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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025360
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】インパクト回転工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
B25B21/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130533
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草川 隆司
(72)【発明者】
【氏名】植田 尊大
(72)【発明者】
【氏名】本田 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】小沢 公孝
(57)【要約】
【課題】締め付け対象を締め付ける際に発生する径方向の振動の軽減を図る。
【解決手段】インパクト回転工具10は、ハンマ30からのインパクト回転力を先端工具20に伝えるアンビル1、を備える。アンビル1は、第1部材11と、第2部材12とで構成される。第1部材11は、先端工具20を保持する。第2部材12は、第1部材11がかん合され、前記インパクト回転力が付与される。そして、第1部材11及び第2部材12の互いにかん合している部分であるかん合部100が、許容機構(111A,121A)を有する。許容機構(111A,121A)は、第1回転軸AX1の第2回転軸AX2に対する方向ずれ、を許容する。第1回転軸AX1は、第1部材11の回転軸であり、第2回転軸AX2は、第2部材12の回転軸である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンマからのインパクト回転力を先端工具に伝えるアンビル、を備えるインパクト回転工具において、
前記アンビルは、
前記先端工具を保持する第1部材と、
前記第1部材がかん合され、前記インパクト回転力が付与される第2部材と、で構成され、
前記第1部材及び前記第2部材の互いにかん合している部分であるかん合部が、前記第1部材の回転軸である第1回転軸の、前記第2部材の回転軸である第2回転軸に対する方向ずれ、を許容する許容機構を有する
インパクト回転工具。
【請求項2】
前記かん合部は、
前記第1部材の一部であり、前記第2部材とかん合している部分、である第1かん合部と、
前記第2部材の一部であり、前記第1部材とかん合している部分、である第2かん合部と、を含み、
前記第1かん合部の一の面である第1面と、前記第2かん合部の一の面である第2面と、が互いに対向しており、
前記許容機構は、前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方の面、の少なくとも一部を凸曲面状に形成したことにより実現される
請求項1に記載のインパクト回転工具。
【請求項3】
前記許容機構は、前記第1面及び前記第2面のいずれか一方の面の一部を凸曲面状に形成したことにより実現される
請求項2に記載のインパクト回転工具。
【請求項4】
前記許容機構は、前記第1面及び前記第2面のいずれか一方の面の略全部を凸曲面状に形成したことにより実現される
請求項2に記載のインパクト回転工具。
【請求項5】
前記第1面及び前記第2面の前記凸曲面状に形成された部分は、曲率が一定である
請求項3または4に記載のインパクト回転工具。
【請求項6】
前記かん合部は、前記方向ずれを制限する制限機構を更に有する
請求項1~5のいずれか一項に記載のインパクト回転工具。
【請求項7】
前記かん合部は、円筒状に形成され、
前記制限機構は、前記かん合部の内部に配置される軸状の芯出し部材を含む
請求項6に記載のインパクト回転工具。
【請求項8】
前記制限機構は、前記かん合部の外周を囲むように設けられるリング状の弾性部材を更に含む
請求項7に記載のインパクト回転工具。
【請求項9】
前記アンビルは、前記かん合部の内部に配置される緩衝部材、を更に有し、
前記芯出し部材及び前記緩衝部材によって、前記第1部材と前記第2部材との間に、前記第2回転軸の方向に沿う隙間が生じる
