(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025520
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/52 20060101AFI20230215BHJP
E05D 13/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
E06B9/52 B
E06B9/52 C
E05D13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130816
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(72)【発明者】
【氏名】高山 幸久
(72)【発明者】
【氏名】窪 聡志
【テーマコード(参考)】
2E032
【Fターム(参考)】
2E032FB02
2E032FC01
2E032FC02
2E032FC03
2E032FC04
2E032FD01
(57)【要約】
【課題】建具のスクリーン体を簡単に、かつ、安定してスクリーン枠の開口部に設置する。
【解決手段】網戸枠8は、開口部8Aの上縁部に沿って延びる上溝部12と、開口部8Aの一対の縦縁部に沿って延びる一対の縦溝部と、開口部8Aの下縁部に設けられた下係合部22を有する。網戸6は、網戸枠8への装着時に弾性変形可能なフレームと、フレームにより保持されて開口部8Aで展開するネット6Aを有する。フレームは、ネット6Aの上縁部を保持して上溝部12内に配置される上フレーム部60と、ネット6Aの一対の縦縁部を保持して一対の縦溝部内に配置される一対の縦フレーム部と、ネット6Aの下縁部を保持して下係合部22に係合する下フレーム部70を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン枠の開口部に設置されるスクリーン体を備えた建具であって、
前記スクリーン枠は、前記開口部の上縁部に沿って延びる上溝部と、前記開口部の一対の縦縁部に沿って延びる一対の縦溝部と、前記開口部の下縁部に設けられた下係合部と、を有し、
前記スクリーン体は、前記スクリーン枠への装着時に弾性変形可能なフレームと、前記フレームにより保持されて前記開口部で展開するスクリーンと、を有し、
前記フレームは、前記スクリーンの上縁部を保持して前記上溝部内に配置される上フレーム部と、前記スクリーンの一対の縦縁部を保持して一対の前記縦溝部内に配置される一対の縦フレーム部と、前記スクリーンの下縁部を保持して前記下係合部に係合する下フレーム部と、を有する建具。
【請求項2】
請求項1に記載された建具において、
前記上フレーム部が前記上溝部から外れるのを防止する上外れ止め機構、一方の前記縦フレーム部が一方の前記縦溝部から外れるのを防止する一方の縦外れ止め機構、他方の前記縦フレーム部が他方の前記縦溝部から外れるのを防止する他方の縦外れ止め機構のうちの少なくとも1つを備えた建具。
【請求項3】
請求項2に記載された建具において、
前記上外れ止め機構は、前記上フレーム部に設けられて、前記上溝部に係止される上外れ止め部品を有し、
前記縦外れ止め機構は、前記縦フレーム部に設けられて、前記縦溝部に係止される縦外れ止め部品を有する建具。
【請求項4】
請求項3に記載された建具において、
前記上外れ止め部品は、前記開口部に配置される把手を有し、
前記縦外れ止め部品は、前記開口部に配置される把手を有する建具。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載された建具において、
前記下フレーム部は、前記開口部に配置される把手を有する建具。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載された建具において、
前記フレームは、一対の前記縦フレーム部のそれぞれと前記下フレーム部を連結する下連結材を有し、
前記下連結材は、前記開口部に配置される把手を有する建具。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載された建具において、
前記下係合部は、前記開口部の下縁部に沿って延びる下係合溝部であり、
前記下フレーム部は、前記下係合溝部内に配置されて、前記下係合溝部に係合する建具。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれかに記載された建具において、
前記下係合部は、前記開口部の下縁部に沿って延びる下係合突部であり、
前記下フレーム部は、前記下係合突部に載置されて、前記下係合突部に係合する下フレーム溝部を有する建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン枠の開口部に設置されるスクリーン体を備えた建具に関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーン体とスクリーン枠を備えた建具として、網戸と網戸枠を備えた建具が知られている。網戸は、スクリーン体であり、スクリーン枠である網戸枠に装着されて、網戸枠の開口部に設置される。また、従来、網戸枠の室内側に装着されたカートリッジ取付枠と、周枠内に防虫ネットが取り付けられたネット・カートリッジを備えた網戸が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の網戸では、面ファスナーにより、ネット・カートリッジをカートリッジ取付枠に室内側から取り付けることで、網戸枠の室内側で、網戸枠に対する防虫ネットの着脱を可能にしている。ところが、従来の網戸では、防虫ネットの着脱に要する部品の数が多くなり、各部品の組み立てに手間が掛かる虞がある。また、防虫ネットを有するネット・カートリッジについては、網戸枠の開口部に安定して設置することも求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、建具のスクリーン体を簡単に、かつ、安定してスクリーン枠の開口部に設置することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スクリーン枠の開口部に設置されるスクリーン体を備えた建具であって、
