモーター(810bp)を増幅する1.C.5及び9.C.5、並びに内部構築物のSV40pAターミネーターについてのアプリコンを取得する1.C.2及び9.C.10(380bp)。HEK293及びARH-77 HLA-ヌル株におけるRMCE部位組込みの評価を、プライマーセット2及び4を用いて行った。HEK293細胞におけるHLAクラスI欠失を確証するため、特異的HLAプライマーを以下のとおり用いた:HLA-Aを標的する4.A.3及び4.A.4、HLA-Bについての4.A.7及び4.B.1、並びにHLA-Cについての4.B.5及び8.A.1。最初に、PCR Master Mixを、全成分(Q5(登録商標)反応緩衝液、dNTP、Hot-Start Q5(登録商標) DNAポリメラーゼ、プライマーFwd及びRev、100ngのDNAテンプレート並びにH20)を用いて調製した。PCR反応は、C1000 TouchTM Thermal Cycler(Bio-Rad)を用いて行った。PCR産物は、1×TAE緩衝液中、1%アガロースゲルで、PowerPac Basic(Bio-Rad)を用いて泳動させ、10,000希釈のsybersafeで染色し、Fusion SL(Vilber Lourmat)を用いて分析した。
【0091】
【表3】
【0092】
遺伝子コピー数の同定
選択されたモノクローンのDNAを、特異的な、興味対象の遺伝子を標的するプライマー
及び組み込まれた遺伝子のフラグメントを認識し相同性アームまで伸びるプローブを用いて分析した。HLA遺伝子座におけるHLAクラスI組込みのために、プライマー4.I.9及び9.C
.4を用いて興味対象の遺伝子を増幅し、FAMと接合した8.B.2をプローブとして用いた。AAVS1遺伝子座に組み込まれた構築物について、プライマー9.D.6及び9.D.7並びにプローブ9.J.2(これもまたFAMと接合された)を用いた。全ての場合で、参照遺伝子(TRAC)を同時に
スクリーニングして、プライマー10.A.9及び10.A.10並びにHEXと接合した蛍光プローブ10.B.6を用いて染色体のコピー数を決定した。組込みコピー数から、参照遺伝子(TRAC)について、ARH-77細胞は二倍体でありHEK293細胞は三倍体であると考えられた。デジタルドロップPCRの前に、DNAをMfeI(NEB)で消化し、直列組込みを分離した。反応セットアップ及
びサイクル条件は、QX200TM Droplet Reader及びDroplet Generator及びC1000 TouchTM deep-well Thermal cycler(Bio-Rad)を用いるddPCRTM Supermix for Probes(No dUTP)(Bio-Rad)のプロトコルに従った。QuantaSoftTMソフトウェアを用いてデータを取得し、FAMの検出にはCh1を用い、HEXについてはCh2を用いた。
【0093】
【表4】
【0094】
【表5】
【0095】
eAPC細胞株におけるHLA-A*02:01配列のFlp-媒介組込み
eAPC細胞を、Flpをコードするベクター、送達を追跡するためのマーカーをコードするDNA(GFPをコードするベクター)及びHLA-A*02:01を含有するベクターでエレクトロポレートした。HLA-A*02:01配列は、3'末端にリンカー及び3×Myc-タグもコードしていた。用いたエレクトロポレーション条件は、258V、12.5ms、2パルス、1パルス間隔であった。
各組込みベクターとFlp-ベクターとの比は1:3であった。2日後のGFP選別についてのゲートを設定するために、GFP-ベクターのみをエレクトロポレートした細胞及びエレクトロポレートしていない細胞をそれぞれコントロールとして用いた。翌日(エレクトロポレーションの2日後)に、細胞を分析し、GFP発現に基いて選別した。BD Influx細胞ソーターを用いて細胞を選別した。
エレクトロポレーションの3日後、GFP発現に基づく選別を行い、エレクトロポレートされた細胞を富化した。エレクトロポレーションの7~8日後、細胞を採集し、HLA-ABC発現に関して表面を染色した。BFP+ve RFP-ve HLA+ve細胞を単一細胞選別してモノクローナルとした。
細胞を遺伝子型決定するため、100ngのDNAをテンプレートとして用いて、PCR反応を行い、組込みが予想された組込み部位で生じているかどうかを検証した。組込みカセットを標的するフォワードプライマー(Pan_HLA_GT_F1(Insert SEQ ID NO))及び組込み部位の直ぐ外側を標的するリバースプライマー(SV40pA_GT_R1 Insert SEQ ID NO)を用い、PCR産物を1%アガロースゲルで泳動した。
【0096】
eAPC-p細胞株におけるHCMV ORF配列のFlp-媒介組込み
eAPC-p細胞を、Flpをコードするベクター、送達を追跡するマーカーをコードするDNA(GFPをコードするベクター)及びHCMV pp28、pp52又はpp65 aAM-ORFを含有するベクターでエレクトロポレートした。HCMV-ORF配列は、3'末端にリンカー及び3×Myc-タグもまたコードしていた。用いたエレクトロポレーション条件は、258V、12.5ms、2パルス、1パルス間隔であった。
各組込みベクターとFlp-ベクターとの比は1:3であった。2日後のGFP選別についてのゲートを設定するために、GFP-ベクターのみをエレクトロポレートした細胞及びエレクトロポレートしていない細胞をそれぞれコントロールとして用いた。翌日(エレクトロポレーションの2日後)に、細胞を分析し、GFP発現に基いて選別した。BD Influx細胞ソーターを用いて細胞を選別した。
【0097】
eAPC-p細胞株における3つのHCMV ORF配列のFlp-媒介ショットガン組込み
eAPC-p細胞を、Flpをコードするベクター、送達を追跡するマーカーをコードするDNA(GFPをコードするベクター)及びHCMV pp28、pp52又はpp65 aAM-ORFを含有するベクターでエレクトロポレートした。HCMV-ORF配列は、3'末端でリンカー及び3×Myc-タグもまたコードしていた。用いたエレクトロポレーション条件は、258V、12.5ms、2パルス、1パルス間隔であった。ショットガン組込みのため、HCMV-ORFを含有するベクターを比1:1:1でプールし、混合物をeAPC-p細胞にエレクトロポレートした。得られるeAPC-pa細胞はポリクローナルであった。個々のモノクローン細胞を選別し、遺伝的に特徴付けて、ポリクローンが3つ全てのHCMV-ORFを含有する細胞で構成されることを証明した。
【0098】
成分DへのHCMV ORFのRMCE-組込みを評価するPCR反応
HCMV ORFの組込みを評価するために用いるプライマーを、リンカー(フォワードプライマー10.D.1(Insert SEQ ID)及びEF1aplhaプロモーター(リバースプライマー15.H.4)にアニールさせた。予想サイズは、pp28については0.8kb、pp52については1.5kb、pp65については1.9kbであった。
【0099】
【表6】
【0100】
【表7】
【0101】
PCR産物は、1×TAE緩衝液中、1%アガロースゲルで、PowerPac Basic(Bio-Rad)を用いて泳動させ、10,000希釈のsybersafeで染色し、Fusion SL(Vilber Lourmat)を用いて分析した。
【0102】
抗原-特異的CD8+細胞の増殖
末梢血単核細胞(PBMC)を、CMV-A.0201-NLVPに特異的なCD8+ T細胞を有することが知られている健常血液ドナーから、Ficoll Paque Plus(GE Healthcare)を用いて単離した。細胞を、CDマーカーに対する表面抗体で染色した。特異的なT細胞集団を、BD Influx 細胞ソーターを用いて選別し、ペレット化し、OSG培地+10% HS中200 000細胞/mlに再懸濁した。
【0103】
ペプチドマルチマーでのeAPのパルス
HLA-A*02:01 eAPCを、1μMペプチド(NLVPMVATV(配列番号3)又は完全OSG培地+10% HS中)で4時間パルスした。細胞を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で3回洗浄し、OSG培地+10%ヒト血清(HS)中100 000細胞/mlに再懸濁した。
【0104】
抗原-特異的CD8+とeAPCとの共培養
CD8+細胞を、eAPCと、96ウェルポリスチレン(wp)丸底プレートにおいて、1:1比で、すなわち、100μL培養体積中、5000細胞の各細胞タイプ、計10000細胞/ウェルで共培養した。再刺激を培養9日目に行った結果、150μLの培養物が維持され、ウェルあたり容量50μLの5000の新鮮なパルスされたeAPC細胞で再刺激された。
並行して行った実験において、CD8+ T細胞を、pp65を安定に発現するeAPC-pa細胞株と、96wp丸底において、1:1比で、100μL培養体積中、5000細胞の各細胞タイプ、計10000細胞/ウェルで共培養した。パルスしていないHLAヌル及びeAPC-pa細胞をコントロールとして含ませた。再刺激は行わなかった。
【0105】
表現型決定
表現型決定を14日目に行った。条件あたり、5つの複製物及び20ウェルのプールを表現型決定した。細胞を別個に、100倍希釈DCM(Zombie NIR)で染色し、続いて50倍希釈マルチマー(表4)で10分間染色し、その後、表面マーカー(表4)を25μL/サンプルで30~60分間加えた。細胞を染色緩衝液(PBS+2% FBS)に再懸濁し、データをLSRFortessaで取得し、FlowJoで分析した。
【0106】
抗原-特異的CD4+細胞の増殖
末梢血単核細胞(PBMC)を、INFL-DRB1*01:01-PKYVに特異的なCD4+ T細胞を有することが知られている健常血液ドナーから、Ficoll Paque Plus(GE Healthcare)を用いて単離した。細胞を、CDマーカーに対する表面抗体で染色した。特異的なT細胞集団を、BD Influx細胞ソーターを用いて選別し、ペレット化し、OSG培地+10% HS中100000又は400000細胞/mlに再懸濁した。
【0107】
ペプチドマルチマーでのeAPCのパルス
HLA DRB1*01:01 eAPCを、1μMペプチド(PKYVKQNTLKLAT(配列番号1)又は完全OSG培地+10% HS中)で2時間パルスした。細胞をリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で3回洗浄し、OSG培地+10%ヒト血清(HS)中5000細胞/mlに再懸濁した。
【0108】
抗原-特異的CD4+とeAPCとの共培養
CD4+細胞を、eAPCと、96wp丸底において、100μL培養体積中、250のeAPC及び5.000 対 20.000のCD4+細胞で共培養した。培養物をOSG+10% HS中に維持した。1日目に、幾つかの培養物に対して100U/mL IL-2を投与した。IL-2を投与しない培養物には培地を与えた。14日間培養した培養物には7日目にIL-2を追加した。
【0109】
表現型決定
表現型決定を14日目に行った。条件あたり、5つの複製物及び20ウェルのプールを表現型決定した。細胞を染色した。細胞を別個に、100倍希釈DCM(Zombie NIR)で染色し、続いて50倍希釈マルチマー(表4)で10分間染色し、その後、表面マーカー(表4)を25μL/サンプルで30~60分間加えた。細胞を染色緩衝液(PBS+2% FBS)に再懸濁し、データをLSRFortessaで取得し、FlowJoで分析した。
【0110】
細胞傷害性アッセイ
eAPCのペプチドでのパルス
2×106細胞を、1μM NLVPMVATV(配列番号3)ペプチドで2mlの完全Roswell Park Memorial Institute(RPMI)培地において一晩パルスし、採集し、PBSで3回洗浄し、完全RPMIに再懸濁した。
【0111】
抗原-特異的CD8+ T細胞の作製
抗原-特異的CD8+ T細胞は、健常ドナーのPBMCに由来するものであった。細胞を、CDマーカーに対する表面抗体で染色した。特異的なT細胞集団を、BD Influx細胞ソーターを用いて選別し、計数し、液体窒素に保管した。実験の1日前に、細胞を解凍し、完全OSG培地中で一晩休止させた。細胞を計数し、完全OSG培地に再懸濁した。
【0112】
eAPCと抗原特異的CD8+細胞との共培養
ペプチドでパルスしたeAPC及びパルスしていないeAPCを、細胞傷害性CD8+ T細胞と共培養した。ウェルあたり10 000 eAPCを96ウェルプレート(50μlの完全RPMI中)に播種した。eAPCをCD8+ T細胞と漸増比で共培養した。試験した比は、総容量100μl中、eAPC単独1:0(eAPC:CD8+)、1:1(eAPC:CD8+)、1:8(eAPC:CD8+)であった。細胞を4~5時間共培養した。
【0113】
染色
細胞をウェルからマイクロチューブに移し(1ウェル→1マイクロチューブ)、チューブあたり400μlのRPMIを加えた。細胞を3分間、400gで遠心分離し、上清を抜き取り、細胞ペレットを25μlの染色ミックス又はRPMI(非染色コントロール)(染色ミックス:アネキシンV BV711+CD80 APC+CD8 APC-H7)に再懸濁し、20分間RTで450rpmにてインキュベートした。チューブあたり400μlのRPMIを添加することにより染色を終了し、続いて、遠心分離を行い、上清を除去した。染色は表4に記載されている。細胞ペレットを、1μg/mlのヨウ化プロピジウムを含有する150μlのRPMI(染色サンプル)又は150μlのRPMI(非染色サンプル)に再懸濁し、Fortessaによるデータ取得のためにサンプルを96ウェルプレート移した。
【0114】
金属親和性クロマトグラフィー
パルス実験に用いたペプチドは、Genscript Biotechから購入した。
APD-2:NLVPMVATV(配列番号3)pp65は、野生型ペプチドであり、HLA-A*02:01への結合に制限されており、APD-21:NLGPMAAGV(配列番号4)pp65は、ADP-2 NLVPMVATV(配列番号3)pp65のV3G,T8G,V6A三重変異体ペプチドであり、APD-11:VYALPLKML(配列番号5)は、HLA-A*24:02への結合に制限されている野生型ペプチドである。
細胞を、10% FBSを補充したRPMI中、37℃及び5% CO2にて培養した。実験の当日に、細胞を採集し温PBS 1×中で2回洗浄し、2×106細胞/mlで再播種し、1μMペプチドで2時間パルスした。パルスした細胞を採集し、氷冷PBSで2回洗浄し、氷冷溶解緩衝液(150mM塩化ナトリウム(NaCl)、50mM Tris pH 8、1% 3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)、5mMイミダゾール、0,2mMヨードアセトアミド及び1×Haltプロテアーゼ阻害剤カクテル(Thermo Scientific))中で溶解させ、激しく撹拌し、4℃にて20分間インキュベートした。
明澄な溶解物をHisPurTM ニッケル-ニトリロ酢酸(Ni-NTA)樹脂(Thermo Scientific)と混合し、2時間4℃にて回転させた。溶解物非結合画分の除去後、樹脂を高塩緩衝液(250mM NaCl、50mM Tris pH8、25mMイミダゾール)で2回洗浄し、低塩緩衝液(50mM NaCl、50mM Tris pH8)で2回洗浄した。洗浄済みビーズを低塩洗浄緩衝液に採集し、スピンカラム(Thermo Scientific)に移した。結合画分を10%酢酸に溶出させ、3kD Nanosep Omegaカラム(Pall)で限外濾過した。ペプチド画分を、水飽和エチル酢酸と1:1混合し、十分に激しく撹拌して、有機相を除去することにより、液体抽出に供した。続いて固相抽出を、2層のEmporeスチレンジビニルベンゼン-逆相スルホネート(SDB-RPS)マトリクス47mmディスク(3M)を用いて組み立てたステージチップで行った。SDB-RPS膜をアセトニトリルで活性化し、SDB洗浄緩衝液(0.2% TFA、milli-Q、pH<2)で平衡化した後、サンプルをロードした。次いで、SDB膜を2回洗浄した後、吸着したペプチド画分を溶出緩衝液(80%アセトニトリル(ACN)、1% NH3、milli-Q、pH>10)において溶出させた。サンプルをHPLC-ガラスバイアルに移し、減圧乾燥させ、-20℃で保管後、LC-MS/MS分析に供した。
【0115】
質量分析
ペプチドを10μlの溶媒A(3% CAN、0.1%ギ酸(FA)、MQ)に再懸濁した後、LC-MS/MS分析に供した。各サンプルを、各サンプルバイアルから8μl注入することによいr、Dionex nano-UHPLCシステム(Thermo Fisher Scientific)に接続したQ Exactive HF(Thermo Fisher, Germany)で分析した。UHPLCにトラップカラム(Acclaim PepMap 100, 75μm×2cm、nanoviper、C18、3μm、100Å;Thermo Fisher Scientific)及び50℃に加温した分析カラム(PepMap RSLC C18、2μm、100Å、50μm×50cm;Thermo Fisher Scientific)を取り付けた。nLC分離用移動相緩衝液は溶媒A及び溶媒B(95% CAN、0.1% FA、MQ)からなっていた。ペプチドを30分間のグラジエントの間に溶出させ、質量分析機に直接スプレーした。流速は400nL/分に設定し、LCグラジエントは次のとおりであった:5分以内の2~5%溶媒B、30分間以内の5~40%溶媒B、5分間以内の40~47%溶媒B、5分間以内の47~100%溶媒B並びに8分間の100%溶媒B及び5分間の2%溶媒B。ナノスプレーは1.8kVの印加電圧で達成した。
質量分析機はデータ依存取得(DDA)モード(最も強い10のピーク)にプログラムされ、400~1600m/z(解像度200m/zで60,000)のフーリエ変換サーベイスキャン、AGCターゲット1e6、最大注入時間250msを実行するように構成されていた。MS2スキャンを、10の最も豊富な、荷電状態1~7のMS1イオンに対して、HCD断片化及び30秒の動的排除についての1.2m/zの四重極単離ウィンドウを用いて取得した。
【0116】
データ分析
生MSファイルを、実験に用いたペプチドを含み、一般的なLC-MS/MS夾雑物のリストを補充したペプチドfastaファイルに対してMaxQuant(バージョン1.5.6.5)を用いて検索した。消化特異性は非特異に設定し、ペプチド可変修飾は、酸化(M)を許容する設定とし、最初のサーチトレランスは20ppmに設定し、FDRは1%に設定した。
【0117】
実施例
実施例1:標的化変異誘発によるAPX遺伝子ファミリーの欠失
本実施例では、遺伝子操作された抗原提示細胞(eAPC)の第1の形質を作製するために、抗原提示複合体(APX)のファミリーをコードする遺伝子の標的化変異誘発をどのように達成したかを記載する。前記形質はAPXファミリーの少なくとも1つのメンバーの表面発現の欠失である。
本実施例では、標的付けられたAPXは、HEK293細胞株における主要HLAクラスIファミリーの3つのメンバーHLA-A、HLA-B及びHLA-Cを含んでなっていた。HEK293細胞は、HLA-ABCの内因性表面発現を示すヒト胚性腎臓細胞に由来するものであった。細胞遺伝学的分析は、この細胞株が三倍体に近い核型を有し、したがってHEK293細胞が各HLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子の3つのアレレをコードしていることを証明した。
HLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子の標的化変異誘発は遺伝子操作されたCRISPR/Cas9システムを用いて行われ、該システムでは、Cas9ヌクレアーゼ活性は、合成ガイドRNA(gRNA)によりHLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子座に標的付けられた。4~5の独特なgRNAが、各HLA遺伝子遺伝子座について、保存されたヌクレオチド配列を標的するように設計され、標的付けられた部位は遺伝子コーディング配列の開始点に向けられた。なぜならば、このことがヌルアレレを生じさせる可能性がより高いからであった。標的付けられた遺伝子座で変異を誘導するgRNAの効率が決定され、最も効率的なgRNAが、HLA-A、HLA-B及びHLA-Cヌル(HLA-ABCnull)HEK293細胞株を生じさせるために選択された。
【0118】
HLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子座を標的する最適なgRNAをコードするプラスミドを、Cas9-P2A-GFPをコードするプラスミドと共に、「方法」に記載するように、HEK293細胞にトランスフェクトした。Cas9-P2A-GFPプラスミド取込みについてポジティブな細胞を、トランスフェクションの2日後にGFP蛍光に基いてFAC選別した(図28a)。遺伝子編集事象が生じるに十分な時間、有害変異の場合には、残る内因性HLAIタンパク質の発現を喪失させるに十分な時間を可能とするために、GFP選別された細胞を5日間以上更に増殖させた。この増殖期間後、細胞を、汎-HLA-ABC抗体で染色し、表面でのHLA-ABC発現が低減した細胞を同定した(図28b)。汎-HLA-ABC抗体染色の欠如は、各HLA-A、HLA-B及びHLA-Cアレレが変異したことを示唆した。個々のHLA-ABCネガティブ細胞を選別し、増殖させてモノクローン集団とした。
【0119】
HLA-ABCnullモノクローンは、HLA-ABCの表面発現の欠如により確証された。モノクローンのサブセットがHLA-ABCの表面発現を欠くことを証明した。その3つの例のモノクローンACL-414、ACL-415及びACL-416を図29に示す。HLAI表面発現を欠くモノクローンの更なる遺伝子特徴決定を、細胞株がHLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子の全てのアレレにおいて基礎をなす遺伝子変異を有することを決定することにより行った(図30)。アプリコンサイズ変化の検出のためにgRNAゲノム標的部位に亘るプライマー及び/又は配列決定のためのテンプレートとして用いるプライマーを使用するPCRにより、遺伝子特徴決定を行った。図30は、基本細胞株(例えば、ACL-414)のアプリコンサイズと比較して短いPCRアプリコンにより検出されるHLA-A、HLA-B及びHLA-C遺伝子のアレレに遺伝子欠失を含むHLA-ABCnullモノクローンの選択を示す。
結論として、遺伝子改変されたHEK293細胞株(ACL-414、ACL-415及びACL-416を含む)は、HLA-ABCの表面発現を欠くことが証明され、したがって遺伝子操作された抗原提示細胞(eAPC)の第1の形質を有していた。
【0120】
実施例2:成分Bを含むeAPCの作製
本実施例では、成分BをHLA-ABCnullモノクローン株ACL-414に安定に組み込んでeAPCの第2の形質を生じさせる方法を記載する。前記第2の形質は、少なくとも1つのORFの組込みのための少なくとも1つのゲノム受容部位を含み、ここで、ゲノム受容部位はリコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)用に設計された合成構築物であった。
