(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025313
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】紫外線硬化装置及び紫外線硬化方法
(51)【国際特許分類】
C08J 7/04 20200101AFI20230215BHJP
B29C 35/10 20060101ALI20230215BHJP
B05C 9/12 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C08J7/04 A CER
C08J7/04 CEZ
B29C35/10
B05C9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130425
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中谷 康平
(72)【発明者】
【氏名】水谷 英一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 律
【テーマコード(参考)】
4F006
4F042
4F203
【Fターム(参考)】
4F006AB42
4F006EA03
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA11
4F042BA16
4F042DB41
4F042DF19
4F042DH09
4F203AA44
4F203AB04
4F203AC03
4F203AG01
4F203AM26
4F203AR14
4F203DA12
4F203DB02
4F203DC08
4F203DL01
4F203DM02
4F203DM07
4F203DM09
(57)【要約】
【課題】紫外線硬化に際して紫外線が照射される部分の環境制御を改善すること。
【解決手段】樹脂が塗布されたフィルム100をガイドするローラー2と、窒素ガスを導入する第1窒素ガス導入口3及び第2窒素ガス導入口4と、第1窒素ガス導入口3と第2窒素ガス導入口4との間からフィルム100に紫外線を照射する紫外線照射部5と、フィルム100と紫外線照射部5との間の酸素濃度を測定する酸素濃度計6と、フィルム100と紫外線照射部5との間に空気を導入する空気導入口7と、酸素濃度が予め設定された酸素濃度設定範囲内となるように、空気導入口7から導入される空気量、第1窒素ガス導入口3から導入される窒素ガス量、及び第2窒素ガス導入口4から導入される窒素ガス量の少なくともいずれか一つを制御する制御器8と、を備える紫外線硬化装置1とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂が塗布されたフィルムをガイドするローラーと、
窒素ガスを導入する第1窒素ガス導入口及び第2窒素ガス導入口と、
前記第1窒素ガス導入口と前記第2窒素ガス導入口との間から前記フィルムに紫外線を照射する紫外線照射部と、
前記フィルムと前記紫外線照射部との間の酸素濃度を測定する酸素濃度計と、
前記フィルムと前記紫外線照射部との間に空気を導入する空気導入口と、
前記酸素濃度が予め設定された酸素濃度設定範囲内となるように、前記空気導入口から導入される空気量、前記第1窒素ガス導入口から導入される窒素ガス量、及び前記第2窒素ガス導入口から導入される窒素ガス量の少なくともいずれか一つを制御する制御器と、を備える紫外線硬化装置。
【請求項2】
前記制御器は、
前記酸素濃度計により測定された酸素濃度値が入力される入力部と、
予め設定された、前記酸素濃度設定範囲を記憶する記憶部と、
前記酸素濃度値が前記酸素濃度設定範囲内であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部の判定に基づいてガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力する信号生成部と、を備える、請求項1に記載の紫外線硬化装置。
【請求項3】
前記酸素濃度設定範囲が、500ppm以上1000ppm以下である、請求項1又は請求項2に記載の紫外線硬化装置。
【請求項4】
前記酸素濃度設定範囲が、5000ppm以上5%以下である、請求項1又は請求項2に記載の紫外線硬化装置。
【請求項5】
樹脂が塗布されたフィルムに対し、2つの窒素ガス導入口の間から紫外線を照射して硬化する紫外線硬化方法であって、
前記2つの窒素ガス導入口の各々から窒素ガスを導入すること、
前記フィルムと紫外線を照射する部分との間の空気導入口から空気を導入すること、
前記フィルムと前記紫外線を照射する部分との間の酸素濃度を測定すること、
前記酸素濃度が予め設定された酸素濃度設定範囲内となるように、前記空気導入口から導入される空気量、前記2つの窒素ガス導入口の各々から導入される窒素ガス量の少なくともいずれか一つを制御すること、
前記フィルムをガイドすること、
前記2つの窒素ガス導入口の間から前記フィルムに紫外線を照射すること、
を含む紫外線硬化方法。
【請求項6】