前記スクリーン枠は、前記開口部の上縁部に沿って延びる上溝部と、前記開口部の一対の縦縁部に沿って延びる一対の縦溝部と、前記開口部の下縁部に設けられた下係合部と、を有し、
前記スクリーン体は、前記スクリーン枠への装着時に弾性変形可能なフレームと、前記フレームにより保持されて前記開口部で展開するスクリーンと、を有し、
前記フレームは、前記スクリーンの上縁部を保持して前記上溝部内に配置される上フレーム部と、前記スクリーンの一対の縦縁部を保持して一対の前記縦溝部内に配置される一対の縦フレーム部と、前記スクリーンの下縁部を保持して前記下係合部に係合する下フレーム部と、を有する建具である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建具のスクリーン体を簡単に、かつ、安定してスクリーン枠の開口部に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の建具を室外側からみて示す正面図である。
【
図2】第1実施形態の建具を室内側からみて示す正面図である。
【
図3】第1実施形態の建物に設置された建具を示す縦断面図である。
【
図4】第1実施形態の建物に設置された建具を示す横断面図である。
【
図5】第1実施形態の網戸を室内側からみて示す正面図である。
【
図7】第1実施形態の建具の下係合部と下フレーム部を拡大して示す縦断面図である。
【
図8】第1実施形態の建具の第1縦外れ止め機構を拡大して示す横断面図である。
【
図9】第1実施形態の建具の第2縦外れ止め機構を拡大して示す横断面図である。
【
図10】第2実施形態の建具の上外れ止め機構を拡大して示す縦断面図である。
【
図11】第3実施形態の建具の網戸を示す斜視図である。
【
図12】第4実施形態の建具の下係合部と下フレーム部を拡大して示す縦断面図である。
【
図13】第5実施形態の建具の下係合部と下フレーム部を拡大して示す縦断面図である。
【
図14】第6実施形態の建具の第1縦外れ止め機構を拡大して示す横断面図である。
【
図15】第7実施形態の建具の第1縦外れ止め機構を拡大して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の建具の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の建具は、弾性変形可能なスクリーン体を備えた建具であり、建物の開口部に設置されて、建物の室内(屋内)と室外(屋外)の間に配置される。以下では、建具が縦すべり出し窓である場合を例にとり、建具の複数の実施形態について説明する。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の建具1を室外側からみて示す正面図であり、
図2は、第1実施形態の建具1を室内側からみて示す正面図である。
図3は、第1実施形態の建物2に設置された建具1を示す縦断面図であり、
図4は、第1実施形態の建物2に設置された建具1を示す横断面図である。
【0011】
図示のように、建具1は、方形状の枠体3と、枠体3に開閉可能に取り付けられた障子4と、障子4の開閉を操作する操作部材5(
図3のみに示す)と、枠体3に着脱可能に装着された網戸6を備えている。枠体3は、開口枠(窓枠)であり、障子4と網戸6を囲む。障子4と網戸6は、枠体3の開口部3Aに設置されて、室内外方向Sに互いに離隔して配置されている。網戸6は、障子4の室内側に位置し、障子4は、網戸6の室外側で開閉する。縦すべり出し障子である方形状の障子4により、枠体3の方形状の開口部3Aが開閉される。
【0012】
なお、建物2に設けた建具1を正面からみたときに(
図1、
図2参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。
図1では、上下方向は鉛直方向であり、左右方向は水平方向である。室内外方向S(
図3、
図4参照)は、建物2に設けた建具1における室内外方向(屋内外方向)である。また、室内外方向Sは、建物2に設けた建具1を正面からみたときに、前後となる方向(奥行方向)であり、
図1、
図2では、左右方向に直交する水平方向である。このように、建具1に関する方向は、建物2に設けた状態での方向で特定する。また、建具1に関して室内側、室外側とは、建物2に設けた状態での室内側、室外側である。
【0013】
障子4は、パネル状の可動障子(パネル体)であり、枠体3の開口部3Aにおける室外側の箇所に配置されている。操作部材5は、回転可能な操作ハンドルであり、障子4及び網戸6よりも室内側の位置に設けられている。また、操作部材5は、枠体3に取り付けられて、枠体3から室内側に向かって突出している。障子4の開閉時には、操作部材5を回転させる。障子4は、操作部材5の回転に連動して動作し、操作部材5により操作されて、開閉する。その際、障子4は、室外側に向かって回動して開き、枠体3側に回動して閉じる。
【0014】
枠体3は、互いに組み合わされた4つの枠3B~3E(上枠3B、下枠3C、一対の縦枠3D、3E)を有し、4つの枠3B~3Eにより、開口部3Aを形成している。上枠3Bと下枠3Cは、枠体3の上下の横枠であり、枠体3の上部と下部で左右方向(横方向)に延びる。一対の縦枠3D、3E(第1縦枠3D、第2縦枠3E)は、枠体3の左右の側部に位置する側枠であり、枠体3の側部で上下方向(縦方向)に延びる。上枠3B、下枠3C、及び、左右の縦枠3D、3Eの端部同士が接続されて、枠3B~3Eが枠組みされている。
【0015】
枠体3は、互いに連結された方形状の障子枠7及び網戸枠8を有している。枠体3、障子枠7、及び、網戸枠8は、建物2の開口部に設置されて、建物2に取り付けられる。枠体3の開口部3Aは、室外側に位置する障子枠7の開口部7Aと、室内側に位置する網戸枠8の開口部8Aからなる。枠体3の開口部3Aの室外側の箇所は、障子枠7の開口部7Aであり、枠体3の開口部3Aの室内側の箇所は、網戸枠8の開口部8Aである。障子枠7は、枠体3のベース枠(本体枠)であり、障子4及び網戸枠8を囲む。障子4は、障子枠7の開口部7Aに設置されて、障子枠7に開閉可能に取り付けられている。障子4により、障子枠7の方形状の開口部7Aが開閉される。
【0016】
