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特開2023-25623チップシール部材、及び、スクロール流体機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025623
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】チップシール部材、及び、スクロール流体機械
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/02 20060101AFI20230215BHJP
【FI】
F04C18/02 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021133414
(22)【出願日】2021-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2021130993
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390028495
【氏名又は名称】アネスト岩田株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159134
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】落合 徹也
【テーマコード(参考)】
3H039
【Fターム(参考)】
3H039AA02
3H039AA12
3H039BB04
3H039CC27
3H039CC31
(57)【要約】
【課題】スクロール流体機械の運転中に生じる摩耗量を抑制することにより長寿命設計を図る。
【解決手段】チップシール部材は、スクロール流体機械が有する旋回スクロール又は固定スクロールの一方が有するラップの先端面に設けられた嵌溝に挿入される。チップシール部材は、チップシール部材の延在方向に交差する断面において、少なくとも1つの貫通穴を有する。貫通穴は、旋回スクロール又は固定スクロールの他方に対向する第1面と、嵌溝に対向する第2面とを連通するように形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクロール流体機械が有する旋回スクロール又は固定スクロールの一方が有するラップの先端面に設けられた嵌溝に挿入されるチップシール部材であって、
前記チップシール部材の延在方向に交差する断面において、前記旋回スクロール又は固定スクロールの他方に対向する第1面と、前記嵌溝に対向する第2面とを連通するように形成された少なくとも1つの貫通穴を有する、チップシール部材。
【請求項2】
前記少なくとも1つの貫通穴は、前記第2面のうち前記第1面から離れた位置に連通するように形成される、請求項1に記載のチップシール部材。
【請求項3】
前記第2面は、前記嵌溝の底面に対向する面である、請求項1又は2に記載のチップシール部材。
【請求項4】
前記第2面は、前記嵌溝の側面に対向する面である、請求項1又は2に記載のチップシール部材。
【請求項5】
前記少なくとも1つの貫通穴は前記ラップの高さ方向に対して傾斜する、請求項1から4のいずれか一項に記載のチップシール部材。
【請求項6】
前記少なくとも1つの貫通穴は、前記嵌溝の延在方向に沿って複数設けられる、請求項1から5のいずれか一項に記載のチップシール部材。
【請求項7】
前記少なくとも1つの貫通穴が連通し、且つ、前記第1面上に沿って凹状に形成された少なくとも1つの冷却溝が形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のチップシール部材。
【請求項8】
前記少なくとも1つの冷却溝は、前記スクロール流体機械の軸方向から見て、前記少なくとも1つの貫通穴の投影面積より大きな投影面積を有する、請求項7に記載のチップシール部材。
【請求項9】
前記少なくとも1つの冷却溝は、前記嵌溝に沿って延びる、請求項7又は8に記載のチップシール部材。
【請求項10】
1つの前記冷却溝に対して複数の前記貫通穴が設けられる、請求項7から9のいずれか一項に記載のチップシール部材。
【請求項11】
前記少なくとも1つの冷却溝は、前記嵌溝の延在方向に沿って複数設けられる、請求項7から10のいずれか一項に記載のチップシール部材。
【請求項12】
複数の前記冷却溝は、所定の間隔を介して設けられ、
前記間隔は、前記ラップの径方向中心に近づくに従って小さくなる、請求項11に記載のチップシール部材。
【請求項13】
複数の前記冷却溝は、前記ラップの径方向中心に近づくに従って前記延在方向に沿った長さが減少する、請求項11又は12に記載のチップシール部材。
【請求項14】
複数の前記冷却溝は、前記ラップの径方向中心に近づくに従って深さが増加する、請求項11から13のいずれか一項に記載のチップシール部材。
【請求項15】
