(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025202
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】CD269(BCMA)に対するヒト化抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230214BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230214BHJP
C07K 16/46 20060101ALI20230214BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230214BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230214BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230214BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230214BHJP
C12N 5/12 20060101ALI20230214BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20230214BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230214BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230214BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20230214BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230214BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20230214BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/46
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/12
A61K31/7088
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K47/68
A61K35/12
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194533
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2020142486の分割
【原出願日】2015-04-30
(31)【優先権主張番号】14166729.5
(32)【優先日】2014-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】504439274
【氏名又は名称】マックス-デルブリュック-ツェントルム フューア モレキュラーレ メディツィン イン デア ヘルムホルツ-ゲマインシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(72)【発明者】
【氏名】オーデン,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】マリーノ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ダウムケ,オリバー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】CD269(BCMA)に結合することによりCD269とそのネイティブリガンド(BAFF及びAPRIL)との間の相互作用を破壊するヒト化抗体又は抗体フラグメントを提供する。
【解決手段】特定の配列を有するCDR配列を含むVHドメインを含む抗体又は抗体フラグメントであって、該抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、抗体又は抗体フラグメントを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RYWX1S(H-CDR1;配列番号15)(ここで、X1:I、F、L、V、Y、C、G、A、S、Tである)、
EINPX2X3STINYAPSLKDK(H-CDR2;配列番号16)(ここで、X2X3:SS、NS、TS、GS、KS、RS、SD、SN、DEである)、及び、
SLYX4DYGDAX5DYW(H-CDR3;配列番号17)(ここで、X4:Y、L、A、V、F、I、W及び/又はX5:Y、L、F、I、V、A、Cである)、
のCDR配列を含むVHドメインを含む抗体又は抗体フラグメントであって、該抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、抗体又は抗体フラグメント。
【請求項2】
前記VHドメインがCDR配列RYWIS(配列番号18)又はRYWFS(配列番号19)を含む、請求項1に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項3】
前記VHドメインがCDR配列EINPNSSTINYAPSLKDK(配列番号20)又はEINPSSSTINYAPSLKDK(配列番号21)を含む、請求項1又は2に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項4】
前記VHドメインがCDR配列SLYYDYGDAYDYW(配列番号22)を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項5】
KASQSVX1X2NVA(L-CDR1;配列番号23)(ここで、X1X2:ES、SS、TS、QS、HS、DHである)、
SASLRFS(L-CDR2;配列番号24)、及び、
QQYNNYPLTFG(L-CDR3;配列番号25)、
のCDR配列を含むVLドメインを含む抗体又は抗体フラグメントであって、該抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、抗体又は抗体フラグメント。
【請求項6】
前記VLドメインがCDR配列KASQSVDSNVA(配列番号26)を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項7】
配列EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWX1SWVRQAPGKGLVWVGEINPX2X3STINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYX4DYGDAX5DYWGQGTLVTVSS(配列番号4)(ここで、X1:I、F、L、V、Y、C、G、A、S、T;X2X3:SS、NS、TS、GS、KS、RS、SD、SN、DE、又はSS;X4:Y、L、A、V、F、I、W;及びX5:Y、L、F、I、V、A、Cである)を含むVHドメインを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項8】
配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9による配列を含むVHドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項9】
配列EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCKASQSVX1X2NVAWYQQKPGQAPRALIYSASLRFSGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNYPLTFGAGTKLELKR(配列番号12)(ここで、X1X2:ES、SS、TS、QS、HS、DHである)を含むVLドメインを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項10】
配列番号14による配列を含むVLドメインを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項11】
配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9による配列を含むVHドメインと、配列番号14による配列を含むVLドメインとを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項12】
VHドメインを含み、該VHドメインがX1VQLX2X3SGGGLVQPGGSLX4LSCAASGX5X6FX7X8YWZ1SWVRX9APGKGLEWX10GEINPZ2SSTINYAPSLKX11X12FX13ISRDNAKNTLYLQMX14X15X16RX17EDTAX18YYCASLYYDYGDAZ3DYWGQGTX19VTVSS(配列番号41)(ここで、X1:Q、E;X2:Q、V;X3:Q、E;X4:K、R;X5:I、F;X6:D、T;X7:S、D;X8:R、D;X9:R、Q;X10:I、V;X11:D、G;X12:K、R;X13:I、T;X14:S、N;X15:K、S;X16:V、L;X17:S、A;X18:L、V;X19:S、Lであり、Z1:I又はF;Z2:S及び/又はZ3:Yの少なくとも1つである)による配列を含み、前記抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメント。
【請求項13】
VLドメインを含み、該VLドメインがDIVMTQSX1X2X3X4X5X6SVGDX7VX8X9TCKASQSVESNVAWYQQKPX10QX11PKX12LIX13SX14X15LRFSGVPARFX16GSGSGTDFTLTISX17LQSEDX18AX19YX20CQQYNNYPLTFGAGTKLELKR(配列番号42)(ここで、X1:Q、P;X2:R、A;X3:F、T;X4:M、L;X5:T、S;X6:T、V;X7:R、E;X8:S、T;X9:V、L;X10:R、G;X11:S、A;X12:A、L;X13:F、Y;X14:A、D;X15:S、D;X16:T、S;X17:N、S;X18:L、F;X19:E、V;X20:F、Yである)による配列を含み、前記抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、請求項1~12のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項14】
前記抗体がCD269のアミノ酸13、15、16、17、18、19、20、22、23、26、27又は32からなるエピトープに結合する、請求項1~13のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項15】
CD269(BCMA)に結合する前記抗体がBAFF-CD269及び/又はAPRIL-CD269相互作用を破壊する、請求項1~14のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項16】
前記抗体がグリコシル化されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項17】
グリカンが重鎖のAsn297でのN-結合型オリゴ糖鎖である、請求項1~16のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項18】
病原性B細胞の存在と関連する医学的障害の治療において薬剤として使用される、請求項1~17のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項19】
病原性B細胞と関連する前記医学的障害が形質細胞及び/又は記憶B細胞の疾患である、請求項1~18のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項20】
病原性B細胞と関連する前記医学的障害が形質細胞の癌、例えば多発性骨髄腫、形質細胞腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症若しくは形質細胞白血病、又はホジキン病等のBリンパ球の癌である、請求項1~19のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項21】
病原性B細胞と関連する前記医学的障害が、炎症性自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス(SLE)又はリウマチ性関節炎等の自己反応性形質細胞及び/又は自己反応性記憶B細胞と関連する自己免疫疾患である、請求項1~20のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント。
【請求項22】
治療剤と複合した請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメントを含む抗体薬物複合体(ADC)。
【請求項23】
a)請求項1~21のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメントをコードし、
配列番号1~31並びに41及び42による配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードし、
配列番号32~36の配列又は配列フラグメントを含む、
ヌクレオチド配列を含む核酸分子、
b)a)によるヌクレオチド配列に相補的な核酸分子、
c)a)又はb)によるヌクレオチド配列と機能的に類似/同等であるのに十分な配列同一性、又はa)又はb)によるヌクレオチド配列と少なくとも80 %、若しくは90 %、若しくは95 %の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子、
d)遺伝コードのためにa)~c)によるヌクレオチド配列へと縮重した核酸分子、並びに、
e)a)~d)によるヌクレオチド配列と機能的に類似/同等である、欠失、付加、置換、転座、逆位及び/又は挿入により修飾されたa)~d)のヌクレオチド配列による核酸分子、
を含む群から選択される核酸分子。
【請求項24】
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体又は抗体フラグメントを産生することが可能であり、及び/又は請求項23に記載の核酸分子を含む細菌細胞又は哺乳動物細胞、又はハイブリドーマ細胞若しくは細胞株である宿主細胞。
【請求項25】
薬学的に許容可能な担体とともに請求項1~21のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメント、請求項23に記載の核酸分子、請求項22に記載のADC又は請求項24に記載の宿主細胞を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD269(BCMA)に結合することによりCD269とそのネイティブリガンド(BAFF及びAPRIL)との間の相互作用を破壊するヒト化抗体又は抗体フラグメント、並びに多発性骨髄腫及び自己免疫疾患等の形質細胞媒介性疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
B細胞成熟抗原(BCMA)は腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリー(TNFRSF)のメンバー17である。そのネイティブリガンドは、(更なるリガンドとの相互作用により)液性免疫、B細胞発生及びホメオスタシスの様々な局面の調整に関与するB細胞活性化因子(BAFF;BLyS又はTALL-1、TNFSF13Bとも呼ばれる)及び増殖誘導リガンド(APRIL、TNFSF13、CD256)である。
【0003】
BCMAは、例えば骨髄のB細胞非ホジキンリンパ腫である多発性骨髄腫(MM)、及びMMよりも侵攻性が高く、形質細胞障害の全症例のおよそ4 %を占める形質細胞白血病(PCL)において悪性形質細胞で高度に発現される。MM及びPCLに加えて、BCMAはホジキンリンパ腫を患う患者においてホジキン細胞及びリードシュテルンベルク細胞でも検出されている(非特許文献1)。形質細胞に対するその機能と同様に、BCMAに結合するリガンドは、BCMAを発現する多発性骨髄腫細胞の成長及び生存を調節することが示されている(非特許文献2)。BCMAを介したBAFF及びAPRILのシグナル伝達は悪性形質細胞に対する生存促進因子(pro-survival factors)と考えられる。したがって、BCMA陽性腫瘍細胞の枯渇及び/又はリガンド-受容体相互作用の破壊が、多発性骨髄腫及び自己抗体依存性自己免疫疾患の治療転帰を改善するはずである。
【0004】
現在、多発性骨髄腫の治療には様々なアプローチが利用可能である(非特許文献3)。化学療法は大半の被験体で多発性骨髄腫の部分制御しかもたらさず、化学療法が完全な寛解をもたらすことは極めて稀である。したがって、一般にデキサメサゾン又はプレドニソン等のコルチコステロイドの付加的な投与を伴う併用アプローチが適用されることが多い。しかしながらコルチコステロイドは骨密度の低下等の副作用が問題となる。自身の幹細胞を使用する(自家)又は近親者若しくは適合非血縁ドナーからの細胞を使用する(同種)、幹細胞移植も提案されている。多発性骨髄腫では大半の移植は自家方式で行われる。かかる移植は、治癒的ではないにしても特定の患者を延命することが示されている(非特許文献4)。代替的には、サリドマイド及びその誘導体が近年治療に適用されているが、これらは最適以下の成功率及び高コストを伴う。ごく最近では、プロテアソーム阻害剤ボルテゾミブ(PS-341)が再発性及び難治性MMの治療に承認され、単独で又は確立されている薬物との組合せで多数の臨床試験に使用されており、有望な臨床転帰をもたらしている(非特許文献5、非特許文献6)。併用治療のコストは相応に高く、成功率には依然として大きな改善の余地が残されている。また、治療選択肢の組合せは複数の薬剤を同時に使用した場合の副作用の蓄積のために理想的ではない。形質細胞疾患、特に多発性骨髄腫の治療に対する新規のアプローチが必要とされている。
【0005】
形質細胞を特異的に標的化する能力は自己免疫疾患の治療にも大きな利益となる。軽症型の自己免疫疾患は、通常は初めに非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)又は疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)で治療される。活動性疾患に起因した臓器機能不全を伴う、より重症型の全身性エリテマトーデス(SLE)は、通常は周期細胞(cycling cells)を標的とする細胞傷害剤であるシクロホスファミド等の強力な免疫抑制剤と併せたステロイドで治療される。最近になって、自己免疫疾患の患者の血清中に高レベルで見られるサイトカインBAFFを標的とする抗体であるベリムマブが、SLEにおけるその使用について食品医薬品局(FDA)による承認を受けている。しかしながら、ヒトにおける生存については新たに形成されたB細胞のみがBAFFに依存し、記憶B細胞及び形質細胞は選択的BAFF阻害の影響を受けにくい(非特許文献7)。関節リウマチ(RA)については、TNF阻害剤が初めて認可された生物学的作用物質であり、アバタセプト、リツキシマブ及びトシリズマブ等が続いて認可されている。これらは関節の炎症及び破壊に関与する主要炎症経路を抑制するが、部分的免疫抑制による感染リスクの上昇が代償として生じる(非特許文献8、非特許文献9)。これらの生物製剤の承認にもかかわらず、RA及びSLEを患う患者は、例えばリツキシマブ及び高用量グルココルチコイド及びシクロホスファミド療法によるCD20媒介性剥離に抵抗性を示す、長寿命の固着性形質細胞の骨髄における存在に関連する可能性が最も高い自己免疫マーカーの持続性を示すことが多い。
【0006】
CD269(BCMA)に結合する抗体及び様々なB細胞関連医学的障害の治療におけるそれらの使用が当該技術分野で記載されている。Ryanet al(非特許文献10)は、BCMAタンパク質のアミノ酸5~54のペプチドを用いたラットのワクチン接種により得られる抗BCMA抗体を記載している。特許文献1はキメラ抗体及びヒト化抗体等のBCMA結合タンパク質、BCMAとのBAFF及び/又はAPRILの相互作用を遮断するためのそれらの使用、並びに多発性骨髄腫等の形質細胞悪性腫瘍の治療におけるそれらの潜在的使用を記載している。特許文献1に開示される抗体は、BCMAタンパク質のアミノ酸4~53の組み換えペプチドを用いたマウスのワクチン接種によって得られるものであった。特許文献2も、好ましくはBCMAの細胞外ドメインに結合する様々な抗体、並びにB細胞媒介性医学的状態及び障害の治療におけるそれらの使用を開示する。特許文献3及び特許文献4は、BCMA及び付加的な標的の両方に結合する二価抗体、並びにB細胞関連医学的障害の治療におけるそれらの潜在的使用を開示している。二価抗体の結合特性及び特異的エピトープに関する詳細はいずれの開示にも提示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2012/163805号
【特許文献2】国際公開第2010/104949号
【特許文献3】国際公開第2002/066516号
【特許文献4】国際公開第2012/066058号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Chiu et al. (2007) Blood 109:729-739
【非特許文献2】Novak et al. (2004) Blood 103:689-694
【非特許文献3】Raab et al. (2009) Lancet 374:324-339
【非特許文献4】Suzuki (2013) Jpn J Clin Oncol 43:116-124
【非特許文献5】Richardson et al. (2003) New Engl J Med 348:2609-2617
【非特許文献6】Kapoor et al. (2012) Semin Hematol 49:228-242
【非特許文献7】Jacobi et al. (2010) Arthritis Rheum 62:201-210
【非特許文献8】Chan et al. (2010) Nat Rev Immunol 10:301-316
【非特許文献9】Keyser (2011) Curr Rheumatol Rev 7:77-87
【非特許文献10】Molecular Cancer Therapeutics, 2007 6(11), 3009
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術を考慮すると、本発明の基礎となる技術的課題は多発性骨髄腫及び自己免疫疾患等の病原性形質細胞と関連するヒト疾患の治療に好適な作用物質を提供することであった。この課題は独立請求項の特徴によって解決される。本発明の好ましい実施の形態は、従属請求項によって提示される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的はCD269(BCMA)、特にCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに結合するヒト化抗体又は抗体フラグメントを提供することである。
【0011】
本明細書に開示される抗体は、キメラ抗体J22.9-xiに関して記載される適切なリガンド親和性を維持する特に好ましいVL及びVH結合領域のヒト化配列を含む。
【0012】
本発明の様々な実施の形態において、上記ヒト化配列を得るためのアミノ酸配列修飾は元のキメラ抗体J22.9-xiのCDR領域又はフレームワーク領域のいずれかにおいて行われ、ここでフレームワーク領域は免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、CDRよりも「可変」でないタンパク質の可変ドメイン中の領域として理解される。
【0013】
実に驚くべきことに、本明細書で提供される特定のヒト化配列、好ましくは結合に関与するVL及びVH領域のCDR領域は実験例で実証されるように特異的な強い結合を示し、それらの所望の治療効果を維持する程度まで元のキメラ抗体J22.9-xiの結合特徴を維持していた。
【0014】
したがって、本発明は、RYWX1S(H-CDR1;配列番号15)(ここで、X1:I、F、L、V、Y、C、G、A、S、Tである)、
EINPX2X3STINYAPSLKDK(H-CDR2;配列番号16)(ここで、X2X3:SS、NS、TS、GS、KS、RS、SD、SN、DEである)、及び/又は、
SLYX4DYGDAX5DYW(H-CDR3;配列番号17)(ここで、X4:Y、L、A、V、F、I、W及び/又はX5:Y、L、F、I、V、A、Cである)、
のCDR配列を含むVHドメインを含む抗体又は抗体フラグメントであって、該抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、抗体又は抗体フラグメントに関する。
【0015】
特に驚くべきことに、元のキメラ抗体と比較して配列変化、特に該キメラ抗体のCDRに配列変化を示す本明細書に記載のヒト化抗体は、それらの標的に対して治療有効性に十分な結合特性を維持する。
【0016】
ヒト化変異体の結合特徴が元のキメラ抗体又はマウス抗体と同様であることは当業者には予期せぬものであっただろう。可変ドメイン、特にCDRにおける配列変化を考えると、本明細書で実証されるヒト化配列の有益な結合特徴は驚くべき技術的効果とみなされる。部分ヒト化抗体と完全ヒト化抗体との結合特徴の比較により、完全ヒト化配列における改善も示される。これは全く予期せぬ結果である。キメラ(部分ヒト化)に対する初期修飾は、幾らかの結合親和性の喪失を引き起こした。しかしながら、更なるヒト化の導入が続いて結合の増大をもたらすため、「完全ヒト化」配列は元のキメラと比較して同様の結合特性を示し、そのためこのように大きな配列修飾を行った後に結合親和性の多大な喪失なしに驚くべき技術的効果が示される。
【0017】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、VHドメインがCDR配列RYWIS(配列番号18)又はRYWFS(配列番号19)を含むことを特徴とする。
【0018】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、上記VHドメインがCDR配列EINPNSSTINYAPSLKDK(配列番号20)又はEINPSSSTINYAPSLKDK(配列番号21)を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明の更なる実施の形態では、VHドメインのアミノ酸54は任意の所与のアミノ酸又は修飾アミノ酸に関連し得る。下記実施例に示されるように、この残基でのNアミノ酸の潜在的グリコシル化は、標的エピトープへの抗体の特異的な強い結合をほとんど破壊しない。この情報を考慮すると、本発明は任意の所与のアミノ酸又は修飾アミノ酸がCDR2配列中のVHドメインのアミノ酸54に存在し得る、本明細書に記載されるCDR2配列を含む抗体又は抗体フラグメントに関する。
【0020】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは上記VHドメインがCDR配列SLYYDYGDAYDYW(配列番号22)を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明は更に、KASQSVX1X2NVA(L-CDR1;配列番号23)(ここで、X1X2:ES、SS、TS、QS、HS、DHである)、
