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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025591
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】運搬用容器及び嵩上げフレーム
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/18 20060101AFI20230215BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
B65D6/18 C
B65D25/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130929
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢崎 義久
【テーマコード(参考)】
3E061
3E062
【Fターム(参考)】
3E061AA02
3E061AB09
3E061CA02
3E061DA08
3E062AA01
3E062AB07
3E062AC02
3E062BB06
3E062BB10
(57)【要約】
【課題】嵩上げフレームを備えた運搬用容器を、省スペースで保管可能とする。
【解決手段】運搬用容器1は、上方に開口した容器本体2と、容器本体2の上端部に接続された嵩上げフレーム3とを具備する。嵩上げフレーム3は、嵩上げフレーム3の底部を構成する底枠部32と、底枠部32から起立した複数の側壁部34とを備える。複数の側壁部34の各々は、底枠部32に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口した容器本体と、
前記容器本体の上端部に接続された嵩上げフレームと、を具備し、
前記嵩上げフレームは、
前記嵩上げフレームの底部を構成する底枠部と、
前記底枠部から起立した複数の側壁部と、を備え、
前記複数の側壁部の各々は、前記底枠部に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている、
運搬用容器。
【請求項2】
前記複数の側壁部の各々は、上下に並んだ複数の壁部材で形成され、
前記複数の壁部材のうち最上段に位置する壁部材は、これの下側に位置する別の壁部材に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている、
請求項1の運搬用容器。
【請求項3】
前記複数の側壁部は、
前記底枠部に対して、内側に折り畳み可能にヒンジ連結された第1側壁部と、
前記底枠部に対して、内側に折り畳み可能にヒンジ連結された第2側壁部と、を含み、
前記第2側壁部は、内側に折り畳んだ状態の前記第1側壁部の上に重なるように、内側に折り畳み可能に構成されている、
請求項1又は2の運搬用容器。
【請求項4】
前記底枠部は、
前記容器本体の前記上端部と一体に形成されている、
請求項1から3のいずれか一項の運搬用容器。
【請求項5】
前記容器本体は、
前記容器本体の前記上端部を構成する口枠部と、
前記口枠部の下方に位置する底板部と、
前記口枠部に回転可能に連結された一対の揺動板と、
前記口枠部と前記底板部とに回転可能に連結された一対の折曲板と、を備える、
請求項1から4のいずれか一項の運搬用容器。
【請求項6】
容器本体の上端部に接続される底枠部と、
前記底枠部から起立した複数の側壁部と、を備え、
前記複数の側壁部の各々は、前記底枠部に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている、
嵩上げフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬用容器及び嵩上げフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
