(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002536
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】機能化された粉末原料からナノ構造の相を有するワークピースの製造
(51)【国際特許分類】
B22F 1/17 20220101AFI20221227BHJP
B22F 1/16 20220101ALI20221227BHJP
B22F 10/00 20210101ALI20221227BHJP
B22F 3/20 20060101ALI20221227BHJP
B22F 3/02 20060101ALI20221227BHJP
B22F 3/14 20060101ALI20221227BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20221227BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20221227BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221227BHJP
【FI】
B22F1/17
B22F1/16
B22F10/00
B22F3/20 Z
B22F3/02 S
B22F3/14 101C
B33Y80/00
B33Y70/00
B33Y10/00
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022152279
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2020528133の分割
【原出願日】2018-11-21
(31)【優先権主張番号】62/589,663
(32)【優先日】2017-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517410800
【氏名又は名称】フォージ ナノ インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド キング
(72)【発明者】
【氏名】アレレイン ダメロン
(57)【要約】
【課題】粉末冶金用のナノ工学材料およびその材料を使用して作られたワークピースを提供する。
【解決手段】ワークピースは、ナノ工学の部分的または完全なコーティングを有する第一の相粉末および/またはそれの構成材料の界面に付着した第二の相を含む。優れた性能および/または機能的利点を有するワークピースを製造するための、金属、ポリマーおよび/またはセラミック粉末冶金原料粉末用のナノ工学コーティング、このコーティングおよび追加のそれぞれの機能的利点を含む射出成形および積層造形原料粉末を製造する方法を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第一の相と、金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第二の相とを含むワークピースであって、
第一の相は、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、射出成形、押出ベース、コールドスプレーまたはサブトラクティブ製造プロセスにおいて使用するために構成された粉末状原料に由来し、
第二の相はワークピースの製作前に第一の相の表面に化学的または物理的に付着している、ワークピース。
【請求項2】
第一の相が約500μm以下の特徴的な粒サイズを有する、請求項1に記載のワークピース。
【請求項3】
第一の相が10nm~100μmの特徴的な粒サイズを有する、請求項1に記載のワークピース。
【請求項4】
第一の相が100nm~10μmの特徴的な粒サイズを有する、請求項1に記載のワークピース。
【請求項5】
第一の相は約1μm以下の特徴的な粒サイズを有する、請求項1に記載のワークピース。
【請求項6】
第一の相または第二の相がワークピース全体に均一に分布している、請求項1に記載のワークピース。
【請求項7】
ワークピースが複数の体積要素を含み、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の物理的または機械的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である、請求項1に記載のワークピース。
【請求項8】
ワークピースが複数の体積要素を含み、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の化学的または電気的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である、請求項1に記載のワークピース。
【請求項9】
ワークピースが複数の体積要素を含み、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の化学組成が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である、請求項1に記載のワークピース。
【請求項10】
第二の相の材料がワークピースの製作前に第一の相の粉末の外部表面積の少なくとも70%を覆うコーティングの形態をしている、請求項1に記載のワークピース。
【請求項11】
コーティングが、ゾルゲル、マイクロエマルジョン、物理蒸気、化学蒸気、原子層、熱分解、化学分解または超臨界流体堆積プロセスの1つまたはそれ以上を使用して適用される、請求項10に記載のワークピース。
【請求項12】
第二の相の材料が、i)第一の相の材料の粒に隣接したままである、ii)第一の相の材料の粒とともに散在したままである、またはiii)第一の相の材料の粒との界面を維持している、請求項2に記載のワークピース。
【請求項13】
第一の相の材料の粒が、0.1nm~100nmの範囲の均一な距離だけ離れている、請求項12に記載のワークピース。
【請求項14】
ワークピースが、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、および射出成形、押出ベース、コールドスプレー、またはサブトラクティブ製造プロセスの1つまたはそれ以上を使用して製造される、請求項1に記載のワークピース。
【請求項15】
第一の相が、チタン、アルミニウム、ホウ素、塩素、鉄、クロム、コバルト、マグネシウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、スズ、タンタル、バナジウム、イットリウム、炭素、亜鉛、ケイ素またはジルコニウムを含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項16】
第二の相が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、ハロゲン化物またはアルミニウム化物を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項17】
第二の相が、1つまたはそれ以上の追加のサブ相を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項18】
ワークピース中の第二の相の組成が、ワークピースの製作前の出発原料粉末の第二の相の組成と異なる、請求項1に記載のワークピース。
【請求項19】
第二の相の組成物がワークピースの製作中に形成される、請求項18に記載のワークピース。
【請求項20】
i.核用途に、
ii.アノード、アノード液、カソード、カソード液、電解質、集電装置、スタック部材、電極アセンブリー、セパレーター、膜に、または電気化学電池のパック部材として、
iii.液体電解質を含む電池、固体電解質を含む電池、コンデンサー、電解槽、液体電解質を含む燃料電池または固体電解質を含む燃料電池に、
iv.構造または補強部材として、
v.固定またはモバイル装置の外装またはシールド部材として、
vi.移動または携帯用途のための軽量化手段として
使用するために構成された請求項1に記載のワークピース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、粉末冶金(PM)の分野に関する。特に、本技術は、射出成形(IM)、積層造形(AM)および他の粉末ベースの製作システム用の原料として使用される粉末であって、その構成材料の界面に付着したナノ工学の部分的または完全なコーティングおよび/または第二の相を有する粉末に関する。より特に、本技術は、優れた性能および/または機能的利点を有するワークピースを製造するための金属、ポリマーおよびセラミックIMおよびAM原料粉末用のナノ工学コーティング、およびこのコーティングおよび追加のそれぞれの機能的利点を含むIMおよびAMの原料粉末を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミリメートルスケールからナノメートルまでのサイズの粒子の組み込みは、最終用途製品の至る所にある。これらの粒子は、典型的には、蒸気、液体または固体の前駆体から粉末として合成され、気体、亜臨界液体、超臨界流体、固体またはプラズマなどの多くの物質状態の変換プロセスにおいて工業規模の量で生産されている。多くの合成プロセスが、何世紀にわたらないまでも数十年間使用され最適化されてきた。しかしながら、これらのプロセス最適化工程は、典型的には、各々のプロセスの内部で行なわれており、価値体系の次の工程によって、その粒子がどのように使用され、処理され、またはさらに改良されるかは、たとえあったとしても、ほとんど考慮せずに、行なわれている。すべての産業で使用される粒子のかなりの割合は、バルク材料に悪影響を及ぼさずに表面の特性を変更する改良または後処理プロセスによって増強することができる。改良プロセスは、サブナノメートルから何百マイクロメートルの範囲の厚さの個別のシェル、層、被膜またはその他のコーティング、またはバルクおよび表面の組成の両方に由来した材料、機能、構造または他の物理的または化学的特性を組み込んだ均質化された領域である相互拡散層に帰着することができる。代替の加工工程は、第一の粒子に付着した第二の相を帰着してもよい。コーティング、またはより広義には、第二の相は、0.0001質量%(典型的にはppmで測定)から50質量%まで含んでもよく、そして、好むならば、最終用途の混合物または製品における機能的利点を達成するために、第三、第四などの相(以降、第二の相と呼ばれ、それは追加のサブ相の組み込みを含むと理解される。)を組み込んでもよい。コーティングまたは第二の相がない場合、隣接の粒子は、特定の後処理を受けたときに、融合、焼結、熟成、または他の類似したプロセスを起こすかもしれず、そして、コーティングは、時々、そのようなプロセスが発生する傾向を抑制し、遅らせ、防止し、またはその他の方法で減らすバリヤーとして機能するように設計される。時々、第二の相は、一般的な溶接または接合プロセス中、または優先的には後処理中のどちらかにおいて、粒子が融合し、焼結し、熟成するように設計されているプロセスを増強または変更するように設計される。あるいは、後処理プロセスは、物理的または化学的エッチング、反応、転化または他の除去プロセスによって本来の表面を除去するために使用することができる。ほとんどの場合、1つの後処理プロセスが特定の製品の価値を高めることができる場合、異なる材料を含む類似のプロセスによろうが、異なるプロセスを使用して適用される類似の材料によろうが、異なるプロセスを使用して適用される異なる材料によろうが、多数の後処理プロセスが相乗的に性能を増強すると予想することができる。冶金の分野およびより広義には複合マトリックス形成の分野は、特に高強度鋼および金属合金の形成における後処理加工の利点の例、しばしば後処理加工の重要性の例が豊富である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、AMシステムへの原料として有用な粒子の製造者は、製造者が高収率で多くの顧客に1つの製品を販売することを可能にして、特定の粒径または粒度分布を有する製品のための高収率プロセスを最適化するかもしれない。しかし、粉末が電池、顔料、触媒、添加剤、AM原料などのような非常に細分化された市場に展開され、例えば、乾燥粉末、スラリー、懸濁液または粒状固体として販売され得るとき、顧客の製品がより良く最適化されかつ最終用途スペックに適合することを可能にするために、顧客が使用されるサイズ、タイプ、フォーマット、組成および改良技術をより管理するニーズが高まっている。例として、伝導性炭素製品は、電池、コンデンサーまたは燃料電池に展開することができ、それらのそれぞれは、製品の用途またはタイプによってさらに細分化することができ、それぞれは異なるサイズ、表面積および機能性コーティングから恩恵を受ける可能性があり、材料製造者が顧客の最終用途性能に及ぼす製造者のプロセス最適化努力の影響を可視化したり、その影響の複雑さを理解することはまれである。これとは別に、AMの観点からは、AMツールを使用して、金属のワークピースの製造に使用することができる多くのタイプの金属合金があるが、特定のサイズ、形状、機能および機械的特性は、合金および製造されている製品のタイプによって大いに異なる場合があり、それにより、別々にそれらの実用化を制限する場合がある。究極的に、積層造形プロセスを使用して製造された金属ワークピースには、これらの従来の方法に関連するいかなる欠点もなしに、鍛造され、射出成形され、鋳造され、または他の方法で機械加工された金属部品と同じ機械的特性を達成することができる価値提案がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の多くの実施形態の1つの態様は、第一の相および第二の相を含むワークピースであって、第一の相粉末は、その構成材料の界面に付着しているナノ工学の部分的または完全なコーティングおよび/または第二の相を有する、ワークピースに関する。ここに記載されたある実施形態は、優れた性能および/または機能的利点を有するワークピースを製造するための金属、ポリマーまたはセラミックのPM原料粉末用のナノ工学コーティング、ならびにこれらのコーティングおよび追加のそれぞれの機能的利点を含むIMおよびAM原料粉末を製造する方法を提供する。
【0005】
少なくとも1つの実施形態では、金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第一の相、ならびに金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第二の相を含むワークピースであって、第二の相は、ワークピースの製作前に第一の相の表面に化学的または物理的に付着している、ワークピース。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、射出成形、押出ベース、コールドスプレー、またはサブトラクティブ製造プロセスで使用するために構成された粉末状原料に由来する。
【0006】