SASLRFS(L-CDR2;配列番号24)、及び/又は、
QQYNNYPLTFG(L-CDR3;配列番号25)、
のCDR配列を含むVLドメインを含む抗体又は抗体フラグメントであって、該抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、抗体又は抗体フラグメントに関する。
【0022】
LC配列に関しても、驚くべきことにCDR3配列の修飾配列はBCMA標的への結合に対する有害作用をほとんど有しなかった。
【0023】
さらに、本発明の抗体は溶液中で、単離若しくは精製した場合に、又はin vitro及び投与後にin vivoでも予期せぬ有益な安定性特徴を示すが、これは元のキメラ抗体に対して行った配列変化からは予期せぬものであった。
【0024】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、VLドメインがCDR配列KASQSVDSNVA(配列番号26)を含むことを特徴とする。
【0025】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、配列EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWX1SWVRQAPGKGLVWVGEINPX2X3STINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYX4DYGDAX5DYWGQGTLVTVSS(配列番号4)(ここで、X1:I、F、L、V、Y、C、G、A、S、T;X2X3:SS、NS、TS、GS、KS、RS、SD、SN、DE、好ましくはSS;X4:Y、L、A、V、F、I、W;及びX5:Y、L、F、I、V、A、Cである)を含むVHドメインを含む。
【0026】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9による配列を含むVHドメインを含むことを特徴とする。
【0027】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、配列EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCKASQSVX1X2NVAWYQQKPGQAPRALIYSASLRFSGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNYPLTFGAGTKLELKR(配列番号12)(ここで、X1X2:ES、SS、TS、QS、HS、DHである)を含むVLドメインを含む。
【0028】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、配列番号14による配列を含むVLドメインを含む。
【0029】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9による配列を含むVHドメインと、配列番号14による配列を含むVLドメインとを含む。
【0030】
本発明は更に、VHドメインを含み、該VHドメインがX1VQLX2X3SGGGLVQPGGSLX4LSCAASGX5X6FX7X8YWZ1SWVRX9APGKGLEWX10GEINPZ2SSTINYAPSLKX11X12FX13ISRDNAKNTLYLQMX14X15X16RX17EDTAX18YYCASLYYDYGDAZ3DYWGQGTX19VTVSS(配列番号41)(ここで、X1:Q、E;X2:Q、V;X3:Q、E;X4:K、R;X5:I、F;X6:D、T;X7:S、D;X8:R、D;X9:R、Q;X10:I、V;X11:D、G;X12:K、R;X13:I、T;X14:S、N;X15:K、S;X16:V、L;X17:S、A;X18:L、V;X19:S、Lであり、Z1:I、F、L、V、Y、C、G、A、S、T、好ましくはI又はF;Z2:S、N、T、G、K、R、D、好ましくはS及び/又はZ3:Y、L、F、I、V、A、C、好ましくはYの少なくとも1つである)による配列を含み、前記抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、本明細書に記載の抗体又は抗体フラグメントに関する。
【0031】
本実施の形態は様々なヒト化抗体、特にそのVH配列、本明細書に記載のCDRにおいて行われる有利なヒト化によって規定される全ての変異体を包含する。
【0032】
本発明は更に、VLドメインを含み、該VLドメインがDIVMTQSX1X2X3X4X5X6SVGDX7VX8X9TCKASQSVESNVAWYQQKPX10QX11PKX12LIX13SX14X15LRFSGVPARFX16GSGSGTDFTLTISX17LQSEDX18AX19YX20CQQYNNYPLTFGAGTKLELKR(配列番号42)(ここで、X1:Q、P;X2:R、A;X3:F、T;X4:M、L;X5:T、S;X6:T、V;X7:R、E;X8:S、T;X9:V、L;X10:R、G;X11:S、A;X12:A、L;X13:F、Y;X14:A、D;X15:S、D;X16:T、S;X17:N、S;X18:L、F;X19:E、V;X20:F、Yである)による配列を含み、前記抗体又はそのフラグメントがCD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに特異的に結合する、本明細書に記載の抗体又は抗体フラグメントに関する。本実施の形態は様々なヒト化抗体、特にそのVL配列、本明細書に記載のCDRにおいて行われる有利なヒト化によって規定される全ての変異体を包含する。
【0033】
ヒト化抗体変異体に関する好ましい実施の形態
本明細書で詳細に開示されるように、J22.9-xiによる本発明の好ましい実施の形態の配列は、ヒト被験体への投与により適合する試薬を提供するためにヒト化されている。J22.9-xiの様々なヒト化配列変異体を生成し、ヒト及びカニクイザルCD269(BCMA)の両方に対するそれらの結合親和性及び特異性について試験した。結合アッセイによる結果から、ヒト化配列がキメラ試薬J22.9-xiの所望の結合特性を維持することが実証される。下記配列において、下線の領域はCDR又は推定CDRを表す。
【0034】
ヒト化VH変異体に関する好ましい実施の形態
本発明のヒト化抗体配列に関する付加的な情報を下記に提示する。
【0035】
キメラ配列:
HCマウス(配列番号1):
QVQLQQSGGGLVQPGGSLKLSCAASGIDFSRYWMSWVRRAPGKGLEWIGEINPDSSTINYAPSLKDKFIISRDNAKNTLYLQMSKVRSEDTALYYCASLYYDYGDAMDYWGQGTSVTVSS
【0036】
HCマウス配列はキメラ抗体J22.9-xiのために最初に開発された重鎖(VH)の可変領域であり、CD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに結合することが可能なマウス抗体から得られるVL及びVHドメインを含み、該VL及びVHドメインはそれぞれヒトCL及びCHドメインに融合している。
【0037】
部分ヒト化配列:
HC部分ヒト化(配列番号2):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFDDYWMSWVRQAPGKGLEWVGEINPDSSTINYAPSLKGRFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYYDYGDAMDYWGQGTLVTVSS
【0038】
HC部分ヒト化配列は本明細書に開示されるキメラ抗体と比較して(アミノ酸置換により)修飾されたアミノ酸配列であり、VL及びVH結合領域はヒトへの投与により好適なものとなるように、それらの配列に関して修飾されている。
【0039】
ヒト化VH配列:
hHC01(配列番号3):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWMSWVRQAPGKGLVWVGEINPDSSTINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYYDYGDAMDYWGQGTLVTVSS
【0040】
翻訳後修飾モチーフが除去されたヒト化VH配列:
hHC02(配列番号4):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWX1SWVRQAPGKGLVWVGEINPX2X3STINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYX4DYGDAX5DYWGQGTLVTVSS
ここで、
X1:I、F、L、V、Y、C、G、A、S、T、好ましくはI又はF;
X2X3:SS、NS、TS、GS、KS、RS、SD、SN、DE、好ましくはSS;
X4:Y、L、A、V、F、I、W、好ましくはY;及び/又は、
X5:Y、L、F、I、V、A、C、好ましくはYである。
【0041】
「hHC01」及び「hHC02」ヒト化配列は、元のキメラ配列及び本明細書に記載される部分ヒト化配列の両方と比較して配列変化を含む新規のアミノ酸配列である。
【0042】
PTM突然変異は、有利な結合特性を維持しながら潜在的に有害な翻訳後修飾モチーフを上記タンパク質から除去することを意図したものである。hHC01及びhHC02の1、5、6、19、27、28、34、39、46、48、54、69、84、85、86、88、93、107及び/又は115位は、好ましくは元のキメラ配列と比較して突然変異(置換)している。置換の重要性は元の(originating)アミノ酸ではなく、主に得られるアミノ酸に関連する。したがって、変化は元のキメラアミノ酸、又は部分ヒト化配列等の他の変異体の対応するアミノ酸から行うこともできる。
【0043】
以下の置換はキメラ(配列番号1)配列と比較して新規である:
HC(VH)配列のアミノ酸M34が任意のアミノ酸、好ましくはI、L、F、V、Y、C、G、A、S、Tで置換される;
HC(VH)配列のアミノ酸E46がVで置換される;
HC(VH)配列のアミノ酸D54及びS55が任意のアミノ酸の組合せ、好ましくはSS、TS、GS、KS、RS、SD、SN、DEで置換される;
HC(VH)配列のアミノ酸Y101が任意のアミノ酸、好ましくはL、A、V、F、I、Wで置換される;及び/又は、
HC(VH)配列のアミノ酸M107が任意のアミノ酸、好ましくはL、Y、F、I、V、A、Cで置換される。
【0044】
BCMAとの直接相互作用に必要とされる残基で修飾され得る配列:
hHC03 - BCMAとの相互作用に関与する修飾アミノ酸(配列番号5):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYX1MX2WVRQAPGKGLVX3VGX4INPDSSTINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASX5X6X7DYGDX8MDYWGQGTLVTVSS
ここで好ましいアミノ酸は、
X1:W、F、Y、好ましくはW;
X2:S、T、N、Q、D、E、好ましくはS;
X3:W、F、Y、好ましくはW;
X4:E、Q、好ましくはE;
X5:L、I、V、G、A、好ましくはL;
X6:Y、X、好ましくはY;
X7:Y、F、L、I、V、M、好ましくはY;及び/又は、
X8:A、G、V、好ましくはAである。
【0045】
「hHC03」ヒト化配列は、元のキメラ配列及び部分ヒト化配列の両方と比較してアミノ酸配列変化を含む新規のアミノ酸配列である。これらの配列変化は、有利な結合特性を維持しながら置換することができる、BCMA標的に結合するアミノ酸における潜在的変化を反映することを意図したものである。置換の重要性は元のアミノ酸ではなく、主に得られるアミノ酸に関連する。したがって、変化は元のキメラアミノ酸又は他の変異体の対応するアミノ酸から行うこともできる。
【0046】
例えば、
HC(VH)配列のアミノ酸W33がW、F、Yである;
HC(VH)配列のアミノ酸S35がS、T、N、Q、D、Eである;
HC(VH)配列のアミノ酸W47がW、F、Yである;
HC(VH)配列のアミノ酸E50がE、Qである;
HC(VH)配列のアミノ酸L99がL、I、V、G、Aである;
HC(VH)配列のアミノ酸Y100がY、Xである;
HC(VH)配列のアミノ酸Y101がY、F、L、I、V、Mである;及び/又は、
HC(VH)配列のアミノ酸A106がA、G、Vである。
【0047】
概して、ヒト化中に行われるCDR領域に対する任意の変化は、フレームワーク配列とは独立して全体として考えた場合にCDR配列の特徴とみなすこともできる。かかる修飾CDR配列は、本明細書に記載されるフレームワーク領域全体との関連で又はそれとは独立して本発明の決定的特徴とみなすことができる。例えば、hHC01~hHC03中の下線によって特定されるCDR配列は、周辺フレームワーク配列とは独立して本発明の決定的特徴とみなすことができる。
【0048】
ヒト化HC(VH)配列の具体例:
hHC04(配列番号6):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWISWVRQAPGKGLVWVGEINPNSSTINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYYDYGDAYDYWGQGTLVTVSS
hHC05(配列番号7):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWFSWVRQAPGKGLVWVGEINPNSSTINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYYDYGDAYDYWGQGTLVTVSS
hHC06(配列番号8):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWISWVRQAPGKGLVWVGEINPSSSTINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYYDYGDAYDYWGQGTLVTVSS
hHC07(配列番号9):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSRYWFSWVRQAPGKGLVWVGEINPSSSTINYAPSLKDKFTISRDNAKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCASLYYDYGDAYDYWGQGTLVTVSS
【0049】
アラインメント:
HC配列内の様々な置換位置のCLUSTAL W(1.83)多重配列アラインメントから、
図8の適切な配列比較が得られる。「一般配列」はHC配列を表し、各々のXは任意の所与のアミノ酸に対する潜在的アミノ酸変化を表す。好ましいアミノ酸置換は潜在的突然変異位置の各々について上に記載されるものである。
【0050】
ヒト化VL変異体に関する好ましい実施の形態
キメラ配列:
LCマウス(配列番号43):
DIVMTQSQRFMTTSVGDRVSVTCKASQSVDSNVAWYQQKPRQSPKALIFSASLRFSGVPARFTGSGSGTDFTLTISNLQSEDLAEYFCQQYNNYPLTFGAGTKLELKR
【0051】
LCマウス配列はキメラ抗体J22.9-xiのために最初に開発された軽鎖(VL)の可変領域であり、CD269(BCMA)の細胞外ドメインのエピトープに結合することが可能なマウス抗体から得られるVL及びVHドメインを含み、該VL及びVHドメインはそれぞれヒトCL及びCHドメインに融合している。
【0052】
部分ヒト化配列:
LC部分ヒト化(配列番号10):
DIVMTQSPATLSVSVGDEVTLTCKASQSVDSNVAWYQQKPGQAPKLLIYSDDLRFSGVPARFSGSGSGTDFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNYPLTFGAGTKLELKR
【0053】
LC部分ヒト化配列は本発明の実施例に開示されるキメラ抗体と比較して(アミノ酸置換により)修飾された配列であり、VL及びVH結合領域はヒトへの投与により好適なものとなるように、それらの配列に関して修飾されている。
【0054】
ヒト化VL配列:
hLC01(配列番号11):
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCKASQSVDSNVAWYQQKPGQAPRALIYSASLRFSGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNYPLTFGAGTKLELKR
【0055】
翻訳後修飾モチーフが除去されたヒト化VL配列:
hLC02(配列番号12):
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCKASQSVX1X2NVAWYQQKPGQAPRALIYSASLRFSGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNYPLTFGAGTKLELKR
ここで、
X1X2:ES、SS、TS、QS、HS、DH、好ましくはESである。
【0056】
「hLC01」及び「hLC02」ヒト化配列は、元のキメラ配列及び本明細書に記載される部分ヒト化配列の両方と比較してアミノ酸配列変化を含む新規のアミノ酸配列である。
【0057】
PTM突然変異は、有利な結合特性を維持しながら潜在的に有害な翻訳後修飾モチーフを上記タンパク質から除去することを意図したものである。hLC01及びhLC02の1、8、9、10、13、15、17、19、20、21、22、30、41、43、45、49、58、63、70、77、83、85及び/又は87位は元のキメラ配列と比較して、好ましくは突然変異(置換)している。置換の重要性は元のアミノ酸ではなく、主に得られるアミノ酸に関連する。したがって、変化は元のキメラアミノ酸又は他の変異体の対応するアミノ酸から行うこともできる。
【0058】
以下の置換はキメラ配列及び部分ヒト化配列に対して新規である:
LC(VL)配列のアミノ酸D1がEで置換される;
LC(VL)配列のアミノ酸V15がPで置換される;
LC(VL)配列のアミノ酸D17がEで置換される;
LC(VL)配列のアミノ酸V19がAで置換される;
LC(VL)配列のアミノ酸T22がSで置換される;
LC(VL)配列のアミノ酸D30及びS31が任意のアミノ酸の組合せ、好ましくはES、SS、TS、QS、HS、DHで置換される;
LC(VL)配列のアミノ酸V58がIで置換される;及び/又は、
LC(VL)配列のアミノ酸D70がEで置換される。
【0059】
CDR結合領域においてBCMAとの相互作用に必要とされる残基で修飾され得る配列:
hLC03 - BCMAとの相互作用に関与する修飾アミノ酸(配列番号13):
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCKASQSVDX1X2VX3WX4QQKPGQAPRALIX5X6AX7X8RX9SGIPARFSGSX10X11GTEFTLTISSLQSEDFAVYYCX12QX13NNX14PX15TFGAGTKLELKR
ここで好ましいアミノ酸は、
X1:S、H、T、N、D、Q;
X2:N、E、Q;
X3:A、G、V、S、T、L、I;
X4:Y、F、L、I、V、A、G;
X5:Y、F、L;
X6:S、T;
X7:S、T、D、N、H、E、Q;
X8:L、V、I、M;
X9:F、L、I、V、Y、M;
X10:G、X;
X11:S、X;
X12:Q、V、L、I、M;
X13:Y、F、L、I、Q;
X14:Y、F、R、Q、K;及び/又は、
X15:L、I、V、Fである。
【0060】
「hLC03ヒト化配列」は、元のキメラ配列及び部分ヒト化配列の両方と比較してアミノ酸配列変化を含む新規のアミノ酸配列である。これらの配列変化は、有利な結合特性を維持しながら置換することができる、BCMA標的に結合するアミノ酸における潜在的変化を反映することを意図したものである。置換の重要性は元のアミノ酸ではなく、主に得られるアミノ酸に関連する。したがって、変化は元のキメラアミノ酸又は他の変異体の対応するアミノ酸から行うこともできる。
【0061】
例えば、
LC(VL)配列のアミノ酸S31がS、H、T、N、D、Qである;
LC(VL)配列のアミノ酸N32がN、E、Qである;
LC(VL)配列のアミノ酸A34がA、G、V、S、T、L、Iである;
LC(VL)配列のアミノ酸Y36がY、F、L、I、V、A、Gである;
LC(VL)配列のアミノ酸Y49がY、F、Lである;
LC(VL)配列のアミノ酸S50がS、Tである;
LC(VL)配列のアミノ酸S52がS、T、D、N、H、E、Qである;
LC(VL)配列のアミノ酸L53がL、V、I、Mである;
LC(VL)配列のアミノ酸F55がF、L、I、V、Y、Mである;
LC(VL)配列のアミノ酸G66がG、Xである;
LC(VL)配列のアミノ酸S67がS、Xである;
LC(VL)配列のアミノ酸Q89がQ、V、L、I、Mである;
LC(VL)配列のアミノ酸Y91がY、F、L、I、Qである;
LC(VL)配列のアミノ酸Y94がY、F、R、Q、Kである;及び/又は、
LC(VL)配列のアミノ酸L96がL、I、V、Fである。
【0062】
概して、CDR領域に対する任意の変化は、フレームワーク配列とは独立して全体として考えた場合にCDR配列の特徴とみなすこともできる。かかる修飾CDR配列は、本明細書に記載されるフレームワーク領域全体との関連で又はそれとは独立して本発明の決定的特徴とみなすことができる。例えば、hLC01~hLC03中の下線によって特定されるCDR配列は、それらの非修飾又は置換形態で周辺フレームワーク配列とは独立して本発明の決定的特徴とみなすことができる。
【0063】
ヒト化LC配列の例:
hLC04(配列番号14):
EIVMTQSPATLSVSPGERATLSCKASQSVESNVAWYQQKPGQAPRALIYSASLRFSGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNYPLTFGAGTKLELKR
【0064】
アラインメント:
LC配列内の様々な潜在的修正部位のCLUSTAL W(1.83)多重配列アラインメントから、
図9の適切な配列比較が得られる。「一般配列」はLC配列を表し、各々のXは潜在的アミノ酸変化を表す。好ましいアミノ酸置換は潜在的突然変異位置の各々について上に記載されるものである。
【0065】
本発明はしたがって、hHC01、hHC02、hHC03、hHC04、hHC05、hHC06、hHC07、hLC01、hLC02、hLC03及び/又はhLC04、又はそれらの任意の所与の組合せによるヒト化配列に関する。
【0066】
本明細書で提案される任意の所与の潜在的変異体残基(「一般」配列中のXによって特定される)の考え得る全ての潜在的修飾の組合せが本発明によって包含される。これらの様々な置換の1つ又は複数を組み合わせることにより、最初に開発され、本明細書で実証されたキメラ抗体の所望の結合特性を示すヒト化変異体を生成することができる。本明細書に記載される抗体又はその一部は、明示的に開示されるか又は配列式によって開示されるヒト化配列と少なくとも80 %、好ましくは90 %の配列同一性を有する配列も包含する。
【0067】
抗体エピトープに関する好ましい実施の形態
本発明はしたがって、CD269(BCMA)に結合する単離抗体又は抗体フラグメントであって、該抗体がCD269(BCMA)の残基13~32の1つ又は複数のアミノ酸を含むエピトープに結合する、単離抗体又は抗体フラグメントに関する。
【0068】
CD269の残基13~32のアミノ酸配列は配列番号40に示す。CD269のN末端配列は配列番号39に提示する。CD269の細胞外ドメインは配列番号38として提示する。
【0069】
配列番号38によるCD269の細胞外ドメインを含む抗原を、本明細書に記載されるマウス抗体及びキメラ抗体の結合特異性を生じさせるためにワクチン接種に使用した。抗体生成における抗原としてのCD269タンパク質全体、又は膜結合ドメイン若しくは細胞内ドメインのいずれかを含むそのフラグメントの使用は、CD269の潜在(concealed)ドメイン又は細胞内ドメインに結合し、それによりかかる作用物質を治療用途に不適切又は不利益なものとする抗体を生じる可能性がある。本発明の抗体はしたがって、CD269の細胞外部分へのそれらの結合により規定される。細胞外ドメイン内の特異的エピトープは、本発明の好ましい新規の予期せぬ特徴(characterising feature)でもある。
【0070】
マウス抗体又はキメラ抗体から調製したFabフラグメントを精製BCMA細胞外ドメインと複合して結晶化し、複合体構造を解明した。構造分析から、本発明の抗体のエピトープ及びその生物学的関連性の詳細な情報が明らかになった。本発明の抗体による細胞外ドメインのCD269(BCMA)の残基13~32の1つ又は複数のアミノ酸を含むエピトープの結合は、この領域がCD269の2つの天然リガンドであるBAFF及びAPRILの結合部位との顕著な重複を示すため有利な特性である。これまでに当該技術分野で記載されている抗CD269抗体は、BAFF及びAPRIL結合部位とのこのような広範な重複を示していない。
【0071】
一実施の形態では、本発明の単離抗体又は抗体フラグメントは、抗体がCD269(BCMA)のアミノ酸13、15、16、17、18、19、20、22、23、26、27又は32の1つ又は複数を含むエピトープに結合することを特徴とする。別の実施の形態では、本発明の単離抗体又は抗体フラグメントは、抗体がCD269(BCMA)のアミノ酸13、15、16、17、18、19、20、22、23、26、27及び32からなるエピトープに結合することを特徴とする。本明細書で提示される結晶構造データによって特定されるように、これらの残基は本発明の抗体と直接相互作用するアミノ酸である。これらの残基のナンバリングは、CD269のN末端配列を規定する配列番号39に対して行われた。
【0072】
本発明の一実施の形態では、単離抗体又は抗体フラグメントは、CD269(BCMA)に結合する抗体がBAFF-CD269及び/又はAPRIL-CD269相互作用を破壊することを特徴とする。
【0073】
CD269の細胞外ドメインへの本発明の抗体の結合によりBAFF-CD269相互作用が破壊される。APRIL及びBAFFの結合部位が抗体エピトープと同様の部位に位置することから、CD269への抗体の結合によりAPRIL-CD269相互作用も遮断される。
【0074】
結晶構造が解明され、それらの相互作用部位がマッピングされているAPRIL及びBAFFの結合部位との本発明の抗体の特異的エピトープの比較により、天然リガンド及び本明細書に記載される抗体の結合部位における広範な重複が明らかである。これにより本発明の有益な予期せぬ態様であり、BAFF-CD269及び/又はAPRIL-CD269相互作用の信頼性の高い効果的な破壊が可能となる。
【0075】
本発明はしたがって、抗体がCD269(BCMA)の残基13、15、17、18、19、22、26、27、30、31、32、33、34、35の1つ又は複数のアミノ酸を含む、特にアミノ酸13、15、17、18、19、22、26、27、32からなるエピトープへの結合によってAPRIL-CD269相互作用を破壊する、本明細書に記載される単離抗体又は抗体フラグメントに関する。これらのアミノ酸はCD269上のAPRILの結合部位、並びに本明細書に記載される抗体及びAPRILのそれぞれに結合するCD269の重複残基に対応する。
【0076】