嵩上げフレームを備えた運搬用容器が、従来公知である。この種の運搬用容器では、容器本体に嵩上げ用フレームを装着することによって、全体の容量を増大させることが可能である(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4320282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の技術では、運搬用容器を保管する際に、嵩上げ用フレームの分だけ保管スペースが余分に必要になり、保管の省スペース化が困難であった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、嵩上げフレームを備えた運搬用容器を、省スペースで保管可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係る運搬用容器は、上方に開口した容器本体と、前記容器本体の上端部に接続された嵩上げフレームと、を具備する。前記嵩上げフレームは、前記嵩上げフレームの底部を構成する底枠部と、前記底枠部から起立した複数の側壁部と、を備える。前記複数の側壁部の各々は、前記底枠部に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【0007】
本開示の一様態に係る嵩上げフレームは、容器本体の上端部に接続される底枠部と、前記底枠部から起立した複数の側壁部と、を備える。前記複数の側壁部の各々は、前記底枠部に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、嵩上げフレームを備えた運搬用容器を、省スペースで保管することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態の運搬用容器の斜視図である。
図2図2は、同上の運搬用容器が備える容器本体から嵩上げフレームの二対の壁部材を分離して示す斜視図である。
図3図3は、同上の容器本体が備える口枠部の斜視図である。
図4図4は、同上の口枠部の平面図である。
図5図5は、図4のA-A線断面図である。
図6図6は、同上の嵩上げフレームが備える一対の側壁部の斜視図である。
図7図7は、同上の嵩上げフレームが備える別の一対の側壁部の斜視図である。
図8図8は、同上の運搬用容器において嵩上げフレームを折り畳む一過程の斜視図である。
図9図9は、同上の運搬用容器において嵩上げフレームを折り畳む次の過程の斜視図である。
図10図10は、同上の運搬用容器において嵩上げフレームを折り畳んだ斜視図である。
図11図11は、同上の運搬用容器において容器本体と嵩上げフレームの両方を折り畳んだ斜視図である。
図12図12は、同上の運搬用容器において嵩上げフレームの上半部を折り畳む一過程の斜視図である。
図13図13は、同上の運搬用容器において嵩上げフレームの上半部を折り畳んだ斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.運搬用容器の全体構造
図1図2等に示すように、一実施形態の運搬用容器1は、上方に開口した合成樹脂製の容器本体2と、容器本体2に接続された合成樹脂製の嵩上げフレーム3とを具備する。嵩上げフレーム3は、全体として矩形枠状の外形を有しており、容器本体2の容量を増大させることを目的として、容器本体2の上端部に接続されている。
【0011】
以下、各構成の具体的な構造について説明する。
【0012】
1-2.容器本体
容器本体2は、容器本体2の上端部を構成する口枠部21と、口枠部21の下方に位置する底板部23と、口枠部21に回転可能に連結された一対の揺動板25と、底板部22と口枠部21に回転可能に連結された一対の折曲板27とを備える。容器本体2を構成する各部材21,23,25,27は、合成樹脂製の成形品である。
【0013】
まず、底板部23、一対の揺動板25及び一対の折曲板27の構造について説明する。
【0014】
底板部23は、矩形板状の外形を有する。底板部23の周縁部は、一対の短辺部分と一対の長辺部分とで構成されており、底板部23の一対の短辺部分には、揺動板25を着脱可能に係止する図示略の係止部がそれぞれ設けられている。
【0015】
一対の揺動板25は、それぞれ矩形板状の外形を有する。各揺動板25の上縁部分は、口枠部21に対して回転可能に連結している。各揺動板25の下縁部分は、底板部23の係止部に対して着脱可能に係合するように構成されている。
【0016】
一対の折曲板27は、互いに回転可能に連結された合成樹脂製の上板271と下板273とを含む。各折曲板27の上縁部分(つまり上板271の上縁部分)が、口枠部21に対して回転可能に連結し、各折曲板27の下縁部分(つまり下板273の下縁部分)が、底板部23の周縁部分に対して回転可能に連結している。一対の折曲板27は、それぞれ上板271と下板273が内側に向けて「く」字状に折れ曲がるように構成されている。
