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特開2023-25191細胞療法とガンマセクレターゼ阻害剤との組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025191
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】細胞療法とガンマセクレターゼ阻害剤との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20230214BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230214BHJP
   A61K 31/573 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20230214BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230214BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230214BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20230214BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230214BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230214BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230214BHJP
   C07K 14/725 20060101ALI20230214BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 38/05 20060101ALN20230214BHJP
【FI】
A61K35/17
A61P43/00 121
A61K31/55 ZNA
A61P35/00
A61K45/00
A61P37/04
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K39/395 C
A61K39/395 L
A61K47/68
A61K31/573
A61K31/675
A61K31/7076
A61P43/00 111
C12N15/12
C12N15/13
C12N9/99
C12N5/10
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/725
C12N15/62 Z
A61K38/05
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194051
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2020524528の分割
【原出願日】2018-11-06
(31)【優先権主張番号】62/582,308
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/582,937
(32)【優先日】2017-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/665,450
(32)【優先日】2018-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516316897
【氏名又は名称】ジュノー セラピューティクス インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522176001
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】グリーン ダミアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】リデル スタンレー アール.
(72)【発明者】
【氏名】ワークス メリッサ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】遺伝子操作された抗原受容体を発現する免疫細胞を用いた多発性骨髄腫等の癌治療において、免疫細胞の活性増強、持続性の改善等に有用な新規治療方法を提供する。
【解決手段】多発性骨髄腫等の癌の治療方法であって、治療対象に(a)組換え受容体(例:B細胞成熟抗原(BCMA)特異的キメラ抗原受容体)を発現している免疫細胞を投与する工程;及び(b)ガンマセクレターゼ阻害剤である下記化合物1を投与する工程、を含む方法とする。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月6日に出願された「COMBINATION OF A CELL THERAPY AND A GAMMA SECRETASE INHIBITOR」という名称の米国仮特許出願第62/582,308号;2017年11月7日に出願された「COMBINATION OF A CELL THERAPY AND A GAMMA SECRETASE INHIBITOR」という名称の米国仮特許出願第62/582,937号;および2018年5月1日に出願された「COMBINATION OF A CELL THERAPY AND A GAMMA SECRETASE INHIBITOR」という名称の米国仮特許出願第62/665,450号の優先権の恩典を主張し、その全内容は、参照により組み入れられる。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
本出願は、電子的フォーマットでの配列表と一緒に提出されている。配列表は、735042014240SeqList.TXT(2018年11月6日作成、サイズ:320,126バイト)と題されるファイルとして提供される。配列表の電子的フォーマットでの情報は、その全体が参照により組み入れられる。
【0003】
分野
本開示は、いくつかの局面において、養子細胞療法などの免疫療法、例えばT細胞療法と、ガンマセクレターゼ阻害剤とを伴う方法、組成物および使用に関する。提供された方法、組成物、および使用には、組換え受容体により操作された細胞、例えばキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞、例えば抗BCMAキメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞を伴う遺伝子操作T細胞療法などのT細胞療法と一緒のガンマセクレターゼ阻害剤の投与または使用を伴う併用療法のためのものが含まれる。組成物、対象への投与の方法、これらの方法において使用するための製造品およびキットもまた提供される。いくつかの局面において、これらの方法および細胞の特徴により、養子細胞療法のためのT細胞、または免疫療法剤によって動員される内因性T細胞の増大または改善された活性、効力、持続性、拡大および/または増殖がもたらされる。
【背景技術】
【0004】
背景
様々な戦略が免疫療法のために利用可能であり、例えば、操作されたT細胞を養子療法のために投与するために利用可能である。例えば、様々な戦略が、CARなどの遺伝子操作された抗原受容体を発現するT細胞を操作し、そのような細胞を含有する組成物を対象に投与するために利用可能である。細胞の効力を改善するために、例えば対象に投与したときの細胞の持続性、活性および/または増殖を改善するために、改善された戦略が必要である。そのような必要性を満たす方法、細胞、組成物、キットおよびシステムが提供される。
【発明の概要】
【0005】
概要
細胞療法、例えばT細胞療法を伴う免疫療法と、ガンマセクレターゼ阻害剤との投与を伴う併用療法が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、疾患または障害を有する対象を処置する、提供される方法は、例えばT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの養子細胞療法のための細胞を含む免疫療法または免疫療法剤、例えば組成物の投与と、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与とを伴う。いくつかの態様において、CAR発現T細胞などの細胞療法は、表面BCMAなどのB細胞成熟抗原(BCMA)に結合する抗原結合ドメインを含む。いくつかの態様において、本方法は、処置のための対象を選択することをさらに含み、その際、対象は、細胞(腫瘍/癌細胞など)上の表面BCMAの低発現を有する。いくつかの態様において、細胞療法は、BCMAに結合しない受容体などの組換え受容体を含む。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞(腫瘍/癌細胞など)上の受容体の膜内切断を禁止し、その際、細胞療法は、受容体を特異的に標的とする。いくつかの態様において、併用療法は、一般的にガンマセクレターゼ阻害剤の投与と、例えばT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)のような養子細胞療法のための細胞を含む組成物のような細胞療法の投与とを伴い、その際、ガンマセクレターゼの投与は、細胞療法の投与に後続する。いくつかの態様において、この治療法は、細胞療法の活性をモジュレートする。
【0006】
(a)疾患または障害を有する対象に、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与すること;および(b)対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを含む処置方法が、本明細書において提供され、その際、表面BCMAへのCARの結合、または表面BCMAを発現している細胞に曝露後の機能もしくは活性を示す尺度は、BCMAの可溶型または放出型(soluble or shed form)の存在下で低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されない。いくつかの態様において、表面BCMAへのCARの結合、または表面BCMAを発現している細胞に曝露後の機能もしくは活性を示す尺度は、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されず、その際、BCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。
【0007】
疾患または障害を有する対象に、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供され、その際、表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意でBCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量であり、その際、細胞療法の投与の開始時点で、対象は、ガンマセクレターゼ阻害剤を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている。
【0008】
疾患または障害を有する対象に、ガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供され、その際、阻害剤の投与の開始時点で、対象は、表面B細胞成熟抗原(BCMA)と特異的に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けており、その際、表面BCMAを発現している細胞に曝露後の、表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意で、CMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。
【0009】
(a)対象における癌細胞が、(i)表面CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現する、または形質細胞に由来し、(ii)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む、癌を有する対象を選択すること;(b)(a)で選択された対象に、B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与すること;ならびに(c)対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供される。
【0010】
(a)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む形質細胞を有するとして選択された、癌を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与すること;ならびに(b)対象に、癌を処置するための、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供される。
【0011】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、表面BCMAの発現の閾値レベルは、複数の対照対象における形質細胞上の表面BCMAの発現またはレベルの平均または中央値よりも低く、任意で対照対象は、健康または正常な対象の群である。
【0012】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満が表面BCMAを発現する場合;あるいは表面BCMAの閾値レベルが、表面BCMAを発現する対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満である場合に、表面BCMAの低発現が存在する。
【0013】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、表面BCMAの発現は、フローサイトメトリーおよび/またはイムノアッセイにより決定される。
【0014】
本明細書において提供される態様の任意の1つのいくつかの態様において、表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、BCMAの可溶型または放出型の存在下で低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意で、BCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。
【0015】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、抗原結合ドメインは、可溶BCMAと結合しない、または表面BCMAへの抗原結合ドメインの結合の親和性よりも低い親和性で可溶BCMAに結合する。いくつかの態様において、表面B細胞成熟抗原(BCMA)への抗原結合ドメインの親和性は、可溶BCMAに対する親和性よりも少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍高い。
【0016】
提供される態様のいずれかのいくつかでは、抗BCMA CARは、本明細書に記載される抗BCMA CARである。抗体または抗原結合フラグメントが、SEQ ID NO:24に示される配列あるいはSEQ ID NO:24と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含有し;SEQ ID NO:25に示される配列あるいはSEQ ID NO:25と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含有するCARが、本明細書における方法および使用に使用するための提供される抗BCMA CARの中に含まれる。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:173、174および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:176、177および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合フラグメントは SEQ ID NO:178、179および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合フラグメントは、SEQ ID NO:180、181および182のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:186、187および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、VH領域は、SEQ ID NO:24に示される配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:25に示される配列を含む。いくつかの態様において、抗体または抗原結合フラグメントは、scFvなどの単鎖抗体フラグメントである。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:188に示されるアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:188と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ NO:124に示されるアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:124と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ NO:125に示されるアミノ酸配列あるいはSEQ ID NO:125と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を有する。
【0017】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAの膜内切断を阻害する。
【0018】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAの膜内切断を0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.35nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.35nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.35nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.25nM~0.35nM、0.35nM~10nM、0.35nM~5nM、0.35nM~1nM、0.35nM~0.5nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~10nM、1nM~5nMまたは5nM~10nMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0019】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAの膜内切断を10nM未満、5nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.35nM未満、0.25nM未満、0.1nM未満、0.05nM未満、0.01nM未満、もしくはこれ以下、または約10nM未満、約5nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約0.35nM未満、約0.25nM未満、約0.1nM未満、約0.05nM未満、約0.01nM未満、もしくはこれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0020】
(a)疾患または障害を有する対象に、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合しない組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与すること;および(b)ガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供される。
【0021】
疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供され、その際、組換え受容体が、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合せず、細胞療法の投与の開始時点で、対象が、ガンマセクレターゼ阻害剤を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている。
【0022】
疾患または障害を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供され、その際、阻害剤の投与の開始時点で、対象は、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けており、その際、組換え受容体は、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合しない。
【0023】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する。
【0024】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、標的抗原は、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される。
【0025】
(a)疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与すること;および(b)(a)における投与の後に、対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供される。
【0026】
疾患または障害を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供され、その際、阻害剤の投与の開始時点で、対象は、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている。
【0027】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する。
【0028】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、標的抗原は、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される。いくつかの態様において、標的抗原はMuc1である。本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、標的抗原はBCMAである。いくつかの態様において、BCMAは表面BCMAである。
【0029】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断を阻害もしくは低減する、または阻害もしくは低減することが可能である。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、Muc1を含む。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、BCMAを含む。
【0030】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断は、ガンマセクレターゼ阻害剤により阻害もしくは低減される、または阻害もしくは低減されることができる。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、Muc1を含む。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、BCMAを含む。
【0031】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、標的を0.01nM~1μM、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~1μM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~1μM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~1μM、0.25nM~100nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.5nM~1μM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~1μM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~1μM、5nM~100nM、5nM~10nM、10nM~1μM、10nM~100nMまたは100nM~1μMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0032】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、標的を1μM未満、100nM未満、10nM未満、5nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.35nM未満、0.25nM未満、0.1nM未満、0.05nM、0.01nM未満もしくはこれ以下、または約1μM未満、約100nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約1nM未満、約0.5nM未満、約0.35nM未満、約0.25nM未満、約0.1nM未満、約0.05nM未満、約0.01nM未満、もしくはこれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0033】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチド阻害剤または非ペプチド阻害剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチド阻害剤であり、ペプチド阻害剤は、ペプチドアルデヒド誘導体、ジフルオロケトン誘導体、ヒドロキシエチレン型ジペプチドイソスター誘導体、アルファ-ヘリカルペプチド誘導体およびジペプチド類似体より選択される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、非ペプチド阻害剤であり、非ペプチド阻害剤は、ベンゾジアゼピン誘導体またはスルホンアミド誘導体である。
【0034】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、遷移状態阻害剤または非遷移状態阻害剤である。
【0035】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、非ステロイド性抗炎症薬である。
【0036】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される。
【0037】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩である。
【0038】
(a)疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与すること;および(b)対象に構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供される。
【0039】
疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供され、その際、細胞療法の投与の開始時点で、対象は、構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている。
【0040】
疾患または障害を有する対象に、構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供され、その際、投与の開始時点で、対象は、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている。
【0041】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、標的抗原は、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される。いくつかの態様において、標的抗原はMuc1である。いくつかの態様において、標的抗原はBCMAである。いくつかの態様において、BCMAは表面BCMAである。いくつかの態様において、組換え受容体は、可溶BCMAと結合しない、または表面BCMAに対する結合に関する組換え受容体の親和性よりも低い親和性で可溶BCMAに結合する。いくつかの態様において、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に対する抗原結合ドメインの親和性は、可溶BCMAに対する親和性よりも少なくとも1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、または10倍高い。
【0042】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、対象は、形質細胞、または表面BCMAを発現している癌細胞もしくは骨髄腫細胞もしくは形質細胞マーカーを発現している細胞を含む。
【0043】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、対象は、表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現を含む細胞を有するとして選択され;かつ/または細胞療法および/もしくは阻害剤の投与について対象を選択することは、表面BCMAの低発現を含む形質細胞を有することに基づく。
【0044】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の標的は、標的抗原であり、ガンマセクレターゼ阻害剤は、標的抗原の切断を阻害する。
【0045】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤の投与は、細胞、任意で形質細胞からのBCMAの切断または放出を、阻害剤の投与前の対象における細胞からのBCMAの切断または放出のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;対象の血清中に検出されるBCMAのレベルまたは量を、阻害剤の投与前の対象の血清中のBCMAのレベルまたは量と比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;かつ/あるいは細胞上、任意で形質細胞上の表面BCMAの発現を、阻害剤の投与前の対象における細胞上の表面BCMAのレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上増大させる。
【0046】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤の投与は、細胞、任意で形質細胞からの標的または標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の切断または放出を、阻害剤の投与前の対象における細胞からの標的または標的抗原の切断または放出のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;対象の血清中に検出される標的または標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1のレベルまたは量を、阻害剤の投与前の対象の血清中の標的または標的抗原のレベルまたは量と比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;かつ/あるいは細胞上、任意で形質細胞上の表面標的または標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の発現を、阻害剤の投与前の対象における細胞上の表面標的または標的抗原のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上増大させる。
【0047】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、疾患または障害は、癌である。いくつかの態様において、癌は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様において、癌は、多発性骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞起源の癌および/またはB細胞起源の癌である。
【0048】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤は、経口、皮下または静脈内投与される。いくつかの態様において、阻害剤は、経口投与される。
【0049】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤は、1日に少なくとも6回もしくは6回、1日に少なくとも5回もしくは5回、1日に少なくとも4回もしくは4回、1日に少なくとも3回もしくは3回、1日に少なくとも2回もしくは2回、1日に少なくとも1回もしくは1回、2日に少なくとも1回もしくは1回、1週間に少なくとも3回もしくは3回、1週間に少なくとも1回、または少なくとも1回だけもしくは1回だけ投与される。いくつかの態様において、阻害剤は、1週間に3回投与される。
【0050】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤の投与は、少なくとも14日もしくは少なくとも約14日もしくは14日、少なくとも21日もしくは少なくとも約21日もしくは21日または少なくとも28日もしくは少なくとも約28日もしくは28日である処置サイクルで実施される。
【0051】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤は、0.5mg~500mg、0.5mg~250mg、0.5mg~100mg、0.5mg~50mg、0.5mg~25mg、0.5mg~10mg、0.5mg~5.0mg、0.5mg~2.5mg、0.5mg~1.0mg、1.0mg~500mg、1.0mg~250mg、1.0mg~100mg、1.0mg~50mg、1.0mg~25mg、1.0mg~10mg、1.0mg~5.0mg、1.0mg~2.5mg、2.5mg~500mg、2.5mg~250mg、2.5mg~100mg、2.5mg~50mg、2.5mg~25mg、2.5mg~10mg、2.5mg~5.0mg、5.0mg~500mg、5.0mg~250mg、5.0mg~100mg、5.0mg~50mg、5.0mg~25mg、5.0mg~10mg、10mg~500mg、10mg~250mg、10mg~100mg、10mg~50mg、10mg~25mg、25mg~500mg、25mg~250mg、25mg~100mg、25mg~50mg、50mg~500mg、50mg~250mg、50mg~100mg、100mg~500mg、100mg~250mgまたは250mg~500mgの量で投与される、または阻害剤の各投与は、その量で独立して投与される。いくつかの態様において、少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mgもしくは0.5mgもしくは約0.5mg、少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mgもしくは1.0mgもしくは約1.0mg、少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mgもしくは2.5mgもしくは約2.5mg、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mg、少なくとも250mgもしくは少なくとも約250mgもしくは250mgもしくは約250mg、または少なくとも500mgもしくは少なくとも約500mgもしくは500mgもしくは約500mgである量で、阻害剤は投与される、あるいは阻害剤の各投与は独立して投与される。
【0052】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)または機能性非T細胞受容体である。いくつかの態様において、組換え受容体は、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)は、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである。
【0053】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、対象はヒトである。
【0054】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、BCMAはヒトBCMAである、または標的抗原はヒト抗原である。
【0055】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、遺伝子操作細胞は、T細胞またはNK細胞を含む。いくつかの態様において、細胞療法はT細胞療法であり、遺伝子操作細胞の用量は、T細胞を含む。いくつかの態様において、T細胞は、CD4+および/またはCD8+である。いくつかの態様において、T細胞は、対象から得られた初代T細胞である。
【0056】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、細胞療法は、対象に対して自家である細胞を含む。
【0057】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、細胞療法は、対象に対して同種である細胞を含む。
【0058】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、細胞療法は、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の投与を含む;細胞療法は、1×105~1×108個もしくは約1×105~1×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMCの投与を含む(それぞれ両端の値を含む)。
【0059】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、細胞療法は、5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC);2.5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総PBMC;1×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総PBMC;1×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総PBMC;0.5×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総PBMC;1×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総PBMC;0.5×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総PBMCの投与を含む。
【0060】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始の前、それと同時、またはその後である。いくつかの態様において、阻害剤は、細胞療法の投与の開始の前に投与される。いくつかの態様において、阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始前の1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、または1週間以内もしくは約1週間以内である。いくつかの態様において、阻害剤は、細胞療法の投与の開始の後に投与される。いくつかの態様において、阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始後1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、1週間以内もしくは約1週間以内、14日以内もしくは約14日以内、21日以内もしくは約21日以内、28日以内もしくは約28日以内、またはそれ以上である。いくつかの態様において、阻害剤は、細胞の投与の開始後、最大7日、最大14日、最大21日、最大28日またはそれ以上投与される。
【0061】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤は、下記の時点で投与される:対象由来の血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与を開始した後の先行する時点での対象における場合と比較して低下している時点;血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与の投与開始の後で対象の血液中の検出可能な細胞療法の細胞のピーク数もしくは最大数の1.5倍未満もしくは約1.5倍未満、2倍未満もしくは約2倍未満、3倍未満もしくは約3倍未満、4倍未満もしくは約4倍未満、5倍未満もしくは約5倍未満、10倍未満もしくは約10倍未満、50倍未満もしくは約50倍未満、100倍未満もしくは約100倍未満、またはそれ以下である時点;および/あるいは細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが対象の血液で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能な細胞の数または該細胞に由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満もしくは0.1%未満よりも少ない時点。
【0062】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、方法は、細胞療法の投与前にリンパ球枯渇化学療法を投与することをさらに含み、かつ/またはその際、対象は、細胞の投与前にリンパ球枯渇化学療法を受けたことがある。いくつかの態様において、リンパ球枯渇化学療法は、対象にフルダラビンおよび/またはシクロホスファミドを投与することを含む。
【0063】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、方法は、ステロイドを投与することをさらに含み、任意でその際、ステロイドは、阻害剤の投与の開始の前、それと同時および/またはその後に投与され、任意でその際、ステロイドは、阻害剤による処置のサイクルの間に投与される。いくつかの態様において、ステロイドは、デキサメタゾンであるまたはそれを含む。
【0064】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、細胞療法は、ガンマセクレターゼ阻害剤の非存在下で細胞療法が対象に投与される方法と比較して、対象における増大したまたは長期にわたる拡大および/または持続性を示す。
【0065】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、方法は、それにより疾患または障害の1つまたは複数の症状または転帰を予防、低減または回復させる。
【0066】
(a)疾患または障害を有する対象に、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするまたはそれに特異的な治療剤または治療法を投与すること;および(b)対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与することを伴う処置方法が、本明細書において提供される。
【0067】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、治療剤または治療法は、抗体またはその抗原結合フラグメント、任意で二重特異性抗体であるまたはそれを含む。いくつかの態様において、治療剤または治療法は、T細胞抗原、任意でCD2またはCD3をさらに標的とするまたはそれに特異的に結合する二重特異性抗体である。いくつかの態様において、治療剤または治療法は、第2の抗原をさらに標的とする二重特異性抗体であり、任意でその際、第2の抗原は、CD19、CD20、CD22、CD33、CD38、CS1、ROR1、GPC3、CD123、IL-13R、CD138、c-Met、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1、MAGE A3、および糖脂質F77より選択される。
【0068】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される。
【0069】
本明細書において提供される方法の任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩である。
【0070】
(a)表面B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ受容体を発現している遺伝子操作細胞;(b)ガンマセクレターゼ阻害剤を含む組み合わせが、本明細書において提供され、その際、表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意でBCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。
【0071】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAの膜内切断を阻害する。
【0072】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAの膜内切断を0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.35nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.35nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.35nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.25nM~0.35nM、0.35nM~10nM、0.35nM~5nM、0.35nM~1nM、0.35nM~0.5nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~10nM、1nM~5nMまたは5nM~10nMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAの膜内切断を10nM未満もしくは約10nM未満、5nM未満もしくは約5nM未満、1nM未満もしくは約1nM未満、0.5nM未満もしくは約0.5nM未満、0.35nM未満もしくは約0.35nM未満、0.25nM未満もしくは約0.25nM未満、0.1nM未満もしくは約0.1nM未満、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満、またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0073】
(a)組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞であって、組換え受容体が、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合しない、遺伝子操作細胞;および(b)ガンマセクレターゼ阻害剤を含む組み合わせが、本明細書において提供される。
【0074】
(a)組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞であって、組換え受容体が、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合しない、遺伝子操作細胞;および(b)ガンマセクレターゼ阻害剤を含む組み合わせが、本明細書において提供され、その際、表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、表面BCMAを発現している細胞に曝露後に、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意でBCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。
【0075】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、標的抗原は、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される。いくつかの態様において、標的抗原はMuc1である。
【0076】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断を阻害もしくは低減する、または阻害もしくは低減することが可能である。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、Muc1を含む。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、BCMAを含む。
【0077】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断は、ガンマセクレターゼ阻害剤により阻害もしくは低減される、または阻害もしくは低減されることができる。いくつかの態様において、その切断が阻害または低減される1つまたは複数の標的は、Muc1を含む。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、BCMAを含む。
【0078】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、標的を0.01nM~1μM、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~1μM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~1μM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~1μM、0.25nM~100nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.5nM~1μM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~1μM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~1μM、5nM~100nM、5nM~10nM、10nM~1μM、10nM~100nMまたは100nM~1μMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、標的を1μM未満もしくは約1μM未満、100nM未満もしくは約100nM未満、10nM未満もしくは約10nM未満、5nM未満もしくは約5nM未満、1nM未満もしくは約1nM未満、0.5nM未満もしくは約0.5nM未満、0.35nM未満もしくは約0.35nM未満、0.25nM未満もしくは約0.25nM未満、0.1nM未満もしくは約0.1nM未満、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満、またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0079】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチド阻害剤または非ペプチド阻害剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチド阻害剤であり、ペプチド阻害剤は、ペプチドアルデヒド誘導体、ジフルオロケトン誘導体、ヒドロキシエチレン型ジペプチドイソスター誘導体、アルファ-ヘリカルペプチド誘導体およびジペプチド類似体より選択される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、非ペプチド阻害剤であり、非ペプチド阻害剤は、ベンゾジアゼピン誘導体またはスルホンアミド誘導体である。
【0080】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、遷移状態阻害剤または非遷移状態阻害剤である。
【0081】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、非ステロイド性抗炎症薬である。
【0082】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される。
【0083】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩である。
【0084】
(a)組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞;および(b)構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩を含む組み合わせが、本明細書において提供される。
【0085】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、標的抗原は、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される。いくつかの態様において、標的抗原はMuc1である。
【0086】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、標的抗原はBCMAである。いくつかの態様において、BCMAは表面BCMAである。いくつかの態様において、表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、表面BCMAを発現している細胞に曝露後に、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意でBCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。いくつかの態様において、組換え受容体は、可溶BCMAと結合しないまたは表面BCMAへの結合についての該組換え受容体の親和性よりも低い親和性で可溶BCMAに結合する
【0087】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)または機能性非T細胞受容体である。いくつかの態様において、組換え受容体は、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)は、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである。
【0088】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、BCMAは、ヒトBCMAである、または標的抗原は、ヒト抗原である。
【0089】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、遺伝子操作細胞は、T細胞またはNK細胞を含む。いくつかの態様において、遺伝子操作細胞は、T細胞を含む。いくつかの態様において、T細胞は、CD4+および/またはCD8+である。いくつかの態様において、T細胞は、対象から得られた初代T細胞である。
【0090】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、遺伝子操作細胞は、対象への投与のための薬学的組成物として製剤化され、任意でその際、細胞は、疾患または状態を処置するための1つまたは複数の単位用量の状態で投与のために製剤化される。
【0091】
本明細書において提供される組み合わせの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、対象への投与のための薬学的組成物として製剤化され、任意でその際、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1つまたは複数の単位用量の状態で投与のために製剤化される。
【0092】
請求項99~139のいずれか一項記載の組み合わせと、疾患または障害を有する対象に組み合わせの構成成分を投与するための説明書とを含有するキットが、本明細書において提供される。
【0093】
(a)細胞表面でのB細胞成熟抗原(BCMA)の発現を検出するための試薬;(b)任意で1つまたは複数の単位用量の状態で投与のために製剤化されたガンマセクレターゼ阻害剤;および(c)癌を有する対象における形質細胞表面でのBCMAを検出するための試薬の使用結果に基づき対象に阻害剤を投与するための説明書を含有するキットが、本明細書において提供される。
【0094】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、形質細胞が表面BCMAの低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む場合に、対象に阻害剤を投与することを規定する。いくつかの態様において、表面BCMAの発現の閾値レベルは、複数の対照対象における形質細胞上の表面BCMAの発現またはレベルの平均または中央値よりも低く、任意でその際、対照対象は、健康または正常な対象の群である。いくつかの態様において、対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満が表面BCMAを発現する場合、あるいは表面BCMAの閾値レベルが、対象における表面BCMAを発現する形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満である場合に、表面BCMAの低発現が存在する。
【0095】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、キットは、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞をさらに含有し、任意でその際、遺伝子操作細胞は、疾患または状態を有する対象への1つまたは複数の単位用量の投与のために製剤化される。いくつかの態様において、組換え受容体は、疾患または状態に関連する標的抗原に特異的に結合する。
【0096】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、疾患または障害を有する対象に、対象への遺伝子操作細胞の用量の投与の開始の前、それと同時またはその後に、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその1つもしくは複数の単位用量を投与することを規定し、任意でその際、遺伝子操作細胞は、疾患または状態を有する対象への1つまたは複数の単位用量の投与のために製剤化される。いくつかの態様において、説明書は、疾患または障害を有する対象に、対象への遺伝子操作細胞の用量の投与の開始の前に、ガンマセクレターゼ阻害剤、またはその1つもしくは複数の単位用量を投与することを規定する。いくつかの態様において、説明書は、細胞療法の投与の開始前の1時間以内もしくは約1時間以内に、2時間以内もしくは約2時間以内に、6時間以内もしくは約6時間以内に、12時間以内もしくは約12時間以内に、24時間以内もしくは約24時間以内に、48時間以内もしくは約48時間以内に、72時間以内もしくは約72時間以内に、96時間以内もしくは約96時間以内に、または1週間以内もしくは約1週間以内に阻害剤を投与することを規定する。いくつかの態様において、説明書は、疾患または障害を有する対象に、対象への遺伝子操作細胞の用量の投与の開始後に、ガンマセクレターゼ阻害剤、またはその1つもしくは複数の単位用量を投与することを規定する。
【0097】
(a)任意で1つまたは複数の単位用量の状態で製剤化された、ガンマセクレターゼ阻害剤;および(b)対象への組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法の投与の開始後に、対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与するための説明書を含有するキットが、本明細書において提供される。
【0098】
(a)任意で1つまたは複数の単位用量の状態で製剤化された、ガンマセクレターゼ阻害剤;および(b)対象への、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法の投与の開始後に対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与するための説明書を含有するキットが、本明細書において提供され、その際、表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、表面BCMAを発現している細胞に曝露後に、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意でBCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。
【0099】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、阻害剤の投与の開始は、遺伝子操作細胞の用量の投与の開始後1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、1週間以内もしくは約1週間以内、14日以内もしくは約14日以内、21日以内もしくは約21日以内、28日以内もしくは約28日以内、またはそれ以上である。
【0100】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、阻害剤が、下記の時点で投与するためのものであることを規定する:対象由来の血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与を開始した後の先行する時点での対象における場合と比較して低下している時点;血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与の投与開始の後で対象の血液中の検出可能な細胞療法の細胞のピーク数もしくは最大数の1.5倍未満もしくは約1.5倍未満、2倍未満もしくは約2倍未満、3倍未満もしくは約3倍未満、4倍未満もしくは約4倍未満、5倍未満もしくは約5倍未満、10倍未満もしくは約10倍未満、50倍未満もしくは約50倍未満、100倍未満もしくは約100倍未満、またはそれ以下である時点;および/あるいは細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが対象の血液で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能な細胞の数または該細胞に由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満または0.1%未満よりも少ない時点。
【0101】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、阻害剤が、細胞の投与の開始後、最大7日、最大14日、最大21日、最大28日またはそれ以上投与するためのものであることを規定する。
【0102】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する。いくつかの態様において、標的抗原は、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される。いくつかの態様において、標的抗原は、Muc1、任意でヒトMuc1である。任意の態様のいくつかの態様において、標的抗原はヒト抗原である。
【0103】
いくつかの態様において、標的抗原はBCMA、任意でヒトBCMAである。いくつかの態様において、表面BCMAへのCARの結合または機能もしくは活性を示す尺度は、表面BCMAを発現している細胞に曝露後に、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されず、任意でBCMAの可溶型または放出型は、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である。いくつかの態様において、組換え受容体は、可溶BCMAと結合しない、または表面BCMAへの結合についての組換え受容体の親和性よりも低い親和性で可溶BCMAに結合する。
【0104】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、組換え受容体は、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)または機能性非T細胞受容体である。いくつかの態様において、組換え受容体は、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体(CAR)は、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、共刺激シグナル伝達領域は、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである。
【0105】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、遺伝子操作細胞は、T細胞またはNK細胞を含む。いくつかの態様において、遺伝子操作細胞は、T細胞を含む。いくつかの態様において、T細胞は、CD4+および/またはCD8+である。いくつかの態様において、T細胞は、対象から得られた初代T細胞である。
【0106】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断を阻害もしくは低減する、または阻害もしくは低減することが可能である。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、Muc1を含む。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、BCMAを含む。
【0107】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断は、ガンマセクレターゼ阻害剤により阻害もしくは低減される、または阻害もしくは低減されることができる。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、Muc1を含む。いくつかの態様において、その切断が低減または阻害される1つまたは複数の標的は、BCMAを含む。
【0108】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、標的を0.01nM~1μM、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~1μM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~1μM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~1μM、0.25nM~100nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.5nM~1μM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~1μM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~1μM、5nM~100nM、5nM~10nM、10nM~1μM、10nM~100nMまたは100nM~1μMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0109】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、標的を1μM未満もしくは約1μM未満、100nM未満もしくは約100nM未満、10nM未満もしくは約10nM未満、5nM未満もしくは約5nM未満、1nM未満もしくは約1nM未満、0.5nM未満もしくは約0.5nM未満、0.35nM未満もしくは約0.35nM未満、0.25nM未満もしくは約0.25nM未満、0.1nM未満もしくは約0.1nM未満、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満、またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する。
【0110】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチド阻害剤または非ペプチド阻害剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチド阻害剤であり、ペプチド阻害剤は、ペプチドアルデヒド誘導体、ジフルオロケトン誘導体、ヒドロキシエチレン型ジペプチドイソスター誘導体、アルファ-ヘリカルペプチド誘導体およびジペプチド類似体より選択される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、非ペプチド阻害剤であり、非ペプチド阻害剤は、ベンゾジアゼピン誘導体またはスルホンアミド誘導体である。
【0111】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、遷移状態阻害剤または非遷移状態阻害剤である。
【0112】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、非ステロイド性抗炎症薬である。
【0113】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される。
【0114】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
の化合物またはその水和物の薬学的に許容される塩である。
【0115】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、疾患または障害を有する対象に遺伝子操作細胞の用量を投与することを規定する。いくつかの態様において、疾患または障害は、癌である。いくつかの態様において、癌は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様において、癌は、多発性骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞起源の癌および/またはB細胞起源の癌である。
【0116】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、用量は、1×105~5×108個または約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)を含み;細胞療法は、1×105~1×108個もしくは約1×105~1×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;または1×106~1×107もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMCの投与を含み(それぞれ両端の値を含む);任意で説明書は、細胞の用量を含む1つもしくは複数の単位用量および/または細胞の用量を含むこのような1つもしくは複数の単位用量に対応する体積の投与を規定する。
【0117】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、用量は、5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC);2.5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;1×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;1×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;0.5×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;1×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMC;0.5×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総PBMCを含み;任意でその際、説明書は、細胞の用量を含む1つもしくは複数の単位用量および/または細胞の用量を含むこのような1つもしくは複数の単位用量に対応する体積の投与を規定する。
【0118】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、阻害剤を経口、皮下または静脈内投与することを規定する。いくつかの態様において、説明書は、阻害剤を経口投与することを規定する。
【0119】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、少なくとも1日に6回、1日に5回、1日に4回、1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日に1回、1週間に3回、1週間に少なくとも1回、または1回だけ阻害剤が投与されることになることを規定する。いくつかの態様において、説明書は、阻害剤が1週間に3回投与されることを規定する。
【0120】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、阻害剤の投与が少なくとも14日もしくは少なくとも約14日もしくは14日、少なくとも21日もしくは少なくとも約21日もしくは21日または少なくとも28日もしくは少なくとも約28日もしくは28日である処置サイクルで実施するためのものであることを規定する。
【0121】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、0.5mg~500mg、0.5mg~250mg、0.5mg~100mg、0.5mg~50mg、0.5mg~25mg、0.5mg~10mg、0.5mg~5.0mg、0.5mg~2.5mg、0.5mg~1.0mg、1.0mg~500mg、1.0mg~250mg、1.0mg~100mg、1.0mg~50mg、1.0mg~25mg、1.0mg~10mg、1.0mg~5.0mg、1.0mg~2.5mg、2.5mg~500mg、2.5mg~250mg、2.5mg~100mg、2.5mg~50mg、2.5mg~25mg、2.5mg~10mg、2.5mg~5.0mg、5.0mg~500mg、5.0mg~250mg、5.0mg~100mg、5.0mg~50mg、5.0mg~25mg、5.0mg~10mg、10mg~500mg、10mg~250mg、10mg~100mg、10mg~50mg、10mg~25mg、25mg~500mg、25mg~250mg、25mg~100mg、25mg~50mg、50mg~500mg、50mg~250mg、50mg~100mg、100mg~500mg、100mg~250mgもしくは250mg~500mgの量で、阻害剤が投与される、または阻害剤の各投与が独立して投与されることを規定する。
【0122】
本明細書提供のキットの任意の1つのいくつかの態様において、説明書は、少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mgもしくは0.5mgもしくは約0.5mg、少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mgもしくは1.0mgもしくは約1.0mg、少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mgもしくは2.5mgもしくは約2.5mg、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mg、少なくとも250mgもしくは少なくとも約250mgもしくは250mgもしくは約250mg、または少なくとも500mgもしくは少なくとも約500mgもしくは500mgもしくは約500mgである量で、阻害剤が投与される、あるいは阻害剤の各投与が独立して投与されることを規定する。
[本発明1001]
(a)疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している免疫細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程;および
(b)構造:
の化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物を、対象に投与する工程
を含む、処置方法。
[本発明1002]
疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している免疫細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程を含む処置方法であって、
細胞療法の投与の開始時点で、対象が、構造:
を有する化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている、処置方法。
[本発明1003]
疾患または障害を有する対象に、構造:
を有する化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物を投与する工程を含む、処置方法であって、
投与の開始時点で、対象が、組換え受容体を発現している免疫細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている、処置方法。
[本発明1004]
化合物の投与の開始が、細胞療法の投与の開始の前、それと同時、またはその後である、本発明1001または1003の方法。
[本発明1005]
化合物が、細胞療法の投与の開始前に投与される、本発明1004の方法。
[本発明1006]
化合物の投与の開始が、細胞療法の投与の開始前の1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、または1週間以内もしくは約1週間以内である、本発明1001または1002の方法。
[本発明1007]
化合物が、細胞療法の投与の開始の後に投与される、本発明1006の方法。
[本発明1008]
(a)疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している免疫細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程;および
(b)(a)における投与の後に、構造:
を有する化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物を、対象に投与する工程
を含む、処置方法。
[本発明1009]
疾患または障害を有する対象に化合物を投与する工程を含む処置方法であって、
投与の開始時点で、対象が、組換え受容体を発現している免疫細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けており、化合物が、構造:
を有する化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物である、処置方法。
[本発明1010]
細胞療法または組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、本発明1001~1009のいずれかの方法。
[本発明1011]
細胞療法または組換え受容体が、標的抗原に特異的に結合し、化合物が、標的抗原の切断を阻害することが可能であり、かつ/または標的抗原が、ガンマセクレターゼにより切断される、本発明1001~1010のいずれかの方法。
[本発明1012]
細胞療法および/または組換え受容体が、BCMAに特異的に結合する、またはBCMAを標的とする、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1013]
細胞療法および/または組換え受容体が、形質細胞の表面および/または多発性骨髄腫細胞の表面に発現されたBCMAに結合する、本発明1012の方法。
[本発明1014]
細胞療法および/または組換え受容体が、Muc1に特異的に結合する、本発明1001~1011のいずれかの方法。
[本発明1015]
組換え受容体がキメラ抗原受容体である、本発明1001~1014のいずれかの方法。
[本発明1016]
化合物が、ガンマセクレターゼを阻害すること、またはその活性もしくは機能を阻害することが可能である、本発明1001~1015のいずれかの方法。
[本発明1017]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、BCMAの膜内切断を阻害する、または阻害することが可能である、本発明1001~1016のいずれかの方法。
[本発明1018]
対象が、形質細胞、または表面BCMAを発現している癌細胞もしくは骨髄腫細胞もしくは形質細胞マーカーを発現している細胞を含む、本発明1001~1017のいずれかの方法。
[本発明1019]
対象が癌を有し、対象における癌細胞が、(i)CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現するかまたは形質細胞に由来し、かつ(ii)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含み;かつ/あるいは
前記方法が、癌を有する対象を選択する工程をさらに含み、対象における癌細胞が、(i)CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現するかまたは形質細胞に由来し、かつ(ii)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む、
本発明1017または1018の方法。
[本発明1020]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、経口、皮下または静脈内投与される、本発明1001~1019のいずれかの方法。
[本発明1021]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、経口投与される、本発明1001~1020のいずれかの方法。
[本発明1022]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、少なくとも、1日に6回、1日に5回、1日に4回、1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日に1回、1週間に3回、少なくとも1週間に1回、1週間に2回、もしくは少なくとも1回だけ投与されるか、または1日に6回、1日に5回、1日に4回、1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日に1回、1週間に3回、少なくとも1週間に1回、1週間に2回、もしくは少なくとも1回だけ投与され;あるいは
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、1日に6回、1日に5回、1日に4回、1日に3回、1日に2回、1日に1回、2日に1回、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、または1回だけ、化合物の処置期間にわたり投与される、
本発明1001~1021のいずれかの方法。
[本発明1023]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、2日に1回、任意で化合物の処置期間にわたり投与される、本発明1001~1022のいずれかの方法。
[本発明1024]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、1日1回以下、任意で化合物の処置期間にわたり投与される、本発明1001~1022のいずれかの方法。
[本発明1025]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、1週間に1~3回、任意で化合物の処置期間にわたり投与される、本発明1001~1022のいずれかの方法。
[本発明1026]
投与が、化合物の処置期間にわたる、本発明1022~1025のいずれかの方法。
[本発明1027]
化合物の処置期間が、
少なくとも14日もしくは少なくとも約14日もしくは14日もしくは約14日である;
少なくとも21日もしくは少なくとも約21日もしくは21日もしくは約21日である;または
少なくとも28日もしくは少なくとも約28日もしくは28日もしくは約28日である、
本発明1022~1026のいずれかの方法。
[本発明1028]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物が、1.0mg~100mg、1.0mg~50mg、1.0mg~25mg、1.0mg~10mg、1.0mg~5.0mg、5.0mg~100mg、5.0mg~50mg、5.0mg~25mg、5.0mg~10mg、10mg~100mg、10mg~50mg、10mg~25mg、25mg~100mg、25mg~50mgの量で投与される、あるいは
化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して1.0mg~100mg、1.0mg~50mg、1.0mg~25mg、1.0mg~10mg、1.0mg~5.0mg、5.0mg~100mg、5.0mg~50mg、5.0mg~25mg、5.0mg~10mg、10mg~100mg、10mg~50mg、10mg~25mg、25mg~100mg、25mg~50mgの量での投与を含む、
本発明1001~1027のいずれかの方法。
[本発明1029]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mgもしくは0.5mgもしくは約0.5mg、少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mgもしくは1.0mgもしくは約1.0mg、少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mgもしくは2.5mgもしくは約2.5mg、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mg、少なくとも250mgもしくは少なくとも約250mgもしくは250mgもしくは約250mg、または少なくとも500mgもしくは少なくとも約500mgもしくは500mgもしくは約500mgである量で投与される、あるいは
化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mgもしくは0.5mgもしくは約0.5mg、少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mgもしくは1.0mgもしくは約1.0mg、少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mgもしくは2.5mgもしくは約2.5mg、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mg、少なくとも250mgもしくは少なくとも約250mgもしくは250mgもしくは約250mg、または少なくとも500mgもしくは少なくとも約500mgもしくは500mgもしくは約500mgである量である、
本発明1001~1028のいずれかの方法。
[本発明1030]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも15mgもしくは少なくとも約15mgもしくは15mgもしくは約15mg、少なくとも16mgもしくは少なくとも約16mgもしくは16mgもしくは約16mg、少なくとも17mgもしくは少なくとも約17mgもしくは17mgもしくは約17mg、少なくとも18mgもしくは少なくとも約18mgもしくは18mgもしくは約18mg、少なくとも19mgもしくは少なくとも約19mgもしくは19mgもしくは約19mg、少なくとも20mgもしくは少なくとも約20mgもしくは20mgもしくは約20mg、少なくとも21mgもしくは少なくとも約21mgもしくは21mgもしくは約21mg、少なくとも22mgもしくは少なくとも約22mgもしくは22mgもしくは約22mg、少なくとも23mgもしくは少なくとも約23mgもしくは23mgもしくは約23mg、少なくとも24mgもしくは少なくとも約24mgもしくは24mgもしくは約24mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、または少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mgである量で投与される、あるいは
化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも15mgもしくは少なくとも約15mgもしくは15mgもしくは約15mg、少なくとも16mgもしくは少なくとも約16mgもしくは16mgもしくは約16mg、少なくとも17mgもしくは少なくとも約17mgもしくは17mgもしくは約17mg、少なくとも18mgもしくは少なくとも約18mgもしくは18mgもしくは約18mg、少なくとも19mgもしくは少なくとも約19mgもしくは19mgもしくは約19mg、少なくとも20mgもしくは少なくとも約20mgもしくは20mgもしくは約20mg、少なくとも21mgもしくは少なくとも約21mgもしくは21mgもしくは約21mg、少なくとも22mgもしくは少なくとも約22mgもしくは22mgもしくは約22mg、少なくとも23mgもしくは少なくとも約23mgもしくは23mgもしくは約23mg、少なくとも24mgもしくは少なくとも約24mgもしくは24mgもしくは約24mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、または少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mgである量である、
本発明1001~1029のいずれかの方法。
[本発明1031]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、少なくとも50mgまたは少なくとも約50mgまたは50mgまたは約50mgである量で投与される、あるいは化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して少なくとも50mgまたは少なくとも約50mgまたは50mgまたは約50mgである量である、本発明1001~1030のいずれかの方法。
[本発明1032]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、50mgまたは約50mgの量で投与される、あるいは化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して50mgまたは約50mgの量である、本発明1001~1031のいずれかの方法。
[本発明1033]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、少なくとも25mgまたは少なくとも約25mgまたは25mgまたは約25mgである量で投与される、あるいは化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して少なくとも25mgまたは少なくとも約25mまたは25mまたは約25mgである量である、本発明1001~1030のいずれかの方法。
[本発明1034]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、25mgまたは約25mgの量で投与される、あるいは化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して25mgまたは約25mgの量である、本発明1001~1030および1033のいずれかの方法。
[本発明1035]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、0.1mg/kg対象重量もしくは約0.1mg/kg対象重量、0.2mg/kg対象重量もしくは約0.2mg/kg対象重量、0.21mg/kg対象重量もしくは約0.21mg/kg対象重量、0.22mg/kg対象重量もしくは約0.22mg/kg対象重量、0.23mg/kg対象重量もしくは約0.23mg/kg対象重量、0.24mg/kg対象重量もしくは約0.24mg/kg対象重量、0.25mg/kg対象重量もしくは約0.25mg/kg対象重量、0.3mg/kg対象重量もしくは約0.3mg/kg対象重量、0.4mg/kg対象重量もしくは約0.4mg/kg対象重量、または0.5mg/kg対象重量もしくは約0.5mg/kg対象重量の量で投与される、あるいは化合物の処置期間中、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の1つもしくは複数の投与または各投与が、独立して0.1mg/kg対象重量もしくは約0.1mg/kg対象重量、0.2mg/kg対象重量もしくは約0.2mg/kg対象重量、0.21mg/kg対象重量もしくは約0.21mg/kg対象重量、0.22mg/kg対象重量もしくは約0.22mg/kg対象重量、0.23mg/kg対象重量もしくは約0.23mg/kg対象重量、0.24mg/kg対象重量もしくは約0.24mg/kg対象重量、0.25mg/kg対象重量もしくは約0.25mg/kg対象重量、0.3mg/kg対象重量もしくは約0.3mg/kg対象重量、0.4mg/kg対象重量もしくは約0.4mg/kg対象重量、または0.5mg/kg対象重量もしくは約0.5mg/kg対象重量の量である、本発明1001~1030のいずれかの方法。
[本発明1036]
細胞療法および/または組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合するまたはそれを標的とし、
化合物が、標的抗原の切断を阻害し、かつ/または標的抗原の放出を阻害する、
本発明1001~1035のいずれかの方法。
[本発明1037]
立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与が、
対象における細胞、任意で形質細胞からのBCMAの切断または放出を、化合物の投与前の対象における細胞からのBCMAの切断または放出のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;
対象の血清中に検出されるBCMAのレベルまたは量を、化合物の投与前の対象の血清中のBCMAのレベルまたは量と比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;かつ/あるいは
細胞上、任意で形質細胞上の表面BCMAの発現を、化合物の投与前の対象における細胞上の表面BCMAのレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上増大させる、
本発明1001~1036のいずれかの方法。
[本発明1038]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与が、投与の後の時点で、対象における細胞、任意で形質細胞、任意で多発性骨髄腫細胞からのBCMAの切断または放出における低下を結果として生じ、該低下が、化合物の投与前の対象における細胞からのBCMAの切断または放出のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超であり、任意で該時点が、投与の開始の24時間後もしくは約24時間後、48時間後もしくは約48時間後、36時間後もしくは約36時間後、72時間後もしくは約72時間後、または1週間後もしくは約1週間後である;
該投与が、投与の後の時点で、化合物の投与前の対象の血清中のBCMAのレベルまたは量と比較して、対象の血清中に検出または測定されるBCMAのレベルまたは量における5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上の低下を結果として生じ、任意で該時点が、投与の開始の24時間後もしくは約24時間後、48時間後もしくは約48時間後、36時間後もしくは約36時間後、72時間後もしくは約72時間後、または1週間後もしくは約1週間後である;かつ/あるいは
該投与が、投与の後の時点で、化合物の投与前の対象における細胞上の表面BCMAのレベルと比較して、対象における細胞上、任意で形質細胞上、任意で多発性骨髄腫細胞上の表面BCMAの発現の5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上の増大を結果として生じ、任意で該時点が、投与の開始の24時間後もしくは約24時間後、48時間後もしくは約48時間後、36時間後もしくは約36時間後、72時間後もしくは約72時間後、または1週間後もしくは約1週間後である、
本発明1001~1036のいずれかの方法。
[本発明1039]
化合物の投与が、
細胞、任意で形質細胞からの、細胞療法および/または組換え受容体により特異的に結合される標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の切断または放出を、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与前の対象における細胞からの標的または標的抗原の切断または放出のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;
対象の血清中に検出される、細胞療法および/または組換え受容体により特異的に結合される標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1のレベルまたは量を、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与前の対象の血清中の標的または標的抗原のレベルまたは量と比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;かつ/あるいは
細胞上、任意で形質細胞上の、細胞療法および/または組換え受容体により特異的に結合される標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の表面発現を、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与前の対象における細胞上の表面標的または標的抗原のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上増大させる、
本発明1001~1038のいずれかの方法。
[本発明1040]
化合物の投与が、投与の後の時点で、細胞、任意で形質細胞からの、細胞療法および/または組換え受容体により特異的に結合される標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の切断または放出における低下を結果として生じ、該低下が、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与前の対象における細胞からの標的または標的抗原の切断または放出のレベルと比較して、5%もしくは5%超もしくは約5%超、10%もしくは10%超もしくは約10%超、20%もしくは20%超もしくは約20%超、30%もしくは30%超もしくは約30%超、40%もしくは40%超もしくは約40%超、50%もしくは50%超もしくは約50%超、60%もしくは60%超もしくは約60%超、70%もしくは70%超もしくは約70%超、80%もしくは80%超もしくは約80%超、90%もしくは90%超もしくは約90%超、またはそれ以上である;
化合物の投与が、投与の後の時点で、対象の血清中に検出される細胞療法および/または組換え受容体により特異的に結合される標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1のレベルまたは量における低下を結果として生じ、該低下が、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与前の対象の血清中の標的または標的抗原のレベルまたは量と比較して、5%もしくは5%超もしくは約5%超、10%もしくは10%超もしくは約10%超、20%もしくは20%超もしくは約20%超、30%もしくは30%超もしくは約30%超、40%もしくは40%超もしくは約40%超、50%もしくは50%超もしくは約50%超、60%もしくは60%超もしくは約60%超、70%もしくは70%超もしくは約70%超、80%もしくは80%超もしくは約80%超、90%もしくは90%超もしくは約90%超、またはそれ以上である;かつ/あるいは
化合物の投与が、投与の後の時点で、細胞上、任意で形質細胞上の細胞療法および/または組換え受容体により特異的に結合される標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の表面発現における増大を結果として生じ、該増大が、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与前の対象における細胞上の表面標的または標的抗原のレベルと比較して、5%もしくは5%超もしくは約5%超、10%もしくは10%超もしくは約10%超、20%もしくは20%超もしくは約20%超、30%もしくは30%超もしくは約30%超、40%もしくは40%超もしくは約40%超、50%もしくは50%超もしくは約50%超、60%もしくは60%超もしくは約60%超、70%もしくは70%超もしくは約70%超、80%もしくは80%超もしくは約80%超、90%もしくは90%超もしくは約90%超、またはそれ以上である、
本発明1001~1038のいずれかの方法。
[本発明1041]
投与が、構造:
の化合物の投与を含む、本発明1001~1040のいずれかの方法。
[本発明1042]
疾患または障害が癌である、本発明1001~1041のいずれかの方法。
[本発明1043]
癌がB細胞悪性腫瘍である、本発明1042の方法。
[本発明1044]
癌が、多発性骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞起源の癌および/またはB細胞起源の癌である、本発明1042または1043の方法。
[本発明1045]
癌が多発性骨髄腫である、本発明1042または1044の方法。
[本発明1046]
癌が、再発性または不応性癌、任意で再発性または処置不応性多発性骨髄腫である、本発明1042~1045のいずれかの方法。
[本発明1047]
細胞療法の投与の前に、
(i)CD138、表面CD38、もしくは表面形質細胞マーカーを発現するか、または形質細胞に由来し、かつ
任意で、(ii)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む
癌またはその細胞を有する対象を、投与のために選択する工程をさらに含む、
本発明1001~1046のいずれかの方法。
[本発明1048]
細胞療法および/または化合物を投与された対象が、選択された対象である、本発明1047の方法。
[本発明1049]
表面BCMAの発現の閾値レベルが、複数の対照対象における形質細胞上の表面BCMAの発現またはレベルの平均または中央値よりも低く、任意で、複数の対照対象が、健康または正常な対象の群である、本発明1047または1048の方法。
[本発明1050]
対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満が表面BCMAを発現する場合に、表面BCMAの低発現が存在する;
表面BCMAの閾値レベルが、表面BCMAを発現する対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満である、
本発明1047~1049のいずれかの方法。
[本発明1051]
表面BCMAの発現が、フローサイトメトリーおよび/またはイムノアッセイにより決定される、本発明1047~1050のいずれかの方法。
[本発明1052]
(a)組換え受容体、任意でキメラ抗原受容体の抗原結合ドメインの、標的細胞の表面に発現されたBCMAに結合する能力、または
(b)表面BCMAを発現している細胞に対する組換え受容体、任意でキメラ抗原受容体の機能もしくは活性を示す尺度
が、BCMAの可溶型または放出型の濃度または量の存在下で低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されない、
本発明1047~1051のいずれかの方法。
[本発明1053]
濃度または量が、
同じまたは実質的に同じ条件下で参照抗BCMA組換え受容体または参照抗BCMA結合ドメインに関連する結合または機能もしくは活性の尺度を遮断もしくは低減するまたは実質的に遮断もしくは低減することが可能な可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量である、あるいは
生物学的試料中に存在する濃度または量である、
本発明1052の方法。
[本発明1054]
BCMAの可溶型または放出型の濃度または量が、
対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するか、または平均して疾患もしくは障害についての患者集団に存在する、濃度または量
である、本発明1052の方法。
[本発明1055]
キメラ抗原受容体(CAR)が、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、本発明1015~1054のいずれかの方法。
[本発明1056]
組換え受容体が、
SEQ ID NO:173、174および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:176、177および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:178、179および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:180、181および182のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:186、187および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;あるいは
SEQ ID NO:24に示される配列またはSEQ ID NO:24と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域、およびSEQ ID NO:25に示される配列またはSEQ ID NO:25と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;あるいは
SEQ ID NO:188に示されるアミノ酸配列またはSEQ ID NO:188と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸配列を含むscFv
を含む抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体である、本発明1001~1054のいずれかの方法。
[本発明1057]
抗原結合ドメインまたはキメラ抗原受容体が、BCMAと特異的に結合する、本発明1056の方法。
[本発明1058]
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、本発明1055~1057のいずれかの方法。
[本発明1059]
キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、本発明1055~1058のいずれかの方法。
[本発明1060]
共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む、本発明1059の方法。
[本発明1061]
共刺激シグナル伝達領域が、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである、本発明1059または1060の方法。
[本発明1062]
対象がヒトである、本発明1001~1061のいずれかの方法。
[本発明1063]
BCMAがヒトBCMAである、または標的抗原がヒト抗原である、本発明1001~1062のいずれかの方法。
[本発明1064]
免疫細胞が、T細胞またはNK細胞を含む、本発明1001~1063のいずれかの方法。
[本発明1065]
細胞療法がT細胞療法であり、免疫細胞の用量が、T細胞を含む、本発明1064の方法。
[本発明1066]
T細胞が、CD4+および/またはCD8+である、本発明1064または1065の方法。
[本発明1067]
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、本発明1064~1066のいずれかの方法。
[本発明1068]
細胞療法が、対象に対して自家である細胞を含む、本発明1001~1067のいずれかの方法。
[本発明1069]
細胞療法が、対象に対して同種である細胞を含む、本発明1001~1068のいずれかの方法。
[本発明1070]
細胞療法の投与が、1×105~5×108個または約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)の投与を含み、細胞療法が、1×105~1×108個もしくは約1×105~1×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)(それぞれ両端の値を含む)の投与を含む、本発明1001~1069のいずれかの方法。
[本発明1071]
細胞療法の投与が、5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、2.5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、0.5×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、0.5×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)の投与を含む、本発明1001~1070のいずれかの方法。
[本発明1072]
細胞療法の投与が、2.5×107または約2.5×107個のCAR発現T細胞と1.2×109または約1.2×109個のCAR発現T細胞との間、5.0×107または約5.0×107個のCAR発現T細胞と4.5×108または約4.5×108個のCAR発現T細胞との間、1.5×108または約1.5×108個のCAR発現T細胞と3.0×108または約3.0×108個のCAR発現T細胞との間(それぞれ両端の値を含む)を含む、本発明1001~1069のいずれかの方法。
[本発明1073]
細胞療法が、50×106または約50×106個と450×106または約450×106個との間の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、150×106または約150×106個と450×106または約450×106個との間の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、250×106または約250×106個と450×106または約450×106個との間の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、350×106または約350×106個と450×106または約450×106個との間の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)(それぞれ両端の値を含む)を含む、本発明1001~1069のいずれかの方法。
[本発明1074]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与の開始が、細胞療法の投与の開始後の1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、1週間以内もしくは約1週間以内、14日以内もしくは約14日以内、21日以内もしくは約21日以内、28日以内もしくは約28日以内、またはそれ以上である、本発明1001および1002~1073のいずれかの方法。
[本発明1075]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、
対象由来の血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与の開始後の先行する時点の対象と比較して低下している時点;
血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与の投与開始の後で対象の血液中の検出可能な細胞療法の細胞のピーク数または最大数の1.5倍未満もしくは約1.5倍未満、2倍未満もしくは約2倍未満、3倍未満もしくは約3倍未満、4倍未満もしくは約4倍未満、5倍未満もしくは約5倍未満、10倍未満もしくは約10倍未満、50倍未満もしくは約50倍未満、100倍未満もしくは約100倍未満、またはそれ以下である時点;および/あるいは
細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能な細胞の数または該細胞に由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満もしくは0.1%未満よりも少ない時点
で投与される、本発明1001および1002~1074のいずれかの方法。
[本発明1076]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、細胞の投与の開始後最大7日、最大14日、最大21日、最大28日またはそれ以上の化合物の処置期間に投与される、本発明1001および1003~1075のいずれかの方法。
[本発明1077]
立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、化合物の処置期間に3日毎に投与される、本発明1027または1076の方法。
[本発明1078]
立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、化合物の処置期間に1週間に3回投与される、本発明1027または1076の方法。
[本発明1079]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、細胞の投与の開始後の2日目、4日目、7日目、9日目、11日目、14日目、16日目、および18日目に投与される、本発明1001および1003~1075のいずれかの方法。
[本発明1080]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与の開始時点またはその直前に、疾患または状態が、対象において再発している、本発明1001および1003~1079のいずれかの方法。
[本発明1081]
前記方法が、細胞療法の投与前にリンパ球枯渇化学療法を投与する工程をさらに含み、かつ/または
対象が、細胞の投与前にリンパ球枯渇化学療法を受けたことがある、
本発明1001~1080のいずれかの方法。
[本発明1082]
リンパ球枯渇化学療法が、対象にフルダラビンおよび/またはシクロホスファミドを投与することを含む、本発明1081の方法。
[本発明1083]
前記方法が、ステロイドを投与する工程をさらに含み、
任意でステロイドが、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与の開始の前、それと同時、および/またはその後に投与され、
任意でステロイドが、化合物の処置期間中に投与される、
本発明1001~1082のいずれかの方法。
[本発明1084]
ステロイドが、デキサメタゾンである、またはそれを含む、本発明1083の方法。
[本発明1085]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の非存在下で細胞療法が対象に投与される方法と比較して、細胞療法が、対象において増大したまたは長期の拡大および/または持続性を示す、本発明1001~1084のいずれかの方法。
[本発明1086]
それにより、疾患または障害の1つまたは複数の症状または転帰を予防、低減または回復させる、本発明1001~1085のいずれかの方法。
[本発明1087]
(a)組換え受容体を発現している免疫細胞と、
(b)構造:
を有する化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物と
を含む、組み合わせ。
[本発明1088]
化合物が、BCMAの膜内切断を阻害もしくは低減する、または阻害もしくは低減することが可能である、本発明1087の組み合わせ。
[本発明1089]
組換え受容体および/または細胞療法が、疾患または障害に関連する標的抗原を標的とする、またはそれに特異的に結合する、本発明1087または1088の組み合わせ。
[本発明1090]
組換え抗原受容体または細胞療法が、BCMAを標的とする、またはそれに特異的に結合する、本発明1087~1089のいずれかの組み合わせ。
[本発明1091]
細胞療法または組換え受容体が、形質細胞、任意で多発性骨髄腫細胞の表面に発現されたBCMAに特異的に結合する、本発明1090の組み合わせ。
[本発明1092]
表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへの組換え抗原受容体の結合または組換え受容体発現細胞、任意でCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、
BCMAの可溶型または放出型の存在下で、任意で対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団に存在する濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは参照抗BCMA組換え受容体、任意で抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断されるかまたは実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、
低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されない、本発明1091の組み合わせ。
[本発明1093]
組換え受容体が、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である、本発明1087~1092のいずれかの組み合わせ。
[本発明1094]
組換え受容体が、キメラ抗原受容体(CAR)であり、キメラ抗原受容体が、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、本発明1093の組み合わせ。
[本発明1095]
組換え受容体が、
SEQ ID NO:173、174および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:176、177および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:178、179および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:180、181および182のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:186、187および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;あるいは
SEQ ID NO:24に示される配列またはSEQ ID NO:24と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域;およびSEQ ID NO:25に示される配列またはSEQ ID NO:25と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;あるいは
SEQ ID NO:188に示されるアミノ酸配列またはSEQ ID NO:188と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸配列を含むscFv
を含む抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体である、本発明1087~1094のいずれかの組み合わせ。
[本発明1096]
抗原結合ドメインまたはキメラ抗原受容体が、BCMAと特異的に結合する、本発明1095の組み合わせ。
[本発明1097]
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、本発明1094~1096のいずれかの組み合わせ。
[本発明1098]
キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、本発明1094~1097のいずれかの組み合わせ。
[本発明1099]
共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む、本発明1098の組み合わせ。
[本発明1100]
共刺激シグナル伝達領域が、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである、本発明1098または1099の組み合わせ。
[本発明1101]
BCMAがヒトBCMAである、または標的抗原がヒト抗原である、本発明1088~1100のいずれかの組み合わせ。
[本発明1102]
免疫細胞が、T細胞またはNK細胞を含む、本発明1087~1101のいずれかの組み合わせ。
[本発明1103]
免疫細胞が、T細胞を含む、本発明1102の組み合わせ。
[本発明1104]
T細胞が、CD4+および/またはCD8+である、本発明1102または1103の組み合わせ。
[本発明1105]
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、本発明1102~1104のいずれかの組み合わせ。
[本発明1106]
免疫細胞が、対象への投与のための薬学的組成物として製剤化され、任意で細胞が、疾患または状態を処置するための1つまたは複数の単位用量での投与のために製剤化される、本発明1087~1105のいずれかの組み合わせ。
[本発明1107]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物が、対象への投与のための薬学的組成物として製剤化され、任意で化合物が、1つまたは複数の単位用量での投与のために製剤化される、本発明1087~1106のいずれかの組み合わせ。
[本発明1108]
構造:
の化合物を含む、本発明1087~1107のいずれかの組み合わせ。
[本発明1109]
本発明1087~1108のいずれかの組み合わせと、
疾患または障害を有する対象に、免疫細胞を投与するため、および/または化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物を投与するための、説明書と
を含む、キット。
[本発明1110]
免疫細胞の投与、および/または化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物の投与が、本発明1001~1086のいずれかの方法に従うこと
を、説明書が規定する、本発明1109のキット。
[本発明1111]
前記キットが、細胞表面のB細胞成熟抗原(BCMA)の発現を検出するための試薬と、対象における癌細胞の表面のBCMAを検出するための試薬の使用結果に基づき、対象に化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物を投与するための説明書とをさらに含み、
任意で癌細胞が、CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現するか、または形質細胞に由来する、
本発明1109または1110のキット。
[本発明1112]
細胞が表面BCMAの低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む場合に、対象に化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物を投与すること
を、説明書が規定する、本発明1111のキット。
[本発明1113]
表面BCMAの発現の閾値レベルが、複数の対照対象における形質細胞上の表面BCMAの発現またはレベルの平均または中央値よりも低く、任意で対照対象が、健康または正常な対象の群である、本発明1112のキット。
[本発明1114]
対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満が、表面BCMAを発現する場合に、表面BCMAの低発現が存在する;あるいは
表面BCMAの閾値レベルが、表面BCMAを発現する対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞、または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満である、
本発明1112または1113のキット。
[本発明1115]
疾患または障害を有する対象に、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物またはその1つもしくは複数の単位用量を、該対象への免疫細胞の用量の投与の開始の前、それと同時、またはその後に投与すること
を、説明書が規定する、本発明1109~1114のいずれかのキット。
[本発明1116]
疾患または障害を有する対象に、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物、またはその1つもしくは複数の単位用量を、該対象への免疫細胞の用量の投与の開始の前に投与すること
を、説明書が規定する、本発明1115のキット。
[本発明1117]
細胞療法の投与の開始前の1時間以内もしくは約1時間以内に、2時間以内もしくは約2時間以内に、6時間以内もしくは約6時間以内に、12時間以内もしくは約12時間以内に、24時間以内もしくは約24時間以内に、48時間以内もしくは約48時間以内に、72時間以内もしくは約72時間以内に、96時間以内もしくは約96時間以内に、または1週間以内もしくは約1週間以内に化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物を投与すること
を、説明書が規定する、本発明1116のキット。
[本発明1118]
疾患または障害を有する対象に、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物、またはその1つもしくは複数の単位用量を、該対象への免疫細胞の用量の投与の開始後に投与すること
を、説明書が規定する、本発明1115のキット。
[本発明1119]
(a)任意で1つまたは複数の単位用量の状態で製剤化される、構造:
を有する化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物と、
(b)組換え受容体を発現している免疫細胞の用量を含む細胞療法の対象への投与の開始後に、対象に化合物を投与するための説明書と
を含む、キット。
[本発明1120]
免疫細胞の投与および/または化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物の投与が、本発明1001~1086のいずれかの方法に従うこと
を、説明書が規定する、本発明1119のキット。
[本発明1121]
化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物の投与の開始が、免疫細胞の用量の投与の開始後の1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、1週間以内もしくは約1週間以内、14日以内もしくは約14日以内、21日以内もしくは約21日以内、28日以内もしくは約28日以内、またはそれ以上であること
を、説明書が規定する、本発明1109~1115および1118~1120のいずれかのキット。
[本発明1122]
対象由来の血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与を開始した後の先行する時点での対象における場合と比較して低下しており、任意で先行する時点が、細胞療法の開始の1週間以内、2週間以内、3週間以内、または4週間以内である時点;
血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与の投与開始の後で対象の血液中の検出可能な細胞療法の細胞のピーク数または最大数の1.5倍未満もしくは約1.5倍未満、2倍未満もしくは約2倍未満、3倍未満もしくは約3倍未満、4倍未満もしくは約4倍未満、5倍未満もしくは約5倍未満、10倍未満もしくは約10倍未満、50倍未満もしくは約50倍未満、100倍未満もしくは約100倍未満、またはそれ以下である時点;および/あるいは
細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが対象の血液で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能な細胞の数または該細胞に由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満もしくは0.1%未満よりも少ない時点
での化合物の投与または投与開始を、説明書が規定する、本発明1109~1115および1118~1121のいずれかのキット。
[本発明1123]
化合物が、
細胞療法による処置の後、任意で客観的奏効の後に対象において疾患もしくは状態が再発した時点、および/または
細胞療法による処置の後に対象が進行したと決定された時点、および/または
細胞療法による処置の後に対象において標的抗原の低減もしくは減少が観察されていた時点
での投与のためのものであること
を、説明書が規定する、本発明1109~1115および1118~1122のいずれかのキット。
[本発明1124]
組換え抗原受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、本発明1119~1123のいずれかのキット。
[本発明1125]
標的抗原が、Muc1、任意でヒトMuc1である、本発明1124のキット。
[本発明1126]
標的抗原が、BCMA、任意でヒトBCMAである、本発明1124のキット。
[本発明1127]
表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへの組換え抗原受容体の結合または組換え受容体発現細胞、任意でCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、
対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団に存在する濃度または量に対応する、BCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは
参照抗BCMA組換え受容体、任意で抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイにおける結合または尺度が、低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される、可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、
BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されない、
本発明1126のキット。
[本発明1128]
組換え受容体が、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である、本発明1109~1127のいずれかのキット。
[本発明1129]
キメラ抗原受容体(CAR)が、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、本発明1128のキット。
[本発明1130]
組換え受容体が、
SEQ ID NO:173、174および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:176、177および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:178、179および175のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;
SEQ ID NO:180、181および182のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むVH領域、ならびにSEQ ID NO:186、187および185のアミノ酸配列をそれぞれ含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むVL領域;あるいは
SEQ ID NO:24に示される配列またはSEQ ID NO:24と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列のVH領域;およびSEQ ID NO:25に示される配列またはSEQ ID NO:25と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域;あるいは
SEQ ID NO:188に示されるアミノ酸配列またはSEQ ID NO:188と少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸配列を含むscFv
を含む抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体である、本発明1109~1129のいずれかのキット。
[本発明1131]
抗原結合ドメインまたはキメラ抗原受容体が、BCMAと特異的に結合する、本発明1130の組み合わせ。
[本発明1132]
細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、本発明1129~1131のいずれかのキット。
[本発明1133]
キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、本発明1129~1132のいずれかのキット。
[本発明1134]
共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む、本発明1133のキット。
[本発明1135]
共刺激シグナル伝達領域が、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである、本発明1133または1134のキット。
[本発明1136]
免疫細胞が、T細胞またはNK細胞を含む、本発明1109~1135のいずれかのキット。
[本発明1137]
免疫細胞が、T細胞を含む、本発明1136のキット。
[本発明1138]
T細胞が、CD4+および/またはCD8+である、本発明1136または1137のキット。
[本発明1139]
T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、本発明1136~1138のいずれかのキット。
[本発明1140]
本発明1087~1139のいずれかの組み合わせまたはキットを含む、製造品。
[本発明1141]
疾患または状態が、癌、任意で多発性骨髄腫であり、
細胞療法と、化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物との投与が、腫瘍体積、腫瘍成長、もしくは腫瘍量における低下、または生存期間もしくは無増悪生存期間における増大を結果として生じる、あるいは対象における客観的奏効または完全奏効を結果として生じる、
本発明1001~1086のいずれかの方法または本発明1087~1139のいずれかの組み合わせもしくはキット。
[本発明1142]
疾患または状態が、癌、任意で多発性骨髄腫であり、
前記方法が、対象のコホートにおける腫瘍体積、腫瘍成長、もしくは腫瘍量における低下、または生存期間、無増悪生存期間、客観的奏効率、持続的奏効、もしくは完全奏効率における増大を結果として生じ、
該低下または増大が、細胞療法または化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物単独のコホートにおける対象への投与に起因する増大または低下よりも大きい、
本発明1001~1086のいずれかの方法または本発明1087~1139のいずれかの組み合わせもしくはキット。
[本発明1143]
疾患または状態が、癌、任意で多発性骨髄腫であり、
対象のコホートにおいて、前記方法が、細胞療法単独の投与と比較して腫瘍体積、腫瘍成長、または腫瘍量における低下、あるいは細胞療法単独の投与と比較して生存期間または無増悪生存期間または客観的奏効率または完全奏効率または細胞療法の活性もしくは機能を示す尺度における増大を、結果として生じる、
本発明1001~1086のいずれかの方法または本発明1087~1139のいずれかの組み合わせもしくはキット。
[本発明1144]
低下が、無処置と比較した化合物単独のコホートにおける対象への投与後の腫瘍体積、腫瘍成長、もしく腫瘍量における低下よりも大きいか、または
増大が、無処置と比較した化合物単独のコホートにおける対象への投与後の生存期間もしくは無増悪生存期間もしくは客観的奏効率もしくは完全奏効率における増大よりも大きい、
本発明1143の方法。
[本発明1145]
疾患または状態が、癌、任意で多発性骨髄腫であり、
前記対象のコホートにおいて、方法が、細胞療法単独の投与と比較して、癌または癌細胞上のBCMAの表面発現における増大を結果として生じる、
本発明1001~1086のいずれかの方法または本発明1087~1139のいずれかの組み合わせもしくはキット。
[本発明1146]
疾患または状態が、癌、任意で多発性骨髄腫であり、
対象のコホートにおいて、前記方法が、コホートの対象への細胞療法単独の投与と比較して、および/またはコホートの対象への化合物単独の投与と比較して、血清BCMAレベルにおける低下を結果として生じる、
本発明1001~1086のいずれかの方法または本発明1087~1139のいずれかの組み合わせもしくはキット。
[本発明1147]
細胞療法単独の投与と比較した低下が、無処置と比較した化合物、立体異性体、薬学的に許容される塩または水和物単独の投与後のコホートの対象における血清BCMAレベルにおける低下よりも大きい、本発明1146の方法。
【図面の簡単な説明】
【0123】
図1】異なる濃度の代表的なガンマセクレターゼ阻害剤(LY3039478)と共に共培養されたOPM2、MM1sまたはRPMI-8826細胞上の、24時間共培養後の表面B細胞成熟抗原(BCMA)の発現レベルを示す。X軸近くの棒線は、阻害剤について推定されるCmaxおよびCminを示唆する。
図2A図2Aおよび図2Bは、ガンマセクレターゼ阻害剤の代表(LY3039478)の存在下または非存在下で抗BCMA CAR発現T細胞と共培養されたOPM2細胞(図2A)またはRPMI-8226細胞(図2B)の、約150時間共培養後の溶解パーセント(死滅%)を示す。
図2B図2Aおよび図2Bは、ガンマセクレターゼ阻害剤の代表(LY3039478)の存在下または非存在下で抗BCMA CAR発現T細胞と共培養されたOPM2細胞(図2A)またはRPMI-8226細胞(図2B)の、約150時間共培養後の溶解パーセント(死滅%)を示す。
図2C図2Cは、代表的なガンマセクレターゼ阻害剤(LY3039478)の存在下または非存在下で抗BCMA CAR発現T細胞と共培養されたOPM2細胞の溶解パーセント(死滅%)を示す。X軸近くの棒線は、阻害剤について推定されるCmaxおよびCminを示唆する。
図3A図3A~3Dは、ガンマセクレターゼ阻害剤の代表(LY3039478)の存在下または非存在下でOPM2(図3Aおよび3C)またはRPMI-8226細胞(図3Bおよび3D)と共培養された抗BCMA CAR発現T細胞の、24時間共培養後の上清中のIFN-ガンマおよびIL-2の産生を示す。
図3B図3Aの説明を参照のこと。
図3C図3Aの説明を参照のこと。
図3D図3Aの説明を参照のこと。
図3E図3Eは、OPM2細胞および異なる濃度の代表的なガンマセクレターゼ阻害剤(LY3039478)と共培養された抗BCMA CAR発現T細胞の上清中のIFN-ガンマの産生を示す。X軸近くの棒線は、阻害剤について推定されるCmaxおよびCminを示唆する。
図4A図4Aおよび4Bは、ガンマセクレターゼ阻害剤の代表(LY3039478)の非存在下(ビヒクル対照、四角)、または濃度1μM(三角)もしくは0.001μM(逆三角)を有する阻害剤の存在下で10~17日の期間にわたりMM1S細胞による数ラウンドの刺激後の、健康なドナー(図4A)および多発性骨髄腫を有するドナー(図4B)から本来得られた抗BCMA CAR発現T細胞の細胞数を示す。
