(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025615
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】コネクタ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01R 12/71 20110101AFI20230215BHJP
【FI】
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130985
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】常村 明生
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB06
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EA32
(57)【要約】
【課題】小型低背化された状態であってもインシュレータに起因するコネクタの不具合を抑制可能なコネクタを提供する。
【解決手段】本開示に係るコネクタ10は、接続対象物50と嵌合するコネクタ10であって、複数のコンタクト30と、複数のコンタクト30が取り付けられている外壁23であって、コネクタ10の長手方向に沿って延在する外壁23を有するインシュレータ20と、長手方向における外壁23の端部Eに取り付けられている第2金具40bと、を備え、第2金具40bは、コネクタ10における長手方向の端部に位置し、かつ外壁23の端部Eよりも長手方向の外側に位置する領域Rにおいてコネクタ10の外周を構成する外周部40b1を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と嵌合するコネクタであって、
複数のコンタクトと、
前記複数のコンタクトが取り付けられている外壁であって、前記コネクタの長手方向に沿って延在する前記外壁を有するインシュレータと、
前記長手方向における前記外壁の端部に取り付けられている第2金具と、
を備え、
前記第2金具は、前記コネクタにおける前記長手方向の端部に位置し、かつ前記外壁の端部よりも前記長手方向の外側に位置する領域において前記コネクタの外周を構成する外周部を有する、
コネクタ。
【請求項2】
前記領域において、前記第2金具のみが配置されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記領域において、前記コネクタの外周は、前記第2金具のみによって形成されている、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記インシュレータは、前記接続対象物との嵌合方向に直交する方向に前記外壁から延在する底板部を有し、
前記底板部は、前記領域にまで延在し、前記領域において前記第2金具の前記外周部に囲まれる、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第2金具は、前記外壁の端部に取り付けられ、前記コネクタの短手方向に離間する一対の取付部を有し、
前記外周部の外周面及び内周面の少なくとも一方は、一方の前記取付部から前記長手方向に延出し、屈曲して前記短手方向に延在してから再度屈曲し、前記長手方向に沿って他方の前記取付部に至るまで連続して形成されている、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記外周部は、前記領域における前記コネクタの外周の辺に沿って二重構造を有する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第2金具は、インサート成形により前記インシュレータと一体的に成形されている、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第2金具は、前記コネクタの短手方向に沿って配置されている第1実装部と、前記コネクタの長手方向に沿って配置されている第2実装部と、を有する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記インシュレータは、前記コネクタの短手方向に離間する一対の前記外壁と、前記短手方向に沿って一対の前記外壁に挟まれ、かつ前記接続対象物との嵌合側に向けて突出する嵌合凸部と、を有し、
前記嵌合凸部に取り付けられている第1金具を備え、
前記第1金具は、前記コネクタの長手方向に沿って延在する第2基部と、回路基板に実装される実装部と、を有し、
前記実装部は、前記第2基部において前記回路基板側の底面を含む、
請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第2金具の前記第1実装部及び前記第2実装部の少なくとも一方は、前記コネクタの短手方向において前記第1金具の両側に配置されている、
請求項9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第1金具と前記インシュレータとは、インサート成形により一体的に成形されている、
請求項9又は10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記コネクタは第1回路基板に実装され、かつ第2回路基板に実装されている前記接続対象物と接続される、
請求項1乃至11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のコネクタを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる回路基板に実装され、これらの回路基板を電気的に接続するためのコネクタ及び接続対象物を含むコネクタモジュールに関する技術が広く知られている。例えば、特許文献1には、嵌合作業中又は嵌合解除作業中に補強金具が変形することがなく、信頼性が高くなるようにするコネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コネクタが小型低背化されると、接続対象物との嵌合途中及び金具の取り付け作業中などにおいて接続対象物及び金具などと接触することで、コネクタを構成するインシュレータに削れなどの不具合が生じる可能性が高くなる。インシュレータが接続対象物及び金具などによって削られると、削れたインシュレータの破片がコネクタのコンタクトに付着して、接触不良などが生じる可能性もある。結果として、コネクタの製品としての信頼性が低下する。すなわち、インシュレータに起因してコネクタにも不具合が生じる可能性が高くなる。
【0005】
このような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、小型低背化された状態であってもインシュレータに起因するコネクタの不具合を抑制可能なコネクタ及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係るコネクタは、
接続対象物と嵌合するコネクタであって、
複数のコンタクトと、
前記複数のコンタクトが取り付けられている外壁であって、前記コネクタの長手方向に沿って延在する前記外壁を有するインシュレータと、
前記長手方向における前記外壁の端部に取り付けられている第2金具と、
を備え、
前記第2金具は、前記コネクタにおける前記長手方向の端部に位置し、かつ前記外壁の端部よりも前記長手方向の外側に位置する領域において前記コネクタの外周を構成する外周部を有する。
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る電子機器は、
上記のコネクタを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係るコネクタ及び電子機器によれば、小型低背化された状態であってもインシュレータに起因するコネクタの不具合を抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係るコネクタと接続対象物とが互いに接続されている状態のコネクタモジュールを上面視で示した外観斜視図である。
【
図2】一実施形態に係るコネクタと接続対象物とが互いに分離している状態のコネクタモジュールを上面視で示した外観斜視図である。
【
図3】
図1のコネクタ単体を上面視で示した外観斜視図である。
【
図4】
図3のコネクタを分解して上面視で示した外観斜視図である。
【
図5】
図3の一点鎖線囲み部Vを拡大して第1インシュレータのみを示した拡大図である。
【
図6】
図3の一点鎖線囲み部Vを拡大して第1金具のみを示した拡大図である。
【
図7】
図3の一点鎖線囲み部Vを拡大して示した拡大図である。
【
図8】
図7のコネクタを下面視で示した拡大図である。
【
図9】
図1の接続対象物単体を上面視で示した外観斜視図である。
【
図11】
図1のXI-XI矢線に沿った断面図である。
【
図12】
図1のXII-XII矢線に沿った断面図である。
【
図13】変形例に係るコネクタを下面視で示した
図8に対応する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、
図1乃至
図8及び
図10乃至
図13において、異なる図面同士で互いに整合している。図面によっては、簡便な図示を目的として、後述する回路基板CB1及びCB2の図示を省略する。
【0011】
図1は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物50とが互いに接続されている状態のコネクタモジュール1を上面視で示した外観斜視図である。
図2は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物50とが互いに分離している状態のコネクタモジュール1を上面視で示した外観斜視図である。
【0012】
例えば
図2に示すとおり、コネクタモジュール1は、互いに接続可能なコネクタ10及び接続対象物50を有する。コネクタ10は、第1インシュレータ20と、第1インシュレータ20に取り付けられている第1コンタクト30と、を有する。コネクタ10は、第1インシュレータ20に取り付けられている第1金具40a及び第2金具40bを有する。
【0013】
接続対象物50は、コネクタ10と接続可能である。接続対象物50は、コネクタ10と接続対象物50とが接続する接続状態で第1インシュレータ20と嵌合する第2インシュレータ60を有する。接続対象物50は、第2インシュレータ60に取り付けられている第2コンタクト70を有する。第2コンタクト70は、第1インシュレータ20と第2インシュレータ60とが嵌合する嵌合状態で第1コンタクト30と接触する。接続対象物50は、第2インシュレータ60に取り付けられている金具80を有する。金具80は、嵌合状態で第2金具40bと接触する。このとき、第2金具40bは弾性変形する。
【0014】
以下では、例えば、一実施形態に係るコネクタ10はリセプタクルコネクタであり、接続対象物50はプラグコネクタであるとして説明する。すなわち、第1インシュレータ20と第2インシュレータ60とが互いに嵌合する嵌合状態において、第1コンタクト30が弾性変形するコネクタ10をリセプタクルコネクタとし、第2コンタクト70が弾性変形しない接続対象物50をプラグコネクタとして説明する。コネクタ10及び接続対象物50の種類は、これらに限定されない。例えば、コネクタ10がプラグコネクタの役割を果たし、接続対象物50がリセプタクルコネクタの役割を果たしてもよい。