【0017】
次に、口枠部21の構造について説明する。
【0018】
図3から図5等に示すように、口枠部21は、矩形枠状の外形を有する。口枠部21は、対応する折曲板27の上縁部分が回転可能に連結される一対の直線状の長側フレーム212と、対応する揺動板25の上縁部分が回転可能に連結される一対の直線状の短側フレーム214とを、一体に有する。口枠部21の周方向においては、長側フレーム212と短側フレーム214とが、交互にかつ連続して位置する。
【0019】
後述するように、一実施形態の運搬用容器において、口枠部21の上側には、嵩上げフレーム3の底部を構成する底枠部32が、一体に形成されている。
【0020】
1-3.嵩上げフレーム
嵩上げフレーム3は、矩形枠状の外形を有する底枠部32と、底枠部32から起立した複数の側壁部34とを備える。
【0021】
一実施形態の運搬用容器1において、複数の側壁部34は、二対の側壁部34である。二対の側壁部34は、起立姿勢において互いに対向して位置する一対の側壁部34(以下、これを「第1側壁部34A」という。)と、起立姿勢において互いに対向して位置する別の一対の側壁部34(以下、これを「第2側壁部34B」という。)とで、構成されている。
【0022】
次に、底枠部32の具体的な構造について説明する。
【0023】
底枠部32は、一対の直線状の長側フレーム322と、一対の直線状の短側フレーム324とを、一体に有する。底枠部32の周方向においては、長側フレーム322と短側フレーム324とが、交互にかつ連続して位置する。
【0024】
底枠部32の一対の長側フレーム322は、口枠部21の一対の長側フレーム212のうち対応する長側フレーム212の上側に、それぞれ一体に形成されている。同様に、底枠部32の一対の短側フレーム324は、口枠部21の一対の短側フレーム214のうち対応する短側フレーム214の上側に、それぞれ一体に形成されている。
【0025】
長側フレーム322には、第1側壁部34Aをヒンジ連結するための連結部323が、複数設けられている。複数の連結部323は、長側フレーム322の長手方向に距離をあけて位置する複数の凹状の連結部323であって、詳細には、内側方及び上方に向けて開放された6つの凹状の連結部323である。これら複数の凹状の連結部323に、第1側壁部34Aが有する複数の凸状の連結部66が一対一で挿し込まれることで、第1側壁部34Aは、長側フレーム322に対して内側に折り畳み可能に連結されている。
【0026】
更に、長側フレーム322には、内側に折り畳まれた状態の第2側壁部34Bを係止するための係止部328が、複数設けられている。複数の係止部328は、長側フレーム322の長手方向に距離をあけて位置する複数の凹状の係止部328であって、詳細には、外側方及び上方に向けて開放された4つの凹状の係止部328である。
【0027】
長側フレーム322の長手方向において、各係止部328は、隣接する2つの連結部323の間に位置している。長側フレーム322の長手方向の半部においては、3つの連結部323と2つの係止部328とが、交互に位置している。長側フレーム322の長手方向の別の半部においても、3つの連結部323と2つの係止部328とが、交互に位置している。
【0028】
短側フレーム324には、第2側壁部34Bをヒンジ連結するための連結部325が、複数設けられている。複数の連結部325は、短側フレーム324の長手方向に距離をあけて位置する複数の凹状の連結部325であって、詳細には、内側方及び上方に向けて開放された4つの凹状の連結部325である。これら複数の凹状の連結部325に、第2側壁部34Bが有する複数の凸状の連結部86が一対一で挿し込まれることで、第2側壁部34Bは、短側フレーム324に対して内側に折り畳み可能に連結されている。
【0029】
更に、短側フレーム324には、第1側壁部34Aを内側に折り畳まれた状態で係止するための係止部329が、設けられている。係止部329は、短側フレーム324の下部から内側方に突出する横リブ状の部分である。係止部329は、短側フレーム324の全長に亘って、一直線状に形成されている。係止部329の長手方向の各端部は、対応する長側フレーム322に対して一体に結合されている。係止部329の上面は、内側に折り畳まれた状態の第1側壁部34Aが載置される平坦な面である。