少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、約500μm以下の特徴的な粒(grain)サイズを有する。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、10nm~100μmの特徴的な粒サイズを有する。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、100nm~10μmの特徴的な粒サイズを有する。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、約1μm以下の特徴的な粒サイズを有する。
【0007】
少なくとも1つの実施形態では、第一の相または第二の相は、ワークピースの全体にわたって均一に分布している。
【0008】
少なくとも1つの実施形態では、ワークピースは複数の体積要素を含む。少なくとも1つの実施形態では、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の物理的または機械的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である。少なくとも1つの実施形態では、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の化学的または電気的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である。少なくとも1つの実施形態では、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の化学組成が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である。
【0009】
少なくとも1つの実施形態では、第二の相の材料は、ワークピースの製作前に第一の相の粉末の外表面積の少なくとも70%を覆うコーティングの形態をしている。少なくとも1つの実施形態では、コーティングは、ゾルゲル、マイクロエマルジョン、物理蒸気、化学蒸気、原子層、熱分解、化学分解または超臨界流体堆積プロセスの1つまたはそれ以上を使用して適用される。少なくとも1つの実施形態では、第二の相の材料は、i)第一の相の材料の粒に隣接したままである、ii)第一の相の材料の粒とともに散在したままである、またはiii)第一の相の材料の粒との界面を維持している。
【0010】
少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、チタン、アルミニウム、ホウ素、塩素、鉄、クロム、コバルト、マグネシウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、スズ、タンタル、バナジウム、イットリウム、炭素、亜鉛、ケイ素またはジルコニウムを含む。少なくとも1つの実施形態では、第一の相の材料の粒は0.1nm~100nmの範囲の均一の距離だけ離れている。
【0011】
少なくとも1つの実施形態では、ワークピースは、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、射出成形、押出ベース、コールドスプレー、またはサブトラクティブ製造プロセスの1つまたはそれ以上を使用して製造される。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、第二の相は、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、ハロゲン化物またはアルミニウム化物を含む。少なくとも1つの実施形態では、第二の相は1つまたはそれ以上の追加のサブ相を含む。
【0013】
少なくとも1つの実施形態では、ワークピース中の第二の相の組成は、ワークピースの製作前の出発原料粉末の第二の相の組成とは異なる。少なくとも1つの実施形態では、第二の相の組成はワークピースの製作中に形成される。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、ワークピースは、(i)核用途に、(ii)アノード、アノード液、カソード、カソード液、電解質、集電装置、スタック部材、電極アセンブリー、セパレーター、膜に、または電気化学電池のパック部材として、(iii)液体電解質を含む電池、固体電解質を含む電池、コンデンサー、電解槽、液体電解質を含む燃料電池または固体電解質を含む燃料電池に、(iv)構造または補強部材として、(v)固定またはモバイル装置の外装またはシールド部材として、(vi)移動または携帯用途のための軽量化手段として、使用するために構成されている。
【0015】
ある実施形態では、本技術のワークピースは、チタン金属、チタン合金、アルミニウム金属またはアルミニウム合金の1つまたはそれ以上を含む第一の相を含み、第二の相は金属酸化物または金属窒化物の1つまたはそれ以上を含んでもよい。
【0016】
ある実施形態では、本技術のワークピースは、ステンレス鋼合金を含む第一の相を含み、第二の相は金属酸化物または金属窒化物の1つまたはそれ以上を含んでもよい。
【0017】
ある実施形態では、本技術のワークピースは、クロム金属、クロム合金、コバルト金属またはコバルト合金の1つまたはそれ以上を含む第一の相を含み、第二の相は金属酸化物または金属窒化物の1つまたはそれ以上を含んでもよい。
【0018】
ある実施形態では、本技術のワークピースは、鉄金属、鉄合金またはフェライト材料の1つまたはそれ以上を含む第一の相を含み、第二の相は金属、金属酸化物または金属窒化物の1つまたはそれ以上を含んでもよい。
【0019】
ある実施形態では、本技術のワークピースは、マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む第一の相を含み、第二の相は金属酸化物または金属窒化物の1つまたはそれ以上を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
1つまたはそれ以上の実施形態の詳細は、添付図面および以下の明細書において述べられる。開示の他の特徴、態様および利点は、明細書、図面および特許請求の範囲から明らかになるであろう。図面において、同様の参照数字が同様の成分を示すために様々な図を通して使用される。
【0021】
【
図1】
図1Aは、幾何学的に単純な第一の相および幾何学的に単純で均一なコーティングの形をした第二の相を有する粒子の実施形態である。
図1Bは、幾何学的に複雑な第一の相および幾何学的に単純で均一のコーティングの形をした第二の相を有する粒子の実施形態である。
図1Cは、幾何学的に単純な第一の相および幾何学的に複雑な不連続なまたは微粒子ベースのコーティングの形をした第二の相(ただし、そのコーティングは外部表面積全体にわたって厚さが均一である。)を有する粒子の実施形態である。
図1Dは、幾何学的に複雑な第一の相および幾何学的に複雑な不連続なまたは微粒子ベースのコーティング(ただし、そのコーティングは、さらに、外部表面積にわたって厚さが均一でない。)の形をした第二の相を有する粒子の実施形態である。
【0022】
【
図2】
図2は、局地的で局所的なミクロ構造の分解図で、本技術のワークピースの単純化された模式図を示す。
【0023】
【
図3】
図3は、第一および第二の相の均一な分布を強調した、本技術の実施形態のワークピースの局所的なミクロ構造の分解図を示す。
【0024】
【
図4】
図4Aは、第一の相と第二の相が類似の配合量であるときの、本技術の実施形態のワークピースの局所的なミクロ構造の幾何学的に単純化された模式図を示す。
図4Bは、第一の相と第二の相の配合比率が高い場合の、本技術の実施形態のワークピースの局所的なミクロ構造の幾何学的に単純化された模式図を示す。
図4Cは、第一の相と第二の相の配合比率が非常に高い場合の、本技術の実施形態のワークピースの局所的なミクロ構造の幾何学的に単純化された模式図を示す。
図4Dは、第一の相と第二の相の配合比率が非常に高く、第二の相がワークピース全体に分布した状態になる場合の、本技術の実施形態のワークピースの局所的なミクロ構造の代替の模式図を示す。
【0025】
【
図5】
図5Aは、ナノ工学粉末原料を含まない従来のワークピースの不均一なミクロ構造の断面画像を示す。
図5Bは、本技術のナノ工学原料を含むワークピースの均一なミクロ構造の断面画像を示す。
【0026】
【
図6】
図6は、耐酸化性(保持された灰色)または耐酸化性の不足(暗褐色)を表示する、粉末原料の表面に適用された金属酸化物の種々の被膜厚さを有するアニールされたTi-64粉末の一連のサンプルの写真画像を示す。
【0027】
図のいくつかまたはすべてが例示を目的とした模式的な描写であることが認識されるであろう。図は、特許請求の範囲の範囲または意味を限定するために使用されないことを明確に理解して、1つまたはそれ以上の実施形態を例証するために提供される。特定の高さ、長さ、幅、相対的寸法などの描写は、例としてのみ役立つことを意図しており、本技術の範囲を限定することを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
種々の実施形態を以下に記載する。特定の実施形態が、網羅的な説明として、またはここで論じられるより広い態様への限定として意図されていないことに注意するべきである。特定の実施形態に関連して記載された1つの態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、いかなる他の実施形態でも実施することができる。
【0029】
特徴は、明確性および簡潔な説明の目的で、本技術の同じまたは別々の態様または実施形態の一部としてここで説明されるかもしれない。本技術の範囲は、同じまたは別々の実施形態の一部として、ここで説明された特徴のすべてまたはいくつかの組み合わせを有する実施形態を含むことができることを当業者は認識するであろう。
【0030】
本技術の種々の技術およびメカニズムは、時々、明確性のために、単数形で記載されるであろう。しかし、いくつかの実施形態は、別段の記載がない限り、技術の複数の反復またはメカニズムの多数の例示化を含むことに注意するべきである。以下の説明では、本技術についての完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細を示す。本技術の特定の例示的な実施形態は、これらの特定の詳細のいくつかまたはすべてがなしに実施されてもよい。他の場合では、よく知られているプロセス操作は、本技術を不必要に不明瞭にしないために、詳細には記載されていない。
【0031】
以下の用語は全体を通して使用され、以下のように定義される。
【0032】
この明細書および添付された特許請求の範囲において使用するときは、「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」のような単数の物品ならびに要素について記載する文脈(特に下記の特許請求の範囲の文脈)中の類似した語の対象は、この明細書中で別段の指摘がない限りまたは文脈によって明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるものとする。この明細書における値の範囲の列挙は、この明細書で別段の指摘がない限り、その範囲内にある各個別の値を個々に参照する簡略な方法として役立つことのみを意図し、各個別の値は、あたかもそれがこの明細書に個々に記載されているかのように、この明細書に組込まれる。この明細書に記載された方法はすべて、この明細書で別段の指摘がない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順で遂行することができる。この明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言葉(例えば「のような」)の使用は、実施形態をより明らかにすることのみを意図しており、別段の言及がない限り、特許請求の範囲を限定するものではない。明細書中の言葉は、特許請求の範囲に記載されていないいかなる要素をも必須のものとして示すものと解釈するべきではない。
【0033】
この明細書に例示的に記載されている実施形態は、この明細書に具体的に開示されていないいかなる要素、限定がなくても、適切に実施することができる。したがって、例えば、用語「含んでいる(comprising)」、「含んでいる(including)」、「含んでいる(containing)」などは、拡張的に、かつ限定なく、読まれるものとする。さらに、この明細書で使用される用語および表現は、限定ではなく、説明の用語として使用されており、そのような用語および表現の使用において、示されかつ記載された特徴またはその一部のいかなる均等物も除外する意図はないが、特許請求の範囲に記載された技術の範囲内で種々の変更が可能であることが認識される。さらに、句「本質的に・・・からなる」は、具体的に記載されたそれらの要素、および特許請求の範囲に記載された技術の基本的かつ新規な特徴に重大な影響を与えないそれらの追加の要素を含むと理解されるであろう。句「からなる(consisting of)」は、具体的に記載されていないいかなる要素をも除外する。表現「含む(comprising)」は、「含むが、それらに限定されない」を意味する。したがって、言及されていない他の物質、添加剤、キャリヤーまたは工程が存在してもよい。別段の明記がない限り、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、1つまたはそれ以上を意味する。
【0034】
別段の指摘がない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される、特性、パラメーター、条件などの量を表現する数はすべて、用語「約」によってすべての場合に修正されるものとして理解されるべきである。したがって、別段の指摘がない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に示された数値パラメーターは、近似値である。いかなる数値パラメーターも、少なくとも、報告された有効数字の数に照らして、かつ通常の丸め手法を適用することによって、解釈するべきである。範囲を含む数値指定(例えば温度、時間、量および濃度)の前に使用されたときの用語「約」は、(+)または(-)10%、5%または1%変動する可能性のある近似値を示す。
【0035】
当業者には理解されるように、あらゆる目的のために、特に書面による説明を提供するという観点から、この明細書に開示される範囲はすべて、あらゆる可能な部分範囲およびそれらの部分範囲の組み合わせをも包含する。いずれのリストされた範囲も、その範囲は少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割されることが十分に記載されかつ可能であると容易に認識することができる。非限定的な例として、この明細書で論じられる各範囲は、下3分の1、中3分の1および上3分の1などに容易に分割することができる。また、当業者によって理解されるように、「以下」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」などのすべての言葉は、記載された数を含み、さらに上に論じたような部分範囲に分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は各々の個々の構成要素を含む。
