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特開2023-25573揮発性有機化合物の分析方法及び分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025573
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】揮発性有機化合物の分析方法及び分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/08 20060101AFI20230215BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20230215BHJP
   G01N 30/50 20060101ALI20230215BHJP
   B01J 20/287 20060101ALI20230215BHJP
   B01J 20/281 20060101ALI20230215BHJP
   G01N 33/18 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
G01N30/08 L
G01N30/26 A
G01N30/50
B01J20/287
B01J20/281 X
B01J20/281 G
G01N33/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130900
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(71)【出願人】
【識別番号】000173566
【氏名又は名称】一般財団法人 化学物質評価研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】渋川 雅美
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕太
(72)【発明者】
【氏名】緒方 伸也
(57)【要約】
【課題】水試料中の揮発性有機化合物を定量的かつ簡便に分離して高い精度で定量分析することが可能な揮発性有機化合物の分析方法を提供する。
【解決手段】捕集カラム4に複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を第1の移動相1とともに流入させて、揮発性有機化合物を捕集カラム4に捕集する工程と、捕集カラム4に水溶性有機溶媒を含有する第2の移動相2を流通させて、揮発性有機化合物を捕集カラム4から流出させる工程と、揮発性有機化合物を分離カラム12に流入させて、揮発性有機化合物を分離する工程と、分離した揮発性有機化合物を検出する工程と、を有し、捕集カラム4は、その内部に気相が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子が充填剤として充填されたものであり、第1の移動相1が、無機塩を0.5mol/L以上含有する無機塩水溶液である揮発性有機化合物の分析方法である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体クロマトグラフ用の捕集カラムに複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を第1の移動相とともに流入させて、前記揮発性有機化合物を前記捕集カラムに捕集する工程と、
前記揮発性有機化合物を捕集した前記捕集カラムに水溶性有機溶媒を含有する第2の移動相を流通させて、前記揮発性有機化合物を前記捕集カラムから流出させる工程と、
前記捕集カラムから流出させた前記揮発性有機化合物を液体クロマトグラフ用の分離カラムに流入させて、前記揮発性有機化合物を分離する工程と、
分離した前記揮発性有機化合物を検出する工程と、を有し、
前記捕集カラムは、その内部に気相が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子が充填剤として充填されたものであり、
前記第1の移動相が、塩類を0.5mol/L以上含有する塩類水溶液である揮発性有機化合物の分析方法。
【請求項2】
前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに水を含む第3の移動相を導入するとともに、55℃以上に加温する又は不活性ガスを導入して前記捕集カラムを再生する工程をさらに有する請求項1に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
【請求項3】
前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに不活性ガスを導入して前記捕集カラムを再生する工程をさらに有する請求項1に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
【請求項4】
前記多孔性微粒子が、その表面に化学修飾基を有するシリカ系充填剤であり、