前記第2面のうち前記嵌溝の底面又は側面に対向する面上には、前記延在方向に沿って少なくとも1つのリップカットが設けられる、請求項1から14のいずれか一項に記載のチップシール部材。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載のチップシール部材を備える、スクロール流体機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チップシール部材、及び、当該チップシール部材を備えるスクロール流体機械に関する。
【背景技術】
【0002】
気体や液体を含む流体を取り扱うスクロール流体機械が知られている。この種のスクロール流体機械には、流体を圧縮するための圧縮室を有するスクロール圧縮機や、流体を膨張させるための膨張室を有するスクロール膨張機が含まれる。スクロール流体機械では、このような圧縮室や膨張室は、それぞれ端板上にラップが立設されてなる一対の旋回スクロールと固定スクロールとが組み合わされて構成される。
【0003】
旋回スクロール及び固定スクロールがそれぞれ有するラップには、他方のスクロールの端板に対向する先端面上に嵌溝が凹状に設けられる(例えば特許文献1を参照)。嵌溝にはチップシール部材が挿入されることにより、一方のスクロールのラップの先端と他方のスクロールの端板との間を封止し、圧縮室や膨張室の密封性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2-147888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した一方のスクロールのラップの先端面に設けられたチップシール部材は、スクロール流体機械の運転中、他方のスクロールの端板と摺動することにより摩耗が進行する。チップシール部材の摩耗量が増えると、圧縮室や膨張室の密封性が低下し、スクロール流体機械の性能低下をもたらしてしまうため、チップシール部材の摩耗量がある程度進行した場合には、チップシール部材の交換などのメンテナンスが必要となる。このようなメンテナンスは、スクロール流体機械の稼働停止や部品交換を伴うため、ユーザにとって負担となり、より長寿命設計なチップシール部材が望まれている。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、スクロール流体機械の運転中に生じる摩耗量を抑制することにより長寿命設計に適したチップシール部材、及び、当該チップシール部材を備えるスクロール流体機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係るチップシール部材は、上記課題を解決するために、
スクロール流体機械が有する旋回スクロール又は固定スクロールの一方が有するラップの先端面に設けられた嵌溝に挿入されるチップシール部材であって、
前記チップシール部材の延在方向に交差する断面において、前記旋回スクロール又は固定スクロールの他方に対向する第1面と、前記嵌溝に対向する第2面とを連通するように形成された少なくとも1つの貫通穴を有する。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係るスクロール流体機械は、上記課題を解決するために、
本開示の少なくとも一実施形態に係るチップシール部材を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、スクロール流体機械の運転中に生じる摩耗量を抑制することにより長寿命設計に適したチップシール部材、及び、当該チップシール部材を備えるスクロール流体機械を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るスクロール圧縮機の駆動軸に沿った断面図である。
図2図1の固定スクロールが有する固定ラップの先端面に設けられたチップシール部材のみを抽出して軸方向から示す平面図である。
図3図2のA-A断面図である。
図4図2の第1変形例である。
図5図4のD-D線断面図である。
図6A図2の第2変形例である。
図6B図6AのE-E線断面図である。
図7図2の第3変形例である。
図8図2の第4変形例である。
図9図2の第5変形例である。
図10図2の第6変形例である。
図11図2の第7変形例である。
図12図2の第8変形例である。
図13図2のE-E線断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
<1.スクロール圧縮機>
まず図1を参照して、一実施形態に係るスクロール圧縮機の全体構成について説明する。図1は一実施形態に係るスクロール圧縮機1の駆動軸22に沿った断面図である。以下の説明では、図1において左側を前方、右側を後方と称して述べる。
【0013】