【0036】
射出成形(IM)、積層造形(AM)は、この明細書では、簡単にするために、一緒にAMと呼ばれる。
【0037】
この明細書に記載された本技術の種々の実施形態は、より高性能の積層造形されたワークピースに使用された粉末の上にナノサイズの粒の均質な分布を加えるであろう、および/またはAMが適用された後に完成品中のナノサイズの粒の均質な分布をもたらすであろうナノ構造のコーティングプロセスの使用に関する。
【0038】
1つの態様では、優れた性能および/または機能的利点を有するワークピースを製造するための金属、ポリマーおよびセラミックの射出MおよびAM原料粉末用のナノ工学コーティング、およびこれらのコーティングおよび追加のそれぞれの機能的利点を含むIMおよびAM原料粉末を製造する方法が開示される。
【0039】
様々な理由から、各セクターまたは産業は、最終用途製品の中へのコーティングされた粒子の組み込みが、各コーティングプロセスに関連した費用が正当化されるのに十分な、製品の性能における付加価値を提供すると決定した。蒸着技術は、時々、コーティングを堆積させるために使用される。蒸着技術の例としては、分子層化(ML)、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、原子層堆積(ALD)、分子層堆積(MLD)、気相エピタキシー(VPE)、原子層化学蒸着(ALCVD)、イオン注入または類似の技術を挙げることができる。これらのそれぞれにおいて、コーティングは反応性前駆体に粉末を晒すことによって形成され、反応性前駆体は、蒸気相(例えばCVDの場合)の中で、または(ALDおよびMLDの場合のように)粉末粒子の表面でのいずれかで反応する。これらのプロセスは、プラズマ、パルスまたは非パルスレーザー、RFエネルギー、および電気アークまたは類似の放電技術の組み込みによって強化することができる。時々、物質を合成しおよび/またはコーティングを堆積させるために、液相技術が使用される。液相技術の例としては、ゾルゲル、共沈、自己組織化、交互積層、またはその他の技術が挙げられるが、それらに限定されない。液相技術は、粉末を製造するときに、少なくとも1つの共有点を共有する。すなわち、液相技術を使用して合成またはコーティングされた物質の混合、分離および乾燥のエネルギー集中および費用により、気固単位操作を利用することによってより大きな効率を得ることができる。さらに、典型的なAM原料粉末は、高度な粒子サイズ均一性を維持する必要があり、典型的には印刷プロセスの均一性を助けるようにできるだけ単分散に近い状態で販売される。液相処理を受ける乾燥粉末は、粒径分布の変化、分離/乾燥中の凝集、または劣ったワークピースに結びつく液相プロセスの他の欠点に悩むかもしれない。気固単位操作を利用するもう1つの利点は、合成またはコーティング工程でと連続して、固相反応技術(例えば、様々な制御された気体環境でのアニール、焼成または他の熱処理)を実施する能力である。1つの態様では、目的の物質の製造のすべての態様を1つの包括的なスキームで完全に制御でき、できるだけ低い費用で最も高性能のワークピースをもたらす製造システムおよび戦略がここに提供される。
【0040】
現在、ワークピースまたは精巧な部品が小量注文として従来の製作プロセスを使用して製造される場合、これらのタイプの製造工程の特注により、かなりのコスト高が発生する。3Dプリントとしても知られるAMは、(コスト障壁を減らす)ジャストインタイムまたはオンデマンドベースで特注の短期間の部品を製造するためのメカニズムを提供することができる。しかしながら、(特に高い歪速度での)機械的または構造的特性の違いは、今日のAM由来部品がより高い単価の従来の(精巧な)相当物の特性を満足しない特性を示す原因となる。この開示の1つの実施形態は、AM由来部品の機械的特性を現在調達されている部品に匹敵するように正確に調整するために、完成したワークピースの粒サイズおよび構造を設計するために、低コストで高生産性の原子層堆積(ALD)ナノ構造コーティングプロセスを使用するワークピース製造のためのコスト低減戦略に関する。
【0041】
1つの態様では、第一の相および第二の相を含むワークピースがここに開示される。いくつかの実施形態では、第二の相は第一の相の上のコーティングとして含まれていてもよい。ある実施形態では、第二の相の材料は、ワークピースの製作前に第一の相の粉末の外部表面積の少なくとも70%を覆うコーティングの形態をしている。これは、ワークピースの製作前に第一の相の粉末の外部表面積の約75%、80%、85%、90%または95%を覆うコーティングを含む。
【0042】
第一の相は、金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの1つまたはそれ以上を含んでもよい。第二の相は、金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの1つまたはそれ以上を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第二の相は、ワークピースの製作前に、第一の相の表面に化学的または物理的に付着している。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、射出成形、押出ベース、コールドスプレー、またはサブトラクティブ製造プロセスにおいて使用するために構成された粉末状原料から誘導される。
【0043】
第一の相の特徴的な粒サイズは、所望のワークピース特徴および特定の最終用途のような種々の要因に依存してもよい。例示的な実施形態では、第一の相は、約1000μm以下の特徴的な粒サイズを有していてもよい。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、約5nm~約500μm、約10nm~約100μm、約1nm~約50μm、または約5μm~約20μm、およびこれらの値の任意の2つの間の範囲またはこれらの値の任意の1つ未満の範囲を含む、約500μm以下の特徴的な粒サイズを有していてもよい。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、10nm~100μmの特徴的な粒サイズを有する。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、100nm~10μmの特徴的な粒サイズを有する。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、約1μm以下の特徴的な粒サイズを有する。
【0044】
本技術のワークピースは複数の体積要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の物理的または機械的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である。他の実施形態では、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の化学的または電気的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である。さらに他の実施形態では、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の化学組成が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である。
【0045】
適切な第一の相の材料をここに記載する。少なくとも1つの実施形態では、第一の相は、チタン、アルミニウム、ホウ素、塩素、鉄、クロム、コバルト、マグネシウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、スズ、タンタル、バナジウム、イットリウム、炭素、亜鉛、ケイ素またはジルコニウムを含む。少なくとも1つの実施形態では、第一の相の材料の粒は、約1nm~約50μm、約10nm~約25μm、または約1μm~約10μm、およびこれらの値の任意の2つの間の範囲、またはこれらの値の任意の1つ未満の範囲を含む、0.1nm~100nmの範囲の均一な距離だけ離れている。
【0046】
適切な第二の相の材料をここに記載する。少なくとも1つの実施形態では、第二の相は、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、ハロゲン化物またはアルミニウム化物を含む。いくつかの実施形態では、第二の相は1つまたはそれ以上の追加のサブ相を含む。いくつかの実施形態では、ワークピース中の第二の相の組成が、前記ワークピースの製作前の出発原料粉末の第二の相の組成と異なる。いくつかの実施形態では、第二の相の組成は前記ワークピースの製作中に形成される。
【0047】
第一の相の材料の上に第二の相の材料を適用または堆積させるのに適した方法をここに記載する。いくつかの実施形態では、第二の相またはコーティングは、ゾルゲル、マイクロエマルジョン、物理蒸気、化学蒸気、原子層、熱分解、化学分解または超臨界流体堆積プロセスの1つまたはそれ以上を使用して適用される。少なくとも1つの実施形態では、第二の相の材料は、i)第一の相の材料の粒に隣接したままである、ii)第一の相の材料の粒とともに散在したままである、またはiii)第一の相の材料の粒との界面を維持している。
【0048】
本技術のワークピースの製造に適した方法をここに記載する。いくつかの実施形態では、ワークピースは、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、射出成形、押出ベース、コールドスプレー、またはサブトラクティブ製造プロセスの1つまたはそれ以上を使用して製造される。
【0049】
いくつかの実施形態では、第二の相は、典型的には溶接できないまたは接合できない金属または金属合金および溶接または接合するのが難しい金属または金属合金を含む固体ワークピースを形成するための接合、溶接または結合プロセスを改善するように設計される。「溶接された部品がそれら自体の品質に対する技術的要件とともにそれらが形成する構造への影響に対する技術的要件を満たすように、溶接が対応する技術的プロセスによって金属の完全性を提供するとき、金属材料は所与のプロセスでかつ所与の目的のために確立した範囲で溶接しやすいと考えられる。」と記載しているISO標準581-1980のように、用語「溶接性」は、多くの場合、量的ではなく質的に定義される。1つの態様では、本技術は、溶接しやすさを改善し、ここに記載されたプロセスのいずれかを使用して製造された完成したワークピースの技術的要件および品質を達成する第二の相を提供する。
【0050】
他の実施形態では、ナノ工学粉末状原料は、典型的に焼結させるのが難しいセラミックおよび接合するのが難しいガラス質材料の焼結または接合を可能にするように設計される。セラミックの焼結温度はセラミック材料の融解温度の約3分の2であると推測することができる。非常に高い融解温度を有するセラミック(例えば炭化物材料、その中でも炭化タングステンおよび炭化ケイ素は代表的な例である。)は、他の類似のまたは非類似の材料と焼結させるまたは結合するのが難しい。もう1つの態様では、本技術は、焼結しやすさを改善し、ここに記載されたプロセスのいずれかを使用して製造された完成したワークピースの技術的要件および品質を達成する第二の相を提供する。焼結助剤としても知られる、特定の第二の相(または前に提供された追加の相の組み合わせ)の均一なコーティングは、特定の第二の相の存在のない同じ機能的性能を達成するための最低の正味エネルギー入力での焼結の度合いを最大限にするであろう。微粒子に由来する第二の相は、焼結助剤として一般に使用されるが、先行技術は、特にここに記載されたプロセスの1つを使用してワークピースに組み立てる場合、焼結させる材料の表面への均一なナノスケールの材料の特定のコーティングが、ネットシェイプ成形の利点、粒サイズ/構造および/または機械的特性に対する特定の機能的利点を達成することができることを教えていない。例えば、3Dプリントされたセラミックは、先行技術で使用されている焼結助剤についての標準的な微粒子ベースの第二の相の手法を使用して製造することが困難であろう。前記の第二の相の均一な分布および均質性は、粉末ベースの積層造形プロセスによって構築されたワークピースについては、粒子ごとにも、層ごとにも一貫性がないであろう。ここに記載された技術は、各層の均一性がワークピースの全体にわたってZ方向において他の層に同一になるように、第一の微粒子相の上に非常に均一な第二の相の組み込むことによって、先行技術において積層造形されたワークピースの克服できない困難および特性限定を克服することを目標としている。前記の第二の相(または複数の第二の相)の均一で均質な分布は、各ワークピースを完成状態に組立てるためおよび各ワークピースを完成状態に後処理するための両方に必要な正味エネルギーを最小限にするであろう。省エネルギーは、典型的には10%を超え、しばしば25%を超え、時々50%を超え、そしてある場合にはおよびある材料については60%を超える。これは、代替および/またはより従来型の製造プロセスを使用して製作されたものと同等の品質の積層造形されたセラミックを製造する正味のコストを劇的に減らす。
【0051】
いくつかの実施形態では、ナノ工学原料は、劣った結合特性を有する(第一または第二の相としての)ポリマー材料の融合、重合または結合が可能になるように設計される。用語「レオロジー溶接性」は、ポリマー材料を界面に成功裡に溶接または結合するための基準を数値化する試みとして開発されてきた。溶融したポリマー材料を含む構成材料の界面の力学およびそれぞれの表面張力は、ポリマー材料の活性化エネルギーと同じような役割を果たす。望ましい溶接条件でより低い活性化エネルギーまたはより低い粘度を有するポリマーの第二の相の組み込みは、ポリマー材料の全体的な結合性またはレオロジー溶接性を改善するであろう。いくつかの場合には、第二の相は、ポリマー材料を含む第一の相を有する製造された部品に1つまたはそれ以上の追加の機能的利点を作り出すことができるガラス、セラミックまたは金属材料を含む。1つの態様では、本技術は、より単純な経路として、a)(ブロック共重合体材料を含む)2つの別々のポリマー材料が製作システムに同時に投与される、従来の射出成形、流延または押出プロセスによってバルクブロック共重合体を製作するか、またはb)第一のポリマー材料を含む層を提供する工程と第二のポリマー材料を含む層を提供する工程とを交互に実施することによる交互積層システムにおいて構築する(ただし、第一および第二の材料は最終のブロック共重合体材料を表わす。)かのいずれかである、ブロック共重合体で構成されるポリマーワークピースの合成を容易にする方法を提供する。この後者の手法は、各々の個々のポリマーの分子量に効果的に対応する層の厚さが分子のスケールに比べて大きいことから利益を得る場合、または第一の相と第二の相の比が1に近づくと意図されることが望ましい場合に、最も有用であろう。