【0030】
上記の横リブ状の係止部329は、係止部329の下側に位置しかつ係止部329と一体に設けられた図示略の補強リブによって補強されていることが好ましい。また、上記の横リブ状の係止部329は、短側フレーム324の長手方向の全域に形成されていなくてもよく、例えば、短側フレーム324の長手方向の一部領域にだけ形成されてもよいし、短側フレーム324の長手方向における複数領域に分断して形成されてもよい。
【0031】
短側フレーム324において、横リブ状の係止部329は、複数の連結部325よりも下方に位置し、かつ、複数の連結部325よりも内側方に位置している。また、短側フレーム324に設けられた横リブ状の係止部329は、長側フレーム322に設けられた複数の連結部323よりも、下方に位置している。
【0032】
一実施形態の嵩上げフレーム3の底枠部32において、一対の長側フレーム322の上面の高さは互いに同一であり、一対の短側フレーム324の上面の高さは互いに同一である。これに対して、一対の長側フレーム322の上面の高さと、一対の短側フレーム324の上面の高さとは、互いに相違している。一実施形態の嵩上げフレーム3の底枠部32において、各長側フレーム322の上面と、これに隣接する短側フレーム324の上面との間には、段差が形成されている。
【0033】
一対の長側フレーム322の上面は、一対の短側フレーム324の上面よりも、低く位置している。一対の長側フレーム322に設けられた複数の連結部323は、一対の短側フレーム324に設けられた複数の連結部325よりも、低く位置している。
【0034】
次に、一対の第1側壁部34Aの具体的な構造について、説明する。
【0035】
図6等に示すように、一対の第1側壁部34Aはそれぞれ、上下に並んだ複数の壁部材4で形成されている。複数の壁部材4は、上下に並んだ2つの壁部材4である。
【0036】
第1側壁部34Aを形成する2つの壁部材4のうち最上段に位置する壁部材4を、以下において上壁部材5と称し、これの下側に位置する別の壁部材4を、以下においては下壁部材6と称する。上壁部材5は、下壁部材6に対して、内側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【0037】
上壁部材5は、横長の矩形板状の外形を有する。上壁部材5のうち長手方向の両端部には、凹部52が設けられている。凹部52は、上壁部材5の長手方向の端部の、上側の角部分に設けられている。両側の凹部52は、互いに離れる方向に向けて開放されており、かつ、上方及び外側方に向けて開放されている。
【0038】
更に、上壁部材5の下端部には、下壁部材6に対してヒンジ連結するための連結部54が、複数設けられている。複数の連結部54は、上壁部材5の長手方向に距離をあけて位置する6つの凸状の連結部54である。これら複数の連結部54は、各凹部52よりも下方に位置する。
【0039】
下壁部材6は、上壁部材5と同様に、横長の矩形板状の外形を有する。下壁部材6のうち長手方向の両端部には、凹部62が設けられている。凹部62は、下壁部材6の端部の上側の角部分に設けられている。両側の凹部62は、互いに離れる方向に向けて開放されており、かつ、上方及び外側方に向けて開放されている。
【0040】
下壁部材6の上端部には、上壁部材5に対してヒンジ連結するための連結部64が、複数設けられている。複数の連結部64は、下壁部材6の長手方向に距離をあけて位置する6つの凹状の連結部64である。これら複数の凹状の連結部64に、上壁部材5が有する複数の凸状の連結部54が一対一で挿し込まれることで、上壁部材5が、下壁部材6に対して内側に折り畳み可能に連結されている。
【0041】
更に、下壁部材6の上端部には、凹状の係止部65が、複数設けられている。複数の係止部65は、下壁部材6の長手方向に距離をあけて位置する2つの凹状の係止部65である。2つの係止部65のうち1つの係止部65は、一対の第2側壁部34Bのうち1つの第2側壁部34Bに対応するように、下壁部材6の長手方向の一端側に設けられている。もう1つの係止部65は、もう1つの第2側壁部34Bに対応するように、下壁部材6の長手方向の他端側に設けられている。
【0042】
各係止部65は、下壁部材6の上端面から下方に切り欠かれた形状を有している。各係止部65は、上方に向けて開放されており、かつ、内側方及び外側方に向けて開放されている。また、各係止部65は、隣接する2つの凹状の連結部64の間に、位置している。