請求項7又は8に記載のインパクト回転工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インパクト回転工具に関し、より詳細には、ねじやボルト等の締め付け対象を締め付ける際に発生する振動の軽減を図る機能を有する、インパクト回転工具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転運動及び往復運動が可能なハンマからの回転打撃力を先端工具に伝達するアンビル、を備える回転打撃工具において、アンビルを、先端工具が装着される先端工具装着部材と、ハンマからの回転打撃力を先端工具装着部材に伝える回転打撃部材と、に分割し、それら2つの部材の間に緩衝材を設けたもの、が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-237152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものでは、先端工具装着部材及び回転打撃部材の間の緩衝材によって、ネジ等の締め付け対象を締め付ける際に発生する軸方向の振動、の軽減が図られる。
【0005】
しかし、特許文献1のものでは、先端工具装着部材と回転打撃部材とは、前者の回転軸を後者の回転軸と一致させた状態で、固定的に(言い換えると、前者の回転軸の、後者の回転軸に対する方向ずれ、を許容しないように)結合されている。このため、後者の回転軸の方向が、ネジ等の締め付け対象の挿入方向からずれると、前者の回転軸の方向も挿入方向からずれ、径方向の振動が発生していた。
【0006】
本開示の目的は、ネジ等の締め付け対象を締め付ける際に発生する径方向の振動の軽減を図ることができる、インパクト回転工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るインパクト回転工具は、ハンマからのインパクト回転力を先端工具に伝えるアンビル、を備える。前記アンビルは、第1部材と、第2部材とで構成される。前記第1部材は、前記先端工具を保持する。前記第2部材は、前記第1部材がかん合され、前記インパクト回転力が付与される。そして、前記第1部材及び前記第2部材の互いにかん合している部分であるかん合部が、許容機構を有する。前記許容機構は、第1回転軸の第2回転軸に対する方向ずれ、を許容する。前記第1回転軸は、前記第1部材の回転軸であり、前記第2回転軸は、前記第2部材の回転軸である。
【発明の効果】
【0008】
本開示のインパクト回転工具は、ネジ等の締め付け対象を締め付ける際に発生する径方向の振動の軽減を図ることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態に係るインパクト回転工具を構成するアンビル、の分解斜視図である。
図2図2は、同上のアンビルの側面図である。
図3図3Aは、同上のアンビルの、方向ずれが生じていない状態での断面図であり、図3Bは、同上のアンビルの、方向ずれが生じている状態での断面図である。
図4図4Aは、同上のアンビルにおけるかん合部の、第1面の一部に球面状の凸曲面部が存在する場合の断面図であり、図4Bは、第2面の一部に球面状の凸曲面部が存在する場合の断面図であり、図4Cは、第1面及び第2面の各々の一部に球面状の凸曲面部が存在する場合の断面図である。
図5図5Aは、同上のアンビルにおけるかん合部の、第1面の略全部に球面状の凸曲面部が存在する場合の断面図であり、図5Bは、第2面の略全部に球面状の凸曲面部が存在する場合の断面図であり、図5Cは、第1面及び第2面の各々の略全部に球面状の凸曲面部が存在する場合の断面図である。
図6図6Aは、同上のアンビルにおけるかん合部の、第1面にR面状の凸曲面部が存在する場合の断面図であり、図6Bは、第2面にR面状の凸曲面部が存在する場合の断面図であり、図6Cは、第1面及び第2面の各々にR面状の凸曲面部が存在する場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0011】
(1)インパクト回転工具
インパクト回転工具10は、図1図3Aに示すようなアンビル1を備える。
【0012】
アンビル1は、ハンマ30からのインパクト回転力を先端工具20に伝える。インパクト回転力は、軸方向の打撃力及び軸周りの回転力を含む。なお、本実施形態において、軸方向とは、後述する回転軸AX2の方向であり、軸周りとは、回転軸AX2の周りである。先端工具20は、ねじやボルト等の締め付け対象をインパクト回転力で締め付ける。
【0013】
(2)アンビル
アンビル1は、第1部材11と、第2部材12とで構成される。第1部材11は、先端工具20を保持する。第2部材12は、第1部材11がかん合され、上記インパクト回転力が付与される。
【0014】
詳しくは、第1部材11の後端と、第2部材12の前端とがかん合され、第1部材11の前端側に先端工具20が取り付けられている。第1部材11の前端側は、第2部材12に対して、径方向(軸方向と交差する方向)に可動である。