網戸枠8は、枠体3の一部(装着枠)であり、障子枠7に装着されて、網戸6を囲む。網戸6は、固定網戸であり、網戸枠8に取り付けられて、網戸枠8に固定されている。網戸枠8は、障子枠7の室内側の部分に対して枠体3の開口部3A側(障子枠7の内周側)に配置されて、障子枠7の室内側の部分を覆う。網戸枠8、網戸枠8の開口部8A、及び、網戸6は、障子4及び障子枠7の開口部7Aよりも室内側に位置する。網戸6は、室内外方向Sにおいて障子4と対向して、障子4に沿って配置されている。網戸枠8の方形状の開口部8Aで、方形状の網戸6により、室内側の空間と室外側の空間とが仕切られる。
【0017】
障子枠7は、互いに組み合わされた4つの枠部7B~7E(上枠部7B、下枠部7C、一対の縦枠部7D、7E)を有し、4つの枠部7B~7Eにより、開口部7Aを形成している。枠部7B~7Eは、障子枠7を構成する枠材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠部7Bと下枠部7Cは、障子枠7の上下の横枠であり、障子枠7の上部と下部で左右方向に延びる。一対の縦枠部7D、7E(第1縦枠部7D、第2縦枠部7E)は、障子枠7の左右の側部に位置する側枠であり、障子枠7の側部で上下方向に延びる。上枠部7B、下枠部7C、及び、左右の縦枠部7D、7Eの端部同士が接続されて、枠部7B~7Eが枠組みされている。
【0018】
網戸枠8は、互いに組み合わされた4つの枠部10、20、30、40(上枠部10、下枠部20、一対の縦枠部30、40)を有し、4つの枠部10、20、30、40により、開口部8Aを形成している。枠部10、20、30、40は、網戸枠8を構成する枠材であり、例えば、押出成形により形成された形材からなる。上枠部10と下枠部20は、網戸枠8の上下の横枠であり、網戸枠8の上部と下部で左右方向に延びる。一対の縦枠部30、40(第1縦枠部30、第2縦枠部40)は、網戸枠8の左右の側部に位置する側枠であり、網戸枠8の側部で上下方向に延びる。上枠部10、下枠部20、及び、左右の縦枠部30、40の端部同士が接続されて、枠部10、20、30、40が枠組みされている。
【0019】
枠体3の上枠3Bは、障子枠7の上枠部7Bと網戸枠8の上枠部10を有し、枠体3の下枠3Cは、障子枠7の下枠部7Cと網戸枠8の下枠部20を有する。枠体3の第1縦枠3Dは、障子枠7の第1縦枠部7Dと網戸枠8の第1縦枠部30を有し、枠体3の第2縦枠3Eは、障子枠7の第2縦枠部7Eと網戸枠8の第2縦枠部40を有する。操作部材5は、網戸枠8の下枠部20に取り付けられ、下枠部20から上方に突出して、網戸枠8の開口部8Aに配置されている。
【0020】
網戸6は、スクリーン体の一例であり、網戸枠8は、スクリーン枠の一例である。網戸6は、網戸枠8に装着されて、網戸枠8の開口部8Aに設置される。網戸枠8の4つの枠部10、20、30、40は、それぞれ網戸枠8の内周に位置する内周部11、21、31、41を有している(
図3、
図4参照)。内周部11、21、31、41は、網戸枠8の開口部8Aを区画する区画部であり、網戸枠8の内周側(開口部8A側)の見込み部である。また、3つの枠部10、30、40(上枠部10、縦枠部30、40)は、内周部11、31、41に凹状に形成されて、網戸枠8の開口部8Aに向かって開放された溝部12、32、42(上溝部12、縦溝部32、42)を有している。
【0021】
上枠部10の上溝部12は、網戸枠8の開口部8Aの上方に向かって窪み、縦枠部30、40の縦溝部32、42(第1縦溝部32、第2縦溝部42)は、それぞれ網戸枠8の開口部8Aの側方に向かって窪む。上枠部10及び上溝部12は、網戸枠8の開口部8Aの上縁部に設けられて、網戸枠8の開口部8Aの上縁部に沿って左右方向に延びる。左右の縦枠部30、40及び縦溝部32、42は、網戸枠8の開口部8Aの左右の縦縁部に設けられて、網戸枠8の開口部8Aの左右の縦縁部のそれぞれに沿って上下方向に延びる。上溝部12の左右の端部は、左右の縦溝部32、42(一対の縦溝部32、42)の上端部と連続して配置される。
【0022】
網戸枠8の開口部8Aの上縁部は、開口部8Aにおける上方の縁部であり、開口部8Aの左右の縦縁部の上端部の間で、左右方向に延びる。網戸枠8の開口部8Aの下縁部は、開口部8Aにおける下方の縁部であり、開口部8Aの左右の縦縁部の下端部の間で、左右方向に延びる。網戸枠8の開口部8Aの左右の縦縁部(一対の縦縁部)は、開口部8Aにおける左右の側方の縁部であり、開口部8Aの上縁部の左右の端部と下縁部の左右の端部の間で、上下方向に延びる。
【0023】
下枠部20は、内周部21に形成されて、網戸6と係合する下係合部22を有している。下枠部20及び下係合部22は、網戸枠8の開口部8Aの下縁部に設けられて、網戸枠8の開口部8Aの下縁部に沿って左右方向に延びる。このように、網戸枠8は、開口部8Aの上縁部に沿って延びる上溝部12と、開口部8Aの一対の縦縁部のそれぞれに沿って延びる一対の縦溝部32、42と、開口部8Aの下縁部に沿って延びる下係合部22を有している。網戸6は、上溝部12、縦溝部32、42、及び、下係合部22に装着されて、網戸枠8に保持される。網戸枠8は、上溝部12、縦溝部32、42、及び、下係合部22により、網戸6の上下方向、左右方向、及び、室内外方向Sの変位を規制して、網戸6を開口部8Aに保持する。
【0024】
図5は、第1実施形態の網戸6を室内側からみて示す正面図であり、
図6は、第1実施形態の網戸6を示す斜視図である。
図示のように、網戸6は、方形状のフレーム50と、フレーム50により保持された方形状のネット6A(
図6では、省略する)を有している。フレーム50は、スクリーン体のフレーム(スクリーンフレーム)の一例である網戸フレームであり、ネット6Aは、スクリーン体の弾性変形可能なスクリーンの一例である。ネット6Aは、例えば、接着剤、両面テープ、片面テープ、又は、面ファスナーにより、フレーム50に取り付けられて、フレーム50の方形状の開口部51の全体にわたって張られる。
【0025】
ネット6Aの4つの縁部(上縁部、下縁部、一対の縦縁部)がフレーム50に取り付けられている。ネット6Aの上縁部は、ネット6Aにおける上方の縁部であり、左右の縦縁部の上端部の間で左右方向に延びる。ネット6Aの下縁部は、ネット6Aにおける下方の縁部であり、左右の縦縁部の下端部の間で左右方向に延びる。ネット6Aの左右の縦縁部は、ネット6Aにおける左右の側方の縁部であり、ネット6Aの上縁部の左右の端部と下縁部の左右の端部の間で、上下方向に延びる。
【0026】
