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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025445
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】折り畳みシート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/26 20060101AFI20230215BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
B65H31/26
B41J15/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130701
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加藤 忍
【テーマコード(参考)】
2C060
3F054
【Fターム(参考)】
2C060BB02
2C060BB09
2C060BB12
2C060BB15
3F054AA01
3F054AB01
3F054AC01
3F054BA04
3F054BA11
3F054BC11
3F054BE16
3F054BG07
(57)【要約】
【課題】省スペースで折り畳みシートを安定して排紙する技術を提供する。
【解決手段】装置本体100と、搬送された折り畳みシートを装置本体100から排出する排出口と、排出口から排出された原稿が積載される排出トレイ2とを備え、排出トレイ2は、折り畳みシートの排出方向の上流側にある第1積載部2aと、第1積載部2aの下流端よりも排出方向の下流側にあり、鉛直方向下方に位置する第2積載部203cと、第1積載部2aの載置面よりも鉛直方向上方に位置する部分を含む案内部203eと、第1積載部2aの載置面よりも鉛直方向下方に位置し、折り畳みシートの先端201aが突き当たる突き当て部203dとを有することを特徴とする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
搬送された折り畳みシートを前記装置本体から排出する排出口と、
前記排出口から排出された折り畳みシートが積載される排出トレイと
を備え、
前記排出トレイは、
前記折り畳みシートの排出方向の上流側にある第1積載部と、前記第1積載部の下流端よりも前記排出方向の下流側にあり、鉛直方向下方に位置する第2積載部と、
前記第1積載部の積載面よりも鉛直方向上方に位置する部分を含む案内部と、
前記第1積載部の積載面よりも鉛直方向下方に位置し、前記折り畳みシートの先端が突き当たる突き当て部と
を有することを特徴とする折り畳みシート搬送装置。
【請求項2】
前記排出トレイは、前記案内部から鉛直方向上方に傾斜して延在する第3積載部を有することを特徴とする請求項1に記載の折り畳みシート搬送装置。
【請求項3】
前記案内部は、その下部に傾斜面を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の折り畳みシート搬送装置。
【請求項4】
前記第2積載部の底面は、装置本体の底面と同一面であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の折り畳みシート搬送装置
【請求項5】
前記第1積載部と前記第2積載部との間に、第2積載部に当接している折り畳みシートの先端が第1の積載部に移動しないように規制する段部を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の折り畳みシート搬送装置。
【請求項6】
前記段部は、前記排出方向の下流側に向けて鉛直方向下方に傾斜する斜面部を有することを特徴とする請求項5に記載の折り畳みシート搬送装置。
【請求項7】
前記第3積載部は、前記排出方向に対する幅方向に間隔をあけて設けられ、前記排出方向に延在する線材であることを特徴とする請求項2に記載の折り畳みシート搬送装置。
【請求項8】
第2積載部と第3積載部、案内部とが、前記装置本体に対し一体的に着脱可能であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の折り畳みシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳みシートを搬送する折り畳みシート搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複写機、ファクシミリ装置、プリンター、スキャナー等に備えられている画像読取装置は、シートが積載されている給送トレイからシートを画像読み取り部に給送するシート給送機構と、シートを画像読み取り部から排出するためのシート排紙機構を備えている。そして、画像が読み取られてシート排紙機構により画像読取装置から排紙されたシートは、排紙されたシートを積載するための排出トレイ上に整列される。例えば、A5、A4サイズなどの定形サイズのシート束を給送して、排紙することが可能である。近年、長尺シートの折り畳みシートを搬送したいという要求がある。
