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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025330
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 23/02 20060101AFI20230215BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
F04B23/02 B
F04B39/00 106Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130474
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 翔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 達也
(72)【発明者】
【氏名】梅田 憲
(72)【発明者】
【氏名】成澤 伸之
【テーマコード(参考)】
3H003
3H071
【Fターム(参考)】
3H003AA02
3H003AC02
3H003CD01
3H003CF01
3H071AA06
3H071BB01
3H071CC35
3H071CC47
3H071DD76
3H071DD83
3H071DD84
(57)【要約】
【課題】遠隔監視や遠隔操作が可能な圧縮機を提供する。
【解決手段】本発明の圧縮機100は、圧縮した気体を吐出する圧縮機構101と、圧縮機構101を駆動する動力機構102とが、圧縮機構101で圧縮した気体を貯留するタンク104に隣接して配置される圧縮機本体105と、基板ユニット106とを具備し、基板ユニット106は、圧縮機本体105に接触する取付板107と、取付板107に接触する基板ケース108と、基板ケース108内に配置される制御基板109とを備え、取付板107は、接続部110と防水防塵部111と基板取付部112とを有し、接続部110が圧縮機本体105と接触し、基板取付部112の圧縮機本体105側に基板ケース108が取付けられている。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮した気体を吐出する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する動力機構とが、前記圧縮機構で圧縮した気体を貯留するタンクに隣接して配置される圧縮機本体と、基板ユニットとを具備し、
前記基板ユニットは、前記圧縮機本体に接触する取付板と、前記取付板に接触する基板ケースと、前記基板ケース内に配置される制御基板とを備え、
前記取付板は、接続部と防水防塵部と基板取付部とを有し、
前記接続部が前記圧縮機本体と接触し、前記基板取付部の前記圧縮機本体側に前記基板ケースが取付けられていることを特徴とする圧縮機。
【請求項2】
前記取付板は、前記接続部、前記基板取付部、前記防水防塵部の順で接続され、前記接続部と前記基板取付部とが平板状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記取付板は、前記接続部、前記防水防塵部、前記基板取付部の順で接続され、それぞれの面が前記圧縮機本体の前記接続部が取り付けられる取付面と平行、垂直、平行であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記制御基板は、無線通信機能を有し、
前記基板取付部は、少なくとも一つの貫通穴と、電波を通す材質の前記貫通穴を塞ぐ蓋とを備え、
前記取付板はいずれも金属であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記基板取付部の前に蓋が設けられ、
前記制御基板は、発光部を有し、
前記基板取付部は、複数の貫通穴を有し、
前記蓋のうち前記発光部に対向する領域は、前記制御基板からの光を透過する材質であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記取付板は、前記防水防塵部と前記基板取付部との間に排出装置取付部を有し、
前記排出装置取付部は、ドレン排出のための開閉装置を備えていることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記基板ケースは、下部に配線を通すための穴を有していることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記防水防塵部と前記基板取付部とは鈍角を成すことを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記取付板は、前記防水防塵部と前記基板取付部との間に排出装置取付部を有し、