スクロール圧縮機1は、空気等の流体(気体又は液体)を圧縮するための圧縮機である。スクロール圧縮機1は、流体の圧縮を行う圧縮機本体4と、動力源(不図示)からの動力をスクロール圧縮機1の各部に伝達するための動力伝達ユニット6と、スクロール圧縮機1の冷却風を送風するための送風ユニット8と、を備える。圧縮機本体4はスクロール圧縮機1の前方に配置されており、その後方に、動力伝達ユニット6及び送風ユニット8が順に配置されている。
【0014】
圧縮機本体4は、圧縮機ハウジング16を備える。圧縮機ハウジング16は、例えばアルミ合金等で成形される。圧縮機ハウジング16の前方上部には、圧縮対象となる流体を導入するための吸入口15が設けられる。吸入口15から導入された流体は、所定の導入路(不図示)を介して、圧縮機本体4の内部に導入されるように構成されている。また圧縮機ハウジング16の後方は、複数のボルト(不図示)により、動力伝達ユニット6を構成するベアリングケース42に接続されている。
尚、吸入口15には、圧縮機本体4に導入される流体に含まれる埃や塵等の異物を除去するためのフィルタが設けられていてもよい。
【0015】
圧縮機ハウジング16内には、固定スクロール18及び旋回スクロール20が収容されている。固定スクロール18は圧縮機ハウジング16に固定されており、旋回スクロール20は圧縮機ハウジング16内に、固定スクロール18に対向するように配置されている。旋回スクロール20は、駆動軸22の先端に設けられた偏心軸部23に枢支されており、動力伝達ユニット6から伝達される動力によって回転駆動される。
【0016】
固定スクロール18は、略円板形状の固定端板19を備える。固定端板19のうち旋回スクロール20に対向する面上には、渦巻き状の固定ラップ21が立設されており、その反対側の面上には、放熱用の放熱フィン24が設けられている。放熱フィン24には、後述するように、送風ユニット8から送られる冷却風が供給され、固定スクロール18の冷却が行われる。
【0017】
旋回スクロール20は、略円板形状の旋回端板26を備える。旋回端板26のうち固定スクロール18に対向する面上には、渦巻き状の旋回ラップ28が立設されており、その反対側の面上には、放熱用の放熱フィン30が設けられている。放熱フィン30には、後述するように、送風ユニット8から供給される冷却風が導入され、旋回スクロール20の冷却が行われる。
【0018】
尚、固定スクロール18の固定ラップ21の長さと、旋回スクロール20の旋回ラップ28の長さとは異なっていてもよい(すなわち、スクロール圧縮機1は、いわゆる非対称ラップ形スクロール圧縮機であってもよい)。また固定ラップ21の長さと旋回ラップ28の長さとは同一であってもよい(すなわち、スクロール圧縮機1は、いわゆる対称ラップ形スクロール圧縮機であってもよい)。
【0019】
旋回スクロール20の後方側には、略円板形状を有する旋回プレート32が、駆動軸22の偏心軸部23に直結された状態で固定される。旋回プレート32には軸受部37が一体的に形成されている。軸受部37には、駆動軸22の先端に設けられた偏心軸部23を回転可能に支持するための回転軸受が配置されている。旋回プレート32と圧縮機ハウジング16との間には、旋回スクロール20の自転運動を阻止しつつ公転運動させるための複数の自転防止機構34が旋回プレート32、すなわち旋回スクロール20の周方向に沿って略等間隔で設けられる。
【0020】
動力伝達ユニット6からの動力によって駆動軸22が回転駆動されると、旋回スクロール20は公転運動を行い、これに伴って、固定スクロール18及び旋回スクロール20間に形成される圧縮室36の容積が外周側から内周側に向かって漸次減少し、吸入、圧縮が行われる。このような圧縮室36は、より詳しくは、固定ラップ21と旋回ラップ28とにより仕切られることにより、略三日月状に形成される。これにより、吸入口15から圧縮機本体4に導入された流体は、内周側に向かって漸次圧縮される。圧縮室36で生成された加圧気体は、固定スクロール18の中心部に設けられた吐出口38から吐出される。
【0021】
動力伝達ユニット6は、外部の動力源(不図示)から供給される動力を、スクロール圧縮機1の各部に伝達する機能を有するユニットである。本実施形態では、動力伝達ユニット6は、送風ユニット8の後方に突出する駆動軸22の後端部に、外部の動力源からの動力が入力可能な従動プーリ40を有する。従動プーリ40には、例えば、スクロール圧縮機1の下方に設置される電動機やエンジン等の動力源の出力軸に止着された主動プーリ(図示略)に下部が掛け回された無端状の伝動ベルト(不図示)の上部が掛け回されることにより、動力源の回転が駆動軸22に伝達される。従動プーリ40に入力された動力は駆動軸22を回転させ、圧縮機本体4及び送風ユニット8などのスクロール圧縮機1の各部にそれぞれ伝達される。
【0022】
尚、動力伝達ユニット6の筐体を構成するベアリングケース42は、圧縮機ハウジング16に比べて高強度の例えば鋳物等によって成形される。ベアリングケース42内には、前後方向へ互いに所定量離間して設けられるボールベアリング44、46が配置されており、駆動軸22が回転可能に支持されている。