【0003】
図6のようなA4サイズの折り畳みシート201は、折り畳まれた状態で給送トレイに積載して搬送することは難しい。そのため、図7のように折り畳みシート201を伸ばした状態で給送トレイにセットして給送し排紙する。排紙されたシートが破損しないように、例えば画像読取装置を設置している机から地面にシートを落下させ、排紙し終わってからユーザーが折り畳むなど、作業効率が悪いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登2573981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この問題を解決するための一つの方法として、特許文献1には、排紙された折り畳みシートを垂直に落下させて折り畳む装置が記載されている。しかし、落下させるためのスペースを設けることで、装置の設置面積が大きくなる。また、ユーザーは落下させたシートを拾い上げる作業が必要であり、机の上で作業を完結させることが出来ない。
【0006】
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、排紙された折り畳みシートを積載する排出トレイの設置スペースを最小限にするとともに、折り畳みシート以外のA5,A4等の定形シートを積載できるシート排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明に係る折り畳みシート搬送装置は、
装置本体と、
搬送された折り畳みシートを前記装置本体から排出する排出口と、
前記排出口から排出された原稿が積載される排出トレイと
を備え、
前記排出トレイは、
前記折り畳みシートの排出方向の上流側にある第1積載部と、前記第1積載部の下流端よりも前記排出方向の下流側にあり、鉛直方向下方に位置する第2積載部と、
前記第1積載部の載置面よりも鉛直方向上方に位置する部分を含む案内部と、
前記第1積載部の載置面よりも鉛直方向下方に位置し、前記折り畳みシートの先端が突き当たる突き当て部と
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、省スペースで折り畳み用紙を排紙することが出来る折り畳みシート搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の概略図
図2図1の画像読取装置の制御ユニットのブロック図
図3】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の正面図
図4】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の他の正面図
図5】本発明の一実施形態に係る画像読取装置の上面図
図6】折り畳みシートの斜視図
図7】折り畳みシートと装置の斜視図
図8】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の斜視図
図9a】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の側面図
図9b】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の他の側面図
図9c】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の他の側面図
図9d】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の他の側面図
図9e】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の他の側面図
図9f】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の要部拡大図
図9g】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の他の側面図
図9h】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の他の要部拡大図
図9i】本発明の一実施形態に係る排出補助部材と装置の他の側面図
図10】本発明の一実施形態に係る給送補助部材と装置の斜視図
図11a】本発明の一実施形態に係る給送補助部材と装置の側面図
図11b】本発明の一実施形態に係る給送補助部材と装置の他の側面図
