(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002563
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】利尿薬耐性の治療
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20221227BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20221227BHJP
A61K 31/585 20060101ALI20221227BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20221227BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20221227BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20221227BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20221227BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20221227BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221227BHJP
C12N 15/57 20060101ALN20221227BHJP
C07K 16/24 20060101ALN20221227BHJP
【FI】
A61K45/06 ZNA
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 V
A61K31/585
A61K31/519
A61P9/04
A61P13/12
A61P1/16
A61P7/10
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C12N15/57
C07K16/24
【審査請求】有
【請求項の数】56
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022155644
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2019541430の分割
【原出願日】2018-02-01
(31)【優先権主張番号】62/453,257
(32)【優先日】2017-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593152720
【氏名又は名称】イェール ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Yale University
【住所又は居所原語表記】2 Whitney Avenue, New Haven, CT 06510, United States of America
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テスタニ,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,ヴェーナ
(72)【発明者】
【氏名】カッカー,レイフル
(72)【発明者】
【氏名】デヴァララジャ,マドハブ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ロ,チー-フン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】利尿が必要な患者の利尿薬耐性を治療する方法を提供する。
【解決手段】利尿薬と組み合わせて、治療有効量のIL-6アンタゴニストを投与する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利尿薬を必要とするが、利尿薬に耐性である患者を治療する方法であって、利尿薬と組み合わせて、治療有効量のIL-6アンタゴニストを患者に投与するステップを含む方法。
【請求項2】
患者が上昇した治療前血漿IL-6レベルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者が2pg/mLを超える治療前血漿IL-6レベルを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
患者が3pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
患者が5pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
患者が10pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
患者が500未満の利尿効率を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
患者が200未満の利尿効率を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者が150未満の利尿効率を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
患者が100未満の利尿効率を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者が利尿薬耐性心不全を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
患者が急性心不全を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
患者が慢性心不全を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
患者が心腎症候群を有する、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
患者が心腎症候群タイプ4を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
患者が腎疾患を有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
患者が肝腎症候群を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
患者が、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
IL-6アンタゴニストが、抗IL-6抗体、又はその抗原結合断片若しくは誘導体である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について100nM未満のKDを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について50nM未満のKDを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について10nM未満のKDを有する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について1nM未満のKDを有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも7日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも14日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも21日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも30日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
IL-6アンタゴニストが全長モノクローナル抗IL-6抗体である、請求項19~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
抗体がIgG1又はIgG4抗体である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
抗体がIgG1抗体である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が完全にヒトのものである、請求項19~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体がヒト化されている、請求項19~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体がMED5117の6つの可変領域CDRすべてを含む、請求項19~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
抗体がMED5117のVH及びVLを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
抗体がMED5117である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、エルシリモマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体の6つの可変領域CDRすべてを含む、請求項19~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体由来の重鎖V領域及び軽鎖V領域を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
IL-6アンタゴニストが、単一ドメイン抗体、VHHナノボディ、Fab、又はscFvである、請求項19~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
IL-6アンタゴニストが、抗IL-6R抗体又はその抗原結合断片若しくは誘導体である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
抗IL-6R抗体、抗原結合断片又は誘導体が、トシリズマブの6つのCDRを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
抗IL-6R抗体、抗原結合断片又は誘導体が、ボバリリズマブの6つのCDRを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
IL-6アンタゴニストがJAK阻害剤である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
JAK阻害剤が、トファシチニブ(Xeljanz)、デセルノチニブ、ルキソリチニブ、ウパダシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、レスタウルチニブ、パクリチニブ、ペフィシチニブ、INCB-039110、ABT-494、INCB-047986及びAC-410からなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
IL-6アンタゴニストがSTAT3阻害剤である、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
IL-6アンタゴニストが非経口投与される、請求項19~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
IL-6アンタゴニストが皮下投与される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
IL-6アンタゴニストが経口投与される、請求項43又は44に記載の方法。
【請求項49】
IL-6アンタゴニストが、利尿効率を増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、請求項1~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
IL-6アンタゴニストが、利尿効率を正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
IL-6アンタゴニストが、eGFRを増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
IL-6アンタゴニストが、eGFRを正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
尿中のIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
血漿中のIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
尿及び血漿中のIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
直前のステップで決定されたIL-6レベルに基づいて、その後の投与のためにIL-6アンタゴニストの用量を調整する最終ステップをさらに含む、請求項53~55のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願への相互参照
本出願は、2017年2月1日に出願された米国特許仮出願第62/453,257号の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.連邦政府が支援する研究又は開発に関する陳述
本発明は、国立衛生研究所によって授与された助成金5R01HL128973及び4K23HL114868の下で政府の支援を受けて行われた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
3.共同研究契約に関する陳述
本発明は、エール大学、MedImmune Ltd.、AstraZeneca Pharmaceuticals LP、及びCorvidia Therapeutics, Inc.による共同研究契約の下でなされた。
【0004】
4.配列表
本出願は、EFS-Webを介して提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。2018年XX月に作成された上記ASCIIコピーの名称は、XXXXXUS_sequencelisting.txtであり、サイズはX,XXX,XXXバイトである。
【背景技術】
【0005】
5.背景
腎損傷は、心不全においてしばしば観察され、心不全は腎疾患においてしばしば観察される。心腎症候群(「CRS」)という用語は、心臓、腎臓、又はその両方の機能障害が両方の臓器の機能不全の加速につながる様々な臨床状態を包含する。この有害な臓器クロストークの証拠は、高程度の罹患率と死亡率を示す。その悲惨な臨床的意義にもかかわらず、CRSの機構的基盤が今になってやっと解明されつつある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
心不全患者における腎損傷及び腎障害を治療する新しい方法が必要とされる。また、心腎症候群を検出し、どの心腎患者が治療に応答性であるのかを決定し、及び治療の有効性をモニターする新しい方法が必要とされる。
【0007】
利尿薬は、心不全の治療の主力である。しかしながら、特定の患者は利尿薬に耐性であるか、又は耐性になる。利尿薬を必要とするが利尿薬に耐性である患者を治療する新しい方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
6.概要
実施例1において以下にさらに記載されるように、外来治療センターで高用量利尿薬療法を受けている継続心不全(「HF」)患者は、プロスペクティブ観察研究に登録された。IL-6の血漿レベルを測定して、この炎症誘発性サイトカインと様々な疾患パラメーターとの全身関連性を調べ、IL-6の尿レベルを測定して、腎組織のレベルでの局所炎症及び神経ホルモン活性化とIL-6の関連性を調べた。
【0009】
尿IL-6及び血漿IL-6レベルは、互いにほんのわずかに相関していることがわかった。
【0010】
IL-6の尿レベルの増加は、これらの心不全患者において、腎障害の尺度、例えば、利尿薬耐性、推定される糸球体濾過率(「eGFR」)の低下、及び組織レベルのレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(「RAAS」)活性化の増加と有意に相関する。
【0011】
利尿効率と血漿IL-6の間の逆相関も観察されたが、eGFRを調整すると、尿IL-6のみがこれらの患者における低利尿効率のリスクと有意に関連した状態であった。さらに、尿IL-6及び血漿IL-6の両方がロジスティック回帰モデルに入力された場合、尿IL-6のみが低利尿効率のリスクと関連した状態であり、血漿IL-6はこのような関連性を示さなかった。
【0012】
これらのデータは、尿IL-6レベルが腎炎症の有用なバイオマーカーであり、心不全(心腎症候群)の状況で腎機能障害を判断するために使用できることを示している。データは、尿IL-6の連続測定を使用して、心不全を有する患者、特に心腎症候群を有する心不全患者に行われる治療の腎臓の利益を測定できることをさらに示唆する。
【0013】
尿のIL-6データ、及びある程度の血漿IL-6データはまた、IL-6アンタゴニストによる治療が、心不全患者において腎炎症を軽減し、すなわち心腎症候群の腎症状を治療するのに有効であるに違いないと予測する。
【0014】
しかしながら、感染症は、心不全患者において急性代償不全の増悪原因となることが多いため、抗サイトカイン及び他の免疫抑制療法を、腎機能及び/又は心機能の改善に反応する可能性が高い心不全患者に限定することが重要である。慢性IL-6アンタゴニスト療法のコストはまた、腎機能及び/又は心機能の改善に反応する可能性が高い心不全患者に治療を限定することに働く。
【0015】
分析を129人の患者に拡大し、膜貫通プロテアーゼセリン6(「TMPRSS6」)のrs855791一塩基多型(「SNP」)における各患者の遺伝子型をさらに評価した。
【0016】
IL-6の尿レベルは、TMPRSS6 rs855791 SNPのメジャー対立遺伝子(AG及びGG)の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみ利尿効率と逆相関した。IL-6の尿レベルは、マイナー対立遺伝子(AA)についてホモ接合性である患者において利尿効率と有意に相関しなかった。IL-6の血漿レベルは、TMPRSS6 rs855791 SNPのメジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみ利尿効率と逆相関した。IL-6の血漿レベルは、マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿効率と有意に相関しなかった。
【0017】
これらのデータは、心不全患者において利尿薬耐性(低利尿効率)をIL-6アンタゴニストで治療でき、但しそれは、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみであることを示唆した。
【0018】
TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子についてホモ接合性であるヒト細胞と遺伝子型が類似しているマウスM1 CCD細胞において、IL-6の添加は、イオン輸送体、NKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現と相関した。これらのイオン輸送体の発現の増加は、IL-6を介した利尿薬耐性の推定メカニズムを提供する。
【0019】
IL-6を介したイオン輸送体の発現の増加がヘプシジンの発現に関連するとは知られていないため、これらのデータは、IL-6拮抗作用がTMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿薬耐性を治療するのにも有効であり得ることを示唆した。
【0020】
2つの追加の大規模心不全臨床試験のデータの二次分析により、TMPRSS6 rs855791遺伝子型(実施例6)とは独立して、利尿薬耐性とIL-6レベルとの関連性が確認され(実施例5)、IL-6拮抗作用はまた、TMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿薬耐性を治療するのに有効であるに違いないという証拠が得られた。
【0021】
したがって、第1の態様では、利尿薬を必要とするが、利尿薬に耐性である患者を治療する方法が提供される。本方法は、利尿薬と組み合わせて、治療有効量のIL-6アンタゴニストを患者に投与するステップを含む。
【0022】
一部の実施形態では、患者は、上昇した治療前の血漿IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、2pg/mLを超える治療前血漿IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、3pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、5pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は10pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する。
【0023】
一部の実施形態では、患者は、500未満の利尿効率を有する。一部の実施形態では、患者は、200未満の利尿効率を有する。一部の実施形態では、患者は、150未満の利尿効率を有する。一部の実施形態では、患者は、100未満の利尿効率を有する。
【0024】
一部の実施形態では、患者は、利尿薬耐性心不全を有する。ある特定の実施形態では、患者は、急性心不全を有する。ある特定の実施形態では、患者は、慢性心不全を有する。
【0025】
一部の実施形態では、患者は、心腎症候群を有する。これらの実施形態のうちの一部では、患者は、心腎症候群タイプ4を有する。
【0026】
一部の実施形態では、患者は、腎疾患を有する。ある特定の実施形態では、患者は、肝腎症候群を有する。
【0027】
一部の実施形態では、患者は、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する。
【0028】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、抗IL-6抗体又はその抗原結合断片若しくは誘導体である。特定の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体は、ヒトIL-6への結合について100nM未満、50nM未満、10nM未満、さらには1nM未満のKDを有する。
【0029】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体は、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも21日間、又は少なくとも30日間の静脈内投与後の排泄半減期を有する。
【0030】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、全長モノクローナル抗IL-6抗体である。特定の実施形態において、抗体はIgG1又はIgG4抗体である。ある種の実施形態において、抗体はIgG1抗体である。
【0031】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体は完全にヒトである。ある種の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体はヒト化されている。
【0032】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体は、MED5117の6つの可変領域CDRをすべて含む。具体的な実施形態において、抗体は、MED5117のVH及びVLを含む。特定の実施形態において、抗体はMED5117である。
【0033】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体は、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、エルシリモマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals, Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals, Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体の6つの可変領域CDRをすべて含む。ある種の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体は、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals, Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals, Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体由来の重鎖V領域及び軽鎖V領域を含む。特定の実施形態において、抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体は、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals, Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals, Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体である。
【0034】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、単一ドメイン抗体、VHHナノボディ、Fab、又はscFvである。
【0035】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、抗IL-6R抗体又はその抗原結合断片若しくは誘導体である。ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体、抗原結合断片又は誘導体は、トシリズマブ又はボバリリズマブの6つのCDRを含む。
【0036】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストはJAK阻害剤である。ある種の実施形態において、JAK阻害剤は、トファシチニブ(Xeljanz)、デセルノチニブ、ルキソリチニブ、ウパダシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、レスタウルチニブ、パクリチニブ、ペフィシチニブ、INCB-039110、ABT-494、INCB-047986及びAC-410からなる群から選択される。
【0037】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストはSTAT3阻害剤である。
【0038】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは非経口投与される。具体的な実施形態において、IL-6アンタゴニストは皮下投与される。
【0039】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストが経口投与される。
【0040】
ある特定の実施形態では、IL-6アンタゴニストは、利尿効率を増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される。ある特定の実施形態では、IL-6アンタゴニストは、利尿効率を正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される。ある特定の実施形態では、IL-6アンタゴニストは、eGFRを増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される。特定の実施形態では、IL-6アンタゴニストは、eGFRを正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される。
【0041】
ある特定の実施形態では、本方法は、尿中のIL-6のレベルを決定し、血漿中のIL-6のレベルを決定し、又は尿及び血漿中のIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む。特定の実施形態では、本方法は、直前のステップで決定されたIL-6レベルに基づいて、後続の投与のためにIL-6アンタゴニストの用量を調整する最終ステップをさらに含む。
【0042】
7.図面の簡単な説明
本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとよりよく理解される。本発明を例示する目的で、現在好ましい実施形態が図面に示されている。しかしながら、本発明は、図面に示された実施形態の正確な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1A】本明細書の実施例1に記載される研究に登録された高用量の利尿療法を受けている129人の心不全(「HF」)患者における尿IL-6の三分位による利尿効率(「DE」)を示す棒グラフである。ひげは10パーセンタイルから90パーセンタイルまで伸長している。
【
図1B】
図1Aにデータが示されている129人の心不全(「HF」)患者における血漿IL-6の三分位による利尿効率(「DE」)を示す棒グラフである。ひげは10パーセンタイルから90パーセンタイルまで伸長している。
【
図2A】遺伝子型によってさらに層別化された、
図1A及び1Bで報告された患者における尿IL-6の三分位によるDEをプロットする。左パネルは、TMPRSS6 rs855791 SNPマイナー対立遺伝子(2321G→A、A736V)についてホモ接合性である患者についての結果を示し、右パネルは、TMPRSS6 rs855791 SNPメジャー対立遺伝子(2321G、A736)の少なくとも1つのコピーを有する患者についての結果を示す。
【
図2B】遺伝子型によってさらに層別化された、
図1A及び1Bで報告された患者における血漿IL-6の三分位によるDEをプロットする。左パネルは、TMPRSS6 rs855791 SNPマイナー対立遺伝子(2321G→A、A736V)についてホモ接合性である患者についての結果を示し、右パネルは、TMPRSS6 rs855791 SNPメジャー対立遺伝子(2321G、A736)の少なくとも1つのコピーを有する患者についての結果を示す。