本発明はしたがって、別の実施の形態において、抗体がCD269(BCMA)の残基13、15、16、17、18、19、22、25、26、27、29、30、31、32、34、35の1つ又は複数のアミノ酸を含むエピトープ、特にアミノ酸13、15、16、17、18、19、22、26、27、32からなるエピトープへの結合によってBAFF-CD269相互作用を破壊する、本明細書に記載される単離抗体又は抗体フラグメントに関する。これらのアミノ酸はCD269上のBAFFの結合部位、並びに本明細書に記載される抗体及びBAFFのそれぞれに結合するCD269の重複残基に対応する。
【0077】
CD269とのAPRIL又はBAFFの相互作用を同様に潜在的に破壊する、CD269に結合する抗体が当該技術分野で記載されているが、かかる抗体の特異的エピトープに関する関連の開示は提示されていない。以前に記載されている抗体が同様に本発明の抗体のような広範な重複によりエピトープに結合すると想定することはできない。CD269とのAPRIL又はBAFFの相互作用が破壊されることが示されているが、これは大幅に異なるエピトープの結合及びその後のAPRIL又はBAFFドッキングの立体障害のために潜在的に生じる可能性がある。従来技術の抗体によって引き起こされるCD269とのAPRIL又はBAFFの相互作用の破壊の程度は、これまでに報告されていない。
【0078】
本発明の抗体は効果的な信頼性の高い破壊を可能にし、これは潜在的に当該技術分野で記載される抗体と比較して改善された技術的効果である。in vitro遮断アッセイを、BAFF及び/又はAPRIL破壊の決定及び比較のために、例えばヒトBCMAの細胞外ドメイン及び組み換えBAFF又はAPRILを用いて行うことができる。
【0079】
好ましい実施の形態では、本明細書に記載の抗体によって示される高い親和性と組み合わせたエピトープ特異性は新規の予期せぬ技術的効果である。要するに、J22.9抗体及びそのヒト化変異体の例外的に高い親和性が天然リガンドの結合の「破壊」又は「遮断」をもたらすだけでなく、むしろ本発明の抗体の極めて高い親和性により、抗体が存在する場合にネイティブリガンドがそれらのBCMA標的への結合から本質的に完全に又はほぼ完全に除外されることが確実となる。
【0080】
下記実施例に開示されるように、本明細書に記載されるヒト化抗体の親和性は驚くほど高く、従来技術において試みられた同様のアプローチよりも比較的良好である。pM範囲のKd(下記に示す)は一般に、慣行では予期されない優れた親和性として認められる。
【0081】
別の態様では、本発明のヒト化抗体又は抗体フラグメントはCD269に高親和性で結合し、例えばBiacore等の表面プラズモン共鳴によって測定した場合に、抗体はヒトCD269に100 nM、90 nM、80 nM、70 nM、60 nM、50 nM、40 nM、30 nM以下若しくは20 nM以下の親和性、又は15 nM以下の親和性、又は5 nM以下の親和性、又は1000 pM以下の親和性、又は500 pM以下の親和性、又は100 pM以下若しくは80 pM以下、若しくは例えば約50 pMの親和性で結合する。
【0082】
更なる実施の形態では、抗体はBiacore等の表面プラズモン共鳴によって測定した場合に約1 pM~約100 nM、又は約100 pM~約50nM、又は約200 pM~約20 nMの親和性でヒトCD269に結合する。
【0083】
本発明の更に好ましい実施の形態
一実施の形態では、本発明はCD269標的と直接相互作用するアミノ酸の1つ若しくは複数、及び/又は水相互作用によって相互作用する1つ若しくは複数のアミノ酸によって規定されるアミノ酸配列を含む抗体又は抗体フラグメントに関する(表1~表6を参照されたい)。エピトープへの本明細書に記載される抗体の結合に関与する多数の水相互作用は結合の独特な驚くべき態様である。特に、抗体とエピトープとの間の結合表面に関与する多数の水相互作用と組み合わせた本明細書に記載される特定のエピトープに対する抗体の高い親和性は、本発明の驚くべき予期せぬ態様である。
【0084】
本発明はしたがって、配列が本明細書に開示されるキメラに対する又は本明細書に開示されるヒト化配列変異体の対応する残基に対する軽鎖のSer31、Asn32、Tyr36、Ser50、Ser52、Gly66、Gln89、Tyr91及び/又はTyr94、及び/又は重鎖のTrp33、Ser35、Trp47、Glu50、Leu99及び/又はTyr101を含む群から選択される表5による水架橋を介した標的エピトープとの相互作用表面に関与する特定のアミノ酸残基の存在を特徴とする、本明細書に記載のアミノ酸配列を含む抗体又は抗体フラグメントに関する。
【0085】
抗体の水架橋形成に関する実施例をJ22.9-xiキメラを用いて行ったが、本発明者らは、試験した元のキメラ抗体と比較したヒト化変異体における結合特徴の維持のために、この技術的効果が本発明のヒト化変異体において維持されることを主張する。重鎖では突然変異した水架橋残基はY101のみであるが、その水相互作用は主鎖(すなわち骨格)原子に関わり、したがって突然変異によって側鎖が変化しないと合理的に想定することができる。軽鎖では水架橋に関与する残基の突然変異は見られない。
【0086】
本発明の抗体は、本明細書に記載される抗体との水架橋を介した相互作用に関与するエピトープのアミノ酸残基を更に特徴とし得る。関連の特徴を表5に提示する。本発明はしたがって、例えば一実施の形態において、軽鎖の残基Ser31が水分子を介してCD269のThr32と相互作用することを特徴とする。このような本発明の抗体の結合特性の説明は表5に提示される各々の相互作用を対象としたものである。
【0087】
さらに、直接側鎖相互作用を水「架橋」を代償にして配列に「代用する」ために「水架橋」相互作用に関与する1つ又は複数の残基が修飾された、本明細書に記載される抗体の配列変異体が本発明に包含される。例えば、水を相互作用界面から外すが、相互作用の親和性に実質的に影響を及ぼさない突然変異又は変化をアミノ酸配列中に生じさせることができる。本発明はしたがって、配列が本明細書に開示されるキメラに対する又は本明細書に開示されるヒト化配列変異体の対応する残基に対する軽鎖のSer31、Ser31、Asn32、Tyr36、Ser50、Ser52、Gly66、Gln89、Tyr91及び/又はTyr94、及び/又は重鎖のTrp33、Ser35、Trp47、Glu50、Leu99及び/又はTyr101を含む群から選択される表5による水架橋を介した標的エピトープとの相互作用表面に関与するこれらのアミノ酸残基の配列変異を特徴とする、本明細書に記載のアミノ酸配列を含む抗体又は抗体フラグメントに関する。本明細書に記載されるヒト化抗体の対応する位置での変異は、任意の所与のアミノ酸置換、好ましくは水を相互作用から効果的に外すが、エピトープ親和性及び特異性に関して同様の結合特性を維持するアミノ酸置換と関連し得る。
【0088】
本発明の一実施の形態では、単離抗体又は抗体フラグメントは抗体がグリコシル化され、好ましくはN-結合型オリゴ糖鎖を好ましくは重鎖のAsn297に含むことを特徴とする。
【0089】
抗体のグリコシル化は抗体への炭水化物又はグリカンの付着を指す。N-結合型グリカンはアスパラギン又はアルギニン側鎖の窒素に付着する。標的タンパク質に付着した炭水化物鎖は様々な機能を果たす。例えば、一部のタンパク質は初めにグリコシル化されない限り正確にフォールディングしない。また、タンパク質においてアスパラギンのアミド窒素に連結した多糖は一部の分泌糖タンパク質に対して安定性をもたらし得る。グリコシル化はこの場合、適当なフォールディングに厳密な要件ではないが、非グリコシル化タンパク質はより急速に分解される可能性がある。
【0090】
本発明の実施例において実証されるように、実施例で開示される抗体の脱グリコシル化はグリコシル化形態の抗体と比較して治療効果の低減をもたらす。驚くべきことに、グリコシル化が抗体の活性の維持において重要な役割を果たしていた。グリコシル化はしたがって、予期せぬ技術的利点と関連する本発明の好ましい実施の形態である。
【0091】
本明細書の実施例において実証されるように、J22.9-xi-N-グリカン(脱グリコシル)で治療した動物の総腫瘍細胞量はアイソタイプ対照抗体を与えた動物とは有意に異ならないが、これらのマウスの寿命はisoAb治療群と比較して実質的に増大した。J22.9-xi-N-グリカンがADCC又はCDCを誘導し得ないことが示されているため、この結果からBCMAへのJ22.9-xiの結合のみが腫瘍成長を妨げることが示唆される。これは受容体とそのネイティブリガンド(APRIL及びBAFF)との間の相互作用の遮断によるものであると合理的に考えることができる。本発明の本態様及び本明細書に記載される抗体は驚くべき技術的効果を表すが、この効果は従来技術の抗体では得ることができなかった。J22.9-xi-N-グリカン(脱グリコシル化)は記載の実験において、潜在的治療効果について評価されるADCC又はCDCの下流効果なしにその標的エピトープへの抗体の結合を可能にする対照サンプルとみなすことができる。したがって、好ましくはグリコシル化される本発明の抗体は天然リガンドによる結合の防止(又は顕著な破壊)を可能にし、細胞傷害性をもたらすこのような効果的なエピトープ結合を実証する。本明細書に記載される抗体のこの特徴は、当該技術分野で記載の同様の抗体については記載されていなかった。
【0092】
抗体のグリコシル化に関する実施例をJ22.9-xiキメラを用いて行ったが、本発明者らは、試験される元のキメラ抗体と比較したヒト化変異体における結合特徴の維持のために、この技術的効果が本発明のヒト化変異体において維持されることを主張する。グリコシル化の好ましい位置(重鎖のAsn297)は突然変異残基のいずれとも直接的な関連性を有さず、完全IgGのヒト定常領域中にある。したがって、キメラ抗体と比較してJ22.9変異体のいずれにもこの位置でのグリコシル化パターンの違いはないと想定するのは合理的である。
【0093】
本発明の使用及び機能的態様
本発明の抗体は本明細書に記載されるエピトープに結合し、このエピトープの天然リガンドの相互作用を遮断し、CDC及びADCCを誘導することが可能である。
【0094】
抗体依存性細胞介在性細胞傷害(ADCC)は、所望の治療効果を生じる本発明の抗体によって誘導される一因子である。ADCCは細胞媒介性免疫防御機構であり、これにより免疫系のエフェクター細胞が膜表面抗原に特異抗体が結合した標的細胞を能動的に溶解する。本発明の抗体がCD269発現細胞に結合することでADCCが誘導され得る。古典的ADCCはナチュラルキラー(NK)細胞によって媒介され、マクロファージ、好中球及び好酸球もADCCを媒介し得る。ADCCは先の抗体応答に依存することから適応免疫応答の一部である。マウスにおける実験により、ADCCが本明細書に記載される治療抗体の重要な作用機構であると示すことができる。
【0095】
本発明の好ましい実施の形態は、病原性B細胞の存在と関連する医学的障害の治療において薬剤として使用される、本明細書に記載の単離抗体又は抗体フラグメントに関する。
【0096】
本発明の一実施の形態では、医学的障害は好ましくは病原性B細胞と関連するCD269関連障害であり、好ましくは形質細胞及び/又は記憶B細胞の疾患である。
【0097】
形質細胞の疾患は形質細胞の癌、例えば多発性骨髄腫、形質細胞腫、ワルデンストレームマクログロブリン血症又は形質細胞白血病であり得る。形質細胞の疾患はホジキン病等のBリンパ球の癌であり得る。
【0098】
本発明の一実施の形態では、医学的障害は炎症性自己免疫疾患、例えば全身性エリテマトーデス又はリウマチ性関節炎等の自己反応性形質細胞及び/又は自己反応性記憶B細胞と関連する自己免疫疾患である。
【0099】
本発明はしたがって、好ましくはかかる治療を必要とする被験体への治療有効量の抗体の投与を含む、本明細書に開示される医学的障害の治療方法も包含する。
【0100】
本発明の更なる態様は、本明細書に記載される抗体又は抗体フラグメントを含む抗体薬物複合体(ADC)に関する。抗CD269抗体薬物複合体「抗CD269 ADC」は治療剤と複合した抗CD269抗体又はそのフラグメントと説明することができる。幾つかの実施の形態では、ADCは抗CD269抗体(例えば、本明細書に記載されるJ22.9-xiのヒト化変異体)を含む。
【0101】
本明細書に記載されるADC又はADC誘導体は、癌又は自己免疫障害等のCD269を発現する医学的状態を有する被験体に投与した場合に、CD269発現細胞に対して臨床的に有益な効果をもたらす。一実施の形態では、得られるADC又はADC誘導体が好ましくは細胞により取り込まれた又は内在化した場合にCD269発現癌細胞に対して細胞傷害効果を発揮するように、抗CD269抗体又はその誘導体を細胞傷害剤と複合させる。
【0102】
抗CD269 ADC又はADC誘導体は好ましくはCD269発現細胞内に内在化して蓄積し、そこでADC又はADC誘導体が治療効果(例えば細胞傷害効果)を発揮する。抗体又は抗体誘導体との複合に特に好適な部分は化学療法剤、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体若しくは化合物、又は毒素である。例えば、抗CD269抗体又はその誘導体は化学療法剤等の細胞傷害剤又は毒素(例えば、細胞増殖抑制剤又は細胞破壊剤)と複合させることができる。
【0103】
本発明の別の態様は、好ましくは、
a)上述の請求項のいずれか一項に記載の単離抗体又は抗体フラグメントをコードし、
配列番号1~31並びに41及び42による配列からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードし、
配列番号32~36の配列又は配列フラグメントを含む、
ヌクレオチド配列を含む核酸分子、
b)a)によるヌクレオチド配列に相補的な核酸分子、
c)a)又はb)によるヌクレオチド配列と機能的に類似/同等であるのに十分な配列同一性、好ましくはa)又はb)によるヌクレオチド配列と少なくとも80 %、好ましくは90 %、より好ましくは95 %の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸分子、
d)遺伝コードのためにa)~c)によるヌクレオチド配列へと縮重した核酸分子、並びに、
e)a)~d)によるヌクレオチド配列と機能的に類似/同等である、欠失、付加、置換、転座、逆位及び/又は挿入により修飾されたa)~d)のヌクレオチド配列による核酸分子、
からなる群から選択される単離核酸分子に関する。
【0104】
本発明の更なる態様は、本明細書に記載の抗体又は抗体フラグメントを産生することが可能であり、及び/又は本明細書に記載の核酸分子を含む細菌細胞又は哺乳動物細胞、好ましくはハイブリドーマ細胞又は細胞株等の宿主細胞に関する。
【0105】
本発明の更なる態様は、薬学的に許容可能な担体とともに本明細書に記載の単離抗体又は抗体フラグメント、本明細書に記載の核酸分子、又は本明細書に記載の宿主細胞を含む医薬組成物に関する。
【0106】
本発明の付加的な驚くべき態様は、本明細書に開示される抗体の安定性の改善である。抗体は結合親和性を何ら喪失することなく適切な条件下で長時間容易に保管することができる。-80℃又は4℃での保管後の活性の維持に関して適切な試験を行うことで、抗体の予期せぬ良好な安定性及び上述の両方の温度での保管後の活性の維持が実証された(
図3c)。この安定性の改善はキメラ抗体、また驚くべきことにそのヒト化変異体について明らかである。予期せぬことに、ヒト化変異体の安定性は長期保管下のキメラについても改善される。
【0107】
本明細書に記載される抗体の更なる利点は、実施例において実証されるように骨髄腫細胞の効果的な全身的枯渇である。従来技術において以前に開示されている抗体が所望の抗形質細胞効果を全身的に示すことは実証されていない。従来技術の抗体に対して行われた研究は、骨髄腫細胞の皮下注射及びその後の単離細胞塊の治療しか開示していない。本発明は実施例において実証されるように、i.v.注射後に癌性多発性骨髄腫細胞の全身的枯渇が可能な抗体を提供する。標的化細胞の効果的な枯渇は本発明の抗体の有益な特性のみならず、これまで従来技術において実証されていなかった技術的効果である。
【0108】
発明の詳細な説明
本明細書で使用される場合、「抗体」は概して、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子のフラグメントによって実質的にコードされる1つ又は複数のポリペプチドからなるタンパク質を指す。「抗体」という用語が使用される場合、「抗体フラグメント」という用語への言及とみなすこともできる。認識される免疫グロブリン遺伝子としては、κ、λ、α、γ、δ、ε及びμ定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖はκ又はλとして分類される。重鎖はγ、μ、α、δ又はεとして分類され、これらは免疫グロブリンクラスIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEをそれぞれ規定する。基本免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体又は二量体を含むことが知られている。各々の四量体は2つの同一のポリペプチド鎖対から構成され、各々の対は1つの「軽」(L)鎖(約25 kD)及び1つの「重」(H)鎖(約50 kD~70 kD)を有する。各鎖のN末端は約100~110以上のアミノ酸の可変領域を規定し、主に抗原認識に関与する。「可変軽鎖」及び「可変重鎖」という用語は、軽鎖及び重鎖のそれぞれのこれらの可変領域を指す。任意に、抗体又は抗体の免疫部分を他のタンパク質との融合タンパク質として化学的に複合するか又は発現することができる。
【0109】
本発明の抗体は哺乳動物、特にヒトのタンパク質標的に対して結合することを意図したものである。タンパク質名の使用はマウス又はヒトのいずれかのバージョンのタンパク質に対応し得る。
【0110】
「特異的結合」は当業者に理解され、当業者は結合及び結合特異性の試験に使用することができる様々な実験手順を明らかに認識する。幾らかの交差反応又はバックグラウンド結合が多くのタンパク質間相互作用において不可避である可能性があるが、抗体とエピトープとの間の結合の「特異性」を損なうものではない。「に対する(directed against)」という用語も抗体とエピトープとの間の相互作用を理解する上で「特異性」という用語を考察する際に適用可能である。
【0111】
本発明の抗体としては、元の結合特性を保持する限りにおいて、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体若しくはキメラ抗体、単鎖可変フラグメント(ssFv)、シングルドメイン抗体(ナノボディに由来するVHHフラグメント等)、一本鎖フラグメント(scFv)、Fabフラグメント、F(ab')2フラグメント、Fab発現ライブラリーにより作製されるフラグメント、抗イディオタイプ抗体及びエピトープ結合フラグメント、又は上記のいずれかの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。ミニ抗体、並びにダイアボディ(diabodies)、トリアボディ(triabodies)、四価抗体及びペプタボディ(peptabodies)等の多価抗体を本発明の方法に使用することもできる。本発明の免疫グロブリン分子は任意のクラス(すなわちIgG、IgE、IgM、IgD及びIgA)又はサブクラスの免疫グロブリン分子であり得る。このため、抗体という用語は本明細書で使用される場合、全抗体の修飾によって作製されるか、又は組み換えDNA方法論を用いてデノボ合成される抗体及び抗体フラグメントも含む。
【0112】
本発明の抗体の1つ若しくは複数のCDR又は該抗体に由来する1つ若しくは複数のCDRを含むヒト化抗体は、当該技術分野で既知の任意の方法を用いて作製することができる。例えば、4つの一般的工程を用いてモノクローナル抗体をヒト化することができる。これらの工程は、(1)出発抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインのヌクレオチド及び予測アミノ酸配列を決定すること、(2)ヒト化抗体を設計すること、すなわちどの抗体フレームワーク領域をヒト化プロセスに使用するかを決定すること、(3)実際のヒト化方法論/技法、並びに(4)ヒト化抗体のトランスフェクション及び発現である。例えば米国特許第4,816,567号、同第5,807,715号、同第5,866,692号、同第6,331,415号、同第5,530,101号、同第5,693,761号、同第5,693,762号、同第5,585,089号、同第6,180,370号、同第5,225,539号、同第6,548,640号を参照されたい。
【0113】
ヒト化抗体という用語は、免疫グロブリンのフレームワーク領域の少なくとも一部及び任意にCDR領域又は結合に関与する他の領域の一部がヒト免疫グロブリン配列に由来するか、又はヒト免疫グロブリン配列に適合されていることを意味する。ヒト化、キメラ又は部分ヒト化バージョンのマウスモノクローナル抗体は、H鎖及びL鎖をコードするマウス及び/又はヒトゲノムDNA配列、又はH鎖及びL鎖をコードするcDNAクローンから逸脱して、例えば組み換えDNA技術を用いて作製することができる。マウス抗体のヒト化形態は、組み換えDNA法により非ヒト抗体のCDR領域をヒト定常領域に連結することによって生成することができる(Queen et al., 1989、国際公開第90/07861号)。代替的には、本発明の方法に使用されるモノクローナル抗体はヒトモノクローナル抗体であってもよい。ヒト抗体は例えばファージディスプレイ法(国際公開第91/17271号、国際公開第92/01047号)を用いて得ることができる。
【0114】
本明細書で使用される場合、ヒト化抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する特定のキメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又はそのフラグメント(Fv、Fab、Fab'、F(ab')2、又は抗体の他の抗原結合部分配列(subsequences)等)である非ヒト(例えばネズミ、ラクダ、ラマ、サメ)抗体の形態も指す。
【0115】
本明細書で使用される場合、ヒト抗体又はヒト化抗体は、ヒトによって産生される抗体に対応するアミノ酸配列を有し、及び/又は当該技術分野で既知の若しくは本明細書に開示されるヒト抗体を作製する技法のいずれかを用いて作製された抗体を意味する。ヒト抗体は競合的結合実験又は別の形で、特定のマウス抗体と同じエピトープ特異性を有するように選択することができる。本発明のヒト化抗体は驚くべきことに、マウス抗体とかなりの程度まで共通の有用な機能特性を有する。ヒトポリクローナル抗体は免疫原(immunogenic agent)で免疫化したヒトから血清の形態で得ることもできる。任意に、かかるポリクローナル抗体は、アミロイド原線維及び/又は非線維性ポリペプチド若しくはそのフラグメントを親和性試薬として使用した親和性精製によって濃縮することができる。モノクローナル抗体は国際公開第99/60846号に記載の技法に従って血清から得ることができる。
【0116】
本発明は、標的への選択的結合に好適な認識分子又は親和性試薬における本明細書に記載される抗体又はそのフラグメント、例えば可変領域の使用に更に関する。本発明による親和性試薬、抗体又はそのフラグメントはPEG化されていてもよく、PEG化は本発明の抗体へのポリエチレングリコール(PEG)ポリマー鎖の共有結合的付着を指す。PEG化は標的分子とのPEGの反応性誘導体のインキュベーションによって日常的に達成することができる。抗体に対するPEG化は作用物質を宿主の免疫系から潜在的に遮蔽することができ、免疫原性及び抗原性の低減をもたらすか、又は作用物質の流体力学的サイズを増大させ、腎クリアランスを低減することによりその循環時間を延長することができる。
【0117】
抗体の可変領域は、単独又は組合せでの抗体軽鎖の可変領域又は抗体重鎖の可変領域を指す。重鎖及び軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によって接続した4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖におけるCDRは、他の鎖のCDRとともにFRによってごく接近して結び付けられ、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定する技法は、(1)種間配列変異性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al. Sequences of Proteinsof Immunological Interest, (5th ed., 1991, National Institutes of Health,Bethesda Md.))、及び(2)抗原抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-lazikani et al. (1997) J.Molec. Biol. 273:927-948)と少なくとも2つある。本明細書で使用される場合、CDRはいずれかのアプローチ又は両方のアプローチの組合せによって規定されるCDRを指す可能性がある。
【0118】
幾つかの実施の形態では、本発明は本発明の抗体の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ又はそれ以上のCDRと実質的に同一の少なくとも1つのCDR、少なくとも2つ、少なくとも3つ又はそれ以上のCDRを含む抗体を提供する。他の実施の形態は、本発明の抗体の又は本発明の抗体に由来する少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRと実質的に同一の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRを有する抗体を含む。幾つかの実施の形態では、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのCDRは、本発明の抗体の少なくとも1つ、2つ又は3つのCDRと少なくとも約85 %、86 %、87 %、88 %、89 %、90 %、95 %、96 %、97 %、98 %又は99 %同一である。本発明の目的上、活性の程度は上記抗体と比較して異なる(より大きい又は小さい)場合があるが、結合特異性及び/又は全体活性は概して保持されることが理解される。
【0119】
抗体の半減期及び細胞傷害能は、主にFcドメインと種々のFc-γ受容体との相互作用に依存する。抗体半減期の場合、胎児性Fc受容体(FcRn)が重要な役割を果たす。この受容体は、血清タンパク質をそれらの回収エンドソームに取り込むことが可能な単球及び血管内皮細胞等の幾つかの細胞型及び組織で発現される。エンドソームにおいてはpHがおよそ6まで低下し、これらの条件下で抗体はFcRnに結合することが可能である。この相互作用により、抗体が血液中に再び放出され、生理的pHにより受容体への結合が破壊されるまで分解から保護される(Roopenian andAkilesh (2007) Nat Rev Immunol 7:715-725)。pH 6でのFcRnに対する抗体の親和性が高いほど、その抗体の半減期は大きくなる。この相互作用を安定化することが知られるFcフラグメント突然変異はPresta (2008, Curr Opin Immunol20:460-470)にまとめられている。
【0120】