図11c】本発明の一実施形態に係る給送補助部材と装置の他の側面図
図11d】本発明の一実施形態に係る給送補助部材と装置の他の側面図
図12】本発明の二実施形態に係る給送補助部材と装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第一実施形態>
図1は本発明の第一実施形態に係る折り畳みシート搬送装置の一例としての画像読取装置Aの概略図である。
【0011】
<装置の構成>
画像読取装置Aは、載置台1に積載された一又は複数の搬送媒体Sを1つずつ装置内に経路RTにて搬送してその画像を読み取り、排出トレイ2に排出する装置である。読み取る搬送媒体Sは、例えば、OA紙、チェック、小切手、名刺、カード類等のシートであり、厚手のシートであっても、薄手のシートであってもよい。カード類は、例えば、保険証、免許証、クレジットカード等を挙げることができる。また、心電図等の折り畳みシートで長尺のシートを搬送することができる。搬送媒体Sには、パスポートなどの冊子も含まれる。
【0012】
<給送>
画像読取装置Aの本体100の上部に設けられた給送口から給送された搬送媒体Sを経路RTに沿って給送する給送機構としての第1搬送部10が設けられている。第1搬送部10は本実施形態の場合、送りローラ11と、送りローラ11に対向配置される分離ローラ12と、を備え、載置台1上の搬送媒体Sを搬送方向D1に一つずつ順次搬送する。送りローラ11には、モータ等の駆動部3から伝達部5を介して駆動力が伝達され、図中矢印方向(経路RTに沿って搬送媒体Sを搬送させる正方向)に回転駆動される。伝達部5は例えば電磁クラッチであり、駆動部3からの送りローラ11への駆動力を断続する。
【0013】
<駆動部>
駆動部3と送りローラ11とを接続する伝達部5は、例えば、本実施形態では、通常時において駆動力が伝達される状態とし、搬送媒体Sを逆送または停止する場合には駆動力を遮断する。送りローラ11は伝達部5により駆動力の伝達が遮断されると、自由回転可能な状態となる。なお、このような伝達部5は、送りローラ11を一方向のみに駆動させる場合には設けなくてもよい。
【0014】
<分離構造>
送りローラ11に対向配置される分離ローラ12は、搬送媒体Sを1枚ずつ分離するためのローラであり、送りローラ11に対して一定圧で圧接している。この圧接状態を確保するため、分離ローラ12は揺動可能に設けると共に送りローラ11へ付勢されるように構成される。分離ローラ12は、トルクリミッタ12aを介して駆動部3から駆動力が伝達され、実線矢印方向(送りローラ11の正方向とは逆方向))に回転駆動される。
【0015】
分離ローラ12はトルクリミッタ12aにより駆動力伝達が規制されるため、送りローラ11と当接している際は送りローラ11に連れ回りする方向(破線矢印方向)に回転する。これにより、複数の搬送媒体Sが送りローラ11と分離ローラ12との圧接部に搬送されてきた際には、一つを残して2つ以上の搬送媒体Sが下流に搬送されないようにせき止められる。
【0016】
なお、本実施形態では分離ローラ12と送りローラ11とで分離機構を構成したが、このような分離機構は必ずしも設けなくてもよく、経路RTに搬送媒体Sを1つずつ順次給送する給送機構であればよい。また、分離機構を設ける場合においては、分離ローラ12のような構成の代わりに、搬送媒体Sに摩擦力を付与する分離パッドを送りローラ11に圧接させて、同様の分離作用を持たせるようにしてもよい。
【0017】
<搬送構造>
第1搬送部10の搬送方向下流側にある搬送機構としての第2搬送部20は、駆動ローラ21と、駆動ローラ21に従動する従動ローラ22とを備え、第1搬送部10から搬送されてきた搬送媒体Sをその下流側へ搬送する。駆動ローラ21にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ22は駆動ローラ21に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ21に連れ回る。この従動ローラ22は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ21に対して付勢された構成としてもよい。
【0018】
このような第2搬送部20よりも搬送方向下流側にある第3搬送部30は、駆動ローラ31と、駆動ローラ31に従動する従動ローラ32とを備え、第2搬送部20から搬送されてきた搬送媒体Sを排出口から排出トレイ2へ排出する。つまり、この第3搬送部30は排出機構として機能する。
【0019】
駆動ローラ31にはモータ等の駆動部4から駆動力が伝達され、図中矢印方向に回転駆動される。従動ローラ32は駆動ローラ31に対して一定圧で圧接し、駆動ローラ31に連れ回る。この従動ローラ32は、バネ等の付勢ユニット(不図示)によって駆動ローラ31に対して付勢された構成としてもよい。