【0015】
接続対象物50は、上記に限定されず、プラグコネクタ及びリセプタクルコネクタ以外の任意の対象物であってもよい。例えば、接続対象物50は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)、フレキシブルフラットケーブル、リジッド基板、又は任意の回路基板のカードエッジであってもよい。
【0016】
以下では、コネクタ10及び接続対象物50は、回路基板CB1及びCB2にそれぞれ実装されるとして説明する。コネクタ10及び接続対象物50は、互いに接続されている接続状態で、回路基板CB1と回路基板CB2とを電気的に接続する。回路基板CB1及びCB2は、リジッド基板であってよいし、又はそれ以外の任意の回路基板であってもよい。例えば、回路基板CB1及びCB2の少なくとも一方は、FPCであってもよい。
【0017】
以下では、コネクタ10及び接続対象物50は、回路基板CB1及びCB2に対して垂直方向に互いに接続されるとして説明する。すなわち、コネクタ10及び接続対象物50は、一例として上下方向に沿って互いに接続される。接続方法は、これに限定されない。コネクタ10及び接続対象物50は、回路基板CB1及びCB2に対して平行方向に互いに接続されてもよいし、実装されている回路基板に対して一方が垂直方向となるように、かつ実装されている回路基板に対して他方が平行方向となるように、互いに接続されてもよい。
【0018】
本開示において、「長手方向」は、一例として左右方向に対応する。「短手方向」は、一例として前後方向に対応する。「嵌合方向」は、一例として上下方向に対応する。「嵌合方向に直交する方向」は、一例として前後方向に対応する。「嵌合側」は、一例として上側に対応する。「嵌合側と反対側」は、一例として下側に対応する。「回路基板CB1側」は、一例として下側に対応する。「第1面」は、一例として上面に対応する。「第2面」は、一例として後面に対応する。「第3面」は、一例として前面に対応する。「第4面」は、一例として左右方向の側面に対応する。「第1平面」は、一例として上面に対応する。「第2平面」は、一例として後面に対応する。「第3平面」は、一例として前面に対応する。「第4平面」は、一例として左右方向の側面に対応する。
【0019】
図3は、
図1のコネクタ10単体を上面視で示した外観斜視図である。コネクタ10は、一例として、第1コンタクト30が第1インシュレータ20に圧入され、第1金具40a及び第2金具40bと第1インシュレータ20とがそれぞれインサート成形により一体的に成形されることで得られる。
【0020】
図4は、
図3のコネクタ10を分解して上面視で示した外観斜視図である。実際には、第1金具40a及び第2金具40bと第1インシュレータ20とはそれぞれインサート成形により一体的に成形されているが、
図4では理解を容易にするために、第1インシュレータ20と第1金具40a及び第2金具40bとを仮想的に分離してそれぞれ単体で示している。
【0021】
コネクタ10を構成する第1インシュレータ20は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料によって形成されている。第1インシュレータ20は、左右方向に板状に延在する。第1インシュレータ20は、下部を構成する底板部21を有する。底板部21は、接続対象物50との嵌合方向に直交する方向に後述する外壁23から延在する。第1インシュレータ20は、底板部21の前後左右の中央部から接続対象物50との嵌合側に向けて突出する嵌合凸部22を有する。第1インシュレータ20は、コネクタ10の短手方向に離間する一対の外壁23を有する。一対の外壁23は、短手方向に沿って嵌合凸部22を挟む。外壁23は、接続対象物50との嵌合側に向けて底板部21から突出しながら、嵌合凸部22に対して前後方向の両側に位置する。外壁23は、コネクタ10の長手方向に沿って延在する。
【0022】
第1インシュレータ20は、外壁23の前後方向の内面、底板部21、及び嵌合凸部22の前後方向の内面にわたって形成されている第1コンタクト取付溝24を有する。第1コンタクト取付溝24には、第1コンタクト30が取り付けられる。第1コンタクト取付溝24は、第1コンタクト30の数に対応させて複数形成されている。複数の第1コンタクト取付溝24は、第1コンタクト30の配列方向に沿って配列されている。
【0023】
第1インシュレータ20は、嵌合凸部22の左右方向の端部に位置する第1金具保持部25を有する。後述する
図5にも示すとおり、第1金具保持部25は、嵌合凸部22の左右方向の端部に凹設されている。第1金具保持部25には、第1金具40aが取り付けられる。第1インシュレータ20は、コネクタ10の長手方向における外壁23の端部Eに位置する第2金具保持部26を有する。第2金具保持部26には、第2金具40bが取り付けられる。
図5では、コネクタ10の長手方向における外壁23の端部Eは平坦に形成されているが、実際は第2金具40bの後述する取付部45bがインサート成形により当該端部Eと一体的に成形される。
【0024】
第1インシュレータ20は、コネクタ10における長手方向の端部に位置し、かつ外壁23の端部Eよりも長手方向の外側に位置する領域Rにおいて何の構成部も有しない。底板部21、嵌合凸部22、及び外壁23は、コネクタ10の長手方向における一の端縁部にまで延在する。当該端縁部よりも左右方向の外側、すなわち領域Rには、第1インシュレータ20は配置されない。
【0025】
図5は、
図3の一点鎖線囲み部Vを拡大して第1インシュレータ20のみを示した拡大図である。
図5を参照しながら、第1インシュレータ20の第1金具保持部25における嵌合凸部22の構成についてより詳細に説明する。
【0026】
図5に示すとおり、第1インシュレータ20の嵌合凸部22は、第1金具保持部25において、嵌合側の端面を構成する第1面221を有する。嵌合凸部22は、コネクタ10の長手方向に沿った第1面221の後端縁部から嵌合側と反対側に向けて延出する第2面222を有する。嵌合凸部22は、コネクタ10の長手方向に沿った第1面221の前端縁部から嵌合側と反対側に向けて延出する第3面223を有する。嵌合凸部22は、コネクタ10の短手方向に沿った第1面221の左右方向の端縁部から嵌合側と反対側に向けて延出する第4面224を有する。第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224のそれぞれは、平面として構成されている。
【0027】
嵌合凸部22は、第1面221、第2面222、及び第4面224が交わる第1交差部R1を有する。第1交差部R1は、嵌合凸部22の後側の角に位置し、第1面221、第2面222、及び第4面224の3つの面が交わる1つの交点と、第1面221、第2面222、及び第4面224の3つの面のそれぞれにおいて当該交点の近傍に位置する領域と、を含む。
【0028】
嵌合凸部22は、第1面221、第3面223、及び第4面224が交わる第2交差部R2を有する。第2交差部R2は、嵌合凸部22の前側の角に位置し、第1面221、第3面223、及び第4面224の3つの面が交わる1つの交点と、第1面221、第3面223、及び第4面224の3つの面のそれぞれにおいて当該交点の近傍に位置する領域と、を含む。
【0029】
嵌合凸部22は、第1面221と第2面222との第1交線L1を有する。嵌合凸部22は、第1面221と第3面223との第2交線L2を有する。嵌合凸部22は、第2面222と第4面224との第3交線L3を有する。嵌合凸部22は、第3面223と第4面224との第4交線L4を有する。嵌合凸部22は、第1面221と第4面224との第5交線L5を有する。第1交線L1、第2交線L2、第3交線L3、第4交線L4、及び第5交線L5のそれぞれは、直線として構成されている。
【0030】
第1コンタクト30は、例えば、ばね弾性を備えた、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含む銅合金又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて
図4に示す形状に成形加工したものである。第1コンタクト30の表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫などによるめっきが施されている。
【0031】
第1コンタクト30は、前後方向の外側にL字状に延出する実装部31を有する。第1コンタクト30は、実装部31の上端部から上方に向けて連続する係止部32を有する。係止部32は、実装部31よりも左右方向に幅広に形成されている。第1コンタクト30は、係止部32から上方に向けてU字状に突出する湾曲部33を有する。
【0032】
第1コンタクト30は、湾曲部33と連続し、S字状に形成されている弾性接触片34を有する。第1コンタクト30は、弾性接触片34の先端の屈曲部分において前後方向の外側に向いて形成されている弾性接触部35を有する。第1コンタクト30は、湾曲部33において弾性接触部35と前後方向に対向する位置に突設されている接触部36を有する。
【0033】
第1金具40aは、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて
図4に示す形状に成形加工したものである。第1金具40aは、その全体形状がクランク状となるように形成されている。より具体的には、後述する爪部42a、第1基部41a、及び第2基部43aが、全体としてクランク状になるように一体的に形成されている。同様に、第1基部41a及び第2基部43aが、全体としてクランク状になるように一体的に形成されている。第1金具40aは、第1基部41aの前後左右方向及び上方向の各面が隙間なく連続するように絞り加工を含む工程により加工される。これに限定されず、第1金具40aの加工方法は、絞り加工を含む工程に加えて、又は代えて、板厚方向への曲げ加工などに基づく工程を含んでもよい。
【0034】
第1金具40aは、第1基部41aを有する。第1基部41aは、下方から上方に向けて左右方向の内側に傾斜するように延在し、その上端部において左右方向の一方側に向けて屈曲する。第1基部41aは、後述する第2基部43aと爪部42aとを連結する。
【0035】
第1金具40aは、第1基部41aにおいて左右方向の一方側に延出する部分から左右方向の一方側にさらに延出する爪部42aを有する。爪部42aは、L字状に形成されている。例えば、爪部42aの先端42a1は、爪部42aの一方側の端部において下方に屈曲する。前後方向において、爪部42aは、第1金具40aの他の部分よりも幅狭である。例えば、爪部42aの前後方向の幅は、爪部42aと連続する第1基部41aの前後方向の幅よりも狭い。例えば、爪部42aの前後方向の幅は、後述する第2基部43a及び幅狭部44aのそれぞれの前後方向の幅よりも狭い。
【0036】
第1金具40aは、第1基部41aの下端部から左右方向の他方側に直線状に延出する第2基部43aを有する。第2基部43aの前後方向の幅は、第2基部43aと連続する第1基部41aの前後方向の幅よりも狭い。
【0037】
第1金具40aは、第2基部43aにおいて他の部分よりも前後方向に幅狭に形成されている幅狭部44aを有する。幅狭部44aは、第2基部43aにおいて第1基部41aに隣接する部分から左右方向の外側に向けて延出する。第1金具40aは、後述する
