(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025467
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】機器制御装置、機器制御方法及び機器制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 15/00 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
G01C15/00 103E
G01C15/00 103A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130733
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮介
(72)【発明者】
【氏名】一里山 海洋
(57)【要約】
【課題】機器の適切な使用を容易とした機器制御方法、機器制御装置及び機器制御プログラムを提供すること。
【解決手段】機器判別装置3は、機器識別情報及び等級情報を対応させた対応テーブル41を記憶する記憶部301と、機器の選択指示を受け付ける入力部303と、選択された機器と通信接続する通信部302と、通信接続した機器の機器識別情報に対応する等級情報を対応テーブル41を参照して求め、求めた等級情報に応じて機器の動作可能範囲を設定する制御部301と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器識別情報及び等級情報を対応させた対応テーブルを記憶する記憶部と、
機器の選択指示を受け付ける入力部と、
選択された前記機器と通信接続する通信部と、
通信接続した前記機器の前記機器識別情報に対応する前記等級情報を前記対応テーブルを参照して求め、求めた前記等級情報に応じて前記機器の動作可能範囲を設定する制御部と、
を備える機器制御装置。
【請求項2】
前記機器は、測量装置を含み、
前記機器識別情報は、前記測量装置のモデル名を含む、
請求項1に記載の機器制御装置。
【請求項3】
前記動作可能範囲の設定として、前記制御部は、前記測量装置の器械点から測定対象までの測定可能距離を前記等級情報に応じて制限する請求項2に記載の機器制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記入力部により前記測量装置に対する測定指示の入力を受け付けた際に、前記測量装置から前記測定対象までの距離が前記測定可能距離よりも長い場合、前記測量装置に対する測定指示の受付を制限する請求項3に記載の機器制御装置。
【請求項5】
前記入力部は、前記通信部を介して検出された前記機器の群から操作者により選択させることで前記選択指示として受け付ける請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の機器制御装置。
【請求項6】
前記対応テーブルは、前記機器識別情報及び前記等級情報に対応してさらに国情報を含み、
前記制御部は、前記機器識別情報及び前記国情報の組み合わせに対応して前記等級情報を求める、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の機器制御装置。
【請求項7】
機器識別情報及び等級情報を対応させた対応テーブルを記憶する機器制御装置を用いた機器制御方法であって、
入力部により機器の選択指示を受け付ける工程と、
通信部により選択された前記機器と通信接続する工程と、
通信接続した前記機器の前記機器識別情報に対応する前記等級情報を前記対応テーブルを参照して求め、求めた前記等級情報に応じて前記機器の動作可能範囲を設定する工程と、
を含む機器制御方法。
【請求項8】
機器制御プログラムであって、
機器制御装置が機器の選択指示を受け付ける工程と、
前記機器制御装置が選択された前記機器と通信接続する工程と、
通信接続した前記機器の機器識別情報に対応する等級情報を、前記機器制御装置に記憶された前記機器識別情報及び前記等級情報を対応させた対応テーブルを参照して求め、求めた前記等級情報に応じて前記機器の動作可能範囲を設定する工程と、
をコンピュータに実行させるための機器制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器制御装置、機器制御方法及び機器制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からトータルステーション等の測量装置を用いた測量技術として、別途の装置を用いて測量装置を操作する技術が開示されている。例えば特許文献1には、測量装置(測量機)を制御する測量機用端末装置と、測量者が携帯する測量者用端末装置と、サーバとをネットワークを介して通信可能に接続している自動測量システムが開示されている。この測量者用端末装置は、作業者の操作を受けて、ネットワークとサーバとを介して所定の指示を測量機用端末装置に送信し、測量機用端末装置により測量装置の動作を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測量装置等の機器は等級や用途に応じて動作可能範囲が定められていることがある。機器の適切な使用のためには、例えば、作業者が機器の動作可能範囲を確認したり、動作可能範囲を作業者が機器に設定する方法が想定されるが、これらの方法では機器を使用する際の作業効率が低下する場合がある。