前記化学修飾基が、水素原子がシアノ基、水酸基、カルボキシ基、酸アミド基、イミド基、スルホン酸基、アミノ基、グリセロイド基、ハロゲン原子、若しくはアリール基で置換されていてもよい、炭素数1~50のアルキル基又は炭素数6~50のアリール基である請求項1~3のいずれか一項に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
【請求項5】
前記多孔性微粒子が、オクタデシル基結合シリカゲル、オクチル基結合シリカゲル、ブチル基結合シリカゲル、トリアコンチル基結合シリカゲル、フェニルヘキシル基結合シリカゲル、及びフェニル基結合シリカゲルからなる群より選択される少なくとも一種のシリカ系充填剤である請求項1~4のいずれか一項に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
【請求項6】
前記多孔性微粒子の前記細孔の平均細孔径が、3~30nmであり、
前記多孔性微粒子の平均粒子径が、1~50μmである請求項1~5のいずれか一項に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
【請求項7】
前記塩類が、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸アンモニウム、及び酢酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも一種である請求項1~6のいずれか一項に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
【請求項8】
塩類を0.5mol/L以上含有する塩類水溶液である第1の移動相と、
水溶性有機溶媒を含有する第2の移動相と、
液体クロマトグラフ用の捕集カラム及び分離カラムと、
前記捕集カラムに、複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を前記第1の移動相とともに流入させる第1の加圧機構と、
前記揮発性有機化合物を捕集した前記捕集カラムに前記第2の移動相を流通させて、前記揮発性有機化合物を前記捕集カラムから流出させるとともに、流出させた前記揮発性有機化合物を前記分離カラムに流入させる第2の加圧機構と、
前記分離カラムで分離した前記揮発性有機化合物を検出する検出部と、を備え、
前記捕集カラムは、その内部に気相が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子が充填剤として充填されたものである揮発性有機化合物の分析システム。
【請求項9】
前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムを再生する再生機構をさらに備え、
前記再生機構が、
水を含む第3の移動相と、
前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに前記第3の移動相を導入させる第3の加圧機構と、
前記捕集カラムを55℃以上に加温する加温機構、又は前記捕集カラムに不活性ガスを導入する不活性ガス導入機構と、を有する請求項8に記載の揮発性有機化合物の分析システム。
【請求項10】
前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムを再生する再生機構をさらに備え、
前記再生機構が、前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに不活性ガスを導入させる不活性ガス導入機構を有する請求項8に記載の揮発性有機化合物の分析システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揮発性有機化合物の分析方法、及びそれに用いる分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水試料中の有機化合物を定量分析する方法としては、ガスクロマトグラフィー(GC)分析法や高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法等が知られている。これらの分析法によって、地下水等の水試料に含まれる微量の有機化合物を定量分析しようとする場合、分析精度を向上すべく、水試料から有機化合物を抽出するとともに、一定以上の量となるまで濃縮してから分析する必要がある。すなわち、分析精度を高めるには所定の前処理を繰り返し行う必要があった。このため、水試料中の有機化合物をより簡便な操作で高精度に定量しうる手法が求められていた。
【0003】