本実施例では、ゲノム組込み部位(成分B)は選択された遺伝子エレメントで構成される。2つの独特な異種特異的リコンビナーゼ部位FRT及びF3(これらは、選択マーカー青色蛍光タンパク質(BFP)をコードするORFを挟み込む)。FRT部位の5'側にはEF1aプロモーターがコードされ、F3部位の3'側にはSV40ポリアデニル化シグナルターミネーターがコードされていた。異種特異的リコンビナーゼ部位の外側に非コーディングシス調節エレメントが位置することの利点は、それらがマッチした遺伝子ドナーベクター(成分C)に必要でないことである。したがって、遺伝子ドナーベクターの細胞送達後、コードされるORFの一過性発現は観察されない。このことから、奏功するRMCEの選択が、遺伝子ドナーベクターからのORFの細胞発現がおそらく成分Bへの正しい組込み後にのみ生じるような、より信頼できるものとなった。なぜならば、適切なシス調節エレメントが含まれているからである(実施例6を参照)。
【0121】
ゲノムセーフハーバー遺伝子座(AAVS1)への成分Bの安定なゲノム組込みを促進するため、成分BのDNAエレメントがAAVS1左右相同性アームに挟まれたプラスミドを構築した。各アームは、AAVS1ゲノム遺伝子座に相同な>500bpの配列で構成されていた。
成分Bの安定な組込みは、ゲノムセーフハーバー遺伝子座AAVS1での相同性指向組換え(HDR)のプロセスにより達成された。ACL-414細胞株を、AAVS1遺伝子座を標的する最適なgRNAをコードするプラスミド、Cas9-P2A-GFPをコードするプラスミド及びAAVS1左右相同性アームが隣接する成分B遺伝子エレメントをコードするプラスミドでトランスフェクトした。Cas9-P2A-GFPプラスミド取込みについてポジティブな細胞を、トランスフェクションの2日後にGFP蛍光に基いてFAC選別した(図31a)。GFP選別された細胞を7日間以上更に増殖させて、HDRが生じ、選択マーカーBFPの一過性発現を喪失するに十分な時間を許容させた。この増殖期間の後、細胞をFACS装置で分析し、個々のBFPポジティブ細胞を選別し、増殖させてモノクローン集団とした(図31c)。
【0122】
個々のモノクローン株を、維持されたBFP発現に基いて、所望のAAVS1ゲノム位置への成分Bの単一組込みのためのeAPCとして選択した。細胞株ACL-469及びACL-470は、BFP発現が維持されたモノクローンであった(図32a及びb)。遺伝子特徴決定を、モノクローンACL-469及びACL-470から抽出したDNAについて行い、それらのゲノムに成分Bが組み込まれていること及び成分BがAAVS1部位に組み込まれていることを証明した(図33)。ゲノム組込みの確証は、成分Bに特異的なプライマーを用いた予想サイズのPCRアプリコンの検出により決定した(図33a)。成分BがAAVS1部位に組み込まれていることの確証は、相同性アームによりコードされる領域に対して遠位であるAAVS1ゲノム配列に対して設計されたプライマー及び成分BがコードするSV40 pAターミネーターに独特なプライマーを用いた予想サイズのPCRアプリコンの検出により決定した(図33b)。成分Bのコピー数はデジタルドロップPCRにより決定し、ここでは、成分B及び参照遺伝子DNA分子の数を測定し比を算出した(表1)。モノクローンACL-469及びACL-470は、1対3の比で成分B分子及び参照遺伝子分子を含んでいた。基本のHEK293細胞株は三倍体に近い核型を有することを考慮すると、このことは、ACL-469及びACL-470細胞株への成分Bの単一組込みを証明している。
結論として、遺伝子改変されたACL-469及びACL-470細胞株はHLA-ABCnullであり、単一コピーの、RMCE用に設計された合成ゲノム受容部位を含んでおり、したがって単一合成組込み受容部位を有するeAPCの作製が証明された。
【0123】
実施例3:成分B及び成分Dを含有するeAPCの作製
本実施例では、成分B及び成分DをHLA-ABCnullモノクローン株ACL-414に安定に組み込んでeAPCの第2の形質を生じさせる方法を記載する。前記第2の形質は、少なくとも1つのORFの組込みのための2つのゲノム受容部位を含み、ここで、ゲノム受容部位はリコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)用に設計された合成構築物であった。
本実施例は、第2のゲノム受容部位(成分D)を追加したことを除き、実施例2に記載されたものと同じ方法及び成分を使用する。成分D遺伝子エレメントは、成分Bとは異なる2つの独特な異種特異的リコンビナーゼ部位F14及びF15で構成された。これら部位は、選択マーカー赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードするORFを挟むものであった。F14部位の5'側にはEF1aプロモーターがコードされ、F15部位の3'側にはSV40ポリアデニル化シグナルターミネーターがコードされていた。実施例2のように、成分D遺伝子エレメントは、各々がAAVS1ゲノム遺伝子座に相同な>500bpの配列で構成されるAAVS1左右相同性アームに挟まれていた。
成分B及び成分Dを、成分Dエレメントをコードするプラスミドのトランスフェクションミックスへの追加を除き、実施例2に記載したようにAAVS1に組み込んだ。Cas9-P2A-GFPプラスミド取込みについてポジティブな細胞を、トランスフェクションの2日後にGFP蛍光に基いてFAC選別した(図31a)。GFP選別された細胞を7日間以上更に増殖させ、その後、細胞をFACS装置で分析し、個々のBFP及びRFPポジティブ細胞を選別し、増殖させて、モノクローン集団とした(図31b)。
【0124】
個々のモノクローン株を、維持されたBFP及びRFP発現に基き、異なるAAVS1アレレへの成分Bの単一組込み及び成分Dの単一組込みのためのeAPCとして選択した。細胞株ACL-472はBFP及びRFP発現が維持された代表的なモノクローンであった(図32c)。実施例2に記載のように、遺伝子特徴決定を、モノクローンACL-472から抽出したDNAについて行い、それらのゲノムに成分B及び成分Dが組み込まれていること及び両成分がAAVS1部位に組み込まれていることを証明した(図33)。両成分B及びDのコピー数はデジタルドロップPCRにより決定し、ここでは、成分B、D及び参照遺伝子DNA分子の数を測定し比を算出した。モノクローンACL-472は、2対3の比で成分B及びD分子と参照遺伝子分子とを含んでいた(表2)。基本のHEK293細胞株は三倍体に近い核型を有することを考慮すると、このことは、ACL-472細胞株への成分Bの単一組込み及び成分Dの単一組込みを証明している。
結論として、遺伝子改変されたACL-472細胞株はHLA-ABCnullであり、単一コピーの、RMCE用に設計された合成ゲノム受容部位 成分B及び成分Dを含んでおり、2つの独特な合成組込み受容部位を有するeAPCの作製が証明された。
【0125】
実施例4:1つの組込みカップルを用いる一工程で構築された、成分C'が単一HLAI ORFをコードするeAPC-p
本実施例では、ゲノム受容部位(成分B)が天然型ゲノム部位であり、遺伝子ドナーベクター(成分C')が1つの被分析物抗原提示複合体(aAPX)をコードする単一ORFを含んでなるeAPC-pを、1つの組込みカップルを用いる一工程で構築する方法を記載する。
本実施例では、eAPCは遺伝子改変されたARH-77細胞株(ACL-128と呼ぶ)であり、ここでは、2つのファミリーのAPX主要HLAクラスIファミリー及びHLAクラスIIを変異させた。基本の細胞株ARH-77は、強いHLA-A、B、C及びHLA-DR、DP、DQ細胞表面発現を示す、形質細胞白血病に由来するBリンパ芽球である。細胞遺伝子分析により、基本のARH-77細胞株は、二倍体に近い核型を有するが、また、HLA遺伝子座をコードする領域である染色体6p21の欠失を示すことが証明された。ARH-77遺伝子座のDNA配列決定により、ARH-77はHLA-A、HLA-B及びHLA-C並びにHLA-DRA、HLA-DRB、HLA-DQA、HLA-DQB、HLA-DPA及びHLA-DPB遺伝子ファミリーの単一アレレのみをコードすることが確証された。
HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnull細胞株ACL-128を、実施例1に記載の方法を用い、HLA-A、HLA-B及びHLA-C並びにHLA-DRA、HLA-DRB、HLA-DQA、HLA-DQB、HLA-DPA及びHLA-DPB遺伝子ファミリーを標的するgRNAでのCRISPR/cas9標的化変異誘発により作製した。汎-抗HLA-ABC又は汎-抗HLA-DR,DP,DQでの表面標識により、ACL-128は両APXファミリーの表面発現を欠くことが確証された(それぞれ、図34b及び35並びに図37b)。
【0126】
本実施例では、ゲノム受容部位 成分Bは天然型AAVS1ゲノム部位であり、標的付けられた組込みをHDRにより達成した。成分Cが、各々がAAVS1ゲノム遺伝子座に相同な>500bpの配列で構成されるAAVS1左右相同性アームをコードすることにより、遺伝子ドナーベクター(成分C)を成分Bにマッチさせた。AAVS1左右相同性アーム間で、プラスミドはCMVプロモーター及びSV40ターミネーターをコードしていた。興味対象のaAPXをプロモーターとターミネーターとの間にクローニングして成分C'を作製した。本実施例では、成分C'は、1つのaAPX、HLA-A*24:02又はHLA-B*-07:02をコードする単一ORFを含んでなっていた(それぞれ、成分C'HLA-A*24:02及び成分C'HLA-B*-07:02と呼ぶ)。
eAPC-pを構築する方法は、成分B'を作製するための成分Bへの成分C'のHDR誘導組込みによるものであった。細胞株ACL-128を、AAVS1遺伝子座を標的する最適なgRNAをコードするプラスミド、Cas9-P2A-GFP及び成分C'でエレクトロポレートした。Cas9-P2A-GFPプラスミド取込みについてポジティブな細胞を、GFP蛍光に基いて、エレクトロポレーションの2日後にFAC選別した(図34a)。GFP選別された細胞を、7日間以上更に増殖させ、HDRが生じ、aAPXの一過性発現を喪失するに十分な時間を許容させた。この増殖期間の後、細胞を汎-HLA-ABC抗体で染色し、被分析物HLAの表面での発現を獲得した細胞を同定した(図34b)。汎-HLA-ABC抗体染色の存在により、成分C'にコードされる被分析物HLA ORFがゲノムに組み込まれたことが示された。個々のHLA-ABCポジティブ染色細胞を選別し、増殖させてeAPC-pモノクローン集団とした。
【0127】
個々のモノクローン株を、維持された被分析物HLA表面発現及びゲノム受容部位への被分析物ORFの組込み(成分B'の作製)に基いて、eAPC-pとして選択した。細胞株ACL-321及びACL-331は、それぞれHLA-A*24:02又はHLA-B*-07:02の被分析物HLA表面発現が維持された代表的なモノクローンであった(図35)。遺伝子特徴決定を、選択されたモノクローンACL-321、ACL-327、ACL-331及びACL-332から抽出したDNAについて行い、そのゲノムが成分C'を組込み、該組込みがAAVS1ゲノム受容部位に生じ、成分B'が作製されたことを証明した(図36)。ゲノム組込みの確証は、成分C'に特異的なプライマーを用いた予想サイズのPCRアプリコンの検出により決定した(図36a)。成分B'の存在を、相同性アームによりコードされる領域に対して遠位であるAAVS1ゲノム配列に対して設計されたプライマー及び被分析物HLA ORFに連結されたSV40 pAターミネーターに独特なプライマーを用いた予想サイズのPCRアプリコンの検出により確証した(図36b)。
結論として、それぞれaAPX HLA-A*24:02又はHLA-B*-07:02 ORFのコピーをゲノム受容部位 成分B'内に含む遺伝子改変されたACL-321及びACL-331細胞株の作製により、前記被分析物aAPXのみが、細胞表面に発現される主要HLAクラスIメンバーであるという結果がもたらされた。したがって、このことから、多成分システムを用いての、2つの規定されたeAPC-p細胞株の作製が証明された。
【0128】
実施例5:1つの組込みカップルを用いる一工程で構築された、成分C'が対をなすHLAII
ORFをコードするeAPC-p
本実施例では、eAPC-pを1つの組込みカップルを用いる一工程で構築する方法を記載する。ここでは、ゲノム受容部位 成分Bが天然型ゲノム部位であり、遺伝子ドナーベクター(成分C')は2つのaAPX鎖をコードする単一ORFを含んでなるものであった。
本実施例は、eAPC、ACL-128及び成分Bを利用した。いずれも実施例4に規定されるものであった。しかし、成分C'は、HLA-DRB1*01:01アレレにウイルス性自己切断ペプチドエレメントにより連結されたHLA-DRA*01:01アレレ、又はHLA-DPB1*04:01アレレにウイルス性自己切断ペプチドエレメントにより連結されたHLA-DPA1*01:03アレレをコードする単一ORFを含んでいた(それぞれ、成分C'HLA-DRA*01:01/HLA-DRB1*01:01及び成分C'HLA-DPA1*01:03/HLA-DPB1*04:01と呼ぶ)。ウイルス性自己切断ペプチドエレメントは、転写されたとき、合成されたペプチドの自己切断をもたらし、各HLA鎖を規定する2つのポリペプチドを生じるペプチド配列をコードするものであった。
【0129】
eAPC-pを構築する方法は、被分析物HLAの表面での発現を獲得した細胞の同定を汎-抗HLA-DR,DP,DQ抗体での細胞表面標識により行ったことを除き、実施例4に記載したとおりであった(図37)。汎-抗HLA-DR,DP,DQ抗体染色の存在により、成分C'にコードされる被分析物HLA ORFがゲノムに組み込まれたことが示された。個々のHLA-DR,DP,DQポジティブ染色細胞を選別し、増殖させてeAPC-pモノクローン集団とした。
実施例4に記載のとおり、個々のモノクローン株を、維持された被分析物HLA表面発現及びゲノム受容部位への被分析物ORFの組込み(成分B'の作製)に基いて、eAPC-pとして選択した。細胞株ACL-341及びACL-350は、HLA-DRA*01:01/HLA-DRB1*01:01又はHLA-DPA1*01:03/HLA-DPB1*04:01の被分析物HLA表面発現が維持されている代表的なモノクローンであった(図38)。
結論として、それぞれaAPX HLA-DRA*01:01/HLA-DRB1*01:01又はHLA-DPA1*01:03/HLA-DPB1*04:01 ORFのコピーをゲノム受容部位 成分B'内に含む遺伝子改変されたACL-341及びACL-350細胞株の作製により、前記被分析物aAPXのみが、細胞表面に発現される主要HLAクラスIIメンバーであるという結果がもたらされた。したがって、このことから、多成分システムを用いての、2つの規定されたeAPC-p細胞株の作製が証明された。
【0130】
実施例6:1つの組込みカップルを用いる一工程で構築された、成分Bが合成構築物であるeAPC-p
本実施例では、eAPC-pを1つの組込みカップルを用いる一工程で構築する方法を記載する。ここでは、ゲノム受容部位 成分BがRMCEゲノム部位用に設計された合成構築物であり、遺伝子ドナーベクター(成分C')は、1つのaAPXをコードする単一ORFを含むものであった。
本実施例では、ゲノム組込み部位(成分B)は、選択された遺伝子エレメントで構成された。2つの独特な異種特異的リコンビナーゼ部位FRT及びF3(これらは、選択マーカー青色蛍光タンパク質(BFP)をコードするORFを挟み込む)。FRT部位の5'側にはEF1aプロモーターがコードされ、F3部位の3'側にはSV40ポリアデニル化シグナルターミネーターがコードされていた。成分Bの遺伝子エレメントを、実施例2に記載のものと同じプラスミドを用いてエレクトロポレーションにより、細胞株ACL-128に組み込んだ。実施例2に記載のように、個々のモノクローン株を、維持されたBFP発現に基いて選択し、所望のAAVS1ゲノム位置への成分Bの単一組込みを含んでいることを遺伝子的に特徴付けた(図39a)。得られるeAPC細胞株ACL-385は、HLA-ABCnull及びHLA-DR,DP,DQnullであり、RMCE用に設計された合成ゲノム受容部位 成分Bの単一コピーを含んでいた。
【0131】
成分Cが同じ異種特異的リコンビナーゼ部位FRT及びF3をコードするように、遺伝子ドナーベクター(成分C)を成分Bにマッチさせた。興味対象のaAPX ORF(追加で、開始コドンの直前にコザック配列をコードする)を、2つの異種特異的リコンビナーゼ部位の間にクローニングし、成分C'を作製した。本実施例では、成分C'は、1つのaAPX HLA-A*02:01(成分C'FRT:HLA-A*02:01:F3と呼ぶ)をコードする単一ORFを含んでいた。
eAPC-pを、Tyr-リコンビナーゼFlpをコードするプラスミドと成分C'FRT:HLA-A*02:01:F3とを用いる細胞株ACL-385のエレクトロポレーションによるRMCEにより作製した。。エレクトロポレーションの4~10日後、HLAI表面発現についてポジティブであり、成分B選択マーカーによりコードされる蛍光タンパク質マーカーBFPについてネガティブ/低減である個々の細胞を選別した。より成長した個々のモノクローン株を、維持されたHLAIアレレ発現及び(予想されたRMCEが生じたことを示す)BFP蛍光の喪失に基いて選択した。このモノクローンを同定するため、表現型及び遺伝子検査の両方を行った。先ず、全てのモノクローン細胞株を、細胞表面HLA-ABC発現及びBFP蛍光の欠如についてスクリーニングした(図39)。ゲノムDNAを、当該細胞株、例えば、ACL-421及びACL-422から抽出し、成分B'を生じる、成分Bへの成分C'の組込みを、成分B'に特異的なPCR産物の検出により確証した(図40)。
結論として、それぞれaAPX HLA-A*02:01 ORFのコピーを合成ゲノム受容部位 成分B'内に含む遺伝子改変されたACL-421及びACL-422細胞株の作製により、前記被分析物aAPXのみが、細胞表面に発現される主要HLAクラスIメンバーであるという結果がもたらされた。したがって、このことから、多成分システムを用いての、2つの規定されたeAPC-p細胞株の作製が証明された。
【0132】
実施例7:2つの組込みカップルを用いる二工程で構築されたeAPC-pa
本実施例では、eAPC-paを二工程で構築する方法を記載する。工程1 ゲノム受容部位
成分Bは天然型ゲノム部位であり、遺伝子ドナーベクター(成分C')は1つのaAPXをコードする単一ORFを含んでなるものであった。工程2 ゲノム受容部位(成分D)は第2の天然型ゲノム部位であり、遺伝子ドナーベクター 成分E'は1つの被分析物抗原分子(aAM)をコードする単一ORFを含むものであった。
本実施例では、eAPCがACL-128であり、ゲノム受容部位 成分Bが変異HLA-Aアレレゲノム部位(HLA-Anullと呼ぶ)であり、標的付けられた組込みがHDRにより達成される工程1を行った。成分Cが、各々がHLA-Anullゲノム遺伝子座に相同な>500bpの配列で構成されるHLA-Anull左右相同性アームをコードすることにより、遺伝子ドナーベクター(成分C)を成分Bにマッチさせた。HLA-Anull左右相同性アーム間で、プラスミドはCMVプロモーター及びSV40ターミネーターをコードしていた。興味対象のaAPXをプロモーターとターミネーターとの間にクローニングして、成分C'を作製した。本実施例では、成分C'は、1つのaAPX HLA-A*02:01又はHLA-B*-35:01をコードする単一ORFを含んでなっていた(それぞれ、成分C'HLA-A*02:01、成分C'HLA-B*-35:01と呼ぶ)。
成分Bへの成分C'の組込み及びモノクローンeAPC-p細胞株の選択は、成分Bへの成分C'のHDR組込みを促進するためにHLA-Anullゲノム遺伝子座を標的するgRNAを用いたことを除き、実施例4のとおりであった。モノクローンeAPC-p ACL-191及びACL-286は、細胞表面に、それぞれHLA-A*02:01又はHLA-B*-35:01を発現した(図41a)。
【0133】
本実施例では、ゲノム受容部位(成分D)が天然型AAVS1ゲノム部位であり、標的付けられた組込みをHDRにより達成する工程2を行った。成分Eが、各々がAAVS1ゲノム遺伝子座に相同な>500bpの配列で構成されるAAVS1左右相同性アームをコードすることにより、遺伝子ドナーベクター成分Eを成分Dにマッチさせた。AAVS1左右相同性アーム間で、プラスミドはCMVプロモーター及びSV40ターミネーターをコードしていた。興味対象のaAMをプロモーターとターミネーターとの間にクローニングして成分E'を作製した。本実施例では、成分E'は、hCMV-pp65をコードするaAM ORFに連結された選択マーカーGFPをコードする単一ORFを含んでいた(成分E'GFP:2A:pp63と呼ぶ)。ウイルス性自己切断ペプチドエレ
メントは、転写されたとき、合成されたペプチドの自己切断をもたらし、2つのポリペプチドGFP及び細胞内hCMV-pp65タンパク質を生じるペプチド配列をコードするものであった。
成分Dへの成分E'の組込みは実施例4のとおりであった。個々のモノクローン株ACL-391及びACL-395を、維持された選択マーカーGFP発現に基いて、eAPC-paとして選択した(図41b)。
結論として、それぞれaAPX HLA-A*02:01又はHLA-B*-35:01 ORFのコピーをゲノム受容部位 成分B'内に含み、aAM ORF pp65をゲノム受容部位 成分D'内に含む遺伝子改変されたACL-391及びACL-395細胞株が作製された。これら遺伝子改変により、前記aAPXのみが、細胞表面に発現される主要HLAクラスIメンバーであり、該細胞表面には前記aAMもまた発現されるという結果がもたらされた。したがって、このことから、多成分システムを用いての、2つの規定されたeAPC-pa細胞株の作製が証明された。
【0134】
実施例8:一工程で構築され、成分C'が単一HLAI ORFをコードするeACP-p
本実施例では、被分析物抗原提示複合体(aAPX)をコードする単一HLAI ORFを組み込むための、単一組込みカップル事象による一工程でのeAPC-pへのeAPCの変換を記載する。ここでは、eAPCは、RMCEベースのゲノム組込み用に設計された2つの合成ゲノム受容部位 成分B及び成分Dを含む。作製されたeAPC-pは、HLAI ORFにより占められた1つのゲノム受容部位(成分B')を有する一方、残る成分Dは追加の組込みカップル事象に利用可能である(図6)。
本実施例は、成分B及びDを含む、実施例3で作製されたeAPC(ACL-402)を利用した。ここで、成分Bは、選択マーカー赤色蛍光タンパク質(RFP)をコードするORFを挟む2つの独特な異種特異的リコンビナーゼ部位F14及びF15を含む。F14部位の5'側にはEF1aプロモーターがコードされ、F15部位の3'側にはSV40ポリアデニル化シグナルターミネーターがコードされていた。成分Dは、選択マーカー青色蛍光タンパク質(BFP)をコードするORFを挟む2つの独特な異種特異的リコンビナーゼ部位FRT及びF3を含む。FRT部位の5'側にはEF1aプロモーターがコードされ、F15部位の3'側にはSV40ポリアデニル化シグナルターミネーターがコードされていた。
本実施例は、異種特異的リコンビナーゼ部位F14及びF15を含み、よって成分Bにマッチする成分C遺伝子ドナーベクターを使用する。2つの独立成分C'を成分Cから作製した。ここで、1つのベクター(V4.H.5)は、F14/F15部位間に、コザック配列、開始コドン及びHLA-A*02:01をコードするaAPX ORFを含み、第2のベクター(V4.H.6)は、F14/F15部位間に、コザック配列、開始コドン及びHLA-A*24:02をコードするaAPX ORFを含む。
【0135】
