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特開2023-25209IGF-1Rモノクローナル抗体及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025209
(43)【公開日】2023-02-21
(54)【発明の名称】IGF-1Rモノクローナル抗体及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 257/02 20060101AFI20230214BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20230214BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20230214BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20230214BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230214BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230214BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230214BHJP
【FI】
C07D257/02 CSP
C07K16/28 ZNA
C07K16/00
C12N15/13
A61K47/68
A61K39/395 A
A61K39/395 H
A61K39/395 L
A61K39/395 C
A61P35/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194891
(22)【出願日】2022-12-06
(62)【分割の表示】P 2020511869の分割
【原出願日】2018-05-04
(31)【優先権主張番号】62/502,288
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/545,945
(32)【優先日】2017-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】514243748
【氏名又は名称】センター・フォー・プローブ・デベロップメント・アンド・コマーシャライゼイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エリック・スティーヴン・ブラック
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・リチャード・フォーブス
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・デイヴィッド・バー・モーラン
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・ウェイン・シムズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フィッツモーリス・ヴァリアント
(72)【発明者】
【氏名】アラ・ダルウィーシュ
(57)【要約】
【課題】本発明は、金属錯体のキレート化部分と、治療的部分又は標的化部分とを含むコンジュゲート、その製造方法、及びその使用に関する。
【解決手段】本発明は、インスリン様増殖因子-1受容体を標的とするモノクローナル抗体及び治療的部分、標的化部分、又は架橋基にコンジュゲートした場合、効力の増大を示し、キレート化部分、又は金属錯体の排出を増強するその放射性イムノコンジュゲートに関する。別の態様では、本発明は、本発明の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を特徴とする。別の態様では、本発明は、放射線処置計画及び/又は放射線処置の方法であって、それを必要とする対象に、本発明の化合物又は医薬組成物を投与する工程を含む方法を特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造:
A-L1-(L2)n-B
式I
[式中、Aはキレート化部分又はその金属錯体であり;
L1は、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Bは、アミノ反応性架橋基、メチオニン反応性架橋基、チオール反応性架橋基及びソルターゼ媒介性カップリング配列からなる群から選択される架橋基であり;
nは1~5であり;
L2はそれぞれ独立に、式IIの構造:
(-X1-L3-Z1-)
式II
(式中、X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、NR1であり、R1は、H又は置換されていてもよいC1~C6アルキル若しくは置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールであり;
L3は、置換されていてもよいC1~C50アルキル又は置換されていてもよいC1~C50ヘテロアルキル又はC5~C20ポリエチレングリコールであり;
Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、NR1であり;
R1は水素又は置換されていてもよいC1~C6アルキル又はピロリジン-2,5-ジオンである)
を有する]
を有する化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
前記キレート化部分が、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA((1R,4R,7R,10R)-α,α',α'',α'''-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GAアンヒドリド(2,2',2''-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸)、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセタミド-メチレンホスホン酸))、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸))、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N',N'',N''',N''''-五酢酸)、H4Octapa(N,N'-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N'-二酢酸)、H2Dedpa(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H6phospa(N,N'-(メチレンホスホネート)-N,N'-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N',N'',N''',N'''-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、又はポルフィリンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記式Iの構造が、構造:
【化1】
(式中、Y1は、-CH2OCH2(L2)n-B、C=O(L2)n-B、又はC=S(L2)n-Bであり、Y2は、-CH2CO2Hであり;又は
Y1は、Hであり、Y2は、L1-(L2)n-Bである)
である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
L1が、構造:
【化2】
(式中、R2は、水素又は-CO2Hである)
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記金属錯体の金属が、Bi、Pb、Y、Mn、Cr、Fe、Co、Zn、Ni、Tc、In、Ga、Cu、Re、ランタニド、及びアクチニドからなる群から選択され;又は
前記金属錯体の金属が、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、86Y、87Y、90Y、97Ru、99mTc、105Rh、109Pd、111In、117mSn、149Pm、149Tb、153Sm、177Lu、186Re、188Re、199Au、201Tl、203Pb、212Pb、212Bi、213Bi、225Ac、及び227Thからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記架橋基が、アミノ反応性、メチオニン反応性、又はチオール反応性架橋基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記アミノ反応性、メチオニン反応性、又はチオール反応性架橋基が、活性化エステル、イミデート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪みアルキン、歪みアルケン、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネート、、又はオキサジリジンを含む、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記活性化エステルが、ヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、又は4-ニトロフェノールエステルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記架橋基が、以下のもの:
【化3】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
以下のもの:
【化4】
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
以下の構造:
A-L1-(L2)n-B
を有するコンジュゲート、又はその薬学的に許容される塩であって、
前記コンジュゲートは、請求項1に記載の化合物を、ヒト若しくはヒト化IgG抗体又はその抗原結合断片と反応することによって形成され、
前記コンジュゲートに関して、
Aはキレート化部分又はその金属錯体であり;
Bは、アミノ反応性架橋基、メチオニン反応性架橋基、チオール反応性架橋基及びソルターゼ媒介性カップリング配列からなる群から選択される架橋基と架橋されている、ヒト若しくはヒト化IgG抗体又はその抗原結合断片であり;
L1は、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
nは1~5であり;
L2はそれぞれ独立に、式IIの構造:
(-X1-L3-Z1-)
式II
(式中、X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、NR1であり、R1は、H又は置換されていてもよいC1~C6アルキル若しくは置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールであり;
L3は、置換されていてもよいC1~C50アルキル又は置換されていてもよいC1~C50ヘテロアルキル又はC5~C20ポリエチレングリコールであり;
Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、NR1であり;
R1は水素又は置換されていてもよいC1~C6アルキル又はピロリジン-2,5-ジオンである)
を有する、コンジュゲート、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記ヒト若しくはヒト化IgG抗体が、IGF-1R抗体である、請求項11に記載のコンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2017年5月5日に出願された「IGF-1Rモノクローナル抗体及びその使用」という表題の米国仮特許出願第62/502,288号、及び2017年8月15日に出願された「IGF-1Rモノクローナル抗体及びその使用」という表題の米国仮特許出願第62/545,945号に対する優先権及びその利益を主張する。前記出願は両方とも、あらゆる目的でその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
インスリン様増殖因子-1受容体(IGF-1R)は、がんの処置における潜在的な治療標的と評価されてきた。本発明は、抗体のみのものよりも実質的に低用量で増強された腫瘍効能をもたらす治療的放射性同位体を送達することによりIGF-1Rを活用するための代替的な方法を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO92/22324
【特許文献2】WO98/46645
【特許文献3】米国特許第6,180,370号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(John Wiley & Sons、New York、1999)
【非特許文献2】Bergeら、J. Pharmaceutical Sciences 66:1~19頁、1977
【非特許文献3】Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (P.H. Stahl及びC.G. Wermuth(編))、Wiley-VCH、2008
【非特許文献4】Bioconjugate Chem. 2000、11、510~519頁
【非特許文献5】Bioconjugate Chem.2012、23、1029~1039頁
【非特許文献6】Mol Imaging Biol (2011) 13:215~221頁
【非特許文献7】Bioconjugate Chem.2002、13、110~115頁
【非特許文献8】Mol Cancer Ther; 12(11) November 2013、Methods in Molecular Biology、2009、539、191~211頁
【非特許文献9】Bioconjugate chemistry、Volume 14、Issue 5、927~33頁(2003)
【非特許文献10】Quadri及びVriesendorp [Q. J. Nucl. Med. 1998、42、250~261頁]
【非特許文献11】Wardら(1989)Nature 341:544~546頁
【非特許文献12】Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988)
【非特許文献13】Brinkmanら、1995、J. Immunol. Methods 182:41~50頁
【非特許文献14】Morrison、1985、Science 229:1202頁
【非特許文献15】Segalら、J. Immunol. Methods 248:1~6頁(2001)
【非特許文献16】Tuttら、J. Immunol. 147: 60頁(1991)
【非特許文献17】Beckwith及びYee、Mol Endocrinol、November 2015、29(11):1549~1557頁
【非特許文献18】Sgourosら、J Nucl Med. 2010、51:311~2頁
【非特許文献19】Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Philadelphia、PA、第17版、1985
【非特許文献20】Langer (Science 249:1527~1533頁、1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、治療的部分、標的化部分、又は架橋基にコンジュゲートされた場合、効力の増大を示し、キレート化部分、又はその金属錯体の排出を増強する、インスリン様増殖因子-1受容体及びその放射性イムノコンジュゲートを標的とするモノクローナル抗体に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、第1の態様では、本発明は、構造:
A-L1-(L2)n-B
式I
[式中、Aはキレート化部分又はその金属錯体であり;
L1は、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Bは、治療的部分、標的化部分、若しくは架橋基、又はその薬学的に許容される塩であり;
nは1~5であり;
L2はそれぞれ独立に、構造:
(-X1-L3-Z1-)
式II
(式中、X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、NR1であり、R1は、H又は置換されていてもよいC1~C6アルキル若しくは置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールであり;L3は、置換されていてもよいC1~C50アルキル又は置換されていてもよいC1~C50ヘテロアルキル又はC5~C20ポリエチレングリコールであり;Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、NR1であり、R1は水素又は置換されていてもよいC1~C6アルキル、ピロリジン-2,5-ジオンである)
を有する]
を有する化合物を特徴とする。
【0007】
一部の実施形態では、キレート化部分は、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA((1R,4R,7R,10R)-α,α',α'',α'''-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GAアンヒドリド(2,2',2''-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸)、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸)、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセタミド-メチレンホスホン酸))、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸))、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N',N'',N''',N''''-五酢酸)、H4Octapa(N,N'-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N'-二酢酸)、H2Dedpa(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H6phospa(N,N'-(メチレンホスホネート)-N,N'-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N',N'',N''',N'''-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、HOPO(オクタデンテートヒドロキシピリジノン)又はポルフィリンである。
【0008】
当業者であれば、本発明の実施におけるキレート化部分の使用が、本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、むしろ他の公知のキレート化部分を含んでもよいことを理解できる。
【0009】
一部の実施形態では、キレート化部分は、構造:
【0010】
【化1】
【0011】
(式中、Y1は、-CH2OCH2(L2)n-B、C=O(L2)n-B、又はC=S(L2)n-Bであり、Y2は、-CH2CO2Hである;
式中、Y1は、Hであり、Y2は、L1-(L2)n-Bである)
を有する。
【0012】
一部の実施形態では、L1は、構造:
【0013】
【化2】
【0014】
(式中、R2は、置換されていてもよい水素又は-CO2Hである)
を有する。
【0015】
一部の実施形態では、金属は、イメージング剤又は治療剤としての使用のために、Bi、Pb、Y、Mn、Cr、Fe、Co、Zn、Ni、Tc、In、Ga、Cu、Re、Sm、ランタニド、又はアクチニドから選択することができる。式(I)の化合物との錯体化にとって好適な放射性核種の特定例としては、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、86Y、87Y、90Y、97Ru、105Rh、109Pd、111In、117mSn、149Pm、149Tb、153Sm、177Lu、186Re、188Re、199Au、201Tl、203Pb、212Pb、212Bi、213Bi、225Ac、及び227Thが挙げられる。
【0016】
一部の実施形態では、Bは、治療的部分又は標的化部分である。
【0017】
一部の実施形態では、治療的部分又は標的化部分は、抗体、その抗原結合断片又はナノボディ、アフィボディ、及びIII型フィブロネクチンドメインに由来するコンセンサス配列等の他の標的化タンパク質である。
【0018】
一部の実施形態では、フィギツムマブ、シクスツムマブ、ガニツマブ、AVE1642(ヒト化EM164及びhuEM164としても知られる)、BIIB002、ロバツムマブ、及びテプロツムマブ等の抗体、又はその抗原結合断片は、インスリン様増殖因子-1受容体(IGF-1R)に特異的に結合する。一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、AVE1642である。
【0019】
一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;及び
(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3
から選択される少なくとも1、2又は3つ全部の相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変ドメインを含む。
【0020】
一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び
(c)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H3
から選択される少なくとも1、2又は3つ全部のCDRを含む重鎖可変ドメインを含む。
【0021】
ある特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むCDR-L1;
(b)配列番号2のアミノ酸配列を含むCDR-L2;
(c)配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-L3
(d)配列番号5のアミノ酸配列を含むCDR-H1;
(e)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-H2;及び
(f)配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-H3
から選択される少なくとも1、2、3、4、5、又は6つ全部のCDRを含む重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとを含む。
【0022】
他の実施形態では、重鎖可変ドメインは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。