【
図3A-B】以下の臨床的判断:腎機能の低下、低利尿効率(「DE」)、神経ホルモンの活性化の増加、死亡率のリスクを伴う、(A)尿IL-6レベル及び(B)血漿IL-6レベルの
図1及び2で報告された129人の患者のうちの98人の患者サブセットにおける関連性をプロットする。ひげは95%信頼区間(「CI」)を表す。すべての分析は、IL-6の尿及び血漿レベルの両方に対して調整された。尿IL-6レベルは、尿クレアチニンに対してインデックス化されている。尿及び血漿のIL-6変数の分布が歪んでいるため、ロジスティック回帰及びCox回帰を行う前に、ログ変換が適用された。略語:OR=オッズ比。HR=ハザード比。IL=インターロイキン。SD=標準偏差。eGFR=推定される糸球体濾過率。
*=アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE-I)又はアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)の使用について調整された。
**=年齢、人種、アミノ末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-プロBNP)、ACE-I又はARBの使用、ホームループ利尿薬用量、及びeGFRなどのベースライン特性について調整された。
【
図4A】IL-6及び/又はルキソリチニブで処理した後のM1 CCD細胞におけるNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を示す図である。
図4Aは、IL-6及び/又はルキソリチニブで処理した後のNKCC2の発現を示す。
【
図4B】IL-6及び/又はルキソリチニブで処理した後のM1 CCD細胞におけるNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を示す図である。
図4Bは、IL-6及び/又はルキソリチニブで処理した後のENaC-ベータの発現を示す。
【
図4C】IL-6及び/又はルキソリチニブで処理した後のM1 CCD細胞におけるNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を示す図である。
図4Cは、IL-6及び/又はルキソリチニブで処理した後のNCCの発現を示す。
【
図5A】IL-6及び/又はスピロノラクトンで処理した後のM1 CCD細胞におけるNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を示す図である。
図5Aは、IL-6及び/又はスピロノラクトンで処理した後のNKCC2の発現を示す。
【
図5B】IL-6及び/又はスピロノラクトンで処理した後のM1 CCD細胞におけるNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を示す図である。
図5Bは、IL-6及び/又はスピロノラクトンで処理した後のENaC-ベータの発現を示す。
【
図5C】IL-6及び/又はスピロノラクトンで処理した後のM1 CCD細胞におけるNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を示す図である。
図5Cは、IL-6及び/又はスピロノラクトンで処理した後のNCCの発現を示す。
【
図6】実施例5に記載されるPROTECT試験におけるベースライン特性とより高いレベルのIL-6の関連性を示す図である。
【
図7A】IL-6の三分位によるカプランマイヤー生存曲線を示す図である。
図7Aは、180日での全原因による死亡率を示す。
【
図7B】IL-6の三分位によるカプランマイヤー生存曲線を示す図である。
図7Bは、60日での全原因による死亡率又は心血管関連の再入院を示す。
【
図8A】ベースラインと7日目の間のIL-6の変化についてのカプランマイヤー生存曲線を示す図である。
図8Aは、180日での全原因による死亡率を示す。
【
図8B】ベースラインと7日目の間のIL-6の変化についてのカプランマイヤー生存曲線を示す図である。
図8Bは、60日での全原因による死亡率又は心血管関連の再入院を示す。
【
図9】実施例6に記載されるBIOSTAT-CHF研究におけるベースライン特性とより高いレベルのIL-6の関連性を示す図である。
【
図10A】IL-6の三分位によるカプランマイヤー生存曲線を示す図である。
図10Aは、2年での全原因による死亡率及び/又は心不全のための再入院を示す。
【
図10B】IL-6の三分位によるカプランマイヤー生存曲線を示す図である。
図10Bは、2年での全原因による死亡率を示す。
【
図11】フェリチンレベルとIL-6の三分位間の分析を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
8. 詳細な説明
8.1. 定義
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用する用語は、記載する特定の実施形態のみを目的とし、限定的であるとは意図されないことが理解されるだろう。
【0045】
「膜貫通プロテアーゼセリン6(TMPRSS6)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_001275929で提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%以上のアミノ酸同一性を有し、セリンプロテイナーゼ活性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。TMPRSS6ポリペプチドは、マトリプターゼ-2(MT2)としても知られ、ヘモジュベリンを切断し、骨形成タンパク質のシグナル伝達を阻害する。736位にアラニン(736A)を有する例示的なTMPRSS6アミノ酸配列を以下に提供する:
【0046】
1 MPVAEAPQVA GGQGDGGDGE EAEPEGMFKA CEDSKRKARG YLRLVPLFVL LALLVLASAG
61 VLLWYFLGYK AEVMVSQVYS GSLRVLNRHF SQDLTRRESS AFRSETAKAQ KMLKELITST
121 RLGTYYNSSS VYSFGEGPLT CFFWFILQIP EHRRLMLSPE VVQALLVEEL LSTVNSSAAV
181 PYRAEYEVDP EGLVILEASV KDIAALNSTL GCYRYSYVGQ GQVLRLKGPD HLASSCLWHL
241 QGPKDLMLKL RLEWTLAECR DRLAMYDVAG PLEKRLITSV YGCSRQEPVV EVLASGAIMA
301 VVWKKGLHSY YDPFVLSVQP VVFQACEVNL TLDNRLDSQG VLSTPYFPSY YSPQTHCSWH
361 LTVPSLDYGL ALWFDAYALR RQKYDLPCTQ GQWTIQNRRL CGLRILQPYA ERIPVVATAG
421 ITINFTSQIS LTGPGVRVHY GLYNQSDPCP GEFLCSVNGL CVPACDGVKD CPNGLDERNC
481 VCRATFQCKE DSTCISLPKV CDGQPDCLNG SDEEQCQEGV PCGTFTFQCE DRSCVKKPNP
541 QCDGRPDCRD GSDEEHCDCG LQGPSSRIVG GAVSSEGEWP WQASLQVRGR HICGGALIAD
601 RWVITAAHCF QEDSMASTVL WTVFLGKVWQ NSRWPGEVSF KVSRLLLHPY HEEDSHDYDV
661 ALLQLDHPVV RSAAVRPVCL PARSHFFEPG LHCWITGWGA LREGALRADA VALFYGWRNQ
721 GSETCCCPIS NALQKADVQL IPQDLCSEVY RYQVTPRMLC AGYRKGKKDA CQGDSGGPLV
781 CKALSGRWFL AGLVSWGLGC GRPNYFGVYT RITGVISWIQ QVVT (配列番号1)
【0047】
736位にバリン(736V)を有する例示的なTMPRSS6アミノ酸配列を以下に提供する:
1 MPVAEAPQVA GGQGDGGDGE EAEPEGMFKA CEDSKRKARG YLRLVPLFVL LALLVLASAG
61 VLLWYFLGYK AEVMVSQVYS GSLRVLNRHF SQDLTRRESS AFRSETAKAQ KMLKELITST
121 RLGTYYNSSS VYSFGEGPLT CFFWFILQIP EHRRLMLSPE VVQALLVEEL LSTVNSSAAV
181 PYRAEYEVDP EGLVILEASV KDIAALNSTL GCYRYSYVGQ GQVLRLKGPD HLASSCLWHL
24 QGPKDLMLKL RLEWTLAECR DRLAMYDVAG PLEKRLITSV YGCSRQEPVV EVLASGAIMA
30 VVWKKGLHSY YDPFVLSVQP VVFQACEVNL TLDNRLDSQG VLSTPYFPSY YSPQTHCSWH
36 LTVPSLDYGL ALWFDAYALR RQKYDLPCTQ GQWTIQNRRL CGLRILQPYA ERIPVVATAG
42 ITINFTSQIS LTGPGVRVHY GLYNQSDPCP GEFLCSVNGL CVPACDGVKD CPNGLDERNC
48 VCRATFQCKE DSTCISLPKV CDGQPDCLNG SDEEQCQEGV PCGTFTFQCE DRSCVKKPNP
54 QCDGRPDCRD GSDEEHCDCG LQGPSSRIVG GAVSSEGEWP WQASLQVRGR HICGGALIAD
60 RWVITAAHCF QEDSMASTVL WTVFLGKVWQ NSRWPGEVSF KVSRLLLHPY HEEDSHDYDV
66 ALLQLDHPVV RSAAVRPVCL PARSHFFEPG LHCWITGWGA LREGALRADA VALFYGWRNQ
72 GSETCCCPIS NALQKVDVQL IPQDLCSEVY RYQVTPRMLC AGYRKGKKDA CQGDSGGPLV
78 CKALSGRWFL AGLVSWGLGC GRPNYFGVYT RITGVISWIQ QVVT (配列番号2)
【0048】
「TMPRSS6核酸分子」とは、TMPRSS6ポリペプチド(マトリプターゼ-2、MT2)をコードするポリヌクレオチドを意味する。例示的なTMPRSS6核酸分子配列は、NCBIアクセッション番号NM_001289000に提供される。ヌクレオチド2321位にGを有するTMPRSS6核酸配列(「G対立遺伝子」、「メジャー対立遺伝子」)を以下に提供する:
【0049】
1 GGACAAACAG AGGCTCCTGA GGCCTGTGTG CAGGCCCGGC ACCTATCTGC CGCTCCCAAA
61 GGATGCCCGT GGCCGAGGCC CCCCAGGTGG CTGGCGGGCA GGGGGACGGA GGTGATGGCG
121 AGGAAGCGGA GCCGGAGGGG ATGTTCAAGG CCTGTGAGGA CTCCAAGAGA AAAGCCCGGG
181 GCTACCTCCG CCTGGTGCCC CTGTTTGTGC TGCTGGCCCT GCTCGTGCTG GCTTCGGCGG
241 GGGTGCTACT CTGGTATTTC CTAGGGTACA AGGCGGAGGT GATGGTCAGC CAGGTGTACT
301 CAGGCAGTCT GCGTGTACTC AATCGCCACT TCTCCCAGGA TCTTACCCGC CGGGAATCTA
361 GTGCCTTCCG CAGTGAAACC GCCAAAGCCC AGAAGATGCT CAAGGAGCTC ATCACCAGCA
421 CCCGCCTGGG AACTTACTAC AACTCCAGCT CCGTCTATTC CTTTGGGGAG GGACCCCTCA
481 CCTGCTTCTT CTGGTTCATT CTCCAAATCC CCGAGCACCG CCGGCTGATG CTGAGCCCCG
541 AGGTGGTGCA GGCACTGCTG GTGGAGGAGC TGCTGTCCAC AGTCAACAGC TCGGCTGCCG
601 TCCCCTACAG GGCCGAGTAC GAAGTGGACC CCGAGGGCCT AGTGATCCTG GAAGCCAGTG
661 TGAAAGACAT AGCTGCATTG AATTCCACGC TGGGTTGTTA CCGCTACAGC TACGTGGGCC
721 AGGGCCAGGT CCTCCGGCTG AAGGGGCCTG ACCACCTGGC CTCCAGCTGC CTGTGGCACC
781 TGCAGGGCCC CAAGGACCTC ATGCTCAAAC TCCGGCTGGA GTGGACGCTG GCAGAGTGCC
841 GGGACCGACT GGCCATGTAT GACGTGGCCG GGCCCCTGGA GAAGAGGCTC ATCACCTCGG
901 TGTACGGCTG CAGCCGCCAG GAGCCCGTGG TGGAGGTTCT GGCGTCGGGG GCCATCATGG
961 CGGTCGTCTG GAAGAAGGGC CTGCACAGCT ACTACGACCC CTTCGTGCTC TCCGTGCAGC
1021 CGGTGGTCTT CCAGGCCTGT GAAGTGAACC TGACGCTGGA CAACAGGCTC GACTCCCAGG
1081 GCGTCCTCAG CACCCCGTAC TTCCCCAGCT ACTACTCGCC CCAAACCCAC TGCTCCTGGC
1141 ACCTCACGGT GCCCTCTCTG GACTACGGCT TGGCCCTCTG GTTTGATGCC TATGCACTGA
1201 GGAGGCAGAA GTATGATTTG CCGTGCACCC AGGGCCAGTG GACGATCCAG AACAGGAGGC
1261 TGTGTGGCTT GCGCATCCTG CAGCCCTACG CCGAGAGGAT CCCCGTGGTG GCCACGGCCG
1321 GGATCACCAT CAACTTCACC TCCCAGATCT CCCTCACCGG GCCCGGTGTG CGGGTGCACT
1381 ATGGCTTGTA CAACCAGTCG GACCCCTGCC CTGGAGAGTT CCTCTGTTCT GTGAATGGAC
1441 TCTGTGTCCC TGCCTGTGAT GGGGTCAAGG ACTGCCCCAA CGGCCTGGAT GAGAGAAACT
1501 GCGTTTGCAG AGCCACATTC CAGTGCAAAG AGGACAGCAC ATGCATCTCA CTGCCCAAGG
1561 TCTGTGATGG GCAGCCTGAT TGTCTCAACG GCAGCGACGA AGAGCAGTGC CAGGAAGGGG
1621 TGCCATGTGG GACATTCACC TTCCAGTGTG AGGACCGGAG CTGCGTGAAG AAGCCCAACC
1681 CGCAGTGTGA TGGGCGGCCC GACTGCAGGG ACGGCTCGGA TGAGGAGCAC TGTGACTGTG
1741 GCCTCCAGGG CCCCTCCAGC CGCATTGTTG GTGGAGCTGT GTCCTCCGAG GGTGAGTGGC
1801 CATGGCAGGC CAGCCTCCAG GTTCGGGGTC GACACATCTG TGGGGGGGCC CTCATCGCTG
1861 ACCGCTGGGT GATAACAGCT GCCCACTGCT TCCAGGAGGA CAGCATGGCC TCCACGGTGC
1921 TGTGGACCGT GTTCCTGGGC AAGGTGTGGC AGAACTCGCG CTGGCCTGGA GAGGTGTCCT
1981 TCAAGGTGAG CCGCCTGCTC CTGCACCCGT ACCACGAAGA GGACAGCCAT GACTACGACG
2041 TGGCGCTGCT GCAGCTCGAC CACCCGGTGG TGCGCTCGGC CGCCGTGCGC CCCGTCTGCC
2101 TGCCCGCGCG CTCCCACTTC TTCGAGCCCG GCCTGCACTG CTGGATTACG GGCTGGGGCG
2161 CCTTGCGCGA GGGCGCCCTA CGGGCGGATG CTGTGGCCCT ATTTTATGGA TGGAGAAACC
2221 AAGGCTCAGA GACATGTTGC TGCCCCATCA GCAACGCTCT GCAGAAAGTG GATGTGCAGT
2281 TGATCCCACA GGACCTGTGC AGCGAGGTCT ATCGCTACCA GGTGACGCCA CGCATGCTGT
2341 GTGCCGGCTA CCGCAAGGGC AAGAAGGATG CCTGTCAGGG TGACTCAGGT GGTCCGCTGG
2401 TGTGCAAGGC ACTCAGTGGC CGCTGGTTCC TGGCGGGGCT GGTCAGCTGG GGCCTGGGCT
2461 GTGGCCGGCC TAACTACTTC GGCGTCTACA CCCGCATCAC AGGTGTGATC AGCTGGATCC
2521 AGCAAGTGGT GACCTGAGGA ACTGCCCCCC TGCAAAGCAG GGCCCACCTC CTGGACTCAG
2581 AGAGCCCAGG GCAACTGCCA AGCAGGGGGA CAAGTATTCT GGCGGGGGGT GGGGGAGAGA
2641 GCAGGCCCTG TGGTGGCAGG AGGTGGCATC TTGTCTCGTC CCTGATGTCT GCTCCAGTGA
2701 TGGCAGGAGG ATGGAGAAGT GCCAGCAGCT GGGGGTCAAG ACGTCCCCTG AGGACCCAGG
2761 CCCACACCCA GCCCTTCTGC CTCCCAATTC TCTCTCCTCC GTCCCCTTCC TCCACTGCTG
2821 CCTAATGCAA GGCAGTGGCT CAGCAGCAAG AATGCTGGTT CTACATCCCG AGGAGTGTCT
2881 GAGGTGCGCC CCACTCTGTA CAGAGGCTGT TTGGGCAGCC TTGCCTCCAG AGAGCAGATT
2941 CCAGCTTCGG AAGCCCCTGG TCTAACTTGG GATCTGGGAA TGGAAGGTGC TCCCATCGGA
3001 GGGGACCCTC AGAGCCCTGG AGACTGCCAG GTGGGCCTGC TGCCACTGTA AGCCAAAAGG
3061 TGGGGAAGTC CTGACTCCAG GGTCCTTGCC CCACCCCTGC CTGCCACCTG GGCCCTCACA
3121 GCCCAGACCC TCACTGGGAG GTGAGCTCAG CTGCCCTTTG GAATAAAGCT GCCTGATCCA
3181 AAAAAAAAAA AAAAAA (配列番号3)
【0050】
ヌクレオチド2321位にAを有するTMPRSS6核酸配列を以下に提供する:
1 GGACAAACAG AGGCTCCTGA GGCCTGTGTG CAGGCCCGGC ACCTATCTGC CGCTCCCAAA
61 GGATGCCCGT GGCCGAGGCC CCCCAGGTGG CTGGCGGGCA GGGGGACGGA GGTGATGGCG
121 AGGAAGCGGA GCCGGAGGGG ATGTTCAAGG CCTGTGAGGA CTCCAAGAGA AAAGCCCGGG
181 GCTACCTCCG CCTGGTGCCC CTGTTTGTGC TGCTGGCCCT GCTCGTGCTG GCTTCGGCGG
241 GGGTGCTACT CTGGTATTTC CTAGGGTACA AGGCGGAGGT GATGGTCAGC CAGGTGTACT
301 CAGGCAGTCT GCGTGTACTC AATCGCCACT TCTCCCAGGA TCTTACCCGC CGGGAATCTA
361 GTGCCTTCCG CAGTGAAACC GCCAAAGCCC AGAAGATGCT CAAGGAGCTC ATCACCAGCA
421 CCCGCCTGGG AACTTACTAC AACTCCAGCT CCGTCTATTC CTTTGGGGAG GGACCCCTCA
481 CCTGCTTCTT CTGGTTCATT CTCCAAATCC CCGAGCACCG CCGGCTGATG CTGAGCCCCG
541 AGGTGGTGCA GGCACTGCTG GTGGAGGAGC TGCTGTCCAC AGTCAACAGC TCGGCTGCCG
601 TCCCCTACAG GGCCGAGTAC GAAGTGGACC CCGAGGGCCT AGTGATCCTG GAAGCCAGTG
661 TGAAAGACAT AGCTGCATTG AATTCCACGC TGGGTTGTTA CCGCTACAGC TACGTGGGCC
721 AGGGCCAGGT CCTCCGGCTG AAGGGGCCTG ACCACCTGGC CTCCAGCTGC CTGTGGCACC
781 TGCAGGGCCC CAAGGACCTC ATGCTCAAAC TCCGGCTGGA GTGGACGCTG GCAGAGTGCC
841 GGGACCGACT GGCCATGTAT GACGTGGCCG GGCCCCTGGA GAAGAGGCTC ATCACCTCGG
901 TGTACGGCTG CAGCCGCCAG GAGCCCGTGG TGGAGGTTCT GGCGTCGGGG GCCATCATGG
961 CGGTCGTCTG GAAGAAGGGC CTGCACAGCT ACTACGACCC CTTCGTGCTC TCCGTGCAGC
1021 CGGTGGTCTT CCAGGCCTGT GAAGTGAACC TGACGCTGGA CAACAGGCTC GACTCCCAGG
1081 GCGTCCTCAG CACCCCGTAC TTCCCCAGCT ACTACTCGCC CCAAACCCAC TGCTCCTGGC
1141 ACCTCACGGT GCCCTCTCTG GACTACGGCT TGGCCCTCTG GTTTGATGCC TATGCACTGA
1201 GGAGGCAGAA GTATGATTTG CCGTGCACCC AGGGCCAGTG GACGATCCAG AACAGGAGGC
1261 TGTGTGGCTT GCGCATCCTG CAGCCCTACG CCGAGAGGAT CCCCGTGGTG GCCACGGCCG
1321 GGATCACCAT CAACTTCACC TCCCAGATCT CCCTCACCGG GCCCGGTGTG CGGGTGCACT
1381 ATGGCTTGTA CAACCAGTCG GACCCCTGCC CTGGAGAGTT CCTCTGTTCT GTGAATGGAC
1441 TCTGTGTCCC TGCCTGTGAT GGGGTCAAGG ACTGCCCCAA CGGCCTGGAT GAGAGAAACT
1501 GCGTTTGCAG AGCCACATTC CAGTGCAAAG AGGACAGCAC ATGCATCTCA CTGCCCAAGG
1561 TCTGTGATGG GCAGCCTGAT TGTCTCAACG GCAGCGACGA AGAGCAGTGC CAGGAAGGGG
1621 TGCCATGTGG GACATTCACC TTCCAGTGTG AGGACCGGAG CTGCGTGAAG AAGCCCAACC
1681 CGCAGTGTGA TGGGCGGCCC GACTGCAGGG ACGGCTCGGA TGAGGAGCAC TGTGACTGTG
1741 GCCTCCAGGG CCCCTCCAGC CGCATTGTTG GTGGAGCTGT GTCCTCCGAG GGTGAGTGGC
1801 CATGGCAGGC CAGCCTCCAG GTTCGGGGTC GACACATCTG TGGGGGGGCC CTCATCGCTG
1861 ACCGCTGGGT GATAACAGCT GCCCACTGCT TCCAGGAGGA CAGCATGGCC TCCACGGTGC
1921 TGTGGACCGT GTTCCTGGGC AAGGTGTGGC AGAACTCGCG CTGGCCTGGA GAGGTGTCCT
1981 TCAAGGTGAG CCGCCTGCTC CTGCACCCGT ACCACGAAGA GGACAGCCAT GACTACGACG
2041 TGGCGCTGCT GCAGCTCGAC CACCCGGTGG TGCGCTCGGC CGCCGTGCGC CCCGTCTGCC
2101 TGCCCGCGCG CTCCCACTTC TTCGAGCCCG GCCTGCACTG CTGGATTACG GGCTGGGGCG
2161 CCTTGCGCGA GGGCGCCCTA CGGGCGGATG CTGTGGCCCT ATTTTATGGA TGGAGAAACC
2221 AAGGCTCAGA GACATGTTGC TGCCCCATCA GCAACGCTCT GCAGAAAGTG GATGTGCAGT
2281 TGATCCCACA GGACCTGTGC AGCGAGGTCT ATCGCTACCA AGTGACGCCA CGCATGCTGT
2341 GTGCCGGCTA CCGCAAGGGC AAGAAGGATG CCTGTCAGGG TGACTCAGGT GGTCCGCTGG
2401 TGTGCAAGGC ACTCAGTGGC CGCTGGTTCC TGGCGGGGCT GGTCAGCTGG GGCCTGGGCT
2461 GTGGCCGGCC TAACTACTTC GGCGTCTACA CCCGCATCAC AGGTGTGATC AGCTGGATCC
2521 AGCAAGTGGT GACCTGAGGA ACTGCCCCCC TGCAAAGCAG GGCCCACCTC CTGGACTCAG
2581 AGAGCCCAGG GCAACTGCCA AGCAGGGGGA CAAGTATTCT GGCGGGGGGT GGGGGAGAGA
2641 GCAGGCCCTG TGGTGGCAGG AGGTGGCATC TTGTCTCGTC CCTGATGTCT GCTCCAGTGA
2701 TGGCAGGAGG ATGGAGAAGT GCCAGCAGCT GGGGGTCAAG ACGTCCCCTG AGGACCCAGG
2761 CCCACACCCA GCCCTTCTGC CTCCCAATTC TCTCTCCTCC GTCCCCTTCC TCCACTGCTG
2821 CCTAATGCAA GGCAGTGGCT CAGCAGCAAG AATGCTGGTT CTACATCCCG AGGAGTGTCT
2881 GAGGTGCGCC CCACTCTGTA CAGAGGCTGT TTGGGCAGCC TTGCCTCCAG AGAGCAGATT
2941 CCAGCTTCGG AAGCCCCTGG TCTAACTTGG GATCTGGGAA TGGAAGGTGC TCCCATCGGA
3001 GGGGACCCTC AGAGCCCTGG AGACTGCCAG GTGGGCCTGC TGCCACTGTA AGCCAAAAGG
3061 TGGGGAAGTC CTGACTCCAG GGTCCTTGCC CCACCCCTGC CTGCCACCTG GGCCCTCACA
3121 GCCCAGACCC TCACTGGGAG GTGAGCTCAG CTGCCCTTTG GAATAAAGCT GCCTGATCCA
3181 AAAAAAAAAA AAAAAA (配列番号4)
【0051】
「変異体」とは、1つ以上のヌクレオチド又は1つ以上のアミノ酸によって参照配列と異なるポリヌクレオチド又はポリペプチド配列を意味する。例示的なTMPRSS6変異体は、SNP rs855791(G→A)から生じるTMPRSS6(A736V)である。
【0052】
「一塩基多型」又は「SNP」とは、ゲノム中の一塩基が生物種のメンバー間又は個体における対になった染色体間で異なる、天然に存在するDNA配列変異体を意味する。SNPは、変異対立遺伝子の遺伝マーカーとして使用することができる。一実施形態において、TMPRSS6 SNPはrs855791である。
【0053】
「rs855791」とは、TMPRSS6遺伝子によってコードされる、マトリプターゼ-2(MT2)の触媒ドメインにおいて、アラニンからバリンへの置換(A736V)をもたらす、ヒトTMPRSS6遺伝子、2321G→Aの一塩基多型(SNP)を意味する。ヒト集団において最も高い頻度を有する対立遺伝子(メジャー対立遺伝子)は2321Gであり、736Aをコードする。ヒト集団において最も低い頻度を有する対立遺伝子(マイナー対立遺伝子)は2321Aであり、736Vをコードする。
【0054】
「ヘテロ接合」とは、染色体座が2つの異なる対立遺伝子を有することを意味する。本明細書に記載される方法の一実施形態において、ヘテロ接合は、1つの対立遺伝子が、アミノ酸736位にアラニンを有するTMPRSS6ポリペプチドをコードするTMPRSS6核酸配列(例えば、TMPRSS6核酸分子のヌクレオチド2321位にG又はCを有する)(rs855791メジャー対立遺伝子)を有し、他方の対立遺伝子が、アミノ酸736位にバリンを含むTMPRSS6ポリペプチドをコードする変異体TMPRSS6核酸配列(例えば、TMPRSS6核酸分子のヌクレオチド2321位にA又はTを有する)(rs855791マイナー対立遺伝子)を含む、遺伝子型を指す。
【0055】
「ホモ接合」とは、染色体座が2つの同一の対立遺伝子を有することを意味する。本明細書に記載される方法のある種の実施形態において、ホモ接合は、両方の対立遺伝子が、アミノ酸736位にアラニンを含むTMPRSS6ポリペプチドをコードするTMPRSS6核酸配列(例えば、TMPRSS6核酸分子のヌクレオチド2321位にG又はCを有する)(rs855791ホモ接合メジャー対立遺伝子)を有する遺伝子型を指す。ある種の実施形態において、ホモ接合は、両方の対立遺伝子が、アミノ酸736位にバリンを含むTMPRSS6ポリペプチドをコードするTMPRSS6核酸配列(例えば、TMPRSS6核酸分子のヌクレオチド2321位にA又はTを有する)(rs855791ホモ接合マイナー対立遺伝子)を有する遺伝子型を指す。
【0056】