前記排出装置取付部は、ドレン排出のための開閉装置を備え、
前記開閉装置の1次側に手動でドレンを排出できる手動排出装置を有していることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
【請求項10】
圧縮した気体を吐出する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する動力機構とが配置される圧縮機本体と、基板ユニットとを具備し、
前記基板ユニットは、前記圧縮機本体に接触する取付板と、前記取付板に接触する基板ケースと、前記基板ケース内に配置される制御基板とを備え、
前記基板ケースは、前記取付板と前記圧縮機本体との間に設けられていることを特徴とする圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気圧縮機は、工場内や工事現場など、建造物の内外にかかわらず圧縮された流体を需要者の所へ提供する目的で広く使用されている。空気圧縮機は、配管を通して空気を搬送するだけでなく、空圧によって動作する工具やブレーキの原動力としても使用されている。
空気圧縮機が工具の原動力として使用される場合、工具の起動停止は工具自体の弁で操作可能であることが多い。
【0003】
一方、空気供給の停止や空気圧力の制御は、圧縮機本体のスイッチで操作する必要がある。そのため、作業者は、空気圧縮機の状態を確認したり、空気圧力を変更したりする場合に、工具を使用している場所から空気圧縮機がある場所まで移動して操作する必要がある。作業能率や単純な利便性を向上するためには、遠隔から空気圧縮機を監視したり、操作したりする機能が望まれる。
【0004】
監視・操作機能を誘導機と電磁開閉器のみで運転する圧縮機へ搭載する場合は特許文献1のように部品交換等のサービスを考慮し、制御機器等を収納するケースの着脱が容易である必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-124741号公報(図1図3、段落0023~0029等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、制御機器等を収納するケース(3)の着脱を容易にする取付構造について記載があるが、旧型機種への取付けについては配慮されていない。
圧縮機は購入されてからリプレースされるまでの期間が長いため、旧型機種に対しても遠隔から空気圧縮機を監視、操作する機能を後付けできる必要がある。
また、ケース内に収納された制御機器は電子回路等を含むことから振動や熱、水、粉塵が故障要因である。そのため、ケースは密閉性が高く、振動や熱が伝わりにくい構造にする必要がある。
【0007】
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、遠隔監視や遠隔操作が可能な圧縮機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の圧縮機は、圧縮した気体を吐出する圧縮機構と、前記圧縮機構を駆動する動力機構とが、前記圧縮機構で圧縮した気体を貯留するタンクに隣接して配置される圧縮機本体と、基板ユニットとを具備し、前記基板ユニットは、前記圧縮機本体に接触する取付板と、前記取付板に接触する基板ケースと、前記基板ケース内に配置される制御基板とを備え、前記取付板は、接続部と防水防塵部と基板取付部とを有し、前記接続部が前記圧縮機本体と接触し、前記基板取付部の前記圧縮機本体側に前記基板ケースが取付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遠隔監視や遠隔操作が可能な圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の実施形態1に係る圧縮機の正面図。
図1B】本発明の実施形態1に係る圧縮機の左側面図。
図2A】実施形態1に係る圧縮機の他例の正面図。
図2B】実施形態1に係る圧縮機の他例の左側面図。
図3A】実施形態1の変形例に係る圧縮機の正面図。
図3B】本発明の実施形態1の変形例に係る圧縮機の右側面図。
図4A】実施形態2の圧縮機の基板ユニットの取付構造の例の正面図。
図4B】実施形態2の圧縮機の基板ユニットの取付構造の例の左側面図。
図5】実施形態2の圧縮機に取り付ける基板ユニットの分解斜視図。
図6】変形例1の基板取付部と制御基板の模式正面図。
図7】変形例2の基板取付部と制御基板の模式正面図。
図8】変形例3の基板取付部と制御基板の模式正面図。
図9】変形例4の基板取付部と制御基板の模式正面図。
図10】変形例5の基板取付部と制御基板の模式正面図。
図11】変形例6の基板取付部と制御基板の模式正面図。
図12A】実施形態3に係る圧縮機の基板ユニットの取付構造の正面図。