【0023】
送風ユニット8は、ファンケーシング51内に送風ファン53を収容してなる。送風ファン53は軸22に接続されており、動力伝達ユニット6から伝達される動力によって回転駆動可能に構成されている。送風ファン53は例えばシロッコファンである。
【0024】
送風ファン53が駆動すると、送風ユニット8はファンケーシング51の前方に設けられた開口部55から外気(空気)を吸い込み、不図示のダクトを介してスクロール圧縮機1の各部に冷却風として供給する。
【0025】
<2.チップシール部材>
続いて上記構成を有するスクロール圧縮機1が備えるチップシール部材50について説明する。図2図1の固定スクロール18が有する固定ラップ21の先端面52に設けられたチップシール部材50のみを抽出して軸方向から示す平面図であり、図3図2のA-A断面図である。尚、図2において固定ラップ21を含み、チップシール部材50以外の構成は省略してある。
【0026】
固定ラップ21は固定端板19上に立設しており、図2に示すチップシール部材50を囲むように、軸方向から見て螺旋形状を有するように延在する。また固定ラップ21は、その延在方向に垂直な幅が略一定である。図3に示すように、固定ラップ21の先端面52には、凹状に嵌溝54が設けられており、当該嵌溝54にはチップシール部材50が挿入される。
【0027】
本実施形態では、嵌溝54は旋回スクロール20が有する旋回端板26に対向する側が開口した略矩形断面を有する。より具体的には、嵌溝54は、固定端板19に沿って延在する底面54aと、底面54aに隣接するとともに固定ラップ21の高さ方向に沿って延在する側面54bとを有する。
【0028】
チップシール部材50は、例えば高分子材料から形成され、前述の嵌溝54に対応するように基本的に略矩形の断面形状を有する。チップシール部材50は、旋回端板26に対向する第1面56と、それ以外の面である第2面58とを含む。スクロール圧縮機1の運転時には、チップシール部材50と嵌溝54との間には周囲から圧縮流体が導かれる。図3では、固定ラップ21の左側が右側より高圧であることで、チップシール部材50は嵌溝54に対して右側(低圧側)に押し付けられるとともに、チップシール部材50の左側(高圧側)と嵌溝54との間の隙間を介して、チップシール部材50と嵌溝54の底面54aとの間に流体が導入される。これにより、チップシール部材50は、導入された流体によって他方の旋回端板26に向けて押し付けられることで、第1面56は旋回端板26に接触しながら摺動する(すなわち、第1面56は摺動面である)。これにより、固定スクロール18及び旋回スクロール20間のシールが行われ、圧縮室36の気密性が確保される。
【0029】
尚、以下の説明では、固定スクロール18側に設けられたチップシール部材50について述べるが、同様のチップシール部材50は旋回スクロール20側にも設けられる(すなわち、旋回ラップの先端面にも嵌溝が設けられており、当該嵌溝に対してチップシール部材50が挿入される)。
【0030】
尚、チップシール部材50の第2面58は、嵌溝54の内表面に対して対向する面であり、底面58aと、底面58aに隣接する側面58bとを含む。また図3では、前述したように、チップシール部材50及び嵌溝54がそれぞれ略矩形の断面形状を有する場合を示しているが、チップシール部材50及び嵌溝54の断面形状はこれに限られない。例えば、チップシール部材50及び嵌溝54は多角形の断面形状を有してもよいし、少なくとも一部に曲面を含む断面形状を有してもよい。
【0031】
チップシール部材50は、少なくとも1つの貫通穴60を有する。貫通穴60は、チップシール部材50のうち第1面56と第2面58とを連通するように形成される。これにより、スクロール圧縮機1の運転中において、圧縮室36の容積はスクロール圧縮機1の回転に伴って周期的に増減することにより、圧縮室36の圧力もまた周期的に変化する。具体的には圧縮室36の容積が減少する際には、圧縮室36における流体の圧力が増加することによって、チップシール部材50では周囲から貫通穴60に流体が導入され(図3の矢印Bを参照)、当該導入された流体と熱交換することによりチップシール部材50を冷却できる。そして圧縮室36の容積が増加する際には、圧縮室36における流体の圧力が減少することによって、チップシール部材50を冷却することで温度が上昇した流体は、貫通穴60から周囲の圧縮室36に対してスムーズに排出される(図3の矢印Cを参照)。このようにチップシール部材50に貫通穴60を設けることにより、チップシール部材50を冷却して摩耗量を効果的に低減できる。
【0032】
このような貫通穴60は、図2に示すように、嵌溝54の延在方向に沿って複数設けられてもよい。このようにチップシール部材50に複数の貫通穴60を設けることで、チップシール部材50の冷却性能を向上させ、より効果的にチップシール部材50の摩耗量を低減できる。