「患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することを決定すること」には、限定されないが、患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することを決定するアッセイを実施すること、患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することを決定するためのアッセイを指示すること、患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することを決定するためのアッセイを処方すること、そうでなければ、患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することを決定するためのアッセイを実施することを指示又は制御すること、及び患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つの1コピーを有することを決定するために、TMRSS6遺伝子型アッセイデータ又はタンパク質若しくは核酸配列データを検討することが含まれる。
【0057】
「インターロイキン6(IL-6)」又は「IL-6ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_000591で提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%以上のアミノ酸同一性を有し、IL-6生物学的活性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。IL-6は、複数の生物学的機能を有する共面性サイトカインである。例示的なIL-6の生物学的活性としては、免疫刺激性及び炎症誘発性活性が挙げられる。例示的なIL-6アミノ酸配列を以下に提供する:
【0058】
1 MCVGARRLGR GPCAALLLLG LGLSTVTGLH CVGDTYPSND RCCHECRPGN GMVSRCSRSQ
61 NTVCRPCGPG FYNDVVSSKP CKPCTWCNLR SGSERKQLCT ATQDTVCRCR AGTQPLDSYK
121 PGVDCAPCPP GHFSPGDNQA CKPWTNCTLA GKHTLQPASN SSDAICEDRD PPATQPQETQ
181 GPPARPITVQ PTEAWPRTSQ GPSTRPVEVP GGRAVAAILG LGLVLGLLGP LAILLALYLL
241 RRDQRLPPDA HKPPGGGSFR TPIQEEQADA HSTLAKI (配列番号5)
【0059】
「インターロイキン6(IL-6)核酸」とは、インターロイキン6(IL-6)ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。例示的なインターロイキン6(IL-6)核酸配列は、NCBIアクセッション番号NM_000600で提供される。NCBIアクセッション番号NM_000600における例示的な配列を以下に提供する:
【0060】
1 AATATTAGAG TCTCAACCCC CAATAAATAT AGGACTGGAG ATGTCTGAGG CTCATTCTGC
61 CCTCGAGCCC ACCGGGAACG AAAGAGAAGC TCTATCTCCC CTCCAGGAGC CCAGCTATGA
121 ACTCCTTCTC CACAAGCGCC TTCGGTCCAG TTGCCTTCTC CCTGGGGCTG CTCCTGGTGT
181 TGCCTGCTGC CTTCCCTGCC CCAGTACCCC CAGGAGAAGA TTCCAAAGAT GTAGCCGCCC
241 CACACAGACA GCCACTCACC TCTTCAGAAC GAATTGACAA ACAAATTCGG TACATCCTCG
301 ACGGCATCTC AGCCCTGAGA AAGGAGACAT GTAACAAGAG TAACATGTGT GAAAGCAGCA
361 AAGAGGCACT GGCAGAAAAC AACCTGAACC TTCCAAAGAT GGCTGAAAAA GATGGATGCT
421 TCCAATCTGG ATTCAATGAG GAGACTTGCC TGGTGAAAAT CATCACTGGT CTTTTGGAGT
481 TTGAGGTATA CCTAGAGTAC CTCCAGAACA GATTTGAGAG TAGTGAGGAA CAAGCCAGAG
541 CTGTGCAGAT GAGTACAAAA GTCCTGATCC AGTTCCTGCA GAAAAAGGCA AAGAATCTAG
601 ATGCAATAAC CACCCCTGAC CCAACCACAA ATGCCAGCCT GCTGACGAAG CTGCAGGCAC
661 AGAACCAGTG GCTGCAGGAC ATGACAACTC ATCTCATTCT GCGCAGCTTT AAGGAGTTCC
721 TGCAGTCCAG CCTGAGGGCT CTTCGGCAAA TGTAGCATGG GCACCTCAGA TTGTTGTTGT
781 TAATGGGCAT TCCTTCTTCT GGTCAGAAAC CTGTCCACTG GGCACAGAAC TTATGTTGTT
841 CTCTATGGAG AACTAAAAGT ATGAGCGTTA GGACACTATT TTAATTATTT TTAATTTATT
901 AATATTTAAA TATGTGAAGC TGAGTTAATT TATGTAAGTC ATATTTATAT TTTTAAGAAG
961 TACCACTTGA AACATTTTAT GTATTAGTTT TGAAATAATA ATGGAAAGTG GCTATGCAGT
1021 TTGAATATCC TTTGTTTCAG AGCCAGATCA TTTCTTGGAA AGTGTAGGCT TACCTCAAAT
1081 AAATGGCTAA CTTATACATA TTTTTAAAGA AATATTTATA TTGTATTTAT ATAATGTATA
1141 AATGGTTTTT ATACCAATAA ATGGCATTTT AAAAAATTCA GCAAAAAAAA AAAAAAAAAA
1201 A (配列番号6)
【0061】
「インターロイキン6受容体(IL-6R)複合体」とは、IL-6受容体サブユニットアルファ (IL-6Rα)、及びインターロイキン6受容体サブユニットβ(IL-6Rβ)とも呼ばれるインターロイキン6シグナルトランスデューサー糖タンパク質130を含む、タンパク質複合体を意味する。
【0062】
「インターロイキン6受容体サブユニットα(IL-6Rα)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_000556又はNP_852004で提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%以上のアミノ酸同一性を有し、IL-6受容体の生物学的活性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。例示的なIL-6Rα生物学的活性は、IL-6への結合、糖タンパク質130(gp130)への結合、並びに細胞増殖及び分化の調節を含む。例示的なIL-6R配列を以下に提供する:
【0063】
1 MLAVGCALLA ALLAAPGAAL APRRCPAQEV ARGVLTSLPG DSVTLTCPGV EPEDNATVHW
61 VLRKPAAGSH PSRWAGMGRR LLLRSVQLHD SGNYSCYRAG RPAGTVHLLV DVPPEEPQLS
121 CFRKSPLSNV VCEWGPRSTP SLTTKAVLLV RKFQNSPAED FQEPCQYSQE SQKFSCQLAV
181 PEGDSSFYIV SMCVASSVGS KFSKTQTFQG CGILQPDPPA NITVTAVARN PRWLSVTWQD
241 PHSWNSSFYR LRFELRYRAE RSKTFTTWMV KDLQHHCVIH DAWSGLRHVV QLRAQEEFGQ
301 GEWSEWSPEA MGTPWTESRS PPAENEVSTP MQALTTNKDD DNILFRDSAN ATSLPVQDSS
361 SVPLPTFLVA GGSLAFGTLL CIAIVLRFKK TWKLRALKEG KTSMHPPYSL GQLVPERPRP
421 TPVLVPLISP PVSPSSLGSD NTSSHNRPDA RDPRSPYDIS NTDYFFPR (配列番号7)
【0064】
「インターロイキン6受容体サブユニットβ(IL-6Rβ)ポリペプチド」とは、NCBIアクセッション番号NP_002175、NP_786943、又はNP_001177910で提供されるアミノ酸配列と少なくとも約85%以上のアミノ酸同一性を有し、IL-6受容体の生物学的活性を有するポリペプチド又はその断片を意味する。例示的なIL-6Rβ生物学的活性は、IL-6Rαへの結合、IL-6受容体シグナル伝達活性、及び細胞増殖、分化、ヘプシジン発現などの調節を含む。例示的なIL-6Rβ配列を以下に提供する:
【0065】
1 MLTLQTWLVQ ALFIFLTTES TGELLDPCGY ISPESPVVQL HSNFTAVCVL KEKCMDYFHV
61 NANYIVWKTN HFTIPKEQYT IINRTASSVT FTDIASLNIQ LTCNILTFGQ LEQNVYGITI
121 ISGLPPEKPK NLSCIVNEGK KMRCEWDGGR ETHLETNFTL KSEWATHKFA DCKAKRDTPT
181 SCTVDYSTVY FVNIEVWVEA ENALGKVTSD HINFDPVYKV KPNPPHNLSV INSEELSSIL
241 KLTWTNPSIK SVIILKYNIQ YRTKDASTWS QIPPEDTAST RSSFTVQDLK PFTEYVFRIR
301 CMKEDGKGYW SDWSEEASGI TYEDRPSKAP SFWYKIDPSH TQGYRTVQLV WKTLPPFEAN
361 GKILDYEVTL TRWKSHLQNY TVNATKLTVN LTNDRYLATL TVRNLVGKSD AAVLTIPACD
421 FQATHPVMDL KAFPKDNMLW VEWTTPRESV KKYILEWCVL SDKAPCITDW QQEDGTVHRT
481 YLRGNLAESK CYLITVTPVY ADGPGSPESI KAYLKQAPPS KGPTVRTKKV GKNEAVLEWD
541 QLPVDVQNGF IRNYTIFYRT IIGNETAVNV DSSHTEYTLS SLTSDTLYMV RMAAYTDEGG
601 KDGPEFTFTT PKFAQGEIEA IVVPVCLAFL LTTLLGVLFC FNKRDLIKKH IWPNVPDPSK
661 SHIAQWSPHT PPRHNFNSKD QMYSDGNFTD VSVVEIEAND KKPFPEDLKS LDLFKKEKIN
721 TEGHSSGIGG SSCMSSSRPS ISSSDENESS QNTSSTVQYS TVVHSGYRHQ VPSVQVFSRS
781 ESTQPLLDSE ERPEDLQLVD HVDGGDGILP RQQYFKQNCS QHESSPDISH FERSKQVSSV
841 NEEDFVRLKQ QISDHISQSC GSGQMKMFQE VSAADAFGPG TEGQVERFET VGMEAATDEG
901 MPKSYLPQTV RQGGYMPQ (配列番号8)
【0066】
「IL-6アンタゴニスト」とは、IL-6の生物学的活性を低下させることができる薬剤を意味する。IL-6アンタゴニストは、血清中のIL-6ポリペプチドのレベルを低下させる薬剤;IL-6ポリペプチド又は核酸の発現を減少させる薬剤、IL-6Rに結合するIL-6の能力を低下させる薬剤、IL-6Rの発現を減少させる薬剤、及びIL-6に結合した場合にIL-6R受容体によるシグナル伝達を低下させる薬剤を含む。好ましい実施形態において、IL-6アンタゴニストは、IL-6の生物学的活性を少なくとも約10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、又はさらには100%低下させる。以下のセクション6.3.4においてさらに記載されるように、IL-6アンタゴニストには、IL-6結合ポリペプチド、例えば抗IL-6抗体及びその抗原結合断片又は誘導体;IL-6R結合ポリペプチド、例えば抗IL-6R抗体及びその抗原結合断片又は誘導体;並びに合成化学分子、例えばJAK1及びJAK3阻害剤が含まれる。
【0067】
「IL-6抗体」又は「抗IL-6抗体」とは、IL-6に特異的に結合する抗体を意味する。抗IL-6抗体には、IL-6に特異的なモノクローナル及びポリクローナル抗体、並びにその抗原結合断片又は誘導体が含まれる。IL-6抗体は、以下のセクション8.3.6.1においてより詳細に記載される。
【0068】
本明細書で使用するとき、「利尿効率」は、Hanberg et al., Circ. Heart Fail. 2016;9:e003180(参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って、ループ利尿薬用量の2倍当たりの尿中ナトリウムmmol(mmol Na/ループ利尿薬用量の2倍)として算出される。
【0069】
「利尿薬耐性心不全」とは、患者の利尿効率が100未満である心不全を意味する。
【0070】
本明細書で使用するとき、用語「バイオマーカー」又は「マーカー」とは、検出することができる分子を指す。したがって、本発明に係るバイオマーカーには、限定されるものではないが、核酸、ポリペプチド、炭水化物、脂質、無機分子、有機分子が含まれ、その各々はサイズ及び性質が広く異なり得る。「バイオマーカー」は、身体の状態又は疾患に関連する身体物質であり得る。「バイオマーカー」は、当技術分野で公知の任意の手段を用いて、又は当業者がマーカーを考慮する際にのみ明らかとなる以前は未知の手段により検出し得る。
【0071】
本明細書で使用するとき、本発明の文脈での「バイオマーカー」は、限定されるものではないが、タンパク質、核酸、及び代謝物と、それと共にそれらの多型、変異、バリアント、修飾、サブユニット、断片、タンパク質-リガンド複合体、及び分解産物、構成要素、関連代謝物、並びに他の分析物又はサンプル由来尺度を包含する。バイオマーカーはまた、変異型タンパク質又は変異型核酸をも含み得る。バイオマーカーはまた、健康状態の非血液媒介因子又は非分析物の生理学的マーカー、例えば臨床パラメータ、並びに伝統的な研究室リスク因子を包含する。食品医薬品局(FDA)により定義されているように、バイオマーカーは、「正常な生物学的プロセス、病原性プロセス、又は治療的介入若しくは他の介入に対する薬理学的反応の指標として客観的に測定及び評価される」特徴(例えば、測定可能なDNA及び/若しくはRNA又はタンパク質)である。バイオマーカーはまた、数学的に作成された計算されたインデックス、又は時間的傾向や差異を含む前述の測定値の1つ以上の組み合わせも含む。バイオマーカーは、限定されるものではないが、腫瘍内、細胞内、又は細胞膜上などの、任意のレベルの空間的又は時間的局在で測定し得る。
【0072】
「薬剤」とは、療法において投与するのに適した任意の化合物又は組成物を意味し、化学化合物、抗体又はその抗原結合断片を含むタンパク質、ペプチド;及び核酸分子を明示的に含む
【0073】
「対象」又は「個体」とは、ヒト又は非ヒト哺乳動物を意味し、限定されないが、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、ネコ、並びにマウス及びラットなどのげっ歯類の対象が含まれる。「患者」はヒト対象である。
【0074】
本明細書で使用するとき、「治療する」、「治療すること」、「治療」などの用語は、障害及び/又はそれに関連する徴候若しくは症状の低減又は寛解、あるいはその進行の遅延若しくは停止を意味する。除外されないが、障害又は状態の治療は、それに関連する障害、状態又は症状が完全に排除されることを必要としないことは理解される。
【0075】
「治療前」とは、本明細書に記載の方法によるIL-6アンタゴニストの初回投与前を意味する。治療前は、IL-6アンタゴニスト以外の治療、例えば利尿薬(ループ利尿薬など)による治療の事前投与を排除せず、しばしば含む。
【0076】
「生物学的サンプル」とは、生物(例えば、ヒト対象)に由来する任意の組織、細胞、液体、又は他の物質を意味する。ある種の実施形態において、生物学的サンプルは、血清、血漿、尿又は全血である。
【0077】
本明細書で使用される場合、「説明資料」には、本明細書に開示されるバイオマーカーを検出するためのキットにおける本発明の成分の有用性を伝えるために使用することができる刊行物、記録、図、又は任意の他の表現媒体が含まれる。本発明のキットの説明資料は、例えば、本発明の成分を含む容器に添付するか、又は成分を含有する容器と一緒に出荷することができる。あるいは、説明資料及び成分が受取人によって協調して使用されることを意図して、説明資料を容器と別にして出荷することができる。
【0078】
1つ以上のバイオマーカーの「レベル」とは、mRNA、cDNA、小有機分子、ヌクレオチド、イオン若しくはタンパク質、又はそれらの任意の一部、例えば、オリゴヌクレオチド若しくはペプチドを測定することにより決定される、サンプル中のバイオマーカーの絶対又は相対量又は濃度を意味する。バイオマーカーのレベルは、文脈に基づいて、全体的なレベル、又は生物のある下位区分内若しくは特定のサンプル内のレベルを指し得、非限定的な例として、レベルは、尿サンプル中のバイオマーカーの量若しくは濃度を指し得、又はレベルは、血漿サンプル中の同じバイオマーカーの量若しくは濃度を指し得る。
【0079】
「測定すること」又は「測定」、あるいは「検出すること」又は「検出」とは、臨床サンプル若しくは対象由来のサンプル内の所与の物質の存在、非存在、量(quantity)又は量(amount)(有効量とすることができる)を決定すること、例えば、このような物質の定性的若しくは定量的な濃度レベルを導出すること、又はさもなければ対象の臨床パラメーターの値若しくは分類を決定することを意味する。
【0080】
バイオマーカーの「参照レベル」とは、特定の表現型又は特徴の存在又は非存在を示すバイオマーカーのレベルを意味する。対象におけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの参照レベルを超える場合、それは特定の表現型又は特徴の存在、又は相対的に高められたレベルを示す。対象におけるバイオマーカーのレベルがバイオマーカーの参照レベルを下回る場合、それは特定の表現型又は特徴の欠如、又は相対的な欠如を示す。
【0081】
8.1.他の解釈上の慣例
特に指定がない限り、抗体の定常領域の残基番号付けは、KabatのようにEUインデックスに従う。
【0082】
範囲:この開示を通じて、本発明の様々な態様を範囲形式で提示することができる。範囲には、列挙されたエンドポイントが含まれる。範囲形式での記載は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、具体的に開示されたすべての可能な部分範囲並びにその範囲内の個々の数値を有すると見なされるべきである。例えば、範囲の記載、例えば、1~6は、具体的に開示された部分範囲、例えば、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、並びにその範囲内の個々の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6を有すると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく当てはまる。
【0083】
特に明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、用語「又は」とは、包括的であると理解される。
【0084】
特に明記されない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で使用される場合、用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は単数又は複数であると理解される。すなわち、本明細書において、冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、冠詞の文法的対象の1つ又は1を超える(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「要素」とは、1つの要素又は1を超える要素を意味する。
【0085】
本開示において、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有している(containing)」、「有している(having)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、及びその言葉の変形は、米国特許法においてそれらに与えられた意味を有し、明示的に列挙されたものを超えて追加の構成要素の存在を許可する。
【0086】
特に明記されない限り、又は文脈からそうでないことが明らかでない限り、本明細書で使用する場合、用語「約(およそ)」とは、当技術分野の通常の許容範囲内、例えば、平均の2標準偏差以内として理解され、記述された値から±20%又は±10%、より好ましくは±5%、さらにより好ましくは±1%、さらにより好ましくは±0.1%の変動を包含することを意味する。
【0087】
抗体平衡解離定数(KD)が報告されている場合、KDは、チップ表面に固定された抗体(又はその抗原結合断片)と、その上に流されたリガンドを用いて表面プラズモン共鳴によって決定される。
【0088】
8.2.実験観察の概要
実施例1において以下にさらに記載されるように、外来治療センターで高用量利尿薬療法を受けている継続心不全(「HF」)患者は、プロスペクティブ観察研究に登録された。IL-6の血漿レベルを測定して、この炎症誘発性サイトカインと様々な疾患パラメーターとの全身関連性を調べ、IL-6の尿レベルを測定して、腎組織のレベルでの局所炎症及び神経ホルモン活性化とIL-6の関連性を調べた。
【0089】
血漿及び尿のIL-6レベルは、互いにほんのわずかに相関していた。
【0090】
IL-6の尿レベルの増加は、これらの心不全患者において、腎障害の尺度、例えば、利尿薬耐性、より低い推定糸球体濾過率(「eGFR」)、及び組織レベルのレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(「RAAS」)活性化の増加と有意に相関した。
【0091】
利尿効率と血漿IL-6の間の逆相関も観察されたが、eGFRを調整すると、尿IL-6のみがこれらの患者における低利尿効率のリスクと有意に関連した状態であった。さらに、尿IL-6及び血漿IL-6の両方をロジスティック回帰モデルに入力した場合、尿IL-6のみが低利尿効率のリスクと関連した状態であり、血漿IL-6はこのような関連性を示さなかった。
【0092】
これらのデータは、尿IL-6レベルが腎炎症の有用なバイオマーカーであり、心不全(心腎症候群)の状況で腎機能障害を判断するために使用できることを示している。データは、尿IL-6の連続測定を使用して、心不全を有する患者、特に心腎症候群を有する心不全患者に行われる治療の腎臓の利益を測定できることをさらに示唆する。
【0093】
尿のIL-6データ、及びある程度の血漿IL-6データは、IL-6アンタゴニストによる治療が、心不全患者において腎炎症を軽減し、すなわち心腎症候群の症状を治療するのに有効であるに違いないと予測する。しかしながら、感染症は、心不全患者において急性代償不全の増悪原因となることが多いため、抗サイトカイン及び他の免疫抑制療法を、腎機能及び/又は心機能の改善に反応する可能性が高い心不全患者に限定することが重要である。慢性IL-6アンタゴニスト療法のコストはまた、腎機能及び/又は心機能の改善に反応する可能性が高い心不全患者に治療を限定することに働く。
【0094】
以下の実施例2において詳述されるように、実施例1で行われた分析を129人の患者に拡大した。
図1Aは、尿IL-6の三分位による利尿効率(「DE」)を示す棒グラフであり、98人の患者サブセットで観察された利尿効率と尿IL-6レベルの逆相関を確認する。
図1Bは、これら129人の患者における血漿IL-6の三分位による利尿効率(「DE」)を示す棒グラフであり、血漿IL-6レベルと利尿効率の逆相関を確認する。
【0095】
膜貫通プロテアーゼセリン6(「TMPRSS6」)のrs855791一塩基多型(「SNP」)における129人の患者のそれぞれの遺伝子型を評価した。マトリプターゼ-2(MT2)としても公知であるTMPRSS6ポリペプチドは、ヘモジュベリンを切断し、骨形成タンパク質のシグナル伝達を阻害する。rs855791(G2321A)SNPは、TMPRSS6タンパク質配列を変更する。ヒト集団において最も頻度の高い対立遺伝子(メジャー対立遺伝子)は、736Aをコードする2321Gである。ヒト集団において最も頻度の低い対立遺伝子(マイナー対立遺伝子)は、736Vをコードする2321Aである。
【0096】
図2Aに示されるように、IL-6の尿レベルは、TMPRSS6 rs855791 SNPのメジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみ利尿効率と逆相関した(
図2A、右パネル、「AG+GG」)。IL-6の尿レベルは、マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿効率と有意に相関しない(
図2A、左パネル、「AA」)。
【0097】
図2Bに示されるように、IL-6の血漿レベルは、TMPRSS6 rs855791 SNPのメジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみ利尿効率と逆相関した(
図2B、右パネル、「AG+GG」)。IL-6の血漿レベルは、マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿効率と有意に相関しない(
図2B、左パネル、「AA」)。
【0098】
これらのデータは、心不全患者における利尿薬耐性(低利尿効率)がIL-6アンタゴニストで治療でき、但しそれは、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみであることを示唆した。
【0099】
TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子についてホモ接合性であるヒト細胞と遺伝子型が類似しているマウスM1 CCD細胞において、IL-6の添加は、イオン輸送体、NKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現と相関した。これらのイオン輸送体の発現の増加は、IL-6を介した利尿薬耐性の推定メカニズムを提供する。また、発現の増加がヘプシジンの発現に関連するとは知られていないため、これらのデータは、IL-6拮抗作用が、TMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者においてさえ利尿薬耐性を治療するのに有効であり得ることを示唆した。
【0100】
異なる心不全患者集団における2つの大規模臨床試験からのデータの二次分析により、TMPRSS6 rs855791遺伝子型(実施例6)とは独立して、利尿薬耐性とIL-6レベルの関連性が確認され(実施例5)、IL-6拮抗作用はまた、TMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿薬耐性を治療するのに有効であるに違いないという証拠が得られた。
【0101】
8.3.利尿薬耐性を治療する方法
したがって、第1の態様では、利尿を必要とするが利尿薬に耐性である患者を治療する方法が提供される。本方法は、利尿薬と組み合わせて、治療有効量のIL-6アンタゴニストを患者に投与するステップを含む。
【0102】
ある特定の実施形態では、患者は、IL-6の上昇した治療前尿レベルを有する。一部の実施形態では、患者は、上昇した治療前血漿IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、尿及び血漿中のIL-6の上昇した治療前レベルを有する。
【0103】
一部の実施形態では、患者は、利尿薬耐性心不全を有する。様々な実施形態では、患者は心腎症候群を有する。
【0104】
一部の実施形態では、患者は、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することが決定されている。他の実施形態では、患者は、TMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である。
【0105】
8.3.1.利尿効率
本明細書に記載される方法において、IL-6アンタゴニスト治療を必要とする患者は、利尿を必要とする疾患又は状態を有し、利尿薬耐性である。
【0106】
ある特定の実施形態では、患者は、チアジド系利尿薬、例えば、クロロチアジド(Diuril(登録商標))、クロルタリドン、ヒドロクロロチアジド(Microzide(登録商標))、インダパミド、又はメトラゾンで治療されているか又は治療中である。ある特定の実施形態では、患者は、ループ利尿薬、例えば、ブメタニド(Bumex(登録商標))、エタクリン酸(Edecrin(登録商標))、フロセミド(Lasix(登録商標))、又はトルセミド(Demadex(登録商標))で治療されているか又は治療中である。ある特定の実施形態では、患者は、カリウム保持性利尿薬、例えば、アミロリド、エプレレノン(Inspra(登録商標))、スピロノラクトン(Aldactone(登録商標))、又はトリアムテレン(Dyrenium(登録商標))で治療されているか又は治療中である。一部の実施形態では、患者は、1つより多い利尿薬で治療されているか又は治療中である。一部の実施形態では、患者は、複数の異なるタイプの利尿薬で治療されているか又は治療中である。
【0107】
定義によれば、利尿薬に耐性のある患者は、低利尿効率を有する。利尿効率は、40mgのIVフロセミド同等物の用量を中心とした、ループ利尿薬用量の2倍あたりのナトリウム排泄量の増加として計算される:利尿効率=(mmol Na排泄量)/(log2(投与されたループ利尿薬用量)-4.32)。Hanbergら、Circ. Heart Fail. 2016、9:e003180を参照されたい。その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0108】
一部の実施形態では、患者は、500未満、例えば、450、400、350、300、250、又は200未満の利尿効率を有する。一部の実施形態では、患者は、200未満、例えば、195、190、185、180、175、170、165、160、155、又は150未満の利尿効率を有する。一部の実施形態では、患者は、150未満、例えば、145、140、135、130、125、120、110、105、又は100未満の利尿効率を有する。一部の実施形態では、患者は、100未満、例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55、又は50未満の利尿効率を有する。特定の実施形態では、患者は、50未満、例えば、45、40、35、30未満、又はさらに25、20、15、若しくは10未満の利尿効率を有する。