【0020】
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されている。また、第1ヒンジ101側の第1排出トレイ2aとその先端側に接続された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dとから構成されている。第1延長トレイ2bは第1排出トレイ2aに対して摺動可能に支持されており、第2延長トレイ2cは第1延長トレイ2bに対して摺動可能に支持されており、第3延長トレイ2dは第2延長トレイ2cに対して摺動可能に支持されている。
【0021】
<画像読取構造、制御>
ここで、本実施形態の画像読取装置Aでは、第2搬送部20と第3搬送部30との間に配置される画像読取ユニット70によって画像の読み取りを行うため、第2搬送部20及び第3搬送部30は搬送媒体Sを定速搬送する。搬送速度は常に第1搬送部10の搬送速度以上とすることで、先行搬送媒体Sに後続搬送媒体Sが追いついてしまう事態を確実に回避できる。例えば、本実施形態では、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度を、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度よりも速くなるように速度制御するようにした。
【0022】
なお、第2搬送部20及び第3搬送部30による搬送媒体Sの搬送速度と、第1搬送部10による搬送媒体Sの搬送速度とを同一条件とした場合でも、駆動部3を制御して後続搬送媒体Sの給送開始タイミングを間欠的にずらすことにより先行搬送媒体Sと後続搬送媒体Sとの間に最低限の間隔を形成することも可能である。
【0023】
<重送検出>
第1搬送部10と第2搬送部20との間に配置される重送検出センサ40は、静電気等で紙などの搬送媒体S同士が密着し、第1搬送部10を通過してきた場合(つまり重なって搬送される重送状態の場合)に、これを検出するための検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)の一例である。重送検出センサ40としては、種々のものが利用可能であるが本実施形態の場合には超音波センサであり、超音波の発信部41とその受信部42とを備え、紙等の搬送媒体Sが重送されている場合と1つずつ搬送されている場合とで、搬送媒体Sを通過する超音波の減衰量が異なることを原理として重送を検出する。
【0024】
<レジストセンサ>
このような重送検出センサ40よりも搬送方向下流側に配置される媒体検出センサ50は第2搬送部20よりも上流側で、第1搬送部10よりも下流側に配置された搬送路RT上流側の検出センサ(シートの挙動や状態を検出するセンサ)としての一例であり、第1搬送部10により搬送される搬送媒体Sの位置、詳細には、媒体検出センサ50の検出位置に搬送媒体Sの端部が到達又は通過したか否かを検出する。媒体検出センサ50としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合には光学センサであり、発光部51とその受光部52とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。
【0025】
本実施形態の場合、搬送媒体Sの先端が媒体検出センサ50で検出された時点で、搬送媒体Sが重送検出センサ40により重送を検出可能な位置に到達しているように、上記の媒体検出センサ50は重送検出センサ40の近傍においてその下流側に設けられている。なお、この媒体検出センサ50は、上記の光学センサに限定されず、例えば、搬送媒体Sの端部が検知できるセンサ(イメージセンサ等)を用いてもよいし、経路RTに突出したレバー型のセンサでもよい。
【0026】
媒体検出センサ50とは別の媒体検出センサ60が画像読取ユニット70よりも上流側に配置されている。第2搬送部20よりも下流側に配置された下流側の検出センサとしての一例であり、第2搬送部20により搬送される搬送媒体Sの位置を検出する。媒体検出センサ60としては、種々のものが利用可能であるが、本実施形態の場合、媒体検出センサ50と同様に光センサであり、発光部61と受光部62とを備え、搬送媒体Sの到達又は通過により受光強度(受光量)が変化することを原理として搬送媒体Sを検出する。なお、本実施形態では、第2搬送部20の搬送方向上流側と下流側のそれぞれに媒体検出センサ50、60を配置したが、何れか一方だけでもよい。
【0027】
<CISの配置>