図4B図4Aの説明を参照のこと。
図5図5Aおよび5Bは、ガンマセクレターゼ阻害剤の代表(LY3039478)の非存在下(左棒線)または濃度0.001μM(中央の棒線)もしくは0.001μM(右棒線)を有する阻害剤の存在下でMM1S細胞による第2ラウンドの刺激後4日目の健康なドナー(図5A)および多発性骨髄腫を有するドナー(図5B)から本来得られた抗BCMA CAR発現T細胞の上清中のIFN-ガンマ、IL2、およびTNF-アルファの産生を示す。
図6】LY3039478(3mg/kg)の単一用量の経口投与後の異なる時点でのガンマセクレターゼ阻害剤LY3039478の血漿レベルを示す。
図7】ヒト多発性骨髄腫(RPMI-8226)に関するマウス異種移植モデルにおけるLY3039478(3mg/kg)の単一用量の経口投与後の経時的なBCMAの血漿レベルを示す。
図8】ヒト多発性骨髄腫(RPMI-8226)に関するマウス異種移植モデルに由来する皮下腫瘍細胞における、フローサイトメトリーにより評価される、LY3039478の単一用量の経口投与後の経時的な表面BCMAの発現を示す。
図9A図9A~9Bは、ヒト多発性骨髄腫に関するマウス異種移植モデルにおける異なる処置の影響を評価する、実施例5に記載される試験からの結果を示す。図9Aは、試験中の数日にわたる腫瘍体積(mm3)を示す。グラフの下の破線矢印は、LY3039478が実施例5に記載されたように投与された期間を示す。
図9B図9A~9Bは、ヒト多発性骨髄腫に関するマウス異種移植モデルにおける異なる処置の影響を評価する、実施例5に記載される試験からの結果を示す。図9Bは、CAR T注射後に65日間処置された動物の生存パーセントを示す。
図10A図10A~10Bは、実施例5に記載されるような様々な条件で処置されたヒト多発性骨髄腫異種移植マウスモデルの動物のCAR T注射後の時間(日)(CAR T注射後の日数)にわたるCD4+ CAR T+およびCD8+ CAR T+末梢血球数を示す。図10Aは、経時的な血液1μLあたりのCD4+ CAR T+細胞数を示す。
図10B図10A~10Bは、実施例5に記載されるような様々な条件で処置されたヒト多発性骨髄腫異種移植マウスモデルの動物のCAR T注射後の時間(日)(CAR T注射後の日数)にわたるCD4+ CAR T+およびCD8+ CAR T+末梢血球数を示す。図10Bは、経時的な血液1μLあたりのCD8+ CAR T+細胞数を示す。矢印付きのGSIの棒線は、投与された場合のLY3039478(GSI)の送達のタイミングを示す。
図11】実施例5に記載された試験において低用量(1e6個)のCAR T注射後7および15日目に採取されたサテライト腫瘍消化物からの細胞1×106個あたりのCD4+(上)およびCD8+(下)CAR+ T細胞数を示す。
図12図12Aは、実施例5に記載された異なる処置レジメンの開始後7および15日目のBCMAの血清レベルを示す。図12Bは、実施例5に記載された様々な処置群からのマウスにおける抗BCMA CAR T細胞注射後7および15日目に採取された腫瘍消化物からの、フローサイトメトリーにより評価された表面BCMAの発現を示す。
図13A図13Aは、慢性刺激された抗BCMA CAR+ T細胞およびDMSO(DMSO対照)もしくはガンマセクレターゼ阻害剤化合物LY3039478(1μM GSI)により0.3:1のエフェクター対標的比で処理された場合、または未処理(RPMI、OPM2、もしくはMM1.S単独)の場合の経時的なRPMI-8226、OPM2、およびMM1.S細胞の生存度を示す。
図13B図13Bは、慢性刺激された抗BCMA CAR+ T細胞およびDMSO(DMSO対照)もしくはLY3039478(1μM GSI)により処理された場合、または未処理(RPMI、OPM2、もしくはMM1.S単独)の場合のRPMI-8226、OPM2、およびMM1.S細胞の死滅パーセンテージを示す。
図13C図13Cは、RPMI-8226、OPM2、およびMM1.S細胞を、慢性刺激された抗BCMA CAR+ T細胞およびLY3039478(1μM GSI)またはDMSO(DMSO対照)と共に0.3:1または1:1のエフェクター対標的比で24時間インキュベーション後の上清IL-2濃度を示す。
図14】抗BCMA CAR+ T細胞をBCMA含有ビーズと共に異なる濃度のガンマセクレターゼ阻害剤LY3039478またはDMSO(ビヒクル)中で24時間インキュベーション後の上清中のIFNg、IL-2、およびTNFa濃度を示す。
図15図15Aは、実施例8に記載したように低分子ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)LY3039478の3つの用量の経口投与の前(GSI前)および後(GSI後)の多発性骨髄腫患者に由来する試料中の細胞の表面へのBCMA抗体結合能(BCMA ABC)を示す。図15Bは、実施例8に記載したように低分子ガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)LY3039478の3つの用量の経口投与の前(GSI前)および後(GSI後)の、測定可能な表面BCMAの発現を有すると決定された患者試料中の形質細胞のパーセンテージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0124】
詳細な説明
細胞療法などの免疫療法、例えばT細胞療法と、ガンマセクレターゼ阻害剤との投与を伴う併用療法が、本明細書において提供される。いくつかの局面において、提供される方法は、疾患または障害を有する対象への免疫療法または免疫療法剤、例えば、T細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの養子細胞療法のための細胞を含む組成物の投与と、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与とを伴う。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼは、免疫療法、例えば細胞療法の投与の開始の前、それと同時、またはその後に投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞(腫瘍/癌細胞など)上のガンマセクレターゼの標的、例えばBCMAの膜内切断を阻害または低減する。いくつかの局面において、標的は、細胞療法の標的抗原と同じである。いくつかの態様において、CAR発現T細胞などの細胞療法は、表面BCMAなどのB細胞成熟抗原(BCMA)に結合する抗原結合ドメインを含む。いくつかの態様において、方法は、処置のために対象を選択することをさらに含み、その際、対象は、腫瘍/癌細胞などの細胞上、例えばCD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現する対象における癌細胞上または形質細胞に由来する細胞上に表面BCMAの低発現を有する。いくつかの態様において、細胞療法は、BCMA以外の抗原に結合する、キメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を含む。いくつかの態様において、方法は、養子細胞療法に関連して実施される。
【0125】
T細胞に基づく治療法、例えば、養子T細胞療法などの細胞療法(キメラ抗原受容体(CAR)および/または他の組換え抗原受容体、ならびに他の養子免疫細胞および養子T細胞療法などの関心対象の疾患または障害に特異的なキメラ受容体を発現している細胞の投与を伴うものを含む)は、癌ならびに他の疾患および障害の処置に有効であることができる。T細胞の表面のキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体の操作された発現は、T細胞特異性の再方向づけを可能にする。臨床試験において、CAR-T細胞、例えば、抗CD19 CAR-T細胞は、白血病およびリンパ腫患者の両方において持続的な完全奏効を生じた(Porter et al. (2015) Sci Transl Med., 7:303ra139; Kochenderfer (2015) J. Clin. Oncol., 33: 540-9; Lee et al. (2015) Lancet, 385:517-28; Maude et al. (2014) N Engl J Med, 371:1507-17)。
【0126】
ある特定の状況では、養子細胞療法への利用可能なアプローチは、必ずしも全く申し分ないわけではない場合がある。いくつかの状況では、最適な効力は、投与された細胞が標的、例えば標的抗原を認識し、それに結合して、対象、腫瘍、その環境内の適切な部位に通行し、局在し、うまく進入する能力に依存することができる。いくつかの状況では、最適な効力は、投与された細胞が活性化され、拡大する能力、細胞傷害性死滅およびサイトカインなどの様々な因子の分泌を含めた様々なエフェクター機能を発揮する能力、長期を含めて存続する能力、ある特定の表現型の状況(長寿命メモリー状況、分化がより少ない状況、およびエフェクター状況)に分化する、移行する、もしくはそれへのリプログラミングに従事する能力、疾患の局所微小環境における免疫抑制状態を回避もしくは低減する能力、標的リガンドもしくは抗原を排除し、それに再曝露した後に有効で強いリコール応答を提供し、疲弊、アネルギー、末梢性寛容、終末分化、および/または抑制状況への分化を回避または低減する能力に依存することができる。
【0127】
いくつかの態様において、操作された細胞の曝露および持続性は、対象への投与後に低減または減退する。そのうえ観察は、場合によっては、組換え受容体を発現している投与された細胞への対象の曝露の増大(例えば、経時的な細胞数または持続時間の増大)が、養子細胞療法における効力および治療的結末を改善する場合があることを示している。複数の臨床試験において様々なCD19発現癌を有する対象への異なるCD19ターゲティングCAR発現T細胞の投与後に行われた予備的分析は、CAR発現細胞へのより大きいおよび/またはより長い度合いの曝露と、処置の結末との間の相関を明らかにした。このような結末は、重度または顕著な腫瘍量を有する個体であるにもかかわらず、患者が生存および寛解することを含んでいた。
【0128】
いくつかの局面において、提供される方法および使用は、例えば、処置された対象の特定の群において、ある特定の代替法と比較して、改善された、またはより持続的な応答または効力を提供または達成する。いくつかの態様において、方法は、養子細胞療法、例えばT細胞療法などの養子細胞療法のための細胞を含む組成物などのT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)、およびガンマセクレターゼ阻害剤を投与するという理由から有利である。
【0129】
提供される方法は、ガンマセクレターゼ阻害剤の存在下でBCMA発現細胞に曝露後、ガンマセクレターゼ阻害剤がBCMAに特異的な組換え受容体発現細胞の1つまたは複数の機能的活性を改善するという観察に基づく。このような機能的活性は、例えば、抗原依存性細胞溶解活性および/または1種もしくは複数種のサイトカインを産生する能力を含む。いくつかの局面において、改善された活性は、細胞(例えば腫瘍/癌細胞、例えば多発性骨髄腫細胞)上の表面BCMAの発現増大または発現安定化が原因であり得る。いくつかの局面において、標的細胞上の標的抗原、例えばBCMAの発現を増大または安定化することは、標的抗原、例えばBCMAの発現について低い場合があるまたは低い患者についての結末を改善し、その結果、細胞療法、例えばT細胞療法によるターゲティングのために十分な抗原が利用可能である。いくつかの態様において、提供される態様は、標的抗原、例えばBCMAの可変性の表面発現を有する対象の群の中で処置の結末における変動性を低減する。提供される方法のいくつかの態様において、CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現する細胞または形質細胞に由来する細胞などの、対象における癌細胞が表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/またはおよそ閾値レベルの表面BCMAレベルを有する場合、患者が、ガンマセクレターゼ阻害剤と、細胞療法(例えばCAR-T細胞)などの免疫療法との、提供される併用療法の投与のために選択される。したがって、いくつかの局面において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、BCMAの膜内切断を低減または阻害することなどにより、BCMAの表面発現を安定化する量で投与される。
【0130】
いくつかの態様において、提供される方法は、可溶BCMAまたは放出BCMAの高い血清もしくは血漿レベルまたは腫瘍レベルを有しない対象または該レベルに基づき選択されていない対象において利点を与える。いくつかの態様において、患者は、可溶BCMAまたは放出BCMAの高い血清または血漿または腫瘍レベルを有することについて選択されていない。いくつかの態様において、提供される併用療法は、表面BCMAに結合する抗原結合ドメインを有する、細胞療法、例えばCAR発現T細胞の投与を伴い、その際、抗原結合ドメインは、表面BCMAへの抗原結合ドメインの結合の親和性よりも低い親和性で可溶BCMAに結合する。いくつかの状況では、提供される併用療法は、組換え受容体発現細胞、例えばCAR発現T細胞などの細胞療法の投与を伴い、その際、組換え受容体もしくはCARによる表面BCMAへの結合または組換え受容体発現細胞(例えばCAR発現細胞)の機能もしくは活性を示す尺度は、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、表面BCMAを発現している細胞に曝露後に低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されない。
【0131】
いくつかの局面において、このような結果は、細胞療法の細胞、例えばT細胞の活性、場合によっては内在性活性を増強または改善しながら達成される。いくつかの局面において、これは、BCMA以外の他の標的に対する活性、例えばNotchの切断に対する活性を示すガンマセクレターゼ阻害剤の存在下で達成することができる。このような阻害剤の例は、LY3039478もしくは本明細書における化合物1、またはその立体異性体、薬学的に許容される塩もしくは水和物である。いくつかの局面において、notchシグナル伝達はT細胞の分化および/または増殖を調節できるものの、本明細書における観察は、notchシグナル伝達を標的とすることが公知の例示的な阻害剤、例えばLY3039478の存在下でT細胞の増強された活性を実証している。例えば、本明細書に示すように、BCMA発現細胞による繰り返し刺激後の抗BCMA CAR-T細胞活性を評価する例示的な連続刺激アッセイにおいて、例示的なガンマセクレターゼ阻害剤の存在下で増大したCAR+ T細胞の拡大および/または生存が観察された。このような結果は、提供される併用療法が、T細胞の拡大、増殖および持続性に関する機能を含めたT細胞機能を改善することを示す。
【0132】
提供される知見は、細胞療法を伴う、例えば養子T細胞療法の投与を伴う方法におけるガンマセクレターゼ阻害剤の併用療法が、T細胞療法の機能改善を達成することを示す。いくつかの態様において、細胞療法(例えば操作T細胞の投与)と、ガンマセクレターゼ阻害剤との組み合わせは、抗原との遭遇後を含めたT細胞療法の1つまたは複数の機能および/または効果、例えば持続性、拡大、細胞傷害性、および/または治療的転帰、例えば、腫瘍もしくは他の疾患の重荷または標的細胞を死滅もしくは低減する能力を改善または増強する。いくつかの局面において、提供される方法は、代替的な処置、例えばT細胞療法(例えばCAR-T細胞)またはガンマセクレターゼ阻害剤、もしくはその水和物の薬学的に許容される塩の投与を伴う単剤療法と比較して、1.5倍もしくは1.5倍超、2.0倍もしくは2.0倍超、3.0倍もしくは3.0倍超、4.0倍もしくは4.0倍超、5.0倍もしくは5.0倍超、10倍もしくは10倍超、またはそれ以上、総合効果(overall response)および/または生存期間を増大させる。
【0133】
いくつかの局面において、提供される方法は、T細胞の持続性の欠如および/または疲弊を克服するなどのために、T細胞療法を増強、増大、または強化することができる。いくつかの態様において、T細胞療法、例えばCAR-T細胞の投与を受けたことがある対象は、対象の生物学的試料中、例えば対象の血液中のように、対象における治療のT細胞の存在、非存在またはレベルについて監視される。いくつかの態様において、T細胞療法(例えばCAR-T細胞)を受けたことがある対象であるけれども、T細胞療法(例えばCAR-T)、場合によりこの同じT細胞療法(例えば同じCAR-T細胞)を投与された複数の対象において対象におけるCAR-T細胞の強いまたは頑健な拡大が典型的に観察される時点で、対象の試料中、例えば血液試料中でこのような細胞が弱く拡大した、および/または閾値レベル以下である対象に、ガンマセクレターゼ阻害剤、またはその水和物の薬学的に許容される塩が投与される。任意のこのような態様のいくつかにおいて、試料中の操作された細胞、例えばCAR+細胞のレベルは、試料1マイクロリットルあたりの細胞、例えば、CAR+細胞の数として決定され;いくつかの態様において、ピークレベルは、対象に細胞または細胞療法を投与後の、任意で投与後の特定期間にわたるこのような測定の最高値である。いくつかの局面において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、対象にT細胞療法の投与を開始した1~15日後または約1~15日後に、細胞10個/μL未満、例えば細胞5個/μL未満または細胞1個/μL未満のT細胞療法、例えばCAR-T細胞の細胞、またはそのCD8+もしくはCD3+サブセットが血液中で検出可能ならば、以前に細胞療法を受けたことがある対象に投与される。いくつかの態様において、対象にT細胞療法、例えばCAR-T細胞の投与を開始した12~15日後または約12~15日後に、このような細胞またはそのCD8+もしくはCD3+サブセットの細胞10個/μL未満、例えば細胞5個/μL未満または細胞1個/μL未満が血液中で検出可能ならば、以前に細胞療法を受けたことがある対象に、ガンマセクレターゼ阻害剤が投与される。
【0134】
ある特定の局面では、提供される方法は、T細胞療法に対するピーク応答(例えばT細胞の存在および/または腫瘍量における低減)が観察されたことがある対象であるが、応答、例えばT細胞の存在および/または腫瘍量における低減が、低減したまたはもはや検出不能である対象におけるT細胞療法を増強、増大または強化することができる。いくつかの局面において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、(i)T細胞療法の細胞のピークレベルもしくは最大レベルが対象の血液中で検出可能となった後;(ii)血液中で検出可能となった後の血液中の検出可能なT細胞療法の細胞数が、検出不能である、または低減されている後、任意でT細胞療法の投与後の先行する時点と比較して低減されている後;(iii)血液中の検出可能なT細胞療法の細胞数が、T細胞療法の投与の開始後の対象の血液中の検出可能なT細胞療法の細胞のピーク数もしくは最大数と比較して、1.5倍もしくは1.5倍超、2.0倍もしくは2.0倍超、3.0倍もしくは3.0倍超、4.0倍もしくは4.0倍超、5.0倍もしくは5.0倍超、10倍もしくは10倍超、またはそれ以上低下した後;(iv)T細胞療法の細胞のピークレベルもしくは最大レベルが対象の血液中で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能なT細胞の細胞数またはそれに由来する細胞数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満または0.1%未満になった後;(v)対象が、疾患進行を示し、かつ/またはT細胞療法による処置後の寛解に続いて再発した後;かつ/あるいは(iv)T細胞の投与の前または後およびガンマセクレターゼ阻害剤またはその水和物の薬学的に許容される塩の投与の開始の前の時点の腫瘍量と比較して対象が増大した腫瘍量を示した後、1週間以内に、例えば1、2または3日以内に対象に投与される。
【0135】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法、例えばCAR-T細胞を受けた対象であるが、T細胞療法による処置に続いて、例えば応答、例えばT細胞の存在および/または腫瘍量における低減が、低減したまたはもはや検出不能である時点で再発した対象に投与される。いくつかの局面において、再発は、場合によっては、BCMA抗原のダウンレギュレーション/抗原エスケープが原因の可能性があるBCMA抗原の減少が原因で起こり得る。場合によっては、それは、細胞表面からのBCMA抗原の切断または放出が原因であり得る。いくつかの局面において、抗原の減少は、標的抗原(例えばBCMA)を提示している細胞における低減につながり、それにより、CAR T細胞の活性および/もしくは機能を縮小もしくは低減し、かつ/または例えば血液中のCAR T細胞の数を低下させる場合がある。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与は、細胞表面からの標的抗原(例えばBCMA)の切断または放出を低減または防止するために、対象が細胞療法に対して再発した時点または再発が疑われるもしくは再発する可能性がある時点に投与することができる。このような態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤を投与することは、標的抗原(例えばBCMA)の切断および/または放出を防止または低減することにより、再発後にCAR T細胞を再び活気づけるまたはブーストすることができる。
【0136】
いくつかの態様において、細胞療法とガンマセクレターゼ阻害剤とによる併用療法を伴う提供される方法は、それが投与される対象において、ガンマセクレターゼ阻害剤の非存在下での細胞療法の投与と比較して、増大した持続性および/またはより良好な効力を有する遺伝子操作細胞を結果として生じる。いくつかの態様において、持続性は、少なくとも1.5倍もしくは少なくとも約1.5倍、少なくとも2倍もしくは少なくとも約2倍、少なくとも3倍もしくは少なくとも約3倍、少なくとも4倍もしくは少なくとも約4倍、少なくとも5倍もしくは少なくとも約5倍、少なくとも6倍もしくは少なくとも約6倍、少なくとも7倍もしくは少なくとも約7倍、少なくとも8倍もしくは少なくとも約8倍、少なくとも9倍もしくは少なくとも約9倍、少なくとも10倍もしくは少なくとも約10倍、少なくとも20倍もしくは少なくとも約20倍、少なくとも30倍もしくは少なくとも約30倍、少なくとも50倍もしくは少なくとも約50倍、少なくとも60倍もしくは少なくとも約60倍、少なくとも70倍もしくは少なくとも約70倍、少なくとも80倍もしくは少なくとも約80倍、少なくとも90倍もしくは少なくとも約90倍、少なくとも100倍もしくは少なくとも約100倍、またはそれ以上増大される。いくつかの態様において、投与された細胞の持続性の程度または度合いは、対象への投与後に検出または定量することができる。例えば、いくつかの局面において、定量PCR(qPCR)は、対象の血液または血清または器官または組織(例えば疾患部位)で組換え受容体(例えばCAR発現細胞)を発現している細胞の量を評価するために使用される。いくつかの局面において、持続性は、1マイクログラムのDNAあたりの受容体、例えばCARをコードするDNAまたはプラスミドのコピーとして、あるいは1マイクロリットルの試料、例えば血液もしくは血清あたりの、または1マイクロリットルの試料あたりの末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球もしくはT細胞の総数あたりの受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞の数として定量される。いくつかの態様において、一般的に受容体に特異的な抗体を使用して、受容体を発現している細胞を検出するフローサイトメトリーアッセイもまた、実行することができる。細胞に基づくアッセイはまた、疾患もしくは状態の細胞または受容体により認識される抗原を発現している細胞に結合することが可能な細胞、ならびに/またはそれに対する応答、例えば細胞傷害性応答を中和および/もしくは誘導することが可能な細胞などの機能的細胞の数またはパーセンテージを検出するために使用される場合がある。このような態様のいずれかでは、組換え受容体(例えばCAR発現細胞)に関連する別のマーカーの発現の度合いまたはレベルを使用して、対象における内因性細胞から投与された細胞を識別することができる。
【0137】
本明細書において提供される方法の局面では、効力を増大させ、かつ/または持続性のCAR T細胞活性を促進するガンマセクレターゼ阻害剤と細胞療法を組み合わせることは、より低い用量のCAR T細胞の投与が、ガンマセクレターゼ阻害剤抜きのより高い用量のCAR T細胞で見られるものと同じ治療効果を達成すること可能にする。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤と組み合わせた場合に投与されたCAR T細胞の用量を、ガンマセクレターゼ阻害剤抜きで投与されたCAR T細胞の用量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、またはそれ以上だけ低減することができる。
【0138】
いくつかの態様において、方法は、B細胞悪性腫瘍または血液悪性腫瘍を含めた癌などの疾患または状態を処置するために使用することができる。いくつかの局面において、癌は、多発性骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞起源の癌および/またはB細胞起源の癌である。いくつかの局面において、このような疾患、状態または悪性腫瘍は、例えばT細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの養子細胞療法のための細胞を含む組成物などの、細胞療法単独による処置に対する応答、例えば完全奏効(CR)が、他のT細胞療法による処置または他の疾患もしくは悪性腫瘍の処置と比較して相対的に低い(例えば、そのように処置された対象の60%未満もしくは約60%未満、約50%未満または約45%未満においてCR)。
【0139】
いくつかの態様において、提供される方法は、(i)任意で平均して疾患または状態を有する対象集団における、ガンマセクレターゼ阻害剤単独の投与によりもたらされる低減または回復の程度と、(ii)任意で平均して疾患または状態を有する対象集団における、T細胞療法単独の投与による低減または回復の程度との組み合わせよりも大きな程度で、疾患または状態の症状または転帰または負荷を低減または回復させる。いくつかの態様において、方法は、疾患のこのような症状、結末または負荷を、例えば平均して疾患または状態を有する対象集団と比較して、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3.0倍超もしくは約3.0倍超、4.0倍超もしくは約4.0倍超、5.0倍超もしくは約5.0倍超、6.0倍超もしくは約6.0倍超、7.0倍超もしくは約7.0倍超、8.0倍超もしくは約8.0倍超、9.0倍超もしくは約9.0倍超、10.0倍超もしくは約10.0倍超、20.0倍超もしくは約20.0倍超、30.0倍超もしくは約30.0倍超、40.0倍超もしくは約40.0倍超、50.0倍超もしくは約50.0倍超、またはそれ以上低減または回復させる。
【0140】
細胞(例えばCAR発現T細胞)を操作、調製および産生するための方法、細胞および/またはガンマセクレターゼ阻害剤を含有する組成物、ならびに提供される併用療法の方法などによる、細胞および/またはガンマセクレターゼ阻害剤を含有するキットおよび装置、ならびに細胞および/またはガンマセクレターゼ阻害剤を使用、産生および投与するためのキットおよび装置もまた、提供される。
【0141】
本出願において参照される特許文書、科学論文およびデータベースを含めたすべての刊行物は、各個別の刊行物が個別に参照により組み入れられる場合と同じ程度で、すべての目的のためにその全体で参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、出願、出願公開および他の刊行物に示される定義と反対である場合、またはその他の点で一致しない場合、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義より優先する。
【0142】
本明細書において使用されるセクションの見出しは、単に構成のためであって、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0143】
I. 併用療法
対象に、(1)ガンマセクレターゼ阻害剤と、(2)免疫療法、例えば細胞療法、例えばT細胞療法、例えばCAR発現細胞(例えばT細胞)との併用療法を投与することを含む、疾患または障害、例えば癌または増殖性疾患を処置するための併用療法のための方法が、本明細書において提供される。いくつかの態様において、細胞療法は、疾患または障害、例えば癌または増殖性疾患に関連する抗原を特異的に認識し、かつ/またはそれを標的とするT細胞を含む養子免疫細胞療法である。免疫療法、例えばT細胞療法を含む組成物および/またはガンマセクレターゼ阻害剤を含む組成物を含有する、キットなどの組み合わせおよび製造品、ならびに癌を含めた疾患、状態、および障害を処置または予防するためのこのような組成物および組み合わせの使用もまた、提供される。
【0144】
いくつかの態様において、このような方法は、免疫療法、例えば細胞療法(例えばCAR発現T細胞)の投与(例えば投与の開始)の前、それと同時、その間、その経過の間(経過の間に1回および/もしくは定期的)ならびに/またはその後のガンマセクレターゼ阻害剤の投与を含むことができる。いくつかの態様において、投与は、ガンマセクレターゼ阻害剤および細胞療法の順次投与または間欠投与を伴うことができる。
【0145】
いくつかの態様において、細胞療法は養子細胞療法である。いくつかの態様において、細胞療法は、任意でキメラ抗原受容体(CAR)発現細胞療法である、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、トランスジェニックTCR療法または組み換え受容体発現細胞療法(任意でT細胞療法)である、またはそれを含む。いくつかの態様において、治療法は、B細胞を標的とする療法である。いくつかの態様において治療法は、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とする。いくつかの態様において、治療法は、CD19を標的とする。いくつかの態様において、治療法は、細胞表面関連ムチン1(MUC1)を標的とする。いくつかの態様において、細胞および細胞を投与するための投与レジメンは、以下のサブセクションAの「細胞の投与」に記載されるいずれかを含むことができる。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤を投与するための投与レジメンは、以下のサブセクションBの「ガンマセクレターゼ阻害剤の投与」に記載されるいずれかを含むことができる。
【0146】
いくつかの態様において、免疫療法、例えば細胞療法(例えばCAR発現T細胞)と、ガンマセクレターゼ阻害剤とは、対象への投与のための薬学的組成物として提供される。いくつかの態様において、薬学的組成物は、併用療法、例えば、記載の養子細胞療法のためのT細胞およびガンマセクレターゼ阻害剤のための作用物質の一方または両方の治療有効量を含有する。いくつかの態様において、作用物質は、別々の薬学的組成物の状態で投与のために製剤化される。いくつかの態様において、本明細書に提供される薬学的組成物のいずれかは、各投与経路に適切な剤形として製剤化することができる。
【0147】
いくつかの態様において、免疫療法、例えばCAR-T細胞療法などの操作された細胞を含む細胞療法と、ガンマセクレターゼ阻害剤とを投与すること含む併用療法は、処置するべき疾患もしくは状態(例えば癌)を有する、または疾患もしくは状態(例えば癌)を有する危険のある対象または患者に投与される。いくつかの局面において、方法は、例えば免疫療法または免疫療法剤により認識される、例えば操作T細胞により認識される抗原を発現している癌における腫瘍量を減らすことなどにより、疾患または状態の1つまたは複数の症状を処置する、例えば回復させる。
【0148】
いくつかの態様において、処置される疾患または状態は、抗原の発現が疾患の状態または障害の原因に関連するおよび/またはそれに関与する、例えばこのような疾患、状態、または障害を引き起こす、増悪させるまたはその他の方法で関与する、任意の疾患または状態であることができる。例示的な疾患および状態は、悪性腫瘍または細胞形質転換(例えば癌)に関連する疾患もしくは状態、自己免疫疾患もしくは炎症性疾患、または例えば細菌、ウイルスもしくは他の病原体によって引き起こされる感染症を含むことができる。処置することができる様々な疾患および/または状態に関連する抗原を含む例示的な抗原は、本明細書に記載される任意の抗原を含む。特定の態様において、キメラ抗原受容体またはトランスジェニックTCRを含めた、併用療法の操作された細胞上に発現される組換え受容体は、疾患または状態に関連する抗原に特異的に結合する。
【0149】
いくつかの態様において、疾患または状態は、BCMAを発現する癌または増殖性疾患である。いくつかの態様において、提供される方法は、BCMAを標的とする組換え受容体発現細胞(例えばCAR-T細胞)を採用する。特定の態様において、疾患または状態は、多発性骨髄腫である。場合によっては、多発性骨髄腫は、再発性または不応性多発性骨髄腫である。
【0150】
BCMAに関連する任意の疾患もしくは障害、あるいはBCMAが特異的に発現され、かつ/またはBCMAが処置のために標的とされた任意の疾患または障害(本明細書において互換的に「BCMA関連疾患または障害」と呼ばれる)が、処置するべき疾患に含まれる。BCMAの発現に関連する癌には、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ならびにホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫の両方などの血液悪性腫瘍が含まれる。BCMAの総説についてはCoquery et al., Crit Rev Immunol., 2012, 32(4):287-305を参照されたい。BCMAが腫瘍細胞の生存の媒介に関係していたので、それは、癌の治療法に関する潜在的な標的である。マウス抗ヒトBCMA抗体およびヒト抗ヒト抗体を含めた抗BCMA抗体を含有するキメラ抗原受容体、ならびにこのようなキメラ受容体を発現している細胞は、以前に記載されている。Carpenter et al., lin Cancer Res., 2013、19(8):2048-2060、国際公開公報第2016/090320号、同第2016090327号、同第2010104949A2号および同第2017173256号を参照されたい。抗BCMA抗体を含有する例示的なCARは、本明細書に記載されている。
【0151】
いくつかの態様において、抗BCMA CARなどの操作された細胞の投与の開始前に、対象は、1つまたは複数の以前の治療法を受けたことがある。いくつかの態様において、対象は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20またはそれ以上の以前の治療法を受けたことがある。いくつかの態様において、対象は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上の以前の治療法を受けたことがある。いくつかの局面において、対象は、1つまたは複数の以前の治療法のうち1つまたは複数、例えばそれぞれ個別の後に再発した、またはそれに対して処置不応性であった。いくつかの局面において、以前の治療法は、自家幹細胞移植(ASCT);免疫調節剤、例えばIMiD;プロテアソーム阻害剤;および抗CD38抗体による処置を含むが、但し、対象が治療法のうち1つまたは複数に対する候補でなかった場合またはそれが対象に禁忌であった場合を除く。いくつかの態様において、免疫調節剤、例えばIMiDは、サリドマイド、レナリドミドまたはポマリドミドより選択される。いくつかの態様において、プロテアソーム阻害剤は、ボルテゾミブ、カルフィルゾミブまたはイキサゾミブより選択される。いくつかの態様において、抗CD38抗体は、ダラツムマブである、またはそれを含む。いくつかの態様において、進行性疾患がレジメンに対する最上の応答であった場合を除き、対象は、各レジメンに関して少なくとも2つの連続処置サイクルを受けていなければならない。いくつかの局面において、本明細書における方法による処置のための対象は、ASCTの後に骨髄コア生検の免疫組織化学(IHC)で10%を超えるCD138+悪性形質細胞を有する再発した骨髄腫を有する、または処置不応性である、あるいは対象がASCTを受けたことがない場合、対象は、例えば年齢、共存症、患者の選択、病状および/または医師の判断のせいで移植不適格であり、4サイクル超の導入療法後に持続した疾患、ならびに/またはプロテアソーム阻害剤および免疫調節薬、例えばIMiDによる治療法に不応性もしくは不耐性である疾患を有する。
【0152】
いくつかの態様において、疾患または状態は、固形腫瘍、リンパ腫、白血病、血液腫瘍、転移腫瘍、または他の癌もしくは腫瘍型などの腫瘍である。
【0153】
いくつかの態様において、疾患または障害に関連する抗原は、B細胞成熟抗原(BCMA)、RORl、Her2、Ll-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3、または4、erbB二量体、EGFR vIII、FBP、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、EGP2、EGP40、TAG72、B7-H6、IL-13受容体a2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、ユニバーサルタグに関連する抗原、癌精巣抗原、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、および病原体特異的抗原からなる群より選択される。いくつかの態様において、抗原は、ユニバーサルタグに関連する、またはユニバーサルタグである。いくつかの態様において、疾患または障害に関連する抗原は、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、細胞表面関連ムチン1(MUC1)、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CX3CR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6R、およびアミロイド前駆体タンパク質(APP)からなる群より選択される。
【0154】
いくつかの態様において、疾患または障害は、B細胞関連障害である。いくつかの態様において、疾患または障害は、膠芽腫、リンパ腫様肉芽腫症、移植後リンパ増殖性障害、免疫調節障害、重鎖病、原発性もしくは免疫細胞関連アミロイドーシス、または意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症からの1つまたは複数の疾患または状態である。
【0155】
いくつかの態様において、疾患または障害は、自己免疫疾患または障害である。このような自己免疫疾患または障害には、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、炎症性腸疾患、関節リウマチ(例えば、若年性関節リウマチ)、ANCA関連血管炎、特発性血小板低下性紫斑病(ITP)、血栓性血小板低下性紫斑病(TTP)、自己免疫性血小板低下症、シャガス病、グレーブス病、ウェゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎、シェーグレン症候群、尋常性天疱瘡、強皮症、多発性硬化症、乾癬、IgA腎症、IgM多発ニューロパチー、血管炎、糖尿病、レイノー症候群、抗リン脂質症候群、グッドパスチャー病、川崎病、自己免疫性溶血性貧血、重症筋無力症、または進行性糸球体腎炎が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0156】
いくつかの態様において、疾患または障害は、B細胞悪性腫瘍である。いくつかの態様において、癌(例えばBCMA発現癌)は、リンパ腫、白血病、または形質細胞悪性腫瘍である。本明細書において考えられているリンパ腫には、バーキットリンパ腫(例えば、地方病性バーキットリンパ腫もしくは散発性バーキットリンパ腫)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、ホジキンリンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、濾胞性リンパ腫、小型非切れ込み核細胞性リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALT)、辺縁層リンパ腫、脾リンパ腫、節性単球様B細胞リンパ腫、免疫芽球性リンパ腫、大細胞型リンパ腫、びまん性混合細胞型リンパ腫、肺B細胞血管中心性リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、またはマントル細胞リンパ腫(MCL)が含まれるが、それに限定されるわけではない。本明細書において考えられている白血病には、慢性リンパ性白血病(CLL)、形質細胞白血病または急性リンパ性白血病(ALL)が含まれるが、それに限定されるわけではない。非限定的に、多発性骨髄腫(例えば、非分泌性多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫)または形質細胞腫を含めた形質細胞性悪性腫瘍もまた、本明細書において考えられている。いくつかの態様において、疾患または状態は、再発性および/または不応性多発性骨髄腫などの多発性骨髄腫である。処置することができる疾患、障害または状態の中には、神経芽腫、腎細胞癌、結腸癌、結腸直腸癌、乳癌、扁平上皮癌、黒色腫、骨髄腫(例えば多発性骨髄腫)、胃癌、脳癌、肺癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、副腎癌および頭頸部癌が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0157】
いくつかの態様において、癌または増殖性疾患は、B細胞悪性腫瘍または血液悪性腫瘍である。いくつかの態様において、癌または増殖性疾患は、急性リンパ性白血病(ALL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、または慢性リンパ性白血病(CLL)である。いくつかの態様において、癌はCLLである。いくつかの態様において、方法は、骨髄腫、リンパ腫または白血病を処置するために使用することができる。いくつかの態様において、方法は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)、急性骨髄性白血病(AML)、または骨髄腫、例えば多発性骨髄腫(MM)を処置するために使用することができる。いくつかの態様において、方法は、MMまたはDBCBLを処置するために使用することができる。
【0158】
いくつかの態様において、方法は、固形腫瘍などの非血液癌を処置するために使用することができる。いくつかの態様において、方法は、膀胱癌、肺癌、脳癌、黒色腫(例えば小細胞肺癌、黒色腫)、乳癌、子宮頸癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膵臓癌、子宮内膜癌、食道癌、腎臓癌、肝臓癌、前立腺癌、皮膚癌、甲状腺癌、または子宮癌を処置するためにできる。いくつかの態様において、癌または増殖性疾患は、膵臓癌、膀胱癌、結腸直腸癌、乳癌、前立腺癌、腎臓癌、肝細胞癌、肺癌、卵巣癌、子宮頸癌、膵臓癌、直腸癌、甲状腺癌、子宮癌、胃癌、食道癌、頭頸部癌、黒色腫、神経内分泌癌、CNS癌、脳腫瘍、骨癌、または軟部組織肉腫である。
【0159】
いくつかの態様において、疾患または状態は、非限定的に、ウイルス、レトロウイルス、細菌、および原虫感染、免疫不全症、サイトメガロウイルス(CMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、アデノウイルス、BKポリオーマウイルスなどの感染性疾患または感染性状態である。いくつかの態様において、疾患または状態は、例えば関節リウマチ(RA)などの関節炎、I型糖尿病、全身性エリテマトーデス(SLE)、炎症性腸疾患、乾癬、強皮症、自己免疫性甲状腺疾患、グレーブス病、クローン病、多発性硬化症、喘息、および/または移植に関連する疾患もしくは状態などの、自己免疫性または炎症性の疾患または状態である。
【0160】
疾患の予防または処置のために、ガンマセクレターゼ阻害剤および/または細胞療法(例えばCAR発現T細胞)などの免疫療法の適切な投薬量は、処置するべき疾患、細胞および/または細胞上に発現される組換え受容体の種類、疾患の重症度および経過、投与経路、ガンマセクレターゼ阻害剤および/またはT細胞療法が予防目的で投与されるか、それとも治療目的で投与されるか、以前の治療、投与頻度、対象の臨床歴および細胞に対する応答、ならびに主治医の自由裁量に依存する場合がある。組成物および細胞は、いくつかの態様において、1回でまたは一連の処置にわたり対象に適切に投与される。提供される併用療法のための例示的な投与レジメンおよびスケジュールが、記載される。
【0161】
いくつかの態様において、細胞療法(例えばCAR-T細胞療法)などの免疫療法およびガンマセクレターゼ阻害剤は、別の治療的介入と同時に、または任意の順序で順次に投与することができる、さらなる組み合わせ処置の部分として投与される。いくつかの状況では、細胞療法が1つまたは複数の追加的な治療剤の効果を増強する、またはその逆であるように、細胞療法、例えばCAR発現T細胞などの操作T細胞のような免疫療法は、十分に近い時間で別の治療法と同時投与される。いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の追加的な治療剤の前に投与される。いくつかの態様において、細胞療法、例えばCAR発現T細胞などの操作T細胞は、1種または複数種の追加的な治療剤の後に投与される。いくつかの態様において、併用療法は、化学療法剤の投与などのリンパ球枯渇療法をさらに含む。いくつかの態様において、併用療法は、抗癌剤、チェックポイント阻害剤、または別の免疫調節剤などの別の治療剤を投与することをさらに含む。いくつかの態様において、併用療法は、デキサメタゾンなどのステロイドを投与することをさらに含む。使用には、このような方法および処置における併用療法の使用、ならびにこのような併用療法の方法を実施するための医薬の調製におけるこのような組成物の使用が含まれる。いくつかの態様において、方法および使用は、それにより、対象における癌または増殖性疾患などの疾患または状態または障害を処置する。
【0162】
免疫療法(例えばCAR-T細胞療法などのT細胞療法)および/またはガンマセクレターゼ阻害剤の投与の前、その途中または後に、いくつかの態様において、T細胞療法の生物学的活性、例えば操作された細胞集団の生物学的活性が、例えばいくつかの公知の方法のいずれかにより測定される。評価するべきパラメーターには、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力、当技術分野において公知の任意の適切な方法、例えば下のセクションIIIにさらに記載されるアッセイを使用して測定されるものなどのT細胞活性の持続性および他の尺度が含まれる。いくつかの態様において、細胞、例えば、T細胞に基づく治療法のために投与されるT細胞の生物学的活性は、細胞傷害性細胞死滅、1つまたは複数のサイトカインの発現および/または分泌、抗原で再刺激されたときなどの増殖または拡大をアッセイすることにより測定される。いくつかの局面において、生物学的活性は、腫瘍量または腫瘍負荷における低減などの、疾患の重荷および/または臨床結末を評価することにより測定される。いくつかの態様において、併用療法の一方もしくは両方の作用物質の投与および/または治療法の任意の繰り返し投与は、併用療法の一方または両方の作用物質の投与の前、途中、その経過の途中または投与後のアッセイの結果に基づき決定することができる。
【0163】
いくつかの態様において、細胞療法と組み合わせたガンマセクレターゼ阻害剤の組み合わせ効果は、ガンマセクレターゼ阻害剤のみまたは細胞療法による単剤療法を伴う処置と比較して相乗的であることができる。例えば、いくつかの態様において、本明細書において提供される方法は、癌に関連する1つまたは複数の症状の低減または阻害における増大または改善などの、所望の治療効果における増大または改善を結果として生じる。
【0164】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、CAR T細胞などの操作T細胞の拡大または増殖を増大させる。いくつかの態様において、拡大または増殖における増大は、対象に投与したときにインビボで観察される。いくつかの態様において、操作T細胞、例えばCAR-T細胞の数における増大は、1.2倍超もしくは約1.2倍超、1.5倍超もしくは約1.5倍超、2.0倍超もしくは約2.0倍超、3.0倍超もしくは約3.0倍超、4.0倍超もしくは約4.0倍超、5.0倍超もしくは約5.0倍超、6.0倍超もしくは約6.0倍超、7.0倍超もしくは約7.0倍超、8.0倍超もしくは約8.0倍超、9.0倍超もしくは約9.0倍超、10.0倍超もしくは約10.0倍超、またはそれ以上増大される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、CAR T細胞などの操作T細胞の活性および/または機能を延長および/または持続させる。
【0165】
A. 免疫療法の投与
いくつかの態様において、免疫細胞上の抗原に結合し、もしくはそれを標的とし、かつ/または疾患もしくは障害に関与する免疫療法が、提供される併用療法の方法により投与される。特定の態様において、免疫療法は、細胞もしくは組織上または細胞もしくは組織中に発現される抗原に結合し、かつ/またはそれを認識する。ある特定の態様において、抗原は、細胞もしくは組織上または細胞もしくは組織中に発現される。特定の態様において、抗原は、細胞表面に発現される。いくつかの態様において、細胞は、B細胞、T細胞および/または腫瘍もしくは癌細胞である。特定の態様において、抗原は、循環細胞中またはその上に発現される。いくつかの態様において、抗原は、循環細胞の表面に発現される。
【0166】
特定の態様において、免疫療法は、疾患に関連する少なくとも1つの抗原に結合し、かつ/またはそれを認識する。固形腫瘍、血液悪性腫瘍、および黒色腫を含み、局所および転移腫瘍を含む腫瘍、ウイルスまたは他の病原体、例えば、HIV、HCV、HBV、CMV、HPV、および寄生虫症による感染などの感染症、ならびに自己免疫性疾患および炎症性疾患が、免疫療法によりヒト対象において処置され得る疾患、状態、および障害の中に含まれる。いくつかの態様において、疾患または状態は、腫瘍、癌、悪性腫瘍、新生物、または他の増殖性疾患もしくは障害である。このような疾患には、白血病、リンパ腫、例えば、慢性リンパ性白血病(CLL)、ALL、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、不応性濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、インドレントB細胞リンパ腫、B細胞悪性腫瘍、結腸癌、肺癌、肝臓癌、乳房癌、前立腺癌、卵巣癌、皮膚癌、黒色腫、骨癌、および脳癌、卵巣癌、上皮癌、腎細胞癌、膵臓腺癌、ホジキンリンパ腫、子宮頸癌、結腸直腸癌、膠芽腫、神経芽腫、ユーイング肉腫、髄芽腫、骨肉腫、滑膜肉腫、および/または中皮腫が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0167】
いくつかの態様において、免疫療法は、ガンマセクレターゼによる切断のための標的である少なくとも1つの抗原に結合する。いくつかの態様において、抗原は、BCMAまたはムチン1(Muc1)である。
【0168】
1. 治療剤、例えば抗体
ある特定の態様において、免疫療法は、抗体またはその抗原結合フラグメントなどの治療剤である。いくつかの局面において、抗体または抗原結合フラグメントは、二重特異性抗体である。
【0169】
いくつかの局面において、免疫療法は、免疫系活性化因子または刺激因子である、またはそれを含有する治療剤である。ある特定の態様において、免疫系刺激因子は、少なくとも1つの免疫細胞を活性化する作用物質または治療法である。いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞である。ある特定の態様において、免疫細胞活性化因子は、IL-2、例えば、プロロイキン(Proleukin);rhu-IFN-アルファ-2aおよび/またはrhu-IFN-アルファ-2b、例えば、ペガシス(Pegasys)、Roferon-A、Intron-A、およびPEGイントロン;抗CD3モノクローナル抗体、例えば、ムロモナブ-CD3および/またはOrthoclone OKT 3;TGN-1412;および/またはブリナツモマブ、例えば、抗CD3xCD3 BiTEである。
【0170】
いくつかの態様では、免疫療法は、T細胞上に発現される表面分子に結合することができる結合分子であるかまたはそれを含むT細胞誘導療法であるかまたはそれを含む。いくつかの態様では、表面分子は、T細胞受容体複合体の成分などのT細胞の活性化成分である。いくつかの態様では、表面分子はCD3またはCD2である。いくつかの態様では、T細胞誘導療法は、抗体または抗原結合断片であるかまたはそれを含む。いくつかの態様では、T細胞誘導療法は、T細胞の活性化成分(例えばT細胞表面分子、例えばCD3またはCD2)に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメイン、および腫瘍細胞またはがん細胞上の表面抗原、例えば本明細書に記載の列挙された抗原のいずれか、例えばBCMAまたはMuc1などの標的細胞上の表面抗原に結合する少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体である。いくつかの態様では、そのような抗体のその両方の標的への同時またはほぼ同時の結合は、標的細胞とT細胞との間に一時的な相互作用をもたらすことができ、それによってT細胞の活性化、例えば細胞傷害活性およびその後の標的細胞の溶解をもたらす。
【0171】
そのような例示的な二重特異性抗体T細胞エンゲージャーの中には、柔軟なリンカーによって融合されたタンデムscFv分子を含む二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)分子があり、これは、柔軟なリンカーによって融合されたタンデムscFv分子(例えばNagorsen and Bauerle,Exp Cell Res 317,1255-1260(2011)参照);例えば柔軟なリンカーを介して互いに融合された、安定に会合することができる第一および第二のサブユニットからなるFcドメインをさらに含むタンデムscFv分子(国際公開公報第2013026837号);ダイアボディおよびタンデムダイアボディを含むその誘導体(Holliger et al, Prot Eng 9, 299-305(1996); Kipriyanov et al, J Mol Biol 293, 41-66(1999));C末端ジスルフィド架橋を有するダイアボディ形式を含み得る二重親和性再標的指向性(DART)分子;または全ハイブリッドマウス/ラットIgG分子を含むトリオマブ(Seimetz et al, Cancer Treat Rev 36,458-467(2010))を含む。いくつかの態様では、T細胞誘導療法は、ブリナツモマブまたはAMG330である。そのようなT細胞エンゲージャーのいずれもが、提供される方法、組成物、または組み合わせにおいて使用することができる。
【0172】
いくつかの態様において、治療用物質は、BCMAおよび少なくとも1つの追加の抗原に結合することができるBCMA特異的結合である。いくつかの態様において、少なくとも1つの追加の抗原は、CD19、CD20、CD22、CD33、CD38、CS1、ROR1、GPC3、CD123、IL-13R、CD138、c-Met、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1、MAGE A3または糖脂質F77を含む。そのような二重特異性抗体の例は、WO2017/025038に記載されている。
【0173】
免疫療法などの治療用物質を、任意の好適な手段によって、例えば、ボーラス注入によって、注射、例えば、静脈内もしくは皮下注射、眼内注射、眼球周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、絡膜内注射、前房内注射、結膜下(subconjectval)注射、結膜下(subconjuntival)注射、テノン嚢下注射、球後注射、球周囲注射、または後強膜近傍(posterior juxtascleral)送達によって投与することができる。いくつかの態様において、免疫療法などの治療用物質は、非経口、肺内および鼻腔内投与によって、局所処置が所望であれば、病巣内投与によって投与される。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、胸腔内、頭蓋内、または皮下投与を含む。
【0174】
一定の態様において、1つまたは複数の用量のT細胞誘導療法および/または免疫系刺激因子が投与される。特定の態様において、0.001μg~5,000μgの間のT細胞誘導療法および/または免疫系刺激因子が投与される。特定の態様において、0.001μg~1,000μg、0.001μg~1μg、0.01μg~1μg、0.1μg~10μg、0.01μg~1μg、0.1μg~5μg、0.1μg~50μg、1μg~100μg、10μg~100μg、50μg~500μg、100μg~1,000μg、1,000μg~2,000μg、または2,000μg~5,000μgのT細胞誘導療法が投与される。いくつかの態様において、T細胞誘導療法の用量は、0.01μg/kg~100mg/kgの間、0.1μg/kg~10μg/kgの間、10μg/kg~50μg/kgの間、50μg/kg~100μg/kgの間、0.1mg/kg~1mg/kgの間、1mg/kg~10mg/kgの間、10mg/kg~100mg/kgの間、100mg/kg~500mg/kgの間、200mg/kg~300mg/kgの間、100mg/kg~250mg/kgの間、200mg/kg~400mg/kgの間、250mg/kg~500mg/kgの間、250mg/kg~750mg/kgの間、50mg/kg~750mg/kgの間、1mg/kg~10mg/kgの間、または100mg/kg~1,000mg/kgの間(体重に対するリンパ球枯渇剤の量)であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、T細胞誘導療法の用量は、0.1μg/kgもしくは約0.1μg/kg、0.5μg/kgもしくは約0.5μg/kg、1μg/kgもしくは約1μg/kg、5μg/kgもしくは約5μg/kg、10μg/kgもしくは約10μg/kg、20μg/kgもしくは約20μg/kg、30μg/kgもしくは約30μg/kg、40μg/kgもしくは約40μg/kg、50μg/kgもしくは約50μg/kg、60μg/kgもしくは約60μg/kg、70μg/kgもしくは約70μg/kg、80μg/kgもしくは約80μg/kg、90μg/kgもしくは約90μg/kg、0.1mg/kgもしくは約0.1mg/kg、0.5mg/kgもしくは約0.5mg/kg、1mg/kgもしくは約1mg/kg、2.5mg/kgもしくは約2.5mg/kg、5mg/kgもしくは約5mg/kg、10mg/kgもしくは約10mg/kg、15mg/kgもしくは約15mg/kg、20mg/kgもしくは約20mg/kg、25mg/kgもしくは約25mg/kg、30mg/kgもしくは約30mg/kg、35mg/kgもしくは約35mg/kg、40mg/kgもしくは約40mg/kg、45mg/kgもしくは約45mg/kg、50mg/kgもしくは約50mg/kg、55mg/kgもしくは約55mg/kg、60mg/kgもしくは約60mg/kg、65mg/kgもしくは約65mg/kg、70mg/kgもしくは約70mg/kg、75mg/kgもしくは約75mg/kg、80mg/kgもしくは約80mg/kg、85mg/kgもしくは約85mg/kg、90mg/kgもしくは約90mg/kg、95mg/kgもしくは約95mg/kg、100mg/kgもしくは約100mg/kg、200mg/kgもしくは約200mg/kg、300mg/kgもしくは約300mg/kg、400mg/kgもしくは約400mg/kg、500mg/kgもしくは約500mg/kg、600mg/kgもしくは約600mg/kg、700mg/kgもしくは約700mg/kg、800mg/kgもしくは約800mg/kg、900mg/kgもしくは約900mg/kg、または1,000mg/kgもしくは約1,000mg/kgである。特定の態様において、T細胞誘導療法は、経口的に、静脈内に、腹腔内に、経皮的に、髄腔内に、筋肉内に、鼻腔内に、経粘膜的に、皮下的に、または直腸に投与される。
【0175】
いくつかの態様において、投与されるCAR T細胞の用量は、ガンマセクレターゼ阻害剤と組み合わせて投与するときにCAR T細胞の用量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%またはより多く低減させることができる。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤と組み合わされたときに投与されるCAR T細胞の用量は、ガンマセクレターゼ阻害剤なしで投与されるCAR T細胞の用量の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%またはより多く低減させることができる。
【0176】
2. 細胞療法
本明細書に提供される方法、組成物、組み合わせ、キットおよび使用のいくつかの態様において、併用療法は、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)などの免疫細胞療法を対象に投与することを含む。そのような療法の投与は、記載されるようなガンマセクレターゼ阻害剤の投与の前に、それに続いて、それと同時に開始することができる。本明細書に提供される、提供された方法、組成物、組み合わせ、キットおよび使用において使用するための例示的な細胞療法および操作された細胞は、セクションIIに記載される。
【0177】
いくつかの態様において、細胞に基づく療法は、腫瘍または癌などの病変の表面上に発現される分子を標的とする免疫細胞、例えばT細胞またはNK細胞などの細胞の投与であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、免疫細胞は、T細胞受容体(TCR)または他の抗原結合受容体を発現する。いくつかの態様において、免疫細胞は、トランスジェニックTCRまたはキメラ抗原受容体(CAR)などの組換え受容体を発現する。いくつかの態様において、細胞は、対象に対して自家である。いくつかの態様において、細胞は、対象に対して同種である。
【0178】
いくつかの局面では、細胞療法は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法、トランスジェニックTCR療法、または組換え受容体発現細胞療法などの遺伝子操作された細胞を含むT細胞療法であるかまたはそれを含む。いくつかの態様では、組換え受容体は、疾患または病態に関連するもの、例えば腫瘍またはがんの細胞に関連するかまたはその細胞上に発現されるものなどのリガンドに特異的に結合する。いくつかの態様では、細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されたT細胞を投与することを含む。
【0179】
いくつかの態様では、提供される細胞は、リガンド結合ドメインまたはその結合断片を含むもの、ならびにT細胞受容体(TCR)およびその成分、ならびに/またはキメラ抗原受容体(CAR)などの機能的非TCR抗原受容体を含む、組換え受容体などの受容体を発現するおよび/または発現するように操作されている。いくつかの態様では、組換え受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインを含む。いくつかの態様では、組換え受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含むCARである。いくつかの態様では、抗原などのリガンドは、細胞の表面上に発現されるタンパク質である。いくつかの態様では、CARはTCR様CARであり、抗原は、細胞内タンパク質のペプチド抗原などのプロセシングされたペプチド抗原であり、これは、TCRのように、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面上で認識される。
【0180】
組換え受容体を含有する操作された細胞を含む、操作された細胞の中には、本明細書にさらに記載されているものがある。CARおよび組換えTCRを含む例示的な組換え受容体、ならびに受容体を操作し、細胞内に導入するための方法は、例えば、国際公開公報第200014257号、同第2013126726号、同第2012/129514号、同第2014031687号、同第2013/166321号、同第2013/071154号、同第2013/123061号、米国特許出願公開第2002131960号、同第2013287748号、同第20130149337号、米国特許第6,451,995号、同第7,446,190号、同第8,252,592号、同第8,339,645号、同第8,398,282号、同第7,446,179号、同第6,410,319号、同第7,070,995号、同第7,265,209号、同第7,354,762号、同第7,446,191号、同第8,324,353号、および同第8,479,118号、ならびに欧州特許出願第2537416号に記載されているもの、ならびに/またはSadelain et al., Cancer Discov. 2013 April; 3(4):388-398; Davila et al.(2013)PLoS ONE 8(4): e61338; Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 2012 October; 24(5):633-39; Wu et al., Cancer, 2012 March 18(2):160-75によって記載されているものを含む。いくつかの局面では、遺伝子操作された抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているCAR、および国際公開公報第2014055668A1号に記載されているものを含む。
【0181】
いくつかの態様において、併用療法は、癌に関連するおよび/またはユニバーサルタグ上に存在する抗原を特異的に認識および/または標的とする組換え受容体を発現する細胞、例えばT細胞の、対象への投与を含む。いくつかの態様において、T細胞によって認識または標的とされる抗原は、B細胞成熟抗原(BCMA)、ROR1、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、場合により前述のいずれかのヒト抗原;病原体特異的抗原である。いくつかの態様において、T細胞によって認識および/または標的とされる抗原は、ノッチ(Notch)1、ノッチ2、ノッチ3、ノッチ4、細胞表面関連ムチン1(MUC1)、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CX3CR1、CXCL16、デルタ1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6R、およびアミロイド前駆体タンパク質(APP)からなる群より選択される。
【0182】
いくつかの態様において、T細胞によって認識および/または標的とされる抗原は、B細胞成熟抗原(BCMA)である。BCMAを標的とするまたはそれに特異的に結合する例示的な抗原結合ドメイン、およびそのような抗原結合ドメインを含有するCARは、公知であり、例えば、WO 2016/090320、WO2016090327、WO2010104949A2およびWO2017173256を参照されたい。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、BCMAに特異的な抗体または抗体断片に由来するVHおよびVLを含有するscFvである。いくつかの態様において、BCMAに結合する抗体または抗体断片は、国際特許出願公開番号WO 2016/090327およびWO 2016/090320に示される抗体または抗体断片由来のVHおよびVLであるかまたはそれを含有する。
【0183】
養子細胞療法のための操作された細胞の投与方法は公知であり、提供される方法および組成物と関連して使用し得る。例えば、養子T細胞療法の方法は、例えばGruenbergらの米国特許出願公開第2003/0170238号;Rosenbergの米国特許第4,690,915号;Rosenberg(2011)Nat Rev Clin Oncol.8(10):577-85)に記載されている。例えばThemeli et al.,(2013)Nat Biotechnol.31(10):928-933;Tsukahara et al.,(2013)Biochem Biophys Res Commun 438(1):84-9;Davila et al.,(2013) PLoS ONE 8(4):e61338参照。
【0184】
いくつかの態様では、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞が、細胞療法を受けることになっている対象からまたはそのような対象に由来する試料から単離されるおよび/または別の方法で調製される、自家移植によって行われる。したがって、いくつかの局面では、細胞は、治療を必要とする対象、例えば患者に由来し、単離および処理後に同じ対象に投与される。
【0185】
いくつかの態様では、細胞療法、例えば養子T細胞療法は、細胞が、細胞療法を受けることになっているまたは最終的に細胞療法を受ける対象、例えば第一の対象以外の対象から単離されるおよび/または別の方法で調製される、同種移植によって行われる。そのような態様では、細胞は、次いで、同じ種の異なる対象、例えば第二の対象に投与される。いくつかの態様では、第一および第二の対象は遺伝的に同一である。いくつかの態様では、第一および第二の対象は遺伝的に類似する。いくつかの態様では、第二の対象は第一の対象と同じHLAクラスまたはスーパータイプを発現する。
【0186】
細胞は任意の適切な手段によって投与することができる。細胞は、腫瘍量の減少などの治療効果を達成するための投与レジメンで投与される。投薬および投与は、一部には、γセクレターゼ阻害剤の投与スケジュールに依存し得、これは、T細胞療法の実施の開始前、開始後、および/または開始と同時に投与され得る。T細胞療法の様々な投与スケジュールには、様々な時点にわたる単回投与または複数回投与、ボーラス投与、およびパルス注入が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0187】
a.組成物および製剤
いくつかの態様では、組換え抗原受容体、例えばCARまたはTCRで操作された細胞を含む細胞療法などのT細胞療法の細胞の用量は、薬学的組成物または製剤などの組成物または製剤として提供される。そのような組成物は、疾患、病態、および障害の予防または治療などにおいて、提供される方法に従って使用することができる。
【0188】
いくつかの態様では、操作されたT細胞(例えばCAR T細胞)などの細胞療法は、薬学的に許容される担体と共に製剤化される。いくつかの局面では、担体の選択は、一部には特定の細胞もしくは剤によって、および/または投与方法によって決定される。したがって、種々の適切な製剤が存在する。例えば、薬学的組成物は防腐剤を含み得る。適切な防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウム、および塩化ベンザルコニウムが挙げられ得る。いくつかの局面では、2つまたはそれ以上の防腐剤の混合物が使用される。防腐剤またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.0001重量%から約2重量%の量で存在する。担体は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed.(1980)に記載されている。薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに非毒性であり、以下のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤。
【0189】
いくつかの局面では、緩衝剤が組成物に含まれる。適切な緩衝剤としては、例えばクエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、リン酸カリウム、ならびに他の様々な酸および塩が挙げられる。いくつかの局面では、2つまたはそれ以上の緩衝剤の混合物が使用される。緩衝剤またはその混合物は、典型的には全組成物の約0.001重量%から約4重量%の量で存在する。投与可能な薬学的組成物を調製するための方法は公知である。例示的な方法は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy, Lippincott Williams & Wilkins; 21st ed.(May 1,2005)においてより詳細に記載されている。
【0190】
製剤は水溶液を含み得る。製剤または組成物はまた、それぞれの活性が互いに悪影響を及ぼさない場合、細胞または剤で予防または治療される特定の適応症、疾患、または病態に有用な複数の活性成分を含み得る。そのような活性成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて適切に存在する。したがって、いくつかの態様では、薬学的組成物は、化学療法剤、例えばアスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサート、パクリタキセル、リツキシマブ、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどのような他の薬学的に活性な剤または薬物をさらに含む。
【0191】
いくつかの態様では、薬学的組成物は、治療上有効な量または予防上有効な量などの、疾患または病態を治療または予防するために有効な量の細胞を含有する。いくつかの態様で治療または予防の有効性は、治療対象の定期的な評価によってモニタリングされる。数日間またはそれ以上にわたる反復投与については、病態に応じて、疾患の症状の所望の抑制が起こるまで、治療が繰り返される。しかしながら、他の投与レジメンも有用であり得、決定され得る。所望の投与量は、組成物の単回ボーラス投与によって、組成物の複数回ボーラス投与によって、または組成物の持続注入投与によって送達することができる。
【0192】
細胞は、標準的な投与技術、製剤、および/または装置を用いて投与され得る。組成物の保存および投与のための、注射器およびバイアルなどの製剤および装置が提供される。細胞に関して、投与は自家投与または異種投与であり得る。例えば、免疫応答性細胞または前駆体は、一対象から得ることができ、同じ対象または異なる、適合性の対象に投与され得る。末梢血由来免疫応答性細胞またはそれらの子孫(例えばインビボ、エクスビボまたはインビトロ由来)は、カテーテル投与、全身注入、局所注入、静脈内注射、または非経口投与を含む局所注入によって投与することができる。治療用組成物(例えば遺伝子改変された免疫応答性細胞を含む薬学的組成物)を投与する場合、治療用組成物は一般に単位投与注射形態(溶液、懸濁液、エマルジョン)に製剤化される。
【0193】
製剤には、経口投与、静脈内投与、腹腔内投与、皮下投与、肺投与、経皮投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、口腔投与、舌下投与、または坐剤投与用のものが含まれる。いくつかの態様では、剤または細胞集団は非経口投与される。本明細書で使用される「非経口」という用語は、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、直腸内投与、膣内投与、および腹腔内投与を含む。いくつかの態様では、剤または細胞集団は、静脈内、腹腔内、または皮下注射による末梢全身送達を用いて対象に投与される。
【0194】
いくつかの態様では、組成物は、いくつかの局面では選択されたpHに緩衝され得る、滅菌液体製剤、例えば等張水溶液、懸濁液、エマルジョン、分散液、または粘性組成物として提供される。液体製剤は通常、ゲル、他の粘性組成物、および固体組成物よりも調製が容易である。さらに、液体組成物は、特に注射によって投与するのにいくぶんより便利である。他方で、粘性組成物は、特定の組織とのより長い接触期間を提供する適切な粘度範囲内に製剤化することができる。液体または粘性組成物は担体を含むことができ、担体は、例えば水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)およびそれらの適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0195】
滅菌注射溶液は、適切な担体、希釈剤、または賦形剤、例えば滅菌水、生理食塩水、グルコース、デキストロースなどとの混合物などの溶媒中に細胞を組み込むことによって調製することができる。組成物は凍結乾燥することもできる。組成物は、所望される投与経路および製剤に依存して、湿潤剤、分散剤または乳化剤(例えばメチル細胞ロース)、pH緩衝剤、ゲル化または増粘添加剤、防腐剤、香味剤、着色剤などのような補助物質を含有し得る。いくつかの局面では、標準的なテキストを参考にして適切な製剤を調製し得る。
【0196】
抗菌防腐剤、抗酸化剤、キレート剤、および緩衝剤を含む、組成物の安定性および無菌性を高める様々な添加剤を添加することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などによって確実にすることができる。注射用医薬形態の持続的吸収は、吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によってもたらされ得る。
【0197】
インビボ投与に使用される製剤は一般に無菌である。無菌性は、例えば滅菌濾過膜を通して濾過することによって容易に達成され得る。
【0198】
疾患の予防または治療のために、適切な投与量は、治療される疾患の種類、1つまたは複数の剤の種類、細胞または組換え受容体の種類、疾患の重症度および経過、剤または細胞が予防目的または治療目的のいずれで投与されるか、過去の療法、対象の病歴および剤または細胞に対する応答、ならびに主治医の裁量に依存し得る。組成物は、いくつかの態様では、一度にまたは一連の治療にわたって対象に適切に投与される。
【0199】
いくつかの場合には、細胞療法は、細胞を含む単一の薬学的組成物として投与される。いくつかの態様では、細胞または剤の単回ボーラス投与によって所与の用量が投与される。いくつかの態様では、所与の用量は、例えば3日間以内の期間にわたる細胞もしくは剤の複数回ボーラス投与によって、または細胞もしくは剤の持続注入投与によって、投与される。
【0200】
b.投与スケジュールおよび投与
いくつかの態様では、提供される併用療法に従って、ある用量の細胞が対象に投与される。いくつかの態様では、用量のサイズまたはタイミングは、対象における特定の疾患または病態との関係で決定される。提供される説明を考慮して特定の疾患についての用量のサイズまたはタイミングを経験的に決定することは、当業者のレベルの範囲内である。
【0201】
特定の態様では、細胞、または細胞のサブタイプの個々の集団は、約10万~約1000億個の細胞の範囲で、および/または対象の体重1キログラム当たりその量の細胞で、例えば10万~約500億個の細胞(例えば約5百万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、もしくは前記値のいずれか2つによって定義される範囲)、100万~約500億個の細胞(例えば約500万個の細胞、約2500万個の細胞、約5億個の細胞、約10億個の細胞、約50億個の細胞、約200億個の細胞、約300億個の細胞、約400億個の細胞、もしくは前記値のいずれか2つによって定義される範囲)、例えば約1000万~約1000億個の細胞(例えば約2000万個の細胞、約3000万個の細胞、約4000万個の細胞、約6000万個の細胞、約7000万個の細胞、約80000万個の細胞、約9000万個の細胞、約100億個の細胞、約250億個の細胞、約500億個の細胞、約750億個の細胞、約900億個の細胞、もしくは前記値のいずれか2つによって定義される範囲)、およびいくつかの場合には、約1億個の細胞~約500億個の細胞(例えば約1億2000万個の細胞、約2億5000万個の細胞、約3億5000万個の細胞、約4億5000万個の細胞、約6億5000万個の細胞、約8億個の細胞、約9億個の細胞、約30億個の細胞、約300億個の細胞、約450億個の細胞)、またはこれらの範囲の間の任意の値および/または対象の体重1キログラム当たりその量の細胞で、対象に投与される。投与量は、疾患もしくは障害および/または患者および/または他の治療に特有の属性に依存して異なり得る。いくつかの態様では、そのような値は組換え受容体発現細胞の数を指し、他の態様では、それらは投与されるT細胞またはPBMCまたは全細胞の数を指す。
【0202】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、細胞は、約1×106~約1.2×109の細胞、例えば、1×107もしくは約1×107、5×107もしくは約5×107、1×108もしくは約1×108、2×108もしくは約2×108、2.5×108もしくは約2.5×108、3×108もしくは約3×108、3.5×108もしくは約3.5×108、4×108もしくは約4×108、4.5×108もしくは約4.5×108、5×108もしくは約5×108の総細胞、6×108もしくは約6×108、7×108もしくは約7×108、8×108もしくは約8×108、9×108もしくは約9×108または1×109もしくは約1×109の細胞の範囲または前述の値のいずれか2つの間の範囲である用量の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)で投与される。いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約5×108より少ないまたは約5×108の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約3.0×108より少ないまたは約3.0×108の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約1.5×108より少ないまたは約1.5×108の総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約1×108より少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、用量は、約5×107より少ない総組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)を含む。
【0203】
いくつかの態様において、投与される総細胞の用量は、1×105~8×108もしくは約1×105~8×108の総CAR発現T細胞、1×105~5×108もしくは約1×105~5×108の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×108もしくは約1×105~2.5×108の総CAR発現T細胞、1×105~1×108もしくは約1×105~1×108の総CAR発現T細胞、1×105~5×107もしくは約1×105~5×107の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×107もしくは約1×105~2.5×107の総CAR発現T細胞、1×105~1×107もしくは約1×105~1×107の総CAR発現T細胞、1×105~5×106もしくは約1×105~5×106の総CAR発現T細胞、1×105~2.5×106もしくは約1×105~2.5×106の総CAR発現T細胞、1×105~1×106もしくは約1×105~1×106の総CAR発現T細胞、1×106~8×108もしくは約1×106~8×108の総CAR発現T細胞、1×106~5×108もしくは約1×106~5×108の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×108もしくは約1×106~2.5×108の総CAR発現T細胞、1×106~1×108もしくは約1×106~1×108の総CAR発現T細胞、1×106~5×107もしくは約1×106~5×107の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×107もしくは約1×106~2.5×107の総CAR発現T細胞、1×106~1×107もしくは約1×106~1×107の総CAR発現T細胞、1×106~5×106もしくは約1×106~5×106の総CAR発現T細胞、1×106~2.5×106もしくは約1×106~2.5×106の総CAR発現T細胞、2.5×106~8×108もしくは約2.5×106~8×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×108もしくは約2.5×106~5×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×108もしくは約2.5×106~2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×108もしくは約2.5×106~1×108の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×107もしくは約2.5×106~5×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~2.5×107もしくは約2.5×106~2.5×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~1×107もしくは約2.5×106~1×107の総CAR発現T細胞、2.5×106~5×106もしくは約2.5×106~5×106の総CAR発現T細胞、5×106~8×108もしくは約5×106~8×108の総CAR発現T細胞、5×106~5×108もしくは約5×106~5×108の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×108もしくは約5×106~2.5×108の総CAR発現T細胞、5×106~1×108もしくは約5×106~1×108の総CAR発現T細胞、5×106~5×107もしくは約5×106~5×107の総CAR発現T細胞、5×106~2.5×107もしくは約5×106~2.5×107の総CAR発現T細胞、5×106~1×107もしくは約5×106~1×107の総CAR発現T細胞、1×107~8×108もしくは約1×107~8×108の総CAR発現T細胞、1×107~5×108もしくは約1×107~5×108の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×108もしくは約1×107~2.5×108の総CAR発現T細胞、1×107~1×108もしくは約1×107~1×108の総CAR発現T細胞、1×107~5×107もしくは約1×107~5×107の総CAR発現T細胞、1×107~2.5×107もしくは約1×107~2.5×107の総CAR発現T細胞、2.5×107~8×108もしくは約2.5×107~8×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×108もしくは約2.5×107~5×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~2.5×108もしくは約2.5×107~2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~1×108もしくは約2.5×107~1×108の総CAR発現T細胞、2.5×107~5×107もしくは約2.5×107~5×107の総CAR発現T細胞、5×107~8×108もしくは約5×107~8×108の総CAR発現T細胞、5×107~5×108もしくは約5×107~5×108の総CAR発現T細胞、5×107~2.5×108もしくは約5×107~2.5×108の総CAR発現T細胞、5×107~1×108もしくは約5×107~1×108の総CAR発現T細胞、1×108~8×108もしくは約1×108~8×108の総CAR発現T細胞、1×108~5×108もしくは約1×108~5×108の総CAR発現T細胞、1×108~2.5×108もしくは約1×108~2.5×108の総CAR発現T細胞、2.5×108~8×108もしくは約2.5×108~8×108の総CAR発現T細胞、2.5×108~5×108もしくは約2.5×108~5×108の総CAR発現T細胞、または5×108もしくは約5×108の総CAR発現T細胞~8×108もしくは約8×108の総CAR発現T細胞を含む。
【0204】
いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、50×106~800×106もしくは約50×106~800×106の総CAR発現T細胞、50×106~450×106もしくは約50×106~450×106の総CAR発現T細胞、50×106~300×106もしくは約50×106~300×106の総CAR発現T細胞、50×106~150×106もしくは約50×106~150×106の総CAR発現T細胞、150×106~800×106もしくは約150×106~800×106の総CAR発現T細胞、150×106~450×106もしくは約150×106~450×106の総CAR発現T細胞、150×106~300×106もしくは約150×106~300×106の総CAR発現T細胞、300×106~800×106の総CAR発現T細胞、300×106~450×106もしくは約300×106~450×106の総CAR発現T細胞、または450×106~800×106の総CAR発現T細胞を含む。いくつかの態様において、遺伝子操作された細胞の用量は、50×106であるかもしくは約50×106のCAR発現T細胞であり、150×106であるかもしくは約150×106のCAR発現T細胞であり、450×106であるかもしくは約450×106のCAR発現T細胞であり、または800×106であるかもしくは約800×106のCAR発現T細胞である。
【0205】
任意の態様のいくつかにおいて、数は、CD3+T細胞の総数、CD8+T細胞の総数またはCD4+およびCD8+T細胞の総数、いくつかの場合には、そのような細胞の組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞の総数に関するものである。
【0206】
いくつかの態様において、細胞療法は、1×105~1×108もしくは約1×105~1×108の総組換え受容体発現細胞、総T細胞もしくは総末梢血単核細胞(PBMC);5×105~1×107もしくは約5×105~1×107の総組換え受容体発現細胞、総T細胞もしくは総PBMC、または1×106~1×107もしくは約1×106~1×107の総組換え受容体発現細胞、総T細胞もしくは総PBMCの細胞数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、少なくとも1×105もしくは約少なくとも1×105の総組換え受容体発現細胞、総T細胞もしくは総PBMC、例えば、少なくとも1×106または少なくとも1×106、少なくとも1×107もしくは約少なくとも1×107、少なくとも1×108もしくは約少なくとも1×108のそのような細胞の細胞数を含む細胞用量の投与を含む。いくつかの態様において、数は、CD3+またはCD8+細胞の総数に、いくつかの場合にはまた、組換え受容体発現(例えば、CAR+)細胞に関するものである。いくつかの態様において、細胞療法は、1×105~1×108もしくは約1×105~1×108のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、5×105~1×107もしくは約5×105~1×107のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞、または1×106~1×107もしくは約1×106~1×107のCD3+もしくはCD8+総T細胞またはCD3+もしくはCD8+組換え受容体発現細胞の細胞数を含む用量の投与を含む。いくつかの態様において、細胞療法は、1×105~1×108もしくは約1×105~1×108の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、5×105~1×107もしくは約5×105~1×107の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞、または1×106~1×107もしくは約1×106~1×107の総CD3+/CAR+もしくはCD8+/CAR+細胞の細胞数を含む用量の投与を含む。
【0207】
いくつかの態様において、該用量のT細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞またはCD4+およびCD8+T細胞を含む。
【0208】
いくつかの態様において、例えば、対象がヒトである場合、CD4+およびCD8+T細胞を含む用量を含めたCD8+T細胞の用量は、約1×106~5×108の間の総組換え受容体(例えば、CAR)発現CD8+細胞、例えば、約5×106~1×108のそのような細胞、例えば、1×107、2.5×107、5×107、7.5×107、1×108、もしくは5×108のそのような総細胞の範囲または前述の値のいずれか2つの間の範囲を含む。いくつかの態様において、患者は、複数回用量で投与され、各用量または総用量は、前述の値のいずれか以内であることができる。いくつかの態様において、細胞の用量は、1×107以上0.75×108以下もしくは約1×107以上0.75×108以下の総組換え受容体発現CD8+T細胞、1×107以上2.5×107以下の総組換え受容体発現CD8+T細胞、1×107以上0.75×108以下もしくは約1×107以上0.75×108以下の総組換え受容体発現CD8+T細胞の投与を含む。いくつかの態様において、細胞の用量は、1×107もしくは約1×107、2.5×107もしくは約2.5×107、5×107もしくは約5×107、7.5×107もしくは約7.5×107、1×108もしくは約1×108、または5×108もしくは約5×108の総組換え受容体発現CD8+T細胞の投与を含む。
【0209】
いくつかの態様では、細胞療法は、対象の体重1kg当たり少なくとも以下の値もしくは少なくともおよそ以下の値または以下の値もしくはおよそ以下の値:0.1×106細胞/kg、0.2×106細胞/kg、0.3×106細胞/kg、0.4×106細胞/kg、0.5×106細胞/kg、1×106細胞/kg、2.0×106細胞/kg、3×106細胞/kg、または5×106細胞/kgである細胞数を含有する用量の投与を含む。
【0210】
いくつかの態様では、細胞療法は、それぞれ両端の値を含む、対象の体重1kg当たり0.1×106細胞/kg~1.0×107細胞/kgもしくは約0.1×106細胞/kg~1.0×107細胞/kg、0.5×106細胞/kg~5×106細胞/kgもしくは約0.5×106細胞/kg~5×106細胞/kg、0.5×106細胞/kg~3×106細胞/kgもしくは約0.5×106細胞/kg~3×106細胞/kg、0.5×106細胞/kg~2×106細胞/kgもしくは約0.5×106細胞/kg~2×106細胞/kg、0.5×106細胞/kg~1×106細胞/kgもしくは約0.5×106細胞/kg~1×106細胞/kg、1.0×106細胞/kg~5×106細胞/kgもしくは約1.0×106細胞/kg~5×106細胞/kg、1.0×106細胞/kg~3×106細胞/kgもしくは約1.0×106細胞/kg~3×106細胞/kg、1.0×106細胞/kg~2×106細胞/kgもしくは約1.0×106細胞/kg~2×106細胞/kg、2.0×106細胞/kg~5×106細胞/kgもしくは約2.0×106細胞/kg~5×106細胞/kg、2.0×106細胞/kg~3×106細胞/kgもしくは約2.0×106細胞/kg~3×106細胞/kg、または3.0×106細胞/kg~5×106細胞/kgもしくは約3.0×106細胞/kg~5×106細胞/kgである細胞数を含有する用量の投与を含む。
【0211】
いくつかの態様では、細胞の用量は、2×105細胞/kg~2×106細胞/kgもしくは約2×105細胞/kg~2×106細胞/kg、例えば4×105細胞/kg~1×106細胞/kgもしくは約4×105細胞/kg~1×106細胞/kg、または6×105細胞/kg~8×105細胞/kgもしくは約6×105細胞/kg~8×105細胞/kgを含む。いくつかの態様では、細胞の用量は、対象の体重1キログラム当たり(細胞/kg)2×105個以下の細胞(例えばCAR発現細胞などの抗原発現細胞)、例えば3×105細胞/kg以下もしくは約3×105細胞/kg以下、4×105細胞/kg以下もしくは約4×105細胞/kg以下、5×105細胞/kg以下もしくは約5×105細胞/kg以下、6×105細胞/kg以下もしくは約6×105細胞/kg以下、7×105細胞/kg以下もしくは約7×105細胞/kg以下、8×105細胞/kg以下もしくは約8×105細胞/kg以下、9×105細胞/kg以下もしくは約9×105細胞/kg以下、1×106細胞/kg以下もしくは約1×106細胞/kg以下、または2×106細胞/kg以下もしくは約2×106細胞/kg以下を含む。いくつかの態様では、細胞の用量は、対象の体重1キログラム当たり(細胞/kg)2×105個の細胞(例えばCAR発現細胞などの抗原発現細胞)もしくは約2×105個の細胞、または少なくとも2×105個の細胞もしくは少なくとも約2×105個の細胞、例えば以下の値もしくはおよそ以下の値または少なくとも以下の値もしくは少なくともおよそ以下の値:3×105細胞/kg、4×105細胞/kg、5×105細胞/kg、6×105細胞/kg、7×105細胞/kg、8×105細胞/kg、9×105細胞/kg、1×106細胞/kg、または2×106細胞/kgを含む。
【0212】
いくつかの態様において、細胞(例えば、組換え受容体発現T細胞)の用量が単一用量として対象に投与され、または2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年もしくはそれ以上の期間内に1回だけ投与される。
【0213】
いくつかの局面において、薬学的組成物および製剤は、所与の用量またはその画分で投与するための細胞数を含めた単位用量形態の組成物として提供される。
【0214】
いくつかの態様において、該用量の細胞は、各々が該用量のいくつかの細胞を含有する複数(例えば、第一および第二、場合によりより多く)の組成物または溶液の投与によって投与してよい。いくつかの局面において、各々が異なる集団および/またはサブタイプの細胞を含有する複数の組成物が、別々にまたは独立に、場合により一定期間内に投与される。例えば、集団またはサブタイプの細胞は、それぞれ、各々が個々に組換え受容体を発現するように遺伝子操作された細胞を含む、CD8+およびCD4+ T細胞、および/または、それぞれCD8+およびCD4+が濃縮された集団、例えば、CD4+および/またはCD8+T細胞を含むことができる。いくつかの態様において、該用量の投与は、ある用量のCD8+T細胞またはある用量のCD4+T細胞を含む第一の組成物の投与ならびに他の用量のCD4+T細胞およびCD8+T細胞を含む第二の組成物の投与を含む。
【0215】
いくつかの態様において、組成物または用量の投与、例えば、複数の細胞組成物の投与は、細胞組成物を別々に投与することを伴う。いくつかの局面において、別々の投与は、同時に、または任意の順序で順次に行われる。いくつかの態様において、用量は、第一の組成物および第二の組成物を含み、第一の組成物および第二の組成物は、0~12時間あけて、0~6時間あけてまたは0~2時間あけて投与される。いくつかの態様において、第一の組成物の投与の開始および第二の組成物の投与の開始は、2時間以内、1時間以内または30分間以内あけて、15分間以内、10分間以内または5分間以内あけて行われる。いくつかの態様において、第一の組成物の投与の開始および/または完了ならびに第二の組成物の投与の完了および/または開始は、2時間以内、1時間以内、または30分間以内あけて、15分間以内、10分間以内または5分間以内あけて行われる。
【0216】
いくつかの組成物において、第一の組成物、例えば、該用量の第一の組成物は、CD4+T細胞を含む。いくつかの組成物において、第一の組成物、例えば、該用量の第一の組成物は、CD8+T細胞を含む。いくつかの態様において、第一の組成物は、第二の組成物の前に投与される。
【0217】
いくつかの態様において、細胞の用量または組成物は、規定または標的の比率の組換え受容体を発現するCD4+細胞と組換え受容体を発現するCD8+細胞および/またはCD4+細胞とCD8+細胞を含み、その比率は、場合により、およそ1:1であるか、またはおよそ1:3~およそ3:1の間、例えばおよそ1:1である。いくつかの局面において、標的または所望の比率の異なる細胞集団(例えば、CD4+:CD8+の比率またはCAR+CD4+:CAR+CD8+の比率、例えば、1:1)を有する組成物または用量の投与は、該集団の1つを含有する細胞組成物の投与とその後の該集団の他のものを含む別個の細胞組成物の投与を伴い、ここでの投与は、標的もしくは所望の比率での投与またはおよそ標的もしくは所望の比率での投与である。いくつかの局面において、規定の比率での細胞の用量または組成物の投与は、T細胞療法の改善された増大、持続性および/または抗腫瘍活性を導く。
【0218】
養子細胞療法に関連して、所与の「用量」の細胞の投与は、単一の組成物としておよび/または単一の中断されない投与として(例えば、単回注射または持続注入として)の所与の量または数の細胞の投与を包含し、また、3日間以内である指定された期間にわたる複数の個々の組成物または注入で提供される分割用量としての所与の量または数の細胞の投与も包含する。したがって、いくつかの状況では、用量は、ある1つの時点で与えられるかまたは開始される、指定される数の細胞の単回投与または連続投与である。しかしながら、いくつかの状況では、用量は、3日間以内の期間にわたる複数回(例えば、3日間もしくは2日間にわたって1日1回)の注射もしくは注入で、または1日の期間にわたる複数回の注入によって、投与される。
【0219】
したがって、いくつかの局面では、前記用量の細胞は、単一の薬学的組成物で投与される。いくつかの態様では、前記用量の細胞は、合計で当該用量の細胞を含む複数の組成物で投与される。
【0220】
「分割用量」という用語は、1日を超えて投与されるように分割されている用量を指す。この種の投与は、本発明の方法に包含され、単一用量であると見なされる。いくつかの態様では、分割用量の細胞は、合計で当該用量の細胞を含む複数の組成物で、3日間以内の期間にわたって投与される。
【0221】
したがって、細胞の用量は分割用量として投与され得る。例えば、いくつかの態様では、用量は、2日間または3日間にわたって対象に投与され得る。分割投与のための例示的な方法は、1日目に用量の25%を投与し、2日目に用量の残りの75%を投与することを含む。他の態様では、1日目に用量の33%を投与し、2日目に残りの67%を投与し得る。いくつかの局面では、1日目に用量の10%を投与し、2日目に用量の30%を投与し、3日目に用量の60%を投与する。いくつかの態様では、分割用量は3日間を超えない。
【0222】
いくつかの態様において、対象は、細胞の複数の用量、例えば、2つまたは複数の用量または複数の連続用量を受ける。いくつかの態様において、2つの用量が対象に投与される。いくつかの態様において、対象は、連続用量を受け、例えば、第二の用量が、最初の用量のおよそ4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日または21日後に投与される。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の用量が連続用量の投与に続いて投与されるように、複数の連続用量が最初の用量に続いて投与される。いくつかの局面において、追加の用量中の対象に投与される細胞の数は、最初の用量および/または連続用量と同じであるかまたはそれに類似している。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の用量は、先行用量よりも多い。
【0223】
いくつかの局面において、最初の用量および/または連続用量のサイズは、先行処置、例えば化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば腫瘍の量、体積、大きさ、または転移の程度、範囲もしくは種類、病期、および/または毒性アウトカム、例えばCRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主の免疫応答などの、1つまたは複数の基準に基づいて判定される。
【0224】
いくつかの局面において、最初の用量の投与と連続用量の投与との間の時間は、約9日~約35日、約14日~約28日、または15日~27日である。いくつかの態様において、連続用量の投与は、最初の用量の投与の約14日超かつ約28日未満の時点である。いくつかの局面において、最初の用量と連続用量との間の時間は、約21日である。いくつかの態様において、1つまたは複数の追加の用量、例えば、連続用量は、連続用量の投与に続いて投与される。いくつかの局面において、1つまたは複数の追加の連続用量は、先行用量の投与に続いて少なくとも約14日かつ約28日未満に投与される。いくつかの態様において、追加の用量は、先行用量に続いて約14日未満に、例えば、先行用量の4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日または13日後に投与される。いくつかの態様において、用量は、先行用量に続いて約14日未満に投与されず、かつ/または、用量は、先行用量の約28日超後に投与されない。
【0225】
いくつかの態様において、細胞、例えば、組換え受容体発現細胞の用量は、T細胞の最初の用量およびT細胞の連続用量を含む2つの用量(例えば、二重用量)を含み、ここで、最初の用量および第二の用量の一方または両方は、T細胞の分割用量の投与を含む。
【0226】
いくつかの態様では、細胞の用量は一般に、疾患負荷を軽減するうえで有効であるのに十分な量である。
【0227】
いくつかの態様では、細胞は所望の投与量で投与され、これは、いくつかの局面では所望の用量もしくは数の細胞もしくは細胞型および/または所望の比率の細胞型を含む。したがって、いくつかの態様では細胞の投与量は、細胞の総数(または体重1kg当たりの数)および個々の集団またはサブタイプの所望の比率、例えばCD4+対CD8+比に基づく。いくつかの態様では、細胞の投与量は、個々の集団または個々の細胞型における細胞の所望の総数(または体重1kg当たりの数)に基づく。いくつかの態様では、投与量は、個々の集団における全細胞の所望の数、所望の比率、および細胞の所望の総数などの特徴の組み合わせに基づく。
【0228】
いくつかの態様では、CD8+およびCD4+T細胞などの細胞の集団またはサブタイプは、T細胞の所望の用量などの全細胞の所望の用量の許容差でまたは許容差内で投与される。いくつかの態様では、所望の用量は、細胞の所望の数または細胞が投与される対象の単位体重当たりの細胞の所望の数、例えば細胞/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、細胞の最小数もしくは最小数より上、または単位体重当たりの細胞の最小数もしくは最小数より上である。いくつかの局面では、所望の用量で投与される全細胞のうち、個々の集団またはサブタイプは、所望の産生比(CD4+対CD8+比など)またはそれに近い比率で、例えばそのような比のある特定の許容差内または誤差内で存在する。
【0229】
いくつかの態様では、細胞は、所望の用量のCD4+細胞および/または所望の用量のCD8+細胞などの、1つまたは複数の個々の集団またはサブタイプの細胞の所望の用量の許容差でまたは許容範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の用量は、サブタイプまたは集団の細胞の所望の数、または細胞が投与される対象の単位体重当たりのそのような細胞の所望の数、例えば細胞/kgである。いくつかの局面では、所望の用量は、集団もしくはサブタイプの細胞の最小数もしくは最小数より上、または単位体重当たりの集団もしくはサブタイプの細胞の最小数もしくは最小数より上である。
【0230】
したがって、いくつかの態様では、投与量は、全細胞の所望の固定用量および所望の比率に基づき、ならびに/または個々のサブタイプもしくは亜集団の1つもしくは複数、例えば各々の、所望の固定用量に基づく。したがって、いくつかの態様では、投与量は、T細胞の所望の固定用量もしくは最小用量およびCD4+対CD8+細胞の所望の比率に基づき、ならびに/またはCD4+および/またはCD8+細胞の所望の固定用量もしくは最小用量に基づく。
【0231】
いくつかの態様では、細胞は、CD4+およびCD8+細胞またはサブタイプなどの複数の細胞集団またはサブタイプの所望の産生比の許容範囲でまたは許容範囲内で投与される。いくつかの局面では、所望の比率は特定の比率であり得るかまたは比率の範囲であり得る。例えばいくつかの態様では、所望の比率(例えば、CD4+対CD8+細胞の比率)は、5:1~5:1もしくは約5:1~約5:1(もしくは約1:5より大きく約5:1より小さい)、または1:3~3:1もしくは約1:3~約3:1(もしくは約1:3より大きく約3:1より小さい)、例えば2:1~1:5もしくは約2:1~約1:5(もしくは約1:5より大きく約2:1より小さい、例えば5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.9:1、1.8:1、1.7:1、1.6:1、1.5:1、1.4:1、1.3:1、1.2:1、1.1:1、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、もしくは1:5、またはおよそ前記比率である。いくつかの局面では、許容差は、所望の比率の約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%以内であり、これらの範囲の間の任意の値を含む。
【0232】
細胞は、任意の好適な手段によって投与することができる。細胞は、腫瘍量の減少などの治療効果を達成するための投薬レジメンで投与される。投薬および投与は、一部には、免疫調節性化合物の投与の計画に依存し得、これは、T細胞療法の投与の開始の前に、それに続いておよび/またはそれと同時に投与することができる。T細胞療法の様々な投薬計画は、様々な時点にわたる単回投与または複数回投与、ボーラス投与およびパルス注入を含むが、それらに限定されるわけではない。一定の態様において、操作されたT細胞は、組換え受容体を発現する。一定の態様において、操作されたT細胞は、CARを発現する。
【0233】
特定の態様において、細胞の数および/または濃度は、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞の数を指す。他の態様において、細胞の数および/または濃度は、投与される全ての細胞、T細胞または末梢血単核細胞(PBMC)の数または濃度を指す。
【0234】
いくつかの局面において、用量のサイズは、先行処置、例えば化学療法に対する対象の応答、対象における疾患負荷、例えば腫瘍の量、体積、大きさ、または転移の程度、範囲もしくは種類、病期、および/または毒性アウトカム、例えばCRS、マクロファージ活性化症候群、腫瘍溶解症候群、神経毒性を発症する対象の可能性もしくは発生率、ならびに/または投与される細胞および/もしくは組換え受容体に対する宿主の免疫応答などの、1つまたは複数の基準に基づいて判定される。
【0235】
いくつかの態様において、細胞と組み合わせてのガンマセクレターゼ阻害剤の投与は、細胞の増大または増殖を増加させる、例えば、実質的にまたは有意に増加させることが可能であり、したがって、より少ない用量の細胞を対象に投与することができる。いくつかの場合に、提供される方法は、細胞療法がガンマセクレターゼ阻害剤の投与を伴うことなく投与される方法における用量と同じ効力またはより良好な効力の処置を達成するのに、そのような細胞がより少ない用量で、例えば、細胞療法がガンマセクレターゼ阻害剤の投与を伴うことなく投与される方法における用量より少なくとも1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍または10倍少ない用量で投与されることを可能にする。
【0236】
いくつかの態様において、例えば、用量は、5.0×106~2.25×107もしくは約5.0×106~2.25×107、5.0×106~2.0×107もしくは約5.0×106~2.0×107、5.0×106~1.5×107もしくは約5.0×106~1.5×107、5.0×106~1.0×107もしくは約5.0×106~1.0×107、5.0×106~7.5×106もしくは約5.0×106~7.5×106、7.5×106~2.25×107もしくは約7.5×106~2.25×107、7.5×106~2.0×107もしくは約7.5×106~2.0×107、7.5×106~1.5×107もしくは約7.5×106~1.5×107、7.5×106~1.0×107もしくは約7.5×106~1.0×107、1.0×107~2.25×107もしくは約1.0×107~2.25×107、1.0×107~2.0×107もしくは約1.0×107~2.0×107、1.0×107~1.5×107もしくは約1.0×107~1.5×107、1.5×107~2.25×107もしくは約1.5×107~2.25×107、1.5×107~2.0×107もしくは約1.5×107~2.0×107、2.0×107~2.25×107もしくは約2.0×107~2.25×107の間を含有する。いくつかの態様において、細胞の用量は、少なくとも5×106または少なくとも約5×106、少なくとも6×106または少なくとも約6×106、少なくとも7×106または少なくとも約7×106、少なくとも8×106または少なくとも約8×106、少なくとも9×106または少なくとも約9×106、少なくとも10×106または少なくとも約10×106~約15×106の間の組換え受容体発現細胞、例えば、CD8+である組換え受容体発現細胞である細胞数を含有する。いくつかの態様において、そのような用量、例えばそのような標的細胞数は、投与される組成物中の総組換え受容体発現細胞を指す。
【0237】
いくつかの態様において、例えば、より少ない用量は、対象の体重の1キログラムあたり約5×106未満の細胞、組換え受容体(例えば、CAR)発現細胞、T細胞および/またはPBMC、例えば、対象の体重の1キログラムあたり約4.5×106、4×106、3.5×106、3×106、2.5×106、2×106、1.5×106、1×106、5×105、2.5×105または1×105未満のそのような細胞を含有する。いくつかの態様において、より少ない用量は、対象の体重の1キログラムあたり約1×105、2×105、5×105もしくは1×106未満のそのような細胞、または前述の値のいずれか2つの間の範囲内の値を含有する。いくつかの態様において、そのような値は、組換え受容体発現細胞の数を指し;他の態様において、それらは、投与されるT細胞もしくはPBMCまたは総細胞の数を指す。
【0238】
いくつかの態様において、細胞の1つまたは複数の後続用量を対象に投与することができる。いくつかの態様において、細胞の後続用量は、細胞の最初の用量の投与開始後の、7日超もしくは約7日超、14日超もしくは約14日超、21日超もしくは約21日超、28日超もしくは約28日超、または35日超もしくは約35日超で投与される。細胞の後続用量は、最初の用量よりも多いこと、最初の用量とほぼ同じであること、または最初の用量よりも少ないことが可能である。いくつかの態様において、T細胞療法の投与、例えば、細胞の最初の用量および/または第二の用量の投与を繰り返すことができる。
【0239】
いくつかの態様において、細胞療法、例えば、細胞の用量、または細胞の分割用量の最初の用量の投与の開始は、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物の投与の前に(投与に先立って)、投与と並行して、または投与の後に(投与の次にまたはそれに続いて)投与される。
【0240】
いくつかの態様において、細胞の用量または細胞の後続用量は、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始と並行して、併用療法の方法に従って投与される。いくつかの態様において、細胞の用量または細胞の後続用量は、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始と同日に、併用療法の方法に従って投与される。いくつかの態様において、細胞の用量または細胞の後続用量は、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始の1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内または7日以内に、併用療法の方法に従って投与される。
【0241】
いくつかの態様において、細胞の用量または細胞の後続用量は、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の始動または開始の前に、提供される併用療法に従って投与される。いくつかの態様において、細胞の用量は、ガンマセクレターゼ阻害剤を投与する少なくとも1時間前もしくは少なくとも約1時間前、少なくとも2時間前もしくは少なくとも約2時間前、少なくとも3時間前もしくは少なくとも約3時間前、少なくとも6時間前もしくは少なくとも約6時間前、少なくとも12時間前もしくは少なくとも約12時間前、少なくとも1日前もしくは少なくとも約1日前、少なくとも2日前もしくは少なくとも約2日前、少なくとも3日前もしくは少なくとも約3日前、少なくとも4日前もしくは約少なくとも4日前、少なくとも5日前もしくは少なくとも約5日前、少なくとも6日前もしくは約少なくとも6日前、少なくとも7日前もしくは少なくとも約7日前、少なくとも12日前もしくは約少なくとも12日前、少なくとも14日前もしくは少なくとも約14日前、少なくとも15日前もしくは約少なくとも15日前、少なくとも21日前もしくは少なくとも約21日前、少なくとも28日前もしくは少なくとも約28日前、少なくとも30日前もしくは約少なくとも30日前、少なくとも35日前もしくは少なくとも約35日前、少なくとも42日前もしくは少なくとも約42日前、少なくとも60日前もしくは約少なくとも60日前、または少なくとも90日前もしくは約少なくとも90日前に、提供される併用療法に従って投与される。
【0242】
いくつかの態様において、提供される併用療法に従ったガンマセクレターゼ阻害剤の投与は、免疫療法(例えば、CAR-T細胞療法などのT細胞療法)の先行投与が、免疫療法(例えば、CAR-T細胞療法などのT細胞療法)の開始直前の時点またはT細胞療法の開始後の先行する時点でのT細胞の機能性と比較して、T細胞の低下した機能性に関連するかまたは関連する可能性が高いときにおいてである。いくつかの態様において、該方法は、T細胞療法、例えば、養子T細胞療法の細胞の用量の投与に続いて、但しガンマセクレターゼ阻害剤を投与する前に、対象由来の試料を、例えば、血中におけるレベルもしくは量、または他の表現型もしくは本明細書において記載されるような所望の成績(例えば、セクションIIIにおいて記載されるものなど)によって判定されるようなT細胞の1つまたは複数の機能(例えば、細胞の増大または持続性)について評価することを伴う。併用療法のレジメンを決定するためのまたは評価するための様々なパラメーターがセクションIIIに記載される。
【0243】
B. ガンマセクレターゼ阻害剤の投与
本明細書に提供される方法、組成物、組み合わせ、キットおよび使用のいくつかの態様において、併用療法は、ガンマセクレターゼの阻害剤および/または細胞療法(例えば、T細胞療法)を含有する、1つまたは複数の組成物、例えば、薬学的組成物で投与することができる。
【0244】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞、例えば、腫瘍/癌細胞上の1つまたは複数の受容体の膜内切断を阻害または低減する。いくつかの態様において、癌/腫瘍細胞上の細胞表面受容体の膜内切断の阻害のIC50は、約100μM、50μM、25μM、10μM、1μM、0.75μM、0.5μM、0.25μM、0.1μM、75nM、50nM、25nM、または10nM未満である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、癌/腫瘍細胞上の細胞表面受容体の膜内切断を、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.35nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~1.0nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.35nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~1.0nM、1.0nM~10nM、1.0nMnM~5nM、1.0nMnM~1nM、1.0nM~0.5nM、1.0nMnM~0.35nM、1.0nMnM~0.25nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.25nM~0.35nM、0.35nM~10nM、0.35nM~5nM、0.35nM~1nM、0.35nM~0.5nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~10nM、1nM~5nMまたは5nM~10nMの半最大阻害濃度(IC50)で阻害する。いくつかの態様において、癌/腫瘍細胞上の細胞表面受容体の膜内切断の阻害のIC50は、約10nM~25nM、25nM~50nM、50nM~75nM、75nM~0.1μM、0.1μM~0.25μM、0.25μM~0.5μM、0.5μM~0.75μM、0.75μM~1μM、1μM~10μM、10μM~25μM、25μM~50μM、50μM~75μM、または75μM~100μMである。いくつかの態様において、受容体(1つまたは複数)は、B細胞成熟抗原(BCMA)、ノッチ1、ノッチ2、ノッチ3、ノッチ4、細胞表面関連ムチン1(MUC1)、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CX3CR1、CXCL16、デルタ1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6R、およびアミロイド前駆体タンパク質(APP)からなる群より選択される。いくつかの態様において、受容体は、細胞表面関連ムチン1(MUC1)である。
【0245】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼの阻害剤は、細胞、例えば、腫瘍/癌細胞上の上記の1つまたは複数の受容体の膜内切断を阻害または低減し、ここで、ガンマセクレターゼの投与は、細胞上の受容体発現のレベルを増加させる。いくつかの態様において、受容体は、表面B細胞成熟抗原(BCMA)である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、表面B細胞成熟抗原(BCMA)の膜内切断を妨害し、ここで、表面BCMAの切断の阻害のIC50は、約100μM、50μM、25μM、10μM、1μM、0.75μM、0.5μM、0.25μM、0.1μM、75nM、50nM、25nM、または10nM未満である。いくつかの態様において、癌/腫瘍細胞上の細胞表面受容体の膜内切断の阻害のIC50は、約10nM~25nM、25nM~50nM、50nM~75nM、75nM~0.1μM、0.1μM~0.25μM、0.25μM~0.5μM、0.5μM~0.75μM、0.75μM~1μM、1μM~10μM、10μM~25μM、25μM~50μM、50μM~75μM、または75μM~100μMである。いくつかの態様において、表面BCMAの切断の阻害のIC50は、0.5nM未満である。いくつかの態様において、表面BCMAの切断の阻害のIC50は、約0.01nM~約0.5nM、または0.01nM~約0.5nM、または約0.01nM~約0.35nMである。
【0246】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼの阻害剤は、低い脳侵入度を有する。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤のわずか0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、2.5%、5%、7.5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%が投与後に脳に侵入することができる。
【0247】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼの阻害剤は、ガンマセクレターゼの基質の一部の膜内切断を選択的に阻害または低減する。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、表面B細胞成熟抗原(BCMA)の膜内切断を選択的に阻害または低減する。
【0248】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチド阻害剤または非ペプチド阻害剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ペプチドアルデヒド誘導体、ジフルオロケトン誘導体、ヒドロキシエチレンジペプチド同配体誘導体、アルファらせん状ペプチド誘導体およびジペプチド類似体の中からのペプチド阻害剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ベンゾジアゼピン誘導体およびスルホンアミド誘導体から選択される非ペプチド阻害剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼは、遷移状態(transition state)阻害剤、例えば、LY-411575-IまたはLY685,458である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、DAPT、RO4929097などの非遷移状態阻害剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ガンマセクレターゼ調節剤である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ調節剤は、非ステロイド性抗炎症薬型調節剤である。
【0249】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシン t-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナールイソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752(Merck);MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139(Eli Lilly);RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、化合物E([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、Alexis Biochemicalsから入手可能)、LY411575(Eli Lillyおよび共同研究者)、L-685,458(Sigma-Aldrich)、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)ならびにBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)(Bristol Myers Squibb)である。
【0250】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、LY3039478であるか、またはその立体異性体であるか、または前述の薬学的に許容される塩もしくは水和物である。
【0251】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
で示される化合物、またはその立体異性体、または前述の薬学的に許容される塩もしくは水和物である。
【0252】
いくつかの態様において、化合物1は、描写したような単一立体異性体である。いくつかの場合に、4つの立体異性体を生じる2つのキラル中心がある。したがって、いくつかの態様において、化合物1への言及はまた、化合物1を含むラセミ混合物を含む。エナンチオピュアなまたはリッチな出発物質を使用した立体特異的合成によって特定の立体異性体を調製することができる。出発物質、中間体または化合物1を含むラセミ混合物のいずれかの特定の立体異性体を、当技術分野において周知の技術、例えば、キラル固定相クロマトグラフィー、酵素的分割、またはジアステレオマー塩などのその目的のために形成されたジアステレオマーの分別結晶もしくはクロマトグラフィーを含めた、Stereochemistry of Organic Compounds, E. I. Eliel and S. H. Wilen (Wiley 1994) and Enantiomers, Racemates, and Resolutions, J., Jacques, A. Collet, and S. H. Wilen (Wiley 1991)に見いだされる技術によって分割することができる。
【0253】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物である。
【0254】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物である。
【0255】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物である。
【0256】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、構造:
で示される化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物である。
【0257】
いくつかの態様において、該化合物は、化合物1である。いくつかの態様において、化合物1は、4,4,4-トリフルオロ-N-[(1S)-2-[[(7S)-5-(2-ヒドロキシエチル)-6-オキソ-7H-ピリド[2,3-d][3]ベンズアゼピン-7-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]ブタンアミドと命名され;また、N-[(1S)-2-[[(7S)-6,7-ジヒドロ-5-(2-ヒドロキシエチル)-6-オキソ-5H-ピリド[3,2-a][3]ベンズアゼピン-7-イル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]-4,4,4-トリフルオロブタンアミドとも命名されてもよく;化合物1を明確に特定するために他の名称を使用してもよい。いくつかの態様において、化合物1は、LY3039478として知られている。また、化合物1の合成および調製については公開PCT出願番号WO2013/016081を参照されたい。
【0258】
1. 組成物および製剤
本明細書に提供される併用療法の方法、組成物、組み合わせ、キットおよび使用のいくつかの態様において、併用療法は、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物を含有する1つまたは複数の組成物、例えば、薬学的組成物で投与することができる。
【0259】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物を含有する組成物、例えば、薬学的組成物は、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物および/または細胞と共に投与される、希釈剤、補助剤、賦形剤またはビヒクルなどの担体を含むことができる。好適な薬学的担体の例は、E. W. Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。そのような組成物は、患者への適正な投与のための形態を提供するために、治療有効量のガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物(一般には精製された形態)を、好適な量の担体と一緒に含有するであろう。そのような薬学的担体は、滅菌液、例えば、水および油(ピーナッツ油、大豆油、鉱油およびゴマ油などの、石油、動物、植物または合成起源の油を含む)であることができる。また、食塩水ならびに水性デキストロースおよびグリセロール溶液を、特定すると注射用液剤用の、担体として用いることができる。薬学的組成物は、希釈剤、補助剤、付着防止剤、結合剤、コーティング剤、充填剤、香味剤、着色剤、潤滑剤、流動促進剤、保存料、洗剤、吸着剤、乳化剤、薬学的賦形剤、pH緩衝剤または甘味料およびそれらの組み合わせの任意の1つまたは複数を含有することができる。いくつかの態様において、薬学的組成物は、液体、固体、凍結乾燥粉末、ゲルの形態、および/またはそれらの組み合わせであることができる。いくつかの局面において、担体の選択は、一部には、特定の阻害剤によっておよび/または投与の方法によって判断される。
【0260】
薬学的に許容される担体は一般に、用いられる投与量および濃度でレシピエントに非毒性であり、以下のものが含まれるが、これらに限定されるわけではない:リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール、メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノールおよびm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えばZn-タンパク質錯体);ならびに/またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン界面活性剤、安定剤ならびに/または防腐剤。γセクレターゼ阻害剤またはその水和物の薬学的に許容される塩を含有する組成物は、凍結乾燥することもできる。
【0261】
いくつかの態様では、薬学的組成物は、筋肉内、静脈内、皮内、病巣内、腹腔内注射、皮下、腫瘍内、硬膜外、経鼻、経口、膣内、直腸内、外用、局所、耳、吸入、口腔(例えば舌下)、および経皮投与または任意の経路を含む、当業者に公知の任意の経路による投与用に製剤化することができる。いくつかの態様では、他の投与様式もまた企図される。いくつかの態様では、投与は、ボーラス注入、注射、例えば静脈内または皮下注射、眼内注射、眼周囲注射、網膜下注射、硝子体内注射、経中隔注射、強膜下注射、脈絡膜内注射、前房内注射、結膜下注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、眼球後注射、眼球周囲注射、または後傍強膜送達によって行われる。いくつかの態様では、投与は、非経口投与、肺内投与、および鼻腔内投与によって、および局所治療のために所望する場合は病巣内投与によって行われる。非経口注入には、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が含まれる。いくつかの態様では、所与の用量は単回ボーラス投与によって投与される。いくつかの態様では、それは、例えば3日間以内の期間にわたる複数回のボーラス投与によって、または持続注入投与によって、投与される。
【0262】
いくつかの態様では、投与は、治療の場所に応じて外用的、局所的または全身的であり得る。いくつかの態様では、治療を必要とする領域への局所投与は、例えば、限定されることなく、外科手術中の局所注入、例えば外科手術後の創傷被覆材と組み合わせた局所適用によって、注射によって、カテーテルを用いて、坐剤を用いて、またはインプラントを用いて達成され得る。いくつかの態様では、組成物はまた、他の生物学的に活性な作用物質と共に、連続的に、間欠的に、または同じ組成物中で投与され得る。いくつかの態様では、投与はまた、放出制御製剤およびポンプなどによる装置制御放出を含む放出制御システムを含み得る。いくつかの態様では、投与は経口投与である。
【0263】
いくつかの態様では、薬学的および治療的に活性な化合物およびその誘導体は、典型的には単位投与剤形または複数回投与剤形で製剤化および投与される。各単位用量は、必要な薬学的担体、ビヒクルまたは希釈剤と共に、所望の治療効果を生じさせるのに十分な所定量の治療的に活性な化合物を含有する。いくつかの態様では、単位投与剤形には、適切な量の化合物または薬学的に許容されるその誘導体を含有する、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、滅菌非経口液剤または懸濁剤、および経口液剤または懸濁剤、および油・水乳剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。単位投与剤形は、封入されたアンプルおよび注射器、あるいは個別に包装された錠剤またはカプセル剤であり得る。単位投与剤形は、その分数単位または倍数単位で投与することができる。いくつかの態様では、複数回投与剤形は、分離された単位投与剤形で投与されるように単一の容器に包装された複数の同一の単位投与剤形である。複数回投与剤形の例には、バイアル、錠剤もしくはカプセル剤のボトルまたはパイントもしくはガロン入りのボトルが含まれる。
【0264】
2. ガンマセクレターゼ阻害剤の投薬計画
いくつかの態様において、提供される併用療法の方法は、治療有効量のガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物、および細胞療法、例えばT細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)を対象に投与することを伴う。
【0265】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物の投与は、細胞療法、例えばT細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)の投与の前に、それに続いて、その間に、その過程で、同時に、ほぼ同時に、順次におよび/または間欠的に、開始される。いくつかの態様において、該方法は、T細胞療法の投与の前に、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物の投与を開始することを伴う。他の態様において、該方法は、細胞療法(例えば、CAR発現T細胞療法)の投与の後に、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物の投与を開始することを伴う。いくつかの態様において、投薬計画は、細胞療法(例えば、CAR発現T細胞療法)の投与と並行してまたは同時に、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物の投与を開始することを含む。
【0266】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物は、サイクルで投与される。いくつかの態様において、サイクルは、ガンマセクレターゼ阻害剤が投与された後にガンマセクレターゼ阻害剤が投与されない休息期間が続く投与期間を含む。いくつかの態様において、サイクルの、例えばガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始からの総日数は、1日超または約1日超、3日超または約3日超、7日超もしくは約7日超、14日超もしくは約14日超、21日超もしくは約21日超、28日超もしくは約28日超、30日超もしくは約30日超、40日超もしくは約40日超、50日超もしくは約50日超、60日超もしくは約60日超以上であるか、または約1日、約3日、約7日、約14日、約21日、約28日、約30日、約40日、約50日、約60日以上である。