水試料中の有機化合物をより簡便な操作で分析するための技術として、例えば、疎水性化合物を選択的に捕集することが可能な、その内部に気相(気体)が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子を充填した液体クロマトグラフ用のカラム、及びそれを用いた疎水性化合物の分析方法が提案されている(非特許文献1及び2)。さらに、水試料中のベンゼンやトルエン等の揮発性有機化合物(VOC)を非特許文献1及び2で提案されたカラムに捕集して濃縮した後、一般的な逆相(RP)カラムへと導いて分離及び分析する方法が提案されている(非特許文献3)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Analytical Chemistry, 2015, 87, p.1180-1187
【非特許文献2】The Journal of Physical Chemistry C, 2018, 122, p.4409-4418
【非特許文献3】日本分析化学会第67年会要旨集(2018年)「H1004 表面気泡変調液体クロマトグラフィーによる前濃縮を用いた水試料中の揮発性有機化合物のHPLC分析」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献3で提案された方法によれば、水試料中のベンゼンやトルエン等の揮発性有機化合物を高精度に定量分析することが可能であった。しかしながら、揮発性有機化合物のなかでも、ジクロロメタン、クロロホルム、及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素を高精度に定量分析することは困難であり、さらなる改良の余地があった。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、水試料中の揮発性有機化合物を定量的かつ簡便に分離して高い精度で定量分析することが可能な揮発性有機化合物の分析方法を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、この揮発性有機化合物の分析方法に用いる分析システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明によれば、以下に示す揮発性有機化合物の分析方法が提供される。
[1]液体クロマトグラフ用の捕集カラムに複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を第1の移動相とともに流入させて、前記揮発性有機化合物を前記捕集カラムに捕集する工程と、前記揮発性有機化合物を捕集した前記捕集カラムに水溶性有機溶媒を含有する第2の移動相を流通させて、前記揮発性有機化合物を前記捕集カラムから流出させる工程と、前記捕集カラムから流出させた前記揮発性有機化合物を液体クロマトグラフ用の分離カラムに流入させて、前記揮発性有機化合物を分離する工程と、分離した前記揮発性有機化合物を検出する工程と、を有し、前記捕集カラムは、その内部に気相が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子が充填剤として充填されたものであり、前記第1の移動相が、塩類を0.5mol/L以上含有する塩類水溶液である揮発性有機化合物の分析方法。
[2]前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに水を含む第3の移動相を導入するとともに、55℃以上に加温する又は不活性ガスを導入して前記捕集カラムを再生する工程をさらに有する前記[1]に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
[3]前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに不活性ガスを導入して前記捕集カラムを再生する工程をさらに有する前記[1]に記載の揮発性有機化合物の分析方法。
[4]前記多孔性微粒子が、その表面に化学修飾基を有するシリカ系充填剤であり、
前記化学修飾基が、水素原子がシアノ基、水酸基、カルボキシ基、酸アミド基、イミド基、スルホン酸基、アミノ基、グリセロイド基、ハロゲン原子、若しくはアリール基で置換されていてもよい、炭素数1~50のアルキル基又は炭素数6~50のアリール基である前記[1]~[3]のいずれかに記載の揮発性有機化合物の分析方法。
[5]前記多孔性微粒子が、オクタデシル基結合シリカゲル、オクチル基結合シリカゲル、ブチル基結合シリカゲル、トリアコンチル基結合シリカゲル、フェニルヘキシル基結合シリカゲル、及びフェニル基結合シリカゲルからなる群より選択される少なくとも一種のシリカ系充填剤である前記[1]~[4]のいずれかに記載の揮発性有機化合物の分析方法。
[6]前記多孔性微粒子の前記細孔の平均細孔径が、3~30nmであり、前記多孔性微粒子の平均粒子径が、1~50μmである前記[1]~[5]のいずれかに記載の揮発性有機化合物の分析方法。
[7]前記塩類が、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸アンモニウム、及び酢酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも一種である前記[1]~[6]のいずれかに記載の揮発性有機化合物の分析方法。
【0008】