媒体検出センサ60よりも下流側にある画像読取ユニット70は、例えば、光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものであり、内部にLED等の光源、イメージセンサ、レンズアレー等を備えている。本実施形態の場合、画像読取ユニット70は経路RTの両側に一つずつ配置されており、搬送媒体Sの表裏面を読み取る。しかし、経路RTの片側にのみ一つ配置して、搬送媒体Sの片面のみを読み取る構成としてもよい。また、本実施形態では、画像読取ユニット70を経路RTの両側に対向配置した構造としているが、例えば、経路RTの方向に間隔をあけて配置してもよい。
【0028】
<ブロック図の説明>
図2を参照して制御部80について説明する。図2は画像読取装置Aの制御部80のブロック図である。
【0029】
制御部80はCPU81、記憶部82、操作部83、通信部84及びインターフェース部85を備える。CPU81は記憶部82に記憶されたプログラムを実行することにより、画像読取装置A全体の制御を行う。記憶部82は例えばRAM、ROM等から構成される。操作部83は、例えば、スイッチやタッチパネル等で構成され、操作者からの操作を受け付ける。
【0030】
通信部84は、外部装置との情報通信を行うインターフェースである。外部装置としてPC(パソコン)を想定した場合、通信部84としては、例えば、USBインターフェースやSCSIインターフェースを挙げることができる。また、このような有線通信のインターフェースの他、通信部84は無線通信のインターフェースとしてもよく、有線通信、無線通信の双方のインターフェースを備えていてもよい。
【0031】
インターフェース部85はアクチュエータ86やセンサ87とのデータの入出力を行うI/Oインターフェースである。アクチュエータ86には、駆動部3、駆動部4、伝達部5等が含まれる。センサ87には、重送検出センサ40、媒体検出センサ50及び60、画像読取ユニット70等が含まれる。
【0032】
<PCからの開始指示受信による駆動>
画像読取装置Aの基本的な動作について説明する。制御部80は、例えば画像読取装置Aが接続された外部パソコンから画像読み取りの開始指示を受信すると、第1乃至第3搬送部10乃至30の駆動を開始する。載置台1に積載された搬送媒体Sはその最も下に位置する搬送媒体Sから1つずつ搬送される。
また、後述するように、画像読取装置Aの操作部83に設けられたスタートキーによって画像の読み取りを開始し、その後画像読取の開始を外部パソコンに通知するようにしてもよい。
【0033】
<重送時の制御>
搬送の途中で搬送媒体Sは重送検出センサ40により重送の有無が判定され、重送が無いと判定されると搬送が継続される。なお、重送があると判定された場合には、搬送を停止するか、第1搬送部10による後続搬送媒体Sの取り込みを停止して、重送状態にある搬送媒体Sをそのまま排出するようにしてもよい。
【0034】
<レジストセンサの出力に応じた読取開始>
制御部80は、媒体検出センサ60の検出結果に基づくタイミングで、第2搬送部20により搬送されてきた搬送媒体Sの、画像読取ユニット70による画像の読み取りを開始し、読み取った画像を一次記憶して順次外部パソコンへ送信する。画像が読み取られた搬送媒体Sは第3搬送部30により排出トレイ2に排出されてその搬送媒体Sの画像読取処理が終了する。
【0035】
<表示パネルの構成>
図3は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を展開した状態の正面図である。より正確には、画像読取装置Aの正面側に傾斜して設けられた正面パネル90に対して垂直な方向から見た図であり、装置を載置した状態における正面よりもやや上方から見た状態の図である。
【0036】
正面上部の正面パネル90には表示パネル93が設けられ、その内部には操作部83の一例としての操作キー群122が設けられている。
【0037】
操作キー群122には、画像読取装置Aの動作を開始するためのスタートキー、ストップキーなどが設けられており、操作キー群122に隣接するようにして表示部94が設けられている。
【0038】
<排紙構造>
正面下部の下部パネル91には排出開口92が設けられており、第3搬送部30によって搬送された搬送媒体Sが排出される。
【0039】
図4は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を収納した状態の正面図である。
【0040】
排出トレイ2は、画像読取装置Aに対して回動可能なように、画像読取装置Aの下方に設けられた第1ヒンジ101を介して軸支されており、第1排出トレイ2aによって本体前面を覆うように構成されている。
【0041】
第1排出トレイ2aは、第1ヒンジ101を支点として回動可能に画像読取装置Aの本体100に取り付けられている。第1排出トレイ2aは、正面パネル90と同サイズで形成され、図4に示すような排出トレイ2の収納状態において、第1ヒンジ101を支点として回動し、正面パネル90を覆うように折り畳まれる。排出トレイ2を正面パネル90側に折り畳んだ状態において、排出開口92は開放されており、搬送された搬送媒体Sの排出が可能となっている。