【0267】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、少なくとも1サイクルで行われ、細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)の投与の開始は、同日に、場合により並行して行われる。いくつかの態様において、少なくとも1サイクルでのガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始の前である。いくつかの態様において、少なくとも1サイクルでのガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始と並行してまたは同日である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法(例えば、CAR発現T細胞療法)の開始の、0~30日前もしくは約0~30日前、例えば、0~15日前もしくは約0~15日前、0~6日前もしくは約0~6日前、0~96時間前もしくは約0~96時間前、0~24時間前もしくは約0~24時間前、0~12時間前もしくは約0~12時間前、0~6時間前もしくは約0~6時間前、または0~2時間前もしくは約0~2時間前、2時間~15日前もしくは約2時間~15日前、2時間~6日前もしくは約2時間~6日前、2時間~96時間前もしくは約2時間~96時間前、2時間~24時間前もしくは約2時間~24時間前、2時間~12時間前もしくは約2時間~12時間前、2時間~6時間前もしくは約2時間~6時間前、6時間~30日前もしくは約6時間~30日前、6時間~15日前もしくは約6時間~15日前、6時間~6日前もしくは約6時間~6日前、6時間~96時間前もしくは約6時間~96時間前、6時間~24時間前もしくは約6時間~24時間前、6時間~12時間前もしくは約6時間~12時間前、12時間~30日前もしくは約12時間~30日前、12時間~15日前もしくは約12時間~15日前、12時間~6日前もしくは約12時間~6日前、12時間~96時間前もしくは約12時間~96時間前、12時間~24時間前もしくは約12時間~24時間前、24時間~30日前もしくは約24時間~30日前、24時間~15日前もしくは約24時間~15日前、24時間~6日前もしくは約24時間~6日前、24時間~96時間前もしくは約24時間~96時間前、96時間~30日前もしくは約96時間~30日前、96時間~15日前もしくは約96時間~15日前、96時間~6日前もしくは約96時間~6日前、6日~30日前もしくは約6日~30日前、6日~15日前もしくは約6日~15日前、または15日~30日前もしくは約15日~30日前に投与される。いくつかの局面において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、T細胞療法の開始前の約96時間以内、72時間以内、48時間以内、24時間以内、12時間以内、6時間以内、2時間以内または1時間以内に投与される。
【0268】
ガンマセクレターゼ阻害剤またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物が細胞療法(例えば、CAR-T細胞療法などのT細胞療法)の前に与えられる任意のそのような態様のいくつかにおいて、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与は、細胞療法の開始まで、かつ/または、細胞療法の開始後の一定期間にわたり、一定間隔で継続される。
【0269】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法(例えば、CAR-T細胞療法などのT細胞療法)の投与後に投与されるか、またはさらに投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法(例えば、T細胞療法)の投与の開始後の、1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、4日以内もしくは約4日以内、5日以内もしくは約5日以内、6日以内もしくは約6日以内、または7日以内もしくは約7日以内、14日以内もしくは約14日以内、15日以内もしくは約15日以内、21日以内もしくは約21日以内、24日以内もしくは約24日以内、28日以内もしくは約28日以内、30日以内もしくは約30日以内、36日以内もしくは約36日以内、42日以内もしくは約42日以内、60日以内もしくは約60日以内、72日以内もしくは約72日以内、または90日以内もしくは約90日以内に投与される。
【0270】
いくつかの態様において、提供される方法は、細胞療法の投与の開始後のガンマセクレターゼ阻害剤の継続投与、例えば一定間隔での継続投与を伴う。例えば、ガンマセクレターゼ阻害剤は、毎日、2日に1回、3日に1回、週3回または週1回の一定間隔で一定の期間にわたり投与される。
【0271】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法(例えば、CAR-T細胞療法などのT細胞療法)の投与の開始後、例えば、記載されるような一定間隔で、最大1日間もしくは最大約1日間、最大2日間もしくは最大約2日間、最大3日間もしくは最大約3日間、最大4日間もしくは最大約4日間、最大5日間もしくは最大約5日間、最大6日間もしくは最大約6日間、最大7日間もしくは最大約7日間、最大12日間もしくは最大約12日間、最大14日間もしくは最大約14日間、最大21日間もしくは最大約21日間、最大24日間もしくは最大約24日間、最大28日間もしくは最大約28日間、最大30日間もしくは最大約30日間、最大35日間もしくは最大約35日間、最大42日間もしくは最大約42日間、最大60日間もしくは最大約60日間、または最大90日間もしくは最大約90日間、最大120日間もしくは最大約120日間、最大180日間もしくは最大約180日間、最大240日間もしくは最大約240日間、最大360日間もしくは最大約360日間、または最大720日間もしくは最大約720日間またはより長い間投与される。
【0272】
任意のそのような上記態様のいくつかにおいて、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法(例えば、CAR-T細胞療法などのT細胞療法)の投与開始の前および後に投与される。
【0273】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、(i)T細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが、対象の血液中で検出可能となった;(ii)血液中の検出可能なT細胞療法の細胞の数が、血液中で検出可能となった後に、検出不可能となったかまたは低減された、場合によりT細胞療法の投与後の先行する時点と比較して低減された;(iii)血液中の検出可能なT細胞療法の細胞の数が、T細胞療法の投与の開始後の対象の血液中の検出可能なT細胞療法の細胞のピーク数または最大数の1.2倍もしくは1.2倍超、1.5倍もしくは1.5倍超、2.0倍もしくは2.0倍超、3.0倍もしくは3.0倍超、4.0倍もしくは4.0倍超、5.0倍もしくは5.0倍超、10倍もしくは10倍超またはより多く減少した;(iv)T細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能なT細胞のまたはそれに由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満または0.1%未満となった;(v)対象が、T細胞療法による処置後に疾患進行を示しかつ/または寛解に続いて再発した;および/または(iv)対象が、T細胞の投与前もしくは後およびガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始前の時点の腫瘍量と比較して増加した腫瘍量を示した、時点またはその後、場合によりその直後またはその後1~3日以内に行われる。
【0274】
いくつかの局面において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法(例えば、CAR T-細胞療法などのT細胞療法)の投与後に対象が再発した後の時点または再発する疑いのあるもしくはその可能性が高い時点である。いくつかの場合に、細胞療法は、抗BCMA CAR-T細胞療法であり、ガンマセクレターゼ阻害剤は、抗BCMA CAR-T細胞療法の投与後に対象が再発した後の時点または再発する疑いのあるもしくはその可能性が高い時点に投与される。
【0275】
いくつかの態様において、少なくとも1サイクルでのガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始後である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始の、少なくとも1日後もしくは約少なくとも1日後、少なくとも2日後もしくは約少なくとも2日後、少なくとも3日後もしくは約少なくとも3日後、少なくとも4日後もしくは約少なくとも4日後、少なくとも5日後もしくは約少なくとも5日後、少なくとも6日後もしくは約少なくとも6日後、少なくとも7日後もしくは約少なくとも7日後、少なくとも8日後もしくは約少なくとも8日後、少なくとも9日後もしくは約少なくとも9日後、少なくとも10日後もしくは約少なくとも10日後、少なくとも12日後もしくは少なくとも約12日後、少なくとも14日後もしくは約少なくとも14日後、少なくとも15日後もしくは少なくとも約15日後、少なくとも21日後もしくは約少なくとも21日後、少なくとも24日後もしくは少なくとも約24日後、少なくとも28日後もしくは約少なくとも28日後、少なくとも30日後もしくは約少なくとも30日後、少なくとも35日後もしくは約少なくとも35日後または少なくとも42日後もしくは約少なくとも42日後、少なくとも60日後もしくは約少なくとも60日後、または少なくとも90日後もしくは約少なくとも90日後である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始の、少なくとも2日後、少なくとも1週間後、少なくとも2週間後、少なくとも3週間後、または少なくとも4週間後に行われる。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始の2~28日後または7~21日後に行われる。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始は、細胞療法の投与の開始の14日超後もしくは約14日超後、15日超後もしくは約15日超後、16日超後もしくは約16日超後、17日超後もしくは約17日超後、18日超後もしくは約18日超後、19日超後もしくは約19日超後、20日超後もしくは約20日超後、21日超後もしくは約21日超後、24日超後もしくは約24日超後、または28日超後もしくは約28日超後である時点で行われる。
【0276】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法の開始後、1日数回、1日2回、毎日、2日に1回、週3回、週2回、または週1回投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、毎日投与される。いくつかの態様において ガンマセクレターゼ阻害剤は、1日2回投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1日3回投与される。他の態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、2日に1回投与される。
【0277】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、毎日投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、複数日間連続、例えば、最大で約7日間連続、約8日間連続、約9日間連続、約10日間連続、約11日間連続、約12日間連続、約13日間連続、約14日間連続、約15日間連続、約16日間連続、約17日間連続、約18日間連続、約19日間連続、約20日間連続、約21日間連続、約22日間連続、約23日間連続、約24日間連続、約25日間連続、約26日間連続、約27日間連続、約28日間連続、約29日間連続、約30日間連続、または約30日間連続超の投与期間の間に投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、7日間連続超もしくは約7日間連続超、14日間連続超もしくは約14日間連続超、21日間連続超もしくは約21日間連続超、21日間連続超もしくは約21日間連続超、または28日間連続超もしくは約28日間連続超投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、最大21日間連続の投与期間の間に投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、最大21日間連続の投与期間の間に投与され、ここで、サイクルは、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の開始から30日超を含む。
【0278】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、約7日間連続以下、約8日間連続以下、約9日間連続以下、約10日間連続以下、約11日間連続以下、約12日間連続以下、約13日間連続以下、約14日間連続以下、約15日間連続以下、約16日間連続以下、約17日間連続以下、約18日間連続以下、約19日間連続以下、約20日間連続以下、約21日間連続以下、約22日間連続以下、約23日間連続以下、約24日間連続以下、約25日間連続以下、約26日間連続以下、約27日間連続以下、約28日間連続以下、約29日間連続以下、約30日間連続以下、または30日間連続以下の投与期間の間に投与される。一定の態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、21日の処置サイクルで14日間にわたり1日1回投与される。一定の態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、28日の処置サイクルで21日間にわたり1日1回投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、14日間連続以下の投与期間の間に投与される。
【0279】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ガンマセクレターゼ阻害剤の複数日間連続の投与とそれに続くガンマセクレターゼ阻害剤が投与されない休息期間を含むサイクルで投与される。いくつかの態様において、休息期間は、約1日超、約3日間連続超、約5日間連続超、約7日間連続超、約8日間連続超、約9日間連続超、約10日間連続超、約11日間連続超、約12日間連続超、約13日間連続超、約14日間連続超、約15日間連続超、約16日間連続超、約17日間連続超、約18日間連続超、約19日間連続超、約20日間連続超、または約21日間連続超またはより長い期間連続である。いくつかの態様において、休息期間は、7日間連続超、14日間連続超、21日超または28日超である。いくつかの態様において、休息期間は、約14日間連続超である。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与のサイクルは、休息期間を含有しない。
【0280】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、少なくとも1回繰り返されるサイクルで投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、少なくとも2サイクル、少なくとも3サイクル、少なくとも4サイクル、少なくとも5サイクル、少なくとも6サイクル、少なくとも7サイクル、少なくとも8サイクル、少なくとも9サイクル、少なくとも10サイクル、少なくとも11サイクル、または少なくとも12サイクル投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24サイクル投与される。
【0281】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法の投与の開始の前またはそれに続いて、少なくと1日6回、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、2日に1回、3日毎、週3回、週2回、週1回または1回だけ投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、週3回投与される。いくつかの態様において、阻害剤の投与は、少なくとも14日もしくは少なくとも約14日もしくは14日、少なくとも21日もしくは少なくとも約21日もしくは21日、または少なくとも28日もしくは少なくとも約28日もしくは28日である処置サイクルで行われる。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、複数回用量で、細胞療法の投与の期間の前、その間、その過程で、および/またはその後に一定間隔で投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1回または複数回用量で、細胞療法の投与前に一定間隔で投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1回または複数回用量で、細胞療法の投与後に一定間隔で投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の1回または複数回用量を、ある用量の細胞療法の投与と同時に行うことができる。
【0282】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の用量、頻度、継続期間、タイミングおよび/または順序は、スクリーニング工程の結果の特定の閾値もしくは基準および/または本明細書に記載の処置成績の評価、例えば本明細書のセクションIIIに記載されるそれらに基づいて決定される。
【0283】
いくつかの態様において、該方法は、治療有効量のガンマセクレターゼ阻害剤が過去に投与されている対象に細胞療法を投与することを伴う。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、ある用量の組換え受容体を発現する細胞を対象に投与する前に、対象に投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤による処置は、細胞の用量の投与と同時に行われる。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞の用量の投与後に投与される。
【0284】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与は、2~28日間の投与期間、例えば、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、または21日間超行われる。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、または21日間超、毎日投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、または21日間超、1日2回投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、または21日間超、1日3回投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、または21日間超、2日に1回投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、または21日間超、週3回投与される。
【0285】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法(例えば、T細胞療法)の投与の開始後、2日目、4日目、7日目、9日目、11日目、14日目、16日目および18日目に投与される。
【0286】
本明細書に提供される方法のいくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤および細胞療法は、同時にまたはほぼ同時に投与される。
【0287】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、多くても50mg/日もしくは多くても約50mg/日、多くても100mg/日もしくは多くても約100mg/日、多くても150mg/日もしくは多くても約150mg/日、多くても175mg/日もしくは多くても約175mg/日、多くても200mg/日もしくは多くても約200mg/日、多くても250mg/日もしくは多くても約250mg/日、多くても300mg/日もしくは多くても約300mg/日、多くても350mg/日もしくは多くても約350mg/日、多くても400mg/日もしくは多くても約400mg/日、多くても450mg/日もしくは多くても約450mg/日、多くても500mg/日もしくは多くても約500mg/日、多くても600mg/日もしくは多くても約600mg/日、多くても700mg/日もしくは多くても約700mg/日、多くても800mg/日もしくは多くても約800mg/日、またはより少ない総1日投与量で投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、0.5mg~500mg、0.5mg~250mg、0.5mg~100mg、0.5mg~50mg、0.5mg~25mg、0.5mg~10mg、0.5mg~5.0mg、0.5mg~2.5mg、0.5mg~1.0mg、1.0mg~500mg、1.0mg~250mg、1.0mg~100mg、1.0mg~50mg、1.0mg~25mg、1.0mg~10mg、1.0mg~5.0mg、1.0mg~2.5mg、2.5mg~500mg、2.5mg~250mg、2.5mg~100mg、2.5mg~50mg、2.5mg~25mg、2.5mg~10mg、2.5mg~5.0mg、5.0mg~500mg、5.0mg~250mg、5.0mg~100mg、5.0mg~50mg、5.0mg~25mg、5.0mg~10mg、10mg~500mg、10mg~250mg、10mg~100mg、10mg~50mg、10mg~25mg、25mg~500mg、25mg~250mg、25mg~100mg、25mg~50mg、50mg~500mg、50mg~250mg、50mg~100mg、100mg~500mg、100mg~250mgまたは250mg~500mgの量で投与され、または、阻害剤の各投与が、独立に、該量で投与される。いくつかの態様において、阻害剤は、少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mgもしくは0.5mgであるかもしくは約0.5mgである、少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mgもしくは1.0mgであるかもしくは約1.0mgである、少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mgもしくは2.5mgであるかもしくは約2.5mgである、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgであるかもしくは約5.0mgである、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgであるかもしくは約10.0mgである、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgであるかもしくは約25mgである、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgであるかもしくは約50mgである、少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgであるかもしくは約100mgである、少なくとも250mgもしくは少なくとも約250mgもしくは250mgであるかもしくは約250mgである、または少なくとも500mgもしくは少なくとも約500mgもしくは500mgであるかもしくは約500mgである量で投与され、または、阻害剤の各投与が、独立に、該量で投与される。いくつかの態様において、量は、ガンマセクレターゼ阻害剤の1日1回量である。そのような投与量を、記載されるような一定間隔で、例えば、2日に1回、3日に1回、週3回または週1回で、投与期間にわたり投与することができる。いくつかの態様において、投与期間は、2~28日、例えば、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、または21日超である。
【0288】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、約1mg~約20mg、例えば、約1mg~約10mg、約2.5mg~約7.5mg、約5mg~約15mg、例えば、約5mg、10mg、15mgまたは20mgの投与量で投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、10μg/kgもしくは約10μg/kg~5mg/kgもしくは約5mg/kg、例えば、50μg/kgもしくは約50μg/kg~2mg/kgもしくは約2mg/kg、50μg/kgもしくは約50μg/kg~1mg/kgもしくは約1mg/kg、50μg/kgもしくは約50μg/kg~500μg/kgもしくは約500μg/kg、50μg/kgもしくは約50μg/kg~250μg/kgもしくは約250μg/kg、100μg/kgもしくは約100μg/kg~200μg/kgもしくは約200μg/kg、50または約50~100μg/kgもしくは約100μg/kg、100μg/kgもしくは約100μg/kg~約2mg/kg、100μg/kgもしくは約100μg/kg~1mg/kgもしくは約1mg/kg、100μg/kgもしくは約100μg/kg~500μg/kgもしくは約500μg/kg、100μg/kgもしくは約100μg/kg~250μg/kgもしくは約250μg/kg、100μg/kgもしくは約100μg/kg~200μg/kgもしくは約200μg/kg、100μg/kgもしくは約100μg/kg、200μg/kgもしくは約200μg/kg~約2mg/kg、200μg/kgもしくは約200μg/kg~1mg/kgもしくは約1mg/kg、200μg/kgもしくは約200μg/kg~500μg/kgもしくは約500μg/kg、200μg/kgもしくは約200μg/kg~250μg/kgもしくは約250μg/kg、または250μg/kgもしくは約250μg/kg~2mg/kgもしくは約2mg/kg、250μg/kgもしくは約250μg/kg~1mg/kgもしくは約1mg/kg、250μg/kgもしくは約250μg/kg~500μg/kgもしくは約500μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、400μg/kgまたは約400μg/kg~600μg/kgまたは約600μg/kg、例えば、500μg/kgまたは約500μg/kgの用量で投与される。いくつかの態様において、量は、ガンマセクレターゼ阻害剤の1日1回量である。そのような投与量を、記載されるような一定間隔で、例えば、2日に1回、3日に1回、週3回または週1回で、投与期間にわたり投与することができる。いくつかの態様において、投与期間は、2~28日、例えば、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、または21日超である。
【0289】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1日当たり少なくとも0.1mgもしくは少なくとも約0.1mg、1日当たり少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mg、1日当たり少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mg、1日当たり少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mg、1日当たり少なくとも5mgもしくは少なくとも約5mg、1日当たり少なくとも10mgもしくは少なくとも約10mg、1日当たり少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mg、1日当たり少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mg、または1日当たり少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgの総1日投与量で投与される。いくつかの態様において、阻害剤の用量は、1日当たり約25mgである。特定の態様において、阻害剤の用量は、1日当たり10mgであるかまたは約10mgである。そのような投与量を、記載されるような一定間隔で、例えば、2日に1回、3日に1回、週3回または週1回で、投与期間にわたり投与することができる。いくつかの態様において、投与期間は、2~28日、例えば、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、または21日超である。
【0290】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1mg超または約1mg超、2.5mg超または約2.5mg超、5mg超または約5mg超、7.5mg超または約7.5mg超、10mg超または約10mg超、15mg超または約15mg超で25mg未満の量で投与される。いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、1日当たり1mg超または約1mg超、1日当たり2.5mg超または約2.5mg超、1日当たり5mg超または約5mg超、1日当たり7.5mg超または約7.5mg超、1日当たり10mg超または約10mg超、1日当たり15mg超または約15mg超で1日当たり25mg未満の量で投与される。そのような投与量を、記載されるような一定間隔で、例えば、2日に1回、3日に1回、週3回または週1回で、投与期間にわたり投与することができる。いくつかの態様において、投与期間は、2~28日、例えば、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、または21日超である。
【0291】
いくつかの態様において、ガンマセクレターゼ阻害剤は、細胞療法(例えば、T細胞療法)の投与の開始後、2日目、4日目、7日目、9日目、11日目、14日目、16日目および18日目に投与される。
【0292】
いくつかの態様において、投与量、例えば、1日投与量は、1回もしくは複数回の分割用量、例えば、2、3もしくは4用量で、または単一製剤で投与される。ガンマセクレターゼ阻害剤を、単独で、薬学的に許容される担体の存在下で、または他の治療用物質の存在下で投与することができる。
【0293】
当業者は、γセクレターゼ阻害剤のより大きい投薬量、またはより少ない投薬量が、例えば、特定の薬剤および投与経路に依存して使用され得るであろうことを認識するであろう。いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤は単独で投与されてもよく、あるいは、化合物が1つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈剤と混合されているかまたは混和されている薬学的組成物の形態で投与されてもよい。いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤は、全身的に、または処置されることになる器官もしくは組織に対して局所的にそのどちらであっても投与される場合がある。例示的な投与経路には、局所的経路、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内および静脈内など)での経路、経口経路、舌下経路、直腸経路、経皮経路、鼻腔内経路、膣経路および吸入経路が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、投与経路は、経口経路、非経口経路、直腸経路、鼻経路、局所的経路または眼経路であるかあるいは吸入による経路である。いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤は経口投与される。いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤は、固体の投薬形態物(例えば、カプセル剤、錠剤および粉末剤など)で、または液体の投薬形態物(例えば、エリキシル剤、シロップ剤および懸濁物など)で経口投与される。
【0294】
患者の疾患の改善が生じると、用量は、予防的処置または維持処置のために調節される場合がある。例えば、投薬量もしくは投与頻度または両方が、所望の治療効果または予防効果が維持されるレベルにまで症状の関数として減らされる場合がある。症状が適切なレベルにまで緩和されたならば、処置は中止される場合がある。しかしながら、いかなる再発であれ、症状が再発すると、患者は、長期的での断続的な処置を必要とする場合がある。患者はまた、長期的での長期にわたる処置を必要とする場合がある。
【0295】
3. 追加の治療法
いくつかの局面において、提供される方法は、1つまたは複数のリンパ球枯渇療法を、例えば、細胞療法(例えば、T細胞療法)の投与の開始前または開始と同時などにおいて投与することをさらに含むことができる。いくつかの態様において、リンパ球枯渇療法は、ホスファミド(例えば、シクロホスファミドなど)を投与することを含む。いくつかの態様において、リンパ球枯渇療法は、フルダラビンを投与することを含むことができる。
【0296】
いくつかの局面において、対象を免疫枯渇(例えば、リンパ球枯渇)療法によりプレコンディショニングすることは養子細胞療法(ACT)の効果を改善することができる。シクロスポリンおよびフルダラビンの組み合わせを含めて、リンパ球枯渇剤によるプレコンディショニングは、移入された細胞の応答および/または持続性を改善するためにであることを含めて、細胞療法における移入された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)細胞の効力を改善することにおいてこれまで効果的であった。例えば、Dudley et al., Science, 298, 850-54(2002); Rosenberg et al., Clin Cancer Res, 17(13):4550-4557(2011)を参照のこと。同様に、CAR+T細胞の状況において、いくつかの研究が、様々なリンパ球枯渇剤を、最も一般的にはシクロホスファミド、フルダラビン、ベンダムスチン、またはそれらの組み合わせを、時には低線量の照射を伴って組み入れている。Han et al. Journal of Hematology & Oncology, 6:47(2013); Kochenderfer et al., Blood, 119: 2709-2720(2012); Kalos et al., Sci Transl Med, 3(95):95ra73(2011); Clinical Trial Study Record Nos.: NCT02315612; NCT01822652を参照のこと。
【0297】
そのようなプレコンディショニングを、治療の効力を弱め得るであろう様々な結果の1つまたは複数の危険性を減らすことを目的にして行うことができる。これらには、T細胞、B細胞、NK細胞が、恒常性、およびサイトカイン(例えば、IL-2、IL-7および/またはIL-15など)を活性化することについてTILと競合する「サイトカインシンク(cytokine sink)」として知られている現象;調節性T細胞、NK細胞、または免疫系の他の細胞によるTILの抑制;腫瘍微小環境における負の調節因子の影響が含まれる。Muranski et al., Nat Clin Pract Oncol. December; 3(12): 668-681(2006)。
【0298】
したがって、いくつかの態様において、提供される方法は、リンパ球枯渇療法を対象に投与することをさらに伴う。いくつかの態様において、方法は、リンパ球枯渇療法を、細胞の用量の投与に先立って対象に投与することを伴う。いくつかの態様において、リンパ球枯渇療法は、化学療法剤(例えば、フルダラビンおよび/またはシクロホスファミドなど)を含有する。いくつかの態様において、細胞および/またはリンパ球枯渇療法の実施が、外来での送達により行われる。
【0299】
いくつかの態様において、方法は、プレコンディショニング剤(例えば、リンパ球枯渇剤または化学療法剤など、例えば、シクロホスファミド、フルダラビンまたはそれらの組み合わせなど)を、細胞の用量の投与に先立って対象に投与することを含む。例えば、対象が、最初の用量または後続用量の少なくとも2日前に、例えば、最初の用量または後続用量の少なくとも3日前、4日前、5日前、6日前または7日前などに、プレコンディショニング剤を投与される場合がある。いくつかの態様において、対象が、細胞の用量の投与を開始する最大でも7日前に、例えば、細胞の用量の投与の最大でも6日前、5日前、4日前、3日前または2日前などに、プレコンディショニング剤を投与される。
【0300】
いくつかの態様において、対象は、20mg/kg~100mg/kgまたは約20mg/kg~100mg/kgの間(対象の体表面積)、例えば、40mg/kg~80mg/kgまたは約40mg/kg~80mg/kgの間の用量のシクロホスファミドによりプレコンディショニングされる。いくつかの局面において、対象は、60mg/kgまたは約60mg/kgのシクロホスファミドによりプレコンディショニングされる。いくつかの態様において、フルダラビンを、単回用量で投与することができ、または、複数回用量で、例えば、毎日、2日に1回もしくは3日に1回与えられる複数回用量で投与することができる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、1日または2日間、毎日1回投与される。いくつかの態様において、リンパ球枯渇剤がシクロホスファミドを含む場合、対象には、100mg/m2~500mg/m2または約100mg/m2~500mg/m2の間(対象の体表面積)、例えば、200mg/m2~400mg/m2もしくは約200mg/m2~400mg/m2、または250mg/m2~350mg/m2もしくは約250mg/m2~350mg/m2の間の用量のシクロホスファミドが投与される。いくつかの場合に、対象には、約300mg/m2のシクロホスファミドが投与される。いくつかの態様において、シクロホスファミドを、単回用量で投与することができ、または、複数回用量で、例えば、毎日、2日に1回もしくは3日に1回与えられる複数回用量で投与することができる。いくつかの態様において、シクロホスファミドは、毎日、例えば、1~5日間、例えば、2~4日間投与される。いくつかの場合に、対象には、細胞療法の開始前に、約300mg/m2(対象の体表面積)のシクロホスファミドが毎日3日間投与される。いくつかの態様において、リンパ球枯渇剤がフルダラビンを含む場合、対象には、1mg/m2~100mg/m2または約1mg/m2~100mg/m2の間(対象の体表面積)、例えば、10mg/m2~75mg/m2もしくは約10mg/m2~75mg/m2、15mg/m2~50mg/m2もしくは約15mg/m2~50mg/m2、20mg/m2~30mg/m2もしくは約20mg/m2~30mg/m2、20mg/m2~40mg/m2もしくは約20mg/m2~40mg/m2、24mg/m2~35mg/m2もしくは約24mg/m2~35mg/m2、または24mg/m2~26mg/m2もしくは約24mg/m2~26mg/m2の間の用量のフルダラビンが投与される。いくつかの場合に、対象には、約30mg/m2のフルダラビンが投与される。いくつかの場合に、対象には、25mg/m2のフルダラビンが投与される。いくつかの態様において、フルダラビンを、単回用量で投与することができ、または、複数回用量で、例えば、毎日、2日に1回もしくは3日に1回与えられる複数回用量で投与することができる。いくつかの態様において、フルダラビンは、毎日、例えば、1~5日間、例えば、3~5日間または3~4日間投与される。いくつかの場合に、対象には、細胞療法の開始前に、約30mg/m2(対象の体表面積)のフルダラビンが毎日3日間投与される。
【0301】
いくつかの態様において、リンパ球枯渇剤は、作用物質の組み合わせ、例えば、シクロホスファミドとフルダラビンの組み合わせを含む。したがって、作用物質の組み合わせは、シクロホスファミドを任意の用量または投与計画、例えば上記のようなもので、かつ、フルダラビンを任意の用量または投与計画、例えば上記のようなもので含み得る。例えば、いくつかの局面において、対象には、細胞の用量の前に、60mg/kg(約2g/m2)のシクロホスファミドおよび3~5用量の25mg/m2のフルダラビンが投与される。いくつかの局面において、対象には、30mg/m2または約30mg/m2(対象の体表面積)のフルダラビンが毎日、かつ、300mg/m2または約300mg/m2(対象の体表面積)のシクロホスファミドが毎日、3日間投与される。
【0302】
1つの例示的な投薬レジメンでは、最初の用量を受ける前に、対象は、細胞の投与の1日前でのガンマセクレターゼ阻害剤と、CAR発現細胞の最初の用量の少なくとも2日前、一般には細胞の投与の7日以内前に投与されるシクロホスファミドおよびフルダラビン(CY/FLU)のリンパ球枯渇プレコンディショニング化学療法とを受ける。別の例示的な投薬レジメンでは、対象は、細胞の投与と並行して、例えば同日にガンマセクレターゼ阻害剤を受ける。なお別の例示的な投薬レジメンでは、対象は、細胞の投与の数日後、例えば、7日後、8日後、9日後、10日後、11日後、12日後、13日後、14日後、または14日超後にガンマセクレターゼ阻害剤を受ける。いくつかの場合に、例えば、シクロホスファミドは、ガンマセクレターゼ阻害剤の投与の24~27日後に与えられる。プレコンディショニング処置後、対象には、上記のようなCAR発現T細胞の用量が投与される。
【0303】
いくつかの態様において、細胞の用量の注入に先立つプレコンディショニング剤の投与により、処置の成績が改善される。例えば、いくつかの局面において、プレコンディショニングは用量による処置の効力を改善するか、または対象における組換え受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞、例えば、CAR発現T細胞など)の持続性を増大させる。いくつかの態様において、プレコンディショニング処置は、無病生存率(例えば、細胞の用量の後における所与の期間の後で生存しており、かつ最小限の残存疾患または分子的に検出可能な疾患を何ら示さない対象の割合など)を増大させる。いくつかの態様において、メジアン無病生存期間までの時間が増大する。
【0304】
細胞が対象(例えば、ヒト)に投与されると、操作細胞集団の生物学的活性がいくつかの局面においては、多くの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメーターには、操作されたT細胞または天然のT細胞または他の免疫細胞の、抗原に対する特異的な結合であって、インビボでは、例えば、画像化による特異的な結合、またはエクスビボでは、例えば、ELISAもしくはフローサイトメトリーによる特異的な結合が含まれる。ある特定の態様において、操作された細胞が標的細胞を破壊し得るかを、当技術分野において公知である任意の好適な方法を使用して、例えば、Kochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7):689-702(2009)、およびHerman et al. J. Immunological Methods, 285(1):25-40(2004)に記載されている細胞傷害性アッセイなどを使用して測定することができる。ある特定の態様において、細胞の生物学的活性はまた、ある特定のサイトカイン(例えば、CD107a、IFNγ、IL-2およびTNFなど)の発現および/または分泌をアッセイすることによって測定することができる。いくつかの局面において、生物学的活性が、臨床成績(例えば、腫瘍量または腫瘍細胞量の減少など)を評価することによって測定される。いくつかの局面において、毒性結果、細胞の持続性、および/または拡大増殖、ならびに/あるいは宿主免疫応答の有無が評価される。
【0305】
いくつかの態様において、細胞の用量の注入に先立つプレコンディショニング剤の投与は、処置の成績を、例えば、用量による処置の効力を改善するなどによって改善するか、または対象における組換え受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞、例えば、CAR発現T細胞など)の持続性を増大させる。したがって、いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤および細胞療法による併用療法である方法において与えられるプレコンディショニング剤の用量は、γセクレターゼ阻害剤を伴わない方法で与えられる用量よりも大きい。
【0306】
II.細胞療法および細胞の操作
いくつかの態様では、提供される併用療法の方法に従って使用するための細胞療法(例えばT細胞療法)は、疾患または病態に関連する分子を認識し、および/またはそれに特異的に結合して、そのような分子への結合時にそのような分子に対する免疫応答などの応答をもたらすように設計された組換え受容体を発現する操作された細胞を投与することを含む。受容体は、キメラ受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、およびトランスジェニックT細胞受容体(TCR)を含む他のトランスジェニック抗原受容体を含み得る。
【0307】
いくつかの態様では、細胞は、操作された受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)などの操作された抗原受容体、またはT細胞受容体(TCR)を含むか、または含むように操作されている。そのような細胞の集団、そのような細胞を含むおよび/またはそのような細胞が濃縮された組成物、例えばT細胞またはCD8+もしくはCD4+細胞などの特定の種類の細胞が濃縮または選択されている組成物も提供される。組成物の中には、養子細胞療法のためなどの、投与のための薬学的組成物および製剤がある。細胞および組成物を対象、例えば患者に投与するための治療方法も提供される。
【0308】
したがって、いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作によって導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによってそのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様では、遺伝子導入は、例えばサイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるように、細胞を増殖、生存、および/または活性化などの応答を誘導する刺激と組み合わせることなどによって、最初に細胞を刺激し、続いて活性化した細胞に形質導入し、培養下で臨床適用に十分な数まで拡大増殖させることによって達成される。
【0309】
A.組換え受容体
細胞は一般に、機能的非TCR抗原受容体を含む抗原受容体、例えばキメラ抗原受容体(CAR)、および他の抗原結合受容体、例えばトランスジェニックT細胞受容体(TCR)などの組換え受容体を発現する。受容体の中には他のキメラ受容体もある。
【0310】
提供される方法および使用のいくつかの態様において、キメラ抗原受容体などのキメラ受容体を含む組換え受容体は、所望の抗原(例えば、腫瘍抗原)に対する特異性を提供するリガンド結合ドメイン(例えば、抗体または抗体断片)と細胞内シグナル伝達ドメインを組み合わせた、1つまたは複数のドメインを含有する。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次活性化シグナルを提供する、T細胞活性化ドメインなどの活性化細胞内ドメイン部分である。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、エフェクター機能を促進する共刺激性シグナル伝達ドメインを含有するか、または追加で共刺激性シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様において、キメラ受容体は、免疫細胞中に遺伝子操作されたときに、T細胞活性を調節することができ、いくつかの場合に、T細胞の分化またはホメオスタシスを調節することができ、それによって、例えば養子細胞療法の方法において使用するための、インビボでの寿命、生存および/または持続性が改善された遺伝子操作された細胞がもたらされる。
【0311】
1. キメラ抗原受容体(CAR)
いくつかの態様において、特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンドもしくは受容体)、例えば、特定の細胞タイプの表面上に発現される抗原に対する特異性を有するCARを発現する、操作された細胞、例えば、T細胞が提供される。
【0312】
特定の態様において、組換え受容体、例えば、キメラ受容体は、細胞内シグナル伝達領域を含有し、細胞内シグナル伝達領域は、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができる、細胞質(細胞内)領域などの細胞質シグナル伝達ドメイン(細胞内シグナル伝達ドメインとも互換的に呼ばれる)、例えば、T細胞受容体(TCR)成分の細胞質シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖の細胞質シグナル伝達ドメインまたはその機能的バリアントもしくはシグナル伝達部分)、および/または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含む細胞質シグナル伝達ドメインを含む。
【0313】
いくつかの態様において、キメラ受容体はさらに、リガンド(例えば、抗原)抗原に特異的に結合する細胞外リガンド結合ドメインを含有する。いくつかの態様において、キメラ受容体は、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインを含有するCARである。いくつかの態様において、抗原などのリガンドは、細胞の表面上に発現されるタンパク質である。CARなどのキメラ受容体は、一般には、細胞外抗原結合ドメイン、例えば、抗体分子の一部分、一般には、抗体の可変重(VH)鎖領域および/または可変軽(VL)鎖領域、例えば、scFv抗体断片を含む。いくつかの態様において、CARは、TCR様CARであり、抗原は、TCRのように、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に関連して細胞表面上で認識される、細胞内タンパク質のペプチド抗原などのプロセシングされたペプチド抗原である。
【0314】
CARを含めた例示的な抗原受容体、およびそのような受容体を操作して細胞に導入するための方法は、例えば、国際特許出願公開番号WO200014257、WO2013126726、WO2012/129514、WO2014031687、WO2013/166321、WO2013/071154、WO2013/123061、WO2016/0046724、WO2016/014789、WO2016/090320、WO2016/094304、WO2017/025038、WO2017/173256、米国特許出願公開番号US2002131960、US2013287748、US20130149337、米国特許第6,451,995号、第7,446,190号、第8,252,592号、第8,339,645号、第8,398,282号、第7,446,179号、第6,410,319号、第7,070,995号、第7,265,209号、第7,354,762号、第7,446,191号、第8,324,353号、第8,479,118号および第9,765,342号、ならびに欧州特許出願番号EP2537416に記載されているもの、ならびに/または、Sadelain et al., Cancer Discov., 3(4): 388-398 (2013); Davila et al., PLoS ONE 8(4): e61338 (2013); Turtle et al., Curr. Opin. Immunol., 24(5): 633-39 (2012); Wu et al., Cancer, 18(2): 160-75 (2012)によって記載されているものを含む。いくつかの局面において、抗原受容体は、米国特許第7,446,190号に記載されているようなCAR、および国際特許出願番号番号WO/2014055668 A1に記載されているものを含む。CARの例は、前述の刊行物、例えばWO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、Kochenderfer et al., Nature Reviews Clinical Oncology, 10, 267-276 (2013); Wang et al., J. Immunother. 35(9): 689-701 (2012);およびBrentjens et al., Sci Transl Med. 5(177) (2013)のいずれかに開示されているようなCARを含む。また、WO2014031687、US 8,339,645、US 7,446,179、US 2013/0149337、米国特許第7,446,190号、米国特許第8,389,282号、WO 2016/090320、WO2016090327、WO2010104949A2およびWO2017173256も参照されたい。
【0315】
いくつかの態様において、CARは、特定の抗原(またはマーカーもしくはリガンドもしくは受容体)、例えば、養子療法によって標的とされるべき特定の細胞タイプにおいて発現される抗原、例えば、癌マーカー、および/または、減弱応答を誘導することを意図した抗原、例えば、正常もしくは非疾患細胞タイプ上に発現される抗原に対する特異性を有するよう構築される。したがって、CARは、典型的には、その細胞外部分に、1つもしくは複数の抗原結合分子、例えば、1つもしくは複数の抗原結合断片、ドメインもしくは部分、または1つもしくは複数の抗体可変ドメインおよび/または抗体分子を含む。いくつかの態様において、CARは、抗体分子の1つまたは複数の抗原結合部分、例えば、モノクローナル抗体(mAb)の可変重(VH)鎖および可変軽(VL)鎖に由来する単鎖抗体断片(scFv)を含む。
【0316】
いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの組換え受容体の一部として細胞上に発現される。中でも、抗原受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)などの機能的な非TCR抗原受容体である。一般には、ペプチド-MHC複合体に対して指向されるTCR様特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARと称され得る。いくつかの態様において、TCR様CARのMHC-ペプチド複合体に特異的な細胞外抗原結合ドメインは、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分に、いくつかの局面において、リンカーおよび/または膜貫通ドメイン(1つまたは複数)を介して連結される。いくつかの態様において、そのような分子は、典型的には、天然の抗原受容体、例えばTCRを通じたシグナル、および場合により、共刺激性受容体と組み合わされたそのような受容体を通じたシグナルを、模倣または近似することができる。
【0317】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えば、キメラ受容体(例えば、CAR)は、抗原(またはリガンドもしくは受容体)に結合する、例えば特異的に結合する、リガンド結合ドメインを含む。中でも、キメラ受容体によって標的とされる抗原は、養子細胞療法を介して標的とされるべき疾患、状態または細胞タイプに関連して発現されるものである。中でも、疾患および状態は、血液系癌、免疫系の癌(リンパ腫、白血病および/または骨髄腫、例えばB、Tおよび骨髄性白血病、リンパ腫および多発性骨髄腫)を含む、癌および腫瘍を含めた、増殖性、新生物および悪性の疾患および障害である。
【0318】
いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原は、ポリペプチドである。いくつかの態様において、それは、炭水化物または他の分子である。いくつかの態様において、抗原は、正常なまたは標的とされない細胞または組織と比較して、疾患または状態の細胞、例えば、腫瘍または病原性細胞上に選択的に発現されるかまたは過剰発現される。他の態様において、抗原は、正常な細胞上に発現され、かつ/または、操作された細胞上に発現される。
【0319】
いくつかの態様において、CARは、細胞の表面上に発現される抗原、例えば無傷の抗原を特異的に認識する、抗体または抗原結合断片(例えば、scFv)を含有する。
【0320】
いくつかの態様において、抗原(またはリガンドもしくは受容体)は、腫瘍抗原または癌マーカーである。一定の態様において、抗原は、αvβ6インテグリン(avb6インテグリン)、B細胞成熟抗原(BCMA)、B7-H3、B7-H6、炭酸脱水酵素9(CA9、またCAIXまたはG250としても知られている)、癌精巣抗原、癌/精巣抗原1B(CTAG、またNY-ESO-1およびLAGE-2としても知られている)、癌胎児性抗原(CEA)、サイクリン、サイクリンA2、C-Cモチーフケモカインリガンド1(CCL-1)、CD19、CD20、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD123、CD133、CD138、CD171、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4)、上皮成長因子タンパク質(EGFR)、III型上皮成長因子受容体変異(EGFR vIII)、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、エフリンB2、エフリン受容体A2(EPHa2)、エストロゲン受容体、Fc受容体様5(FCRL5;またFc受容体ホモログ5またはFCRH5としても知られている)、胎児アセチルコリン受容体(胎児AchR)、葉酸結合タンパク質(FBP)、葉酸受容体アルファ、ガングリオシドGD2、O-アセチル化GD2(OGD2)、ガングリオシドGD3、糖タンパク質100(gp100)、グリピカン-3(GPC3)、Gタンパク質結合受容体5D(GPCR5D)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerb-B2)、Her3(erb-B3)、Her4(erb-B4)、erbB二量体、ヒト高分子量-メラノーマ関連抗原(HMW-MAA)、B型肝炎表面抗原、ヒト白血球型抗原A1(HLA-A1)、ヒト白血球型抗原A2(HLA-A2)、IL-22受容体アルファ(IL-22Rα)、IL-13受容体アルファ2(IL-13Rα2)、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、L1細胞接着分子(L1-CAM)、L1-CAMのCE7エピトープ、ロイシンリッチリピート含有8ファミリーメンバーA(LRRC8A)、ルイスY、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MAGE-A10、メソテリン(MSLN)、c-Met、マウスサイトメガロウイルス(CMV)、ムチン1(MUC1)、MUC16、ナチュラルキラーグループ2メンバーD(NKG2D)リガンド、メランA(MART-1)、神経細胞接着分子(NCAM)、腫瘍胎児性抗原、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、プロゲステロン受容体、前立腺特異的抗原、前立腺幹細胞抗原(PSCA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、受容体型チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、サバイビン、栄養膜糖タンパク質(TPBG、また5T4としても知られている)、腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、チロシナーゼ関連タンパク質1(TRP1、またTYRP1またはgp75としても知られている)、チロシナーゼ関連タンパク質2(TRP2、またドパクロムトートメラーゼ、ドパクロムデルタ-イソメラーゼまたはDCTとしても知られている)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、病原体特異的または病原体発現抗原、またはユニバーサルタグに関連する抗原、ならびに/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるかまたはそれを含む。受容体によって標的とされる抗原は、いくつかの態様において、任意の多数の公知のB細胞マーカーなどのB細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様において、抗原は、BCMA、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパ、Igラムダ、CD79a、CD79bまたはCD30であるかまたはそれを含む。
【0321】
いくつかの態様において、抗原(またはリガンド)は、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼ挿入ドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原、ならびに/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子であるかまたはそれを含む。受容体によって標的とされる抗原は、いくつかの態様において、任意の多数の公知のB細胞マーカーなどのB細胞悪性腫瘍に関連する抗原を含む。いくつかの態様において、受容体によって標的とされる抗原は、CD20、CD19、CD22、ROR1、CD45、CD21、CD5、CD33、Igカッパ、Igラムダ、CD79a、CD79bまたはCD30である。
【0322】
受容体によって標的とされる抗原は、いくつかの態様において、オーファンチロシンキナーゼ受容体ROR1、Her2、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、およびB型肝炎表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、EGP-2、EGP-4、EPHa2、ErbB2、3もしくは4、FBP、胎児アセチルコリンe受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、kdr、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、MAGE-A1、メソテリン、MUC1、MUC16、PSCA、NKG2Dリガンド、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異的抗原、PSMA、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、およびMAGE A3、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、例えばサイクリンA1(CCNA1)、ならびに/またはビオチン化分子、および/またはHIV、HCV、HBVもしくは他の病原体によって発現される分子を含む。
【0323】
いくつかの態様において、CARは、病原体特異的または病原体発現抗原に結合する。いくつかの態様において、CARは、ウイルス抗原(例えば、HIV、HCV、HBVなど)、細菌抗原、および/または寄生虫抗原に特異的である。
【0324】
いくつかの態様において、CARは、TCR様抗体、例えば、MHC-ペプチド複合体として細胞表面上に提示される細胞内抗原、例えば腫瘍関連抗原を特異的に認識する、抗体または抗原結合断片(例えば、scFv)を含有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体を認識する抗体またはその抗原結合部分は、抗原受容体などの組換え受容体の一部として細胞上に発現され得る。中でも、抗原受容体は、キメラ抗原受容体(CAR)などの機能的な非TCR抗原受容体である。一般には、ペプチド-MHC複合体に対して指向されるTCR様特異性を示す抗体または抗原結合断片を含有するCARはまた、TCR様CARと称され得る。
【0325】
「主要組織適合遺伝子複合体」(MHC)への言及は、いくつかの場合に細胞内機構によってプロセシングされるペプチド抗原を含めたポリペプチドのペプチド抗原と複合体化することができる、多型ペプチド結合部位または結合溝を含有する、タンパク質、一般には糖タンパク質を指す。いくつかの場合に、MHC分子は、TCRまたはTCR様抗体などのT細胞上の抗原受容体によって認識可能な立体配置での抗原の提示のために、細胞表面上に、例えば、ペプチドとの複合体、すなわちMHC-ペプチド複合体として、表示または発現され得る。一般には、MHCクラスI分子は、膜貫通α鎖(いくつかの場合に3つのαドメインを有する)および非共有的に会合したβ2ミクログロブリンを有するヘテロ二量体である。一般には、MHCクラスII分子は、共に典型的には膜を貫通する2つの膜貫通糖タンパク質αおよびβから構成される。MHC分子は、抗原結合部位またはペプチド結合部位および適切な抗原受容体による認識に必要な配列を含有するMHCの有効部分を含むことができる。いくつかの態様において、MHCクラスI分子は、ペプチドをサイトソルから出発して細胞表面に送達し、そこで、MHC-ペプチド複合体は、T細胞、例えば一般にはCD8+ T細胞、いくつかの場合にはCD4+T細胞によって認識される。いくつかの態様において、MHCクラスII分子は、ペプチドを小胞システムから出発して細胞表面に送達し、そこで、それらの分子は、典型的にはCD4+ T細胞によって認識される。一般には、MHC分子は、マウスにおいてH-2およびヒトにおいてヒト白血球型抗原(HLA)と集合的に名付けられる連鎖遺伝子座群によってコードされる。したがって、典型的には、ヒトMHCはまた、ヒト白血球型抗原(HLA)と称され得る。
【0326】
用語「MHC-ペプチド複合体」または「ペプチド-MHC複合体」またはその変形は、一般にはMHC分子の結合溝または裂隙(cleft)におけるペプチドの非共有相互作用などによる、ペプチド抗原とMHC分子との複合体または会合を指す。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、細胞の表面上に存在するかまたは表示される。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体は、抗原受容体、例えば、TCR、TCR様CARまたはその抗原結合部分によって特異的に認識され得る。
【0327】
いくつかの態様において、ポリペプチドのペプチド、例えば、ペプチド抗原またはエピトープは、抗原受容体による認識などのためにMHC分子と会合することができる。一般には、ペプチドは、ポリペプチドまたはタンパク質などのより長い生体分子の断片に由来するかまたはそれに基づく。いくつかの態様において、ペプチドは、典型的には、約8~約24アミノ酸長である。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスII複合体での認識のために9~22または約9~22のアミノ酸長を有する。いくつかの態様において、ペプチドは、MHCクラスI複合体での認識のために8~13または約8~13のアミノ酸長を有する。いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体などのMHC分子に関連してペプチドが認識されると、TCRまたはTCR様CARなどの抗原受容体は、T細胞増殖、サイトカイン産生、細胞傷害性T細胞応答または他の応答などのT細胞応答を誘導する、T細胞への活性化シグナルを産生またはトリガーする。
【0328】
いくつかの態様において、TCR様抗体または抗原結合部分は、公知であるか、または当技術分野において公知の方法によって生産することができる(例えば、米国公開出願第US2002/0150914号;第US2003/0223994号;第US2004/0191260号;第US2006/0034850号;第US2007/00992530号;第US20090226474号;第US20090304679号;および国際PCT公開番号WO 03/068201を参照のこと)。
【0329】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、特異的MHC-ペプチド複合体を含有する有効量の免疫原を宿主に免疫処置することによって産生させることができる。いくつかの場合に、MHC-ペプチド複合体のペプチドは、腫瘍抗原、例えばユニバーサル腫瘍抗原、骨髄腫抗原または他の抗原などの、MHCに結合することができる抗原のエピトープである。いくつかの態様において、次に、有効量の免疫原が、免疫応答を誘発するために宿主に投与され、その際、免疫原は、MHC分子の結合溝中のペプチドの三次元提示に対して免疫応答を誘発するために十分な一定の期間にわたり、その三次元形態を保持する。次に、宿主から収集した血清がアッセイされ、MHC分子の結合溝中のペプチドの三次元提示を認識する所望の抗体が産生されているかが判定される。いくつかの態様において、産生された抗体を評価して、抗体が、MHC-ペプチド複合体を、MHC分子単独、関心対象のペプチド単独およびMHCと無関係のペプチドとの複合体から識別できるかを確認することができる。次に、所望の抗体を単離することができる。
【0330】
いくつかの態様において、MHC-ペプチド複合体に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分は、ファージ抗体ライブラリーなどの抗体ライブラリーディスプレイ法を用いることによって産生させることができる。いくつかの態様において、例えば、ライブラリーのメンバーが1つまたは複数のCDRの1つまたは複数の残基で変異されている、変異型Fab、scFVまたは他の抗体形態のファージディスプレイライブラリーを生成させることができる。例えば、米国公開出願第US20020150914号、第US2014/0294841号;および Cohen CJ. et al. (2003) J Mol. Recogn. 16:324-332を参照されたい。
【0331】
本明細書における用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、断片抗原結合(Fab)断片、F(ab')2断片、Fab'断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、抗原に特異的に結合することができる可変重鎖(VH)領域、単鎖可変断片(scFv)を含む単鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含めた、無傷の抗体および機能的な(抗原結合)抗体断片を含む、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を含む。その用語は、細胞内抗体、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性抗体、例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディおよびテトラボディ、タンデム-ジ-scFv、タンデム-トリ-scFvなどの遺伝子操作されたおよび/またはその他の方法で改変された形態の免疫グロブリンを包含する。別途明記されない限り、用語「抗体」は、その機能的な抗体断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGおよびそのサブクラス、IgM、IgE、IgAおよびIgDを含めた任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷の抗体または完全長抗体も包含する。
【0332】
一定の態様において、多重特異性結合分子、例えば、多重特異性CARなどの多重特異性キメラ受容体は、例えば、二重特異性抗体、多重特異性単鎖抗体、例えば、ダイアボディ、トリアボディおよびテトラボディ、タンデム-ジ-scFv、ならびにタンデム-トリ-scFvを含めた、多重特異性抗体のいずれかを含有することができる。
【0333】
いくつかの態様において、抗原結合タンパク質、抗体およびその抗原結合断片は、完全長抗体の抗原を特異的に認識する。いくつかの態様において、抗体の重鎖および軽鎖は、完全長であることができ、または、抗原結合部分(Fab、F(ab')2、Fvまたは単鎖Fv断片(scFv))であることができる。他の態様において、抗体重鎖定常領域は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEから選択され、特定すると、例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、より特定すると、IgG1(例えば、ヒトIgG1)から選択される。別の態様において、抗体軽鎖定常領域は、例えば、カッパまたはラムダ、特定すると、カッパから選択される。
【0334】
中でも、提供される抗体は、抗体断片である。「抗体断片」または「抗原結合断片」は、無傷の抗体が結合する抗原に結合する無傷の抗体の一部分を含む無傷の抗体以外の分子を指す。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体;可変重鎖(VH)領域、単鎖抗体分子、例えばscFv、および単一ドメインVH単一抗体;ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、提供されるCAR中の抗原結合ドメインは、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域を含む抗体断片であるかまたはそれを含む。特定の態様において、抗体は、scFvなどの、可変重鎖領域および/または可変軽鎖領域を含む単鎖抗体断片である。
【0335】
用語「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗原への抗体の結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖および軽鎖(それぞれ、VHおよびVL)の可変ドメインは、一般には、各ドメインが保存された4つのフレームワーク領域(FR)および3つのCDRを含む、類似の構造を有する(例えば、Kindt et al. Kuby Immunology, 6th ed., W.H. Freeman and Co., page 91 (2007)を参照のこと)。単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するために十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体由来のVHドメインまたはVLドメインを使用して抗原に結合する抗体を単離することで、それぞれ相補的なVLドメインまたはVHドメインのライブラリーをスクリーニングしてよい。例えば、Portolano et al., J. Immunol. 150:880-887 (1993); Clarkson et al., Nature 352:624-628 (1991)を参照されたい。
【0336】
「超可変領域」または「HVR」と同義である用語「相補性決定領域」および「CDR」は、当技術分野において公知であり、抗原特異性および/または結合親和性を付与する、抗体可変領域内のアミノ酸の非連続配列を指す。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)があり、各軽鎖可変領域には3つのCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)がある。「フレームワーク領域」および「FR」は、当技術分野において公知であり、重鎖および軽鎖の可変領域の非CDR部分を指す。一般に、各完全長重鎖可変領域には4つのFR(FR-H1、FR-H2、FR-H3およびFR-H4)があり、各完全長軽鎖可変領域には4つFR(FR-L1、FR-L2、FR-L3およびFR-L4)がある。
【0337】
所与のCDRまたはFRの正確なアミノ酸配列の境界は、Kabat et al. (1991), "Sequences of Proteins of Immunological Interest," 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (「Kabat」ナンバリングスキーム); Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948 (「Chothia」ナンバリングスキーム); MacCallum et al., J. Mol. Biol. 262:732-745 (1996), "Antibody-antigen interactions: Contact analysis and binding site topography," J. Mol. Biol. 262, 732-745." (「Contact」ナンバリングスキーム); Lefranc MP et al., "IMGT unique numbering for immunoglobulin and T cell receptor variable domains and Ig superfamily V-like domains," Dev Comp Immunol, 2003 Jan;27(1):55-77 (「IMGT」ナンバリングスキーム); Honegger A and Pluckthun A, "Yet another numbering scheme for immunoglobulin variable domains: an automatic modeling and analysis tool," J Mol Biol, 2001 Jun 8;309(3):657-70, (「Aho」ナンバリングスキーム);およびMartin et al., "Modeling antibody hypervariable loops: a combined algorithm," PNAS, 1989, 86(23):9268-9272, (「AbM」ナンバリングスキーム)に記載されているものを含めた多数の周知のスキームのいずれかを使用して容易に判定することができる。
【0338】
所与のCDRまたはFRの境界は、同定に使用されるスキームによって変動し得る。例えば、Kabatスキームは、構造アラインメントに基づき、その一方で、Chothiaスキームは、構造情報に基づく。KabatスキームとChothiaスキームの両方のナンバリングは、最も一般的な抗体領域配列長に基づくものであり、挿入は、挿入文字、例えば「30a」によって対応し、一部の抗体には欠失が出現する。2つのスキームは、一定の挿入および欠失(「インデル」)を異なる位置に配置し、その結果、異なるナンバリングになる。Contactスキームは、複雑な結晶構造の分析に基づくものであり、多くの点でChothiaナンバリングスキームと類似している。AbMスキームは、Oxford Molecular社のAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されるものに基づく、Kabatの定義とChothiaの定義の間の折衷案である。
【0339】
以下の表1は、Kabat、Chothia、AbMおよびContactスキームによってそれぞれ同定された場合の、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3およびCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3の例示的な位置境界を列記する。CDR-H1については、KabatとChothiaの両ナンバリングスキームを使用して残基ナンバリングが列記される。FRは、CDR間に位置し、例えば、FR-L1は、CDR-L1の前に位置し、FR-L2は、CDR-L1とCDR-L2との間に位置し、FR-L3は、CDR-L2とCDR-L3との間に位置する(等)。示されているKabatナンバリングスキームは、H35AおよびH35Bに挿入を配置するため、Chothia CDR-H1ループの末端は、示されているKabatナンバリング規則を使用してナンバリングしたとき、ループの長さに応じてH32とH34との間で変動することが留意される。
【0340】
(表1)様々なナンバリングスキームによるCDRの境界
1-Kabat et al. (1991), "Sequences of Proteins of Immunological Interest," 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD
2-Al-Lazikani et al., (1997) JMB 273,927-948
【0341】
したがって、別途指定されない限り、所与の抗体またはその領域(その可変領域など)の「CDR」または「相補性決定領域」または個々の指定されたCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)は、前述のスキームまたは他の公知のスキームのいずれかによる定義で、ある(または特異的な)相補性決定領域を包含すると理解されるべきである。例えば、特定のCDR(例えば、CDR-H3)が、所与のVHまたはVL領域アミノ酸配列において対応するCDRのアミノ酸配列を含有すると記述される場合、そのようなCDRは、前述のスキームまたは他の公知のスキームのいずれかによる定義で、可変領域内に対応するCDR(例えば、CDR-H3)の配列を有すると理解される。いくつかの態様において、特異的なCDR配列が指定される。提供される抗体の例示的なCDR配列は、様々なナンバリングスキームを使用して記載されるが、提供される抗体は、他の前述のナンバリングスキームまたは当業者に公知の他のナンバリングスキームのいずれかに従って記載された場合のCDRを含むことができると理解される。
【0342】
同様に、別途指定されない限り、所与の抗体またはその領域(その可変領域など)のFRまたは個々の指定されたFR(1つまたは複数)(例えば、FR-H1、FR-H2、FR-H3、FR-H4)は、公知のスキームのいずれかによる定義で、ある(または特異的な)フレームワーク領域を包含すると理解されるべきである。いくつかの場合に、Kabat、Chothia、AbMもしくはContactの方法または他の公知のスキームによって定義された場合のCDRなどの、特定のCDR、FR、または複数のFRもしくはCDRの同定のためのスキームが指定される。他の場合には、CDRまたはFRの特定のアミノ酸配列が与えられる。
【0343】
単一ドメイン抗体(sdAbs)は、抗体の重鎖可変ドメインの全部もしくは一部分または軽鎖可変ドメインの全部もしくは一部分を含む抗体断片である。一定の態様において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、CARは、標的とされるべき細胞または疾患、例えば、腫瘍細胞または癌細胞の癌マーカーまたは細胞表面抗原などの抗原(例えば、本明細書に記載または当技術分野において公知の標的抗原のいずれか)に特異的に結合する抗体重鎖ドメインを含む。
【0344】
抗体断片は、無傷の抗体のタンパク分解性消化だけでなく組換え宿主細胞による産生も含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。いくつかの態様において、抗体は、組換え産生された断片、例えば、合成リンカー(例えば、ペプチドリンカー)によって接続された2以上の抗体領域もしくは鎖を有するものおよび/または天然に存在する無傷の抗体の酵素消化によって産生され得ないものなどの、天然に存在しない配置を含む断片である。いくつかの態様において、抗体断片は、scFvである。
【0345】
「ヒト化」抗体は、全てまたは実質的に全てのCDRアミノ酸残基が非ヒトCDRに由来し、全てまたは実質的に全てのFRアミノ酸残基がヒトFRに由来する、抗体である。ヒト化抗体は、場合により、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。非ヒト抗体の「ヒト化形態」は、典型的には親の非ヒト抗体の特異性および親和性を保持しながらヒトに対する免疫原性を低減するためにヒト化を受けている、非ヒト抗体のバリアントを指す。いくつかの態様において、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体の特異性または親和性を回復または改善するために、非ヒト抗体(例えば、CDR残基が由来する抗体)からの対応する残基で置換されている。
【0346】
したがって、いくつかの態様において、TCR様CARを含めたキメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含有する細胞外部分を含む。いくつかの態様において、抗体または断片は、scFvを含む。いくつかの態様において、抗体またはその抗原結合断片は、単鎖抗体断片、例えば、単鎖可変断片(scFv)、またはダイアボディもしくは単一ドメイン抗体(sdAb)である。いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、VH領域のみを含む単一ドメイン抗体である。いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を含むscFvである。
【0347】
いくつかの態様において、抗体は、2つの抗体ドメインまたは領域、例えば重鎖可変(VH)領域および軽鎖可変(VL)領域を接続する1つまたは複数のリンカーを含む、抗原結合断片、例えばscFvである。リンカーは、典型的には、ペプチドリンカー、例えば、フレキシブルおよび/または可溶性ペプチドリンカーである。中でも、リンカーは、グリシンおよびセリンリッチならびに/またはいくつかの場合にトレオニンリッチのリンカーである。いくつかの態様において、リンカーはさらに、溶解性を改善することができるリシンおよび/またはグルタミン酸などの荷電残基を含む。いくつかの態様において、リンカーはさらに、1つまたは複数のプロリンを含む。いくつかの局面において、グリシンおよびセリン(および/またはトレオニン)リッチのリンカーは、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のそのようなアミノ酸(1つまたは複数)を含む。いくつかの態様において、それらは、少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも55%もしくは約55%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、または少なくとも75%もしくは約75%のグリシン、セリンおよび/またはトレオニンを含む。いくつかの態様において、リンカーは、グリシン、セリンおよび/またはトレオニンから実質的に全体が構成される。リンカーは、一般には、約5~約50アミノ酸長、典型的には10または約10~30または約30の間、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30アミノ酸長であり、いくつかの例では10~25アミノ酸長である。例示的なリンカーは、配列GGGGS(4GS; SEQ ID NO:26)またはGGGS(3GS;SEQ ID NO:27)の様々な反復数、例えばそのような配列の2、3、4および5反復を有するリンカーを含む。例示的なリンカーは、
に示される配列を有するかまたはそれからなるリンカーを含む。
【0348】
いくつかの態様において、CARは、BCMA、例えばヒトBCMAに特異的である抗BCMA CARである。マウス抗ヒトBCMA抗体およびヒト抗ヒトBCMA抗体を含む抗BCMA抗体を含有するキメラ抗原受容体ならびにそのようなキメラ受容体を発現する細胞は過去に記載されている。Carpenter et al., Clin Cancer Res., 2013, 19(8):2048-2060、US 9,765,342、WO2016/090320、WO2016090327、WO2010104949A2、WO2016/0046724、WO2016/014789、WO2016/090320、WO2016/094304、WO2017/025038、およびWO2017173256を参照されたい。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、WO 2016/090320またはWO2016090327に記載されている抗体に由来する可変重(VH)および/または可変軽(VL)領域を含有する、抗原結合ドメイン、例えばscFvを含有する。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、WO 2016/090320またはWO2016090327に記載されている抗体に由来する可変重(VH)および/または可変軽(VL)領域を含有する、抗原結合ドメイン、例えばscFvを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域を含有する抗体断片である。いくつかの局面において、VH領域は、SEQ ID NO:18、20、22、24、32、34、36、41、43、45、47、49、51、53、55、57、59、61、63、65、67、69、71、73、75、145、147、149および151のいずれかに示されるVH領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列であるかまたはそれを含み;ならびに/または、VL領域は、SEQ ID NO:19、21、23、25、33、35、37、42、44、46、48、50、52、54、56、58、60、62、64、66、68、70、72、74、76、146、148、150および152のいずれかに示されるVL領域アミノ酸配列に対して少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列であるかまたはそれを含む。
【0349】
いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:18に示されるVHおよびSEQ ID NO:19に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:20に示されるVHおよびSEQ ID NO:21に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:22に示されるVHおよびSEQ ID NO:23に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:24に示されるVHおよびSEQ ID NO:25に示されるVLを含有する。一部の態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:32に示されるVHおよびSEQ ID NO:33に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:34に示されるVHおよびSEQ ID NO:35に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:36に示されるVHおよびSEQ ID NO:37に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:41に示されるVHおよびSEQ ID NO:42に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:43に示されるVHおよびSEQ ID NO:44に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:45に示されるVHおよびSEQ ID NO:46に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:47に示されるVHおよびSEQ ID NO:48に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:49に示されるVHおよびSEQ ID NO:50に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:51に示されるVHおよびSEQ ID NO:52に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:53に示されるVHおよびSEQ ID NO:54に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:55に示されるVHおよびSEQ ID NO:56に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:57に示されるVHおよびSEQ ID NO:58に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:59に示されるVHおよびSEQ ID NO:60に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:61に示されるVHおよびSEQ ID NO:62に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:63に示されるVHおよびSEQ ID NO:64に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:65に示されるVHおよびSEQ ID NO:66に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:67に示されるVHおよびSEQ ID NO:68に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:69に示されるVHおよびSEQ ID NO:70に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:71に示されるVHおよびSEQ ID NO:72に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:73に示されるVHおよびSEQ ID NO:74に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:75に示されるVHおよびSEQ ID NO:76に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:145に示されるVHおよびSEQ ID NO:146に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:147に示されるVHおよびSEQ ID NO:148に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:149に示されるVHおよびSEQ ID NO:150に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメイン、例えばscFvは、SEQ ID NO:151に示されるVHおよびSEQ ID NO:152に示されるVLを含有する。いくつかの態様において、VHまたはVLは、前述のVHまたはVL配列のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより大きな配列同一性を示し、かつBCMAへの結合を保持する、アミノ酸の配列を有する。いくつかの態様において、VH領域は、VL領域に対してアミノ末端にある。いくつかの態様において、VH領域は、VL領域に対してカルボキシ末端にある。いくつかの態様において、可変重鎖および可変軽鎖は、リンカーによって接続される。いくつかの態様において、リンカーは、SEQ ID NO:28、29、30または38に示される。
【0350】
中でも、提供される抗BCMA CARは、抗体または抗原結合断片が、SEQ ID NO:24に示される配列またはSEQ ID NO:24に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVH領域を含有し;かつ、SEQ ID NO:25に示される配列またはSEQ ID NO:25に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性を有するアミノ酸配列を含むVL領域を含有する、CARである。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:173、174および175それぞれのアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185それぞれのアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:176、177および175それぞれのアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185それぞれのアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:178、179および175それぞれのアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:183、184および185それぞれのアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、提供されるCARの抗体または抗原結合断片は、SEQ ID NO:180、181および182それぞれのアミノ酸配列を含むCDRH1、CDRH2およびCDRH3を有するVH領域、ならびにSEQ ID NO:186、187および185それぞれのアミノ酸配列を含むCDRL1、CDRL2およびCDRL3を有するVL領域を含有する。いくつかの態様において、VH領域は、SEQ ID NO:24に示される配列を含み、VL領域は、SEQ ID NO:25に示される配列を含む。いくつかの態様において、抗体または抗原結合断片は、scFvなどの単鎖抗体断片である。いくつかの態様において、scFvは、SEQ ID NO:188に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:188に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を含む。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ NO:124に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:124に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を有する。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ NO:125に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:125に対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、または99%もしくは約99%の同一性のアミノ酸の配列を有する。
【0351】
いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、sdAbを含む。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:77によって示される配列を含有する。いくつかの態様において、抗原結合ドメインは、SEQ ID NO:77によって示される配列に対して少なくとも50%もしくは約50%、少なくとも60%もしくは約60%、少なくとも70%もしくは約70%、少なくとも80%もしくは約80%、少なくとも85%もしくは約85%、少なくとも90%もしくは約90%、少なくとも95%もしくは約95%、少なくとも96%もしくは約96%、少なくとも97%もしくは約97%、少なくとも98%もしくは約98%、少なくとも99%もしくは約99%、または少なくとも100%もしくは約100%の同一性の配列を含む。
【0352】
いくつかの態様において、中でも、提供されるCAR中のそのような抗体または抗原結合ドメインは、BCMAタンパク質、例えば、ヒトBCMAタンパク質に、多数の公知の方法のいずれかによって測定した場合に少なくとも一定の親和性で結合することができる抗体である。いくつかの態様において、親和性は、平衡解離定数(KD)によって表され;いくつかの態様において、親和性は、EC50によって表される。
【0353】
いくつかの態様において、中でも、提供されるCAR中のそのような抗体または抗原結合ドメインは、可溶型または放出型(shed)BCMAタンパク質への結合が、膜結合型BCMAタンパク質への抗体の結合の10%未満または10%または約10%である、抗体もしくは抗原結合ドメインまたはCARである。
【0354】
結合親和性を評価するための、および/または、結合分子(例えば、抗体またはその断片)が特定のリガンド(例えば、BCMAタンパク質などの抗原)に特異的に結合するかどうかを判定するための多種多様なアッセイが公知である。結合分子、例えば、抗体の、抗原、例えば、BCMAに対する結合親和性を判定することは、当業者の技能の範囲である。例えば、いくつかの態様において、BIAcore(登録商標)装置を使用することで、表面プラズモン共鳴(SPR)解析を使用して2つのタンパク質(例えば、抗体またはその断片と、BCMA細胞表面タンパク質、可溶型BCMAタンパク質などの抗原と)の間の複合体の結合動力学および定数を判定することができる(例えば、Scatchard et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 51:660, 1949; Wilson, Science 295:2103, 2002; Wolff et al., Cancer Res. 53:2560, 1993;および米国特許第5,283,173号、第5,468,614号、または等価物を参照のこと)。
【0355】
SPRは、分子が表面に結合するまたは表面から解離するときのセンサー表面での分子の濃度の変化を測定する。SPRシグナルの変化は、表面に近接した質量濃度の変化に正比例し、それによって、2つの分子間の結合動力学の測定を可能にする。複合体についての解離定数は、緩衝液がチップ上を通過するときの時間に対する屈折率の変化をモニタリングすることによって判定することができる。1つのタンパク質の別のタンパク質への結合を測定するための他の好適なアッセイは、例えば、酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)および放射免疫アッセイ(RIA)などの免疫アッセイ、または、タンパク質の分光学もしくは光学特性の変化を蛍光、UV吸収、円偏光二色性もしくは核磁気共鳴(NMR)を通じてモニタリングすることによる結合の判定を含む。他の例示的なアッセイは、ウエスタンブロット、ELISA、分析超遠心、分光法、フローサイトメトリー、シーケンシングおよび発現されたポリヌクレオチドまたはタンパク質の結合の検出のための他の方法を含むが、それらに限定されない。
【0356】
いくつかの態様において、CARの結合分子、例えば、抗体もしくはその断片または抗原結合ドメインは、抗原、例えば、細胞表面BCMAタンパク質もしくは可溶型BCMAタンパク質またはその中のエピトープに、105 M-1に等しいまたはより大きい親和性またはKA(すなわち、1/Mを単位とする特定の結合相互作用の平衡会合定数;二分子相互作用と仮定して、この会合反応についてオフ速度(off-rate)[koffまたはkd]に対するオン速度(on-rate)[konまたはka]の比に等しい)で結合する、例えば、特異的に結合する。いくつかの態様において、CARの抗体またはその断片または抗原結合ドメイは、ペプチドエピトープに対して10-5Mに等しいまたはそれ未満のKD(すなわち、Mを単位とする特定の結合相互作用の平衡解離定数;二分子相互作用と仮定して、この会合反応についてオン速度[konまたはka]に対するオフ速度[koffまたはkd]の比に等しい)の結合親和性を示す。例えば、平衡解離定数KDは、10-5M~10-13M、例えば、10-7M~10-11M、10-8M~10-10M、または10-9M~10-10Mの範囲である。オン速度(会合速度定数;konまたはka;1/Msを単位とする)およびオフ速度(解離速度定数;koffまたはkd;1/sを単位とする)は、当技術分野において公知のアッセイ法のいずれか、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して判定することができる。
【0357】
いくつかの態様において、CARの抗体(例えば、抗原結合断片)または抗原結合ドメインの、BCMAタンパク質、例えばヒトBCMAタンパク質への結合親和性(EC50)および/または解離定数は、0.01nM~500nMもしくは約0.01nM~約500nM、0.01nM~400nMもしくは約0.01nM~約400nM、0.01nM~100nMもしくは約0.01nM~約100nM、0.01nM~50nMもしくは約0.01nM~約50nM、0.01nM~10nMもしくは約0.01nM~約10nM、0.01nM~1nMもしくは約0.01nM~約1nM、0.01nM~0.1nMもしくは約0.01nM~約0.1nMであり、0.1nM~500nMもしくは約0.1nM~約500nM、0.1nM~400nMもしくは約0.1nM~約400nM、0.1nM~100nMもしくは約0.1nM~約100nM、0.1nM~50nMもしくは約0.1nM~約50nM、0.1nM~10nMもしくは約0.1nM~約10nM、0.1nM~1nMもしくは約0.1nM~約1nM、0.5nM~200nMもしくは約0.5nM~約200nM、1nM~500nMもしくは約1nM~約500nM、1nM~100nMもしくは約1nM~約100nM、1nM~50nMもしくは約1nM~約50nM、1nM~10nMもしくは約1nM~約10nM、2nM~50nMもしくは約2nM~約50nM、10nM~500nMもしくは約10nM~約500nM、10nM~100nMもしくは約10nM~約100nM、10nM~50nMもしくは約10nM~約50nM、50nM~500nMもしくは約50nM~約500nM、50nM~100nMもしくは約50nM~約100nM、または100nM~500nMもしくは約100nM~約500nMである。一定の態様において、抗体の、BCMAタンパク質、例えばヒトBCMAタンパク質への結合親和性(EC50)および/または平衡解離定数KDは、400nMもしくは400nM未満もしくは約400nM、300nMもしくは300nM未満もしくは約300nM、200nMもしくは200nM未満もしくは約200nM、100nMもしくは100nM未満もしくは約100nM、50nMもしくは50nM未満もしくは約50nM、40nMもしくは40nM未満もしくは約40nM、30nMもしくは30nM未満もしくは約30nM、25nMもしくは25nM未満もしくは約25nM、20nMもしくは20nM未満もしくは約20nM、19nMもしくは19nM未満もしくは約19nM、18nMもしくは18nM未満もしくは約18nM、17nMもしくは17nM未満もしくは約17nM、16nMもしくは16nM未満もしくは約16nM、15nMもしくは15nM未満もしくは約15nM、14nMもしくは14nM未満もしくは約14nM、13nMもしくは13nM未満もしくは約13nM、12nMもしくは12nM未満もしくは約12nM、11nMもしくは11nM未満もしくは約11nM、10nMもしくは10nM未満もしくは約10nM、9nMもしくは9nM未満もしくは約9nM、8nMもしくは8nM未満もしくは約8nM、7nMもしくは7nM未満もしくは約7nM、6nMもしくは6nM未満もしくは約6nM、5nMもしくは5nM未満もしくは約5nM、4nMもしくは4nM未満もしくは約4nM、3nMもしくは3nM未満もしくは約3nM、2nMもしくは2nM未満もしくは約2nM、または1nMもしくは1nM未満もしくは約1nM、またはより小さい。いくつかの態様において、抗体は、BCMAタンパク質、例えばヒトBCMAタンパク質に、ナノモル濃度以下の結合親和性で、例えば、約1nM未満、例えば約0.9nM未満、約0.8nM未満、約0.7nM未満、約0.6nM未満、約0.5nM未満、約0.4nM未満、約0.3nM未満、約0.2nM未満または約0.1nM未満、またはより小さい結合親和性で結合する。
【0358】
いくつかの態様において、結合親和性は、高親和性としてまたは低親和性として分類され得る。いくつかの場合に、低~中程度の親和性結合を示すCARの結合分子(例えば、抗体またはその断片)または抗原結合ドメインは、最大107M-1、最大106M-1、最大105M-1のKAを示す。いくつかの場合に、特定のエピトープへの高親和性結合を示す結合分子(例えば、抗体またはその断片)は、そのようなエピトープと少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも1012M-1、または少なくとも1013M-1のKAで相互作用する。いくつかの態様において、CARの結合分子、例えば、抗BCMA抗体またはその断片または抗原結合ドメインの、BCMAタンパク質への結合親和性(EC50)および/または平衡解離定数KDは、0.01nM~1μMもしくは約0.01nM~約1μM、0.1nM~1μM、1nM~1μM、1nM~500nM、1nM~100nM、1nM~50nM、1nM~10nM、10nM~500nM、10nM~100nM、10nM~50nM、50nM~500nM、50nM~100nMまたは100nM~500nMである。一定の態様において、CARの結合分子、例えば、抗BCMA抗体またはその断片または抗原結合ドメインの、BCMAタンパク質への結合親和性(EC50)および/または平衡解離定数の解離定数KDは、1μMもしくは約1μMもしくは1μM未満もしくは約1μM未満、500nMもしくは約500nMもしくは500nM未満もしくは約500nM未満、100nMもしくは約100nMもしくは100nM未満もしくは約100nM未満、50nMもしくは約50nMもしくは50nM未満もしくは約50nM未満、40nMもしくは約40nMもしくは40nM未満もしくは約40nM未満、30nMもしくは約30nMもしくは30nM未満もしくは約30nM未満、25nMもしくは約25nMもしくは25nM未満もしくは約25nM未満、20nMもしくは約20nMもしくは20nM未満もしくは約20nM未満、19nMもしくは約19nMもしくは19nM未満もしくは約19nM未満、18nMもしくは約18nMもしくは18nM未満もしくは約18nM未満、17nMもしくは約17nMもしくは17nM未満もしくは約17nM未満、16nMもしくは約16nMもしくは16nM未満もしくは約16nM未満、15nMもしくは約15nMもしくは15nM未満もしくは約15nM未満、14nMもしくは約14nMもしくは14nM未満もしくは約14nM未満、13nMもしくは約13nMもしくは13nM未満もしくは約13nM未満、12nMもしくは約12nMもしくは12nM未満もしくは約12nM未満、11nMもしくは約11nMもしくは11nM未満もしくは約11nM未満、10nMもしくは約10nMもしくは10nM未満もしくは約10nM未満、9nMもしくは約9nMもしくは9nM未満もしくは約9nM未満、8nMもしくは約8nMもしくは8nM未満もしくは約8nM未満、7nMもしくは約7nMもしくは7nM未満もしくは約7nM未満、6nMもしくは約6nMもしくは6nM未満もしくは約6nM未満、5nMもしくは約5nMもしくは5nM未満もしくは約5nM未満、4nMもしくは約4nMもしくは4nM未満もしくは約4nM未満、3nMもしくは約3nMもしくは3nM未満もしくは約3nM未満、2nMもしくは約2nMもしくは2nM未満もしくは約2nM未満、または1nMもしくは約1nMもしくは1nM未満もしくは約1nM未満、またはより小さい。特定の抗体の親和性の程度を、参照抗体(例えば、抗BCMA参照抗体)などの公知の抗体の親和性と比較することができる。
【0359】
いくつかの態様において、CARの抗BCMA抗体または抗原結合ドメインの、異なる形態またはトポロジータイプの抗原、例えば、可溶型または放出型BCMAタンパク質に対する結合親和性を、膜結合型BCMAへの結合親和性と比較することで、特定の形態またはトポロジータイプに対する優先的結合または相対的親和性が判定される。例えば、いくつかの局面において、CARの抗BCMA抗体または抗原結合ドメインは、可溶型または放出型BCMAと比較して、膜結合型BCMAへの優先的結合を示すことができ、かつ/または、可溶型または放出型BCMAと比較して、膜結合型BCMAに対して大きな結合親和性を示すことができる。いくつかの態様において、異なる形態またはトポロジータイプのBCMAタンパク質に対する平衡解離定数KDを比較して、優先的結合または相対的結合親和性を判定することができる。いくつかの態様において、膜結合型BCMAへの優先的結合または相対的親和性は、可溶型または放出型BCMAと比較して、高いものであり得る。例えば、いくつかの場合に、可溶型または放出型BCMAに対するKDと膜結合型BCMAに対するKDの比は、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500、1000、2000超またはより大きく、抗体または抗原結合ドメインは、膜結合型BCMAに優先的に結合するかまたはそれに対してより高い結合親和性を有する。いくつかの場合に、膜結合型BCMAに対するKAと可溶型または放出型BCMAに対するKAの比は、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200、500、1000、2000超またはより大きく、抗体または抗原結合ドメインは、膜結合型BCMAに優先的に結合するかまたはそれに対してより高い結合親和性を有する。いくつかの場合に、CARの抗体または抗原結合ドメインは、可溶型または放出型BCMAおよび膜結合型BCMAに類似の程度で結合し、例えば、可溶型BCMAに対するKDと膜結合型BCMAに対するKDの比は、1であるかまたは約1である。いくつかの場合に、CARの抗体または抗原結合ドメインは、可溶型または放出型BCMAおよび膜結合型BCMAに類似の程度で結合し、例えば、可溶型BCMAに対するKAと膜結合型BCMAに対するKAの比は、1であるかまたは約1である。膜結合型BCMAまたは可溶型もしくは放出型BCMAに対する優先的結合または相対的親和性の程度を、参照抗体(例えば、参照抗BCMA CAR)などの公知の抗体の程度と比較することができる。いくつかの態様において、参照抗体(例えば、参照抗BCMA CAR)は、膜結合型および可溶型または放出型BCMAタンパク質に結合する。
【0360】
いくつかの局面において、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含有する細胞外部分および細胞内シグナル伝達領域を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン、T細胞において一次活性化シグナルを誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン、および/または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。
【0361】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えば、CARの抗体部分はさらに、ヒンジ領域、例えば、IgG4ヒンジ領域、IgG1ヒンジ領域、CH1/CLおよび/またはFc領域などの、免疫グロブリン定常領域またはそのバリアントもしくは改変バージョンの少なくとも一部分であるかまたはそれを含み得る、スペーサーを含む。いくつかの態様において、組換え受容体はさらに、スペーサーおよび/またはヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、定常領域または部分は、ヒトIgG、例えば、IgG4またはIgG1のものである。いくつかの局面において、定常領域の部分は、抗原認識成分、例えば、scFvと膜貫通ドメインとの間のスペーサー領域として機能する。
【0362】
スペーサーは、スペーサーが存在しない場合と比較して、抗原結合後に細胞の応答性の増大をもたらす長さのものであることができる。例示的なスペーサー、例えば、ヒンジ領域は、国際特許出願公開番号WO2014031687に記載されているものを含む。いくつかの例では、スペーサーは、12アミノ酸長もしくは約12アミノ酸長であるか、または12以下のアミノ酸長である。例示的なスペーサーは、少なくとも約10~229アミノ酸、約10~200アミノ酸、約10~175アミノ酸、約10~150アミノ酸、約10~125アミノ酸、約10~100アミノ酸、約10~75アミノ酸、約10~50アミノ酸、約10~40アミノ酸、約10~30アミノ酸、約10~20アミノ酸、または約10~15アミノ酸を有する、および列記した範囲のいずれかの両端の間の任意の整数を含むものを含む。いくつかの態様において、スペーサー領域は、約12もしくはより少ないアミノ酸、約119もしくはより少ないアミノ酸、または約229もしくはより少ないアミノ酸を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、少なくともある特定の長さを有するスペーサー、例えば、少なくとも100アミノ酸である長さ、例えば、少なくとも110、125、130、135、140、145、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240または250アミノ酸長を有するスペーサーである。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的なスペーサーは、IgG4ヒンジ単独、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4ヒンジを含む。例示的なスペーサーは、Hudecek et al., Clin. Cancer Res., 19:3153 (2013), Hudecek et al. (2015) Cancer Immunol Res. 3(2): 125-135、国際特許出願公開番号WO2014031687、米国特許第8,822,647号または公開出願第US2014/0271635号に記載されているものを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様において、スペーサーは、免疫グロブリンヒンジ領域、CH2およびCH3領域の配列を含む。いくつかの態様において、ヒンジ、CH2およびCH3の1つまたは複数は、全部または一部分、IgG4またはIgG2に由来する。いくつかの場合に、ヒンジ、CH2およびCH3は、IgG4に由来する。いくつかの局面において、ヒンジ、CH2およびCH3の1つまたは複数は、キメラであり、IgG4およびIgG2に由来する配列を含有する。いくつかの例では、スペーサーは、IgG4/2キメラヒンジ、IgG2/4 CH2、およびIgG4 CH3領域を含有する。
【0363】
いくつかの態様において、スペーサーは、全部または一部分、IgG4および/またはIgG2に由来することができ、1つまたは複数のドメイン中に、変異、例えば、1つまたは複数の単一のアミノ酸変異を含有することができる。いくつかの例では、アミノ酸修飾は、IgG4のヒンジ領域中のプロリン(P)のセリン(S)への置換である。いくつかの態様において、アミノ酸修飾は、完全長IgG4 Fc配列のCH2領域中の177位におけるN177Q変異または完全長IgG4 Fc配列のCH2領域中の176位におけるN176Qなどの、グリコシル化不均一性を低下させるグルタミン(Q)のアスパラギン(N)への置換である。
【0364】
いくつかの態様において、スペーサーは、配列ESKYGPPCPPCP(SEQ ID NO:1に示される)を有し、SEQ ID NO:2に示される配列によってコードされる。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:3に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:4に示される配列を有する。いくつかの態様において、コードされるスペーサーは、SEQ ID NO:31に示される配列であるかまたはそれを含有する。いくつかの態様において、定常領域または部分は、IgDのものである。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:5に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:89に示される配列を有する。
【0365】
他の例示的なスペーサー領域は、CD8a、CD28、CTLA4、PD-1またはFcγRIIIaに由来するヒンジ領域を含む。いくつかの態様において、スペーサーは、CD8a、CD28、CTLA4、PD-1またはFcγRIIIaの短縮型細胞外ドメインまたはヒンジ領域を含有する。いくつかの態様において、スペーサーは、短縮型CD28ヒンジ領域である。いくつかの態様において、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10アミノ酸長のリンカー、例えば、複数のアラニンまたはアラニンおよびアルギニン、例えば、アラニントリプレット(AAA)またはRAAAを含有するリンカー(SEQ ID NO:144)が存在し、CARのscFvとスペーサー領域との間で連結を形成する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:78に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:80に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:81~83のいずれかに示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:84に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:86に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:88に示される配列を有する。
【0366】
いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:1、3、4、5、31、78、80、81、82、83、84、86、88または89のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0367】
いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:157~165に示される配列を有する。いくつかの態様において、スペーサーは、SEQ ID NO:157~165のいずれかに対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を有する。
【0368】
この抗原認識ドメインは、一般には、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達成分、例えば、CARの場合には、TCR複合体などの抗原受容体複合体を通じて刺激および/または活性化を模倣するシグナル伝達成分、ならびに/または、別の細胞表面受容体を介してシグナル伝達するシグナル伝達成分に連結される。したがって、いくつかの態様において、抗原結合成分(例えば、抗体)は、1つまたは複数の膜貫通および細胞内シグナル伝達ドメインに連結される。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインに融合される、例えば、細胞外ドメイン(例えば、scFv)と細胞内シグナル伝達ドメインとの間で連結または融合される。一態様において、受容体、例えば、CAR中のドメインの1つに天然に関連する膜貫通ドメインが使用される。いくつかの場合に、膜貫通ドメインは、そのようなドメインが同じまたは異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインに結合するのを回避して、受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を最小限に抑えるように、選択されるか、またはアミノ酸置換によって改変される。
【0369】
膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、天然供給源または合成供給源のいずれかに由来する。供給源が天然である場合、ドメインは、いくつかの局面において、任意の膜結合または膜貫通タンパク質に由来する。膜貫通領域は、T細胞受容体、CD28、CD3イプシロン、CD45、CD4、CD5、CD8、CD8a、CD9、CD16、CD22、CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137(4-1BB)、CD154、CTLA-4またはPD-1のアルファ、ベータまたはゼータ鎖に由来する(すなわち、その少なくとも膜貫通領域(1つまたは複数)を含む)ものを含む。あるいは、膜貫通ドメインは、いくつかの態様において、合成である。いくつかの局面において、合成膜貫通ドメインは、ロイシンおよびバリンなどの疎水性残基を主に含む。いくつかの局面において、フェニルアラニン、トリプトファンおよびバリンのトリプレットが合成膜貫通ドメインの各末端に見いだされる。いくつかの態様において、連結は、リンカー、スペーサー、および/または膜貫通ドメイン(1つまたは複数)によるものである。いくつかの局面において、膜貫通ドメインは、CD28の膜貫通部分を含有する。例示的な膜貫通ドメインの配列は、SEQ ID NO:8、79、85、87、142または143に示される配列であるかまたはそれを含む。
【0370】
中でも、細胞内シグナル伝達ドメインは、天然の抗原受容体を通じたシグナル、共刺激性受容体と組み合わされたそのような受容体を通じたシグナル、および/または共刺激性受容体単独を通じたシグナルを模倣するまたはそれらに近似するものである。いくつかの態様において、短いオリゴペプチドリンカーまたはポリペプチドリンカー、例えば、2~10アミノ酸長のリンカー、例えば、グリシンおよびセリン(例えば、グリシン-セリンダブレット)を含有するリンカーが存在し、CARの膜貫通ドメインと細胞質シグナル伝達ドメインとの間で連結を形成する。
【0371】
受容体、例えば、CARは、一般には、少なくとも1つの細胞内シグナル伝達成分を含む。いくつかの局面において、CARは、TCR複合体の一次活性化を調節する一次細胞質シグナル伝達配列を含む。刺激性様式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMとして知られているシグナル伝達モチーフを含有し得る。ITAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列の例は、T細胞刺激および/または活性化ならびに細胞毒性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ゼータ鎖、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、FcRガンマ、FcRベータ、CDS、CD22、CD79a、CD79bおよびCD66dに由来するものを含む。ITAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列のいくつかの例は、CD3ゼータ鎖、FcRガンマ、CD3ガンマ、CD3デルタおよびCD3イプシロンに由来するものを含む。いくつかの態様において、CAR中の細胞質シグナル伝達分子(1つまたは複数)は、CD3ゼータに由来する細胞質シグナル伝達ドメイン、その部分または配列を含有する。
【0372】
いくつかの態様において、受容体は、T細胞刺激および/または活性化ならびに細胞毒性を媒介するTCR CD3鎖、例えば、CD3ゼータ鎖などのTCR複合体の細胞内成分を含む。したがって、いくつかの局面において、抗原結合部分は、1つまたは複数の細胞シグナル伝達モジュールに連結される。いくつかの態様において、細胞シグナル伝達モジュールは、CD3膜貫通ドメイン、CD3細胞内シグナル伝達ドメイン、および/または他のCD膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様において、受容体、例えば、CARはさらに、Fc受容体γ、CD8、CD4、CD25またはCD16などの1つまたは複数の追加の分子の一部分を含む。例えば、いくつかの局面において、CARまたは他のキメラ受容体は、CD3-ゼータ(CD3-ζ)またはFc受容体γとCD8、CD4、CD25またはCD16との間にキメラ分子を含む。
【0373】
いくつかの態様において、CARまたは他のキメラ受容体のライゲーション時に、受容体の細胞質ドメインまたは細胞内シグナル伝達ドメインは、正常なエフェクター機能または免疫細胞、例えばCARを発現するように操作されたT細胞の応答の少なくとも1つを刺激および/または活性化する。例えば、いくつかの状況では、CARは、T細胞の機能、例えば細胞溶解活性またはTヘルパー活性、例えばサイトカインまたは他の因子の分泌を誘導する。いくつかの態様において、抗原受容体成分または共刺激性分子の細胞内シグナル伝達ドメインの短縮型部分は、例えばそれがエフェクター機能シグナルを伝達する場合、無傷の免疫刺激性鎖の代わりに使用される。いくつかの態様において、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体(TCR)の細胞質配列を含み、いくつかの局面においては、天然の状況でそのような受容体と協調的に作用して抗原受容体結合後にシグナル伝達を開始する共受容体のもの、および/またはそのような分子の任意の誘導体もしくはバリアント、および/または同じ機能的能力を有する任意の合成配列も含む。
【0374】
天然のTCRに関連して、完全な活性化は、一般には、TCRを通じたシグナル伝達だけでなく、共刺激性シグナルも必要とする。したがって、いくつかの態様において、完全な活性化を促進するために、二次シグナルまたは共刺激性シグナルを生成するための成分もCARに含まれる。他の態様において、CARは、共刺激性シグナルを生成するための成分を含まない。いくつかの局面において、追加のCARが同じ細胞中で発現され、二次シグナルまたは共刺激性シグナルを生成するための成分を提供する。
【0375】
T細胞刺激および/または活性化は、いくつかの局面において、2つのクラスの細胞質シグナル伝達配列:TCRを通じて抗原依存性の一次刺激および/または活性化を開始するもの(一次細胞質シグナル伝達領域、ドメインまたは配列)、および抗原非依存的に作用して二次または共刺激性シグナルを提供するもの(二次細胞質シグナル伝達領域、ドメインまたは配列)によって媒介されると説明される。いくつかの局面において、CARは、そのようなシグナル伝達成分の一方または両方を含む。
【0376】
いくつかの態様において、CARは、CD28、4-1BB、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、ICOSおよび/または他の共刺激性受容体などの、共刺激性受容体のシグナル伝達領域および/または膜貫通部分を含む。いくつかの局面において、同CARは、一次細胞質シグナル伝達領域と共刺激性シグナル伝達成分の両方を含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激性分子またはその機能的バリアントに由来する細胞内ドメインを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激性分子は、CD28または41BBである。
【0377】
いくつかの態様において、1つまたは複数の異なる組換え受容体は、1つまたは複数の異なる細胞内シグナル伝達領域またはドメインを含有することができる。いくつかの態様において、一次細胞質シグナル伝達領域は、1つのCAR内に含まれるが、共刺激性成分は、別の受容体、例えば、別の抗原を認識する別のCARによって提供される。いくつかの態様において、CARは、共に同じ細胞上に発現される活性化または刺激性CARおよび共刺激性CARを含む(WO2014/055668を参照のこと)。
【0378】
いくつかの局面において、細胞は、1つまたは複数の刺激性もしくは活性化CARおよび/または共刺激性CARを含む。いくつかの態様において、細胞はさらに、阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (2013)を参照のこと)、例えば、疾患または状態に関連するおよび/または特異的である抗原以外の抗原を認識するCARを含み、それによって、疾患を標的とするCARを通じて送達される活性化シグナルが、阻害性CARのそのリガンドへの結合によって減少または阻害され、例えばオフターゲット効果を低減させる。
【0379】
いくつかの態様において、2つの受容体は、それぞれ、細胞への活性化シグナルおよび阻害性シグナルを誘導し、その結果、一方の受容体によるその抗原へのライゲーションは、細胞を活性化するまたは応答を誘導するが、第二の阻害性受容体によるその抗原へのライゲーションは、その応答を抑制または減弱させるシグナルを誘導する。例は、活性化CARと阻害性CAR(iCAR)との組み合わせである。そのような戦略を使用することで、例えば、活性化CARが、疾患または状態において発現されるが正常細胞上にも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常細胞上に発現されるが疾患または状態の細胞上には発現されない別個の抗原に結合する場合に、オフターゲット効果の可能性が低減し得る。
【0380】
いくつかの局面において、キメラ受容体は、阻害性CAR(例えば、iCAR)であるかまたはそれを含み、かつ、細胞においてITAMおよび/または共刺激によって促進される応答などの免疫応答を減弱または抑制させる細胞内成分を含む。例示的なそのような細胞内シグナル伝達成分は、PD-1、CTLA4、LAG3、BTLA、OX2R、TIM-3、TIGIT、LAIR-1、PGE2受容体、EP2/4アデノシン受容体(A2ARを含む)を含めた免疫チェックポイント分子上に見いだされるものである。いくつかの局面において、操作された細胞は、そのような阻害性分子のまたはそれに由来するシグナル伝達ドメインを含めた阻害性CARを含み、その結果、細胞は、例えば活性化CARおよび/または共刺激性CARによって誘導される、細胞の応答を減弱させるように機能する。
【0381】
一定の態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3(例えば、CD3-ゼータ)細胞内ドメインに連結されたCD28膜貫通ドメインおよびシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに連結された、キメラCD28およびCD137(4-1BB、TNFRSF9)共刺激性ドメインを含む。
【0382】
いくつかの態様において、CARは、細胞質部分に1つまたは複数、例えば、2つまたは複数の共刺激性ドメインおよび一次細胞質シグナル伝達領域を包含する。例示的なCARは、CD3-ゼータ、CD28、CD137(4-1BB)、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、NKG2Dおよび/またはICOSの細胞内成分、例えば、細胞内シグナル伝達領域(1つまたは複数)またはドメイン(1つまたは複数)を含む。いくつかの態様において、キメラ抗原受容体は、例えば、CD28、CD137(4-1BB)、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、NKG2Dおよび/またはICOS由来の、T細胞共刺激性分子の細胞内シグナル伝達領域またはドメインを、いくつかの場合に、膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達領域またはドメインとの間に含有する。いくつかの局面において、T細胞共刺激性分子は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40(CD134)、CD27、DAP10、DAP12、NKG2Dおよび/またはICOSの1つまたは複数である。
【0383】
いくつかの場合には、CARは、第一、第二、および/または第三世代のCARと称される。いくつかの局面では、第一世代のCARは、抗原結合の際にCD3鎖誘導シグナルのみを提供するものである;いくつかの局面では、第二世代のCARは、そのようなシグナルと、CD28またはCD137などの共刺激受容体由来の細胞内シグナル伝達ドメインを含むものなどの共刺激シグナルとを提供するものである;いくつかの局面では、第三世代のCARは、異なる共刺激受容体の複数の共刺激ドメインを含むものである。
【0384】
いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、抗体または抗体断片を含む細胞外部分を含有する。いくつかの局面では、キメラ抗原受容体は、抗体または断片を含む細胞外部分と細胞内シグナル伝達ドメインとを含む。いくつかの態様では、抗体または断片はscFvを含み、細胞内ドメインはITAMを含む。いくつかの局面では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖のζ鎖のシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、細胞外ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとを連結する膜貫通ドメインを含む。いくつかの局面では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通部分を含む。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体はT細胞共刺激分子の細胞内ドメインを含む。細胞外ドメインと膜貫通ドメインは直接または間接的に連結され得る。いくつかの態様では、細胞外ドメインと膜貫通ドメインは、本明細書に記載されているものなどのスペーサーによって連結されている。いくつかの態様では、受容体は、膜貫通ドメインが由来する分子の細胞外部分、例えばCD28細胞外部分を含む。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体は、T細胞共刺激分子またはその機能的変異体に由来する細胞内ドメインを、例えば膜貫通ドメインと細胞内シグナル伝達ドメインとの間に含む。いくつかの局面では、T細胞共刺激分子はCD28または41BBである。
【0385】
いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならびにCD28のシグナル伝達部分またはその機能的変異体およびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的変異体を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかの態様では、CARは、抗体、例えば抗体断片、CD28の膜貫通部分またはその機能的変異体であるかまたはそれを含む膜貫通ドメイン、ならびに4-1BBのシグナル伝達部分またはその機能的変異体およびCD3ζのシグナル伝達部分またはその機能的変異体を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含有する。いくつかのそのような態様では、受容体は、ヒトIg分子などのIg分子の一部、例えばIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジを含むスペーサー、例えばヒンジのみのスペーサーをさらに含む。
【0386】
いくつかの態様では、組換え受容体、例えばCARの膜貫通ドメインは、ヒトCD28(例えばアクセッション番号P10747.1)もしくはCD8a(アクセッション番号P01732.1)の膜貫通ドメインまたはその変異体、例えば配列番号8、79、142、または143に示すアミノ酸の配列、または配列番号8、79、142、または143と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む膜貫通ドメインであるかまたはそれを含む;いくつかの態様では、組換え受容体の膜貫通ドメイン含有部分は、配列番号9に示すアミノ酸の配列、または配列番号9と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上、または少なくとも約85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の配列同一性を有するアミノ酸の配列を含む。
【0387】
いくつかの態様では、組換え受容体、例えばCARの細胞内シグナル伝達成分は、ヒトCD28の細胞内共刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体もしくは部分、例えば天然CD28タンパク質の186~187位にLLからGGへの置換を有するドメインを含む。例えば、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号10もしくは11に示すアミノ酸の配列、または配列番号10もしくは11と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含み得る。いくつかの態様では、細胞内ドメインは、4-1BBの細胞内共刺激シグナル伝達ドメイン(例えばアクセッション番号Q07011.1)またはその機能的変異体もしくは部分、例えば配列番号12に示すアミノ酸の配列、または配列番号12と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0388】