フレーム50及び網戸6は、可撓性を有し、網戸枠8への装着時及び網戸枠8からの取り外し時に、弾性変形可能である。フレーム50は、網戸枠8の上溝部12、縦溝部32、42、及び、下係合部22に装着されて、網戸枠8に取り付けられる。これにより、フレーム50は、網戸枠8に装着されて、網戸枠8に保持される。フレーム50により、ネット6Aの4つの縁部が保持されて、ネット6Aの形状が維持される。ネット6Aは、網戸枠8の開口部8Aの内側で広がり、網戸枠8の開口部8Aにおいて展開する。
【0027】
フレーム50は、それぞれ弾性変形可能な4つのフレーム部60、70、80、90(上フレーム部60、下フレーム部70、一対の縦フレーム部80、90)と4つのL字形状の連結材52、53(2つの上連結材52、2つの下連結材53)を有している。上フレーム部60は、弾性変形可能な上フレーム材61を有し、縦フレーム部80、90(第1縦フレーム部80、第2縦フレーム部90)は、それぞれ弾性変形可能な縦フレーム材81、91(第1縦フレーム材81、第2縦フレーム材91)を有している。これに対し、下フレーム部70は、弾性変形可能な下フレーム材71と、下フレーム材71に取り付けられた把手部品72と、把手部品72に形成された把手73(下把手)を有している。
【0028】
上連結材52は、上フレーム部60の左右の端部のそれぞれで、例えば、両面テープにより、上フレーム部60(上フレーム材61)と縦フレーム部80、90(縦フレーム材81、91)に取り付けられて、一対の縦フレーム部80、90のそれぞれと上フレーム部60を連結している。下連結材53は、下フレーム部70の左右の端部のそれぞれで、例えば、両面テープにより、下フレーム部70(下フレーム材71)と縦フレーム部80、90(縦フレーム材81、91)に取り付けられて、一対の縦フレーム部80、90のそれぞれと下フレーム部70を連結している。連結材52、53により、上フレーム部60、下フレーム部70、及び、左右の縦フレーム部80、90が互いに連結されて、フレーム50が枠組みされている。
【0029】
ネット6Aの上縁部は、上フレーム部60に取り付けられており、上フレーム部60は、ネット6Aの上縁部を保持している。ネット6Aの左右の縦縁部は、左右の縦フレーム部80、90に取り付けられており、一対の縦フレーム部80、90は、ネット6Aの一対の縦縁部を保持している。ネット6Aの下縁部は、下フレーム部70に取り付けられており、下フレーム部70は、ネット6Aの下縁部を保持している。把手部品72は、例えば、両面テープにより、下フレーム材71の長手方向の中央部に取り付けられており、把手部品72の把手73は、室内側に向かって突出している。
【0030】
網戸6及びフレーム50は、弾性変形しつつ網戸枠8に装着され、弾性変形しつつ網戸枠8から取り外される。その際、フレーム部60、70、80、90、連結材52、53、及び、ネット6Aが弾性変形する。網戸6及びフレーム50の網戸枠8への装着時には(
図3、
図4参照)、例えば、上フレーム部60を撓ませて、網戸6の上側部分を室内側から網戸枠8の開口部8Aに入れる。また、網戸枠8の上溝部12よりも下側の箇所で、上フレーム部60の形状を復元しつつ、左右の縦フレーム部80、90の上側部分を網戸枠8の左右の縦溝部32、42に挿入する。その状態で、網戸6を上方に移動させて、上フレーム部60を網戸枠8の上溝部12に挿入する。続いて、下フレーム部70を撓ませて、操作部材5を乗り越えさせ、網戸6の下側部分を室内側から網戸枠8の開口部8Aに入れる。続いて、下フレーム部70の形状を復元しつつ、左右の縦フレーム部80、90の下側部分を網戸枠8の左右の縦溝部32、42に挿入する。その状態で、網戸6を下方に移動させて、下フレーム部70を網戸枠8の下係合部22に係合する。
【0031】
フレーム50の上フレーム部60は、網戸枠8の開口部8Aから上方に向かって上溝部12の内部に挿入され、上溝部12内に配置されて、上溝部12に装着される。フレーム50の一対の縦フレーム部80、90は、網戸枠8の開口部8Aから側方に向かって一対の縦溝部32、42の内部に挿入され、一対の縦溝部32、42内のそれぞれに配置されて、一対の縦溝部32、42に装着される。フレーム50の下フレーム部70は、網戸枠8の開口部8Aから下方に向かって下係合部22に載置され、下係合部22に着脱可能に係合して、下係合部22に装着される。
【0032】
上フレーム部60の全体が上溝部12内に収容され、縦フレーム部80、90の全体が縦溝部32、42内に収容される。上フレーム部60は、ネット6Aの上縁部、網戸枠8の開口部8Aの上縁部、及び、上溝部12に沿って左右方向に延びる。縦フレーム部80、90は、ネット6Aの縦縁部、網戸枠8の開口部8Aの縦縁部、及び、縦溝部32、42に沿って上下方向に延びる。下フレーム部70は、ネット6Aの下縁部、網戸枠8の開口部8Aの下縁部、及び、下係合部22に沿って左右方向に延びる。下フレーム部70の把手73は、ネット6Aの室内側に位置して、網戸枠8の開口部8Aに配置される。
【0033】
図7は、第1実施形態の建具1の下係合部22と下フレーム部70を拡大して示す縦断面図であり、把手部品72の箇所で切断した下フレーム部70を示している。
図示のように、下枠部20の下係合部22は、網戸6の下フレーム部70の室外側に位置する第1壁部23と、第1壁部23の室内側に位置する第2壁部24と、第1壁部23に形成された係止部25を有している。第1壁部23と第2壁部24は、上方に向かって突出して、室内外方向Sに互いに離隔して形成されている。係止部25は、第1壁部23から室内側に突出する突起(係止突起)であり、網戸6の下フレーム部70に向かって突出する。
【0034】
下係合部22は、網戸枠8の開口部8Aの下縁部に沿って延びる溝部(下係合溝部26)であり、第1壁部23の係止部25から下側の部分と第2壁部24の間に凹状に区画されている。下係合溝部26は、網戸枠8の開口部8Aの下方に向かって窪み、上方の網戸枠8の開口部8Aに向かって開放されている。下フレーム部70は、下フレーム材71に形成された被係止部74を有している。被係止部74は、室外側に突出する突起(被係止突起)であり、下係合溝部26内で、第1壁部23に向かって突出する。下フレーム部70の被係止部74を含む下側部分が、下係合部22に係合するフレーム係合部である。
【0035】