【0042】
図5は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2を展開した状態における上面図である。
【0043】
第3搬送部30により搬送されてきた搬送媒体Sは、排出開口92を経て第1排出トレイ2aに排出され、搬送媒体Sのサイズによっては第1排出トレイ2aから引き出された第1延長トレイ2b、第2延長トレイ2c、第3延長トレイ2dまで到達し、案内される。
【0044】
第3延長トレイ2dには、排出位置調整部材120が回動可能に設けられており、搬送媒体Sの搬送方向に対する長さに応じて引き出された各延長トレイに対し、起立状態に回動させることで搬送媒体Sが停止する位置を調整し、排出された搬送媒体Sを散らばりにくくして整列性を向上できる。
【0045】
図8(a)は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの排出トレイ2に取付け可能な排出補助部材203の斜視図である。本体に取り付けるための取付部203a、取付部203aの排出方向下流側に設けられ、鉛直方向下方に傾斜した斜面部203b、斜面部203bと連続してその下流側に設けられた第2積載部203c、第2積載部203cの排出方向下流端に設けられた突き当て部203d、突き当て部203dの上部であり、排出補助部材203が排出トレイ2に取り付けられた際の第1の排出トレイ2aの積載面よりも鉛直方向上方に位置する案内部203e、案内部203eの上部に対し、斜め方向に延在するように設けられた第3積載部203fから構成されている。なお、本発明では、排出補助部材203は、ワイヤー形状部品(線材)と板金部品で構成して画像読取装置Aの排出トレイ2に着脱可能にしているが、取り外し可能にせずに、排出トレイ2に一体的に設けてもよい。
【0046】
図8(b)は画像読取装置Aの第1の排出部である排出トレイ2に排出補助部材203を取り付けたときの斜視図である。幅方向の両端にコの字状に形成された一対の取付部203aを排出トレイ2における排出方向先端側からスライドさせて取り付けることで、一対の取り付け部203aのそれぞれで排出トレイ2を挟持している。
【0047】
図9aは、排出補助部材203を画像読取装置Aに取り付けたときの側面図である。図を見やすくするために取付け部203aのコの字状の形状は一部省略している。折り畳みシートの排紙について説明すると、折り畳みシートは山折りと谷折りを繰り返して折り畳まれており、ミシン目を引き離すことで分離することが可能である。折り畳みシートが排出される順に、1ページ目、2ページ目、以降同順で表現する。
【0048】
折り畳みシート201は排出が開始されると、排出トレイ2に沿って排出される。第1の排出トレイ2aの積載面(第1積載部)上を搬送された1ページ目のシート201bの先端201aが案内部203eの下部に設けられた傾斜面に接触して、先端201aは下方に案内される。シートの腰が弱いと先端201aは垂れ下がり、案内部203eに案内されずに、突き当て部203dに突き当たる。排出トレイ2の積載置面の延長よりも上方の位置に案内部を設けることで、先端201aを確実に下方に案内することが出来る。
【0049】
図9bは、案内部203eに先端201aが案内されて突き当て部203dに突き当たった状態である。突き当たることで、先端201aは進むことを規制されるため、1ページ目のシート201bが図のように湾曲する。
【0050】
図9cは、1ページ目のシート201bが湾曲しながら押し出され、先端201aは、突き当て部203d、第2積載部203cに接触しながら向きをかえた状態である。先端201aは、斜面部203bを登っていくことができず、第2積載部203cと斜面部203bの境目付近で停止する。1ページ目のシート201bと2ページ目のシート201dの境目である山折れ部201cは、伸ばされた状態で搬送される。
【0051】
図9dは、山折れ部201cが第3積載部203fと略平行上方へ移動する状態である。山折れ部201cが一定の高さに到達するか、1ページ目の一定の長さが第3積載部203fに排出されると、山折れ部201cは徐々に折れ始め、同時に2ページ目のシート201dは図のように湾曲しながら排出される。
【0052】
図9eは、山折れ部201cが第3積載部203fに接触した状態であり、また、2ページ目のシート201dと3ページ目のシート201fの境界部の谷折れ部201eが斜面部203bに差し掛かった状態である。
【0053】
図9fは、図9eの斜面部203b付近の部分拡大図である。山折れ部201cを中心として、谷折れ部201eが移動する回転軌跡210を示す。この回転軌跡210の外側に斜面部203bを設けることで斜面部203bと谷折れ部201eは接触し難くなり、谷折れ部201eの動きを阻害することを防止できる。