図6にも示すとおり、実装部45aを有する。実装部45aは、第2基部43aの幅狭部44aの長手方向の端部における回路基板CB1側の底面を含む。これに限定されず、実装部45aは、幅狭部44aの下面に加えて、幅狭部44aの上下方向に沿った厚み部分及び幅狭部44aの上面などを含んでもよい。
【0038】
図6は、
図3の一点鎖線囲み部Vを拡大して第1金具40aのみを示した拡大図である。
図6を参照しながら、第1金具40aの第1基部41aの構成について、
図5の嵌合凸部22の各構成部と比較しながらより詳細に説明する。
【0039】
第1金具40aは、嵌合凸部22の第1面221、第2面222、及び第4面224が交わる第1交差部R1において、第1面221、第2面222、及び第4面224にわたり配置されている第1端部41a1を有する。第1端部41a1は、第1基部41aにおける後側の角の所定領域を含み、全体として曲面により構成される。第1端部41a1は、第1金具40aの上方における後側の角部に対応する。
【0040】
第1金具40aは、嵌合凸部22の第1面221、第3面223、及び第4面224が交わる第2交差部R2において、第1面221、第3面223、及び第4面224にわたり配置されている第2端部41a2を有する。第2端部41a2は、第1基部41aにおける前側の角の所定領域を含み、全体として曲面により構成される。第2端部41a2は、第1金具40aの上方における前側の角部に対応する。
【0041】
第1金具40aは、第1面221と第2面222との第1交線L1に沿った、第1面221及び第2面222の隣接領域にわたり第1端部41a1から長手方向に沿って延出する第1延出部41a3を有する。第1延出部41a3は、左右方向の側面視で断面形状がL字状となるように形成されている。第1延出部41a3は、第1基部41aの上面から後面にわたり屈曲するように形成されている。
【0042】
第1金具40aは、第1面221と第3面223との第2交線L2に沿った、第1面221及び第3面223の隣接領域にわたり第2端部41a2から長手方向に沿って延出する第2延出部41a4を有する。第2延出部41a4は、左右方向の側面視で断面形状がL字状となるように形成されている。第2延出部41a4は、第1基部41aの上面から前面にわたり屈曲するように形成されている。
【0043】
第1金具40aは、第2面222と第4面224との第3交線L3に沿った、第2面222及び第4面224の隣接領域にわたり第1端部41a1から嵌合側と反対側に向けて延出する第3延出部41a5を有する。第3延出部41a5は、上方から見たときの側面視で断面形状がL字状となるように形成されている。第3延出部41a5は、第1基部41aの左右方向の側面から後面にわたり屈曲するように形成されている。
【0044】
第1金具40aは、第3面223と第4面224との第4交線L4に沿った、第3面223及び第4面224の隣接領域にわたり第2端部41a2から嵌合側と反対側に向けて延出する第4延出部41a6を有する。第4延出部41a6は、上方から見たときの側面視で断面形状がL字状となるように形成されている。第4延出部41a6は、第1基部41aの左右方向の側面から前面にわたり屈曲するように形成されている。
【0045】
第1金具40aは、第1面221と第4面224との第5交線L5に沿った、第1面221及び第4面224の隣接領域にわたり第1端部41a1と第2端部41a2との間で延在する第5延出部41a7を有する。第5延出部41a7は、前後方向の側面視で断面形状がL字状となるように形成されている。第5延出部41a7は、第1基部41aの上面から左右方向の側面にわたり屈曲するように形成されている。
【0046】
第1金具40aは、第1面221に沿って配置されている第1平面S1、第2面222に沿って配置されている第2平面S2、第3面223に沿って配置されている第3平面S3、及び第4面224に沿って配置されている第4平面S4を有する。
【0047】
第1平面S1は、第1延出部41a3の前縁部、第5延出部41a7の左右方向の端縁部、及び第2延出部41a4の後縁部に沿って第1金具40aの上面を構成する。第2平面S2は、第1延出部41a3の下縁部及び第3延出部41a5の左右方向の端縁部に沿って第1金具40aの後面を構成する。
【0048】
第3平面S3は、第2延出部41a4の下縁部及び第4延出部41a6の左右方向の端縁部に沿って第1金具40aの前面を構成する。第4平面S4は、第3延出部41a5の前縁部、第5延出部41a7の下縁部、及び第4延出部41a6の後縁部に沿って第1金具40aの左右方向の側面を構成する。
【0049】
第1金具40aは、嵌合凸部22における長手方向の端部において、第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224、並びに全ての交線を、板厚方向に直交する面で連続して覆う。第1金具40aは、第1基部41aにおいて、第1平面S1、第2平面S2、第3平面S3、及び第4平面S4が各端部及び各延出部により滑らかに接続され、各平面間に隙間がないように形成されている。このような形状は、絞り加工によって実現される。
【0050】
第2金具40bは、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて
図4に示す形状に成形加工したものである。第2金具40bは、後述する外周面47b2、内周面47b1、及び上面が前後左右方向に沿って隙間なく連続するように絞り加工を含む工程により加工される。これに限定されず、第2金具40bの加工方法は、絞り加工を含む工程に加えて、又は代えて、板厚方向への曲げ加工などに基づく工程を含んでもよい。
【0051】
第2金具40bは、前後方向に延在する第1基部41bを有する。第2金具40bは、第1基部41bの前後方向の両端部のそれぞれから左右方向の一方側に延出する第2基部42bを有する。第1基部41b及び第2基部42bは、第2金具40bにおける前後方向及び左右方向の外周を構成する外周部40b1に含まれる。
【0052】
第2金具40bは、第1基部41bの前部及び後部のそれぞれにおいて下方に直線状に延出し、下端部で左右方向の外側に延出する突出片43bを有する。前後方向に互いに離間する一対の突出片43bの対向する縁部と第1基部41bの下縁部とによって凹部が形成されている。第2金具40bは、突出片43bの下端に位置する第1実装部44bを有する。
【0053】
第2金具40bは、第2基部42bの左右方向の一方側の端部に位置し、コネクタ10の短手方向に離間する一対の取付部45bを有する。取付部45bは、第2基部42bの左右方向の一方側の端部から左右方向の一方側に向けてさらに延出する。取付部45bは、前後方向の内側に向けてクランク状に屈曲しながら左右方向に沿って延在する。取付部45bの左右方向の一方側の端部は、取付部45bの他の部分よりも上下方向に沿って幅広に形成されている。
【0054】
第2金具40bは、第1基部41bの略全体及び第2基部42bの左右方向の他方側の端部に至るまで、第2金具40bの内側にU字状に延出する湾曲部46bを有する。第2金具40bは、湾曲部46bの内側において、左右方向及び前後方向に沿って隙間なく連続的に形成されている内周面47b1を有する。第2金具40bは、一方の取付部45bから他方の取付部45bに至るまで、左右方向及び前後方向に沿って隙間なく連続的に形成されている外周面47b2を有する。外周面47b2は、第1基部41b及び第2基部42bの外面を含む。外周面47b2は、これらの外面が滑らかに接続されて各外面間に隙間がないように形成されている。外周面47b2は、一方の取付部45bから長手方向に延出し、屈曲して短手方向に延在してから再度屈曲し、長手方向に沿って他方の取付部45bに至るまで連続して形成されている。
【0055】
第2金具40bは、第2基部42bにおいて左右方向の一方側の端部に形成されているU字状の接触片48bを有する。接触片48bにおいて前後方向の内側に延出する部分は、ばね弾性を有する。第2金具40bは、第2基部42bにおいて前後方向の外側の下端部に位置する第2実装部49bを有する。第2実装部49bは、第2基部42bの左右方向の略全体にわたり延在する。
【0056】
図7は、
図3の一点鎖線囲み部Vを拡大して示した拡大図である。
図8は、
図7のコネクタ10を下面視で示した拡大図である。
【0057】
第1コンタクト30は、第1インシュレータ20の下方から圧入される。このとき、係止部32は、第1コンタクト取付溝24の左右方向の内壁面に係止する。これにより、第1コンタクト30は、第1コンタクト取付溝24に対して保持される。複数の第1コンタクト30は、第1インシュレータ20の外壁23に取り付けられている。
【0058】
第1コンタクト30が第1インシュレータ20の第1コンタクト取付溝24に保持されると、弾性接触部35及び接触部36が嵌合凸部22と外壁23との間で第1コンタクト取付溝24から露出する。このとき、弾性接触片34は、第1コンタクト取付溝24内において前後方向に弾性変形可能である。実装部31の前後方向の先端は、外壁23と略同一の前後位置にある。
【0059】
図7及び
図8にも示すとおり、第1金具40aと第2金具40bとは、互いに異なる部材である。すなわち、第1金具40aと第2金具40bとは、互いに分離している。第1金具40a及び第2金具40bは、互いに分離した状態で左右方向に対向する。第1金具40a及び第2金具40bの強度は、互いに異なる。すなわち、第1金具40a及び第2金具40bのうちの一方の強度は、他方の強度よりもさらに高い。例えば、第1金具40aの強度は、第2金具40bの強度よりもさらに高くてもよい。例えば、第1金具40aの材料の強度は、第2金具40bの材料の強度よりも高くてもよい。本明細書において、「強度」は、例えば引張強さを含む。
【0060】
第1金具40aの材料は、第2金具40bの材料と異なっていてもよい。例えば、第1金具40aの材料がステンレス鋼であり、第2金具40bの材料がリン青銅であってもよい。これに限定されず、第1金具40aの材料及び第2金具40bの材料は、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるような任意の組み合わせで候補となる材料群から選択されてもよい。本明細書において、「候補となる材料群」は、例えばステンレス鋼、リン青銅、鉄、コルソン銅、チタン銅、ベリリウム銅、及びアルミニウムなどを含む。
【0061】
第1金具40aの材料は、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるのであれば、第2金具40bの材料と同一であってもよい。例えば、第1金具40aの強度は、リン青銅などの同一の材料であっても、その合金番号、種類の記号、及び質別などが異なることで第2金具40bの強度よりも高くてもよい。例えば、第1金具40aの強度は、リン青銅などの同一の材料であっても、後述するとおり第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きいことで第2金具40bの強度よりも高くてもよい。
【0062】