eAPC(ACL-402)を、エレクトロポレーションにより、RMCEリコンビナーゼ酵素の発現をコードするベクター(Flp、V4.1.8)及びV4.H.5又はV4.H.6のいずれかの各成分C'と独立して組み合わせた。細胞を4~10日間培養した。その後、細胞を選択し、組込みの選択マーカーRFPの喪失及び細胞表面でのHLAIの獲得に基いて選別した。その後、より成長した個
々のモノクローン株を特徴付け、確証し、HLAI表面発現の獲得及びRFP蛍光の喪失(成分BのB'への予想された変換が生じたことを示す)に基いて選択した。選択されたeAPC-pモノクローンACL-900(V4.H.5、HLA-A*02:01)及びACL-963(V4.H.6、HLA-A*24:02)は、親のACL-402細胞株と比較してRFPについてネガティブであり、HLAI表面発現を維持する(図43a)。
更に、両モノクローンはBFP組込みの選択マーカーの発現を保持し、このことから、成分Dは成分B組込みカップル事象とカップリングされておらず、隔離されていることが示される。eAPC-pモノクローンを更に特徴付けるため、ゲノムDNAを細胞から抽出し、成分C'と成分Bとの間での組込みカップル(成分B'を生じる)の確証を、成分B'に特異的なPCR産物の検出により行った(図43b,表5は遺伝子型決定に用いたプライマーを列挙する)。ゲノム受容部位に隣接する領域を標的するプライマー(プライマーID 8.B.3)及び組込みカップル事象内の領域を標的するプライマー(プライマーID 15.H.2)を設計した。特異的組込みの場合にのみ増幅が生じ、コントロールの組換え(ACL-3)からもオフターゲット組換えからも産物は生成しなかった。
まとめると、本実施例は、多成分システムを用いての、eAPCのeAPC-pへの変換の2つの具体例を証明する。ここでは、2つの異なるaAPXは個々に送達され(成分C')、単一ゲノム受容部位(成分B)にRMCEゲノム組込み法により組み込まれた後、2つの別個のeAPC-pを含む限定的なライブラリーが作製される。更に、第2のゲノム受容部位(成分D)は隔離されており、成分B/成分C'組込みカップルにより影響されないことが示された。
【0136】
実施例9:eAPC-pから一工程で構築され、成分D'が単一被分析物抗原分子(aAM)ORFをコードするeAPC-pa
本実施例は、親のeAPC-p(実施例8に記載)から複数のeAPC-paを並行して構築する方法を記載する。ここでは、ゲノム受容部位(成分D)は、プライムされた遺伝子ドナーベクター(aAMをコードする単一ORFを含んでなる成分E')による組込みについて標的される。
本実施例では、用いた親のeAPC-p株は、成分B'に組み込まれている単一aAPX(HLA-A*02:01)を発現するACL-900であった(実施例8に記載)。eAPC-p 成分Dは、開いたままであり、選択マーカー青色蛍光タンパク質(BFP)をコードするORFを挟む2つの独特な異種特異的リコンビナーゼ部位FRT及びF3を含む。FRT部位の5'側にはEF1aプロモーターがコードされ、F15部位の3'側にはSV40ポリアデニル化シグナルターミネーターがコードされていた。本実施例では、遺伝子ドナーベクター 成分Eを用い、これは2つの異種特異的リコンビナーゼ部位F14及びF15を含み、よって成分Dにマッチしていた。本実施例では、成分Eを、HCMVpp28(V9.E.6)、HCMVpp52(V9.E.7)又はHCMVpp65(V9.E.8)(これらは各々C末端にc-mycタグをコードする)から選択される1つの興味対象のaAM ORFで更にプライムした。更に、各成分E'は、aAM ORFの直ぐ5'側にコザック配列及び開始コドンを更に含む。よって、3つのベクターを含む成分E'の小さな別個のライブラリーが作製された。
【0137】
eAPC-p(ACL-900、実施例8)を、RMCEリコンビナーゼ酵素(Flp、V4.1.8)及びV9.E.6、V9.E.7又はV9.E.8の各成分E'の発現をコードするベクターとエレクトロポレーションにより独立して組み合わせた。組込みカップルが生じさせるため、細胞を4~10日間インキュベートした後、個々のeAPC-paを選択し、単一細胞(モノクローン)を、成分Dによりコードされる組込みの選択マーカーBFPのシグナル低下に基いて選択した(図44a)。その後、より成長した個々のモノクローンeAPC-pa、ACL-1219(pp28)、ACL-1227(pp52)及びACL-1233(pp65)を特徴付け、確証し、BFP発現の喪失及び維持されたHLAIの表面発現(このことは、成分DのD'への予想された変換が生じたことを示す)に基いて選択した(成分B'にaAPX)(図44b)。更に、維持されたaAPXの表面発現は、成分B'が成分Dと成分E'との間の組込みカップル事象により影響されず、同事象から隔離されていることを示した。選択されたeAPC-paモノクローンを更に特徴付けるため、ゲノムDNAを抽出し、成分E'と成分Dとの間の組込みカップル(成分D'を生じる)の確証を、成分D'に特異的なポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アプリコン産物の検出により行った。図44cに、3つのeAPC-paの各々2つのモノクローンを示す。ここでは、aAM ORF pp28(0.8kb)、pp52(1.5kb)及びpp65(1.9kb)について、予想サイズのアプリコン産物が観察され、予想された組込み事象が生じたことが更に確証される。
まとめると、本実施例は、多成分システムを用いての、eAPC-pのeAPC-paへの変換の3つの具体例を証明する。ここでは、3つの異なるaAMは個々に送達され(成分E')、単一ゲノム受容部位(成分D)にRMCEゲノム組込み法により組み込まれた後、3つの異なるaAM ORFを有する3つの別個のeAPC-paの小さなライブラリーが作製される。更に、積載された第2のゲノム受容部位(成分B')は隔離されており、成分D/成分E'組込みカップルにより影響されないことが示された。
【0138】
実施例10:プールされたeAPC-pライブラリーを単一工程で作製するための複数の被分析物抗原分子ORFのeAPC-pへのショットガン組込み
本実施例では、複数のaAM ORF(HCMVpp28、HCMVpp52及びHCMVpp65)をまとめてコードするプライムされた成分Eベクター(成分E')のプールを単一工程で親のeAPC-p(実施例8に記載)に組み込んで、プールされたeAPC-pライブラリーを作製する方法を記載する。ここでは、各個の細胞には、元のベクタープールに由来する単一ランダム被分析物抗原ORFが成分D'で組み込まれる結果、各々のeAPC-paは単一ランダムaAMを発現するが、eAPC-paのプールされたライブラリーは、集団として、元のプールされたベクターライブラリーにコードされていたaAM ORFの全てを表す。各々がベクタープールに由来する単一ランダムORFを発現するeAPC-paのプールを作製するこの方法は、ショットガン組込みと呼ばれる。
本実施例では、用いた親のeAPC-p株は、aAPX(HLA-A*02:01)を細胞表面に発現するACL-905であり(細胞株の構築は実施例8に記載)、成分D及び成分E'は実施例9に記載のとおりであった。本実施例では、それぞれHCMVpp28、HCMVpp52及びHCMVpp65をコードするaAM ORFを含む実施例9の個々の成分E'ベクターV9.E.6、V9.E.7及びV9.E.8を一緒にモル比1:1:1で混合してベクタープールを作製した。eAPC-p(ACL-905)を、ベクタープール及びRMCEリコンビナーゼ酵素の発現をコードするベクター(Flp、V4.1.8)とエレクトロポレーションにより組み合わせた。細胞を4~10日間インキュベートした後、成分Dによりコードされる組込みの選択マーカーBFPのシグナル低下に基いて細胞をバルク選別し(図45a)、プールされた細胞集団ACL-1050を作製した(図45b)。
【0139】
eAPC-paプールACL-1050が、各々がHCMVpp28、HCMVpp52又はHCMVpp65の1つを成分D'にコードするeAPC-paの混合物で構成されることを確証するため、個々の細胞をポリクローナル集団から単一細胞に選別し、遺伝子特徴決定のための12の細胞をランダムに選択した。成分D'の増幅を、各aAMに亘るプライマーを用いて行った(表5、図45c)。図45cに、12細胞について生成されたアプリコンをコントロールと共に示す。ここで、12細胞全てについて、aAM ORF pp28(0.8kb)、pp52(1.5kb)及びpp65(1.9kb)の1つについての予想サイズと一致する単一アプリコン産物が観察された。更に、各aAM ORFが少なくとも1回同定された。このことから、eAPC-paプールは、プール中の各eAPC-paが元の3つのベクターのプールの単一ランダムaAM ORFを組み込まれているeAPC-paの混合物で構成されることが示される。
結論として、本実施例は、eAPC-pを、3つの異なる被分析物抗原分子をコードする3つのベクター(成分E')のプールされたライブラリーと組み合わせ、RMCEベースのショットガン組込みアプローチを利用することによる、eAPC-pのeAPC-paのプールされたライブラリーへの単一工程での変換のための多成分システムの使用を証明する。更に、本実施例により、作製されたeAPC-paプール中の各eAPC-paは、元のベクタープールからの単一ランダムaAM ORFが成分Dと成分E'との間の組込みカップル事象により組み込まれていること及び3つ全てのaAM ORFが作製されたプールされたeAPC-pライブラリー内に表されることが証明される。
【0140】
実施例11:初代CD8細胞の、eAPC-paにより誘導される抗原特異的増殖に関する2つのeAPC:Tシステムの証明
本実施例は、2つの異なるeAPC:Tシステムの編成及び使用を記載する。ここで、第1のシステムは、eAPC-p、外因性に提供されるaAM(eAPC-pにより提示されるaAPX:aAMを生じる)及び被分析物 初代T細胞(被分析物TC)で構成され、第2のシステムは、aAPX:aAMを提示するeAPC-pa及び被分析物 初代T細胞(被分析物TC)で構成される。eAPC:Tシステムを用いて、被分析物抗原(aAPX:aAM)に対する応答を可能にするTCRを保有する被分析物TCを、分析物TCの増殖及び成長の検出により同定し選択した。
本実施例では、CD8+ T細胞集団からの抗原-特異的CD8+ T細胞の誘導された増殖をモニターした。ここで、aAPXはHLA-A*02:01(HLAクラスI)であり、aAMはペプチドNLVPMVATVである。eAPC-pで構成されるシステムにおいて、aAMは外因性に提供され、eAPC-paで構成されるシステムにおいて、aAMは、組み込まれた被分析物抗原ORF(HCMVpp65)から天然にプロセスされる。用いた細胞株は、それぞれ実施例8及び9に記載されるeAPC-p(ACL-191)及びeAPC-pa(ACL-390)である。被分析物TC CD8+ T細胞を、「材料及び方法」に記載したように、NLVPMVATVペプチドに特異的なCD8+ T細胞を有することが知られている健常血液ドナーから単離した。
第1のeAPC:Tシステムにおいて、「材料及び方法」に記載したように、eAPC-p(ACL-191)を、ペプチド濃度1μMの外因性NLVPMVATV(配列番号3)ペプチドで4時間パルスした。次いで、eAPC:Tシステムを、パルスしたeAPC-p細胞と被分析物TC(バルク選別されたCD8+ T細胞)とを組み合わせて、標準条件下で共培養することにより編成した。9日間の共培養後、細胞を、被分析物抗原と被分析物TCRとの間で協調的複合体を形成した細胞について、CMV-A.0201-NLVPテトラマー(可溶性反応剤としてのaAPX:aAM)での特異的染色により分析して、抗原-特異的T細胞の増殖をフローサイトメトリーにより検出した。非パルスACL-191細胞(aAMなし)又はパルスしたHLAヌルACL-128(aAPXなし)細胞又は非パルスHLAヌルACL-128細胞(aAPX:aAMなし)を含むeAPC:Tシステムと比較した。NLVPMVATV(配列番号3)ペプチドに特異的であるとHLA-A*02:01-NLVPテトラマー染色により確証された被分析物TC(CD8+ T細胞)の有意な増殖が、NLVPMVATVでパルスされたeAPC-p細胞を含むeAPC:Tシステムにおいてのみ観察された(図46a)。
【0141】
第2のeAPC:Tシステムを、eAPC-pa(ACL-390)細胞と被分析物TC(バルク選別されたCD8+ T細胞)とを組み合わせて標準条件下で共培養することにより編成した(材料及び方法を参照)。第1のシステムを用いた場合と同様に、共培養細胞を採集し、被分析物抗原及び被分析物TCRにより誘導された細胞について、CMV-A.0201-NLVPテトラマー(可溶性反応剤としてのaAPX:aAM)での特異的染色により分析した。図46bは、pp65 ORF(aAM)及びaAPX(HLA-A*02:01)を安定発現し、よってaAPX:aAMを提示するeAPC-pa(ACL-390)細胞と共培養した初代CD8+ T細胞の抗原-特異的増殖を証明する。pp65 ORFの安定発現を有する及び有しないeAPC-p(ACL-191)細胞及びHLAヌルACL-128細胞を含む2つの他のeAPC:Tシステムと比較した。eAPC-paにより提示されるaAPX:aAMに特異的なCD8+ T細胞の増殖は、eAPC-pa(ACL-390)を含むeAPC:Tシステムにおいてのみ、CMV-A.0201-NLVPテトラマー染色により同定された。
まとめると、本実施例は、提示された被分析物抗原(aAPX:aAM)によるT細胞刺激を可能にする被分析物TCRを有する被分析物TCの同定及び選択のための、被分析物TC(CD8+ T細胞)を選択的に増殖させ得る編成されたeAPC-TシステムにおけるeAPC-p及びeAPC-pa細胞の使用を証明する。更に、2つのeAPC:Tシステムは、異なる形態のaAPX:aAMの使用を証明し、ここで、1つのシステムでは、aAMは外因性に提供され、第2のシステムでは、aAMは、eAPC-paの発現された組込み被分析物抗原ORFから、天然型細胞機構によるプロセシングにより提供される。
【0142】
実施例12:初代CD4細胞の、eAPC-paにより誘導される抗原-特異的増殖に関するeAPC:Tシステムの証明
本実施例は、eAPC:Tシステムの編成及び使用を記載する。ここで、このシステムは、eAPC-p、外因性に提供されるaAM(eAPC-pにより提示されるaAPX:aAMを生じる)及び被分析物 初代T細胞(被分析物TC)で構成される。eAPC:Tシステムを用いて、被分析物抗原(aAPX:aAM)に対する応答を可能にするTCRを保有する被分析物TC及び被分析物TCRを、特定の被分析物TCの増殖及び成長の検出により同定し選択した。
本実施例では、特定のaAPX:AM(aAPXはHLA-DRB1*01:01(HLAクラスII)であり、aAMはペプチドPKYVKQNTLKLAT(配列番号1)である)による、CD4+ T細胞集団からの抗原-特異的CD4+ T細胞の誘導された増殖は、外因性に提供された。用いた細胞株は、実施例8及び9に記載のものと類似する様式で構築したeAPC-p(ACL-341)であった。被分析物TC CD4+ T細胞を、「材料及び方法」の項に記載したように、PKYVKQNTLKLATペプチドに特異的なCD4+ T細胞を有することが知られている健常血液ドナーから単離した。
【0143】
本実施例では、eAPC-p(ACL-341)を、「材料及び方法」の項に記載したように、ペプチド濃度1μMの外因性PKYVKQNTLKLAT(配列番号1)ペプチドで2時間パルスした。eAPC:Tシステムを、パルスしたeAPC-p細胞と被分析物TC(バルク選別されたCD4+ T細胞)とを組み合わせて標準条件下で共培養することにより編成した。7日間の共培養後、細胞を分析した。提示されたaAPX:aAMにより誘導される細胞について、INFL-DRB1*01:01-PKYVテトラマー(可溶性反応剤としてのaAPX:aAM)での特異的染色により分析して、抗原-特異的T細胞の増殖をフローサイトメトリーにより検出した。非パルスACL-341細胞(aAPX:CM)を含むeAPC:Tシステムと比較した。PKYVKQNTLKLAT(配列番号1)ペプチドに特異的であるとCMV-A.0201-NLVPテトラマー染色により確証された被分析物TC(CD4+ T細胞)の有意な増殖が、PKYVKQNTLKLATでパルスされたeAPC-p細胞を含むeAPC:Tシステムにおいてのみ観察された(図47)。
結論として、本実施例は、提示された被分析物抗原(aAPX:aAM)と協調的複合体を形成する被分析物TCRを有する被分析物TCの同定及び選択のための、被分析物TC(CD4+ T細胞)を選択的に増殖させ得るeAPC:Tシステムに編成されたHLAクラスIIベースのeAPC-pの使用を証明する。
【0144】
実施例13:共培養された初代CD8細胞による、eAPC-paにより誘導される抗原-特異的細胞毒性作用に関するeAPC:Tの証明
本実施例は、2つの異なるeAPC:Tシステムの編成及び使用を記載する。ここで、第1のシステムは、eAPC-p、外因性に提供されるaAM(eAPC-pにより提示されるaAPX:aAMを生じる)及び被分析物 初代T細胞(被分析物TC)で構成され、第2のシステムは、aAPX:aAMを提示するeAPC-pa及び被分析物 初代T細胞(被分析物TC)で構成される。eAPC:Tシステムを用いて、提示された被分析物抗原(aAPX:aAM)に関する被分析物TCの特異性を、被分析物TCによるeAPC-p又は-paに対する細胞毒性作用の検出により確証した。
本実施例では、CD8+ T細胞集団に由来し、被分析物TCRとaAPX:AMとの間で協調的複合体を形成する抗原-特異的CD8+ T細胞の細胞毒性作用を証明する。ここで、aAPXはHLA-A*02:01(HLAクラスI)であり、aAMはペプチドNLVPMVATV(配列番号3)である。eAPC-pで構成されるシステムにおいて、aAMは外因性に提供され、eAPC-paで構成されるシステムにおいて、aAMは、組み込まれた被分析物抗原ORF(HCMVpp65)から天然にプロセスされる。用いた細胞株は、それぞれ実施例8及び9に記載されるeAPC-p(ACL-191)及びeAPC-pa(ACL-390)である。被分析物TC CD8+ T細胞を、「材料及び方法」に記載したように、NLVPMVATVペプチドに特異的なCD8+ T細胞を有することが知られている健常血液ドナーから単離した。
第1のeAPC:Tシステムにおいて、「材料及び方法」に記載したように、eAPC-p(ACL-191)を、ペプチド濃度1μMの外因性NLVPMVATVペプチドで2時間パルスした。次いで、eAPC:Tシステムを、パルスしたeAPC-p細胞と被分析物TC(バルク選別されたCD8+ T細胞)とを組み合わせて、標準条件下で共培養することにより編成した。共培養細胞を、被分析物抗原と被分析物TCRとの協調的複合体について、アネキシンV及びPI染色並びにフローサイトメトリーによりeAPC-p細胞の殺傷を評価することによって分析した。パルスしたHLAヌルACL-128細胞(aAPXなし)又は非パルスHLAヌルACL-128細胞(aAPX:aAMなし)を含むeAPC:Tシステムと比較した。被分析物TC(CD8+ T細胞)による有意な細胞毒性作用は、NLVPMVATVでパルスしたeAPC-p細胞を含むeAPC:Tシステムにおいてのみ確証される(図48a)。
【0145】
第2のeAPC:Tシステムを、eAPC-pa(ACL-390)細胞と被分析物TC(バルク選別されたCD8+ T細胞)とを組み合わせて標準条件下で共培養することにより編成した。第1のシステムを用いた場合と同様に、共培養細胞を採集し、被分析物抗原と被分析物TCRとの協調的複合体について、アネキシンV及びPI染色並びにフローサイトメトリーによりeAPC-pa細胞の殺傷を評価することによって分析した。図48bは、pp65 ORF(aAM、成分D')及びaAPX(HLA-A*02:01、成分B')の安定発現を有し、よってaAPX:aAMを提示するeAPC-pa(ACL-390)細胞と共培養した初代CD8+ T細胞の抗原-特異的細胞毒性作用を証明する。pp65 ORF(aAMなし)の安定発現を有しないeAPC-p(ACL-191)細胞及びHLAヌルACL-128細胞(aAPX:aAMなし)を含む2つの他のeAPC:Tシステムと比較した。eAPC-paにより提示されるaAPX:aAMに特異的なCD8+ T細胞の抗原-特異的細胞毒性作用は、eAPC-pa(ACL-390)を含むeAPC:Tシステムにおいてのみ観察された。
結論として、本実施例は、提示された被分析物抗原(aAPX:aAM)と協調的複合体を形成する被分析物TCRを有する被分析物TCの同定及び選択のための、被分析物TC(CD8+ T細胞)による細胞毒性作用を選択的に誘導し得る編成されたeAPC-TシステムにおけるeAPC-p及びeAPC-pa細胞の使用を証明する。更に、2つのeAPC:Tシステムは、異なる形態のaAPX:aAMの使用を証明し、ここで、1つのシステムでは、aAMは外因性に提供され、第2のシステムでは、aAMは、eAPC-paの発現された組込み被分析物抗原ORFから、天然型細胞機構によるプロセシングにより提供される。
【0146】
実施例14:eAPC-pに積載されたaAMの、質量分析による同定
本実施例は、外因性被分析物抗原分子(aAM)を投与したeAPC-pの使用を記載する。ここで、aAPX:aAM複合体はその後、金属親和性クロマトグラフィーより捕捉され、aAM積荷は質量分析により同定される。このことにより、aAPX:aAMがaAMを含むこと、すなわち、抗原性ペプチドのHLA-制限提示が同定される。
本実施例は、実施例8のeAPC-p細胞株を使用する。ここで、eAPC-pは成分B'にaAPXが組み込まれている(ACL-900(HLA-A*02:01)及びACL-963(HLA-A*24:02))。aAPX ORFは、C末端に、金属親和性クロマトグラフィーによる捕捉のための6×ヒスチジンタグもコードする。eAPC-pを外因性aAMと組み合わせて、濃度1μMのペプチドで2時間パルスした。ここで、ペプチドとして以下のaAMの1つからなる4つの別個のパルスを行った:NLVPMVATV(APD-2、配列番号3)、NLGPMAAGV(APD-21、配列番号4)若しくはVYALPLKML(APD-11、配列番号5)又はペプチドなし。
パルス後、「材料及び方法」に記載したとおりに、eAPC-pを採集し、溶解して、その後、aAPX:aAMを金属親和性クロマトグラフィーにより捕捉した。捕捉後、ペプチド(aAM及びCM)を、aAPXから単離し、酸洗浄し濾過した。その後、ペプチド画分を液体抽出及び有機相の除去に供し、続いて、固相抽出し、ペプチド画分の同定のための質量分析に供した。
【0147】
図49は、異なるeAPC-p/aAMパルスの組合せの質量分析結果をまとめた表を示す。結果は、ペプチドNLVPMVATV及びVYALPLKMLがそれぞれaAPX HLA-A*02:01及びaAPX HLA-A*24:01と結合して複合体を形成する一方、aAPX:aAMの他の全ての組合せは、検出可能なaAPX:aM複合体を形成しないことを示している。これら結果は、3つのペプチドの既知のペプチド-HLA結合親和性と一致している。
結論として、本実施例は、eAPC-pが、aAPX:aAMの捕捉によるaAMとaAPXとの選択的結合を同定するため、及びその後の、質量分析による同定のためのaAMの放出及び富化に使用できることを証明する。したがって、このことは、被分析物抗原性分子のHLA-制限提示を決定するために、eAPC-pを使用できることを証明する。
【0148】
SEQUENCE LISTING