下フレーム部70は、網戸枠8の開口部8Aから下方に向かって下係合溝部26(下係合部22)の内部に挿入されて、下係合溝部26内に配置される。これにより、下フレーム部70は、下係合溝部26に係合して、下係合溝部26に取り付けられる。ここでは、下フレーム部70の一部であるフレーム係合部が、下係合溝部26内に配置されて、下係合溝部26に係合する。また、下フレーム部70の把手部品72が設けられた部分で、下フレーム部70の下フレーム材71と把手部品72が下係合溝部26に係合する。その状態で、下フレーム部70の被係止部74は、下係合溝部26の係止部25の下方に配置されて、上下方向において、係止部25と対向する。下フレーム部70が上方に移動したときに、下フレーム部70の被係止部74は、下係合溝部26の係止部25に引っ掛かり、係止部25に係止される。被係止部74の係止部25への係止により、下フレーム部70は、下係合溝部26の係止部25に係止される。
【0036】
建具1は、上外れ止め機構、一方の縦外れ止め機構、他方の縦外れ止め機構の3つの外れ止め機構のうちの少なくとも1つの外れ止め機構(いずれか1つの外れ止め機構、いずれか2つの外れ止め機構、又は、3つの外れ止め機構)を備えている(
図3、
図4参照)。上外れ止め機構は、網戸6の上フレーム部60用の外れ止め機構であり、上フレーム部60が網戸枠8の上溝部12から外れるのを防止する。
【0037】
縦外れ止め機構は、網戸6の縦フレーム部80、90用の外れ止め機構である。一方の縦外れ止め機構は、一対の縦フレーム部80、90のうちの一方の縦フレーム部80、90が網戸枠8の一対の縦溝部32、42のうちの一方の縦溝部32、42から外れるのを防止する。他方の縦外れ止め機構は、一対の縦フレーム部80、90のうちの他方の縦フレーム部80、90が網戸枠8の一対の縦溝部32、42のうちの他方の縦溝部32、42から外れるのを防止する。
【0038】
ここでは、建具1は、3つの外れ止め機構のうちの2つの縦外れ止め機構9A、9B(第1縦外れ止め機構9A、第2縦外れ止め機構9B)を備えている(
図5、
図6参照)。第1縦外れ止め機構9Aは、一方の縦外れ止め機構であり、一方の縦フレーム部である第1縦フレーム部80が一方の縦溝部である第1縦溝部32から外れるのを防止する。第2縦外れ止め機構9Bは、他方の縦外れ止め機構であり、他方の縦フレーム部である第2縦フレーム部90が他方の縦溝部である第2縦溝部42から外れるのを防止する。
【0039】
縦外れ止め機構9A、9Bのそれぞれは、縦フレーム部80、90に設けられた縦外れ止め部品82、92(第1縦外れ止め部品82、第2縦外れ止め部品92)を有している。縦外れ止め部品82、92は、網戸6の縦フレーム部80、90用の外れ止め部品であり、それぞれ把手83、93(縦把手)を有している。第1縦外れ止め部品82は、例えば、両面テープにより、第1縦フレーム部80の第1縦フレーム材81に取り付けられている。第2縦外れ止め部品92は、例えば、両面テープにより、第2縦フレーム部90の第2縦フレーム材91に取り付けられている。
【0040】
図8は、第1実施形態の建具1の第1縦外れ止め機構9Aを拡大して示す横断面図であり、
図9は、第1実施形態の建具1の第2縦外れ止め機構9Bを拡大して示す横断面図である。
図示のように、縦外れ止め機構9A、9Bのそれぞれは、網戸枠8の縦溝部32、42に設けられた係止部33、43を有している。係止部33、43は、縦溝部32、42内で、縦外れ止め部品82、92の室内側に配置された突起(係止突起)であり、縦外れ止め部品82、92に向かって室外側に突出する。縦外れ止め部品82、92は、室内側に突出する突起(被係止突起)である被係止部84、94を有している。
【0041】
縦外れ止め部品82、92(ここでは、縦外れ止め部品82、92の把手83、93を除く部分)及び縦外れ止め部品82、92の被係止部84、94は、縦フレーム部80、90とともに、縦溝部32、42の内部に挿入されて、縦溝部32、42内に配置される。これにより、被係止部84、94は、縦溝部32、42内で、縦溝部32、42の係止部33、43の側方に配置されて、左右方向において、係止部33、43と対向する。縦外れ止め部品82、92の把手83、93は、縦溝部32、42から網戸枠8の開口部8Aに向かって突出して、縦溝部32、42の外部に配置される。また、縦外れ止め部品82、92の把手83、93は、ネット6Aの室内側に位置して、網戸枠8の開口部8Aに配置される。
【0042】
縦フレーム部80、90及び縦外れ止め部品82、92が縦溝部32、42の外部に向かって移動したときに、縦外れ止め部品82、92の被係止部84、94は、縦溝部32、42の係止部33、43に引っ掛かり、係止部33、43に係止される。被係止部84、94の係止部33、43への係止により、縦外れ止め部品82、92は、縦溝部32、42の係止部33、43に係止される。また、縦外れ止め部品82、92は、縦溝部32、42の内部で、係止部33、43により、縦溝部32、42に着脱可能に係止される。
【0043】
縦外れ止め機構9A、9Bは、縦溝部32、42に係止される縦外れ止め部品82、92により、縦フレーム部80、90を縦溝部32、42に保持して、縦フレーム部80、90が縦溝部32、42から外れるのを防止する。網戸6のフレーム50を網戸枠8に装着するときには、縦外れ止め部品82、92は、縦溝部32、42に係止可能な状態で、縦フレーム部80、90と一体に、縦溝部32、42に沿って移動する。これにより、縦フレーム部80、90が縦溝部32、42から外れるのを防止しつつ、縦溝部32、42内での縦フレーム部80、90の上下方向の移動が可能となる。
【0044】
以上説明した第1実施形態の建具1では、網戸6のフレーム50を弾性変形させて、上フレーム部60の上溝部12内への配置、縦フレーム部80、90の縦溝部32、42内への配置、及び、下フレーム部70の下係合部22への係合を行うことができる。そのため、網戸6を簡単に、かつ、安定して網戸枠8の開口部8Aに設置することができる。また、網戸6を網戸枠8にしっかりと装着することができる。
【0045】
下係合溝部26である下係合部22により、下フレーム部70を下係合部22に安定して保持することができる。縦外れ止め機構9A、9Bにより、網戸6が網戸枠8から外れるのを抑制して、網戸6を網戸枠8の開口部8Aに安定して保持することができる。縦外れ止め機構9A、9Bが縦外れ止め部品82、92を有しており、簡単な縦外れ止め機構9A、9Bにより、網戸6が網戸枠8から外れるのを抑制することができる。