【0109】
一部の実施形態では、利尿薬に耐性のある患者は、毎日40mg以上のフロセミド(又は同等物)の利尿薬治療を必要とする。これらの実施形態の一部では、患者は、毎日80mg以上のフロセミド(又は同等物)の利尿薬治療を必要とする。これらの実施形態の一部では、患者は、毎日120mg以上のフロセミド(又は同等物)の利尿薬治療を必要とする。
【0110】
8.3.2.治療前IL-6レベル
8.3.2.1.尿中のIL-6の治療前レベル
ある特定の実施形態では、患者は、5.0pgのIL-6/gクレアチニン、6.0pgのIL-6/gクレアチニン、7.0pgのIL-6/gクレアチニン、8.0pgのIL6/gクレアチニン、9.0pgのIL-6/gクレアチニン、又は10.0pgのIL-6/gクレアチニンを超えるIL-6の治療前尿レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、11.0pgのIL-6/gクレアチニン、12.0pgのIL-6/gクレアチニン、13.0pgのIL-6/gクレアチニン、14.0pgのIL-6/gクレアチニン、又は15.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える治療前のIL-6尿レベルを有する。さらなる実施形態では、患者は、16.0pgのIL6/gクレアチニン、17.0pgのIL-6/gクレアチニン、18.0pgのIL-6/gクレアチニン、19.0pgのIL-6/gクレアチニン、又は20.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える尿中の治療前IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、21.0pgのIL-6/gクレアチニン、22.0pgのIL-6/gクレアチニン、23.0pgのIL-6/gクレアチニン、24.0pgのIL-6/gクレアチニン、25.0pgのIL-6/gクレアチニン、26.0pgのIL-6/gクレアチニン、27.0pgのIL-6/gクレアチニン、28.0pgのIL-6/gクレアチニン、29.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える、又はさらに30.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える尿中の治療前IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、35.0pg/gクレアチニンを超える治療前尿IL-6レベルを有する。
【0111】
ある特定の実施形態では、患者は、14.2pgのIL-6/gクレアチニンを超える治療前尿レベル(「上昇した尿IL-6レベル」)を有する。他の実施形態では、患者は、14.2pgのIL-6/gクレアチニン未満の治療前尿レベルを有する。
【0112】
ある特定の実施形態では、患者は、5.0pgのIL-6/gクレアチニン、6.0pgのIL-6/gクレアチニン、7.0pgのIL-6/gクレアチニン、8.0pgのIL-6/gクレアチニン、9.0pgのIL-6/gクレアチニン、又は10.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える、IL-6アンタゴニストによる治療前、及びループ利尿薬による治療前の尿中のIL-6のレベルを有する。これらの実施形態の一部では、患者は、11.0pgのIL-6/gクレアチニン、12.0pgのIL-6/gクレアチニン、13.0pgのIL-6/gクレアチニン、14.0pgのIL-6/gクレアチニン、又は15.0pgのIL-6/gクレアチニンを超えるIL-6尿レベルを有する。さらなる実施形態では、患者は、16.0pgのIL6/gクレアチニン、17.0pgのIL-6/gクレアチニン、18.0pgのIL-6/gクレアチニン、19.0pgのIL-6/gクレアチニン、又は20.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える、IL-6アンタゴニストによる治療前、及びループ利尿薬による治療前の尿中のIL-6のレベルを有する。特定の実施形態では、患者は、21.0pgのIL-6/gクレアチニン、22.0pgのIL-6/gクレアチニン、23.0pgのIL-6/gクレアチニン、24.0pgのIL-6/gクレアチニン、25.0pgのIL-6/gクレアチニン、26.0pgのIL-6/gクレアチニン、27.0pgのIL-6/gクレアチニン、28.0pgのIL-6/gクレアチニン、29.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える、又はさらに30.0pgのIL-6/gクレアチニンを超える尿中のIL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、35.0pg/gクレアチニンを超える、IL-6アンタゴニストによる治療前、及びループ利尿薬による治療前の尿IL-6レベルを有する。
【0113】
ある特定の実施形態では、患者は、14.2pgのIL-6/gクレアチニンを超える、IL-6アンタゴニストによる治療前、及びループ利尿薬による治療前の尿中のIL-6のレベルを有する。他の実施形態では、患者は、14.2pgのIL-6/gクレアチニン未満の、IL-6アンタゴニスによる治療前、及びループ利尿薬による治療前の尿中のIL-6のレベルを有する。
【0114】
8.3.2.2.血漿中のIL-6の治療前レベル
様々な実施形態では、患者は、上昇した治療前血漿IL-6レベルを有する。
【0115】
ある特定の実施形態では、患者は、2.0pg/mLを超えるIL-6の治療前血漿レベルを有する。他の実施形態では、患者は、2.0pg/mL未満のIL-6の治療前血漿レベルを有する。
【0116】
ある特定の実施形態では、患者は、1.0pg/ml、1.1pg/ml、1.2pg/ml、1.3pg/ml、1.4pg/ml、1.5pg/ml、1.6pg/ml、1.7pg/ml、1.8pg/ml、1.9pg/ml、又は2.0pg/mlを超えるIL-6の治療前血漿レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、2.1pg/ml、2.2pg/ml、2.3pg/ml、2.4pg/ml、2.5pg/ml、2.6pg/ml、2.7pg/ml、2.8pg/ml、2.9pg/ml、又は3.0pg/mlを超えるIL-6の治療前血漿レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、3.1pg/ml、3.2pg/ml、3.3pg/ml、3.4pg/ml、3.5pg/ml、3.6pg/ml、3.7pg/ml、3.8pg/ml、又は3.9pg/mlを超えるIL-6の治療前血漿レベルを有する。
【0117】
一部の実施形態では、患者は、2pg/mLを超える、例えば、3pg/mL、4pg/mL、5pg/mL、6pg/mL、8pg/mL、10pg/mL、15pg/mL、又は20pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、3pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、5pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は10pg/mLを超える治療前IL-6レベルを有する。
【0118】
8.3.2.3.治療前IL-6レベルの測定
尿、血漿、及び血清中のIL-6の濃度は、当技術分野において公知である任意の標準的なアッセイを使用して決定され得る。IL-6が尿中で測定される場合、レベルは、別のバイオマーカー、ある特定の実施形態では尿クレアチニン、に対してインデックス化又は正規化され得る。
【0119】
特定の実施形態では、濃度は、メソスケールディスカバリー(MesoScale Discovery)(MSD)プラットフォーム(Meso Scale Diagnostics、ゲーサーズバーグ、MD、USA)を使用して測定される。
【0120】
8.3.3.心不全
本明細書に記載される方法の典型的な実施形態では、患者は心不全を有する。
【0121】
ある特定の実施形態では、患者は、NYHA機能性クラスI心不全を有する。ある特定の実施形態では、患者は、NYHA機能性クラスII心不全を有する。ある特定の実施形態では、患者は、NYHA機能的クラスIII心不全を有する。ある特定の実施形態では、患者は、NYHA機能性クラスIV心不全を有する。
【0122】
ある特定の実施形態では、患者は急性心不全を有する。ある特定の実施形態では、患者は慢性心不全を有する。
【0123】
ある特定の実施形態では、患者は、以下の表1から選択される心不全のタイプを有する。
【0124】
【0125】
ある特定の実施形態では、患者は心腎症候群を有する。特定の実施形態では、患者は心腎症候群タイプ1を有する。特定の実施形態では、患者は心腎症候群タイプ2を有する。特定の実施形態では、患者は心腎症候群タイプ3を有する。特定の実施形態では、患者は心腎症候群タイプ4を有する。
【0126】
ある特定の実施形態では、患者は利尿薬耐性心不全を有する。これらの実施形態のいくつかでは、心不全患者は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、又は50未満の利尿効率を有する。特定の実施形態では、患者は、45、40、35、30未満、又はさらに25、20、15、若しくは10未満の利尿効率を有する。
【0127】
8.3.4.腎疾患
本明細書に記載される方法の一部の実施形態では、患者は腎疾患を有する。
【0128】
ある特定の実施形態では、患者は利尿薬耐性腎疾患を有する。これらの実施形態のいくつかでは、腎疾患患者は、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、又は50未満の利尿効率を有する。特定の実施形態では、患者は、45、40、35、30未満、又はさらに25、20、15、若しくは10未満の利尿効率を有する。
【0129】
特定の実施形態では、患者は肝腎症候群を有する。
【0130】
8.3.5.TMPRSS6 rs855791遺伝子型
ある特定の実施形態では、患者は、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有すると以前に決定されている。他の実施形態では、本方法は、患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することを決定する初期ステップをさらに含む。
【0131】
好ましくは、両方の対立遺伝子において遺伝子型が決定され、したがって、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子に対してホモ接合性であり、TMPRSS6 rs855791のメジャー及びマイナー対立遺伝子に対してヘテロ接合性であり、並びにTMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子に対してホモ接合である患者の同定及び識別が可能である。
【0132】
TMPRSS6遺伝子におけるSNP rs855791(2321G→A)の非存在(メジャー対立遺伝子)又は存在(マイナー対立遺伝子)は、標準的な技術を使用して決定される。
【0133】
典型的には、PCRは、患者から得られた生物学的サンプルを増幅するために使用される。
【0134】
ある種の実施形態において、多型の非存在又は存在は、リアルタイムPCR(RT-PCR)を使用した増幅と同時に検出される。ある種の実施形態において、RT-PCRアッセイは、5'ヌクレアーゼ(TaqMan(登録商標)プローブ)、分子ビーコン、及び/又はFRETハイブリダイゼーションプローブを用いる。その全体が参照により本明細書に組み込まれるEspyら、Clin. Microbiol. Rev. 2006年1月、19(1): 165~256頁に概説されている。典型的な実施形態において、市販のアッセイが使用される。選択された実施形態において、市販のアッセイは、TaqMan(商標)SNP遺伝子型決定アッセイ(ThermoFisher)、 PCR SNP遺伝子型決定アッセイ(Qiagen)、 Novallele遺伝子型決定アッセイ(Canon)、及びSNP Type(商標)アッセイ(以前のSNPtype)(Fluidigm)からなる群から選択される。
【0135】
ある種の実施形態において、多型の非存在又は存在は、増幅後に、SNP rs855791に特異的なプローブを用いたハイブリダイゼーション、制限エンドヌクレアーゼ消化、核酸配列決定、プライマー伸長、マイクロアレイ又は遺伝子チップ分析、質量分析、並びに/又はDNAse保護アッセイにより検出される。ある種の実施形態において、対立遺伝子変異体は配列決定によって決定される(called by)。ある種の実施形態において、サンガー配列決定が使用される。ある種の実施形態において、種々の次世代配列決定技術の1つが使用され、例えば、マイクロアレイ配列決定、Solexa配列決定(Illumina)、Ion Torrent(Life Technologies)、SOliD(Applied Biosystems)、パイロシーケンシング、単分子リアルタイム配列決定(Pacific Bio)、ナノポア配列決定及びトンネリング電流配列決定からなる群から選択される配列決定技術が含まれる。
【0136】
ある種の実施形態において、多型の非存在又は存在は、以下の実施例2で説明する手順を用いて検出される。
【0137】
8.3.6. IL-6アンタゴニスト
本明細書に記載される方法において使用されるIL-6アンタゴニストは、IL-6の生物学的活性を低下させることができる。
【0138】
8.3.6.1. 抗IL-6抗体
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、抗IL-6抗体又はその抗原結合断片若しくは誘導体である。
【0139】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、全長抗IL-6モノクローナル抗体である。具体的な実施形態において、全長モノクローナル抗体はIgG抗体である。ある種の実施形態において、全長モノクローナル抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体である。ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、複数種の全長抗IL-6抗体を含むポリクローナル組成物であり、その複数種の各々は固有のCDRを有する。ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、Fab、Fab'、及びF(ab')2断片から選択される抗体断片である。ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、scFv、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、又はラクダ由来のVHH単一ドメインナノボディなどの単一ドメイン抗体である。ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、IL-6抗原結合断片を含む免疫結合体又は融合体である。ある種の実施形態において、抗体は二重特異性又は多重特異性であり、抗原結合部分の少なくとも1つはIL-6に対する特異性を有する。
【0140】
ある種の実施形態において、抗体は完全にヒトである。ある種の実施形態において、抗体はヒト化されている。ある種の実施形態において、抗体はキメラであり、非ヒトV領域及びヒトC領域ドメインを有する。ある種の実施形態において、抗体はマウスである。
【0141】
典型的な実施形態において、抗IL-6抗体は、ヒトIL-6への結合について100nM未満のKDを有する。ある種の実施形態について、抗IL-6抗体は、ヒトIL-6への結合について75nM、50nM、25nM、20nM、15nM又は10nM未満のKDを有する。具体的な実施形態において、抗IL-6抗体は、ヒトIL-6への結合について5nM、4nM、3nM又は2nM未満のKDを有する。選択された実施形態において、抗IL-6抗体は、ヒトIL-6への結合について1nM、750pM、又は500pM未満のKDを有する。具体的な実施形態において、抗IL-6抗体は、ヒトIL-6への結合について500pM、400pM、300pM、200pM又は100pM以下のKDを有する。
【0142】
典型的な実施形態において、抗IL-6抗体は、IL-6の生物学的活性を中和する。ある種の実施形態において、中和抗体は、IL-6のIL-6受容体への結合を妨げる。
【0143】
典型的な実施形態において、抗IL-6抗体は、少なくとも7日間の静脈内投与後の排泄半減期を有する。ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、少なくとも14日間、少なくとも21日間、又は少なくとも30日間の排泄半減期を有する。
【0144】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、非置換ヒトIgG定常ドメインと比較して、血清半減期を延長する少なくとも1つのアミノ酸置換を有するヒトIgG定常領域を有する。
【0145】
ある種の実用形態において、IgG定常ドメインは、残基252、254、及び256に置換を含み、ここで、アミノ酸残基252のアミノ酸置換はチロシンによる置換であり、アミノ酸残基254のアミノ酸置換はスレオニンによる置換であり、アミノ酸残基256のアミノ酸置換はグルタミン酸による置換である(「YTE」)。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,083,784号を参照されたい。ある種の延長された半減期の実施形態において、IgG定常ドメインは、T250Q/M428L(Hintonら、J. Immunology 176:346~356頁 (2006))、N434A(Yeungら、J. Immunology 182:7663~7671頁 (2009))、又はT307A/E380A/N434A(Petkovaら、International Immunology、18: 1759~1769頁 (2006))から選択される置換を含む。
【0146】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体の排泄半減期は、ヒト血清アルブミンのFcRN結合特性を利用することによって増加する。ある種の実施態様において、抗体はアルブミンにコンジュゲートされる(Smithら、Bioconjug. Chem.、 12: 750~756頁 (2001))。ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、細菌アルブミン結合ドメインに融合される(Storkら、Prot. Eng. Design Science 20: 569~76頁 (2007))。ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、アルブミン結合ペプチドに融合される(Nguygenら、Prot Eng Design Sel 19: 291~297頁 (2006))。ある種の実施形態において、抗IL-抗体は二重特異性であり、1つの特異性はIL-6に対するものであり、1つの特異性はヒト血清アルブミンに対するものである(Ablynx、WO2006/122825(二重特異性ナノボディ))。
【0147】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体の排泄半減期は、PEG化(Melmedら、Nature Reviews Drug Discovery 7: 641~642頁 (2008))によって、HPMA共重合体コンジュゲーション(Luら、Nature Biotechnology 17: 1101~1104頁 (1999))によって、デキストランコンジュゲーション(Nuclear Medicine Communications、16: 362~369頁 (1995))によって、ホモアミノ酸ポリマー(HAP、Hap付加)とのコンジュゲーション(Schlapschyら、Prot Eng Design Sel 20: 273~284頁 (2007))によって、又はポリシアリル化(Constantinouら、Bioconjug. Chem. 20: 924~931頁 (2009))によって増加する。
【0148】
8.3.6.1.1. MEDI5117及び誘導体
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体又はその抗原結合部分は、MEDI5117の6つのCDRをすべて含む。特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、MEDI5117重鎖V領域及び軽鎖V領域を含む。具体的な実施形態において、抗体は全長MEDI5117抗体である。MEDI5117抗体は、WO2010/088444及びUS 2012/0034212号に記載され、それらの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。MEDI5117抗体は、以下のCDR並びに重鎖及び軽鎖配列を有する:
【0149】
MEDI5117 VH CDR1
SNYMI (配列番号9)
MEDI5117 VH CDR2
DLYYYAGDTYYADSVKG (配列番号10)
MEDI5117 VH CDR3
WADDHPPWIDL (配列番号11)
MEDI5117 VL CDR1
RASQGISSWLA (配列番号12)
MEDI5117 VL CDR2
KASTLES (配列番号13)
MEDI5117 VL CDR3
QQSWLGGS (配列番号14)
【0150】
MEDI5117重鎖
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTISSNYMIWVRQAPGKGLEWVSDLYYYAGDTYY
ADSVKGRFTMSRDISKNTVYLQMNSLRAEDTAVYYCARWADDHPPWIDLWGRGTLVTVSS
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSS
GLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGG
PSVFLFPPKPKDTLYITREPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYN
STYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREE
MTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRW
QQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK (配列番号15)
【0151】
MEDI5117軽鎖
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQGISSWLAWYQQKPGKAPKVLIYKASTLESGVPS
RFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQSWLGGSFGQGTKLEIKRTVAAPSVFIFPPS
DEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTL
SKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC (配列番号16)
【0152】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体はMED5117の誘導体である。
【0153】
ある種の実施形態において、MED5117誘導体は、MED5117重鎖及び/又は軽鎖V領域に1つ以上のアミノ酸置換を含む。
【0154】
ある種の実施形態において、誘導体は、MEDI5117抗IL-6抗体の元のVH及び/又はVLと比較して、ヒトIL-6に対する特異性を保持しながら、25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4アミノ酸未満の置換、3未満のアミノ酸置換、2未満のアミノ酸置換、又は1未満のアミノ酸置換を含む。
【0155】
ある種の実施態様において、MED5117誘導体は、MEDI5117のVH及びVLドメインのアミノ酸配列と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む、アミノ酸配列を含む。配列同一性パーセントは、デフォルトパラメーターを使用するBLASTアルゴリズムを使用して決定される。
【0156】
ある種の実施形態において、MED5117誘導体は、CDRが、MEDI5117のそれぞれのCDRのアミノ酸配列と少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。配列同一性パーセントは、デフォルトパラメーターを使用するBLASTアルゴリズムを使用して決定される。
【0157】
ある種の実施形態において、VH及び/又はVL CDR誘導体は、1つ以上の予測される非必須アミノ酸残基(すなわち、抗体がヒトIL-6に特異的に結合するのに重要でないアミノ酸残基)に保存的アミノ酸置換を含む。
【0158】
8.3.6.1.2. 他の抗IL-6抗体
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、エルシリモマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(Argen-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)、及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体由来の6つのCDRを含む。ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)、及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体由来の重鎖V領域及び軽鎖V領域を含む。具体的な実施形態において、抗IL-6抗体は、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)、及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体である。
【0159】
ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれるUS 2016/0168243、US 2016/0130340、2015/0337036、US 2015/0203574、US 2015/0140011、US 2015/0125468、US 2014/0302058、US 2014/0141013、US 2013/0280266、US 2013/0017575、US 2010/0215654、US 2008/0075726、米国特許第5,856,135号、US 2006/0240012、US 2006/0257407、又は米国特許第7,291,721号に記載されるものから選択される抗体由来の6つのCDRを含む。
【0160】
8.3.6.2. 抗IL-6受容体抗体
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、抗IL-6受容体抗体又はその抗原結合断片若しくは誘導体である。
【0161】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、全長抗IL-6受容体モノクローナル抗体である。具体的な実施形態において、全長モノクローナル抗体はIgG抗体である。ある種の実施形態において、全長モノクローナル抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4抗体である。ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、複数種の全長抗IL-6受容体抗体を含むポリクローナル組成物であり、その複数種の各々は固有のCDRを有する。ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、Fab及びFab'断片から選択される抗体断片である。ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、ラクダ由来のVHH単一ドメインナノボディを含むscFv、単一ドメイン抗体である。ある種の実施形態において、抗体は二重特異性又は多重特異性であり、抗原結合部分の少なくとも1つはIL-6Rに対する特異性を有する。
【0162】
ある種の実施形態において、抗体は完全にヒトである。ある種の実施形態において、抗体はヒト化されている。ある種の実施形態において、抗体はキメラであり、非ヒトV領域及びヒトC領域ドメインを有する。ある種の実施形態において、抗体はマウスである。
【0163】
典型的な実施形態において、抗IL-6受容体抗体は、ヒトIL-6Rへの結合について100nM未満のKDを有する。ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体は、ヒトIL-6Rへの結合について75nM、50nM、25nM、20nM、15nM又は10nM未満のKDを有する。具体的な実施形態において、抗IL-6受容体抗体は、ヒトIL-6Rへの結合について5nM、4nM、3nM又は2nM未満のKDを有する。選択された実施形態において、抗IL-6受容体抗体は、ヒトIL-6Rへの結合について1nM、750pM又は500pM未満のKDを有する。具体的な実施形態において、抗IL-6受容体抗体は、ヒトIL-6Rへの結合について500pM、400pM、300pM、200pM、又は100pM以下のKDを有する。
【0164】
典型的な実施形態において、抗IL-6Rは、IL-6の生物学的活性を減少させる。
【0165】
典型的な実施形態において、抗IL-6R抗体は、少なくとも7日間の静脈内投与後の排泄半減期を有する。ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体は、少なくとも14日間、少なくとも21日間、又は少なくとも30日間の排泄半減期を有する。