【0054】
図9gは、2ページ目のシート201dの重さで谷折れ部201eが、第2積載部203cと斜面部203bの境目付近に落下した状態である。そして、先端201aと谷折れ部201eは重なる。図9hは、図9gの第2積載部203cと斜面部203b付近の部分拡大図である。図のように1ページ目のシート201bは、案内部203eの端部と接触しており、その接触部をX部とする。
【0055】
谷折れ部201eが排出された勢いで1ページ目の先端201aは図の左側方向に力を受ける。つまり、1ページ目のシート201bは、X部を中心に折れ曲がる力を受けるが、1ページ目は斜めに立った状態で積載されているため、第2積載部203cが抵抗となり、先端201aは、第2積載部203cと斜面部203bとの間に留まることができる。また、1ページ目、2ページ目が斜めに立った状態で積載されることで、先端201a及び谷折れ部201eは、シート自身の自重で、図の右側に移動する力が発生するが、斜面部203bが傾斜していることで、先端201a及び谷折れ部201eは、第2積載部203cと斜面部203bの間に留まることができる。
【0056】
このように、斜面部203bと第2積載部203cとの境目に設けられた屈曲部分によって谷折れ部201eの動きが規制され、3ページ目のシート201fは、図のように湾曲し始める。この屈曲部分の角度が鋭角に近付くにつれて動きが規制されやすくなる。本実施形態では屈曲部分を鈍角に形成しているが、直角であっても良いし、鋭角であっても良く、谷折れ部201eの動きを規制可能な段部が形成されていればよい。
【0057】
ちなみに、第2積載部203cの底面は、本体100の底面(設置面)と同一面となるように形成されている。これによって、装置の設置環境において第1積載部と第2積載部との段差を最大限に大きくすることができる。
【0058】
図9iは、3ページ目のシート201fの湾曲が大きくなった状態である。図9aから図9gを繰り返し、折り畳みシートは、折り畳まれた状態で第3積載部203fに積載される。
【0059】
図10(a)は本発明の一実施形態に係る画像読取装置Aの載置台1の一例である給送トレイ110に取付け可能な給送補助部材202の斜視図である。給送補助部材202はワイヤー形状の金属部材で構成されている。図10(b)は給送補助部材202を給送トレイ110に引っ掛けて、その背面側に取り付けた図であり、給送補助部材202は、後述するシートの積載部202bが給送トレイ110の積載面と給送トレイ110の背面側でほぼ平行となるように取り付けられる。なお、本実施形態においては給送補助部材202を給送トレイ110と別体で構成しているが一体的に構成しても構わない。
【0060】
図11では給送時の折り畳みシートの挙動について順を追って説明するが、排紙される折り畳みシートの記載は省略している。詳しくは図9で説明している。
【0061】
図11は給送補助部材202を給送トレイ110に取り付けたときの側面図である。折り畳みシート201は、図9で説明した通り、1ページ目のシートの先端201a、1ページ目のシート201b、2ページ目のシート201d、1ページ目のシート201bと2ページ目のシート201dの境目を山折れ部201cとする。折り畳まれた折り畳みシート201を給送補助部材202の積載部202bに積載し、1ページ目201bの先端201aを第一搬送部10に突き当たるようにセットする。画像読取装置Aの設置面の法線方向に対し、画像読取装置Aの背面側に向けて用紙が斜めにセットされるようにすることで、載置スペースを最小限にするとともに、積載した折り畳みシート201が装置本体側に倒れ込むことを防止している。
【0062】
積載部202bの下端部の垂直方向の高さBは、先端201aと第一搬送部10が突き当たる位置の高さCと同程度の高さにすることで、山折れ部201cを装置側に倒れ込むようにセットすることが可能になり、シート201bが自重で先端201aが第一搬送部10に積極的に突き当たるようすることができる。積極的に突き当たることで、第一搬送部10によって搬送し易くなる。なお、シートの先端201aが突き当たるのは、第一搬送部10であるとして説明したが、例えば、シートが搬送路内に入り込まないようにシート先端を規制するストッパーでも構わない。その場合、シートの搬送が開始されてストッパーが退避することで、シートの自重により先端が第一搬送部10に突き当たる。
【0063】
さらに、積載部202bを第一搬送部10から載置面方向で離れた位置に配置すれば、自重によってシート201bの先端201aが第一搬送部10により突き当たりやすくすることができる。
【0064】