【0033】
また貫通穴60は、第2面58のうち第1面56から離れた位置に連通するように形成される。これにより、貫通穴60を介してチップシール部材50に対してスムーズに流体を導入出できる。図3では、貫通穴60が、第1面56と、第2面58のうち底面58aとを連通するように形成される場合が示されている。これによりチップシール部材50のうち第1面56と第2面58とを連通する貫通穴60を略ストレート形状にすることで、チップシール部材50に貫通穴60を容易に形成できる。このような略ストレート形状の貫通穴60は、チップシール部材50に対して例えばドリルのような工具を用いて容易に形成できるため、コスト的にも有利である。
【0034】
図4図2の第1変形例であり、図5図4のD-D線断面図である。第1変形例では、チップシール部材50に設けられる貫通穴60が、固定ラップ21の高さ方向に対して傾斜するように形成される。図4では、このような貫通穴60が、固定ラップ21の延在方向に沿って複数設けられる様子が示されている。これらの貫通穴60は、第1面56と、第2面58のうち第1面56から離れた位置(言い換えると、第2面58のうち第1面56との境界から離れた位置)との間を連通するように構成される。
【0035】
尚、図5では、貫通穴60は、第1面56と、第2面58のうち側面58bとの間とを連通することで、固定ラップ21の高さ方向に対して傾斜するように形成されているが、第1面56と、第2面58のうち底面58aとの間を傾斜するように連通していてもよい。
【0036】
また貫通穴60は、第1面56と、第2面58のうち固定ラップ21の内側又は外側の側面58bとの間を連通するように形成されていてもよい。図4に例示する態様では、隣接する2つの貫通穴60の連通先が、固定ラップ21の内側の側面58bと、固定ラップ21の外側の側面58bとに交互になるように形成される(言い換えると、隣り合う貫通穴60の第2面58における連通先が逆側になるように形成されている)。例えば、ある貫通穴60に導入されて冷却に用いられることで温度が上昇した流体が当該貫通穴60から排出され、その後、隣り合う他の貫通穴60にそのまま導入されると、流体の温度が高いため冷却効果が低下するおそれがある。それに対して、この態様によれば、隣接する2つの貫通穴60の連通先を逆にすることで、他の貫通穴60に温度が高い流体が導入されることを防止し、冷却性能を向上できる。
【0037】
図6A図2の第2変形例であり、図6B図6AのE-E線断面図である。第2変形例では、チップシール部材50は、前述の貫通穴60に加えて、少なくとも1つの冷却溝70を有する。冷却溝70は、貫通穴60が連通し、且つ、チップシール部材50の第1面56上に沿って凹状に形成される。これにより、貫通穴60からの流体は所定の容積を有する冷却溝70に導かれ、チップシール部材50に対してより広い面積で熱接触できるため、チップシール部材50の冷却性能をより向上できる。
【0038】
また冷却溝70は、スクロール圧縮機1の軸方向から見て、貫通穴60の投影面積より大きな投影面積を有する。これにより、チップシール部材50に対して貫通穴60から導入される流体が熱接触する面積を大きく確保でき、上述の冷却性能を効果的に向上できる。
【0039】
冷却溝70の形状は限定されないが、第2変形例では、固定ラップ21の延在方向に沿って長径を有する略楕円形状を有しており、複数の冷却溝70が固定ラップ21の延在方向に沿って設けられている。複数の冷却溝70の各々には、1つの貫通穴60がそれぞれ連通するように構成される。このように複数の冷却溝70をチップシール部材50に設けることにより、チップシール部材50の良好な冷却性能が得られる。
【0040】
尚、各冷却溝70に対して貫通穴60が連通する位置は限定されないが、第2変形例では、冷却溝70の一端側(特に、固定ラップ21の延在方向内側の端部)に貫通穴60が連通するように構成されている。
【0041】
図7図2の第3変形例である。第3変形例では、前述の第1変形例と第2変形例との組み合わせに相当する実施例であり、前述の冷却溝70に対して、固定ラップ21の高さ方向に対して傾斜した貫通穴60が連通するように構成されている。また各冷却溝70に対して貫通穴60が連通する位置は限定されないが、図7では、冷却溝70のうち固定ラップ21の延在方向に沿った略中央部に貫通穴60が連通するように構成されている。
【0042】
図8図2の第4変形例である。第4変形例では、1つの冷却溝70に対して複数の貫通穴60が連通するように構成されている。冷却溝70に対して貫通穴60が連通する位置は限定されないが、前述の第2変形例(図6A及び図6B)では、冷却溝70のうち固定ラップ21の延在方向に沿った内側及び外側の2か所に対して、2つの貫通穴60が連通するように構成されている。これにより、冷却溝70に対して複数の貫通穴60を介して流体をよりスムーズに導入出することが可能となり、良好な冷却性能が得られる。