【0046】
下フレーム部70の把手73と縦外れ止め部品82、92の把手83、93は、手で把持される把持部である。把手73、83、93を用いて、網戸6の網戸枠8への装着と網戸6の網戸枠8からの取り外しを行うことができる。そのため、網戸6を網戸枠8に容易に装着することができる。また、網戸6を網戸枠8から容易に取り外すこともできる。
【0047】
下フレーム部70の把手73を用いることで、下フレーム部70の下係合部22への係合、及び、下フレーム部70の下係合部22からの取り外しを容易に行うことができる。縦外れ止め部品82、92の把手83、93を用いることで、縦外れ止め部品82、92の縦溝部32、42への係止、縦外れ止め部品82、92の縦溝部32、42からの取り外し、縦フレーム部80、90の縦溝部32、42内への配置、及び、縦フレーム部80、90の縦溝部32、42からの取り外しを容易に行うことができる。
【0048】
なお、把手部品72及び把手73は、下フレーム部70の長手方向(左右方向)の一箇所に設けてもよく、下フレーム部70の長手方向の複数箇所に設けてもよい。また、縦外れ止め機構9A、9Bは、縦フレーム部80、90の長手方向(上下方向)の一箇所に設けてもよく、縦フレーム部80、90の長手方向の複数箇所に設けてもよい。2つの縦外れ止め機構9A、9Bの両方を建具1に設けてもよく、2つの縦外れ止め機構9A、9Bのうちのいずれか一方を建具1に設けてもよい。これに対し、外れ止め機構を建具1に設けないようにしてもよい。網戸枠8の下係合部22は、下枠部20の内周部21に対して、網戸枠8の開口部8Aの下方に向かって窪む下係合溝部26であってもよい。
【0049】
次に、他の実施形態の建具1について説明する。以下の各実施形態に関し、第1実施形態と同じ事項の説明は省略し、第1実施形態の構成に相当する構成には、第1実施形態の構成と同じ名称を用いる。
【0050】
(第2実施形態)
図10は、第2実施形態の建具1の上外れ止め機構9Cを拡大して示す縦断面図である。
図示のように、建具1は、縦外れ止め機構9A、9Bに加えて、又は、縦外れ止め機構9A、9Bに替えて、上外れ止め機構9Cを備えている。上外れ止め機構9Cは、上フレーム部60に設けられた上外れ止め部品62と、網戸枠8の上溝部12に設けられた係止部13を有している。
【0051】
上外れ止め部品62は、網戸6の上フレーム部60用の外れ止め部品であり、把手63(上把手)と、室内側に突出する突起(被係止突起)である被係止部64を有している。上外れ止め部品62は、例えば、両面テープにより、上フレーム部60の上フレーム材61に取り付けられている。係止部13は、上溝部12内で、上外れ止め部品62の室内側に配置された突起(係止突起)であり、上外れ止め部品62に向かって室外側に突出する。
【0052】
上外れ止め部品62(ここでは、上外れ止め部品62の把手63を除く部分)及び上外れ止め部品62の被係止部64は、上フレーム部60とともに、上溝部12の内部に挿入されて、上溝部12内に配置される。これにより、被係止部64は、上溝部12内で、上溝部12の係止部13の上方に配置されて、上下方向において、係止部13と対向する。上外れ止め部品62の把手63は、上溝部12から網戸枠8の開口部8Aに向かって突出して、上溝部12の外部に配置される。また、上外れ止め部品62の把手63は、ネット6Aの室内側に位置して、網戸枠8の開口部8Aに配置される。
【0053】
上フレーム部60及び上外れ止め部品62が上溝部12の外部に向かって移動したときに、上外れ止め部品62の被係止部64は、上溝部12の係止部13に引っ掛かり、係止部13に係止される。被係止部64の係止部13への係止により、上外れ止め部品62は、上溝部12の係止部13に係止される。また、上外れ止め部品62は、上溝部12の内部で、係止部13により、上溝部12に着脱可能に係止される。
【0054】
上外れ止め機構9Cは、上溝部12に係止される上外れ止め部品62により、上フレーム部60を上溝部12に保持して、上フレーム部60が上溝部12から外れるのを防止する。網戸6のフレーム50を網戸枠8に装着するときには、上外れ止め部品62は、上溝部12に係止可能な状態で、上フレーム部60と一体に、上溝部12に沿って移動する。これにより、上フレーム部60が上溝部12から外れるのを防止しつつ、上溝部12内での上フレーム部60の左右方向の移動が可能となる。
【0055】
以上説明した第2実施形態の建具1では、上外れ止め機構9Cにより、網戸6が網戸枠8から外れるのを抑制して、網戸6を網戸枠8の開口部8Aに安定して保持することができる。上外れ止め機構9Cが上外れ止め部品62を有しており、簡単な上外れ止め機構9Cにより、網戸6が網戸枠8から外れるのを抑制することができる。
【0056】
上外れ止め部品62の把手63は、手で把持される把持部である。把手63を用いて、網戸6の網戸枠8への装着と網戸6の網戸枠8からの取り外しを行うことができる。そのため、網戸6を網戸枠8に容易に装着することができる。また、網戸6を網戸枠8から容易に取り外すこともできる。把手63を用いることで、上外れ止め部品62の上溝部12への係止、上外れ止め部品62の上溝部12からの取り外し、上フレーム部60の上溝部12内への配置、及び、上フレーム部60の上溝部12からの取り外しを容易に行うことができる。なお、上外れ止め機構9Cは、上フレーム部60の長手方向(左右方向)の一箇所に設けてもよく、上フレーム部60の長手方向の複数箇所に設けてもよい。
【0057】
(第3実施形態)
図11は、第3実施形態の建具1の網戸6を示す斜視図であり、ネット6Aを省略して、網戸6のフレーム50を示している。
図示のように、フレーム50の2つの下連結材53は、それぞれ把手54(下把手)を有している。把手54は、下連結材53の下フレーム部70に取り付けられた部分に形成されて、下フレーム部70から室内側に向かって突出する。下フレーム部70の長手方向において、2つの下連結材53の把手54は、下フレーム部70の把手73の左右の両側に位置し、下フレーム部70の把手73は、2つの下連結材53の把手54の間に位置している。
【0058】