【0052】
製造目的のために、より低コストのポリマー材料がポリマー系の大部分を構成するようにし、局所化された界面間で高い接着度を維持する手段として役立つブロック共重合体を作り出すために少量の第二の相を利用することはしばしば望ましい。ここに記載された発明は、適切な機械的特性を達成するためにポリマーワークピースのかなりの部分にわたってポリマー鎖の非常に均一な架橋を均一に要求するのではなく、ポリマーワークピースのより少ない部分が、完成したワークピースの全体にわたって均一に分布した場合に予想外に十分な機械的強度を付与する均質なブロック共重合体界面の形成によって、結合または溶接されることを可能にすることから利益を得る。さらに、セラミック、ガラスまたは金属の物質を含む第二の相を加えることによって、機械的強度をさらに改善することができ、または前記セラミック、ガラスまたは金属の物質なしに製作されたワークピースの他の有益な特性を落とさずに、完成したワークピースに他の電気的、熱的、光学的または化学的利点を加えることができることが見いだされた。特徴的な例は、窒化アルミニウムもしくは窒化ホウ素のような熱伝導性のセラミックの層の組み込み、または銅もしくはアルミニウムのような熱伝導度が高い金属を含む第二の相の組み込みである。有用なものとしての接着または結合促進剤の有無にかかわらず、特定のコーティング材料を使用することによって界面の濡れの程度を調整する能力は、軽量なポリマーを含む第一の相を有するワークピースの熱伝導度を著しく増加させることができることが示された。一層ずつ積層する製造システムの中に投与されたときにすべて直接接触するであろう、コーティングとして原料粒子に適用される第二の相の均質な分布は、第二の相のすぐ近くの浸透閾値を超える局所的な配合により、バルクワークピースの浸透閾値未満の配合量で目標特性または性能の増加を可能にする。第二の相のこの2Dまたは3Dネットワークは積層造形されたワークピースに予想外の利点を提供し、当業者は、第一の相としてのポリマー材料のこの例が、単なる例示であり、バルク特性の変化を観察するために浸透閾値が必要とされるすべての特徴および条件に及ぶことを認識することができる。いくつかの実施形態では、本技術のワークピース、第一の相または第二の相は、ワークピース全体に均一に分布している。
【0053】
図1に、本技術のワークピースの第一および第二の相に形成される(より多くの利用可能な実施形態から選ばれた)材料の4つの一般的な実施形態を示す。粉末状原料101の形状は「幾何学的に単純」であると説明することができ、回転楕円体の場合には80%、85%、90%または95%より大きい真球度を有することができる。AMの当業者は、意図的に球状化されたかもしれない球形の粉末状原料を使用する価値を理解している。しかし、本技術のワークピースは、(
図1Aおよび
図1Cに示されるような)幾何学的に単純な粉末タイプに限定されず、
図1Bおよび
図1Dに示されるような、角ばった、ざらざらの、ぎざぎざの、または他の不規則な記述用語または特徴を有する粉末も含む。本技術のワークピースの第二の相は、連続的な均一なコーティングとしての
図1Aおよび
図1B、不連続の均一なコーティングとしての
図1C、および不連続の不均一なコーティングとしての
図1Dに示される第二の相の材料201から誘導されてもよい。第二の相の材料201は、粉末状原料101に付加または付着した第二の相の材料粒子の組み込みから誘導されてもよい。単純にするために、
図1は第二の相のみを示すが、いくつかの実施形態では、第二の相はさらに第三の相、第四の相または1つまたはそれ以上のサブ相として一般に記載されるそれ以上の相を含み、それらは、なかでも、コーティング、粒子、層、ラメラ、スケールまたはシェルの形態をしていてもよく、それらはすべて本技術の製作されたワークピースの複雑な第二の相の一部になる。
【0054】
図2は、本技術のワークピースの一例であるワークピース10を示す。ワークピース10は、領域体積要素20としてここに描かれる多くのサブ要素を含み、それらのそれぞれが、また、ミクロ構造要素30として描かれるサブ要素を含む。1つの態様では、本技術は製作されたワークピース内の第一の相の中の第二の相の分散および/または均質な分布を最大にすることを可能にし、第一の相の粉末状原料の上への第二の相の材料の適用の均一性が、ワークピース製作プロセスの全体にわたって維持される。理想化された実施形態が
図2に示されるが、均一なプロセス条件を使用して製作されたワークピースの2つの任意の領域体積要素は、ほとんど均一なサブ特徴およびミクロ構造要素をもたらすことが観察されている。当業者は、非定常状態プロセス条件が経験されるワークピースまたは他の領域の端では均一なプロセス条件が経験されないかもしれないことを理解するであろう。ほとんど均一とは、等価体積要素全体にわたって、常に高々20%の変動、通常15%未満の変動、しばしば10%未満の変動、時々5%未満の変動、そして場合によっては3%未満の変動を表わすことを意図している。さらに、これは、典型的には、同一の条件を使用して加工された2つの別個の同一サイズの体積要素から誘導された同様のサイズの断面スライスにも当てはまる。第一の相の粉末状原料の上への第二の相の材料の適用の均一性は、本技術の完成したワークピースにおける相分布の均質性を決定する大きな要因である。
【0055】
図3は、ミクロ構造要素30(本技術の領域体積要素20およびワークピース10の要素)のさらなる分解図であるミクロ構造セクション40を示し、1次元に沿った相分離の極度に単純化したバージョンを示す。ミクロ構造セクション40は、粉末状原料101から誘導された第一の相102および第二の相の材料201から誘導された第二の相202を含む。この描写では、第二の相202は第一の相の材料102から分離されており、第一の相の材料102は第一の粒サイズ103を含む。第一の粒サイズ103は、粉末状原料101の粒子サイズと同様であってもよいし、それの数分の1であってもよいし、またはそれの倍数であってもよいが、究極的にはワークピース10を製作するのに用いたプロセスパラメータに依存する。さらに、第二の相の材料201の存在(およびその関連する組成、寸法など)もまた、第一の粒サイズ103の寸法直接に影響を与える可能性がある。違う言い方をすれば、最小臨界量の第二の相の材料201が存在しない粉末状原料101から誘導されたワークピース10は、最小臨界量の第二の相の材料201を有する粉末状原料101から誘導されたワークピース10に比べて、異なる(より大きな)第一の粒サイズ103をもたらすであろう。第一の粒サイズ103は、簡単にするために、単一の測定点として示されるが、当業者は、粒寸法の数値解釈がサイズの分布の平均値またはメジアンであってもよいことを認識するであろう。同様に、
図3は、粒界203の単純化された描写も示し、それはさらに第一の粒の間の分離を与える特徴的な長さスケールを有していてもよい。各々の個々の粒の間に第二の相を明確かつ永久に維持または固定することは困難なので、203の模式図は粉末状原料101の上への第二の相の材料201の均一な適用により開発される全体的な現象を表わすと意図される。同様に、第二の相の組成および重要なパラメーターは確率的で分布的な性質であり、ワークピース10の製作前の粉末状原料101の間のボイドスペースに、より広く行き渡っていてもよく、なかでも、配合比率、原料粒子サイズ、粉末状原料101の幾何学的単純性に依存してもよい。究極的に、各々の個々のミクロ構造セクション40に全体的な製作パラメーターを適用することは困難なため、第二の相の材料201の効果の全体的な均一性が、本技術のワークピース10の電気的、物理的、機械的、化学的、組成の特性に関して概して均一な結果をもたらすことは予想外であった。これは、特に第二の相の材料201が、オングストロームまたはナノメートル長さスケール(典型的には30ナノメートル未満の長さスケール)で粉末状原料101に適用されるとき、現代の粉末冶金理論の使用では、いまだ予測されていない。
【0056】
図4は、第一の相の材料102および第二の相202を含む、ミクロ構造セクション40の代替の実施形態を示す。
図4Aは、102と202の配合比率が類似しており、相分離が発生するのに好都合であるまれな例を示す。それでも、このタイプの分離は、典型的には、バルクIMまたは他の従来のPMプロセスに対して、AMまたは一層ずつ積層する製作プロセスでのみ経験される。このようなパターンがAMプロセス中にこのような断面においてこのような一次元方向に形成されるためには、製作プロセス間の相互作用ならびに粉末状原料101と第二の相の材料201の間の相互作用が正しくなければならない。粉末状原料101が、第二の相の材料201よりも製作プロセス中に融解を受けやすく、そして2つの材料および相の間に表面エネルギー差が相分離に好都合であるような場合に、そのような一次元断面ミクロ構造が達成可能である。
【0057】
図4Bは、幾何学的に単純な反復単位(回転楕円体が
図4Bに示された正方形に取って代わってもよい。)としてまだ理想化されているにもかかわらず、ミクロ構造セクション40のより一般的な例を示す。そのような断面積のそのような二次元のパターン化および/または反復単位(体積要素の3D反復単位に対応する。)。再び、単純化された第一の粒サイズ103はここに示されるが、本発明をそのような理想化された正確に同一の粒サイズに限定するようには意図されず、むしろ平均またはメジアン粒サイズ分布を表わす。
図4Cは、
図4Bに示されるものと類似のミクロ構造セクション40の模式図を示すが、2つへの到達の差は、第二の相の材料201に対する粉末状原料101の出発比率に基づく(すなわち、線の太さの減少はワークピースにおける101:201の比の増加に対応する)。
【0058】
図4Dは、異なるタイプのミクロ構造セクション40レイアウトを示し、その中の1つは、第一の相が、第二の相を横切って一緒に連結されるようになることができ、(第二の相はもはやコーティングまたはシェルの形を取らず、むしろ不連続な第二の相の材料の分布の形を取り、または逆にその中の1つは、第二の相がワークピース10の全体にわたって均一に分布するようになる。実際上、第二の相の材料201が、第二の相202の均質な分布により、粉末状原料101の上に表面コーティングの形で適用される場合、
図4Cの理想化された模式図と
図4Dのそれとの間の最小限の違いがあることが観察された。これは、特に、第二の相の材料201が30ナノメートル未満の長さスケールを有すると説明することができる場合に、当てはまる。第二の相の材料201が粉末状原料101の表面に付着した離散的な粒子として始まる場合は、i)30ナノメートルの平均粒子直径を有する粉末(そのような粉末は典型的には粒子の凝集鎖である。)に固有の比較的広い粒子サイズ分布により、およびii)そのような小さい粒子サイズを有する十分に混合されたサンプルを製造することができないことにより、
図4Dに示されるようなミクロ構造セクション40を製造するのは困難である。
図4Cおよび
図4Dに示された模式図は、本技術の例示的な実施形態の使用に基づいて予想される結果である。
【0059】
図5Aは、第二の相の材料201を有しない316Lのステンレス鋼粉末状原料から製作されたワークピースから切断された断面顕微鏡写真を示す。301および302として識別された強調表示された領域に基づいて、光明るい領域と暗い領域は、非常に不均一な区域を示す。代わりに、
図5Bは、30ナノメートル未満のコーティングの形で適用された第二の相の材料(そのような厚さでの予想外に肯定的な結果をもたらした代表的な材料としての酸化アルミニウム)201を有する316Lのステンレス鋼粉末状原料から製作されたワークピースから切断された断面顕微鏡写真を示す。再び、領域301および302は、(
図5Aワークピースと同じサイズスケール、断面化方法および製作パラメーターを使用して)強調表示され、別個の体積要素および領域の全体にわたって非常に均一な区域を示す。
【0060】
図6は、コーティングされていないおよびコーティングされた粉末状チタン合金(Ti-64)原料粉末(101)の写真画像を示す。「B」と表示されたサンプルは、第二の相材料コーティングが適用されていない裸の基質を示し、「A」と表示されたサンプルは、原子層堆積技術を使用して適用された酸化アルミニウム系第二の相材料コーティング(201)(「A-1」=1nm、「A-3」=3nm)を示す。表1は各サンプルの条件を記載する。サンプル「B-0-0」は純粋に灰色の粉末であり、450℃で20時間アニールされたとき(サンプル「B-0-20」)、熱成長した酸化物層の形成により、暗褐色に変わった。サンプル「A-1-20」は、酸化アルミニウムの1nmのコーティングでコーティングされ、同じ条件下でアニールされた。この極めて薄いコーティングは酸化を防ぐのには十分でなく、また暗褐色に帰着した。しかし、3nmのアルミナ層を適用した場合は、450℃で同じ20時間アニールしたときに、純粋に灰色の粉末が生じた(サンプル「A-3-20」)。サンプル「A-3-120」(450℃で120時間アニーリング)はわずかにより暗い灰色の着色を有しているように示され、それはより長いアニーリング時間の間にわずかな量の酸化が発生した徴候である。
【表1】
【0061】
金属の3Dプリントに使用される一般的な粉末合金としては、とりわけ、ステンレス鋼、マルエージング鋼、他の鋼、コバルトクロム、インコネル、アルミニウム合金およびチタン(および合金)が挙げられる。粉末床溶融結合、指向性エネルギー堆積および結合剤噴射が、成分を積層造形するために使用される主要な方法である。レーザー粉末床溶融結合は、最も成熟した十分に研究された金属プリント技術であり、金属AM市場の約90%を代表している。すべての粉末床溶融結合プロセス(例えば選択的レーザー溶融すなわちSLM)は、前の層の上への粉末材料の散布を含む。SLMプロセスの重要な属性は、高分解能および後加工なしで高密度に到達する能力を含み、それは、CADプログラムで生成された3D図面から任意の適度なサイズの部品を構築するために容易にカスタマイズすることができる。2番目のソフトウェアプログラムは、図面を前もって決めた厚さのいくつかの「スライス」に分割する。粉末は、最初にビルドチャンバーに配置され、レーキによって平滑にされる。その後、高出力レーザービームが必要なパターンで粉末床を走査し、所望の断面を構築する。次に、プラットフォームが前もって決められた層の厚さだけ下げられ、部品が完成するまでプロセスが続行される。AM原料材料の乾燥粉末レオロジーは、AMプロセスならびに完成部品の均一性および品質の両方において大きな役割を果たす。ほぼ完全な密度はSLMによって達成される。しかし、高い熱入力のために、合金元素の損失、残留応力および熱変形が起こり得る結果であり、プロセスパラメーター制御および原料粉末合金調節によって対処する必要がある。究極的には、レーザー粉末床積層造形における最終ミクロ構造に影響を与え得る200個を越えるプロセス変数がある。それらのうち、約4個の変数(レーザー出力、速度、ハッチ間隔および層の厚さ)が、AMワークピースのコア特性および印刷性に最も大きな影響を及ぼす。ALDプロセス、材料および配合量は、予想外にAMワークピースの特性をむしろ劇的に変化させる可能性があり、最適化されたALD対応のAM原料粉末を使用した最適化されたAMプロセスの調整は、実質的に改善された特性を有する金属、セラミックおよびポリマーのワークピースを構築する能力に結びついた。金属のAMプロセスの場合、完成したワークピースは、広範囲の使用条件で、精巧な相当物の機械的特性に合致するまたはそれを超える機械的特性を有することができることが示される。いくつかの場合には、ALD対応のAM原料粉末の使用は、ALDナノ構造コーティングのない原料粉末を使用して製造されたAMワークピースに必要とされる後処理の必要を減らすまたは取り除くことができる。