前記制御は、
前記測定された酸素濃度値が入力されること、
前記酸素濃度値が前記酸素濃度設定範囲内であるか否かを判定すること、
前記判定に基づいてガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力すること、を含む、請求項5に記載の紫外線硬化方法。
【請求項7】
前記酸素濃度設定範囲が、500ppm以上1000ppm以下である、請求項5又は請求項6に記載の紫外線硬化方法。
【請求項8】
前記酸素濃度設定範囲が、5000ppm以上5%以下である、請求項5又は請求項6に記載の紫外線硬化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化装置及び紫外線硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モノマーに対して紫外線を照射して光重合反応を引き起こすことにより、ポリマーに変化させて硬化する紫外線硬化技術が広く知られている。
紫外線硬化技術では、照射される紫外線のエネルギー並びに紫外線が照射される部分の酸素濃度及び窒素濃度の適切な制御を行うことが重要である。
照射される紫外線のエネルギー並びに紫外線が照射される部分の酸素濃度及び窒素濃度にばらつきを生じると、光重合反応が過度に抑制され、又は過度に進行する。
その結果、製品の品質にばらつきが生じ、歩留まりの低下が引き起こされる。
従来、紫外線が照射される部分の環境を適切に制御するための技術開発がなされている。
【0003】
従来技術の一例である特許文献1には、紫外線又は電子線によりコーティングを架橋するためのチャンバ内の混合ガス中の残存酸素含有率を制御することが開示されている。
【0004】
従来技術の一例である特許文献2には、UV架橋すべき線条体の走行速度に応じてUV架橋が行われる石英管内に供給する架橋不良防止用の窒素ガスの流量を変化調整させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4763618号公報
【特許文献2】特開平5-237849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紫外線硬化に際して紫外線が照射される部分の環境制御には改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、樹脂の架橋反応を制御する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決して目的を達成する本発明の一態様は、樹脂が塗布されたフィルムをガイドするローラーと、窒素ガスを導入する第1窒素ガス導入口及び第2窒素ガス導入口と、前記第1窒素ガス導入口と前記第2窒素ガス導入口との間から前記フィルムに紫外線を照射する紫外線照射部と、前記フィルムと前記紫外線照射部との間の酸素濃度を測定する酸素濃度計と、前記フィルムと前記紫外線照射部との間に空気を導入する空気導入口と、前記酸素濃度が予め設定された酸素濃度設定範囲内となるように、前記空気導入口から導入される空気量、前記第1窒素ガス導入口から導入される窒素ガス量、及び前記第2窒素ガス導入口から導入される窒素ガス量の少なくともいずれか一つを制御する制御器と、を備える紫外線硬化装置である。
【0009】
本発明の一態様では、上記構成の紫外線硬化装置において、前記制御器は、前記酸素濃度計により測定された酸素濃度値が入力される入力部と、予め設定された、前記酸素濃度設定範囲を記憶する記憶部と、前記酸素濃度値が前記酸素濃度設定範囲内であるか否かを判定する判定部と、前記判定部の判定に基づいてガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力する信号生成部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様では、上記構成の紫外線硬化装置において、前記酸素濃度設定範囲が、500ppm以上1000ppm以下である。
【0011】
又は、本発明の一態様では、上記構成の紫外線硬化装置において、前記酸素濃度設定範囲が、5000ppm以上5%以下である。
【0012】
又は、本発明の一態様は、樹脂が塗布されたフィルムに対し、2つの窒素ガス導入口の間から紫外線を照射して硬化する紫外線硬化方法であって、前記2つの窒素ガス導入口の各々から窒素ガスを導入すること、前記フィルムと紫外線を照射する部分との間の空気導入口から空気を導入すること、前記フィルムと前記紫外線を照射する部分との間の酸素濃度を測定すること、前記酸素濃度が予め設定された酸素濃度設定範囲内となるように、前記空気導入口から導入される空気量、前記2つの窒素ガス導入口の各々から導入される窒素ガス量の少なくともいずれか一つを制御すること、前記フィルムをガイドすること、前記2つの窒素ガス導入口の間から前記フィルムに紫外線を照射すること、を含む紫外線硬化方法である。
【0013】