【0043】
尚、1つの冷却溝70に対して連通する貫通穴60の数は限定されず、3つ以上であってもよい。
【0044】
図9図2の第5変形例である。第5変形例では、前述の第4変形例(図8を参照)と同様に、1つの冷却溝70に対して複数の貫通穴60が連通する点で共通しているが、これらの貫通穴60には、前述の略ストレート形状の貫通穴60(図2及び図3を参照して前述した実施形態と同様。以下、第1貫通穴60Aと称する)と、傾斜した貫通穴60(図4及び図5を参照して前述した第1変形例と同様。以下、第1貫通穴60Bと称する)とを含む。
【0045】
図10図2の第6変形例である。第6変形例では、チップシール部材50には、前述の第2変形例(図6A及び図6Bを参照)と同様に、1つの貫通穴60が連通した冷却溝70が、延在方向に沿って複数設けられる。これらの複数の冷却溝70は、延在方向に沿って互いに所定の間隔Mで設けられるが、径方向内側の間隔M1が径方向外側の間隔M2より小さく設定される。これにより、径方向内側の方が径方向外側に比べて冷却溝70が占める割合が増え、圧縮によって流体が高温となる径方向内側における冷却性能を効果的に向上できる。
【0046】
尚、図10では、間隔Mが径方向内側と径方向外側の2段階に変化する場合を例示しているが、より多段階に変化してもよいし、間隔Mが径方向内側に向けて連続的に変化するようにしてもよい。また設計変更の観点からは、径方向内側の間隔M1が径方向外側の間隔M2より大きく設定してもよい。
【0047】
図11図2の第7変形例である。第7変形例では、チップシール部材50には、前述の第2変形例(図6A及び図6Bを参照)と同様に、1つの貫通穴60が連通した冷却溝70が、延在方向に沿って複数設けられる。これらの複数の冷却溝70は、延在方向に沿った長さLが異なっており、径方向内側にある冷却溝70の長さL1が、径方向外側にある冷却溝70の長さL2より小さく設定される。このように冷却溝70が、径方向中心に近づくに従って延在方向に沿った長さが減少するように形成されることにより、径方向中心に近い冷却溝70の容量を小さくし、貫通穴60を介した冷却溝70への流体の導入出を容易にできる。言い換えると、径方向中心側において冷却溝70の容積が少なくなる分、流体の入替を促進しやすくなる。その結果、温度が高くなりやすい径方向中心側において、より優れた冷却効果を得ることができる。
【0048】
尚、図11では、冷却溝70の長さLが径方向内側と径方向外側の2段階に変化する場合を例示しているが、より多段階に変化してもよいし、長さLが径方向内側に向けて連続的に変化するようにしてもよい。また設計変更の観点からは、冷却溝70が、径方向中心に近づくに従って延在方向に沿った長さが増加するように形成されてもよい。
【0049】
図12図2の第8変形例である。第8変形例では、チップシール部材50には、前述の第2変形例(図6A及び図6Bを参照)と同様に、1つの貫通穴60が連通した冷却溝70が、延在方向に沿って複数設けられる。これらの複数の冷却溝70は、チップシール部材50の高さhを用いて、深さ1/2hを有する第1冷却溝70Aと、深さ1/5hを有する第2冷却溝70Bとを含む。すなわち、径方向内側にある第1冷却溝70の深さが、径方向外側にある第2冷却溝70の深さより大きく設定される。これにより、径方向内側の方が径方向外側に比べて流体を導入可能な冷却溝70の容積が増え、圧縮によって流体が高温となる径方向内側における冷却性能を効果的に向上できる。
【0050】
尚、図12では、冷却溝70の深さDが径方向内側と径方向外側の2段階に変化する場合を例示しているが、より多段階に変化してもよいし、深さDが径方向内側に向けて連続的に変化するようにしてもよい。また設計変更の観点からは、径方向内側にある第1冷却溝70の深さが、径方向外側にある第2冷却溝70の深さより小さく設定されてもよい。
【0051】
図13図2のE-E線断面図の一例である。この例では、チップシール部材50の第2面58のうち嵌溝54の底面54aに対向する面上に、リップカット80が設けられる。リップカット80は、チップシール部材50の内側に向かって開口する切り欠き形状を有する。チップシール部材50と嵌溝54との間の隙間に流体が導入されると、リップカット80が開き、嵌溝54に対して接触することにより、チップシール部材50によるシール効果が強化される。スクロール圧縮機1では、旋回スクロール20が固定スクロール18に対して回転駆動されることにより、圧縮室36が径方向内側に向けて移動しながら容積が減少されることで流体の圧縮が行われる。そのため、チップシール部材50が設けられた固定スクロール18の固定ラップ21の両側における流体圧力差は、固定ラップ21の延在方向に沿って変化する。本実施形態では、上述のリップカット80を延在方向に沿って設けることで、このような延在方向に沿って変化する流体圧力差に対するシール性能を好適に向上させることができる。