【0015】
先端工具20が、ネジ等の締め付け対象と契合している状態で、第2部材12の後端側に、ハンマ30からインパクト回転力が付与されると、そのインパクト回転力は、第2部材12及び第1部材11を介して先端工具20に伝わる。これによって、ネジ等の締め付け対象にインパクト回転力が作用し、ネジ等の締め付け対象は、ネジ穴等の挿入方向に押され、締め付けられる。
【0016】
(3)かん合部
かん合部100は、第1部材11及び第2部材12の、互いにかん合している部分である。
【0017】
かん合部100は、第1かん合部111と、第2かん合部121とを含む。第1かん合部111は、第1部材11の一部であり、第2部材12とかん合している部分、である。第2かん合部121は、第2部材12の一部であり、第1部材11とかん合している部分、である。そして、第1かん合部111の一の面である第1面111Aと、第2かん合部121の一の面である第2面121Aと、が互いに対向している。
【0018】
詳しくは、第1かん合部111及び第2かん合部121の各々は、切欠かれた部分(切欠き部)と、切欠かれていない部分(非切欠き部)と、が交互に形成された円筒形状を有する。第1かん合部111の非切欠き部と、第2かん合部121の切欠き部と、が互いに噛み合うことで、かん合部100が構成される。
【0019】
(4)許容機構
本実施形態におけるかん合部100は、許容機構(111A,121A)を有する。
【0020】
許容機構(111A,121A)は、第1回転軸AX1の第2回転軸AX2に対する方向ずれ、を許容する機構である。第1回転軸AX1は、第1部材11の回転軸であり、第2回転軸AX2は、第2部材12の回転軸である。
【0021】
方向ずれの発生とは、例えば、図3Bに示すように、第1回転軸AX1と第2回転軸AX2とのなす角をθとした場合に、角θが、予め決められた第1閾値θ1よりも大きくなることである。
【0022】
第1閾値θ1は、例えば、0度であるが、0度よりも大きい値(例えば、0.5度~2度の範囲内の値)でもよい。
【0023】
こうして、第1回転軸AX1及び第2回転軸AX2の間の方向ずれを、許容機構(111A,121A)が許容することで、第2回転軸AX2が締め付け対象の挿入方向からずれても、第1回転軸AX1が締め付け対象の挿入方向と一致した状態の維持が可能となる。その結果、締め付け対象を締め付ける際に発生する径方向の振動の軽減を図ることができる。
【0024】
(4-1)許容機構の実現手段
本実施の形態における許容機構(111A,121A)は、互いに対向する第1面111A及び第2面121A、の少なくとも一方の面、の少なくとも一部を、凸曲面状に形成したことにより実現される。
【0025】
(4-1-1)凸曲面部の配置
凸曲面状に形成される部分(以下「凸曲面部」と記す)は、例えば、第1面111A及び第2面121Aのうち、いずれか一方の面に存在する。
【0026】
すなわち、凸曲面部は、例えば、図4A図5A図6Aに示すように、第1面111Aに存在してもよい。または、凸曲面部は、例えば、図4B図5B図6Bに示すように、第2面121Aに存在してもよい。
【0027】
なお、この場合、他方の面(凸曲面部が存在しない方の面)は、図4A図5A図6Aに示されるように、又は図4B図5B図6Bに示されるように、通常、平面である。ただし、他方の面は、曲率が、凸曲面部の曲率より小さい凹曲面状、に形成されてもよい。
【0028】
これによって、許容機構(111A,121A)を簡易に実現できる。
【0029】
(4-1-1a)好ましい配置1
凸曲面部は、第1面111A及び第2面121Aのうち、いずれか一方の面の一部、に存在することが好適である。
【0030】
本実施形態における凸曲面部は、例えば、図4Aに示すように、第1面111Aの一部、又は、図4Bに示すように、第2面121Aの一部、に存在する。
【0031】
なお、この場合、当該一方の面(凸曲面部が存在する方の面)の他の部分、及び他方の面(凸曲面部が存在しない方の面)は、図4A図4Bに示されるように、通常、平面である。ただし、当該一方の面の他の部分、及び他方の面は、曲率が凸曲面部の曲率より小さい凹曲面状、に形成されてもよい。
【0032】
これによって、第1面111A及び第2面121Aの間の接触面積を小さくすることができる。その結果、方向ずれの許容範囲が広い許容機構(111A,121A)を簡易に実現できる。
【0033】
(4-1-1b)好ましい配置2
ただし、凸曲面部は、例えば、図5A図5Bに示されるように、第1面111A及び第2面121Aのうち、いずれか一方の面の、略全部に存在してもよい。
【0034】