図12B】実施形態3の圧縮機の基板ユニットの取付構造の例の左側面図。
図13】実施形態3の開閉装置と基板ユニットの分解斜視図。
図14A】本発明の実施形態3の変形例に係る圧縮機の基板ユニットの取付構造の正面図。
図14B】実施形態3の変形例に係る圧縮機の基板ユニットの取付構造の例の左側面図。
図14C】実施形態3の変形例に係る圧縮機の基板ユニットの取付構造の例の右側面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の圧縮機の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
具体的には、本発明の圧縮機への基板ユニット取付構造の実施形態について説明する。
<<実施形態1>>
【0012】
図1Aに、本発明の実施形態1に係る圧縮機100の正面図を示し、図1Bに、本発明の実施形態1に係る圧縮機100の左側面図を示す。
実施形態1の圧縮機100の全体構成について説明する。
圧縮機100は、圧縮機構101と、それを駆動する電動機102とを備えている。
圧縮機構101は、気体等の流体を圧縮する機能をもつ。
【0013】
また、圧縮機100は、圧縮機構101で圧縮した気体を貯留するためのタンク104と、タンク104に隣接して配置される圧縮機本体105とを備えている。圧縮機本体105は、圧縮機100の構造部材である。
【0014】
圧縮機100は、制御系として、動力機械の電動機102への電力供給経路を開閉する開閉機構103と、基板ユニット106(図1B参照)とを備えている。
基板ユニット106は、圧縮機100を遠隔または近くで監視、操作するための部材である。
【0015】
図1Bに示すように、基板ユニット106は、略L字状の平板の取付板107と、箱状の基板ケース108と、基板ケース108内に設けられる制御基板109とを有している。
取付板107は、基板ユニット106を圧縮機本体105に取り付けるための部材である。
基板ユニット106は、取付板107の接続部110が圧縮機本体105に固定されることで、圧縮機100に設置される。
基板ケース108は、取付板107に取り付けられる。基板ケース108の内部には、制御基板109が配置されている。
【0016】
図1Aに示す取付板107は、接続部110と防水防塵部111と基板取付部112とを有して構成されている。
接続部110と基板取付部112とは鉛直状の平板で連続して形成されている。図1Bに示すように、防水防塵部111は、接続部110と基板取付部112とに対して、圧縮機構101側に曲がって水平に形成されている。
取付板107は、1枚の板を折り曲げて、接続部110、基板取付部112、および防水防塵部111を形成してもよいし、2枚以上の部材を接続して形成してもよい。
例えば、取付板107は防錆処理される鉄板で形成される。取付板107が金属で形成されれば、板金で形成でき加工し易い。なお、取付板107は、樹脂で形成してもよい。
【0017】
圧縮機構101は、電動機102によって回転駆動され、圧縮空気を生成する。圧縮機構101の圧縮工程の往復運動、電動機102の稼働によって、振動や熱が発生する。
そのため、基板ユニット106は、圧縮機構101、電動機102による振動や熱が伝わりにくい圧縮機本体105に取付けることが望ましい。さらに、基板ユニット106は、圧縮機本体105の中でも比較的振動の小さい圧縮機構101から離れた電動機102側に取付けるのが好ましい。
【0018】
<基板ユニット106>
基板ユニット106の取付構造について説明する。
図1A図1Bに示すように、取付板107は取付板接続部110と圧縮機本体105でネジ止めnを行い、直上に延伸した板とされる。
この際、圧縮機本体105と取付板107との接合は、図2A図2Bに示す通り、取付板107の接続部110を圧縮機本体105に溶接yして固定してもよい。
図2Aに、実施形態1に係る圧縮機100の他例の正面図を示し、図2Bに、本発明の実施形態1に係る圧縮機100の他例の左側面図を示す。
【0019】
取付板107の基板取付部112における圧縮機本体105の側表面に基板ケース108が取付けられる。基板ケース108には制御基板109が取付けられている。
【0020】
延伸した取付板107の基板取付部112の圧縮機本体105側の表面に制御基板109が取付けられた基板ケース108を取付けることで制御基板109の実装面を片面とすることが可能であり、コストを低減することができる。なお、基板ケース108の上方に防水防塵部111を設けることで、制御基板109を防水防塵部111をもって雨水粉塵から保護することが可能である。
【0021】