例えば、第1コンタクト30の強度は、第2金具40bの強度と略同一であってもよい。第1金具40aの強度は、第2金具40bに加えて第1コンタクト30の強度よりもさらに高くてもよい。第1金具40aの材料、第2金具40bの材料、及び第1コンタクト30の材料は、第1金具40a、第2金具40b、及び第1コンタクト30の間で以上のような強度関係が成立する任意の組み合わせで候補となる材料群から選択されてもよい。
【0063】
一対の第1金具40aは、コネクタ10の長手方向における嵌合凸部22の両端にそれぞれ取り付けられている。第1金具40aは、嵌合凸部22から第2金具40bの第1基部41bに至るまでコネクタ10の長手方向に沿って延在する。
【0064】
例えば、第1金具40aは、インサート成形により第1インシュレータ20の第1金具保持部25と一体的に成形される。このとき、第1基部41aは、嵌合凸部22の左右方向の端部においてその上面から側面にわたり嵌合凸部22と一体的に成形されている。第1基部41aは、第1金具保持部25と一体的に成形されている。第1基部41aは、嵌合凸部22の左右方向の端部全体を外側から覆う。
【0065】
より具体的には、第1端部41a1は、第1交差部R1を覆う。第2端部41a2は、第2交差部R2を覆う。第1延出部41a3は、第1交線L1、並びに第1面221及び第2面222における第1交線L1に沿った隣接領域を覆う。第2延出部41a4は、第2交線L2、並びに第1面221及び第3面223における第2交線L2に沿った隣接領域を覆う。第3延出部41a5は、第3交線L3、並びに第2面222及び第4面224における第3交線L3に沿った隣接領域を覆う。第4延出部41a6は、第4交線L4、並びに第3面223及び第4面224における第4交線L4に沿った隣接領域を覆う。第5延出部41a7は、第5交線L5、並びに第1面221及び第4面224における第5交線L5に沿った隣接領域を覆う。第1平面S1、第2平面S2、第3平面S3、及び第4平面S4は、第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224をそれぞれ覆う。
【0066】
第1基部41aの第1平面S1は、嵌合凸部22の上面と同面である。第1基部41aの第2平面S2及び第3平面S3は、嵌合凸部22の側面と同面である。これらに限定されず、第1基部41aの第1平面S1が、嵌合凸部22の上面と同面でなくてもよい。例えば、第1基部41aの第1平面S1は、嵌合凸部22の上面よりも下方に位置してもよい。第1基部41aの第2平面S2及び第3平面S3が、嵌合凸部22の側面と同面でなくてもよい。例えば、第1基部41aの第2平面S2及び第3平面S3は、嵌合凸部22の側面よりも左右方向の内側に位置してもよい。
【0067】
爪部42aは、爪部42aの先端42a1が嵌合凸部22の内部に埋設されるように嵌合凸部22の上面側で嵌合凸部22と一体的に成形されている。爪部42aの上面は、第1インシュレータ20から露出する。例えば、爪部42aの上面は、嵌合凸部22の上面と同面である。これに限定されず、爪部42aの上面が、嵌合凸部22の上面よりも下方に位置してもよい。
【0068】
第2基部43aは、領域Rにおいて第1インシュレータ20から完全に露出する。第2基部43aは、嵌合凸部22から第2金具40bの第1基部41bに至るまで延在する。実装部45aを含む第2基部43aの先端は、第2金具40bの第1基部41bの直下に位置する。第2基部43aは、領域Rにおいて第2金具40bの外周部40b1により前後両側及び左右方向の外側から囲まれる。
【0069】
回路基板CB1に実装される第1金具40aの実装部45aは、第2基部43aにおいて回路基板CB1側の底面を含む。例えば、実装部45aは、第2基部43aの下面において、前後左右方向に所定の面積を有する。実装部45aは、左右方向において、第2金具40bの第1基部41bの直下に位置する。実装部45aは、前後方向に沿って、第2金具40bの一対の第1実装部44bの間に位置する。
【0070】
第2金具40bは、長手方向における外壁23の端部Eに取り付けられている。より具体的には、第2金具40bの取付部45bが、外壁23の端部Eに取り付けられている。取付部45bは、第1インシュレータ20の外壁23の端部Eとインサート成形により一体的に成形されている。これにより、第2金具40bは、第1インシュレータ20の第2金具保持部26に対して保持される。このとき、前後方向に互いに離間する一対の突出片43bの対向する縁部と第1基部41bの下縁部とによって形成されている第2金具40bの凹部が第1金具40aの実装部45aを挟むように位置する。
【0071】
第2金具40bが第1インシュレータ20の第2金具保持部26に保持されると、第2金具40bの外周部40b1は、領域Rにおいてコネクタ10の外周を構成する。領域Rにおいて、コネクタ10の外周は、第2金具40bのみによって形成されている。領域Rにおいて、前側の外壁23の左右方向における端部Eから左右方向に沿って延出する前側の第2基部42bがコネクタ10の左右方向に沿った前側の外周を構成する。領域Rにおいて、前後方向に沿って延在する第1基部41bがコネクタ10の前後方向に沿った外周を構成する。領域Rにおいて、後側の外壁23の左右方向における端部Eから左右方向に沿って延出する後側の第2基部42bがコネクタ10の左右方向に沿った後側の外周を構成する。領域Rにおいて、第2金具40bのみが配置され、第1インシュレータ20は形成されていない。
【0072】
第2金具40bの外周部40b1は、領域Rにおけるコネクタ10の外周の辺に沿って二重構造を有する。例えば、外周部40b1は、湾曲部46bにより互いに接続されている内側及び外側の一対の壁部が左右方向及び前後方向に沿って連続的に並列するように構成されている。外周部40b1の内側の壁部に形成されている内周面47b1と、外周部40b1の外側の壁部に形成されている外周面47b2と、が左右方向及び前後方向に沿って連続的に並列する。例えば、外周部40b1は、U字状に形成されている接触片48bに含まれる内側及び外側の一対の壁部が左右方向に沿って並列するように構成されている。
【0073】
第2金具40bの外周部40b1は、第1金具40aの第2基部43aを、前後両側及び左右方向の外側から囲む。より具体的には、外周部40b1の第2基部42bが、第1金具40aの第2基部43aに対して前後両側に配置されている。外周部40b1の第1基部41b、突出片43b、及び湾曲部46bが、第1金具40aの第2基部43aの外端部と左右方向に重なるように配置されている。また、接触片48bにおいて前後方向内側に配置され下方に延出している部分が、前後方向に弾性変形可能である。
【0074】
第1実装部44bは、コネクタ10の短手方向に沿って配置されている。第1実装部44bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの第2基部43aの両側に配置されている。すなわち、一対の第1実装部44bは、第1金具40aの第2基部43aを前後方向の両側から挟むように位置している。より具体的には、一対の第1実装部44bは、第2基部43aの左右方向の端部に位置する実装部45aを前後方向の両側から挟むように位置している。例えば、一対の第1実装部44bは、第1金具40aの第2基部43aの実装部45aに対して前後方向に対称となる位置にそれぞれ配置されている。
【0075】
第2実装部49bは、コネクタ10の長手方向に沿って配置されている。第2実装部49bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの第2基部43aの両側に配置されている。すなわち、一対の第2実装部49bは、第1金具40aの第2基部43aを前後方向の両側から挟むように位置している。例えば、一対の第2実装部49bは、第2基部43aに形成されている幅狭部44aに対して前後方向に対称となる位置にそれぞれ配置されている。一対の第2実装部49bは、実装部45a及び幅狭部44aを含む第2基部43aと略同一の左右位置に配置されている。
【0076】
以上のような構造のコネクタ10では、回路基板CB1の実装面に形成された回路パターンに対して、第1コンタクト30の実装部31がはんだ付けされる。当該実装面に形成されたパターンに対して、第1金具40aの実装部45a並びに第2金具40bの第1実装部44b及び第2実装部49bがはんだ付けされる。以上により、各実装部が回路基板CB1に実装されることで、コネクタ10は、回路基板CB1に実装される。回路基板CB1の実装面には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、コントローラ、及びメモリなどのコネクタ10とは別の電子部品が実装される。
【0077】
続いて、接続対象物50の構成について
図9を主に参照しながら説明する。
【0078】
図9は、
図1の接続対象物50単体を上面視で示した外観斜視図である。接続対象物50は、一例として、第2コンタクト70と第2インシュレータ60とがインサート成形により一体的に成形され、金具80が第2インシュレータ60に対して上方から圧入されることで得られる。
【0079】
第2インシュレータ60は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形した、左右方向に延在する板状部材である。第2インシュレータ60は、下部を構成する底板部61を有する。第2インシュレータ60は、底板部61の前後左右の外周に沿って上方に突出する環状の外周壁62を有する。外周壁62は、短手壁62aと長手壁62bとを有する。短手壁62aは、前後方向に延在する。長手壁62bは、左右方向に延在する。第2インシュレータ60は、外周壁62によって前後左右の4方向から囲まれる嵌合凹部63を有する。
【0080】
第2インシュレータ60は、長手壁62b及び底板部61にわたって形成されている第2コンタクト保持部64を有する。第2コンタクト保持部64には、第2コンタクト70が取り付けられる。第2インシュレータ60は、短手壁62aに形成されている金具保持部65を有する。金具保持部65には、金具80が取り付けられる。
【0081】
第2コンタクト70は、例えば、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含む銅合金又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。第2コンタクト70の表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫などによるめっきが施されている。
【0082】
第2コンタクト70は、前後方向の外側にL字状に延出する実装部71を有する。第2コンタクト70は、実装部71から上方に向けてU字状に延出する湾曲部72を有する。第2コンタクト70は、湾曲部72の前後両側において前後方向の側面を含むように構成される一対の接触部73を有する。
【0083】
第2コンタクト70は、インサート成形により第2インシュレータ60の第2コンタクト保持部64と一体的に成形される。このとき、一対の接触部73は、長手壁62bの前後両側に沿ってそれぞれ配置されている。実装部71は、底板部61を貫通して前後方向の外側に延出する。実装部71の前後方向の先端は、長手壁62bよりも前後方向の外側に位置する。
【0084】
金具80は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。金具80の加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。