【0023】
一部の実施形態では、軽鎖可変ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0024】
一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性架橋基、メチオニン反応性架橋基、チオール反応性架橋基又はソルターゼ媒介性カップリング配列である。
【0025】
一部の実施形態では、アミノ反応性、メチオニン反応性、又はチオール反応性架橋基は、ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミド、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステル又はイミデート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪みアルキン、歪みアルケン、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネート、又はオキサジリジン等の活性化エステルを含む。
【0026】
一部の実施形態では、ソルターゼ認識配列は、末端グリシン-グリシン-グリシン(GGG)及び/又はLPTXGアミノ酸配列(式中、Xは任意のアミノ酸である)を含んでもよい。
【0027】
当業者であれば、本発明の実施における架橋基の使用が、本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、むしろ、他の公知の架橋基を含んでもよいことを理解できる。
【0028】
一部の実施形態では、架橋基は、
【0029】
【化3】
【0030】
からなる群から選択される。
【0031】
一部の実施形態では、Y1はHである。
【0032】
一部の実施形態では、X1はC=O(NR1)であり、R1はHである。
【0033】
一部の実施形態では、Z1は-CH2である。
【0034】
一部の実施形態では、L2は1のn値を有する。
【0035】
一部の実施形態では、化合物は、
【0036】
【化4】
【0037】
からなる群から選択される。
【0038】
一部の実施形態では、金属は放射性核種である。
【0039】
一部の実施形態では、放射性核種は、111Inである。
【0040】
一部の実施形態では、放射性核種は、68Gaである。
【0041】
一部の実施形態では、放射性核種は、86Yである。
【0042】
一部の実施形態では、金属は、ベータ線放射性核種である。
【0043】
一部の実施形態では、放射性核種は、67Cu、177Lu'又は90Yである。
【0044】
一部の実施形態では、金属は、アルファ線放射性核種である。
【0045】
一部の実施形態では、放射性核種は、225Ac、212Pb、227Th又はその子孫核種(progeny)(娘同位体)である。
【0046】
別の態様では、本発明は、前記化合物のいずれかと、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を特徴とする。
【0047】
別の態様では、本発明は、放射線処置計画及び/又は放射線処置の方法であって、それを必要とする対象に、前記化合物又は医薬組成物のいずれかを投与する工程を含む、方法を特徴とする。
【0048】
別の態様では、本発明は、がんを検出及び/又は処置する方法であって、それを必要とする対象に、放射線処置計画にとって有効な量の前記化合物又は医薬組成物のいずれかの第1の用量を投与する工程、次いで、治療有効量の前記化合物又は医薬組成物のいずれかのその後の用量を投与する工程を含む、方法を特徴とする。
【0049】
一部の実施形態では、第1の用量で投与される化合物又は組成物と、第2の用量、又は後の用量で投与される化合物又は組成物とは、同じである。
【0050】
一部の実施形態では、第1の用量で投与される化合物又は組成物と、第2の用量、又は後の用量で投与される化合物又は組成物とは、異なる。
【0051】
一部の実施形態では、がんは、固形腫瘍又は血液(液性)がんである。
【0052】
一部の実施形態では、固形腫瘍がんは、乳がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、膵がん、頭頸部がん、前立腺がん、結腸直腸がん、肉腫、副腎皮質癌、神経内分泌がん、ユーイング肉腫、多発性骨髄腫、又は急性骨髄性白血病である。
【0053】
一部の実施形態では、前記方法は、抗増殖剤、放射線増感剤、又は免疫調節性剤若しくは免疫調節剤を投与する工程を更に含む。
【0054】
一部の実施形態では、前記化合物又はその組成物のいずれかと、抗増殖剤又は放射線増感剤とは、互いに28日以内(例えば、14、7、6、5、4、3、2、又は1日以内)に投与される。
【0055】
一部の実施形態では、上記化合物又はその組成物のいずれかと、免疫調節性剤又は免疫調節剤とは、互いに90日以内(例えば、80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、2、又は1日以内)に投与される。
【0056】
別の態様では、本発明は、放射性コンジュゲート(例えば、本明細書に記載の放射性コンジュゲートのいずれか)を作製する方法を特徴とする。方法は、(a)二官能性キレートを生体分子にコンジュゲートする工程、(b)工程(a)によって製造されたコンジュゲートを精製する工程、及び(c)35℃未満(例えば、20~25℃)の温度で工程(b)の精製されたコンジュゲートを用いて、1つ又は複数の放射性核種(例えば、1つ又は複数のAc-225放射性核種)をキレート化して、放射性コンジュゲート(例えば、アクチニウム放射性コンジュゲート)を製造する工程を含む。
【0057】
一部の実施形態では、放射性コンジュゲートは、放射性イムノコンジュゲート(例えば、本明細書に記載の放射性イムノコンジュゲートのいずれか)である。
【0058】
一部の実施形態では、コンジュゲーション工程(a)の反応混合物のpHは、6.4未満(例えば、6.3、6.2、6.1、6.0、5.9、又は5.8以下)である。
【0059】
一部の実施形態では、コンジュゲーション工程(c)の反応混合物のpHは、5.5未満(例えば、5.4、5.3、5.2、5.1、又は5.0以下)であるか、又は7.0より大きい(例えば、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5以上)。
【0060】
一部の実施形態では、コンジュゲーション工程(c)の反応混合物の温度は、20~34℃(例えば、21℃、22℃、23℃、24℃、25℃、26℃、27℃、28℃、29℃、30℃、31℃、32℃、33℃、又は34℃)である。
【0061】
化学的用語:
本明細書で使用される用語「アシル」は、本明細書で定義されるカルボニル基を介して、親分子基に結合される、水素又は本明細書で定義されるアルキル基(例えば、ハロアルキル基)を表し、ホルミル(すなわち、カルボキシアルデヒド基)、アセチル、トリフルオロアセチル、プロピオニル、ブタノイル等によって例示される。例示的な非置換アシル基は、1~7個、1~11個、又は1~21個の炭素を含む。一部の実施形態では、アルキル基は、1、2、3、又は4個の本明細書に記載の置換基で更に置換される。
【0062】
本明細書で使用される用語「アルキル」は、別途特定されない限り、1~20個の炭素(例えば、1~10個又は1~6個)の直鎖と分枝鎖との両方の飽和基を含む。アルキル基は、メチル、エチル、n-及びイソ-プロピル、n-、sec-、イソ-及びtert-ブチル、ネオペンチル等によって例示され、(1)C1~6アルコキシ;(2)C1~6アルキルスルフィニル;(3)本明細書で定義されるアミノ(例えば、非置換アミノ(すなわち、-NH2)又は置換アミノ(すなわち、-N(RN1)2(式中、RN1は、アミノについて定義される通りである));(4)C6~10アリール-C1~6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2~9ヘテロシクリル)オキシ;(8)O-保護基で置換されていてもよいヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えば、カルボキシアルデヒド又はアシル);(11)C1~7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)O-保護基で置換されていてもよい-CO2RA'(式中、RA'は、(a)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);(15)-C(O)NRB'RC'(式中、RB'及びRC'はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールから選択される);(16)-SO2RD'(式中、RD'は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)C1~6アルク-C6~10アリール、及び(d)ヒドロキシからなる群から選択される);(17)-SO2NRE'RF'(式中、RE'及びRF'はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(18)-C(O)RG'(式中、RG'は、(a)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);(19)-NRH'C(O)RI'(式中、RH'は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群から選択され、RI'は、(a2)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);(20)-NRJ'C(O)ORK'(式中、RJ'は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群から選択され、RK'は、(a2)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);並びに(21)アミジンからなる群から独立に選択される、1、2、3個の置換基、又は2個以上の炭素のアルキル基の場合、4個の置換基で置換されていてもよい。一部の実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書に記載のように更に置換することができる。例えば、C1-アルカリールのアルキレン基を、オキソ基で更に置換して、対応するアリールオイル置換基を得ることができる。
【0063】
本明細書で使用される用語「アルキレン」及び接頭辞「アルク-」は、2個の水素原子の除去によって直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素から誘導される飽和二価炭化水素基を表し、メチレン、エチレン、イソプロピレン等によって例示される。用語「Cx~yアルキレン」及び接頭辞「Cx~yアルク-」は、x~y個の炭素を有するアルキレン基を表す。xの例示的な値は、1、2、3、4、5及び6であり、yの例示的な値は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18又は20である(例えば、C1~6、C1~10、C2~20、C2~6、C2~10、又はC2~20アルキレン)。一部の実施形態では、アルキレンを、本明細書で定義される1、2、3、又は4個の置換基で更に置換して、アルキル基にすることができる。
【0064】
本明細書で使用される用語「アルケニル」は、別途特定されない限り、1又は複数の炭素-炭素二重結合を含有する2~20個の炭素(例えば、2~6個又は2~10個の炭素)の一価直鎖又は分枝鎖基を表し、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル等によって例示される。アルケニルは、cisとtransの両方の異性体を含む。アルケニル基は、本明細書で定義されるような、アミノ、アリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)から独立に選択される1、2、3、若しくは4個の置換基、又は本明細書に記載される例示的なアルキル置換基のいずれかで置換されていてもよい。
【0065】
本明細書で使用される用語「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合を含有する2~20個の炭素原子(例えば、2~4個、2~6個、又は2~10個の炭素)の一価直鎖又は分枝鎖基を表し、エチニル、1-プロピニル等によって例示される。アルキニル基は、本明細書で定義されるような、アリール、シクロアルキル、若しくはヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)から独立に選択される1、2、3、若しくは4個の置換基、又は本明細書に記載の例示的なアルキル置換基のいずれかで置換されていてもよい。
【0066】
本明細書で使用される用語「アミノ」は、-N(RN1)2(式中、RN1はそれぞれ独立に、H、OH、NO2、N(RN2)2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、N-保護基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、アルカリール、シクロアルキル、アルクシクロアルキル、カルボキシアルキル(例えば、置換されていてもよいアリールアルコキシカルボニル基若しくは本明細書に記載の任意のもの等のO-保護基で置換されていてもよい)、スルホアルキル、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、若しくは本明細書に記載の他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(例えば、置換されていてもよいアリールアルコキシカルボニル基若しくは本明細書に記載の任意のもの等の、O-保護基で置換されていてもよい)、ヘテロシクリル(例えば、ヘテロアリール)、又はアルクヘテロシクリル(例えば、アルクヘテロアリール)であり、ここで、これらの記載されたRN1基はそれぞれ、それぞれの基について本明細書で定義されるように、置換されていてもよいか;又は2個のRN1は組み合わさって、ヘテロシクリル若しくはN-保護基を形成し、RN2はそれぞれ独立に、H、アルキル、又はアリールである)を表す。本発明のアミノ基は、非置換アミノ(すなわち、-NH2)又は置換アミノ(すなわち、-N(RN1)2)であってもよい。好ましい実施形態では、アミノは、-NH2又はNHRN1(式中、RN1は独立に、OH、NO2、NH2、NRN2 2、SO2ORN2、SO2RN2、SORN2、アルキル、カルボキシアルキル、スルホアルキル、アシル(例えば、アセチル、トリフルオロアセチル、若しくは本明細書に記載の他のもの)、アルコキシカルボニルアルキル(例えば、t-ブトキシカルボニルアルキル)又はアリールであり、RN2はそれぞれ、H、C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、又はC6~10アリールであってもよい)である。
【0067】
本明細書に記載される用語「アミノ酸」は、側鎖、アミノ基、及び酸基(例えば、-CO2Hのカルボキシ基又は-SO3Hのスルホ基)を有する分子であって、アミノ酸が側鎖、アミノ基、又は酸基(例えば、側鎖)によって親分子に結合する、分子を指す。一部の実施形態では、アミノ酸は、カルボニル基によって親分子基に結合し、ここで、側鎖又はアミノ基は、カルボニル基に結合する。例示的な側鎖としては、置換されていてもよいアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アルカリール、アルクヘテロシクリル、アミノアルキル、カルバモイルアルキル、及びカルボキシアルキルが挙げられる。例示的なアミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ヒドロキシノルバリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルバリン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、ピロリジン、セレノシステイン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、及びバリンが挙げられる。アミノ酸基は、(1)C1~6アルコキシ;(2)C1~6アルキルスルフィニル;(3)本明細書で定義されるアミノ(例えば、非置換アミノ(すなわち、-NH2)又は置換アミノ(すなわち、-N(RN1)2(式中、RN1は、アミノについて定義される通りである));(4)C6~10アリール-C1~6アルコキシ;(5)アジド;(6)ハロ;(7)(C2~9ヘテロシクリル)オキシ;(8)ヒドロキシ;(9)ニトロ;(10)オキソ(例えば、カルボキシアルデヒド又はアシル);(11)C1~7スピロシクリル;(12)チオアルコキシ;(13)チオール;(14)-CO2RA'(式中、RA'は、(a)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);(15)-C(O)NRB'RC'(式中、RB'及びRC'はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールから選択される);(16)-SO2RD'(式中、RD'は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)C1~6アルク-C6~10アリール、及び(d)ヒドロキシからなる群から選択される);(17)-SO2NRE'RF'(式中、RE'及びRF'はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(18)-C(O)RG'(式中、RG'は、(a)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c)C6~10アリール、(d)水素、(e)C1~6アルク-C6~10アリール、(f)アミノ-C1~20アルキル、(g)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);(19)-NRH'C(O)RI'(式中、RH'は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群から選択され、RI'は、(a2)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);(20)-NRJ'C(O)ORK'(式中、RJ'は、(a1)水素及び(b1)C1~6アルキルからなる群から選択され、RK'は、(a2)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル)、(b2)C2~20アルケニル(例えば、C2~6アルケニル)、(c2)C6~10アリール、(d2)水素、(e2)C1~6アルク-C6~10アリール、(f2)アミノ-C1~20アルキル、(g2)-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3OR'(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、R'は、H又はC1~20アルキルである)のポリエチレングリコール、及び(h2)-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1はそれぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールからなる群から選択される);並びに(21)アミジンからなる群から独立に選択される、1、2、3個、又は2個以上の炭素のアミノ酸基の場合、4個の置換基で置換されていてもよい。一部の実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書に記載のように更に置換することができる。
【0068】
本明細書で使用される用語「アリール」は、1個又は2個の芳香環を有する単環式、二環式、又は多環式炭素環系を表し、フェニル、ナフチル、1,2-ジヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、フルオレニル、インダニル、インデニル等によって例示され、(1)C1~7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ-C1~6アルキル、C1~6アルキルスルフィニル-C1~6アルキル、アミノ-C1~6アルキル、アジド-C1~6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル(例えば、ペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1~6アルキル、ニトロ-C1~6アルキル、又はC1~6チオアルコキシ-C1~6アルキル);(3)C1~20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシ等のC1~6アルコキシ);(4)C1~6アルキルスルフィニル;(5)C6~10アリール;(6)アミノ;(7)C1~6アルク-C6~10アリール;(8)アジド;(9)C3~8シクロアルキル;(10)C1~6アルク-C3~8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1~12ヘテロシクリル(例えば、C1~12ヘテロアリール);(13)(C1~12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1~20チオアルコキシ(例えば、C1~6チオアルコキシ);(17)-(CH2)qCO2RA'(式中、qは0~4の整数であり、RA'は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)水素、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(18)-(CH2)qCONRB'RC'(式中、qは0~4の整数であり、RB'及びRC'は、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立に選択される);(19)-(CH2)qSO2RD'(式中、qは0~4の整数であり、RD'は、(a)アルキル、(b)C6~10アリール、及び(c)アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(20)-(CH2)qSO2NRE'RF'(式中、qは0~4の整数であり、RE'及びRF'はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(21)チオール;(22)C6~10アリールオキシ;(23)C3~8シクロアルコキシ;(24)C6~10アリール-C1~6アルコキシ;(25)C1~6アルク-C1~12ヘテロシクリル(例えば、C1~6アルク-C1~12ヘテロアリール);(26)C2~20アルケニル;並びに(27)C2~20アルキニルからなる群から独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基で置換されていてもよい。一部の実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書に記載のように更に置換することができる。例えば、C1-アルカリール又はC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基を、オキソ基で更に置換して、対応するアリールオイル及び(ヘテロシクリル)オイル置換基を得ることができる。