【0005】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、機器の適切な使用を容易とした機器制御装置、機器制御方法及び機器制御プログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明に係る機器制御装置は、機器識別情報及び等級情報を対応させた対応テーブルを記憶する記憶部と、機器の選択指示を受け付ける入力部と、選択された前記機器と通信接続する通信部と、通信接続した前記機器の前記機器識別情報に対応する前記等級情報を前記対応テーブルを参照して求め、求めた前記等級情報に応じて前記機器の動作可能範囲を設定する制御部と、を備える。
【0007】
また上述の機器制御装置として、前記機器は、測量装置を含み、前記機器識別情報は、前記測量装置のモデル名を含んでもよい。
【0008】
また上述の機器制御装置として、前記動作可能範囲の設定として、前記制御部は、前記測量装置の器械点から測定対象までの測定可能距離を前記等級情報に応じて制限してもよい。
【0009】
また上述の機器制御装置として、前記制御部は、前記入力部により前記測量装置に対する測定指示の入力を受け付けた際に、前記測量装置から前記測定対象までの距離が前記測定可能距離よりも長い場合、前記測量装置に対する測定指示の受付を制限してもよい。
【0010】
また上述の機器制御装置として、前記入力部は、前記通信部を介して検出された前記機器の群から操作者により選択させることで前記選択指示として受け付けてもよい。
【0011】
また上述の機器制御装置として、前記対応テーブルは、前記機器識別情報及び前記等級情報に対応してさらに国情報を含み、前記制御部は、前記機器識別情報及び前記国情報の組み合わせに対応して前記等級情報を求めてもよい。
【0012】
上記した目的を達成するために、本発明に係る機器制御方法は、機器識別情報及び等級情報を対応させた対応テーブルを記憶する機器制御装置を用いた機器制御方法であって、入力部により機器の選択指示を受け付ける工程と、通信部により選択された前記機器と通信接続する工程と、通信接続した前記機器の前記機器識別情報に対応する前記等級情報を前記対応テーブルを参照して求め、求めた前記等級情報に応じて前記機器の動作可能範囲を設定する工程と、を含む。
【0013】
上記した目的を達成するために、本発明に係る機器制御プログラムは、機器制御装置が機器の選択指示を受け付ける工程と、前記機器制御装置が選択された前記機器と通信接続する工程と、通信接続した前記機器の機器識別情報に対応する等級情報を、前記機器制御装置に記憶された前記機器識別情報及び前記等級情報を対応させた対応テーブルを参照して求め、求めた前記等級情報に応じて前記機器の動作可能範囲を設定する工程と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
上記手段用いる本発明に係る機器制御装置、機器制御方法及び機器制御プログラムは、機器の適切な使用を容易とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る機器制御システムの全体構成図である。
【
図2】機器制御装置及び測量装置の制御ブロック図である。
【
図7】本実施形態の変形例における対応テーブルの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る測量システム1の全体構成図である。なお、各装置の構造や配置関係は、模式的に示しており、説明の便宜上実際の縮尺と異なって示している。
【0018】
測量システム1は、測量装置2と、機器制御装置3とを含む。本実施形態では、測量装置2と機器制御装置3は、機器(器械)接続処理を実行することで(
図4のステップS01の処理参照)通信可能に接続される。通信手段としては、例えばBluetooth(登録商標)等の無線通信手段が用いられるが、接続端子を介して接続した有線通信手段を用いてもよい。測量装置2は、例えば、トータルステーションであり、測定対象(ターゲット)である測点7(
図6参照)までの角度と距離とを測定して測量を行うことができる。測量装置2は、脚部に支持されて整準を行う整準部21、整準部21の上に設けられた基盤部22、基盤部22の鉛直軸周りに回動可能に設けられた本体部23、及び本体部23に水平軸周りに回動可能に設けられた望遠鏡部24を備える。従って、望遠鏡部24は基盤部22に対して水平軸及び鉛直軸周りに対して回動可能に設けられる。整準は整準部21を調整して作業者(操作者)による手作業で行ってもよいし、自動整準であってもよい。