【0052】
尚、図13では、チップシール部材50に設けられるリップカット80が、嵌溝54のうち底面54aに対向する面上に位置している場合について例示しているが、嵌溝54のうち側面54bに対向する面上に位置していてもよい。
【0053】
また本実施形態では、図13に示すように、このようなリップカット80がチップシール部材50の延在方向に沿って複数設けられている。各リップカット80は、隣り合う2つの貫通穴60の間にそれぞれ設けられるように配置されているが、そのレイアウトはこれに限定されない。
【0054】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0055】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0056】
(1)一態様に係るチップシール部材は、
スクロール流体機械(1)が有する旋回スクロール(20)又は固定スクロール(18)の一方が有するラップ(21)の先端面(52)に設けられた嵌溝(54)に挿入されるチップシール部材(50)であって、
前記チップシール部材の延在方向に交差する断面において、前記旋回スクロール又は固定スクロールの他方に対向する第1面(56)と、前記嵌溝に対向する第2面(58)とを連通するように形成された少なくとも1つの貫通穴(60)を有する。
【0057】
上記(1)の態様によれば、旋回スクロール又は固定スクロールの一方のラップの先端面に設けられた嵌溝に挿入されるチップシール部材に、少なくとも1つの貫通穴が設けられる。貫通穴は、旋回スクロール又は固定スクロールの他方に対向する第1面と、嵌溝に対向する第2面とを連通するように形成される。スクロール流体機械の運転中において、圧縮室又は膨張室の容積が減少する際には、周囲から貫通穴に流体が導入されることにより、他方のスクロールに摺動する第1面に流体を供給してチップシール部材を冷却できる。またチップシール部材を冷却することで温度が上昇した流体は、圧縮室又は膨張室の容積が増加する際に貫通穴から周囲にスムーズに排出される。このようにチップシール部材に貫通穴を設けることにより、チップシール部材の摩耗量を効果的に低減できる。
【0058】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記少なくとも1つの貫通穴は、前記第2面のうち前記第1面から離れた位置に連通するように形成される。
【0059】
上記(2)の態様によれば、チップシール部材に第1面と第2面とを連通するように設けられる貫通穴は、第2面のうち第1面から離れた位置に連通するように形成される。これにより、貫通穴を介してチップシール部材に対してスムーズに流体を導入出できる。
【0060】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記第2面は、前記嵌溝の底面(54a)に対向する面である。
【0061】
上記(3)の態様によれば、チップシール部材のうち第1面と第2面とを連通する貫通穴を略ストレート形状にすることで、チップシール部材に貫通穴を容易に形成できる。
【0062】
(4)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記第2面は、前記嵌溝の側面(54b)に対向する面である。
【0063】
上記(4)の態様によれば、チップシール部材のうち第1面と第2面とを連通する貫通穴を、嵌溝の側面に対向する面にすることで、より柔軟な設計でチップシール部材に貫通穴を設けることができる。
【0064】
(5)他の態様では、上記(1)から(4)のいずれか一態様において、
前記少なくとも1つの貫通穴は前記ラップの高さ方向に対して傾斜する。
【0065】
上記(5)の態様によれば、チップシール部材に設けられる貫通穴は、ラップの高さ方向に対して傾斜するように形成される。
【0066】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記少なくとも1つの貫通穴は、前記嵌溝の延在方向に沿って複数設けられる。
【0067】
上記(6)の態様によれば、チップシール部材に複数の貫通穴を設けることで、チップシール部材の冷却性能を向上させ、より効果的にチップシール部材の摩耗量を低減できる。
【0068】
(7)他の態様では、上記(1)から(6)のいずれか一態様において、
前記少なくとも1つの貫通穴が連通し、且つ、前記第1面上に沿って凹状に形成された少なくとも1つの冷却溝(70)が形成されている。
【0069】
上記(7)の態様によれば、チップシール部材の第1面上に貫通穴に連通する少なくとも1つの冷却溝が凹状に形成される。これにより、貫通穴を介して導入される流体を冷却溝に導き、チップシール部材に対してより広い面積で流体と熱接触させることで、チップシール部材の冷却性能をより向上できる。
【0070】