いくつかの態様では、組換え受容体、例えばCARの細胞内シグナル伝達ドメインは、ヒトCD3ζ刺激シグナル伝達ドメインまたはその機能的変異体、例えばヒトCD3ζのアイソフォーム3の112アミノ酸細胞質ドメイン(アクセッション番号P20963.2)、または米国特許第7,446,190号もしくは米国特許第8,911,993号に記載されているCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。例えば、いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、配列番号13、14もしくは15に示すアミノ酸の配列、または配列番号13、14もしくは15と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはそれ以上の配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0389】
いくつかの局面では、スペーサーは、IgGのヒンジ領域のみ、例えばIgG4またはIgG1のヒンジのみ、例えば配列番号1または配列番号89に示すヒンジのみのスペーサーを含む。他の態様では、スペーサーは、任意でCH2および/またはCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4由来のヒンジであるかまたはそれを含む。いくつかの態様では、スペーサーは、例えば配列番号4に示すような、CH2およびCH3ドメインに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、例えば配列番号3に示すような、CH3ドメインのみに連結されたIgヒンジ、例えばIgG4ヒンジである。いくつかの態様では、スペーサーは、グリシン-セリンリッチ配列または他の柔軟なリンカー、例えば公知の柔軟なリンカーであるかまたはそれを含む。いくつかの態様では、スペーサーは、例えば配列番号81~83のいずれかに示すような、CD8aヒンジ、例えば配列番号88に示すような、FcγRIIIaヒンジ、例えば配列番号84に示すような、CTLA4ヒンジ、または例えば配列番号86に示すような、PD-1ヒンジである。
【0390】
例えば、いくつかの態様では、CARは、scFvを含む抗体断片などの抗体、スペーサー、例えばヒンジ領域および/または重鎖分子の1つもしくは複数の定常領域などの免疫グロブリン分子の一部を含むスペーサー、例えばIgヒンジ含有スペーサー、CD28由来の膜貫通ドメインの全部または一部を含む膜貫通ドメイン、CD28由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、ならびにCD3ζシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、CARは、抗体またはscFvなどの断片、任意のIgヒンジ含有スペーサーなどのスペーサー、CD28由来の膜貫通ドメイン、4-1BB由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ζ由来のシグナル伝達ドメインを含む。
【0391】
いくつかの態様において、抗原受容体はさらに、マーカーを含み、かつ/または、CARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞はさらに、受容体を発現する細胞の形質導入もしくは操作を確認するために使用され得る細胞表面マーカーなどの代理マーカーを含む。いくつかの態様において、マーカーは、天然ではT細胞上に見いだされないもしくは天然ではT細胞の表面上に見いだされない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部分である。いくつかの態様において、分子は、非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち、細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。いくつかの態様において、マーカーは、治療機能を果たさず、かつ/または、遺伝子操作のための、例えば、操作が成功した細胞を選択するためのマーカーとして使用されること以外には全く作用をもたらさない。他の態様において、マーカーは、治療用分子または何らかの所望の作用を及ぼす分子、例えば、養子移入時およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強および/または減弱させる共刺激性分子または免疫チェックポイント分子などの、インビボで遭遇される細胞に対するリガンドであり得る。いくつかの局面において、マーカーは、CD34、NGFRまたは上皮成長因子受容体の全部または一部分(例えば、短縮型形態)、例えば、そのような細胞表面受容体の短縮型バージョン(例えば、tEGFR)を含む。いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸は、切断可能リンカー配列、例えば、T2Aなどのリンカー配列をコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、場合によりリンカー配列は、公開特許出願番号WO2014031687に開示されている任意のものであることができる。例えば、マーカーは、場合によりT2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結されている短縮型EGFR(tEGFR)であることができる。
【0392】
短縮型EGFR(例えば、tEGFR)のための例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは166に示されるアミノ酸の配列またはSEQ ID NO:7もしくは166に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:6もしくは167に示されるアミノ酸の配列またはSEQ ID NO:6もしくは167に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0393】
いくつかの態様において、そのようなCAR構築物をコードする核酸分子はさらに、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列をコードする配列を、例えば、CARをコードする配列の下流に含む。いくつかの態様において、該配列は、SEQ ID NO:6もしくは167に示されるT2Aリボソームスキップエレメント、またはSEQ ID NO:6もしくは167に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。いくつかの態様において、抗原受容体(例えば、CAR)を発現するT細胞はまた、短縮型EGFR(EGFRt)を非免疫原性選択エピトープとして発現するように生成させることもでき(例えば、同じ構築物から2つのタンパク質を発現するためにT2Aリボソームスイッチによって分離されたCARとEGFRtをコードする構築物の導入によって)、これはその後、そのような細胞を検出するためのマーカーとして使用することができる(例えば、米国特許第8,802,374号を参照のこと)。いくつかの態様において、該配列は、SEQ ID NO:7もしくは166に示されるtEGFR配列、またはSEQ ID NO:7に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列をコードする。
【0394】
いくつかの態様において、コードされるCARは、CARが発現される細胞の表面へCARを指向させるまたは送達するシグナル配列またはシグナルペプチドをさらに含むことができる配列であることができる。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、膜貫通タンパク質に由来する。いくつかの例では、シグナルペプチドは、CD8a、CD33またはIgGに由来する。例示的なシグナルペプチドは、SEQ ID NO:39、40および153に示される配列を含む。
【0395】
いくつかの態様において、CARは、抗BCMA抗体または断片、例えば本明細書に記載のsdAbおよびscFvを含めた抗ヒトBCMA抗体のいずれか、スペーサー、例えばIg-ヒンジを含有するスペーサーまたは本明細書に記載の他のスペーサーのいずれか、CD28膜貫通ドメイン、CD28細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、CARは、抗BCMA抗体または断片、例えば本明細書に記載のsdAbおよびscFvを含めた抗ヒトBCMA抗体のいずれか、スペーサー、例えばIg-ヒンジを含有するスペーサーまたは本明細書に記載の他のスペーサーのいずれか、CD28膜貫通ドメイン、4-1BB細胞内シグナル伝達ドメイン、およびCD3ゼータシグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、そのようなCAR構築物はさらに、T2Aリボソームスキップエレメントおよび/またはtEGFR配列を、例えば、CARの下流に含む。
【0396】
対象に投与される細胞によって発現されるCARなどの組換え受容体は、一般には、疾患もしくは状態またはその処置される細胞において発現される、それに関連するおよび/またはそれに特異的である分子を認識するかまたはそれに特異的に結合する。分子、例えば、抗原に特異的に結合すると、受容体は、一般には、ITAM形質導入シグナルなどの免疫刺激性シグナルを細胞内に送達し、それによって、疾患または状態を標的とする免疫応答を促進する。例えば、いくつかの態様において、細胞は、疾患もしくは状態の細胞もしくは組織によって発現されるかまたは疾患もしくは状態に関連する抗原に特異的に結合するCARを発現する。いくつかの態様において、CARは、BCMA、例えばヒトBCMAに特異的に結合し、記載されるような抗ヒトBCMA抗体または断片を含む。抗BCMA CAR配列を含めた非限定的な例示CAR配列は、SEQ ID NO:90~141に示される。いくつかの態様において、抗BCMA CARは、SEQ ID NO:90~141のいずれかに示されるアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:90~141のいずれかに対して少なくとも90%もしくは約90%、91%もしくは約91%、92%もしくは約92%、93%もしくは約93%、94%もしくは約94%、95%もしくは約95%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、96%もしくは約96%、97%もしくは約97%、98%もしくは約98%、99%もしくは約99%の配列同一性を示すアミノ酸配列を含み、CARは、BCMA、例えばヒトBCMAに特異的に結合する。
【0397】
2. キメラ自己抗体受容体(CAAR)
いくつかの態様において、組換え受容体は、キメラ自己抗体受容体(CAAR)である。いくつかの態様において、CAARは、自己抗体に結合する、例えば特異的に結合するか、または自己抗体を認識する。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞、例えば、CAARを発現するように操作されたT細胞を使用することで、自己抗体を発現する細胞に結合してそれを殺傷することができるが、正常な抗体を発現する細胞にはそうしない。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞を使用することで、自己免疫疾患などの自己抗原の発現を伴う自己免疫疾患を処置することができる。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞は、最終的に自己抗体を産生して自己抗体をその細胞表面上に提示するB細胞を標的とすることができ、これらのB細胞を治療的介入のための疾患特異的標的としてマークすることができる。いくつかの態様において、CAARを発現する細胞を使用することで、疾患を引き起こすB細胞を抗原特異的キメラ自己抗体受容体を使用して標的とすることによって、自己免疫疾患において病原性B細胞を効率的に標的としかつ殺傷することができる。いくつかの態様において、組換え受容体は、米国特許出願公開番号US2017/0051035に記載のいずれかのようなCAARである。
【0398】
いくつかの態様において、CAARは、自己抗体結合ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つまたは複数の細胞内シグナル伝達領域またはドメイン(細胞質シグナル伝達ドメインまたは領域とも互換的に呼ばれる)を含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達領域は、細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様において、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達領域、T細胞において一次活性化シグナルを刺激および/または誘導することができるシグナル伝達ドメイン、T細胞受容体(TCR)成分のシグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ゼータ(CD3ζ)鎖のゼータ鎖の細胞内シグナル伝達ドメインもしくは領域またはその機能的バリアントもしくはシグナル伝達部分)、および/または免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフ(ITAM)を含むシグナル伝達ドメインであるかまたはそれを含む。
【0399】
いくつかの態様において、自己抗体結合ドメインは、自己抗原またはその断片を含む。自己抗原の選択は、標的とされる自己抗体のタイプに依存し得る。例えば、自己抗原は、特定の疾患状態、例えば、自己抗体媒介性自己免疫疾患などの自己免疫疾患に関連するB細胞などの標的細胞上の自己抗体を認識するので、自己抗原を選択してよい。いくつかの態様において、自己免疫疾患は、尋常性天疱瘡(PV)を含む。例示的な自己抗原は、デスモグレイン1(Dsg1)およびDsg3を含む。
【0400】
3.TCR
いくつかの態様では、腫瘍の抗原、ウイルスまたは自己免疫タンパク質などの標的ポリペプチドのペプチドエピトープまたはT細胞エピトープを認識するT細胞受容体(TCR)またはその抗原結合部分を発現する、T細胞などの操作された細胞が提供される。いくつかの局面では、TCRは、組み換えTCRであるか、またはそれを含む。
【0401】
いくつかの態様では、「T細胞受容体」または「TCR」は、可変α鎖およびβ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても知られる)または可変γ鎖およびδ鎖(それぞれTCRαおよびTCRβとしても知られる)またはそれらの抗原結合部分を含み、MHC分子に結合したペプチドに特異的に結合することができる分子である。いくつかの態様では、TCRはαβ形態である。典型的には、αβおよびγδ形態で存在するTCRは一般に構造的に類似するが、それらを発現するT細胞は異なる解剖学的位置または機能を有し得る。TCRは、細胞の表面上にまたは可溶性形態で見出され得る。一般に、TCRは、それが一般に主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識することに関与するT細胞(またはTリンパ球)の表面上に見出される。
【0402】
特に明記されない限り、「TCR」という用語は、完全なTCR、ならびにその抗原結合部分または抗原結合断片を包含すると理解されるべきである。いくつかの態様では、TCRは、αβ形態またはγδ形態のTCRを含む、無傷または完全長のTCRである。いくつかの態様では、TCRは、完全長未満のTCRであるが、MHC分子に結合した特定のペプチドに結合する、例えばMHC-ペプチド複合体に結合する抗原結合部分である。いくつかの場合には、TCRの抗原結合部分または断片は、完全長または無傷のTCRの構造ドメインの一部のみを含み得るが、それでもなお、完全なTCRが結合するMHC-ペプチド複合体などのペプチドエピトープに結合することができる。いくつかの場合には、抗原結合部分は、特定のMHC-ペプチド複合体に結合するための結合部位を形成するのに十分な、TCRの可変α鎖および可変β鎖などのTCRの可変ドメインを含む。一般に、TCRの可変鎖は、ペプチド、MHCおよび/またはMHC-ペプチド複合体の認識に関与する相補性決定領域を含む。
【0403】
いくつかの態様では、TCRの可変ドメインは、一般に抗原認識ならびに結合能力および特異性に対する主な寄与因子である、超可変ループまたは相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの態様では、TCRのCDRまたはそれらの組み合わせは、所与のTCR分子の抗原結合部位の全部または実質的に全部を形成する。TCR鎖の可変領域内の様々なCDRは、一般に、CDRと比較してTCR分子間で一般により少ない変動性を示すフレームワーク領域(FR)によって分離されている(例えばJores et al., Proc. Nat'l Acad. Sci. U.S.A. 87:9138,1990; Chothia et al., EMBO J.7: 3745, 1988参照;またLefranc et al., Dev. Comp. Immunol. 27:55,2003も参照のこと)。いくつかの態様では、CDR3は、抗原結合もしくは特異性に関与する主なCDRであるか、または抗原認識および/もしくはペプチド-MHC複合体のプロセシングされたペプチド部分との相互作用のために、所与のTCR可変領域上の3つのCDRのうちで最も重要である。いくつかの状況では、α鎖のCDR1は特定の抗原ペプチドのN末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況では、β鎖のCDR1はペプチドのC末端部分と相互作用することができる。いくつかの状況では、CDR2は、MHC-ペプチド複合体のMHC部分との相互作用またはMHC部分の認識に最も強く寄与するか、またはそれに関与する主要なCDRである。いくつかの態様では、β鎖の可変領域は、一般にスーパー抗原結合に関与し、抗原認識には関与しないさらなる超可変領域(CDR4またはHVR4)を含み得る(Kotb(1995)Clinical Microbiology Reviews,8:411-426)。
【0404】
いくつかの態様では、TCRはまた、定常ドメイン、膜貫通ドメインおよび/または短い細胞質尾部を含み得る(例えばJaneway et al., Immunobiology: The Immune System in Health and Disease,3rd Ed., Current Biology Publications, p.4:33, 1997参照)。いくつかの局面では、TCRの各々の鎖は、1つのN末端免疫グロブリン可変ドメイン、1つの免疫グロブリン定常ドメイン、膜貫通領域、およびC末端に短い細胞質尾部を有し得る。いくつかの態様では、TCRは、シグナル伝達の媒介に関与するCD3複合体のインバリアントタンパク質と会合している。
【0405】
いくつかの態様では、TCR鎖は1つまたは複数の定常ドメインを含む。例えば、所与のTCR鎖(例えばα鎖またはβ鎖)の細胞外部分は、2つの免疫グロブリン様ドメイン、例えば可変ドメイン(例えばVαまたはVβ;典型的にはKabatナンバリングに基づき鎖のアミノ酸1~116位、Kabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest, US Dept. Health and Human Services, Public Health Service National Institutes of Health,1991,5th ed.)、および細胞膜に隣接する定常ドメイン(例えばα鎖定常ドメインもしくはCα、典型的にはKabatナンバリングに基づき鎖の117~259位またはβ鎖定常ドメインもしくはCβ、典型的にはKabatに基づき鎖の117~295位)を含み得る。例えば、いくつかの場合には、2本の鎖によって形成されるTCRの細胞外部分は、2つの膜近位定常ドメイン、および2つの膜遠位可変ドメインを含み、これらの可変ドメインはそれぞれCDRを含む。TCRの定常ドメインは、システイン残基がジスルフィド結合を形成し、それによってTCRの2本の鎖を連結する短い連結配列を含み得る。いくつかの態様では、TCRが定常ドメイン内に2つのジスルフィド結合を含むように、TCRは、α鎖およびβ鎖のそれぞれにさらなるシステイン残基を有し得る。
【0406】
いくつかの態様では、TCR鎖は膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは正に荷電している。いくつかの場合には、TCR鎖は細胞質尾部を含む。いくつかの場合には、その構造は、TCRがCD3およびそのサブユニットのような他の分子と会合することを可能にする。例えば、膜貫通領域を有する定常ドメインを含むTCRは、タンパク質を細胞膜に固定し、CD3シグナル伝達装置または複合体のインバリアントサブユニットと会合し得る。CD3シグナル伝達サブユニット(例えばCD3γ、CD3δ、CD3εおよびCD3ζ鎖)の細胞内尾部は、TCR複合体のシグナル伝達能力に関与する1つまたは複数の免疫受容体チロシンベースの活性化モチーフまたはITAMを含む。
【0407】
いくつかの態様では、TCRは、2本の鎖αおよびβ(または任意でγおよびδ)のヘテロ二量体であり得るか、または一本鎖TCR構築物であり得る。いくつかの態様では、TCRは、1つまたは複数のジスルフィド結合などによって連結されている2本の別々の鎖(α鎖とβ鎖またはγ鎖とδ鎖)を含むヘテロ二量体である。
【0408】
いくつかの態様では、TCRは、実質的に完全長のコード配列が容易に利用可能であるVα,β鎖の配列などの公知のTCR配列から生成することができる。細胞供給源から、V鎖配列を含む完全長TCR配列を得るための方法は周知である。いくつかの態様では、TCRをコードする核酸は、所与の1つまたは複数の細胞内のもしくは細胞から単離されたTCRコード核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅、または公的に入手可能なTCR DNA配列の合成などの様々な供給源から得ることができる。
【0409】
いくつかの態様において、組換え受容体は、組換えTCRおよび/または天然に存在するT細胞からクローニングされたTCRを含む。いくつかの態様において、標的抗原(例えば、癌抗原)に対する高親和性T細胞クローンが、特定され、患者から単離され、細胞に導入される。いくつかの態様において、標的抗原に対するTCRクローンが、ヒト免疫系遺伝子(例えば、ヒト白血球型抗原系またはHLA)で操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製されている。例えば、腫瘍抗原を参照されたい(例えば、Parkhurst et al. (2009) Clin Cancer Res. 15:169-180 および Cohen et al. (2005) J Immunol. 175:5799-58088を参照のこと)。いくつかの態様において、ファージディスプレイを使用して、標的抗原に対するTCRが単離される(例えば、Varela-Rohena et al. (2008) Nat Med. 14:1390-1395 and Li (2005) Nat Biotechnol. 23:349-354を参照のこと)。
【0410】
いくつかの態様では、TCRは、T細胞(例えば細胞傷害性T細胞)などの細胞、T細胞ハイブリドーマまたは他の公的に入手可能な供給源などの生物学的供給源から得られる。いくつかの態様では、T細胞は、インビボで単離された細胞から得ることができる。いくつかの態様では、TCRは胸腺的に選択されたTCRである。いくつかの態様では、TCRはネオエピトープ拘束性TCRである。いくつかの態様では、T細胞は、培養されたT細胞ハイブリドーマまたはクローンであり得る。いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分は、TCRの配列の知識から合成的に生成することができる。
【0411】
いくつかの態様では、TCRは、標的ポリペプチド抗原またはその標的T細胞エピトープに対して候補TCRのライブラリーをスクリーニングすることから同定または選択されたTCRから生成される。TCRライブラリーは、PBMC、脾臓または他のリンパ系器官に存在する細胞を含む、対象から単離されたT細胞からのVαおよびVβのレパートリの増幅によって作製することができる。いくつかの場合には、T細胞は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から増幅することができる。いくつかの態様では、TCRライブラリーはCD4+またはCD8+細胞から作製することができる。いくつかの態様では、TCRは、正常なまたは健康な対象のT細胞供給源、すなわち正常なTCRライブラリーから増幅することができる。いくつかの態様では、TCRは、罹患対象のT細胞供給源、すなわち罹患TCRライブラリーから増幅することができる。いくつかの態様では、縮重プライマーを使用して、ヒトから得られたT細胞などの試料におけるRT-PCRなどによって、VαおよびVβの遺伝子レパートリを増幅する。いくつかの態様では、scTvライブラリーは、増幅産物がクローニングされるかまたはリンカーによって分離されるように構築されるナイーブVαおよびVβライブラリーから構築することができる。対象および細胞の供給源に依存して、ライブラリーはHLA対立遺伝子特異的であり得る。あるいは、いくつかの態様では、TCRライブラリーは、親または骨格TCR分子の突然変異誘発または多様化によって作製することができる。いくつかの局面では、TCRは、例えばα鎖またはβ鎖の突然変異誘発などによる指向性進化に供される。いくつかの局面では、TCRのCDR内の特定の残基が変更されている。いくつかの態様では、選択されたTCRを親和性成熟によって改変することができる。いくつかの態様では、ペプチドに対するCTL活性を評価するためのスクリーニングなどによって、抗原特異的T細胞を選択し得る。いくつかの局面では、TCR、例えば抗原特異的T細胞上に存在するTCRは、結合活性、例えば抗原に対する特定の親和性またはアビディティなどによって選択し得る。
【0412】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分は、改変または操作されているものである。いくつかの態様では、指向性進化法を使用して、特定のMHC-ペプチド複合体に対するより高い親和性などの変更された特性を有するTCRを生成する。いくつかの態様では、指向性進化は、酵母ディスプレイ(Holler et al.,(2003)Nat Immunol,4,55-62;Holler et al.,(2000)Proc Natl Acad Sci U S A,97,5387-92)、ファージディスプレイ(Li et al.,(2005)Nat Biotechnol,23,349-54)、またはT細胞ディスプレイ(Chervin et al.,(2008)J Immunol Methods,339,175-84)を含むがこれらに限定されるわけではないディスプレイ法によって達成される。いくつかの態様では、ディスプレイアプローチは、公知のTCR、親TCR、または参照TCRを操作または改変することを含む。例えば、いくつかの場合には、野生型TCRを、CDRの1つまたは複数の残基が変異している変異誘発されたTCRを生成するための鋳型として使用することができ、所望の標的抗原に対するより高い親和性などの所望の変更された特性を有する変異体を選択する。
【0413】
いくつかの態様では、関心対象のTCRを作製または生成する際に使用するための標的ポリペプチドのペプチドは、公知であるかまたは容易に同定され得る。いくつかの態様では、TCRまたは抗原結合部分を生成する際に使用するのに適したペプチドは、関心対象の標的ポリペプチド、例えば本明細書に記載の標的ポリペプチド中のHLA拘束性モチーフの存在に基づいて決定することができる。いくつかの態様では、ペプチドは、利用可能なコンピュータ予測モデルを用いて同定される。いくつかの態様では、MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルとしては、ProPred1(Singh and Raghava(2001)Bioinformatics 17(12):1236-1237)およびSYFPEITHI(Schuler et al.,(2007)Immunoinformatics Methods in Molecular Biology,409(1):75-93 2007)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様では、MHC拘束性エピトープは、全白人の約39~46%で発現されるHLA-A0201であり、したがって、TCRまたは他のMHC-ペプチド結合分子を調製するのに使用するためのMHC抗原の適切な選択である。
【0414】
コンピュータ予測モデルを用いたHLA-A0201結合モチーフならびにプロテアソームおよび免疫プロテアソームの切断部位。MHCクラスI結合部位を予測するために、そのようなモデルとしては、ProPred1(Singh and Raghava,ProPred:prediction of HLA-DR binding sites. Bioinformatics 17(12):1236-1237 2001により詳細に記載されている)、およびSYFPEITHI(Schuler et al., SYFPEITHI, Database for Searching and T-Cell Epitope Prediction.in Immunoinformatics Methods in Molecular Biology, vol 409(1) :75-93 2007参照)が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
【0415】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合部分は、結合特性などの1つまたは複数の特性が変更されている、組換え生産された天然タンパク質またはその変異型であり得る。いくつかの態様では、TCRは、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳動物などの様々な動物種の1つに由来し得る。TCRは細胞結合型でも可溶型でもよい。いくつかの態様では、提供される方法の目的のために、TCRは細胞の表面に発現される細胞結合型である。
【0416】
いくつかの態様では、TCRは完全長TCRである。いくつかの態様では、TCRは抗原結合部分である。いくつかの態様では、TCRは二量体TCR(dTCR)である。いくつかの態様では、TCRは一本鎖TCR(sc-TCR)である。いくつかの態様では、dTCRまたはscTCRは、国際公開公報第03/020763号、同第04/033685号、同第2011/044186号に記載されている構造を有する。
【0417】
いくつかの態様では、TCRは膜貫通配列に対応する配列を含む。いくつかの態様では、TCRは細胞質配列に対応する配列を含む。いくつかの態様では、TCRはCD3とTCR複合体を形成することができる。いくつかの態様では、dTCRまたはscTCRを含む任意のTCRは、T細胞の表面上に活性TCRを生じるシグナル伝達ドメインに連結され得る。いくつかの態様では、TCRは細胞の表面上に発現される。
【0418】
いくつかの態様では、dTCRは、TCRα鎖可変領域配列に対応する配列がTCRα鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第一のポリペプチド、およびTCRβ鎖可変領域配列に対応する配列がTCRβ鎖定常領域細胞外配列に対応する配列のN末端に融合している第二のポリペプチドを含み、第一のポリペプチドと第二のポリペプチドはジスルフィド結合によって連結されている。いくつかの態様では、結合は、天然の二量体αβTCR中に存在する天然の鎖間ジスルフィド結合に対応し得る。いくつかの態様では、鎖間ジスルフィド結合は天然のTCR中には存在しない。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数のシステインをdTCRポリペプチド対の定常領域細胞外配列に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が望ましいことがあり得る。いくつかの態様では、TCRは、膜に固定するための膜貫通配列を含む。
【0419】
いくつかの態様では、dTCRは、可変αドメイン、定常αドメインおよび定常αドメインのC末端に結合した第一の二量体化モチーフを含むTCRα鎖、ならびに可変βドメイン、定常βドメインおよび定常βドメインのC末端に結合した第一の二量体化モチーフを含むTCRβ鎖を含み、ここで、第一と第二の二量体化モチーフは容易に相互作用して、第一の二量体化モチーフ中のアミノ酸と第二の二量体化モチーフ中のアミノ酸との間に共有結合を形成し、TCRα鎖とTCRβ鎖を一緒に連結する。
【0420】
いくつかの態様では、TCRはscTCRである。典型的には、scTCRは公知の方法を用いて生成することができる。例えばSoo Hoo, W.F. et al., PNAS(USA)89,4759(1992);Wulfing, C. and Pluckthun,A.,J.Mol.Biol.242,655(1994); Kurucz, I. et al., PNAS(USA)90 3830(1993);国際公開公報第96/13593号、同第96/18105号、同第99/60120号、同第99/18129号、同第03/020763号、同第2011/044186号;およびSchlueter, C.J. et al., J.Mol.Biol.256,859(1996)参照。いくつかの態様では、scTCRは、TCR鎖の会合を容易にするために導入された非天然ジスルフィド鎖間結合を含む(例えば国際公開公報第03/020763号参照)。いくつかの態様では、scTCRは、そのC末端に融合した異種ロイシンジッパーが鎖の会合を促進する、非ジスルフィド結合短縮型TCRである(例えば国際公開公報第99/60120号参照)。いくつかの態様では、scTCRは、ペプチドリンカーを介してTCRβ可変ドメインに共有結合したTCRα可変ドメインを含む(例えば国際公開公報第99/18129号参照)。
【0421】
いくつかの態様では、scTCRは、TCRα鎖可変領域に対応するアミノ酸配列によって構成される第一のセグメント、TCRβ鎖定常ドメイン細胞外配列に対応するアミノ酸配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列に対応するアミノ酸配列によって構成される第二のセグメント、および第一のセグメントのC末端を第二のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含む。
【0422】
いくつかの態様では、scTCRは、α鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列によって構成される第一のセグメント、ならびにβ鎖細胞外定常配列と膜貫通配列との配列のN末端に融合したβ鎖可変領域配列およびによって構成される第二のセグメント、ならびに任意で、第一のセグメントのC末端を第二のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含む。
【0423】
いくつかの態様では、scTCRは、β鎖細胞外定常ドメイン配列のN末端に融合したTCRβ鎖可変領域配列によって構成される第一のセグメント、ならびにα鎖細胞外定常配列と膜貫通配列との配列のN末端に融合したα鎖可変領域配列およびによって構成される第二のセグメント、ならびに任意で、第一のセグメントのC末端を第二のセグメントのN末端に連結するリンカー配列を含む。
【0424】
いくつかの態様では、第一および第二のTCRセグメントを連結するscTCRのリンカーは、TCRの結合特異性を保持しながら、単一のポリペプチド鎖を形成することができる任意のリンカーであり得る。いくつかの態様では、リンカー配列は、例えば式-P-AA-P-を有してよく、式中、Pはプロリンであり、AAはアミノ酸配列を表し、アミノ酸はグリシンおよびセリンである。いくつかの態様では、第一および第二のセグメントは、その可変領域配列がそのような結合のために配向されるように対合される。したがって、いくつかの場合には、リンカーは、第一のセグメントのC末端と第二のセグメントのN末端との間、またはその逆の間の距離を橋渡しするのに十分な長さを有するが、scTCRの標的リガンドへの結合を遮断または低減するほどには長くない。いくつかの態様では、リンカーは、10~45個のアミノ酸または10~45個のアミノ酸、例えば10~30個のアミノ酸もしくは26~41個のアミノ酸残基、例えば29、30、31もしくは32個のアミノ酸、またはおよそ前記個数のアミノ酸を含み得る。いくつかの態様では、リンカーは、式-PGGG-(SGGGG)5-P-(配列番号16)を有し、式中、Pはプロリンであり、Gはグリシンであり、かつSはセリンである。いくつかの態様では、リンカーは、配列GSADDAKKDAAKKDGKS(配列番号17)を有する。
【0425】
いくつかの態様では、scTCRは、α鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基をβ鎖の定常ドメインの免疫グロブリン領域の残基に連結する共有ジスルフィド結合を含む。いくつかの態様では、天然TCR中の鎖間ジスルフィド結合は存在しない。例えば、いくつかの態様では、1つまたは複数のシステインを、scTCRポリペプチドの第一および第二のセグメントの定常領域細胞外配列に組み込むことができる。いくつかの場合には、天然および非天然の両方のジスルフィド結合が望ましいことがあり得る。
【0426】
導入された鎖間ジスルフィド結合を含むdTCRまたはscTCRのいくつかの態様では、天然のジスルフィド結合は存在しない。いくつかの態様では、天然の鎖間ジスルフィド結合を形成する天然のシステインの1つまたは複数は、セリンまたはアラニンなどの別の残基に置換されている。いくつかの態様では、導入されるジスルフィド結合は、第一および第二のセグメント上の非システイン残基をシステインに変異させることによって形成することができる。TCRの例示的な非天然ジスルフィド結合は、国際公開公報第2006/000830号に記載されている。
【0427】
いくつかの態様では、TCRまたはその抗原結合断片は、10-5~10-12Mまたは約10-5~10-12Mならびにその中のすべての個々の値および範囲の標的抗原に対する平衡結合定数で親和性を示す。いくつかの態様では、標的抗原はMHC-ペプチド複合体またはリガンドである。
【0428】
いくつかの態様では、α鎖およびβ鎖などのTCRをコードする1つまたは複数の核酸は、PCR、クローニングまたは他の適切な手段によって増幅し、適切な1つまたは複数の発現ベクターにクローニングすることができる。発現ベクターは、任意の適切な組換え発現ベクターであり得、任意の適切な宿主を形質転換またはトランスフェクトするために使用することができる。適切なベクターには、プラスミドおよびウイルスなどの、増殖および拡大増殖のため、または発現のため、またはその両方のために設計されたものが含まれる。
【0429】
いくつかの態様では、ベクターは、pUCシリーズ(Fermentas Life Sciences)、pBluescriptシリーズ(Stratagene, LaJolla, Calif.)、pETシリーズ(Novagen, Madison, Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech, Uppsala, Sweden)、またはpEXシリーズ(Clontech, Palo Alto, Calif.)のベクターであり得る。いくつかの場合には、λG10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、およびλNM1149などのバクテリオファージベクターも使用することができる。いくつかの態様では、植物発現ベクターを使用することができ、これには、pBI01、pBI101.2、pBI101.3、pBI121およびpBIN19(Clontech)が含まれる。いくつかの態様では、動物発現ベクターには、pEUK-Cl、pMAMおよびpMAMneo(Clontech)が含まれる。いくつかの態様では、レトロウイルスベクターなどのウイルスベクターが使用される。
【0430】
いくつかの態様では、組換え発現ベクターは、標準的な組換えDNA技術を用いて調製することができる。いくつかの態様では、ベクターは、適宜におよびベクターがDNAベースであるかRNAベースであるかを考慮に入れて、ベクターが導入される宿主の種類(例えば細菌、真菌、植物、または動物)に特異的な転写および翻訳開始および終止コドンなどの調節配列を含み得る。いくつかの態様では、ベクターは、TCRまたは抗原結合部分(または他のMHC-ペプチド結合分子)をコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非天然プロモーターを含み得る。いくつかの態様では、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーター、およびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復配列中に見られるプロモーターであり得る。他の公知のプロモーターも企図される。
【0431】
いくつかの態様では、TCRをコードするベクターを生成するために、関心対象のTCRを発現するT細胞クローンから単離された全cDNAからα鎖およびβ鎖をPCR増幅し、発現ベクターにクローニングする。いくつかの態様では、α鎖とβ鎖は同じベクターにクローニングされる。いくつかの態様では、α鎖とβ鎖は異なるベクターにクローニングされる。いくつかの態様では、生成されたα鎖およびβ鎖は、レトロウイルスベクター、例えばレンチウイルスベクターに組み込まれる。
【0432】
4.マルチターゲティング
いくつかの態様では、細胞および方法は、それぞれが同じかまたは異なる抗原を認識し、典型的にはそれぞれが異なる細胞内シグナル伝達成分を含む、細胞上の2つまたはそれ以上の遺伝子操作された受容体の発現などのマルチターゲティング戦略を含む。そのようなマルチターゲティング戦略は、例えば国際公開公報第2014055668A1号(例えば、オフターゲット細胞、例えば正常細胞上では個別に存在するが、治療される疾患または病態の細胞上でのみ一緒に存在する2つの異なる抗原を標的とする、活性化CARと共刺激CARとの組み合わせを記載する)、ならびにFedorov et al.,Sci.Transl.Medicine,5(215)(2013)(活性化CARが正常細胞または非罹患細胞、および治療される疾患または病態の細胞の両方で発現される1つの抗原に結合し、阻害性CARが正常細胞または治療されることが望ましくない細胞でのみ発現される別の抗原に結合するものなどの、活性化CARと阻害性CARを発現する細胞を記載する)に記載されている。
【0433】
例えば、いくつかの態様では、細胞は、一般に第一の受容体によって認識される抗原、例えば第一の抗原への特異的結合時に細胞への活性化シグナルを誘導することができる第一の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCARまたはTCR)を発現する受容体を含む。いくつかの態様では、細胞は、一般に第二の受容体によって認識される第二の抗原への特異的結合時に免疫細胞への共刺激シグナルを誘導することができる第二の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCARまたはTCR)、例えばキメラ共刺激受容体をさらに含む。いくつかの態様では、第一の抗原と第二の抗原は同じである。いくつかの態様では、第一の抗原と第二の抗原は異なる。
【0434】
いくつかの態様では、第一および/または第二の遺伝子操作された抗原受容体(例えばCARまたはTCR)は、細胞への活性化シグナルを誘導することができる。いくつかの態様では、受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含有する細胞内シグナル伝達成分を含む。いくつかの態様では、第一の受容体によって誘導される活性化は、細胞内でのシグナル伝達またはタンパク質発現の変化を含み、結果として、ITAMリン酸化および/またはITAM媒介シグナル伝達カスケードの開始などの免疫応答の開始、免疫学的シナプスの形成および/または結合した受容体付近の分子(例えばCD4もしくはCD8など)のクラスター化、NF-κBおよび/またはAP-1などの1つまたは複数の転写因子の活性化、ならびに/またはサイトカインなどの因子の遺伝子発現、増殖、および/もしくは生存の誘導をもたらす。
【0435】
いくつかの態様では、第一および/または第二の受容体は、CD28、CD137(4-1BB)、OX40、および/またはICOSなどの共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、第一の受容体と第二の受容体は、異なる共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一態様では、第一の受容体はCD28共刺激シグナル伝達領域を含み、第二の受容体は4-1BB共刺激シグナル伝達領域を含む、またはその逆である。
【0436】
いくつかの態様では、第一および/または第二の受容体は、ITAMまたはITAM様モチーフを含む細胞内シグナル伝達ドメインと共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインの両方を含む。
【0437】
いくつかの態様では、第一の受容体はITAMまたはITAM様モチーフを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含み、第二の受容体は共刺激受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。同じ細胞内で誘導される活性化シグナルと組み合わせる共刺激シグナルは、免疫応答、例えば遺伝子発現の増加、サイトカインおよび他の因子の分泌、ならびに細胞殺滅などのT細胞媒介エフェクター機能のような堅固で持続的な免疫応答をもたらすものである。
【0438】
いくつかの態様では、第一の受容体単独の連結または第二の受容体単独の連結のいずれもが、堅固な免疫応答を誘導しない。いくつかの局面では、1つの受容体のみが連結されている場合、細胞は、抗原に対して寛容もしくは非応答性になるか、または阻害され、および/または因子を増殖もしくは分泌するまたはエフェクター機能を実行するように誘導されない。しかしながら、いくつかのそのような態様では、第一および第二の抗原を発現する細胞の遭遇時などに複数の受容体が連結されると、例えば1つもしくは複数のサイトカインの分泌、増殖、持続性、および/または標的細胞の細胞傷害性殺滅などの免疫エフェクター機能の実行によって示されるように、完全な免疫活性化または刺激などの所望の応答が達成される。
【0439】
いくつかの態様において、組換え受容体を発現する細胞はさらに、阻害性CAR(iCAR、Fedorov et al., Sci. Transl. Medicine, 5(215) (2013)を参照のこと)、例えば、疾患または状態に関連するおよび/または特異的である抗原以外の抗原を認識するCARを含み、それによって、疾患を標的とするCARを通じて送達される活性化シグナルが、阻害性CARのそのリガンドへの結合によって減少または阻害され、例えばオフターゲット効果を低減させる。
【0440】
いくつかの態様では、2つの受容体はそれぞれ、細胞への活性化シグナルおよび阻害性シグナルを誘導し、その結果、一方の受容体によるその抗原への結合は細胞を活性化するまたは応答を誘導するが、第二の阻害性受容体によるその抗原への結合はその応答を抑制または減弱させるシグナルを誘導する。例は、活性化CARと阻害性CARまたはiCARとの組み合わせである。そのような戦略は、例えば、活性化CARが、疾患または病態において発現されるが正常細胞上でも発現される抗原に結合し、阻害性受容体が、正常細胞上で発現されるが疾患または病態の細胞上では発現されない別の抗原に結合する場合に使用され得る。
【0441】
いくつかの局面において、キメラ受容体は、阻害性CAR(例えば、iCAR)であるかまたはそれを含み、かつ、細胞においてITAMおよび/または共刺激によって促進される応答などの免疫応答を減弱または抑制する細胞内成分を含む。そのような細胞内シグナル伝達成分の例は、PD-1、CTLA4、LAG3、BTLA、OX2R、TIM-3、TIGIT、LAIR-1、PGE2受容体、EP2/4アデノシン受容体(A2ARを含む)を含めた免疫チェックポイント分子上に見いだされるものである。いくつかの局面において、操作された細胞は、そのような阻害性分子のまたはそれに由来するシグナル伝達ドメインを含めた阻害性CARを含み、その結果、細胞は、例えば活性化CARおよび/または共刺激性CARによって誘導される、細胞の応答を減弱させるように機能する。
【0442】
いくつかの態様では、マルチターゲティング戦略は、特定の疾患または病態に関連する抗原が非罹患細胞上でおよび/または操作された細胞自体で、一過性に(例えば遺伝子操作に関連する刺激時に)または永続的に発現される場合に用いられる。そのような場合、2つの別々のおよび個別に特異的な抗原受容体の連結を必要とすることによって、特異性、選択性、および/または有効性が改善され得る。
【0443】
いくつかの態様では、複数の抗原、例えば第一および第二の抗原は、がん細胞などの標的とされる細胞、組織、または疾患もしくは病態で発現される。いくつかの局面では、細胞、組織、疾患または病態は、多発性骨髄腫または多発性骨髄腫細胞である。いくつかの態様では、複数の抗原のうちの1つまたは複数は通常、正常もしくは非罹患細胞もしくは組織などの細胞療法で標的とすることが望ましくない細胞、および/または操作された細胞自体でも発現される。そのような態様では、細胞の応答を達成するために複数の受容体の連結を必要とすることによって、特異性および/または活性が達成される。
【0444】
B.遺伝子操作のための細胞および細胞の調製
受容体を発現し、提供される方法によって投与される細胞の中には、操作された細胞がある。遺伝子操作は通常、レトロウイルス形質導入、トランスフェクション、または形質転換などによる、細胞を含む組成物への組換えまたは操作された成分をコードする核酸の導入を含む。
【0445】
いくつかの態様では、核酸は異種であり、すなわち通常は細胞または細胞から得られる試料中には存在せず、例えば操作されている細胞中に通常は認められない別の生物もしくは細胞、またはそのような細胞が由来する生物から得られるものである。いくつかの態様では、複数の異なる細胞型からの様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含有するものを含む、天然には認められない核酸などの核酸は、天然には存在しない。
【0446】
細胞は通常、哺乳動物細胞などの真核細胞であり、典型的にはヒト細胞である。いくつかの態様では、細胞は、血液、骨髄、リンパ、またはリンパ系器官に由来し、先天性または適応免疫の細胞などの免疫系の細胞、例えばリンパ球を含む骨髄またはリンパ系細胞、典型的にはT細胞および/またはNK細胞である。他の例示的な細胞としては、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多能性幹細胞などの幹細胞が挙げられる。細胞は、典型的には、対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離されて凍結されたものなどの初代細胞である。いくつかの態様では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1つまたは複数のサブセット、例えば全T細胞集団、CD4+細胞、CD8+細胞、およびそれらの亜集団、例えば機能、活性化状態、成熟度、分化、拡大増殖、再循環、局在化、および/もしくは持続能力についての潜在能、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロフィール、ならびに/または分化の程度によって定義されるものを含む。治療される対象に関して、細胞は同種細胞および/または自家細胞であり得る。方法の中には、既製の方法が含まれる。既製の技術などに関するいくつかの局面では、細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)などの幹細胞のような多能性である。いくつかの態様では、方法は、凍結保存の前または後に、対象から細胞を単離すること、それらを調製し、処理し、培養し、および/または操作すること、ならびにそれらを同じ対象に再導入することを含む。
【0447】
T細胞ならびに/またはCD4+および/もしくはCD8+T細胞のサブタイプおよび亜集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(TEFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば幹細胞メモリーT(TSCM)細胞、セントラルメモリーT(TCM)細胞、エフェクターメモリーT(TEM)細胞、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、自然発生および適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えばTH1細胞、TH2細胞、TH3細胞、TH17細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞性ヘルパーT細胞、α/βT細胞、およびδ/γT細胞がある。
【0448】
いくつかの態様では、細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。いくつかの態様では、細胞は、単球または顆粒球、例えば骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
【0449】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作によって導入された1つまたは複数の核酸を含み、それによってそのような核酸の組換え産物または遺伝子操作された産物を発現する。いくつかの態様では、核酸は異種であり、すなわち通常は細胞または細胞から得られる試料中には存在せず、例えば操作されている細胞中に通常は認められない別の生物もしくは細胞、またはそのような細胞が由来する生物から得られるものである。いくつかの態様では、複数の異なる細胞型からの様々なドメインをコードする核酸のキメラ組み合わせを含有するものを含む、天然には認められない核酸などの核酸は、天然には存在しない。
【0450】
いくつかの態様では、操作された細胞の調製は、1つまたは複数の培養および/または調製工程を含む。CARなどのトランスジェニック受容体をコードする核酸を導入するための細胞は、生物学的試料などの試料、例えば対象から得られたまたは対象に由来するものから単離され得る。いくつかの態様では、細胞が単離される対象は、疾患もしくは病態を有するか、または細胞療法を必要とするか、または細胞療法が投与される対象である。いくつかの態様における対象は、細胞が単離、処理、および/または操作されている養子細胞療法などの特定の治療的介入を必要とするヒトである。
【0451】
したがって、いくつかの態様における細胞は初代細胞、例えば初代ヒト細胞である。試料には、組織、体液、および対象から直接採取した他の試料、ならびに分離、遠心分離、遺伝子操作(例えばウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/またはインキュベーションなどの1つまたは複数の処理工程から得られる試料が含まれる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料または処理された試料であり得る。生物学的試料には、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、組織および臓器に由来する処理された試料を含む組織および臓器試料が含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0452】
いくつかの局面では、細胞が由来するまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来の試料であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシスの産物であるかもしくはそれに由来する。例示的な試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検材料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸、精巣、卵巣、扁桃腺、または他の臓器、および/またはそれに由来する細胞が挙げられる。試料には、細胞療法、例えば養子細胞療法に関連して、自家供給源由来および同種供給源由来の試料が含まれる。
【0453】
いくつかの態様では、細胞は細胞株、例えばT細胞株に由来する。いくつかの態様における細胞は、異種供給源、例えばマウス、ラット、非ヒト霊長動物、およびブタから得られる。
【0454】
いくつかの態様では、細胞の単離は、1つまたは複数の調製および/または非親和性ベースの細胞分離工程を含む。いくつかの例では、細胞は、例えば不要な成分を除去する、所望の成分を濃縮する、特定の試薬に感受性の細胞を溶解または除去するために、洗浄、遠心分離、および/または1つもしくは複数の試薬の存在下でインキュベートされる。いくつかの例では、細胞は、密度、付着特性、サイズ、感受性、および/または特定の成分に対する耐性などの1つまたは複数の特性に基づいて分離される。
【0455】
いくつかの例では、対象の循環血液由来の細胞は、例えばアフェレーシスまたは白血球アフェレーシスによって得られる。試料は、いくつかの局面では、T細胞を含むリンパ球、単球、顆粒球、B細胞、他の有核白血球、赤血球、および/または血小板を含み、いくつかの局面では、赤血球および血小板以外の細胞を含む。
【0456】
いくつかの態様では、対象から採集された血球を、例えば血漿画分を除去し、その後の処理工程のために細胞を適切な緩衝液または培地に入れるために洗浄する。いくつかの態様では、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を洗浄する。いくつかの態様では、洗浄溶液は、カルシウムおよび/またはマグネシウムおよび/または多くのもしくはすべての二価カチオンを含まない。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って半自動「フロースルー」遠心分離機(例えばCobe 2991細胞プロセッサ、Baxter)によって達成される。いくつかの局面では、洗浄工程は、製造業者の指示に従って接線流ろ過(TFF)によって達成される。いくつかの態様では、細胞は、洗浄後に、例えばCa++/Mg++を含まないPBSなどの様々な生体適合性緩衝液に再懸濁される。特定の態様では、血球試料の成分を除去し、細胞を培地に直接再懸濁する。
【0457】
いくつかの態様では、方法は、密度に基づく細胞分離方法、例えば赤血球を溶解することによる末梢血からの白血球の調製、およびパーコールまたはフィコール勾配による遠心分離を含む。
【0458】
いくつかの態様では、単離方法は、表面マーカー、例えば表面タンパク質、細胞内マーカー、または核酸などの1つまたは複数の特定の分子の細胞における発現または存在に基づく種々の細胞型の分離を含む。いくつかの態様では、そのようなマーカーに基づく分離のための任意の公知の方法を使用し得る。いくつかの態様では、分離は、親和性または免疫親和性に基づく分離である。例えば、いくつかの局面における単離は、1つまたは複数のマーカー、典型的には細胞表面マーカーの細胞での発現または発現レベルに基づく細胞および細胞集団の分離、例えばそのようなマーカーに特異的に結合する抗体または結合パートナーとのインキュベーション、続いて一般に、洗浄工程および抗体または結合パートナーに結合していない細胞からの抗体または結合パートナーに結合した細胞の分離によるものを含む。
【0459】
そのような分離工程は、試薬に結合した細胞をさらなる使用のために保持する陽性選択、および/または抗体もしくは結合パートナーに結合しなかった細胞を保持する陰性選択に基づき得る。いくつかの例では、両方の画分をさらなる使用のために保持する。いくつかの局面では、陰性選択は、分離が、所望の集団以外の細胞によって発現されるマーカーに基づいて最も良好に行われるように、異種集団において細胞型を特異的に同定する抗体が利用可能ではない場合に特に有用であり得る。
【0460】
分離は、特定の細胞集団または特定のマーカーを発現する細胞の100%の濃縮または除去をもたらす必要はない。例えば、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陽性選択または濃縮は、そのような細胞の数または割合を増加させることを指すが、マーカーを発現しない細胞の完全な非存在をもたらす必要はない。同様に、マーカーを発現する細胞などの特定の種類の細胞の陰性選択、除去、または枯渇は、そのような細胞の数または割合を減少させることを指すが、そのような細胞すべての完全な除去をもたらす必要はない。
【0461】
いくつかの例では、1回の工程から陽性または陰性選択された画分が、その後の陽性または陰性選択などの別の分離工程に供される、複数回の分離工程が行われる。いくつかの例では、それぞれが陰性選択の標的となるマーカーに特異的な複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることなどによって、複数のマーカーを同時に発現する細胞を単一の分離工程で枯渇させることができる。同様に、様々な細胞型上に発現された複数の抗体または結合パートナーと共に細胞をインキュベートすることによって、複数の細胞型を同時に陽性選択することができる。
【0462】
例えば、いくつかの局面では、T細胞の特定の亜集団、例えば陽性または高レベルの1つまたは複数の表面マーカー、例えばCD28+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD127+、CD4+、CD8+、CD45RA+、および/またはCD45RO+T細胞を発現する細胞は、陽性または陰性選択技術によって単離される。
【0463】
例えばCD3+、CD28+T細胞は、CD3/CD28結合磁気ビーズ(例えばDYNABEADS(登録商標)M-450 CD3/CD28T Cell Expander)を用いて陽性選択することができる。
【0464】
いくつかの態様では、単離は、陽性選択による特定の細胞集団の濃縮、または陰性選択による特定の細胞集団の枯渇によって行われる。いくつかの態様では、陽性または陰性選択は、それぞれ陽性または陰性選択された細胞上に発現される(マーカー+)または比較的高いレベルで発現される(マーカー)1つまたは複数の表面マーカーに特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合剤と共に細胞をインキュベートすることによって達成される。
【0465】
いくつかの態様では、T細胞は、B細胞、単球、またはCD14などの他の白血球のような非T細胞上に発現されるマーカーの陰性選択によってPBMC試料から分離される。いくつかの局面では、CD4+またはCD8+選択工程を用いてCD4+ヘルパーT細胞とCD8+細胞傷害性T細胞を分離する。そのようなCD4+およびCD8+集団は、1つまたは複数のナイーブT細胞、メモリーT細胞、および/またはエフェクターT細胞亜集団上に発現されるまたは比較的高い程度に発現されるマーカーについての陽性または陰性選択によって、さらに亜集団に分類することができる。
【0466】
いくつかの態様では、CD8+細胞は、それぞれの亜集団に関連する表面抗原に基づく陽性選択または陰性選択などによって、ナイーブ、セントラルメモリー、エフェクターメモリー、および/またはセントラルメモリー幹細胞がさらに濃縮または枯渇される。いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、いくつかの局面ではそのような亜集団において特に堅固である、投与後の長期生存、拡大増殖、および/または生着を改善するためなどの有効性を高めるために行われる。Terakura et al., Blood. 1:72-82 (2012);Wang et al., J Immunother. 35(9):689-701(2012)参照。いくつかの態様では、TCMに富むCD8+T細胞とCD4+T細胞とを組み合わせることは、有効性をさらに増強する。
【0467】
態様では、メモリーT細胞は、CD8+末梢血リンパ球のCD62L+およびCD62L-サブセットの両方に存在する。PBMCは、例えば抗CD8抗体および抗CD62L抗体を使用して、CD62L-CD8+および/またはCD62L+CD8+画分を濃縮または枯渇させることができる。
【0468】
いくつかの態様では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD45RO、CD62L、CCR7、CD28、CD3、および/またはCD127の陽性または高表面発現に基づく;いくつかの局面では、それは、CD45RAおよび/またはグランザイムBを発現するかまたは高発現する細胞についての陰性選択に基づく。いくつかの局面では、TCM細胞が濃縮されたCD8+集団の単離は、CD4、CD14、CD45RAを発現する細胞の枯渇、およびCD62Lを発現する細胞の陽性選択または濃縮によって行われる。一局面では、セントラルメモリーT(TCM)細胞の濃縮は、CD4発現に基づいて選択された細胞の陰性画分から出発して、これをCD14およびCD45RAの発現に基づく陰性選択、ならびにCD62Lの発現に基づく陽性選択に供して行われる。いくつかの局面ではそのような選択は同時に行われ、他の局面では連続的にどちらの順序でも行われる。いくつかの局面では、CD8+細胞集団または亜集団を調製するのに使用されるのと同じCD4発現に基づく選択工程が、任意で1つまたは複数のさらなる陽性または陰性選択工程後に、CD4に基づく分離からの陽性および陰性画分の両方が保持され、方法のその後の工程で使用されるように、CD4+細胞集団または亜集団を生成するためにも用いられる。
【0469】
特定の例では、PBMCの試料または他の白血球試料を、陰性画分と陽性画分の両方が保持されるCD4+細胞の選択に供する。次いで、陰性画分を、CD14およびCD45RAまたはCD19の発現に基づく陰性選択、ならびにCD62LまたはCCR7などのセントラルメモリーT細胞に特徴的なマーカーに基づく陽性選択に供し、ここで陽性選択と陰性選択はどちらの順序でも行われる。
【0470】
CD4+Tヘルパー細胞は、細胞表面抗原を有する細胞集団を同定することによって、ナイーブ細胞、セントラルメモリー細胞、およびエフェクター細胞に分類される。CD4+リンパ球は標準的な方法によって得ることができる。いくつかの態様では、ナイーブCD4+Tリンパ球は、CD45RO-、CD45RA+、CD62L+、CD4+T細胞である。いくつかの態様では、セントラルメモリーCD4+細胞はCD62L+およびCD45RO+である。いくつかの態様では、エフェクターCD4+細胞はCD62L-およびCD45RO-である。
【0471】
一例では、陰性選択によってCD4+細胞を濃縮するために、モノクローナル抗体カクテルは、典型的にはCD14、CD20、CD11b、CD16、HLA-DR、およびCD8に対する抗体を含む。いくつかの態様では、抗体または結合パートナーは、陽性および/または陰性選択のための細胞の分離を可能にする、磁気ビーズまたは常磁性ビーズなどの固体支持体またはマトリックスに結合される。例えば、いくつかの態様では、細胞および細胞集団は、免疫磁気(または親和性磁気)分離技術(Methods in Molecular Medicine,vol.58:Metastasis Research Protocols,Vol.2:Cell Behavior In vitro and In vivo, p 17-25 Edited by:S.A. Brooks and U. Schumacher(著作権)Humana Press Inc., Totowa, NJに総説されている)を用いて分離または単離される。
【0472】
いくつかの局面では、分離される細胞の試料または組成物は、小型の磁化可能または磁気応答性材料、例えば磁気応答性粒子または微粒子、例えば常磁性ビーズ(例えばDynalbeadsまたはMACSビーズなど)と共にインキュベートされる。磁気応答性材料、例えば粒子は、一般に、分離することを所望する、例えば陰性または陽性選択することを所望する1つまたは複数の細胞、または細胞集団上に存在する分子、例えば表面マーカーに特異的に結合する結合パートナー、例えば抗体に直接または間接的に結合される。
【0473】
いくつかの態様では、磁性粒子またはビーズは、抗体または他の結合パートナーなどの特異的結合成員に結合した磁気応答性材料を含む。磁気分離方法に使用される多くの周知の磁気応答性材料がある。適切な磁性粒子としては、参照により本明細書に組み入れられる、Moldayの米国特許第4,452,773号、および欧州特許第452342B号に記載されているものが挙げられる。Owenの米国特許第4,795,698号およびLibertiらの米国特許第5,200,084号に記載されているもののようなコロイドサイズの粒子が他の例である。
【0474】
インキュベーションは、一般に、抗体もしくは結合パートナー、または磁性粒子もしくはビーズに付着している、そのような抗体もしくは結合パートナーに特異的に結合する二次抗体もしくは他の試薬などの分子が、試料中の細胞上に存在する場合は細胞表面分子に特異的に結合する条件下で行われる。
【0475】
いくつかの局面では、試料を磁場中に置き、磁気応答性粒子または磁化可能粒子が付着している細胞を磁石に引きつけ、非標識細胞から分離する。陽性選択の場合は、磁石に引き寄せられる細胞が保持される;陰性選択の場合は、引き寄せられない細胞(非標識細胞)が保持される。いくつかの局面では、陽性選択と陰性選択の組み合わせは同じ選択工程の間に行われ、この場合は陽性画分と陰性画分が保持され、さらに処理されるかまたはさらなる分離工程に供される。
【0476】
特定の態様では、磁気応答性粒子は、一次抗体または他の結合パートナー、二次抗体、レクチン、酵素、またはストレプトアビジンで被覆されている。特定の態様では、磁性粒子は、1つまたは複数のマーカーに特異的な一次抗体のコーティングを介して細胞に付着している。特定の態様では、ビーズではなく細胞を一次抗体または結合パートナーで標識し、次いで細胞型特異的二次抗体または他の結合パートナー(例えばストレプトアビジン)で被覆した磁性粒子を添加する。特定の態様では、ストレプトアビジン被覆磁性粒子を、ビオチン化一次抗体または二次抗体と組み合わせて使用する。
【0477】
いくつかの態様では、磁気応答性粒子は、その後インキュベート、培養および/または操作されることになる細胞に付着したままである;いくつかの局面では、粒子は患者への投与のための細胞に付着したままである。いくつかの態様では、磁化可能粒子または磁気応答性粒子は細胞から除去される。細胞から磁化可能粒子を除去する方法は公知であり、例えば競合する非標識抗体、および磁化可能粒子または切断可能なリンカーに結合した抗体の使用を含む。いくつかの態様では、磁化可能粒子は生分解性である。
【0478】
いくつかの態様では、親和性に基づく選択は、磁気活性化細胞選別(MACS)(Miltenyi Biotec, Auburn, CA)による。磁気活性化細胞選別(MACS)システムは、磁化された粒子が付着した細胞の高純度の選択が可能である。特定の態様では、MACSは、外部磁場の印加後に非標的種と標的種が連続的に溶出されるモードで動作する。すなわち、磁化粒子に付着した細胞は、付着していない種が溶出されている間、適所に保持される。次に、この最初の溶出工程が完了した後、磁場に捕捉されて溶出が妨げられていた種は、それらが溶出され、回収され得るように何らかの方法で解放される。特定の態様では、非標的細胞は標識され、細胞の不均一な集団から除去される。
【0479】
特定の態様では、単離または分離は、本発明の方法の単離、細胞調製、分離、処理、インキュベーション、培養、および/または製剤化工程のうちの1つまたは複数を実行するシステム、機器、または装置を用いて実施される。いくつかの局面では、システムは、例えばエラー、使用者の取り扱い、および/または汚染を最小限に抑えるために、これらの工程のそれぞれを閉鎖環境または無菌環境で実行するために使用される。一例では、システムは、国際公開公報第2009/072003号、または米国特許出願公開第20110003380A1号に記載されているシステムである。
【0480】
いくつかの態様では、システムまたは装置は、統合システムもしくは自己完結型システムで、および/または自動化されたもしくはプログラム可能な方式で、単離、処理、操作、および製剤化工程のうちの1つまたは複数、例えば全部を実行する。いくつかの局面では、システムまたは装置は、システムまたは装置に接続されたコンピュータおよび/またはコンピュータプログラムを含み、これにより、使用者が処理、単離、操作および製剤化工程をプログラムする、制御する、そのアウトカムを評価する、および/またはその様々な局面を調節することが可能になる。
【0481】
いくつかの局面では、分離および/または他の工程は、例えば閉鎖系および無菌系における臨床規模レベルでの細胞の自動分離のために、CliniMACSシステム(Miltenyi Biotec)を用いて行われる。構成要素には、統合マイクロコンピュータ、磁気分離ユニット、蠕動ポンプ、および様々なピンチバルブが含まれ得る。統合コンピュータは、いくつかの局面では、機器のすべての構成要素を制御し、標準化された順序で反復手順を実行するようにシステムに指示する。いくつかの局面における磁気分離ユニットは、可動永久磁石と選択カラム用のホルダとを含む。蠕動ポンプはチューブセット全体の流速を制御し、ピンチバルブと共に、システムを通る緩衝液の制御された流れおよび細胞の継続的な懸濁を確実にする。
【0482】
いくつかの局面におけるCliniMACSシステムは、滅菌非発熱性溶液中で供給される抗体結合磁化可能粒子を使用する。いくつかの態様では、細胞を磁性粒子で標識した後、細胞を洗浄して過剰の粒子を除去する。続いて細胞調製バッグをチューブセットに接続し、次に緩衝剤を含むバッグおよび細胞収集バッグにチューブセットを接続する。チューブセットは、プレカラムと分離カラムを含むあらかじめ組み立てられた滅菌チューブからなり、使い捨て専用である。分離プログラムの開始後、システムは自動的に細胞試料を分離カラムに適用する。標識細胞はカラム内に保持され、非標識細胞は一連の洗浄工程によって除去される。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は標識されておらず、カラム内に保持されない。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は標識されており、カラム内に保持される。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法で使用するための細胞集団は、磁場の除去後にカラムから溶出され、細胞収集バッグ内に収集される。
【0483】
特定の態様では、分離および/または他の工程は、CliniMACS Prodigyシステム(Miltenyi Biotec)を使用して行われる。いくつかの局面におけるCliniMACS Prodigyシステムは、遠心分離による細胞の自動洗浄および分画を可能にする細胞処理ユニットを備える。CliniMACS Prodigyシステムはまた、ソース細胞産物の巨視的層を識別することによって最適な細胞分画エンドポイントを決定する搭載カメラおよび画像認識ソフトウェアを含み得る。例えば、末梢血は自動的に赤血球、白血球および血漿層に分離される。CliniMACS Prodigyシステムはまた、例えば細胞分化および拡大増殖、抗原負荷、ならびに長期細胞培養などの細胞培養プロトコルを達成する統合細胞培養チャンバを含み得る。入力ポートは培地の無菌除去および補充を可能にし、細胞は統合顕微鏡を使用してモニタリングすることができる。例えばKlebanoff et al., J Immunother.35(9):651-660(2012),Terakura et al.,Blood.1:72-82(2012)およびWang et al., J Immunother.35(9):689-701(2012)参照。
【0484】
いくつかの態様では、本明細書に記載の細胞集団はフローサイトメトリーによって収集および濃縮(または枯渇)され、フローサイトメトリーでは、複数の細胞表面マーカーについて染色された細胞が流体流中で運ばれる。いくつかの態様では、本明細書に記載の細胞集団は、分取規模(FACS)選別によって収集および濃縮(または枯渇)される。特定の態様では、本明細書に記載の細胞集団は、FACSに基づく検出システムと組み合わせた微小電気機械システム(MEMS)チップの使用によって収集および濃縮(または枯渇)される(例えば国際公開公報第2010/033140号、Cho et al., Lab Chip 10, 1567-1573(2010);およびGodin et al., J Biophoton. 1(5): 355-376(2008)参照)。どちらの場合も、細胞を複数のマーカーで標識して、明確に定義されたT細胞サブセットを高純度で単離することができる。
【0485】
いくつかの態様では、抗体または結合パートナーは、陽性選択および/または陰性選択のための分離を容易にするために、1つまたは複数の検出可能なマーカーで標識される。例えば、分離は蛍光標識抗体への結合に基づき得る。いくつかの例では、1つまたは複数の細胞表面マーカーに特異的な抗体または他の結合パートナーの結合に基づく細胞の分離は、例えばフローサイトメトリー検出システムと組み合わせた、分取規模(FACS)および/または微小電気機械システム(MEMS)チップを含む蛍光活性化細胞選別(FACS)などによって流体流中で行われる。そのような方法は、同時に複数のマーカーに基づく陽性選択および陰性選択を可能にする。
【0486】
いくつかの態様では、調製方法は、単離、インキュベーション、および/または操作の前または後のいずれかに、細胞を凍結する、例えば凍結保存する工程を含む。いくつかの態様では、凍結およびその後の解凍工程は、細胞集団中の顆粒球および、ある程度まで、単球を除去する。いくつかの態様では、細胞は、例えば血漿および血小板を除去するための洗浄工程の後に、凍結溶液中に懸濁される。いくつかの局面では様々な公知の凍結溶液およびパラメーターのいずれを使用してもよい。一例は、20%DMSOおよび8%ヒト血清アルブミン(HSA)を含有するPBS、または他の適切な細胞凍結培地を使用することを含む。次にこれを培地で1:1に希釈して、DMSOおよびHSAの最終濃度がそれぞれ10%および4%になるようにする。次いで細胞を一般に毎分1°の速度で-80℃に凍結し、液体窒素貯蔵タンクの気相中で保存する。
【0487】
いくつかの態様では、細胞は、遺伝子操作の前またはそれに関連してインキュベートおよび/または培養される。インキュベーション工程は、培養、刺激、活性化、および/または増殖を含み得る。インキュベーションおよび/または操作は、ユニット、チャンバ、ウェル、カラム、チューブ、チューブセット、バルブ、バイアル、培養皿、バッグ、または細胞を培養するための他の容器などの培養容器中で実施され得る。いくつかの態様では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激物質の存在下でインキュベートされる。そのような条件には、集団中の細胞の増殖、拡大増殖、活性化、および/もしくは生存を誘導する、抗原曝露を模倣する、ならびに/または組換え抗原受容体の導入などの遺伝子操作のために細胞をプライミングするように設計されたものが含まれる。
【0488】
条件は、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、作用物質、例えば栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えばサイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、および細胞を活性化するように設計された他の任意の剤の1つまたは複数を含み得る。
【0489】
いくつかの態様では、刺激条件または刺激物質は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1つまたは複数の作用物質、例えばリガンドを含む。いくつかの局面では、作用物質は、T細胞におけるTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードを作動または開始させる。そのような作用物質には、TCR成分および/または共刺激受容体に特異的なものなどの抗体、例えば抗CD3、抗CD28が含まれ得、それらは例えば、ビーズなどの固体支持体および/または1つもしくは複数のサイトカインに結合していてもよい。任意で、拡大増殖方法は、抗CD3抗体および/または抗CD28抗体を培地に(例えば少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)添加する工程をさらに含み得る。いくつかの態様では、刺激物質は、IL-2および/またはIL-15(例えば、IL-2濃度は、少なくとも約10単位/mL)を含む。
【0490】
いくつかの局面では、インキュベーションは、Riddellらの米国特許第6,040,177号、Klebanoff et al.,J Immunother.35(9):651-660(2012),Terakura et al.,Blood.1:72-82(2012),および/またはWang et al.,J Immunother.35(9):689-701(2012)に記載されているような技術に従って行われる。
【0491】
いくつかの態様では、T細胞は、培養開始組成物に、非分裂末梢血単核細胞(PBMC)などのフィーダ細胞を添加すること(例えば、得られる細胞集団が、拡大増殖させるべき初期集団中の各Tリンパ球につき少なくとも約5、10、20、または40またはそれ以上のPBMCフィーダ細胞を含むように)、および培養物をインキュベートすること(例えばT細胞の数を増やすのに十分な時間)によって拡大培養される。いくつかの局面では、非分裂フィーダ細胞は、γ線照射PBMCフィーダ細胞を含み得る。いくつかの態様では、PBMCは、細胞分裂を防ぐために約3000~3600ラドの範囲のγ線を照射される。いくつかの局面では、フィーダ細胞は、T細胞集団の添加の前に培地に添加される。
【0492】
いくつかの態様では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の増殖に適した温度、例えば少なくとも約25℃、一般に少なくとも約30℃、一般に37℃または約37℃を含む。任意で、インキュベーションは、非分裂EBV形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダ細胞として添加することをさらに含み得る。LCLは、約6000~10,000ラドの範囲のγ線で照射することができる。いくつかの局面におけるLCLフィーダ細胞は、少なくとも約10:1のLCLフィーダ細胞対初期Tリンパ球の比率などの、任意の適切な量で提供される。
【0493】
態様では、抗原特異的CD4+および/またはCD8+T細胞などの抗原特異的T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、サイトメガロウイルス抗原に対する抗原特異的T細胞株またはクローンは、感染した対象からT細胞を単離し、同じ抗原で細胞をインビトロで刺激することによって生成することができる。
【0494】
C. 遺伝子操作のための核酸、ベクターおよび方法
いくつかの態様において、細胞、例えば、T細胞は、組換え受容体を発現するように遺伝子操作される。いくつかの態様において、操作することは、組換え受容体をコードする核酸分子を導入することによって行われる。また、組換え受容体をコードする核酸分子、ならびに、そのような核酸および/または核酸分子を含有するベクターまたは構築物も提供される。
【0495】
いくつかの場合に、組換え受容体、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列は、シグナルペプチドをコードするシグナル配列を含有する。いくつかの局面において、シグナル配列は、天然ポリペプチドに由来するシグナルペプチドをコードし得る。他の局面において、シグナル配列は、異種または非天然シグナルペプチドをコードし得る。いくつかの態様において、シグナルペプチドは、膜貫通タンパク質に由来する。いくつかの例では、シグナルペプチドは、CD8a、CD33またはIgGに由来する。非限定的な例示的なシグナルペプチドの例は、例えば、SEQ ID NO:153に示されるCD33シグナルペプチド、SEQ ID NO:39に示されるCD8aシグナルペプチド、もしくはSEQ ID NO:40に示されるシグナルペプチド、またはそれらの改変バリアントを含む。
【0496】
いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸分子は、組換え受容体の発現を制御するように機能的に連結された少なくとも1つのプロモーターを含有する。いくつかの例では、核酸分子は、組換え受容体の発現を制御するように機能的に連結された2つ、3つまたはより多くのプロモーターを含有する。いくつかの態様において、核酸分子は、適宜にかつ核酸分子がDNAベースであるかRNAベースであるかを考慮に入れて、核酸分子が導入されるべき宿主のタイプ(例えば、細菌、真菌、植物または動物)に特異的である転写および翻訳の開始コドンおよび終止コドンなどの調節配列を含有することができる。いくつかの態様において、核酸分子は、プロモーター、エンハンサー、イントロン、ポリアデニル化シグナル、コザックコンセンサス配列およびスプライスアセプターまたはドナーなどの調節/制御エレメントを含有することができる。いくつかの態様において、核酸分子は、組換え受容体および/または1つもしくは複数の追加のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に機能的に連結された非天然プロモーターを含有することができる。いくつかの態様において、プロモーターは、RNA pol I、pol IIまたはpol IIIプロモーターの中から選択される。いくつかの態様において、プロモーターは、RNAポリメラーゼIIによって認識される(例えば、CMV、SV40初期領域またはアデノウイルス主要後期プロモーター)。別の態様において、プロモーターは、RNAポリメラーゼIIIによって認識される(例えば、U6またはH1プロモーター)。いくつかの態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターまたはウイルスプロモーター、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーターおよびマウス幹細胞ウイルスの長い末端反復中に見いだされるプロモーターであることができる。他の公知のプロモーターも想定される。
【0497】
いくつかの態様において、プロモーターは、構成的プロモーターであるかまたはそれを含む。例示的な構成的プロモーターは、例えば、シミアンウイルス40初期プロモーター(SV40)、サイトメガロウイルス前初期プロモーター(CMV)、ヒトユビキチンCプロモーター(UBC)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1α)、マウスホスホグリセリン酸キナーゼ1プロモーター(PGK)、およびCMV初期エンハンサーと結合したトリβ-アクチンプロモーター(CAGG)を含む。いくつかの態様において、構成的プロモーターは、合成プロモーターまたは改変プロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、MNDプロモーター、すなわち、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを有する修飾されたMoMuLV LTRのU3領域を含有する合成プロモーター(例えば、Challita et al. (1995) J. Virol. 69(2):748-755を参照のこと)であるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、プロモーターは、組織特異的プロモーターである。別の態様において、プロモーターは、ウイルスプロモーターである。別の態様において、プロモーターは、非ウイルスプロモーターである。
【0498】
別の態様において、プロモーターは、調節されたプロモーター(例えば、誘導性プロモーター)である。いくつかの態様において、プロモーターは、誘導性プロモーターまたは抑制性プロモーターである。いくつかの態様において、プロモーターは、Lacオペレーター配列、テトラサイクリンオペレーター配列、ガラクトースオペレーター配列もしくはドキシサイクリンオペレーター配列を含むか、またはその類似体であるか、またはLacリプレッサーもしくはテトラサイクリンリプレッサーまたはその類似体によって結合または認識されることができる。いくつかの態様において、核酸分子は、調節エレメント、例えばプロモーターを含まない。
【0499】
いくつかの態様において、組換え受容体、例えば、CARまたは他の抗原受容体をコードする核酸分子はさらに、マーカーをコードする核酸配列を含み、かつ/または、CARもしくは他の抗原受容体を発現する細胞はさらに、短縮型EGFR(tEGFR)などの細胞表面受容体の短縮型バージョンなどの受容体を発現する細胞の形質導入または操作を確認するために使用され得るマーカー、例えば、細胞表面マーカーなどの代理マーカーを含む。いくつかの態様において、1つまたは複数のマーカーは、形質導入マーカー、代理マーカーおよび/または選択マーカーである。
【0500】
いくつかの態様において、マーカーは、形質導入マーカーまたは代理マーカーである。形質導入マーカーまたは代理マーカーを使用して、核酸分子、例えば、組換え受容体をコードする核酸分子が導入されている細胞を検出することができる。いくつかの態様において、形質導入マーカーは、細胞の改変を示唆するかまたは確認することができる。いくつかの態様において、代理マーカーは、組換え受容体、例えばCARと共に細胞表面上に共発現されるようになるタンパク質である。特定の態様において、そのような代理マーカーは、活性をほとんど有さないように修飾されている表面タンパク質である。一定の態様において、代理マーカーは、組換え受容体をコードする同じ核酸分子上にコードされる。いくつかの態様において、組換え受容体をコードする核酸配列は、マーカーをコードする核酸配列に、場合により、内部リボソーム進入部位(IRES)によって、または自己切断ペプチドもしくはリボソームスキッピングを引き起こすペプチドをコードする核酸、例えば2A配列、例えばT2A(例えば、SEQ ID NO:6または167)、P2A(例えば、SEQ ID NO:168または169)、E2A(例えば、SEQ ID NO:170)またはF2A(例えば、SEQ ID NO:172)によって分離されて、機能的に連結される。外来性マーカー遺伝子を、いくつかの場合に、操作された細胞と併せて利用することで、細胞の検出または選択が可能となり、いくつかの場合には、また細胞自殺も促進し得る。
【0501】
例示的な代理マーカーは、細胞表面ポリペプチドの短縮型形態、例えば、非機能的でありかつシグナルもしくは細胞表面ポリペプチドの完全長形態によって通常伝達されるシグナルを伝達しないもしくは伝達することができないおよび/または内在化しないもしくは内在化することができない、短縮型形態を含むことができる。成長因子または他の受容体の短縮型形態、例えば、短縮型ヒト上皮成長因子受容体2(tHER2)、短縮型上皮成長因子受容体(tEGFR、SEQ ID NO:7または166に示される例示的なtEGFR配列)もしくは前立腺特異的膜抗原(PSMA)またはその修飾形態を含めた、例示的な短縮型細胞表面ポリペプチド。tEGFRは、tEGFR構築物およびコードされた外因性タンパク質で操作されている細胞を特定もしくは選択するために、かつ/または、コードされた外因性タンパク質を発現する細胞を排除もしくは分離するために使用できる、抗体セツキシマブ(Erbitux(登録商標))または他の治療用抗EGFR抗体もしくは結合分子によって認識されるエピトープを含有し得る。米国特許第8,802,374号およびLiu et al., Nature Biotech. 2016 April; 34(4): 430-434)を参照されたい。いくつかの局面において、マーカー、例えば代理マーカーは、全部または一部分(例えば、短縮型形態)のCD34、NGFR、CD19または短縮型CD19、例えば、短縮型非ヒトCD19、または上皮成長因子受容体(例えば、tEGFR)を含む。いくつかの態様において、マーカーは、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP)、高感度緑色蛍光タンパク質(EGFP)、例えばスーパーフォールドGFP(sfGFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、例えばtdTomato、mCherry、mStrawberry、AsRed2、DsRedまたはDsRed2、シアン蛍光タンパク質(CFP)、青色緑色蛍光タンパク質(BFP)、高感度青色蛍光タンパク質(EBFP)、および黄色蛍光タンパク質(YFP)、ならびに、該蛍光タンパク質の種バリアント、単量体バリアント、ならびにコドン最適化および/または高感度バリアントを含めたそれらのバリアントであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、マーカーは、ルシフェラーゼ、E. coli由来のlacZ遺伝子、アルカリホスファターゼ、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などの酵素であるかまたはそれを含む。例示的な発光レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ(luc)、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-グルクロニダーゼ(GUS)またはそれらのバリアントを含む。
【0502】
いくつかの態様において、マーカーは、選択マーカーである。いくつかの態様において、選択マーカーは、外因性作用物質または薬物に対する耐性を付与するポリペプチドであるかまたはそれを含む。いくつかの態様において、選択マーカーは、抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、哺乳動物細胞に抗生物質耐性を付与する抗生物質耐性遺伝子である。いくつかの態様において、選択マーカーは、ピューロマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ジェネティシン耐性遺伝子もしくはゼオシン耐性遺伝子またはそれらの修飾形態であるかまたはそれを含む。
【0503】
いくつかの局面において、マーカー、例えば代理マーカーは、CD34、NGFRまたは上皮成長因子受容体(例えば、tEGFR)の全部または一部分(例えば、短縮型形態)を含む。いくつかの態様において、マーカーをコードする核酸は、切断可能リンカー配列などのリンカー配列、例えばT2Aをコードするポリヌクレオチドに機能的に連結される。例えば、マーカー、および場合によりリンカー配列は、PCT公開番号WO2014031687に開示されているようないずれかであることができる。例えば、マーカーは、場合によりT2A切断可能リンカー配列などのリンカー配列に連結された、短縮型EGFR(tEGFR)であることができる。短縮型EGFR(例えば、tEGFR)についての例示的なポリペプチドは、SEQ ID NO:7もしくは166に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:7もしくは166に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。例示的なT2Aリンカー配列は、SEQ ID NO:6もしくは167に示されるアミノ酸の配列、またはSEQ ID NO:6もしくは167に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはより大きな配列同一性を示すアミノ酸の配列を含む。
【0504】
いくつかの態様において、マーカーは、天然ではT細胞上に見いだされないもしくは天然ではT細胞の表面上に見いだされない分子、例えば細胞表面タンパク質、またはその一部分である。いくつかの態様において、分子は、非自己分子、例えば非自己タンパク質、すなわち、細胞が養子移入される宿主の免疫系によって「自己」として認識されないものである。
【0505】
いくつかの態様において、マーカーは、治療機能を果たさず、かつ/または、遺伝子操作のための、例えば、操作が成功した細胞を選択するためのマーカーとして使用されること以外には全く作用をもたらさない。他の態様において、マーカーは、治療用分子または何らかの所望の作用を及ぼす分子、例えば、養子移入時およびリガンドとの遭遇時に細胞の応答を増強および/または減弱させる共刺激性分子または免疫チェックポイント分子などの、インビボで遭遇される細胞に対するリガンドであり得る。
【0506】
いくつかの態様において、単一のプロモーターは、自己切断ペプチド(例えば、2A配列)またはプロテアーゼ認識部位(例えば、フーリン)をコードする配列によって互いに分離された2つまたは3つの遺伝子を単一のオープンリーディングフレーム(ORF)に含有する、RNAの発現を指令し得る。したがって、ORFは、翻訳の間(2Aの場合)またはその後のいずれかに個々のタンパク質にプロセシングされる、単一のポリペプチドをコードする。いくつかの場合に、T2Aなどのペプチドは、リボソームに、2AエレメントのC末端でのペプチド結合の合成をスキップさせることができ(リボソームスキッピング)、それによって、2A配列の端と次のペプチド下流との間の分離を導くことができる(例えば、de Felipe. Genetic Vaccines and Ther. 2:13 (2004) および deFelipe et al. Traffic 5:616-626 (2004)を参照のこと)。多くの2Aエレメントが当技術分野において公知である。本明細書に開示の方法および核酸において使用できる2A配列の例は、非限定的に、米国特許公開第20070116690号に記載されているような、口蹄疫ウイルス由来の2A配列(F2A)、ウマ鼻炎Aウイルス由来の2A配列(E2A)、Thosea asignaウイルス由来の2A配列(T2A、例えばSEQ ID NO:6)、およびブタテッショウウイルス-1由来の2A配列(P2A)を含む。
【0507】
細胞内で組換え受容体をコードする核酸分子の導入は、多くの公知のベクターのいずれかを使用して行われてもよい。そのようなベクターには、レンチウイルスおよびガンマレトロウイルスのシステム、同様にまた、トランスポゾンに基づくシステム(例えば、PiggyBacまたはSleeping Beautyに基づく遺伝子移入システムなど)を含めて、ウイルスシステムおよび非ウイルスシステムが含まれる。例示的な方法には、ウイルス(例えば、レトロウイルスまたはレンチウイルス)による形質導入、トランスポゾンおよびエレクトロポレーションによる方法を含めて、受容体をコードする核酸を移入するための様々な方法が含まれる。
【0508】
いくつかの態様において、遺伝子移入が、最初に細胞を刺激することによって、例えば、細胞を、例えば、サイトカインまたは活性化マーカーの発現によって測定されるような応答(例えば、増殖、生存および/または活性化など)を誘発する刺激と一緒にし、続いて、活性化された細胞への形質導入を行い、そして、培養での拡大増殖を臨床適用のために十分な数にまで行うことなどによって達成される。
【0509】
いくつかの態様において、遺伝子移入の前または期間中に、細胞は、本明細書において記載されるような調節剤をどのようなものであっても含めて、γセクレターゼ阻害剤の存在下でインキュベーションされ、または培養される。いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤が、細胞製造プロセスの期間中に、例えば、CAR-T細胞を操作する期間中に加えられる。いくつかの局面において、γセクレターゼ阻害剤の存在は、産生される細胞の集団の特性を改善することができる。いくつかの局面において、γセクレターゼ阻害剤は細胞の増殖または拡大増殖を増強する場合があり、あるいは、1つまたは複数のシグナル伝達経路を変化させ、それにより、実質的な拡大増殖および/またはエフェクター機能を示すにもかかわらず、あまり分化していない、またはあまり活性化されていない表面表現型を有する細胞をもたらす場合がある。
【0510】
いくつかの状況において、刺激性因子(例えば、リンホカインまたはサイトカイン)の過剰発現は対象にとって毒性である場合がある。したがって、いくつかの状況において、操作された細胞は、細胞をインビボにおいて(例えば、養子免疫療法において投与されたときなどに)陰性選択に対して感受性にする遺伝子セグメントを含む。例えば、いくつかの局面において、細胞は、該細胞が投与される患者のインビボ条件における変化の結果として排除され得るように操作される。陰性選択可能な表現型が、投与された作用物質(例えば、化合物)に対する感受性を付与する遺伝子の挿入から生じる場合がある。陰性選択可能な遺伝子には、ガンシクロビル感受性を付与する単純ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子(Wigler et al., Cell 2: 223, 1977);細胞のヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞のアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、細菌のシトシンデアミナーゼ(Mullen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89:33(1992))が含まれる。
【0511】
いくつかの態様において、組換え核酸が、組換え感染性ウイルス粒子(例えば、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)に由来するベクターなど)を使用して細胞に移入される。いくつかの態様において、組換え核酸が、組換えのレンチウイルスベクターまたはレトロウイルスベクター(例えば、ガンマ-レトロウイルスベクターなど)を使用してT細胞に移入される(例えば、Koste et al.(2014)Gene Therapy 2014 Apr 3.doi:10.1038/gt.2014.25;CARlens et al.(2000)Exp Hematol 28(10): 1137-46;Alonso-Camino et al.(2013)Mol Ther Nucl Acids 2,e93;Park et al., Trends Biotechnol. 2011 November 29(11):550-557を参照のこと)。
【0512】
いくつかの態様において、レトロウイルスベクターは長末端反復配列(LTR)を有する(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、骨髄増殖性肉腫ウイルス(MPSV)、マウス胚性幹細胞ウイルス(MESV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)またはアデノ関連ウイルス(AAV)に由来するレトロウイルスベクター)。ほとんどのレトロウイルスベクターがマウスレトロウイルスに由来する。いくつかの態様において、レトロウイルスには、任意の鳥類細胞供給源または哺乳動物細胞供給源に由来するレトロウイルスが含まれる。レトロウイルスは典型的には両向性であり、このことは、レトロウイルスは、ヒトを含めて数種の生物種の宿主細胞に感染することができることを意味している。1つの態様において、発現されることになる遺伝子が、レトロウイルスのgag配列、pol配列および/またはenv配列に取って代わる。いくつかの例示的なレトロウイルスシステムが記載されている(例えば、米国特許第5,219,740号、同第6,207,453号、同第5,219,740号;Miller and Rosman(1989)BioTechniques 7:980-990;Miller,A.D.(1990)Human Gene Therapy 1:5-14;Scarpa et al.(1991)Virology 180:849-852;Burns et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:8033-8037;およびBoris-Lawrie and Temin(1993)Cur.Opin.Genet.Develop.3:102-109)。
【0513】
レンチウイルス形質導入の方法は公知である。例示的な方法が、例えば、Wang et al.(2012)J.Immunother.35(9):689-701;Cooper et al.(2003)Blood.101:1637-1644;Verhoeyen et al.(2009)Methods Mol Biol.506:97-114;およびCavalieri et al.(2003)Blood.102(2):497-505に記載されている。
【0514】
いくつかの態様において、組換え核酸がエレクトロポレーションによりT細胞に移入される(例えば、Chicaybam et al,(2013)PLoS ONE 8(3):e60298、およびVan Tedeloo et al.(2000)Gene Therapy 7(16):1431-1437を参照のこと)。いくつかの態様において、組換え核酸が転位によりT細胞に移入される(例えば、Manuri et al.(2010)Hum Gene Ther 21(4):427-437;Sharma et al.(2013)Molec Ther Nucl Acids 2,e74;およびHuang et al.(2009)Methods Mol Biol 506:115-126を参照のこと)。遺伝物質を免疫細胞において導入し、発現させる他の方法には、リン酸カルシウムトランスフェクション(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley&Sons、New York、N.Y.)に記載されているようなリン酸カルシウムトランスフェクション)、プロトプラスト融合、カチオン性リポソーム媒介のトランスフェクション、タングステン粒子によって促進される微小粒子照射(Johnston,Nature,346:776-777(1990))、およびリン酸ストロンチウムDNA共沈殿(Brash et al., Mol. Cell Biol., 7:2031-2034(1987))が含まれる。
【0515】
組換え産物をコードする核酸を移入するための他の取り組みおよびベクターが、例えば、国際特許出願公開番号WO2014055668および米国特許第7,446,190号に記載されている取り組みおよびベクターである。
【0516】
いくつかの態様において、細胞、例えば、T細胞は、拡大増殖期間中または拡大増殖後のどちらかで、例えば、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)によるトランスフェクションが行われる場合がある。所望の受容体の遺伝子を導入するためのこのトランスフェクションを、例えば、任意の好適なレトロウイルスベクターを用いて行うことができる。遺伝子改変された細胞集団はその後、最初の刺激(例えば、CD3/ CD28刺激)から解放し、続いて、第2のタイプの刺激により、例えば、新たに導入された受容体を介して刺激することができる。この第2のタイプの刺激には、ペプチド/MHC分子、遺伝子導入された受容体の同族(架橋性)リガンド(例えば、CARの天然リガンド)、または(例えば、受容体内の定常領域を認識することによって)新しい受容体のフレームワークの内部に直接に結合する任意のリガンド(例えば、抗体など)の形態での抗原性刺激が含まれる場合がある。例えば、Cheadle et al,“Chimeric antigen receptors for T-cell based therapy”Methods Mol Biol.2012;907:645-66、またはBarrett et al.、Chimeric Antigen Receptor Therapy for Cancer Annual Review of Medicine Vol.65:333-347(2014)を参照のこと。
【0517】
いくつかの場合において、細胞(例えば、T細胞)が活性化されることを必要としないベクターが使用されることがある。いくつかのそのような例において、細胞は、選択および/または形質導入が活性化に先立って行われることがある。したがって、細胞は、該細胞を培養する前に、または培養した後で、そのうえ、いくつかの場合には該培養の少なくとも一部と同時に、またはその期間中に操作されることがある。
【0518】
いくつかの局面において、細胞はさらに、サイトカインまたは他の因子の発現を促進するように操作される。さらなる核酸、例えば、導入のための遺伝子には、治療の有効性を、例えば、移入された細胞の生存性および/または機能を促進することなどによって改善するための核酸;細胞の選択および/または評価のための遺伝子マーカーを提供するための遺伝子、例えば、インビボでの生存または局在化を評価するためなどの遺伝子;安全性を、例えば、Lupton S.D. et al., Mol. and Cell Biol., 11:6(1991)、およびRiddell et al.,Human Gene Therapy 3:319-338(1992)によって記載されるように細胞をインビボでの陰性選択に対して感受性にすることによって改善するための遺伝子が挙げられる。また、優勢な陽性選択マーカーを陰性選択マーカーと融合することから得られる二官能性の選択可能な融合遺伝子の使用を記載する、LuptonらによるPCT/US91/08442およびPCT/US94/05601の公開公報もまた参照のこと。例えば、Riddellら、米国特許第6,040,177号、第14欄~第17欄を参照のこと。
【0519】
III. 例示的な処置成績およびその評価方法
本明細書に提供される方法、組成物、組み合わせ、キットおよび使用のいくつかの態様において、提供される併用療法は、本明細書に記載されるような1つまたは複数の処置成績、例えば、治療または処置に関連するパラメーターのいずれか1つまたは複数に関連する特徴をもたらす。いくつかの態様において、該方法は、T細胞、例えば、T細胞に基づく治療に投与されるT細胞の曝露、持続性および増殖の評価を含む。いくつかの態様において、本明細書に提供される方法における、細胞、例えば、免疫療法(例えば、T細胞療法)に投与される細胞の、曝露、または長期の増大および/もしくは持続性、ならびに/または、それらの細胞の細胞表現型もしくは機能的活性の変化を、T細胞の特徴をインビトロまたはエクスビボで評価することによって測定することができる。いくつかの態様において、そのようなアッセイを使用して、本明細書に提供される併用療法を投与する前または投与した後に、T細胞、例えばT細胞療法の機能を判定または確認することができる。
【0520】
いくつかの態様において、併用療法はさらに、対象を併用療法による処置のためにおよび/もしくは併用療法を継続するために特定するための1つまたは複数のスクリーニング工程、ならびに/または、処置成績の評価および/もしくは処置成績のモニタリングのための工程を含むことができる。いくつかの態様において、処置に適する対象は、BCMAの低い表面発現を有する。いくつかの態様において、BCMAの低い表面発現は、対象におけるBCMA発現を健常な対象集団における平均の表面BCMA発現と比較することによって判定される。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、集団平均未満であるBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、健常な対象集団における平均BCMA発現レベルの、1.1倍、約1.1倍、少なくとも1.1倍、1.2倍、約1.2倍、少なくとも1.2倍、1.3倍、約1.3倍、少なくとも1.3倍、1.4倍、約1.4倍、少なくとも1.4倍、1.5倍、約1.5倍、少なくとも1.5倍、1.6倍、約1.6倍、少なくとも1.6倍、1.7倍、約1.7倍、少なくとも1.7倍、1.8倍、約1.8倍、少なくとも1.8倍、1.9倍、約1.9倍、少なくとも1.9倍、2倍、約2倍、少なくとも2倍、3倍、約3倍、少なくとも3倍、4倍、約4倍、少なくとも4倍、5倍、約5倍、少なくとも5倍、10倍、約10倍、少なくとも10倍、15倍、約15倍、少なくとも15倍、20倍、約20倍、少なくとも20倍、30倍、約30倍、少なくとも30倍、40倍、約40倍、少なくとも40倍、50倍、約50倍、少なくとも50倍、100倍、約100倍、少なくとも100倍、150倍、約150倍、少なくとも150倍、200倍、約200倍、少なくとも200倍、250倍、約250倍、少なくとも250倍もしくはより大きな倍数未満の、または10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくはより大きな%以下のBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、BCMAの低い表面発現は、対象におけるBCMA発現を健常な対象集団における中央表面BCMA発現と比較することによって判定される。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、集団中央未満であるBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、健常な対象集団における中央BCMA発現レベルの、1.1倍、約1.1倍、少なくとも1.1倍、1.2倍、約1.2倍、少なくとも1.2倍、1.3倍、約1.3倍、少なくとも1.3倍、1.4倍、約1.4倍、少なくとも1.4倍、1.5倍、約1.5倍、少なくとも1.5倍、1.6倍、約1.6倍、少なくとも1.6倍、1.7倍、約1.7倍、少なくとも1.7倍、1.8倍、約1.8倍、少なくとも1.8倍、1.9倍、約1.9倍、少なくとも1.9倍、2倍、約2倍、少なくとも2倍、3倍、約3倍、少なくとも3倍、4倍、約4倍、少なくとも4倍、5倍、約5倍、少なくとも5倍、10倍、約10倍、少なくとも10倍、15倍、約15倍、少なくとも15倍、20倍、約20倍、少なくとも20倍、30倍、約30倍、少なくとも30倍、40倍、約40倍、少なくとも40倍、50倍、約50倍、少なくとも50倍、100倍、約100倍、少なくとも100倍、150倍、約150倍、少なくとも150倍、200倍、約200倍、少なくとも200倍、250倍、約250倍、少なくとも250倍もしくはより大きな倍数未満の、または10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくはより大きな%以下のBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、BCMAの低い表面発現は、対象におけるBCMA発現を患者集団(例えば、多発性骨髄腫患者集団)における平均の表面BCMA発現と比較することによって判定される。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、患者集団平均未満であるBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、患者集団(例えば、多発性骨髄腫患者集団)における平均BCMA発現レベルの、1.1倍、約1.1倍、少なくとも1.1倍、1.2倍、約1.2倍、少なくとも1.2倍、1.3倍、約1.3倍、少なくとも1.3倍、1.4倍、約1.4倍、少なくとも1.4倍、1.5倍、約1.5倍、少なくとも1.5倍、1.6倍、約1.6倍、少なくとも1.6倍、1.7倍、約1.7倍、少なくとも1.7倍、1.8倍、約1.8倍、少なくとも1.8倍、1.9倍、約1.9倍、少なくとも1.9倍、2倍、約2倍、少なくとも2倍、3倍、約3倍、少なくとも3倍、4倍、約4倍、少なくとも4倍、5倍、約5倍、少なくとも5倍、10倍、約10倍、少なくとも10倍、15倍、約15倍、少なくとも15倍、20倍、約20倍、少なくとも20倍、30倍、約30倍、少なくとも30倍、40倍、約40倍、少なくとも40倍、50倍、約50倍、少なくとも50倍、100倍、約100倍、少なくとも100倍、150倍、約150倍、少なくとも150倍、200倍、約200倍、少なくとも200倍、250倍、約250倍、少なくとも250倍もしくはより大きな倍数未満の、または10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくはより大きな%以下のBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、BCMAの低い表面発現は、対象におけるBCMA発現を患者集団(例えば、多発性骨髄腫患者集団)における中央表面BCMA発現と比較することによって判定される。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、患者集団中央未満であるBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、低いBCMA発現は、患者集団(例えば、多発性骨髄腫患者集団)における中央BCMA発現レベルの、1.1倍、約1.1倍、少なくとも1.1倍、1.2倍、約1.2倍、少なくとも1.2倍、1.3倍、約1.3倍、少なくとも1.3倍、1.4倍、約1.4倍、少なくとも1.4倍、1.5倍、約1.5倍、少なくとも1.5倍、1.6倍、約1.6倍、少なくとも1.6倍、1.7倍、約1.7倍、少なくとも1.7倍、1.8倍、約1.8倍、少なくとも1.8倍、1.9倍、約1.9倍、少なくとも1.9倍、2倍、約2倍、少なくとも2倍、3倍、約3倍、少なくとも3倍、4倍、約4倍、少なくとも4倍、5倍、約5倍、少なくとも5倍、10倍、約10倍、少なくとも10倍、15倍、約15倍、少なくとも15倍、20倍、約20倍、少なくとも20倍、30倍、約30倍、少なくとも30倍、40倍、約40倍、少なくとも40倍、50倍、約50倍、少なくとも50倍、100倍、約100倍、少なくとも100倍、150倍、約150倍、少なくとも150倍、200倍、約200倍、少なくとも200倍、250倍、約250倍、少なくとも250倍もしくはより大きな倍数未満の、または10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%もしくはより大きな%以下のBCMA発現レベルである。いくつかの態様において、対象における低いBCMA発現の判定は、対象におけるBCMA発現を2以上の異なる時点(例えば、診断前および診断後、診断時および診断後のある時点、処置前および処置後など)で比較することによって判定することができる。この方法によるいくつかの態様において、低いBCMA発現は、より早期の時点を比較して、約10%もしくは少なくとも10%、約20%もしくは少なくとも20%、約30%もしくは少なくとも30%、約40%もしくは少なくとも40%、約50%もしくは少なくとも50%、約60%もしくは少なくとも60%、約70%もしくは少なくとも70%、約80%もしくは少なくとも80%、約90%もしくは少なくとも90%またはより大きなBCMA発現の減少とみなされるであろう。
【0521】
いくつかの態様において、低いBCMA発現は、閾値以下のBCMA発現とみなされる。いくつかの態様において、閾値は、健常な対象集団から確定された平均または中央BCMA発現レベルの10%、約10%、少なくとも10%、20%、約20%、少なくとも20%、30%、約30%、少なくとも30%、40%、約40%、少なくとも40%、50%、約50%、少なくとも50%、60%、約60%、少なくとも60%、70%、約70%、少なくとも70%、80%、約80%、少なくとも80%、90%、約90%、少なくとも90%であるかまたはより大きな%以下である。いくつかの態様において、閾値は、患者(例えば、多発性骨髄腫患者)の集団から確定された平均または中央BCMA発現レベルの10%、約10%、少なくとも10%、20%、約20%、少なくとも20%、30%、約30%、少なくとも30%、40%、約40%、少なくとも40%、50%、約50%、少なくとも50%、60%、約60%、少なくとも60%、70%、約70%、少なくとも70%、80%、約80%、少なくとも80%、90%、約90%、少なくとも90%であるかまたはより大きな%以下である。いくつかの態様において、閾値は、対象から得られたBCMA発現レベルの10%、約10%、少なくとも10%、20%、約20%、少なくとも20%、30%、約30%、少なくとも30%、40%、約40%、少なくとも40%、50%、約50%、少なくとも50%、60%、約60%、少なくとも60%、70%、約70%、少なくとも70%、80%、約80%、少なくとも80%、90%、約90%、少なくとも90%であるかまたはより大きな%以下である。
【0522】
いくつかの態様において、処置成績を評価するための工程は、処置を評価および/またはモニターするための工程、ならびに/あるいは対象を治療のさらなる工程もしくは残りの工程の投与のためにおよび/または反復治療のために特定するための工程を含むことができる。いくつかの態様において、スクリーニング工程および/または処置成績の評価は、本明細書において提供される併用療法の用量、頻度、継続期間、時期および/または順序を決定するために使用することができる。
【0523】
いくつかの態様において、本明細書において記載されるスクリーニング工程および/または成果の処置の評価のいずれもが、提供される併用療法の1つまたは複数の工程の投与に先立って、投与の期間中に、投与の経過期間中に、または投与に引き続いて、例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与に先立って、投与の期間中に、投与の経過期間中に、または投与に引き続いて使用することが可能である。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法のうちのいずれかを実施するのに先立って、実施している期間中に、実施している経過期間中に、または実施した後で、評価が行われる。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法を実施するのに先立って、評価が行われる。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法の1つまたは複数の工程を実施した後で、評価が行われる。いくつかの態様において、例えば、併用療法を受けるために適するかつ/または受けやすい患者をスクリーニングおよび特定するために、提供される併用療法の1つまたは複数の工程の投与の投与に先立って、評価が実施される。いくつかの態様において、例えば、中間または最終的な処置成績を評価して、例えば、処置の効力を判定するために、かつ/または処置を継続するかもしくは反復するかどうかを判定するために、かつ/または併用療法の残りの工程を投与するかどうかを判定するために、提供される併用療法の1つまたは複数の工程の投与の期間中に、投与の経過期間中に、または投与に引き続いて、評価が実施される。
【0524】
いくつかの態様において、成果の処置には、改善された免疫機能、例えば、細胞に基づく治療のために投与されるT細胞の免疫機能、および/または体内における内因性T細胞の免疫機能が含まれる。いくつかの態様において、例示的な処置成績には、増強されたT細胞増殖、増強されたT細胞機能的活性、免疫細胞表現型マーカー発現における変化が含まれるが、これらに限定されず、例えば、そのような特徴は、対象に投与される操作されたT細胞(例えば、CAR-T細胞)に関連するなどする。いくつかの態様において、例示的な処置成績には、軽減された疾患負荷(例えば、腫瘍量)、改善された臨床成績および/または増強された治療効力が含まれる。
【0525】
いくつかの態様において、スクリーニング工程および/または成果の処置の評価では、細胞に基づく治療のために投与されるT細胞の生存および/または機能を評価することが含まれる。いくつかの態様において、スクリーニング工程および/または成果の処置の評価では、サイトカインまたは増殖因子のレベルを評価することが含まれる。いくつかの態様において、スクリーニング工程および/または成果の処置の評価では、疾患負荷および/または疾患改善を評価すること、例えば、腫瘍量および/または臨床成績を評価することが含まれる。いくつかの態様において、スクリーニング工程および/または成果の処置の評価のどちらもが、本明細書において記載されるおよび/または当技術分野において公知である評価方法および/またはアッセイのいずれかを含むことができ、そして、例えば、併用療法の1つまたは複数の工程の投与に先立って、投与の期間中に、投与の経過期間中に、または投与に引き続いて1回または複数回、実施され得る。本明細書において提供される方法のいくつかの態様において評価され得る、処置成績に関連するパラメーターの例示的な様々な一組には、末梢血免疫細胞集団プロフィールおよび/または腫瘍量が含まれる。
【0526】
いくつかの態様において、方法は、対象における細胞療法の効力に影響を与える。いくつかの態様において、細胞の用量をγセクレターゼ阻害剤とともに方法において投与した後での対象における組換え受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)の持続性、拡大増殖、および/または存在が、γセクレターゼ阻害剤の投与を伴わない方法により達成される持続性、拡大増殖、および/または存在と比較してより大きい。本明細書において免疫療法(例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞)など)のいくつかの態様において、パラメーターの評価では、免疫療法(例えば、T細胞療法)のための投与されたT細胞の対象における拡大増殖および/または持続性を、γセクレターゼ阻害剤の非存在下で免疫療法が対象に実施される方法と比較して、評価することが含まれる。いくつかの態様において、方法は、投与されるT細胞が、対象において、γセクレターゼ阻害剤の非存在下でT細胞療法が対象に実施される方法と比較して増強されたまたは長期にわたる拡大増殖および/または持続性を示すことをもたらす。
【0527】
いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤の投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量がγセクレターゼ阻害剤の非存在下で対象に投与される方法と比較して、対象における疾患負荷(例えば、腫瘍量)を減少させる。いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤の投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量がγセクレターゼ阻害剤の非存在下で対象に投与される方法と比較して、対象における芽球髄(blast marrow)を減少させる。いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤の投与は、組換え受容体を発現する細胞の用量がγセクレターゼ阻害剤の非存在下で対象に投与される方法と比較して、改善された臨床成績(例えば、客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、および全生存期間(OS))をもたらす。
【0528】
いくつかの態様において、対象は、併用療法の1つまたは複数の工程の投与に先立ってスクリーニングすることができる。例えば、対象は、併用療法を実施することに対する適合性、応答性および/または感受性を判定するために、併用療法の実施に先立って、疾患および/または疾患負荷(例えば、腫瘍量)の特徴についてスクリーニングすることができる。いくつかの態様において、スクリーニング工程および/または処置成績の評価は、本明細書において提供される併用療法の用量、頻度、継続期間、時期および/または順序を決定するために使用することができる。
【0529】
いくつかの態様において、対象は、併用療法の残りの工程を受けるための対象を判定および特定するために、かつ/または治療の効力をモニターするために、併用療法の工程の1つを投与した後でスクリーニングすることができる。いくつかの態様において、投与されたT細胞の数、レベル、または量、ならびに/あるいは投与されたT細胞の増殖および/または活性が、γセクレターゼ阻害剤の投与前および/または投与後に評価される。
【0530】
いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤は、対象の血液における操作細胞の濃度もしくは数が、(i)1マイクロリットルあたり少なくとも10個もしくは少なくとも約10個の操作細胞となるまで、(ii)末梢血単核細胞(PBMC)の総数の少なくとも20%、30%、40%、もしくは50%となるまで、(iii)少なくとも1 x 105個もしくは少なくとも約1 x 105個の操作細胞となるまで、または(iv)組換え受容体をコードするDNAが1マイクログラムのDNAあたり少なくとも5,000コピーとなるまで、ならびに/あるいは、(a)における投与を開始した後の90日目において、CAR発現細胞が対象の血液または血清において検出可能になるまで、ならびに/あるいは、(a)における投与を開始した後の90日目において、対象の血液が、少なくとも20%のCAR発現細胞、1マイクロリットルあたり少なくとも10個のCAR発現細胞、または少なくとも1 x 104個のCAR発現細胞を含有するまで投与される。
【0531】
いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤は、処置に対する臨床上の利益が認められるまで、例えば、総腫瘍体積における少なくとも50%または50%超の減少、検出可能な腫瘍が消失している完全奏効(CR)、6ヶ月超もしくは1年超またはそれ以上にわたる無憎悪生存期間または無病生存期間などが認められるまで投与される。
【0532】
いくつかの態様においては、パラメーターまたは成績のレベル、値または測定値における、異なる評価時点、異なる条件、参照点および/または異なる対象での同じパラメーターまたは成績のレベル、値または測定値と比較しての変化および/または変動(例えば、増大、上昇、低下または減少)が求められるかまたは評価される。例えば、いくつかの態様において、特定のパラメーター(例えば、試料における操作T細胞の数)における、異なる条件での(例えば、γセクレターゼ阻害剤の投与前または投与後での)同じパラメーターと比較しての変化倍数(例えば、増大または低下)を求めることができる。いくつかの態様において、2つ以上のパラメーターのレベル、値または測定値が求められ、相対的レベルが比較される。いくつかの態様において、パラメーターの求められたレベル、値または測定値は、対照試料または未処理試料からのレベル、値または測定値と比較される。いくつかの態様において、パラメーターの求められたレベル、値、または測定値は、異なる時点においてであることを除いて同じ対象から得られる試料からのレベルと比較される。個々のパラメーターの定量化において得られる値は、例えば、算術演算または論理演算を、マルチパラメトリック分析を使用することにより、様々なパラメーターのレベル、値または測定値に対して組み立てることによって疾患評価という目的のために組み合わせることができる。いくつかの態様において、2つ以上の特定のパラメーターの比率を計算することができる。
【0533】
A. T細胞の曝露、持続性および増殖
いくつかの態様において、スクリーニング工程ならびに/あるいは成績の処置の評価および/または処置成績のモニタリングのために評価され得るパラメーターを含む、治療または処置成績に関連するパラメーターには、T細胞、例えばT細胞に基づく治療のために投与されるT細胞の曝露、持続性、および増殖があるかあるいは含まれる。いくつかの態様において、本明細書において提供される方法における細胞、例えば免疫療法、例えばT細胞療法のために投与される細胞の、増大した曝露、または長期にわたる拡大増殖および/もしくは持続性、ならびに/あるいはそれらの細胞の細胞表現型または機能的活性における変化を、T細胞の特徴をインビトロまたはエクスビボで評価することによって測定することができる。いくつかの態様において、そのようなアッセイは、本明細書において提供される併用療法の1つまたは複数の工程を投与する前または投与した後において、免疫療法、例えばT細胞療法のために使用されるT細胞の機能を判定または確認するために使用することができる。
【0534】
いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤の投与は、細胞、例えばT細胞に基づく治療のために投与されるT細胞などに対する対象の曝露を、例えば、その拡大増殖および/または持続性を経時的に促進させるなどすることによって促進させるために設計される。いくつかの態様において、T細胞療法は、対象において、γセクレターゼ阻害剤の非存在下でT細胞療法が対象に投与される方法と比較して増強されたまたは長期にわたる拡大増殖および/または持続性を示す。
【0535】
いくつかの態様において、提供される方法は、投与された細胞に対する対象の曝露を増大させ(例えば、時間とともに増大した数の細胞または継続期間)、ならびに/あるいは免疫療法(例えば、T細胞療法)の効力および処置成績を改善する。いくつかの局面において、方法は、組換え受容体を発現する細胞(例えば、CAR発現細胞)に対する曝露の程度がより大きくかつ/またはより長いことにより、他の方法と比較した場合、処置成績が改善されるという点で好都合である。そのような成績には、重篤な腫瘍量を有する個体においてでさえ、患者の生存および寛解が含まれ得る。
【0536】
いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤の投与は、γセクレターゼ阻害剤の非存在下でのT細胞の単独での投与と比較した場合、対象における細胞(例えば、T細胞に基づく治療のために投与されるT細胞)に対する曝露の最大量、総量、および/または継続期間を増大させることができる。いくつかの局面において、大きい疾患負荷(したがって、より多い量の抗原)および/またはより侵攻性もしくは抵抗性のがんの状況におけるγセクレターゼ阻害剤の投与は、同じ状況におけるγセクレターゼ阻害剤の非存在下でのT細胞の単独での投与(この場合、細胞の拡大増殖および/または持続性を妨げ得る免疫抑制、アネルギーおよび/または消耗が生じることがある)と比較して、効力を高める。
【0537】
いくつかの態様において、T細胞投与後、ならびにγセクレターゼ阻害剤の投与前、投与期間中および/または投与後での対象における、組換え受容体を発現する細胞(例えば、T細胞に基づく治療のために投与されるCAR発現細胞)の存在および/または量が検出される。いくつかの局面において、定量的PCR(qPCR)が、組換え受容体を発現する細胞(例えば、T細胞に基づく治療のために投与されるCAR発現細胞)の量を対象の血液試料または血清試料または器官試料または組織試料(例えば、疾患部位、例えば、腫瘍試料)において評価するために使用される。いくつかの局面において、持続性が、1マイクログラムのDNAあたりの、受容体(例えば、CAR)をコードするDNAまたはプラスミドのコピー数として、あるいは、1マイクロリットルの試料(例えば、血液または血清)あたりの、または、1マイクロリットルの試料につき末梢血単核細胞(PBMC)もしくは白血球もしくはT細胞の総数あたりの、受容体発現細胞(例えば、CAR発現細胞)の数として定量化される。
【0538】
いくつかの態様では、細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与の4、14、15、27、もしくは28日後に、または少なくとも前記日数後に対象において検出される。いくつかの局面では、細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞および/またはγセクレターゼ阻害剤の投与の2、4、もしくは6週間後、または3、6、12、18、24、30、もしくは36ヶ月後、または1、2、3、4、5年もしくはそれ以上の年数後に、または少なくとも前記期間後に検出される。
【0539】
いくつかの態様では、T細胞、例えばCAR発現T細胞ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後の、本発明の方法による対象における受容体発現細胞(例えばCAR発現細胞)の持続性は、免疫療法単独の投与、例えばγセクレターゼ阻害剤の非存在下でのT細胞(例えばCAR発現T細胞)の投与を含む方法などの代替方法によって達成されるものと比較してより大きい。
【0540】
拡大増殖および/または持続性を示す、曝露、例えば細胞数、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の数は、対象が曝露される細胞の最大数、検出可能な細胞または一定の数もしくは割合を超える細胞の持続期間、経時的な細胞数についての曲線下面積、および/またはそれらの組み合わせならびにそれらの指標によって表され得る。そのようなアウトカムは、腫瘍試料などの特定の試料中、例えば血液、血清、血漿または組織中の核酸またはDNAの総量と比較して、組換え受容体をコードする核酸のコピー数を検出するためのqPCR、および/または一般に受容体に特異的な抗体を使用して受容体を発現する細胞を検出するフローサイトメトリーアッセイなどの公知の方法を用いて評価し得る。細胞ベースのアッセイはまた、疾患もしくは病態の細胞または受容体によって認識される抗原を発現する細胞に対する、結合するおよび/または中和するおよび/または応答、例えば細胞毒性応答を誘導することができる細胞などの機能的細胞の数または割合を検出するためにも使用し得る。
【0541】
いくつかの局面では、細胞への対象の曝露の増加は、細胞の拡大増殖の増強を含む。いくつかの態様では、受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞は、T細胞(例えばCAR発現T細胞)の投与後、および/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後に対象において拡大増殖する。いくつかの局面では、本発明の方法は、γセクレターゼ阻害剤の投与の非存在下でのT細胞、例えばCAR発現T細胞の投与を含むものなどの他の方法と比較して、細胞のより大きな拡大増殖をもたらす。
【0542】
いくつかの局面では、この方法は、例えばフローサイトメトリーによって測定されるように、投与された細胞の高いインビボ増殖をもたらす。いくつかの局面では、高いピーク割合の細胞が検出される。例えば、いくつかの態様では、T細胞(例えばCAR発現T細胞)ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後のピークレベルまたは最大レベルにおいて、対象の血液もしくは疾患部位またはその白血球画分(例えばPBMC画分もしくはT細胞画分)中で、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の細胞が、組換え受容体(例えばCAR)を発現する。
【0543】
いくつかの態様では、この方法は、対象の血液または血清または他の体液または臓器または組織において、DNA 1マイクログラム当たり少なくとも100、500、1000、1500、2000、5000、10,000もしくは15,000コピーの受容体(例えばCAR)をコードする核酸、または末梢血単核細胞(PBMC)の総数、単核細胞の総数、T細胞の総数、もしくはマイクロリットルの総数当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、もしくは0.9個の受容体発現、例えばCAR発現細胞の最大濃度をもたらす。いくつかの態様では、受容体を発現する細胞は、対象の血液中の全PBMCの少なくとも10、20、30、40、50、もしくは60%として、ならびに/またはT細胞、例えばCAR発現T細胞および/またはγセクレターゼ阻害剤に続く少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、24、36、48、もしくは52週間、またはそのような投与後1、2、3、4、もしくは5年間もしくはそれ以上の年数にわたってそのようなレベルで検出される。
【0544】
いくつかの局面では、方法は、例えば対象の血清、血漿、血液、または組織中、例えば腫瘍試料中のDNA 1マイクログラム当たりの、組換え受容体(例えばCAR)をコードする核酸のコピー数の少なくとも2倍、少なくとも4倍、少なくとも10倍、または少なくとも20倍の増加をもたらす。
【0545】
いくつかの態様では、受容体を発現する細胞は、対象の血清、血漿、血液または組織中、例えば腫瘍試料中で、例えばqPCRまたはフローサイトメトリーに基づく検出方法などの特定の方法によって、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与、またはγセクレターゼ阻害剤の投与の少なくとも20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、もしくは60日後もしくはそれ以上の日数後に、T細胞、例えばCAR発現T細胞、ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24週間、もしくはそれ以上、または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、もしくは24週間、もしくはそれ以上にわたって検出可能である。