治療抗体はそれらの標的に結合することで幾つかの機構を介して作用することができる。結合自体によりシグナル伝達が誘発され、プログラム細胞死がもたらされ得る(Chavez-Galan et al. (2009) Cell Mol Immunol 6:15-25)。治療抗体は、受容体又はリガンドのいずれかに結合することによって受容体とそのリガンドとの相互作用を遮断することもできる。この妨害により生存に重要なシグナルが影響を受ける場合、アポトーシスが引き起こされ得る(非特許文献1)。細胞の枯渇に関して2つの主要エフェクター機構が既知である。第1の機構は標的細胞に対する補体依存性細胞傷害(CDC)である。3つの異なる経路が既知である。しかしながら抗体の場合、CDCに重要な経路はC1qがIgG又はIgMの定常領域に結合することによって開始する古典的経路である(Wang and Weiner (2008) Expert Opin Biol Ther 8:759-768)。
【0121】
第2の機構は抗体依存性細胞傷害(ADCC)と呼ばれる。このエフェクター機能は、それぞれの抗体のアイソタイプに対してFc受容体を発現する免疫細胞の動員を特徴とする。ADCCは主に、IgG分子に単独で又は免疫複合体として結合することが可能なFc-γ受容体(FcγR)の活性化によって媒介される。マウスは3つ(FcγRI、FcγRIII及びFcγRIV)、ヒトは5つ(FcγRI、FcγRIIA、FcγRIIC、FcγRIIIA及びFcγRIIIB)の活性化Fcγ受容体を示す。これらの受容体は顆粒球、単球、マクロファージ、樹状細胞及びナチュラルキラー細胞のような自然免疫細胞で発現され、これにより自然免疫系と適応免疫系とが連携する。細胞型に応じて、抗体標識標的細胞の認識の際のFcgR保有細胞の幾つかの作用様式が存在する。顆粒球は概して血管作動性物質及び細胞傷害性物質又は化学誘引物質を放出するが、食作用も可能である。単球及びマクロファージは食作用、酸化的バースト、細胞傷害性又は炎症性サイトカインの放出により応答し、ナチュラルキラー細胞はグランザイム及びパーフォリンを放出し、標的細胞上のFAS及びそれらのFasリガンドとの相互作用により細胞死を誘発する場合もある(Nimmerjahn and Ravetch (2008) Nat Rev Immunol 8:34-47、Wang and Weiner (2008) Expert Opin Biol Ther 8:759-768、Chavez-Galan et al. (2009) Cell Mol Immunol 6:15-25)。
【0122】
抗体依存性細胞傷害(ADCC)は、活性化Fc-γ受容体(FcγR)へのFcドメインの結合を増強することによって改善することもできる。これはPresta (2008, Curr Opin Immunol 20:460-470)にまとめられているように、Fc-γドメインの突然変異によっても達成され得る。
【0123】
ADCCを変化させる別の方法は、Asn297で各IgGに存在する糖部分の操作である。脱フコシル化(Defucosylation)及び糖分子の末端からのシアル酸の除去は、抗体の細胞傷害能を増大することが知られている(Anthony and Ravetch (2010) J Clin Immunol 30 Suppl 1:S9-14)。
【0124】
例えば特許請求される%配列同一性によって規定され、上記の本発明の特性を維持する特許請求される核酸、タンパク質及び抗体の配列変異体も本発明の範囲内に含まれる。代替配列を示すが、提示される特定の配列と本質的に同じ標的特異性等の結合特性を維持するこのような変異体は機能的類似体として、又は機能的に類似しているとして既知である。配列同一性は、配列アラインメントを行った場合の同一のヌクレオチド又はアミノ酸のパーセンテージに関する。
【0125】
遺伝コードの縮重の結果として、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする多くのヌクレオチド配列が存在することが当業者には理解されるであろう。これらのポリヌクレオチドの一部は、任意のネイティブ遺伝子のヌクレオチド配列に対して最小の相同性又は配列同一性を保有する。それにもかかわらず、コドン使用頻度の差異によって変動するポリヌクレオチドは本発明によって具体的に企図される。記載の配列同一性に該当する欠失、置換及び配列中の他の変化も本発明に包含される。
【0126】
置換によって生じ得るタンパク質配列修飾も本発明の範囲内に含まれる。本明細書で規定される置換はタンパク質のアミノ酸配列に対して行われる修飾であり、1つ又は複数のアミノ酸が同じ数の(異なる)アミノ酸で置き換えられ、好ましくはタンパク質の機能が顕著に変更されることなく一次タンパク質とは異なるアミノ酸配列を含有するタンパク質が生じる。付加と同様、置換は天然又は人為的なものであり得る。タンパク質の機能を顕著に変更することなくアミノ酸置換を行うことができることは当該技術分野で知られている。これは修飾が同様の特性の別のアミノ酸への1つのアミノ酸の置換である「保存的」アミノ酸置換に関する場合に特に当てはまる。かかる「保存」アミノ酸はサイズ、電荷、極性及び立体構造のために、タンパク質の構造及び機能に顕著に影響を及ぼすことなく置換され得る天然又は合成アミノ酸であり得る。多くのアミノ酸がタンパク質の機能に有害な影響を及ぼすことなく保存的アミノ酸によって置換され得ることが多い。
【0127】
概して、非極性アミノ酸Gly、Ala、Val、Ile及びLeu、非極性芳香族アミノ酸Phe、Trp及びTyr、中性極性アミノ酸Ser、Thr、Cys、Gln、Asn及びMet、正電荷アミノ酸Lys、Arg及びHis、負電荷アミノ酸Asp及びGluが保存的アミノ酸群である。このリストは包括的なものではない。例えばAla、Gly、Ser、場合によってCysは異なる群に属するにもかかわらず互いに置き換えることができることが知られている。
【0128】
置換変異体では、抗体分子中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、異なる残基がその位置に挿入されている。置換突然変異誘発に最も興味深い部位として超可変領域が挙げられるが、FRの変更も企図される。かかる置換により生物活性の変化が生じる場合、真下の表で「例示的置換」と称されるか、又はアミノ酸クラスに関連して下記で更に説明されるより大きな変化が導入される可能性があり、生成物がスクリーニングされる。
【0129】
【0130】
抗体の生物学的特性の実質的修飾は、(a)置換領域における、例えばシート若しくはヘリカル構造としてのポリペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の大きさの維持に対する影響が顕著に異なる置換を選択することによって達成される。
【0131】
保存的アミノ酸置換は天然のアミノ酸に限定されず、合成アミノ酸も含む。一般に使用される合成アミノ酸は、中性非極性類似体である様々な鎖長のωアミノ酸及びシクロヘキシルアラニン、中性非極性類似体であるシトルリン及びメチオニンスルホキシド、芳香族中性類似体であるフェニルグリシン、負電荷類似体であるシステイン酸、並びに正電荷アミノ酸類似体であるオルニチンである。天然のアミノ酸と同様、このリストは包括的なものではなく、当該技術分野で既知の置換の例示にすぎない。
【0132】
本発明の抗体は、本発明の抗体のコード配列を含む発現ベクターによる宿主細胞のトランスフェクションによって作製することができる。発現ベクター又は組み換えプラスミドは、これらの抗体のコード配列を宿主細胞における複製及び発現、及び/又は宿主細胞からの分泌を制御することが可能な従来の調節制御配列と操作的に関連して配置することによって作製される。調節配列としては、プロモーター配列、例えばCMVプロモーター、及び他の既知の抗体に由来し得るシグナル配列が挙げられる。同様に、相補的な抗体軽鎖又は重鎖をコードするDNA配列を有する第2の発現ベクターを作製することができる。幾つかの実施の形態では、この第2の発現ベクターは各々のポリペプチド鎖が機能的に発現することを可能な限り確実にするために、コード配列及び選択可能なマーカーに関する限りにおいて第1の発現ベクターと同一である。代替的には、抗体の重鎖及び軽鎖コード配列は単一ベクターに存在していてもよい。
【0133】
選択宿主細胞に第1及び第2のベクターの両方を従来の技法によって共トランスフェクトし(又は単に単一ベクターをトランスフェクトし)、組み換え又は合成軽鎖及び重鎖の両方を含む本発明のトランスフェクト宿主細胞を作り出す。次いで、トランスフェクト細胞を従来の技法によって培養し、本発明の改変抗体を産生させる。組み換え重鎖及び/又は軽鎖の両方との結合を含む抗体を、培養物からELISA又はRIA等の適切なアッセイによってスクリーニングする。同様の従来の技法を他の抗体の構築に用いることができる。
【0134】
上記方法及び本発明の組成物の構築に用いられるクローニング及びサブクローニング工程に好適なベクターを当業者は選択することができる。例えば、従来のpUCシリーズのクローニングベクターを使用してもよい。ベクターの1つであるpUC19は市販されている。かかるベクターの構成要素、例えばレプリコン、選択遺伝子、エンハンサー、プロモーター、シグナル配列等は市販若しくは天然の供給源から得るか、又は選択宿主における組み換えDNA生成物の発現及び/又は分泌の誘導に用いられる既知の手順によって合成することができる。哺乳動物、細菌、昆虫、酵母及び真菌での発現に多数のタイプが当該技術分野で知られている他の適切な発現ベクターをこの目的で選択することもできる。
【0135】
本発明は、本発明の抗体のコード配列を含有する組み換えプラスミドをトランスフェクトした細胞株も包含する。これらのクローニングベクターのクローニング及び他の操作に有用な宿主細胞も一般的である。
【0136】
本発明の抗体の発現に好適な宿主細胞又は細胞株としては、NS0、Sp2/0、CHO(例えばDG44)、COS、HEK、線維芽細胞(例えば3T3)及び骨髄腫細胞等の哺乳動物細胞が挙げられ、例えば抗体はCHO又は骨髄腫細胞において発現させることができる。ヒト細胞を使用することで、分子のヒトグリコシル化パターンによる修飾が可能となる。代替的には、他の原核又は真核細胞株を用いてもよい。好適な哺乳動物宿主細胞、並びに形質転換、培養、増幅、スクリーニング並びに生成物の産生及び精製の方法の選択は当該技術分野で既知である。
【0137】
本発明によると、ヒトCD269に結合し、その活性を中和する本発明の抗CD269抗体を作製する方法であって、抗体の重鎖をコードする第1のベクターを準備する工程と、抗体の軽鎖をコードする第2のベクターを準備する工程と、哺乳動物宿主細胞(例えばCHO)を上記第1及び第2のベクターで形質転換する工程と、工程(c)の宿主細胞を該宿主細胞から上記培養培地への抗体の分泌を促す条件下で培養する工程と、分泌された工程(d)の抗体を回収する工程とを含む、方法が提供される。発現後、抗体を所望の結合特性について本明細書に記載される方法を用いて評価することができる。
【0138】
本発明は化学療法剤、薬物、成長阻害剤、毒素(例えばタンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素活性毒素、又はそのフラグメント)、又は放射性同位体(すなわち放射性複合体(radioconjugate))等の1つ又は複数の細胞傷害剤と複合した抗体を含むが、これらに限定されない本明細書に記載される本発明による抗体を含む免疫複合体(「抗体薬物複合体」又は「ADC」と区別なく称される)を包含する。例えば本発明の抗CD269抗体薬物複合体のための治療剤とタンパク質、特に抗体とを複合する技法が既知である。(例えば、Arnon et al., "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting OfDrugs In Cancer Therapy," in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy(Reisfeld et al. eds., Alan R. Liss, Inc., 1985)、Hellstromet al., "Antibodies For Drug Delivery," in Controlled Drug Delivery(Robinson et al. eds., Marcel Dekker, Inc., 2nd ed. 1987)、Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In CancerTherapy: A Review," in Monoclonal Antibodies '84: Biological And ClinicalApplications (Pinchera et al. eds., 1985)、"Analysis,Results, and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled AntibodyIn Cancer Therapy," in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection AndTherapy (Baldwin et al. eds., Academic Press, 1995)、及びThorpeet al., 1982, Immunol. Rev. 62:119-58を参照されたい。また、例えば国際公開第89/12624号を参照されたい。)
【0139】
通例、ADC又はADC誘導体は治療剤と抗CD269抗体又はその誘導体との間にリンカー領域を含む。上で述べたように、典型的な実施の形態では、リンカーは細胞内環境においてリンカーの切断により治療剤が抗体から放出されるように細胞内条件下で切断可能である。例えば、幾つかの実施の形態では、リンカーは細胞内環境に(例えば、リソソーム又はエンドソーム又はカベオラ内に)存在する切断剤によって切断可能である。リンカーは、例えばリソソームプロテアーゼ又はエンドソームプロテアーゼを含むが、これらに限定されない細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素によって切断されるペプチジルリンカーであり得る。他の実施の形態では、切断可能リンカーはpH感受性であり、すなわち或る特定のpH値で加水分解に対して感受性を有する。通例、pH感受性リンカーは酸性条件下で加水分解性である。更に他の実施の形態では、リンカーは還元条件下で切断可能である(例えばジスルフィドリンカー)。様々なジスルフィドリンカーが当該技術分野で既知である。(例えば、Wawrzynczak et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates inRadioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987)を参照されたい。また、米国特許第4,880,935号を参照されたい。)
【0140】
通例、リンカーは細胞外環境に対して実質的に感受性を有しない。他の互いに排他的でない実施の形態では、リンカーは細胞内在化を促進する。幾つかの実施の形態では、リンカーは治療剤と複合した場合に(すなわち、本明細書に記載されるADC又はADC誘導体(derivative)のリンカー-治療剤部分の環境において)細胞内在化を促進する。更に他の実施の形態では、リンカーは治療剤及び抗CD269抗体又はその誘導体の両方と複合した場合に(すなわち、本明細書に記載されるADC又はADC誘導体の環境において)細胞内在化を促進する。本組成物及び方法とともに使用することができる様々なリンカーは、2003年7月31日付けで出願された「薬物複合体及び癌、自己免疫疾患又は感染性疾患の治療のためのそれらの使用(Drug Conjugates and Their Use for Treating Cancer, An AutoimmuneDisease or an Infectious Disease)」と題する国際公開第2004010957号、及び2002年7月31日付けで出願された「薬物複合体及び癌、自己免疫疾患又は感染性疾患の治療のためのそれらの使用」と題する米国仮出願第60/400,403号(その開示が引用することにより本明細書の一部をなす)に記載されている。
【0141】
幾つかの実施の形態では、免疫複合体は、抗体及び化学療法剤又は他の毒素を含むが、これらに限定されない本明細書に記載の抗体を含む。
【0142】
使用することができる酵素的に活性な毒素及びそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシン(modeccin)A鎖、α-サルシン、アレウリテス・フォーディ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolacca americana)タンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、モモルディカ・チャランチア(momordica charantia)阻害剤、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、サポナリア・オフィシナリス(saponaria oficinalis)阻害剤、ゲロニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)及びトリコテセン(tricothecenes)が挙げられる。種々な放射性核種は放射性複合した抗体の産生に利用可能である。
【0143】
本発明の抗体又はそのフラグメントは、カリチアマイシン、メイタンシノイド、ドラスタチン、オーリスタチン(auristatins)、トリコテシン及びCC1065、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体を含むが、これらに限定されない1つ又は複数の毒素と複合することもできる。好適な細胞傷害剤としては、ドバリン(dovaline)-バリン-ドライソロイシン(dolaisoleuine)-ドラプロイン-フェニルアラニン(MMAF)及びモノメチルオーリスタチンE(MMAE)並びにMMAEのエステル型を含むオーリスタチン、DNA副溝結合剤、DNA副溝アルキル化剤、エンジイン、レキシトロプシン、デュオカルマイシン、パクリタキセル及びドセタキセルを含むタキサン、ピューロマイシン、ドラスタチン、メイタンシノイド、並びにビンカアルカロイドが挙げられるが、これらに限定されない。具体的な細胞傷害剤としては、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、ドラスタチン-10、エキノマイシン、コンブレタスタチン(combretastatin)、カリケアマイシン(calicheamicin)、メイタンシン、DM-1、DM-4、ネトロプシンが挙げられる。他の好適な細胞傷害剤としては、抗チューブリン剤、例えばオーリスタチン、ビンカアルカロイド、ポドフィロトキシン、タキサン、バッカチン誘導体、クリプトフィシン、メイタンシノイド、コンブレタスタチン、又はドラスタチンが挙げられる。抗チューブリン剤としては、ジメチルバリン-バリン-ドライソロイシン-ドラプロイン-フェニルアラニン-p-フェニレンジアミン(AFP)、MMAF、MMAE、オーリスタチンE、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、VP-16、カンプトテシン、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンA、エポチロンB、ノコダゾール、コルチシン、コルセミド(colcemid)、エストラムスチン、セマドチン、ジスコデルモリド、メイタンシン、DM-1、DM-4又はエリュテロビンが挙げられる。
【0144】
幾つかの実施の形態では、免疫複合体はドラスタチン又はドロスタチン(dolostatin)ペプチド類似体及び誘導体、オーリスタチン(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号)と複合した抗体を含む。ドラスタチン及びオーリスタチンは微小管動態、GTP加水分解、並びに核分裂及び細胞分裂を妨げ(Woyke et al. (2001) Antimicrob. Agents and Chemother.45(12):3580-3584)、抗癌活性(米国特許第5,663,149号)及び抗真菌活性(Pettit et al. (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965)を有することが示されている。ドラスタチン又はオーリスタチン(ドラスタチンのペンタペプチド誘導体である)薬物部分は、ペプチド薬物部分のN(アミノ)末端又はC(カルボキシル)末端を介して抗体に付着させることができる(国際公開第02/088172号)。例示的なオーリスタチンの実施の形態としては、米国特許第7,498,298号「リガンドとの複合が可能なモノメチルバリン化合物(Monomethylvaline Compounds Capable of Conjugation to Ligands)」に開示されているN末端連結モノメチルオーリスタチン薬物部分DE及びDFが挙げられる。本明細書で使用される場合、略号「MMAE」はモノメチルオーリスタチンEを指す。本明細書で使用される場合、略号「MMAF」はドバリン-バリン-ドライソロイシン-ドラプロイン-フェニルアラニンを指す。
【0145】
通例、ペプチドベースの薬物部分は、2つ以上のアミノ酸及び/又はペプチドフラグメント間にペプチド結合を形成することによって調製することができる。かかるペプチド結合は、例えばペプチド化学の分野で既知の液相合成法(E. Schroder and K. Lubke, "The Peptides," volume 1, pp76-136, 1965, Academic Pressを参照されたい)に従って調製することができる。
【0146】
メイタンシノイドは、本発明による抗体又はそのフラグメントにカップリングした活性剤として使用することができる。メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂(正:itotic)阻害剤である。メイタンシンは東アフリカの低木マイテヌス・セラータ(Maytenus serrata)から初めて単離された(米国特許第3,896,111号)。続いて、幾つかの微生物がメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステル等のメイタンシノイドを産生することも発見された(米国特許第4,151,042号)。高細胞傷害性メイタンシノイド薬は、アクチノシネマ(Actinosynnema)等の微生物の発酵によって産生されるアンサマイトシン前駆体から調製することができる。抗体-メイタンシノイド複合体は、抗体又はメイタンシノイド分子のいずれの生物活性も顕著に低下させることなく、抗体をメイタンシノイド分子に化学的に連結することによって調製される。例えば、米国特許第5,208,020号を参照されたい。1つの抗体分子当たり平均3つ~4つのメイタンシノイド分子の複合が、抗体の機能又は溶解性に悪影響を与えることなく標的細胞の細胞傷害性の増強に有効性を示したが、1分子の毒素/抗体であってもネイキッド(naked)抗体の使用に比べて細胞傷害性を増強することが予期される。メイタンシノイドは当該技術分野で既知であり、既知の技法によって合成するか又は天然源から単離することができる。
【0147】
カリケアマイシンファミリーの抗生物質の選択例を、本発明による抗体又はそのフラグメントにカップリングした活性剤として使用することができる。カリケアマイシンファミリーの抗生物質は、pM以下の濃度で二本鎖DNAの切断を生じることが可能である。カリケアマイシンファミリーの複合体の調製については、米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、同第5,877,296号を参照されたい。抗体を複合させることができる別の抗腫瘍薬は抗葉酸剤のQFAである。カリケアマイシン及びQFAはどちらも細胞内に作用部位を有し、細胞膜を容易には通過しない。したがって、抗体媒介内在化によるこれらの作用物質の細胞取込みはそれらの細胞傷害効果を大幅に高める。
【0148】
抗体と複合することができる他の抗腫瘍剤としては、BCNU、ストレプトゾイシン(streptozoicin)、ビンクリスチン及び5-フルオロウラシル、米国特許第5,053,394号、同第5,770,710号に記載のLL-E33288複合体と総称される作用物質群、並びにエスペラミシン(米国特許第号5,877,296号)が挙げられる。本発明は、抗体と核酸分解活性を有する化合物(例えば、リボヌクレアーゼ又はデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)等のDNAエンドヌクレアーゼ)とで形成される免疫複合体を更に企図する。腫瘍の選択的な破壊のために、抗体は高放射性原子を含んでいてもよい。
【0149】
本発明の意味における薬学的に許容可能な担体は、本発明の抗体の生物活性の有効性を有害な程度で顕著に損なうことのない任意の非毒性の材料であり得る。明らかに、担体の特徴は投与経路によって決まる。かかる組成物は活性物質及び担体に加えて、希釈剤、充填剤、塩、バッファー、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野で既知の他の材料を含有していてもよい。薬学的に許容可能な賦形剤及び担体溶液の配合は、例えば経口、非経口、静脈内、鼻腔内及び筋肉内の投与及び配合を含む本明細書に記載される特定の組成物を様々な治療計画に使用するための好適な投薬及び治療計画の開発と同様に当業者に既知である。
【0150】
活性成分(抗体又は抗体フラグメント)を含有する医薬組成物としても知られる薬剤は、例えば錠剤、トローチ剤、舐剤、水性若しくは油性懸濁液、分散性粉末若しくは顆粒、エマルション、硬カプセル剤若しくは軟カプセル剤、又はシロップ若しくはエリキシルとしての経口使用に好適な形態であり得る。経口使用を対象とする組成物は、医薬組成物の製造について当該技術分野で既知の任意の方法に従って調製することができ、かかる組成物は薬学的に洗練された口当たりのよい調製物を得るために甘味剤、香味剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1つ又は複数の作用物質を含有していてもよい。錠剤は、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤と混合して活性成分を含有する。これらの賦形剤は例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム等の不活性希釈剤、造粒剤及び崩壊剤、例えばトウモロコシデンプン又はアルギン酸、結合剤、例えばデンプン、ゼラチン又はアラビアゴム、並びに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであり得る。錠剤はコーティングされていなくても、又は胃腸管における崩壊及び吸収を遅らせることで、より長時間にわたる作用の持続をもたらすために既知の技法によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延材料を用いることができる。これらの材料がコーティングされていてもよい。本発明は局所適用、経口摂取、吸入、又は皮膚注射、皮下注射若しくは静脈注射用の医薬組成物にも言及する。当業者は特定の適用形態に必要とされる担体及び添加剤を認識する。
【0151】
治療有効量の本発明の活性物質(抗体又は抗体フラグメント)を静脈注射、皮膚注射又は皮下注射によって投与する場合、活性物質はパイロジェンフリーの非経口で許容可能な水溶液の形態であり得る。
【0152】