【0085】
金具80は、平板上に形成されている基部81を有する。金具80は、基部81の左右方向の外端部及び内端部から左右方向の外側及び内側に向けてそれぞれL字状に延出する第1延出部82を有する。金具80は、基部81の前後方向の両端部のそれぞれから前後方向の外側に向けてL字状に延出する第2延出部83を有する。金具80は、第2延出部83の前後方向の外面に形成されている接触部84を有する。金具80は、外側の第1延出部82及び第2延出部83のそれぞれの下端に位置する実装部85を有する。金具80は、第1延出部82及び第2延出部83が第2インシュレータ60の金具保持部65に係止することで第2インシュレータ60に取り付けられている。
【0086】
以上のような構造の接続対象物50では、回路基板CB2の実装面に形成された回路パターンに対して、第2コンタクト70の実装部71がはんだ付けされる。当該実装面に形成されたパターンに対して、金具80の実装部85がはんだ付けされる。以上により、接続対象物50は、回路基板CB2に対して実装される。回路基板CB2の実装面には、例えば、通信モジュールなどの接続対象物50とは別の電子部品が実装される。
【0087】
図10乃至
図12を参照しながら、コネクタ10と接続対象物50とが接続し、第1インシュレータ20と第2インシュレータ60とが嵌合する嵌合状態でのコネクタモジュール1の構成について主に説明する。
図10は、
図1のX-X矢線に沿った断面図である。
【0088】
例えば、
図9に示す接続対象物50の上下方向の向きを逆にした状態で、コネクタ10と接続対象物50との前後位置及び左右位置を略一致させながら、互いを上下方向に対向させる。そして、接続対象物50を下方に移動させる。これにより、コネクタ10と接続対象物50とが互いに接続され、コネクタモジュール1の接続状態が得られる。このとき、第1インシュレータ20の嵌合凸部22と第2インシュレータ60の嵌合凹部63とが互いに嵌合する。
【0089】
嵌合状態において、第1コンタクト30の弾性接触部35と第2コンタクト70の接触部73とが接触し、ばね弾性を有する弾性接触片34が前後方向の内側に弾性変形する。嵌合状態において、第1コンタクト30の接触部36と第2コンタクト70の接触部73とが接触する。第1コンタクト30と第2コンタクト70とは、弾性接触部35及び接触部73と接触部36及び接触部73とによって前後両側の2箇所で接触する。
【0090】
図11は、
図1のXI-XI矢線に沿った断面図である。
【0091】
嵌合状態において、第2金具40bの接触片48bと金具80の接触部84とが接触する。このとき、ばね弾性を有する接触片48bは、前後方向の外側に弾性変形する。第2金具40bと金具80とは、接触片48b及び接触部84によって前後両側の2箇所で接触する。
【0092】
第2基部43aの上面は、金具80の基部81と上下方向に対向する。第2基部43aの上面と基部81とは、上下方向に沿って互いに離間する。これにより、仮にはんだが第2基部43aの上面にまで至ったとしても、第2基部43aの上面と金具80の基部81との間にはんだが収容される。したがって、コネクタ10と接続対象物50との間の嵌合不良が抑制される。すなわち、はんだの余剰分によって接続対象物50がコネクタ10に対して完全に嵌合しないような状態が回避される。
【0093】
図8にも示すとおり、実装部45aの周囲に第1インシュレータ20が全く形成されていないことで、実装部45aにおけるはんだの量を多くすることも可能となる。これにより、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装強度が向上する。例えば、はんだに基づくサイドフィレットを実装部45aにおいて形成することも可能となる。これにより、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装強度がさらに向上する。以上により、コネクタ10の堅牢性が向上する。
【0094】
図12は、
図1のXII-XII矢線に沿った断面図である。
【0095】
第2金具40bは、コネクタ10と接続対象物50とが互いに嵌合する嵌合状態で、第1金具40aと共に接続対象物50の金具80を挟むように位置する。すなわち、金具80は、コネクタ10の長手方向において第1金具40aと第2金具40bとの間に位置する。嵌合状態において、第1金具40aの第2基部43aと金具80の基部81とは、上下方向に互いに離間しながら対向するように配置されている。嵌合状態において、第2金具40bの内周面47b1と金具80の外側の第1延出部82とは、左右方向に互いに対向するように配置されている。嵌合状態において、第1金具40aの第1基部41aと金具80の内側の第1延出部82とは、左右方向に互いに対向するように配置されている。
【0096】
第1金具40aは、コネクタ10の長手方向に平行な配列方向に沿って配置されている複数の第1コンタクト30のうち配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なる。例えば、
図7にも示すとおり、第1金具40aの爪部42aが、配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なる。例えば、爪部42aにおいて左右方向に延在する部分の一部の左右位置が、一の第1コンタクト30の左右位置と同一になる。
【0097】
図12に示すとおり、第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、配列方向において、一の第1コンタクト30に隣接する他の第1コンタクト30と一の第1コンタクト30との間に位置する。例えば、爪部42aにおいて左右方向に延在する部分の一部も、屈曲して上下方向に延在する先端42a1と共に、配列方向において、一の第1コンタクト30と他の第1コンタクト30との間に位置する。
【0098】
図12では、第1金具40aの板厚は、第2金具40bの板厚と略同一であるか、又は第2金具40bの板厚よりも小さい。これに限定されず、第1金具40aの板厚は、例えば第1金具40aと第2金具40bとが同一の材料により形成されるような場合であっても第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるように、第2金具40bの板厚よりも大きくてもよい。
【0099】
以上のような一実施形態に係るコネクタ10によれば、小型低背化された状態であっても第1インシュレータ20に起因するコネクタ10の不具合を抑制可能である。第2金具40bの外周部40b1は、コネクタ10における長手方向の端部に位置し、かつ外壁23の端部Eよりも長手方向の外側に位置する領域Rにおいてコネクタ10の外周を構成する。すなわち、外周部40b1は、領域Rにおいて第1インシュレータ20に係止することなく単独で位置する。従来技術のように第1インシュレータ20における長手方向の端部に第2金具40bの外周部40b1を取り付ける作業が不要となる。領域Rにおいて外周部40b1が位置する部分に第1インシュレータ20がそもそも存在しないので、当該部分において第1インシュレータ20の削れなどの不具合がそもそも生じ得ない。したがって、第1インシュレータ20に不具合が生じる可能性が低くなり、第1インシュレータ20に起因するコネクタ10の不具合も抑制される。
【0100】
上記のとおり、領域Rにおいて外周部40b1が位置する部分に第1インシュレータ20がそもそも存在しないので、コネクタ10が小型低背化されて第1インシュレータ20が薄くなったとしても、当該部分において第1インシュレータ20の反り及び破損などの不具合がそもそも生じ得ない。したがって、第1インシュレータ20に不具合が生じる可能性が低くなり、第1インシュレータ20に起因するコネクタ10の不具合も抑制される。
【0101】
領域Rにおいて第2金具40bのみが配置されていることで、領域R全体において第1インシュレータ20がそもそも存在しない。したがって、領域R全体において第1インシュレータ20の削れ、反り、及び破損などの不具合がそもそも生じ得ない。したがって、第1インシュレータ20に不具合が生じる可能性がさらに低くなり、第1インシュレータ20に起因するコネクタ10の不具合もさらに抑制される。
【0102】
加えて、第2金具40bに電流が流れるような場合であっても、領域R全体において第1インシュレータ20が存在していないことで放熱性が向上する。コネクタ10が小型低背化された状態であっても、第1インシュレータ20に第2金具40bを取り付ける必要が無いので、第2金具40bの板厚などを自由に変化させたりすることも可能となる。したがって、例えば第2金具40bの板厚を変えて電流が流れる断面積を大きくすることも可能となる。コネクタ10によれば、第2金具40bに大電流を流すことも可能となる。
【0103】
領域R全体において第1インシュレータ20がそもそも存在しないことで、コネクタ10の長手方向の両端部に位置する領域R分だけ、コネクタ10の長手方向の幅が短縮化される。仮に、第1コンタクト30が多極で長手方向にコネクタ10が細長になっている場合、コネクタ10全体でも反りなどの不具合が生じやすくなるが、このような短縮化によって、コネクタ10全体の反りなどの不具合が抑制される。
【0104】
外周部40b1の外周面47b2が一方の取付部45bから他方の取付部45bに至るまで連続して形成されていることで、第2金具40bの強度が向上する。これにより、仮にコネクタ10が小型低背化された状態であってもコネクタ10の堅牢性が向上する。例えば、コネクタ10と接続対象物50との嵌合作業及び抜去作業において、接続対象物50との接触による第2金具40bの破損などの不具合が抑制される。したがって、コネクタ10の製品としての信頼性が向上する。
【0105】
外周部40b1の内周面47b1が、湾曲部46bの内側において、左右方向及び前後方向に沿って隙間なく連続的に形成されていることで、第2金具40bの強度がさらに向上する。これにより、仮にコネクタ10が小型低背化された状態であってもコネクタ10の堅牢性がさらに向上する。例えば、コネクタ10と接続対象物50との嵌合作業及び抜去作業において、接続対象物50との接触による第2金具40bの破損などの不具合がさらに抑制される。したがって、コネクタ10の製品としての信頼性がさらに向上する。
【0106】
外周部40b1が、領域Rにおけるコネクタ10の外周の辺に沿って二重構造を有することで、第2金具40bの強度がさらに向上する。これにより、コネクタ10の堅牢性及び製品としての信頼性に関する上述の効果がさらに顕著となる。
【0107】
インサート成形により第2金具40bの取付部45bが第1インシュレータ20と一体的に成形されていることで、第1インシュレータ20による第2金具40bの保持強度が向上する。これにより、第2金具40bは、外周部40b1に第1インシュレータ20が形成されていなくても第1インシュレータ20に対して安定して取り付け可能である。
【0108】