本発明の一態様では、上記構成の紫外線硬化方法において、前記制御は、前記測定された酸素濃度値が入力されること、前記酸素濃度値が前記酸素濃度設定範囲内であるか否かを判定すること、前記判定に基づいてガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力すること、を含む。
【0014】
本発明の一態様では、上記構成の紫外線硬化方法において、前記酸素濃度設定範囲が、500ppm以上1000ppm以下である。
【0015】
本発明の一態様では、上記構成の紫外線硬化方法において、前記酸素濃度設定範囲が、5000ppm以上5%以下である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、樹脂の架橋反応を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施形態に係る紫外線硬化装置の構成を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す制御器の構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す制御器の動作を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、
図2に示す制御器の動作を示す他のフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態の変形例に係る紫外線硬化装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
ただし、本発明は、以下の実施形態の記載によって限定解釈されるものではない。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る紫外線硬化装置1の構成を示す断面図である。
図1に示す紫外線硬化装置1は、ローラー2と、第1窒素ガス導入口3と、第2窒素ガス導入口4と、紫外線照射部5と、酸素濃度計6と、空気導入口7と、制御器8と、処理室9と、を備える。
【0020】
ローラー2は、フィルム100を処理室9にガイドする。
フィルム100は、
図1において矢印で示した進行方向に一定速度で進行し、処理室9を通過する。
フィルム100には、モノマーである樹脂が塗布されており、照射された紫外線が引き起こす光重合反応により、モノマーがポリマーに変化して硬化する。
【0021】
第1窒素ガス導入口3及び第2窒素ガス導入口4は、処理室9に窒素ガスを導入するガス導入口である。
このように、紫外線を照射する部分の両側に、互いに離れた第1窒素ガス導入口3及び第2窒素ガス導入口4が設けられることで、外気の侵入を抑制することができる。
第1窒素ガス導入口3には窒素ガス供給源30が接続され、第2窒素ガス導入口4には窒素ガス供給源40が接続されている。
第1窒素ガス導入口3と窒素ガス供給源30との間にはガス弁31が設けられており、第2窒素ガス導入口4と窒素ガス供給源40との間にはガス弁41が設けられている。
なお、
図1には、窒素ガス供給源30と窒素ガス供給源40とが示されているが、本発明はこれに限定されない。
例えば、1つの窒素ガス供給源が第1窒素ガス導入口3及び第2窒素ガス導入口4の双方に接続されていてもよい。
窒素ガス供給源30及び窒素ガス供給源40としては、窒素ガスボンベを例示することができる。
【0022】
紫外線照射部5は、第1窒素ガス導入口3と第2窒素ガス導入口4との間のフィルム100に紫外線を照射する。
ここで、照射される紫外線は、工程を通じて一定エネルギーとすることが可能であり、フィルム100に対して均一に照射可能である。
【0023】
酸素濃度計6は、処理室9内のフィルム100と紫外線照射部5との間の空間における酸素濃度を測定するガス測定器である。
【0024】
空気導入口7は、処理室9内のフィルム100と紫外線照射部5との間の空間に空気を導入するガス導入口である。
空気導入口7には窒素ガス供給源70及び空気供給源72が接続されている。
空気導入口7と窒素ガス供給源70との間にはガス弁71が設けられている。
空気供給源72は、空気導入口7とガス弁71との間に、ガス弁73を介して接続されている。
窒素ガス供給源70としては、窒素ガスボンベを例示することができる。
空気供給源72としては、空気ボンベを例示することができる。
【0025】
制御器8は、酸素濃度計6が測定した、処理室9内のフィルム100と紫外線照射部5との間の空間における酸素濃度に基づいて、空気導入口7から導入される空気量、第1窒素ガス導入口3から導入される窒素ガス量、及び第2窒素ガス導入口4から導入される窒素ガス量のうち少なくともいずれか一つを制御する。
【0026】
図2は、
図1に示す制御器8の構成を示す機能ブロック図である。
図2に示す制御器8は、入力部81と、記憶部82と、判定部83と、信号生成部84と、を備える。
【0027】
入力部81は、酸素濃度計6に接続され、酸素濃度計6により測定された結果である酸素濃度値が入力される入力インターフェイスである。
入力部81には、酸素濃度計6の測定結果である酸素濃度値が入力される。