本発明は、本明細書に開示される医学的障害を有する被験体の治療における治療上適切な量の本明細書に記載される抗体の投与にも関する。本明細書で使用される場合、「治療有効量」という用語は、有意義な患者の利益を示すのに十分な医薬組成物の各々の活性成分の総量又は方法を意味する。本発明の医薬組成物における活性物質の量は治療される病態の性質及び重症度、並びに患者が受けた以前の治療の性質に応じて異なる。患者に最適な治療効果が得られるまで用量を増大させて投与することができ、その時点で投与量をそれ以上増大させない。
【0153】
pH、等張性、安定性等に十分に配慮したこのような非経口的に許容可能な溶液の調製は当該技術分野における技能の範囲内である。静脈注射、皮膚注射又は皮下注射に好ましい医薬組成物は活性物質に加えて、塩化ナトリウム注射液、リンガー注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、乳酸加リンガー注射液等の等張ビヒクル、又は当該技術分野で既知の他のビヒクルを含有するものとする。本発明の医薬組成物は安定剤、保存料、バッファー、酸化防止剤、又は当業者に既知の他の添加剤を含有していてもよい。
【0154】
投与される抗体の用量は、例えば抗体の化学的性質及び薬学的処方、並びに患者の体重、体表面積、年齢及び性別、並びに投与の時間及び経路等の当該技術分野で既知の多数の因子に応じて明らかに異なる。成人については、用量は典型的には1日0.001 μg~1 g、好ましくは1日0.1 μg~100 mg、より好ましくは1日1 μg~100 mg、更により好ましくは1日5 μg~10 mgであり得る。持続注入においては、用量は典型的には体重1キログラム当たり1分間に0.01 μg~100 mg、好ましくは1 μg~10 mgであり得る。
【0155】
本発明の別の態様において、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、非分泌性多発性骨髄腫、くすぶり型多発性骨髄腫(Smolderingmultiple myeloma)、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、孤立性形質細胞腫(骨、髄外)、リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、形質細胞白血病、原発性アミロイド症(AL)、重鎖病、全身性エリテマトーデス(SLE)、POEMS症候群/骨硬化性骨髄腫、I型及びII型クリオグロブリン血症、軽鎖沈着症、グッドパスチャー症候群、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、急性糸球体腎炎、天疱瘡及び類天疱瘡障害、並びに後天性表皮水疱症、又はBCMA発現を有する任意の非ホジキンリンパ腫B細胞白血病若しくはホジキンリンパ腫(HL)又は患者が組み換えタンパク質補充療法に対して中和抗体を発生する任意の疾患から選択されるB細胞媒介性若しくは形質細胞媒介性疾患又は抗体媒介性疾患若しくは障害の治療における使用のための本明細書による抗体が提供され、上記方法は治療有効量の本明細書に記載される抗体を上記患者に投与する工程を含む。
【0156】
B細胞障害は、B細胞発生/免疫グロブリン産生の欠陥(免疫不全)及び過剰/無制限増殖(リンパ腫、白血病)に分けることができる。本明細書で使用される場合、B細胞障害は両方のタイプの疾患を指し、抗体を用いてB細胞障害を治療する方法が提供される。
【0157】
本発明の一態様では、疾患は多発性骨髄腫である。
【0158】
本明細書に記載される疾患及び障害の治療のための薬剤の製造における本明細書に記載される抗体の使用も提供される。
【0159】
例えば、本発明の一態様では、BCMAとリガンドBAFF及びAPRILとの間の相互作用の変調(阻害又は遮断等)に応答した疾患及び障害の治療又は予防への使用のための本明細書に記載される抗体の使用が提供される。
【0160】
本発明の一実施の形態において、単離抗体又は抗体フラグメントは、ホジキンリンパ腫等のBリンパ細胞癌の治療での使用を意図するものである。
【0161】
本発明の一実施の形態において、単離抗体又は抗体フラグメントは、炎症に関係する医学的障害、好ましくは炎症性のコンポーネントでの自己免疫疾患等の自己免疫疾患の治療での使用を意図するものであり、自己免疫疾患は、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎、家族性地中海熱、川崎病、結節性多発性動脈炎、皮膚結節性多発性動脈炎、肝炎に関連する動脈炎、ベーチェット症候群、ヴェーゲナー肉芽腫症、ANCA脈管炎、チャーグ-ストラウス症候群、微視的な多発性血管炎、結合組織疾患の脈管炎、ヘノッホ-シェーンライン紫斑病、クリオグロブリン血症脈管炎、皮膚の白血球崩壊性の血管炎、熱帯大動脈炎、サルコイドーシス、コーガン症候群、ウィスコット-アルドリッチ症候群、癩腫の動脈炎、CNSの限局性血管炎、閉塞性血栓性血管炎、腫瘍随伴性の動脈炎、蕁麻疹、デゴス病、骨髄異形成症候群、持続性隆起性紅斑、高免疫グロブリン血症D、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、歯周炎、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、アミロイドーシス、クロン病(morbus chron)、潰瘍性大腸炎、自己免疫の筋炎、糖尿病、多発性硬化症、ギラン-バレー症候群、組織球症、骨関節炎、アトピー性皮膚炎、歯周炎、慢性副鼻腔炎、乾癬、乾癬性関節炎、微視的な大腸炎、肺線維症、糸球体腎炎、ホイップル病、スティル病、結節性紅斑、耳炎、クリオグロブリン血症、シェーグレン症候群、紅斑性狼瘡、再生不良性貧血、骨骨髄線維症、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、木村病、全身性硬化症、慢性大動脈周囲炎、慢性前立腺炎、特発性肺線維症、慢性肉芽腫症、特発性無弛緩症、ブレオマイシン誘導肺炎症、シタラビン誘導肺炎症、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性リンパ球減少症、シャガス病、慢性自己免疫性甲状腺炎、自己免疫性肝炎、橋本甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎、グレーブス病(disease)、自己免疫性多腺性症候群、自己免疫性アディソン症候群、尋常性天疱瘡、落葉性天疱瘡、疱疹状皮膚炎、自己免疫性脱毛、白斑、抗リン脂質症候群、重症筋無力症、スティッフマン症候群、グッドパスチャー症候群、交感性眼炎、毛包炎、シャープ症候群及び/又はエバンス症候群、特に花粉症、歯周炎、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ、好適には、関節リウマチ又は多発性硬化症から選択される。
【0162】
配列
【0163】
本発明の好ましい抗体配列:
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0164】
好ましいヌクレオチド配列
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0165】
CD269(BCMA)に関する本発明の好ましい配列:
【表4】
【0166】
ヒト化配列修飾を含む好ましい一般化アミノ酸配列:
【表5】
【0167】
本発明は、本明細書に開示される実施例及び図面により例示として実証される。本明細書に提示される図面は本発明の特定の実施形態を表し、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。図面は1つ又は複数の非限定的な実施形態の技術支援を強化する、考え得る潜在的に好ましい実施形態の更なる説明を与えるものとみなされる。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【
図1】J22.9-xiのin vitro特性化を示す図である。
【
図2-1】CD269(BCMA)及びJ22.9-xiFab:CD269複合体の構造を示す図である。
【
図3】J22.9-xiのin vitro細胞傷害性を示す図である。
【
図4-1】異種移植NSGマウスにおけるJ22.9-xiの有効性を示す図である。
【
図6-1】疾患の初期段階における腫瘍治療を示す図である。
【
図7】ハイブリドーマJ22.9の不安定さを示す図である。
【
図8】J22.9-xiと比較したHCのヒト化配列の配列を示す図である。
【
図9】J22.9-xiと比較したLCのヒト化配列の配列を示す図である。
【
図10】J22.9-xiの配列最適化変異体がELISAにおいて同様の結合を示すことを示す図である。
【
図11】J22.9-xiの配列最適化変異体がフローサイトメトリーにおいて同様の結合を示すことを示す図である。
【
図13】抗体変異体のゲル電気泳動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0169】
図1:J22.9-xiのin vitro特性化。CD269陽性MM.1S細胞を用いた(a)ELISA及び(b)フローサイトメトリーにおけるBCMAへのJ22.9-xiの濃度依存性結合。(c)BCMAに対するJ22.9-xiの結合親和性を、指定濃度のBCMAを用いた表面プラズモン共鳴測定により決定した。(d)J22.9-xiは、BAFFとマイクロタイタープレートに吸着したBCMAとの間の相互作用を遮断する。
【0170】
図2:(a)CD269(BCMA)認識表面。BAFF/APRIL及びJ22.9-xiに対する結合エピトープ残基を示すCD269(BCMA)の細胞外ドメインの3つの図。上部はCD269(BCMA)の結合面に直接対する図であり、薄灰色の陰影は、それらの結晶構造から特定されるBAFF及びAPRILの結合エピトープを含む全ての残基を示し、黒色の残基(球として示される)はBAFF、APRIL又はJ22.9-xiのいずれとも接触しない。J22.9-xi結合に関与するエピトープ残基のサブセットは表面表示で示され、球として示される残りの薄灰色の残基はBAFF及びAPRILエピトープの両方の一部であるが、J22.9-xiとは直接接触しない。中央及び下部のパネルは、それぞれビューアに向かって90度及びビューアから離れて90度回転させた上部パネルと同じ表示を示す。(b)J22.9-xi Fab:CD269複合体の2つの図。J22.9-xiは薄灰色を付けた重鎖及び濃灰色の軽鎖による表面表示で示す。CD269(BCMA)はJ22.9-xi抗原ポケットに結合したリボン表示で示す。左側はFab:CD269複合体の全体図であり、右側は結合ポケットを示すようにビューアに向かって傾けた複合体である。
【0171】
図3:J22.9-xiのin vitro細胞傷害性。(a)20:1のエフェクター対標的比でヒトPBMCと混合したCD269陽性MM.1S-Luc細胞を、指定濃度のJ22.9-xiと4時間インキュベートした。白抜きの記号は、ドナー1及び2に由来するPBMCとインキュベートした場合の-N-グリカンを有しないJ22.9-xiの細胞傷害活性を示す。エラーバーはSEMを示す。(b)脱グリコシル化はMM.1S細胞へのJ22.9-xiの結合に影響を及ぼさない。(c)4℃又は-80℃で3週間のJ22.9-xiの保管は細胞傷害性に影響を及ぼさない。
【0172】
図4:異種移植NSGマウスにおけるJ22.9-xiの有効性。(a)200 μgのJ22.9-xi又は対照抗体の週2回の投与、及び無治療対照マウスによる経時的な腫瘍成長。(b)6日目~41日目の総腫瘍量((a)の曲線下面積(AUC))。SEMによる平均値をプロットする(
**P<0.01、
***P<0.001、t検定)。(c)J22.9-xi及びアイソタイプ対照マウスの全生存。P値はログランク(マンテル-コックス)検定を用いて算出した。(d-1)治療抗体を投与しない指定の群におけるMM.1S-Luc細胞の検出。右側の画像下の数(41、41、44、40)は特定のマウスが死亡した腫瘍細胞注射後の日数を示す。(d-2)21日目及び28日目の指定の群におけるMM.1S-Luc細胞の検出。背面図。(e)J22.9-xi濃度と腫瘍成長との間の関係。(f)6日目~42日目の総腫瘍細胞量((e)のAUC)。SEMによる平均値(
**P<0.01、
***P<0.001、t検定)。(g)実験タイムラインの概要。
【0173】
図5:定着腫瘍の治療。(a)200 μgのJ22.9-xi又は対照抗体の週2回の投与、及び無治療対照マウスによる経時的な腫瘍成長。(b)8日目~48日目の総腫瘍細胞量((a)のAUC)。SEMによる平均値をプロットする(
*P<0.05、
**P<0.01、t検定)。(c)J22.9-xi及びアイソタイプ対照マウスの全生存。P値はログランク(マンテル-コックス)検定を用いて算出した。実験タイムラインの概要を
図5dに提示する。
【0174】
図6:疾患の初期段階における腫瘍治療。(a)2 μg、20 μg若しくは200 μgのJ22.9-xi、又は200 μgのアイソタイプ対照抗体若しくは-N-グリカンを有しないJ22.9-xiのいずれかで治療した場合及び無腫瘍の場合の腫瘍成長の経過。(b)9日目~44日目における総腫瘍量((a)のAUC)。SEMによる平均値を示す(
*P<0.05、
**P<0.01、t検定)。(c)抗体治療及び対照異種移植SCID-Beigeマウスの生存。P値はログランク(マンテル-コックス)検定を用いて算出した。実験タイムラインの概要を
図6dに提示する。
【0175】
図7:ハイブリドーマJ22.9の不安定さ。1日目にBCMAコーティングマイクロタイタープレートでのELISAにおいてBCMAへの結合について陽性の試験したハイブリドーマJ22.9の上清。その後の指定の時点での分析から上清の結合能の低減が明らかになった。培地は7日目、14日目及び21日目に交換した。
【0176】
図8:J22.9-xiと比較したヒト化抗体の配列の要約。配列比較は標準アラインメントソフトウェアを用いて行った。
【0177】
図9:J22.9-xiと比較したヒト化抗体の配列の要約。配列比較は標準アラインメントソフトウェアを用いて行った。
【0178】
図10:キメラJ22.9-xi及びヒト化変異体の結合を、ヒトBCMA(hBCMA)又はカニクイザル(cynomolgus)BCMA(cyBCMA)をコーティングしたマイクロタイタープレートを用いたELISAによって試験した(J22.9-Hはヒト化配列の配列番号27に対応し、J22.9-FSYはヒト化及びPTM修飾配列番号28に対応し、J22.9-ISYはヒト化及びPTM修飾配列番号29に対応する)。
【0179】
図11:キメラJ22.9-xi及びヒト化変異体の結合を、ヒトMM細胞株RPMI-8226を用いたフローサイトメトリーによって試験した(J22.9-FSYはヒト化及びPTM修飾配列番号28に対応し、J22.9-ISYはヒト化及びPTM修飾配列番号29に対応する)。
【0180】
図12:SPR生データ:ヒト(
図12A)及びカニクイザル(
図12B)BCMAに対するキメラJ22.9-xi及びヒト化変異体の結合親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)分光分析によって測定した。IgGをアミン化学によってProteon GLHセンサーチップに固定化し、移動相中のBCMAを用いて結合を測定した。グラフ中の生データトレースの順序は、図面の説明文に列挙したサンプルの順序に対応する。
【0181】
図13:抗体変異体のゲル電気泳動。抗体変異体を非還元SDS-PAGEにおいて泳動し、タンパク質移動を示すために染色した。
【実施例0182】
本発明は本明細書に開示される実施例によって実証される。本明細書に提示される実施例は本発明の特定の実施形態を表すものにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。実施例は1つ又は複数の非限定的な実施形態の技術支援を強化する、考え得る潜在的に好ましい実施形態の更なる説明を与えるものとみなされる。
【0183】
抗体-エピトープ複合体の結晶化、並びにin vitro及びin vivo抗腫瘍効果に関する実施例を元のキメラ抗体J22.9-xiを用いて行ったが、本発明者らは、試験した元のキメラ抗体と比較したヒト化変異体における結合特徴の維持のために、この技術的効果が本発明のヒト化変異体において維持されることを主張する。キメラ抗体により得られるデータはしたがって参照材料として提示され、特許請求されるヒト変異体の産業上の利用可能性及び有用性を示唆するものである。予備生物学的データはJ22.9-xiとヒト化変異体とで同等の効果を示す。
【0184】
J22.9-xi及びBCMAの相互作用の結合特徴及び遮断特徴
新規のキメラ抗体(J22.9-xi)はヒトCD269(BCMA、TNFRSF17)の細胞外ドメインに結合する。これを初めにヒト多発性骨髄腫細胞株MM.1Sに対するELISA及びフローサイトメトリーによって確認した(
図1a、b)。BCMAに対するJ22.9-xiの親和性は表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて決定した。平均Kdは
図1cに示されるように54 pMである。
【0185】
BCMAは、そのリガンドBAFF及び/又はAPRILとの相互作用により多発性骨髄腫細胞及び形質細胞のin vivoでの生存に重要なシグナルを誘発することが知られている(Mackay F et al. (2003) Annu Rev Immunol 21:231-264)。したがって、in vitro遮断アッセイをヒトBCMAの細胞外ドメイン及び組み換えBAFFを用いて行った。BCMAへのJ22.9-xiの結合は、受容体とそのリガンドBAFFとの間の相互作用を明らかに遮断する。J22.9-xiの代わりにアイソタイプ対照抗体を用いた場合、BCMAへの組み換えBAFFの結合は影響を受けない(
図1d)。
【0186】
J22.9-xi-Fab-BCMA-複合体の結晶構造から、BCMAとの広範な結合界面が明らかになる
J22.9-xiから調製したFabフラグメントを、精製46アミノ酸残基BCMA細胞外ドメインと複合して結晶化し、複合体構造を1.9Åの分解能まで解明した。高品質電子密度がBCMAの残基6~41について観察可能であり、J22.9-xi、主に抗体の軽鎖との広範な相互作用が示される(
図2B)。740.4平方Åを覆い、BCMA残基の3分の1を含むこの界面は、APRIL及びsTALL1(BAFFとしても知られる)とのBMCA複合体の結合構造に観察される、保存DxLモチーフを含む同一のエピトープの12~16残基をカバーし(Gordon N C, et al. (2003), BAFF/BlysS receptor 3comprises a minimal TNF receptor-like module that encodes a highly focusedligand-binding site. Biochemistry 42(20): 5977-83、及びPatelD R, et al. (2004), Engineeringan APRIL-specific B Cell Maturation Antigen. JBC 279(16): 16727-35)、BAFFを用いたin vitroアッセイにおいて見られる遮断効果の明らかな合理化をもたらす(
図2A)。J22.9-xiとの相互作用は付加的にBCMA中のAla20及びPro23との直接側鎖接触、BAFF及びAPRILによってカバーされる結合エピトープの一部でない残基、並びに幾つかの水媒介性水素結合を含む。3つ全ての構造におけるBCMAの全体立体構造は、J22.9-xi及びAPRIL複合体間で1.4Å、J22.9-xi及びsTALL1複合体間で1.5ÅのC-α rmsdと極めて類似しており、J22.9-xi BCMA結合エピトープ(残基13~30)のそれぞれのC-α rmsdは0.98Å及び0.88Åである。そのコアにDxLモチーフを有する同じBCMAエピトープを認識するにもかかわらず、J22.9-xiの結合部位は界面を含む相互作用群と同様、sTALL1及びAPRILとは極めて異なる。
【0187】
図2B並びに表1及び表2に見られるように、J22.9-xiの19アミノ酸(重鎖から6(表1)、軽鎖から13(表2))は、CD269の細胞外ドメインの12残基と直接連結を形成する。
【0188】
表1:J22.9-xiの重鎖とBCMAとの間のアミノ酸相互作用のリスト。これらの相互作用のリストはソフトウェアPDBsum(Laskowski R A (2009))を用いて作成した。
重鎖
【表6】
【0189】
表2:J22.9-xiの軽鎖とBCMAとの間のアミノ酸相互作用のリスト。これらの相互作用のリストはソフトウェアPDBsum(Laskowski R A (2009))を用いて作成した。
軽鎖
【表7】
【0190】
表3:CD269:APRIL及び(und)CD269:BAFF結合に関与する残基の相互作用のリスト(J22.9が直接接触しない残基には下線を付ける)。これらの相互作用のリストはソフトウェアPDBsum(Laskowski R A (2009))を用いて作成した。
【表8】
【0191】
表4:J22.9、APRIL及び/又はBAFFの直接接触によって結合したCD269標的の残基。J22.9のみが直接接触するCD269標的の残基には下線を付ける(20、23)。J22.9が直接接触しないCD269標的の残基は太字にする(APRILについては30、31、33、34、35、BAFFについては25、29、30、31、34、35)。
【表9】
【0192】
表5:J22.9水相互作用(J22.9-xi:H2O:CD269)。表5のデータはソフトウェアLigPlot(Wallace及びLaskowski、欧州バイオインフォマティクス研究所)を用いて作成した。
(sc=側鎖H結合、mc=主鎖H結合)
【表10】
【0193】
J22.9-xiの強い細胞傷害性有効性は脱グリコシル化後に強く減少する
ルシフェラーゼベースの細胞傷害性アッセイを、ルシフェラーゼ形質導入MM.1S-Luc細胞株を用いて確立した。このアッセイでは、死細胞により放出されるルシフェラーゼが培地中にATPを欠くために機能することができないことから、生物発光は生細胞のみから検出される。健常ドナーに由来するPBMCを単離し、MM.1S-Luc細胞と20対1の比率で混合した。4時間後に生物発光を測定した。
【0194】
4つの非刺激ドナーPBMC調製物の選択により、J22.9-xiのin vitro細胞傷害性を決定した。細胞傷害能は異なるドナーに由来するPBMC間で僅かに変動する。4時間以内のインキュベーションにより、細胞溶解は125 ng/mlのJ22.9-xi濃度で18 %~35 %に達した。J22.9-xi濃度を1 ug/mlまで増大することで細胞溶解は56 %まで増大した(
図3a)。
【0195】
PNGase FによるJ22.9-xi(J22.9-xi-N-グリカン)の脱グリコシル化後に細胞傷害活性は8 %未満に低下したが、BCMA陽性MM.1S細胞に対するJ22.9-xi-N-グリカンの結合は変わらないままであった(
図3a、b)。
【0196】
J22.9-xiは異種移植マウスにおいて腫瘍量を低減し、生存を延長する
機能B、T及びNK細胞集団を欠くNOD scid共通γ鎖ノックアウト(NSG)マウスを使用した。1×10
7のMM.1S-Luc細胞を静脈注射したマウスは、6週間以内に後肢麻痺を発症する(
図4d-1)。初期症状が現れた日を屠殺日と規定する。
【0197】
1×107のMM.1S-Lucを尾静脈に注射した後、マウスを無作為に3つの群に分けた。第1群(n=2)は実験終了まで治療を受けず、第2群(n=5)及び第3群(n=6)にはそれぞれ200 μgのアイソタイプ対照又はJ22.9-xi抗体の週2回の注射を行った。抗体を腫瘍細胞注射日から開始して6週間にわたって腹腔内(i.p.)投与した。腫瘍成長をIVIS Spectrumを用いて週1回モニタリングした。生物発光をルシフェリンのi.p.注射の3分後に測定した。
【0198】
同様の経過の腫瘍成長が無治療群及び対照抗体を与えた群の両方において見られ、J22.9-xiで治療した群は6日目の最初の測定点から既に顕著に低い腫瘍量を示していた(
図4a)。加えて、この群は全モニタリング期間を通してより少ない全腫瘍細胞量を示した(
図4b)。アイソタイプ対照で治療した動物は細胞注射後46日間の生存期間中央値を有していた。J22.9-xiを与えたマウスは平均26日長く生きた。これは対照抗体を与えたマウスと比較して55 %の生存延長に対応する(
図4c)。脊椎及び鼠径リンパ節への広範囲の腫瘍細胞の浸潤が、非治療マウス及びアイソタイプ対照抗体を与えたマウスにおいて細胞注射後28日目までに見られた(
図4d-2)。
【0199】
マウスへの200 μgの抗体の投与はおよそ10mg/kg(体重)に対応する。より低い用量でのJ22.9-xiの有効性を試験するために、MM.1S-Luc異種移植マウスを4つの群に分けた。第1群(n=7)には200 μgの対照抗体を週2回与え、群2、3(各々n=3)及び4(n=9)にはそれぞれ2 μg、20 μg又は200 μgを週2回注射した。注射及びモニタリングは上記のように行った。
【0200】
腫瘍は対照群マウスにおいて予期されたように成長したが、腫瘍成長の劇的な制限が20 μg又は200 μgのJ22.9-xiを与えた群で観察された(
図4e、f)。実験タイムラインの概要を
図4gに提示する。
【0201】
定着腫瘍の成長はJ22.9-xi治療において5週間抑制される
治療的投与を、抗体治療の開始を腫瘍細胞注射の5日後まで遅らせることによって模倣した。異種移植マウスを2つの群(n=6)に分けた。動物に200 μg/注射のアイソタイプ対照又はJ22.9-xi抗体のいずれかを週2回与えた。最初の測定は細胞注射後8日目に行った。J22.9-xiを与えた群(n=5)では35日目までに測定可能な腫瘍由来の生物発光は見られないが、腫瘍細胞量の着実な増大がアイソタイプ対照抗体を与えた群(n=6)で見られた(
図5a、b)。アイソタイプ対照群のマウスは細胞注射後に平均56日間生存したが、J22.9-xiを与えた全てのマウスは77日目でも依然として生きている(
図5c)。実験タイムラインの概要を
図5dに提示する。
【0202】
J22.9-xiによる集中初期治療は腫瘍成長を7週間防止する
腫瘍成長に対する治療時期の影響を更に評価するために、種々の抗体を腫瘍細胞注射日から開始して5日連続で投与した。i.v.細胞注射後に動物を無作為に5つの群に分けた。群1(n=5)は200 μg/注射(i.p.)のアイソタイプ対照抗体で治療し、群2(n=6)には200 μg/注射のJ22.9-xi-N-グリカン抗体を与えた。群3(n=4)、群4(n=5)及び群5(n=5)のマウスにはそれぞれ200 μg/注射、20 μg/注射及び2 μg/注射のJ22.9-xi抗体を与えた。生物発光測定は細胞注射後9日目に開始した。44日目までに、腫瘍に由来しない生物発光が無傷J22.9-xi抗体を与えた群のいずれにも見られた。J22.9-xi-N-グリカンで治療した動物における腫瘍成長は減速するが、全腫瘍細胞量はアイソタイプ対照抗体を与えた動物とは有意に異ならない(
図6a、b)。J22.9-xi-N-グリカン(脱グリコシル化)で治療した動物の全腫瘍細胞量は有意に異ならなかったが(
図6b)、これらのマウスの寿命はisoAb治療群と比較して実質的に増大した(
図6c)。J22.9-xi-N-グリカンはADCC又はCDCを誘導し得ないことが示されているため、この結果からBCMAへのJ22.9-xiの結合のみが腫瘍成長を妨げることが示唆される。これは受容体とそのネイティブリガンド(APRIL及びBAFF)との間の相互作用の遮断によるものであると合理的に考えることができる。実験タイムラインの概要を
図6dに提示する。
【0203】
J22.9-xiのヒト化