コネクタ10では、第1金具40aは、嵌合凸部22の第1交差部R1において配置されている第1端部41a1と、嵌合凸部22の第2交差部R2において配置されている第2端部41a2と、を有する。これにより、コネクタ10は、コネクタ10と接続対象物50との嵌合作業及び抜去作業において潰れ及び削れなどの不具合が生じやすい嵌合凸部22の各交差部を確実に保護できる。嵌合凸部22の各交差部において第1インシュレータ20の一部が第1金具40aにより覆われており、第1インシュレータ20の各交差部における堅牢性が向上する。これにより、コネクタ10と接続対象物50との嵌合作業及び抜去作業において、接続対象物50との接触による第1インシュレータ20の嵌合凸部22の削れなどの不具合が抑制される。したがって、削れた第1インシュレータ20の破片が第1コンタクト30に付着して生じる接触不良も抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性が向上する。
【0109】
第1金具40aは、第1延出部41a3を有することで、第1交線L1、並びに第1面221及び第2面222における第1交線L1に沿った隣接領域も保護できる。第1金具40aは、第2延出部41a4を有することで、第2交線L2、並びに第1面221及び第3面223における第2交線L2に沿った隣接領域も保護できる。以上により、嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。結果として、第1インシュレータ20の堅牢性がさらに向上する。したがって、コネクタ10は、堅牢性及び信頼性に関する上記の効果をより顕著に奏する。
【0110】
第1金具40aは、第3延出部41a5を有することで、第3交線L3、並びに第2面222及び第4面224における第3交線L3に沿った隣接領域も保護できる。第1金具40aは、第4延出部41a6を有することで、第4交線L4、並びに第3面223及び第4面224における第4交線L4に沿った隣接領域も保護できる。以上により、嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。結果として、第1インシュレータ20の堅牢性がさらに向上する。したがって、コネクタ10は、堅牢性及び信頼性に関する上記の効果をより顕著に奏する。例えば、第3延出部41a5及び第4延出部41a6は、コネクタ10と接続対象物50との嵌合途中又は嵌合後において接続対象物50がコネクタ10に対して上下方向に直交する面内で回転しようとしたときであっても、嵌合凸部22において対応する部分の削れ及び潰れを抑制可能である。
【0111】
第1金具40aは、第5延出部41a7を有することで、第5交線L5、並びに第1面221及び第4面224における第5交線L5に沿った隣接領域も保護できる。以上により、嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。結果として、第1インシュレータ20の堅牢性がさらに向上する。したがって、コネクタ10は、堅牢性及び信頼性に関する上記の効果をより顕著に奏する。例えば、第5延出部41a7は、コネクタ10と接続対象物50との嵌合途中において接続対象物50が最も接触しやすい嵌合凸部22の第5交線L5、並びに第1面221及び第4面224における第5交線L5に沿った隣接領域の削れ及び潰れを抑制可能である。
【0112】
第1金具40aは、第1平面S1、第2平面S2、第3平面S3、及び第4平面S4の少なくとも1つを有することで、第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224の少なくとも1つを保護できる。以上により、嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。結果として、第1インシュレータ20の堅牢性がさらに向上する。したがって、コネクタ10は、堅牢性及び信頼性に関する上記の効果をより顕著に奏する。
【0113】
第1金具40aは、第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224、並びに全ての交線を、板厚方向に直交する面で連続して覆うことで、嵌合凸部22における長手方向の端部において第1インシュレータ20を露出させることなく保護可能である。このような効果は、絞り加工によって形成されている第1基部41aにより実現される。以上により、嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。結果として、第1インシュレータ20の堅牢性がさらに向上する。したがって、コネクタ10は、堅牢性及び信頼性に関する上記の効果をより顕著に奏する。
【0114】
第1基部41aの第1平面S1が嵌合凸部22の上面と同面となり、第1基部41aの第2平面S2及び第3平面S3が嵌合凸部22の側面と同面である。これにより、第1金具40aと第1インシュレータ20とは、互いの間に段差が生じることなく滑らかに連続する。したがって、嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。結果として、第1インシュレータ20の堅牢性がさらに向上する。したがって、コネクタ10は、堅牢性及び信頼性に関する上記の効果をより顕著に奏する。
【0115】
コネクタ10では、嵌合凸部22に取り付けられている第1金具40aと外壁23に取り付けられている第2金具40bとが互いに異なる部材である。これにより、金具が一体的に形成されている従来技術と比較して、嵌合途中において、金具と接続対象物50との接触による影響が低減する。例えば、嵌合凸部22及び外壁23の一方側で金具と接続対象物50とが互いに接触しても、当該接触による他方側への影響が抑制される。これにより、第1金具40a及び第2金具40bを含む金具の破損が抑制される。金具の破損が抑制されることで、金具が取り付けられている第1インシュレータ20の破損も抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性が向上する。
【0116】
仮に、コネクタ10に対する接続対象物50の位置がずれている状態で嵌合が行われ、その途中で外壁23側の第2金具40bに接続対象物50が接触して第2金具40bが左右方向外側へ倒れるように変形しても、嵌合凸部22側への影響が抑制される。すなわち、第1金具40aと第2金具40bとが互いに異なる部材であることで、第1金具40aの変形が抑制される。仮に、嵌合途中で嵌合凸部22側の第1金具40aに接続対象物50が接触して第1金具40a及び嵌合凸部22が左右方向内側へ凹むように変形しても、外壁23側への影響が抑制される。すなわち、第1金具40aと第2金具40bとが互いに異なる部材であることで、第2金具40bの変形が抑制される。このように嵌合凸部22及び外壁23の一方側でそれぞれの金具が独立別個の挙動を示す。したがって、他方側への挙動の伝達が抑制される。結果として、金具全体で所望の機能が安定して発揮できるため、破損が抑制される。
【0117】
以上のように金具及び第1インシュレータ20の破損が抑制されることで、コネクタ10と接続対象物50との間で、嵌合途中及び嵌合後におけるコンタクトの配列方向、すなわちコネクタ10の長手方向への位置ずれが抑制される。これにより、第1コンタクト30及び第2コンタクト70同士の導通が本来の設計に従って正確に実現される。加えて、嵌合後におけるコネクタモジュール1のがたつきが抑制される。すなわち、コネクタ10及び接続対象物50の一方に対する他方の位置規制の機能が維持される。結果として、一方が他方から抜けにくくなり、コネクタモジュール1の製品としての信頼性が向上する。
【0118】
コネクタ10では、第1金具40aと第2金具40bとが互いに異なる部材であることで、第1金具40a及び第2金具40bのうちの一方の強度を他方の強度よりもさらに高くすることが可能となる。コネクタ10では、例えば嵌合凸部22及び外壁23のような互いに異なる場所において異なる目的で取り付けられている第1金具40a及び第2金具40bに対して、その場所及び目的に適合した適切な強度で各金具を形成することが可能である。例えば、従来技術のように金具が一体的に形成されていると、嵌合凸部22及び外壁23の一方側で金具の強度を低減せざるを得ないような場合に、他方側においても必然的に金具の強度が低下することとなる。
【0119】
例えば、嵌合凸部22に取り付けられている第1金具40aについては嵌合凸部22の堅牢性の向上が主な目的である。一方で、外壁23に取り付けられている第2金具40bについては嵌合状態で金具80と接触させて導通を得ることを主な目的としている。当該目的のために、第2金具40bには弾性変形可能な接触片48bが形成されている。
【0120】
したがって、第2金具40bは、ばね性が得られるような強度の材料によって形成される一方で、第1金具40aは、より強度の高い材料によって形成されることが好ましい。コネクタ10では、第1金具40a及び第2金具40bに対してそれぞれの目的に適合した適切な強度で各金具を形成可能である。例えば、従来技術のように金具が一体的に形成されていると、外壁側に弾性変形可能な接触片が形成されることで金具全体の強度が必然的に低下することとなり、嵌合凸部の堅牢性も低下することとなる。
【0121】
第1金具40aの材料が第2金具40bの材料と異なることで、第1金具40a及び第2金具40bのうちの一方の強度が他方の強度よりも高くなるように各金具を容易に形成可能である。例えば、上述した第1金具40a及び第2金具40bに対する目的に合わせて各金具の材料を適切に選択することが可能となる。
【0122】
第1金具40aの材料の強度が第2金具40bの材料の強度よりも高いことで、第1金具40aが取り付けられている嵌合凸部22の堅牢性が向上する。したがって、第1金具40aが取り付けられている第1インシュレータ20の嵌合凸部22の破損が抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性が向上する。
【0123】
第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きいことで、仮に第1金具40aと第2金具40bとが同一の材料により形成されるような場合であっても第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなる。これにより、第1金具40aが取り付けられている嵌合凸部22の堅牢性が上記と同様に向上する。
【0124】
一対の第1金具40aがコネクタ10の長手方向における嵌合凸部22の両端にそれぞれ取り付けられていることで、嵌合凸部22の両端において嵌合凸部22の堅牢性が向上する。したがって、一対の第1金具40aが取り付けられている第1インシュレータ20の嵌合凸部22の破損がさらに抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性がさらに向上する。
【0125】
コネクタ10では、第1金具40aが回路基板CB1に実装される実装部45aを有することで、第1金具40aの堅牢性が向上する。すなわち、第1金具40aに対して荷重がかかったとしても、その変形が抑制され、嵌合途中においてもコネクタ10の形状及び寸法精度が維持される。例えば、第1金具40aが取り付けられている嵌合凸部22の堅牢性が向上する。したがって、嵌合凸部22の変形などの破損が抑制され、上述したコネクタ10の長手方向への位置ずれ及びがたつきに関する効果が得られる。
【0126】