<110> Genovie AB

<120> An Engineered Multi-component System for Identification and Characterisation of T-cell receptors and T-cell antigens

<130> P018243PCT1

<160> 72

<170> BiSSAP 1.3

<210> 1
<223> Analyte Antigenic Molecule

<210> 2
<223> Analyte Antigenic Molecule

<210> 3
<223> Analyte Antigenic Molecule, APD-2

<210> 4
<223> Analyte Antigenic Molecule, APD-21

<210> 5
<223> Analyte Antigenic Molecule, APD-11

<210> 6
<223> V1.A.4 pcDNA3.1_GFP

<210> 7
<223> SpCas9-2A-GFP Vector V1.A.8

<210> 8
<223> pMA-SV40pA vector V1.C.2

<210> 9
<223> HLA-A 02:01 6xHis + Exon2/3-HA-L+R vector V1.C.6

<210> 10
<223> HLA-B 35:01 6xHis + Exon2/3-HA-L+R vector V1.C.9

<210> 11
<223> AAVS1-S_A24_6xH vector V1.F.8

<210> 12
<223> AAVS1-L_B07_6xH vector V1.F.10

<210> 13
<223> AAVS1-l_GFP_HCMVpp65_WT vector V1.G.10

<210> 14
<223> AAVS1-l_GFP_HCMVpp65 ANET vector V1.G.9

<210> 15
<223> AAVS1-l_GFP_HCMVpp65 AIN vector V1.H.1

<210> 16
<223> AAVS1_DRA_Flag-DRB1_6xHis vector V1.I.5

<210> 17
<223> AAVS1_DPA1_Flag-DPB1_6xHis vector V1.I.7

<210> 18
<223> HLA-A-sg-sp-opti1 vector V2.A.1

<210> 19
<223> HLA-B-sg-sp-3 vector V2.A.7

<210> 20
<223> HLA-C-sg-sp-4 vector V2.B.3

<210> 21
<223> HLA-A-ex2-3_sg-sp-opti_1 vector V2.I.10

<210> 22
<223> HLA-A-ex2-3_sg-sp-opti_2 vector V2.J.1

<210> 23
<223> AAVSI_sg-sp-opti_3 vector V2.J.6

<210> 24
<223> AAVS_Efla-intron_F14_RFPnls_F15 vector V4.B.2

<210> 25
<223> AAVS_Efla-intron_FRT_BFPnls_F3 vector V4.B.3

<210> 26
<223> pMA_FRT_HLA-A*02:01-6xHis_F3 vector V4.D.2

<210> 27
<223> pMA_F14_HLA-A*02:01-6xHis_F15 vector V4.H.5

<210> 28
<223> pMA_F14_HLA-A*24:02-6xHis_F15 vector V4.H.6

<210> 29
<223> pMA_F14_HLA-B*07:02-6xHis_F15 vector V4.H.7

<210> 30
<223> pMA_F14_HLA-B*35:01-6xHis_F15 vector V4.H.8

<210> 31
<223> CMVpro_FLP_Sv40pA_V2 vector V4.1.8

<210> 32
<223> FRT_HCMVpp28-3xMYC_F3 vector V9.E.6

<210> 33
<223> FRT_HCMVpp52-3xMYC_F3 vector V9.E.7

<210> 34
<223> FRT_HCMVpp52-3xMYC_F3 vector V9.E.8

<210> 35
<223> pMA-sv40_OE_F1 primer 1.C.2

<210> 36
<223> pMA-sv40_OE_R1 primer 1.C.3

<210> 37
<223> HLA-A-GT-Rg3 primer 4.A.3 1

<210> 38
<223> HLA-A-GT-Fg2 primer 4.A.4

<210> 39
<223> HLA-B-GT-Fg2 primer 4.A.7

<210> 40
<223> HLA-B-GT-Rg2 primer 4.B.1

<210> 41
<223> HLA-C-GT-Fg2 primer 4.B.5

<210> 42
<223> HLA-A-02_GT_Rg4 primer 4.I.9

<210> 43
<223> HLA-A-Exon3_HA-RE-BglII_F1 primer 6.I.9

<210> 44
<223> HLA-C-04-GT-Rg1 primer 8.A.1

<210> 45
<223> CMV-pA-HLA-Ex3_Probe_F1 primer 8.B.2

<210> 46
<223> CMV-pro_GT_R1 primer 9.C.3

<210> 47
<223> sv40pA_GT_F1 primer 9.C.4

<210> 48
<223> AAVS1_GT_F1 primer 9.C.5

<210> 49
<223> AAVS1_GT_F3 primer 9.C.7

<210> 50
<223> AAVS1_GT_F4 primer 9.C.8

<210> 51
<223> AAVS1_GT_R2 primer 9.C.10

<210> 52
<223> AAVS1_GT_R3 primer 9.D.1

<210> 53
<223> AAVS1_GT_R4 primer 9.D.2

<210> 54
<223> HLA-A-intron4_GT_R1 primer 9.D.6

<210> 55
<223> sv40pA-GT primer 9.D.7

<210> 56
<223> sv40pA-AAVS1-probe-FAM-F1 primer 9.J.2

<210> 57
<223> TRAC_TCRA-ex1_R1 primer 10.A.9

<210> 58
<223> TRAC_TCRA-promoter_F1 primer 10.A.10

<210> 59
<223> TRAC_probe (HEX) primer 10.B.6

<210> 60
<223> Pan-HLA_GT_F1 primer 8.B.3

<210> 61
<223> SV40pA_GT_R1 primer 15.H.2

<210> 62
<223> 3xMyc_OE_R1 primer 10.C.4

<210> 63
<223> CtermCysLink_OE_R1 primer 10.D.1

<210> 64
<223> Ef1a_intron_GT_F2 primer 15.H.4

<210> 65
<223> HCMVpp65_GT_F2ddPCR primer/probe 21.I.1

<210> 66
<223> HCMVpp28_GT_F1 ddPCR primer/probe 21.I.2

<210> 67
<223> HCMVpp52_GT_F1 ddPCR primer/probe 21.I.3

<210> 68
<223> Myc-Tag_GT_R1 ddPCR primer/probe 20.H.10

<210> 69
<223> Linker-Myc_Probe_Fam ddPCR primer/probe 20.H.9

<210> 70
<223> TRAC-TCRA-ex1-F1 ddPCR primer/probe 10.A.9

<210> 71
<223> TRAC-TCRA-ex1-F1 ddPCR primer/probe

<210> 72
<223> TRAC-probe (HEX) ddPCR primer/probe
【0149】
略語リスト
aAPX 被分析物抗原提示複合体
aAM 被分析物抗原性分子
APC 抗原提示細胞
APX 抗原提示複合体
BFP 青色蛍光タンパク質
CAR-T CAR T細胞
CM 積荷分子
CRISPR クラスター化した規則配置性短パリンドローム配列反復
gRNA Cas9ガイドRNA
【0150】
CAR キメラ抗原レセプター
CDR 相補性決定領域
C領域 定常領域
CMV サイトメガロウイルス
DAMPS 危険関連分子パターン
DC 樹状細胞
DNA デオキシリボ核酸
D領域 多様性領域
eAPC 遺伝子操作された抗原提示細胞
eAPC-p 被分析物抗原提示複合体を提示する遺伝子操作された抗原提示細胞
【0151】
eAPC-pa 被分析物抗原提示複合体及び被分析物抗原性分子を提示する遺伝子操作された抗原提示細胞
eAPC-a 被分析物抗原性分子を発現する遺伝子操作された抗原提示細胞
eAPC:T 被分析物eAPCが被分析物TCRと組み合わされているeAPC:TCRシステム
FACS 蛍光活性化細胞選別
GEM T細胞 生殖系列によりコードされるミコリル反応性T細胞
GFP 緑色蛍光タンパク質
HLAI HLAクラスI
HLAII HLAクラスII
HDR 相同性指向組換え
HLA ヒト白血球抗原
IgSF イムノグロブリンスーパーファミリー
【0152】
IRES 内部リボソーム進入部位
iNK T細胞 インバリアントナチュラルキラーT細胞
J領域 連結領域
MACS 磁性活性化細胞選別
MAGE メラノーマ関連抗原
MAIT 粘膜関連インバリアントT
NCBP 非細胞ベース粒子
ORF オープンリーディングフレーム
PAMPS 病原体関連分子パターン
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
【0153】
RMCE リコンビナーゼ媒介カセット交換
RFP 赤色蛍光タンパク質
DNA リボ核酸
SH2 Src相同性2
T細胞 Tリンパ球
TC TCR又はTCR模擬親和性反応剤を提示する細胞
TCR T細胞レセプター
TRA TCRα
TRB TCRβ
TRD TCRδ
【0154】
TCRsp CD3と複合体化したTCR表面タンパク質
TALEN 転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ
TRG TRCγ
TAA 腫瘍関連抗原
V領域 可変領域
β2M β2-ミクログロブリン
ZAP-70 70kDaのζ-鎖関連タンパク質
【0155】
定義
相補TCR鎖の対:翻訳されたタンパク質がTCR提示細胞の表面でTCRspを形成できる2つのTCR鎖。
親和性:2又は3以上の分子又はタンパク質の間の相互作用の動的又は平衡パラメータ
親和性反応剤:被分析物に関して特異的親和性を有するように設計された任意の反応剤。HLA-抗原複合体に関する親和性について使用されることがおおい。
アレレ:所与の遺伝子のバリアント形態。
AM:被分析物抗原性分子。一般に、ゲノムDNA及び/又は特定の導入遺伝子配列から細胞により発現されるタンパク質であるが、代謝産物でもあり得る。AMは、細胞で発現され、フラグメントが次いで積荷としてAPXにより又はそれ自体で細胞表面で提示され得る。積荷としてであってもなくても、AMは、次いで、T細胞レセプター保有細胞又は関連する親和性反応剤の標的になり得る。
アンプリコン:PCRを含む様々な方法を用いる人工的増幅の源及び/又は生成物であるDNA又はRNA片。
【0156】
被分析物:組合せシステムにおいて同定及び/又は測定及び/又は照会される興味対象の物質。
被分析物TC:表面に被分析物TCRを提示する被分析物細胞であり、初代T細胞、組換えT細胞又は遺伝子操作TCR提示細胞であり得る。
被分析物TCR:可溶性反応剤、不動化反応剤の形態で提供されるか、NCBPにより提示されるか又は細胞表面に提示されるTCRsp又はTCR模擬親和性反応剤。
抗原:TCRが結合し得、T細胞内で伝達されるシグナルをもたらし、抗原提示複合体により提示されることがおおい任意の分子。
被分析物抗原:集合的に、分析的決定のために抗原を提示する任意の物質を表すeAPC:Tシステム。
抗体:B細胞と呼ばれる免疫系の専門細胞により発現され、2つの鎖を含む親和性分子。B細胞は、一般には自己タンパク質に結合しないが、宿主を脅かす病原体又は毒素に結合して中和することができる、非常に多くの非常に多様なレパートリーの抗体を発現する。天然の又は人工的に遺伝子操作された抗体は親和性反応剤として用いられることがおおい。
APC:抗原提示細胞。細胞表面にAM、APX、APXを保有する細胞。
APX:抗原提示複合体。有核細胞により、ゲノムDNA及び/又は特定の導入遺伝子配列をコードする遺伝子/ORFから細胞表面で発現及び提示されるタンパク質。APXは、ペプチド又はその他の代謝物分子である積荷を提示する。
C領域:定常領域。T細胞レセプターの組立てに用いられる遺伝子セグメントの1つ。c領域は、TCRの多様性を駆動するのではなく、免疫系における全般的機能を規定する別個のセグメントである。
【0157】
積荷積載装置:細胞に見出されるタンパク質又は他の提示される分子から、積荷分子を生成してAPXに積載する細胞性タンパク質セット。
CDR:相補性決定領域。標的結合機能のほとんどを行う、TCR及び抗体の、抗原に面する端部の短い配列。各抗体及びTCRは、6つのCDRを含み、これらは、一般に、多数の多様な標的分子の検出を可能にする、当該分子の最も可変な部分である。
CM:積荷子。抗原提示複合体、例えばHLA I又はHLA IIにより提示されるペプチド又は代謝物。CMは、ゲノムDNAから固有に細胞により発現されるか、培養培地に導入されるか又は特異的に導入された遺伝子配列から発現されることができる。
コピー数:細胞のゲノム内でコードされる規定された配列の存在総数。
細胞遺伝学的:染色体の構造及び機能に関する遺伝学、すなわち細胞の核型の決定。
細胞傷害性/細胞毒性:標的細胞を直接的で特異的に損傷する因子をT細胞が放出するプロセス。
D領域:多様性領域。T細胞レセプターの組立てに用いられる遺伝子セグメントの1つ。各個が、これら領域の多くの異なるバリエーションを有し、そのことにより、各個体は非常に多種類の異なるTCRを有するT細胞で武装することが可能である。
DNA:デオキシリボ核酸。遺伝子及びタンパク質をコードする遺伝物質を形成する分子の化学名称。
eAPC:TCRシステム:一次及び終端出力が得られるように被分析物eAPCが被分析物TCRと組み合わされているeTPC:Tシステム。
内因性:細胞内に起源を発する物質。
【0158】
遺伝子操作された細胞:遺伝子改変によりゲノムが遺伝子操作されている、改変された細胞。
真核生物条件付き調節エレメント:規定された条件下で誘導又は抑制され得る、プロモーターの活性に影響し得るDNA配列
真核生物プロモーター:RNAポリメラーゼ結合部位及び応答エレメントをコードするDNA配列。プロモーター領域の配列は、RNAポリメラーゼ及び転写因子の結合を制御し、したがって、プロモーターは、興味対象の遺伝子がどこでいつ発現されるかを決定する大きな役割を演じる。
真核生物ターミネーター/シグナルターミネーター:RNAポリメラーゼIIと結合して転写終結プロセスの誘引するタンパク質因子により認識されるDNA配列。これは、ポリAシグナルもコードする。
FACS/フローサイトメトリー:蛍光活性化細胞選別。個々の細胞を特異的細胞表面及び細胞内マーカーの発現について分析できる分析技術。この技術の変法である細胞選別は、規定されたマーカーセットを有する細胞を、更なる分析のために回収することを可能にする。
APXのファミリー:抗原提示複合体を構成する機能的に関連するタンパク質をコードする幾つかの類似する遺伝子のセット。
蛍光(タンパク質)マーカー:特異的な消光及び発光の特徴を有し、顕微鏡観察、FACS及び関連技術により検出できる分子。
遺伝子ドナーベクター:遺伝物質をゲノム受容部位に送達するための遺伝子ベースのベクター。
【0159】
ゲノム受容部位:遺伝子ドナーベクター内にコードされるドナー遺伝物質の標的付けられた組込みのためのゲノム内の部位。
異種特異的リコンビナーゼ部位:2つのDNA分子のクロスオーバーを促進するための、リコンビナーゼ酵素により認識されるDNA配列。
HLA I:ヒト白血球抗原クラスI。ヒトにおいて全ての有核細胞で発現される遺伝子。
発現したHLA Iは、細胞表面に輸送されて、そこで、内部タンパク質の短いフラグメント、ペプチドを積荷としてT細胞レセプターに提示する。このように、これは、進行中の感染の可能性のある固有タンパク質のフラグメントを提示する。HLA Iは、加えて、培養培地に加えられるか、導入遺伝子エレメントから発現されたタンパク質から生成されるか又は細胞により取り込まれたタンパク質から生成されるペプチドを積荷として提示できる。HLAクラスI遺伝子は多型であり、これは、異なる個体が、提示におけるバリエーションを導く同一遺伝子におけるバリエーションを有する可能性があることを意味する。HLAクラスIIと関連する。
HLA II:ヒト白血球抗原クラスII。ヒトにおいて適応免疫応答を調和し援助する特定細胞(例えば樹状細胞)で発現される遺伝子。HLAクラスIと関連する。HLAクラスIIタンパク質は、細胞表面に輸送され、そこで、外部タンパク質の短いフラグメント、ペプチドを積荷としてT細胞レセプターに提示する。このように、これは、進行中の感染の可能性のある固有タンパク質のフラグメントを提示する。加えて、HLA IIは、培養培地に加えられるか、導入遺伝子エレメントから発現されたタンパク質から生成されるか又は細胞により取り込まれたタンパク質から生成ペプチドを積荷として提示できる。HLAクラスII遺伝子は、多型であり、これは、異なる個体が、提示におけるバリエーションを導く同一遺伝子におけるバリエーションを有する可能性があることを意味する。
【0160】
相同アーム:相補相同アームとほぼ同一の配列同一性を有し、よって細胞プロセスである相同性指向修復による2つのDNA分子の交換を促進するDNA伸長部。
免疫監視:免疫系が感染、悪性病変又はその他の病原性である可能性のある変化を検出し、それにより活性化されるプロセス。
インスレーター:遺伝子が近傍の遺伝子の活性化又は抑制により影響されることを妨ぐDNA配列。インスレーターは、サイレント化された遺伝子から活発に転写される遺伝子へのヘテロクロマチンの広がりも妨ぐ。
組込み:細胞の染色体へのDNA配列の物理的ライゲーション。
組込みカップル:対をなす組込みベクター及びゲノム受容部位
内部リボソーム進入部位(IRES):転写されると、キャップ非依存様式で翻訳の開始を可能にするRNAエレメントをコードするDNA配列。
J領域:連結領域。T細胞レセプターの組立てに用いられる遺伝子セグメントの1つ。各個体は、これらの領域の多数の異なるバリエーションを有して、各個体が非常に多種類の異なるTCRを有するT細胞で武装できるようにする。
核型:細胞の染色体組成。
コザック配列:翻訳の効率的な開始に必要な短い配列
【0161】
主要HLAクラスI:遺伝子HLA-A、HLA-B及びHLA-Cで構成されるAPXのファミリー。
マッチした(する):2つの成分が、相補成分間の相互作用を導き及び制限する遺伝子エレメントをコードするとき。
メガヌクレアーゼ認識部位:メガヌクレアーゼと一般に呼ばれるエンドデオキシリボヌクレアーゼにより認識されるDNA配列
代謝物:細胞の代謝経路により生成又は改変された分子
可動遺伝子エレメント:トランスポサーゼ酵素の活性を有するDNAの組込みを許容するDNA配列。
モノクローン細胞株:細胞複製の反復により単一始祖細胞から生成される規定された細胞群。
天然型:細胞に天然に生じる物質。
非コーディング遺伝子:機能的非コーディングRNA分子に転写されるタンパク質非コーディングDNA配列。
ORF:オープンリーディングフレーム。リボソームによるタンパク質(ポリペプチド)の合成のための翻訳フレームをコードする遺伝物質伸長部。
パラクリン:近傍細胞に直接作用する可溶性因子によるシグナル伝達。
【0162】
PCR:特定の標的DNA分子が指数関数的に増幅されるポリメラーゼ連鎖反応
ペプチド:6~30アミノ酸長のアミノ酸の短い一続き。
表現型分析:細胞の観察可能な特徴の分析。
多型:同一遺伝子の異なるアレレの存在により、同一種の個体における異なる形態の存在。
ポリペプチド:三次元構造を形成する、一続きのペプチドからなるタンパク質。
一次出力:終端出力を誘導及び/又は決定することができるeAPC細胞、被分析物TC細胞、NCBP又は他の被分析物TCR形態。
プライマー:例えばPCRの間に、標的DNA配列の特異的認識を可能にする短いDNA配列。
プロモーター:遺伝子発現の制御された開始のための調節DNAエレメント。
選択マーカー:人工的選択法に適切な形質を与えるDNA配列。
ショットガン組込み:ベクターのライブラリーが細胞集団に導入されるプロセスであって、このプロセスにより、任意の所与のベクターインサートの単一コピーのみが各単一細胞のゲノムに組み込まれ得る。組込みカップルを介する所与の細胞集団へのプールされたベクターの組込みを言うときに用いる。
【0163】
スプライスアクセプター部位:表面にTCRspを有する細胞又はTCRspベースの反応剤との相互作用のための、イントロンAM、APX CM又は親和性反応剤の3'末端のDNA配列。
スプライスドナー部位:イントロンの5'末端のDNA配列。
合成:人工的に生成又は細胞に導入された物質。
T細胞:Tリンパ球。その表面でT細胞レセプターを発現する白血球。自己と反応しないが、感染及び悪性疾患を認識し、同じ種のほとんどのメンバーからの移植片を拒絶する能力を有するように免疫系により選択される。
TCR:T細胞レセプター。Tリンパ球と呼ばれるリンパ球の亜群により発現される親和性分子。
TCR模擬親和性反応剤:天然のTCRspに模擬する様式で被分析物抗原と相互作用し結合することができるタンパク質又は分子。
TCRsp:CD3と複合体化して表面タンパク質として発現される相補性TCR鎖対、又は可溶性反応剤、不動化反応剤の形態のタンパク質若しくはNCBPにより提示されるタンパク質として発現される相補性TCR鎖対。
終端出力:AM、APX、APX:CM、APX:AM、TCRsp又はTCR模擬親和性反応剤の形態の被分析物抗原及びTCR配列。
【0164】
TRA:TCRαをコードする遺伝子座。VDJ組換えTCR鎖を形成できる遺伝子をコードする4つの異なる遺伝子座のうちの1つ。翻訳されたTCRα鎖タンパク質は、代表的には、翻訳されたTCRβ鎖タンパク質と対合して、α/βTCRspを形成する。
TRB:TCRβをコードする遺伝子座。VDJ組換えTCR鎖を形成できる遺伝子をコードする4つの異なる遺伝子座のうちの1つ。翻訳されたTCRβ鎖タンパク質は、代表的には、TCRα鎖タンパク質と対合して、α/βTCRspを形成する。
TRD:TCRδをコードする遺伝子座。VDJ組換えTCR鎖を形成できる遺伝子をコードする4つの異なる遺伝子座のうちの1つ。翻訳されたTCRδ鎖タンパク質は、代表的には、翻訳されたTCRγ鎖タンパク質と対合して、γ/δTCRspを形成する。
TRG:TCRγをコードする遺伝子座。VDJ組換えTCR鎖を形成できる遺伝子をコードする4つの異なる遺伝子座のうちの1つ。翻訳されたTCRγ鎖タンパク質は、代表的には、転写されたTCRδ鎖タンパク質と対合して、γ/δTCRspを形成する。
V領域:可変領域。T細胞レセプターの組立てに用いられる遺伝子セグメントの1つ。各個が、これら領域の多くの異なるバリエーションを有し、そのことにより、各個体は非常に多種類の異なるTCRを有するT細胞で武装することが可能である。
【0165】
本発明は下記の項目において更に説明される:

項目
1.第1の成分が遺伝子操作された抗原提示細胞(eAPC)(成分Aと呼ぶ)であり、第2の成分が被分析物抗原提示複合体(aAPX)及び/又は被分析物抗原性分子(aAM)をコードする1又は2以上のORFの送達用遺伝子ドナーベクター(成分Cと呼ぶ)である多成分システム。
2.成分Aが
a.aAPX及び/又はaAMの少なくとも1つのファミリーの内因性表面発現を欠き、
b.少なくともaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFの組込みのための少なくとも1つのゲノム組込み部位(成分Bと呼ぶ)を含有する
項目1に記載の多成分システム。
3.成分Cが成分Bにマッチし、成分Cが
a.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF、及び/又は
b.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORF
を送達するように設計されており、前記ORFがBゲノム受容部位に安定的に組み込まれることができ、aAPX及び/又はaAMが発現されるように、a及び/又はbは組込みの選択マーカーをコードしてもしていなくてもよい、項目1又は2に記載の多成分システム。
4.eAPC(成分Aと呼ぶ)とaAPX及び/又はaAMをコードする1又は2以上のORFの送達用遺伝子ドナーベクター(成分Cと呼ぶ)とを含んでなり、成分Aが
a.aAPX及び/又はaAMの少なくとも1つのファミリーの内因性表面発現を欠き、
b.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFの組込みのための少なくとも1つのゲノム組込み部位(成分Bと呼ぶ)を含有し、
成分Cが成分Bにマッチし、成分Cが
c.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF、又は
d.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORF
を送達するように設計されており、前記ORFがBゲノム受容部位に安定的に組み込まれることができ、aAPX及び/又はaAMが発現されるように、c及び/又はdは組込みの選択マーカーをコードしてもしていなくてもよい、項目1~3のいずれか1項に記載の多成分システム。
【0166】
5.成分Aが、少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする1又は2以上のORFの組込みのためのゲノム組込み部位である更なる成分(成分Dと呼ぶ)を含んでなる、項目1~4のいずれか1項に記載の多成分システム。
6.更なる成分(Eと呼ぶ)がDにマッチする遺伝子ベクターであり、成分Eが
a.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF、又は
b.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORF
を送達するように設計されており、前記ORFがDゲノム受容部位に安定的に組み込まれることができ、aAPX及び/又はaAMが発現されるように、a及び/又はbは組込みの選択マーカーをコードしてもしていなくてもよい、項目5に記載の多成分システム。
7.1又は2以上の追加のゲノム受容部位及びマッチング遺伝子ドナーベクターが該システムの追加の成分として追加されている項目1~6のいずれか1項に記載の多成分システム。
8.ゲノム受容部位B及び/又はDを含み、ゲノム受容部位B及び/又はDが
a.リコンビナーゼ媒介カセット交換(RMCE)用に設計された合成構築物
b.部位特異的相同組換え用に設計された合成構築物
c.部位特異的相同組換え用の天然型ゲノム部位
から選択される、項目1~7のいずれか1項に記載の多成分システム。
9.成分AがT細胞共刺激レセプターを発現する、項目1~8のいずれか1項に記載の多成分システム。
【0167】
10.成分AがT細胞共刺激レセプターCD80及び/又はCD83及び/又はCD86を発現する、項目9に記載の多成分システム。
11.aAPXが細胞表面で発現されるように、少なくとも1又は2以上のaAPXをコードする1又は2以上のORFをコードする遺伝物質と共に提供されるとき、成分Aが積荷分子(CM)を積載することができる(aAPX:CMと呼ぶ)、項目1~10のいずれか1項に記載の多成分システム。
12.aAPXが、天然型のプロセシング及び積荷積載機構によりCMを積載することができる、項目11に記載の多成分システム。
13.aAPXがaAMをCMとして積載することができる(aAPX:aAMと呼ぶ)、項目11又は12に記載の多成分システム。
14.aAPXが下記
a.HLAクラスIの1又は2以上のメンバー
b.HLAクラスIIの1又は2以上のメンバー
c.1又は2以上の非HLA抗原提示複合体
d.又は、組合せa、b及び/又はc
のいずれかであってもよい、項目1~13のいずれか1項に記載の多成分システム。
【0168】
15.aAMが
a.被分析物抗原として提供されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
b.被分析物抗原として提供されるポリペプチドに由来するペプチド
c.被分析物抗原として提供されるペプチド
d.被分析物抗原として提供される代謝物
e.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
f.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチドに由来するペプチド
g.成分Aプロテオームの変更に由来するペプチド
h.成分Aプロテオームの変更に由来するポリペプチド
i.成分Aメタボロームの変更に由来する代謝物
及び/又はそれらの組合せから選択される、項目1~14のいずれか1項に記載の多成分システム。
16.成分B及び/又はDを含み、成分B及び/又はDが以下の遺伝子エレメント
a.異種特異的リコンビナーゼ部位
b.相同性アーム
c.真核生物プロモーター
d.真核生物条件付き調節エレメント
e.真核生物ターミネーター
f.選択マーカー
g.スプライスアクセプター部位
h.スプライスドナー部位
i.非タンパク質コーディング遺伝子
j.インスレーター
k.可動遺伝子エレメント
l.メガヌクレアーゼ認識部位
m.内部リボソーム進入部位(IRES)
n.ウイルス性自己切断ペプチドエレメント
o.コザックコンセンサス配列
の少なくとも1つを含んでなる、項目1~15のいずれか1項に記載の多成分システム。
【0169】
17.成分C及び/又はEを含み、成分C及び/又はEが以下の遺伝子エレメント
a.異種特異的リコンビナーゼ部位
b.相同性アーム
c.真核生物プロモーター
d.真核生物条件付き調節エレメント
e.真核生物ターミネーター
f.選択マーカー
g.組込みの選択マーカー
h.スプライスアクセプター部位
i.スプライスドナー部位
j.非タンパク質コーディング遺伝子
k.インスレーター
l.可動遺伝子エレメント
m.メガヌクレアーゼ認識部位
n.内部リボソーム進入部位(IRES)
o.ウイルス性自己切断ペプチドエレメント
p.抗生物質耐性カセット
q.細菌性複製起点
r.酵母複製起点
s.クローニング部位
t.コザックコンセンサス配列
の少なくとも1つを含んでなる、項目1~16のいずれか1項に記載の多成分システム。
18.成分B及び/又はDを含み、成分B及び/又はDが単一ORFのRMCE組込み用であり、下
記:
a.真核生物プロモーター
b.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
c.コザックコンセンサス配列
d.選択マーカー
e.真核生物ターミネーター
を含んでなる、項目1~17のいずれか1項に記載の多成分システム。
【0170】
19.成分B及び/又はDを含み、成分B及び/又はDが、2又は3以上のORFのRMCE組込み用であり、以下の遺伝子エレメント:
a.真核生物プロモーター
b.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
c.2又は3以上のコザックコンセンサス配列
d.選択マーカー
e.真核生物ターミネーター
f.第2の真核生物プロモーター
g.第2の選択マーカー
h.第2の真核生物ターミネーター
を含んでなる、項目1~18のいずれか1項に記載の多成分システム。
20.成分C及び/又はEが存在し、単一ORFのRMCE組込み用であり、以下の遺伝子エレメント:
a.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
b.コザックコンセンサス配列
c.抗生物質耐性カセット
d.細菌性複製起点
e.1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする単一ORFの導入のためのクローニング部位
項目1~19のいずれか1項に記載の多成分システム。
【0171】
21.成分C及び/又はEが存在し、2又は3以上のORFのRMCE組込み用であり、下記:
a.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
b.2又は3以上のコザックコンセンサス配列
c.抗生物質耐性カセット
d.細菌性又は酵母複製起点
e.1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする2又は3以上のORFを真核生物のターミネーターと共に導入するためのクローニング部位
を含んでなる、項目1~20のいずれか1項に記載の多成分システム。
22.成分C及び/又はEが少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFと組み合わされて成分C'及び/又はE'が得られる、項目1~21のいずれか1項に記載の多成分システム。
23.組合せは、成分C'及び/又はE'のライブラリーが得られるよう複数回行われる、項目22に記載の多成分システム。
24.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-pがaAPXを細胞表面で発現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORFを成分B及び/又はDに組み込んで細胞(eAPC-pと呼ぶ)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、項目22又は23に記載の多成分システム。
25.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-aがaAMを細胞表面又は細胞内に発現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAM ORFを成分B及び/又はDに組み込んで細胞(eAPC-a)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、項目22又は23に記載の多成分システム。
【0172】
26.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORF及び/又は1又は2以上のaAMを成分B及び/又はDに組み込んで細胞(eAPC-pa)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、項目22又は23に記載の多成分システム。
27.1若しくは2以上の成分C'又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現するように、成分C'又はE'にコードされる1又は2以上のaAM ORFを成分B又はDに組み込んで細胞(eAPC-pa)を得るために、eAPC-pと組み合わされており、ここで、成分B又はDは成分B'又はD'となる、項目24に記載の多成分システム。
28.1若しくは2以上の成分C'又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現するように、成分C'又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORFを成分B又はDに組み込んで細胞(eAPC-pa)を得るために、eAPC-aと組み合わされており、ここで、成分B又はDは成分B'又はD'となる、項目25に記載の多成分システム。
29.a.成分Aを少なくとも1つの成分C'及び/又はE'と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAPXをコードし、及び、組込み因子と組み合わせること、並びに下記:
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つを含んでなる、項目24に規定するeAPC-pの製造方法。
【0173】
30.b、c及びdを含む項目29に記載の方法。
31.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が項目29の工程aにおける単一aAPXをコードする、項目29又は30に記載の方法。
32.離散的及び規定されたeAPC-pのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の項目29の工程aが、独特なeAPC-pが得られるように、独特なaAPXを用いて行われる、項目31に記載の方法。
33.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、項目29の工程aにおける2又は3以上の独特なaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-pが項目29の工程aに用いるプールから単一aAPXを発現するeAPC-pの混合集団を含んでなる、項目29又は30に記載の方法。
34.a.成分Aを少なくとも1つの成分C'及び/又はE'と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAMをコードし、及び組込み因子と組み合わせること、並びに下記:
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAMの発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つを含んでなる、項目25に規定するeAPC-aの製造方法。
35.b及びdを含む項目34に記載の方法。
【0174】
36.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が項目34の工程aにおける単一aAMをコードする、項目34又は35に記載の方法。
37.離散的及び規定されたeAPC-aのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の項目34の工程aが、独特なeAPC-aが得られるように、独特なaAMを用いて行われる、項目36に記載の方法。
38.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、項目34の工程aにおける2又は3以上の独特なaAMの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-aが項目34の工程aに用いるプールから単一aAMを発現する、eAPC-aの混合集団を含んでなる、項目34又は35に記載の方法。
39.a.eAPC-aと少なくとも1つの成分C'又はE'と組み合わせること、ここで、1若しくは2以上の成分C'又はE'1又は2以上のaAPX ORFをコードし、及び組込み因子と組み合わせること、並びに下記:
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つを含んでなる、項目28に規定するeAPC-paの製造方法。
40.b、c及びdを含む項目39に記載の方法。
41.1若しくは2以上の成分C'又はE'が項目39の工程aにおける単一aAPXをコードする、項目39又は40に記載の方法。
42.離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の項目39の工程aが、独特なeAPC-paが得られるように、独特なaAPXを用いて行われる、項目41に記載の方法。
43.1若しくは2以上の成分C'又はE'が、ライブラリーを得るために、項目39の工程aにおける2又は3以上の独特なaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが項目39の工程aに用いるプールから単一aAPXを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、項目39又は40に記載の方法。
【0175】
44.
a.eAPC-pを少なくとも1つの成分C'又はE'と組み合わせること、ここで、1若しくは2以上の成分C'又はE'は1又は2以上のaAM ORFをコードし、及び組込み因子と組み合わせること、並びに下記:
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAMの発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つを含んでなる、項目27に規定するeAPC-paの製造方法。
45.b及びdを含む項目44に記載の方法。
46.1若しくは2以上の成分C'又はE'が項目44の工程aにおける単一aAMをコードする、項目44又は45に記載の方法。
47.離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の項目44の工程aが、独特なeAPC-paが得られるように、独特なaAMを用いて行われる、項目46に記載の方法。
48.1若しくは2以上の成分C'又はE'が、ライブラリーを得るために、項目44の工程aおける2又は3以上の独特なaAMの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが項目44の工程aに用いるプールから単一aAMを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、項目44又は45に記載の方法。
49.a.EAPCを少なくとも1つの成分C'又はE'と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAM ORF及び1又は2以上のaAPX ORFをコードし、及び組込み因子と組み合わせること、並びに下記:
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAMの発現及び/又は1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つを含んでなる、項目26に規定するeAPC-paの製造方法。
【0176】
50.b、c及びdを含む項目49に記載の方法。
51.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が項目49の工程aにおける単一aAM及び単一aAPXをコードする、項目49又は50に記載の方法。
52.離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の項目49の工程aが、独特なeAPC-paが得られるように、少なくとも1つの独特なaAM及び/又は独特なaAPXを用いて行われる、項目51に記載の方法。
53.1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、項目49の工程aにおける2又は3以上の独特なaAM及び/又は2又は3以上の独特なaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが項目49の工程aに用いるプールから単一aAM及び単一aAPXを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、項目49又は50に記載の方法。
54.下記の特徴決定:
a.発現した被分析物抗原の被分析物親和性反応剤に対する特異性、及び/又は
b.発現した被分析物抗原の被分析物親和性反応剤に対する親和性
c.1又は2以上の被分析物TCRを発現する被分析物細胞(被分析物TC)の発現した被分析物抗原に対するシグナル応答(ここで、被分析物抗原はaAPX:aAM及び/又はaAM及び/又はaAPX及び/又はaAPX:CMから選択され、被分析物eAPCはeAPC-p及び/又はeAPC-a及び/又はeAPC-paから選択される)に用いるための、項目1~28のいずれか1項に記載の多成分システムから得られる被分析物eAPC。
【0177】
55.入力の被分析物eAPC又は被分析物eAPCのライブラリーから1又は2以上の被分析物eAPCを選択して、1又は2以上の被分析物TCRに結合する1又は2以上の被分析物eAPCを得る方法であって、下記
a.1又は2以上の被分析物eAPCを1又は2以上の被分析物TCRと組み合わせて、被分析物eAPCにより提示される被分析物抗原と被分析物TCRとの間の接触を生じさせること
b.形成される場合、1又は2以上の被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体の形成を測定すること、、及び/又は
c.誘導される場合、被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体形成により誘導される1又は2以上の被分析物eAPCのシグナル応答を測定すること、及び/又は
d.誘導される場合、被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCにより発現される1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体形成により誘導される1又は2以上の被分析物TCのシグナル応答を測定すること、及び