また、制御基板109を覆う基板ケース108もしくは、制御基板109を覆う基板取付部112の何れかを電波を通す材質にすると無線通信部により無線通信を行える制御基板109を取付けることが可能である。例えば、基板ケース108、基板取付部112を電波を通す樹脂で形成する。なお、基板ケース108、基板取付部112に穴を空ければ金属を用いることができるが、アルミニウムは電波を吸収する性質をもつので、アルミニウム以外の金属を用いる。つまり、基板ケース108、基板取付部112の両者はアルミニウム以外の金属、樹脂を用いることが好ましい。少なくとも、基板ケース108は、アルミニウム以外の金属、樹脂を用いることが好ましい。
【0022】
実施形態1によれば、取付板107の防水防塵部111は板の剛性を向上させる効果と防水、防塵の二つの役割を有する。
取付板107のうち、圧縮機100と接触する部分を接続部110のみとし、他の部分は圧縮機100と非接触とすることで、圧縮機100の側からの振動や熱が制御基板109へ伝わることを低減できる。
【0023】
図1B図2Bに示すように、圧縮機構101やタンク104と、制御基板109が設けられる基板ユニット106とが非接触のことから、圧縮機構101やタンク104の熱が基板ユニット106に伝わりにくいというメリットがある。
また、圧縮機本体105と基板ユニット106(取付板107)との接合を図1Aに示すネジ止めnもしくは図2Aに示す溶接yとすることで、基板ユニット106(図1B図2B参照)を旧型機種の圧縮機100へ取付けることも可能である。
【0024】
<変形例>
図3Aに、実施形態1の変形例に係る圧縮機100の正面図を示し、図3Bに、本発明の実施形態1の変形例に係る圧縮機100の右側面図を示す。
変形例の基板ユニット106hの取付板107hは、実施形態1の取付板107と同様な構成である。
変形例の取付板107hは、接続部110hと防水防塵部111hと基板取付部112hとを有して構成されている。
【0025】
図3Bに示すように、取付板107hの基板取付部112hにおける圧縮機本体105の側表面に基板ケース108hが取付けられる。基板ケース108hには制御基板109hが取付けられている。
【0026】
取付板107hは、接続部110hがネジ止め、溶接等で圧縮機本体105における開閉機構103の上方に固定される。
変形例によれば、基板ユニット106が圧縮機本体105の中でも比較的振動の小さい圧縮機構101から離れた電動機102側に取付けるので、振動の影響を軽減できる。
また、基板ユニット106hが圧縮機100の上部に取り付けられるので、使用者が基板ユニット106hを目視し易い。そのため、圧縮機100を操作する際の作業性がよい。
【0027】
<<実施形態2>>
図4Aに、実施形態2の圧縮機100Aの基板ユニット106Aの取付構造の例の正面図を示す。図4Bに、実施形態2の圧縮機100Aの基板ユニット106Aの取付構造の例の左側面図を示す。
【0028】
実施形態2の基板ユニット106Aの構成は特に言及する以外は実施形態1の基板ユニット106と同様な構成である。
【0029】
実施形態2の圧縮機100Aは、実施形態1に示した圧縮機100と略同様な構成である。
図5に、実施形態2の圧縮機100Aに取り付ける基板ユニット106Aの分解斜視図を示す。
実施形態2の基板ユニット106Aの取付板107aは、防水防塵部111aと接続部110aと基板取付部112aとを有している。
【0030】
接続部110aは、略水平に延在する防水防塵部111aの一方の辺に接続されており、上方へ延伸している。
基板取付部112aは、略水平の防水防塵部111aの一方の辺と対向する他方の辺に接続されており、下方へ延伸している。
【0031】
そして、取付板107の上方に延伸する接続部110aと圧縮機本体105とが接合され、基板ユニット106Aが圧縮機100Aに取り付けられる。この構成によれば、基板ユニット106Aを、基板取付部112aと防水防塵部111aと圧縮機本体105とで、防水、防塵を図れる。
【0032】
図5に示すように、基板取付部112aの圧縮機100Aの側表面に無線通信部109b0により無線通信が可能な制御基板109aを設ける。
この場合、基板取付部112aには、少なくとも一つの貫通穴112a1と、貫通穴112a1を塞ぐ電波を通す材質の蓋113とが備えられている。例えば、蓋113は樹脂で形成されている。
箱状の基板ケース108aには制御基板109aが取付けられている。基板ケース108aの下板には、配線を通す孔108kが設けられている。図5では、3つの無線通信部109b0を例示しているが、無線通信部109b0の数は任意である。貫通穴112a1は、無線通信部109b0の数によって増減してもよいし、図5に示すように、様々な制御基板109aに対応できるように多数設ける構成としてもよい。
【0033】
取付板107aは、例えば、いずれの箇所(111a、110a、112a)もアルミニウム以外の金属を用いて板金で形成されている。
なお、取付板107aは、実施形態1と同様に、複数の部材で構成してもよい。