【0069】
本明細書で使用される用語「アリールアルキル」は、本明細書で定義されるアルキレン基を介して、親分子基に結合した、本明細書で定義されるアリール基を表す。例示的な非置換アリールアルキル基は、7~30個の炭素(例えば、7~16個又は7~20個の炭素、例えば、C1~6アルク-C6~10アリール、C1~10アルク-C6~10アリール、又はC1~20アルク-C6~10アリール)である。一部の実施形態では、アルキレン及びアリールはそれぞれ、対応する基について本明細書で定義される1、2、3又は4個の置換基で更に置換することができる。接頭辞「アルク-」の後の他の基は、同じ様式で定義され、「アルク」は、別途注記しない限り、C1~6アルキレンを指し、結合する化学構造は、本明細書で定義される通りである。
【0070】
本明細書で使用される用語「カルボニル」は、C=Oと表すこともできるC(O)基を表す。
【0071】
本明細書で使用される用語「カルボキシ」は、-CO2Hを意味する。
【0072】
本明細書で使用される用語「シアノ」は、-CN基を表す。
【0073】
本明細書で使用される用語「シクロアルキル」は、別途特定されない限り、3~8個の炭素の一価飽和又は不飽和非芳香環炭化水素基を表し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、二環ヘプチル等によって例示される。シクロアルキル基が1個の炭素-炭素二重結合又は1個の炭素-炭素三重結合を含む場合、シクロアルキル基を、それぞれ、「シクロアルケニル」又は「シクロアルキニル」基と呼ぶことができる。例示的なシクロアルケニル及びシクロアルキニル基としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキシニル等が挙げられる。本発明のシクロアルキル基は、(1)C1~7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ-C1~6アルキル、C1~6アルキルスルフィニル-C1~6アルキル、アミノ-C1~6アルキル、アジド-C1~6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル(例えば、ペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1~6アルキル、ニトロ-C1~6アルキル、又はC1~6チオアルコキシ-C1~6アルキル);(3)C1~20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシ等のC1~6アルコキシ);(4)C1~6アルキルスルフィニル;(5)C6~10アリール;(6)アミノ;(7)C1~6アルク-C6~10アリール;(8)アジド;(9)C3~8シクロアルキル;(10)C1~6アルク-C3~8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1~12ヘテロシクリル(例えば、C1~12ヘテロアリール);(13)(C1~12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1~20チオアルコキシ(例えば、C1~6チオアルコキシ);(17)-(CH2)qCO2RA'(式中、qは0~4の整数であり、RA'は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)水素、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(18)-(CH2)qCONRB'RC'(式中、qは0~4の整数であり、RB'及びRC'は、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立に選択される);(19)-(CH2)qSO2RD'(式中、qは0~4の整数であり、RD'は、(a)C6~10アルキル、(b)C6~10アリール、及び(c)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(20)-(CH2)qSO2NRE'RF'(式中、qは0~4の整数であり、RE'及びRF'はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C6~10アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(21)チオール;(22)C6~10アリールオキシ;(23)C3~8シクロアルコキシ;(24)C6~10アリール-C1~6アルコキシ;(25)C1~6アルク-C1~12ヘテロシクリル(例えば、C1~6アルク-C1~12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)C2~20アルケニル;並びに(28)C2~20アルキニルで置換されていてもよい。一部の実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書に記載のように更に置換することができる。例えば、C1-アルカリール又はC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基を、オキソ基で更に置換して、対応するアリールオイル及び(ヘテロシクリル)オイル置換基を得ることができる。
【0074】
本明細書で使用される用語「ジアステレオマー」は、互いの鏡像ではなく、互いに重ね合わせることができない立体異性体を意味する。
【0075】
本明細書で使用される用語「鏡像異性体」は、少なくとも80%(すなわち、少なくとも90%の一方の鏡像異性体及び多くても10%の他方の鏡像異性体)、好ましくは、少なくとも90%及びより好ましくは、少なくとも98%の光学純度又は鏡像体過剰率を有する(当業界で標準的な方法によって決定される)、それぞれ個々の光学的に活性な形態の本発明の化合物を意味する。
【0076】
本明細書で使用される用語「ハロゲン」は、臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素から選択されるハロゲンを表す。
【0077】
本明細書で使用される用語「ヘテロアルキル」とは、1個又は2個の構成炭素原子が、窒素、酸素、又は硫黄でそれぞれ置き換えられた、本明細書で定義されるアルキル基を指す。一部の実施形態では、ヘテロアルキル基を、アルキル基について本明細書で記載されるような1、2、3、又は4個の置換基で更に置換することができる。本明細書で使用される用語「ヘテロアルケニル」及び「ヘテロアルキニル」とは、1個又は2個の構成炭素原子がそれぞれ窒素、酸素、又は硫黄で置き換えられた、それぞれ、本明細書で定義されるアルケニル及びアルキニル基を指す。一部の実施形態では、ヘテロアルケニル及びヘテロアルキニル基を、アルキル基について本明細書に記載されるような1、2、3、又は4個の置換基で更に置換することができる。
【0078】
本明細書で使用される用語「ヘテロアリール」は、芳香族である、本明細書で定義されるヘテロシクリルのサブセットを表す、すなわち、それらは、単環又は多環系内に4n+2個のパイ電子を含有する。例示的な非置換ヘテロアリール基は、1~12個(例えば、1~11個、1~10個、1~9個、2~12個、2~11個、2~10個、又は2~9個)の炭素のものである。一部の実施形態では、ヘテロアリールは、ヘテロシクリル基について定義されるような1、2、3又は4個の置換基で置換される。
【0079】
用語「ヘテロアリールアルキル」とは、本明細書で定義されるアルキレン基を介して親分子基に結合した、本明細書で定義されるヘテロアリール基を指す。例示的な非置換ヘテロアリールアルキル基は、2~32個の炭素(例えば、2~22個、2~18個、2~17個、2~16個、3~15個、2~14個、2~13個、又は2~12個の炭素、例えば、C1~6アルク-C1~12ヘテロアリール、C1~10アルク-C1~12ヘテロアリール、又はC1~20アルク-C1~12ヘテロアリール)のものである。一部の実施形態では、アルキレン及びヘテロアリールはそれぞれ、対応する基について本明細書で定義される1、2、3又は4個の置換基で更に置換することができる。ヘテロアリールアルキル基は、ヘテロシクリルアルキル基のサブセットである。
【0080】
本明細書で使用される用語「ヘテロシクリル」は、別途特定されない限り、窒素、酸素、及び硫黄からなる群から独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子を含有する、5、6又は7員環を表す。5員環は、0~2個の二重結合を有し、6及び7員環は、0~3個の二重結合を有する。例示的な非置換ヘテロシクリル基は、1~12個(例えば、1~11個、1~10個、1~9個、2~12個、2~11個、2~10個、又は2~9個)の炭素のものである。用語「ヘテロシクリル」はまた、1又は複数の炭素及び/又はヘテロ原子が、単環の2個の隣接しないメンバー、例えば、キヌクリジニル基を架橋する、架橋した多環式構造を有する複素環化合物を表す。用語「ヘテロシクリル」は、上記の複素環のいずれかが、1、2、又は3個の炭素環、例えば、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、又は別の単環式複素環、例えば、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル等に融合された二環式、三環式、及び四環式基を含む。融合ヘテロシクリルの例としては、トロパン及び1,2,3,5,8,8a-ヘキサヒドロインドリジンが挙げられる。複素環としては、1又は複数の二重結合が還元され、水素で置き換えられる、ジヒドロ及びテトラヒドロ型を含む、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニイル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、ジヒドロキノキサリニル、キナゾリニル、シノリニル、フタラジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル(例えば、1,2,3-オキサジアゾリル)、プリニル、チアジアゾリル(例えば、1,2,3-チアジアゾリル)、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル等が挙げられる。更に他の例示的なヘテロシクリルとしては、2,3,4,5-テトラヒドロ-2-オキソ-オキサゾリル; 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-イミダゾリル; 2,3,4,5-テトラヒドロ-5-オキソ-1H-ピラゾリル(例えば、2,3,4,5-テトラヒドロ-2-フェニル-5-オキソ-1H-ピラゾリル); 2,3,4,5-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-1H-イミダゾリル(例えば、2,3,4,5-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-5-メチル-5-フェニル-1H-イミダゾリル); 2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-1,3,4-オキサジアゾリル(例えば、2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-5-フェニル-1,3,4-オキサジアゾリル); 4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1H-トリアゾリル(例えば、4,5-ジヒドロ-3-メチル-4-アミノ5-オキソ-1H-トリアゾリル); 1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソピリジニル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3,3-ジエチルピリジニル); 2,6-ジオキソ-ピペリジニル(例えば、2,6-ジオキソ-3-エチル-3-フェニルピペリジニル); 1,6-ジヒドロ-6-オキソピリジミニル; 1,6-ジヒドロ-4-オキソピリミジニル(例えば、2-(メチルチオ)-1,6-ジヒドロ-4-オキソ-5-メチルピリミジン-1-イル); 1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソピリミジニル(例えば、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3-エチルピリミジニル); 1,6-ジヒドロ-6-オキソ-ピリダジニル(例えば、1,6-ジヒドロ-6-オキソ-3-エチルピリダジニル); 1,6-ジヒドロ-6-オキソ-1,2,4-トリアジニル(例えば、1,6-ジヒドロ-5-イソプロピル-6-オキソ-1,2,4-トリアジニル); 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-インドリル(例えば、3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-インドリル及び2,3-ジヒドロ-2-オキソ-3,3'-スピロプロパン-1H-インドール-1-イル); 1,3-ジヒドロ-1-オキソ-2H-イソ-インドリル; 1,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-2H-イソ-インドリル; 1H-ベンゾピラゾリル(例えば、1-(エトキシカルボニル)-1H-ベンゾピラゾリル); 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾリル(例えば、3-エチル-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾリル); 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾオキサゾリル(例えば、5-クロロ-2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾオキサゾリル); 2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾオキサゾリル;2-オキソ-2H-ベンゾピラニル; 1,4-ベンゾジオキサニル; 1,3-ベンゾジオキサニル; 2,3-ジヒドロ-3-オキソ,4H-1,3-ベンゾチアジニル; 3,4-ジヒドロ-4-オキソ-3H-キナゾリニル(例えば、2-メチル-3,4-ジヒドロ-4-オキソ-3H-キナゾリニル); 1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3H-キナゾリル(例えば、1-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-3H-キナゾリル); 1,2,3,6-テトラヒドロ-2,6-ジオキソ-7H-プリニル(例えば、1,2,3,6-テトラヒドロ-1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-7H-プリニル); 1,2,3,6-テトラヒドロ-2,6-ジオキソ-1H-プリニル(例えば、1,2,3,6-テトラヒドロ-3,7-ジメチル-2,6-ジオキソ-1H-プリニル); 2-オキソベンゾ[c,d]インドリル; 1,1-ジオキソ-2H-ナフタ[1,8-c,d]イソチアゾリル;及び1,8-ナフチレンジカルボキサミドが挙げられる。更なる複素環としては、3,3a,4,5,6,6a-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,4-b]ピロール-(2H)-イル及び2,5-ジアザビシクロ[2.2.1 ]ヘプタン-2-イル、ホモピペラジニル(又はジアゼパニル)、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、オキセパニル、チエパニル、アゾカニル、オキセカニル、及びチオカニルが挙げられる。複素環基はまた、式
【0081】
【化5】
【0082】
(式中、E'は、-N-及び-CH-からなる群から選択され;F'は、-N=CH-、-NH-CH2-、-NH-C(O)-、-NH-、-CH=N-、-CH2-NH-、-C(O)-NH-、-CH=CH-、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2O-、-OCH2-、-O-、及び-S-からなる群から選択され;G'は、-CH-及び-N-からなる群から選択される)
の基を含む。本明細書に記載のヘテロシクリル基のいずれかを、(1)C1~7アシル(例えば、カルボキシアルデヒド);(2)C1~20アルキル(例えば、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ-C1~6アルキル、C1~6アルキルスルフィニル-C1~6アルキル、アミノ-C1~6アルキル、アジド-C1~6アルキル、(カルボキシアルデヒド)-C1~6アルキル、ハロ-C1~6アルキル(例えば、ペルフルオロアルキル)、ヒドロキシ-C1~6アルキル、ニトロ-C1~6アルキル、又はC1~6チオアルコキシ-C1~6アルキル);(3)C1~20アルコキシ(例えば、ペルフルオロアルコキシ等のC1~6アルコキシ);(4)C1~6アルキルスルフィニル;(5)C6~10アリール;(6)アミノ;(7)C1~6アルク-C6~10アリール;(8)アジド;(9)C3~8シクロアルキル;(10)C1~6アルク-C3~8シクロアルキル;(11)ハロ;(12)C1~12ヘテロシクリル(例えば、C2~12ヘテロアリール);(13)(C1~12ヘテロシクリル)オキシ;(14)ヒドロキシ;(15)ニトロ;(16)C1~20チオアルコキシ(例えば、C1~6チオアルコキシ);(17)-(CH2)qCO2RA'(式中、qは0~4の整数であり、RA'は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、(c)水素、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(18)-(CH2)qCONRB'RC'(式中、qは0~4の整数であり、RB'及びRC'は、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から独立に選択される);(19)-(CH2)qSO2RD'(式中、qは0~4の整数であり、RD'は、(a)C1~6アルキル、(b)C6~10アリール、及び(c)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(20)-(CH2)qSO2NRE'RF'(式中、qは0~4の整数であり、RE'及びRF'はそれぞれ独立に、(a)水素、(b)C1~6アルキル、(c)C6~10アリール、及び(d)C1~6アルク-C6~10アリールからなる群から選択される);(21)チオール;(22)C6~10アリールオキシ;(23)C3~8シクロアルコキシ;(24)アリールアルコキシ;(25)C1~6アルク-C1~12ヘテロシクリル(例えば、C1~6アルク-C1~12ヘテロアリール);(26)オキソ;(27)(C1~12ヘテロシクリル)イミノ;(28)C2~20アルケニル;並びに(29)C2~20アルキニルからなる群から独立に選択される1、2、3、4又は5個の置換基で置換してもよい。一部の実施形態では、これらの基はそれぞれ、本明細書に記載のように更に置換することができる。例えば、C1-アルカリール又はC1-アルクヘテロシクリルのアルキレン基を、オキソ基で更に置換して、対応するアリールオイル及び(ヘテロシクリル)オイル置換基を得ることができる。
【0083】
本明細書で使用される用語「炭化水素」は、炭素及び水素原子のみからなる基を表す。
【0084】
本明細書で使用される用語「ヒドロキシル」は、-OH基を表す。一部の実施形態では、ヒドロキシル基を、アルキルについて本明細書で定義される1、2、3又は4個の置換基(例えば、O-保護基)で置換することができる。
【0085】
本明細書で使用される用語「異性体」は、本発明の化合物のいずれかの任意の互変異性体、立体異性体、鏡像異性体、又はジアステレオマーを意味する。本発明の化合物は、1又は複数のキラル中心及び/又は二重結合を有し、したがって、二重結合異性体(すなわち、幾何E/Z異性体)又はジアステレオマー(例えば、鏡像異性体(すなわち、(+)若しくは(-))又はcis/trans異性体)等の、立体異性体として存在してもよい。本発明によれば、本明細書に記載される化学構造、したがって、本発明の化合物は、全ての対応する立体異性体、すなわち、立体異性的に純粋な形態(例えば、幾何的に純粋、鏡像異性的に純粋、又はジアステレオ異性的に純粋)と、鏡像異性体と立体異性体の混合物、例えば、ラセミ体との両方を包含する。本発明の化合物の鏡像異性体と立体異性体の混合物を、典型的には、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、キラル塩複合体としての化合物の結晶化、又はキラル溶媒中での化合物の結晶化等の公知の方法によって、その成分である鏡像異性体又は立体異性体に分解することができる。また、鏡像異性体及び立体異性体を、公知の非対称的合成法により、立体異性的又は鏡像異性的に純粋な中間体、試薬、及び触媒から取得することができる。
【0086】
本明細書で使用される用語「N-保護されたアミノ」とは、本明細書で定義される1又は2個のN-保護基に結合した、本明細書で定義されるアミノ基を指す。
【0087】
本明細書で使用される用語「N-保護基」は、合成手順の間の望ましくない反応に対してアミノ基を保護することを意図される基を表す。一般的に使用されるN-保護基は、参照により本明細書に組み込まれる、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(John Wiley & Sons、New York、1999)に開示されている。N-保護基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイル等のアシル、アリールオイル、又はカルバミル基、及びアラニン、ロイシン、フェニルアラニン等の保護された、若しくは保護されていないD、L若しくはD,L-アミノ酸等のキラル補助基;ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニル等のスルホニル含有基;ベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニルイル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニル等のカルバメート形成基、ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチル等のアルカリール基及びトリメチルシリル等のシリル基等が挙げられる。好ましいN-保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0088】