【0546】
いくつかの局面では、少なくとも約1×102、少なくとも約1×103、少なくとも約1×104、少なくとも約1×105、少なくとも約1×106、少なくとも約5×106、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、もしくは少なくとも約1×108個の組換え受容体発現細胞、例えばCAR発現細胞、および/または1マイクロリットル当たり少なくとも10、25、50、100、200、300、400、もしくは500、もしくは1000個の受容体発現細胞、例えば1マイクロリットル当たり少なくとも10個の細胞が、対象またはその体液、血漿、血清、組織、もしくは区画において、例えば末梢血などの血液中で、または腫瘍などのその疾患部位において、検出可能であるかまたは存在する。いくつかの態様では、そのような数または濃度の細胞は、T細胞、例えばCAR発現T細胞の投与後、ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後、少なくとも約20日間、少なくとも約40日間、もしくは少なくとも約60日間、または少なくとも約3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月間、または少なくとも2もしくは3年間、対象において検出可能である。そのような細胞数は、フローサイトメトリーに基づく方法または定量的PCRに基づく方法および公知の方法を用いた総細胞数への外挿によって検出される通りであり得る。例えばBrentjens et al., Sci Transl Med.2013 5(177),Park et al, Molecular Therapy 15(4):825-833(2007),Savoldo et al., JCI 121(5):1822-1826(2011), Davila et al., (2013)PLoS ONE 8(4):e61338,Davila et al., Oncoimmunology 1(9):1577-1583(2012), Lamers, Blood 2011 117:72-82, Jensen et al., Biol Blood Marrow Transplant 2010 September; 16(9):1245-1256,Brentjens et al.,Blood 2011 118(18):4817-4828参照。
【0547】
いくつかの局面では、免疫組織化学、PCR、および/またはフローサイトメトリーによって測定される、例えば末梢血または骨髄または他の区画における100細胞当たりの組換え受容体をコードする核酸のコピー数、例えばベクターコピー数は、細胞、例えばCAR発現T細胞、ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与の少なくとも約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、もしくは少なくとも約6週間後、または少なくとも約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月後、または少なくとも2もしくは3年後に、少なくとも0.01、少なくとも0.1、少なくとも1、または少なくとも10である。いくつかの態様では、ゲノムDNA 1マイクログラム当たりの、受容体(例えばCAR)を発現するベクターのコピー数は、T細胞、例えばCAR発現T細胞、またはγセクレターゼ阻害剤の投与の約1週間、約2週間、約3週間、もしくは少なくとも約4週間後の時点、またはそのような投与の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、もしくは12ヶ月後、または少なくとも2もしくは3年後の時点で、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも5000、少なくとも10,000、少なくとも15,000または少なくとも20,000である。
【0548】
いくつかの局面では、細胞によって発現される受容体、例えばCARは、細胞の投与後、例えばT細胞、例えばCAR発現T細胞の投与開始後、ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後少なくとも約3ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、または3年を超える時点で、対象、その血漿、血清、血液、組織および/または疾患部位、例えば腫瘍部位において、定量的PCR(qPCR)またはフローサイトメトリーによって検出可能である。
【0549】
いくつかの態様では、T細胞、例えばCAR発現T細胞ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後の経時的な対象の体液、血漿、血清、血液、組織、臓器、および/または疾患部位(例えば腫瘍部位)における受容体(例えばCAR)発現細胞の濃度についての曲線下面積(AUC)は、γセクレターゼ阻害剤の非存在下でT細胞(例えばCAR発現T細胞)が対象に投与される代替投与レジメンによって達成されるものと比較してより大きい。
【0550】
いくつかの局面では、この方法は、例えばフローサイトメトリーによって測定されるように、投与された細胞の高いインビボ増殖をもたらす。いくつかの局面では、高いピーク割合の細胞が検出される。例えば、いくつかの態様では、T細胞(例えばCAR発現T細胞)ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後のピークレベルまたは最大レベルにおいて、対象の血液、血漿、血清、組織もしくは疾患部位またはその白血球画分(例えばPBMC画分もしくはT細胞画分)中で、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の細胞が、組換え受容体(例えばCAR)を発現する。
【0551】
いくつかの局面では、γセクレターゼ阻害剤を投与された対象における当該用量の細胞の増強されたまたは長期にわたる拡大増殖および/または持続性は、対象の腫瘍関連アウトカムにおける利益に関連する。いくつかの態様では、腫瘍関連アウトカムは、対象における腫瘍量の減少または骨髄芽球の減少を含む。いくつかの態様では、腫瘍量は、本発明の方法の投与後に10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント、または少なくとも前記割合だけもしくは少なくともおよそ前記割合だけ減少する。いくつかの態様では、疾患負荷、腫瘍サイズ、腫瘍体積、腫瘍質量、および/または腫瘍負荷もしくは嵩は、細胞の投与後に、γセクレターゼ阻害剤の投与を含まない方法で治療された対象と比較して、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上、または少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、もしくはそれ以上減少する。
【0552】
B.T細胞の機能的活性
いくつかの態様では、スクリーニング工程および/または治療アウトカムの評価および/または治療アウトカムのモニタリングのために評価することができるパラメーターを含む、療法または治療アウトカムに関連するパラメーターは、T細胞の活性、表現型、増殖または機能の1つまたは複数を含む。いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価するための当技術分野で公知のアッセイのいずれかを使用することができる。細胞ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与の前および/または後に、いくつかの態様では、操作された細胞集団の生物学的活性が、例えば多くの公知の方法のいずれかによって測定される。評価するパラメーターには、インビボで、例えばイメージングによって、またはエクスビボで、例えばELISAもしくはフローサイトメトリーによって、操作されたもしくは天然のT細胞または他の免疫細胞の抗原への特異的結合が含まれる。特定の態様では、操作された細胞が標的細胞を破壊する能力は、例えばKochenderfer et al., J. Immunotherapy, 32(7): 689-702(2009)、およびHerman et al., J. Immunological Methods, 285(1):25-40(2004)に記載されている細胞毒性アッセイなどの、当技術分野で公知の任意の適切な方法を用いて測定することができる。特定の態様では、細胞の生物学的活性は、CD107a、IFNγ、IL-2、GM-CSFおよびTNFαなどの1つもしくは複数のサイトカインの発現および/もしくは分泌を検定することによって、ならびに/または細胞溶解活性を評価することによって測定される。
【0553】
いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能についてのアッセイとしては、ELISPOT、ELISA、細胞増殖、細胞傷害性リンパ球(CTL)アッセイ、T細胞エピトープ、抗原もしくはリガンドへの結合、または細胞内サイトカイン染色、増殖アッセイ、リンホカイン分泌アッセイ、直接細胞毒性アッセイ、および限界希釈アッセイが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様では、T細胞の増殖応答は、カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル(CFSE)、CellTrace Violet、または膜染料PKH26などの染料を用いて、例えば3H-チミジン、BrdU(5-ブロモ-2'-デオキシウリジン)または2'-デオキシ-5-エチニルウリジン(EdU)のそれらのDNAへの組み込みまたは染料希釈アッセイによって測定することができる。
【0554】
いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価することは、T細胞からのサイトカイン産生を測定すること、および/または対象由来の生物学的試料、例えば血漿、血清、血液、および/または組織試料、例えば腫瘍試料におけるサイトカイン産生を測定することを含む。いくつかの場合には、そのような測定されるサイトカインには、限定されることなく、インターロイキン2(IL-2)、インターフェロン-ガンマ(IFNγ)、インターロイキン4(IL-4)、TNF-アルファ(TNFα)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)、顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、CD107a、および/またはTGF-ベータ(TGFβ)が含まれ得る。サイトカインを測定するためのアッセイは当技術分野において周知であり、ELISA、細胞内サイトカイン染色、サイトメトリビーズアレイ、RT-PCR、ELISPOT、フローサイトメトリー、および関連サイトカインに応答性の細胞を試験試料の存在下で応答性(例えば増殖)について試験するバイオアッセイが含まれるが、これらに限定されるわけではない。
【0555】
いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞の活性、表現型、増殖および/または機能を評価することは、細胞表現型、例えば特定の細胞表面マーカーの発現を評価することを含む。いくつかの態様では、T細胞、例えばT細胞療法のために投与されるT細胞は、T細胞活性化マーカー、T細胞枯渇マーカー、および/またはT細胞分化マーカーの発現について評価される。いくつかの態様では、細胞表現型は投与前に評価される。いくつかの態様では、細胞表現型は投与後に評価される。評価のためのT細胞活性化マーカー、T細胞枯渇マーカー、および/またはT細胞分化マーカーには、T細胞の特定のサブセットについての当技術分野で公知の任意のマーカー、例えばCD25、CD38、ヒト白血球抗原-DR(HLA-DR)、CD69、CD44、CD137、KLRG1、CD62Llow、CCR7low、CD71、CD2、CD54、CD58、CD244、CD160、プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、リンパ球活性化遺伝子3タンパク質(LAG-3)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメインタンパク質3(TIM-3)、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、バンドTリンパ球アテニュエータ(BTLA)および/またはT細胞免疫グロブリンおよび免疫受容体チロシンベースの阻害モチーフドメイン(TIGIT)が含まれる(例えばLiu et al.,Cell Death and Disease(2015)6,e1792参照)。いくつかの態様では、評価される細胞表面マーカーはCD25、PD-1および/またはTIM-3である。いくつかの態様では、評価される細胞表面マーカーはCD25である。
【0556】
いくつかの局面では、発現レベルを検出することは、インビトロアッセイを実施することを含む。いくつかの態様では、インビトロアッセイは、イムノアッセイ、アプタマーベースのアッセイ、組織学的もしくは細胞学的アッセイ、またはmRNA発現レベルアッセイである。いくつかの態様では、1つまたは複数の因子、エフェクター、酵素および/または表面マーカーのそれぞれの1つまたは複数についての1つまたは複数のパラメーターは、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、免疫ブロット法、免疫沈降法、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫染色、フローサイトメトリーアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)、化学発光アッセイ、ラテラルフローイムノアッセイ、阻害アッセイまたはアビディティ活性アッセイによって検出される。いくつかの態様では、サイトカインおよび/または表面マーカーの検出は、少なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合する結合試薬を用いて決定される。いくつかの場合には、結合試薬は抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマーまたは核酸プローブである。
【0557】
いくつかの態様において、γセクレターゼ阻害剤の投与は循環CAR T細胞のレベルを増大させる。
【0558】
C. 疾患負荷
いくつかの態様において、スクリーニング工程ならびに/あるいは成績の処置の評価および/または処置成績のモニタリングのために評価され得るパラメーターを含む、治療または処置成績に関連するパラメーターには、腫瘍負荷または疾患負荷が含まれる。免疫療法(例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞))および/またはγセクレターゼ阻害剤の投与は、対象における疾患または病態の拡大または負荷を軽減させるかまたは防止することができる。例えば、疾患または病態が腫瘍である場合、方法は一般には、腫瘍の大きさ、嵩、転移、骨髄における芽球の割合、または分子的に検出可能ながんを減少させるか、かつ/あるいは予後もしくは生存または腫瘍量に関連する他の症状を改善する。
【0559】
いくつかの態様において、提供される方法は、処置された対象において、免疫療法(例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞))がγセクレターゼ阻害剤の投与を伴うことなく与えられる代替方法と比較して減少した腫瘍量をもたらす。腫瘍量が、併用療法を受けるすべての対象において実際に軽減されることは必要ではなく、しかし、腫瘍量は、例えば、そのような併用療法により処置される対象の大多数が腫瘍量の減少を示す(例えば、併用療法により処置される対象の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%またはそれ以上などが腫瘍量の減少を示す)臨床データに基づくなどして、処置された対象において平均して軽減されることが必要である。
【0560】
疾患負荷は、対象におけるかあるいは対象の器官、組織または体液、例えば、腫瘍場所または別の場所(例えば、転移を示しているであろう場所)の器官または組織などにおける疾患の総細胞数を包含し得る。例えば、腫瘍細胞が、ある特定の血液学的悪性腫瘍の状況では、血液、リンパ液または骨髄において検出および/または定量化される場合がある。疾患負荷はいくつかの態様において、腫瘍の塊、転移の数または範囲および/または骨髄に存在する芽細胞の割合を含むことができる。
【0561】
いくつかの態様において、対象は、骨髄腫、リンパ腫または白血病を有する。いくつかの態様において、対象は、非ホジキンリンパ腫(NHL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)または骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫(MM))を有する。いくつかの態様において、対象はMMまたはDBCBLを有する。
【0562】
いくつかの態様において、対象は固形腫瘍を有する。
【0563】
いくつかの態様において、対象はMMを有する。いくつかの場合、MMは、再発性および/または難治性のMMである。MMの場合、疾患負荷の程度を評価するための例示的なパラメーターには、クローン形質細胞の数(例えば、骨髄生検で10%超、または他の組織からの生検物における任意の量で;形質細胞腫)、血清または尿のどちらかにおけるモノクローナルタンパク質(パラプロテイン)の存在、形質細胞障害に関連づけられると思われる末端器官障害(例えば、高カルシウム血症(2.75 mmol/l超の補正カルシウム)、骨髄腫に起因すると考えられる腎機能不全、貧血(10 g/dl未満のヘモグロビン)、および/または骨病変(圧迫骨折を伴う溶解性病変または骨粗鬆症))の証拠のようなパラメーターが含まれる。
【0564】
DLBCLの場合、疾患負荷の程度を評価するための例示的なパラメーターには、細胞形態学(例えば、中心芽球性細胞、免疫芽球性細胞および未分化細胞)、遺伝子発現、miRNA発現およびタンパク質発現(例えば、BCL2、BCL6、MUM1、LMO2、MYCおよびp21の発現)のようなパラメーターが含まれる。
【0565】
白血病の場合、疾患負荷の程度を血液または骨髄における残存白血病の評価によって判定することができる。いくつかの態様において、例えば、光学顕微鏡法によって検出されるように、5%以上の芽球が骨髄において認められるならば、対象は形態学的疾患を示す。いくつかの態様において、5%未満の芽球が骨髄において認められるならば、対象は完全寛解または臨床的寛解を示す。
【0566】
いくつかの態様において、白血病の場合、対象は、完全な緩解を示し得るが、少量の形態学的に(光学顕微鏡技術によって)検出不可能な残存白血病細胞が存在する。対象は、骨髄において5%未満のブラストを示し、分子的に検出可能ながんを示す場合、微小残存疾患(MRD)を示すと言われる。いくつかの態様において、分子的に検出可能ながんは、少数の細胞の高感度検出を可能にする任意の様々な分子技術を用いて評価され得る。いくつかの局面において、そのような技術は、特有のIg/T細胞受容体遺伝子再配置または染色体転座によって生じる融合転写物を決定することができるPCRアッセイを含む。いくつかの態様において、白血病特異的免疫表現型に基づきがん細胞を同定するためにフローサイトメトリーが使用され得る。いくつかの態様において、がんの分子的検出は、100,000個の正常細胞中のわずか1個の白血病細胞を検出することができる。いくつかの態様において、対象は、例えばPCRまたはフローサイトメトリーによって、100,000個の細胞中少なくとも1個または2個以上の白血病細胞が検出される場合、分子的に検出可能であるMRDを示す。いくつかの態様において、対象の疾病負荷は、いくつかの例において、PCRまたはフローサイトメトリー技術を用いて対象において白血病細胞が検出できない程、分子的に検出不可能またはMRD-である。
【0567】
いくつかの態様において、方法、ならびに/あるいは免疫療法(例えば、T細胞療法(例えば、CAR発現T細胞))および/またはγセクレターゼ阻害剤の投与は、免疫療法(例えば、T細胞療法)および/またはγセクレターゼ阻害剤の投与の直前の時点における疾患負荷と比較して、疾患負荷を軽減させる。
【0568】
いくつかの局面において、免疫療法(例えば、T細胞療法)および/またはγセクレターゼ阻害剤の投与は、疾患負荷の増大を防止する場合があり、このことが、疾患負荷における変化がないことによって立証され得る場合がある。
【0569】
いくつかの態様において、方法は、疾患または病態の負荷、例えば、腫瘍細胞の数、腫瘍の大きさ、患者の生存または無事象生存の継続期間を、代替療法を使用する同等の方法(例えば、対象が免疫療法(例えば、単独でのT細胞療法)をγセクレターゼ阻害剤の投与の非存在下で受ける療法など)により認められるであろう軽減と比較して、より大きい程度におよび/またはより長い期間にわたって低下させる。いくつかの態様において、疾患負荷が、免疫療法(例えば、T細胞療法)およびγセクレターゼ阻害剤の投与の併用療法の後では、これらの作用因のそれぞれを単独で投与する、例えば、免疫療法(例えば、T細胞療法)を受けたことがない対象にγセクレターゼ阻害剤を投与するか、またはγセクレターゼ阻害剤を受けたことがない対象に免疫療法(例えば、T細胞療法)を投与することによって達成されるであろう軽減と比較して、より大きい程度にまたはより大きい継続期間にわたって軽減される。
【0570】
いくつかの態様において、対象における疾患または病態の負荷が検出され、評価され、または測定される。疾患負荷が、対象におけるかあるいは対象の器官、組織または体液(例えば、血液または血清など)における疾患細胞または疾患関連細胞(例えば、腫瘍細胞)の総数を検出することによっていくつかの局面では検出される場合がある。いくつかの態様において、疾患負荷(例えば、腫瘍量)が、固形腫瘍の塊および/または転移の数もしくは程度を測定することによって評価される。いくつかの局面において、対象の生存、一定期間内の生存、生存の程度、無事象生存もしくは無症状生存または無再発生存の存在または継続期間が評価される。いくつかの態様において、疾患または病態の任意の症状が評価される。いくつかの態様において、疾患または病態の負荷の測定基準が規定される。いくつかの態様において、判定のための例示的なパラメーターには、疾患または病態(例えば、腫瘍)における回復または改善を示す特定の臨床成績が含まれる。そのようなパラメーターには、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)または安定疾患(SD)(例えば、固形がん効果判定基準(Response Evaluation Criteria In Solid Tumors)(RECIST)ガイドラインを参照のこと)を含めて、疾患抑制の継続期間、客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)が含まれる。これらのパラメーターについての具体的な閾値を、本明細書において提供される併用療法の方法の効力を判定するために設定することができる。
【0571】
いくつかの局面では、疾患負荷は、免疫療法、例えばT細胞療法の実施前に、免疫療法、例えばT細胞療法の実施後であるがγセクレターゼ阻害剤の投与前に、γセクレターゼ阻害剤の投与後であるが免疫療法、例えばT細胞療法の実施前に、ならびに/または免疫療法、例えばT細胞療法ならびにγセクレターゼ阻害剤の両方の投与後に、測定または検出される。併用療法の1つまたは複数の工程の複数回投与の状況では、いくつかの態様における疾患負荷は、任意の工程、用量および/もしくは投与サイクルの投与の前もしくは後に、または任意の工程、用量および/もしくは投与サイクルの投与の間の時点に測定され得る。
【0572】
いくつかの態様では、負荷は、提供される方法によって、γセクレターゼ阻害剤および免疫療法、例えばT細胞療法の実施直前と比較して、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100パーセント、または少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100パーセント減少する。いくつかの態様では、疾患負荷、腫瘍サイズ、腫瘍体積、腫瘍質量、および/または腫瘍負荷もしくは嵩は、免疫療法、例えばT細胞療法ならびに/またはγセクレターゼ阻害剤の投与後に、免疫療法、例えばT細胞療法および/またはγセクレターゼ阻害剤の投与の直前のものと比較して、少なくとも0、20、30、40、50、60、70、80、90%、もしくはそれ以上、または少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90%、もしくはそれ以上低減される。
【0573】
いくつかの態様では、本発明の方法による疾患負荷の低減は、例えば併用療法の実施、例えば開始後、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、または3ヶ月を超えて評価される、形態学的完全寛解の誘導を含む。
【0574】
いくつかの局面では、例えばマルチパラメーターフローサイトメトリーによって測定されるような、最小残存疾患についてのアッセイは陰性であるか、または最小残存疾患のレベルは約0.3%未満、約0.2%未満、約0.1%未満、または約0.05%未満である。
【0575】
いくつかの態様では、対象の無事象生存率または全生存率は、他の方法と比較して、本発明の方法によって改善される。例えば、いくつかの態様では、本明細書で提供される併用療法の方法の6ヶ月後に、本発明の方法によって治療された対象の無事象生存率または確率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。いくつかの態様では、全生存率は、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約90%超、または約95%超である。いくつかの態様では、本発明の方法で治療された対象は、無事象生存、無再発生存、または少なくとも6ヶ月まで、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年までの生存を示す。いくつかの態様では、進行までの時間は、例えば6ヶ月超もしくは約6ヶ月超、または少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、もしくは10年を超える、進行までの時間のように、改善される。
【0576】
いくつかの態様では、本発明の方法による治療後、他の方法と比較して再発の可能性が低下する。例えば、いくつかの態様では、併用療法の方法の6ヶ月後の再発の可能性は、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満である。
【0577】
IV.製造品およびキット
γセクレターゼ阻害剤と、免疫療法のための構成成分(例えば、抗体またはその抗原結合フラグメント)またはT細胞療法(例えば、操作された細胞)ならびに/あるいはその組成物とを含有する製造品もまた提供される。製造品は、容器と、容器表面の、または容器に付随するラベルまたは添付文書とを含む場合がある。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、IV溶液バッグなどが含まれる。容器は様々な材料(例えば、ガラスまたはプラスチックなど)から形成されてもよい。容器はいくつかの態様において、単独での組成物、あるいは前記病態の治療、予防、および/または診断のために効果的な別々の組成物と組み合わされる組成物を保持する。いくつかの態様において、容器は無菌アクセスポートを有する。例示的な容器には、注射用ニードルによって突き刺すことができる栓を有するものを含めて、静脈内溶液バッグ、バイアル、あるいは、経口投与剤のためのボトルまたはバイアルが含まれる。ラベルまたは添付文書は、組成物を、疾患または病態を治療するために使用することを示す場合がある。
【0578】
製造品は、(a)免疫療法(例えば、T細胞療法)のために使用される抗体または操作された細胞を含む組成物が含有される第1の容器と、(b)第2の作用物質(例えば、γセクレターゼ阻害剤)などを含む組成物が含有される第2の容器とを含む場合がある。製造品はさらに、組成物が、特定の病態を治療するために使用され得ることを示す添付文書を含む場合がある。代替において、または加えて、製造品はさらに、薬学的に許容され得る緩衝液を含む別の容器または同じ容器を含む場合がある。製造品はさらに、他の材料、例えば、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、ニードルおよび/またはシリンジなどを含む場合がある。
【0579】
V.定義
別途定義される場合を除き、本明細書において使用するすべての専門用語、表記法、ならびに他の技術用語および科学用語または用語法は、請求項に記載された主題が関係する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有することが意図される。いくつかの場合には、一般に理解されている意味を有する用語が、明快さのために、かつ/または即座の参照のために本明細書において定義されており、そして、そのような定義が本明細書に含まれることは、当技術分野において一般に理解されていることを超える実質的な違いを表すように必ずしも解釈されなければならないことはない。
【0580】
本明細書において使用する場合、「対象」は、哺乳動物、例えば、ヒトまたは他の動物などであり、典型的にはヒトである。いくつかの態様において、免疫調節剤ポリペプチド、操作された細胞、または化合物(例えばγセクレターゼ阻害剤)を含むなどの組成物が投与される対象(例えば、患者)は哺乳動物であり、典型的には霊長類であり、例えば、ヒトなどである。いくつかの態様において、霊長類はサルまたは類人猿である。対象は雄性または雌性であることが可能であり、乳幼児期、若年期、青年期、成体期および老齢期の対象を含めて任意の好適な年齢であることが可能である。いくつかの態様において、対象は霊長類以外の哺乳動物であり、例えば、齧歯類などである。特定の態様では、対象はヒトである。
【0581】
本明細書において使用する場合、「治療」(およびその文法上の変形、例えば、「治療する(treat)」または「治療する(treating)」など)は、疾患もしくは病態もしくは障害、あるいはそれに伴う症状、有害な影響もしくは結果、または表現型の完全または部分的な改善または軽減を示す。治療の望ましい影響には、疾患の発生または再発を防止すること、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的結果を軽減すること、転移を防止すること、疾患進行の速度を低下させること、疾患状態の改善または緩和、ならびに寛解または改善された予後が含まれるが、これらに限定されない。これらの用語は、疾患を完全に治癒させること、あるいは、任意の症状、またはすべての症状もしくは結果に対する影響を完全に排除することを暗示していない。
【0582】
本明細書において使用する場合、「疾患の発症を遅らせる」とは、疾患(例えば、がん)の発症を先延ばしすること、妨げること、遅くすること、遅延させること、安定させること、抑制すること、および/または延期させることを意味する。この遅れは、疾患歴および/または治療されている個体に依存して、様々な長さの期間であることが可能である。当業者には明白であるように、十分な遅れまたは著しい遅れは、個体が疾患を発症させないという点で、実際には防止を包含し得る。例えば、後期段階のがん(例えば、転移の発生など)が遅らされる場合がある。
【0583】
「予防する」は、本明細書において使用する場合、疾患に対する素因を有するかもしれないが、該疾患が未だ診断されていない対象における該疾患の発生または再発に関して予防を提供することを包含する。いくつかの態様において、提供される細胞および組成物は、疾患の発症を遅らせるために、または疾患の進行を遅くするために使用される。
【0584】
本明細書において使用する場合、機能または活性を「抑制する」ことは、対象となる条件またはパラメーターを除いて他の点では同じ条件と比較したとき、あるいは代替では別の条件と比較して、この機能または活性を低下させることである。例えば、腫瘍成長を抑制する細胞は、該細胞の非存在下での腫瘍の成長速度と比較して腫瘍の成長速度を低下させる。
【0585】
作用物質(例えば、薬学的製剤、細胞または組成物)の「有効量」は投与との関連において、所望された結果(例えば、治療結果または予防結果など)を達成するために、そのような達成のために必要な投薬量/量において、かつ必要な期間にわたって効果的な量を示す。
【0586】
作用物質(例えば、薬学的製剤または操作された細胞)の「治療有効量」は、所望の治療結果、例えば、疾患、病態または障害の治療などについて所望の治療結果、および/または処置の薬物動態学的もしくは薬力学的な効果を達成するために、そのような達成のために必要な投薬量において、かつ必要な期間にわたって効果的である量を示す。治療有効量は、様々な因子、例えば、対象の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに投与される免疫調節ポリペプチドまたは操作された細胞などに応じて変動する場合がある。いくつかの態様において、提供される方法は、有効量(例えば、治療有効量)の、免疫調節ポリペプチド、操作された細胞、または組成物を投与する工程を伴う。
【0587】
「予防有効量」は、所望の予防的結果を達成するために、そのような達成のために必要な投薬量において、かつ必要な期間にわたって効果的である量を示す。典型的には、しかし、必ずしもそうであるとは限らないが、予防的用量が、疾患に先立って、または疾患のより初期の段階で対象において使用されるので、予防有効量は治療有効量より少ないであろう。
【0588】
用語「薬学的製剤」は、調製物であって、該調製物に含有される有効成分の生物学的活性が効果的であることを可能にするような形態であり、かつ、製剤が投与されるであろう対象に対して許容できないほどに毒性であるさらなる成分を何ら含有しない調製物を示す。
【0589】
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって非毒性である、有効成分以外の薬学的製剤における成分を示す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤または保存剤が含まれるが、それらに限定されない。
【0590】
本明細書において使用する場合、ヌクレオチド位置またはアミノ酸位置が、開示された配列(例えば、配列表に示される配列など)におけるヌクレオチド位置またはアミノ酸位置「に対応する」という言及は、標準的なアライメントアルゴリズム(例えば、GAPアルゴリズムなど)を使用して同一性を最大とするように、開示された配列とアラインメントしたときに特定されるヌクレオチド位置またはアミノ酸位置を示す。配列をアライメントすることにより、当業者は、例えば、保存されたアミノ酸残基および同一のアミノ酸残基をガイドとして使用して、対応する残基を特定することができる。通常は、対応する位置を特定するために、アミノ酸の配列は、最も高水準の一致が得られるようにアライメントされる(例えば、Computational Molecular Biology, Lesk, A.M., ed., Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W., ed., Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M. and Griffin, H.G., eds., Humana Press, New. Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;およびSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J., eds., M Stockton Press, New York, 1991; Carrillo et al.(1988)SIAM J Applied Math 48:1073を参照のこと)。
【0591】
用語「ベクター」は、本明細書において使用する場合、連結される別の核酸を増やすことができる核酸分子を示す。この用語には、自己複製する核酸構造物としてのベクター、同様にまた、導入されている宿主細胞のゲノムに組み込まれるベクターが含まれる。ある種のベクターは、機能的に連結される核酸の発現を導くことができる。そのようなベクターは本明細書において「発現ベクター」として示される。ベクターには、ウイルスベクター、例えば、レトロウイルスベクター(例えば、ガンマレトロウイルスベクターおよびレンチウイルスベクター)などが挙げられる。
【0592】
用語「宿主細胞」、用語「宿主細胞株」および用語「宿主細胞培養物」は交換可能に使用され、外因性核酸が導入されている細胞を、そのような細胞の子孫を含めて示す。宿主細胞には、「形質転換体」および「形質転換(された)細胞」が含まれ、これらには、初代形質転換細胞、および、継代数に関係なく、初代形質転換細胞に由来する子孫が含まれる。子孫は、核酸の内容において親細胞と完全に同一でなくてもよく、変異を含有する場合がある。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされた、または選択されたのと同じ機能または生物学的活性を有する変異子孫が本明細書において含まれる。
【0593】
本明細書において使用する場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陽性」であると述べられることは、特定のマーカー(典型的には表面マーカー)が細胞表面または細胞において検出可能に存在していることを示す。表面マーカーが言及されるとき、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体を用いて染色し、前記抗体を検出することによって検出されるような表面発現の存在を示し、この場合、染色が、イソタイプの一致する対照を、それ以外の点では同一の条件のもとで用いる、同じ手順を行って検出される染色を実質的に超えるレベルでフローサイトメトリーによって検出可能であり、かつ/またはマーカーについて陽性であることが知られている細胞についてのレベルと実質的に類似するレベルであり、かつ/またはマーカーについて陰性であることが知られている細胞についてのレベルよりも実質的に高いレベルである。
【0594】
本明細書において使用する場合、細胞または細胞の集団が特定のマーカーについて「陰性」であると述べられることは、特定のマーカー(典型的には表面マーカー)が細胞表面または細胞において実質的に検出可能に存在していることが認められないことを示す。表面マーカーが言及されるとき、この用語は、フローサイトメトリーによって、例えば、マーカーに特異的に結合する抗体を用いて染色し、前記抗体を検出することによって検出されるような表面発現の非存在を示し、この場合、染色が、イソタイプの一致する対照を、それ以外の点では同一の条件のもとで用いる、同じ手順を行って検出される染色を実質的に超えるレベルでフローサイトメトリーによって検出されず、かつ/またはマーカーについて陽性であることが知られている細胞についてのレベルよりも実質的に低いレベルであり、かつ/またはマーカーについて陰性であることが知られている細胞についてのレベルと比較して実質的に類似するレベルである。
【0595】
本明細書において使用する場合、「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」および「同一性パーセント」は、アミノ酸配列(参照ポリペプチド配列)に関して使用するときには、最大の配列同一性パーセントを達成するように配列をアライメントし、必要ならば、ギャップを導入した後、かつ、どのような保存的置換も配列同一性の一部として考慮せずに、参照ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である候補配列(例えば、対象となる抗体またはフラグメント)におけるアミノ酸残基の百分率として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するためのアライメントを、当技術分野における技量の範囲内にある様々な方法で、例えば、公開されているコンピュータソフトウェア(例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)のソフトウェアなど)を使用して達成することができる。当業者は、最大のアライメントを比較されている配列の全長にわたって達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含めて、配列をアライメントするための適切なパラメーターを決定することができる。
【0596】
本明細書において使用する場合、単数形である「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈がそうではないことを明確に示す場合を除き、複数形の言及物を包含する。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。本明細書において記載される様々な局面および変形は、様々な局面および変形「からなる」こと、ならびに/あるいは様々な局面および変形「から本質的になる」ことを包含することが理解される。
【0597】
本開示の全体を通して、請求項に記載されている主題の様々な局面が範囲形式で示される。範囲形式での記載は単に便宜および簡潔性のためであり、請求項に記載されている主題の範囲に関して柔軟性のない限定として解釈してはならないことを理解しなければならない。したがって、範囲の記載は、可能な部分範囲、同様にまた、その範囲に含まれる個々の数値をすべて具体的に開示していると見なされなければならない。例えば、値の範囲が与えられる場合、その範囲の上限と、下限との間におけるそれぞれの中間の値、およびその指定された範囲における任意の他の指定された値または中間の値が、請求項に記載されている主題の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限がこれらのより小さい範囲に独立して含まれてもよく、これらもまた、指定された範囲における任意の具体的に除外された限界点に従うことを条件にして、請求項に記載されている主題の範囲内に包含される。指定された範囲が限界点の一方または両方を含む場合、そのような含まれた限界点のどちらかまたは両方を除外する範囲もまた、請求項に記載されている主題の範囲内に含まれる。このことは、範囲の広さにかかわらず、当てはまる。
【0598】
用語「約」は、本明細書において使用する場合、この技術分野における当業者には容易に理解されるそれぞれの値についての通常の誤差範囲を示す。「約」を伴って値またはパラメーターが本明細書において示される場合、その値またはパラメーターそのものに向けられる態様が含まれる(記載される)。例えば、「約X」が示される記載では、「X」の記載が含まれる。
【0599】
本明細書において使用する場合、組成物は、細胞を含めて、2つ以上の製造物、物質または化合物の混合物をどのようなものであっても示す。組成物は、溶液、懸濁物、液体、粉末、ペースト、水性、非水性、またはそれらの任意の組合せであり得る。
【0600】
VI.例示的な態様
以下が、提供される態様に含まれる。
1. (a)疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程;および
(b)LY3039478または構造:
の化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物を対象に投与する工程
を含む、処置方法。
2. 疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程を含む処置方法であって、細胞療法の投与の開始時点で、対象が、LY3039478または構造:
の化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている、処置方法。
3. LY3039478または構造:
の化合物もしくはその立体異性体、またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物を、疾患または障害を有する対象に投与する工程を含む処置方法であって、
投与の開始時点で、対象が、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている、処置方法。
4. 組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、態様1~3のいずれか記載の方法。
5. 標的抗原が、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される、態様4記載の方法。
6. 標的抗原がMuc1である、態様4または5記載の方法。
7. 標的抗原がBCMAである、態様4または5記載の方法。
8. BCMAが表面BCMAである、態様7記載の方法。
9. 表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへの組換え抗原受容体の結合または組換え受容体発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されない、態様8記載の方法。
10. BCMAの可溶型または放出型の濃度または量が、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における、濃度または量に対応する、あるいは参照抗BCMA組換え受容体、任意で参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量に対応する、態様9記載の方法。
11. (a)疾患または障害を有する対象に、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程;および
(b)対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与する工程
を含む処置方法であって、
表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへのCARの結合またはCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、
任意で対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断されるかまたは実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、
BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されない、処置方法。
12. 疾患または障害を有する対象に、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合するキメラ抗原受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程を含む処置方法であって、
表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへのCARの結合またはCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、任意で対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断されるかまたは実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されず、
細胞療法の投与の開始時点で、対象が、ガンマセクレターゼ阻害剤を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている、処置方法。
13. 疾患または障害を有する対象に、ガンマセクレターゼ阻害剤を投与する工程を含む処置方法であって、阻害剤の投与の開始時点で、対象が、表面B細胞成熟抗原(BCMA)と特異的に結合するキメラ抗原受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けており、
表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへのCARの結合またはCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、
任意で対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断されるかまたは実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されない、
処置方法。
14. 対象における癌細胞が、(i)CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現する、または形質細胞に由来し、かつ(ii)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む、癌を有する対象を選択する工程を含む、態様1~13のいずれか記載の方法。
15. 細胞療法および/またはガンマセクレターゼ阻害剤が、選択された対象に投与される、態様14記載の方法。
16. 表面BCMAの発現の閾値レベルが、複数の対照対象における形質細胞上の表面BCMAの発現またはレベルの平均または中央値よりも低く、任意で、対照対象が、健康または正常な対象の群である、態様14または15記載の方法。
17. 表面BCMAを発現する対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満が表面BCMAを発現する場合;あるいは
表面BCMAの閾値レベルが、表面BCMAを発現する対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満である場合に、
表面BCMAの低発現が存在する、態様14~16のいずれか記載の方法。
18. 表面BCMAの発現が、フローサイトメトリーおよび/またはイムノアッセイにより決定される、態様14~17のいずれか記載の方法。
19. 表面BCMAを発現している細胞への曝露後の表面BCMMAへの組換え受容体の結合または組換え受容体発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、低減もしくは遮断されない、または実質的に低減もしくは遮断されない、態様14~18のいずれか記載の方法。
20. BCMAの可溶型または放出型の濃度または量が、対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における濃度または量、あるいは参照抗BCMA組換え受容体、任意で参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断される、または実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量に対応する、態様19記載の方法。
21. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMAの膜内切断を阻害する、態様1~20のいずれか1つに記載の方法。
22. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMAの膜内切断を、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.35nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.35nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.35nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.25nM~0.35nM、0.35nM~10nM、0.35nM~5nM、0.35nM~1nM、0.35nM~0.5nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~10nM、1nM~5nMまたは5nM~10nMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様21記載の方法。
23. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMAの膜内切断を10nM未満もしくは約10nM未満、5nM未満もしくは約5nM未満、1nM未満もしくは約1nM、0.5nM未満もしくは約0.5nM未満、0.35nM未満もしくは約0.35nM未満、0.25nM未満もしくは約0.25nM未満、0.1nM未満もしくは約0.1nM未満、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満、またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様21または22記載の方法。
24. (a)疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程であって、組換え受容体が、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合しない、工程;および
(b)ガンマセクレターゼ阻害剤を投与する工程
を含む、処置方法。
25. 疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程を含む処置方法であって、組換え受容体が、B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合せず、細胞療法の投与の開始時点で、対象が、ガンマセクレターゼ阻害剤を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている、処置方法。
26. 疾患または障害を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与する工程を含む処置方法であって、阻害剤の投与の開始時点で、対象が、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けており、組換え受容体が、表面B細胞成熟抗原(BCMA)と特異的に結合しない、処置方法。
27. 組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、態様24~26のいずれか記載の方法。
28. 標的抗原が、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される、態様27記載の方法。
29. (a)疾患または障害を有する対象に、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を投与する工程;および
(b)(a)における投与の後に、対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与する工程
を含む、細胞療法の活性をモジュレートする方法。
30. 疾患または障害を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与する工程を含む、細胞療法の活性をモジュレートする方法であって、阻害剤の投与の開始時点で、対象が、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む細胞療法を以前に投与されたことがあり、かつ/またはそれによる処置を受けている、方法。
31. 組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、態様29または30記載の方法。
32. 標的抗原が、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される、態様31記載の方法。
33. 標的抗原がMuc1である、態様27、28、31または32記載の方法。
34. 標的抗原がBCMAである、態様31または32記載の方法。
35. BCMAが表面BCMAである、態様34記載の方法。
36. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断を阻害もしくは低減する、または阻害もしくは低減することが可能である、態様14~35のいずれか記載の方法。
37. ガンマセクレターゼ阻害剤の1つまたは複数の標的が、Muc1を含む、態様36記載の方法。
38. ガンマセクレターゼ阻害剤の1つまたは複数の標的が、BCMAを含む、態様36記載の方法。
39. ガンマセクレターゼ阻害剤が、標的を0.01nM~1μM、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~1μM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~1μM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~1μM、0.25nM~100nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.5nM~1μM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~1μM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~1μM、5nM~100nM、5nM~10nM、10nM~1μM、10nM~100nMまたは100nM~1μMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様36~38のいずれか記載の方法。
40. ガンマセクレターゼ阻害剤が、標的を1μM未満もしくは約1μM未満、100nM未満もしくは約100nM未満、10nM未満もしくは約10nM未満、5nM未満もしくは約5nM未満、1nM未満もしくは約1nM未満、0.5nM未満もしくは約0.5nM未満、0.35nM未満もしくは約0.35nM未満、0.25nM未満もしくは約0.25nM未満、0.1nM未満もしくは約0.1nM未満、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様36~39のいずれか記載の方法。
41. ガンマセクレターゼ阻害剤が、ペプチド阻害剤または非ペプチド阻害剤である、態様11~40のいずれか記載の方法。
42. ガンマセクレターゼ阻害剤がペプチド阻害剤であり、ペプチド阻害剤が、ペプチドアルデヒド誘導体、ジフルオロケトン誘導体、ヒドロキシエチレン型ジペプチドイソスター誘導体、アルファ-ヘリカルペプチド誘導体およびジペプチド類似体より選択される、態様41記載の方法。
43. ガンマセクレターゼ阻害剤が、非ペプチド阻害剤であり、非ペプチド阻害剤が、ベンゾジアゼピン誘導体またはスルホンアミド誘導体である、態様41記載の方法。
44. ガンマセクレターゼ阻害剤が、遷移状態阻害剤または非遷移状態阻害剤である、態様41~43のいずれか記載の方法。
45. ガンマセクレターゼ阻害剤が非ステロイド性抗炎症薬である、態様41~44のいずれか記載の方法。
46. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される、態様41~45のいずれか記載の方法。
47. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478または構造:
の化合物もしくは立体異性体またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物である、態様11~46のいずれか記載の方法。
48. 対象が、形質細胞、または表面BCMAを発現している癌細胞もしくは骨髄腫細胞もしくは形質細胞マーカーを発現している細胞を含む、態様1~47のいずれか記載の方法。
49. 対象が、癌を有し、対象における癌細胞が、(i)CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現する、もしくは形質細胞に由来し、(ii)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/もしくは閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含み;かつ/または
方法が、癌を有する対象を選択する工程をさらに含み、対象における癌細胞が、(i)CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現する、または形質細胞に由来し、(ii)表面B細胞成熟抗原(BCMA)の低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む、
態様21~48のいずれか記載の方法。
50. ガンマセクレターゼ阻害剤の標的が、標的抗原であり、ガンマセクレターゼ阻害剤が、標的抗原の切断を阻害する、態様4~8、27~29および31~49のいずれか記載の方法。
51. 阻害剤の投与が:
細胞、任意で形質細胞からのBCMAの切断または放出を、阻害剤の投与前の対象における細胞からのBCMAの切断または放出のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;
対象の血清中に検出されるBCMAのレベルまたは量を、阻害剤の投与前の対象の血清中のBCMAのレベルまたは量と比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;および/あるいは
細胞上、任意で形質細胞上の表面BCMAの発現を、阻害剤の投与前の対象における細胞上の表面BCMAのレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上増大させる、態様7~23および34~50のいずれか記載の方法。
52. 阻害剤の投与が、
細胞、任意で形質細胞からの標的または標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の切断または放出を、阻害剤の投与前の対象における細胞からの標的または標的抗原の切断または放出のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;
対象の血清中に検出される標的または標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1のレベルまたは量を、阻害剤の投与前の対象の血清中の標的または標的抗原のレベルまたは量と比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上低下させる;かつ/あるいは
細胞、任意で形質細胞上の表面標的または標的抗原、任意でBCMAまたはMuc1の発現を、阻害剤の投与前の対象における細胞上の表面標的または標的抗原のレベルと比較して、5%超もしくは約5%超、10%超もしくは約10%超、20%超もしくは約20%超、30%超もしくは約30%超、40%超もしくは約40%超、50%超もしくは約50%超、60%超もしくは約60%超、70%超もしくは約70%超、80%超もしくは約80%超、90%超もしくは約90%超、またはそれ以上増大させる、
態様1~51のいずれか記載の方法。
53. 疾患または障害が癌である、態様1~52のいずれか記載の方法。
54. 癌がB細胞悪性腫瘍である、態様53記載の方法。
55. 癌が、多発性骨髄腫、形質細胞腫、形質細胞起源の癌および/またはB細胞起源の癌である、態様53または54記載の方法。
56. 阻害剤が、経口、皮下または静脈内投与される、態様1~55のいずれか記載の方法。
57. 阻害剤が経口投与される、態様1~56のいずれか記載の方法。
58. 阻害剤が、1日に少なくとも6回もしくは6回、1日に少なくとも5回もしくは5回、1日に少なくとも4回もしくは4回、1日に少なくとも3回もしくは3回、1日に少なくとも2回もしくは2回、1日に少なくとも1回もしくは1回、2日に少なくとも1回もしくは1回、1週間に少なくとも3回もしくは3回、1週間に少なくとも1回、または少なくとも1回だけもしくは1回だけ投与される、態様1~57のいずれか1つに記載の方法。
59. 阻害剤が、1週間に3回投与される、態様1~58のいずれか記載の方法。
60. 阻害剤の投与が、少なくとも14日もしくは少なくとも約14日もしくは14日、少なくとも21日もしくは少なくとも約21日もしくは21日、または少なくとも28日もしくは少なくとも約28日もしくは28日である処置サイクルで実施される、態様58または59記載の方法。
61. 0.5mg~500mg、0.5mg~250mg、0.5mg~100mg、0.5mg~50mg、0.5mg~25mg、0.5mg~10mg、0.5mg~5.0mg、0.5mg~2.5mg、0.5mg~1.0mg、1.0mg~500mg、1.0mg~250mg、1.0mg~100mg、1.0mg~50mg、1.0mg~25mg、1.0mg~10mg、1.0mg~5.0mg、1.0mg~2.5mg、2.5mg~500mg、2.5mg~250mg、2.5mg~100mg、2.5mg~50mg、2.5mg~25mg、2.5mg~10mg、2.5mg~5.0mg、5.0mg~500mg、5.0mg~250mg、5.0mg~100mg、5.0mg~50mg、5.0mg~25mg、5.0mg~10mg、10mg~500mg、10mg~250mg、10mg~100mg、10mg~50mg、10mg~25mg、25mg~500mg、25mg~250mg、25mg~100mg、25mg~50mg、50mg~500mg、50mg~250mg、50mg~100mg、100mg~500mg、100mg~250mgまたは250mg~500mgの量で、阻害剤が投与される、または阻害剤の各投与が独立して投与される、態様1~60のいずれか記載の方法。
62. 少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mgもしくは0.5mgもしくは約0.5mg、少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mgもしくは1.0mgもしくは約1.0mg、少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mgもしくは2.5mgもしくは約2.5mg、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mg、少なくとも250mgもしくは少なくとも約250mgもしくは250mgもしくは約250mg、または少なくとも500mgもしくは少なくとも約500mgもしくは500mgもしくは約500mgである量で阻害剤が投与される、または阻害剤の各投与が独立して投与される、態様1~61のいずれか記載の方法。
63. 組換え受容体が、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)または機能性非T細胞受容体である、態様14~62のいずれか1つに記載の方法。
64. 組換え受容体が、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である、態様14~63のいずれか1つに記載の方法。
65. キメラ抗原受容体(CAR)が、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、態様1~13および64のいずれか記載の方法。
66. 細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、態様65記載の方法。
67. キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様65または66記載の方法。
68. 共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む、態様67記載の方法。
69. 共刺激シグナル伝達領域が、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである、態様67または68記載の方法。
70. 対象がヒトである、態様1~69のいずれか1つに記載の方法。
71. BCMAがヒトBCMAである、または標的抗原がヒト抗原である、態様1~70のいずれか記載の方法。
72. 遺伝子操作細胞が、T細胞またはNK細胞を含む、態様1~72のいずれか記載の方法。
73. 細胞療法がT細胞療法であり、遺伝子操作細胞の用量が、T細胞を含む、態様72記載の方法。
74. T細胞が、CD4+および/またはCD8+である、態様72または73記載の方法。
75. T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、態様72~74のいずれか記載の方法。
76. 細胞療法が、対象に対して自家である細胞を含む、態様1~75のいずれか記載の方法。
77. 細胞療法が、対象に対して同種である細胞を含む、態様1~76のいずれか記載の方法。
78. 細胞療法が、1×105~5×108個もしくは約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)の投与を含み、細胞療法が、1×105~1×108個もしくは約1×105~1×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107個もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×107個もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)(それぞれ両端の値を含む)の投与を含む、態様1~77のいずれか記載の方法。
79. 細胞療法が、5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、2.5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、0.5×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、0.5×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)の投与を含む、態様1~78のいずれか記載の方法。
80. 阻害剤の投与の開始が、細胞療法の投与の開始の前、それと同時、またはその後である、態様1、4、5、14、および38のいずれか1つに記載の方法。
81. 阻害剤が、細胞療法の投与の開始前に投与される、態様80記載の方法。
82. 阻害剤の投与の開始が、細胞療法の投与の開始前の1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、または1週間以内もしくは約1週間以内である、1、2、4、5、14、15、38、39および81記載の方法。
83. 阻害剤が、細胞療法の投与の開始後に投与される、態様80記載の方法。
84. 阻害剤の投与の開始が、細胞療法の投与の開始後の1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、1週間以内もしくは約1週間以内、14日以内もしくは約14日以内、21日以内もしくは約21日以内、28日以内もしくは約28日以内、またはそれ以上である、1、3、4、5、14、16、19、20、38、40および83記載の方法。
85. 対象由来の血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与を開始した後の先行する時点での対象における場合と比較して低下している時点;
血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与の投与開始の後で対象の血液中の検出可能な細胞療法の細胞のピーク数または最大数の1.5倍未満もしくは約1.5倍未満、2倍未満もしくは約2倍未満、3倍未満もしくは約3倍未満、4倍未満もしくは約4倍未満、5倍未満もしくは約5倍未満、10倍未満もしくは約10倍未満、50倍未満もしくは約50倍未満、100倍未満もしくは約100倍未満、またはそれ以下である時点;および/あるいは
細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能な細胞の数または該細胞に由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満または0.1%未満よりも少ない時点
に阻害剤が投与される、態様1、3、4、5、14、16、19、20、38、40、83および84のいずれか記載の方法。
86. 阻害剤が、細胞の投与の開始後最大7日、最大14日、最大21日、最大28日またはそれ以上まで投与される、態様1、3、4、5、14、16、19、20、38、40、83~854のいずれか記載の方法。
87. 方法が、細胞療法の投与前にリンパ球枯渇化学療法を投与する工程をさらに含み、かつ/または対象が、細胞の投与前にリンパ球枯渇化学療法を受けたことがある、態様1~86のいずれか記載の方法。
88. リンパ球枯渇化学療法が、対象にフルダラビンおよび/またはシクロホスファミドを投与することを含む、態様87記載の方法。
89. 方法が、ステロイドを投与する工程をさらに含み、任意でステロイドが、阻害剤の投与の開始の前、それと同時および/またはその後に投与され、任意でステロイドが、阻害剤による処置のサイクルの間に投与される、態様1~88のいずれか記載の方法。
90. ステロイドが、デキサメタゾンである、またはそれを含む、態様89記載の方法。
91. ガンマセクレターゼ阻害剤の非存在下で細胞療法が対象に投与される方法と比較して、細胞療法が、対象において増大したまたは長期にわたる拡大および/または持続性を示す、態様1~90のいずれか1つに記載の方法。
92. それにより、疾患または障害の1つまたは複数の症状または結末を防止、低減または回復させる、態様1~91のいずれか1つに記載の方法。
93. (a)疾患または障害を有する対象に、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするまたはそれに特異的である治療剤または治療法を投与する工程;および
(b)対象にガンマセクレターゼ阻害剤を投与する工程
を含む、処置方法。
94. 治療剤または治療法が、抗体またはその抗原結合フラグメント、任意で二重特異性抗体である、またはそれを含む、態様93記載の方法。
95. 治療剤または治療法が、T細胞抗原、任意でCD2またはCD3をさらに標的とするまたはそれに特異的に結合する二重特異性抗体である、態様93または94記載の方法。
96. 治療剤または治療法が、第2の抗原をさらに標的とする二重特異性抗体であり、任意で第2の抗原が、CD19、CD20、CD22、CD33、CD38、CS1、ROR1、GPC3、CD123、IL-13R、CD138、c-Met、EGFRvIII、GD-2、NY-ESO-1、MAGE A3、および糖脂質F77より選択される、態様93または94記載の方法。
97. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される、態様93~96のいずれか記載の方法。
98. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478または構造:
の化合物もしくは立体異性体またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物である、態様93~97のいずれか記載の方法。
99. (a)表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合する抗原結合ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現している遺伝子操作細胞と、
(b)ガンマセクレターゼ阻害剤と
を含む組み合わせであって、
表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへのCARの結合またはCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、
任意で対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断されるかまたは実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されない、
組み合わせ。
100. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMAの膜内切断を阻害もしくは低減する、または阻害もしくは低減することが可能である、態様99記載の組み合わせ。
101. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMAの膜内切断を0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.35nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.35nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.35nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.25nM~0.35nM、0.35nM~10nM、0.35nM~5nM、0.35nM~1nM、0.35nM~0.5nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~10nM、1nM~5nMまたは5nM~10nMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様100記載の組み合わせ。
102. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMAの膜内切断を10nM未満もしくは約10nM、5nM未満もしくは約5nM、1nM未満もしくは約1nM、0.5nM未満もしくは約0.5nM、0.35nM未満もしくは約0.35nM、0.25nM未満もしくは約0.25nM、0.1nM未満もしくは約0.1nM、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満、またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様100または101記載の組み合わせ。
103. (a)組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞であって、組換え受容体が、表面B細胞成熟抗原(BCMA)に特異的に結合しない、遺伝子操作細胞と、
(b)ガンマセクレターゼ阻害剤と
を含む組み合わせ。
104. 組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、態様103記載の方法。
105. 標的抗原が、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFRvIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択され、態様104記載の組み合わせ。
106. 標的抗原がMuc1である、態様104または105記載の組み合わせ。
107. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断を阻害もしくは低減する、または阻害もしくは低減することが可能である、態様99~106のいずれか記載の組み合わせ。
108. ガンマセクレターゼ阻害剤の1つまたは複数の標的が、Muc1を含む、態様107記載の組み合わせ。
109. ガンマセクレターゼ阻害剤の1つまたは複数の標的が、BCMAを含む、態様107記載の組み合わせ。
110. ガンマセクレターゼ阻害剤が、標的を0.01nM~1μM、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~1μM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~1μM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~1μM、0.25nM~100nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.5nM~1μM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~1μM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~1μM、5nM~100nM、5nM~10nM、10nM~1μM、10nM~100nMまたは100nM~1μMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様103~109のいずれか記載の組み合わせ。
111. ガンマセクレターゼ阻害剤が、標的を1μM未満もしくは約1μM未満、100nM未満もしくは約100nM未満、10nM未満もしくは約10nM未満、5nM未満もしくは約5nM未満、1nM未満もしくは約1nM未満、0.5nM未満もしくは約0.5nM未満、0.35nM未満もしくは約0.35nM未満、0.25nM未満もしくは約0.25nM未満、0.1nM未満もしくは約0.1nM未満、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満、またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様103~110のいずれか記載の組み合わせ。
112. ガンマセクレターゼ阻害剤が、ペプチド阻害剤または非ペプチド阻害剤である、態様99~111のいずれか記載の組み合わせ。
113. ガンマセクレターゼ阻害剤がペプチド阻害剤であり、ペプチド阻害剤が、ペプチドアルデヒド誘導体、ジフルオロケトン誘導体、ヒドロキシエチレン型ジペプチドイソスター誘導体、アルファ-ヘリカルペプチド誘導体およびジペプチド類似体より選択される、態様112記載の組み合わせ。
114. ガンマセクレターゼ阻害剤が非ペプチド阻害剤であり、非ペプチド阻害剤が、ベンゾジアゼピン誘導体またはスルホンアミド誘導体である、態様113記載の組み合わせ。
115. ガンマセクレターゼ阻害剤が、遷移状態阻害剤または非遷移状態阻害剤である、態様99~114のいずれか記載の組み合わせ。
116. ガンマセクレターゼ阻害剤が非ステロイド性抗炎症薬である、態様99~115のいずれか記載の組み合わせ。
117. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される、態様99~116のいずれか記載の組み合わせ。
118. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478または構造:
の化合物もしくは立体異性体またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物である、態様99~117のいずれか記載の組み合わせ。
119. (a)組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞と、
(b) LY3039478または構造:
の化合物もしくは立体異性体またはそのいずれかの薬学的に許容される塩もしくは水和物と
を含む組み合わせ。
120. 組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、態様119記載の組み合わせ。
121. 標的抗原が、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1-細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される、態様120記載の組み合わせ。
122. 標的抗原がMuc1である、態様120または121記載の組み合わせ。
123. 標的抗原がBCMAである、態様120または121記載の組み合わせ。
124. BCMAが表面BCMAである、態様123記載の組み合わせ。
125. 表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへの組換え受容体、任意でCARの結合または組換え受容体発現細胞、任意でCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、
任意で対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団における濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは参照抗BCMA組換え受容体、任意で参照抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断されるかまたは実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、
低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されない、
態様124記載の組み合わせ。
126. 組換え受容体が、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)または機能性非T細胞受容体である、態様103~125のいずれか記載の組み合わせ。
127. 組換え受容体が、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である、態様103~126のいずれか記載の組み合わせ。
128. キメラ抗原受容体(CAR)が、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、態様99~102および127のいずれか記載の組み合わせ。
129. 細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、態様128記載の組み合わせ。
130. キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様128または129記載の組み合わせ。
131. 共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む、態様130記載の組み合わせ。
132. 共刺激シグナル伝達領域が、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである、態様130または131記載の組み合わせ。
133. BCMAがヒトBCMAである、または標的抗原がヒト抗原である、態様99~132のいずれか記載の組み合わせ。
134. 遺伝子操作細胞が、T細胞またはNK細胞を含む、態様99~134のいずれか記載の組み合わせ。
135. 遺伝子操作細胞が、T細胞を含む、態様134記載の組み合わせ。
136. T細胞が、CD4+および/またはCD8+である、態様134または135記載の組み合わせ。
137. T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、態様134~136のいずれか記載の組み合わせ。
138. 遺伝子操作細胞が、対象への投与のための薬学的組成物として製剤化され、任意で細胞が、疾患または状態を処置するための1つまたは複数の単位用量の状態で投与のために製剤化される、態様99~137のいずれか記載の組み合わせ。
139. ガンマセクレターゼ阻害剤が、対象への投与のための薬学的組成物として製剤化され、任意でガンマセクレターゼ阻害剤が、1つまたは複数の単位用量の状態で投与のために製剤化される、態様99~138のいずれか記載の組み合わせ。
140. 態様99~139のいずれか記載の組み合わせと、疾患または障害を有する対象に遺伝子操作細胞および/またはガンマセクレターゼ阻害剤を投与するための説明書とを含むキット。
141. キットが、細胞表面のB細胞成熟抗原(BCMA)の発現を検出するための試薬と、対象における癌細胞の表面のBCMAを検出するための試薬の使用の結果に基づき対象に阻害剤を投与するための説明書とをさらに含み、任意で癌細胞が、CD138、表面CD38もしくは表面形質細胞マーカーを発現する、または形質細胞に由来する、態様140記載のキット。
142. 細胞が、表面BCMAの低発現および/または閾値レベルを下回る表面BCMAの発現レベルを含む場合に、対象に阻害剤を投与することを、説明書が規定する、態様141記載のキット。
143. 表面BCMAの発現の閾値レベルが、複数の対照対象における形質細胞上の表面BCMAの発現またはレベルの平均または中央値よりも低く、任意で対照対象が、健康または正常な対象の群である、態様142記載のキット。
144. 対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満が表面BCMAを発現する場合に、表面BCMAの低発現が存在する;あるいは
表面BCMAの閾値レベルが、表面BCMAを発現する対象における形質細胞、または形質細胞マーカーもしくは表現型を有する細胞または癌細胞の60%未満もしくは約60%未満、50%未満もしくは約50%未満、40%未満もしくは約40%未満、30%未満もしくは約30%未満、20%未満もしくは約20%未満または10%未満もしくは約10%未満である、
態様142または143記載のキット。
145. キットが、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞をさらに含み、任意で遺伝子操作細胞が、疾患または状態を有する対象への1つまたは複数の単位用量の投与のために製剤化される、態様141~144のいずれか記載のキット。
146. 組換え受容体が、疾患または状態に関連する標的抗原に特異的に結合する、態様145記載のキット。
147. 説明書が、対象への遺伝子操作細胞の用量の投与の開始の前、それと同時、またはその後に、疾患または障害を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤、またはその1つもしくは複数の単位用量を投与することを規定する、態様140、145および146のいずれか記載のキット。
148. 説明書が、対象への遺伝子操作細胞の用量の投与の開始前に、疾患または障害を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤、またはその1つもしくは複数の単位用量を投与することを規定する、態様147記載のキット。
149. 説明書が、細胞療法の投与の開始前の1時間以内もしくは約1時間以内に、2時間以内もしくは約2時間以内に、6時間以内もしくは約6時間以内に、12時間以内もしくは約12時間以内に、24時間以内もしくは約24時間以内に、48時間以内もしくは約48時間以内に、72時間以内もしくは約72時間以内に、96時間以内もしくは約96時間以内に、または1週間以内もしくは約1週間以内に阻害剤を投与することを規定する、態様148記載のキット。
150. 説明書が、対象への遺伝子操作細胞の用量の投与の開始後に、疾患または障害を有する対象にガンマセクレターゼ阻害剤、またはその1つもしくは複数の単位用量を投与することを規定する、態様147記載のキット。
151. (a)任意で1つまたは複数の単位用量の状態で製剤化されたガンマセクレターゼ阻害剤と、
(b)対象への細胞療法の投与の開始後に対象ガンマセクレターゼ阻害剤を投与するための説明書であって、細胞療法が、組換え受容体を発現している遺伝子操作細胞の用量を含む、説明書と
を含むキット。
152. 阻害剤の投与の開始が、遺伝子操作細胞の用量の投与の開始後の1時間以内もしくは約1時間以内、2時間以内もしくは約2時間以内、6時間以内もしくは約6時間以内、12時間以内もしくは約12時間以内、24時間以内もしくは約24時間以内、48時間以内もしくは約48時間以内、72時間以内もしくは約72時間以内、96時間以内もしくは約96時間以内、1週間以内もしくは約1週間以内、14日以内もしくは約14日以内、21日以内もしくは約21日以内、28日以内もしくは約28日以内、またはそれ以上である、態様150または151記載のキット。
153. 阻害剤が
対象由来の血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与を開始した後の先行する時点での対象と比較して低下している時点;
血液中の検出可能な細胞療法の細胞数が、細胞の投与の投与開始の後で対象の血液中の検出可能な細胞療法の細胞のピーク数または最大数の1.5倍未満もしくは約1.5倍未満、2倍未満もしくは約2倍未満、3倍未満もしくは約3倍未満、4倍未満もしくは約4倍未満、5倍未満もしくは約5倍未満、10倍未満もしくは約10倍未満、50倍未満もしくは約50倍未満、100倍未満もしくは約100倍未満、またはそれ以下である時点;および/あるいは
細胞療法の細胞のピークレベルまたは最大レベルが対象の血液中で検出可能となった後の時点で、対象由来の血液中の検出可能な細胞の数または該細胞に由来する細胞の数が、対象の血液中の総末梢血単核細胞(PBMC)の10%未満、5%未満、1%未満または0.1%未満よりも少ない時点
での投与のためであることを、説明書が規定する、態様150~152のいずれか記載のキット。
154. 阻害剤が細胞の投与の開始後最大7日、最大14日、最大21日、最大28日またはそれ以上の投与のためであることを、説明書が規定する、態様150~153のいずれか記載のキット。
155. 組換え受容体が、疾患または障害に関連する標的抗原に特異的に結合する、態様150~154のいずれか記載のキット。
156. 標的抗原が、B細胞成熟抗原(BCMA)、炭酸脱水酵素9(CAIX)、Her2/neu(受容体型チロシンキナーゼerbB2)、L1-CAM、CD19、CD20、CD22、メソテリン、CEA、B型肝炎ウイルス表面抗原、抗葉酸受容体、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44、EGFR、上皮糖タンパク質2(EPG-2)、上皮糖タンパク質40(EPG-40)、EPHa2、erb-B2、erb-B3、erb-B4、erbB二量体、EGFR vIII、葉酸結合タンパク質(FBP)、FCRL5、FCRH5、胎児アセチルコリン受容体、GD2、GD3、HMW-MAA、IL-22R-アルファ、IL-13R-アルファ2、キナーゼインサートドメイン受容体(kdr)、カッパ軽鎖、ルイスY、L1細胞接着分子、(L1-CAM)、メラノーマ関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、メラノーマの優先的発現抗原(PRAME)、サバイビン、TAG72、B7-H6、IL-13受容体アルファ2(IL-13Ra2)、CA9、GD3、HMW-MAA、CD171、G250/CAIX、HLA-AI MAGE Al、HLA-A2 NY-ESO-1、PSCA、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、avb6インテグリン、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、二重抗原、癌精巣抗原、メソテリン、マウスCMV、ムチン1(MUC1)、MUC16、PSCA、NKG2D、NY-ESO-1、MART-1、gp100、腫瘍胎児性抗原、ROR1、TAG72、VEGF-R2、癌胎児性抗原(CEA)、Her2/neu、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、エフリンB2、CD123、c-Met、GD-2、O-アセチル化GD2(OGD2)、CE7、ウィルムス腫瘍1(WT-1)、サイクリン、サイクリンA2、CCL-1、CD138、病原体特異的抗原およびユニバーサルタグに関連する抗原より選択される、態様146または155記載のキット。
157. 標的抗原がMuc1、任意でヒトMuc1である、態様156記載のキット。
158. 標的抗原がBCMA、任意でヒトBCMAである、態様156記載のキット。
159. 表面BCMAを発現している細胞に曝露後の表面BCMAへの組換え受容体、任意でCARの結合または組換え受容体発現細胞、任意でCAR発現細胞の機能もしくは活性を示す尺度が、BCMAの可溶型または放出型の存在下で、
任意で対象もしくは多発性骨髄腫患者の血清もしくは血液もしくは血漿中に存在するまたは平均して疾患もしくは障害についての患者集団に存在する濃度または量に対応するBCMAの可溶型または放出型の濃度または量で、あるいは参照抗BCMA組換え受容体、任意で抗BCMA CARを発現している細胞について同じアッセイで結合または尺度が低減もしくは遮断されるかまたは実質的に低減もしくは遮断される可溶BCMAまたは放出BCMAの濃度または量で、
低減もしくは遮断されず、または実質的に低減もしくは遮断されない、態様158記載のキット。
160. 組換え受容体が、トランスジェニックT細胞受容体(TCR)または機能性非T細胞受容体である、態様146~159のいずれか記載のキット。
161. 組換え受容体が、任意でキメラ抗原受容体(CAR)であるキメラ受容体である、態様146~160のいずれか記載のキット。
162. キメラ抗原受容体(CAR)が、抗原に特異的に結合する細胞外抗原認識ドメインと、ITAMを含む細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、態様161記載のキット。
163. 細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3-ゼータ(CD3ζ)鎖の細胞内ドメインを含む、態様162記載のキット。
164. キメラ抗原受容体(CAR)が、共刺激シグナル伝達領域をさらに含む、態様161~163のいずれか記載のキット。
165. 共刺激シグナル伝達領域が、CD28または4-1BB、任意でヒトCD28またはヒト4-1BBに由来するシグナル伝達ドメインを含む、態様164記載のキット。
166. 共刺激シグナル伝達領域が、4-1BB、任意でヒト4-1BBに由来するドメインである、態様164または165記載のキット。
167. 遺伝子操作細胞が、T細胞またはNK細胞を含む、態様146~166のいずれか記載のキット。
168. 遺伝子操作細胞が、T細胞を含む、態様167記載のキット。
169. T細胞が、CD4+および/またはCD8+である、態様167または168記載のキット。
170. T細胞が、対象から得られた初代T細胞である、態様167~169のいずれか記載のキット。
171. ガンマセクレターゼ阻害剤が、BCMA、Notch 1、Notch 2、Notch 3、Notch 4、Muc1、エフリンB2、ベータグリカン(TGFBR3)、CD43、CD44、CSF1R、CXCR1、CXCL16、Delta1、E-カドヘリン、N-カドヘリン、HLA-A2、IFNaR2、IL1R1、IL1R2、IL6Rまたはアミロイド前駆体タンパク質(APP)より選択される1つまたは複数の標的の切断を阻害する、態様141~170のいずれか記載のキット。
172. ガンマセクレターゼ阻害剤の1つまたは複数の標的が、Muc1を含む、態様171記載のキット。
173. ガンマセクレターゼ阻害剤の1つまたは複数の標的が、BCMAを含む、態様171記載のキット。
174. ガンマセクレターゼ阻害剤が、標的を0.01nM~1μM、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01nM~0.5nM、0.01nM~0.25nM、0.01nM~0.1nM、0.01nM~0.05nM、0.05nM~1μM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05nM~0.5nM、0.05nM~0.25nM、0.05nM~0.1nM、0.1nM~1μM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1nM~0.5nM、0.1nM~0.25nM、0.25nM~1μM、0.25nM~100nM、0.25nM~10nM、0.25nM~5nM、0.25nM~1nM、0.25nM~0.5nM、0.5nM~1μM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~1μM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~1μM、5nM~100nM、5nM~10nM、10nM~1μM、10nM~100nMまたは100nM~1μMの半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様141~173のいずれか記載のキット。
175. ガンマセクレターゼ阻害剤が、標的を1μM未満もしくは約1μM未満、100nM未満もしくは約100nM未満、10nM未満もしくは約10nM未満、5nM未満もしくは約5nM未満、1nM未満もしくは約1nM未満、0.5nM未満もしくは約0.5nM未満、0.35nM未満もしくは約0.35nM未満、0.25nM未満もしくは約0.25nM未満、0.1nM未満もしくは約0.1nM未満、0.05nM未満もしくは約0.05nM未満、0.01nM未満もしくは約0.01nM未満、またはそれ以下の半数阻害濃度(IC50)で阻害する、態様141~174のいずれか記載のキット。
176. ガンマセクレターゼ阻害剤が、ペプチド阻害剤または非ペプチド阻害剤である、態様141~175のいずれか記載のキット。
177. ガンマセクレターゼ阻害剤がペプチド阻害剤であり、ペプチド阻害剤が、ペプチドアルデヒド誘導体、ジフルオロケトン誘導体、ヒドロキシエチレン型ジペプチドイソスター誘導体、アルファ-ヘリカルペプチド誘導体およびジペプチド類似体より選択される、態様176記載のキット。
178. ガンマセクレターゼ阻害剤が非ペプチド阻害剤であり、非ペプチド阻害剤が、ベンゾジアゼピン誘導体またはスルホンアミド誘導体である、態様177記載のキット。
179. ガンマセクレターゼ阻害剤が、遷移状態阻害剤または非遷移状態阻害剤である、態様141~178のいずれか記載のキット。
180. ガンマセクレターゼ阻害剤が非ステロイド性抗炎症薬である、態様141~179のいずれか記載のキット。
181. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478、セクレターゼ阻害剤I(GSI I)Z-Leu-Leu-ノルロイシン;γ-セクレターゼ阻害剤II(GSI II);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI III)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-ロイシナール、N-(2-ナフトイル)-Val-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IV);γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI V)、N-ベンジルオキシカルボニル-Leu-フェニルアラニナール;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VI)、l-(S)-エンド-N-(1,3,3)-トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イル)-4-フルオロフェニルスルホンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI VII)、メンチルオキシカルボニル-LL-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤III(GSI IX)、(DAPT)、N-[N-(3,5-ジフルオロフェナセチル-L-アラニル)]-S-フェニルグリシンt-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤X(GSI X)、{1S-ベンジル-4R-[1-(1S-カルバモイル-2-フェネチルカルバモイル)-lS-3-メチルブチルカルバモイル]-2R-ヒドロキシ-5-フェニルペンチル}カルバミン酸tert-ブチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XI(GSI XI)、7-アミノ-4-クロロ-3-メトキシイソクマリン;γ-セクレターゼ阻害剤XII(GSI XII)、Z-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIII(GSI XIII)、Z-Tyr-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XIV(GSI XIV)、Z-Cys(t-Bu)-Ile-Leu-CHO;γ-セクレターゼ阻害剤XVI(GSI XVI)、N-[N-3,5-ジフルオロフェナセチル]-L-アラニル-S-フェニルグリシンメチルエステル;γ-セクレターゼ阻害剤XVII(GSI XVII);γ-セクレターゼ阻害剤XIX(GSI XIX)、ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-ブチルアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XX(GSI XX)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)アセチルアミノ]-N-(5-メチル-6-オキソ-6,7-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,d]アゼピン-7-イル)プロピオンアミド;γ-セクレターゼ阻害剤XXI(GSI XXI)、(S,S)-2-[2-(3,5-ジフルオロフェニル)-アセチルアミノ]-N-(l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2-,3-ジヒドロ-lH-ベンゾ[e][l,4]ジアゼピン-3-イル)-プロピオンアミド;ガンマ40セクレターゼ阻害剤I、N-trans-3,5-ジメトキシシンナモイル-Ile-ロイシナール;ガンマ40セクレターゼ阻害剤II、N-tert-ブチルオキシカルボニル-Gly-Val-バリナール イソバレリル-V V-Sta-A-Sta-OCH3;MK-0752;MRK-003(Merck);セマガセスタット/LY450139;RO4929097;PF-03084,014;BMS-708163;MPC-7869(γ-セクレターゼ修飾剤)、YO-01027(ジベンズアゼピン)、コンパウンドE([(2S)-2-{[(3,5-ジフルオロフェニル)アセチル]アミノ}-N-[(3S)-l-メチル-2-オキソ-5-フェニル-2,3-ジヒドロ-lH-l,4-ベンゾジアゼピン-3-イル]プロパンアミド]、LY411575、L-685,458、BMS-289948(4-クロロ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-N-((lR)-{4-フルオロ-2-[3-(lH-イミダゾール-l-イル)プロピル]フェニル}エチル)ベンゼンスルホンアミド塩酸塩)およびBMS-299897(4-[2-((lR)-l-{[(4-クロロフェニル)スルホニル]-2,5-ジフルオロアニリノ}エチル)-5-フルオロフェニル]ブタン酸)より選択される、態様141~180のいずれか記載のキット。
182. ガンマセクレターゼ阻害剤が、LY3039478または構造:
の化合物または立体異性体またはそのいずれかの薬学的に許容される塩または水和物である、態様141~181のいずれか記載のキット。
183. 説明書が、疾患または障害を有する対象に遺伝子操作細胞の用量を投与することを規定する、態様99~182のいずれか記載のキット。
184. 疾患または障害が癌である、態様183記載のキット。
185. 癌がB細胞悪性腫瘍である、態様184記載のキット。
186. 癌が多発性骨髄腫である、態様184または185記載のキット。
187. 用量が、1×105~5×108または約1×105~5×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)を含み、細胞療法が、1×105~1×108もしくは約1×105~1×108個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、5×105~1×107もしくは約5×105~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)、または1×106~1×107もしくは約1×106~1×107個の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、もしくは総末梢血単核細胞(PBMC)(それぞれ両端の値を含む)の投与を含み、任意で説明書が、細胞の用量を含むこのような1つまたは複数の単位用量に対応する細胞の用量および/または体積を含む1つまたは複数の単位用量の投与を規定する、態様183~186のいずれか記載のキット。
188. 用量が、5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、2.5×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×108個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、0.5×107個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、1×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)、0.5×106個以下の総組換え受容体発現細胞、総T細胞、または総末梢血単核細胞(PBMC)を含み、任意で説明書が、細胞の用量を含むこのような1つまたは複数の単位用量に対応する細胞の用量および/または体積を含む1つまたは複数の単位用量の投与を規定する、態様183~186のいずれか記載のキット。
189. 説明書が、阻害剤を経口、皮下または静脈内投与することを規定する、態様99~188のいずれか記載のキット。
190. 説明書が、阻害剤を経口投与することを規定する、態様189記載のキット。
191. 阻害剤が1日に少なくとも6回、1日に少なくとも5回、1日に少なくとも4回、1日に少なくとも3回、1日に少なくとも2回、1日に少なくとも1回、2日に少なくとも1回、1週間に少なくとも3回、1週間に少なくとも1回、または1回だけ阻害剤が投与されることになることを、説明書が規定する、態様99~190のいずれか記載のキット。
192. 阻害剤が1週間に3回投与されることを、説明書が規定する、態様99~191のいずれか記載のキット。
193. 阻害剤の投与が少なくとも14日もしくは少なくとも約14日もしくは14日、少なくとも21日もしくは少なくとも約21日もしくは21日または少なくとも28日もしくは少なくとも約28日もしくは28日である処置サイクルで実施されることになることを、説明書が規定する、態様191または192記載のキット。
194. 0.5mg~500mg、0.5mg~250mg、0.5mg~100mg、0.5mg~50mg、0.5mg~25mg、0.5mg~10mg、0.5mg~5.0mg、0.5mg~2.5mg、0.5mg~1.0mg、1.0mg~500mg、1.0mg~250mg、1.0mg~100mg、1.0mg~50mg、1.0mg~25mg、1.0mg~10mg、1.0mg~5.0mg、1.0mg~2.5mg、2.5mg~500mg、2.5mg~250mg、2.5mg~100mg、2.5mg~50mg、2.5mg~25mg、2.5mg~10mg、2.5mg~5.0mg、5.0mg~500mg、5.0mg~250mg、5.0mg~100mg、5.0mg~50mg、5.0mg~25mg、5.0mg~10mg、10mg~500mg、10mg~250mg、10mg~100mg、10mg~50mg、10mg~25mg、25mg~500mg、25mg~250mg、25mg~100mg、25mg~50mg、50mg~500mg、50mg~250mg、50mg~100mg、100mg~500mg、100mg~250mgまたは250mg~500mgの量で、阻害剤が投与される、または阻害剤の各投与が独立されて投与されることを、説明書が規定する、態様99~193のいずれか記載のキット。
195. 説明書が、少なくとも0.5mgもしくは少なくとも約0.5mgもしくは0.5mgもしくは約0.5mg、少なくとも1.0mgもしくは少なくとも約1.0mg、もしくは1.0mgもしくは約1.0mg、少なくとも2.5mgもしくは少なくとも約2.5mgもしくは2.5mgもしくは約2.5mg、少なくとも5.0mgもしくは少なくとも約5.0mgもしくは5.0mgもしくは約5.0mg、少なくとも10.0mgもしくは少なくとも約10.0mgもしくは10.0mgもしくは約10.0mg、少なくとも25mgもしくは少なくとも約25mgもしくは25mgもしくは約25mg、少なくとも50mgもしくは少なくとも約50mgもしくは50mgもしくは約50mg、少なくとも100mgもしくは少なくとも約100mgもしくは100mgもしくは約100mg、少なくとも250mgもしくは少なくとも約250mgもしくは250mgもしくは約250mg、または少なくとも500mgもしくは少なくとも約500mgもしくは500mgもしくは約500mgである量で、阻害剤が投与される、または阻害剤の各投与が独立して投与されることを規定する、態様99~194のいずれか記載のキット。
196. 態様99~195のいずれか記載の組み合わせまたはキットを含む製造品。
【実施例0601】
VII. 実施例
以下の実施例は、例示のみを目的として含まれるものであり、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0602】
実施例1:ガンマセクレターゼ阻害剤の存在下における多発性骨髄腫(MM)細胞株上のBCMAの表面発現の評価
多発性骨髄腫(MM)細胞株上のB細胞成熟抗原(BCMA)の表面レベルに対する例示的なガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)、LY3039478の効果を評価した。阻害剤について推定されるCmax/Cmin内の濃度を含む異なる濃度のLY3039478を、RPMI 8226細胞(BCMAlowヒト多発性骨髄腫細胞株)、MM1.S細胞(BCMAmedヒト多発性骨髄腫細胞株)およびOPM2細胞(BCMAmedヒト多発性骨髄腫細胞株)と共に37℃で24時間インキュベートした。細胞株を、阻害剤(ビヒクル対照)の非存在下においてもインキュベートした。各細胞株上のBCMAの表面発現を、抗BCMA抗体を使用するフローサイトメトリーにより評価した。図1に示されるように、LY3039478は、評価された細胞株の表面からのBCMA切断の強力な阻害を0.01nM~0.35nMのIC50で達成した。
【0603】
実施例2:ガンマセクレターゼ阻害剤の存在下における抗BCMA CAR-T細胞機能の評価
BCMA発現標的細胞に対する抗BCMA CAR-T細胞のある特定の機能的活性を、例示的なGSI LY3039478の存在下または非存在下で評価した。
【0604】
この試験では、抗BCMA CAR発現T細胞を作製するために、2人の健康なドナー対象および1人の骨髄腫患者からの白血球アフェレーシス試料から免疫親和性に基づく濃縮によりCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を単離した。単離されたT細胞を活性化し、それに抗BCMA CARをコードするベクターを形質導入した。CARは、それぞれSEQ ID NO:24および25に示されるアミノ酸配列を有するVHドメインおよびVLドメイン、SEQ ID NO:31に示されるアミノ酸配列を有するスペーサー、CD28膜貫通領域、4-1BB共刺激シグナル伝達領域、ならびにCD3-ゼータに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを有するBCMAに特異的なscFv抗原結合ドメインを含有した。CARをコードする核酸構築物はまた、自己切断T2A配列によってCAR配列から隔てられた、形質導入マーカーとして使用するための短縮型受容体配列を含んでいた。
【0605】
1. 細胞溶解活性
本実施例上記のように作製された抗BCMA CAR-T細胞を、OPM2またはRPMI-8226標的細胞のいずれかと共に0.3:1のエフェクター対標的(E:T)比で37℃にて培養した。標的細胞をNucLight Red(NLR)で標識して、顕微鏡法による標的細胞の追跡を可能にした。LY3039478の非存在下または濃度0.1nM、1nM、10nM、100nM、1000nM、10000nMもしくは100000nMのLY3039478の存在下で培養物をインキュベートした(推定されるヒト薬物動態範囲を包含する範囲を図3A~3Dのボックスで示す)。対照として、標的細胞をLY3039478と共にインキュベートしたが、CAR-T細胞と一緒には培養しなかった。赤色蛍光シグナル(IncuCyte(登録商標)Live Cell Analysis System, Essen Bioscience使用)により決定される生存標的細胞の低下を約150時間後に測定することによって細胞溶解活性を評価した。培養時間(約150時間)の間に観察された死滅についての曲線下面積を決定した。阻害剤なしでインキュベートされた培養物に対する死滅についてAUCを正規化することにより溶解パーセント(死滅%)を決定した。
【0606】
骨髄腫患者に由来するドナーからのCAR-T細胞の評価を図2A(OPM2)および2B(RPMI-8226)に示す。示されるように、試験された阻害剤濃度にわたる効果の強度は細胞株に依存したものの、LY3039478は、両方の細胞株において試験したすべての濃度で抗BCMA CAR T細胞の細胞溶解活性を増大させた。このアッセイにおいてCAR T細胞の機能に対する有害作用は100μM LY3039478で観察されず、この濃度は、患者において観察される計算されたCmaxの300倍である。CAR-T細胞なしでLY3039478単独の存在下における標的の生存率に差は観察されなかった。1:1のE:Tで類似の結果が観察された。LY3039478と共にインキュベートされた、他のドナーに由来するCAR-T細胞もまた、いくらかのドナー間変動性が観察されたものの、CAR-T機能における増大を示した。これらの結果は、ガンマセクレターゼ阻害剤の存在下での処置が、表面BCMAの発現および抗BCMA CAR T細胞の細胞溶解機能を増大できることを示す。
【0607】
OPM2標的細胞に対する抗BCMA CAR-T細胞の細胞溶解機能に及ぼす、阻害剤について推定されるCmax/Cmin内の濃度を含む異なる濃度のLY3039478の効果をさらに評価するために、類似の試験を実施した。1人の例示的なドナーからの図2Cの結果により、LY3039478が0.1~0.25nMのIC50でBCMA発現標的細胞の抗BCMA CAR-T死滅を増大させることが可能であることが示された。
【0608】
2. サイトカイン産生
LY3039478の存在下または非存在下における抗BCMA CAR-T細胞によるサイトカイン産生を、CAR-T細胞とBCMA発現標的細胞との共培養の上清中のサイトカインレベルをモニタリングすることによって評価した。本実施例において上記のように作製したCAR-T細胞を、OPM2またはRPMI-8226標的細胞のいずれかと共に、LY3039478の非存在下または濃度0.1nM、1nM、10nM、100nM、1000nM、10000nMもしくは100000nMのLY3039478の存在下で培養した(推定されるヒト薬物動態範囲を包含する範囲を図3A~3Dのボックスにより示す)。24時間後に培養上清を回収し、IFNγおよびIL-2を培養上清から測定した。
【0609】
LY3039478の存在は、LY3039478の非存在下でインキュベートされた共培養物と比較して、BCMA発現標的細胞と共に共培養された抗BCMA CAR T細胞の上清中のIFN-ガンマ(図3Aおよび図3B)およびIL-2(図3Cおよび3D)の産生を増大させた。効果の大きさは、細胞株の間および場合により阻害剤の濃度の間で異なった。細胞溶解機能に対する効果に類似して、結果は、ガンマセクレターゼ阻害剤との組み合わせが、抗BCMA CAR-T細胞にとってのBCMA抗原の利用性を増大させ、サイトカイン産生を含めたCAR-T細胞の効果の増大につながることを示した。
【0610】
本実施例2において上記のように作製された抗BCMA CAR-T細胞がOPM2標的細胞との共培養後にサイトカインを産生する能力に対する、阻害剤について推定されるCmax/Cmin内の濃度を含む異なる濃度のLY3039478の効果をさらに評価するために類似の試験を実施した。1人の例示的なドナーからの図3Eにおける結果は、LY3039478が、BCMA発現標的細胞と共に培養された抗BCMA CAR-T細胞によるサイトカイン産生を(0.1~0.25nMのIC50で)増大させることが可能であるという解釈と矛盾しなかった。
【0611】
実施例3:連続再刺激後のCAR-T細胞の拡大およびサイトカイン産生に対するガンマセクレターゼ阻害剤の効果
CAR T細胞が繰り返しラウンドの抗原刺激後にエクスビボで拡大する能力は、インビボ機能および/または細胞が(例えば、投与および抗原との遭遇に応答した最初の活性化後に)インビボで存続する能力と相関することができる(Zhao et al. (2015) Cancer Cell, 28:415-28)。連続再刺激後のCAR-T細胞の活性に対する例示的なガンマセクレターゼ阻害剤の効果を評価するために、上記実施例2のように抗BCMA CAR+ T細胞を作製し、0.001μM(IC50周辺の濃度)もしくはより高い濃度の1.0μM(Cmaxの約3倍)のいずれかの2つの異なる濃度のLY303947の存在下で、またはビヒクルのみの対照と共に、放射線照射BCMA発現標的細胞(MM1S細胞)を1:2のエフェクター対標的(E:T)比で添加した。健康なドナーまたは多発性骨髄腫を有するドナーに由来するT細胞から作製された抗BCMA CAR+ T細胞の組成物に対してアッセイを行った。3~4日毎にCAR発現T細胞を回収し、計数し、新たな放射線標的細胞を、同じE:T比で含有する新鮮培地を用いて、同じ濃度のLY3039478の存在下または非存在下において、最初の播種密度で再播種した。10~14日の培養時間の間に合計で3~5ラウンドの刺激を実施した。刺激の各ラウンドで細胞数(図4Aおよび4B)または回収された上清中のサイトカイン産生(図5Aおよび図5B)をモニタリングすることによって、T細胞機能に対する阻害剤の効果を評価した。
【0612】
健康なドナー由来細胞(図4A)または患者由来細胞(図4B)に由来する抗BCMA CAR+ T細胞について、再播種前に各ラウンドでCAR-T細胞数を決定した。両方のドナーに由来する抗BCMA CAR+ T細胞について、CAR-T細胞を両方の濃度のLY3039478(0.001μMおよび1.0μM)の存在下でインキュベートしたときに抗BCMA CAR T細胞の増大した拡大が10~14日にわたり観察された。結果は、LY3039478が、T細胞の分化に関与するNotchシグナル伝達経路の公知の阻害剤であるとはいえ、CAR-T細胞の機能にいかなる有害効果も示さなかったことを示した。結果は、例示的なガンマセクレターゼ阻害剤LY3039478がコグネイト抗原との繰り返し遭遇後にCAR+ T細胞の持続的な拡大および/または生存を促進できるという結論と矛盾しなかった。
【0613】
4日目の再播種の最初のラウンドの後に、LY3039478の存在下または非存在下における抗原発現細胞による再刺激の際の抗BCMA CAR-T細胞によるサイトカイン産生を評価した。再播種の24時間後に培養上清を回収し、上清からIFN-ガンマ、IL-2およびTNF-アルファを測定した。健康なドナー細胞(図5A)または患者ドナー細胞(図5B)に由来する抗BCMA CAR+ T細胞において両方の濃度のLY3039478(0.001μMおよび1.0μM)についてIFN-ガンマ、IL-2およびTNF-アルファの増大したレベルが観察された。
【0614】
実施例4:抗BCMA CAR活性のブロッキング活性に対する作用物質の評価
それぞれヒト抗BCMA scFv抗原結合ドメインを含有する例示的なキメラ抗原受容体(CAR)をコードするポリヌクレオチドを作製した。CARの中には、それぞれSEQ ID NO:22および23に示されるVHおよびVL(本実施例において抗BCMA.3 CARと呼ばれる)、それぞれSEQ ID NO:24および25に示されるVHおよびVL(本実施例において抗BCMA.4 CARと呼ばれる)、ならびにそれぞれSEQ ID NO:18および19に示されるVHおよびVL(本実施例において抗BCMA.1 CARと呼ばれる)を含有する抗BCMA scFvを含有するものが含まれた。コードされるCARはまた、SEQ ID NO:31に示される例示的なスペーサー、ヒトCD28膜貫通ドメイン、ヒト4-1BBに由来する細胞内共シグナル伝達配列、およびCD3-ゼータに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含有するように作製した。
【0615】
このようなCARをコードするcDNAクローンを、下流のリボソームスキップエレメント(T2Aなど)に続く短縮型受容体コード配列と連結し、レンチウイルス発現ベクター内にクローニングした。
【0616】
抗BCMA CAR発現T細胞を作製するために、ヒトドナー対象からの白血球アフェレーシス試料からの免疫親和性に基づく濃縮によりT細胞を単離した。単離されたT細胞を活性化し、それに抗BCMA CARをコードするそれぞれのポリヌクレオチドを含有するレンチウイルスベクターを形質導入し、T細胞を拡大した;CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を染色し、フローサイトメトリーにより分析して、抗BCMA CARの形質導入および発現を確認した。BCMA発現標的細胞および可溶BCMAと共にインキュベーション後、抗BCMA CAR発現細胞の様々な機能を評価した。
【0617】
細胞溶解活性を評価するために、抗BCMA CAR発現T細胞を、5:1のE:T比のOPM2標的細胞と共に0、0.3、3、30または300ng/mLの可溶BCMA-Fcの存在下でインキュベートした。標的細胞をNucLight Red(NLR)で標識して、顕微鏡法による標的細胞の追跡を可能にした。赤色蛍光シグナル(IncuCyte(登録商標)Live Cell Analysis System, Essen Bioscience使用)により決定される、24時間と72時間との間の期間に生存標的細胞の低下を測定することにより細胞溶解活性を評価した。溶解パーセント(%溶解)を、モックT細胞と共にインキュベートされた標的細胞において起こった溶解に対して正規化した。抗BCMA.1含有CARまたは抗BCMA.3 CARを発現しているT細胞の細胞溶解活性は、3ng/mL以上のBCMA-Fcの存在下で実質的に低減したが、抗BCMA.4 CARを発現している細胞の細胞溶解活性は、最大300ng/mLのBCMA-Fcの存在によって遮断されなかった。
【0618】
サイトカイン産生を評価するために、0、111、333および1000ng/mLの可溶BCMA-Fcの存在下で抗BCMA CAR発現T細胞をOPM2標的細胞と共に5:1のE:T比でインキュベートした。CARを発現していないT細胞(モック)も評価した。上清中のIFN-γ、TNF-αおよびIL-2のサイトカイン蓄積を評価した。抗BCMA.1 CARまたは抗BCMA.3 CARを発現しているT細胞を含有する培養物中のサイトカイン蓄積は、111ng/mL以上のBCMA-Fcの存在下で実質的に低減したが、試験したすべての濃度の可溶BCMA-Fcの存在下で抗BCMA.4 CARを発現しているT細胞を含有する培養物中でサイトカイン蓄積におけるより少ない低減が観察された。
【0619】
別の実験では、可溶BCMAの非存在下と比べた存在下における抗BCMA.4 CAR発現T細胞の活性を評価した。抗BCMA.4 CAR発現T細胞を、RPMI-8226腫瘍細胞、組み換えBCMA-Fc、またはNCI-H929多発性骨髄腫細胞(BCMA分泌細胞株、可溶BCMA含有上清)に由来する細胞培養上清と共に共培養した。腫瘍細胞の溶解およびサイトカイン産生のどちらも、NCI-H929に由来する可溶BCMAのいかなる濃度(最大1000ng/mL)によっても影響されなかった。組み換えBCMAの同様に高い生理学的レベルで、腫瘍細胞溶解およびサイトカイン産生の両方は、ほとんど低下しなかった。
【0620】
実施例5:動物腫瘍モデルにおけるガンマセクレターゼ阻害剤化合物LY3039478および抗BCMA CAR+ T細胞のインビボ投与
ヒト多発性骨髄腫異種移植モデルにおけるLY3039478(3mg/kg)の単回用量の経口投与後に薬物動態および薬力学試験を実施した。具体的には、NOD.Cg.PrkdcscidIL2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウスに、GFPおよびホタルルシフェラーゼを発現するように改変された1E+07個のRPMI-8226(RPMI-8226 ffluc)を皮下(s.c.)注射し、腫瘍を成長させた。RPMI-8226注射(試験0日目)の32日後に、3mg/kgのLY3039478の単回用量を経口投与した。
【0621】
図6は、投与の0、0.5、2、6、18、24、36、および48時間後に採取された血液試料の薬物の血漿レベルについての分析を示す。図7は、本試験においてLY3039478(3g/kg)またはビヒクルの単回経口用量を投与されたマウスにおける投与の0、0.5、2、6、18、24、36、および48時間後に採取された血漿試料中の経時的な血漿BCMAレベルを示す。試験におけるLY3039478またはビヒクル対照の投与の2時間、24時間または48時間後の腫瘍細胞を、BCMAの表面発現について評価した。フローサイトメトリーにより評価される表面BCMAの平均蛍光強度(MFI)を図8に示す。代替的な多発性骨髄腫腫瘍細胞モデルにおいてLY3039478の2回の経口投与を投与された0.1mg/kgまたは1mg/kgの投薬スケジュールで腫瘍上のBCMA発現の増大を確認した。
【0622】
RPMI-8226ヒト多発性骨髄腫異種移植マウスモデルにおいて、抗BCMA CAR T細胞およびガンマセクレターゼ阻害剤化合物、LY3039478を、それぞれ個別に、および組み合わせて投与した後の、抗腫瘍効果を評価した。実施例2に記載するように抗BCMA CAR発現T細胞を作製した。
【0623】
NOD.Cg.PrkdcscidIL2rgtm1Wjl/SzJ(NSG)マウスに、GFPおよびホタルルシフェラーゼを発現するように改変された1E+07個のRPMI-8226細胞(RPMI-8226 ffluc)を皮下(s.c.)注射し、腫瘍体積を25日間にわたり増大させ、25日目を本試験では「0日目」と呼んだ。動物を8つの群に分け、各群に以下の処置を受けさせた:(1)ビヒクルのみ、(2)LY3039478(3mg/kg)のみ、(3)モックT細胞(CARを発現しない)(3.00E+06個のT細胞/マウス)およびビヒクル、(4)モックT細胞(3.00E+06個のT細胞/マウス)およびLY3039478(3mg/kg)、(5)抗BCMA CAR+ T細胞(1.00E+06個のCAR+細胞/マウス)およびビヒクル、(6)抗BCMA CAR+ T細胞(1.00E+06個のCAR+細胞/マウス)およびLY3039478(3mg/kg)、(7)抗BCMA CAR+ T細胞(3.00E+06個のCAR+細胞/マウス)およびビヒクル、または(8)抗BCMA CAR+ T細胞(3.00E+06個のCAR+細胞/マウス)およびLY3039478(3mg/kg)。各群において、LY3039478またはビヒクルを-1日目および0日目に、ならびに21日目まで2日に1回(e.o.d.)、口から送達した(p.o.)。適宜、0日目にT細胞を単回静脈内(i.v.)注射により投与した。
【0624】
試験の経過にわたり腫瘍体積を1週間に2回評価した。異なる群についての結果を図9Aに示す。細胞表面マーカーに特異的な抗体および抗BCMA CARに特異的な試薬を使用するフローサイトメトリーによって、血液および腫瘍中のCAR+ T細胞を7、15、21、および28日目に評価した。試験全体にわたり動物の生存を監視した。
【0625】
図9Aに示されるように、陰性対照細胞の養子移入後(モック)に、または処置を受けていないマウスにおいて、腫瘍は、試験の経過にわたり成長し続けた。より高い用量の抗BCMA CAR発現T細胞を受け入れたマウスにおいて、腫瘍成長の完全退縮がCAR T細胞移植の約20日後までに観察され、試験の残存期間にわたり持続し;より低い用量の抗BCMA CAR発現T細胞およびビヒクルを受け入れた動物において、腫瘍成長における幾分の低減が観察された。より低い用量の抗BCMA CAR発現細胞で処置されたマウスおよびビヒクルで処置されたマウスと比較して、より低い用量の抗BCMA CAR発現細胞と組み合わせたLY3039478の投与を受けた動物では、腫瘍成長における実質的な退行が観察された。LY3039478の投与は、体重および状態スコアにより示されるように、試験全体にわたり耐容性良好であった。
【0626】
試験の間の動物の生存パーセントを図9Bに示す。抗BCMA CAR発現T細胞の投与は、結果として増大した生存率を生じることが観察された。より低い用量のCAR-T細胞およびビヒクルにより処置された群と比較して、より低い用量の抗BCMA CAR発現T細胞とGSI、LY3039478との組み合わせにより処置されたマウスでは、さらなる生存期間の利益が観察された。
【0627】
(表E1)群全体にわたる生存期間
【0628】
試験の間に血液中のCAR+ T細胞の存在を監視した(CAR-T細胞の投与の7、14、21および28日後に抜き取った血液から)。血液試料からの白血球を様々な試薬により染色して、T細胞を含めた免疫細胞の表面の様々なマーカー、およびCARの発現を検出した(CARに特異的な試薬およびCARベクターによってコードされる形質導入マーカーに特異的な試薬を含む)。結果を図10Aおよび10Bに示す。
【0629】
示されるように、LY3039478の非存在下と比較して、LY3039478と組み合わせたより高い用量またはより低い用量のCAR発現T細胞のいずれかの投与の15、21および28日後に、増大した抗BCMA CAR発現CD4+ T細胞(図10A)および抗BCMA CAR発現CD8+ T細胞(図10B)の数が末梢血中に観察された。LY3039478の存在下で、ピーク拡大は、より高い用量の抗BCMA CAR発現細胞の投与の約15日後であり、より低い用量の抗BCMA CAR発現T細胞の投与の約21日後であった。LY3039478の存在下または非存在下で処置された場合、抗BCMA CARを発現しなかったCD4+ T細胞またはCD8+ T細胞について、末梢血血球数に変化は観察されなかった。
【0630】
腫瘍消化物も分析して、様々な処置条件の後で腫瘍中のCD4+ CAR+ T細胞およびCD8+ CAR+ T細胞の数を決定した。7および15日目に、より低い用量の抗BCMA CAR+ T細胞およびLY3039478で処置されたマウスからのサテライト腫瘍消化物は、より低い用量の抗BCMA CAR+ T細胞およびビヒクルで処置されたマウスと比較してより高い数のCD4+ CAR+ T細胞およびCD8+ CAR+ T細胞/細胞1×106個を示した(図11)。平均蛍光強度(MFI)により測定されたフローサイトメトリーによる表面BCMA発現についての腫瘍消化物からの細胞の分析は、LY3039478の存在がRPMI-8226腫瘍細胞上の表面BCMA MFIを増大させたことを示した(図12B)。処置条件による血清BCMAもまた評価した。図12Aは、各処置条件についての7および15日目のBCMA血清レベルを示す。これらの結果は、LY3039478が表面BCMAの切断を低減または防止できることに矛盾しない。
【0631】
これらの結果は、より低い用量の抗BCMA CAR T細胞と組み合わせたLY3039478の投与が、ビヒクル単独と組み合わせたより低い用量の抗BCMA CAR発現T細胞の投与と比較して、増大した抗腫瘍効果につながったという知見に矛盾しない。
【0632】
実施例6:ガンマセクレターゼ阻害剤化合物、LY3039478の存在下で慢性刺激および再誘発後の抗BCMA CAR+ T細胞の評価
長期CAR特異的刺激後の抗BCMA CAR+ T細胞の細胞傷害性に対するガンマセクレターゼ阻害剤化合物、LY3039478の効果を評価した。抗BCMA CAR発現CD4+ T細胞および抗BCMA CAR発現CD8+ T細胞を含有する、実施例2に記載するように作製された抗BCMA CAR+ T細胞組成物を、50μg/mL BCMA-Fcコンジュゲート型ビーズと共に、CAR T細胞を機能的に消耗させるように設計された条件下で7日間インキュベートした。
【0633】
次に、LY3039478の存在下または非存在下においてCAR-T細胞を抗原発現標的細胞で再誘発した。具体的には、抗BCMA CAR発現T細胞を、多発性骨髄腫細胞株RPMI-8226、OPM2、またはMM1.Sと共に、1μM LY3039478またはDMSOビヒクル対照の存在下で、0.3:1のエフェクター対標的比で共培養した。細胞溶解活性を評価するために、標的細胞をNucLight Red(NLR)で標識して、蛍光顕微鏡法による追跡を可能にした。カイネティック(kinetic)蛍光顕微鏡法(INCUCYTE(登録商標)Live Cell Analysis System, Essen Bioscience使用)により経時的な蛍光シグナルの低下により決定された生存標的細胞の低下を経時的に測定することによって、死滅活性を評価した。標的蛍光を経時的に監視し、標的細胞数に対して正規化した。
【0634】
図13Aに示される結果は、LY3039478の存在が慢性刺激された抗BCMA CAR+ T細胞の細胞溶解活性を改善したことを実証した。経時的な標的蛍光についての曲線下面積(AUC)の逆数として死滅指数を決定し、DMSOビヒクル対照に対して正規化した。図13Bに示されるように、細胞死滅に対する改善度は、標的細胞上のBCMA抗原の密度と相関した(抗原密度:RPMI-8226<OPM2<MM1.S)。
【0635】
上記実験において、または抗BCMA CAR+ T細胞および標的細胞が1:1のE:T比で共培養された類似の実験において、抗BCMA CAR発現T細胞および標的細胞の培養開始の24時間後の共培養物から細胞培養上清を回収した。回収された上清中のTNF-アルファ、IFN-ガンマおよびIL-2の産生を、Luminex Multiplex Assayを使用して測定した。両方のE:T比で、GSI LY3039478の存在は、慢性刺激された抗BCMA CAR発現T細胞がサイトカインを産生する機能を改善した(図13C)。サイトカイン産生における改善度はまた、標的細胞上のBCMA抗原の密度と相関した。
【0636】
実施例7:ガンマセクレターゼ阻害剤の存在下または非存在下における抗BCMA CAR+ T細胞によるサイトカイン産生の評価
異なる濃度のガンマセクレターゼ阻害剤、LY3039478、またはビヒクル(DMSO)の存在下で抗BCMA CAR+ T細胞をBCMA含有ビーズと共にインキュベーション後に、T細胞の機能を示す様々なパラメーターを評価した。24時間後に上清を回収し、Luminex Multiplex Assayを使用してTNF-アルファ、IFN-ガンマおよびIL-2の産生を測定した。結果を図14に示す。結果は、このGSI化合物の存在がサイトカイン産生、CAR+ T細胞数、または生存度に影響しなかったという結論と一致した。
【0637】
実施例8:ガンマセクレターゼ阻害剤で処置された患者における多発性骨髄腫細胞におけるBCMAの表面発現の評価
多発性骨髄腫を有する3人のヒト対象にガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)LY3039478の3つの25mg用量を経口投与した。多発性骨髄腫細胞の表面への絶対B細胞成熟抗原(BCMA)抗体結合能(ABC)を、GSIの投与前および3回目の経口GSI用量の直後に、各患者から得られた骨髄吸引標本に行ったフローサイトメトリーにより定量した。GSIの投与後にBCMA ABCに平均で66倍の増大が観察された(図15A)。測定可能な表面BCMA発現を有すると決定された患者試料中の形質細胞のパーセンテージは、GSI前の35%(平均)から3回の経口投与後の98.4%(平均)に増大することが観察された(図15B)。
【0638】
本発明は、例えば本発明の様々な局面を例示するために提供される、特定の開示された態様に範囲を限定することを意図しない。記載される組成物および方法への様々な改変は、本明細書における記載および教示から明らかになるであろう。このような変形は、本開示の範囲および精神から逸脱せずに実施される場合があり、本開示の範囲内に入ることが意図される。
【0639】
配列
【0640】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> Juno Therapeutics, Inc.
Fred Hutchinson Cancer Research Center
<120> COMBINATION OF A CELL THERAPY AND A GAMMA SECRETASE INHIBITOR
<150> US 62/582,308
<151> 2017-11-06
<150> US 62/582,937
<151> 2017-11-07
<150> US 62/665,450
<151> 2018-05-01
<160> 188
<170> FastSEQ for Windows Version 4.0