【0043】
上壁部材5と下壁部材6とからなる第1側壁部34Aが起立しているとき、下壁部材6の各係止部65は、上壁部材5によってその上方を覆われる。
【0044】
下壁部材6の下端部には、底枠部32に対してヒンジ連結するための連結部66が、複数設けられている。複数の連結部66は、下壁部材6の長手方向に距離をあけて位置する6つの凸状の連結部66である。これら複数の連結部66は、各凹部62及び各連結部64よりも下方に位置する。
【0045】
上述したように、これら複数の凸状の連結部66が、長側フレーム322が有する複数の凹状の連結部323に一対一で挿し込まれることで、下壁部材6ひいては第1側壁部34Aの全体が、長側フレーム322に対して内側に折り畳み可能に連結されている。
【0046】
次に、一対の第2側壁部34Bの具体的な構造について、説明する。
【0047】
図7等に示すように、一対の第2側壁部34Bは、上記した一対の第1側壁部34Aと同様に、上下に並んだ複数の壁部材4でそれぞれが形成されている。複数の壁部材4は、上下に並んだ2つの壁部材4である。
【0048】
第2側壁部34Bを形成する2つの壁部材4のうち最上段に位置する壁部材4を、以下において上壁部材7と称し、これの下側に位置する別の壁部材4を、以下において下壁部材8と称する。上壁部材7は、下壁部材8に対して内側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【0049】
上壁部材7は、横長の矩形板状の外形を有する。上壁部材7のうち長手方向の両端部には、凸部72が設けられている。凸部72は、上壁部材7の長手方向の端部の、上側の角部分に設けられている。両側の凸部72は、上壁部材7の厚み方向に突出している。上壁部材7の厚み方向は、上壁部材7の長手方向と直交する方向である。両側の凸部72は、同一の向きに突出しており、互いに平行である。各凸部72を、その突先側から見たとき、各凸部72は逆L字状の外形を有している。
【0050】
上壁部材7の下端部には、下壁部材8に対してヒンジ連結するための連結部74が、複数設けられている。複数の連結部74は、上壁部材7の長手方向に距離をあけて位置する4つの凸状の連結部74である。これら複数の連結部74は、各凸部72よりも下方に位置する。
【0051】
下壁部材8は、上壁部材7と同様に、横長の矩形板状の外形を有する。下壁部材8のうち長手方向の両端部には、凸部82が設けられている。凸部82は、下壁部材8の長手方向の端部の、上側の角部分に設けられている。両側の凸部82は、下壁部材8の厚み方向に突出している。下壁部材8の厚み方向は、下壁部材8の長手方向と直交する方向である。両側の凸部82は、同一の向きに突出しており、互いに平行である。各凸部82を、その突先側から見たとき、各凸部82は逆L字状の外形を有している。
【0052】
更に、下壁部材8の上端部には、上壁部材7に対してヒンジ連結するための連結部84が、複数設けられている。複数の連結部84は、下壁部材8の長手方向に距離をあけて位置する4つの凹状の連結部84である。これら複数の凹状の連結部84に、上壁部材7が有する複数の凸状の連結部74が一対一で挿し込まれることで、上壁部材7が、下壁部材8に対して内側に折り畳み可能に連結されている。
【0053】
下壁部材8の下端部には、底枠部32に対してヒンジ連結するための連結部86が、複数設けられている。複数の連結部86は、下壁部材8の長手方向に距離をあけて位置する4つの凸状の連結部86である。これら複数の連結部86は、各凸部82及び各連結部84よりも下方に位置する。
【0054】
上述したように、これら複数の凸状の連結部86が、短側フレーム324が有する複数の凹状の連結部325に一対一で挿し込まれることで、下壁部材8ひいては第2側壁部34Bの全体が、短側フレーム324に対して内側に折り畳み可能に連結されている。
【0055】
上壁部材7と下壁部材8とからなる第2側壁部34Bを起立姿勢としたとき、上壁部材7の各凸部72と、下壁部材8の各凸部82は、同一の向きに突出しており、互いに平行である。
【0056】
一実施形態の運搬用容器1においては、嵩上げフレーム3が、一対の第1側壁部34Aと一対の第2側壁部34Bとが底枠部32から真っ直ぐ起立した状態(以下、これを「起立状態」という。)に保持されていることで、全体の容量が大幅に増大する。例えば、容器本体2の容量が50Lである場合、起立状態の嵩上げフレーム3によって、運搬用容器1の全体の容量は80Lに増大する。