e.工程bである1又は2以上の被分析物eAPCを測定すること、ここで、選択はポジティブ及び/又はネガティブ測定によるなされる
を含んでなり、被分析物抗原がaAPX:aAM及び/又はaAM及び/又はaAPX及び/又はaAPX:CMから選択され、被分析物eAPCがeAPC-p及び/又はeAPC-a及び/又はeAPC-paから選択され、被分析物TCRは、以下:可溶性反応剤、非細胞ベースの粒子(NCBP)、細胞表面(TC)により提示される不動化反応剤の少なくとも1つの形態であるTCR鎖対又はTCR-模擬親和性反応剤であり、細胞は、初代T細胞及び/又は組換えT細胞及び/又は遺伝子操作された細胞から選択することができる、方法。
【0178】
56.選択工程が単一細胞選別及び/又はプールへの細胞選別により行われる、項目55に記載の方法。
57.選別が、選別された単一細胞の拡大に先行する、項目56に記載の方法。
58.選別が、選別された細胞プールの拡大に先行する、項目56に記載の方法。
59.選別された及び/又は拡大された細胞の成分B'及び/又は成分D'を配列決定する工程を更に含んでなる項目56~58のいずれか1項に記載の方法。
60.配列決定工程が下記:
a.ゲノムDNAを抽出すること、及び/又は
b.成分B'及び/又は成分D'のRNA転写物を抽出すること、及び/又は
c.成分B'及び/又は成分D'のDNA及び/又はRNA転写物をPCR及び/又はRT-PCRにより増幅すること
に後続する、項目59に記載の方法。
61.配列決定工程が細胞に対して破壊的であり、得られる配列決定情報が項目55の工程eにおいて選択される被分析物eAPCを製造するために用いられる、項目59又は60に記載の方法。
62.選択された被分析物eAPCが親和性分析に付されて、被分析物抗原の被分析物TCRに対する親和性が決定され、下記:
a.選択された被分析物eAPCを、或る範囲の濃度の被分析物TCRで標識すること、
b.工程aの標識された被分析物eAPCについてFACS分析を行うこと、
c.被分析物親和性反応剤の濃度範囲にわたって被分析物eAPCの蛍光標識の強度を決定すること、
d.被分析物抗原の被分析物TCRに対する親和性を算出すること、
を更に含んでなる、項目55、56、57、58、61のいずれか1項に記載の方法。
【0179】
63.工程b~cが標識された参照物を用いて行われ、工程dが被分析物親和性反応剤の蛍光強度 対 参照物の蛍光強度の比を用いて親和性を算出することである、項目62に記載の方法。
64.標識された参照物が、
a.被分析物抗原に対する親和性反応剤で標識された被分析物eAPC
b.標識された参照物被分析物抗原を提示する細胞又は粒子
から選択される、項目63に記載の方法。
65.選択された被分析物eAPCがシグナル応答の特徴決定に付され、下記:
a.天然型シグナル伝達応答を決定すること、及び/又は
b.合成シグナル伝達応答を決定すること
を更に含んでなる項目55、56、57、58、61のいずれか1項に記載の方法。
66.誘導されたシグナル応答が、非誘導シグナル応答状態と比較した下記:
a.分泌された生体分子
b.分泌された化学物質
c.細胞内生体分子
d.細胞内化学物質
e.表面発現された生体分子
f.被分析物eAPCに対する被分析物TCの細胞毒性作用
g.被分析物eAPCに対する被分析物TCのパラクリン作用(ここで、シグナル応答は被分析物eAPCにおいて誘導され、a~eのいずれかの増減の検出により決定される)
h.被分析物TCの増幅
i.被分析物TCと被分析物eAPCとの間での免疫学的シナプス形成
の1又は2以上の増減を検出することにより決定される、項目65に記載の方法。
【0180】
67.入力の被分析物TCR又は被分析物TCRのライブラリー(ここで、被分析物TCRは1又は2以上の被分析物eAPCに結合する)から1又は2以上の被分析物TCRを選択して、被分析物TCRにコードされる一対又は二対以上のTCR鎖の配列を取得し、及び/又は被分析物TCRを取得する方法であって、
a.1又は2以上の被分析物eAPCを1又は2以上の被分析物TCRと組み合わせて、被分析物eAPCにより提示される被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での接触を生じさせること、
b.形成する場合、被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体の形成を測定すること、及び/又は
c.誘導される場合、被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCにより発現される1又は2以上のTCRとの間での複合体形成により誘導される1又は2以上の被分析物TCのシグナル応答を測定すること、及び/又は
d.誘導される場合、被分析物抗原と1又は2以上の被分析物TCRとの間での複合体形成により誘導される1又は2以上の被分析物eAPCのシグナル応答を測定すること、及び
e.工程b、c及び/又はdから1又は2以上の被分析物TCRを選択すること、ここで、選択はポジティブ及び/又はネガティブ測定によるなされる
を含み、被分析物抗原は、aAPX:aAM及び/又はaAM及び/又はaAPX及び/又はaAPX:CMから選択され、被分析物eAPCは、eAPC-p及び/又はeAPC-a及び/又はeAPC-paから選択され、被分析物TCRは、可溶性反応剤又は非細胞ベースの粒子(NCBP)により又は細胞表面(TC)に提示される不動化反応剤の少なくとも1つの形態であるTCR鎖対又はTCR-模擬親和性反応剤であり、細胞は初代T細胞及び/又は組換えT細胞及び/又は遺伝子操作された細胞から選択することができる、方法。
【0181】
68.選択工程が単一細胞選別及び/又はプールへの細胞選別により行われる項目67に記載の方法。
69.選別が選別された単一細胞の拡大に先行する、項目68に記載の方法。
70.選別が選別された細胞プールの拡大に先行する、項目68に記載の方法。
71.選別された及び/又は拡大された細胞の被分析物TCR鎖を配列決定する工程を更に含んでなる項目67~70のいずれか1項に記載の方法。
72.配列決定工程が下記
a.ゲノムDNAを抽出すること、及び/又は
b.被分析物TCR鎖RNA転写物を抽出すること、及び/又は
c.被分析物TCR鎖のDNA及び/又はRNA転写物をPCR及び/又はRT-PCRにより増幅することに後続する、項目71に記載の方法。
73.選択された被分析物TCがシグナル応答の特徴決定付され、下記:
a.天然型シグナル伝達応答を決定すること、及び/又は
b.合成シグナル伝達応答を決定すること
を更に含んでなる項目67、68、69、70のいずれか1項に記載の方法。
【0182】
74.誘導されたシグナル応答が、非誘導シグナル応答状態と比較した下記:
a.分泌された生体分子
b.分泌された化学物質
c.細胞内生体分子
d.細胞内化学物質
e.表面発現された生体分子
f.被分析物eAPCに対する被分析物TCの細胞毒性作用
g.被分析物eAPCに対する被分析物TCのパラクリン作用(ここで、シグナル応答は被分析物eAPCにおいて誘導され、a~eのいずれかの増減の検出により決定される)
h.被分析物TCの増幅
i.被分析物TCと被分析物eAPCとの間での免疫学的シナプス
の1又は2以上の増減を検出することにより決定される、項目73に記載の方法。
75.aAM積荷又はCM積荷を選択及び同定する方法であって、積荷が、被分析物eAPCのaAPXに積載されている代謝物及び/又はペプチドであり、下記:
a.aAPX:aAM若しくはaAPX:CM又は積荷aM若しくは積荷CMを単離すること、及び
b.積載された積荷を同定すること
を含んでなる方法。
【0183】
76.工程bが、単離されたaAPX:aAM又はaAPX:CMを1又は2以上の下記:
a.質量分析
b.ペプチド配列決定分析
に付することを含んでなる、項目75に記載の方法。
77.下記:
a.診断
b.医学
c.美容
d.研究開発
の少なくとも1つに用いるための、項目67~74に規定する方法により選択されたTCR鎖対配列又はTCR鎖対配列のライブラリー。
78.下記:
a.診断
b.医学
c.美容
d.研究開発
の少なくとも1つに用いるための、項目55~66又は75、76に規定する方法により選択された抗原性分子及び/又は前記抗原性分子をコードするORF又はそのライブラリー。
79.下記:
a.診断
b.医学
c.美容
d.研究開発
の少なくとも1つに用いるための、項目55~66又は75、76に規定する方法により選択された、抗原性分子を積荷として積載する抗原提示複合体及び/又は前記複合体をコードするORF又はそのライブラリー。
【0184】
80.下記:
a.診断
b.医学
c.美容
d.研究開発
の少なくとも1つに用いるための、項目55~66に規定する方法により選択されたeAPC又はeAPCのライブラリー。
81.下記:
a.診断
b.医学
c.美容
d.研究開発
の少なくとも1つに用いるための、項目67~74に規定する方法により選択されたTCRを細胞表面にCD3と複合体して発現する細胞又はそのライブラリー。
82.下記:
a.診断
b.医学
c.美容
d.研究開発
の少なくとも1つに用いるための、項目1~28のいずれか1項に記載の多成分システム。
【0185】
83.下記:
a.診断
b.医学
c.美容
d.研究開発
の少なくとも1つに用いるための、項目67~74に規定する方法により選択されたTCR-模擬親和性反応剤配列又はTCR-模擬親和性反応剤配列のライブラリー。
84.下記
a.診断
b.医学
c.美容
の少なくとも1つに用いるための、項目67~74に規定する方法により選択されたTCR対又はTCR-模擬親和性反応剤を有するNCBP又はTCR対又はTCR-模擬親和性反応剤を有するNCBPのライブラリー。
【0186】
SEQUENCE LISTING

<110> Genovie AB

<120> An Engineered Multi-component System for Identification and Characterisation of T-cell receptors and T-cell antigens

<130> P018243PCT1

<160> 72

<170> BiSSAP 1.3

<210> 1
<211> 13
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Analyte Antigenic Molecule

<400> 1
Pro Lys Tyr Val Lys Gln Asn Thr Leu Lys Leu Ala Thr
1 5 10

<210> 2
<211> 4
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Analyte Antigenic Molecule

<400> 2
Pro Lys Tyr Val
1

<210> 3
<211> 17
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Analyte Antigenic Molecule, APD-2

<400> 3
Asn Leu Val Pro Met Val Ala Thr Asn Leu Val Pro Met Val Ala Thr
1 5 10 15
Val


<210> 4
<211> 9
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Analyte Antigenic Molecule, APD-21

<400> 4
Asn Leu Gly Pro Met Ala Ala Gly Val
1 5

<210> 5
<211> 9
<212> PRT
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Analyte Antigenic Molecule, APD-11

<400> 5
Val Tyr Ala Leu Pro Leu Lys Met Leu
1 5

<210> 6
<211> 6071
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> V1.A.4 pcDNA3.1_GFP

<400> 6
gacggatcgg gagatctccc gatcccctat ggtgcactct cagtacaatc tgctctgatg 60

ccgcatagtt aagccagtat ctgctccctg cttgtgtgtt ggaggtcgct gagtagtgcg 120

cgagcaaaat ttaagctaca acaaggcaag gcttgaccga caattgcatg aagaatctgc 180

ttagggttag gcgttttgcg ctgcttcgcg atgtacgggc cagatatacg cgttgacatt 240

gattattgac tagttattaa tagtaatcaa ttacggggtc attagttcat agcccatata 300

tggagttccg cgttacataa cttacggtaa atggcccgcc tggctgaccg cccaacgacc 360

cccgcccatt gacgtcaata atgacgtatg ttcccatagt aacgccaata gggactttcc 420

attgacgtca atgggtggag tatttacggt aaactgccca cttggcagta catcaagtgt 480

atcatatgcc aagtacgccc cctattgacg tcaatgacgg taaatggccc gcctggcatt 540

atgcccagta catgacctta tgggactttc ctacttggca gtacatctac gtattagtca 600

tcgctattac catggtgatg cggttttggc agtacatcaa tgggcgtgga tagcggtttg 660

actcacgggg atttccaagt ctccacccca ttgacgtcaa tgggagtttg ttttggcacc 720

aaaatcaacg ggactttcca aaatgtcgta acaactccgc cccattgacg caaatgggcg 780

gtaggcgtgt acggtgggag gtctatataa gcagagctct ctggctaact agagaaccca 840

ctgcttactg gcttatcgaa attaatacga ctcactatag ggagacccaa gctggctagc 900

gtttaaactt aagcttggta ccgccaccat ggaatccgat gagtctggcc tgcccgccat 960

ggaaatcgag tgcagaatca ccggcaccct gaacggcgtg gaatttgagc tcgtgggcgg 1020

aggcgagggc acacctgaac agggcagaat gaccaacaag atgaagtcca ccaagggggc 1080

cctgaccttc agcccctacc tgctgtctca cgtgatgggc tacggcttct accacttcgg 1140

cacctacccc agcggctacg agaacccttt cctgcacgcc atcaacaacg gcggctacac 1200

caacacccgg atcgagaagt acgaggacgg cggcgtgctg cacgtgtcct tcagctacag 1260

atacgaggcc ggcagagtga tcggcgactt caaagtgatg ggcaccggat tccccgagga 1320

cagcgtgatc ttcaccgaca agatcatccg gtccaacgcc accgtggaac atctgcaccc 1380

catgggcgac aacgacctgg acggcagctt caccagaacc ttctccctgc gggatggcgg 1440

ctactacagc agcgtggtgg acagccacat gcacttcaag agcgccatcc accccagcat 1500

cctccagaac ggcggaccca tgttcgcctt cagacgggtg gaagaggacc acagcaacac 1560

cgagctgggc atcgtggaat accagcacgc cttcaagacc cccgatgccg atgccggcga 1620

ggaatgagtc gagtctagag ggcccgttta aacccgctga tcagcctcga ctgtgccttc 1680

tagttgccag ccatctgttg tttgcccctc ccccgtgcct tccttgaccc tggaaggtgc 1740

cactcccact gtcctttcct aataaaatga ggaaattgca tcgcattgtc tgagtaggtg 1800

tcattctatt ctggggggtg gggtggggca ggacagcaag ggggaggatt gggaagacaa 1860

tagcaggcat gctggggatg cggtgggctc tatggcttct gaggcggaaa gaaccagctg 1920

gggctctagg gggtatcccc acgcgccctg tagcggcgca ttaagcgcgg cgggtgtggt 1980

ggttacgcgc agcgtgaccg ctacacttgc cagcgcccta gcgcccgctc ctttcgcttt 2040

cttcccttcc tttctcgcca cgttcgccgg ctttccccgt caagctctaa atcgggggct 2100

ccctttaggg ttccgattta gtgctttacg gcacctcgac cccaaaaaac ttgattaggg 2160

tgatggttca cgtagtgggc catcgccctg atagacggtt tttcgccctt tgacgttgga 2220

gtccacgttc tttaatagtg gactcttgtt ccaaactgga acaacactca accctatctc 2280

ggtctattct tttgatttat aagggatttt gccgatttcg gcctattggt taaaaaatga 2340

gctgatttaa caaaaattta acgcgaatta attctgtgga atgtgtgtca gttagggtgt 2400

ggaaagtccc caggctcccc agcaggcaga agtatgcaaa gcatgcatct caattagtca 2460

gcaaccaggt gtggaaagtc cccaggctcc ccagcaggca gaagtatgca aagcatgcat 2520

ctcaattagt cagcaaccat agtcccgccc ctaactccgc ccatcccgcc cctaactccg 2580

cccagttccg cccattctcc gccccatggc tgactaattt tttttattta tgcagaggcc 2640

gaggccgcct ctgcctctga gctattccag aagtagtgag gaggcttttt tggaggccta 2700

ggcttttgca aaaagctccc gggagcttgt atatccattt tcggatctga tcaagagaca 2760

ggatgaggat cgtttcgcat gattgaacaa gatggattgc acgcaggttc tccggccgct 2820

tgggtggaga ggctattcgg ctatgactgg gcacaacaga caatcggctg ctctgatgcc 2880

gccgtgttcc ggctgtcagc gcaggggcgc ccggttcttt ttgtcaagac cgacctgtcc 2940

ggtgccctga atgaactgca ggacgaggca gcgcggctat cgtggctggc cacgacgggc 3000

gttccttgcg cagctgtgct cgacgttgtc actgaagcgg gaagggactg gctgctattg 3060

ggcgaagtgc cggggcagga tctcctgtca tctcaccttg ctcctgccga gaaagtatcc 3120

atcatggctg atgcaatgcg gcggctgcat acgcttgatc cggctacctg cccattcgac 3180

caccaagcga aacatcgcat cgagcgagca cgtactcgga tggaagccgg tcttgtcgat 3240

caggatgatc tggacgaaga gcatcagggg ctcgcgccag ccgaactgtt cgccaggctc 3300

aaggcgcgca tgcccgacgg cgaggatctc gtcgtgaccc atggcgatgc ctgcttgccg 3360

aatatcatgg tggaaaatgg ccgcttttct ggattcatcg actgtggccg gctgggtgtg 3420

gcggaccgct atcaggacat agcgttggct acccgtgata ttgctgaaga gcttggcggc 3480

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<213> Artificial Sequence

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ctaaattgta agcgttaata ttttgttaaa attcgcgtta aatttttgtt aaatcagctc 60