また、本発明によれば、以下に示す揮発性有機化合物の分析システムが提供される。
[8]塩類を0.5mol/L以上含有する塩類水溶液である第1の移動相と、水溶性有機溶媒を含有する第2の移動相と、液体クロマトグラフ用の捕集カラム及び分離カラムと、前記捕集カラムに、複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を前記第1の移動相とともに流入させる第1の加圧機構と、前記揮発性有機化合物を捕集した前記捕集カラムに前記第2の移動相を流通させて、前記揮発性有機化合物を前記捕集カラムから流出させるとともに、流出させた前記揮発性有機化合物を前記分離カラムに流入させる第2の加圧機構と、前記分離カラムで分離した前記揮発性有機化合物を検出する検出部と、を備え、前記捕集カラムは、その内部に気相が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子が充填剤として充填されたものである揮発性有機化合物の分析システム。
[9]前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムを再生する再生機構をさらに備え、前記再生機構が、水を含む第3の移動相と、前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに前記第3の移動相を導入させる第3の加圧機構と、前記捕集カラムを55℃以上に加温する加温機構、又は前記捕集カラムに不活性ガスを導入する不活性ガス導入機構と、を有する前記[8]に記載の揮発性有機化合物の分析システム。
[10]前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムを再生する再生機構をさらに備え、前記再生機構が、前記揮発性有機化合物を流出させた前記捕集カラムに不活性ガスを導入させる不活性ガス導入機構を有する前記[8]に記載の揮発性有機化合物の分析システム。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、水試料中の揮発性有機化合物を定量的かつ簡便に分離して高い精度で定量分析することが可能な揮発性有機化合物の分析方法を提供することができる。また、本発明によれば、この揮発性有機化合物の分析方法に用いる分析システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の揮発性有機化合物の分析システムの一実施形態を示す模式図である。
図2】分析例1の結果を示すクロマトグラムである。
図3A】分析例2の結果を示すクロマトグラムである。
図3B図3Aの一部拡大図である。
図4】実施例1のVOC分析の結果を示すクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<揮発性有機化合物の分析方法>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明者らは、非特許文献3で提案された方法において、ジクロロメタン、クロロホルム、及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素の高精度な定量分析が困難になる理由について検討した。その結果、ハロゲン化炭化水素はベンゼン、トルエン、及びキシレン等の非ハロゲン系の揮発性有機化合物に比して水に溶けやすい(水溶解度が高い)こと;及び水溶解度が相対的に高いことにより、その内部に気相(気体)が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子を充填した捕集カラムに十分に捕集されないこと;を知見した。
【0012】
さらなる検討の結果、本発明者らは、揮発性有機化合物を含有する水試料を捕集用カラムに導入する際に用いる移動相として、所定濃度以上の塩類を含有する塩類水溶液を用いることで、水溶解度が相対的に高いハロゲン系の揮発性有機化合物を捕集カラムに効率的に捕集させうることを見出し、本発明に至った。
【0013】
すなわち、本発明の揮発性有機化合物の分析方法(以下、単に「分析方法」とも記す)は、揮発性有機化合物を捕集カラムに捕集する工程(捕集工程)、揮発性有機化合物を捕集カラムから流出させる工程(流出工程)、揮発性有機化合物を分離する工程(分離工程)、及び揮発性有機化合物を検出する工程(検出工程)を有する。捕集工程は、液体クロマトグラフ用の捕集カラムに複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を第1の移動相とともに流入させて、揮発性有機化合物を捕集カラムに捕集する工程である。この捕集カラムは、その内部に気相が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子が充填剤として充填されたものである。そして、第1の移動相が、塩類を0.5mol/L以上含有する塩類水溶液である。以下、本発明の揮発性有機化合物の分析方法の詳細について説明する。
【0014】
(捕集工程)