実装部45aが、コネクタ10の長手方向に沿って延在する第2基部43aにおいて回路基板CB1側の底面を含むことで、第1金具40aに働く外力を実装部45aにおいて受け止めることができる。すなわち、実装部45aが回路基板CB1に実装されることで第1金具40aが回路基板CB1に対して固定され、第1金具40aに外力が働いたとしてもその衝撃が実装部45aにおいて吸収される。したがって、コネクタ10の長手方向に沿った第1金具40aの堅牢性が向上する。これにより、コネクタ10の長手方向に沿った嵌合凸部22の堅牢性も向上する。
【0127】
第1金具40aが、複数の第1コンタクト30のうち配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なることで、コネクタ10の長手方向の幅が短縮化される。これにより、コネクタモジュール1の長手方向の幅が短縮化され、コネクタモジュール1が小型化される。加えて、コネクタモジュール1が外力に対しても強くなる。
【0128】
第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、配列方向において、一の第1コンタクト30と他の第1コンタクト30との間に位置する。これにより、爪部42aの任意の先端構造が、第1コンタクト取付溝24が形成されておらず第1インシュレータ20において肉厚が大きい部分に配置される。したがって、第1インシュレータ20に対する爪部42aの先端42a1の保持強度が向上する。これにより、第1インシュレータ20に対する第1金具40aの保持強度が向上する。一方で、爪部42aの任意の先端構造が第1インシュレータ20において肉厚が大きい部分に配置されることで、第1コンタクト取付溝24が形成されている部分と重なるように爪部42aの先端構造が配置される場合と比較して、第1インシュレータ20の嵌合凸部22の剛性の低下が抑制される。
【0129】
爪部42aがL字状に形成され、爪部42aの先端42a1が嵌合凸部22の内部に埋設されていることで、爪部42aの捲れが抑制される。したがって、第1インシュレータ20に対する爪部42aの保持強度が向上する。これにより、第1インシュレータ20に対する第1金具40aの保持強度が向上する。
【0130】
第1基部41a及び第2基部43aが全体としてクランク状になるように一体的に形成されていることで、嵌合凸部22の端部の形状に沿って第1金具40aの第1基部41a全体が第1インシュレータ20と一体化される。したがって、第1インシュレータ20に対する第1金具40aの保持強度が向上する。
【0131】
コネクタ10の短手方向において、爪部42aが第1金具40aの他の部分よりも幅狭であることで、爪部42aと一体化している箇所において第1インシュレータ20の肉厚が増大する。例えば、爪部42aが配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なり、第1コンタクト取付溝24が対応する箇所に形成されていたとしても、爪部42aが幅狭に形成されていることで、第1インシュレータ20の強度が維持される。結果として、コネクタ10の堅牢性が向上する。
【0132】
第1金具40aの第2基部43aが、嵌合凸部22から第2金具40bに至るまでコネクタ10の長手方向に沿って延在することで、コネクタ10の長手方向に沿った第1金具40aの堅牢性が向上する。これにより、コネクタ10の長手方向に沿った嵌合凸部22の堅牢性も向上する。
【0133】
第2金具40bの第1実装部44bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されている。第2金具40bの第2実装部49bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されている。以上により、第2金具40bの回路基板CB1に対する実装強度が向上する。これにより、第2金具40bの左右方向に沿った堅牢性が向上する。
【0134】
一対の第1実装部44bが、実装部45aと略同一の左右位置に配置されていることで、3つの実装部が前後方向に沿った直線上に位置する。これにより、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装強度が向上する。例えば、接続対象物50がコネクタ10に対して上下方向を軸として所定の角度でずれた状態で嵌合が行われたとしても、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装が維持される。同様に、嵌合後においてコネクタ10が実装されている回路基板CB1が回転したとしても、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装が維持される。したがって、回路基板CB1に実装されているコネクタ10の堅牢性が向上する。
【0135】
第2金具40bは、嵌合状態で金具80と接触する弾性変形可能な接触片48bを有することで、接触片48bにおける弾性力により金具80との接続状態を安定的に維持することが可能である。したがって、第2金具40bと金具80との導通が嵌合状態で安定的に維持される。
【0136】
第1金具40a及び第2金具40bが互いに分離した状態で左右方向に対向することで、コネクタ10と接続対象物50とが互いに嵌合する嵌合状態で、接続対象物50の金具80が第1金具40aと第2金具40bとの間に位置することが可能となる。このように、第2金具40bが嵌合状態で第1金具40aと共に金具80を挟むように位置することで、嵌合後におけるコネクタモジュール1のがたつきが抑制される。すなわち、嵌合途中においてコネクタ10の形状及び寸法精度が維持され、コネクタ10及び接続対象物50の一方に対する他方の位置規制の機能が嵌合後においても維持される。結果として、一方が他方から抜けにくくなり、コネクタモジュール1の製品としての信頼性が向上する。
【0137】
第1金具40aと第1インシュレータ20とがインサート成形により一体的に成形されていることで、第1インシュレータ20による第1金具40aの保持強度が向上する。したがって、第1金具40a及び嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。
【0138】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0139】
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0140】
上記実施形態では、第2金具40bの取付部45bは、インサート成形により第1インシュレータ20と一体的に成形されていると説明したが、これに限定されない。例えば、コネクタ10において、第2金具40bがインサート成形ではなく圧入により第1インシュレータ20に取り付けられていてもよい。例えば、コネクタ10において、第1金具40aがインサート成形ではなく圧入により第1インシュレータ20に取り付けられていてもよい。
【0141】
上記実施形態では、第1インシュレータ20は、外壁23を前後方向に一対有すると説明したが、これに限定されない。外壁23は、第1インシュレータ20において、前後両側ではなくいずれか一方にのみ形成されていてもよい。
【0142】
上記実施形態では、領域Rにおいて、第2金具40bのみが配置され、第1インシュレータ20は形成されていないと説明したが、これに限定されない。領域Rにおいて、外壁23を除く第1インシュレータ20の任意の構成部が形成されていてもよい。例えば、底板部21が、領域Rにまで延在し、領域Rにおいて第2金具40bの外周部40b1に囲まれていてもよい。これにより、第2金具40bと回路基板CB1との間の電気的な絶縁性が向上する。
【0143】
上記実施形態では、第2金具40bは、領域Rにおいてコネクタ10の外周を構成する外周部40b1のみを有すると説明したが、これに限定されない。第2金具40bは、領域Rにおいて、第1インシュレータ20の底板部21と連続又は隣接するように形成されている底部を付加的に有してもよい。
【0144】
上記実施形態では、外周部40b1の外周面47b2のみが、一方の取付部45bから他方の取付部45bに至るまで連続して形成されていると説明したが、これに限定されない。外周面47b2に加えて、又は代えて外周部40b1の内周面47b1が、一方の取付部45bから他方の取付部45bに至るまで連続して形成されていてもよい。
【0145】
外周部40b1の外周面47b2及び内周面47b1の少なくとも一方は、一方の取付部45bから他方の取付部45bに至るまで連続して形成されていなくてもよい。例えば、外周部40b1は、絞り加工を含まない任意の加工方法によって、スリット及び孔などの構造を角部に有するような任意の形状で構成されてもよい。
【0146】
上記実施形態では、外周部40b1は、領域Rにおけるコネクタ10の外周の辺に沿って二重構造を有すると説明したが、これに限定されない。外周部40b1は、領域Rにおけるコネクタ10の外周の辺に沿って二重構造以外の任意の構造を有してもよい。例えば、外周部40b1は、一重構造又は三重構造を有してもよい。
【0147】
例えば、外周部40b1が一重構造となる場合、第2金具40bと金具80との間の接触構造は、ばね弾性を有する接触片48bを含む構造に代えて、突起と凹部とによる係合構造を含んでもよい。例えば、第2金具40bの内周面47b1に突設された突起と金具80の外面に凹設された凹部とが互いに係合することで、第2金具40bと金具80とが互いに接触してもよい。
【0148】
上記実施形態では、第1金具40aは、嵌合凸部22の左右方向の一の端部において1つだけ配置されていると説明したが、これに限定されない。第1金具40aは、例えば第1端部41a1及び第2端部41a2に互いに離間して配置されている一対の部材として構成されていてもよい。このように、第1金具40aは、複数の部材によって構成されていてもよい。
【0149】
上記実施形態では、第1金具40aは、第1延出部41a3及び第2延出部41a4を有すると説明したが、これに限定されない。第1金具40aは、第1延出部41a3及び第2延出部41a4のいずれか一方のみを有してもよいし、これらの延出部を両方有さなくてもよい。
【0150】
上記実施形態では、第1金具40aは、第3延出部41a5及び第4延出部41a6を有すると説明したが、これに限定されない。第1金具40aは、第3延出部41a5及び第4延出部41a6のいずれか一方のみを有してもよいし、これらの延出部を両方有さなくてもよい。
【0151】
上記実施形態では、第1金具40aは、第5延出部41a7を有すると説明したが、これに限定されない。第1金具40aは、第5延出部41a7を有さなくてもよい。
【0152】
上記実施形態では、第1金具40aは、第1平面S1、第2平面S2、第3平面S3、及び第4平面S4を有すると説明したが、これに限定されない。第1金具40aは、第1平面S1、第2平面S2、第3平面S3、及び第4平面S4の少なくとも1つを有していてもよいし、第1平面S1、第2平面S2、第3平面S3、及び第4平面S4を有さなくてもよい。第1金具40aは、第1平面S1、第2平面S2、第3平面S3、及び第4平面S4の少なくとも1つに代えて、対応する面が曲面となるように形成されていてもよい。
【0153】
上記実施形態では、第1金具40aは、嵌合凸部22における長手方向の端部において、第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224、並びに全ての交線を、板厚方向に直交する面で連続して覆うと説明したが、これに限定されない。第1金具40aは、第1端部41a1及び第2端部41a2を有していれば、絞り加工を含まない任意の加工方法によって、任意の形状で構成されてもよい。