下連結材53の把手54は、手で把持される把持部であり、ネット6Aの室内側に位置して、網戸枠8の開口部8Aに配置される。把手54を用いて、網戸6の網戸枠8への装着と網戸6の網戸枠8からの取り外しを行うことができる。そのため、網戸6を網戸枠8に容易に装着することができる。また、網戸6を網戸枠8から容易に取り外すこともできる。なお、把手54は、2つの下連結材53のうちの少なくとも一方に設けられる。従って、把手54は、2つの下連結材53の両方に設けてもよく、2つの下連結材53のうちのいずれか一方に設けてもよい。
【0059】
(第4実施形態)
図12は、第4実施形態の建具1の下係合部22と下フレーム部70を拡大して示す縦断面図である。
図示のように、網戸6のフレーム50の下フレーム部70は、把手部品72を有していない。下フレーム部70の下フレーム材71が、網戸枠8の下係合部22に係合する。把手73は、下フレーム部70の下フレーム材71に形成されて、下フレーム部70の長手方向に延びる。このように、下フレーム部70は、下フレーム材71のみを有していてもよい。
【0060】
(第5実施形態)
図13は、第5実施形態の建具1の下係合部22と下フレーム部70を拡大して示す縦断面図である。
図示のように、網戸枠8の下係合部22は、上方に向かって突出する下係合突部27である。下係合突部27(下係合部22)は、上端部に形成された係止部28を有し、網戸枠8の開口部8Aの下縁部に沿って延びる。係止部28は、室内側に突出する突起(係止突起)である。
【0061】
網戸6のフレーム50の下フレーム部70は、凹状の下フレーム溝部75と、下フレーム溝部75に設けられた被係止部76を有している。下フレーム溝部75と被係止部76は、下フレーム材71に形成されている。下フレーム溝部75は、上方に向かって窪み、下方に向かって開放されている。下係合突部27と下フレーム溝部75は、網戸枠8の開口部8Aの下縁部に沿って左右方向に延びる。下フレーム部70の下フレーム溝部75は、網戸枠8の開口部8Aから下方に向かって移動し、下係合突部27を室内外方向Sに跨いだ状態で、下係合突部27に載置される。下係合突部27及び係止部28は、下フレーム溝部75の内部に下方から挿入されて、下フレーム溝部75内に配置される。これにより、下フレーム溝部75は、下フレーム溝部75の内部に位置する下係合突部27に係合して、下係合突部27に取り付けられる。
【0062】
下フレーム溝部75の被係止部76は、下フレーム溝部75内で、下係合突部27の室内側に配置された突起(被係止突起)であり、下係合突部27に向かって室外側に突出する。下フレーム溝部75の被係止部76は、下係合突部27の係止部28の下方に配置されて、上下方向において、係止部28と対向する。下フレーム部70が上方に移動したときに、下フレーム溝部75の被係止部76は、下係合突部27の係止部28に引っ掛かり、係止部28に係止される。被係止部76の係止部28への係止により、下フレーム部70は、下係合突部27の係止部28に係止される。また、下フレーム部70は、下フレーム溝部75により、下係合突部27に着脱可能に係合して取り付けられる。
【0063】
下係合突部27である下係合部22により、下フレーム部70を下係合部22に安定して保持することができる。なお、把手部品72を下フレーム材71に取り付け、或いは、把手73を下フレーム材71に形成して、把手73を下フレーム部70に設けてもよい。
【0064】
(第6実施形態)
図14は、第6実施形態の建具1の第1縦外れ止め機構9Aを拡大して示す横断面図である。
図示のように、第1縦外れ止め機構9Aは、第1縦外れ止め部品82を有しておらず、被係止部85を有している。被係止部85は、室内側に突出する突起(被係止突起)であり、第1縦フレーム部80の第1縦フレーム材81に形成されている。網戸枠8の第1縦溝部32内で、第1縦溝部32の係止部33は、第1縦フレーム部80の第1縦フレーム材81に向かって室外側に突出する。第1縦フレーム部80の被係止部85は、第1縦溝部32の係止部33の側方に配置されて、左右方向において、係止部33と対向する。
【0065】
第1縦フレーム部80が第1縦溝部32の外部に向かって移動したときに、第1縦フレーム部80の被係止部85は、第1縦溝部32の係止部33に引っ掛かり、係止部33に係止される。被係止部85の係止部33への係止により、第1縦フレーム部80は、第1縦溝部32の係止部33に係止される。また、第1縦フレーム部80は、第1縦溝部32の内部で、係止部33により、第1縦溝部32に着脱可能に係止される。
【0066】
第1縦外れ止め機構9Aは、第1縦溝部32に係止される被係止部85により、第1縦フレーム部80を第1縦溝部32に保持して、第1縦フレーム部80が第1縦溝部32から外れるのを防止する。被係止部85を第1縦フレーム材81に形成することで、第1縦外れ止め機構9Aの部品の数が削減される。なお、第2縦外れ止め機構9Bと上外れ止め機構9Cを第1縦外れ止め機構9Aと同様に構成して、第2縦外れ止め機構9Bに第2縦外れ止め部品92を設けず、上外れ止め機構9Cに上外れ止め部品62を設けないようにしてもよい。このように、外れ止め機構9A、9B、9Cは、外れ止め部品を有していない外れ止め機構であってもよい。
【0067】
(第7実施形態)
図15は、第7実施形態の建具1の第1縦外れ止め機構9Aを拡大して示す横断面図である。
図示のように、第1縦外れ止め機構9Aは、第1縦外れ止め部品82を有しておらず、網戸枠8の開口部8Aの縦縁部に設けられた保持部材34を有している。保持部材34は、網戸枠8の第1縦枠部30の内周部31に移動可能に取り付けられて、第1縦枠部30の内周部31に沿って室内外方向Sにスライドして移動する。
【0068】
保持部材34は、第1縦フレーム部80を第1縦溝部32に保持する室外側の保持位置(
図15B参照)と、第1縦溝部32への第1縦フレーム部80の保持を解除する室内側の解除位置(
図15A参照)との間で移動する。保持部材34の保持位置は、保持部材34により、第1縦溝部32を閉鎖する閉鎖位置であり、保持部材34の解除位置は、保持部材34により、第1縦溝部32が網戸枠8の開口部8Aに向かって開放される開放位置である。第1縦フレーム部80が第1縦溝部32内に配置された状態で、保持部材34は、解除位置から室外側に向かって保持位置まで移動して、保持位置に配置される。第1縦フレーム部80が保持部材34に接触して、保持部材34により、第1縦フレーム部80が第1縦溝部32に保持される。