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<211> 2762
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<213> Artificial Sequence

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<211> 2762
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<213> Artificial Sequence

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<223> HLA-C-sg-sp-4 vector V2.B.3

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gctttctcat agctcacgct gtaggtatct cagttcggtg taggtcgttc gctccaagct 1260

gggctgtgtg cacgaacccc ccgttcagcc cgaccgctgc gccttatccg gtaactatcg 1320

tcttgagtcc aacccggtaa gacacgactt atcgccactg gcagcagcca ctggtaacag 1380

gattagcaga gcgaggtatg taggcggtgc tacagagttc ttgaagtggt ggcctaacta 1440

cggctacact agaagaacag tatttggtat ctgcgctctg ctgaagccag ttaccttcgg 1500

aaaaagagtt ggtagctctt gatccggcaa acaaaccacc gctggtagcg gtggtttttt 1560

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acgctcaccg gctccagatt tatcagcaat aaaccagcca gccggaaggg ccgagcgcag 1980

aagtggtcct gcaactttat ccgcctccat ccagtctatt aattgttgcc gggaagctag 2040

agtaagtagt tcgccagtta atagtttgcg caacgttgtt gccattgcta caggcatcgt 2100

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agttacatga tcccccatgt tgtgcaaaaa agcggttagc tccttcggtc ctccgatcgt 2220

tgtcagaagt aagttggccg cagtgttatc actcatggtt atggcagcac tgcataattc 2280

tcttactgtc atgccatccg taagatgctt ttctgtgact ggtgagtact caaccaagtc 2340

attctgagaa tagtgtatgc ggcgaccgag ttgctcttgc ccggcgtcaa tacgggataa 2400

taccgcgcca catagcagaa ctttaaaagt gctcatcatt ggaaaacgtt cttcggggcg 2460

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caactgatct tcagcatctt ttactttcac cagcgtttct gggtgagcaa aaacaggaag 2580

gcaaaatgcc gcaaaaaagg gaataagggc gacacggaaa tgttgaatac tcatactctt 2640

cctttttcaa tattattgaa gcatttatca gggttattgt ctcatgagcg gatacatatt 2700

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ac 2762


<210> 21
<211> 2762
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

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acggccagtg agcgcgacgt aatacgactc actatagggc gaattggcgg aaggccgtca 360

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tgaaaaagtg gcaccgagtc ggtgcttttt ttcagacatc catagatcta gctcgagttt 780

tttttctaga ctgggcctca tgggccttcc gctcactgcc cgctttccag tcgggaaacc 840

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gattagcaga gcgaggtatg taggcggtgc tacagagttc ttgaagtggt ggcctaacta 1440

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acgctcaccg gctccagatt tatcagcaat aaaccagcca gccggaaggg ccgagcgcag 1980

aagtggtcct gcaactttat ccgcctccat ccagtctatt aattgttgcc gggaagctag 2040

agtaagtagt tcgccagtta atagtttgcg caacgttgtt gccattgcta caggcatcgt 2100

ggtgtcacgc tcgtcgtttg gtatggcttc attcagctcc ggttcccaac gatcaaggcg 2160

agttacatga tcccccatgt tgtgcaaaaa agcggttagc tccttcggtc ctccgatcgt 2220

tgtcagaagt aagttggccg cagtgttatc actcatggtt atggcagcac tgcataattc 2280

tcttactgtc atgccatccg taagatgctt ttctgtgact ggtgagtact caaccaagtc 2340

attctgagaa tagtgtatgc ggcgaccgag ttgctcttgc ccggcgtcaa tacgggataa 2400

taccgcgcca catagcagaa ctttaaaagt gctcatcatt ggaaaacgtt cttcggggcg 2460

aaaactctca aggatcttac cgctgttgag atccagttcg atgtaaccca ctcgtgcacc 2520

caactgatct tcagcatctt ttactttcac cagcgtttct gggtgagcaa aaacaggaag 2580

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<211> 2763
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<220>
<223> HLA-A-ex2-3_sg-sp-opti_2 vector V2.J.1

<400> 22
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acggccagtg agcgcgacgt aatacgactc actatagggc gaattggcgg aaggccgtca 360

aggccgcatg gatccaaggt cgggcaggaa gagggcctat ttcccatgat tccttcatat 420

ttgcatatac gatacaaggc tgttagagag ataattagaa ttaatttgac tgtaaacaca 480

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ttaaaattat gttttaaaat ggactatcat atgcttaccg taacttgaaa gtatttcgat 600

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gcttcctcgc tcactgactc gctgcgctcg gtcgttcggg taaagcctgg ggtgcctaat 960

gagcaaaagg ccagcaaaag gccaggaacc gtaaaaaggc cgcgttgctg gcgtttttcc 1020

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acccgacagg actataaaga taccaggcgt ttccccctgg aagctccctc gtgcgctctc 1140

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ctatctcagc gatctgtcta tttcgttcat ccatagttgc ctgactcccc gtcgtgtaga 1860

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caggctgcgc aactgttggg aagggcgttt cggtgcgggc ctcttcgcta ttacgccagc 2340

tggcgaaagg gggatgtgct gcaaggcgat taagttgggt aacgccaggg ttttcccagt 2400

cacgacgttg taaaacgacg gccagtgagc gcgacgtaat acgactcact atagggcgaa 2460

ttggcggaag gccgtcaagg ccgcatgaat tcgctaccgg gagttggtag gtaagtatca 2520

aggttacaag acaggtttaa ggaggaagtt cctattccga agttcctatt ctctagaaag 2580

tataggaact tcgactctca ccatgggtgc cgaactctgc aaacgaatat gttgtgagtt 2640

cggtaccacg tccggtgagc ccctgaaaga tgctctgggt cgccaggtgt ctctacgctc 2700

ctacgacaac atccctccga cttcctcctc ggacgaaggg gaggacgatg acgacgggga 2760

ggatgacgat aacgaggagc ggcaacagaa gctgcggctc tgcggtagtg gctgcggagg 2820

aaacgacagt agcagtggca gccaccgaga ggccacccac gacggcccta agaagaacgc 2880

tgtgcgctcg acgtttcgcg aggacaaggc tccgaaaccg agcaagcagt ccaagaagaa 2940

aaagaaaccc tcaaagcatc accaccatca gcaaagctcc attatgcagg agacggacga 3000

cttagacgaa gaggacacct caatttacct gtcccctccc cctgttccac cagttcaggt 3060

ggtggctaag cgactgccgc gtcccgacac acccaggact ccgcgccaga agaagatttc 3120

acaacgtcca cccacacccg ggaccaaaaa gcccgctgcc tccttgccct tt 3172


<210> 33
<211> 3900
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> FRT_HCMVpp52-3xMYC_F3 vector V9.E.7