【0034】
<基板取付部112aと制御基板109a>
図5を用いて、基板取付部112aと制御基板109aの構成について説明する。
制御基板109aは圧縮機100Aの使用者にメンテナンス時期や運転等の情報を視覚的に知らせる機能として、発光部109iを有している。蓋113には制御基板109aの発光部109iの光を透過する透過部113tが設けられている。これにより、使用者は、蓋113の透過部113tを通して制御基板109の発光部109iを目視し、圧縮機100Aの状態を把握できる。
【0035】
蓋113は透明の材質であると発光部109i2の光が散乱するので、不透明または半透明の材質を用いている。
発光部109iは例えば次の機能をもたせることができる。なお、発光部109iは、一つでもよいし、複数でもよい。
【0036】
発光部109iの点灯による報知の例としては、下記がある。
・運転時には発光部109iの何れかが点灯する。
・過電流で開閉機構103(図4A参照)の電磁開閉器が開いてしまう(サーマルトリップ)の場合に、エラー発生として発光部109iの何れかが点灯する。
・メンテナンス時期に至った場合、つまり圧縮機100の運転時間がメンテナンス時期の既定のN時間を超過した場合、発光部109iの何れかが点灯する。例えば、制御基板109のマイクロコンピュータで電動機102の通電時間を積算することで圧縮機100の運転時間を求め、運転時間が既定のN時間を超過したか否かを判定する。そして、圧縮機100の運転時間が既定のN時間を超過した場合に発光部109iの何れかを点灯させる。
【0037】
上述は機能例であり、これらの機能のうち少なくとも一つをもつように構成してもよいし、例示以外の他の機能をもつ構成としてもよい。
基板取付部112aに設ける複数の貫通穴112oのうち、少なくとも一つは制御基板109の発光部109iからの発光を透過させる。発光部109iで発光した光が他の貫通穴112oから漏れないよう制御基板109の発光部109iを、筒等で光が漏れないように覆ってもよい。しかし、発光部109iの光源を直進性があるものにする方がコストを削減できてよい。
【0038】
貫通穴112oを塞ぐ蓋113は銘板でもよく、制御基板109の発光部109iの直進上に位置する銘板の部位は光を透過する材質とする。
【0039】
実施形態2の基板ユニット106Aを金属で構成することで、樹脂成型等のイニシャルコストを抑えることが可能である。また、貫通穴112oを塞ぐ蓋113を銘板とすることで基板ケース108a内への雨水粉塵の侵入を防止でき、製品外観を損なうこともない。
以下、基板取付部112aの貫通孔112oの変形例(真正面からみた図)を示す。なお、下記の変形例は、前記した実施形態1、2および後記する実施形態3、変形例等に適用できる。
【0040】
図6図11に、それぞれ変形例1~6の基板取付部112b~112gと制御基板109b~109gの模式正面図を示す。
図6図11の各変形例1~6の制御基板109b~109gには、それぞれ電波を発信する無線通信部109b1~109g1が実装されている。
変形例1~6の各制御基板109b~109gの前方には、図5と同様に、それぞれ基板取付部112b~112gが配置されている。
【0041】
<変形例1>
図6に示す変形例1の基板取付部112bには、制御基板109bの無線通信部109b1が露出する大きな穴112b1が一箇所形成されている。
制御基板109bの無線通信部109b1は、基板取付部112bの大きな穴112b1から露出するので、無線通信部109b1の電波が外部空間に広く発信される。
【0042】
<変形例2>
図7に示す変形例2の基板取付部112cには、制御基板109cの無線通信部109c1が露出する複数の穴112c1が形成されている。複数の穴112c1の何れかが、制御基板109cの無線通信部109c1の位置と対向している。
【0043】
したがって、制御基板109cの無線通信部109c1の電波が、基板取付部112cの複数の穴112c1の何れかから、円滑に外部空間に発信される。
【0044】
<変形例3>
図8に示す変形例3の基板取付部112dには、制御基板109dの無線通信部109d1が露出する曲率をもつ形状の複数の穴112d1が形成されている。複数の穴112d1の何れかが、制御基板109dの無線通信部109d1の位置と対向している。つまり、制御基板109dの無線通信部109d1は、基板取付部112dの曲率をもつ形状の穴112d1の何れかから外部空間に露出している。このように、基板取付部112dの穴112d1は矩形でなくてもよい。
【0045】
制御基板109dの無線通信部109d1の電波が、基板取付部112dの複数の曲率をもつ穴112d1の何れかから、円滑に外部空間に発信される。
【0046】