これによって、第1面111A及び第2面121Aの間の接触面積を大きくすることができる。その結果、耐久性が高い許容機構(111A,121A)を簡易に実現できる。
【0035】
(4-1-1c)その他の配置
または、凸曲面部は、例えば、図4C図5Cに示されるように、第1面111A及び第2面121Aの両方に存在してもよい。この場合、それぞれの面においては、図4Cに示されるように、一部が凸曲面部でも、図5Cに示されるように、略全部が凸曲面部でもよい。
【0036】
(4-1-2)凸曲面部の形状
凸曲面部は、例えば、曲率が一定の凸曲面状(すなわち、球面状)である。ただし、曲率は、一定でなくてもよい。
【0037】
(4-1-2a)好ましい形状
凸曲面部の形状は、例えば、図4Aに示される第1面111A、図4Bに示される第2面121A、図4Cに示される第1面111A及び第2面121A、図5Aに示される第1面111A、図5Bに示される第2面121A、図5Cに示される第1面111A及び第2面121A、におけるもののように、球面である。
【0038】
これによって、許容機構(111A,121A)をより簡易に実現できる。
【0039】
(4-1-2b)他の形状
または、凸曲面部の形状は、例えば、図6Aに示される第2面121A、図6Bに示される第1面111A、又は図6Cに示される第2面121A及び第1面111A、のように、端部側の曲率が大きく、端部から離れるほど曲率が小さくなるような曲面(いわゆるR曲面)でもよい。
【0040】
ただし、凸曲面部の形状は、球面やR曲面に限らず、滑らかな凸曲面であればよい。
【0041】
(5)制限機構
かん合部100は、制限機構(14,15)を更に有することが好適である。制限機構(14,15)は、方向ずれを制限する機構である。
【0042】
方向ずれの制限は、例えば、前述した角θを、予め決められた第2閾値θ2(ただし、θ1<θ2)よりも小さくすることである。第2閾値θ2は、例えば、5度であるが、これに限らない。第2閾値θ2は、例えば、4度~6度の範囲内の値でも、3度~7度の範囲の値でもよい。
【0043】
方向ずれを制限機構(14,15)が制限することで、アンビル1の耐久性の確保を図ることができる。
【0044】
(5-1)芯出し部材
制限機構(14,15)は、軸状の芯出し部材14を含む。芯出し部材14は、かん合部100の内部に配置される。
【0045】
これによって、制限機構(14,15)を簡易に実現できる。
【0046】
(5-2)弾性部材
制限機構(14,15)は、リング状の弾性部材15を更に含む。弾性部材15は、かん合部100の外周を囲むように設けられる。
【0047】
例えば、かん合部100の外周に、円周方向の溝が形成され、この溝に弾性部材15が嵌め込まれてもよい。
【0048】
方向ずれを弾性部材15が制限することで、耐久性が高い制限機構(14,15)を簡易に実現できる。
【0049】
(6)緩衝部材
アンビル1は、緩衝部材13を更に有する。緩衝部材13は、かん合部100の内部に配置される。緩衝部材13は、締め付け対象を締め付ける際に発生する軸方向の振動を抑制する。
【0050】
(7)軸方向の隙間
芯出し部材14及び緩衝部材13によって、第1部材11と第2部材12との間に、軸方向の隙間が生じる。軸方向の隙間は、緩衝部材13の伸縮を可能にすると共に、角度ずれの許容及び制限にも寄与する。
【0051】
以上のように、本実施形態のインパクト回転工具10では、許容機構(111A,121A)による方向ずれの許容、及び制限機構(14,15)による方向ずれの制限によって、アンビル1の耐久性を確保しつつ、径方向の振動の軽減を図ることができる。また、緩衝部材13によって、軸方向の振動の軽減も図ることができる。
【0052】
(8)まとめ
第1の態様に係るインパクト回転工具(10)は、ハンマ(30)からのインパクト回転力を先端工具(20)に伝えるアンビル(1)を備えるインパクト回転工具(10)において、以下を特徴とする。すなわち、アンビル(1)は、第1部材(11)と、第2部材(12)とで構成される。第1部材(11)は、先端工具(20)を保持する。第2部材(12)は、第1部材(11)がかん合され、前記インパクト回転力が付与される。そして、第1部材(11)及び第2部材(12)の互いにかん合している部分であるかん合部(100)が、許容機構(111A,121A)を有する。許容機構(111A,121A)は、第1回転軸(AX1)の第2回転軸(AX2)に対する方向ずれ、を許容する機構である。第1回転軸(AX1)は、第1部材(11)の回転軸である。第2回転軸(AX2)は、第2部材(12)の回転軸である。
【0053】