【0057】
起立状態の嵩上げフレーム3においては、第2側壁部34Bの上壁部材7に設けられた両側の凸部72が、それぞれ隣接する第1側壁部34Aの上壁部材5に設けられた凹部52に、側方から嵌まり込んだ状態となる。同様に、第2側壁部34Bの下壁部材8に設けられた両側の凸部82が、それぞれ隣接する第1側壁部34Aの下壁部材6に設けられた凹部62に、側方から嵌まり込んだ状態となる。
【0058】
起立状態の嵩上げフレーム3において、互いに隣接する第1側壁部34Aと第2側壁部34Bとは、公知の適宜技術を用いて、互いに係合させることが可能である。例えば、第1側壁部34A又は第2側壁部34Bに弾性変形可能な係合片を設け、該係合片を介して、第1側壁部34Aと第2側壁部34Bとを互いに係合させることが可能である。また、第1側壁部34A又は第2側壁部34Bに、スライド操作可能なロック部材を設け、該ロック部材を介して、第1側壁部34Aと第2側壁部34Bとを互いに係合させることも可能である。
【0059】
嵩上げフレーム3は、上記の起立状態と、以下に述べる第1の折り畳み状態と、同じく以下に述べる第2の折り畳み状態との間で、相互に切り替えが可能である。
【0060】
1-4.第1の折り畳み状態
第1の折り畳み状態は、起立状態から図8図9に示す工程を経て、図10に示すように折り畳まれた状態である。
【0061】
嵩上げフレーム3を、起立状態から、第1の折り畳み状態に切り替えるには、まず、一対の第1側壁部34Aのうち1つの第1側壁部34Aを、自身が接続されている長側フレーム322に対して内側に倒す(図8参照)。
【0062】
このとき、第1側壁部34Aの全体が内側に倒れ(つまり上壁部材5と下壁部材6とが一体となって内側に倒れ)、一対の短側フレーム324が有する横リブ状の係止部329(図1等参照)の上面に、第1側壁部34Aの長手方向の両端縁部が載置される。これにより、第1側壁部34Aの全体が、起立姿勢から内側に90°倒れた状態で安定的に保持される。
【0063】
次に、もう1つの第1側壁部34Aの全体を、自身が接続されている長側フレーム322に対して内側に倒す(図9参照)。もう1つの第1側壁部34Aは、先に倒していた第1側壁部34Aの上に、載置される。これにより、もう1つの第1側壁部34Aの全体が、起立姿勢から内側に90°倒れた状態で安定的に保持される。
【0064】
次に、起立姿勢にあった一対の第2側壁部34Bの全体を、それぞれが接続されている短側フレーム324に対して内側に倒す(図10参照)。このとき、各第2側壁部34Bはその全体が内側に倒れ(つまり上壁部材7と下壁部材8とが一体となって内側に倒れ)、各第2側壁部34Bが有する複数の凸部72,82は、それぞれ底枠部32の対応する凹状の係止部328に、上方から嵌まり込む。
【0065】
具体的には、各第2側壁部34Bの上壁部材7が長手方向の両側に有する2つの凸部72が、一対の長側フレーム322に設けられた都合8つの係止部328のうち、対応する2つの係止部328に対して、上方から一対一で嵌まり込む。同様に、各第2側壁部34Bの下壁部材8が長手方向の両側に有する2つの凸部82が、一対の長側フレーム322に設けられた都合8つの係止部328のうち、対応する2つの係止部328に対して、上方から一対一で嵌まり込む。
【0066】
これにより、各第2側壁部34Bの全体が、起立姿勢から内側に90°倒れた状態で安定的に保持される。
【0067】
例えば、嵩上げフレーム3が図1に示す起立状態にあるときに、運搬用容器1の全体の容量が80Lであるのに対して、嵩上げフレーム3が図10に示す第1の折り畳み状態となれば、運搬用容器1の全体の容量は、容器本体2の容量である50L程度に減少する。
【0068】
図11には、嵩上げフレーム3が第1の折り畳み状態にあり、かつ、容器本体2が折り畳み状態にあるときを示している。このとき、容器本体2の一対の揺動板25と一対の折曲板27は外部から視認されないが、一対の揺動板25は、それぞれ起立姿勢から内側に向けて約90°回転した姿勢にある。一対の折曲板27は、それぞれ内側に向けて「く」字状に折れ曲がった姿勢にある。容器本体2の口枠部21と底板部23は、上下に重なった状態となり、容器本体2の高さは大幅に抑えられる。