J22.9-xi抗体を配列アラインメントに基づいてヒト化し、結晶構造からデータを得た。可変領域の配列を、それらのそれぞれのヒト相同体に対してIgBLAST(NCBI)又はClustal(EBI)を用いてアラインメントした。各々の提案される突然変異を改変前の構造の目視検査によって評価した。
【0204】
BCMA標的へのヒト化変異体の結合
BCMAへの突然変異体の結合をフローサイトメトリー、ELISA及びSPRを用いて試験した。ヒト化抗体の親和性は表面プラズモン共鳴(ProteOn(商標) XPR36、Bio-Rad)を用いて測定した。結合データは、J22.9-xi結合について試験したものと同じエピトープに対するヒト化抗体変異体の特異性及び親和性に関して驚くべき結果を示す。下記表に示されるように、本明細書に記載されるヒト化抗体は実に驚くべきことに元のキメラ抗体と同等の結合特徴を示した。SPRデータから、ヒト化変異体の親和性がキメラの親和性と同様であり、本明細書に提示される元のキメラ抗体のデータに照らしてそれらの臨床的関連を想定するのに十分であることが明らかになる。キメラのヒト化におけるCDRの修飾により結合特徴がかかる程度まで維持されることは当業者には予期せぬものであっただろう。
【0205】
ELISAを本明細書に記載のようにBCMAコーティングマイクロタイタープレート(1 μg/ml)を用いて行った。
図10に観察されるように、ヒト及びカニクイザル(cynomolgus)BCMAの両方を用いた結合は全てのヒト化変異体についてJ22.9-xiと比較して同等であった。
【0206】
フローサイトメトリーを本明細書に記載されるヒト化変異体を用いて行い、試験した全てのヒト化変異体についてヒト及びカニクイザルBCMAの両方への同等の結合が示された(
図11を参照)。
【0207】
SPR分析を同様に行い、ヒト化抗体変異体について親和性を測定した。下記表(表6)に観察することができるように、ヒト化変異体の親和性(J22.9-Hはヒト化配列の配列番号27に対応し、J22.9-FSYはヒト化及びPTM修飾配列番号28に対応し、J22.9-ISYはヒト化及びPTM修飾配列番号29に対応する)。
【0208】
【0209】
J22.9重鎖のCDR2中のアミノ酸54:
ヒト化J22.9中の潜在的翻訳後修飾部位を除去するために重鎖CDR2の残基D54をアスパラギン(N)へと突然変異させることで、N-結合型グリコシル化の新たな潜在的修飾部位が意図せず作製された。N54を含有する突然変異重鎖はSDSゲル上をより遅く移動し(
図13)、より大きなサイズ及びCDRのグリコシル化が示される。
【0210】
それにもかかわらず、対応するIgGであるJ22.9-FNYはFACS及びELISAにおいてBCMAに結合し、BCMAと複合して結晶化した。完全には精緻化されていないが、2.7Å分解能の構造は残基の糖修飾と一致するN54側鎖から伸びる明らかな電子密度を示す。驚くべきことに、このような側鎖の大きな伸長はBCMAへの結合を破壊せず、これらの観察から複数の様々なアミノ酸置換、更には潜在的に糖以外の誘導体化がこの位置で許容されると予期することができた。
【0211】
方法
細胞株及び培養
ヒト多発性骨髄腫細胞株MM.1S(Greenstein et al. (2003) Exp Hematol31:271-282)をB. Doerken教授(MDC,Berlin,Germany)から入手した。腫瘍細胞成長のin vivoモニタリングのために、ルシフェラーゼ及びGFPをレンチウイルスベクター系ViraPower(Invitrogen)のpFUベクターにクローニングした。形質導入細胞のGFP発現により、モノクローナル細胞株を、蛍光活性化単一細胞選別を用いて単離した。細胞株を、フェノールレッドを含まず、10 %ウシ胎児血清、100単位/mlのペニシリン及び100 μg/mlのストレプトマイシン(全てPAA製)を含有するRPMI-1640培地中で培養した。
【0212】
カナダ国立研究機関(NationalResearch Council of Canada)から購入したHEK293-6E細胞を、7.5 mM L-グルタミン(PAA)、0.1% Pluronic F-68(Invitrogen)及び25μg/mlのG418(Invitrogen)を添加したFreestyle F17培地(Invitrogen)中で維持した。細胞をエルレンマイヤーフラスコ(Corning)において5 % CO2雰囲気中、110 rpm及び37℃で成長させた。
【0213】
抗体産生及び精製
BCMA結合抗体を得るために標準ハイブリドーマ法を用いた。4匹のBL/6野生型マウスを不完全フロイントアジュバント及びグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)にC末端融合させたヒトBCMAの細胞外ドメイン30 μgで6回免疫化した。細胞融合に続くスクリーニング期間の後、J22.9ハイブリドーマが抗BCMA抗体を分泌することが示された。
【0214】
ハイブリドーマの不安定さのために、ハイブリドーマJ22.9の軽鎖及び重鎖の可変領域を増幅し、それぞれヒトκ又はIgG1定常ドメイン遺伝子の上流にクローニングした。キメラJ22.9-xi抗体を、軽鎖及び重鎖をそれぞれコードする1:2 DNAプラスミド混合物による293-6E細胞の一過性共トランスフェクションによって産生させた。簡潔に述べると、293-6E細胞を1.7×106細胞/mlで無血清Freestyle F17培地に再懸濁し、ポリエチレンイミンを1 μg/ml(培養物)の最終濃度で用いてトランスフェクトした。トランスフェクションの2日後に、細胞に1 %トリプトンN1(Organo Technie)を含有するトランスフェクション容量の100 %のFreestyle F17培地を供給した。7日目に細胞を遠心分離によって採取し、濾過した(0.45 μm)培養培地を3.5 mlプロテインAセファロースカラム(Bio-Rad)に通した。カラムを10 mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄し、20 mM酢酸ナトリウム、150 mM NaCl(pH 3.5)の添加によって抗体を溶出させた。2 mlの画分を中和用の100 μlの1 M HEPES(pH 7.5)を含有するチューブに直接回収した。完全長IgGの最終収率はおよそ40 mg/l(培養物)であった。
【0215】
ハイブリドーマJ22.9は抗BCMA抗体を産生/分泌する能力を失っているため(
図8)、PCRを用いて重鎖及び軽鎖の可変領域を増幅し、続いてヒト定常IgG1及びK軽鎖遺伝子のそれぞれ5'末端にクローニングした。これら2つのプラスミドを用いた293-6E細胞の共トランスフェクションにより、キメラJ22.9-xi抗体が産生された。本発明の抗体の産生はしたがって本質的に困難であり、直接的な常法では達成することができない。
【0216】
J22.9-xi重鎖及びランダムキメラκ軽鎖から構成されるアイソタイプ対照抗体を、J22.9-xi抗体と並行して産生させた。この抗体はELISA及びフローサイトメトリーによりBCMAに結合することができないことが示された。
【0217】
J22.9-xiの重鎖のAsn297でのN-結合型オリゴ糖鎖を、N-グリコシダーゼF(PNGase F)(NEB)を用いて酵素的に除去した。10 mgのJ22.9-xiを15000単位のPNGaseFと500 μlのPBS(pH 7.4)中、37℃で36時間インキュベートした後、バッファーを滅菌PBSに交換した。
【0218】
酵素結合免疫測定法(ELISA)によるJ22.9-xiの結合能及び遮断能の決定
マイクロタイタープレートを10 μg/mlのヒトBCMAの細胞外ドメインでコーティングした。コーティングされたBCMAを、1 ng~1000 ngの範囲のJ22.9-xi及びアイソタイプ対照の段階希釈物を用いて検出した。コーティングされたBCMAへのJ22.9-xi又はアイソタイプ対照抗体の結合を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)複合ヤギ抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch,109-035-098、5000倍希釈)を用いて検出した。
【0219】
マイクロタイタープレートを1 μg/mlのヒト又はカニクイザルBCMA(それぞれhBCMA又はcyBCMA)の細胞外ドメインでコーティングした。コーティングされたBCMAを、0.26 pM~500 nMの範囲のJ22.9-xi、J22.9-H、J22.9-ISY及びJ22.9-FSYの段階希釈物を用いて検出した。コーティングされたBCMAへの抗体の結合を、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)複合ヤギ抗ヒト二次抗体(Jackson ImmunoResearch,109-035-098、5000倍希釈)を用いて検出した。
【0220】
遮断実験のために、Hisタグ(Biomol)に融合した1mg/mlのヒト組み換えBAFFを抗体の後に適用し、洗浄し、マウス抗Hisタグ(AbD Serotec,AD1.1.10、5000倍希釈、HRP複合)抗体を用いて検出した。全てのELISAはBD OptEIA試薬A及びB(BD Bioscience)を用いて展開され、マイクロプレート分光光度計(BioTek)を用いて450 nm及び570nmで測定した。
【0221】
フローサイトメトリー分析
細胞表面抗原検出実験のために、自製抗体(J22.9-xi、J22.9-H、J22.9-ISY、J22.9-FSY及びアイソタイプ対照)及び市販のマウス抗Hisタグ(AbD Serotec,AD1.1.10、100倍希釈、Alexa Fluor 488複合)及びヤギ抗ヒトIgG1(Jackson ImmunoResearch,109-116-098、400倍希釈、PE複合)抗体及びHisタグ(Biomol)に融合したヒト組み換えBAFFを使用した。実験はFACSCalibur又はFACSCanto IIフローサイトメーター(BD Bioscience)で行った。データはFlowjoソフトウェアバージョン7.6(TreeStar Inc.)を用いて分析した。
【0222】
Fab及びFab:BCMA複合体の生成
(Fab)2フラグメントを完全長J22.9-xi IgGからペプシンとのインキュベーションによって生成した。J22.9-xiをPD-10バッファー交換カラムから50 mM酢酸ナトリウム(pH 3.5)に通し、1 mgのJ22.9-xiにつき30 μgのペプシンを添加した。37℃で2.5時間のインキュベーションはフラグメント結晶化可能(Fc)領域を完全に消化するのに十分であり、ペプシンをPD-10カラムからPBS(pH 7.2)への交換によって不活性化した。(Fab)2フラグメントの個々のFabへの還元は、5 mMエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の存在下での2-メルカプトエチルアミン(50 mM)の添加によりPBS中で達成された。37℃で90分間のインキュベーション後に、還元システインを500 μMヨードアセトアミドによる30分間のアルキル化に続くバッファーの新鮮PBSへの交換によって遮断した。Fabフラグメントを1.5モル当量の精製BCMAと合わせ、複合体をSuperdex 75 16/60カラムでのサイズ排除クロマトグラフィーによって単離した。画分を4 %~12 % SDSポリアクリルアミドゲルで分析し、Fab及びBCMAの両方を含有する画分をプールし、結晶化試験のために濃縮した。
【0223】
Fab:BCMA複合体の結晶化
濃縮された複合体に飽和を確実にするために0.5モル当量の純粋BCMAを添加し、結晶化スクリーニングに供した。初期Fab:BCMA結晶化条件を、Gryphonピペッティングロボット(200 nlの液滴)を用いた96ウェルシッティングドロップフォーマットプレートでの市販のスクリーン(Qiagen)により特定し、24ウェルハンギングドロッププレート(2 ul~3 ul)で最適化した。複合体を8 mg/mlまで濃縮し、21 % PEG 3350、0.1 M BisTris(pH 6.5)及び5 mM CuCl2中20℃で結晶化した。結晶は3日後に薄板のクラスターとして現れ、およそ7日以内にそれらの最終サイズ(0.2 mm~0.3 mm)に達した。クラスターを分離し、個々のプレートを20 %グリセロールを抗凍結剤として含む母液中にて液体窒素で急速冷凍した。完全な回折データをヘルムホルツセンターベルリン研究所(Helmohltz Zentrum Berlin)のBESSYシンクロトロンで単一結晶から収集した。構造を、探索モデルとしてのエファリズマブ(3EO9)の構造から実験相を用いた分子置換によって1.9Åの分解能まで解明した。データ処理はccp4プログラムスイートを用いて行い、構造精緻化はPhenix(Adams P D, et al.(2010), Acta Cryst. D66: 213-221)並びにCootを用いるモデル構築及び評価を用いて行った(Emsley et al, Acta Crystallographica Section D - BiologicalCrystallography, 2010, 66:486-501)。画像はPyMOL(The PyMOL Molecular Graphics System、バージョン1.5.0.4Schroedinger,LLC)を用いて生成した。
【0224】
in vitro細胞傷害性アッセイ
このアッセイでは、J22.9-xiの細胞傷害効果を残存生細胞の発光を生物発光リーダーで測定することによって決定した。要するに、新たに得られたヒトフィルターバフィーコート(filter buffy coats;FBC)を、160 mlの溶出バッファー(5 mM Na2-EDTA及び2.5 [w/v]スクロースを含有するPBS(pH 7.4))を用いて重力によりバックフラッシュした。単核細胞を溶出細胞からフィコール勾配遠心分離によって単離した。単核細胞を中間相から取り出し、溶出バッファーで2回洗浄した。赤血球溶解の後、PBMCを再び洗浄し、計数し、フェノールレッドを含まないRPMI/10 % FCSでの希釈により1×107細胞/mlに調整した。50 μlのRPMI中5×104のMM.1S-Luc細胞をマイクロタイタープレートにプレーティングした。100 μlのPBMCを添加する10分前に、MM.1S-Luc細胞をJ22.9-xi又はアイソタイプ対照抗体の段階希釈物と200 μlのサンプル容量でインキュベートした。標的細胞、抗体及びエフェクター細胞の添加後に、マイクロタイタープレートを室温(RT)で2分間遠心分離し(300×g)、37℃、5 % CO2で保管した。対照ウェルは完全な溶解のために抗体の代わりに1 % Triton Xで処理した。4時間のインキュベーションの後、ルシフェリン(250 ng/ml)を含む25 μlのPBSを各ウェルに適用し、生細胞の生物発光を生物発光リーダー(Tecan)で測定した。特異的細胞傷害性を以下の式に従って算出した:
100-[値(J22.9-xi)-値(完全溶解)]/[値(アイソタイプ対照)-値(完全溶解)]×100。
【0225】
in vivo研究
The Jackson LaboratoryからのNOD.Cg-Prkdcscid Il2rgtm1WjlTg(CSF2)2Ygy Tg(IL3)1Ygy Tg(KITLG)3YgyJGckRolyJマウス(NSG)及びCharles River Deutschland(Sulzfeld,Germany)からのCB17.Cg-Prkdcscid Lystbg/Crlマウスを使用した。実験は8週齢~14週齢のマウスを用いて行った。全ての動物研究は特定病原体を含まない条件下で施設及び州のガイドラインに従って行った。定着腫瘍の治療及び疾患の初期段階における腫瘍治療に関する実験例では、CB17.Cg-Prkdcscid Lystbg/Crlマウスを使用した。本明細書で言及される2つのマウス株の表現型は非常に類似している。動物は機能B、T及びNK細胞を有しない。僅かに遅い腫瘍成長がCB17.Cgマウスにおいて観察され、本発明の治療抗体の更に有望な効果が示唆される。
【0226】
多発性骨髄腫の異種移植片モデルを、0日目の尾静脈への1×107のMM.1S-Luc細胞の静脈注射によって誘導した。このモデルでは、無治療動物は6週間以内に後肢麻痺を発症する。この症状の発生は実験のエンドポイントを示す。
【0227】
有効性研究のために、抗体を0日目から開始して週2回又は5日連続で腹腔内(i.p.)投与した。J22.9-xi抗体は2 μg/注射、20 μg/注射又は200 μg/注射の用量で与え、アイソタイプ対照抗体については200 μg/注射を使用した。MM.1S-Luc細胞の生物発光を150 μgのルシフェリンのi.p.注射後にIVIS Spectrum(Caliper Life Sciences)を用いて測定した。測定は毎週行った。各々の時点で、3匹の無治療対照マウスにもルシフェリンを投与した。これらの動物の全光束値は各々の測定値から減算するか又はグラフに示す。
【0228】
定着腫瘍を治療するために、抗体療法をMM.1S-Luc細胞の注射の5日後に開始した。200 μgのJ22.9-xi又はアイソタイプ対照抗体を6週間にわたって週2回投与した。
【0229】
J22.9-xiのヒト化
重鎖及び軽鎖可変領域配列(マウス)を対応する重鎖及び軽鎖サブタイプヒト配列とアラインメントして、どの残基変化が完全ヒト化配列変異体の産生に必要とされるかを決定した。J22.9-xi:hBCMA複合体の結晶構造を用いて、各々の修飾を初めにコンピューターにより評価して、BCMAへの抗体の結合を潜在的に破壊し得る突然変異を特定した。各鎖について、遺伝子を各々3つのカセットに分けるために2つの制限酵素部位が付加された1つは元のマウス配列を有し、1つは完全ヒト化配列を有する(すなわち必要なヒト化突然変異を全て含有する)2つの完全J22.9可変領域遺伝子を合成した。潜在的に問題となる突然変異をフラッギングした(flagging)後、元のマウス及び完全ヒト化遺伝子カセットの様々な組合せを作製し、それらの対応するIgGを発現させ、精製し、BCMA陽性細胞を用いたFACS分析に供して結合を評価した。フラッギングした問題残基を個別にPCRを用いて突然変異させ、BCMAに対する親和性へのそれらの影響を検証し、最終最適化構築物を続いてヒト及びカニクイザルBCMAの両方への結合についてSPRにより定量的に評価した。
【0230】
SPR
SPRは0.005 % Tween-20を添加したリン酸緩衝食塩水(PBST)を用いてProteonXPR36で行った。濃度15 ug/mlの全IgGを、標準アミン化学を用いて製造業者の取扱説明書に従ってProteon GLHセンサーチップに固定化した。結合実験のために、PBST中のヒト又はカニクイザルBCMAを移動相として使用した。結合親和性(Kd)を、複数の濃度のBCMA(hBCMAについては0.4nM~800 nM、cynoBCMAについては2.7 nM~1 μMの範囲)で並行して決定された結合定数(kon)及び解離定数(koff)から算出し、単一部位結合モデルを想定した。
【0231】
付加的に、更なる実験から本発明の好ましい実施形態が驚くべき予期せぬ効果をもたらし、それにより本発明の課題が非自明性をもって解決されることが示される。
【0232】
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図面訳
図1
DeltaOD ΔOD
antibody 抗体
Isotype アイソタイプ
Counts カウント数
Response 応答
図2
Heavychain 重鎖
Lightchain 軽鎖
図3
Cytotoxicity 細胞傷害性
donor ドナー
J22.9-xiw/o N-glycan N-グリカンを有しないJ22.9-xi
Counts カウント数
Isotype アイソタイプ
storedat 4℃ 4℃での保管
storedat -80℃ -80℃での保管
図4
TotalFlux 全光束
time(d) 時間(日数)
Isotype アイソタイプ
noantibody 抗体なし
Areaunder the curve 曲線下面積
noAb 抗体なし
Survival 生存
control 対照
cells 細胞
ventralview 腹面図
dorsalview 背面図
Day7 7日目
Day14 14日目
Day21 21日目
Day 日数
isotypecontrol アイソタイプ対照
Radiance 放射輝度
Experimentaltime line 実験タイムライン
tumorcell injection 腫瘍細胞注射
cells/mouse 細胞/マウス
weeklytumor monitoring 毎週の腫瘍モニタリング
antibodyinjection 抗体注射
200μg J22.9-xi or isotype control 200 μgのJ22.9-xi又はアイソタイプ対照
図5
TotalFlux 全光束
days 日数
control 対照
Isotype アイソタイプ
Areaunder the curve 曲線下面積
Survival 生存
Experimentaltime line 実験タイムライン
tumorcell injection 腫瘍細胞注射
cells/mouse 細胞/マウス
weeklytumor monitoring 毎週の腫瘍モニタリング
antibodyinjection 抗体注射
200μg J22.9-xi or isotype control 200 μgのJ22.9-xi又はアイソタイプ対照
図6
TotalFlux 全光束
days 日数
control 対照
isotype アイソタイプ
deglycosylated 脱グリコシル化
noglycan グリカンなし
Survival 生存
Time(d) 時間(日数)
-N-glycan -N-グリカン
Experimentaltime line 実験タイムライン
tumorcell injection 腫瘍細胞注射
cells/mouse 細胞/マウス
tumormonitoring (IVIS) every week 毎週の腫瘍モニタリング(IVIS)
antibodyinjection 抗体注射
2 μg, 20 μg or 200 μgJ22.9-xi, J22.9-xi w/o N-glycan or isotype control 2 μg、20 μg若しくは200 μgのJ22.9-xi、N-グリカンを有しないJ22.9-xi又はアイソタイプ対照
図7
Time(d) 時間(日数)
図8
Variable amino acid according to humanized sequences ヒト化配列による可変アミノ酸
General heavy chain variable sequence 一般重鎖可変配列
mouse heavy chain variable sequence マウス重鎖可変配列
partially humanized heavy chain variable sequence 部分ヒト化重鎖可変配列
CDRs are underlined in general and mouse sequences. 一般配列及びマウス配列におけるCDRに下線を付ける。
図9
Variable amino acid according to either mouse orhumanized sequences マウス配列又はヒト化配列のいずれかによる可変アミノ酸
General heavy chain variable sequence 一般重鎖可変配列
mouse heavy chain variable sequence マウス重鎖可変配列
partially humanized heavy chain variable sequence 部分ヒト化重鎖可変配列
CDRs are underlined in general and mouse sequences. 一般配列及びマウス配列におけるCDRに下線を付ける。
図10
Bindingto hBCMA hBCMAへの結合
%of max 最大に対する%
Bindingto cyBCMA cyBCMAへの結合
図11
%of max 最大に対する%
図12
Response 応答
time(s) 時間(秒)
(配列表)
SEQUENCE LISTING
<110> MAX-DELBRUCK-CENTRUM
<120> HUMANIZED ANTIBODIES AGAINST CD269 (BCMA)
<130> XII 2136/14WO
<160> 43
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 1
Gln Val Gln Leu Gln Gln Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Lys Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Ile Asp Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Met Ser Trp Val Arg Arg Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Ile
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Asp Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
50 55 60
Lys Asp Lys Phe Ile Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Ser Lys Val Arg Ser Glu Asp Thr Ala Leu Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Ser Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 2
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 2
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Asp Asp Tyr
20 25 30
Trp Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Asp Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 3
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 3
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Asp Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
50 55 60
Lys Asp Lys Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Met Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 4
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<220>
<221> misc_feature
<222> (34)..(34)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (54)..(55)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (101)..(101)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (107)..(107)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 4