捕集工程では、液体クロマトグラフ用の捕集カラムに複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を第1の移動相とともに流入させる。これにより、揮発性有機化合物を捕集カラムに捕集する。分析対象となる試料としては、水を主成分とする水試料等を挙げることができる。水試料の具体例としては、河川・湖水、海水、地下水、工業排水等を挙げることができる。揮発性有機化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の非ハロゲン系有機化合物;ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン系炭化水素;各種医薬品及び農薬等の有機化合物;等を挙げることができる。本発明の分析方法では、水溶性が相対的に小さいベンゼン等の非ハロゲン系有機化合物、及び水溶性が相対的に大きいジクロロメタン等のハロゲン系炭化水素のいずれを分析対象とした場合であっても、高精度に分析することができる。なかでも、本発明の分析方法では、ベンゼン等の非ハロゲン系有機化合物に比して水に溶けやすいハロゲン系有機化合物であっても正確に定量することができるため、非ハロゲン系有機化合物を含有する水試料を分析対象とすることが好ましい。特に、本発明の分析方法は、例えば25℃の水への溶解度が2g/L以上、好ましくは3g/L以上、さらに好ましくは5g/L以上の揮発性有機化合物を含有する水試料を分析する方法として有用である。
【0015】
捕集カラムは、その内部に気相が固定化された多数の細孔を有する疎水性の多孔性微粒子が充填剤として充填されたものである。この捕集カラムは、いわゆる「表面気泡変調液体クロマトグラフィー(SBMLC)カラム」(以下、「SBMLCカラム」とも記す)であり、非特許文献1~3等において開示されている。SMBLCカラム内では、水等の移動相と、疎水性の多孔性微粒子との界面の面積が極めて小さいので、親水性官能基等を持った親水性化合物は実質的に保持されない。これに対して、揮発性の疎水性化合物は、固定化された気相を通じて多孔性微粒子表面の化学修飾基層内部に分配されるので、SMBLCカラム内に効率的に保持される。
【0016】
SMBLCカラムに充填される多孔性微粒子としては、その表面に化学修飾基を有するシリカ系充填剤を用いることができる。このシリカ系充填剤の表面に結合する化学修飾基としては、炭素数1~50のアルキル基、及び炭素数6~50のアリール基等を挙げることができる。これらのアルキル基及びアリール基は、水素原子がシアノ基、水酸基、カルボキシ基、酸アミド基、イミド基、スルホン酸基、アミノ基、グリセロイド基、ハロゲン原子、又はアリール基で置換されていてもよい。
【0017】
多孔性微粒子は、オクタデシル基結合シリカゲル、オクチル基結合シリカゲル、ブチル基結合シリカゲル、トリアコンチル基結合シリカゲル、フェニルヘキシル基結合シリカゲル、及びフェニル基結合シリカゲル等のシリカ系充填剤である。
【0018】
なかでも、化学修飾基としてはオクタデシルシリル(ODS)基が好ましい。すなわち、SMBLCカラムに充填される多孔性微粒子としては、ODS基で表面が化学修飾された多孔性球状シリカゲルが好ましい。なお、多孔性微粒子の細孔の平均細孔径は、3~30nmであることが好ましく、4~10nmであることがさらに好ましい。また、多孔性微粒子の平均粒子径は、1~50μmであることが好ましく、5~40μmであることがさらに好ましい。
【0019】
第1の移動相(溶離液)は、塩類を0.5mol/L以上含有する塩類水溶液である。複数種の揮発性有機化合物を含有する試料を第1の移動相とともに捕集カラムに流入させることで、疎水性の揮発性有機化合物と、親水性化合物とを分離しつつ、実質的に揮発性有機化合物のみを捕集カラムに捕集させることができる。さらに、所定濃度以上の塩類を含有する塩類水溶液を第1の移動相として用いることで、これまで捕集させることが困難であった、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の非ハロゲン系の有機化合物に比して水溶解度が高いハロゲン化炭化水素を捕集カラムに効率的に捕集させることができる。なお、捕集カラムへのハロゲン化炭化水素の捕集率をより向上させる観点からは、第1の移動相として用いる塩類水溶液中の塩類の含有量は、0.75mol/L以上とすることが好ましく、0.9mol/L以上とすることがさらに好ましい。塩類水溶液中の塩類の含有量の上限については特に限定されず、例えば、3mol/L以下であればよい。
【0020】