本明細書で使用される用語「O-保護基」は、合成手順の間の望ましくない反応に対して酸素含有(例えば、フェノール、ヒドロキシル、又はカルボニル)基を保護することを意図される基を表す。一般的に使用されるO-保護基は、参照により本明細書に組み込まれる、Greene、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版(John Wiley & Sons、New York、1999)に開示されている。例示的なO-保護基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、t-ブチルジメチルシリル、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル、4,4'-ジメトキシトリチル、イソブチリル、フェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル、ジメチルホルムアミジノ、及び4-ニトロベンゾイル等のアシル、アリールオイル、又はカルバミル基;アシル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等のアルキルカルボニル基;ベンゾイル等の置換されていてもよいアリールカルボニル基;トリメチルシリル(TMS)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリ-イソ-プロピルシリルオキシメチル(TOM)、トリイソプロピルシリル(TIPS)等のシリル基;メチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、トリチル等の、ヒドロキシルとエーテルを形成する基;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-イソプロポキシカルボニル、n-ブチルオキシカルボニル、イソブチルオキシカルボニル、sec-ブチルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、2-エチルヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、メチルオキシカルボニル等のアルコキシカルボニル;メトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-エトキシエトキシカルボニル、2-ブトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、プロパルギルオキシカルボニル、2-ブテノキシカルボニル、3-メチル-2-ブテノキシカルボニル等のアルコキシアルコキシカルボニル基;2-クロロエトキシカルボニル、2-クロロエトキシカルボニル、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル等のハロアルコキシカルボニル;ベンジルオキシカルボニル、p-メチルベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2,4-ジニトロベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメチルベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル等の置換されていてもよいアリールアルコキシカルボニル基;及びフェノキシカルボニル、p-ニトロフェノキシカルボニル、o-ニトロフェノキシカルボニル、2,4-ジニトロフェノキシカルボニル、p-メチル-フェノキシカルボニル、m-メチルフェノキシカルボニル、o-ブロモフェノキシカルボニル、3,5-ジメチルフェノキシカルボニル、p-クロロフェノキシカルボニル、2-クロロ-4-ニトロフェノキシ-カルボニル等の置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基;置換アルキル、アリール、及びアルカリールエーテル(例えば、トリチル;メチルチオメチル;メトキシメチル;ベンジルオキシメチル;シロキシメチル;2,2,2-トリクロロエトキシメチル;テトラヒドロピラニル;テトラヒドロフラニル;エトキシエチル;1-[2-(トリメチルシリル)エトキシ]エチル;2-トリメチルシリルエチル;t-ブチルエーテル;p-クロロフェニル、p-メトキシフェニル、p-ニトロフェニル、ベンジル、p-メトキシベンジル、及びニトロベンジル);シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル;トリエチルシリル;トリイソプロピルシリル;ジメチルイソプロピルシリル;t-ブチルジメチルシリル;t-ブチルジフェニルシリル;トリベンジルシリル;トリフェニルシリル;及びジフェニルメチルシリル);カルボネート(例えば、メチル、メトキシメチル、9-フルオレニルメチル;エチル;2,2,2-トリクロロエチル;2-(トリメチルシリル)エチル;ビニル、アリル、ニトロフェニル;ベンジル;メトキシベンジル;3,4-ジメトキシベンジル;及びニトロベンジル);カルボニル保護基(例えば、ジメチルアセタール、1,3-ジオキソラン等のアセタール及びケタール基;アシラール基;及び1,3-ジチアン、1,3-ジチオラン等のジチアン基);カルボン酸保護基(例えば、メチルエステル、ベンジルエステル、t-ブチルエステル、オルトエステル等のエステル基);並びにオキサゾリン基が挙げられる。
【0089】
本明細書で使用される用語「オキソ」は、=Oを表す。
【0090】
本明細書で使用される用語「ポリエチレングリコール」は、それぞれのモノマー単位が、-OCH2CH2-からなる、1又は複数のモノマー単位を含むアルコキシ鎖を表す。ポリエチレングリコール(PEG)はまた、ポリエチレンオキシド(PEO)又はポリオキシエチレン(POE)と呼ばれることもあり、これらの用語は、本発明の目的にとって互換的であると考えてよい。例えば、ポリエチレングリコールは、構造式-(CH2)s2(OCH2CH2)s1(CH2)s3O-(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数である)を有してもよい。ポリエチレングリコールはまた、-NRN1(CH2)s2(CH2CH2O)s1(CH2)s3NRN1(式中、s1は1~10(例えば、1~6又は1~4)の整数であり、s2及びs3はそれぞれ独立に、0~10(例えば、0~4、0~6、1~4、1~6、又は1~10)の整数であり、RN1それぞれ独立に、水素又は置換されていてもよいC1~6アルキルである)のアミノ-ポリエチレングリコールを含むと考えてもよい。
【0091】
本明細書で使用される用語「立体異性体」とは、ある化合物(例えば、本明細書に記載の任意の式の化合物)が有し得る全ての可能な異なる異性体並びにコンフォメーション形態、特に、基本分子構造の全ての可能な立体化学的及びコンフォメーション的異性形態、全てのジアステレオマー、鏡像異性体及び/又はコンフォーマーを指す。本発明の一部の化合物は、異なる互変異性形態で存在してもよく、後者は全て、本発明の範囲内に含まれる。
【0092】
本明細書で使用される用語「スルホニル」は、-S(O2)-基を表す。
【0093】
本明細書で使用される用語「チオール」は、-SH基を表す。
【0094】
定義
本明細書で使用される用語「組み合わせて投与される」又は「組合せ投与」は、2つ以上の多い薬剤が、同時に、又は患者に対するそれぞれの薬剤の効果の重複があってもよいような間隔内で対象に投与されることを意味する。一部の実施形態では、それらは、互いに90日以内(例えば、80、70、60、50、40、30、20、10、5、4、3、2、若しくは1日以内)、28日以内(例えば、14、7、6、5、4、3、2、若しくは1日以内)、24時間以内(例えば、12、6、5、4、3、2、若しくは1時間以内)、又は約60、30、15、10、5、若しくは1分以内に投与される。一部の実施形態では、薬剤の投与は、組合せ(例えば、相乗)効果が達成されるように十分に近い間隔で行われる。
【0095】
本明細書で使用される場合、「抗体」とは、免疫グロブリン及びその断片を含むアミノ酸配列が指定の抗原、又はその断片に特異的に結合するポリペプチドを指す。本発明による抗体は、任意の型(例えば、IgA、IgD、IgE、IgG、若しくはIgM)又はサブタイプ(例えば、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、若しくはIgG4)のものであってもよい。当業者であれば、抗体の特徴的な配列又は一部は、抗体の1又は複数の領域(例えば、可変領域、超可変領域、定常領域、重鎖、軽鎖、及びその組合せ)に見出されるアミノ酸を含んでもよいことを理解できる。更に、当業者であれば、抗体の特徴的な配列又は一部が1又は複数のポリペプチド鎖を含んでもよく、同じポリペプチド鎖又は異なるポリペプチド鎖に見出される配列エレメントを含んでもよいことを理解できる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「抗原結合断片」とは、親抗体の結合特性を保持する抗体の一部を指す。
【0097】
本明細書で互換的に使用される用語「二官能性キレート」又は「二官能性コンジュゲート」は、キレート基又はその金属錯体、リンカー基、及び治療的部分、標的化部分、又は架橋基を含有する化合物を指す。
【0098】
用語「がん」とは、腫瘍、新生物、癌腫、肉腫、白血病、及びリンパ腫等の、悪性新生物細胞の増殖によって引き起こされる任意のがんを指す。「固形腫瘍がん」は、異常な組織塊を含むがん、例えば、肉腫、癌腫、及びリンパ腫である。本明細書で互換的に使用される「血液がん」又は「液性がん」は、体液中に存在するがん、例えば、リンパ腫及び白血病である。
【0099】
本明細書で使用される用語「キレート」とは、2つ以上の点で中心金属又は放射性金属原子に結合することができる有機化合物又はその一部を指す。
【0100】
本明細書で使用される用語「コンジュゲート」とは、キレート基又はその金属錯体、リンカー基を含有し、必要に応じて、治療的部分、標的化部分、又は架橋基を含有する分子を指す。
【0101】
本明細書で使用される用語「化合物」は、記載される構造の全ての立体異性体、幾何異性体、及び互変異性体を含むことを意味する。
【0102】
本明細書に記載の化合物は、非対称性であってもよい(例えば、1又は複数の立体中心を有する)。別途指摘しない限り、鏡像異性体及びジアステレオマー等の全ての立体異性体が意図される。非対称的に置換された炭素原子を含有する本開示の化合物を、光学的に活性な形態又はラセミ形態で単離することができる。ラセミ混合物の分解又は立体選択的合成等による、光学的に活性な出発材料から光学的に活性な形態を調製する方法が、当業界で公知である。オレフィン、C=N二重結合等の多くの幾何異性体も本明細書に記載の化合物中に存在してもよく、そのような安定な異性体は全て本開示において企図される。本開示の化合物のcis及びtrans幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、又は分離された異性形態として単離することができる。
【0103】
本開示の化合物はまた、互変異性形態も含む。互変異性形態は、単結合と隣接する二重結合との交換及びプロトンの同時的移動の結果生じる。互変異性形態は、同じ実験式及び全電荷を有する異性体プロトン化状態であるプロトン互変異性体を含む。プロトン互変異性体の例としては、ケトン-エノール対、アミド-イミド酸対、ラクタム-ラクチム対、アミド-イミド酸対、エナミン-イミン対、並びに1H-及び3H-イミダゾール、1H-、2H-及び4H-1,2,4-トリアゾール、1H-及び2H-イソインドール、並びに1H-及び2H-ピラゾール等の、プロトンが複素環系の2つ以上の位置を占有することができる環状形態が挙げられる。互変異性形態は、平衡にあってもよいか、又は適切な置換によって1つの形態に立体的に固定することができる。
【0104】
本明細書における様々な場所で、本開示の化合物の置換基は、グループ又は範囲で開示される。本開示は、そのようなグループ及び範囲のメンバーのそれぞれの、及び全ての個別の下位組合せを含むことが具体的に意図される。例えば、用語「C1~6アルキル」は、メチル、エチル、C3アルキル、C4アルキル、C5アルキル、及びC6アルキルを個別に開示することが具体的に意図される。本明細書における語句の形態「置換されていてもよいX」(例えば、置換されていてもよいアルキル)は、「X(式中、Xは置換されていてもよい)」(例えば、「アルキル(式中、前記アルキルは置換されていてもよい)」)と等価であることが意図される。特徴「X」(例えば、アルキル)自体が任意選択であることを意味することを意図するものではない。
【0105】
本明細書で使用される場合、「検出剤」とは、抗原を含有する細胞を探すことによって疾患を診断する際に有用である分子又は原子を指す。ポリペプチドを検出剤で標識する様々な方法が当業界で公知である。検出剤の例としては、限定されるものではないが、放射性同位体及び放射性核種、染料(ビオチン-ストレプトアビジン複合体を含むもの等)、造影剤、発光剤(例えば、FITC、ローダミン、ランタニドリン光体、シアニン、及び近IR染料)、並びにガドリニウムキレート等の磁性剤が挙げられる。
【0106】
本明細書で使用される用語「放射性核種」とは、放射性崩壊を受けることができる原子(例えば、3H、14C、15N、18F、35S、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、75Br、76Br、77Br、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、229Th、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、117mSn、201Tl)を指す。放射活性核種、放射性同位体、又は放射活性同位体という用語を使用して、放射性核種を記述することもできる。放射性核種を、上記のように、検出剤として使用することができる。一部の実施形態では、放射性核種は、アルファ線放射性核種であってもよい。
【0107】
本明細書で使用される場合、薬剤(例えば、前記コンジュゲートのいずれか)の「有効量」という用語は、臨床結果等の有益な、又は所望の結果を得るのに十分な量であり、そのため、「有効量」は、それが適用される文脈に依存する。
【0108】
本明細書で使用される用語「イムノコンジュゲート」とは、抗体、ナノボディ、アフィボディ、又はIII型フィブロネクチンドメインに由来するコンセンサス配列等の、標的化部分を含むコンジュゲートを指す。一部の実施形態では、イムノコンジュゲートは、標的化部分あたり、平均で少なくとも0.10個のコンジュゲート(例えば、標的化部分あたり、平均で少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、4、5、又は8個のコンジュゲート)を含む。
【0109】
本明細書で使用される用語「放射性コンジュゲート」とは、本明細書に記載の放射性同位体又は放射性核種のいずれか等の、放射性同位体又は放射性核種を含む任意のコンジュゲートを指す。
【0110】
本明細書で使用される用語「放射性イムノコンジュゲート」とは、本明細書に記載の放射性同位体又は放射性核種のいずれか等の、放射性同位体又は放射性核種を含む任意のイムノコンジュゲートを指す。
【0111】
本明細書で使用される用語「放射線免疫療法」とは、放射性イムノコンジュゲートを使用して治療効果をもたらす方法を指す。一部の実施形態では、放射線免疫療法は、放射性イムノコンジュゲートの投与が対象において治療効果をもたらす、放射性イムノコンジュゲートのそれを必要とする対象への投与を含んでもよい。一部の実施形態では、放射線免疫療法は、放射性イムノコンジュゲートの投与が細胞を殺傷する、細胞への放射性イムノコンジュゲートの投与を含んでもよい。放射線免疫療法が細胞の選択的殺傷を含む場合、一部の実施形態では、細胞は、がんを有する対象中のがん細胞である。
【0112】
本明細書で使用される用語「医薬組成物」は、薬学的に許容される賦形剤と共に製剤化された本明細書に記載の化合物を含有する組成物を表す。一部の実施形態では、医薬組成物は、哺乳動物における疾患の処置のための治療レジメンの一部として政府の規制当局の認可の下で製造又は販売される。医薬組成物を、例えば、単位剤形中での経口投与のため(例えば、錠剤、カプセル、カプレット、ゲルキャップ、若しくはシロップ);局所投与のため(例えば、クリーム、ゲル、ローション、若しくは軟膏として);静脈内投与のため(例えば、粒子状塞栓を含まない滅菌溶液として、及び静脈内使用にとって好適な溶媒系中);又は本明細書に記載の任意の他の製剤のために製剤化することができる。
【0113】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される賦形剤」とは、患者において非毒性的であり、非炎症性である特性を有する、本明細書に記載の化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁又は溶解することができるビヒクル)を指す。賦形剤は、例えば、抗接着剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング、圧縮補助剤、崩壊剤、染料(着色料)、皮膚軟化剤、乳化剤、充填剤(希釈剤)、フィルム形成剤若しくはコーティング、香味料、香料、流動促進剤(流動増強剤)、潤滑剤、保存剤、印刷用インク、放射線防護剤、吸着剤、懸濁剤若しくは分散剤、甘味料、又は水和水を含んでもよい。例示的な賦形剤としては、限定されるものではないが、アスコルビン酸、ヒスチジン、リン酸緩衝液、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチノール、シェラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、及びキシリトールが挙げられる。
【0114】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される塩」は、正当な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、又はアレルギー応答なしに、ヒト及び動物の組織との接触における使用にとって好適である本明細書に記載の化合物の塩を表す。薬学的に許容される塩は、当業界で公知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Bergeら、J. Pharmaceutical Sciences 66:1~19頁、1977及びPharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (P.H. Stahl及びC.G. Wermuth(編))、Wiley-VCH、2008に記載されている。塩を、本明細書に記載の化合物の最終的な単離及び精製の間にin situで、又は遊離塩基と、好適な有機酸とを反応させることによって別々に調製することができる。
【0115】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩として調製することができるように、イオン化可能な基を有してもよい。これらの塩は、無機若しくは有機酸を含む酸付加塩であってもよいか、又は塩は、酸性形態の本発明の化合物の場合、無機若しくは有機塩基から調製することができる。頻繁には、化合物は、薬学的に許容される酸又は塩基の付加生成物として調製された薬学的に許容される塩として調製又は使用される。酸付加塩を形成させるための、塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸、又は酒石酸、及び塩基性塩を形成させるための、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、様々なアミン等の、好適な薬学的に許容される酸及び塩基が、当業界で公知である。適切な塩の調製のための方法は、当業界で確立されている。
【0116】
代表的な酸付加塩としては、特に、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩が挙げられる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウム、並びに非毒性アンモニウム、第四級アンモニウム、及び限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、及びエチルアミン等のアミンカチオンが挙げられる。
【0117】
本明細書で使用される用語「治療的部分」とは、治療的利益を提供する任意の分子又は分子の任意の部分を指す。一部の実施形態では、治療的部分は、タンパク質又はポリペプチド、例えば、抗体、その抗原結合断片である。一部の実施形態では、治療的部分は、低分子である。
【0118】
本明細書で使用される用語「標的化部分」とは、所与の標的に結合する任意の分子又は分子の任意の部分を指す。一部の実施形態では、標的化部分は、抗体若しくはその抗原結合断片、ナノボディ、アフィボディ、又はIII型フィブロネクチンドメインに由来するコンセンサス配列等の、タンパク質又はポリペプチドである。
【0119】
本明細書で使用される用語「架橋基」とは、共有結合によって2個以上の分子を連結することができる任意の反応基を指す。一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性又はチオール反応性架橋基である。一部の実施形態では、アミノ反応性又はチオール反応性架橋基は、ヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステル等の活性化エステル又はイミデート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪みアルキン、歪みアルケン、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネートを含む。一部の実施形態では、架橋基は、ソルターゼ媒介性カップリング反応を使用して標的化剤をリンカーとカップリングさせるための認識配列である、グリシン-グリシン-グリシン及び/又はロイシン-プロリン-(任意のアミノ酸)-トレオニン-グリシンであってもよい。当業者であれば、本発明の実施における架橋基の使用が、本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、むしろ他の公知の架橋基を含んでもよいことを理解できる。
【0120】
本明細書で使用される用語「ポリペプチド」とは、ペプチド結合によって互いに結合した少なくとも2個のアミノ酸の糸状のものを指す。一部の実施形態では、ポリペプチドは、それぞれ、少なくとも1個のペプチド結合によって他のアミノ酸に結合する、少なくとも3~5個のアミノ酸を含んでもよい。当業者であれば、ポリペプチドが、1若しくは複数の「非天然」アミノ酸又はそれにも拘わらずポリペプチド鎖中に組み込むことができる他の実体を含んでもよいことを理解できる。一部の実施形態では、ポリペプチドはグリコシル化されていてもよく、例えば、ポリペプチドは、1個又は複数の共有的に連結された糖部分を含有してもよい。一部の実施形態では、単一の「ポリペプチド」(例えば、抗体ポリペプチド)は、2個以上の個々のポリペプチド鎖を含んでもよく、一部の事例では、例えば、1又は複数のジスルフィド結合又は他の手段によって互いに連結されていてもよい。