【0166】
ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体は、非置換ヒトIgG定常ドメインと比較して血清半減期を延長する少なくとも1つのアミノ酸置換を有するヒトIgG定常領域を有する。
【0167】
ある種の実用形態において、IgG定常ドメインは、残基252、254、及び256に置換を含み、ここで、アミノ酸残基252におけるアミノ酸置換はチロシンによる置換であり、アミノ酸残基254におけるアミノ酸置換はスレオニンによる置換であり、アミノ酸残基256におけるアミノ酸置換はグルタミン酸による置換である(「YTE」)。その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,083,784号を参照されたい。ある種の延長された半減期の実施形態において、IgG定常ドメインは、T250Q/M428L(Hintonら、J. Immunology 176:346~356頁 (2006))、N434A(Yeung ら、J. Immunology 182:7663~7671頁 (2009))、又はT307A/E380A/N434A(Petkova ら、International Immunology、18: 1759~1769頁 (2006))から選択される置換を含む。
【0168】
ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体の排泄半減期は、ヒト血清アルブミンのFcRN結合特性を利用することによって増加する。ある種の実施態様において、抗体は、アルブミンにコンジュゲートされる(Smithら、Bioconjug. Chem.、 12: 750~756頁 (2001))。ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体は、細菌アルブミン結合ドメインに融合される(Storkら、Prot. Eng. Design Science 20: 569~76頁 (2007))。ある種の実施形態において、抗IL-6抗体は、アルブミン結合ペプチドに融合される(Nguygenら、Prot Eng Design Sel 19: 291~297頁 (2006))。ある種の実施形態において、抗IL-抗体は二重特異性であり、1つの特異性はIL-6Rに対するものであり、1つの特異性はヒト血清アルブミンに対するものである(Ablynx、WO2006/122825(二重特異性ナノボディ))。
【0169】
ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体の排泄半減期は、PEG化(Melmedら、Nature Reviews Drug Discovery 7: 641~642頁 (2008))によって、HPMA共重合体コンジュゲーション(Luら、Nature Biotechnology 17: 1101~1104頁(1999))によって;デキストランコンジュゲーション(Nuclear Medicine Communications、16: 362~369頁(1995))によって、ホモアミノ酸ポリマー(HAP、Hap付加)とのコンジュゲーション(Schlapschyら、Prot Eng Design Sel 20: 273~284頁(2007))によって、又はポリシアリル化(Constantinouら、Bioconjug. Chem. 20: 924~931頁(2009))によって増加する。
【0170】
ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体又はその抗原結合部分は、トシリズマブの6つのCDRをすべて含む。特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、トシリズマブの重鎖V領域及び軽鎖V領域を含む。具体的な実施形態において、抗体は全長トシリズマブ抗体である。
【0171】
ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体又はその抗原結合部分は、サリルマブの6つのCDRをすべて含む。特定の実施形態において、抗体又はその抗原結合部分は、サリルマブの重鎖V領域及び軽鎖V領域を含む。具体的な実施形態において、抗体は、全長サリルマブ抗体である。
【0172】
ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体又はその抗原結合部分は、VX30(Vaccinex)、ARGX-109(arGEN-X)、FM101(Formatech)、SA237(Roche)、NI-1201(NovImmune)、又はUS 2012/0225060に記載される抗体の6つのCDRをすべて含む。
【0173】
ある種の実施形態において、抗IL-6R抗体又はその抗原結合部分は、単一ドメイン抗体である。特定の実施形態において、単一ドメイン抗体は、ラクダVHH単一ドメイン抗体である。具体的な実施形態において、抗体は、ボバリリズマブ(ALX-0061)(Ablynx NV)である。
【0174】
8.3.6.3. 抗IL-6:IL-6R複合体抗体
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、IL-6及びIL-6Rの複合体に特異的な抗体である。ある種の実施形態において、抗体は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるUS 2011/0002936に記載されているものから選択される抗体の6つのCDRを有する。
【0175】
8.3.6.4. JAK及びSTAT阻害剤
IL-6は、JAK-STAT経路を介してシグナル伝達することが知られている。
【0176】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、JAKシグナル伝達経路の阻害剤である。ある種の実施形態において、JAK阻害剤はJAK1特異的阻害剤である。ある種の実施形態において、JAK阻害剤はJAK3特異的阻害剤である。ある種の実施形態において、JAK阻害剤はpan-JAK阻害剤である。
【0177】
ある種の実施形態において、JAK阻害剤は、トファシチニブ(Xeljanz)、デセルノチニブ、ルキソリチニブ、ウパダシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、レスタウルチニブ、パクリチニブ、ペフィシチニブ、INCB-039110、ABT-494、INCB-047986及びAC-410からなる群から選択される。
【0178】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストはSTAT3阻害剤である。特定の実施形態において、阻害剤はSTAT3アンチセンス分子であるAZD9150(AstraZeneca、Isis Pharmaceuticals)である。
【0179】
8.3.6.5. さらなるIL-6アンタゴニスト
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストはアンタゴニストペプチドである。
【0180】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、C326(AvidiaによるIL-6アンタゴニスト、AMG220としても公知である)、又はIL-6の組換えタンパク質阻害剤であるFE301、(Ferring International Center S.A.、 Conaris Research Institute AG)である。ある種の実施形態において、抗IL-6アンタゴニストは、可溶性gp130、FE301(Conaris/Ferring)を含む。
【0181】
8.3.7. 投薬レジメン
8.3.7.1. 抗体、抗原結合断片、ペプチド
典型的な実施形態において、抗体、抗原結合断片、及びペプチドIL-6アンタゴニストは、非経口的に投与される。
【0182】
いくつかの非経口的な実施形態において、IL-6アンタゴニストを静脈内投与する。ある種の静脈内の実施形態において、IL-6アンタゴニストはボーラスとして投与される。ある種の静脈内の実施形態において、IL-6アンタゴニストは注入として投与される。ある種の静脈内の実施形態において、IL-6アンタゴニストはボーラスとして投与され、続いて注入される。いくつかの非経口的な実施形態において、IL-6アンタゴニストは皮下投与される。
【0183】
ある種の実施形態において、抗体、抗原結合断片、又はペプチドIL-6アンタゴニストは、患者の体重又は表面積とは無関係な用量(平坦用量)で投与される。
【0184】
ある種の実施形態において、静脈内平坦用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg又は10mgである。ある種の実施形態において、静脈内平坦用量は、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg又は20mgである。ある種の実施形態において、静脈内平坦用量は、25mg、30mg、40mg又は50mgである。ある種の実施形態において、静脈内平坦用量は、60mg、70mg、80mg、90mg又は100mgである。ある種の実施形態において、静脈内平坦用量は、1~10mg、10~15mg、15~20mg、20~30mg、30~40mg、又は40~50mgである。ある種の実施形態において、静脈内平坦用量は、1~40mg又は50~100mgである。
【0185】
ある種の実施形態において、皮下平坦用量は、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg又は100mgである。ある種の実施形態において、皮下平坦用量は、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg又は200mgである。ある種の実施形態において、皮下平坦用量は、210mg、220mg、230mg、240mg又は250mgである。ある種の実施形態において、皮下平坦用量は、10~100mg、100~200mg、又は200~250mgである。ある種の実施形態において、皮下平坦用量は、10~20mg、20~30mg、30~40mg、40~50mg、50~60mg、60~70mg、70~80mg、80~90mg、又は90~100mgである。ある種の実施形態において、皮下平坦用量は、100~125mg、125~150mg、150~175mg、175~200mg、又は200~250mgである。
【0186】
ある種の実施形態において、抗体、抗原結合断片、又はペプチドIL-6アンタゴニストは、患者体重ベースの用量として投与される。
【0187】
ある種の実施形態において、アンタゴニストは、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg又は1.0mg/kgの静脈内用量で投与される。ある種の実施形態において、アンタゴニストは、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg又は5mg/kgの用量で投与される。
【0188】
ある種の実施形態において、皮下重量ベースの用量は、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg又は1.0mg/kgである。ある種の実施形態において、アンタゴニストは、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg又は5mg/kgの用量で投与される。
【0189】
様々な静脈内の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、7日に1回、14日に1回、21日に1回、28日に1回、又は1カ月に1回投与される。様々な皮下の実施形態において、IL-6アンタゴニストは、14日に1回、28日に1回、1カ月に1回、2カ月に1回(隔月)、又は3カ月に1回投与される。
【0190】
ある種の好ましい実施形態において、IL-6アンタゴニストはMEDI5117抗体である。ある種の実施形態において、MEDI5117は、週1回、1~30mgの平坦用量でIV投与される。ある種の実施形態において、MEDI5117抗体は、週1回、1、2、3、4、5、7.5、10、15、20、25、又は30mgの平坦用量でIV投与される。ある種の実施形態において、MEDI5117抗体は、月1回~3カ月に1回、25~250mgの平坦用量でs.c.投与される。特定の実施形態において、MEDI5117は、月1回、2カ月に1回、又は3カ月に1回、30mg、45mg、60mg、75mg、100mg、120mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、240mg、又は250mgの用量でs.c.投与される。
【0191】
ある種の実施形態において、IL-6アンタゴニストはトシリズマブである。ある種の実施形態において、トシリズマブは、100kg以上の患者にs.c.で週1回、162mgの開始用量で投与される。ある種の実施形態において、トシリズマブは、4mg/kgの用量で4週間に1回静脈内投与され、その後、臨床応答に基づいて4週間ごとに8mg/kgに増加する。
【0192】
8.3.7.2. JAK及びSTAT阻害剤
典型的な実施形態において、低分子JAK阻害剤及びSTAT阻害剤は経口投与される。
【0193】
ある種の実施形態において、阻害剤は、1~10mg、10~20mg、20~30mg、30~40mg、又は40~50mgの経口用量で1日1回又は2回投与される。ある種の実施形態において、阻害剤は、50~60mg、60~70mg、70~80mg、80~90mg、又は90~100mgの用量で1日1回又は2回投与される。ある種の実施形態において、阻害剤は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50mgのPOの用量で1日1回又は2回投与される。ある種の実施形態において、阻害剤は、75mgのPO QD又はBID、100mgのPO QD又はBIDの用量で投与される。
【0194】
ある種の実施形態において、JAK阻害剤はトファシチニブであり、5mg PO BID又は11mg PO qDayの用量で投与される。
【0195】
ある種の実施形態において、JAK阻害剤はデセルノチニブであり、25mg、50mg、100mg又は150mg PO BIDの用量で投与される。
【0196】
ある種の実施形態において、阻害剤はルキソリチニブであり、25mgのPO BID、20mgのPO BID、15mgのPO BID、10mgのPO BID、又は5mgのPO BIDの用量で投与される。
【0197】
8.3.7.3.目標への対処
ある特定の実施形態では、IL-6アンタゴニストは、利尿効率を増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される。これらの実施形態のいくつかでは、IL-6アンタゴニストは、利尿効率を正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される。
【0198】
ある特定の実施形態では、IL-6アンタゴニストは、eGFRを増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与され、これらの実施形態のいくつかでは、IL-6アンタゴニストは、eGFRを正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、期間で投与される。
【0199】
8.3.7.4.IL-6レベルモニタリング
ある特定の実施形態では、患者由来の尿又は血漿サンプル中のIL-6のレベルを測定することにより、心腎パラメーターに対するIL-6アンタゴニストによる治療の影響をモニターし得る。本発明の方法は、心腎症候群の治療の有効性をモニターするために使用され得、例えば、用量又は治療の変更を動機付け得ることが特に意図される。
【0200】
したがって、ある特定の実施形態では、本方法は、尿中、血漿中、又は尿及び血漿中の両方でIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む。これらの実施形態のいくつかでは、本方法は、直前のステップで決定されたIL-6レベルに基づいて、IL-6アンタゴニストの少なくとも1つのその後の投与の用量を調整する最終ステップをさらに含む。
【0201】
8.3.8.追加の治療薬
本明細書に記載される方法のある特定の実施形態では、本方法は、IL-6アンタゴニストに追加して少なくとも1つの治療薬を投与するステップをさらに含み、追加の治療薬は心不全の1つ以上の心血管又は腎症状を治療する。特定の治療は、担当医によってケースバイケースで決定される。
【0202】
8.3.8.1.標準的な心不全薬
ある特定の実施形態では、追加の治療薬は利尿薬である。
【0203】
特定の実施形態では、利尿薬はループ利尿薬である。選択された実施形態では、ループ利尿薬は、フロセミド、トルセミド、ブメタニド、及びエタクリン酸からなる群から選択される。特定の実施形態では、ループ利尿薬はフロセミドである。ある特定の実施形態では、フロセミドは経口投与される。ある特定の実施形態では、フロセミドは静脈内投与される。ある特定の実施形態では、利尿薬はチアジド系利尿薬である。特定の実施形態では、チアジド系利尿薬は、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、クロルタリドン、インダパミド、又はメトラゾンである。ある特定の実施形態では、利尿薬はカリウム保持性利尿薬である。
【0204】
ある特定の実施形態では、追加の治療薬はACE阻害剤である。ある特定の実施形態では、ACE阻害剤は、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル及びトランドラプリルからなる群から選択される。
【0205】
ある特定の実施形態では、追加の治療薬はアンジオテンシン受容体遮断薬(「ARB」)である。ある特定の実施形態では、ARBは、エプロサルタン、オルメサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、ロサルタン、アジルサルタンメドキソミル、カンデサルタン、又はイルベサルタンである。
【0206】
ある特定の実施形態では、追加の治療薬は、β遮断薬、カルシウムアンタゴニスト、又はミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストである。
【0207】
ある特定の実施形態では、追加の治療薬は、ナトリウム利尿ペプチド、例えば、B型ナトリウム利尿ペプチド又はN末端プロB型ナトリウム利尿ペプチドである。
【0208】
ある特定の実施形態では、追加の治療薬は、アデノシンアンタゴニスト、例えば、ロロフィリンである。
【0209】
特定の治療は、担当医によってケースバイケースで決定される。
【0210】
8.3.8.2.ニトロキシル供与体
ある特定の実施形態では、追加の治療薬はニトロキシル供与体であり、本方法は、治療有効量のニトロキシル供与体を投与するステップをさらに含む。
【0211】
特定の実施形態では、ニトロキシル供与体は、米国特許第9,499,511号、同第9,487,498号、同第9,464,061号、同第9,458,127号、同第9,221,780号、同第9,181,213号、同第9,156,804号、同第9,115,064号、同第9,018,411号、同第8,987,326号、同第RE45,314号、同第8,674,132号、同第8,227,639号、及び同第8,030,356号の1つ以上に記載される化合物から選択され、それらの開示は、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0212】
選択された実施形態では、ニトロキシル供与体は、米国特許第RE45,314号に記載される化合物から選択される。特定の実施形態では、ニトロキシル供与体は、米国特許第9,156,804号に記載される化合物から選択される。
【0213】
8.3.8.3.ナトリウムイオンを含まない塩化物の補足
ある特定の実施形態では、追加の治療薬は、ナトリウムイオンを含まない塩化物塩である。ある特定の実施形態では、薬剤は塩化リジンである。
【0214】
8.4.心不全の治療を改善する方法
別の態様では、無効な治療を中止することにより心不全の治療を改善し、それにより治療効果を損なうことなく副作用を減らし、コストを削減する方法が提供される。本方法は、心不全を有する患者へのIL-6アンタゴニストの投与を中止するステップを含み、患者はTMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性であることが決定されている。一連の実施形態では、患者は、TMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性であることが以前に決定されている。別の一連の実施形態では、本方法は、患者がTMPRSS6 rs8557791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性であることを決定する初期ステップをさらに含む。
【0215】
ある特定の実施形態では、患者は、IL-6の上昇した治療前尿レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、IL-6の上昇した治療前血漿レベルを有する。ある特定の実施形態では、患者は、IL-6の上昇した治療前尿レベル及び上昇した治療前血漿レベルを有する。
【0216】
特定の実施形態では、患者は心腎症候群を有する。
【0217】
8.5.診断、予後、及び治療ガイダンスの方法
別の態様では、対象が心不全に対するIL-6アンタゴニスト治療から利益を得るかどうかを決定する方法が提供される。本方法は、対象由来の尿サンプル又は血漿サンプル中のIL-6のレベルを測定し、IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較し、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、IL-6アンタゴニスト治療が推奨される。
【0218】
IL-6は、上記のセクション6.3.2.3に記載された方法に従って、血漿又は尿において測定され得る。尿及び血漿中のIL-6の参照レベルは、参照集団におけるIL-6レベルを測定することにより決定され得る。当業者は、臨床経験及び集団からのサンプル中のバイオマーカーの一般的なレベルに基づいて、集団中のバイオマーカーのレベルの参照レベルを決定することができる。
【0219】
さらなる態様では、対象が、糸球体濾過障害、低い利尿効率、高い尿アンジオテンシン、高い血漿レニンのためにIL-6アンタゴニスト治療を必要とするか、又は心腎症候群による死亡のリスクがあるかどうかを上記の方法を用いて決定する方法が提供される。
図3に示され及び以下の実施例1において論じられるように、尿又は血漿中の高レベルのIL-6はこれらのパラメーターに関連している。
【0220】
8.6.キット
さらなる態様では、キットが提供される。一般的に、キットは、目的のバイオマーカーの存在を検出するのに適した検出試薬を含み、本発明の方法に従って使用するための指示書を含む。キットは、IL-6に結合することができる抗体又は他の免疫組織化学試薬を含み得る。キットは、尿又は血漿中のIL-6を測定するためのELISAを行うのに適した捕捉抗体及び検出抗体を含み得る。ある特定の実施形態では、キットは、ELISA用に尿及び血漿サンプルを調製するための、又は別のバイオマーカーの濃度に対して尿中のIL-6をインデックス化するためのツール及び試薬を含み得、ある特定の実施形態では、IL-6はクレアチニンに対してインデックス化される。
【0221】
8.7.さらなる実施形態
さらなる実施形態は、いかの番号付けされた実施形態において与えられる。
1.治療有効量のIL-6アンタゴニストを心不全を有する患者に投与するステップを含む心不全を治療する方法であって、
患者は、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有すると決定されている、方法。
2.患者が、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有すると以前に決定されている、実施形態1の方法。
3.患者がTMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有することを決定する初期ステップをさらに含む、実施形態1の方法。
4.患者がIL-6の上昇した治療前尿レベルを有する、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
5.患者がIL-6の上昇した治療前血漿レベルを有する、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
6.患者が急性心不全を有する、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
7.患者が慢性心不全を有する、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
8.患者が心腎症候群を有する、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
9.患者が心腎症候群タイプ4を有する、実施形態8の方法。
10.患者が利尿薬耐性心不全を有する、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
11.患者の利尿効率が95未満である、実施形態10の方法。
12.患者の利尿効率が90未満である、実施形態11の方法。
13.患者の利尿効率が85未満である、実施形態12の方法。
14.患者の利尿効率が80未満である、実施形態13の方法。
15.患者の利尿効率が75未満である、実施形態14の方法。
16.患者の利尿効率が70未満である、実施形態15の方法。
17.患者の利尿効率が65未満である、実施形態16の方法。
18.IL-6アンタゴニストが抗IL-6抗体、又はその抗原結合断片若しくは誘導体である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
19.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について100nM未満のKDを有する、実施形態18の方法。
20.抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について50nM未満のKDを有する、実施形態19の方法。
21.抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について10nM未満のKDを有する、実施形態20の方法。
22.抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、ヒトIL-6との結合について1nM未満のKDを有する、実施形態21の方法。
23.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも7日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、実施形態18~22のいずれか1つの方法。
24.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも14日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、実施形態23の方法。
25.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも21日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、実施形態24の方法。
26.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、少なくとも30日の静脈内投与後の排泄半減期を有する、実施形態25の方法。
27.IL-6アンタゴニストが全長モノクローナル抗IL-6抗体である、実施形態18~26のいずれか1つの方法。
28.抗体がIgG1又はIgG4抗体である、実施形態27の方法。
29.抗体がIgG1抗体である、実施形態28の方法。
30.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が完全にヒトのものである、実施形態18~29のいずれか1つの方法。
31.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体がヒト化されている、実施形態18~29のいずれか1つの方法。
32.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体がMED5117の6つの可変領域CDRすべてを含む、実施形態18~31のいずれか1つの方法。
33.抗体がMED5117のVH及びVLを含む、実施形態32の方法。
34.抗体がMED5117である、実施形態33の方法。
35.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、エルシリモマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体の6つの可変領域CDRすべてを含む、実施形態18~31のいずれか1つの方法。
36.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体由来の重鎖V領域及び軽鎖V領域を含む、実施形態35の方法。
37.抗IL-6抗体又は抗原結合断片若しくは誘導体が、シルツキシマブ、ゲリリムズマブ、シルクマブ、クラザキズマブ、オロキズマブ、VX30(VOP-R003、Vaccinex)、EB-007(EBI-029、Eleven Bio)、ARGX-109(ArGEN-X)、FM101(Femta Pharmaceuticals、Lonza)及びALD518/BMS-945429(Alder Biopharmaceuticals、Bristol-Myers Squibb)からなる群から選択される抗体である、実施形態36の方法。
38.IL-6アンタゴニストが、単一ドメイン抗体、VHHナノボディ、Fab、又はscFvである、実施形態18~26のいずれか1つの方法。
39.IL-6アンタゴニストが、抗IL-6R抗体又はその抗原結合断片若しくは誘導体である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
40.抗IL-6R抗体、抗原結合断片又は誘導体が、トシリズマブの6つのCDRを含む、実施形態39の方法。