塩類としては、ハロゲン化アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、硫酸アルカリ金属、リン酸アルカリ金属等の無機塩の他、各種の有機塩等を用いることができる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができる。アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等を挙げることができる。ハロゲン化アルカリ金属及びハロゲン化アルカリ土類金属等に含まれるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。なかでも、塩類としては、リン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、ギ酸アンモニウム、及び酢酸アンモニウムが好ましい。これらの塩類は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
また、塩類として、一般的な逆相カラムクロマトグラフィーに用いられる緩衝液を構成する塩類を用いることができる。すなわち、緩衝液を第1の移動相として用いることができる。緩衝液としては、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等を挙げることができる。
【0022】
捕集カラム(SBMLCカラム)は、例えば、以下の方法によって準備することができる。まず、ODS基で表面が化学修飾された多孔性球状シリカゲル等の多孔性微粒子を充填したカラムに揮発性の有機溶媒を通液し、カラム内の空隙を有機溶媒で満たす。次いで、カラム両端のプラグを外してオーブン内に設置し、70℃前後に加熱して乾燥させる。その後、カラムを分析システムに取り付け、圧力及び流量を適切に制御しながらカラムに純水を通液することで、多孔性微粒子の細孔内に気相が固定化された捕集カラム(SBMLCカラム)とすることができる。
【0023】
また、後述する捕集カラムを再生する方法と同様の方法によっても、SBMLCカラムを準備することができる。すなわち、多孔性微粒子を充填したカラムに第1の移動相や水等の溶媒を加圧通液して満たした後、加圧を停止する。次いで、55℃以上にカラムを加熱することで、多孔性微粒子の細孔内に気相が固定化された捕集カラム(SBMLCカラム)とすることができる。
【0024】
(流出工程)
流出工程では、揮発性有機化合物を捕集した捕集カラムに水溶性有機溶媒を含有する第2の移動相を流通させる。これにより、揮発性有機化合物を捕集カラムから流出させることができる。第2の移動相(溶離液)に用いる水溶性有機溶媒としては、逆相カラムクロマトグラフィーに用いられる通常の水溶性有機溶媒を用いることができる。このような水溶性有機溶媒としては、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0025】
第2の移動相としては、通常、水溶性有機溶媒と水の混合溶媒を用いる。混合溶媒中の水溶性有機溶媒と水の比は、適宜設定すればよい。具体的には、水溶性有機溶媒:水(体積比)=10:90~90:10の範囲内、好ましくは水溶性有機溶媒:水(体積比)=20:80~80:20の範囲内で任意に設定することができる。
【0026】
(分離工程)
分離工程では、捕集カラムから流出させた揮発性有機化合物を液体クロマトグラフ用の分離カラムに流入させる。これにより、揮発性有機化合物を分離することができる。分離カラムは、複数種の揮発性有機化合物を分離可能な液体クロマトグラフ用のカラムであればよい。但し、アセトニトリル等の水溶性有機溶媒を含有する第2の移動相とともに揮発性有機化合物を流入させることを考慮すると、逆相(RP)クロマトグラフィー用のカラムを用いることが好ましい。
【0027】
複数種の揮発性有機化合物を分離カラムで分離する際の溶離液としては、上記の通り、揮発性有機化合物とともに捕集カラムから流出した第2の移動相をそのまま用いればよい。
【0028】
(検出工程)
検出工程では、分離カラムで分離した揮発性有機化合物を検出する。揮発性有機化合物を検出するには、高速液体クロマトグラフィーに用いられる一般的な検出器を用いることができる。検出器としては、例えば、フォトダイオードアレイ検出器、紫外可視吸光光度検出器、蛍光検出器、示差屈曲率検出器、及び蒸発光散乱検出器、質量分析計等を挙げることができる。検出器は、分析対象となる揮発性有機化合物の特性等に応じて適宜選択して用いればよい。以上の各工程を経由することにより、試料中の複数種の揮発性有機化合物の種類及び含有量を分析及び測定することができる。
【0029】
(再生工程)
本発明の分析方法は、さらに、揮発性有機化合物を流出させた捕集カラムに水を含む第3の移動相を導入するとともに、55℃以上に加温する又は不活性ガスを導入して捕集カラムを再生する工程(再生工程)を有することが好ましい。このような再生工程を設けることで、捕集カラムをほぼ分析前の状態(揮発性有機化合物を捕集させる前の状態)へと戻すことができるので、分析の度毎に捕集カラムを分析システムから取り外して再生する必要がなく、連続分析が可能となる。
【0030】