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Xaa Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Xaa Xaa Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
50 55 60
Lys Asp Lys Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Xaa Asp Tyr Gly Asp Ala Xaa Asp Tyr Trp Gly Gln
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Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
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Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Xaa Met Xaa Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Xaa Val
35 40 45
Gly Xaa Ile Asn Pro Asp Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
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<223> Ab
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Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Ile Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
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65 70 75 80
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Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Phe Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
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Lys Asp Lys Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
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Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
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Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Phe Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Ser Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
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Lys Asp Lys Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Tyr Asp Tyr Trp Gly Gln
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Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser
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20 25 30
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Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gln Ser Val Asp Ser Asn
20 25 30
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Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Val Ser Pro Gly
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Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gln Ser Val Xaa Xaa Asn
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Ala Leu Ile
35 40 45
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50 55 60
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65 70 75 80
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Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Val Ser Pro Gly
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Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gln Ser Val Asp Xaa Xaa
20 25 30
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Xaa Xaa Ala Xaa Xaa Arg Xaa Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly
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20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Ala Leu Ile
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50 55 60
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65 70 75 80
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Arg Tyr Trp Xaa Ser
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Ser Leu Tyr Xaa Asp Tyr Gly Asp Ala Xaa Asp Tyr Trp
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Arg Tyr Trp Ile Ser
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Asp Lys
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Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Tyr Asp Tyr Trp
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<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 23
Lys Ala Ser Gln Ser Val Xaa Xaa Asn Val Ala
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<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 27
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Met Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Asp Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
50 55 60
Lys Asp Lys Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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100 105 110
Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val
115 120 125
Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala
130 135 140
Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser
145 150 155 160
Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val
165 170 175
Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro
180 185 190
Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys
195 200 205
Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp
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Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly
225 230 235 240
Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile
245 250 255
Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu
260 265 270
Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His
275 280 285
Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg
290 295 300
Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys
305 310 315 320
Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu
325 330 335
Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr
340 345 350
Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu
355 360 365
Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp
370 375 380
Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val
385 390 395 400
Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp
405 410 415
Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His
420 425 430
Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro
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Gly Lys
450
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<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 28
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Phe Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Ser Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
50 55 60
Lys Asp Lys Phe Thr Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
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Ala Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Tyr Asp Tyr Trp Gly Gln
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Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val
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Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala
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Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser
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Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val
165 170 175
Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro
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Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys
195 200 205
Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp
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Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly
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Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile
245 250 255
Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu
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Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His
275 280 285
Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg
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Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu
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355 360 365
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370 375 380
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Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp
405 410 415
Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His
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Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro
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Gly Lys
450
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<211> 450
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 29
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Phe Ser Arg Tyr
20 25 30
Trp Ile Ser Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Val Trp Val
35 40 45
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50 55 60
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65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Tyr Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val
115 120 125
Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala
130 135 140
Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser
145 150 155 160
Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val
165 170 175
Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro
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Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys
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Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp
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Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly
225 230 235 240
Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Met Ile
245 250 255
Ser Arg Thr Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu
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Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His
275 280 285
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Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys
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450
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Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Ala Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Ser Leu Arg Phe Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Glu Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Ser
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr Asn Asn Tyr Pro Leu
85 90 95
Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Arg Thr Val Ala Ala
100 105 110
Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly
115 120 125
Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala
130 135 140
Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln
145 150 155 160
Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser
165 170 175
Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr
180 185 190
Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser
195 200 205
Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210
<210> 31
<211> 214
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 31
Glu Ile Val Met Thr Gln Ser Pro Ala Thr Leu Ser Val Ser Pro Gly
1 5 10 15
Glu Arg Ala Thr Leu Ser Cys Lys Ala Ser Gln Ser Val Glu Ser Asn
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Gln Ala Pro Arg Ala Leu Ile
35 40 45
Tyr Ser Ala Ser Leu Arg Phe Ser Gly Ile Pro Ala Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Glu Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Ser
65 70 75 80
Glu Asp Phe Ala Val Tyr Tyr Cys Gln Gln Tyr Asn Asn Tyr Pro Leu
85 90 95
Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Arg Thr Val Ala Ala
100 105 110
Pro Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly
115 120 125
Thr Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala
130 135 140
Lys Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln
145 150 155 160
Glu Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser
165 170 175
Ser Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr
180 185 190
Ala Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser
195 200 205
Phe Asn Arg Gly Glu Cys
210
<210> 32
<211> 1450
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab coding
<400> 32
gaattccacc atgggatggt catgtatcat cctttttcta gtagcaactg caaccggtgt 60
ccacagtgaa gtgcagctgg tcgaatctgg aggaggcctg gttcagcctg gtggcagcct 120
taggctctct tgtgcagcct ctggctttac cttctcacgg tattggatga gctgggtgag 180
acaggctcca gggaaaggtc tggtgtgggt aggggagata aaccccgata gcagcacgat 240
caactatgct ccgtcactga aagacaagtt caccatttcc cgcgataatg ccaagaacac 300
tctctacttg cagatgaatt cccttcgagc cgaggataca gcggtgtact actgcgccag 360
tctgtactac gactatgggg acgcaatgga ctattgggga caaggcacac tggtgactgt 420
tagctccgcg tcgaccaagg gcccatcggt cttccccctg gcaccctcct ccaagagcac 480
ctctgggggc acagcggccc tgggctgcct ggtcaaggac tacttccccg aacctgtgac 540
ggtctcgtgg aactcaggcg ccctgaccag cggcgtgcac accttcccgg ctgtcctaca 600