<210> 1
<211> 12
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Spacer (IgG4hinge) (aa)
<400> 1
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 2
<211> 36
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Spacer (IgG4hinge) (nt)
<400> 2
gaatctaagt acggaccgcc ctgcccccct tgccct 36

<210> 3
<211> 119
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Hinge-CH3 spacer
<400> 3
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro Gly Gln Pro Arg
1 5 10 15
Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Gln Glu Glu Met Thr Lys
20 25 30
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Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser
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Arg Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Glu Gly Asn Val Phe Ser
85 90 95
Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser
100 105 110
Leu Ser Leu Ser Leu Gly Lys
115

<210> 4
<211> 229
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Hinge-CH2-CH3 spacer
<400> 4
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Phe
1 5 10 15
Leu Gly Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr
20 25 30
Leu Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val
35 40 45
Ser Gln Glu Asp Pro Glu Val Gln Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val
50 55 60
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65 70 75 80
Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu
85 90 95
Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Gly Leu Pro Ser
100 105 110
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115 120 125
Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Gln Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln
130 135 140
Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala
145 150 155 160
Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr
165 170 175
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180 185 190
Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Glu Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser
195 200 205
Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser
210 215 220
Leu Ser Leu Gly Lys
225

<210> 5
<211> 282
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> IgD-hinge-Fc
<400> 5
Arg Trp Pro Glu Ser Pro Lys Ala Gln Ala Ser Ser Val Pro Thr Ala
1 5 10 15
Gln Pro Gln Ala Glu Gly Ser Leu Ala Lys Ala Thr Thr Ala Pro Ala
20 25 30
Thr Thr Arg Asn Thr Gly Arg Gly Gly Glu Glu Lys Lys Lys Glu Lys
35 40 45
Glu Lys Glu Glu Gln Glu Glu Arg Glu Thr Lys Thr Pro Glu Cys Pro
50 55 60
Ser His Thr Gln Pro Leu Gly Val Tyr Leu Leu Thr Pro Ala Val Gln
65 70 75 80
Asp Leu Trp Leu Arg Asp Lys Ala Thr Phe Thr Cys Phe Val Val Gly
85 90 95
Ser Asp Leu Lys Asp Ala His Leu Thr Trp Glu Val Ala Gly Lys Val
100 105 110
Pro Thr Gly Gly Val Glu Glu Gly Leu Leu Glu Arg His Ser Asn Gly
115 120 125
Ser Gln Ser Gln His Ser Arg Leu Thr Leu Pro Arg Ser Leu Trp Asn
130 135 140
Ala Gly Thr Ser Val Thr Cys Thr Leu Asn His Pro Ser Leu Pro Pro
145 150 155 160
Gln Arg Leu Met Ala Leu Arg Glu Pro Ala Ala Gln Ala Pro Val Lys
165 170 175
Leu Ser Leu Asn Leu Leu Ala Ser Ser Asp Pro Pro Glu Ala Ala Ser
180 185 190
Trp Leu Leu Cys Glu Val Ser Gly Phe Ser Pro Pro Asn Ile Leu Leu
195 200 205
Met Trp Leu Glu Asp Gln Arg Glu Val Asn Thr Ser Gly Phe Ala Pro
210 215 220
Ala Arg Pro Pro Pro Gln Pro Gly Ser Thr Thr Phe Trp Ala Trp Ser
225 230 235 240
Val Leu Arg Val Pro Ala Pro Pro Ser Pro Gln Pro Ala Thr Tyr Thr
245 250 255
Cys Val Val Ser His Glu Asp Ser Arg Thr Leu Leu Asn Ala Ser Arg
260 265 270
Ser Leu Glu Val Ser Tyr Val Thr Asp His
275 280