第3の移動相としては、水を含む溶離液を用いる。第3の移動相として水を用いることが好ましいが、揮発性有機化合物の捕集に用いる第1の移動相を用いることもできる。捕集カラムを加温するには、カラムオーブンや恒温槽等を用いることができる。捕集カラムは、55℃以上、好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上に加温する。水を含む第3の移動相を導入した状態で所定の温度以上に加温することにより、捕集カラムに充填された多孔性微粒子の細孔内に気相を再度固定化することができる。また、第3の移動相を導入後の捕集カラムに、さらに不活性ガスを導入することによっても、捕集カラムに充填された多孔性微粒子の細孔内に気相を再度固定化することができる。不活性ガスとしては、窒素ガス、乾燥空気(純空気)、アルゴンガス、ヘリウムガス等の乾燥した不活性なガス用いることができる。
【0031】
また、再生工程では、揮発性有機化合物を流出させた捕集カラムに不活性ガスを導入して捕集カラムを再生してもよい。このように、捕集カラムに不活性ガスを導入することによっても、捕集カラムに充填された多孔性微粒子の細孔内に気相を再度固定化することができる。なお、不活性ガスの導入する際の捕集カラムの温度は、例えば、10~80℃とすればよい。
【0032】
<揮発性有機化合物の分析システム>
図1は、本発明の揮発性有機化合物の分析システム(以下、単に「分析システム」とも記す)の一実施形態を示す模式図である。図1に示す実施形態の揮発性有機化合物の分析システム100は、前述の揮発性有機化合物の分析方法に用いるシステムであり、第1の移動相1、第2の移動相2、液体クロマトグラフ用の捕集カラム4及び分離カラム12、ポンプ8,18等の第1の加圧機構及び第2の加圧機構、並びに検出器10等の検出部を備える。
【0033】
第1の移動相1は、ポンプ8で加圧されて送液される。複数種の揮発性有機化合物を含有する試料はインジェクター14から系内に導入され、第1の移動相1とともに捕集カラム4に流入する。捕集カラム4内に試料が流入することで、試料中の揮発性有機化合物が捕集カラム4に捕集されるとともに、捕集されなかった試料中の成分は、第1の移動相1とともに捕集カラム4から流出し、廃液5へと移動する。
【0034】
6方バルブ20を切り替えた後、ポンプ18で加圧された第2の移動相2を捕集カラム4に流入させる。これにより、捕集された揮発性有機化合物を捕集カラム4から流出させるとともに、分離カラム12に流入させることができる。次いで、揮発性有機化合物は分離カラム12で分離された後、分離カラム12から流出して検出器10に導入されて同定される。その後、残余の溶離液は廃液15に貯留される。
【0035】
本実施形態の分析システム100は、揮発性有機化合物を流出させた捕集カラム4を再生する再生機構をさらに備える。再生機構は、捕集カラム4に第3の移動相3を導入させるポンプ8等の第3の加圧機構、及び捕集カラム4を55℃以上に加温する加温機構6を有する。なお、図1に示すように、第3の移動相3を加圧する加圧機構(ポンプ8)は、第2の移動相2を加圧する加圧機構(ポンプ8)と兼用してもよい。
【0036】
分析後、再生機構を使用し、以下の手順にしたがって捕集カラム4を再生することができる。まず、水等の第3の移動相3をポンプ8で加圧して送液し、捕集カラム4に流入させる。そして、加温機構6により捕集カラム4を所定の温度以上に加温する。捕集カラム4を加温する温度及び時間は、カラム内の気相生成率(FSBMLC(%))を測定することによって実験的に設定することができる。SBMLCカラム内の気相生成率F(n=3)の温度依存性を表1に示す。また、65℃におけるSBMLCカラム内の気相生成率F(n=3)の時間依存性を表2に示す。
【0037】
【0038】
【0039】
表1に示すように、カラム温度を50℃に設定した場合と、60℃に設定した場合とで、気相生成率に顕著な差が生じていることがわかる。すなわち、再生工程では、加温機構6により捕集カラム4を55℃以上に加温する。また、表2に示すように、3分間以上加温することで、気相生成率がほぼ平衡に達したことがわかる。なお、捕集カラム4の加温時間は、捕集カラム4のサイズ(容積)等に応じて適宜設定すればよい。
【0040】
次いで、捕集カラム4を室温付近(20~30℃)となるまで冷却した後、平衡となるまで水等の第3の移動相3を捕集カラム4に流通させる。これにより、捕集カラム4に充填された多孔性微粒子の細孔内に気相を再度固定化し、捕集カラム4を再生することができる。
【0041】
また、再生機構は、上記の加温機構に代えて、第3の移動相を導入後の捕集カラムに不活性ガスを導入する不活性ガス導入機構を有することも好ましい。第3の移動相を導入した捕集カラムに不活性ガスを導入することによっても、捕集カラムに充填された多孔性微粒子の細孔内に気相を再度固定化することができる。
【0042】
さらに、再生機構は、揮発性有機化合物を流出させた捕集カラムに不活性ガスを導入させる不活性ガス導入機構を有することも好ましい。このように、捕集カラムに不活性ガスを導入することによっても、捕集カラムに充填された多孔性微粒子の細孔内に気相を再度固定化することができる。
【0043】