【0062】
より小さい粒はより多くの粒界を意味し、そのため、小さい粒界の増加はホール-ペッチ(Hall-Petch)効果:
【数1】
(ただし、σ
yが降伏応力であり、σ
0は転位運動の出発応力(または格子の転位運動に対する抵抗)の材料定数であり、k
yは強化係数(各々の材料に特有の定数)であり、dは平均粒直径である。)
に従って金属の強度を高める。粒界は転位運動に対する障壁であり、最も高い降伏強さを有するミクロ構造が約10nmの粒サイズであることが実験的に観察された。AM原料粉末は、緻密な部品を形成するために十分な流動性を達成することを期待してナノ粉末として製造し使用することができない。この理想的な粒サイズを有する工学材料を製造するただ一つの方法は、ALDのような薄膜技術の使用による。したがって、この手法の実施形態は、隣接する粒子の間に10nmの粒を形成するために原料粉末の上に厚さ5nm以下内の均一で均質な層を適用することを可能にする。いくつかの実施形態では、第一の相の材料のワークピース粒は、0.5nm~20nm、1nm~15nm、2nm~5nm、または第二の相の材料の特徴的な長さスケールに比例する他の最小および最大の範囲の均一な距離だけ離れている。
【0063】
粉末を製造またはカプセル化するための気相処理システムの共通点の1つは、化学反応物質前駆体が揮発性であるかまたは他の方法で蒸発することができることが必要であることである。そのようなシステムで利用可能になりうる蒸発可能な前駆体の数およびタイプを増やすために、過去数十年間にわたってかなりの努力が試みられた。可能性のある蒸発可能な前駆体としては、アルミニウムsec-ブトキシド、三臭化アルミニウム、三塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウムイソプロポキシド、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリス(ジエチルアミド)アルミニウム、トリス(エチルメチルアミド)アルミニウム、トリメチルアンチモン(III)、トリエチルアンチモン(III)、トリフェニルアンチモン(III)、トリス(ジメチルアミド)アンチモン(III)、トリメチルアルシン、トリフェニルアルシン、トリフェニルアルシンオキシド、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)バリウム水和物、硝酸バリウム、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)バリウムテトラヒドロフラン、ビス(トリイソプロピルシクロペンタジエニル)バリウムテトラヒドロフラン、ビス(アセタト-O)トリフェニルビスマス(V)、トリフェニルビスマス、トリス(2-メトキシフェニル)ビスムチン、ジボラン、トリメチルホウ素、トリエチルホウ素、ホウ酸トリイソプロピル、トリフェニルボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、カドミウムアセチルアセトナート、カルシウムビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、四臭化炭素、四塩化炭素、セリウム(III)トリフルオロアセチルアセトナート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)セリウム(IV)、トリス(シクロペンタジエニル)セリウム(III)、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)セリウム(III)、トリス(1,2,3,4-テトラメチル-2,4-シクロペンタジエニル)セリウム(III)、ビス(シクロペンタジエニル)クロム(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロム(II)、クロム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、塩化クロム(II)、塩化クロム(III)、クロム(II)カルボニル、クロム(III)カルボニル、シクロペンタジエニル(II)クロムカルボニル、ビス(シクロペンタジエニル)コバルト(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)コバルト(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)コバルト(II)、トリビス(N,N′-ジイソプロピルアセトアミナト)コバルト(II)、ジカルボニル(シクロペンタジエニル)コバルト(III)、シクロペンタジエニルコバルト(II)カルボニル、銅ビス(6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチル-3,5-オクタンジオナート)、銅ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、(N,N′-ジイソプロピルアセトミナト)銅(II)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)ジスプロシウム(III)、トリス(イソプロピルシクロペンタジエニル)ジスプロシウム(III)、エルビウム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、トリス(ブチルシクロペンタジエニル)エルビウム(III)、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)ユウロピウム(III)、トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ユウロピウム(III)、三フッ化窒素、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)ガドリニウム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)、トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ガドリニウム(III)、三臭化ガリウム、三塩化ガリウム、トリエチルガリウム、トリイソプロピルガリウム、トリメチルガリウム、トリス(ジメチルアミド)ガリウム、トリ-tert-ブチルガリウム、ジゲルマン、ゲルマン、テトラメチルゲルマニウム、フッ化ゲルマニウム(IV)、塩化ゲルマニウム(IV)、ヘキサエチルジゲルマニウム(IV)、ヘキサフェニルジゲルマニウム(IV)、水素化トリブチルゲルマニウム、水素化トリフェニルゲルマニウム、ジメチル(アセチルアセトナート)金(III)、ジメチル(トリフルオロアセチルアセトナート)金(III)、塩化ハフニウム(IV)、ハフニウム(IV)tert-ブトキシド、テトラキス(ジエチルアミド)ハフニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ハフニウム(IV)、テトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウム(IV)、ビス(tert-ブチルシクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム(IV)、ビス(メチル-n-シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム、ビス(トリメチルシリル)アミドハフニウム(IV)クロリド、ジメチルビス(シクロペンタジエニル)ハフニウム(IV)、ハフニウムイソプロポキシド、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)ホルミウム(III)、三塩化インジウム、ヨウ化インジウム(I)、インジウムアセチルアセトナート、トリエチルインジウム、トリス(ジメチルアミド)インジウム、トリス(ジエチルアミド)インジウム、トリス(シクロペンタジエニル)インジウム、1,5-シクロオクタジエン(アセチルアセトナト)イリジウム(I)、1,5-シクロオクタジエン(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)イリジウム(I)、1-エチルシクロペンタジエニル-1,3-シクロヘキサジエンエイリジウム(I)、(メチルシクロペンタジエニル)(1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)、ビス(N,N′-ジ-tert-ブチルアセトアミジナト)鉄(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)鉄(II)、フェロセン、1,1′-ジエチルフェロセン、鉄ペンタカルボニル、鉄(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、トリス(N,N′-ジ-tert-ブチルアセトアミジナト)ランタン(III)、ランタン(III)イソプロポキシド、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)ランタン(III)、トリス(シクロペンタジエニル)ランタン(III)、トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ランタン(III)、テトラエチル鉛、テトラメチル鉛、テトラフェニル鉛、リチウムtert-ブトキシド、リチウムトリメチルシリルアミド、リチウム(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、トリス(N,N-ジイソプロピルアセトアミジナト)ルテチウム(III)、ルテチウム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(II)、ビス(ペンタエチルシクロペンタジエニル)マグネシウム(II)、ビス(シクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(N,N-ジイソプロピルペンチルアミジナト)マンガン(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)マンガン(II)、シクロペンタジエニルトリカルボニルマンガン、マンガンカルボニル、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、マンガントリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、ヘキサカルボニルモリブデン、塩化モリブデン(V)、フッ化モリブデン(VI)、ビス(シクロペンタジエニル)モリブデン(IV)ジクロリド、シクロペンタジエニルモリブデン(II)トリカルボニル、プロピルシクロペンタジエニルモリブデン(I)トリカルボニル、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)ネオジム(III)、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ニッケル(II)、アリル(シクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ニッケル(II)、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)ジクロリド、ニッケル(II)ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、ビス(シクロペンタジエニル)ニオブ(IV)ジクロリド、塩化ニオブ(V)、ニオブ(V)イソプロポキシド、ニオブ(V)エトキシド、N,N-ジメチルヒドラジン、アンモニア、ヒドラジン、フッ化アンモニウム、アジドトリメチルシラン、トリオスミウムドデカカルボニル、アリル(シクロペンタジエニル)パラジウム(II)、パラジウム(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)パラジウム(II)、ホスフィン、tert-ブチルホスフィン、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、オキシ塩化リン、リン酸トリエチル、リン酸トリメチル、メチルシクロペンタジエニル(トリメチル)プラチナ(IV)、塩化白金酸、プラセオジム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナート水和物、ジレニウムデカカルボニル、アセチルアセトナト(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)、ビス(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(II)、トリルテニウムデカカルボニル、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)サマリウム(III)、トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)サマリウム(III)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)スカンジウム(III)、ジメチルセレニド、ジエチルセレニド、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサン、ジメトキシジメチルシラン、ジシラン、メチルシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、シラン、トリス(イソプロポキシ)シラノール、トリス(tert-ブトキシ)シラノール、トリス(tert-ペントキシ)シラノール、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、N-sec-ブチル(トリメチルシリル)アミン、クロロペンタメチルジシラン、ヘキサメチルジシラザン、塩化ケイ素(IV)、臭化ケイ素(IV)、ペンタメチルジシラン、テトラエチルシラン、N,N′,N″-トリ-tert-ブチルシラントリアミン、(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナト)銀(I)、トリエトキシホスフィン(トリフルオロアセチルアセトナート)銀(I)、銀(I)トリエチルホスフィン(6,6,7,7,8,8,8-ヘプタフルオロ-2,2-ジメチル-3,5-オクタンジオナート)、トリメチルホスフィン(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銀(I)、ビニルトリエチルシラン(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銀(I)、ストロンチウムテトラメチルヘプタンジオナート、ペンタキス(ジメチルアミド)タンタル(V)、塩化タンタル(V)、タンタル(V)エトキシド、フッ化タンタル(V)、トリス(エチルメチルアミド)(tert-ブチルイミド)タンタル(V)、トリス(ジエチルアミド)(tert-ブチルイミド)タンタル(V)、四臭化テルル、四塩化テルル、テルビウム(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、トリス(シクロペンタジエニル)テルビウム(III)、トリス(テトラメチルシクロペンタジエニル)テルビウム(III)、タリウム(I)エトキシド、タリウム(I)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、シクロペンタジエニルタリウム、2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナトタリウム(I)、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)ツリウム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)ツリウム(III)、塩化スズ(IV)、テトラメチルスズ、スズ(II)アセチルアセトナート、スズ(IV)tert-ブ