【0121】
「対象」とは、ヒト又は非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を意味する。
【0122】
「実質的な同一性」又は「実質的に同一」は、それぞれ、参照配列と同じポリペプチド配列を有するか、又はそれぞれ、2つの配列が最適に整列された場合に参照配列内の対応する位置で同じである、特定のパーセンテージのアミノ酸残基を有する、ポリペプチド配列を意味する。例えば、参照配列と「実質的に同一」であるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列に対する少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する。ポリペプチドについては、比較配列の長さは、一般的には、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、50、75、90、100、150、200、250、300、又は350個の連続するアミノ酸(例えば、完全長配列)である。配列同一性を、デフォルト設定で配列分析ソフトウェアを使用して測定することができる(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、WI53705)。そのようなソフトウェアは、様々な置換、欠失、及び他の改変に相同性の程度を割り当てることによって類似する配列を一致させることができる。
【0123】
本明細書で使用される場合、また、当業界でよく理解される通り、状態を「処置すること」又は状態(例えば、がん等の本明細書に記載の状態)の「処置」は、臨床結果等の、有益な、又は所望の結果を得るための手法である。有益な、又は所望の結果としては、限定されるものではないが、検出可能であっても、検出不可能であっても、1又は複数の症状又は状態の軽減又は改善;疾患、障害、又は状態の程度の縮小;疾患、障害、又は状態の安定化(すなわち、悪化しない)状態;疾患、障害、又は状態の拡散の防止;疾患、障害、又は状態の進行の遅延又は減速;疾患、障害、又は状態の改善又は緩和;及び寛解(部分寛解又は完全寛解)が挙げられる。疾患、障害、又は状態の「緩和」は、処置の非存在下での程度又は時間経過と比較して、疾患、障害、若しくは状態の程度及び/若しくは望ましくない臨床所見が減少する、並びに/又は進行の時間経過が減速する、若しくは長期化することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
図1】キレート、リンカー、及び架橋基を含むコンジュゲート(上)並びにキレート、リンカー、及び標的化部分を含むコンジュゲート(下)の一般構造を記載する図である。
図2】二官能性キレート、4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成を記載する図である。化合物Bの合成は、実施例3に記載される。
図3】二官能性キレート、4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成を記載する図である。化合物Cの合成は、実施例4に記載される。
図4】CPM(溶解物)/CPM(流出物+再利用物+溶解物)として決定された3つの二官能性キレート化抗体(化合物A、化合物B、及び化合物C)の残留化率を記載するグラフである。使用した残留化アッセイは、実施例6に詳述される。
図5】[177Lu]-化合物A-HuMIGF-1Rと比較した、非標的化ヒトIgG抗体コンジュゲート[177Lu]-化合物B-HuMIGF-1R、及び[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1Rの代謝排出プロファイルを記載する一連のグラフである。その方法及び結果は実施例9に詳述される。
図6】CD-1ヌードマウスにおける総放射活性の血中薬物動態を示す図である。結果及び方法は実施例9に記載される。
図7】[225Ac]-HuMIGF-1R化合物(200nCi用量)の治療効能を示す図である。結果及び方法は実施例10に記載される。
図8】[177Lu]-化合物A-HuMIgGと比較した、非標的化ヒトIgG抗体コンジュゲート[177Lu]-化合物B-HuMIgG、及び[177Lu]-化合物C-HuMIgGの代謝排出プロファイルを記載する一連のグラフである。その方法及び結果は実施例14に詳述される。
【発明を実施するための形態】
【0125】
放射標識された標的化部分(放射性イムノコンジュゲートとしても知られる)は、疾患状態で上方調節されて、放射性ペイロードを送達して目的の細胞を損傷し、殺傷するタンパク質又は受容体を標的とするように設計される(放射線免疫療法)。放射性崩壊によってそのようなペイロードを送達する方法は、DNAに対する直接的な効果(一本鎖若しくは二本鎖DNA切断等)又はバイスタンダー効果若しくはクロスファイア効果等の間接的な効果を引き起こすことができるアルファ、ベータ、若しくはガンマ粒子又はオージェ電子を産生する。
【0126】
放射性イムノコンジュゲートは、典型的には、生物学的標的化部分(例えば、IGF-1Rに特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片)、放射性同位体、及びこれら2つを連結する分子を含有する。コンジュゲートは、標的親和性を維持しながら構造変化が最小限となるように、二官能性キレートが生物学的標的化分子に付加される場合に形成される。一度、放射標識されたら、最終的な放射性イムノコンジュゲートが形成される。
【0127】
二官能性キレートは、構造的には、キレート、リンカー、及び架橋基を含有する(図1)。新しい二官能性キレートを開発する場合、多くの努力は、分子のキレート化部分に着目するものである。標的化部分にコンジュゲートされた様々な環式及び非環式構造を有する二官能性キレートのいくつかの例が記載されている[Bioconjugate Chem. 2000、11、510~519頁、Bioconjugate Chem.2012、23、1029~1039頁、Mol Imaging Biol (2011) 13:215~221頁、Bioconjugate Chem.2002、13、110~115頁]。
【0128】
安全かつ有効な放射性イムノコンジュゲートを開発する1つの重要な因子は、正常組織におけるオフターゲット毒性を最小化しながら、効能を最大化することである。この意見は、新規薬物を開発するコアテナントの1つであるが、放射線免疫療法への適用は、新しい課題を提示する。放射性イムノコンジュゲートは、治療効能を有するために、治療的抗体に関して必要とされるような、受容体を遮断する必要がなく、抗体薬物コンジュゲートに関して必要とされるような、細胞傷害性ペイロードを細胞内で放出する必要もない。しかしながら、毒性粒子の放出は、一次(放射性)崩壊の結果として起こり、投与後に体内のどこででも無作為に起こり得る事象である。一度、放出が起こったら、放射の範囲内の周囲の細胞に対する損傷が生じ、オフターゲット毒性の可能性をもたらす。したがって、正常組織へのこれらの放出物の曝露の制限が、新規薬物を開発するための鍵である。
【0129】
オフターゲット曝露を低減するための1つの潜在的な方法は、体内から(例えば、体内の正常組織から)放射活性をより効率的に除去することである。最も明白な機構は、生物学的標的化剤のクリアランスの速度を増大させることである。この手法はまた、おそらく、生物学的標的化剤についてあまり記載されていない主題である、生物学的標的化剤の半減期を短縮するための方法を同定することを必要とする。機構に関係なく、体内からの薬物のより迅速な除去が、作用部位での有効濃度を低下させ、次いで、より高い総用量を必要とし、正常組織に対する総放射活性用量を減少させる望ましい結果を達成しないという点で、薬物クリアランスの増大はまた、薬力学/効能に負に影響する。
【0130】
他の努力は、放射活性部分を含有する分子の部分の代謝を加速することに焦点を合わせてきた。この目的のために、一部の努力は、「切断性リンカー」と呼ばれていたものを使用して生物学的標的化剤からの放射活性の切断速度を増大させるために為されてきた。しかしながら、切断性リンカーは、それが放射性イムノコンジュゲートに関するため、異なる意味で取られている。Cornelissenらは、二官能性コンジュゲートが還元システインを介して生物学的標的化剤に結合するものとして切断性リンカーを記載したが、他者は、放出させるために放射性イムノコンジュゲートと、切断剤/酵素との同時投与を必要とする酵素切断系の使用を記載している[Mol Cancer Ther; 12(11) November 2013、Methods in Molecular Biology、2009、539、191~211頁、Bioconjugate chemistry、Volume 14、Issue 5、927~33頁(2003)]。これらの方法は、システイン結合の場合、生物学的標的化部分の性質を変化させるか、又は提供された引用の場合、2つの薬剤の投与を必要とするため、薬物開発の視点(酵素切断系)から実用的ではない。
【0131】
本明細書に記載の実施形態の焦点は、二官能性キレートのリンカー領域に改変を加えることによって放射性イムノコンジュゲートの異化及び/又は代謝の後に体内から放射活性をより効率的に除去することを中心とする。
【0132】
特に、それが放射性イムノコンジュゲートに適用されるため、リンカーのin vivoでの影響を記載する情報はほとんど存在しないと考えられるため、これは新しい手法である。1つの可能性のある理由は、放射性イムノコンジュゲートの異化/代謝の後、当業者であれば、放射標識されたコンジュゲートが迅速な全身的除去を受けると予想できるということである。二官能性キレートを単独で投与した場合、推測を実験的に前進させた;それは、同じ二官能性キレートを有する放射性イムノコンジュゲートよりも速く血流を清浄化した。これらのデータに基づいて、当業者であれば、放射性イムノコンジュゲートの異化/代謝の後、二官能性キレートを含有する代謝物も迅速に除去されると予想できる。
【0133】
しかしながら、放射標識されたコンジュゲートを含有する代謝物の迅速なクリアランスは、必ずしもin vivoで起こるわけではない。以下に記載される結果に基づくと、二官能性キレートのリンカー領域は、放射性イムノコンジュゲートの全体的なin vitro特性又はin vivoでの薬物動態及び薬力学に対する有害な影響を有しないが、放射性コンジュゲートの異化後の体内からの放射活性の除去に直接的に影響することができる。商業的に入手可能なある特定の二官能性キレートが、本明細書に記載の実施形態と比較した場合、より遅い速度及びより低い程度の、体内からの総放射活性の除去をもたらすことを証明するデータを以下に提示する。
【0134】
実施例に記載される実施形態の排出プロファイルは、予想外の知見を示す。Quadri及びVriesendorp [Q. J. Nucl. Med. 1998、42、250~261頁]で以前に報告された通り、二官能性キレートのリンカー領域に対する単純な改変は、それらの疎水性にも拘わらず、放射活性の尿中排出に影響しなかった。以下に提供される結果は、疎水性リンカーと親水性リンカーとの両方が、排出パターンに影響し得ることを明確に示す。更に、以下の実施例は、肝胆汁クリアランスも排出において役割を果たすことを示す。
【0135】
したがって、本明細書に記載の実施形態により、二官能性キレートは、生物学的標的化部分又は治療剤に結合した場合、公知となっている同様の二官能性キレートと比較した場合にインタクトな分子の薬物動態を維持しながら、異化/代謝産物の排出の程度を増加させることによって全身放射活性の減少を達成することが同定された。全身放射活性のこの減少は、異化/代謝副産物のクリアランスに起因すると決定されたが、特異度(in vitroでの結合)、細胞保持、及びin vivoでの腫瘍取込み等の他のin vitro及びin vivoでの特性に影響しない。全体として取った場合、これらの実施形態は、オンターゲット活性を維持しながら、放射活性の体内負荷量を減少させることによって放射性イムノコンジュゲートの所望の特性を達成する。
【0136】
治療的部分及び標的化部分
治療的部分又は標的化部分は、治療利益を提供する任意の分子又は分子の任意の部分を含む。一部の実施形態では、治療的部分は、タンパク質又はポリペプチド、例えば、抗体、その抗原結合断片である。一部の実施形態では、治療的部分は、低分子である。標的化部分は、所与の標的に結合する任意の分子又は分子の任意の部分を含む。一部の実施形態では、標的化部分は、抗体又はその抗原結合断片、ナノボディ、アフィボディ、及びIII型フィブロネクチンドメインに由来するコンセンサス配列(例えば、Centyrin又はAdnectin)等のタンパク質又はポリペプチドである。
【0137】
ポリペプチド
ポリペプチドは、例えば、様々な血液作用剤(例えば、エリスロポエチン、血液凝固因子等を含む)、インターフェロン、コロニー刺激因子、抗体、酵素、及びホルモンのいずれかを含む。特定のポリペプチドの同一性は、本開示を限定することを意図されず、目的の任意のポリペプチドは、本発明の方法におけるポリペプチドであってもよい。
【0138】
本明細書に記載の参照ポリペプチドは、目的の標的に結合する(例えば、抗原に結合する)標的結合ドメインを含んでもよい。例えば、抗体等のポリペプチドは、膜貫通ポリペプチド(例えば、受容体)又はリガンド(例えば、増殖因子)に結合することができる。本明細書に記載のポリペプチド(例えば、抗体)のための例示的な分子標的(例えば、抗原)としては、CD2、CD3、CD4、CD8、CD11、CD19、CD20、CD22、CD25、CD33、CD34、CD40、CD52等のCDタンパク質; EGF受容体(EGFR、HER1、ErbB1)、HER2(ErbB2)、HER3(ErbB3)又はHER4(ErbB4)受容体等のErbB受容体のメンバー;CRIg等のマクロファージ受容体;TNFα又はTRAIL/Apo-2等の腫瘍壊死因子;LFA-1、Mac1、p150,95、VLA-4、ICAM-1、VCAM及びα又はβサブユニットのいずれかを含むαvβ3インテグリン(例えば、抗CD11a、抗CD18又は抗CD11b抗体)等の細胞接着分子;EGF、EGFR(例えば、FGFR3)及びVEGF等の増殖因子及び受容体;IgE;IL1等のサイトカイン;IL2受容体等のサイトカイン受容体;血液型抗原;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;プロテインC;ニュートロピリン;エフリン及び受容体;ネトリン及び受容体;スリット及び受容体;CCL5、CCR4、CCR5等のケモカイン及びケモカイン受容体;アミロイドベータ;補体因子D等の補体因子;酸化LDL(oxLDL)等のリポタンパク質;リンホトキシンアルファ(LTa)等のリンホトキシンが挙げられる。他の分子標的としては、Tweak、B7RP-1、プロタンパク質変換酵素スブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、スクレロスチン、c-kit、Tie-2、c-fms、及び抗M1が挙げられる。
【0139】
抗体
IgG抗体は、ジスルフィド結合によって一緒に連結された、2つの同一の軽鎖ポリペプチドと、2つの同一の重鎖ポリペプチドとからなる。それぞれの鎖のアミノ末端に位置する第1のドメインは、アミノ酸配列において可変性であり、それぞれ個々の抗体に見出される抗体結合特異性を提供する。これらのものは、可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)領域として公知である。それぞれの鎖の他のドメインは、アミノ酸配列において比較的不変であり、定常重鎖(CH)及び定常軽鎖(CL)領域として公知である。IgG抗体については、軽鎖は、1個の可変領域(VL)と、1個の定常領域(CL)とを含む。IgG重鎖は、可変領域(VH)、第1の定常領域(CH1)、ヒンジ領域、第2の定常領域(CH2)、及び第3の定常領域(CH3)を含む。IgE及びIgM抗体では、重鎖は、追加の定常領域(CH4)を含む。
【0140】
本明細書に記載の抗体は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異的抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、及び抗イディオタイプ(抗Id)抗体、並びに上記のいずれかの抗原結合断片を含んでもよい。抗体は、任意の型(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA及びIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2)又はサブクラスのものであってもよい。
【0141】
本明細書で使用される場合、抗体の「抗原結合断片」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ又は複数の断片を指す。抗体の「抗原結合断片」という用語に包含される結合断片の例としては、Fab断片、F(ab')2断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、dAb断片(Wardら(1989)Nature 341:544~546頁)、及び単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。これらの抗体断片を、当業者には公知の従来の技術を使用して取得し、その断片を、インタクトな抗体と同じ様式での利用のためにスクリーニングすることができる。
【0142】
本明細書に記載の抗体又は断片を、抗体の合成のための当業界で公知の任意の方法によって製造することができる(例えば、Harlowら、Antibodies: A Laboratory Manual (Cold Spring Harbor Laboratory Press、第2版、1988); Brinkmanら、1995、J. Immunol. Methods 182:41~50頁; WO92/22324; WO98/46645)。キメラ抗体を、例えば、Morrison、1985、Science 229:1202頁、に記載の方法を使用して製造し、ヒト化抗体を、米国特許第6,180,370号に記載の方法によって製造することができる。
【0143】
本明細書に記載される更なる抗体は、例えば、Segalら、J. Immunol. Methods 248:1~6頁(2001); 及びTuttら、J. Immunol. 147: 60頁(1991)に記載されたような、二特異的抗体及び多特異的抗体である。
【0144】
インスリン様増殖因子1(IGF-1R)抗体
インスリン様増殖因子1受容体は、インスリン様増殖因子1(IGF-1)及び2(IGF-2)によって活性化されるヒト細胞表面上に見出される膜貫通タンパク質である。本発明の放射性イムノコンジュゲートは、インスリン様増殖因子-1受容体(IGF-1R)を含んでもよい。典型的ながん遺伝子ではないが、IGF-1Rは、がんの開始及び進行を促進し、有糸分裂性形質転換及び形質転換した表現型の維持において重要な役割を果たしている。IGF-1Rは、乳がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)、肝臓がん、前立腺がん、膵がん、卵巣がん、結腸がん、メラノーマ、副腎皮質癌、及び様々な型の肉腫を含む複数の一般的ながんの発症と関連している。IGF-1Rシグナル伝達は、腫瘍細胞の増殖及び代謝を刺激し、血管新生を支援し、アポトーシスからの保護を提供する。それは、転移因子(例えば、HIF-1依存的低酸素シグナル伝達)、固定非依存的増殖、並びに溢出後の腫瘍転移の増殖及び生存に影響する。IGF-1Rはまた、治療剤耐性のがん幹細胞集団の発達、維持及び富化にも関与している。
【0145】
がんにおけるIGF-1Rの役割を暗示するデータが豊富であるにも拘わらず、IGF-1Rを標的とする治療剤は、疾患に対する有意な影響が未だ証明されていない。患者同定のための適切なバイオマーカーを同定することができないこと、IGF-1/IRシグナル伝達経路の複雑性及び相互依存性並びに他の増殖ホルモン代償機構の発達を含む、この効能の欠如に関する多くの推論があった[Beckwith及びYee、Mol Endocrinol、November 2015、29(11):1549~1557頁]。しかしながら、放射線免疫療法は、IGF-1Rが、抗体により誘発される内在化及びリソソーム分解を受けて、標的化された放射性同位体をがん細胞の内部に送達する能力を利用することによって、IGF-1受容体を過剰発現するがんを処置するための実行可能な機構を提供することができる。IGF-1Rにより標的化された放射性イムノコンジュゲートの内在化及びリソソーム分解は、がん細胞内部での送達された放射性同位体の保持時間を延長し、それによって、細胞殺傷性放出が起こる可能性を最大化する。崩壊系列あたり4個のアルファ粒子を得るアクチニウム-225の場合、細胞あたりに送達されるわずか1アトムの放射性核種によって、細胞死を達成することができる[Sgourosら、J Nucl Med. 2010、51:311~2頁]。アルファ粒子による直接的なDNAへの影響及び破壊に起因する細胞殺傷が、標的細胞中で、又は所与のアルファ粒子崩壊について2若しくは3個の非標的細胞の範囲内で起こり得る。非常に高い潜在的な抗腫瘍効力を有することに加えて、IGF-1R標的放射性イムノコンジュゲートは、それらが治療抗体に関して必要とされるように、発がんプロセスを阻害するために受容体へのリガンド結合を遮断することに依拠しないため、機械的耐性を生成することができない。
【0146】
フィギツムマブ、シクスツムマブ、ガニツマブ、AVE1642(ヒト化EM164及びhuEM164としても知られる)、BIIB002、ロバツムマブ、及びテプロツムマブを含む、いくつかのIGF-1R抗体が開発され、様々な型のがんの処置のために調査されている。IGF-1Rへの結合後、これらの抗体は細胞中に内在化され、リソソーム酵素によって分解される。腫瘍細胞上での過剰発現と、内在化との組合せは、正常組織の毒性薬剤への曝露を制限しながら、腫瘍部位に検出剤を直接送達する可能性を提供する。
【0147】
AVE1642の軽鎖可変領域のCDRは、配列:
配列番号1(CDR-L1) RSSQSIVHSNVNTYLE
配列番号2(CDR-L2) KVSNRFS
配列番号3(CDR-L3) FQGSHVPPT
を有する。
【0148】
AVE1642の軽鎖可変領域は、配列:
配列番号4
【0149】
【化6】
【0150】
を有する。
【0151】
AVE1642の重鎖可変領域のCDRは、配列:
配列番号5(CDR-H1) SYWMH
配列番号6(CDR-H2) GEINPSNGRTNY NQKFQG
配列番号7(CDR-H3) GRPDYYGSSKWY FDV
を有する。
【0152】
AVE1642の重鎖可変領域は、配列:
配列番号8
【0153】
【化7】
【0154】
を有する。
【0155】
ナノボディ
