(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025617
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】漁網用無結節網および漁網
(51)【国際特許分類】
A01K 75/00 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
A01K75/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021130987
(22)【出願日】2021-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】000110882
【氏名又は名称】ニチモウ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506088067
【氏名又は名称】西日本ニチモウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(72)【発明者】
【氏名】熊沢 泰生
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 翔
(72)【発明者】
【氏名】山中 規行
(72)【発明者】
【氏名】福元 博貴
(72)【発明者】
【氏名】平井 ともか
(72)【発明者】
【氏名】木下 弘実
【テーマコード(参考)】
2B106
【Fターム(参考)】
2B106ED01
2B106ED03
2B106ED07
2B106ED10
(57)【要約】
【課題】魚の漁獲量を向上させることのできる漁網用無結節網および漁網を提供すること。
【解決手段】身網部2の端部に縁網部3を備えている漁網用無結節網1であって、縁網部3の網糸と身網部2の網糸の色が異色とされていることことを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
身網部の端部に縁網部を備えている漁網用無結節網であって、前記縁網部の網糸と身網部の網糸の色が異色とされていることを特徴とする漁網用無結節網。
【請求項2】
前記縁網部の網糸は明彩色とされ、前記身網部の網糸は暗彩色とされていることを特徴とする請求項1に記載の漁網用無結節網。
【請求項3】
前記縁網部は、前記身網部より太いおよびまたは重い網糸によって形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載されている漁網用無結節網。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載されている複数の前記漁網用無結節網をそれぞれの前記縁網部を隣接させて連結して形成されていることを特徴とする漁網。
【請求項5】
前記漁網はまき網であり、複数の前記漁網用無結節網をそれぞれの前記縁網部を水中に投網された状態において水平に配置させるとともに鉛直方向に隣接させて連結して形成されていることを特徴とする請求項4に記載の漁網。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は漁網用無結節網および漁網に係り、特に、魚の漁獲量を向上させることに好適な漁網用無結節網および漁網に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複数の漁網用無結節網を連結して所定形状の各種の漁網を生産することが行われている。隣接する漁網用無結節網を連結部において、連結強度を保持したり、連結部の変形を防止するために、漁網用無結節網を外周部の縁網部と内部の身網部とをもって形成し、縁網部に身網部より高い強度を持たせたりするために、縁網部と身網部とを異なる網糸をもって形成することが提案されている(特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-052988号公報
【特許文献2】特開昭62-257450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の漁網用無結節網においては、漁網として利用した場合において漁獲量の向上を積極的に図るものではなかった。
【0005】
そこで、本発明は、魚の漁獲量を向上させることのできる漁網用無結節網および漁網を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため本発明の第1の態様の漁網用無結節網は、身網部の端部に縁網部を備えている漁網用無結節網であって、前記縁網部の網糸と身網部の網糸の色が異色とされていることを特徴とする。
【0007】
この第1の態様の本発明によれば、広い領域の身網部に対して、当該身網部の縁部という狭い領域の縁網部の色が異なる色を有しているので、魚が色の変化を視認して、身網部より逃避することを誘発させることにより、魚に対して所定行動を誘発させることができ、結果として漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0008】
また、本発明の第2の態様の漁網用無結節網は、第1の態様において、前記縁網部の網糸は明彩色とされ、前記身網部の網糸は暗彩色とされていることを特徴とする。
【0009】
この第2の態様の本発明によれば、暗彩色の身網部に対して明彩色の縁網部の色のコントラストが大きくなり、魚に対して色の変化の認識をより確実とさせることができ、更に漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0010】
また、本発明の第3の態様の漁網用無結節網は、第1または第2の態様において、前記縁網部は、前記身網部より太いおよびまたは重い網糸によって形成されていることを特徴とする。
【0011】
この第3の態様の本発明によれば、縁網部が身網部より太い網糸となるので、縁網部の視認可能面積が広くなって色の違いが強調されることとなり、更に漁獲量を積極的に向上させることができる。更に、縁網部を身網部より重い網糸とすると、中央部の身網部の上下にそれぞれ縁網部を配置して漁網用無結節網を鉛直姿勢に保持することにより、重い縁網部の自重によって中央部の身網部を上下方向に強制的に展張させて漁網用無結節網全体の網なりを広く展張させた状態に維持させることができ、上下部に配置されている縁網部の色の違いが強調されることとなり、漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0012】
また、本発明の第1の態様の漁網は、前記第1から第3の態様のいずれかの複数の漁網用無結節網をそれぞれの縁網部を隣接させて連結して形成されていることを特徴とする。
【0013】
この第1の態様の本発明の漁網によれば、複数の漁網用無結節網の連結部においては隣同志の漁網用無結節網の縁網部が隣接しているので、連結部における縁網部の領域が広くなって、魚が色の違いをより確実に認識することができるので、魚に対して漁網より逃避することを誘発させることにより、所定行動を誘発させることができ、結果として漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0014】