41.抗IL-6R抗体、抗原結合断片又は誘導体が、ボバリリズマブの6つのCDRを含む、実施形態39の方法。
42.IL-6アンタゴニストがJAK阻害剤である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
43.JAK阻害剤が、トファシチニブ(Xeljanz)、デセルノチニブ、ルキソリチニブ、ウパダシチニブ、バリシチニブ、フィルゴチニブ、レスタウルチニブ、パクリチニブ、ペフィシチニブ、INCB-039110、ABT-494、INCB-047986及びAC-410からなる群から選択される、実施形態42の方法。
44.IL-6アンタゴニストがSTAT3阻害剤である、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
45.IL-6アンタゴニストが非経口投与される、実施形態18~41のいずれか1つの方法。
46.IL-6アンタゴニストが皮下投与される、実施形態45の方法。
47.IL-6アンタゴニストが経口投与される、実施形態42又は43のいずれか1つの方法。
48.IL-6アンタゴニストが、利尿効率を増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、実施形態1~47のいずれか1つの方法。
49.IL-6アンタゴニストが、利尿効率を正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、実施形態48の方法。
50.IL-6アンタゴニストが、eGFRを増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、実施形態1~49のいずれか1つの方法。
51.IL-6アンタゴニストが、eGFRを正常レベルに増加させるのに十分な用量、スケジュール、及び期間で投与される、実施形態50の方法。
52.尿中のIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む、実施形態1~51のいずれか1つの方法。
53.血漿中のIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む、実施形態1~51のいずれか1つの方法。
54.尿及び血漿中のIL-6のレベルを決定する後続のステップをさらに含む、実施形態1~51のいずれか1つの方法。
55.直前のステップで決定されたIL-6レベルに基づいて、その後の投与のためにIL-6アンタゴニストの用量を調整する最終ステップをさらに含む、実施形態52~54のいずれか1つの方法。
56.対象が心腎症候群の治療を必要とするかどうかを決定する方法であって、
(a)対象由来の尿又は血漿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、
(b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、対象は心腎症候群を有し、治療が推奨される、方法。
57.対象が糸球体濾過障害の治療を必要とするかどうかを決定する方法であって、
(a)対象由来の尿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、
(b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、対象は糸球体濾過障害を有し、治療が推奨される、方法。
58.対象が低利尿効率の治療を必要とするかどうかを決定する方法であって、
(a)対象由来の尿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、
(b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、対象は低利尿効率を有し、治療が推奨される、方法。
59.対象が高尿アンジオテンシンの治療を必要とするかどうかを決定する方法であって、 (a)対象由来の尿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、
(b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、対象は高尿アンジオテンシンを有し、治療が推奨される、方法。
60.対象が高血漿レニンの治療を必要とするかどうかを決定する方法であって、
(a)患者由来の血漿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、
(b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、対象は高血漿レニンを有し、治療が推奨される、方法。
61.対象が心腎症候群による死亡のリスクがあり、治療を必要とするかどうかを決定する方法であって、
(a)患者由来の血漿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、
(b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、対象は心腎症候群による死亡のリスクがあり、治療が推奨される、方法。
62.患者が心不全患者である、実施形態56~61のいずれか1つの方法。
63.IL-6のレベルが酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して測定される、実施形態56~62のいずれかの方法。
64.患者において心腎症候群を治療する方法であって、
(a)患者由来の尿サンプル又は血漿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、 (b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルより大きいか否かを決定するステップ
を含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、心腎症候群の治療が行われる、方法。
65.患者が心不全患者である、実施形態64の方法。
66.IL-6のレベルが酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して測定される、実施形態64又は実施形態65の方法。
67.心腎症候群に対して行われる治療が、少なくとも1つの利尿薬、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断薬、ナトリウム利尿ペプチド、アデノシンアンタゴニスト、IL-6アンタゴニスト、又はその任意の組み合わせのうちの1つ以上を投与するステップを含む、実施形態64~66のいずれか1つの方法。
68.心腎症候群の治療が、少なくとも1つの抗IL-6抗体又は抗IL-6R抗体を投与するステップを含む、実施形態67の方法。
69.IL-6のレベルを測定するためのアッセイ用の試薬及び書面による指示書を含むキットであって、書面による指示書が、
(a)対象由来の尿又は血漿サンプル中のIL-6のレベルを測定するステップ、
(b)IL-6の測定レベルを所定の参照レベルと比較するステップ、
(c)IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きいか否かを決定するステップを含み、IL-6の測定レベルが対応する参照レベルよりも大きい場合、対象は心腎症候群を有し、治療が推奨される、キット。
70.指示書が、キットを心不全患者に使用するように指令する、実施形態69のキット。
71.キットが、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用してIL-6のレベルを測定するための試薬を含む、実施形態69又は70のキット。
【0222】
8.8.実験例
本発明は、以下の実験例を参照することにより詳細にさらに説明される。これらの実施例は、例示のみを目的として提供され、特に指定がない限り、限定することを意図するものではない。したがって、本発明は、決して以下の実施例に限定されるものとして解釈されるべきではなく、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるありとあらゆる変形を包含すると解釈されるべきである。
【0223】
さらなる説明がないとしても、当業者は、前述の説明及び以下の例示的な実施例を使用して、本発明の特許請求の範囲に記載された方法を実施できると考えられる。したがって、以下の実施例は、本発明の好ましい実施形態を具体的に指摘するものであり、本開示の残りを決して限定するものと解釈されるべきではない。
【0224】
本明細書に開示される実験で使用される材料及び方法をここに説明する。
【0225】
8.8.1.実施例1:心不全患者における尿及び血漿IL-6関連性
方法。エール移行期治療病院(Yale Transitional Care Clinic)(YTCC)で高用量利尿薬療法を受けている継続心不全(「HF」)患者は、プロスペクティブ観察研究に登録された。
【0226】
YTCCは、利尿薬及び体液の状態管理に重点を置いた外来クリニックである。患者は4~8時間の治療を施され、その間に1~3回のループ利尿薬を受ける。投薬プロトコールは、患者の体液の状態によって決定される。経口(PO)トルセミド又は静脈内(IV)ブメタニドの選択は、治療する医師の裁量である。治療期間中、生成されたすべての尿は累積収集容器に保存され、来院終了時に電解質測定のために臨床検査室に送られる。治療期間中に累積尿収集が行われる。追加のスポット尿サンプルは、利尿薬投与前と1時間後の両方で保存される。
【0227】
アッセイ。Randox RxDaytona(商標)自動臨床化学分析装置を使用して、イオン選択電極を用いて尿及び血清電解質を測定した。尿素、クレアチニン、重炭酸塩、及びシスタチンCは、製造業者の指示書(Randox Laboratories(商標)、UK)に従ってRandox試薬を使用して測定した。インターロイキン10及びIL-6の濃度は、MesoScale Discovery(MSD)プラットフォーム(Meso Scale diagnostics(商標)、ゲイザースバーグ、MD、USA)を使用して測定した。アミノ末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-プロBNP)のレベルは、Roche Elecsys 120分析装置(Roche Diagnostics、Indianapolis、USA)でエール臨床研究所で測定した。血漿レニン活性(PRA)、アンジオテンシノーゲン及び活性レニンは、製造業者の指示書(ALPCO(商標)、Salem、NH、USA)に従ってALPCO(商標)から市販の競合ELISAキットを使用して測定した。総レニンはまた、市販のELISAキット(R&D Systems(商標)、ミネアポリス、USA)を使用して分析した。R&D Systems(商標)の総レニンイムノアッセイキットは、活性レニンとプロレニンの両方を認識する。アッセイの平均検出限界は、総レニンで4.43pg/ml、活性レニンで0.81pg/mlである。液体クロマトグラフィー質量分析法を使用して、尿中のブメタニド及びトルセミドのレベルを測定した。Agilent Infinity 1290 UPLCシステム(商標)で超高速液体クロマトグラフィーを行った。クロマトグラフィー分離は、0.6ml/分の流速でZorbax Bonus RP(商標)2.1×50mm 1.8μカラムで達成した。移動相には、0.1%ギ酸(バッファーA)及び0.1%ギ酸中の80%アセトニトリル(バッファーB)を含んだ。質量分析は、Agilent Q-TOFシステム(商標)(Agilent(商標)、サンタクララ、CA、USA)で陽イオンモードで行った。
【0228】
計算及び定義。eGFRは、慢性腎疾患疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)(CKD-EPI)式を使用して計算された。ループ利尿薬の用量は、フロセミド等価物に変換され、1mgブメタニド=20mgトルセミド=40mg静脈内フロセミド=80mg経口フロセミドであった。以前に公開されたように、利尿効率は、40mgのフロセミド等価物を中心に、ループ利尿薬用量を2倍にするごとに、治療期間中の尿ナトリウム排泄量の増加として定義された。このスケールは、これらの薬物のS字型用量-応答曲線を説明するために選ばれた。尿への利尿薬の排泄は、尿中の利尿薬の濃度に利尿薬投与後の最初の3時間に生成された尿の体積を掛けることによって計算された。次に、推定される利尿薬のこの量は、患者が受けた特定の利尿薬(ブメタニド又はトルセミド)の公開された尿クリアランスを考慮して、フロセミド当量の投与された利尿薬用量に対して正規化された。ナトリウム及びカリウムの排泄分画は、次の式を用いて計算された:Xの排泄分画(FEX)=[X]尿×[クレアチニン]血清/([X]血清又は血漿×[クレアチニン]尿)。レニン、アンジオテンシノーゲン及びIL-6などの尿タンパク質は、尿クレアチニンに対してインデックス化した。低い尿IL-6は、尿クレアチニンの中央値14.2pg/g未満の値として定義された。低い血漿IL-6は、中央値2.0pg/mL未満の値として定義された。高レベルの尿及び血漿レニン及びアンジオテンシノーゲンは、これらの変数のコホート中央値より大きいか又はそれに等しい値として定義された。
【0229】
統計分析。報告される値は、平均+/-SD、中央値(四分位1-四分位3)及びパーセンテージである。連続変数間の相関は、調整された相関を除き、スピアマンのローである。ピアソンのカイ二乗検定を使用して、群間でカテゴリー変数を比較した。群間で連続変数を比較するために、スチューデントのt検定又はウィルコクソンの順位和検定を使用した。血漿IL-6、尿IL-6及びNT-プロ-BNPを含む歪んだ変数に対数変換を適用し、その後、多変数モデル及び偏相関分析に入力した。ロジスティック回帰を使用して、単変量レベルで、且つ血漿若しくは尿のIL-6及び/又はeGFRを調整して、低利尿効率のオッズ、eGFR<60mL/分/1.73m2、又は高レベルの尿若しくは血漿神経ホルモンパラメーターとIL-6の血漿及び尿レベルの関連性を評価した。コックス比例ハザードモデリングを使用して、イベント発生までの時間の、全原因による死亡率との関連性を評価した。統計分析は、IBM SPSS Statisticsバージョン23(IBM Corp.、Armonk、NY)及びStataバージョン13(StataCorp(商標)、College Station、TX)で行った。統計的有意性は、すべての分析で両側p<0.05として定義された。
【0230】
本発明者らが用いた集団のベースライン特性を以下の表2に記載する。このサブセットでは、98人の患者が、血液及び尿中のIL-6レベルの決定を受けた。尿IL-6の利尿前レベルの中央値(IQR)は、14.2pg/gクレアチニン(5.6~36.2pg/g)であったが、血漿IL-6レベルの中央値は2.0pg/mL(1.2~3.9pg/mL)であった。血漿及び尿のIL-6レベルは、ほんのわずかに相関していた(r=0.40、p<0.001)。特に、尿IL-6レベルの中央値よりも低い人は、若く、白色人種であり、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)又はアンジオテンシン変換酵素(ACE-I)療法が多く、駆出率が減少した心不全(HFrEF)になりやすく、より高いGFR及びNT-プロBNPレベルが実質的に低い血漿レベルである傾向にあった。血漿IL-6の中央値より低いことによって定義される患者のプロファイルは幾分異なっていたが、主に同じ傾向を反映していた。
【0231】
【0232】
【0233】
8.8.1.1.腎機能及びIL-6
表2に示されるように、eGFRは尿又は血漿IL-6が高い患者では低かったが、この関連性はeGFRと尿IL-6の間でのみ有意であった(p=0.01)。血漿IL-6とeGFR間の相関(r=-0.26、p=0.01)、並びに尿IL-6とeGFR間の相関(r=-0.38、p<0.001)が観察された。しかしながら、尿IL-6を調整すると、もはや血漿IL-6とeGFRの間に有意な関連性はなくなり(p=0.20)、一方、血漿IL-6の調整後、尿IL-6とeGFRの間に有意な関連性が残存した(部分的r=-0.32、p=0.002)。同様に、eGFR<60mL/分/1.73m2によって定義されるeGFRが減少するリスクは、尿IL-6のレベルが高いほど増加し(SD増加あたりOR=1.9、95%CI=1.2、3.1、p=0.006)、血漿IL-6のレベルが高いほど増加しなかった(SD増加あたりOR=1.3、95%CI=0.8~2.0、p=0.25)。
【0234】
8.8.1.2.利尿反応及びIL-6
利尿効率と、尿IL-6(r=-0.43、p<0.001)及び血漿IL-6(r=-0.31、p=0.002、
図3)の両方との間に逆相関があった。低利尿効率のオッズは、尿IL-6(SD増加あたりOR=2.3、95%CI 1.4~3.8、p=0.001)又は血漿IL-6(SD増加あたりOR=1.7、95%CI=1.1~2.7、p=0.02)のいずれかのレベルが高いほど効率的に増加した。eGFRを調整すると、尿IL-6のみが、低利尿効率のリスクと有意に関連した状態であった(SD増加あたり調整OR=1.8、95%CI 1.1~3.1、p=0.02、
図3)。さらに、尿IL-6及び血漿IL-6の両方がロジスティック回帰モデルに入力された場合、尿IL-6のみが低利尿効率のリスクと関連した状態であり(SD増加あたり調整OR=2.1、95%CI 1.3~3.5、p=0.004)、一方、血漿IL-6はこのような関連性を示さなかった(OR=1.4、95%CI 0.9~2.2、p=0.17)。
【0235】
8.8.1.3.神経ホルモン活性化
血漿IL-6は、より高いレベルの血漿レニンと関連した(表3及び
図3)。特に、より高いレベルの血漿IL-6は、高血漿総レニンの追加のリスクを付与し(SD増加あたりOR=1.9、95%CI 1.2~3.0、p=0.008)、これは、ACE-I又はARBの使用及び尿IL-6レベルを調整しても持続した(SD増加あたり調整OR=2.3、95%CI 1.3~3.9、p=0.003)。尿IL-6は、高血漿レニンのリスク増加と関連しなかった(OR=1.0、95%CI 0.7~1.5、p=0.98)。
【0236】
尿アンジオテンシノーゲン(SD増加あたりOR=4.2、95%CI 2.2~7.9、p<0.001)及び尿レニン(SD増加あたりOR=2.1、95%CI 1.3~3.4、p=0.002、
図3)により測定した場合、尿IL-6は、高レベルの組織レベルRAAS活性化と強く関連した。これらの関連性は、血漿IL-6レベル及びACE-I又はARB使用の調整後も持続した(SD増加あたり高尿アンジオテンシノーゲンの調整OR=4.2、95%CI 2.2~8.3、p<0.001;SD増加あたり高尿レニンの調整OR=2.0、95%CI 1.2~3.3、p=0.005)。血漿IL-6は、高尿レニンのリスクと単変量関連性を示さなかった(SD増加あたりOR=1.3、95%CI 0.9~2.0、p=0.16)。尿アンジオテンシノーゲンとの関連性の傾向(SD増加あたりOR=1.5、95%CI 0.98~2.3、p=0.06)が観察されたが、尿IL-6の調整(調整OR=1.1、95%CI 0.7~1.7、p=0.76)で除去された。
【0237】
8.8.1.4.生存との関連性
中央値の追跡期間713日にわたって、32人の死亡が生じた。以前の報告と一致して、血漿IL-6の増加は、死亡率の高いリスクと関連した(SD増加あたり単変量HR=2.8、95%CI 2.0~4.0、p<0.001)。血漿IL-6は、年齢、人種、ベースラインNT-プロBNPレベル、ACE-I又はARBの使用、ホームループ利尿薬用量及びeGFRなどのベースライン特性の多変数調整後の死亡率と関連した状態であった(SD増加あたりHR=2.3、95%を調整CI=1.5~3.7、p<0.001)。対照的に、尿IL-6は死亡率のリスクと関連しなかった(SD増加あたり単変量HR=1.3、95%CI 0.9~1.8、p=0.15;調整HR=1.02、95%CI=0.6~1.6、p=0.93)。
【0238】
8.8.1.5.概要
血漿及び尿のIL-6レベルは、心腎疾患の病態生理学におけるIL-6の役割の特徴的な側面を捉えている。血漿IL-6レベルは、疾患重症度、例えば、死亡率のリスクの全体的な尺度と関連している。対照的に、尿IL-6は、おそらく腎炎症の尺度であり、利尿薬耐性、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン及びシステム(RAAS)活性化、及び推定糸球体濾過率(eGFR)の低下などのこれらの心不全患者における心腎症候群(「CRS」)の複数の尺度と強く相関している。
【0239】
これらのデータは、尿IL-6レベルが腎炎症の有用なバイオマーカーであり、心不全患者において腎症状を評価するのに特に有用であることを実証している。さらに、連続した尿IL-6レベルは、心不全における治療的介入の腎臓の利益をモニター及び評価するのに有用であることが証明されるに違いない。
【0240】
8.8.2.実施例2:TMPRSS6遺伝子型は、腎症状がIL-6アンタゴニストに反応すると予測される心不全患者を層別化する
実施例1で得られたデータはまた、IL-6アンタゴニストによる治療が心不全患者において腎炎症を軽減させるのに有効であるに違いないと予測する。
【0241】
しかしながら、感染症は心不全患者において急性代償不全の増悪原因となることが多いため、抗サイトカイン及び他の免疫抑制療法を、腎機能及び/又は心機能の改善に反応する可能性が高い心不全患者に限定することが重要である。慢性IL-6アンタゴニスト療法のコストはまた、腎機能及び/又は心機能の改善に反応する可能性が高い心不全患者に治療を限定することに働く。
【0242】
実施例1で実施された分析を129人の患者に拡大した。
図1Aは、尿IL-6の三分位による利尿効率(「DE」)を示す棒グラフであり、98人の患者のサブセットにおいて観察される尿IL-6と利尿効率との逆相関を確認する。
図1Bは、これらの129人の患者における血漿IL-6の三分位による利尿効率(「DE」)を示す棒グラフであり、血漿IL-6と利尿効率(尿IL-6レベルにより補正されない)との逆相関を確認する。
【0243】
膜貫通プロテアーゼセリン6(「TMPRSS6」)のrs855791一塩基多型(「SNP」)における各患者の遺伝子型をさらに評価した。マトリプターゼ-2(MT2)としても公知であるTMPRSS6ポリペプチドは、ヘモジュベリンを切断し、骨形成タンパク質のシグナル伝達を阻害する。rs855791(G2321A)SNPは、TMPRSS6タンパク質配列を変更する:ヒト集団で最も頻度の高い対立遺伝子(メジャー対立遺伝子)は736Aをコードする2321Gである。ヒト集団で最も頻度の低い対立遺伝子(マイナー対立遺伝子)は736Vをコードする2321Aである。
【0244】
HSM Instrument(Promega、Madison、USA)でReliaPrep大容量HT gDNA単離システムを使用して、ゲノムDNAをバフィーコートから単離した。単離されたDNAの純度は、Nanodropによって評価した。遺伝子型決定は、ゲノム分析のためにエール大学で実施した。全ゲノム遺伝子型決定は、製造元(Illumina, Inc.、San Diego、CA)が推奨する標準プロトコールを使用して、IlluminaのInfinium(登録商標)Exome-24 v1.0 BeadChipキットを使用して行った。増幅、断片化、沈殿、再懸濁及びハイブリダイゼーションステップは手動で行った。Illumina Hiscan装置でアレイをスキャンした。Illumina HiScan又はiScanシステムは、レーザーを使用してビーズ上の単一塩基伸長産物の発蛍光団を励起し、BeadChipをスキャンする。スキャナーは、発蛍光団から放出された光の高解像度画像を記録する。Illumina Infiniumアッセイシステムに含まれるIllumina GenomeStudio遺伝子型決定モジュールは、Illumina HiScanシステムから収集された強度データファイル(*.idatファイル)から遺伝子型決定データを抽出するために使用された。Infinium Exome-24 v1.0 BeadChipは、12,000人を超える個々のヒトエクソーム及び全ゲノム配列から選択された240,000個を超える推定機能的エクソン変異体を含む。240,000個を超えるマーカーは、欧州、アフリカ、中国、及びスペインの個体を含む多様な集団、並びにある範囲の共通の状態、例えば、2型糖尿病、がん、代謝障害、及び精神障害を表す。詳細なIllumina遺伝子型決定プロトコールは、http://support.illumina.com(infinium_hts_assay_protocol_user_guide_15045738_a.pdf)で入手可能である。このエクソームチップのSNPの詳細は、http://support.illumina.com/downloads/infinium-exome-24-v1-0-product-files.htmlで入手可能である。
【0245】
図2Aに示されるように、IL-6の尿レベルは、TMPRSS6 rs855791 SNPのメジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみ利尿効率と逆相関した(
図2A、右パネル、「AG+GG」)。IL-6の尿レベルは、マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿効率と有意に相関しない(
図2A、左パネル、「AA」)。
【0246】
図2Bに示されるように、IL-6の血漿レベルは、TMPRSS6 rs855791 SNPのメジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する患者においてのみ利尿効率と逆相関した(
図2B、右パネル、「AG+GG」)。IL-6の血漿レベルは、マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者において利尿効率と有意に相関しない(
図2B、左パネル、「AA」)。
【0247】
これらのデータは、IL-6アンタゴニストによる心不全の治療が、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子の少なくとも1つのコピーを有する心不全患者においてのみ腎症状を改善することを示す。
【0248】
8.8.3.実施例3:ルキソリチニブの非存在下又は存在下でのIL-6とNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現との相関
方法
マウスM1 CCD細胞株(American Type Culture Collection (ATCC)、カタログ番号CRL-2038)を、等量のDMEM(Sigma-Aldrich、カタログ番号D6046)及びHan F12(Sigma-Aldrich、カタログ番号11765-047)を含有し、5%ウシ胎児血清(FBS)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号15140-122)、1%インスリン-トランスフェリン-セレン(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号51500-056)及び100nMデキサメタゾン(Sigma-Aldrich、カタログ番号D4902-100MG)を補充した細胞培養培地中で維持した。
【0249】
M1 CCD細胞を細胞培養培地の6ウェルプレートに100万個/ウェルで播種し、0日目に37℃、5%CO2インキュベーターで一晩インキュベートした。1日目に細胞培養培地をDMEM/F12無血清培地に変更し、細胞を37℃、5%CO2インキュベーターで一晩インキュベートした。2日目に、無血清培地を除去し、細胞培養培地を各ウェルに添加した。最終濃度10ng/mL、100ng/mL、又は500ng/mLのIL-6(Sigma-Aldrich、カタログ番号SRP3096-20UG)を添加する10分前に、ルキソリチニブ(Selleckchem、カタログ番号S1378)を最終濃度1μM又は100μMで添加した。ルキソリチニブ又はIL-6を含まない対照ウェルを含めた。細胞をIL-6及び/又はルキソリチニブで24時間処理した。各ウェルの細胞を1×PBSで1回洗浄し、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル(100×、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号78430)を補充した250μLの1×PIPAバッファー(10×、Millipore、カタログ番号20-188)に収集した。サンプルを、抗NKCC2抗体(Millipore、カタログ番号AB3562P)、抗ENaC-ベータ抗体(Millipore、カタログ番号AB3532P)、又は抗NCC抗体(Millipore、カタログ番号AB3553)を使用したイムノブロッティングによって分析し、タンパク質の発現を定量した。各実験を3連にして行った。
【0250】
結果
本発明者らは、JAK阻害剤であるルキソリチニブの非存在下又は存在下で、IL-6の処理後のマウスM1 CCD細胞株におけるNKCC2(Na-K-Cl共輸送体(cotransporter)2)、ENaC-ベータ(上皮ナトリウムチャネル、ベータサブユニット)、及びNCC(塩化ナトリウム共輸送体(symporter))タンパク質の発現を調べた。マウスM1 CCD細胞は、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子についてホモ接合性であるヒト細胞と遺伝子型が類似している。
図4A、4B、及び4Cに示されるように、IL-6の処理は、NKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を増加させた。ルキソリチニブは、イオン輸送体タンパク質に対するIL-6の効果を遮断した。
【0251】
これらのイオン輸送体の発現の増加は、IL-6を介した利尿薬耐性の推定メカニズムを提供する。
【0252】
発現の増加がヘプシジンの発現に関連するとは知られていないため、これらのデータは、TMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者においてさえ利尿薬耐性を治療するのにIL-6拮抗作用が有効であり得ることを示唆した。
【0253】
8.8.4.実施例4:スピロノラクトンの非存在下又は存在下でのIL-6とNKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現との相関
方法