上記の分析システムを用いて実施される本発明の揮発性有機化合物の分析方法によれば、前述の通り、水試料中の揮発性有機化合物を、抽出・濃縮等の特別な操作を必要とせず、高精度かつ簡便に分離して定量分析することができる。また、ベンゼン、トルエン、及びキシレン等の非ハロゲン系の揮発性有機化合物に比して水に溶けやすいハロゲン化炭化水素等の揮発性有機化合物についても、簡便な操作で高精度に定量分析することができる。
【実施例0044】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0045】
<捕集カラム>
オクタデシルシリル基結合シリカゲル(ODS)を充填したカラム(商品名「Cadenza 5CD-C18」、インタクト社製、内径3.0mm×長さ30mm)に揮発性の有機溶媒を通液し、カラム内の空隙を有機溶媒で満たした。次いで、カラム両端のプラグを外してオーブン内に設置し、70℃前後に加熱して乾燥させた。その後、カラムを分析システムに取り付けるとともに、圧力及び流量を制御しながらカラムに純水を通液して平衡状態とし、捕集カラム(SBMLCカラム)とした。
【0046】
<分離カラム>
オクタデシルシリル基結合シリカゲル(ODS)を充填したカラム(商品名「L-column2 ODS」、化学物質評価研究機構製、内径4.6mm×長さ150mm)を分離カラムとして用意した。
【0047】
<ハロゲン化炭化水素の保持体積の測定>
(分析例1)
ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン(CHCl)、1,2-ジクロロエタン(CCl)、及びクロロホルム(CHCl))を10ppm含有する試料水を用意した。この試料水5μLをインジェクターより系内に注入するとともに、(i)2mol/L塩化カルシウム(CaCl)水溶液;及び(ii)水;を移動相としてそれぞれ用いて捕集カラム(SBMLCカラム)に導入し、捕集カラムへのハロゲン化炭化水素の保持体積を測定した。結果を図2に示す。
【0048】
図2に示すように、2mol/L CaCl水溶液を移動相とした場合には、水を移動相とした場合に比べて、ハロゲン化炭化水素の保持体積が大幅に増大したことがわかる。
【0049】
(分析例2)
移動相として、(i)1mol/Lリン酸緩衝液;(ii)0.1mol/Lリン酸緩衝液;及び(iii)0.01mol/Lリン酸緩衝液;をそれぞれ用いたこと以外は、前述の分析例1と同様にして、捕集カラムへのハロゲン化炭化水素の保持体積を測定した。用いたリン酸緩衝液の25℃におけるpHは、いずれも7.2であった。結果を図3Aに示す。また、図3Aの一部拡大図を図3Bに示す。
【0050】
図3A及び3Bに示すように、1mol/Lリン酸緩衝液を移動相とした場合には、他のリン酸緩衝液や水を移動相とした場合に比べて、ハロゲン化炭化水素の保持体積が大幅に増大したことがわかる。
【0051】
図2、3A、及び3Bに示す結果(移動相の種類(無機塩の濃度)による、ハロゲン化炭化水素の保持体積の違い)を纏めて表3に示す。
【0052】
【0053】
<VOC分析>
(実施例1)
前述の捕集カラム及び分離カラムを用いて、図1に示す構成と同様の分析システムを構成した。なお、2mol/L CaCl水溶液を第1の移動相とし、アセトニトリル:0.01mol/Lリン酸緩衝液(pH7.2)=3:7(質量比)の混合溶媒を第2の移動相とし、水を第3の移動相とした。ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン(CHCl)、1,2-ジクロロエタン(CCl)、及びクロロホルム(CHCl))を10ppm含有する試料水2mLをインジェクターから系内に導入し、第1の移動相の流速を0.5mL/minとして捕集カラムに流入させた。次いで、6方バルブを切り替え、第2の移動相を捕集カラムに導入してVOCを流出させ、分離カラムへと流入させて分析した。分析結果を図4に示す。また、分離カラムでの測定条件を以下に示す。
・流量:1.0mL/min
・温度:30℃
・検出:UV(190nm)
【0054】
2.5分後に6方バルブを元に戻し、第3の移動相を捕集カラムに流入させるとともに、加温機構により捕集カラムを65℃で3分間加温した。捕集カラムを室温付近となるまで冷却した後、平衡となるまで第3の移動相を流通させて、捕集カラムを再生した。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の揮発性有機化合物の分析方法は、比較的水に溶けやすい揮発性有機化合物を含有する試料であっても、高精度かつ簡便に分離して定量分析することができるので、河川水、地下水、工業排水等の水試料の他、揮発性の医薬や農薬等の各種有機化合物を含有する水試料を分析するための方法として有用である。
【符号の説明】
【0056】
1:第1の移動相
2:第2の移動相
3:第3の移動相
4:捕集カラム
5,15:廃液
6:加温機構
8,18:ポンプ
10:検出器
12:分離カラム
14:インジェクター
20:6方バルブ
100:揮発性有機化合物の分析システム

図1
図2
図3A
図3B
図4