【0028】
記憶部82は、予め設定された、酸素濃度設定範囲を記憶する。
記憶部82は、半導体メモリ及び磁気ディスク等の記録媒体により実現することができる。
ここで、酸素濃度設定範囲は、500ppm以上1000ppm以下、又は5000ppm以上5%以下とすることが好ましい。
このような酸素濃度設定範囲とすると、フィルム100の割れ又は反りを防止することができる。
【0029】
判定部83は、酸素濃度計6から入力部81に入力された酸素濃度値が、記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲内であるか否かを判定する。
判定部83は、MPU(Micro-Processing Unit)及びCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより実現することができる。
【0030】
信号生成部84は、判定部83の判定に基づいて、ガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力する。
このガス弁は、制御器8の制御対象のガス導入口と当該ガス供給源との間に設けられている。
具体的には、空気導入口7と空気導入口7に接続された窒素ガス供給源70との間のガス弁71、空気導入口7とガス弁71との間に接続されたガス弁73、第1窒素ガス導入口3と第1窒素ガス導入口3に接続された窒素ガス供給源30との間のガス弁31、及び第2窒素ガス導入口4と第2窒素ガス導入口4に接続された窒素ガス供給源40との間のガス弁41のうち少なくともいずれか1つが制御器8の制御対象である。
【0031】
第1窒素ガス導入口3から導入される窒素ガス量及び第2窒素ガス導入口4から導入される窒素ガス量が一定である場合には、空気導入口7から導入される空気量が増加すると、酸素濃度計6の測定空間における窒素濃度が低下して酸素濃度が上昇し、又は、空気導入口7から導入される空気量が減少すると、酸素濃度計6の測定空間における窒素濃度が上昇して酸素濃度が低下する。
第2窒素ガス導入口4から導入される窒素ガス量及び空気導入口7から導入される空気量が一定である場合には、第1窒素ガス導入口3から導入される窒素ガス量が増加すると、酸素濃度計6の測定空間における窒素濃度が上昇して酸素濃度が低下し、又は、第1窒素ガス導入口3から導入される窒素ガス量が減少すると、酸素濃度計6の測定空間における窒素濃度が低下して酸素濃度が上昇する。
第1窒素ガス導入口3から導入される窒素ガス量及び空気導入口7から導入される空気量が一定である場合には、第2窒素ガス導入口4から導入される窒素ガス量が増加すると、酸素濃度計6の測定空間における窒素濃度が上昇して酸素濃度が低下し、又は、第2窒素ガス導入口4から導入される窒素ガス量が減少すると、酸素濃度計6の測定空間における窒素濃度が低下して酸素濃度が上昇する。
【0032】
図3は、
図2に示す制御器8の動作を示すフローチャートである。
まず、
図2に示す制御器8が処理を開始し、入力部81に酸素濃度計6により測定された結果である酸素濃度値が入力されると(S1)、判定部83は、この酸素濃度値が記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲内であるか否かを判定する(S2)。
そして、信号生成部84は、判定部83の判定結果に基づいて、ガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力し(S3)、処理を終了する。
例えば、酸素濃度計6により測定された結果である酸素濃度値が、酸素濃度設定範囲よりも低い場合には、信号生成部84は、制御器8の制御対象のガス導入口と当該ガスの供給源との間のガス弁の開度を、酸素濃度が上昇するように制御する制御信号を生成して出力する。
又は、酸素濃度計6により測定された結果である酸素濃度値が、酸素濃度設定範囲よりも高い場合には、信号生成部84は、制御器8の制御対象のガス導入口と当該ガスの供給源との間のガス弁の開度を、酸素濃度が低下するように制御する制御信号を生成して出力する。
ガス弁の開度は、制御信号により比例制御されるとよい。
【0033】
このように、制御器8によって、空気導入口7から導入される空気量、第1窒素ガス導入口3から導入される窒素ガス量、及び第2窒素ガス導入口4から導入される窒素ガス量のうち少なくともいずれか一つが制御されることで、フィルム100における樹脂の架橋反応を制御することができる。
【0034】
なお、制御器8は、酸素濃度値が酸素濃度設定範囲内になるまで制御を継続して行ってもよい。
図4は、
図2に示す制御器8の動作を示す他のフローチャートである。
まず、
図2に示す制御器8が処理を開始し、入力部81に酸素濃度計6により測定された結果である酸素濃度値が入力されると(S11)、判定部83は、この酸素濃度値が記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲内であるか否かを判定する(S12)。