【0069】
つまり、図11に示す状態では、容器本体2と嵩上げフレーム3を備えた運搬用容器1の全体の高さが、大幅に抑えられる。
【0070】
1-5.第2の折り畳み状態
第2の折り畳み状態は、起立状態から図12に示す工程を経て、図13に示すように折り畳まれた状態である。
【0071】
嵩上げフレーム3を、起立状態から、第2の折り畳み状態に切り替えるには、まず、一対の第1側壁部34Aのそれぞれの上壁部材5を、自身が接続されている下壁部材6に対して内側に90°倒す(図12参照)。このとき、上壁部材5が有する凸状の各連結部54が、下壁部材6の対応する凹状の連結部64の底面に当ることで、上壁部材5は、90°倒れた姿勢で維持される。
【0072】
次に、一対の第2側壁部34Bのそれぞれの上壁部材7を、自身が接続されている下壁部材8に対して内側に90°倒す(図13参照)。このとき、各第2側壁部34Bの上壁部材7が長手方向の両側に有する2つの凸部72が、一対の第1側壁部34Aの下壁部材6に設けられた都合4つの凹部62のうち、対応する2つの凹部62に対して、上方から一対一で嵌まり込む。これにより、各第2側壁部34Bの上壁部材7が、起立姿勢から内側に90°倒れた状態で安定的に保持される。
【0073】
例えば、嵩上げフレーム3が図1に示す起立状態であれば、運搬用容器1の全体の容量が120Lであるのに対して、嵩上げフレーム3が図13に示す第2の折り畳み状態となれば、運搬用容器1の全体の容量は60L程度に減少する。
【0074】
2.変形例
一実施形態の運搬用容器1の各種の変形例について説明する。以下の説明において、一実施形態の運搬用容器1と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0075】
上記した一実施形態の運搬用容器1では、容器本体2が折り畳み式の容器で構成されているが、これに限定されず、例えば容器本体2が、底壁と側壁とが一体化された非折り畳み式の容器で構成されてもよい。
【0076】
また、上記した一実施形態の運搬用容器1では、複数の側壁部34(具体的には一対の第1側壁部34Aと一対の第2側壁部34B)の各々が、底枠部32に対して内側に折り畳み可能にヒンジ連結されているが、これに限定されず、例えば複数の側壁部34の全部又は一部が、底枠部32に対して外側に折り畳み可能にヒンジ連結されてもよい。
【0077】
また、上記した一実施形態の運搬用容器1では、各側壁部34が、上下に並んだ2つの壁部材4で形成されている(具体的には第1側壁部34Aと第2側壁部34Bが共に2つの壁部材4で形成されている)が、上下に並ぶ壁部材4の数はこれに限定されない。例えば、第1側壁部34Aが上下に並んだ3つ以上の壁部材4で形成されてもよいし、一枚の壁板材で形成されてもよい。同様に、第2側壁部34Bが上下に並んだ3つ以上の壁部材4で形成されてもよいし、一枚の壁部材で形成されてもよい。
【0078】
また、上記した一実施形態の運搬用容器1では、嵩上げフレーム3の底枠部32が、容器本体2の上端部(具体的には口枠部21)と一体に形成されているが、これに限定されず、嵩上げフレーム3の底枠部32が、容器本体2の上端部と別体に形成されてもよい。この場合、底枠部32が、容器本体2の上端部に対して着脱可能に装着されてもよいし、容器本体2の上端部に固着されてもよい。嵩上げフレーム3は、容器本体2の上端部の上面に接続されてもよいし、容器本体2の上端部の内側面又は外側面に接続されてもよく、いずれの形態も、容器本体2の上端部に接続された形態に含まれる。
【0079】
また、上記した一実施形態の運搬用容器1において、第1側壁部34Aの上壁部材5は、下壁部材6に対して内側に折り畳み可能にヒンジ連結されているが、これに限定されず、例えば、上壁部材5が下壁部材6に対して外側に折り畳み可能にヒンジ連結されてもよい。また、第2側壁部34Bの上壁部材7が、下壁部材8に対して外側に折り畳み可能にヒンジ連結されてもよい。
【0080】
また、上記した一実施形態の運搬用容器1において、第1側壁部34Aを第2の折り畳み状態の姿勢(つまり上壁部材5が内側に90°倒れた姿勢)で固定するロック構造を、更に備えることも好ましい。ロック構造は、一例として、上壁部材5にスライド可能に取り付けられたロック部材と、このロック部材が選択的に挿し込まれるように第2側壁部34Bの下壁部材8に設けられた凹部又は孔とを含む。この例の場合、上壁部材5を内側に倒した後にロック部材をスライドさせ、ロック部材を第2側壁部34Bの凹部又は孔に挿し入れることで、上壁部材5をその姿勢で固定することができる。