マウスM1 CCD細胞株(American Type Culture Collection (ATCC)、カタログ番号CRL-2038)を、等量のDMEM(Sigma-Aldrich、カタログ番号D6046)及びHan F12(Sigma-Aldrich、カタログ番号11765-047)を含有し、5%ウシ胎児血清(FBS)、1%ペニシリン-ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号15140-122)、1%インスリン-トランスフェリン-セレン(Thermo Fisher Scientific、カタログ番号51500-056)及び100nMデキサメタゾン(Sigma-Aldrich、カタログ番号D4902-100MG)を補充した細胞培養培地中に維持した。
【0254】
M1 CCD細胞を細胞培養培地の6ウェルプレートに100万個/ウェルで播種し、0日目に37℃、5%CO2インキュベーターで一晩インキュベートした。1日目に細胞培養培地をDMEM/F12無血清培地に変更し、細胞を37℃、5%CO2インキュベーターで一晩インキュベートした。2日目に、無血清培地を除去し、細胞培養培地を各ウェルに添加した。最終濃度10ng/mL、100ng/mL、又は500ng/mLのIL-6(Sigma-Aldrich、カタログ番号SRP3096-20UG)を添加する10分前に、スピロノラクトン(Selleckchem、カタログ番号S4054)を最終濃度1μM又は100μMで添加した。スピロノラクトン又はIL-6を含まない対照ウェルを含めた。細胞をIL-6及び/又はスピロノラクトンで24時間処理した。各ウェルの細胞を1×PBSで1回洗浄し、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル(100×、Thermo Fisher Scientific、カタログ番号78430)を補充した250μLの1×PIPAバッファー(10×、Millipore、カタログ番号20-188)に収集した。サンプルを、抗NKCC2抗体(Millipore、カタログ番号AB3562P)、抗ENaC-ベータ抗体(Millipore、カタログ番号AB3532P)、又は抗NCC抗体(Millipore、カタログ番号AB3553)を使用したイムノブロッティングによって分析し、タンパク質の発現を定量した。各実験を3連にして行った。
【0255】
結果
本発明者らは、カリウム保持性利尿薬であるスピロノラクトンの非存在下又は存在下で、IL-6の処理後のマウスM1 CCD細胞株におけるNKCC2(Na-K-Cl共輸送体(cotransporter)2)、ENaC-ベータ(上皮ナトリウムチャネル、ベータサブユニット)、及びNCC(塩化ナトリウム共輸送体(symporter))タンパク質の発現を調べた。マウスM1 CCD細胞は、TMPRSS6 rs855791メジャー対立遺伝子についてホモ接合性であるヒト細胞と遺伝子型が類似している。
図5A、5B、及び5Cに示されるように、IL-6の処理は、NKCC2、ENaC-ベータ、及びNCCの発現を増加させた。スピロノラクトンは、イオン輸送体タンパク質に対するIL-6の効果を遮断した。
【0256】
これらのイオン輸送体の発現の増加は、IL-6を介した利尿薬耐性の推定メカニズムを提供する。
【0257】
発現の増加がヘプシジンの発現に関連するとは知られていないため、これらのデータは、TMPRSS6 rs855791マイナー対立遺伝子についてホモ接合性である患者においてさえ利尿薬耐性を治療するのにIL-6拮抗作用が有効であり得ることを示唆した。
【0258】
8.8.5.実施例5:急性心不全(HF)で入院した患者におけるIL-6と利尿反応との関連性
方法。PROTECT試験のデータ(Weatherleyら、2010、J. Card. Fail. 16:25-35、Massieら、2010、N. Engl. J. Med. 363:1419-1428)を、IL-6の三分位により分析した。PROTECT試験は、呼吸困難の軽減、腎機能の悪化のリスク及び臨床転帰に対するアデノシンA1受容体アンタゴニストであるロロフィリンの効果を試験する無作為化プラセボ対照試験であった。試験の主要な選択及び除外基準を以下に示す。
【0259】
【0260】
全体で、ADHFを有する2033人の患者が、PROTECT研究に含まれた。これらの患者のうち、IL-6は、入院時(ベースライン)の1445人の患者、2日目(ベースラインの24時間後)の1462人の患者、及び7日目の1445人の患者においてSingulexによって測定した。利尿反応は、ベースラインから3日目までに投与された40mgのフロセミド(又は同等の用量)あたり4日目の体重変化として定義された。この研究の主要エンドポイントは、180日での全原因による死亡率であった。
【0261】
統計分析。ベースライン特性は、IL-6の三分位に従って提示される。必要に応じて、一元配置分散分析(ANOVA)、Kruskal Wallis又はカイ2-検定を使用して、ベースライン特性の三分位間の差異を試験した。利尿反応を依存変数として使用し、利尿反応に関連する臨床的に関連する変数を補正する独立変数としてベースラインでの(ログ変換した)IL-6を使用して、一変量線形回帰を行った。臨床的に関連する変数及びPROTECTリスクモデルを補正するCox回帰分析を使用して、生存分析を実施した(O'Connorら、2012、Eur. J. Heart Fail. 14:605-612)。PROTECTリスクモデルは、入院時に、HFのための以前の入院、浮腫、収縮期血圧、ナトリウムレベル、BUN、クレアチニン及びアルブミンを含む。
【0262】
結果。母集団のベースライン特性を以下の表4に記載する。ベースラインでのより高いレベルのIL-6は、より高いレベルのBNP、貧血、eGFR<60及びより高い年齢と関連する(
図6)。
【0263】
【0264】
IL-6レベルと利尿反応の関連性を以下の表5に示す。利尿反応は、ベースラインから3日目までに投与された40mgのフロセミド(又は同等の用量)あたりの4日目の体重変化として定義された。
【0265】
【0266】
表6並びに
図7A及び7Bは、IL-6レベルと180日での全原因による死亡率との関連性、及びIL-6レベルと60日での全原因による死亡率及び/又は心血管関連再入院(CV入院)との関連性を示す。
【0267】
【0268】
表7並びに
図8A及び8Bは、ベースラインと比較した7日目のIL-6レベルの増加が有害な転帰を予測することを示す。
【0269】
【0270】
8.8.6.実施例6:悪化する心不全集団におけるIL-6レベルと転帰の関連性
方法。BIOlogy Study to TAilored Treatment in Chronic Heart Failure(BIOSTAT-CHF)研究からのデータを分析して、心不全が悪化した患者においてIL-6と転帰の関連性を調査した。簡潔に述べれば、BIOSTAT-CHFは、欧州11か国における69施設からの2516人の患者を含む多施設、多国籍、プロスペクティブ、観察研究であった(Voorsら、2016、Eur. J. Heart Fail. 18:716-726)。本発明者らは、BIOSTAT-CHF研究で二次分析を実施し、その後の分析からフェリチン<100の患者を除外した。インデックスコホートの選択基準は、18歳を超え、新たに発症又は悪化するHFの症状があり、それぞれLVEF≦40%又はBNP及び/若しくはNT-プロBNP血漿レベル>400pg/ml若しくは>2,000pg/mlのいずれかで確認された患者を含む。さらに、これらの患者は以前にACEi/ARB及び/若しくはベータ遮断薬で治療されていなかったか、又は組み入れ時に、これらの薬物の標的用量の50%以下を受けており、ACEi/ARB及びベータ遮断薬の開始又は漸増を予期していた。すべての患者は、ループ利尿薬で治療する必要があった。
【0271】
【0272】
全体で、IL-6は、BIOSTAT-CHF研究からHFが悪化した2329人の患者において測定した。この研究の主要転帰は、全原因による死亡率及びHFのための入院の複合的な転帰であった。
【0273】
統計分析。ベースライン特性は、IL-6の三分位に従って提示される。必要に応じて、一元配置分散分析(ANOVA)、Kruskal Wallis又はカイ2-検定を使用して、ベースライン特性の三分位間の差異を試験した。生存率分析は、臨床的に関連する変数及びBIOSTAT-CHFリスクモデルについて補正するCox回帰分析を使用して行われた。全原因による死亡率及び/又は心不全のための入院のBIOSTAT-CHFリスクモデルは、年齢、N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-プロBNP)、ヘモグロビン(Hb)、選択時のベータ遮断薬の使用、選択の前年のHF入院、末梢浮腫、収縮期血圧、高密度リポタンパク質コレステロール及びナトリウム(Voorsら、2017、Eur. J. Heart Fail. 19:627-634)を含む。本発明者らは、IL-6とTMPRS6 SNP(rs855791)の位置に応じた転帰との関連性を調査するために、主要転帰についてフェリチンレベルとIL-6の相互作用分析を行った。
【0274】
結果。母集団のベースライン特性を以下の表8に記載する。ベースラインでのより高いレベルのIL-6は、より高いレベルのNTproBNP及び貧血と関連する(
図9)。
【0275】
【0276】
表9並びに
図10A及び10Bに示されるように、ベースラインで測定されたIL-6のレベルは、全原因による死亡率及び/又はHFのための入院の組み合わせた転帰、並びに2年での全原因による死亡率のみと関連していた。
【0277】
【0278】
表10及び
図11に示されるように、IL-6とフェリチン状態に依存する転帰との差次的な関連性はない。
【0279】
【0280】
表11に示されるように、IL-6とTMPRSS6遺伝子型に依存する転帰との差次的な関連性はない。
【0281】
【0282】
9.参照による組み込み
本明細書において引用されたあらゆる特許、特許出願、及び刊行物の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0283】
10.同等物
本発明を特定の実施形態を参照して開示したが、本発明の他の実施形態及び変形が、本発明の真の精神及び範囲から逸脱することなく当業者によって想到され得ることは明らかである。添付される特許請求の範囲は、このようなすべての実施形態及び同等の変形を含むものと解釈されることが意図される。
【0284】
[配列表]
SEQUENCE LISTING
<110> YALE UNIVERSITY
NOVO NORDISK A/S
<120> TREATMENT OF DIURETIC RESISTANCE
<130> PA22-453
<150> US62/453,257
<151> 2017-02-01
<160> 16
<170> PatentIn version 3.5
<210> 1
<211> 824
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 1
Met Pro Val Ala Glu Ala Pro Gln Val Ala Gly Gly Gln Gly Asp Gly
1 5 10 15
Gly Asp Gly Glu Glu Ala Glu Pro Glu Gly Met Phe Lys Ala Cys Glu
20 25 30
Asp Ser Lys Arg Lys Ala Arg Gly Tyr Leu Arg Leu Val Pro Leu Phe
35 40 45
Val Leu Leu Ala Leu Leu Val Leu Ala Ser Ala Gly Val Leu Leu Trp
50 55 60
Tyr Phe Leu Gly Tyr Lys Ala Glu Val Met Val Ser Gln Val Tyr Ser
65 70 75 80
Gly Ser Leu Arg Val Leu Asn Arg His Phe Ser Gln Asp Leu Thr Arg
85 90 95
Arg Glu Ser Ser Ala Phe Arg Ser Glu Thr Ala Lys Ala Gln Lys Met
100 105 110
Leu Lys Glu Leu Ile Thr Ser Thr Arg Leu Gly Thr Tyr Tyr Asn Ser
115 120 125
Ser Ser Val Tyr Ser Phe Gly Glu Gly Pro Leu Thr Cys Phe Phe Trp
130 135 140
Phe Ile Leu Gln Ile Pro Glu His Arg Arg Leu Met Leu Ser Pro Glu
145 150 155 160
Val Val Gln Ala Leu Leu Val Glu Glu Leu Leu Ser Thr Val Asn Ser
165 170 175
Ser Ala Ala Val Pro Tyr Arg Ala Glu Tyr Glu Val Asp Pro Glu Gly
180 185 190
Leu Val Ile Leu Glu Ala Ser Val Lys Asp Ile Ala Ala Leu Asn Ser
195 200 205
Thr Leu Gly Cys Tyr Arg Tyr Ser Tyr Val Gly Gln Gly Gln Val Leu
210 215 220
Arg Leu Lys Gly Pro Asp His Leu Ala Ser Ser Cys Leu Trp His Leu
225 230 235 240
Gln Gly Pro Lys Asp Leu Met Leu Lys Leu Arg Leu Glu Trp Thr Leu
245 250 255
Ala Glu Cys Arg Asp Arg Leu Ala Met Tyr Asp Val Ala Gly Pro Leu
260 265 270
Glu Lys Arg Leu Ile Thr Ser Val Tyr Gly Cys Ser Arg Gln Glu Pro
275 280 285
Val Val Glu Val Leu Ala Ser Gly Ala Ile Met Ala Val Val Trp Lys
290 295 300
Lys Gly Leu His Ser Tyr Tyr Asp Pro Phe Val Leu Ser Val Gln Pro
305 310 315 320
Val Val Phe Gln Ala Cys Glu Val Asn Leu Thr Leu Asp Asn Arg Leu
325 330 335
Asp Ser Gln Gly Val Leu Ser Thr Pro Tyr Phe Pro Ser Tyr Tyr Ser
340 345 350
Pro Gln Thr His Cys Ser Trp His Leu Thr Val Pro Ser Leu Asp Tyr
355 360 365
Gly Leu Ala Leu Trp Phe Asp Ala Tyr Ala Leu Arg Arg Gln Lys Tyr
370 375 380
Asp Leu Pro Cys Thr Gln Gly Gln Trp Thr Ile Gln Asn Arg Arg Leu
385 390 395 400
Cys Gly Leu Arg Ile Leu Gln Pro Tyr Ala Glu Arg Ile Pro Val Val
405 410 415
Ala Thr Ala Gly Ile Thr Ile Asn Phe Thr Ser Gln Ile Ser Leu Thr
420 425 430
Gly Pro Gly Val Arg Val His Tyr Gly Leu Tyr Asn Gln Ser Asp Pro
435 440 445
Cys Pro Gly Glu Phe Leu Cys Ser Val Asn Gly Leu Cys Val Pro Ala
450 455 460
Cys Asp Gly Val Lys Asp Cys Pro Asn Gly Leu Asp Glu Arg Asn Cys
465 470 475 480
Val Cys Arg Ala Thr Phe Gln Cys Lys Glu Asp Ser Thr Cys Ile Ser
485 490 495
Leu Pro Lys Val Cys Asp Gly Gln Pro Asp Cys Leu Asn Gly Ser Asp
500 505 510
Glu Glu Gln Cys Gln Glu Gly Val Pro Cys Gly Thr Phe Thr Phe Gln
515 520 525
Cys Glu Asp Arg Ser Cys Val Lys Lys Pro Asn Pro Gln Cys Asp Gly
530 535 540
Arg Pro Asp Cys Arg Asp Gly Ser Asp Glu Glu His Cys Asp Cys Gly
545 550 555 560
Leu Gln Gly Pro Ser Ser Arg Ile Val Gly Gly Ala Val Ser Ser Glu
565 570 575
Gly Glu Trp Pro Trp Gln Ala Ser Leu Gln Val Arg Gly Arg His Ile
580 585 590
Cys Gly Gly Ala Leu Ile Ala Asp Arg Trp Val Ile Thr Ala Ala His
595 600 605
Cys Phe Gln Glu Asp Ser Met Ala Ser Thr Val Leu Trp Thr Val Phe
610 615 620
Leu Gly Lys Val Trp Gln Asn Ser Arg Trp Pro Gly Glu Val Ser Phe
625 630 635 640
Lys Val Ser Arg Leu Leu Leu His Pro Tyr His Glu Glu Asp Ser His
645 650 655
Asp Tyr Asp Val Ala Leu Leu Gln Leu Asp His Pro Val Val Arg Ser
660 665 670
Ala Ala Val Arg Pro Val Cys Leu Pro Ala Arg Ser His Phe Phe Glu
675 680 685
Pro Gly Leu His Cys Trp Ile Thr Gly Trp Gly Ala Leu Arg Glu Gly
690 695 700
Ala Leu Arg Ala Asp Ala Val Ala Leu Phe Tyr Gly Trp Arg Asn Gln
705 710 715 720
Gly Ser Glu Thr Cys Cys Cys Pro Ile Ser Asn Ala Leu Gln Lys Ala
725 730 735
Asp Val Gln Leu Ile Pro Gln Asp Leu Cys Ser Glu Val Tyr Arg Tyr
740 745 750
Gln Val Thr Pro Arg Met Leu Cys Ala Gly Tyr Arg Lys Gly Lys Lys
755 760 765
Asp Ala Cys Gln Gly Asp Ser Gly Gly Pro Leu Val Cys Lys Ala Leu
770 775 780
Ser Gly Arg Trp Phe Leu Ala Gly Leu Val Ser Trp Gly Leu Gly Cys
785 790 795 800
Gly Arg Pro Asn Tyr Phe Gly Val Tyr Thr Arg Ile Thr Gly Val Ile
805 810 815
Ser Trp Ile Gln Gln Val Val Thr
820
<210> 2
<211> 824
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 2
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1 5 10 15
Gly Asp Gly Glu Glu Ala Glu Pro Glu Gly Met Phe Lys Ala Cys Glu
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50 55 60
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85 90 95
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115 120 125
Ser Ser Val Tyr Ser Phe Gly Glu Gly Pro Leu Thr Cys Phe Phe Trp
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Phe Ile Leu Gln Ile Pro Glu His Arg Arg Leu Met Leu Ser Pro Glu
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195 200 205
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275 280 285
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Lys Gly Leu His Ser Tyr Tyr Asp Pro Phe Val Leu Ser Val Gln Pro
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820
<210> 3
<211> 3196
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 3
ggacaaacag aggctcctga ggcctgtgtg caggcccggc acctatctgc cgctcccaaa 60
ggatgcccgt ggccgaggcc ccccaggtgg ctggcgggca gggggacgga ggtgatggcg 120
aggaagcgga gccggagggg atgttcaagg cctgtgagga ctccaagaga aaagcccggg 180
gctacctccg cctggtgccc ctgtttgtgc tgctggccct gctcgtgctg gcttcggcgg 240
gggtgctact ctggtatttc ctagggtaca aggcggaggt gatggtcagc caggtgtact 300
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tgcagggccc caaggacctc atgctcaaac tccggctgga gtggacgctg gcagagtgcc 840
gggaccgact ggccatgtat gacgtggccg ggcccctgga gaagaggctc atcacctcgg 900
tgtacggctg cagccgccag gagcccgtgg tggaggttct ggcgtcgggg gccatcatgg 960
cggtcgtctg gaagaagggc ctgcacagct actacgaccc cttcgtgctc tccgtgcagc 1020
cggtggtctt ccaggcctgt gaagtgaacc tgacgctgga caacaggctc gactcccagg 1080
gcgtcctcag caccccgtac ttccccagct actactcgcc ccaaacccac tgctcctggc 1140
acctcacggt gccctctctg gactacggct tggccctctg gtttgatgcc tatgcactga 1200
ggaggcagaa gtatgatttg ccgtgcaccc agggccagtg gacgatccag aacaggaggc 1260
tgtgtggctt gcgcatcctg cagccctacg ccgagaggat ccccgtggtg gccacggccg 1320
ggatcaccat caacttcacc tcccagatct ccctcaccgg gcccggtgtg cgggtgcact 1380
atggcttgta caaccagtcg gacccctgcc ctggagagtt cctctgttct gtgaatggac 1440
tctgtgtccc tgcctgtgat ggggtcaagg actgccccaa cggcctggat gagagaaact 1500
gcgtttgcag agccacattc cagtgcaaag aggacagcac atgcatctca ctgcccaagg 1560
tctgtgatgg gcagcctgat tgtctcaacg gcagcgacga agagcagtgc caggaagggg 1620
tgccatgtgg gacattcacc ttccagtgtg aggaccggag ctgcgtgaag aagcccaacc 1680
cgcagtgtga tgggcggccc gactgcaggg acggctcgga tgaggagcac tgtgactgtg 1740
gcctccaggg cccctccagc cgcattgttg gtggagctgt gtcctccgag ggtgagtggc 1800
catggcaggc cagcctccag gttcggggtc gacacatctg tgggggggcc ctcatcgctg 1860
accgctgggt gataacagct gcccactgct tccaggagga cagcatggcc tccacggtgc 1920
tgtggaccgt gttcctgggc aaggtgtggc agaactcgcg ctggcctgga gaggtgtcct 1980
tcaaggtgag ccgcctgctc ctgcacccgt accacgaaga ggacagccat gactacgacg 2040
tggcgctgct gcagctcgac cacccggtgg tgcgctcggc cgccgtgcgc cccgtctgcc 2100
tgcccgcgcg ctcccacttc ttcgagcccg gcctgcactg ctggattacg ggctggggcg 2160
ccttgcgcga gggcgcccta cgggcggatg ctgtggccct attttatgga tggagaaacc 2220
aaggctcaga gacatgttgc tgccccatca gcaacgctct gcagaaagtg gatgtgcagt 2280
tgatcccaca ggacctgtgc agcgaggtct atcgctacca ggtgacgcca cgcatgctgt 2340
gtgccggcta ccgcaagggc aagaaggatg cctgtcaggg tgactcaggt ggtccgctgg 2400
tgtgcaaggc actcagtggc cgctggttcc tggcggggct ggtcagctgg ggcctgggct 2460
gtggccggcc taactacttc ggcgtctaca cccgcatcac aggtgtgatc agctggatcc 2520
agcaagtggt gacctgagga actgcccccc tgcaaagcag ggcccacctc ctggactcag 2580
agagcccagg gcaactgcca agcaggggga caagtattct ggcggggggt gggggagaga 2640
gcaggccctg tggtggcagg aggtggcatc ttgtctcgtc cctgatgtct gctccagtga 2700
tggcaggagg atggagaagt gccagcagct gggggtcaag acgtcccctg aggacccagg 2760
cccacaccca gcccttctgc ctcccaattc tctctcctcc gtccccttcc tccactgctg 2820
cctaatgcaa ggcagtggct cagcagcaag aatgctggtt ctacatcccg aggagtgtct 2880
gaggtgcgcc ccactctgta cagaggctgt ttgggcagcc ttgcctccag agagcagatt 2940
ccagcttcgg aagcccctgg tctaacttgg gatctgggaa tggaaggtgc tcccatcgga 3000
ggggaccctc agagccctgg agactgccag gtgggcctgc tgccactgta agccaaaagg 3060
tggggaagtc ctgactccag ggtccttgcc ccacccctgc ctgccacctg ggccctcaca 3120
gcccagaccc tcactgggag gtgagctcag ctgccctttg gaataaagct gcctgatcca 3180
aaaaaaaaaa aaaaaa 3196
<210> 4
<211> 3196
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 4
ggacaaacag aggctcctga ggcctgtgtg caggcccggc acctatctgc cgctcccaaa 60
ggatgcccgt ggccgaggcc ccccaggtgg ctggcgggca gggggacgga ggtgatggcg 120
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gctacctccg cctggtgccc ctgtttgtgc tgctggccct gctcgtgctg gcttcggcgg 240
gggtgctact ctggtatttc ctagggtaca aggcggaggt gatggtcagc caggtgtact 300
caggcagtct gcgtgtactc aatcgccact tctcccagga tcttacccgc cgggaatcta 360
gtgccttccg cagtgaaacc gccaaagccc agaagatgct caaggagctc atcaccagca 420
cccgcctggg aacttactac aactccagct ccgtctattc ctttggggag ggacccctca 480
cctgcttctt ctggttcatt ctccaaatcc ccgagcaccg ccggctgatg ctgagccccg 540
aggtggtgca ggcactgctg gtggaggagc tgctgtccac agtcaacagc tcggctgccg 600