酸素濃度値が記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲内である場合(S12:Y)には、処理を終了する。
酸素濃度値が記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲内でない場合(S12:N)には、判定部83は、更に、酸素濃度値が記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲より大きいか否かを判定する(S13)。
酸素濃度値が記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲より大きい場合(S13:Y)には、信号生成部84はガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力することで、導入空気量を小さくし、又は導入窒素ガス量を大きくして(S14)、S11に戻る。
酸素濃度値が記憶部82に記憶された酸素濃度設定範囲より大きくない場合(S13:N)には、信号生成部84はガス弁の開度を制御する制御信号を生成して出力することで、導入空気量を大きくし、又は導入窒素ガス量を小さくして(S15)、S11に戻る。
図4に示すフローチャートによれば、酸素濃度値が酸素濃度設定範囲内になるまで自動制御することができる。
【0035】
また、本発明は、
図1に示す紫外線硬化装置1に限定されるものではない。
図5は、本発明の実施形態の変形例に係る紫外線硬化装置1aの構成を示す断面図である。
図5に示す紫外線硬化装置1aは、ローラー2a及びローラー2bと、第1窒素ガス導入口3及び第2窒素ガス導入口4と、紫外線照射部5と、酸素濃度計6と、空気導入口7と、制御器8と、処理室9aと、を備える。
【0036】
図5に示す紫外線硬化装置1aは、フィルム100をガイドするローラーが2つ設けられ、すなわちローラー2に代えてローラー2a及びローラー2bが設けられ、処理室9に代えて形状の異なる処理室9aが設けられている点が
図1に示す紫外線硬化装置1と異なり、その他の構成は同じである。
ローラー2aとローラー2bとは、紫外線照射部5からの紫外線の照射面、すなわちフィルム100がフラットとなるように、且つ紫外線照射部5を基準として略同じ高さとなるように配置されている。
図5に示す紫外線硬化装置1aによれば、紫外線照射部5からの紫外線が照射される領域をフラットにすることが可能であり、フィルム100に対して紫外線を均一に照射することができる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、樹脂の架橋反応を制御することができる。
また、樹脂の架橋反応を樹脂の材料特性に応じて適切に制御することができる。
更には、このような樹脂の架橋反応の制御を自動で行うこともできる。
【0038】
なお、本発明は、紫外線硬化装置1,1aに限定されるものではない。
本発明には、樹脂が塗布されたフィルムに対し、2つの窒素ガス導入口の間から紫外線を照射して硬化する紫外線硬化方法も含まれる。
すなわち、樹脂が塗布されたフィルム100に対し、第1窒素ガス導入口3と第2窒素ガス導入口4の間から紫外線を照射して硬化する紫外線硬化方法であって、第1窒素ガス導入口3及び第2窒素ガス導入口4の各々から窒素ガスを導入すること、フィルム100と紫外線を照射する部分との間の空気導入口7から空気を導入すること、フィルム100と紫外線を照射する部分との間の酸素濃度を測定すること、酸素濃度が予め設定された酸素濃度設定範囲内となるように、空気導入口7から導入される空気量、第1窒素ガス導入口3及び第2窒素ガス導入口4の各々から導入される窒素ガス量の少なくともいずれか一つを制御すること、フィルム100をガイドすること、第1窒素ガス導入口3と第2窒素ガス導入口4の間からフィルム100に紫外線を照射すること、を含む紫外線硬化方法も本発明に含まれる。
【0039】
また、本実施形態においては、紫外線硬化装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、電子線の照射により樹脂を硬化する際にも適用することが可能であるし、オゾンの発生を防止するために適用することも可能である。
又は、本発明によれば、樹脂成型に際して加熱部における酸化に伴う着色を防止し、又は臭いの発生を防止することができる。
【0040】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、上述の構成に対して、構成要素の付加、削除又は転換を行った様々な変形例も含むものとする。
【符号の説明】
【0041】
1,1a 紫外線硬化装置
2,2a,2b ローラー
3 第1窒素ガス導入口
30 窒素ガス供給源
31 ガス弁
4 第2窒素ガス導入口
40 窒素ガス供給源
41 ガス弁
5 紫外線照射部
6 酸素濃度計
7 空気導入口
70 窒素ガス供給源
71 ガス弁
72 空気供給源
73 ガス弁
8 制御器
81 入力部
82 記憶部
83 判定部
84 信号生成部
9,9a 処理室
100 フィルム