【0019】
機器制御装置3は、パソコン、タブレット、スマートフォン、PDA(personal digital assistant)等の任意の装置を用いることができる。機器制御装置3は測量装置2を遠隔操作する機能を備える。
【0020】
図2は、機器制御装置3及び測量装置2の制御ブロック図である。まず、測量装置2の構成について説明する。通信部201は、機器制御装置3やその他の装置と通信可能な通信手段である。記憶部202は、追尾や測量等の各種プログラム、測量データ、GPS時刻、測量装置2の大きさ(高さ、幅、奥行き等)、追尾光送受光部208が受光(撮像)した画像等の各種データを記憶可能に構成される。
【0021】
表示部203は、追尾光送受光部208が撮像した画像等を表示することができる。操作部204は、各種の動作指示や設定を入力可能な操作手段である。例えば、動作指示として、電源のオン、オフの切替、測量を開始するトリガ、測量モードの切替、測量周期の設定等を含むことができる。また操作部204は、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、任意の操作デバイスや入力デバイスを含んでもよい。表示部203がタッチパネルである場合は、表示部203と操作部204とは一体に形成されていてもよい。
【0022】
測距部207は、測距光を出射する送光部と、送光部からの測距光が照射されて測定対象により反射された反射光を受光する受光部とを含む。測定対象は、例えばピンポール等に設けられた再帰反射部材であるプリズムが用いられる。なお、測定対象は、再帰反射部材に限らず、測量装置2から照射された光を反射して測量装置2に反射光を検出させることが可能な程度の反射機能を有するその他の反射部材(例えば、反射シート、ターゲット板又は壁等)としてもよい。
【0023】
測距部207は、例えば、パルスレーザ光である測距光を出射すると共に測定対象により反射された反射光を受光することで測量装置2から測定対象までの距離(斜距離)を測定する。なお、測距方式はこのようなパルス方式に限られず、例えばレーザ光の波の数に基づき測距するいわゆる位相差方式等の周知の方式を適用することも可能である。
【0024】
追尾光送受光部208は、測定対象に向けて追尾光を照射可能な光源である。また、追尾光送受光部208は、測定対象により反射された追尾光の一部を受光し、例えば電気信号に変換するイメージセンサ(CCDセンサやCMOSセンサ等)等の受光素子を有する。制御部211は、追尾光送受光部208における光源から出射された追尾光を受光素子が受光し続けるように水平回動駆動部205及び鉛直回動駆動部206を制御することで、測定対象の追尾機能を制御することができる。
【0025】
水平回動駆動部205は、望遠鏡部24(
図1参照)を鉛直軸周りの水平方向に回動可能に制御する。鉛直回動駆動部206は、望遠鏡部24を水平軸周りの鉛直方向に回動可能に制御する。
【0026】
また、測量装置2は、望遠鏡部24の水平方向の回動角(即ち鉛直軸周りの回転角)を検出する水平角検出部209(水平エンコーダ)と、望遠鏡部24の鉛直方向の回動角(即ち水平軸周りの回転角)を検出する鉛直角検出部210(鉛直エンコーダ)とを有する。測量装置2は、測距光学系を含む測距部207を内蔵しており、この測距部207の測距光学系の光路の一部は望遠鏡の光学系の一部と共有されている。前述の測距部207又は追尾光送受光部208から出射された光は、望遠鏡部24の対物側から視準軸と同軸に導光されて出射される。
【0027】
また、制御部211は、水平角検出部209及び鉛直角検出部210により検出された角度(水平角及び鉛直角)、測距部207により測定された距離(斜距離)、追尾光送受光部208により撮像された画像等の各種情報の取得、記憶、演算等を行い、例えば表示部203や機器制御装置3の表示部304にその取得結果、演算結果を表示させる。また、制御部211は、操作部204に対する操作に応じて、又は演算結果に応じて、各部の駆動制御等を行う。
【0028】
機器制御装置3は、制御部301、通信部302、入力部303、表示部304及び記憶部305等を有する。機器制御装置3は、通信部302を介して測量装置2と情報の送受信を行うことができる。入力部303は、各種の動作指示や設定を入力可能な操作手段である。例えば、動作指示として、電源のオン、オフの切替、測量を開始するトリガ、測量モードの切替、測量周期の設定、測量装置2(機器)の選択指示等を含むことができる。入力部303は、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、機器制御装置3の形態に応じて、任意の操作デバイスや入力デバイスを含むことができる。また、機器制御装置3は、入力部303に対する入力操作に応じて測量装置2を遠隔操作したり、測量装置2の測量結果等の情報を取得して表示部304に表示したりすることができる。表示部304は、追尾光送受光部208が撮像した画像等を表示することができる。なお、表示部304がタッチパネルである場合は、表示部304と入力部303とは一体に形成されていてもよい。記憶部305は、対応テーブル41及び機器制御プログラム42等の情報を記憶する。