【0069】
第1縦外れ止め機構9Aは、保持部材34により、第1縦フレーム部80が第1縦溝部32から外れるのを防止する。保持部材34により、第1縦フレーム部80を第1縦溝部32にしっかりと保持することができる。なお、第2縦外れ止め機構9Bと上外れ止め機構9Cを第1縦外れ止め機構9Aと同様に構成して、第2縦外れ止め機構9Bと上外れ止め機構9Cに保持部材34を設けるようにしてもよい。このように、種々の外れ止め機構9A、9B、9Cにより、網戸6のフレーム部60、80、90が網戸枠8の溝部12、32、42から外れるのを防止することができる。
【0070】
なお、枠体3の障子枠7と網戸枠8は、別個の枠にして、互いに組み合わせてもよい。これに対し、障子枠7の部分と網戸枠8の部分を枠体3に形成して、障子枠7と網戸枠8を1つの枠体3に一体に形成してもよい。また、建具1は、網戸6以外のスクリーン体を備えた建具であってもよい。この場合には、スクリーン体のスクリーンは、ネット6A以外の弾性変形可能なスクリーン(例えば、シート)である。本発明は、縦すべり出し窓以外の種々の建具(例えば、外開き窓、外倒し窓、引き違い窓、固定窓)に適用することができる。
【0071】
以上のように、建具は、スクリーン枠の開口部に設置されるスクリーン体を備えた建具であって、
前記スクリーン枠は、前記開口部の上縁部に沿って延びる上溝部と、前記開口部の一対の縦縁部に沿って延びる一対の縦溝部と、前記開口部の下縁部に設けられた下係合部と、を有し、
前記スクリーン体は、前記スクリーン枠への装着時に弾性変形可能なフレームと、前記フレームにより保持されて前記開口部で展開するスクリーンと、を有し、
前記フレームは、前記スクリーンの上縁部を保持して前記上溝部内に配置される上フレーム部と、前記スクリーンの一対の縦縁部を保持して一対の前記縦溝部内に配置される一対の縦フレーム部と、前記スクリーンの下縁部を保持して前記下係合部に係合する下フレーム部と、を有する建具である。
従って、建具のスクリーン体を簡単に、かつ、安定してスクリーン枠の開口部に設置することができる。
【0072】
建具は、前記上フレーム部が前記上溝部から外れるのを防止する上外れ止め機構、一方の前記縦フレーム部が一方の前記縦溝部から外れるのを防止する一方の縦外れ止め機構、他方の前記縦フレーム部が他方の前記縦溝部から外れるのを防止する他方の縦外れ止め機構のうちの少なくとも1つを備える。
従って、スクリーン体がスクリーン枠から外れるのを抑制して、スクリーン体をスクリーン枠の開口部に安定して保持することができる。
【0073】
前記上外れ止め機構は、前記上フレーム部に設けられて、前記上溝部に係止される上外れ止め部品を有し、
前記縦外れ止め機構は、前記縦フレーム部に設けられて、前記縦溝部に係止される縦外れ止め部品を有する。
従って、簡単な外れ止め機構により、スクリーン体がスクリーン枠から外れるのを抑制することができる。
【0074】
前記上外れ止め部品は、前記開口部に配置される把手を有し、
前記縦外れ止め部品は、前記開口部に配置される把手を有する。
把手を用いて、スクリーン体をスクリーン枠に容易に装着することができる。また、上外れ止め部品の把手を用いることで、上外れ止め部品の上溝部への係止、及び、上フレーム部の上溝部内への配置を容易に行うことができる。縦外れ止め部品の把手を用いることで、縦外れ止め部品の縦溝部への係止、及び、縦フレーム部の縦溝部内への配置を容易に行うことができる。
【0075】
前記下フレーム部は、前記開口部に配置される把手を有する。
把手を用いて、スクリーン体をスクリーン枠に容易に装着することができる。また、下フレーム部の把手を用いることで、下フレーム部の下係合部への係合を容易に行うことができる。
【0076】
前記フレームは、一対の前記縦フレーム部のそれぞれと前記下フレーム部を連結する下連結材を有し、
前記下連結材は、前記開口部に配置される把手を有する。
把手を用いて、スクリーン体をスクリーン枠に容易に装着することができる。
【0077】
前記下係合部は、前記開口部の下縁部に沿って延びる下係合溝部であり、
前記下フレーム部は、前記下係合溝部内に配置されて、前記下係合溝部に係合する。
下係合溝部により、下フレーム部を下係合部に安定して保持することができる。
【0078】
前記下係合部は、前記開口部の下縁部に沿って延びる下係合突部であり、
前記下フレーム部は、前記下係合突部に載置されて、前記下係合突部に係合する下フレーム溝部を有する。
下係合突部により、下フレーム部を下係合部に安定して保持することができる。
【符号の説明】
【0079】
1・・・建具、2・・・建物、3・・・枠体、3A・・・開口部、3B・・・上枠、3C・・・下枠、3D・・・第1縦枠、3E・・・第2縦枠、4・・・障子、5・・・操作部材、6・・・網戸、6A・・・ネット、7・・・障子枠、7A・・・開口部、7B・・・上枠部、7C・・・下枠部、7D・・・第1縦枠部、7E・・・第2縦枠部、8・・・網戸枠、8A・・・開口部、9A・・・第1縦外れ止め機構、9B・・・第2縦外れ止め機構、9C・・・上外れ止め機構、10・・・上枠部、11・・・内周部、12・・・上溝部、13・・・係止部、20・・・下枠部、21・・・内周部、22・・・下係合部、23・・・第1壁部、24・・・第2壁部、25・・・係止部、26・・・下係合溝部、27・・・下係合突部、28・・・係止部、30・・・第1縦枠部、31・・・内周部、32・・・第1縦溝部、33・・・係止部、34・・・保持部材、40・・・第2縦枠部、41・・・内周部、42・・・第2縦溝部、43・・・係止部、50・・・フレーム、51・・・開口部、52・・・上連結材、53・・・下連結材、54・・・把手、60・・・上フレーム部、61・・・上フレーム材、62・・・上外れ止め部品、63・・・把手、64・・・被係止部、70・・・下フレーム部、71・・・下フレーム材、72・・・把手部品、73・・・把手、74・・・被係止部、75・・・下フレーム溝部、76・・・被係止部、80・・・第1縦フレーム部、81・・・第1縦フレーム材、82・・・第1縦外れ止め部品、83・・・把手、84・・・被係止部、85・・・被係止支部、90・・・第2縦フレーム部、91・・・第2縦フレーム材、92・・・第2縦外れ止め部品、93・・・把手、94・・・被係止部、S・・・室内外方向。