【0154】
図13は、変形例に係るコネクタ10を下面視で示した
図8に対応する拡大図である。上記実施形態では、第1金具40aと第2金具40bとが互いに分離していると説明したが、これに限定されない。第1金具40aと第2金具40bとは互いに分離せず、接続されていてもよい。このとき、第1金具40a及び第2金具40bは、一体化されている金具全体の中で、それぞれの強度が互いに異なるように形成されていてもよい。例えば、第1金具40a及び第2金具40bを含む一体化された金具は、傾斜機能材料により形成されていてもよい。より具体的には、第1金具40aの材料は、その強度が第2金具40bの材料の強度よりも高くなるように、第2金具40bの材料と異なる材料であってもよい。例えば、第1金具40a及び第2金具40bを含む一体化された金具は、板厚が変化するように形成されていてもよい。より具体的には、第1金具40aの板厚は、第2金具40bの板厚よりも大きくてもよい。
【0155】
第1金具40a及び第2金具40bが一体化されていることで、第1金具保持部25及び第2金具保持部26の2箇所で一の金具と第1インシュレータ20とがインサート成形により一体的に成形されることになる。これにより、第1インシュレータ20に対する当該一の金具の取付強度が向上する。一方で、第1金具40aと第2金具40bとが互いに分離していることで、各金具の製造が容易となる。例えば、絞り加工を施してからさらに第1金具40aを第2金具40bと接続させる場合と比較して、プレス加工が容易となる。
【0156】
上記実施形態では、コネクタ10は、嵌合凸部22に取り付けられている第1金具40aを有すると説明したが、これに限定されない。コネクタ10は、嵌合凸部22に取り付けられるような金具をそもそも有さなくてもよい。
【0157】
上記実施形態では、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりもさらに高いと説明したが、これに限定されない。第2金具40bの強度が第1金具40aの強度よりもさらに高くてもよい。
【0158】
上記実施形態では、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるように、第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きくてもよいと説明したが、これに限定されない。例えば、第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも小さくても、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くてもよい。逆に、第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きくても、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも低くてもよい。
【0159】
上記実施形態では、第1金具40aは、一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なると説明したが、これに限定されない。コネクタ10の長手方向の小型化が実現可能であれば、第1金具40aは、一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なっていなくてもよい。
【0160】
上記実施形態では、第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、配列方向において、一の第1コンタクト30と他の第1コンタクト30との間に位置すると説明したが、これに限定されない。第1インシュレータ20に対する爪部42aの先端42a1の保持強度が維持可能であれば、第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、例えば第1コンタクト30の取付位置と同一の左右位置にあってもよい。
【0161】
上記実施形態では、爪部42aがL字状に形成され、爪部42aの先端42a1が嵌合凸部22の内部に埋設されていると説明したが、これに限定されない。第1インシュレータ20に対する爪部42aの保持強度が維持可能であれば、爪部42aはL字状ではなく任意の形状で形成されていてもよい。同様に、爪部42aの先端42a1は嵌合凸部22の内部に埋設されていなくてもよい。
【0162】
上記実施形態では、コネクタ10の短手方向において、爪部42aは、第1金具40aの他の部分よりも幅狭であると説明したが、これに限定されない。第1インシュレータ20の強度が維持されるのであれば、爪部42aは、第1金具40aの他の部分と同一の幅であってもよい。
【0163】
上記実施形態では、第2基部43aは、嵌合凸部22から第2金具40bに至るまで延在すると説明したが、これに限定されない。コネクタ10の長手方向に沿った第1金具40aの堅牢性が向上するのであれば、第2基部43aは、嵌合凸部22から任意の長さで第2金具40bに向けて延在してもよい。
【0164】
上記実施形態では、実装部45aは、第2金具40bの第1基部41bの直下に位置すると説明したが、これに限定されない。実装部45aは、第1金具40aにおいて外力が働きやすい位置に近接するように、嵌合凸部22に隣接する位置にあってもよい。
【0165】
上記実施形態では、第2金具40bの第1実装部44bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置され、第2実装部49bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されていると説明したが、これに限定されない。第1実装部44b及び第2実装部49bの一方が、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されていてもよい。第1実装部44bは、2つではなく1つのみ又は3つ以上形成されていてもよい。同様に、第2実装部49bは、2つではなく1つのみ又は3つ以上形成されていてもよい。
【0166】
上記実施形態では、第2金具40bは、内周面47b1側には実装部を有さないと説明したが、これに限定されない。第2金具40bは、内周面47b1側にも実装部を有してもよい。例えば、第2金具40bは、外周面47b2側の一対の第1実装部44bとそれぞれ対向する一対の第3実装部を有してもよい。これにより、第2金具40bの回路基板CB1に対する実装強度が向上する。したがって、第2金具40b及びコネクタ10の堅牢性が向上する。
【0167】
上記実施形態では、第2金具40bは、嵌合状態で接続対象物50の金具80と接触する弾性変形可能な接触片48bを有すると説明したが、これに限定されない。第2金具40bは、弾性変形せずに金具80と接触してもよいし、そもそも金具80と接触しなくてもよい。
【0168】
上記実施形態では、第1インシュレータ20の嵌合凸部22の第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224はいずれも平面であると説明したが、これに限定されない。第1面221、第2面222、第3面223、及び第4面224は曲面であってもよい。第1交線L1、第2交線L2、第3交線L3、第4交線L4、及び第5交線L5は、いずれも直線ではなく曲線であってもよい。第1交差部R1及び第2交差部R2は、いずれも3つの平面の交差に基づく1つの交点を含む角として形成されている構成に限定されず、R形状として形成されていてもよい。
【0169】
上記実施形態では、接続対象物50の金具80は、第2インシュレータ60の短手壁62aに取り付けられていると説明したが、これに限定されない。接続対象物50の金具80もコネクタ10の第2金具40bと同様に、その一部だけが第2インシュレータ60と一体的に成形され、残りの外周部が単独で接続対象物50の外周を形成してもよい。すなわち、金具80の外周部は、接続対象物50における長手方向の端部に位置し、かつ第2インシュレータ60の長手方向の端部よりも長手方向の外側に位置する領域において接続対象物50の外周を単独で構成してもよい。当該領域において、第2インシュレータ60が存在していなくてもよい。
【0170】
以上のようなコネクタモジュール1、コネクタ10、又は接続対象物50は、回路基板CB1及び回路基板CB2を含んだ電子機器に搭載される。電子機器は、例えば、スマートフォンなどの任意の通信端末機器、並びにパーソナルコンピュータ、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、及び複合機などの任意の情報処理機器を含む。電子機器は、例えば、カメラ、レーダ、ドライブレコーダ、及びエンジンコントロールユニットなどの任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、カーナビゲーションシステム、先進運転支援システム、又はセキュリティシステムなどの車載システムにおいて使用される任意の他の車載機器を含む。その他、電子機器は、任意の産業機器を含む。
【0171】
このような電子機器では、小型低背化された状態であっても第1インシュレータ20に起因するコネクタ10の不具合を抑制可能である。また、コネクタ10において、小型低背化された状態であってもコネクタ10と接続対象物50との嵌合途中及び嵌合後における堅牢性が向上する。したがって、電子機器の製品としての信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0172】
1 コネクタモジュール
10 コネクタ
20 第1インシュレータ(インシュレータ)
21 底板部
22 嵌合凸部
221 第1面
222 第2面
223 第3面
224 第4面
23 外壁
24 第1コンタクト取付溝
25 第1金具保持部
26 第2金具保持部
30 第1コンタクト(コンタクト)
31 実装部
32 係止部
33 湾曲部
34 弾性接触片
35 弾性接触部
36 接触部
40a 第1金具
41a 第1基部
41a1 第1端部
41a2 第2端部
41a3 第1延出部
41a4 第2延出部
41a5 第3延出部
41a6 第4延出部
41a7 第5延出部
42a 爪部
42a1 先端
43a 第2基部
44a 幅狭部
45a 実装部
40b 第2金具
40b1 外周部
41b 第1基部
42b 第2基部
43b 突出片
44b 第1実装部
45b 取付部
46b 湾曲部
47b1 内周面
47b2 外周面
48b 接触片
49b 第2実装部
50 接続対象物
60 第2インシュレータ
61 底板部
62 外周壁
62a 短手壁
62b 長手壁
63 嵌合凹部
64 第2コンタクト保持部
65 金具保持部
70 第2コンタクト
71 実装部
72 湾曲部
73 接触部
80 金具
81 基部
82 第1延出部
83 第2延出部
84 接触部
85 実装部
E 端部
CB1 回路基板(第1回路基板)
CB2 回路基板(第2回路基板)
L1 第1交線
L2 第2交線
L3 第3交線
L4 第4交線
L5 第5交線
R 領域
R1 第1交差部
R2 第2交差部
S1 第1平面
S2 第2平面
S3 第3平面
S4 第4平面