<210> 6
<211> 24
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> T2A
<400> 6
Leu Glu Gly Gly Gly Glu Gly Arg Gly Ser Leu Leu Thr Cys Gly Asp
1 5 10 15
Val Glu Glu Asn Pro Gly Pro Arg
20

<210> 7
<211> 335
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 7
Arg Lys Val Cys Asn Gly Ile Gly Ile Gly Glu Phe Lys Asp Ser Leu
1 5 10 15
Ser Ile Asn Ala Thr Asn Ile Lys His Phe Lys Asn Cys Thr Ser Ile
20 25 30
Ser Gly Asp Leu His Ile Leu Pro Val Ala Phe Arg Gly Asp Ser Phe
35 40 45
Thr His Thr Pro Pro Leu Asp Pro Gln Glu Leu Asp Ile Leu Lys Thr
50 55 60
Val Lys Glu Ile Thr Gly Phe Leu Leu Ile Gln Ala Trp Pro Glu Asn
65 70 75 80
Arg Thr Asp Leu His Ala Phe Glu Asn Leu Glu Ile Ile Arg Gly Arg
85 90 95
Thr Lys Gln His Gly Gln Phe Ser Leu Ala Val Val Ser Leu Asn Ile
100 105 110
Thr Ser Leu Gly Leu Arg Ser Leu Lys Glu Ile Ser Asp Gly Asp Val
115 120 125
Ile Ile Ser Gly Asn Lys Asn Leu Cys Tyr Ala Asn Thr Ile Asn Trp
130 135 140
Lys Lys Leu Phe Gly Thr Ser Gly Gln Lys Thr Lys Ile Ile Ser Asn
145 150 155 160
Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly Gln Val Cys His Ala Leu
165 170 175
Cys Ser Pro Glu Gly Cys Trp Gly Pro Glu Pro Arg Asp Cys Val Ser
180 185 190
Cys Arg Asn Val Ser Arg Gly Arg Glu Cys Val Asp Lys Cys Asn Leu
195 200 205
Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu Asn Ser Glu Cys Ile Gln
210 215 220
Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met Asn Ile Thr Cys Thr Gly
225 230 235 240
Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala His Tyr Ile Asp Gly Pro
245 250 255
His Cys Val Lys Thr Cys Pro Ala Gly Val Met Gly Glu Asn Asn Thr
260 265 270
Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His Val Cys His Leu Cys His
275 280 285
Pro Asn Cys Thr Tyr Gly Cys Thr Gly Pro Gly Leu Glu Gly Cys Pro
290 295 300
Thr Asn Gly Pro Lys Ile Pro Ser Ile Ala Thr Gly Met Val Gly Ala
305 310 315 320
Leu Leu Leu Leu Leu Val Val Ala Leu Gly Ile Gly Leu Phe Met
325 330 335