また、積載部202bの高さBと先端201aと第一搬送部10が突き当たる位置の高さCとを同程度の高さにすると説明した。本実施形態においては高さCの方が若干高く設定されており、図11に示す程度の差であれば、同程度の高さであると見做すことができる。同程度の高さとして、本実施形態で想定している折り畳みシートであるA4サイズを折り畳んだものに対し、積載部202bの角度にも依るが、A4サイズの縦の長さ297mmの概ね20%以下の差であれば、上述した作用と同等の作用を発揮させることができる。
【0065】
図11bは、一ページ目のシート201bが給送され、2ページ目のシート201dが給送トレイ110に到達した状態を示す図である。2ページ目のシート201dは図のように湾曲しながら搬送される。2ページ目のシート201dと3ページ目のシート201fの境目の谷折れ部201eは、積載面202aに接触している。
【0066】
図11cは、谷折れ部201eが持ち上がった状態で3ページ目のシート201fが給送され始めた状態を示す図である。3ページ目のシート201fは、図のように湾曲しながら給送される。
【0067】
図11dは、3ページ目のシート201fが給送トレイ110に到達した図である。
【0068】
このように、図11aから図11dに示す紙の挙動を繰り返しながら折り畳みシート201は搬送される。
【0069】
積載面202aの長さDは、シートが湾曲出来るためのスペースを確保するためにある程度の長さに設定されればよく、A4サイズの折り畳みシートを給送する場合は100mm程度に本実施形態では設定されており、おおよそ搬送するシートサイズの3割から半分程度の長さ(A4であれば90mmから150mm程)が望ましい。また、本実施形態においては給送トレイ110の積載面と給送補助部材202の積載面202aとは略平行となっており、両者間の距離と同等である長さDをこのような長さにすることで、上述したような、積載部202bを第一搬送部10から載置面方向で離れた位置に配置することで、自重によってシート201bの先端201aが第一搬送部10により突き当たりやすくするという作用を発揮させやすくすることができる。
【0070】
なお、図11a~dでは給送時の折り畳みシートの挙動について順を追って説明したが、給送補助部材202を給送トレイ110に取り付けた状態で、図1で説明したとおり給送トレイ110にA5、A4サイズなどの定形サイズのシート束をセットして給送することも可能である。
【0071】
<第二実施形態>
図12は本発明の第二実施形態に係る画像読取装置Aの給送トレイ110に取付け可能な給送補助部材207の側面図である。給送補助部材207は、図11で説明した給送補助部材202に分離部材207aが設けられている。第一実施形態で説明した画像読取装置で、搬送速度が速くなった場合、折り畳まれたシートのページ同士が密着し易くなる。そのため、第二の実施形態では、密着した折り畳まれたシートを分離するための分離部材207aを設けている。分離部材207aを設けることで、折り畳みシートをページごとに分離でき、安定して給送することが可能となる。図12では、分離部材207aを折り畳みシートの折れ部に接触して移動を制限する制限部材として、上端側、下端側の両方に設けているが、いずれか一方のみでも良いし、折り畳みシートの側面部に接触させるように左右端部のみに設けても良い。
【0072】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲内にて種々の変更が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0073】
以上、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば複写機、プリンター等の他の画像形成装置、スキャナー等の画像読取装置、あるいはこれらの機能を適宜組み合わせて有する複合機タイプの画像形成装置であってもよく、該画像形成装置や画像読取装置におけるシート給送装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0074】
A 画像読取装置
S 搬送媒体
1 載置台
2 排出トレイ
2a 第1排出トレイ
2b 第1延長トレイ
2c 第2延長トレイ
2d 第3延長トレイ
3 駆動部
4 駆動部
5 伝達部
10 第1搬送部
11 送りローラ
12 分離ローラ
20 第2搬送部
30 第3搬送部
70 画像読取ユニット
80 制御部
90 正面パネル
100 本体
122 操作キー群
201 折り畳みシート
202 給送補助部材
203 排出補助部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d
図9e
図9f
図9g
図9h
図9i
図10
図11a
図11b
図11c
図11d
図12