トキシド、スズ(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、ビス(N,N′-ジイソプロピルアセトアミジナト)スズ(II)、N,N-ジ-tert-ブチル-2,3-ジアミドブタンスズ(II)、テトラキス(ジメチルアミノ)スズ(IV)、ビス(ジエチルアミド)ビス(ジメチルアミド)チタン(IV)、テトラキス(ジエチルアミド)チタン(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)チタン(IV)、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン(IV)、臭化チタン(IV)、塩化チタン(IV)、フッ化チタン(IV)、チタン(IV)tert-ブトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)イソプロポキシドビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、酸化ジクロロチタン(IV)、ビス(tert-ブチルイミド)ビス(ジメチルアミド)タングステン(VI)、タングステンヘキサカルボニル、塩化タングステン(VI)、フッ化タングステン(VI)、トリアミンタングステン(IV)トリカルボニル、シクロペンタジエニルタングステン(II)トリカルボニルヒドリド、ビス(イソプロピルシクロペンタジエニル)タングステン(IV)ジヒドリド、ビス(シクロペンタジエニル)タングステン(IV)ジヒドリド、ビス(シクロペンタジエニル)タングステン(IV)ジクロリド、二ヨウ化ビス(ブチルシクロペンタジエニル)タングステン(IV)、ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム(II)、三塩化酸化バナジウム(V)、バナジウム(V)オキシトリイソプロポキシド、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イッテルビウム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)イッテルビウム(III)、トリス(N,N-ビス(トリメチルシリル)アミド)イットリウム(III)、イットリウム(III)トリス(tert-ブトキシド)、イットリウム(III)トリイソプロポキシド、イットリウム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、トリス(ブチルシクロペンタジエニル)イットリウム(III)、トリス(シクロペンタジエニル)イットリウム(III)、イットリウム2-メトキシエトキシド、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)亜鉛(II)、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、ジルコニウム(IV)ジブトキシド(ビス-2,4-ペンタンジオナート)、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム(IV)、ジルコニウムテトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオナート)、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジヒドリド、ビス(メチル-n-シクロペンタジエニル)メトキシメチルジルコニウム、テトラキス(ジエチルアミド)ジルコニウム(IV)、ジメチルビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)、テトラキス(ジメチルアミド)ジルコニウム(IV)、テトラキス(エチルメチルアミド)ジルコニウム(IV)、臭化ジルコニウム(IV)、塩化ジルコニウム(IV)、ジルコニウム(IV)tert-ブトキシド、およびそれらの任意の2つまたはそれ以上の混合物からなる群から選ばれる化合物を挙げることができる。粉末および粒子の合成用の前駆体ならびに時々それらのカプセル化用の前駆体としては、しばしば金属塩および金属水酸化物が挙げられ、そして乾燥した粉末、液体または気体の原料として、または適切な溶媒に溶解して、注射器具、ノズル、噴霧装置、蒸発器、超音波処理器または当業者に知られた他のサブ部品によって投与される。金属塩は、Ac、Ag、Al、Am、As、At、Au、B、Ba、Be、Bh、Bi、Bk、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cf、Cm、Cn、Co、Cr、Cs、Cu、Db、Ds、Dy、Er、Es、Eu、Fe、Fl、Fm、Fr、Ga、Gd、Ge、H、Hf、Hg、Ho、Hs、In、K、La、Li、Lr、Lu、Lv、Me、Md、Mg、Mn、Mo、Mt、N、Na、Nb、Nd、Nh、Ni、No、Np、O、Og、Os、P、Pa、Pb、Pd、Pm、Po、Pr、Pt、Pu、Ra、Rb、Re、Rf、Rg、Rh、Ru、S、Sb、Sc、Se、Sg、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Tc、Te、Th、Ti、Tl、Tm、Ts、EG、V、W、Y、Yb、Zn、Zr、またはそれらの組み合わせのハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、リン酸塩またはその他の無機もしくは有機の化合物の形態をしていてもよい。
【0064】
AM原料を加工する態様では、追加の利点が実証された。流動性、圧縮均一性および凝集性粉末分布は、AM部品の品質に影響を与える可能性があり、典型的には、より高いレーザー強度の使用または多孔性およびトラップされた気体を減らすための後処理工程によって克服される。ALDは、金属粉末の凝集を減らすように配置され、いくつかの場合には、直径1~5ミクロンの粉末でさえ、「水のように流れる」ことを可能にする。ALDコーティング材料(例えば窒化ホウ素)の選択は、金属原料粉末に固体潤滑性を付与することができ、それはより良好な圧縮をもたらし、本質的にAMプロセスの1つまたはそれ以上の工程でより高い密度の層に結びつくであろう。第二の価値の提案は、ALDベースの固体潤滑コーティングが、今日必要とされている球状の単分散金属粉末よりも実質的に低いコストで入手することができるより粗い不規則な(すなわち球状化されていない)原料の使用を可能にするということである。いくつかの実施形態では、AM粉末原料は潤滑性を高める第二の相の材料でコーティングされ、ワークピースの構築密度は追加の後処理なしで15~25%増やすことができ、または逆に、完成したワークピースに実行される後処理プロセスの正味エネルギー消費を20~30%減らすことができる。
【0065】
この技術の追加の特徴は、チタンおよびその他の自然発火性または環境の影響を受けやすい粉末をより安全に取り扱うために、空気および湿気に対する耐性を付与する能力に関係する。チタンおよびその合金の酸化については多くの研究が行なわれてきたが、摩擦学的処理としての酸化生成物の予想される役割にはあまり注意が払われてこなかった。様々な卑金属、自然発火性金属ナノ粒子、および硫化物のような環境の影響を受けやすい粉末は、空気中または湿度の高い条件における安全性および取り扱い上の利点を与えるために、ALDコーティングでコーティングされてきた。溶液中の酸素は、α-Tiとともに、材料を著しく強くする。通常の条件下でのチタンの優れた耐食性は、主として、表面上の非常に安定した密着性が高く保護的な二酸化チタン膜の形成によるものである。従来の手法は単純な熱酸化工程を行なうことであり、その工程において、本来の酸化物膜は、時間および/または温度とともにより厚く、より頑丈になり、その結果、腐食に対する追加の保護を与える。チタンおよびチタン合金が空気中で450~800℃の温度で2~10分間加熱すると、1ミクロンを超える保護酸化物膜を形成することができる。しかし、この方法で生成した酸化物コーティングは、かなり脆い傾向があり、したがって、機械的な衝撃によって容易に損傷する可能性があり、耐摩耗性がほとんど改善されないという課題が残っている。そのため、極めて薄い膜(<20~30ナノメートル)がTiまたはTi合金粉末の表面に機械的に付着したままであり、空気中での粉末の取り扱いならびに材料およびその材料を含む完成したワークピースの摩擦学的および機械的特性(例えば耐摩耗性および延性)に良い影響を与えることができたことを見いだしたことは予想外であった。さらに、厚さ5nmの酸化アルミニウムALDコーティングでコーティングしたNiナノ粉末のTGAテストデータは、原始粉末の酸化開始温度が300℃であったのに対し、ALDコーティングした材料700℃を超えるまで酸化し始めなかったことを示した。ALDコーティングの2番目の利点は、印刷プロセス中の高い流量の不活性ガスの追加コストなしに、取り扱いおよび処理が安全なAM金属粉末を製造することができる。具体的には、酸化物、窒化物、炭化物およびハロゲン化物を含む第二の相は、第一の粉末(例えば窒化チタンおよび窒化ホウ素)に適用することができ、より具体的には、チタン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、コバルト、クロム、鉄、バナジウム、イットリウム、マンガンまたはそれらの組み合わせを含む金属および金属合金原料粉末の上に堆積させることができ、潜在的に危険で発熱を伴う自然酸化物形成プロセスを防ぐために必要とされる、かなりの量の不活性の気体流れなしにAMプロセスを安全に行うことを可能にする。
【0066】
さらに、前記第二の相を含む1つまたはそれ以上の化合物または材料の合理的な選択に伴う、第二の相のALD厚さ、重量配合量、結晶度、粒構造および適用シーケンスが重要であることが思いがけず見いだされた。ALDは、「レンガとモルタル」の化学の自己制限的な性質が過剰な構築を防ぎ、表面上への配合は基質材料の比表面積によってさらに抑制されるという観点から、比較的単純な手法である。典型的な成長速度は、化学のコーティングに依存して、ALDサイクル当たり平均0.3~2オングストロームであり、このレベルの精密な制御が粒サイズ、構造および量の最適化のために重要である。安定化ALDコーティングは、強健さおよび安定性を与えるのに十分な厚さであり、かつ第二の相が適切に低いが特定の厚さおよび/または重量パーセントを維持するのに十分な薄さでなければならない。さらに、理想的なカプセル化材料は、AMプロセス条件において「安定」である(またはその代わりに、冶金学の利点があるときは、AMプロセスにおいて制御された分解のために設計されている)必要があり、完成部品の特性に良い影響を及ぼす適切な化学組成であるべきである。ALDは、これらの基準を達成することができ、今、米国特許出願公開第201/10236575号(その内容およびそのすべての引用文献の内容は、その全体がここに組み込まれる。)においてキングらが記載しているような高生産性製造システムと共にAM部品サプライチェーンの中にコスト効率よく統合することができる唯一の手法である。例えば、初期のAM原料粉末から誘導されたステンレス鋼部品は、特定の降伏強度、引張強度、硬度および延性を有すると測定された。AM原料粉末にナノ工学窒化ホウ素コーティングの適用し、正確なコピー部品を形成する場合、降伏強度および引張強度を10%、しばしば50%、時々100%、そして場合によっては500%調整することができるかもしれず、それによって、1つまたはそれ以上の増強された機能的利点を有する頑丈な部品を作り出すことができるかもしれない。追加の相および化合物は、延性および硬度のさらなる制御が正しく設計された凝集した第二の相で実現可能であることを実証するために使用され、また、第二の相の組成物の厚さ、配合量または物理的もしくは化学的構成から既に調整された他の特性に(時々上方へしかし場合によっては下方へ)影響を与えることができた。1つの態様では、本技術は、粉末冶金法(または類似した粒子原料製作プロセス)によって部品の中に組み込む前の原料粉末の上に第二の相を前配合することができるという簡単さをもって、最適の機能持性を有する製造された部品の全体にわたって均質的に分布した非常に複雑な組成物および第二の相の製造を可能にする。
【0067】