また、本発明の第2の態様の漁網は、第1の態様において、前記漁網はまき網であり、複数の前記漁網用無結節網をそれぞれの前記縁網部を水中に投網された状態において水平に配置させるとともに鉛直方向に隣接させて連結して形成されていることを特徴とする。
【0015】
この第2態様の本発明の漁網によれば、まき網が海中に投網された際に、鉛直方向に展張しているまき網の水平方向に縁網部が配置されるとともに身網部と色が異なる色を有しているので、まき網内に囲まれた魚が色の変化を視認して、身網部よりまき網の内側に逃避することを誘発させることにより、結果として漁獲量を積極的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、魚の漁獲量を向上させることのできる漁網用無結節網および漁網を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る漁網用無結節網の一実施形態を示す部分展開図
【
図2】本発明に係る漁網用無結節網の他の実施形態を示す部分展開図
【
図3】本発明に係る漁網用無結節網を複数用いて形成した漁網の一実施形態を示す展開図
【
図4】本発明に係る漁網用無結節網をまき網に適用した漁網を示す展開図
【
図5】
図4のまき網を水中に投入した状態を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について
図1から
図5を参照して説明する。
【0019】
<漁網用無結節網>(
図1~
図2)
図1は本発明に係る漁網用無結節網の一実施形態を示している。
【0020】
図1に示す本実施形態の漁網用無結節網1は、図示しない編網機によって編網方向A(
図1の矢印方向参照)に連続的に編網して生産される。
図1は編網方向の一部分を示している。
【0021】
この漁網用無結節網1は、編網方向と直行する方向の網幅方向に対して中央部に身網部2を形成し、身網部2の網幅方向の両端部にそれぞれ所定網幅の縁網部3a、3bを形成するようにして連続的に編網される。中央部の身網部2の網幅は、両端部の両縁網部3a、3bの網幅より広く形成されている。更に、本実施形態においては、中央部の身網部2を構成する網糸と両端部の両縁網部3a、3bを構成する網糸の色が異色とされている。
【0022】
例えば、
図1に示すように、両縁網部3a、3bが鉛直方向の上下に配置されるようにして水中に設置されることを想定すると、広い領域の身網部2に対して、当該身網部2の縁部という狭い領域の両縁網部3a、3bの色が異なる色を有しているので、魚が色の変化を視認して、身網部2より逃避することを誘発させることにより、魚に対して所定行動を誘発させることができ、結果として漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0023】
また、両縁網部3a、3bの網糸の色を明彩色とし、中央の身網部2を暗彩色とするとよい。この漁網用無結節網1によれば、暗彩色の身網部2に対して明彩色の両縁網部3a、3bの色のコントラストが大きくなり、魚に対して色の変化の認識をより確実とさせることができ、更に漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0024】
また、
図2に示す他の実施形態の漁網用無結節網1のように、両縁網部3a、3bは、身網部2より太いおよびまたは重い網糸によって形成するとよい。
図2は
図1と同様に編網方向の一部分を示している。本実施形態により、両縁網部3a、3bが身網部2より太い網糸となるので、両縁網部3a、3bの視認可能面積が広くなって色の違いが強調されることとなり、更に漁獲量を積極的に向上させることができる。更に、両縁網部3a、3bを身網部2より重い網糸とすると、中央部の身網部2の上下にそれぞれ両縁網部3a、3bを配置して漁網用無結節網1を鉛直姿勢に保持することにより、両縁網部3a、3bの一方の下方の重い縁網部の自重によって、中央部の身網部2を上下方向に強制的に展張させて漁網用無結節網1の全体の網なりを広く展張させた状態に維持させることができ、上下部に配置されている両縁網部3a、3bの色の違いが強調されることとなり、漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0025】
<漁網>(
図3~
図5)
図3は本発明に係る漁網の一実施形態を示している。
【0026】
図3に示す本発明の第1の実施形態の漁網11は、前記漁網用無結節網1の各実施形態の1種もしくはいずれかの複数種の漁網用無結節網1をそれぞれの縁網部3を隣接させて連結して形成されている。
【0027】
この第1の実施形態の漁網11によれば、複数の漁網用無結節網1の連結部においては隣同志の漁網用無結節網1の両縁網部3a、3bが隣接しているので、連結部における両縁網部3a、3bの領域が広くなって、魚が色の違いをより確実に認識することができるので、魚に対して漁網11より逃避することを誘発させることにより、所定行動を誘発させることができ、結果として漁獲量を積極的に向上させることができる。また、漁網11の設計コンセプトに応じて、一定の大きさの漁網用無結節網1を、それぞれの縁網部3を隣接させるとともに、編網方向の端部同志を隣接させるようにして連結形成してもよい。
【0028】
図4および
図5は本発明に係る漁網の他の実施形態であるまき網21を示している。
【0029】
図4はまき網21の展開状態を示し、
図5はまき網21の水中における稼働状態を示している。
【0030】
図4によりまき網21の構成を説明すると、複数の漁網用無結節網1、1をそれぞれの両縁網部3a、3bを海中に投網された状態において水平に配置させるとともに鉛直方向に隣接させて連結して形成されている。
【0031】
このまき網21が海中に投網された際に、鉛直方向に展張しているまき網21の水平方向に縁網部3が配置されるとともに身網部2と色が異なる色を有しているので、まき網21内に囲まれた魚が色の変化を視認して、身網部2よりまき網21の内側に逃避することを誘発させることにより、結果として漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0032】
更に、漁網用無結節網1の両縁網部3a、3bを身網部2より太いおよびまたは重い網糸によって形成すると、両縁網部3a、3bが身網部2より太い網糸となるので、両縁網部3a、3bの視認可能面積が広くなって色の違いが強調されることとなり、更に漁獲量を積極的に向上させることができる。更に、両縁網部3a、3bを身網部2より重い網糸とすると、中央部の身網部2の上下にそれぞれ両縁網部3a、3bを配置して漁網用無結節網1を鉛直姿勢に保持することにより、両縁網部3a、3bの一方の下方の重い縁網部の自重によって、中央部の身網部2を上下方向に強制的に展張させて漁網用無結節網1の全体の網なりを早期に広く展張させた状態に維持させることができ、しかも、上下部に配置されている両縁網部3a、3bの色の違いが強調されることとなり、漁獲量を積極的に向上させることができる。
【0033】
さらに、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて変更することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 漁網用無結節網
2 身網
3(3a、3b) 縁網
11 漁網
21 まき網