gtcctcagga ctctactccc tcagcagcgt ggtgaccgtg ccctccagca gcttgggcac 660
ccagacctac atctgcaacg tgaatcacaa gcccagcaac accaaggtgg acaagagagt 720
tgagcccaaa tcttgtgaca aaactcacac atgcccaccg tgcccagcac ctgaactcct 780
ggggggaccg tcagtcttcc tcttcccccc aaaacccaag gacaccctca tgatctcccg 840
gacccctgag gtcacatgcg tggtggtgga cgtgagccac gaagaccctg aggtcaagtt 900
caactggtac gtggacggcg tggaggtgca taatgccaag acaaagccgc gggaggagca 960
gtacaacagc acgtaccgtg tggtcagcgt cctcaccgtc ctgcaccagg actggctgaa 1020
tggcaaggag tacaagtgca aggtctccaa caaagccctc ccagccccca tcgagaaaac 1080
catctccaaa gccaaagggc agccccgaga accacaggtg tacaccctgc ccccatcccg 1140
ggaggagatg accaagaacc aggtcagcct gacctgcctg gtcaaaggct tctatcccag 1200
cgacatcgcc gtggagtggg agagcaatgg gcagccggag aacaactaca agaccacgcc 1260
tcccgtgctg gactccgacg gctccttctt cctctatagc aagctcaccg tggacaagag 1320
caggtggcag caggggaacg tcttctcatg ctccgtgatg catgaggctc tgcacaacca 1380
ctacacgcag aagagcctct ccctgtcccc gggtaaatga gtgcgacggc cgggcggcgg 1440
cggcggatcc 1450
<210> 33
<211> 1450
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab coding
<400> 33
gaattccacc atgggatggt catgtatcat cctttttcta gtagcaactg caaccggtgt 60
ccacagtgaa gtgcagctgg tcgaatctgg aggaggcctg gttcagcctg gtggcagcct 120
taggctctct tgtgcagcct ctggctttac cttctcacgg tattggttca gctgggtgag 180
acaggctcca gggaaaggtc tggtgtgggt aggggagata aaccccagca gcagcacgat 240
caactatgct ccgtcactga aagacaagtt caccatttcc cgcgataatg ccaagaacac 300
tctctacttg cagatgaatt cccttcgagc cgaggataca gcggtgtact actgcgccag 360
tctgtactac gactatgggg acgcatacga ctattgggga caaggcacac tggtgactgt 420
tagctccgcg tcgaccaagg gcccatcggt cttccccctg gcaccctcct ccaagagcac 480
ctctgggggc acagcggccc tgggctgcct ggtcaaggac tacttccccg aacctgtgac 540
ggtctcgtgg aactcaggcg ccctgaccag cggcgtgcac accttcccgg ctgtcctaca 600
gtcctcagga ctctactccc tcagcagcgt ggtgaccgtg ccctccagca gcttgggcac 660
ccagacctac atctgcaacg tgaatcacaa gcccagcaac accaaggtgg acaagagagt 720
tgagcccaaa tcttgtgaca aaactcacac atgcccaccg tgcccagcac ctgaactcct 780
ggggggaccg tcagtcttcc tcttcccccc aaaacccaag gacaccctca tgatctcccg 840
gacccctgag gtcacatgcg tggtggtgga cgtgagccac gaagaccctg aggtcaagtt 900
caactggtac gtggacggcg tggaggtgca taatgccaag acaaagccgc gggaggagca 960
gtacaacagc acgtaccgtg tggtcagcgt cctcaccgtc ctgcaccagg actggctgaa 1020
tggcaaggag tacaagtgca aggtctccaa caaagccctc ccagccccca tcgagaaaac 1080
catctccaaa gccaaagggc agccccgaga accacaggtg tacaccctgc ccccatcccg 1140
ggaggagatg accaagaacc aggtcagcct gacctgcctg gtcaaaggct tctatcccag 1200
cgacatcgcc gtggagtggg agagcaatgg gcagccggag aacaactaca agaccacgcc 1260
tcccgtgctg gactccgacg gctccttctt cctctatagc aagctcaccg tggacaagag 1320
caggtggcag caggggaacg tcttctcatg ctccgtgatg catgaggctc tgcacaacca 1380
ctacacgcag aagagcctct ccctgtcccc gggtaaatga gtgcgacggc cgggcggcgg 1440
cggcggatcc 1450
<210> 34
<211> 1450
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab coding
<400> 34
gaattccacc atgggatggt catgtatcat cctttttcta gtagcaactg caaccggtgt 60
ccacagtgaa gtgcagctgg tcgaatctgg aggaggcctg gttcagcctg gtggcagcct 120
taggctctct tgtgcagcct ctggctttac cttctcacgg tattggatca gctgggtgag 180
acaggctcca gggaaaggtc tggtgtgggt aggggagata aaccccagca gcagcacgat 240
caactatgct ccgtcactga aagacaagtt caccatttcc cgcgataatg ccaagaacac 300
tctctacttg cagatgaatt cccttcgagc cgaggataca gcggtgtact actgcgccag 360
tctgtactac gactatgggg acgcatacga ctattgggga caaggcacac tggtgactgt 420
tagctccgcg tcgaccaagg gcccatcggt cttccccctg gcaccctcct ccaagagcac 480
ctctgggggc acagcggccc tgggctgcct ggtcaaggac tacttccccg aacctgtgac 540
ggtctcgtgg aactcaggcg ccctgaccag cggcgtgcac accttcccgg ctgtcctaca 600
gtcctcagga ctctactccc tcagcagcgt ggtgaccgtg ccctccagca gcttgggcac 660
ccagacctac atctgcaacg tgaatcacaa gcccagcaac accaaggtgg acaagagagt 720
tgagcccaaa tcttgtgaca aaactcacac atgcccaccg tgcccagcac ctgaactcct 780
ggggggaccg tcagtcttcc tcttcccccc aaaacccaag gacaccctca tgatctcccg 840
gacccctgag gtcacatgcg tggtggtgga cgtgagccac gaagaccctg aggtcaagtt 900
caactggtac gtggacggcg tggaggtgca taatgccaag acaaagccgc gggaggagca 960
gtacaacagc acgtaccgtg tggtcagcgt cctcaccgtc ctgcaccagg actggctgaa 1020
tggcaaggag tacaagtgca aggtctccaa caaagccctc ccagccccca tcgagaaaac 1080
catctccaaa gccaaagggc agccccgaga accacaggtg tacaccctgc ccccatcccg 1140
ggaggagatg accaagaacc aggtcagcct gacctgcctg gtcaaaggct tctatcccag 1200
cgacatcgcc gtggagtggg agagcaatgg gcagccggag aacaactaca agaccacgcc 1260
tcccgtgctg gactccgacg gctccttctt cctctatagc aagctcaccg tggacaagag 1320
caggtggcag caggggaacg tcttctcatg ctccgtgatg catgaggctc tgcacaacca 1380
ctacacgcag aagagcctct ccctgtcccc gggtaaatga gtgcgacggc cgggcggcgg 1440
cggcggatcc 1450
<210> 35
<211> 718
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 35
gaattccacc atgggatggt catgtatcat cctttttcta gtagcaactg caaccggtgt 60
acactccgag atcgtgatga cccagtctcc tgctaccctg agcgtttctc ccggtgaaag 120
ggccacactc agctgcaaag cctctcaaag cgtggacagc aatgtcgcct ggtatcagca 180
gaaacctggc caagctccga gagcactgat ctattccgcg tcattgcgct tttccggcat 240
accagcacgg tttagtggct cagggagtgg gactgagttc actctgacga ttagctccct 300
tcagtcagag gatttcgccg tgtactactg tcagcagtac aacaactatc ccctcacatt 360
cggagctgga accaagctgg aactgaagcg tacggtggct gcaccatctg tcttcatctt 420
cccgccatct gatgagcagt tgaaatctgg aactgcctct gttgtgtgcc tgctgaataa 480
cttctatccc agagaggcca aagtacagtg gaaggtggat aacgccctcc aatcgggtaa 540
ctcccaggag agtgtcacag agcaggacag caaggacagc acctacagcc tcagcagcac 600
cctgacgctg agcaaagcag actacgagaa acacaaagtc tacgcctgcg aagtcaccca 660
tcagggcctg agctcgcccg tcacaaagag cttcaacagg ggagagtgtt agggatcc 718
<210> 36
<211> 718
<212> DNA
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> AB
<400> 36
gaattccacc atgggatggt catgtatcat cctttttcta gtagcaactg caaccggtgt 60
acactccgag atcgtgatga cccagtctcc tgctaccctg agcgtttctc ccggtgaaag 120
ggccacactc agctgcaaag cctctcaaag cgtggagagc aatgtcgcct ggtatcagca 180
gaaacctggc caagctccga gagcactgat ctattccgcg tcattgcgct tttccggcat 240
accagcacgg tttagtggct cagggagtgg gactgagttc actctgacga ttagctccct 300
tcagtcagag gatttcgccg tgtactactg tcagcagtac aacaactatc ccctcacatt 360
cggagctgga accaagctgg aactgaagcg tacggtggct gcaccatctg tcttcatctt 420
cccgccatct gatgagcagt tgaaatctgg aactgcctct gttgtgtgcc tgctgaataa 480
cttctatccc agagaggcca aagtacagtg gaaggtggat aacgccctcc aatcgggtaa 540
ctcccaggag agtgtcacag agcaggacag caaggacagc acctacagcc tcagcagcac 600
cctgacgctg agcaaagcag actacgagaa acacaaagtc tacgcctgcg aagtcaccca 660
tcagggcctg agctcgcccg tcacaaagag cttcaacagg ggagagtgtt agggatcc 718
<210> 37
<211> 285
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> HIS TAG
<400> 37
Met Ser Pro Ile Leu Gly Tyr Trp Lys Ile Lys Gly Leu Val Gln Pro
1 5 10 15
Thr Arg Leu Leu Leu Glu Tyr Leu Glu Glu Lys Tyr Glu Glu His Leu
20 25 30
Tyr Glu Arg Asp Glu Gly Asp Lys Trp Arg Asn Lys Lys Phe Glu Leu
35 40 45
Gly Leu Glu Phe Pro Asn Leu Pro Tyr Tyr Ile Asp Gly Asp Val Lys
50 55 60
Leu Thr Gln Ser Met Ala Ile Ile Arg Tyr Ile Ala Asp Lys His Asn
65 70 75 80
Met Leu Gly Gly Cys Pro Lys Glu Arg Ala Glu Ile Ser Met Leu Glu
85 90 95
Gly Ala Val Leu Asp Ile Arg Tyr Gly Val Ser Arg Ile Ala Tyr Ser
100 105 110
Lys Asp Phe Glu Thr Leu Lys Val Asp Phe Leu Ser Lys Leu Pro Glu
115 120 125
Met Leu Lys Met Phe Glu Asp Arg Leu Cys His Lys Thr Tyr Leu Asn
130 135 140
Gly Asp His Val Thr His Pro Asp Phe Met Leu Tyr Asp Ala Leu Asp
145 150 155 160
Val Val Leu Tyr Met Asp Pro Met Cys Leu Asp Ala Phe Pro Lys Leu
165 170 175
Val Cys Phe Lys Lys Arg Ile Glu Ala Ile Pro Gln Ile Asp Lys Tyr
180 185 190
Leu Lys Ser Ser Lys Tyr Ile Ala Trp Pro Leu Gln Gly Trp Gln Ala
195 200 205
Thr Phe Gly Gly Gly Asp His Pro Pro Lys Ser Asp Leu Val Pro Arg
210 215 220
Gly Ser Met Ala Gly Gln Cys Ser Gln Asn Glu Tyr Phe Asp Ser Leu
225 230 235 240
Leu His Ala Cys Ile Pro Cys Gln Leu Arg Cys Ser Ser Asn Thr Pro
245 250 255
Pro Leu Thr Cys Gln Arg Tyr Cys Asn Ala Ser Val Thr Asn Ser Val
260 265 270
Lys Gly Thr Asn Ala Leu Glu His His His His His His
275 280 285
<210> 38
<211> 53
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> extra cell domain
<400> 38
Met Ala Gly Gln Cys Ser Gln Asn Glu Tyr Phe Asp Ser Leu Leu His
1 5 10 15
Ala Cys Ile Pro Cys Gln Leu Arg Cys Ser Ser Asn Thr Pro Pro Leu
20 25 30
Thr Cys Gln Arg Tyr Cys Asn Ala Ser Val Thr Asn Ser Val Lys Gly
35 40 45
Thr Asn Ala Leu Glu
50
<210> 39
<211> 56
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 39
Met Leu Gln Met Ala Gly Gln Cys Ser Gln Asn Glu Tyr Phe Asp Ser
1 5 10 15
Leu Leu His Ala Cys Ile Pro Cys Gln Leu Arg Cys Ser Ser Asn Thr
20 25 30
Pro Pro Leu Thr Cys Gln Arg Tyr Cys Asn Ala Ser Val Thr Asn Ser
35 40 45
Val Lys Gly Thr Asn Ala Leu Glu
50 55
<210> 40
<211> 20
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 40
Tyr Phe Asp Ser Leu Leu His Ala Cys Ile Pro Cys Gln Leu Arg Cys
1 5 10 15
Ser Ser Asn Thr
20
<210> 41
<211> 120
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<220>
<221> misc_feature
<222> (1)..(1)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (5)..(6)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (19)..(19)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (27)..(28)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (30)..(31)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (39)..(39)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (48)..(48)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (66)..(67)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (69)..(69)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (84)..(86)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (88)..(88)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (93)..(93)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (115)..(115)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 41
Xaa Val Gln Leu Xaa Xaa Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Xaa Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Xaa Xaa Phe Xaa Xaa Tyr
20 25 30
Trp Glx Ser Trp Val Arg Xaa Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Xaa
35 40 45
Gly Glu Ile Asn Pro Glx Ser Ser Thr Ile Asn Tyr Ala Pro Ser Leu
50 55 60
Lys Xaa Xaa Phe Xaa Ile Ser Arg Asp Asn Ala Lys Asn Thr Leu Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Xaa Xaa Xaa Arg Xaa Glu Asp Thr Ala Xaa Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Ser Leu Tyr Tyr Asp Tyr Gly Asp Ala Glx Asp Tyr Trp Gly Gln
100 105 110
Gly Thr Xaa Val Thr Val Ser Ser
115 120
<210> 42
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<220>
<221> misc_feature
<222> (8)..(13)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (18)..(18)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (20)..(21)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (41)..(41)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (43)..(43)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (46)..(46)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (49)..(49)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (51)..(52)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (63)..(63)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (77)..(77)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (83)..(83)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (85)..(85)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> misc_feature
<222> (87)..(87)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 42
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Xaa Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Xaa Val Xaa Xaa Thr Cys Lys Ala Ser Gln Ser Val Glu Ser Asn
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Xaa Gln Xaa Pro Lys Xaa Leu Ile
35 40 45
Xaa Ser Xaa Xaa Leu Arg Phe Ser Gly Val Pro Ala Arg Phe Xaa Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Xaa Leu Gln Ser
65 70 75 80
Glu Asp Xaa Ala Xaa Tyr Xaa Cys Gln Gln Tyr Asn Asn Tyr Pro Leu
85 90 95
Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Arg
100 105
<210> 43
<211> 108
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Ab
<400> 43
Asp Ile Val Met Thr Gln Ser Gln Arg Phe Met Thr Thr Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Ser Val Thr Cys Lys Ala Ser Gln Ser Val Asp Ser Asn
20 25 30
Val Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Arg Gln Ser Pro Lys Ala Leu Ile
35 40 45
Phe Ser Ala Ser Leu Arg Phe Ser Gly Val Pro Ala Arg Phe Thr Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Asp Phe Thr Leu Thr Ile Ser Asn Leu Gln Ser
65 70 75 80
Glu Asp Leu Ala Glu Tyr Phe Cys Gln Gln Tyr Asn Asn Tyr Pro Leu
85 90 95
Thr Phe Gly Ala Gly Thr Lys Leu Glu Leu Lys Arg
100 105