ナノボディは、単一のモノマー可変抗体ドメインからなる抗体断片である。ナノボディはまた、単一ドメイン抗体とも呼んでもよい。抗体と同様、ナノボディは特定の抗原に選択的に結合する。ナノボディは、重鎖可変ドメイン又は軽鎖ドメインであってもよい。ナノボディは、天然に存在してもよく、又は生物学的操作の産物であってもよい。ナノボディを、部位特異的突然変異誘発又は変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作することができる。
【0156】
アフィボディ
アフィボディは、特定の抗原に結合するように操作されたポリペプチド又はタンパク質である。そのため、アフィボディは、抗体のある特定の機能を模倣すると考えてよい。アフィボディは、ブドウ球菌プロテインAの免疫グロブリン結合領域中のBドメインの操作されたバリアントであってもよい。アフィボディは、Fab領域に対する親和性がより低いBドメインである、Zドメインの操作されたバリアントであってもよい。アフィボディを、部位特異的突然変異誘発又は変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作することができる。
【0157】
様々な異なるタンパク質(例えば、インスリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、腫瘍壊死因子-α、IL-8、gp120、CD28、ヒト血清アルブミン、IgA、IgE、IgM、HER2及びEGFR)に対する特異的結合を示すアフィボディ分子が生成されており、μM~pM範囲の親和性(Kd)を示す。
【0158】
III型フィブロネクチンドメイン
III型フィブロネクチンドメインは、様々な細胞外タンパク質に見出される進化的に保存されたタンパク質ドメインである。III型フィブロネクチンドメインは、特定の抗原に選択的に結合することができる分子を産生するための分子足場として使用されている。選択的結合のために操作されたIII型フィブロネクチンドメイン(FN3)のバリアントを、モノボディと呼ぶこともできる。FN3ドメインを、部位特異的突然変異誘発又は変異原性スクリーニング(例えば、CISディスプレイ、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)によって生物学的に操作することができる。
【0159】
改変ポリペプチド
本発明のポリペプチドは、改変アミノ酸配列を有してもよい。改変ポリペプチドは、対応する参照ポリペプチドと実質的に同一であってもよい(例えば、改変ポリペプチドのアミノ酸配列は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列に対する少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有してもよい)。ある特定の実施形態では、改変は、所望の生物活性(例えば、IGF-1Rへの結合)を有意に破壊しない。改変は、元のポリペプチドの生物活性を低下させてもよく(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、35%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、若しくは95%)、それに対する効果がなくてもよく、又はそれを増加させてもよい(例えば、少なくとも5%、10%、25%、50%、100%、200%、500%、若しくは1000%)。改変ポリペプチドは、in vivoでの安定性、バイオアベイラビリティ、毒性、免疫学的活性、免疫学的同一性、及びコンジュゲーション特性等の、ポリペプチドの特徴を有するか、又はそれを最適化してもよい。
【0160】
改変は、翻訳後プロセシング等の天然のプロセス、又は当業界で公知の化学的改変技術によるものを含む。改変は、ポリペプチド主鎖、アミノ酸側鎖及びアミノ又はカルボキシ末端を含むポリペプチドのどこにでも生じてもよい。同じ型の改変が、所与のポリペプチド中のいくつかの部位に同じか、又は異なる程度で存在してもよく、ポリペプチドは、1より多い型の改変を含有してもよい。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐していてもよく、それらは、分岐を有する、又は有しない、環状であってもよい。環状、分枝状、及び分枝環状ポリペプチドは、翻訳後の天然プロセスの結果生じてもよく、又は合成的に作製することができる。他の改変としては、ペグ化、アセチル化、アシル化、アセトミドメチル(Acm)基の付加、ADP-リボシル化、アルキル化、アミド化、ビオチン化、カルバモイル化、カルボキシエチル化、エステル化、フラビンへの共有結合、ヘム部分への共有結合、ヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体の共有結合、薬物の共有結合、マーカー(例えば、蛍光又は放射性マーカー)の共有結合、脂質又は脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有架橋の形成、システインの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質溶解的プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アルギニル化及びユビキチン化等の、アミノ酸のタンパク質への転移RNA媒介性付加が挙げられる。
【0161】
改変ポリペプチドはまた、ポリペプチド配列中に、保存的又は非保存的(例えば、D-アミノ酸、デスアミノ酸)である、アミノ酸の挿入、欠失、又は置換を含んでもよい(例えば、そのような変化がポリペプチドの生物活性を実質的に変化させない場合)。特に、本発明のポリペプチドのいずれかのアミノ又はカルボキシ末端への、1又は複数のシステイン残基の付加は、例えば、ジスルフィド結合による、これらのポリペプチドのコンジュゲーションを容易にすることができる。例えば、ポリペプチドを、アミノ末端に単一のシステイン残基又はカルボキシ末端に単一のシステイン残基を含むように改変することができる。アミノ酸置換は、保存的(すなわち、残基が同じ一般型若しくは群の別のものによって置き換えられる場合)又は非保存的(すなわち、残基が別の型のアミノ酸によって置き換えられる場合)であってもよい。更に、天然に存在するアミノ酸を、天然に存在しないアミノ酸に置換することができる(すなわち、天然に存在しない保存的アミノ酸置換又は天然に存在しない非保存的アミノ酸置換)。
【0162】
合成的に作製されたポリペプチドは、DNAによって天然でコードされないアミノ酸の置換を含んでもよい(例えば、天然に存在しない、又は非天然アミノ酸)。天然に存在しないアミノ酸の例としては、D-アミノ酸、N-保護アミノ酸、システインの硫黄原子にアセチルアミノメチル基が結合したアミノ酸、ペグ化されたアミノ酸、式NH2(CH2)nCOOH(式中、nは2~6である)のオメガアミノ酸、サルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン、及びノルロイシン等の中性非極性アミノ酸が挙げられる。フェニルグリシンは、Trp、Tyr、又はPheに置換してもよい;シトルリン及びメチオニンスルホキシドは中性非極性であり、システイン酸は酸性であり、オルニチンは塩基性である。プロリンを、ヒドロキシプロリンで置換してもよく、これは特性を提供するコンフォメーションを保持する。
【0163】
アナログを、置換突然変異誘発によって生成することができ、これは元のポリペプチドの生物活性を保持する。「保存的置換」として同定される置換の例は、Table 1(表1)に示される。そのような置換が望ましくない変化をもたらす場合、Table 1(表1)中の「例示的置換」と命名された、又はアミノ酸クラスを参照して本明細書に更に記載される他の型の置換を導入し、生成物をスクリーニングする。
【0164】
【表1】
【0165】
機能又は免疫学的同一性の実質的な改変は、(a)例えば、シート若しくはらせんコンフォメーションとしての、置換の領域におけるポリペプチド主鎖の構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の嵩の維持に対するその効果において有意に異なる置換を選択することによって達成される。
【0166】
架橋基
架橋基は、共有結合によって2つ以上の分子を連結することができる反応基である。架橋基を使用して、リンカー及びキレート化部分を、治療的部分又は標的化部分に結合することができる。また、架橋基を使用して、リンカー及びキレート化部分を、in vivoで標的に結合することもできる。一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性、メチオニン反応性若しくはチオール反応性架橋基、又はソルターゼ媒介性カップリングである。一部の実施形態では、アミノ反応性又はチオール反応性架橋基は、ヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステル等の活性化エステル又はイミデート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪みアルキン、歪みアルケン、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネート、若しくはオキサジリジンを含む。一部の実施形態では、ソルターゼ認識配列は、末端グリシン-グリシン-グリシン(GGG)及び/又はLPTXGアミノ酸配列(式中、Xは任意のアミノ酸である)を含んでもよい。当業者であれば、本発明の実施における架橋基の使用が、本明細書に開示される特定の構築物に限定されず、むしろ他の公知の架橋基を含んでもよいことを理解できる。
【0167】
検出剤
検出剤は、ポリペプチド、例えば、抗体又はその抗原結合断片にコンジュゲートされて投与され、抗原を含有する細胞を探すことによる疾患の診断、放射線処置計画、又は疾患の処置において有用である分子又は原子である。有用な検出剤としては、限定されるものではないが、放射性同位体、染料(ビオチン-ストレプトアビジン複合体を含むもの等)、造影剤、蛍光化合物又は分子、発光剤、及び磁気共鳴イメージング(MRI)のための増強剤(例えば、常磁性イオン)が挙げられる。ポリペプチド成分に検出剤を搭載するために、それを、検出剤又は複数の検出剤に結合するリンカーを有する試薬と反応させる必要があり得る。
【0168】
放射性同位体及び放射性核種
検出剤としてのその使用のための当業界で公知の放射性同位体及び放射性核種としては、限定されるものではないが、3H、14C、15N、18F、35S、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、75Br、76Br、77Br、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、229Th、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、117mSn、201Tlが挙げられる。
【0169】
キレート化部分
検出剤としてのその使用のための当業界で公知のキレート化部分としては、限定されるものではないが、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA((1R,4R,7R,10R)-α,α',α'',α'''-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GAアンヒドリド(2,2',2''-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸)、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセタミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N',N'',N''',N''''-五酢酸)、H4Octapa(N,N'-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N'-二酢酸)、H2Dedpa(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H6phospa(N,N'-(メチレンホスホネート)-N,N'-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N',N'',N''',N'''-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、HOPO(オクタデンテートヒドロキシピリジノン)、又はポルフィリンが挙げられる。キレート化基を、マンガン、鉄、及びガドリニウム等の金属並びに47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、86Y、87Y、90Y、97Ru、99mTc、105Rh、109Pd、111In、117mSn、149Tb、149Pm、153Sm、177Lu、186Re、188Re、199Au、201Tl、203Pb、212Pb、212Bi、213Bi、225Ac、及び227Th等の同位体(例えば、60~4,000keVの一般エネルギー範囲の同位体)との金属キレート組合せにおいて使用することができる。
【0170】
リンカー
本発明のリンカーは、式I:
A-L1-(L2)n-B
式I
[式中、Aはキレート化部分又はその金属錯体であり;
L1は、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Bは、治療的部分、標的化部分、若しくは架橋基、又はその薬学的に許容される塩であり;
nは1~5であり;
L2はそれぞれ独立に、構造:
(-X1-L3-Z1-)
式II
(式中、X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、NR1であり、R1は、H又は置換されていてもよいC1~C6アルキル若しくは置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールであり;
L3は、置換されていてもよいC1~C50アルキル又は置換されていてもよいC1~C50ヘテロアルキル又はC5~C20ポリエチレングリコールであり;
Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、NR1であり、R1は水素又は置換されていてもよいC1~C6アルキル、ピロリジン-2,5-ジオンである)
を有する]
の構造を有してもよい。
【0171】
本発明のコンジュゲートは、当業界で公知のものと比較してその有効性の増大を一緒になってもたらす3つの異なるモジュールを含む。
【0172】
1.キレート化部分又はその金属錯体:
モジュールAは、検出剤(例えば、キレート化部分又はその金属錯体)の組込みのために含まれる。金属錯体は、イメージング放射性核種を含んでもよい。
【0173】
2.リンカー:
本発明のリンカーは、式I:
A-L1-(L2)n-B
式I
[式中、Aはキレート化部分又はその金属錯体であり;
L1は、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール又はヘテロアリールであり;
Bは、治療的部分、標的化部分、若しくは架橋基、又はその薬学的に許容される塩であり;
nは1~5であり;
L2はそれぞれ独立に、構造:
(-X1-L3-Z1-)
式II
(式中、X1は、C=O(NR1)、C=S(NR1)、OC=O(NR1)、NR1C=O(O)、NR1C=O(NR1)、-CH2PhC=O(NR1)、-CH2Ph(NH)C=S(NR1)、O、NR1であり、R1は、H又は置換されていてもよいC1~C6アルキル若しくは置換されていてもよいC1~C6ヘテロアルキル、置換されていてもよいアリール若しくはヘテロアリールであり;
L3は、置換されていてもよいC1~C50アルキル又は置換されていてもよいC1~C50ヘテロアルキル又はC5~C20ポリエチレングリコールであり;
Z1は、CH2、C=O、C=S、OC=O、NR1C=O、NR1であり、R1は水素又は置換されていてもよいC1~C6アルキル、ピロリジン-2,5-ジオンである)
を有する]
の構造を有してもよい。
【0174】
3.治療的部分、標的化部分、又は架橋基:
モジュールBは、治療的部分(例えば、抗体、抗原結合断片)、標的化部分(例えば、ナノボディ、アフィボディ、III型フィブロネクチンドメインに由来するコンセンサス配列)、又は架橋基(例えば、アミノ反応性、チオール反応性架橋基、又はソルターゼ媒介性カップリング)である。
【0175】
投与及び用量
本発明はまた、治療有効量の本発明の化合物を含有する医薬組成物を特徴とする。組成物を、様々な薬物送達系における使用のために製剤化することができる。1又は複数の生理学的に許容される賦形剤又は担体を、適切な製剤のために組成物中に含有させることもできる。本発明における使用のための好適な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Philadelphia、PA、第17版、1985に見出される。薬物送達のための方法の簡単な概説については、例えば、Langer(Science 249:1527~1533頁、1990)を参照されたい。
【0176】
医薬組成物は、予防的及び/又は治療的処置のために、経皮的手段等による、非経口、鼻内、局所、経口、又は局部投与について意図される。医薬組成物を、非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、若しくは皮下注射による)、又は経口摂取により、又は血管若しくはがん状態に罹患した領域での局所適用若しくは関節内注射により投与することができる。更なる投与経路としては、血管内、動脈内、腫瘍内、腹腔内、脳室内、硬膜内、並びに鼻内、点眼、強膜内、眼窩内、直腸、局所、又はエアロゾル吸入投与が挙げられる。デポー注射又は浸食性埋込み体若しくは成分等の手段による、持続放出投与もまた、特に本発明に含まれる。かくして、本発明は、許容される担体、好ましくは、水性担体、例えば、水、緩衝用水、塩水、又はPBS中に溶解又は懸濁された上記薬剤を含む非経口投与のための組成物を提供する。組成物は、特に、pH調整剤及び緩衝剤、等張性調整剤、湿潤剤、又は界面活性剤等の、生理的条件を近似するのに必要な薬学的に許容される補助物質を含有してもよい。本発明はまた、錠剤又はカプセル等の単位剤形の製剤化のための結合剤又は充填剤等の不活性成分を含有してもよい、経口送達のための組成物も提供する。更に、本発明は、クリーム、軟膏、ゲル、ペースト、又は点眼剤の製剤化のための溶媒又は乳化剤等の不活性成分を含有してもよい、局部投与のための組成物を提供する。
【0177】
これらの組成物を、従来の滅菌技術によって滅菌するか、又は滅菌濾過することができる。得られる水性溶液を、そのまま使用するために包装するか、又は凍結乾燥し、凍結乾燥された調製物を、投与前に滅菌水性担体と混合することができる。調製物のpHは、典型的には、3~11、より好ましくは、5~9又は6~8、最も好ましくは、6~7、例えば、6~6.5である。固体形態の得られる組成物を、錠剤又はカプセルの密封包装中等の、それぞれ、固定量の上記薬剤又は複数の薬剤を含有する、複数の単一用量単位に包装することができる。固体形態の組成物を、局所適用可能なクリーム又は軟膏のために設計されたスクイーズチューブ中等の、可撓性量のための容器中に包装することもできる。
【0178】
有効量を含有する組成物を、放射線処置計画、診断、又は治療的処置のために投与することができる。放射線処置計画又は診断目的で投与される場合、コンジュゲートは、診断有効用量及び/又は治療有効用量を決定するのに有効な量で対象に投与される。治療適用においては、組成物は、障害及びその合併症の症状を治癒するか、又は少なくとも部分的に停止させるのに十分な量で、状態(例えば、がん)に既に罹患している対象(例えば、ヒト)に投与される。この目的を達成するために十分な量は、疾患又は医学的状態と関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善するのに十分な化合物の量である、「治療有効量」と定義される。例えば、がんの処置においては、疾患又は状態の任意の症状を減少させる、防止する、遅延させる、抑制する、又は停止させる薬剤又は化合物は、治療的に有効である。薬剤又は化合物の治療有効量は、疾患又は状態を治癒させるには必要ではないが、疾患若しくは状態の開始が、遅延される、妨害される、若しくは防止される、又は疾患若しくは状態症状が改善される、又は疾患若しくは状態の期間が変化するか、若しくは例えば、あまり重症ではなくなるか、又は個体において回復が促進されるような、疾患又は状態のための処置を提供する。本発明のコンジュゲートを、放射線処置計画にとって有効な量の前記コンジュゲート又は組成物のいずれかの第1の用量を対象に投与すること、次いで、治療有効量の前記コンジュゲート又は組成物のいずれかの第2の用量を投与することによって、がんの処置のために使用することができる。
【0179】
これらの使用のための有効量は、疾患又は状態の重症度並びに対象の体重及び一般的状態に依存し得る。当業者であれば、本発明の組成物の、及び哺乳動物(例えば、ヒト)に適用される本発明の方法において使用される治療有効量を、哺乳動物の年齢、体重、及び状態における個体差を考慮して決定することができる。本発明のある特定のコンジュゲートは、がん細胞を標的化し、残留化する増強された能力を示すため、本発明の化合物の用量は、コンジュゲート化されていない薬剤の治療効果にとって必要とされる同等の用量よりも少なくてもよい(例えば、約90%、75%、50%、40%、30%、20%、15%、12%、10%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.1%未満又はそれと同等である)。本発明の薬剤は、処置される対象において望ましい結果をもたらす量である、有効量で対象(例えば、ヒト等の哺乳動物)に投与される。
【0180】
有効量を含む本発明の組成物の単回又は複数回投与を、処置する医師によって選択される用量レベル及びパターンで実行することができる。用量及び投与スケジュールを、対象における疾患又は状態の重症度に基づいて決定及び調整し、臨床医又は本明細書に記載の者によって一般的に実施される方法に従って処置の経過を通してモニタリングすることができる。
【0181】
本発明のコンジュゲートを、従来の処置方法若しくは療法と組み合わせて使用するか、又は従来の処置方法若しくは療法とは別々に使用することができる。
【0182】
本発明の化合物が他の薬剤と共に組合せ療法において投与される場合、それらを逐次的又は同時的に個体に投与することができる。或いは、本発明による医薬組成物は、本明細書に記載されるような、薬学的に許容される賦形剤と結合した本発明の化合物と、当業界で公知の別の治療剤又は予防剤との組合せを含んでもよい。
【0183】
本明細書で互換的に使用される、「抗増殖性」又は「抗増殖剤」とは、Table 2(表2)に列挙される抗増殖剤を含む、任意の抗がん剤を意味し、これらはいずれも、本明細書に記載される医学的状態を処置するために本発明のコンジュゲートと組み合わせて使用することができる。抗増殖剤はまた、有機白金誘導体、ナフトキノン及びベンゾキノン誘導体、クリソファン酸及びそのアントロキノン誘導体も含む。
【0184】
本明細書で互換的に使用される、「免疫調節性剤」又は「免疫調節剤」とは、Table 2(表2)に列挙されるものを含む、任意の免疫モジュレーターを意味し、これらはいずれも、本明細書に記載される医学的状態を処置するために本発明のコンジュゲートと組み合わせて使用することができる。