Ac、Ag、Al、Am、As、At、Au、B、Ba、Be、Bh、Bi、Bk、Br、C、Ca、Cd、Ce、Cf、Cm、Cn、Co、Cr、Cs、Cu、Db、Ds、Dy、Er、Es、Eu、Fe、Fl、Fm、Fr、Ga、Gd、Ge、H、Hf、Hg、Ho、Hs、In、K、La、Li、Lr、Lu、Lv、Me、Md、Mg、Mn、Mo、Mt、N、Na、Nb、Nd、Nh、Ni、No、Np、O、Og、Os、P、Pa、Pb、Pd、Pm、Po、Pr、Pt、Pu、Ra、Rb、Re、Rf、Rg、Rh、Ru、S、Sb、Sc、Se、Sg、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Tc、Te、Th、Ti、Tl、Tm、Ts、U、V、W、Y、Yb、Zn、Zrまたはそれらの組み合わせを含む群から選ばれる1つまたはそれ以上の特定の元素が、ナノ工学の第二の相の中に組込まれる場合、完成部品の上に付与することができるユニークな利点がある。利点は、低減された加工エネルギー、または製作プロセス自体の工程の数、または1つまたはそれ以上のナノ工学の第二の相がない場合に必要とされるものに比べて必要とされる1つまたはそれ以上の後処理のいずれかの形でもたらされてもよい。利点は、また、他のすべてのプロセス変数が一定に保持される場合に製作される部品の優先的な物理的または機械的な特性を得る形でもたらされてもよい。利点は、また、製作された部品が最終用途で使用されたときに、製作された部品の耐久性およびより長い耐用年数の形でもたらされてもよい。これらまたはその他の価値の提案の1つまたはそれ以上が、ここに記載されるような技術の適用によって明かされるかまたはその他の方法で開発されることができる。第一の相が固体金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1つを含み、第二の相が、(i)金属酸化物、(ii)金属ハロゲン化物、(iii)金属オキシハロゲン化物、(iv)金属リン酸塩、(v)金属硫酸塩、(vi)非金属酸化物、(vii)カンラン石構造体、(viii)NaSICON構造体、(ix)ペロブスカイト構造体、(x)スピネル構造体、(xi)多金属イオン構造体、(xii)金属有機構造体または錯体、(xiii)多金属有機構造体または錯体、(xiv)周期的特性を有する構造体、(xv)ランダムに分布している官能基、(xvi)2Dまたは3Dの周期的な配置で周期的に分布している官能基、(xvii)金属窒化物、(xviii)金属オキシ窒化物、(xix)金属炭化物、(xx)金属オキシ炭化物、(xxi)非金属有機構造体または錯体、および(xxii)非金属非有機構造体または錯体の1つまたはそれ以上を含む場合に、実質的な利点が測定されている。
【0068】
例えば、前述のもののある組み合わせは、いつかクリーンで信頼できるエネルギー源として溶融エネルギーを可能にすることができる原子炉の設計に使用される構造体を製造することができる。フェライト系酸化物分散強化(ODS)粒子の上に高度に調整された酸化物コーティングを作るために、金属酸化物を含むナノ工学の第二の相を、鉄系またはフェライト系金属または金属合金の第一の相と組み合わせることができ、それは最終的な焼結複合材料中の酸化物分散を改善するであろう。改善された均質性および均一性は、破壊靭性のような材料特性の改善を可能にし、しかしまた、実証することもできる用途特有の機能的利点の例としての中性子吸収の追加の利点、ならびに複数の分野または用途に適用できるかもしれない押出プロセスから生じる異方性の挙動の追加の利点も可能にする。持続的な核融合反応を含むために必要とされる建築材料は非常に厳しい条件にさらされるであろう。改善された耐放射線、耐腐食および耐熱合金の開発は、核融合および正確な情報の第III+世代の核分裂炉システムにとって大規模な利点となるであろう。さらに、メカニカルアロイング法を、ALDコーティングまたは材料もしくは化合物の均質な分布を含むナノ工学の第二の相を組込む他の方法で置き換えることは、生産コストを低減しながら、合金の組成および特性の著しい改善に結びつくであろう。既存のODS材料は、例外的な高温クリープ強度を有し、優れた照射損傷制御を示す。現在のODS合金製造法の例は、付加的な酸化物相のナノ粉末、典型的には市販のTiO2またはY2O3ナノ粒子と共に金属の相を粉砕することを含む。その後、粉砕された混合物は、押出または熱間静水圧プレス法によって焼結させられる。この用途では、金属マトリックス内の酸化物相の完全に均質な分散(および好ましくは第二の相全体の成分の均質な分布)は、中性子劣化に対して保護する。この現象は、合金が、大量の放射線損傷を受けた従来の合金よりもはるかに長い間適切な機械的特性を維持するのを可能にする。第二の相の分散の均一性を最大にすることは、また、バルク材料内の欠陥の移動距離の低減によって、より良好な性能に結びつく。核融合炉は、より高い中性子放射レベルを作り出し、200dpaもの高さの線量レベル下で長期間使用され続ける材料を必要とするであろう。既存の製造方法は、i)それらが合金に加えることができる酸化物の量、ii)粒サイズおよび酸素/窒素の取り込みが材料性能に有害になる前に、酸化物がどのくらい十分に分散し得るか、iii)第二の相をどのくらいナノ処理することができるか、およびiv)原料として粒子を使用する一連の手法を使用して製造された種々のサイズの部品の上で、分散がどのくらい均一かつ均質に維持され得るか、によって厳しく制限される。
【0069】
粉砕または高エネルギー混合プロセスを使用するナノ粒子またはその他の第二の相を組込む用途またはプロセスにとって、ppmレベルまたはより高いレベルでの不純物の取り込みはいくつかの理由で克服できず、有害である。第一に、粉砕時間が増加するとともに、マトリックスの中への不純物の取り込みは増加する。これらの不純物は、粉砕媒体および部品からの汚染物質、空気環境中の酸素、二酸化炭素および窒素の付加、または代替の環境からの他の構成物質であり得る。汚染物質としての増加した酸素の付加は合金のいくつかの材料特性に有害であるが、第二の酸化物相の添加は材料の全体の機械的強度を改善する。第二の相中の目標酸化物の配合量が優先的に増加するとともに、混合および/または粉砕時間は酸化物を均質に分布させるために増やさなければならない。したがって、当技術分野において現在実施されている粉砕手順では、酸化物添加および改善の実際的な限界は、拡張された粉砕プロセスの間の追加の酸素の取り込みによって打ち消される。
【0070】
粉砕によって引き起こされる第二の制限は結晶子サイズの変化である。材料が粉砕されるとき、大量の機械的仕事が材料に加えられる。この仕事は、粒子サイズを減少させるだけでなく、結晶子サイズおよび構造を変化させ、それは、粉砕媒体自体からの数ppmの汚染によってさらに悪化し得る。これは、製造者が原料材料と製作された部品の両方に対して行うことができるプロセス制御の量を減少させる。さらに、この影響は、最低限のコストが追加され、粒界への酸化物相の沈殿および/または合体の不必要な危険性が追加され、その結果、均質性が減少する可能性がある、著しい熱処理および再結晶後処理をも必要とする可能性がある。酸化物粒子を分散させるために機械的な粉砕プロセスを使用することの最後の欠点は、固有のサイズ制限である。20~50ナノメートル程度の粉砕に使用される典型的な市販の酸化物粉末は、ここに記載された一般的な分野または用途向けに加工またはその他の方法で設計されていない。これらのサイズの粒子は高価であるだけでなく、それらは正しく安全に扱うのが困難であり、かつ第一の粒子相と物理的に相互混合するのが困難である。粉砕は酸化物の粒子サイズをさらに減少させることができるが、前に議論したように、粉砕を行なうことができる時間には制限がある。これは、通常10~20ナノメートルサイズ範囲にあると判明している酸化物粒子を残す。材料を押し出したときは、これらの粒子は、押出方向に平行な方向に配向した細長い欠陥に変わり、そして、鋳造または成型したときは、ランダムに(すなわち均質的ではなく)分布し、本発明の実施を通じて目的とすることができる最適の粒サイズを超える離散的な相に帰着する。究極的に、これは、これらの材料の用途を制限する著しい材料異方性に結びつく。
【0071】
現在ODS鋼の製作に使用されている当技術分野において記述されている粉砕プロセスを省くまたは著しく変更することによって、記述された欠点の多くを取り除くことができる。ナノ工学の高度に制御可能な酸化物コーティングプロセスを組込むことによって、既存の合金性能は改善することができ、新しい合金の作成は、核融合炉材料に必要な厳しい条件に適合することができ、ナノ工学複合材料の他の多くの用途を可能にすることができる材料特性の増強に結びつくであろう。ODS鋼に関する議論は、ここに記載された技術の例示的な応用として役に立つことを意図しており、適用可能性または範囲を他の第一の相(非「鋼鉄」材料)または第二の相(非「酸化物」材料)に限定するようには意図されていない。そのような例としては、窒化物分散強化材料;アルミニウムまたはチタン合金の第一の相;ハロゲン化物、リン酸塩および/またはホウ酸塩強化金属、合金またはガラス;セラミック強化ポリマー;金属、セラミックまたはガラスの上に組込まれたポリマー由来セラミックなどが挙げられるであろう。材料、プロセスまたは工程の特定の組成、配合量またはシーケンスを含むかもしれない、均質な第二の相をナノ処理する能力は、任意の材料の第一の相に直接の機能的利点を提供することができ、それによって、粉末ベースの原料を利用する任意の数の製作プロセスを使用してワークピースに製作されたときに、測ることができるほどにより高い性能のナノ工学複合材料を作ることができる。特に、特定のALDプロセスを使用して製造されたナノ工学の第二の相を含むAM原料材料は、ナノ工学の第二の相を有しないような製造されたワークピースよりも有用な特性を示す完全に均質な完成部品を製造するであろう。
【0072】
本技術のワークピースは、様々な用途で使用するのに非常に適しているかもしれず、それは、最低限でも本技術のナノ工学原料を利用しない比較のワークピースよりも使用により適するであろう。決して限定的であると見なされるべきでない関連用途としては、i)核用途の構造部材または格納部材、ii)アノード、アノード液、カソード、カソード液、電解質、集電装置、スタック部材、電極アセンブリー、セパレーター、膜として、または電池、コンデンサー、電解槽、液体ベースの燃料電池または固体酸化物燃料電池の1つまたはそれ以上を含む電気化学電池のパック部材として、iii)例えば建設または他の建築プロジェクトにおいて構造部材として一般的な使用するように構成されたもの、iv)軍事および民間の目的のための可動式または固定式の装置の外装または遮蔽部材(物理的、化学的または電気的な遮蔽/保護)として使用するように構成されたもの、またはv)固定用途または移動/携帯用途のための軽量化手段として使用するように構成されたものが挙げられる。
【0073】
Z方向に一層ずつ積層する方式で製作されるAM由来の部品内にナノ構造の相を加える能力の重要な特徴は、そのような製造方法に典型的に固有の異方性を最小限にするか取り除くことができるということである。本発明の増強された結合および改善された粒子間溶接特徴は、完成したワークピースのバルクの機械的(およびその他の)特性を改善するだけでなく、構築方向に適用される各々の層がナノ構造の相の複数のサブ層を含むので、完成部品は異方性が特にZ方向においてますます低くなる傾向があることが発見された。本発明の粒子を含む製造されたワークピースは、特性に悪影響を与えずに、より高いアスペクト比で構築することができ、高度に機能的な第二の相を含めることに基づいて、より高くより速く構築することができる。
【0074】
前述の異方性の改善を促進するために、増強された流動性を有する機能化粉末のもう1つの利点は、構築または完成したワークピースの品質または収率を犠牲にせずに、より厚い粉末層を使用することができ、個別部品を製造するより迅速なプロセスに結びつくということである。
【0075】
いくつかの実施形態では、第二の相の材料の組成および量(例えば、コーティングの場合は厚さ)は、レーザー光線と粉末粒子の間の相互作用の均一性を最大化するために選択される。実際上、吸収、反射および散乱の標準化は、構築または完成したワークピースの品質または収率を犠牲にせずに、より広い粒子径分布およびより不規則な粒子が使用されることをも可能にした。
【0076】
任意の産業志向のプロセス開発と同様に、AM製作工程の速度を増加することができるまたは減少させられた工程の数を減らすことができる方法は、産業にとって価値があるであろう。そのため、予想外にも、単に、i)ストライプ幅の拡大を可能にすることによって、ii)隣接するスキャントラック間のハッチングスペースの拡大を可能にすることによって、および/またはiii)製造されたワークピースの機械的特性に悪影響を与えずに、均一なコーティングを有する隣接するストライプに必要とされるオーバーラップを減らすことによって、全体の生産性を大幅に改善し、かつコストを大幅に減少させることができることが観察された。いくつかの実施形態では、有益な第二の相の材料を組込むことによって、最終用途性能を高めながら全体のコストを減少させるために、そのような生産性の向上を実現することができる。
【0077】
少なくとも1つの実施形態では、キーホールビーム溶接相互作用、加工中のガスの分配または増強された除去、制御されたまたはその他の均一な層間収縮などを最適化することによって、製造されたワークピース中の欠陥(例えば、微細孔、微細割れなど)を減少させることができることが示された。特に、ALD対応の金属または金属合金粉末を含む実施形態では、クリープ強度、延性、靭性(特に衝撃靭性)および疲労寿命が著しく改善された。熱間静水圧プレス法(HIP)を用いた後処理は、構築された部品中のより均質なミクロ構造およびより少ない残留応力により、分離の程度につれて、減少した圧力、温度または時間で実行することができる。
【0078】
しばしば、粉末のブレンドは、AMプロセスの中に供給される前に製造され、粉末内では配合の考慮に基づいて第一および第二の相として記述されることができるかもしれない。しかし、意図した機能化粉末は、外表面の大部分に付着した第二の粒子を有する第一の粒子である。このタイプの系の作成に関連した多くの挑戦がある。第一は、ファンデルワールス力が、第二の相の粒子が第一の粉末原料材料の表面にくっつくのを可能にするのに十分でなければならず、そして、第二の相の粒子は小さく、第一の相の粒子は大きいであろうということである。第二に、第一の相の粒子に再凝集する際に付着する粒子ができるだけ均一な層のみを形成するように第二の相の粒子を解凝集することはしばしば克服できない挑戦である。同時の挑戦は、ファンデルワールス力が支配するのを可能にするのに十分に小さいサイズを維持したままで、十分に狭く理想的には単分散のサイズ分布を有する第二の相の粒子原料を持つことである。これは遠くでも可能であるが、例えば金属または金属合金マトリックス粉末の上にセラミックの強化ナノ粉末を適用する代わりに、ここではALDを用いることができ、それによって、AMに対応する複合粉末を作ることができる。表面コーティングは、ここに記載した制約を克服しながら、粉末の形で入手することができるものに利用可能な材料セットおよびクラスを制限する必要を除去する。ハイブリッド手法もまた、両方の手法の利点を享受できるので興味深く、それは複数のサブ相を含む第二の材料相を作ることであり、それらのうちの1つはブレンドできる粉末基質であってもよく、そして1つは付着した粒子相のより頑丈な付着を促進するためにALDコーティングを用いて誘導されてもよい。そのような複合粉末は、本技術を用いて達成することができる。いくつかの実施形態では、窒化ホウ素または窒化ケイ素の粉末は、金属合金原料粉末で物理的にブレンドされ、その後、その材料は、複合粉末にセラミックのオーバーコーティングを適用するために、ALD反応器の中に装填される。特定の実施形態では、アルミニウムおよびチタンのAM原料粉末は、別々に、窒化ケイ素粉末とブレンドされ、その上に酸化アルミニウムALDコーティングが適用された。粉末の各セットはドッグボーンタイプのワークピースにプリントされた。それぞれの化学組成を特徴づけたとき、アルミニウムまたはチタンのいずれかの第一の相に加えて、各タイプのワークピースの第二の相が「SiAlON」材料すなわちケイ素アルミニウムオキシ窒化物を含むことが明らかになった。そのような材料は、完成したワークピースに強度および機械的特性の利点を与えることが知られている。1つの態様では、本技術は、製造時間およびコストを最小限に抑えながら、完成したワークピースの品質を最大化するように第一および第二の相を合理的に設計する能力を与える。