【0029】
また、機器制御装置3は、機器制御装置3を制御するためのコンピュータ(不図示)を備える。機器制御プログラム42は、例えば機器制御装置3が有するコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体(又は記憶装置)に記憶することもできる。
【0030】
図3は対応テーブル41の構成図である。対応テーブル41は、機器識別情報411及び等級情報412を対応して記憶する。機器識別情報411は、測量装置2のモデル名、型式、品番、シリーズ名、製造番号等とすることができる。機器識別情報411には、文字、数字、記号を任意に含むことができる。
【0031】
等級情報412は、測量装置2の測定精度(例えば測角精度)等に応じて区分された種別情報である。測量装置2は、等級(クラス)に応じて測量作業の内容や目的を使い分けることができる。本実施形態では、機器制御装置3が接続する機器が測量装置2である場合について説明しており、等級情報412として、例えば「1級」、「2級」又は「3級」が記憶される。
【0032】
次に、機器制御装置3が実行する機器制御方法について、
図4の制御フローチャートについて説明する。なお、
図4の各工程を含む処理は、制御部301が機器制御プログラム42を実行して行うことができる。
【0033】
まず、ステップS01において、制御部301は、入力部303により測量装置2の選択指示を受け付ける。本実施形態の表示部304は、入力部303と一体的に形成されたタッチパネルに設けられる。従って、測量装置2の選択は、例えば、機器制御装置3の表示部304に表示された内容を作業者がタッチ操作して行われる。
【0034】
図5は、ステップS01において表示部304に表示させる機器設定画面51の例である。機器設定画面51に表示される項目は、測量装置2等の機器(器械)のメーカ情報である「ブランド」、測量装置2の機器識別情報である「モデル名」を含む。また、機器設定画面51の「接続」には通信の接続方式(例えば、Bluetooth(登録商標))が表示される。機器制御装置3は、周辺に配置された測量装置2から機器識別情報を含む待機信号を受信しており、制御部301は、通信部302を介して取得した一つ又は複数の待機信号から周囲に存在する測量装置2を検出することができる。制御部301は、「モデル名」が選択されると、一つ又は複数の測量装置2から受信した待機信号に含まれる測量装置2の機器識別情報を表示部304に表示する(例えば、一覧形式による表示)。従って、作業者は、入力部303に対する入力操作により、通信部302,201を介して検出された測量装置2の群から制御対象とする機器を任意に選択することができる。制御部301は、入力部303により測量装置2の機器識別情報の選択指示を受け付けると、選択された機器識別情報に対応する測量装置2と通信接続する。
【0035】
なお、本実施形態では通信部302,201を介して検出された測量装置2の群から任意の一つが選択される例について説明するが、測量装置2は複数選択されてもよい。この場合、後述するステップS04で測定指示を行う際に、作業者は、入力部303によりいずれの測量装置2を用いて測定を行うのか選択することができる。
【0036】
ステップS02において、制御部301は、対応テーブル41を参照して、通信接続した測量装置2の等級情報を、機器識別情報411に対応する等級情報412を取得して求める。制御部301は、求めた等級情報412に応じて測量装置2の動作可能範囲である測定可能距離を設定する。例えば、等級が「2級」であった場合、測定可能距離として「150m以内」が設定され、等級が「3級」であった場合、測定可能距離として「100m以内」が設定される。従って、制御部301は、測量装置2の器械点から測定対象である測点7までの測定可能距離を等級情報に応じて制限することができる。
【0037】
なお、測定可能距離(動作可能範囲)により動作を制限するか否かは、測量装置2(機器)の動作モード(例えば、特定の測点7を測定する場合に、動作可能範囲か否かを判定させる等)に応じて切り替えてもよい。また、等級情報に対応する測定可能距離(動作可能範囲)は、動作範囲設定テーブル(不図示)として、予め記憶部305に記憶させておくことができる。
【0038】
ステップS03において、測量装置2の器械設置を行う。制御部301は、入力部303に対する入力操作により、交会法(例えば後方交会法)や後視点(既知点)等の設定から器械設置方法の選択を受け付ける。制御部301は、選択された器械設置方法で測量装置2の器械点を特定するように測量装置2に対して制御指示を送信する。測量装置2の制御部211は、機器制御装置3により選択された器械設置方法で器械点を求めると、機器制御装置3に器械点の情報を送信する。制御部301は、測量装置2の器械点の情報を取得し、記憶部305に記憶する。