<400> 33
ggcggttcct ctacatccgg tggatctgga tctggagaac aaaagctcat ctctgaggag 60

gaccttgggg agcagaagct aatcagtgaa gaagacctcg gagagcagaa attgattagc 120

gaggaggatc tttaaagact aggcacgaag ttcctattcc gaagttccta ttcttcaaat 180

agtataggaa cttccgctct gaccagctgc attaacatgg tcatagctgt ttccttgcgt 240

attgggcgct ctccgcttcc tcgctcactg actcgctgcg ctcggtcgtt cgggtaaagc 300

ctggggtgcc taatgagcaa aaggccagca aaaggccagg aaccgtaaaa aggccgcgtt 360

gctggcgttt ttccataggc tccgcccccc tgacgagcat cacaaaaatc gacgctcaag 420

tcagaggtgg cgaaacccga caggactata aagataccag gcgtttcccc ctggaagctc 480

cctcgtgcgc tctcctgttc cgaccctgcc gcttaccgga tacctgtccg cctttctccc 540

ttcgggaagc gtggcgcttt ctcatagctc acgctgtagg tatctcagtt cggtgtaggt 600

cgttcgctcc aagctgggct gtgtgcacga accccccgtt cagcccgacc gctgcgcctt 660

atccggtaac tatcgtcttg agtccaaccc ggtaagacac gacttatcgc cactggcagc 720

agccactggt aacaggatta gcagagcgag gtatgtaggc ggtgctacag agttcttgaa 780

gtggtggcct aactacggct acactagaag aacagtattt ggtatctgcg ctctgctgaa 840

gccagttacc ttcggaaaaa gagttggtag ctcttgatcc ggcaaacaaa ccaccgctgg 900

tagcggtggt ttttttgttt gcaagcagca gattacgcgc agaaaaaaag gatctcaaga 960

agatcctttg atcttttcta cggggtctga cgctcagtgg aacgaaaact cacgttaagg 1020

gattttggtc atgagattat caaaaaggat cttcacctag atccttttaa attaaaaatg 1080

aagttttaaa tcaatctaaa gtatatatga gtaaacttgg tctgacagtt accaatgctt 1140

aatcagtgag gcacctatct cagcgatctg tctatttcgt tcatccatag ttgcctgact 1200

ccccgtcgtg tagataacta cgatacggga gggcttacca tctggcccca gtgctgcaat 1260

gataccgcga gaaccacgct caccggctcc agatttatca gcaataaacc agccagccgg 1320

aagggccgag cgcagaagtg gtcctgcaac tttatccgcc tccatccagt ctattaattg 1380

ttgccgggaa gctagagtaa gtagttcgcc agttaatagt ttgcgcaacg ttgttgccat 1440

tgctacaggc atcgtggtgt cacgctcgtc gtttggtatg gcttcattca gctccggttc 1500

ccaacgatca aggcgagtta catgatcccc catgttgtgc aaaaaagcgg ttagctcctt 1560

cggtcctccg atcgttgtca gaagtaagtt ggccgcagtg ttatcactca tggttatggc 1620

agcactgcat aattctctta ctgtcatgcc atccgtaaga tgcttttctg tgactggtga 1680

gtactcaacc aagtcattct gagaatagtg tatgcggcga ccgagttgct cttgcccggc 1740

gtcaatacgg gataataccg cgccacatag cagaacttta aaagtgctca tcattggaaa 1800

acgttcttcg gggcgaaaac tctcaaggat cttaccgctg ttgagatcca gttcgatgta 1860

acccactcgt gcacccaact gatcttcagc atcttttact ttcaccagcg tttctgggtg 1920

agcaaaaaca ggaaggcaaa atgccgcaaa aaagggaata agggcgacac ggaaatgttg 1980

aatactcata ctcttccttt ttcaatatta ttgaagcatt tatcagggtt attgtctcat 2040

gagcggatac atatttgaat gtatttagaa aaataaacaa ataggggttc cgcgcacatt 2100

tccccgaaaa gtgccaccta aattgtaagc gttaatattt tgttaaaatt cgcgttaaat 2160

ttttgttaaa tcagctcatt ttttaaccaa taggccgaaa tcggcaaaat cccttataaa 2220

tcaaaagaat agaccgagat agggttgagt ggccgctaca gggcgctccc attcgccatt 2280

caggctgcgc aactgttggg aagggcgttt cggtgcgggc ctcttcgcta ttacgccagc 2340

tggcgaaagg gggatgtgct gcaaggcgat taagttgggt aacgccaggg ttttcccagt 2400

cacgacgttg taaaacgacg gccagtgagc gcgacgtaat acgactcact atagggcgaa 2460

ttggcggaag gccgtcaagg ccgcatgaat tcgctaccgg gagttggtag gtaagtatca 2520

aggttacaag acaggtttaa ggaggaagtt cctattccga agttcctatt ctctagaaag 2580

tataggaact tcgactctac caccatggat cgcaagacgc gcctctcgga gccgccgacg 2640

ctggcgctgc ggctgaagcc gtacaagacg gctatccagc agctgcgatc tgtgatccgt 2700

gcgctcaagg agaacaccac ggttaccttc ttgcccacac cgtcgcttat cttgcaaacg 2760

gtacgcagtc actgcgtgtc aaagatcact tttaacagct catgcctcta catcactgac 2820

aagtcgtttc agcccaagac cattaacaat tccacgcctc tgctgggtaa cttcatgtac 2880

ctgacttcca gcaaggacct gaccaagttc tacgtgcagg acatctcgga cctgtcggcc 2940

aagatctcca tgtgcgcacc cgatttcaat atggagttca gctcggcctg cgtgcacggc 3000

caagacattg tgcgcgaaag cgagaattcg gccgtgcacg tggatctaga tttcggcgtg 3060

gtggccgacc tgcttaagtg gatcgggccg catacccgcg tcaagcgtaa cgtgaagaaa 3120

gcgccctgcc ctacgggcac cgtgcagatt ctggtgcacg ccggtccacc ggccatcaag 3180

ttcatcctga ccaacggcag cgagctggaa ttcacagcca ataaccgcgt cagtttccac 3240

ggcgtgaaaa acatgcgtat caacgtgcag ctgaagaact tctaccagac gctgctcaat 3300

tgcgccgtca ccaaactgcc gtgcacgttg cgtatagtta cggagcacga cacgctgttg 3360

tacgtggcca gccgcaacgg tctgttcgcc gtggagaatt ttctcaccga ggaacctttc 3420

cagcgtggcg atcccttcga caagaattac gtcgggaaca gcggcaaatc gcgtggcgga 3480

ggcggtggta gcggcagcct ctcttcgctg gctaatgccg gcggtctgca cgacgacggt 3540

ccgggtctgg acaacgatat catgaacgag cccatgggtc tcggcggact gggaggtggc 3600

ggaggagggg gaggcaagaa gcacgaccgc ggaggtggcg gtggttccgg tacgcggaaa 3660

atgagcagcg gtggcggagg tggagatcac gaccacggtc tttcctccaa ggaaaaatac 3720

gagcagcaca agatcaccag ctacctgacg tccaaaggtg gatcgggagg agggggtgga 3780

ggcggaggtg gaggtttgga tcgcaactcc ggcaattact tcaacgacgc gaaagaggag 3840

agcgacagcg aggattctgt aacgttcgag ttcgtcccta acaccaagaa gcaaaagtgc 3900


<210> 34
<211> 4286
<212> DNA
<213> Artificial Sequence

<220>
<223> FRT_HCMVpp52-3xMYC_F3 vector V9.E.8

<400> 34
ggcggttcct ctacatccgg tggatctgga tctggagaac aaaagctcat ctctgaggag 60

gaccttgggg agcagaagct aatcagtgaa gaagacctcg gagagcagaa attgattagc 120

gaggaggatc tttaaagact aggcacgaag ttcctattcc gaagttccta ttcttcaaat 180

agtataggaa cttccgctct gaccagctgc attaacatgg tcatagctgt ttccttgcgt 240

attgggcgct ctccgcttcc tcgctcactg actcgctgcg ctcggtcgtt cgggtaaagc 300

ctggggtgcc taatgagcaa aaggccagca aaaggccagg aaccgtaaaa aggccgcgtt 360

gctggcgttt ttccataggc tccgcccccc tgacgagcat cacaaaaatc gacgctcaag 420

tcagaggtgg cgaaacccga caggactata aagataccag gcgtttcccc ctggaagctc 480

cctcgtgcgc tctcctgttc cgaccctgcc gcttaccgga tacctgtccg cctttctccc 540

ttcgggaagc gtggcgcttt ctcatagctc acgctgtagg tatctcagtt cggtgtaggt 600

cgttcgctcc aagctgggct gtgtgcacga accccccgtt cagcccgacc gctgcgcctt 660

atccggtaac tatcgtcttg agtccaaccc ggtaagacac gacttatcgc cactggcagc 720

agccactggt aacaggatta gcagagcgag gtatgtaggc ggtgctacag agttcttgaa 780

gtggtggcct aactacggct acactagaag aacagtattt ggtatctgcg ctctgctgaa 840

gccagttacc ttcggaaaaa gagttggtag ctcttgatcc ggcaaacaaa ccaccgctgg 900

tagcggtggt ttttttgttt gcaagcagca gattacgcgc agaaaaaaag gatctcaaga 960

agatcctttg atcttttcta cggggtctga cgctcagtgg aacgaaaact cacgttaagg 1020

gattttggtc atgagattat caaaaaggat cttcacctag atccttttaa attaaaaatg 1080

aagttttaaa tcaatctaaa gtatatatga gtaaacttgg tctgacagtt accaatgctt 1140

aatcagtgag gcacctatct cagcgatctg tctatttcgt tcatccatag ttgcctgact 1200

ccccgtcgtg tagataacta cgatacggga gggcttacca tctggcccca gtgctgcaat 1260

gataccgcga gaaccacgct caccggctcc agatttatca gcaataaacc agccagccgg 1320

aagggccgag cgcagaagtg gtcctgcaac tttatccgcc tccatccagt ctattaattg 1380

ttgccgggaa gctagagtaa gtagttcgcc agttaatagt ttgcgcaacg ttgttgccat 1440

tgctacaggc atcgtggtgt cacgctcgtc gtttggtatg gcttcattca gctccggttc 1500

ccaacgatca aggcgagtta catgatcccc catgttgtgc aaaaaagcgg ttagctcctt 1560

cggtcctccg atcgttgtca gaagtaagtt ggccgcagtg ttatcactca tggttatggc 1620

agcactgcat aattctctta ctgtcatgcc atccgtaaga tgcttttctg tgactggtga 1680

gtactcaacc aagtcattct gagaatagtg tatgcggcga ccgagttgct cttgcccggc 1740

gtcaatacgg gataataccg cgccacatag cagaacttta aaagtgctca tcattggaaa 1800

acgttcttcg gggcgaaaac tctcaaggat cttaccgctg ttgagatcca gttcgatgta 1860

acccactcgt gcacccaact gatcttcagc atcttttact ttcaccagcg tttctgggtg 1920

agcaaaaaca ggaaggcaaa atgccgcaaa aaagggaata agggcgacac ggaaatgttg 1980

aatactcata ctcttccttt ttcaatatta ttgaagcatt tatcagggtt attgtctcat 2040

gagcggatac atatttgaat gtatttagaa aaataaacaa ataggggttc cgcgcacatt 2100

tccccgaaaa gtgccaccta aattgtaagc gttaatattt tgttaaaatt cgcgttaaat 2160

ttttgttaaa tcagctcatt ttttaaccaa taggccgaaa tcggcaaaat cccttataaa 2220

tcaaaagaat agaccgagat agggttgagt ggccgctaca gggcgctccc attcgccatt 2280

caggctgcgc aactgttggg aagggcgttt cggtgcgggc ctcttcgcta ttacgccagc 2340

tggcgaaagg gggatgtgct gcaaggcgat taagttgggt aacgccaggg ttttcccagt 2400

cacgacgttg taaaacgacg gccagtgagc gcgacgtaat acgactcact atagggcgaa 2460

ttggcggaag gccgtcaagg ccgcatgaat tcgctaccgg gagttggtag gtaagtatca 2520

aggttacaag acaggtttaa ggaggaagtt cctattccga agttcctatt ctctagaaag 2580

tataggaact tcgactctca ggtaccatgg agtcgcgcgg tcgccgttgt cccgaaatga 2640

tatccgtact gggtcccatt tcggggcacg tgctgaaagc cgtgtttagt cgcggcgata 2700

cgccggtgct gccgcacgag acgcgactcc tgcagacggg tatccacgta cgcgtgagcc 2760

agccctcgct gatcttggta tcgcagtaca cgcccgactc gacgccatgc caccgcggcg 2820

acaatcagct gcaggtgcag cacacgtact ttacgggcag cgaggtggag aacgtgtcgg 2880

tcaacgtgca caaccccacg ggccgaagca tctgccccag ccaggagccc atgtcgatct 2940

atgtgtacgc gctgccgctc aagatgctga acatccccag catcaacgtg caccactacc 3000

cgtcggcggc cgagcgcaaa caccgacacc tgcccgtagc tgacgctgtg attcacgcgt 3060

cgggcaagca gatgtggcag gcgcgtctca cggtctcggg actggcctgg acgcgtcagc 3120

agaaccagtg gaaagagccc gacgtctact acacgtcagc gttcgtgttt cccaccaagg 3180

acgtggcact gcggcacgtg gtgtgcgcgc acgagctggt ttgctccatg gagaacacgc 3240

gcgcaaccaa gatgcaggtg ataggtgacc agtacgtcaa ggtgtacctg gagtccttct 3300

gcgaggacgt gccctccggc aagctcttta tgcacgtcac gctgggctct gacgtggaag 3360

aggacctgac gatgacccgc aacccgcaac ccttcatgcg cccccacgag cgcaacggct 3420

ttacggtgtt gtgtcccaaa aatatgataa tcaaaccggg caagatctcg cacatcatgc 3480

tggatgtggc ttttacctca cacgagcatt ttgggctgct gtgtcccaag agcatcccgg 3540

gcctgagcat ctcaggtaac ctgttgatga acgggcagca gatcttcctg gaggtacaag 3600

ccatacgcga gaccgtggaa ctgcgtcagt acgatcccgt ggctgcgctc ttctttttcg 3660

atatcgactt gctgctgcag cgcgggcctc agtacagcga gcaccccacc ttcaccagcc 3720

agtatcgcat ccagggcaag cttgagtacc gacacacctg ggaccggcac gacgagggtg 3780

ccgcccaggg cgacgacgac gtctggacca gcggatcgga ctccgacgaa gaactcgtaa 3840

ccaccgagcg caagacgccc cgcgtcaccg gcggcggcgc catggcgggc gcctccactt 3900

ccgcgggccg caaacgcaaa tcagcatcct cggcgacggc gtgcacgtcg ggcgttatga 3960

cacgcggccg ccttaaggcc gagtccaccg tcgcgcccga agaggacacc gacgaggatt 4020

ccgacaacga aatccacaat ccggccgtgt tcacctggcc gccctggcag gccggcatcc 4080

tggcccgcaa cctggtgccc atggtggcta cggttcaggg tcagaatctg aagtaccagg 4140

agttcttctg ggacgccaac gacatctacc gcatcttcgc cgaattggaa ggcgtatggc 4200

agcccgctgc gcaacccaaa cgtcgccgcc accggcaaga cgccttgccc gggccatgca 4260

tcgcctcgac gcccaaaaag caccga 4286


<210> 35
<211> 25
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> pMA-sv40_OE_F1 primer 1.C.2

<400> 35
cctgatcata atcaagccat atcac 25


<210> 36
<211> 25
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> pMA-sv40_OE_R1 primer 1.C.3

<400> 36
gtgatatggc ttgattatga tcagg 25


<210> 37
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-A-GT-Rg3 primer 4.A.3 1

<400> 37
tcccgttctc caggtatctg 20


<210> 38
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-A-GT-Fg2 primer 4.A.4

<400> 38
gtgtcgggtt tccagagaag 20


<210> 39
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-B-GT-Fg2 primer 4.A.7

<400> 39
gggtcccagt tctaaagtcc 20


<210> 40
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-B-GT-Rg2 primer 4.B.1

<400> 40
ggggattttg gcctcaactg 20


<210> 41
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-C-GT-Fg2 primer 4.B.5

<400> 41
tcttcctgaa tactcatgac g 21


<210> 42
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-A-02_GT_Rg4 primer 4.I.9

<400> 42
ggagatctac aggcgatcag 20


<210> 43
<211> 28
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-A-Exon3_HA-RE-BglII_F1 primer 6.I.9

<400> 43
ggttagatct gggaaggaga cgctgcag 28


<210> 44
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-C-04-GT-Rg1 primer 8.A.1

<400> 44
gatcccattt tcctcccctc 20


<210> 45
<211> 27
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> CMV-pA-HLA-Ex3_Probe_F1 primer 8.B.2

<400> 45
atgtctggat ctgcggatca gcgcacg 27


<210> 46
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> CMV-pro_GT_R1 primer 9.C.3

<400> 46
atgggctatg aactaatgac c 21


<210> 47
<211> 21
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> sv40pA_GT_F1 primer 9.C.4

<400> 47
cattctagtt gtggtttgtc c 21


<210> 48
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> AAVS1_GT_F1 primer 9.C.5

<400> 48
cttacctctc tagtctgtgc 20


<210> 49
<211> 19
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> AAVS1_GT_F3 primer 9.C.7

<400> 49
ccattgtcac tttgcgctg 19


<210> 50
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> AAVS1_GT_F4 primer 9.C.8

<400> 50
tcctggactt tgtctccttc 20


<210> 51
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> AAVS1_GT_R2 primer 9.C.10

<400> 51
agagatggct ccaggaaatg 20


<210> 52
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> AAVS1_GT_R3 primer 9.D.1

<400> 52
aagagaaagg gagtagaggc 20


<210> 53
<211> 18
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> AAVS1_GT_R4 primer 9.D.2

<400> 53
cccgaagagt gagtttgc 18


<210> 54
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HLA-A-intron4_GT_R1 primer 9.D.6

<400> 54
gctaaaggtc agagaggctc 20


<210> 55
<211> 23
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> sv40pA-GT primer 9.D.7

<400> 55
ctgcattcta gttgtggttt gtc 23


<210> 56
<211> 24
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> sv40pA-AAVS1-probe-FAM-F1 primer 9.J.2

<400> 56
tgcggatcag gattggtgac agaa 24


<210> 57
<211> 26
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> TRAC_TCRA-ex1_R1 primer 10.A.9

<400> 57
gacttgtcac tggatttaga gtctct 26


<210> 58
<211> 23
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> TRAC_TCRA-promoter_F1 primer 10.A.10

<400> 58
ctgatcctct tgtcccacag ata 23


<210> 59
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> TRAC_probe (HEX) primer 10.B.6

<400> 59
atccagaacc ctgaccctgc cg 22


<210> 60
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Pan-HLA_GT_F1 primer 8.B.3

<400> 60
aaggagggag ctactctcag 20


<210> 61
<211> 24
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> SV40pA_GT_R1 primer 15.H.2

<400> 61
cctctacaga tgtgatatgg cttg 24


<210> 62
<211> 27
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> 3xMyc_OE_R1 primer 10.C.4

<400> 62
ggagaacaaa agctcatctc tgaggag 27


<210> 63
<211> 29
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> CtermCysLink_OE_R1 primer 10.D.1

<400> 63
agatccagat ccaccggatg tagagcaac 29


<210> 64
<211> 20
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Ef1a_intron_GT_F2 primer 15.H.4

<400> 64
tgggtggaga ctgaagttag 20


<210> 65
<211> 18
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HCMVpp65_GT_F2ddPCR primer/probe 21.I.1

<400> 65
tcgacgccca aaaagcac 18


<210> 66
<211> 17
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HCMVpp28_GT_F1 ddPCR primer/probe 21.I.2

<400> 66
tgcctccttg ccctttg 17


<210> 67
<211> 19
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> HCMVpp52_GT_F1 ddPCR primer/probe 21.I.3

<400> 67
cgtccctaac accaagaag 19


<210> 68
<211> 19
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Myc-Tag_GT_R1 ddPCR primer/probe 20.H.10

<400> 68
aaggtcctcc tcagagatg 19


<210> 69
<211> 27
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> Linker-Myc_Probe_Fam ddPCR primer/probe 20.H.9

<400> 69
cttttgttct ccagatccag atccacc 27


<210> 70
<211> 23
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> TRAC-TCRA-ex1-F1 ddPCR primer/probe 10.A.9

<400> 70
ctgatcctct tgtcccacag ata 23


<210> 71
<211> 26
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> TRAC-TCRA-ex1-F1 ddPCR primer/probe

<400> 71
gacttgtcac tggatttaga gtctct 26


<210> 72
<211> 22
<212> DNA
<213> Homo sapiens

<220>
<223> TRAC-probe (HEX) ddPCR primer/probe

<400> 72
atccagaacc ctgaccctgc cg 22
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45-1】
図45-2】
図46
図47
図48
図49
【配列表】
2023025182000001.xml
【手続補正書】
【提出日】2023-01-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の成分が遺伝子操作抗原提示細胞(eAPC)(成分Aと呼ぶ)であり、第2の成分が被分析物 抗原提示複合体(aAPX)及び/又は被分析物 抗原性分子(aAM)をコードする1又は2以上のORFの送達用遺伝子ドナーベクター(成分Cと呼ぶ)である多成分システムであって、
成分Aが
a.aAPX及び/又はaAMの少なくとも1つのファミリーの内因性表面発現を欠き、
b.各々が少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFの組込みのための少なくとも2つのゲノム受容部位(成分B及び成分Dと呼ぶ)を含有し、
成分Cが成分Bにマッチし、
c.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF又は
d.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORF
を送達するように設計されており、
ゲノム受容部位B及びDはリコンビナーゼ媒介交換(RMCE)用に設計されている合成構築物である、多成分システム。
【請求項2】
前記ORFがBゲノム受容部位に安定的に組み込まれることができ、aAPX及び/又はaAMが発現されるように、c及び/又はdが組込みの選択マーカーをコードしていてもいなくてもよい、請求項1に記載の多成分システム。
【請求項3】
更なる成分(Eと呼ぶ)がDとマッチした遺伝子ベクターであり、成分Eが
a.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする単一ORF、又は
b.少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする2又は3以上のORF
を送達するように設計されており、
前記ORFがDゲノム受容部位に安定的に組み込まれることができ、aAPX及び/又はaAMが発現されるように、a及び/又はbが任意に組込みの選択マーカーをコードしていてもよい、請求項1又は2に記載の多成分システム。
【請求項4】
1又は2以上の追加のゲノム受容部位及びマッチする遺伝子ドナーベクターが追加成分として付加されている請求項1~3のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項5】
aAPXが以下:
a.HLAクラスIの1又は2以上のメンバー
b.HLAクラスIIの1又は2以上のメンバー
c.1又は2以上の非HLA抗原提示複合体、又は
d.a、b及びcのいずれかの組合せ
のいずれかであり得る、請求項1~4のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項6】
aAMが以下:
a.被分析物抗原として提供されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
b.被分析物抗原として提供されるポリペプチドに由来するペプチド
c.被分析物抗原として提供されるペプチド
d.被分析物抗原として提供される代謝物
e.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチド又はポリペプチドの複合体
f.被分析物抗原性分子ORFから翻訳されるポリペプチドに由来するペプチド
g.成分Aプロテオームの変更に由来するペプチド
h.成分Aプロテオームの変更に由来するポリペプチド
i.成分Aメタボロームの変更に由来する代謝物
及び/又はそれらの組合せ
から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項7】
成分B及び/又はDが以下の遺伝子エレメント:
a.異種特異的リコンビナーゼ部位
b.相同性アーム
c.真核生物プロモーター
d.真核生物条件付き調節エレメント
e.真核生物ターミネーター
f.選択マーカー
g.スプライスアクセプター部位
h.スプライスドナー部位
i.非タンパク質コーディング遺伝子
j.インスレーター
k.可動遺伝子エレメント
l.メガヌクレアーゼ認識部位
m.内部リボソーム進入部位(IRES)
n.ウイルス性自己切断ペプチドエレメント
o.コザックコンセンサス配列
の少なくとも1つを含んでなる、請求項1~6のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項8】
成分B及び/又はDが単一ORFのRMCE組込み用であり、以下:
a.真核生物プロモーター
b.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
c.コザックコンセンサス配列
d.選択マーカー
e.真核生物ターミネーター
を含んでなる、請求項1~7のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項9】
成分Eが存在し、成分C及び/又はEが単一ORFのRMCE組込み用であり、以下の遺伝子エレメント:
a.一対の異種特異的リコンビナーゼ部位
b.コザックコンセンサス配列
c.抗生物質耐性カセット
d.細菌性複製起点
e.1又は2以上のaAPX及び/又はaAM及び/又は組込みの選択マーカーをコードする単一ORFの導入用のクローニング部位
を含んでなる、請求項3~8のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項10】
成分C及び/又はEが、成分C'及び/又はE'が得られるように少なくとも1つのaAPX及び/又はaAMをコードする少なくとも1つのORFと組み合わされている、請求項3~9のいずれか1項に記載の多成分システム。
【請求項11】
組合せが成分C'及び/又はE'のライブラリーを得るために複数回行われている、請求項10に記載の多成分システム。
【請求項12】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-pがaAPXを細胞表面で発現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORFを成分B及び/又はDに組み込んで細胞(eAPC-pと呼ぶ)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、請求項10又は11に記載の多成分システム。
【請求項13】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-aがaAMを細胞表面又は細胞内で発現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAM ORFを成分B及び/又はDに組み込んで、細胞(eAPC-aと呼ぶ)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、請求項10又は11に記載の多成分システム。
【請求項14】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現するように、成分C'及び/又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORF及び/又は1又は2以上のaAMを成分B及び/又はDに組み込んで細胞(eAPC-paと呼ぶ)を得るために、成分Aと組み合わされており、ここで、成分B及び/又はDは成分B'及び/又はD'となる、請求項10又は11に記載の多成分システム。
【請求項15】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現するように、成分C'又はE'にコードされる1又は2以上のaAM ORFを成分B又はDに組み込んで細胞(eAPC-paと呼ぶ)を得るために、eAPC-pと組み合わされており、ここで、成分B又はDは成分B'又はD'となる、請求項12に記載の多成分システム。
【請求項16】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、eAPC-paがaAPX及びaAM及び/又はaAPX:aAMを発現するように、成分C'又はE'にコードされる1又は2以上のaAPX ORFを成分B又はDに組み込んで細胞(eAPC-paと呼ぶ)を得るために、eAPC-aと組み合わされており、成分B又はDは成分B'又はD'となる、請求項13に記載の多成分システム。
【請求項17】
a.成分Aを成分C'及び/又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAPXをコードし、及び
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つ
を含んでなる、請求項12に規定されるeAPC-pを製造する方法。
【請求項18】
b、c及びdを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が単一のaAPXをコードする、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
離散的及び規定されたeAPC-pのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程aが、別異のeAPC-pが得られるように、別異のaAPXを用いて行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aにおける2又は3以上の別異のaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-pが単一aAPXを発現するeAPC-pの混合集団を含んでなる、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項22】
a.成分Aを成分C'及び/又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAMをコードし、及び
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つを含んでなる、請求項13に規定されるeAPC-aを製造する方法。
【請求項23】
b及びdを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が工程aにおける単一aAMをコードする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
離散的及び規定されたeAPC-aのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程aが、別異のeAPC-aが得られるように、別異のaAMを用いて行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aにおける2又は3以上の別異のaAMの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-aが単一aAMを発現するeAPC-aの混合集団を含んでなる、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項27】
a.eAPC-aを成分C'及び/又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAPX ORFをコードし、及び
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
の少なくとも1つ
を含んでなる、請求項16に規定されるeAPC-paを製造する方法。
【請求項28】
b、c及びdを含む請求項27に記載の方法。
【請求項29】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が工程aにおける単一aAPXをコードする、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程aが、別異のeAPC-paが得られるように、別異のaAPXを用いて行われる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aおける2又は3以上の別異のaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが請求項39の工程aに用いるプールから単一aAPXを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項32】
a.eAPC-pを成分C'又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合わせること、ここで、1若しくは2以上の成分C'又はE'は1又は2以上のaAM ORFをコードし、
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAMの発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
を含んでなる、請求項15に規定されるeAPC-paを製造する方法。
【請求項33】
b及びdを含む請求項32に記載の方法。
【請求項34】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が工程aにおける単一aAMをコードする請求項32又は33に記載の方法。
【請求項35】
離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程aが、別異のeAPC-paが得られるように、別異のaAMを用いて行われる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
1若しくは2以上の成分C'又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aおける2又は3以上の別異のaAMの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが工程aに用いるプールから単一aAMを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、請求項32又は33に記載の方法。
【請求項37】
a.eAPCを成分C'又はE'の少なくとも1つと組み合わせ、組込み因子と組み合わせること、ここで、1又は2以上の成分C'及び/又はE'は1又は2以上のaAM ORF及び1又は2以上のaAPX ORFをコードし、
b.ゲノム受容部位選択マーカーの喪失について選択すること
c.1又は2以上のaAMの発現及び/又は1又は2以上のaAPXの表面発現の獲得について選択すること
d.1又は2以上の組込みの選択マーカーの獲得について選択すること
を含んでなる、請求項14に規定されるeAPC-paを製造する方法。
【請求項38】
b、c及びdを含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が工程aにおける単一aAM及び単一aAPXをコードする、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
離散的及び規定されたeAPC-paのライブラリーを得るために複数回行われ、各回の工程aが、別異のeAPC-paが得られるように、別異のaAM及び/又は別異のaAPXの少なくとも1つを用いて行われる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
1又は2以上の成分C'及び/又はE'が、ライブラリーを得るために、工程aにおける2又は3以上の別異のaAM及び/又は2又は3以上の別異のaAPXの混合プールをコードし、ここで、ライブラリーは、各eAPC-paが工程aに用いるプールから単一aAM及び単一aAPXを発現するeAPC-paの混合集団を含んでなる、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項42】
a.発現した被分析物抗原の被分析物TCRに対する特異性、及び/又は
b.発現した被分析物抗原の被分析物TCRに対する親和性、又は
c.1又は2以上の被分析物TCRを発現する被分析物細胞(被分析物TC)の発現した被分析物抗原に対するシグナル応答の特徴決定における使用のための、請求項1~16のいずれか1項に記載の多成分システムから得られるeAPCであって、被分析物抗原がaAPX:aAM及び/又はaAM及び/又はaAPX及び/又はaAPX:CMから選択され、被分析物eAPCがeAPC-p及び/又はeAPC-a及び/又はeAPC-paから選択されるeAPC。
【請求項43】
請求項1~16のいずれか1項に記載の多成分システムの、eAPC-p及び/又はeAPCa及び/又はeAPC-paから選択される1又は2以上の被分析物eAPCを製造するための使用。
【請求項44】
診断デバイスにおける、請求項43に規定されるように得られる1又は2以上の被分析物eAPCの使用。
【請求項45】
1又は2以上の被分析物eAPCを含んでなる診断デバイス。
【請求項46】
1又は2以上の被分析物TCRを更に含んでなる請求項45に記載の診断デバイス。
【請求項47】
抗原-特異的T細胞を製造するための1又は2以上のeAPCの使用。