この態様によれば、アンビルを構成する第1部材及び第2部材に対応する第1回転軸及び第2回転軸の間の方向ずれを許容することで、第2回転軸が締め付け対象の挿入方向からずれても、第1回転軸が締め付け対象の挿入方向と一致した状態の維持が可能となり、径方向の振動の軽減を図ることができる。
【0054】
これに対して、背景技術で説明したように、第1部材が第2部材に対して固定的にかん合されているものでは、第1部材の回転軸である第1回転軸の、第2部材の回転軸である第2回転軸に対する方向ずれ、が許容されないため、径方向の振動が発生していた。
【0055】
第2の態様に係るインパクト回転工具(10)では、第1の態様において、かん合部(100)は、第1かん合部(111)と、第2かん合部(121)とを含む。第1かん合部(111)は、第1部材(11)の一部であり、第2部材(12)とかん合している部分、である。第2かん合部(121)は、第2部材(12)の一部であり、第1部材(11)とかん合している部分、である。そして、第1かん合部(111)の一の面である第1面(111A)と、第2かん合部(121)の一の面である第2面(121A)と、が互いに対向している。許容機構(111A,121A)は、第1面(111A)及び第2面(121A)の少なくとも一方の面、の少なくとも一部を凸曲面状に形成したことにより実現される。
【0056】
この態様によれば、許容機構を簡易に実現できる。
【0057】
第3の態様に係るインパクト回転工具(10)では、第2の態様において、許容機構(111A,121A)は、第1面(111A)及び第2面(121A)のいずれか一方の面の一部を凸曲面状に形成したことにより実現される。
【0058】
この態様によれば、第1面及び第2面の間の接触面積を小さくすることで、方向ずれの許容範囲が広い許容機構を簡易に実現できる。
【0059】
第4の態様に係るインパクト回転工具(10)では、第2の態様において、許容機構(111A,121A)は、第1面(111A)及び第2面(121A)のいずれか一方の面の略全部を凸曲面状に形成したことにより実現される。
【0060】
この態様によれば、第1面及び第2面の間の接触面積を大きくすることで、耐久性が高い許容機構を簡易に実現できる。
【0061】
第5の態様に係るインパクト回転工具(10)は、第3または第4の態様において、第1面(111A)及び第2面(121A)の前記凸曲面状に形成された部分は、曲率が一定である。
【0062】
この態様によれば、許容機構をより簡易に実現できる。
【0063】
第6の態様に係るインパクト回転工具(10)では、第1~第5のいずれかの態様において、かん合部(100)は、制限機構(14,15)を更に有する。制限機構(14,15)は、前記方向ずれを制限する機構である。
【0064】
この態様によれば、方向ずれを制限することで、アンビルの耐久性の確保を図ることができる。
【0065】
第7の態様に係るインパクト回転工具(10)では、第6の態様において、かん合部(100)は、円筒状に形成される。制限機構(14,15)は、軸状の芯出し部材(14)を含む。芯出し部材(14)は、かん合部(100)の内部に配置される。
【0066】
この態様によれば、制限機構を簡易に実現できる。
【0067】
第8の態様に係るインパクト回転工具(10)では、第7の態様において、前記制限機構(14,15)は、リング状の弾性部材(15)を更に含む。弾性部材(15)は、かん合部(100)の外周を囲むように設けられる。
【0068】
この態様によれば、耐久性が高い制限機構を簡易に実現できる。
【0069】
第9の態様に係るインパクト回転工具(10)では、第7又は第8の態様において、アンビル(1)は、緩衝部材(13)を更に有する。緩衝部材(13)は、かん合部(100)の内部に配置される。芯出し部材(14)及び緩衝部材(13)によって、第1部材(11)と第2部材(12)との間に、前記第2回転軸の方向に沿う隙間が生じる。
【0070】
この態様によれば、緩衝部材の伸縮によって、軸方向の振動の軽減を図りつつ、方向ずれの許容及び制限によって、径方向の振動の軽減をも図ることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 インパクト回転工具
20 先端工具
30 ハンマ
1 アンビル
100 かん合部
11 第1部材
111 第1かん合部
111A 第1面
12 第2部材
121 第2かん合部
121A 第2面
13 緩衝部材
14 芯出し部材
15 弾性部材
AX1 第1回転軸
AX2 第2回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6