【0039】
ステップS04において、制御部301は、測量装置2に対して測定指示を行う。
図6は、ステップS04において表示部304に表示させる測定指示画面52の例である。測定指示画面52には、測量装置2、既知点6、測点7、並びに、各種の情報及び操作用アイコンが含まれる。このうち、測定対象(ターゲット)である測点7は、機器制御装置3が記憶部305等から予め読み込んだ測点データ(例えば、路線データ)に含まれたデータとすることができる。測点データは、一つ又は複数の測点7を含むことができる。
図6では一つの測点7が表示されている例について示している。制御部301は、入力部303により、測定指示画面52に表示した測点7の選択指示を受け付ける。
【0040】
選択された測点7の識別情報は、測定指示画面52の「測点名」として表示される(具体的な表示は省略)。また、「横断面」には「測点名」により選択された測点7の横断面(例えば、路線データ中の測点7の場合、ナンバー杭に対応する杭ナンバーや、プラス杭に対応する杭ナンバー及びプラス位置の情報)が表示され、「横断点」には「測点名」により選択された測点7の横断点が表示される。さらに「断面から」には測点7が属する断面から実測点までの前後方向(路線方向)への離れ位置が表示され、「CLから」には測点7が属する路線の中心から左右への離れ位置が表示される。
【0041】
その後、作業者が測定指示画面52の測定アイコン521(ここでは、測距アイコン)を選択すると、制御部301は、ステップS05の処理を行う。
【0042】
ステップS05において、制御部301は、選択された測点7がステップS02で設定した距離制限を超過しているか否か(即ち、測量装置2から測点7までの距離Lが測定可能距離よりも長いか否か)判定する。制御部301は、ステップS05の判定が真(Yes)であった場合にステップS06の処理を行い、ステップS05の判定が偽(No)であった場合にステップS07の処理を行う。
【0043】
ステップS06において、制御部301は、通信部302,201を介して測量装置2に測定指示を送信し、測量装置2に測点7を測定(測距又は測角)させる。制御部301は、距離又は角度等の測定結果を、通信部302,201を介してから受信して、記憶部305に記憶することができる。
【0044】
一方、ステップS07において、制御部301は、測量装置2に対する測定指示の送信は行わず、表示部304に測定が行えない測点7が選択されている旨の表示を行う。例えば、制御部301は、表示部304に「器械点からの距離が制限を超えているため、この点を保存できません」のエラーメッセージを表示させることができる。
【0045】
なお、エラーメッセージの内容に関わらず、制御部301は、測定(測距又は測角)自体を禁止してもよいし、測定は行ってその結果は表示部304に表示させて測定データの保存を禁止するように処理してもよい。
【0046】
このように、制御部301は、入力部303により測量装置2に対する測定指示の入力を受け付けた際に、測量装置2から測点7までの距離Lが測定可能距離よりも長い場合、測量装置2に対する測定指示の受付を制限することができる。例えば、管理断面出来形観測では、測定(観測)に使用される測量装置2に応じて測距値に制限が予め定められているため、制御部301は、管理断面出来形観測を行う場合、ステップS05の判定処理により測量装置2が制限を超えた測定を行わないように防止することができる。
【0047】
(変形例)
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例では、これまで説明した測量システム1と同様の構成において、
図3に示した対応テーブル41の代わりに、
図7に示す対応テーブル41Aを用いている。対応テーブル41Aは、機器識別情報411及び等級情報412に対応して、さらにメーカ情報413及び国情報414を対応して記憶する。
【0048】
対応テーブル41Aを用いた処理例について説明する。
図6を用いて説明した制御フローチャートのステップS01で、制御部301は、入力部303により測量装置2の選択指示を受け付ける。制御部301は、入力部303に対する入力操作により、「ブランド」が選択されると一つ又は複数のブランド(メーカ)を表示して、そのうちの一つ又は複数を選択するブランドの選択指示を受け付ける。また、制御部301は、入力部303の入力操作により「モデル名」が選択されると、ブランドの選択指示で選択されたブランド名に含まれ且つ前述の待機信号により検出した測量装置2の機器識別情報を一つ又は複数表示する。制御部301は、入力部303により通信部302,201を介して検出された測量装置2の群から制御対象とする機器識別情報の選択指示を受け付けると、選択された機器識別情報に対応する測量装置2と通信接続する。
【0049】
従って、作業者は、複数の測量装置2から使用したい測量装置2を絞り込んで容易に選択することできる。
【0050】
また、