下記の図9図11の各変形例4~6の制御基板109e~109gには、それぞれ点滅を行う発光部109i1~109i3が実装されている。
<変形例4>
【0047】
図9に示す変形例4の基板取付部112eには、制御基板109eの無線通信部109e1と発光部109i1が露出する大きな形状の穴112e1が一つ形成されている。つまり、制御基板109eの無線通信部109e1と発光部109i1は、基板取付部112eの大きな形状の穴112e1から外部空間に露出している。
このように、発光部109i1は一つでもよい。発光部109i1は、光の色が単色でも、圧縮機100、100Aのエラーの種類によって色が変わる複数色等でもよい。
【0048】
制御基板109eの発光部109i1は、蓋113の透過部113t1を通して、使用者に目視される。
無線通信部109e1からの電波は、穴112e1、蓋113を通って外部空間に発信される。
【0049】
<変形例5>
図10に示す変形例5の基板取付部112fには、制御基板109fの無線通信部109f1と複数の発光部109i2が露出する複数の穴112f1が形成されている。
複数の穴112f1の何れかが、制御基板109cの無線通信部109f1の位置と複数の発光部109i2の位置とに対向している。つまり、制御基板109fの無線通信部109f1と複数の発光部109i2とは、基板取付部112fの複数の穴112f1の何れかから外部空間に露出している。
【0050】
したがって、無線通信部109f1の電波が円滑に外部空間に発信されるとともに、複数の発光部109i2を使用者が蓋113の透過部113t2を通して目視できる。
このように、発光部109i2は複数でもよい。この場合、蓋113のうち、下側の穴112f1に対応する位置だけの透過部113t2が光を透過すればよい。蓋113の透過部113t2は光を透過すればよく矩形である必要はない。
【0051】
蓋113は、透明ではなく、発光部109i2の光を透過する透過部113t2をもつ構成である。或いは、蓋113は、透明ではなく、単に発光部109i2の光を透過する材質でもよい。
【0052】
<変形例6>
図11に示す変形例6の基板取付部112gには、制御基板109gの無線通信部109g1と複数の発光部109i3が露出する複数の穴112g1が形成されている。複数の穴112g1の何れかが、制御基板109cの無線通信部109f1の位置と複数の発光部109i2の位置とに対向している。そして、制御基板109gの複数の発光部109i3に対向して、蓋113の複数の透過部113t3が配置されている。
【0053】
したがって、無線通信部109g1の電波が複数の穴112g1の何れかから円滑に外部空間に発信されるとともに、使用者が複数の穴112g1の何れか、透過部113t3を通して、複数の発光部109i3を目視できる。
なお、図11に示すように、透過部113t3はその機能を果たせれば複数でも、単数でもよい。
【0054】
上述したように、基板取付部112aの金属部分に穴をあけておくことで、制御基板109aからの無線電波を飛ばしやすくする。加えて、基板取付部112aに蓋113を設け、基板ケース108を基板取付部112aの表面ではなく裏面に取り付けることで、制御基板109aの防水・防塵機能を向上させることができる。
【0055】
<<実施形態3>>
図12Aに、本発明の実施形態3に係る圧縮機100Bの基板ユニット106Bの取付構造の正面図を示す。図12Bに、実施形態3の圧縮機100Bの基板ユニット106Bの取付構造の例の左側面図を示す。
実施形態3の基板ユニット106Bは、タンク104で結露した水を自動で排出する開閉装置114が取り付けられる構成である。タンク104で結露した水は、タンク104に接続されるホースh0(図12A図12B参照)を通って排出される。
【0056】
実施形態3の基板ユニット106Bの構成は特に言及する以外は実施形態2の基板ユニット106A(図5参照)と同様である。
実施形態3の圧縮機100Bは、実施形態2の圧縮機100A(図4A図4B)と略同様な構成である。
【0057】
図13に、実施形態3の開閉装置114と基板ユニット106Bの分解斜視図を示す。
実施形態3の取付板107における防水防塵部111と基板取付部112qとの間に排出装置取付部115を有している。
【0058】
<開閉装置114>
開閉装置114は、排出装置取付部115に取り付けられている。開閉装置114は、タンク104(図12A参照)で結露した水分等を取り除く装置である。
ここで、排出装置取付部115は、開閉装置114へ接続された配管h1(図13参照)が外れた場合においても、基板ケース108に水がかからないよう、開閉装置114と同等以上の奥行寸法、高さ寸法を有するのがよい。
このように、制御基板109と開閉装置114との間に、排出装置取付部115が設けられるので、防水効果が高い。