【0081】
3.作用効果
以上、一実施形態及びこれの各種変形例に基づいて説明したように、本開示の運搬用容器1は、上方に開口した容器本体2と、容器本体2の上端部に接続された嵩上げフレーム3とを具備する。嵩上げフレーム3は、嵩上げフレーム3の底部を構成する底枠部32と、底枠部32から起立した複数の側壁部34とを備える。複数の側壁部34の各々は、底枠部32に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【0082】
したがって、本開示の運搬用容器1によれば、嵩上げフレーム3の分だけ全体の容量を増大させることが可能であり、嵩上げフレーム3を利用しない場合には、複数の側壁部34をそれぞれ折り畳むことによって、全体をコンパクト化することができる。そのため、本開示の運搬用容器1によれば、嵩上げフレーム3を備えた運搬用容器1を、省スペースで保管することが可能である。
【0083】
また、本開示の運搬用容器1において、複数の側壁部34の各々は、上下に並んだ複数の壁部材4で形成されている。複数の壁部材4のうち最上段に位置する壁部材4(上壁部材5,7)は、これの下側に位置する別の壁部材4(下壁部材6,8)に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【0084】
したがって、本開示の運搬用容器1によれば、嵩上げフレーム3の高さを複数段階で切り替えることができ、ひいては、嵩上げフレーム3により増大する全体の容量を、複数段階で切り替えることができる。
【0085】
また、本開示の運搬用容器1において、複数の側壁部34は、底枠部32に対して内側に折り畳み可能にヒンジ連結された第1側壁部34Aと、底枠部32に対して内側に折り畳み可能にヒンジ連結された第2側壁部34Bとを含む。第2側壁部34Bは、内側に折り畳んだ状態の第1側壁部34Aの上に重なるように、内側に折り畳み可能に構成されている。
【0086】
したがって、本開示の運搬用容器1によれば、嵩上げフレーム3を利用しない場合に、全体をコンパクト化することが可能である。
【0087】
また、本開示の運搬用容器1において、底枠部32は、容器本体2の上端部と一体に形成されている。
【0088】
したがって、本開示の運搬用容器1によれば、容器本体2と嵩上げフレーム3の互いの一部が一体になることで、全体の構造がシンプル化される。
【0089】
また、本開示の運搬用容器1において、容器本体2は、容器本体2の上端部を構成する口枠部21と、口枠部21の下方に位置する底板部23と、口枠部21に回転可能に連結された一対の揺動板25と、口枠部21と底板部23とに回転可能に連結された一対の折曲板27とを備える。
【0090】
したがって、本開示の運搬用容器1によれば、嵩上げフレーム3をコンパクト化することに加えて、容器本体2をコンパクト化することができる。そのため、本開示の運搬用容器1によれば、保管時のスペースを更に抑えることができる。
【0091】
また、一実施形態及びこれの各種変形例に基づいて説明したように、本開示の嵩上げフレーム3は、容器本体2の上端部に接続される底枠部32と、底枠部32から起立した複数の側壁部34とを備える。複数の側壁部34の各々は、底枠部32に対して、内側又は外側に折り畳み可能にヒンジ連結されている。
【0092】
したがって、本開示の嵩上げフレーム3によれば、これを容器本体2に接続することによって、全体の容量を増大させることが可能であり、嵩上げフレーム3を利用しない場合には、複数の側壁部34をそれぞれ折り畳むことによって、全体をコンパクト化することができる。そのため、本開示の嵩上げフレーム3によれば、これを接続させた運搬用容器1を、省スペースで保管することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 運搬用容器
2 容器本体
21 口枠部
23 底板部
25 揺動板
27 折曲板
3 嵩上げフレーム
32 底枠部
34 側壁部
34A 第1側壁部
34B 第2側壁部
4 壁部材
5 上壁部材
6 下壁部材
7 上壁部材
8 下壁部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13