【0185】
本明細書で使用される場合、「放射線増感剤」は、放射線療法に対するがん細胞の感度を増加させる任意の薬剤を含む。放射線増感剤としては、限定されるものではないが、5-フルオロウラシル、白金アナログ(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ゲムシタビン、EGFRアンタゴニスト(例えば、セツキシマブ、ゲフィチニブ)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX-2阻害剤、bFGFアンタゴニスト、及びVEGFアンタゴニストが挙げられる。
【0186】
【表2A】
【0187】
【表2B】
【0188】
【表2C】
【0189】
【表2D】
【0190】
【表2E】
【0191】
【表2F】
【0192】
【表2G】
【0193】
以下の実施例は、代表的な数のコンジュゲートの合成及びがんの処置のためのこれらのコンジュゲートの使用を例示することを意図するものである。したがって、実施例は、本発明を限定するのではなく、例示することを意図するものである。具体的に例示されない更なる化合物を、本明細書に記載の方法と組み合わせて従来の方法を使用して合成することができる。
【実施例0194】
(実施例1)
一般的な材料及び方法
使用した抗体は、HuMIgG(Aldrich社、I4506)及びHuMIGF-1R(AVE1642)であった。ルテチウム-177は、0.05N塩酸溶液中の塩化ルテチウムとしてPerkin Elmer社から受領した。
【0195】
分析的HPLC-MSを、Waters Acquity Binary Solvent Manager、Waters Acquity Sample Manager(試料を10℃に冷却する)、Water Acquity Column Manager(カラム温度30℃)、Waters Acquity Photodiode Array Detector(254nm及び214nmでモニタリング)、電子スプレーイオン化を用いるWaters Acquity TQD及びWaters Acquity BEH C18、2.1×50(1.7μm)カラムを含むWaters Acquity HPLC-MSシステムを使用して実施した。分取HPLCを、Waters 1525 Binary HPLCポンプ、Waters 2489 UV/Visible Detector(254nm及び214nmでモニタリング)及びWaters XBridge Prep phenyl又はC18 19×100mm(5μm)カラムを含むWaters HPLCシステムを使用して実施した。
【0196】
HPLC溶出法1:Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム;移動相A: H2O(0.1%v/v TFA);移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA);流量=0.3mL/分; 初期=90%のA、3~3.5分=0%のA、4分=90%のA、5分=90%のA。
【0197】
HPLC溶出法2:Waters XBridge Prep phenyl 19×100mm(5μm)カラム;移動相A: H2O(0.1%v/v TFA);移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA);流量=10mL/分; 初期=80%のA、13分=0%のA。
【0198】
HPLC溶出法3: Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム; 移動相A: H20(0.1%v/v TFA); 移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA); 流量=0.3mL/分; 初期=90%のA、8分=0%のA、10分=0%のA、11分=90%のA、12分=90%のA。
【0199】
HPLC溶出法4: Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム; 移動相A: H20(0.1%v/v TFA); 移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA); 流量: 10mL/分; 初期=80%のA、3分=80%のA、13分=20%のA、18分=0%のA。
【0200】
HPLC溶出法5: Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム; 移動相A: H20(0.1%v/v TFA); 移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA); 流量: 10mL/分; 初期=90%のA、3分=90%のA、13分=0%のA、20分=0%のA。
【0201】
HPLC溶出法6: Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム; 移動相A: H20(0.1%v/v TFA); 移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA); 流量: 10 mL/分; 初期=75%のA、13分=0%のA、15分=0%のA。
【0202】
HPLC溶出法7: Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム; 移動相A: H20(0.1%v/v TFA); 移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA); 流量: 10mL/分; 初期=80%のA、12分=0%のA、15分=0%のA。
【0203】
HPLC溶出法8: Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム; 移動相A: H20(0.1%v/v TFA); 移動相B: アセトニトリル(0.1%v/v TFA); 流量: 10mL/分; 初期=90%のA、12分=0%のA、15分=0%のA。
【0204】
分析的サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を、Waters 1525 Binary HPLCポンプ、Waters 2489 UV/Visible Detector(280nmでモニタリング)、Bioscan Flow Count放射線検出器(FC-3300)及びTOSOH TSKgel G3000SWxl、7.8×300mmカラムを含むWatersシステムを使用して実施した。アイソクラチックSEC法は、流量=1mL/分を有し、0.1Mリン酸、0.6M NaCl、0.025%アジ化ナトリウム、pH=7の移動相を用いる。
【0205】
MALDI-MS(陽イオン)は、MALDI Bruker Ultraflextreme Spectrometerを使用して実施した。
【0206】
放射性薄層クロマトグラフィー(放射性TLC)は、Bioscan AR-2000 Imaging Scannerを用いて実施し、クエン酸緩衝液(0.1M、pH5.5)を使用してiTLC-SGガラスマイクロファイバークロマトグラフィーペーパー(Agilent Technologies社、SGI0001)プレート上で実行した。
【0207】
(実施例2)
[177Lu]-化合物A-HuMIGF-1R(商業規格)の合成
二官能性キレート化剤2,2',2''-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸(DOTA-GA無水物、化合物A)を、CheMatech社から取得した。
【0208】
化合物A(3.0μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(0.228mL、pH6.5)に溶解した。化合物A溶液のアリコート(8μL、106nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中の抗体HuMIGF-1R(6.7nmol、AVE1642)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートを、Sephadex G-50樹脂充填カラムによって精製した。イムノコンジュゲート(化合物A)-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。SEC保持時間:8.2分; MALDI-MS(陽イオン):(化合物A)-HuMIGF-1R実測値m/z 151759; HuMIGF-1R実測値m/z 149835。
【0209】
典型的な反応として、Lu-177(1.1mCi、14μL)を、(化合物A)-HuMIGF-1Rの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の100μg)に添加した。放射標識反応物を、37℃で30分間インキュベートした。粗生成物、[177Lu]-化合物A-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)を用いて溶出したSephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。SEC保持時間:8.1分;放射性TLC放射化学純度:99%;放射化学収率:74%;比活性:8.2mCi/mg。
【0210】
(実施例3)
4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成
二官能性キレート、4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)を、図2に提供されるスキームに従って合成した。ACN(2.0mL)中の5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA-(tBu)4、50mg、0.07mmol)の溶液に、DSC(50mg、0.21mmol)、次いで、ピリジン(0.20mL、2.48mmol)を添加した。反応物を室温で1時間撹拌した。反応混合物に、11-アミノウンデカン酸(70mg、0.36mmol)、次いで、PBS溶液(1.0mL)を室温で添加した。反応物を室温で72時間撹拌した。反応混合物を、シリンジフィルターを用いて濾過し、方法6を使用する分取HPLCによって直接精製したところ、中間体2-A(71mg、74.8%)が得られた。
【0211】
ACN(1.0mL)中の中間体2-A(40mg、0.03mmol)、TFP(90mg、0.54mmol)及びEDC(40mg、0.27mmol)の溶液に、室温でピリジン(0.05mL、50mg、0.62mmol)を添加した。この溶液を室温で24時間撹拌した。反応物を、方法7を使用する分取HPLCによって直接精製して、Biotage V10 Rapid Evaporatorを使用する濃縮後にワックスとして中間体2-B(33mg、82.5%)を提供した。
【0212】
中間体2-B(33mg、0.022mmol)を、DCM/TFA(1.0mL/2.0mL)に溶解し、室温で24時間撹拌させた。反応物を、気流によって濃縮し、方法8を使用する分取HPLCによって直接精製したところ、濃縮後に透明なワックスとして化合物B(14mg、50.0%)が得られた。アリコートを、HPLC-MS溶出法3によって分析した;保持時間:4.15分;MS(陽性ESI);実測値m/z 808.1[M+H]+; C36H54F4N5O11(計算値808.8)。
【0213】
【数1】
【0214】
(実施例4)
[177Lu]-化合物B-HuMIGF-1Rの合成
化合物B(0.7μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(69μL、pH6.5)に溶解した。化合物B溶液のアリコート(4μL、40nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中の抗体HuMIGF-1R(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートを、Sephadex G-50樹脂充填カラムによって精製した。イムノコンジュゲート化合物B-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物B-HuMIGF-1R:実測値m/z 152988[M+H]+; HuMIGF-1R:実測値m/z 149835[M+H]+
【0215】
典型的な反応として、Lu-177(1.15mCi、14μL)を、化合物B-HuMIGF-1Rの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の75μg)に添加した。放射標識反応物を、37℃で30分間インキュベートした。粗生成物、[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)を用いて溶出したSephadex G-50樹脂充填カラムによって精製した。放射性TLC放射化学純度:99%;放射化学収率:75%;比活性:11.9mCi/mg。
【0216】
(実施例5)
4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成
二官能性キレート、4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)を、図3に提供されるスキームに従って合成した。ACN(8.0mL)中の5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA(tBu)4、100mg、0.143mmol)の溶液に、DSC(73mg、0.285mmol)及びピリジン(0.80mL、9.89mmol)を添加した。反応混合物を、周囲温度で90分撹拌した。この溶液を、100mLの丸底フラスコ中のアミノ-PEG3-酸(63mg、1.2mLのDMF中の0.285mmol)の半溶液に添加した。周囲温度で4時間後、反応物を、気流下で乾燥するまで濃縮することによって仕上げた。HPLC溶出法2によって粗材料を精製した(粗材料を6mLの20%ACN/H2O中に溶解した)。生成物を含有する画分をプールし、減圧下で濃縮した後、ACN(3×2mL)を用いて共蒸発させた。中間体1-Aが、82%の収率で得られた。
【0217】
中間体1-A(82mg、60μmol)を含有するバイアルに、ACN(2mL)、NEt3(50μL、360μmol、6当量)、HBTU(23mg、60μmol、1当量)及びTFP溶液(50mg、300μmol、5当量、250μLのACN中に溶解)を添加した。得られた透明の溶液を、周囲温度で3時間撹拌した。反応物を、気流下で乾燥するまで濃縮することによって仕上げた後、ACN/H2O(1:1、3mL総量)で希釈し、溶出法4を使用する分取HPLC上で精製した。生成物を含有する画分をプールし、減圧下で濃縮した後、ACN(3×2mL)を用いて共蒸発させた。中間体1-Bが、透明な残留物(67mg、74%収率)として得られた。
【0218】
中間体1-B(67mg、64μmol)を含有するバイアルに、DCM(2mL)及びTFA(2mL)を添加し、得られた溶液を周囲温度で16時間撹拌した。追加のTFA(2mL)を添加し、反応物を周囲温度で6時間撹拌した。反応物を気流下で乾燥するまで濃縮し、粗生成物を最終的にACN/H2O(1mLの10%ACN/H2O)中に溶解した。次いで、粗反応溶液を、溶出法5を使用する分取HPLCによって精製した。生成物を含有する画分をプールし、凍結し、凍結乾燥した。化合物Cが、白色個体(36mg、63%収率)として得られた。アリコートを、HPLC-MS溶出法3によって分析した:保持時間:3.11分;MS(陽性ESI):実測値m/z 828.4 [M+H]+; C34H50F4N5O14(計算値828.3)。
【0219】
【数2】
【0220】
(実施例6)
[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1Rの合成
化合物C(17.5μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(1.32mL、pH6.5)に溶解した。化合物C溶液のアリコート(8μL、91nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中の抗体HuMIGF-1R(13.4nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートを、Sephadex G-50樹脂充填カラムによって精製した。イムノコンジュゲート化合物C-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物C-HuMIGF-1R:実測値m/z 152166[M+H]+; HuMIGF-1R:実測値m/z 149724[M+H]+
【0221】
典型的な反応として、Lu-177(1.6mCi、16μL)を、化合物C-HuMIGF-1Rの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の150μg)に添加した。放射標識反応物を、周囲温度で20分間インキュベートした。[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)を用いて溶出したSephadex G-50樹脂充填カラムによって精製した。放射性TLC放射化学純度:99%;放射化学収率:91%;比活性:15.6mCi/mg。
【0222】
(実施例7)
飽和結合実験
飽和結合実験は、Kd(平衡時に受容体部位の半分に結合するリガンド濃度)及びBmax(結合部位の最大数)を決定するために、様々な濃度で放射性コンジュゲートの平衡時に特異的結合を測定する。この型の結合アッセイでは、総結合と非特異的結合との両方を測定し、受容体への特異的結合を、差異を差し引くことによって算出する。非特異的結合は、典型的には、本質的には全ての受容体に結合する固定濃度のHuMIGF-1Rの存在下で放射性コンジュゲートの結合を測定することによって評価される。全ての受容体がHuMIGF-1Rによって占有されるため、放射性コンジュゲートのみが非特異的に結合する。Kd及びBmax値は、非線形回帰分析及びコンピューター化曲線適合によって算出される。
【0223】
このアッセイの目的は、新しい放射性コンジュゲートがIGF-1Rを発現するA431細胞株中で天然抗体と一致する結合特性を維持することを確保することであった。実験開始の24時間前に、1.5×105個のA431細胞を、500μlの補足培地中で48ウェルマイクロプレート中に播種した。放射性コンジュゲートを、結合緩衝液(PBS+0.5%BSA)で、0.08nM~40nMの濃度範囲に希釈した;最終アッセイ濃度は、0.04~20nMであった。アッセイの開始時に、培地を吸引し、廃棄し、500μlの無血清DMEMを各ウェルに添加した。プレートを37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、各ウェルから培地を吸引し、廃棄した。細胞を洗浄し、100μlの結合緩衝液(総結合)又は4μMの冷抗体(非特異的結合)を、指定のウェルに添加した。プレートを4℃で1時間、軽く振とうしながらインキュベートした。ブロッキング工程の後、100μlの放射性コンジュゲートを各ウェルに添加した。次いで、プレートを4℃で2時間インキュベートした。インキュベーション後、各ウェルの内容物を吸引し、廃棄した。細胞をPBSで2回洗浄した後、1%Triton X-100で溶解した。溶解物を計測チューブに移し、Wizard 1470ガンマ計測器上で放射性コンジュゲート標準と共に実行して、各溶解物に関する放射活性含量(1分あたりの計数(CPM)で)を決定した。各ウェルに由来する残りの溶解物(25μl)を96ウェルプレートに移し、各溶解物のタンパク質含量を、標準的なタンパク質定量アッセイを使用して決定した。総結合、非特異的結合及び特異的リガンド結合の決定、各溶解物中の結合したコンジュゲートの質量を、コンジュゲート標準の比活性を使用して溶解物のCPMを結合したfmolに変換した後、各溶解物のタンパク質含量(ミリグラム)に結合したfmolを正規化することによって算出した。特異的結合を、総結合から非特異的結合を差し引くことによって決定した。総結合、特異的結合及び非特異的結合の値(fmol/mg)を、Table 1(表3)に示されるように、コンジュゲート濃度(nM、x軸)に対してプロットした(y軸)。Kd及びBmaxを、単一部位双曲線モデル(GraphPad Prism Software、バージョン7)に対する、特異的結合データの曲線適合によって誘導した。
【0224】
結果は、結合親和性が、リンカーの変化によって変化しないことを示していた。更に、これらの変化は、標的に対する結合及び特異性を変化させなかった。
【0225】
【表3】
【0226】
(実施例8)
残留化実験
残留化アッセイを、放射標識されたリンカー-抗体誘導体の細胞保持の程度を決定するために設計した。アッセイは、リガンドに結合した場合に内在化するIGF-1受容体の固有の能力及び放射標識化合物を追跡する能力に依拠する。この型の結合実験では、一定量の放射性コンジュゲートを、固定時間にわたって、IGF-1R発現細胞株と共にインキュベートする。インキュベーション後、細胞を弱酸緩衝液で潰して、外部の又は膜に結合した放射性コンジュゲートを除去する。新鮮な培地を再適用し、細胞を所定の時間量にわたって再びインキュベートした。この期間に、細胞プロセスが放射性コンジュゲートを分解し、それによって、放射活性断片を培養培地中に流出し戻すか、又は放射活性断片を細胞中に保持する。酸で洗浄した後に総細胞結合活性のパーセンテージとして内在化された放射活性の量を算出することによって、残留化を決定する。
【0227】
A431細胞を、完全培地(DMEM)中に2.5×105個の細胞/ウェルの濃度で24ウェルプレート中に播種した。一晩インキュベートした後、細胞を無血清DMEMに変更し、37℃で1時間インキュベートした。培地をデカンテーションし、プレートを滅菌PBSで1回洗浄した。放射性コンジュゲートを、無血清DMEM中で2nMの濃度に希釈した。500μLの放射性コンジュゲートを、各ウェル中にロードし、37℃で4時間インキュベートした。インキュベーション後、プレートをすぐに氷上に置き、予め標識した(非結合)ガンマ計測チューブ中に培地を廃棄した。細胞を滅菌PBSで1回洗浄し、穏やかに振とうし、(非結合)ガンマチューブ中にデカンテーションした。弱酸洗浄緩衝液(pH4.6、500μL)を、全てのウェルに添加した。プレートを4℃で15分間インキュベートし、予め標識したガンマ計測チューブ(膜結合)中に緩衝液を収集した。1mlの加温した無血清培地を全てのウェルに添加し、プレートを37℃で0及び24時間インキュベートした。所定のインキュベーションの後、プレートを氷上に置き、以下の様式でプロセシングした。培地をデカンテーションし、標識した(流出)ガンマチューブ中に収集した。次いで、プレートを1mlの冷PBSで1回洗浄し、流出チューブ中に収集した。酸洗浄緩衝液(pH2.5、500μL)を全てのウェルに添加し、プレートを氷上で5分間インキュベートした。次いで、酸洗浄画分を、標識した(再利用)ガンマチューブ中に収集した。細胞を、室温で30分間、300μLの1%Triton X-100で溶解した。250μLの細胞溶解物をガンマ計測チューブに移し、10分間計測した。25μLの細胞溶解物画分を、タンパク質定量のために96ウェルプレートに移した(Pierce BCA Protein Assay)。残留化パーセント(図4)を、CPM(溶解物)/CPM(流出物+再利用物+溶解物)として決定した。