配管h1には、タンク104に接続されるホースh0(図12A参照)が接続される。
【0059】
図13に示す開閉装置114は、タンク104で結露した水を排出する際に開弁される電磁弁114aを有している。タンク104で結露した水は、タンク104の内部と外部との圧力差により外部に排出される。
ストレーナ114bは、タンク104の内部の結露した水に混じる錆などの固形分を除去する。
開閉装置114は、水吸収口114c1と水排出口114c2とストレーナ排出口114c3とを有している
水吸収口114c1には、タンク104に接続されるホースh0が結合される配管h1が接続される。
【0060】
水排出口114c2には、タンク104の結露水を排出するホース(図示せず)が接続される。
ストレーナ排出口114c3からは、ストレーナ114bで除去された錆等の固形分が排出される。
【0061】
図12Aに示すように、タンク104とホースh0との接続部には、手動で開閉する開閉弁116が設置されている。開閉弁116は、開閉装置114が故障した際等に使用される。
開閉弁116のハンドル116hを、図12Aの矢印α11に示すように、反時計廻りに回すことで開弁し、時計廻り(図12Aの矢印α12)に回すことで閉弁する。
上述の開閉装置114を用いて、タンク104で結露した水を排出するには、電磁弁114aを開弁する。すると、タンク104の内部と外部との圧力差により、タンク104で結露した水が、ホースh0(図12Aの矢印α21)、配管h1、電磁弁114aを通って、水排出口114c2(図13参照)から排出される。タンク104で結露した水に含まれる錆は、ストレーナ114bでろ過され、ストレーナ排出口114c3(図13参照)から排出される。
【0062】
なお、電磁弁114aが故障した際には、使用者が開閉弁116のハンドル116hを反時計廻り(図12Aの矢印α11)に回すことで開弁し、タンク104で結露した水をホースh0(図12A図12B参照)から排出される。
また、実施形態3における基板取付部112qの板は制御基板109の発光部109iの視認性をよくするため、接続部110と略平行ではなく、基板ユニット106Bの設置高さに合わせ、基板取付部112板の取付角度もしくは曲げ角度を変えるのがよい。基板取付部112qが上を向くように、水平方向に延びる防水防塵部111と基板取付部112qとは鈍角を成す。
上述の実施形態3によれば、基板ユニット106Bに開閉装置114を取付けることで、タンク104の内周面の発錆抑制や日々のドレン(結露水)を抜く手間削減が可能である。
【0063】
また、取付板107に排出装置取付部115(図12B図13参照)を追加することにより、取付板107の剛性を向上させ、取付板107への振動を低減することが可能である。
また、図12Bに示すように、基板取付部112qの取付角度もしくは曲げ角度を変更することにより、圧縮機110Bの使用者が基板ユニット106Bの高さまで屈まなくても圧縮機110Bの状態を目視して確認することが可能である。上述したように、防水防塵部111と基板取付部112qとが鈍角を成せば、使用者が基板ユニット106Bで表示される圧縮機110Bの状態を目視、確認し易い。
【0064】
<変形例1>
図14Aに、本発明の実施形態3の変形例に係る圧縮機100Cの基板ユニット106Cの取付構造の正面図を示す。図14Bに、実施形態3の変形例に係る圧縮機100Cの基板ユニット106Bの取付構造の例の左側面図を示す。図14Cに、実施形態3の変形例に係る圧縮機100Cの基板ユニット106Cの取付構造の例の右側面図を示す。
実施形態3の変形例の基板ユニット106Cは、取付板107cにおける防水防塵部111と基板取付部112rとの間に排出装置取付部115を有している。そして、基板取付部112rの取付角度もしくは曲げ角度を鉛直方向としている。防水防塵部111と基板取付部112rとは略直角を成している。
【0065】
<<その他の実施形態>>
1.本発明は、前記した実施形態、変形例の構成に限られることなく、添付の特許請求の範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能である。
【符号の説明】
【0066】
100、100A、100B 圧縮機
101 圧縮機構
102 電動機(動力機構)
103 開閉機構
104 タンク
105 圧縮機本体
106、106A、106B、106C 基板ユニット
107 取付板
108 基板ケース
108k 孔(穴)
109 制御基板
110 接続部
111 防水防塵部
112、112a、112b、112c、112f、112g、112q、112r 基板取付部
113 貫通穴を塞ぐ蓋
114 開閉装置
115 排出装置取付部
116 開閉弁(手動排出装置)
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図14C