(8)他の態様では、上記(7)の態様において、
前記少なくとも冷却溝は、前記スクロール流体機械の軸方向から見て、前記少なくとも1つの貫通穴の投影面積より大きな投影面積を有する。
【0071】
上記(8)の態様によれば、冷却溝は貫通穴より大きな投影面積を有することにより、チップシール部材に対して貫通穴から導入される流体が熱接触する面積を大きく確保できる。
【0072】
(9)他の態様では、上記(7)又は(8)の態様において、
前記少なくとも1つの冷却溝は、前記嵌溝に沿って延びる。
【0073】
上記(9)の態様によれば、チップシール部材に設ける冷却溝を嵌溝に沿って延びるように形成することで、より優れた冷却性能が得られる。
【0074】
(10)他の態様では、上記(7)から(9)のいずれか一態様において、
1つの前記冷却溝に対して複数の前記貫通穴が設けられる。
【0075】
上記(10)の態様によれば、1つの冷却溝に対して複数の貫通穴を設けることで、冷却溝に流体をより効率的に導入し、優れた冷却性能を得ることができる。
【0076】
(11)他の態様では、上記(7)から(10)のいずれか一態様において、
前記少なくとも1つの冷却溝は、前記嵌溝の延在方向に沿って複数設けられる。
【0077】
上記(11)の態様によれば、チップシール部材に複数の冷却溝を設けることで、より優れた冷却性能が得られる。
【0078】
(12)他の態様では、上記(11)の態様において、
複数の前記冷却溝は、所定の間隔を介して設けられ、
前記間隔は、前記ラップの径方向中心に近づくに従って小さくなる。
【0079】
上記(12)の態様によれば、チップシール部材に設けられる複数の冷却溝が、隣り合う冷却溝同士の間隔がラップの径方向中心に近づくに従って小さくなるように構成される。これにより、圧縮又は膨張の対象である流体の温度が高くなる径方向中心に近づくほど良好な冷却効果が得られ、チップシール部材の摩耗量を効果的に低減できる。
【0080】
(13)他の態様では、上記(11)又は(12)の態様において、
複数の前記冷却溝は、前記ラップの径方向中心に近づくに従って前記延在方向に沿った長さが減少する。
【0081】
上記(13)の態様によれば、チップシール部材に設けられる冷却溝は、ラップの径方向中心に近づくに従って延在方向に沿った長さが減少するように形成される。これにより、径方向中心に近い冷却溝の容量を小さくし、貫通穴を介した冷却溝への流体の導入出を容易にできる。その結果、温度が高くなりやすい径方向中心側において、より優れた冷却効果を得ることができる。
【0082】
(14)他の態様では、上記(11)から(13)のいずれか一態様において、
複数の前記冷却溝は、前記ラップの径方向中心に近づくに従って深さが増加する。
【0083】
上記(14)の態様によれば、チップシール部材に設けられる冷却溝は、ラップの径方向中心に近づくに従って深さが増加するように形成される。これにより、径方向中心に近い冷却溝により多くの流体を導入することができ、温度が高くなる径方向中心側をより効果的に冷却できる。
【0084】
(15)他の態様では、上記(1)から(14)のいずれか一態様において、
前記第2面のうち前記嵌溝の底面又は側面に対向する面上には、前記延在方向に沿って少なくとも1つのリップカット(80)が設けられる。
【0085】
上記(15)の態様によれば、チップシール部材のうち嵌溝の底面又は側面に対向する面上にリップカットが設けられる。チップシール部材と嵌溝との間の隙間に流体が導入されると、リップカットが開き、嵌溝に対して接触する。このようなリップカットをチップシール部材の延在方向に沿って設けることで、延在方向に沿って生じる圧力差に対するシール性能を向上できる。
【0086】
(16)一態様に係るスクロール流体機械は、
上記(1)から(15)のいずれか一態様に係るチップシール部材を備える。
【0087】
上記(16)の態様によれば、摩耗量が少ないチップシール部材を備えることで、チップシール部材の交換などのメンテナンス負担が少ないスクロール流体機械を実現できる。
【符号の説明】
【0088】
1 スクロール圧縮機
4 圧縮機本体
6 動力伝達ユニット
8 送風ユニット
15 吸入口
16 圧縮機ハウジング
18 固定スクロール
19 固定端板
20 旋回スクロール
21 固定ラップ
22 駆動軸
23 偏心軸部
24 放熱フィン
26 旋回端板
28 旋回ラップ
30 放熱フィン
32 旋回プレート
34 自転防止機構
36 圧縮室
37 軸受部
38 吐出口
40 従動プーリ
42 ベアリングケース
44、46 ボールベアリング
50 チップシール部材
51 ファンケーシング
52 先端面
53 送風ファン
54 嵌溝
55 開口部
56 第1面
58 第2面
60 貫通穴
70 冷却溝
80 リップカット
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13