【0079】
もう1つの態様では、本技術は、改善された取り扱いによって従来の金属粉末の健康、安全および環境問題を改善し、耐食性の向上により金属粉末の貯蔵寿命を増加させる第二の相のコーティングを設計する能力を与える。さらに、いくつかの材料は、PMプロセスの実行後に再利用することが困難であるが、それは未使用の材料として完成したワークピースの範囲外である。この例は、AMプリントツールの粉末床内に含まれる粉末である。過剰な材料は、ある程度、再使用することができるが、ALD耐食性コーティングを有する原料粉末は、表面コーティングがない原料粉末の2~3倍の回数、再使用することができる。究極的に、AMサイクルによって処理された後の粉末状原料材料のリサイクルまたは再使用性を高める能力は、製造されたワークピース当たりの総コストを減少させるであろう。
【0080】
いくつかの実施形態では、本技術は、酸化傾向を克服しながら高められた潤滑性を与える第二の相の材料のために、より小さい粉末原料粒子サイズの使用、または粉末原料粒子サイズの二峰性分布の戦略的使用を可能にすることができる。例えば、AM原料粉末は典型的には40~50ミクロンの範囲の平均粒子直径を有する。コーティングの形をした第二の材料相を有する同じ基質材料のより小さい第一の粒子がより大きな第一の相粒子の中に組込まれ、空隙を埋めることができることが観察された。隙間のパッキングを調整するそのような手段は、完成したワークピースの機械的特性を改善することを示した。
【0081】
1つの態様では、本技術は、過度のエネルギーの存在下での第一の相の材料の気化の減少を提供する。これは、特に、固体電池、最適化された形状を有する触媒表面および触媒コンバーター、高温安定化永久磁石と共に使用するために最適化されることができる高度なモーター設計などの、今日製造するのが難しく、コストがかかり、または厄介な高価値製品を製造する機会を提供する。さらに、本発明のワークピースは、そのような材料の使用を可能にするナノ構造の第二の相を有する非伝統的な第一の粒子原料から製造することができる。例えば、貴金属、白金族金属、耐火金属、低い蒸発温度金属などのようなエキゾチック金属を、今、積層造形されたワークピースの中に組込むことができ、第一の相または第二の相(または複数の第二の相)のいずれかが、ワークピースの形、機能および用途に依存して、前記材料を含むことができる。そのような1つの用途は、粒子加速器部品用のワークピースの製作であり、エキゾチック金属粉末は、特定の第二の相を組み込むことによって、結合剤噴射、直接金属レーザー焼結またはバウンドメタルデポジション3Dプリンターで使用するように構成することができる。一般に、ニッチと見なされる用途または限られた需要のために本質的に少量生産が必要な用途で使用される多くの部品は、種々の物理学および工学的理由でエキゾチック金属から製造されることから利益を得るかもしれない。1つの例は、超伝導RF空洞および補助部品のためのニオブの使用である。これらのワークピースを積層造形することにより、複雑な形状を容易かつ迅速に製作することができるようになるが、エキゾティック材料の多くはまだプリントに利用することができない。結合剤噴射およびバウンドメタルデポジションプリンターは、金属3Dプリントへの参入に比較的低コストを提供し、供給材料として標準の金属射出成形(MIM)粉末を使用する。直接の金属レーザー焼結(DMLS)プリンターはコストがより高く、それらの供給材料として特別の均一な粒サイズ粉末を利用する。1つの態様では、本技術は、前述のプロセスのいずれかでのプリントに適するようにすることができる(ニオブのような)エキゾティックな金属粉末の開発および実現を提供し、よりエキゾティックな材料が加速器で使用されるもののような複雑な部品の製造のための選択肢になることを可能にする。
【0082】
同様に、素粒子物理学用の検出器は、精巧な性能を必要とし、超低温、高圧または高放射線環境のような厳しい条件に耐えなければならない材料で構成される必要がある。センサーおよび検出器のようなこの分野に関連するワークピースは、しばしば、大きな面積または大きな体積を有することを特徴とする。それゆえ、各積層造形層内の粉末の溶融のより高い局所化された均一性および連続する層のより均質な結合により、より均質な機械的特性がX、YおよびZ方向で実証されることができ、より大きなワークピース間の均一性を可能にする。この高められたワークピース間の均一性は、次に、積層造形手法によりますます大きな部品(例えば、風力タービンのブレードまたは複雑で精密な形状を有する大きな物体)を製造する機会を提供する。すべての方向における高められた均一性は、互いから数ミリメートル、しばしば数センチメートル、時々数デシメートル、そして場合によっては数メートル離れた位置で、構築されたワークピースの表面の粗さを(25ミクロン未満に)減少させることも実証された。この高められた均一性は、構築された部品中の残留応力をも最小限にし、完成部品の熱応力、疲労および反りの測定可能な減少に結びつく。
【手続補正書】
【提出日】2022-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
同様に、素粒子物理学用の検出器は、精巧な性能を必要とし、超低温、高圧または高放射線環境のような厳しい条件に耐えなければならない材料で構成される必要がある。センサーおよび検出器のようなこの分野に関連するワークピースは、しばしば、大きな面積または大きな体積を有することを特徴とする。それゆえ、各積層造形層内の粉末の溶融のより高い局所化された均一性および連続する層のより均質な結合により、より均質な機械的特性がX、YおよびZ方向で実証されることができ、より大きなワークピース間の均一性を可能にする。この高められたワークピース間の均一性は、次に、積層造形手法によりますます大きな部品(例えば、風力タービンのブレードまたは複雑で精密な形状を有する大きな物体)を製造する機会を提供する。すべての方向における高められた均一性は、互いから数ミリメートル、しばしば数センチメートル、時々数デシメートル、そして場合によっては数メートル離れた位置で、構築されたワークピースの表面の粗さを(25ミクロン未満に)減少させることも実証された。この高められた均一性は、構築された部品中の残留応力をも最小限にし、完成部品の熱応力、疲労および反りの測定可能な減少に結びつく。
本発明は、以下の実施態様を含む。
[1]金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第一の相と、金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第二の相とを含むワークピースであって、
第一の相は、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、および射出成形、押出ベース、コールドスプレーまたはサブトラクティブ製造プロセスにおいて使用するために構成された粉末状材料に由来し、
第二の相はワークピースの製作前に第一の相の表面に化学的または物理的に付着している、ワークピース。
[2]第一の相が約500μm以下の特徴的な粒サイズを有する、[1]に記載のワークピース。
[3]第一の相が10nm~100μmの特徴的な粒サイズを有する、[1]に記載のワークピース。
[4]第一の相が100nm~10μmの特徴的な粒サイズを有する、[1]に記載のワークピース。
[5]第一の相は約1μm以下の特徴的な粒サイズを有する、[1]に記載のワークピース。
[6]第一の相または第二の相がワークピース全体に均一に分布している、[1]に記載のワークピース。
[7]ワークピースが複数の体積要素を含み、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の物理的または機械的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である、[1]に記載のワークピース。
[8]ワークピースが複数の体積要素を含み、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の1つまたはそれ以上の化学的または電気的特性が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である、[1]に記載のワークピース。
[9]ワークピースが複数の体積要素を含み、ワークピースの任意の2つの同一サイズの別個の体積要素の化学組成が10%以下の偏差を有し、各々の体積要素の立方根がワークピースの第一の相のメジアン粒サイズの3倍以下である、[1]に記載のワークピース。
[10]第二の相の材料がワークピースの製作前に第一の相の粉末の外部表面積の少なくとも70%を覆うコーティングの形態をしている、[1]に記載のワークピース。
[11]コーティングが、ゾルゲル、マイクロエマルジョン、物理蒸気、化学蒸気、原子層、熱分解、化学分解または超臨界流体堆積プロセスの1つまたはそれ以上を使用して適用される、[10]に記載のワークピース。
[12]第二の相の材料が、i)第一の相の材料の粒に隣接したままである、ii)第一の相の材料の粒とともに散在したままである、またはiii)第一の相の材料の粒との界面を維持している、[2]に記載のワークピース。
[13]第一の相の材料の粒が、0.1nm~100nmの範囲の均一な距離だけ離れている、[12]に記載のワークピース。
[14]ワークピースが、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、および射出成形、押出ベース、コールドスプレー、またはサブトラクティブ製造プロセスの1つまたはそれ以上を使用して製造される、[1]に記載のワークピース。
[15]第一の相が、チタン、アルミニウム、ホウ素、塩素、鉄、クロム、コバルト、マグネシウム、モリブデン、タングステン、ニッケル、スズ、タンタル、バナジウム、イットリウム、炭素、亜鉛、ケイ素またはジルコニウムを含む、[1]に記載のワークピース。
[16]第二の相が、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、ハロゲン化物またはアルミニウム化物を含む、[1]に記載のワークピース。
[17]第二の相が、1つまたはそれ以上の追加のサブ相を含む、[1]に記載のワークピース。
[18]ワークピース中の第二の相の組成が、ワークピースの製作前の出発原料粉末の第二の相の組成と異なる、[1]に記載のワークピース。
[19]第二の相の組成物がワークピースの製作中に形成される、[18]に記載のワークピース。
[20]i.核用途に、
ii.アノード、アノード液、カソード、カソード液、電解質、集電装置、スタック部材、電極アセンブリー、セパレーター、膜に、または電気化学電池のパック部材として、
iii.液体電解質を含む電池、固体電解質を含む電池、コンデンサー、電解槽、液体電解質を含む燃料電池または固体電解質を含む燃料電池に、
iv.構造または補強部材として、
v.固定またはモバイル装置の外装またはシールド部材として、
vi.移動または携帯用途のための軽量化手段として
使用するために構成された[1]に記載のワークピース。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第一の相と、金属、金属合金、セラミック、ガラスおよびポリマーの少なくとも1種を含む第二の相とを含むワークピースであって、
第一の相は、積層造形、3Dプリント、バインダージェットプリント、レーザー溶融、プラズマ焼結、射出成形、押出ベース、コールドスプレーまたはサブトラクティブ製造プロセスにおいて使用するために構成された粉末状原料に由来し、
第二の相はワークピースの製作前に粉末状原料の表面に化学的に付着したコーティングに由来する、ワークピース。
【請求項2】
第一の相がチタン金属、チタン合金、アルミニウム金属またはアルミニウム合金を含み、第二の相が金属酸化物または金属窒化物を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項3】
第一の相が鉄金属、鉄合金、ステンレス鋼合金またはフェライト材料を含み、第二の相が金属酸化物または金属窒化物を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項4】
第一の相がクロム金属、クロム合金、コバルト金属またはコバルト合金を含み、第二の相が金属酸化物または金属窒化物を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項5】
第一の相がマグネシウムまたはマグネシウム合金を含み、第二の相が金属酸化物または金属窒化物を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項6】
第二の相が銅金属またはアルミニウム金属を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項7】
粉末状原料が、本質的に、第一の相を含むコアと本質的に第二の相からなるコーティングとからなる、請求項1~6のいずれか1項に記載のワークピース。
【請求項8】
コーティングが30nm未満の厚さを有する、請求項7に記載のワークピース。
【請求項9】
本質的に、チタン金属、チタン合金、アルミニウム金属またはアルミニウム合金のコアと、3~30nmの厚さを有する本質的に金属酸化物からなるコーティングとからなる粒子の積層造形によって作られた請求項2に記載のワークピース。
【請求項10】
チタン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、コバルト、クロム、鉄、バナジウム、イットリウム、マンガンまたはそれらの組み合わせのコアと、3~30nmの厚さを有する本質的に酸化アルミニウムからなるコーティングとを含む粒子の積層造形によって作られた請求項1に記載のワークピース。
【請求項11】
第一の相がポリマーを含み、第二の相がブロック共重合体を含む、請求項1に記載のワークピース。
【請求項12】
第一の相の材料の粒が、0.1nm~100nmの範囲の均一な距離だけ離れている、請求項1に記載のワークピース。
【請求項13】
積層造形を使用して製造された請求項1~12のいずれか1項に記載のワークピース。
【請求項14】
不活性気体の流れの不存在下での粉末状原料の積層造形を含む請求項7または10に記載のワークピースを作る方法。
【外国語明細書】