【0228】
in vitro残留化実験は、異なるリンカーを有するコンジュゲーションにより、細胞内在化及び保持に関して事実上同一である放射性コンジュゲートが得られることを証明し、モノクローナル抗体のこれらの特性がコンジュゲーションによって変化しないことを示している。更に、これらのデータは、放射性イムノコンジュゲートが、付加されたリンカー構造とは無関係にin vivoでの腫瘍細胞中での内在化の後に同様の異化的分解を受けやすいことを示している。
【0229】
(実施例9)
HuMIFG-1R化合物に関する薬物動態試験及び代謝試験の結果
4匹又は5匹のマウスの群(正常CD-1マウス又は無胸腺CD-1ヌードマウス)に、約15マイクロキュリーの放射標識された試験化合物を静脈内注射した。様々なリンカーを有するイムノコンジュゲートを合成し、ルテチウム-177で放射標識した。薬物動態試験のために、動物を特定の時点で犠牲にし、血液及び腫瘍(適用可能な場合)を、総放射活性について分析した。代謝試験のために、動物を、24時間から最大で7日間毎の尿及び糞便の収集のために、代謝ケージ(ケージあたり4~5匹)に入れた。尿及び糞便試料の放射活性含量を定量し、体重に基づいて総尿又は糞便出力に変換した。尿、糞便、又は総排出(尿+糞便)に関する排出プロファイルを、時間に対する累積注射用量%(%ID)をプロットすることによって生成した。
【0230】
[177Lu]-化合物B-HuMIGF-1R、及び[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1Rの代謝排出プロファイルを、[177Lu]-化合物A-HuMIGF-1Rと比較した。リンカー型は、化合物排出の経路、速度、及び程度に影響するが(図5)、それは放射性イムノコンジュゲートと関連する総放射活性の全体的な薬物動態に影響しない(図6)ことが見出された。[177Lu]-化合物A-HuMIGF-1Rはゆっくりと排出され、低レベル尿排出により、7日間かけて注射用量(ID)のちょうど13%が排出された。対照的に、[177Lu]-化合物B-HuMIGF-1Rの排出は、210%の増加をもたらし、[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1R排出は310%高かった。排出のこの順位は、試験したいくつかの抗体にわたって類似し、化合物Cが最も高い程度の排出をもたらした。更に、化合物B及びCは、明確に異なる排出経路を指向した;[177Lu]-化合物B-HuMIGF-1Rは、主に糞便を介して除去され、[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1Rの除去は尿と糞便との間でほぼ同等に分割された。この排出パターンはまた、試験したいくつかの生物学的標的化ベクターにわたって一致していた。
【0231】
(実施例10)
放射線治療効能
[225Ac]-化合物A-HuMIGF-1R、[225Ac]-化合物B-HuMIGF-1R、及び[225Ac]-化合物C-HuMIGF-1Rの治療効能を、HuMIGF-1Rのみ及びビヒクル対照と比較した。アクチニウム-225(Ac-225)放射標識化合物の合成経路は、対応するLu-177アナログに関するものと類似していた。治療効能試験を、IGF-1Rを過剰発現する結腸がん細胞株Colo-205(ATCC #CCL-222)を使用して実行した。腫瘍異種移植片を、5~7週齢のメスBalb/c無胸腺ヌードマウス(Charles River Laboratories社)において確立した。PBS及びMatrigel(Becton Dickinson社)中で50:50 v/vで混合した200万個の細胞を、それぞれの動物の大腿部の上の右下四半部に皮下注射した。腫瘍を、約200mm3の初期体積まで7~10日間増殖させる。腫瘍担持動物群(n=4~8)に、200μLの被験物質を、側部尾静脈により静脈内注射した。Ac-225放射標識された化合物である被験物質を、20mMクエン酸ナトリウムpH5.5、0.82%NaCl、及び0.01%Tween-80中で製剤化された20~400ナノキュリー(nCi)の活性で投与した。対照として、放射標識されていない、コンジュゲートされていない抗体(HuMIGF-1R)を、試験されたアクチニウム-225放射性イムノコンジュゲートの最も高い放射活性用量に対応するタンパク質質量当量で投与した。腫瘍測定を、2次元でノギスを用いて週に2~3回行った。腫瘍の長さを、最も長い寸法と定義し、幅を、腫瘍の長さと垂直に測定した。同時に、動物を計量した。全体的な身体状態及び一般的な行動を、毎日評価した。典型的な試験は、28日の期間を有していた。腫瘍体積(mm3)を、楕円体としてノギス測定値から算出した:腫瘍増殖を、投与日に測定された腫瘍体積で除算した、X日目に測定された腫瘍体積である相対的腫瘍体積(RTV)として表した。
【0232】
[225Ac]-化合物A-HuMIGF-1R、[225Ac]-化合物B-HuMIGF-1R、及び[225Ac]-化合物C-HuMIGF-1Rの治療効能は、全ての化合物にわたって事実上同等であった;アクチニウム-225を含有する放射性イムノコンジュゲートは全て、非放射活性HuMIGF-1R対照よりも高い効能を示した。
【0233】
(実施例11)
[177Lu]-化合物A-ヒトIgGの合成
化合物A(1.34μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(20μL、pH6.5)に溶解し、重炭酸緩衝液(pH8.5)中の抗体ヒトIgG抗体(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で45分後、得られたイムノコンジュゲートを、HPLC SECカラムにより精製した(1mL/分、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出)。抗体コンジュゲート、化合物A-ヒトIgG。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物A-ヒトIgG:実測値m/z 150360[M+H]+;ヒトIgG:実測値m/z 148339[M+H]+
【0234】
典型的な反応として、Lu-177(1.1mCi、5μL)を、化合物A-ヒトIgGの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の90μg)に添加した。放射標識反応物を、37℃で90分間インキュベートした。粗生成物、[177Lu]-化合物A-ヒトIgGを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製し、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出した。放射性TLC放射化学純度:98%;放射化学収率:45%;非活性:15.1mCi/mg。
【0235】
(実施例12)
[177Lu]-化合物B-ヒトIgGの合成
化合物B(1.17μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(0.117mL、pH6.5)に溶解した。化合物B溶液のアリコート(2μL、10nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のヒトIgG抗体(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。使用したヒトIgG調製物は、全てのIgGアイソタイプ(IgG1~4)の精製された混合物からなっていた。周囲温度で1時間後、抗体コンジュゲート生成物を、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。化合物A-ヒトIgGを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物B-ヒトIgG実測値m/z 149949[M+H]+; ヒトIgG実測値m/z 148540[M+H]+
【0236】
典型的な反応として、Lu-177(1.1mCi、5μL)を、化合物B-ヒトIgGの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の100μg)に添加した。放射標識反応物を、37℃で30分間インキュベートした。粗生成物、177Lu-化合物B-ヒトIgGを、HPLC SECカラムにより精製し(1mL/分、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出)、限外濾過(Vivaspin、10kDa)によって濃縮した。放射性TLC放射化学純度:98%;放射化学収率:51%;非活性:9.68mCi/mg。
【0237】
(実施例13)
[177Lu]-化合物C-ヒトIgGの合成
化合物C(0.96μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(95μL、pH6.5)に溶解した。化合物C溶液のアリコート(2μL、20nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のヒトIgG抗体(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲート生成物を、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。化合物C-ヒトIgGを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物C-ヒトIgG実測値m/z 150095[M+H]+; ヒトIgG実測値m/z 148540[M+H]+
【0238】
典型的な反応として、Lu-177(1.1mCi、5μL)を、化合物C-ヒトIgGの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の100μg)に添加した。放射標識反応物を、37℃で30分間インキュベートした。粗生成物、[177Lu]-化合物C-ヒトIgGを、HPLC SECカラムにより精製し(1mL/分、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出)、限外濾過(Vivaspin、10kDa)によって濃縮した。放射性TLC放射化学純度:98%;放射化学収率:37%;非活性:9.99mCi/mg。
【0239】
(実施例14)
HuMIgGに基づく化合物に関する薬物動態試験及び代謝試験の結果
非標的化ヒトIgG抗体を、代謝排出試験のために使用して、リンカー化合物B及び化合物Cとのコンジュゲーションにより指向された放射活性排出プロファイルの変化が一般的なプロセスであり、これらの知見がHuMIGF-1R抗体に限定されないことを示すことを証明した。薬物動態試験及び代謝試験を、以前に記載されたHuMIGF-1R抗体に基づく化合物について記載されたように、[177Lu]-化合物A-HuMIgG、[177Lu]-化合物B-HuMIgG、及び[177Lu]-化合物C-HuMIgGを使用して実行した。
【0240】
非標的化ヒトIgG放射性イムノコンジュゲート、[177Lu]-化合物B-HuMIgG、及び[177Lu]-化合物C-HuMIgGの代謝排出プロファイルを、[177Lu]-化合物A-HuMIgGと比較した。HuMIGF-1Rに基づく放射性イムノコンジュゲートについて記載されたように、リンカー型は、化合物排出の経路、速度、及び程度に影響するが(図8)、それは放射性イムノコンジュゲートと関連する総放射活性の全体的な薬物動態に影響しないことが見出された。HuMIGF-1Rに基づく化合物について見られたように、HuMIgGに基づく化合物についても同じ排出順位が観察された;すなわち、化合物Cを含有する放射性イムノコンジュゲートが、最も高い程度の排出をもたらした。[177Lu]-化合物A-HuMIgGはゆっくりと排出され、低レベル尿排出により、7日間かけて除去された注射用量(ID)のちょうど13%が排出された。対照的に、[177Lu]-化合物B-HuMIGF-1Rの排出は、196%の増加をもたらし、[177Lu]-化合物C-HuMIGF-1R排出は216%高かった。更に、化合物B及びCは、明確に異なる排出経路を指向した。[177Lu]-化合物B-HuMIgGは、主に糞便を介して除去されたが、[177Lu]-化合物C-HuMIgGの除去は尿と糞便との間で大まかに同等に分割された。この代謝プロファイルは、HuMIGF-1Rに基づく化合物について基本的に同等であり、抗体にコンジュゲートした場合、化合物B又は化合物Cの改善された排出プロファイルが一般的かつ再現可能な効果であることを示している。
【0241】
(実施例15)
[225Ac]-化合物A-ヒトIgGの合成
化合物A(1.34μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(20μL、pH6.5)に溶解し、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のヒトIgG抗体(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で45分後、抗体コンジュゲート生成物を、HPLC SECカラムにより精製した(1mL/分、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出)。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物A-ヒトIgG実測値m/z 150360[M+H]+; ヒトIgG実測値m/z 148339[M+H]+
【0242】
典型的な反応として、Ac-225(1.1mCi、5μL)を、化合物A-ヒトIgGの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の90μg)に添加する。放射標識反応物を、周囲温度(例えば、20~25℃)で90分間インキュベートする。粗生成物、[225Ac]-化合物A-ヒトIgGを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製し、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出させた。
【0243】
(実施例16)
[225Ac]-化合物B-ヒトIgGの合成
化合物B(1.17μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(0.117mL、pH6.5)に溶解した。化合物B溶液のアリコート(2μL、10nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のヒトIgG抗体(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、抗体コンジュゲート生成物を、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。抗体コンジュゲート、化合物A-ヒトIgGを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物B-ヒトIgG実測値m/z 149949[M+H]+; ヒトIgG実測値m/z 148540[M+H]+
【0244】
典型的な反応として、Ac-225(1.1mCi、5μL)を、化合物B-ヒトIgGの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の100μg)に添加する。放射標識反応物を、周囲温度(例えば、20~25℃)で30分間インキュベートする。粗生成物、[225Ac]-化合物B-ヒトIgGを、HPLC SECカラム(1mL/分、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出)により精製し、限外濾過(Vivaspin、10kDa)により濃縮した。
【0245】
(実施例17)
[225Ac]-化合物C-ヒトIgGの合成
化合物C(0.96μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(95μL、pH6.5)に溶解した。化合物C溶液のアリコート(2μL、20nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のヒトIgG抗体(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、抗体コンジュゲート生成物を、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。抗体コンジュゲート、化合物C-ヒトIgGを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物C-ヒトIgG実測値m/z 150095[M+H]+; ヒトIgG実測値m/z 148540[M+H]+
【0246】
典型的な反応として、Ac-225(1.1mCi、5μL)を、化合物C-ヒトIgGの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の100μg)に添加する。放射標識反応物を、周囲温度(例えば、20~25℃)で30分間インキュベートする。粗生成物、[225Ac]-化合物C-ヒトIgGを、HPLC SECカラム(1mL/分、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)で溶出)により精製し、限外濾過(Vivaspin、10kDa)により濃縮した。
【0247】
(実施例18)
[225Ac]-化合物A-HuMIGF-1Rの合成
化合物A(3.0μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(0.228mL、pH6.5)に溶解した。化合物A溶液のアリコート(8μL、106nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のHuMIGF-1R抗体(6.7nmol、AVE1642)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。イムノコンジュゲート(化合物A)-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。SEC保持時間:8.2分; MALDI-MS(陽イオン):(化合物A)-HuMIGF-1R実測値m/z 151759; HuMIGF-1R実測値m/z 149835。
【0248】
典型的な反応として、Ac-225(1.1mCi、14μL)を、(化合物A)-HuMIGF-1Rの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の100μg)に添加する。放射標識反応物を、周囲温度(例えば、20~25℃)で30分間インキュベートする。粗生成物、[225Ac]-化合物A-HuMIGF-1Rを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製し、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)を用いて溶出させた。
【0249】
(実施例19)
[225Ac]-化合物B-HuMIGF-1Rの合成
化合物B(0.7μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(69μL、pH6.5)に溶解した。化合物B溶液のアリコート(4μL、40nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のHuMIGF-1R抗体(6.7nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。イムノコンジュゲート、化合物B-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物B-HuMIGF-1R実測値m/z 152988[M+H]+; HuMIGF-1R実測値m/z 149835[M+H]+
【0250】
典型的な反応として、Ac-225(1.15mCi、14μL)を、化合物B-HuMIGF-1Rの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の75μg)に添加する。放射標識反応物を、周囲温度(例えば、20~25℃)で30分間インキュベートする。粗生成物、[225Ac]-化合物B-HuMIGF-1Rを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製し、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)を用いて溶出させた。
【0251】
(実施例20)
[225Ac]-化合物C-HuMIGF-1Rの合成
化合物C(17.5μmol)を、酢酸ナトリウム緩衝液(1.32mL、pH6.5)に溶解した。化合物C溶液のアリコート(8μL、91nmol)を、重炭酸緩衝液(pH8.5)中のHuMIGF-1R抗体(13.4nmol)を含有する溶液に添加した。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製した。イムノコンジュゲート、化合物C-HuMIGF-1Rを、酢酸緩衝液(pH6.5)を用いてカラムから溶出させた。MALDI-TOF-MS(陽イオン):化合物C-HuMIGF-1R実測値m/z 152166[M+H]+; HuMIGF-1R実測値m/z 149724[M+H]+
【0252】
典型的な反応として、Ac-225(1.6mCi、16μL)を、化合物C-HuMIGF-1Rの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)及びアスコルビン酸(1μL、酢酸緩衝液(pH6.5)中の0.1M)中の150μg)に添加する。放射標識反応物を、周囲温度(例えば、20~25℃)で30分間インキュベートする。[225Ac]-化合物C-HuMIGF-1Rを、Sephadex G-50樹脂充填カラムにより精製し、酢酸緩衝液(pH6.5、1mMアスコルビン酸)を用いて溶出させた。
【0253】
他の実施形態
本発明を、その特定の実施形態と関連して説明してきたが、それを更に改変することができ、本出願が、一般的に、本発明の原理に従う本発明の任意の変更、使用、又は適合化を包含することを意図し、本発明が属する当業界内の公知又は慣用的な実務の範囲内にあり、前記の本質的な特徴に適用することができる本開示からのそのような逸脱を含むことが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【配列表】
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