図6の制御フローチャートにおけるステップS02において、制御部301は、対応テーブル41Aを参照して、通信接続した測量装置2について、メーカ情報413、機器識別情報411及び、国情報414に対応する等級情報412を取得して求める。即ち、制御部301は、機器識別情報411及び国情報414の組み合わせに対応して等級情報412を求める。なお、国情報414の選択指示は、ステップS02において入力部303により随時選択を受け付ける構成としてもよいし、予め国情報414を記憶部305に記憶させておいてもよい。制御部301は、求めた等級情報412に応じて測量装置2の動作可能範囲である測定可能距離を設定する。従って、制御部301は、測量装置2の器械点から測定対象である測点7までの測定可能距離を等級情報に応じて制限することができる。
【0051】
以上のように、本実施形態では、機器制御装置3が、機器識別情報411及び等級情報412を対応させた対応テーブル41を記憶する記憶部305と、機器の選択指示を受け付ける入力部303と、選択された機器と通信接続する通信部302と、通信接続した機器の機器識別情報に対応する等級情報を対応テーブル41,41Aを参照して求め、求めた等級情報412に応じて機器の動作可能範囲を設定する制御部301と、を備える構成について説明した。この構成により、機器制御装置3が制御の対象とする機器(例えば、測量装置2)の等級が自動的に設定されるため、機器の適切な使用を容易とした機器制御装置3、機器制御方法及び機器制御プログラム42を構成することができる。
【0052】
また、本実施形態の機器制御装置3は、作業者等による誤った等級の設定を防止したり、等級に応じて定められた測定可能距離の制限を超えた測定が行われること等を防止したりすることができる。そのため、測量装置2により測定した測定データの信頼性や作業効率を向上させることができる。
【0053】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0054】
例えば、上記実施形態において、機器制御装置3と通信接続される機器として測量装置2を例に説明したが、測量装置2の代わりに、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)受信装置、回転レーザ装置等のその他の機器(ここでは装置を含む)を適用してもよい。
【0055】
また、本実施形態の
図1では、測量装置2と機器制御装置3とが直接に通信接続される構成について示したが、測量装置2と機器制御装置3とは図示しない中継装置を介して通信接続する構成としてもよい。
【0056】
また、等級情報412は、機器の種類に応じて、例えば「特級」、「1級」、「2級」、「2級A」、「2級B」又は「3級」等を任意に組み合わせて記憶し、各等級別の性能に応じて、機器の動作可能範囲を設定されてもよい。
【0057】
また、機器設定画面51の測量装置2(機器)の選択肢として表示させる機器識別情報は、「モデル名」に限らず、その他の識別情報を選択可能に表示させてもよい。
【0058】
また、記憶部305は、さらに機器制御装置3が接続許可(又は制御許可)するか否かの判定に用いる測量装置2の付加情報を記憶してもよい。付加情報としては、例えば、「自動追尾」の有無、バージョン情報又は認証情報等とすることができる。制御部301は、
図4の制御フローチャートのステップS01において、付加情報の内容に応じて、選択指示により受け付けた測量装置2との接続を禁止してもよい。これにより、機器制御プログラム42が非対応の測量装置2との接続を禁止したり、測量装置の非正規品の識別を行うこともできる。また、制御部301は、測量装置2が非対応と判定した場合、判定対象の測量装置2がサポート外である旨のエラーメッセージを表示部304に表示してもよい。
【0059】
また、制御部301は、機器制御プログラム42が測量装置2等の機器の制御をサポートしていない場合、機器制御プログラム42の更新(アップデート)を促すメッセージを表示部304に表示させてもよい。機器制御プログラム42の更新には、対応テーブル41,41Aの更新(例えば、機器識別情報411及び機器識別情報411に対応するデータの追加)を含んでもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 測量システム
2 測量装置
3 機器制御装置
6 既知点
7 測点
21 整準部
22 基盤部
23 本体部
24 望遠鏡部
41,41A 対応テーブル
42 機器制御プログラム
51 機器設定画面
52 測定指示画面
201 通信部
202 記憶部
203 表示部
204 操作部
205 水平回動駆動部
206 鉛直回動駆動部
207 測距部
208 追尾光送受光部
209 水平角検出部
210 鉛直角検出部
211 制御部
301 制御部
302 通信部
303 入力部
304 表示部
305 記憶部
411 機器識別情報
412 等級情報
413 メーカ情報
414 国情報
521 測定アイコン