<210> 8
<211> 27
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28 (amino acids 153-179 of Accession No. P10747)
<400> 8
Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu
1 5 10 15
Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val
20 25

<210> 9
<211> 66
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28 (amino acids 114-179 of Accession No. P10747)
<400> 9
Ile Glu Val Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn
1 5 10 15
Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro Ser Pro Leu
20 25 30
Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly
35 40 45
Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe
50 55 60
Trp Val
65

<210> 10
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28 (amino acids 180-220 of P10747)
<400> 10
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40

<210> 11
<211> 41
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD28 (LL to GG)
Homo sapiens
<400> 11
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Gly Gly His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
1 5 10 15
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
20 25 30
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser
35 40

<210> 12
<211> 42
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> 4-1BB (amino acids 214-255 of Q07011.1)
<400> 12
Lys Arg Gly Arg Lys Lys Leu Leu Tyr Ile Phe Lys Gln Pro Phe Met
1 5 10 15
Arg Pro Val Gln Thr Thr Gln Glu Glu Asp Gly Cys Ser Cys Arg Phe
20 25 30
Pro Glu Glu Glu Glu Gly Gly Cys Glu Leu
35 40

<210> 13
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 13
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110

<210> 14
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 14
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Glu Pro Pro Ala Tyr Gln Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110

<210> 15
<211> 112
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> CD3 zeta
<400> 15
Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Lys Gln Gly
1 5 10 15
Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr
20 25 30
Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys
35 40 45
Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys
50 55 60
Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg
65 70 75 80
Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala
85 90 95
Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
100 105 110

<210> 16
<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<220>
<221> REPEAT
<222> (5)...(9)
<223> SGGGG is repeated 5 times
<400> 16
Pro Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Pro
1 5 10

<210> 17
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 17
Gly Ser Ala Asp Asp Ala Lys Lys Asp Ala Ala Lys Lys Asp Gly Lys
1 5 10 15
Ser

<210> 18
<211> 117
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 18
Gln Ile Gln Leu Val Gln Ser Gly Pro Glu Leu Lys Lys Pro Gly Glu
1 5 10 15
Thr Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30
Ser Ile Asn Trp Val Lys Arg Ala Pro Gly Lys Gly Leu Lys Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Thr Glu Thr Arg Glu Pro Ala Tyr Ala Tyr Asp Phe
50 55 60
Arg Gly Arg Phe Ala Phe Ser Leu Glu Thr Ser Ala Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Ile Asn Asn Leu Lys Tyr Glu Asp Thr Ala Thr Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Leu Asp Tyr Ser Tyr Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Ser
100 105 110
Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 19
<211> 111
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 19
Asp Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Pro Ser Leu Ala Met Ser Leu Gly
1 5 10 15
Lys Arg Ala Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Glu Ser Val Thr Ile Leu
20 25 30
Gly Ser His Leu Ile His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Pro Pro
35 40 45
Thr Leu Leu Ile Gln Leu Ala Ser Asn Val Gln Thr Gly Val Pro Ala
50 55 60
Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Arg Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asp
65 70 75 80
Pro Val Glu Glu Asp Asp Val Ala Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Ser Arg
85 90 95
Thr Ile Pro Arg Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110

<210> 20
<211> 122
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 20
Gln Ile Gln Leu Val Gln Ser Gly Pro Asp Leu Lys Lys Pro Gly Glu
1 5 10 15
Thr Val Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asn Phe
20 25 30
Gly Met Asn Trp Val Lys Gln Ala Pro Gly Lys Gly Phe Lys Trp Met
35 40 45
Ala Trp Ile Asn Thr Tyr Thr Gly Glu Ser Tyr Phe Ala Asp Asp Phe
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Ala Phe Ser Val Glu Thr Ser Ala Thr Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Ile Asn Asn Leu Lys Thr Glu Asp Thr Ala Thr Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Arg Gly Glu Ile Tyr Tyr Gly Tyr Asp Gly Gly Phe Ala Tyr Trp
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ala
115 120

<210> 21
<211> 107
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 21
Asp Val Val Met Thr Gln Ser His Arg Phe Met Ser Thr Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Ser Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Asp Val Asn Thr Ala
20 25 30
Val Ser Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Lys Leu Leu Ile
35 40 45
Phe Ser Ala Ser Tyr Arg Tyr Thr Gly Val Pro Asp Arg Phe Thr Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Ala Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Val Gln Ala
65 70 75 80
Glu Asp Leu Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln His Tyr Ser Thr Pro Trp
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Asp Ile Lys
100 105

<210> 22
<211> 116
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 22
Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Glu
1 5 10 15
Ser Leu Lys Ile Ser Cys Lys Gly Ser Gly Tyr Ser Phe Thr Ser Tyr
20 25 30
Trp Ile Gly Trp Val Arg Gln Met Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Ile Ile Tyr Pro Gly Asp Ser Asp Thr Arg Tyr Ser Pro Ser Phe
50 55 60
Gln Gly His Val Thr Ile Ser Ala Asp Lys Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Trp Ser Ser Leu Lys Ala Ser Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Tyr Ser Gly Ser Phe Asp Asn Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val
100 105 110
Thr Val Ser Ser
115

<210> 23
<211> 111
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 23
Ser Tyr Glu Leu Thr Gln Pro Pro Ser Ala Ser Gly Thr Pro Gly Gln
1 5 10 15
Arg Val Thr Met Ser Cys Ser Gly Thr Ser Ser Asn Ile Gly Ser His
20 25 30
Ser Val Asn Trp Tyr Gln Gln Leu Pro Gly Thr Ala Pro Lys Leu Leu
35 40 45
Ile Tyr Thr Asn Asn Gln Arg Pro Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser
50 55 60
Gly Ser Lys Ser Gly Thr Ser Ala Ser Leu Ala Ile Ser Gly Leu Gln
65 70 75 80
Ser Glu Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Ala Ala Trp Asp Gly Ser Leu
85 90 95
Asn Gly Leu Val Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu Gly
100 105 110

<210> 24
<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 24
Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Met Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Leu Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Ile Asp Tyr
20 25 30
Tyr Val Tyr Trp Met Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Ser Met
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Thr Asn Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Arg Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Ser Gln Arg Asp Gly Tyr Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110
Leu Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 25
<211> 105
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 25
Gln Ser Ala Leu Thr Gln Pro Ala Ser Val Ser Ala Ser Pro Gly Gln
1 5 10 15
Ser Ile Ala Ile Ser Cys Thr Gly Thr Ser Ser Asp Val Gly Trp Tyr
20 25 30
Gln Gln His Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Met Ile Tyr Glu Asp Ser
35 40 45
Lys Arg Pro Ser Gly Val Ser Asn Arg Phe Ser Gly Ser Lys Ser Gly
50 55 60
Asn Thr Ala Ser Leu Thr Ile Ser Gly Leu Gln Ala Glu Asp Glu Ala
65 70 75 80
Asp Tyr Tyr Cys Ser Ser Asn Thr Arg Ser Ser Thr Leu Val Phe Gly
85 90 95
Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu Gly
100 105

<210> 26
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 26
Gly Gly Gly Gly Ser
1 5

<210> 27
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 27
Gly Gly Gly Ser
1

<210> 28
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 28
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser
1 5 10 15

<210> 29
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 29
Gly Ser Thr Ser Gly Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr
1 5 10 15
Lys Gly

<210> 30
<211> 21
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Linker
<400> 30
Ser Arg Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Glu Met Ala
20

<210> 31
<211> 228
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<220>
<223> Hinge-CH2-CH3 spacer
<400> 31
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Pro Val
1 5 10 15
Ala Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu
20 25 30
Met Ile Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser
35 40 45
Gln Glu Asp Pro Glu Val Gln Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu
50 55 60
Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Phe Gln Ser Thr
65 70 75 80
Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn
85 90 95
Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Gly Leu Pro Ser Ser
100 105 110
Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln
115 120 125
Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Gln Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln Val
130 135 140
Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val
145 150 155 160
Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro
165 170 175
Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Arg Leu Thr
180 185 190
Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Glu Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val
195 200 205
Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu
210 215 220
Ser Leu Gly Lys
225

<210> 32
<211> 122
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 32
Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Ala Ile Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Arg Ile Ile Pro Ile Leu Gly Ile Ala Asn Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
Gln Gly Arg Val Thr Met Thr Glu Asp Thr Ser Thr Asp Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Ser Gly Tyr Ser Lys Ser Ile Val Ser Tyr Met Asp Tyr Trp
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120

<210> 33
<211> 111
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 33
Leu Pro Val Leu Thr Gln Pro Pro Ser Thr Ser Gly Thr Pro Gly Gln
1 5 10 15
Arg Val Thr Val Ser Cys Ser Gly Ser Ser Ser Asn Ile Gly Ser Asn
20 25 30
Val Val Phe Trp Tyr Gln Gln Leu Pro Gly Thr Ala Pro Lys Leu Val
35 40 45
Ile Tyr Arg Asn Asn Gln Arg Pro Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser
50 55 60
Val Ser Lys Ser Gly Thr Ser Ala Ser Leu Ala Ile Ser Gly Leu Arg
65 70 75 80
Ser Glu Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Ala Ala Trp Asp Asp Ser Leu
85 90 95
Ser Gly Tyr Val Phe Gly Thr Gly Thr Lys Val Thr Val Leu Gly
100 105 110

<210> 34
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 34
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Gly Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Ala Ile Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Arg Ile Ile Pro Ile Leu Gly Thr Ala Asn Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
Gln Gly Arg Val Thr Ile Thr Ala Asp Glu Ser Thr Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Ser Gly Tyr Gly Ser Tyr Arg Trp Glu Asp Ser Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120

<210> 35
<211> 112
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 35
Gln Ala Val Leu Thr Gln Pro Pro Ser Ala Ser Gly Thr Pro Gly Gln
1 5 10 15
Arg Val Thr Ile Ser Cys Ser Gly Ser Ser Ser Asn Ile Gly Ser Asn
20 25 30
Tyr Val Phe Trp Tyr Gln Gln Leu Pro Gly Thr Ala Pro Lys Leu Leu
35 40 45
Ile Tyr Ser Asn Asn Gln Arg Pro Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser
50 55 60
Gly Ser Lys Ser Gly Thr Ser Ala Ser Leu Ala Ile Ser Gly Leu Arg
65 70 75 80
Ser Glu Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Ala Ala Trp Asp Asp Ser Leu
85 90 95
Ser Ala Ser Tyr Val Phe Gly Thr Gly Thr Lys Val Thr Val Leu Gly
100 105 110

<210> 36
<211> 118
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 36
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr Asp Tyr
20 25 30
Tyr Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Arg Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Thr Asn Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
Gln Asp Arg Ile Thr Val Thr Arg Asp Thr Ser Ser Asn Thr Gly Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Thr Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Ser Pro Tyr Ser Gly Val Leu Asp Lys Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110
Leu Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 37
<211> 112
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 37
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Leu Ile Tyr Gly Asn Ser Asn Arg Pro Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe
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Ser Gly Ser Lys Ser Gly Thr Ser Ala Ser Leu Ala Ile Thr Gly Leu
65 70 75 80
Gln Ala Glu Asp Glu Ala Asp Tyr Tyr Cys Gln Ser Tyr Asp Ser Ser
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Leu Ser Gly Tyr Val Phe Gly Thr Gly Thr Lys Val Thr Val Leu Gly
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<213> Artificial Sequence
<220>
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1 5 10 15
Ser

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<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
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Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
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Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
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Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 51
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<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
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<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
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<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
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<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
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<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 59
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<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 60
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<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 61
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<210> 62
<211> 107
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 62
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<210> 63
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 63
Gln Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Arg
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<210> 64
<211> 109
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 64
Asp Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
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<210> 65
<211> 115
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 65
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115

<210> 66
<211> 107
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 66
Asp Ile Arg Leu Thr Gln Ser Pro Ser Pro Leu Ser Ala Ser Val Gly
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<210> 67
<211> 115
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 67
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35 40 45
Ser Gly Ile Val Tyr Ser Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Ala Ser Val Lys
50 55 60
Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Arg Asn Thr Leu Tyr Leu
65 70 75 80
Gln Met Asn Ser Leu Arg Pro Glu Asp Thr Ala Ile Tyr Tyr Cys Ser
85 90 95
Ala His Gly Gly Glu Ser Asp Val Trp Gly Gln Gly Thr Thr Val Thr
100 105 110
Val Ser Ser
115

<210> 68
<211> 109
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 68
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Gly Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Ile Gly Ser Ser
20 25 30
Ser Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu
35 40 45
Met Tyr Gly Ala Ser Ser Arg Ala Ser Gly Ile Pro Asp Arg Phe Ser
50 55 60
Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Arg Leu Glu
65 70 75 80
Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr Ala Gly Ser Pro
85 90 95
Pro Phe Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys
100 105

<210> 69
<211> 117
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 69
Gln Ile Gln Leu Val Gln Ser Gly Pro Glu Leu Lys Lys Pro Gly Glu
1 5 10 15
Thr Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Arg His Tyr
20 25 30
Ser Met Asn Trp Val Lys Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Lys Trp Met
35 40 45
Gly Arg Ile Asn Thr Glu Ser Gly Val Pro Ile Tyr Ala Asp Asp Phe
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Ala Phe Ser Val Glu Thr Ser Ala Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Val Ile Asn Asn Leu Lys Asp Glu Asp Thr Ala Ser Tyr Phe Cys
85 90 95
Ser Asn Asp Tyr Leu Tyr Ser Leu Asp Phe Trp Gly Gln Gly Thr Ala
100 105 110
Leu Thr Val Ser Ser
115

<210> 70
<211> 111
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 70
Asp Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Pro Ser Leu Ala Met Ser Leu Gly
1 5 10 15
Lys Arg Ala Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Glu Ser Val Thr Ile Leu
20 25 30
Gly Ser His Leu Ile Tyr Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Pro Pro
35 40 45
Thr Leu Leu Ile Gln Leu Ala Ser Asn Val Gln Thr Gly Val Pro Ala
50 55 60
Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Arg Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asp
65 70 75 80
Pro Val Glu Glu Asp Asp Val Ala Val Tyr Tyr Cys Leu Gln Ser Arg
85 90 95
Thr Ile Pro Arg Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110

<210> 71
<211> 117
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 71
Gln Ile Gln Leu Val Gln Ser Gly Pro Glu Leu Lys Lys Pro Gly Glu
1 5 10 15
Thr Val Lys Ile Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Thr His Tyr
20 25 30
Ser Met Asn Trp Val Lys Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Lys Trp Met
35 40 45
Gly Arg Ile Asn Thr Glu Thr Gly Glu Pro Leu Tyr Ala Asp Asp Phe
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Ala Phe Ser Leu Glu Thr Ser Ala Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Leu Val Ile Asn Asn Leu Lys Asn Glu Asp Thr Ala Thr Phe Phe Cys
85 90 95
Ser Asn Asp Tyr Leu Tyr Ser Cys Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Thr
100 105 110
Leu Thr Val Ser Ser
115

<210> 72
<211> 111
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 72
Asp Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Ser Leu Ala Met Ser Leu Gly
1 5 10 15
Lys Arg Ala Thr Ile Ser Cys Arg Ala Ser Glu Ser Val Ser Val Ile
20 25 30
Gly Ala His Leu Ile His Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Pro Pro
35 40 45
Lys Leu Leu Ile Tyr Leu Ala Ser Asn Leu Glu Thr Gly Val Pro Ala
50 55 60
Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Asp
65 70 75 80
Pro Val Glu Glu Asp Asp Val Ala Ile Tyr Ser Cys Leu Gln Ser Arg
85 90 95
Ile Phe Pro Arg Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110

<210> 73
<211> 119
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 73
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ser Phe Pro Asp Tyr
20 25 30
Tyr Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Tyr Phe Ala Ser Gly Asn Ser Glu Tyr Asn Gln Lys Phe
50 55 60
Thr Gly Arg Val Thr Met Thr Arg Asp Thr Ser Ile Asn Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Thr Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Asp Tyr Asp Trp Tyr Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly
100 105 110
Thr Met Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 74
<211> 112
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 74
Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Ser Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Gln Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Val His Ser
20 25 30
Asn Gly Asn Thr Tyr Leu His Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Lys Val Ser Asn Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Ile Tyr Tyr Cys Ser Gln Ser
85 90 95
Ser Ile Tyr Pro Trp Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110

<210> 75
<211> 119
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 75
Gln Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ala
1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ser Phe Pro Asp Tyr
20 25 30
Tyr Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Tyr Phe Ala Ser Gly Asn Ser Glu Tyr Asn Gln Lys Phe
50 55 60
Thr Gly Arg Val Thr Met Thr Arg Asp Thr Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Phe Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Asp Tyr Asp Trp Tyr Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly
100 105 110
Thr Met Val Thr Val Ser Ser
115

<210> 76
<211> 112
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 76
Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser Leu Ser Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Lys Ser Ser Gln Ser Leu Val His Ser
20 25 30
Asn Gly Asn Thr Tyr Leu His Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Lys Val Ser Asn Arg Phe Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Ala Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Ala Glu Thr
85 90 95
Ser His Val Pro Trp Thr Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys
100 105 110

<210> 77
<211> 122
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Anti-BCMA sdAb
<400> 77
Gln Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Glu Ala Ser Gly Phe Thr Leu Asp Tyr Tyr
20 25 30
Ala Ile Gly Trp Phe Arg Gln Ala Pro Gly Lys Glu Arg Glu Gly Val
35 40 45
Ile Cys Ile Ser Arg Ser Asp Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Lys Thr Val Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Ile Ser Leu Lys Pro Glu Asp Thr Ala Ala Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ala Gly Ala Asp Cys Ser Gly Tyr Leu Arg Asp Tyr Glu Phe Arg
100 105 110
Gly Gln Gly Thr Gln Val Thr Val Ser Ser
115 120

<210> 78
<211> 39
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD28 spacer
<400> 78
Ile Glu Val Met Tyr Pro Pro Pro Tyr Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn
1 5 10 15
Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro Ser Pro Leu
20 25 30
Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro
35

<210> 79
<211> 25
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD8a TM
<400> 79
Ile Tyr Ile Trp Ala Pro Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val Leu Leu Leu
1 5 10 15
Ser Leu Val Ile Thr Leu Tyr Cys Asn
20 25

<210> 80
<211> 30
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD28 spacer (truncated)
<400> 80
Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys
1 5 10 15
His Leu Cys Pro Ser Pro Leu Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro
20 25 30

<210> 81
<211> 46
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD8a hinge
<400> 81
Pro Thr Thr Thr Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile
1 5 10 15
Ala Ser Gln Pro Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala
20 25 30
Gly Gly Ala Val His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp
35 40 45

<210> 82
<211> 45
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD8a hinge
<400> 82
Thr Thr Thr Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala
1 5 10 15
Ser Gln Pro Leu Ser Leu Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly
20 25 30
Gly Ala Val His Thr Arg Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp
35 40 45

<210> 83
<211> 55
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD8a hinge
<400> 83
Phe Val Pro Val Phe Leu Pro Ala Lys Pro Thr Thr Thr Pro Ala Pro
1 5 10 15
Arg Pro Pro Thr Pro Ala Pro Thr Ile Ala Ser Gln Pro Leu Ser Leu
20 25 30
Arg Pro Glu Ala Cys Arg Pro Ala Ala Gly Gly Ala Val His Thr Arg
35 40 45
Gly Leu Asp Phe Ala Cys Asp
50 55

<210> 84
<211> 39
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CTLA4 hinge
<400> 84
Asp Thr Gly Leu Tyr Ile Cys Lys Val Glu Leu Met Tyr Pro Pro Pro
1 5 10 15
Tyr Tyr Leu Gly Ile Gly Asn Gly Thr Gln Ile Tyr Val Ile Asp Pro
20 25 30
Glu Pro Cys Pro Asp Ser Asp
35

<210> 85
<211> 24
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CTLA4 TM
<400> 85
Phe Leu Leu Trp Ile Leu Ala Ala Val Ser Ser Gly Leu Phe Phe Tyr
1 5 10 15
Ser Phe Leu Leu Thr Ala Val Ser
20

<210> 86
<211> 38
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> PD-1 hinge
<400> 86
Gln Ile Lys Glu Ser Leu Arg Ala Glu Leu Arg Val Thr Glu Arg Arg
1 5 10 15
Ala Glu Val Pro Thr Ala His Pro Ser Pro Ser Pro Arg Pro Ala Gly
20 25 30
Gln Phe Gln Thr Leu Val
35

<210> 87
<211> 21
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> PD-1 TM
<400> 87
Val Gly Val Val Gly Gly Leu Leu Gly Ser Leu Val Leu Leu Val Trp
1 5 10 15
Val Leu Ala Val Ile
20

<210> 88
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Fc(gamma)RIIIa hinge
<400> 88
Gly Leu Ala Val Ser Thr Ile Ser Ser Phe Phe Pro Pro Gly Tyr Gln
1 5 10 15

<210> 89
<211> 231
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> IgG1 hinge
<400> 89
Glu Pro Lys Ser Pro Asp Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala
1 5 10 15
Pro Pro Val Ala Gly Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys
20 25 30
Asp Thr Leu Met Ile Ala Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val
35 40 45
Asp Val Ser His Glu Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp
50 55 60
Gly Val Glu Val His Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr
65 70 75 80
Asn Ser Thr Tyr Arg Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp
85 90 95
Trp Leu Asn Gly Lys Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu
100 105 110
Pro Ala Pro Ile Glu Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg
115 120 125
Glu Pro Gln Val Tyr Thr Leu Pro Pro Ser Arg Asp Glu Leu Thr Lys
130 135 140
Asn Gln Val Ser Leu Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp
145 150 155 160
Ile Ala Val Glu Trp Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys
165 170 175
Thr Thr Pro Pro Val Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser
180 185 190
Lys Leu Thr Val Asp Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser
195 200 205
Cys Ser Val Met His Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser
210 215 220
Leu Ser Leu Ser Pro Gly Lys
225 230

<210> 90
<211> 457
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> anti-BCMA CAR
<400> 90
Glu Val Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Ala Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Ser Ala Ile Ser Gly Ser Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Ala Glu Met Gly Ala Val Phe Asp Ile Trp Gly Gln Gly Thr
100 105 110
Met Val Thr Val Ser Ser Gly Ser Thr Ser Gly Ser Gly Lys Pro Gly
115 120 125
Ser Gly Glu Gly Ser Thr Lys Gly Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro
130 135 140
Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg
145 150 155 160
Ala Ser Gln Ser Val Ser Arg Tyr Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro
165 170 175
Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile Tyr Asp Ala Ser Asn Arg Ala Thr
180 185 190
Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr
195 200 205
Leu Thr Ile Ser Ser Leu Glu Pro Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys
210 215 220
Gln Gln Arg Ile Ser Trp Pro Phe Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val
225 230 235 240
Glu Ile Lys Arg Ala Ala Ala Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn Gly Thr
245 250 255
Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro Ser Pro Leu Phe Pro
260 265 270
Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu
275 280 285
Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val
290 295 300
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
305 310 315 320
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
325 330 335
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser
340 345 350
Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu
355 360 365
Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg
370 375 380
Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln
385 390 395 400
Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr
405 410 415
Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg Gly Lys Gly His Asp
420 425 430
Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala
435 440 445
Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
450 455

<210> 91
<211> 457
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> anti-BCMA CAR
<400> 91
Glu Ile Val Leu Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Leu Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Arg Ala Ser Gln Ser Val Ser Arg Tyr
20 25 30
Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Leu Leu Ile
35 40 45
Tyr Asp Ala Ser Asn Arg Ala Thr Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Glu Pro
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Arg Ile Ser Trp Pro Phe
85 90 95
Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg Gly Ser Thr Ser
100 105 110
Gly Ser Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr Lys Gly Glu Val
115 120 125
Gln Leu Leu Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly Ser Leu
130 135 140
Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr Ala Met
145 150 155 160
Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val Ser Ala
165 170 175
Ile Ser Gly Ser Gly Gly Ser Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys Gly
180 185 190
Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr Leu Gln
195 200 205
Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys Ala Arg
210 215 220
Ala Glu Met Gly Ala Val Phe Asp Ile Trp Gly Gln Gly Thr Met Val
225 230 235 240
Thr Val Ser Ser Ala Ala Ala Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn Gly Thr
245 250 255
Ile Ile His Val Lys Gly Lys His Leu Cys Pro Ser Pro Leu Phe Pro
260 265 270
Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu
275 280 285
Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val
290 295 300
Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr
305 310 315 320
Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro
325 330 335
Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr Arg Ser Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser
340 345 350
Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln Gln Gly Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu
355 360 365
Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg
370 375 380
Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly Gly Lys Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln
385 390 395 400
Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu Gln Lys Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr
405 410 415
Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg Gly Lys Gly His Asp
420 425 430
Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala
435 440 445
Leu His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
450 455

<210> 92
<211> 466
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> anti-BCMA CAR
<400> 92
Gln Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Val Val Gln Pro Gly Arg
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Ser Tyr
20 25 30
Gly Met His Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Ala Val Ile Ser Tyr Asp Gly Ser Asn Lys Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ser Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Asp Gly Thr Tyr Leu Gly Gly Leu Trp Tyr Phe Asp Leu Trp
100 105 110
Gly Arg Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Gly Ser Thr Ser Gly Ser
115 120 125
Gly Lys Pro Gly Ser Gly Glu Gly Ser Thr Lys Gly Asp Ile Val Met
130 135 140
Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly Glu Pro Ala Ser
145 150 155 160
Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu His Ser Asn Gly Tyr Asn
165 170 175
Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Gln Leu Leu
180 185 190
Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser
195 200 205
Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile Ser Arg Val Glu
210 215 220
Ala Glu Asp Val Gly Val Tyr Tyr Cys Met Gln Gly Leu Gly Leu Pro
225 230 235 240
Leu Thr Phe Gly Gly Gly Thr Lys Val Glu Ile Lys Arg Ala Ala Ala
245 250 255
Leu Asp Asn Glu Lys Ser Asn Gly Thr Ile Ile His Val Lys Gly Lys
260 265 270
His Leu Cys Pro Ser Pro Leu Phe Pro Gly Pro Ser Lys Pro Phe Trp
275 280 285
Val Leu Val Val Val Gly Gly Val Leu Ala Cys Tyr Ser Leu Leu Val
290 295 300
Thr Val Ala Phe Ile Ile Phe Trp Val Arg Ser Lys Arg Ser Arg Leu
305 310 315 320
Leu His Ser Asp Tyr Met Asn Met Thr Pro Arg Arg Pro Gly Pro Thr
325 330 335
Arg Lys His Tyr Gln Pro Tyr Ala Pro Pro Arg Asp Phe Ala Ala Tyr
340 345 350
Arg Ser Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro Ala Tyr Gln
355 360 365
Gln Gly Gln Asn Gln Leu Tyr Asn Glu Leu Asn Leu Gly Arg Arg Glu
370 375 380
Glu Tyr Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro Glu Met Gly
385 390 395 400
Gly Lys Pro Arg Arg Lys Asn Pro Gln Glu Gly Leu Tyr Asn Glu Leu
405 410 415
Gln Lys Asp Lys Met Ala Glu Ala Tyr Ser Glu Ile Gly Met Lys Gly
420 425 430
Glu Arg Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly Leu Tyr Gln Gly Leu Ser
435 440 445
Thr Ala Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu His Met Gln Ala Leu Pro
450 455 460
Pro Arg
465

<210> 93
<211> 466
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> anti-BCMA CAR
<400> 93
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Leu Ser Leu Pro Val Thr Pro Gly
1 5 10 15
Glu Pro Ala Ser Ile Ser Cys Arg Ser Ser Gln Ser Leu Leu His Ser
20 25 30
Asn Gly Tyr Asn Tyr Leu Asp Trp Tyr Leu Gln Lys Pro Gly Gln Ser
35 40 45
Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Leu Gly Ser Asn Arg Ala Ser Gly Val Pro
50 55 60
Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Lys Ile
65 70 75 80
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<210> 124
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1 5 10 15
Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ser Phe Pro Asp Tyr
20 25 30
Tyr Ile Asn Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Trp Met
35 40 45
Gly Trp Ile Tyr Phe Ala Ser Gly Asn Ser Glu Tyr Asn Gln Lys Phe
50 55 60
Thr Gly Arg Val Thr Met Thr Arg Asp Thr Ser Ser Ser Thr Ala Tyr
65 70 75 80
Met Glu Leu Ser Ser Leu Arg Ser Glu Asp Thr Ala Val Tyr Phe Cys
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Ala Ser Leu Tyr Asp Tyr Asp Trp Tyr Phe Asp Val Trp Gly Gln Gly
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Thr Met Val Thr Val Ser Ser Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly
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Ser Gly Gly Gly Gly Ser Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser
130 135 140
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340 345 350
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355 360 365
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385 390 395 400
Glu Ile Gly Met Lys Gly Glu Arg Arg Arg Gly Lys Gly His Asp Gly
405 410 415
Leu Tyr Gln Gly Leu Ser Thr Ala Thr Lys Asp Thr Tyr Asp Ala Leu
420 425 430
His Met Gln Ala Leu Pro Pro Arg
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<213> Artificial Sequence
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<223> anti-BCMA CAR
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35 40 45
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100 105 110
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115 120 125
Ser Gly Gly Gly Gly Ser Asp Ile Val Met Thr Gln Thr Pro Leu Ser
130 135 140
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165 170 175
Gln Lys Pro Gly Gln Ser Pro Gln Leu Leu Ile Tyr Lys Val Ser Asn
180 185 190
Arg Phe Ser Gly Val Pro Asp Arg Phe Ser Gly Ser Gly Ser Gly Ala
195 200 205
Asp Phe Thr Leu Lys Ile Ser Arg Val Glu Ala Glu Asp Val Gly Val
210 215 220
Tyr Tyr Cys Ala Glu Thr Ser His Val Pro Trp Thr Phe Gly Gln Gly
225 230 235 240
Thr Lys Leu Glu Ile Lys Thr Thr Thr Pro Ala Pro Arg Pro Pro Thr
245 250 255
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260 265 270
Cys Arg Pro Ala Ala Gly Gly Ala Val His Thr Arg Gly Leu Asp Phe
275 280 285
Ala Cys Asp Ile Tyr Ile Trp Ala Pro Leu Ala Gly Thr Cys Gly Val
290 295 300
Leu Leu Leu Ser Leu Val Ile Thr Leu Tyr Cys Lys Arg Gly Arg Lys
305 310 315 320
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325 330 335
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340 345 350
Gly Gly Cys Glu Leu Arg Val Lys Phe Ser Arg Ser Ala Asp Ala Pro
355 360 365
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370 375 380
Arg Arg Glu Glu Tyr Asp Val Leu Asp Lys Arg Arg Gly Arg Asp Pro
385 390 395 400
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<213> Artificial Sequence
<220>
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<400> 141
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Ser Val Lys Val Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Ser Phe Pro Asp Tyr
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD8a TM
<400> 143
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20

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<220>
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<213> Artificial Sequence
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50 55 60
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65 70 75 80
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100 105

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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable heavy (VH) Anti-BCMA
<400> 151
Glu Val Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Val Lys Lys Pro Gly Ser
1 5 10 15
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35 40 45
Gly Arg Ile Ile Pro Ile Leu Gly Ile Ala Asn Tyr Ala Gln Lys Phe
50 55 60
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100 105 110
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Variable light (VL) Anti-BCMA
<400> 152
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100 105 110

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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
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<400> 153
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<210> 154
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> CD8 alpha signal peptide
<400> 154
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<210> 155
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<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
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<211> 22
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> GMCSFR alpha chain signal sequence
<400> 156
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Ala Phe Leu Leu Ile Pro
20

<210> 157
<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 157
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<210> 158
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<220>
<221> VARIANT
<222> (1)...(1)
<223> Xaa is glycine, cysteine or arginine
<220>
<221> VARIANT
<222> (4)...(4)
<223> Xaa is cysteine or threonine
<400> 158
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1 5

<210> 159
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 159
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1 5 10 15

<210> 160
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 160
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<210> 161
<211> 61
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 161
Glu Leu Lys Thr Pro Leu Gly Asp Thr His Thr Cys Pro Arg Cys Pro
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<210> 162
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 162
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Ser Cys Pro
1 5 10

<210> 163
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 163
Glu Ser Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 164
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 164
Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5

<210> 165
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Exemplary IgG Hinge
<400> 165
Lys Tyr Gly Pro Pro Cys Pro Pro Cys Pro
1 5 10

<210> 166
<211> 357
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> tEGFR
<400> 166
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50 55 60
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65 70 75 80
Leu Asp Ile Leu Lys Thr Val Lys Glu Ile Thr Gly Phe Leu Leu Ile
85 90 95
Gln Ala Trp Pro Glu Asn Arg Thr Asp Leu His Ala Phe Glu Asn Leu
100 105 110
Glu Ile Ile Arg Gly Arg Thr Lys Gln His Gly Gln Phe Ser Leu Ala
115 120 125
Val Val Ser Leu Asn Ile Thr Ser Leu Gly Leu Arg Ser Leu Lys Glu
130 135 140
Ile Ser Asp Gly Asp Val Ile Ile Ser Gly Asn Lys Asn Leu Cys Tyr
145 150 155 160
Ala Asn Thr Ile Asn Trp Lys Lys Leu Phe Gly Thr Ser Gly Gln Lys
165 170 175
Thr Lys Ile Ile Ser Asn Arg Gly Glu Asn Ser Cys Lys Ala Thr Gly
180 185 190
Gln Val Cys His Ala Leu Cys Ser Pro Glu Gly Cys Trp Gly Pro Glu
195 200 205
Pro Arg Asp Cys Val Ser Cys Arg Asn Val Ser Arg Gly Arg Glu Cys
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Val Asp Lys Cys Asn Leu Leu Glu Gly Glu Pro Arg Glu Phe Val Glu
225 230 235 240
Asn Ser Glu Cys Ile Gln Cys His Pro Glu Cys Leu Pro Gln Ala Met
245 250 255
Asn Ile Thr Cys Thr Gly Arg Gly Pro Asp Asn Cys Ile Gln Cys Ala
260 265 270
His Tyr Ile Asp Gly Pro His Cys Val Lys Thr Cys Pro Ala Gly Val
275 280 285
Met Gly Glu Asn Asn Thr Leu Val Trp Lys Tyr Ala Asp Ala Gly His
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Val Cys His Leu Cys His Pro Asn Cys Thr Tyr Gly Cys Thr Gly Pro
305 310 315 320
Gly Leu Glu Gly Cys Pro Thr Asn Gly Pro Lys Ile Pro Ser Ile Ala
325 330 335
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340 345 350
Ile Gly Leu Phe Met
355

<210> 167
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> T2A
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1 5 10 15
Gly Pro

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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> P2A
<400> 168
Gly Ser Gly Ala Thr Asn Phe Ser Leu Leu Lys Gln Ala Gly Asp Val
1 5 10 15
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20

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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> P2A
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115 120 125
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145 150 155 160
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165 170 175
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225 230 235 240
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245 250 255
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260 265 270
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275 280 285
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Gly

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<220>
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1 5

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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
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<400> 187
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1

<210> 188
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> anti-BCMA scFv
<400> 188
Gln Ser Ala Leu Thr Gln Pro Ala Ser Val Ser Ala Ser Pro Gly Gln
1 5 10 15
Ser Ile Ala Ile Ser Cys Thr Gly Thr Ser Ser Asp Val Gly Trp Tyr
20 25 30
Gln Gln His Pro Gly Lys Ala Pro Lys Leu Met Ile Tyr Glu Asp Ser
35 40 45
Lys Arg Pro Ser Gly Val Ser Asn Arg Phe Ser Gly Ser Lys Ser Gly
50 55 60
Asn Thr Ala Ser Leu Thr Ile Ser Gly Leu Gln Ala Glu Asp Glu Ala
65 70 75 80
Asp Tyr Tyr Cys Ser Ser Asn Thr Arg Ser Ser Thr Leu Val Phe Gly
85 90 95
Gly Gly Thr Lys Leu Thr Val Leu Gly Ser Arg Gly Gly Gly Gly Ser
100 105 110
Gly Gly Gly Gly Ser Gly Gly Gly Gly Ser Leu Glu Met Ala Glu Val
115 120 125
Gln Leu Val Gln Ser Gly Ala Glu Met Lys Lys Pro Gly Ala Ser Leu
130 135 140
Lys Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gly Tyr Thr Phe Ile Asp Tyr Tyr Val
145 150 155 160
Tyr Trp Met Arg Gln Ala Pro Gly Gln Gly Leu Glu Ser Met Gly Trp
165 170 175
Ile Asn Pro Asn Ser Gly Gly Thr Asn Tyr Ala Gln Lys Phe Gln Gly
180 185 190
Arg Val Thr Met Thr Arg Asp Thr Ser Ile Ser Thr Ala Tyr Met Glu
195 200 205
Leu Ser Arg Leu Arg Ser Asp Asp Thr Ala Met Tyr Tyr Cys Ala Arg
210 215 220
Ser Gln Arg Asp Gly Tyr Met Asp Tyr Trp Gly Gln Gly Thr Leu Val
225 230 235 240
Thr Val Ser Ser
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15
【配列表】
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