tcccctacag ggccgagtac gaagtggacc ccgagggcct agtgatcctg gaagccagtg 660
tgaaagacat agctgcattg aattccacgc tgggttgtta ccgctacagc tacgtgggcc 720
agggccaggt cctccggctg aaggggcctg accacctggc ctccagctgc ctgtggcacc 780
tgcagggccc caaggacctc atgctcaaac tccggctgga gtggacgctg gcagagtgcc 840
gggaccgact ggccatgtat gacgtggccg ggcccctgga gaagaggctc atcacctcgg 900
tgtacggctg cagccgccag gagcccgtgg tggaggttct ggcgtcgggg gccatcatgg 960
cggtcgtctg gaagaagggc ctgcacagct actacgaccc cttcgtgctc tccgtgcagc 1020
cggtggtctt ccaggcctgt gaagtgaacc tgacgctgga caacaggctc gactcccagg 1080
gcgtcctcag caccccgtac ttccccagct actactcgcc ccaaacccac tgctcctggc 1140
acctcacggt gccctctctg gactacggct tggccctctg gtttgatgcc tatgcactga 1200
ggaggcagaa gtatgatttg ccgtgcaccc agggccagtg gacgatccag aacaggaggc 1260
tgtgtggctt gcgcatcctg cagccctacg ccgagaggat ccccgtggtg gccacggccg 1320
ggatcaccat caacttcacc tcccagatct ccctcaccgg gcccggtgtg cgggtgcact 1380
atggcttgta caaccagtcg gacccctgcc ctggagagtt cctctgttct gtgaatggac 1440
tctgtgtccc tgcctgtgat ggggtcaagg actgccccaa cggcctggat gagagaaact 1500
gcgtttgcag agccacattc cagtgcaaag aggacagcac atgcatctca ctgcccaagg 1560
tctgtgatgg gcagcctgat tgtctcaacg gcagcgacga agagcagtgc caggaagggg 1620
tgccatgtgg gacattcacc ttccagtgtg aggaccggag ctgcgtgaag aagcccaacc 1680
cgcagtgtga tgggcggccc gactgcaggg acggctcgga tgaggagcac tgtgactgtg 1740
gcctccaggg cccctccagc cgcattgttg gtggagctgt gtcctccgag ggtgagtggc 1800
catggcaggc cagcctccag gttcggggtc gacacatctg tgggggggcc ctcatcgctg 1860
accgctgggt gataacagct gcccactgct tccaggagga cagcatggcc tccacggtgc 1920
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ccttgcgcga gggcgcccta cgggcggatg ctgtggccct attttatgga tggagaaacc 2220
aaggctcaga gacatgttgc tgccccatca gcaacgctct gcagaaagtg gatgtgcagt 2280
tgatcccaca ggacctgtgc agcgaggtct atcgctacca agtgacgcca cgcatgctgt 2340
gtgccggcta ccgcaagggc aagaaggatg cctgtcaggg tgactcaggt ggtccgctgg 2400
tgtgcaaggc actcagtggc cgctggttcc tggcggggct ggtcagctgg ggcctgggct 2460
gtggccggcc taactacttc ggcgtctaca cccgcatcac aggtgtgatc agctggatcc 2520
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tggcaggagg atggagaagt gccagcagct gggggtcaag acgtcccctg aggacccagg 2760
cccacaccca gcccttctgc ctcccaattc tctctcctcc gtccccttcc tccactgctg 2820
cctaatgcaa ggcagtggct cagcagcaag aatgctggtt ctacatcccg aggagtgtct 2880
gaggtgcgcc ccactctgta cagaggctgt ttgggcagcc ttgcctccag agagcagatt 2940
ccagcttcgg aagcccctgg tctaacttgg gatctgggaa tggaaggtgc tcccatcgga 3000
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<210> 5
<211> 274
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 5
Met Cys Val Gly Ala Arg Arg Leu Gly Arg Gly Pro Cys Ala Ala Leu
1 5 10 15
Leu Leu Leu Gly Leu Gly Leu Ser Thr Val Thr Gly Leu His Cys Val
20 25 30
Gly Asp Thr Tyr Pro Ser Asn Asp Arg Cys Cys His Glu Cys Arg Pro
35 40 45
Gly Asn Gly Met Val Ser Arg Cys Ser Arg Ser Gln Asn Thr Val Cys
50 55 60
Arg Pro Cys Gly Pro Gly Phe Tyr Asn Asp Val Val Ser Ser Lys Pro
65 70 75 80
Cys Lys Pro Cys Thr Trp Cys Asn Leu Arg Ser Gly Ser Glu Arg Lys
85 90 95
Gln Leu Cys Thr Ala Thr Gln Asp Thr Val Cys Arg Cys Arg Ala Gly
100 105 110
Thr Gln Pro Leu Asp Ser Tyr Lys Pro Gly Val Asp Cys Ala Pro Cys
115 120 125
Pro Pro Gly His Phe Ser Pro Gly Asp Asn Gln Ala Cys Lys Pro Trp
130 135 140
Thr Asn Cys Thr Leu Ala Gly Lys His Thr Leu Gln Pro Ala Ser Asn
145 150 155 160
Ser Ser Asp Ala Ile Cys Glu Asp Arg Asp Pro Pro Ala Thr Gln Pro
165 170 175
Gln Glu Thr Gln Gly Pro Pro Ala Arg Pro Ile Thr Val Gln Pro Thr
180 185 190
Glu Ala Trp Pro Arg Thr Ser Gln Gly Pro Ser Thr Arg Pro Val Glu
195 200 205
Val Pro Gly Gly Arg Ala Val Ala Ala Ile Leu Gly Leu Gly Leu Val
210 215 220
Leu Gly Leu Leu Gly Pro Leu Ala Ile Leu Leu Ala Leu Tyr Leu Leu
225 230 235 240
Arg Arg Asp Gln Arg Leu Pro Pro Asp Ala His Lys Pro Pro Ser Phe
245 250 255
Arg Thr Pro Ile Gln Glu Glu Gln Ala Asp Ala His Ser Thr Leu Ala
260 265 270
Lys Ile
<210> 6
<211> 1201
<212> DNA
<213> Homo sapiens
<400> 6
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ctctatggag aactaaaagt atgagcgtta ggacactatt ttaattattt ttaatttatt 900
aatatttaaa tatgtgaagc tgagttaatt tatgtaagtc atatttatat ttttaagaag 960
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aaatggctaa cttatacata tttttaaaga aatatttata ttgtatttat ataatgtata 1140
aatggttttt ataccaataa atggcatttt aaaaaattca gcaaaaaaaa aaaaaaaaaa 1200
a 1201
<210> 7
<211> 468
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 7
Met Leu Ala Val Gly Cys Ala Leu Leu Ala Ala Leu Leu Ala Ala Pro
1 5 10 15
Gly Ala Ala Leu Ala Pro Arg Arg Cys Pro Ala Gln Glu Val Ala Arg
20 25 30
Gly Val Leu Thr Ser Leu Pro Gly Asp Ser Val Thr Leu Thr Cys Pro
35 40 45
Gly Val Glu Pro Glu Asp Asn Ala Thr Val His Trp Val Leu Arg Lys
50 55 60
Pro Ala Ala Gly Ser His Pro Ser Arg Trp Ala Gly Met Gly Arg Arg
65 70 75 80
Leu Leu Leu Arg Ser Val Gln Leu His Asp Ser Gly Asn Tyr Ser Cys
85 90 95
Tyr Arg Ala Gly Arg Pro Ala Gly Thr Val His Leu Leu Val Asp Val
100 105 110
Pro Pro Glu Glu Pro Gln Leu Ser Cys Phe Arg Lys Ser Pro Leu Ser
115 120 125
Asn Val Val Cys Glu Trp Gly Pro Arg Ser Thr Pro Ser Leu Thr Thr
130 135 140
Lys Ala Val Leu Leu Val Arg Lys Phe Gln Asn Ser Pro Ala Glu Asp
145 150 155 160
Phe Gln Glu Pro Cys Gln Tyr Ser Gln Glu Ser Gln Lys Phe Ser Cys
165 170 175
Gln Leu Ala Val Pro Glu Gly Asp Ser Ser Phe Tyr Ile Val Ser Met
180 185 190
Cys Val Ala Ser Ser Val Gly Ser Lys Phe Ser Lys Thr Gln Thr Phe
195 200 205
Gln Gly Cys Gly Ile Leu Gln Pro Asp Pro Pro Ala Asn Ile Thr Val
210 215 220
Thr Ala Val Ala Arg Asn Pro Arg Trp Leu Ser Val Thr Trp Gln Asp
225 230 235 240
Pro His Ser Trp Asn Ser Ser Phe Tyr Arg Leu Arg Phe Glu Leu Arg
245 250 255
Tyr Arg Ala Glu Arg Ser Lys Thr Phe Thr Thr Trp Met Val Lys Asp
260 265 270
Leu Gln His His Cys Val Ile His Asp Ala Trp Ser Gly Leu Arg His
275 280 285
Val Val Gln Leu Arg Ala Gln Glu Glu Phe Gly Gln Gly Glu Trp Ser
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Glu Trp Ser Pro Glu Ala Met Gly Thr Pro Trp Thr Glu Ser Arg Ser
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Pro Pro Ala Glu Asn Glu Val Ser Thr Pro Met Gln Ala Leu Thr Thr
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Asn Lys Asp Asp Asp Asn Ile Leu Phe Arg Asp Ser Ala Asn Ala Thr
340 345 350
Ser Leu Pro Val Gln Asp Ser Ser Ser Val Pro Leu Pro Thr Phe Leu
355 360 365
Val Ala Gly Gly Ser Leu Ala Phe Gly Thr Leu Leu Cys Ile Ala Ile
370 375 380
Val Leu Arg Phe Lys Lys Thr Trp Lys Leu Arg Ala Leu Lys Glu Gly
385 390 395 400
Lys Thr Ser Met His Pro Pro Tyr Ser Leu Gly Gln Leu Val Pro Glu
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420 425 430
Ser Pro Ser Ser Leu Gly Ser Asp Asn Thr Ser Ser His Asn Arg Pro
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Asp Ala Arg Asp Pro Arg Ser Pro Tyr Asp Ile Ser Asn Thr Asp Tyr
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465
<210> 8
<211> 918
<212> PRT
<213> Homo sapiens
<400> 8
Met Leu Thr Leu Gln Thr Trp Leu Val Gln Ala Leu Phe Ile Phe Leu
1 5 10 15
Thr Thr Glu Ser Thr Gly Glu Leu Leu Asp Pro Cys Gly Tyr Ile Ser
20 25 30
Pro Glu Ser Pro Val Val Gln Leu His Ser Asn Phe Thr Ala Val Cys
35 40 45
Val Leu Lys Glu Lys Cys Met Asp Tyr Phe His Val Asn Ala Asn Tyr
50 55 60
Ile Val Trp Lys Thr Asn His Phe Thr Ile Pro Lys Glu Gln Tyr Thr
65 70 75 80
Ile Ile Asn Arg Thr Ala Ser Ser Val Thr Phe Thr Asp Ile Ala Ser
85 90 95
Leu Asn Ile Gln Leu Thr Cys Asn Ile Leu Thr Phe Gly Gln Leu Glu
100 105 110
Gln Asn Val Tyr Gly Ile Thr Ile Ile Ser Gly Leu Pro Pro Glu Lys
115 120 125
Pro Lys Asn Leu Ser Cys Ile Val Asn Glu Gly Lys Lys Met Arg Cys
130 135 140
Glu Trp Asp Gly Gly Arg Glu Thr His Leu Glu Thr Asn Phe Thr Leu
145 150 155 160
Lys Ser Glu Trp Ala Thr His Lys Phe Ala Asp Cys Lys Ala Lys Arg
165 170 175
Asp Thr Pro Thr Ser Cys Thr Val Asp Tyr Ser Thr Val Tyr Phe Val
180 185 190
Asn Ile Glu Val Trp Val Glu Ala Glu Asn Ala Leu Gly Lys Val Thr
195 200 205
Ser Asp His Ile Asn Phe Asp Pro Val Tyr Lys Val Lys Pro Asn Pro
210 215 220
Pro His Asn Leu Ser Val Ile Asn Ser Glu Glu Leu Ser Ser Ile Leu
225 230 235 240
Lys Leu Thr Trp Thr Asn Pro Ser Ile Lys Ser Val Ile Ile Leu Lys
245 250 255
Tyr Asn Ile Gln Tyr Arg Thr Lys Asp Ala Ser Thr Trp Ser Gln Ile
260 265 270
Pro Pro Glu Asp Thr Ala Ser Thr Arg Ser Ser Phe Thr Val Gln Asp
275 280 285
Leu Lys Pro Phe Thr Glu Tyr Val Phe Arg Ile Arg Cys Met Lys Glu
290 295 300
Asp Gly Lys Gly Tyr Trp Ser Asp Trp Ser Glu Glu Ala Ser Gly Ile
305 310 315 320
Thr Tyr Glu Asp Arg Pro Ser Lys Ala Pro Ser Phe Trp Tyr Lys Ile
325 330 335
Asp Pro Ser His Thr Gln Gly Tyr Arg Thr Val Gln Leu Val Trp Lys
340 345 350
Thr Leu Pro Pro Phe Glu Ala Asn Gly Lys Ile Leu Asp Tyr Glu Val
355 360 365
Thr Leu Thr Arg Trp Lys Ser His Leu Gln Asn Tyr Thr Val Asn Ala
370 375 380
Thr Lys Leu Thr Val Asn Leu Thr Asn Asp Arg Tyr Leu Ala Thr Leu
385 390 395 400
Thr Val Arg Asn Leu Val Gly Lys Ser Asp Ala Ala Val Leu Thr Ile
405 410 415
Pro Ala Cys Asp Phe Gln Ala Thr His Pro Val Met Asp Leu Lys Ala
420 425 430
Phe Pro Lys Asp Asn Met Leu Trp Val Glu Trp Thr Thr Pro Arg Glu
435 440 445
Ser Val Lys Lys Tyr Ile Leu Glu Trp Cys Val Leu Ser Asp Lys Ala
450 455 460
Pro Cys Ile Thr Asp Trp Gln Gln Glu Asp Gly Thr Val His Arg Thr
465 470 475 480
Tyr Leu Arg Gly Asn Leu Ala Glu Ser Lys Cys Tyr Leu Ile Thr Val
485 490 495
Thr Pro Val Tyr Ala Asp Gly Pro Gly Ser Pro Glu Ser Ile Lys Ala
500 505 510
Tyr Leu Lys Gln Ala Pro Pro Ser Lys Gly Pro Thr Val Arg Thr Lys
515 520 525
Lys Val Gly Lys Asn Glu Ala Val Leu Glu Trp Asp Gln Leu Pro Val
530 535 540
Asp Val Gln Asn Gly Phe Ile Arg Asn Tyr Thr Ile Phe Tyr Arg Thr
545 550 555 560
Ile Ile Gly Asn Glu Thr Ala Val Asn Val Asp Ser Ser His Thr Glu
565 570 575
Tyr Thr Leu Ser Ser Leu Thr Ser Asp Thr Leu Tyr Met Val Arg Met
580 585 590
Ala Ala Tyr Thr Asp Glu Gly Gly Lys Asp Gly Pro Glu Phe Thr Phe
595 600 605
Thr Thr Pro Lys Phe Ala Gln Gly Glu Ile Glu Ala Ile Val Val Pro
610 615 620
Val Cys Leu Ala Phe Leu Leu Thr Thr Leu Leu Gly Val Leu Phe Cys
625 630 635 640
Phe Asn Lys Arg Asp Leu Ile Lys Lys His Ile Trp Pro Asn Val Pro
645 650 655
Asp Pro Ser Lys Ser His Ile Ala Gln Trp Ser Pro His Thr Pro Pro
660 665 670
Arg His Asn Phe Asn Ser Lys Asp Gln Met Tyr Ser Asp Gly Asn Phe
675 680 685
Thr Asp Val Ser Val Val Glu Ile Glu Ala Asn Asp Lys Lys Pro Phe
690 695 700
Pro Glu Asp Leu Lys Ser Leu Asp Leu Phe Lys Lys Glu Lys Ile Asn
705 710 715 720
Thr Glu Gly His Ser Ser Gly Ile Gly Gly Ser Ser Cys Met Ser Ser
725 730 735
Ser Arg Pro Ser Ile Ser Ser Ser Asp Glu Asn Glu Ser Ser Gln Asn
740 745 750
Thr Ser Ser Thr Val Gln Tyr Ser Thr Val Val His Ser Gly Tyr Arg
755 760 765
His Gln Val Pro Ser Val Gln Val Phe Ser Arg Ser Glu Ser Thr Gln
770 775 780
Pro Leu Leu Asp Ser Glu Glu Arg Pro Glu Asp Leu Gln Leu Val Asp
785 790 795 800
His Val Asp Gly Gly Asp Gly Ile Leu Pro Arg Gln Gln Tyr Phe Lys
805 810 815
Gln Asn Cys Ser Gln His Glu Ser Ser Pro Asp Ile Ser His Phe Glu
820 825 830
Arg Ser Lys Gln Val Ser Ser Val Asn Glu Glu Asp Phe Val Arg Leu
835 840 845
Lys Gln Gln Ile Ser Asp His Ile Ser Gln Ser Cys Gly Ser Gly Gln
850 855 860
Met Lys Met Phe Gln Glu Val Ser Ala Ala Asp Ala Phe Gly Pro Gly
865 870 875 880
Thr Glu Gly Gln Val Glu Arg Phe Glu Thr Val Gly Met Glu Ala Ala
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Thr Asp Glu Gly Met Pro Lys Ser Tyr Leu Pro Gln Thr Val Arg Gln
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Gly Gly Tyr Met Pro Gln
915
<210> 9
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 9
Ser Asn Tyr Met Ile
1 5
<210> 10
<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 10
Asp Leu Tyr Tyr Tyr Ala Gly Asp Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val Lys
1 5 10 15
Gly
<210> 11
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 11
Trp Ala Asp Asp His Pro Pro Trp Ile Asp Leu
1 5 10
<210> 12
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 12
Arg Ala Ser Gln Gly Ile Ser Ser Trp Leu Ala
1 5 10
<210> 13
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 13
Lys Ala Ser Thr Leu Glu Ser
1 5
<210> 14
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
peptide
<400> 14
Gln Gln Ser Trp Leu Gly Gly Ser
1 5
<210> 15
<211> 450
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polypeptide
<400> 15
Glu Val Gln Leu Val Glu Ser Gly Gly Gly Leu Val Gln Pro Gly Gly
1 5 10 15
Ser Leu Arg Leu Ser Cys Ala Ala Ser Gly Phe Thr Ile Ser Ser Asn
20 25 30
Tyr Met Ile Trp Val Arg Gln Ala Pro Gly Lys Gly Leu Glu Trp Val
35 40 45
Ser Asp Leu Tyr Tyr Tyr Ala Gly Asp Thr Tyr Tyr Ala Asp Ser Val
50 55 60
Lys Gly Arg Phe Thr Met Ser Arg Asp Ile Ser Lys Asn Thr Val Tyr
65 70 75 80
Leu Gln Met Asn Ser Leu Arg Ala Glu Asp Thr Ala Val Tyr Tyr Cys
85 90 95
Ala Arg Trp Ala Asp Asp His Pro Pro Trp Ile Asp Leu Trp Gly Arg
100 105 110
Gly Thr Leu Val Thr Val Ser Ser Ala Ser Thr Lys Gly Pro Ser Val
115 120 125
Phe Pro Leu Ala Pro Ser Ser Lys Ser Thr Ser Gly Gly Thr Ala Ala
130 135 140
Leu Gly Cys Leu Val Lys Asp Tyr Phe Pro Glu Pro Val Thr Val Ser
145 150 155 160
Trp Asn Ser Gly Ala Leu Thr Ser Gly Val His Thr Phe Pro Ala Val
165 170 175
Leu Gln Ser Ser Gly Leu Tyr Ser Leu Ser Ser Val Val Thr Val Pro
180 185 190
Ser Ser Ser Leu Gly Thr Gln Thr Tyr Ile Cys Asn Val Asn His Lys
195 200 205
Pro Ser Asn Thr Lys Val Asp Lys Arg Val Glu Pro Lys Ser Cys Asp
210 215 220
Lys Thr His Thr Cys Pro Pro Cys Pro Ala Pro Glu Leu Leu Gly Gly
225 230 235 240
Pro Ser Val Phe Leu Phe Pro Pro Lys Pro Lys Asp Thr Leu Tyr Ile
245 250 255
Thr Arg Glu Pro Glu Val Thr Cys Val Val Val Asp Val Ser His Glu
260 265 270
Asp Pro Glu Val Lys Phe Asn Trp Tyr Val Asp Gly Val Glu Val His
275 280 285
Asn Ala Lys Thr Lys Pro Arg Glu Glu Gln Tyr Asn Ser Thr Tyr Arg
290 295 300
Val Val Ser Val Leu Thr Val Leu His Gln Asp Trp Leu Asn Gly Lys
305 310 315 320
Glu Tyr Lys Cys Lys Val Ser Asn Lys Ala Leu Pro Ala Pro Ile Glu
325 330 335
Lys Thr Ile Ser Lys Ala Lys Gly Gln Pro Arg Glu Pro Gln Val Tyr
340 345 350
Thr Leu Pro Pro Ser Arg Glu Glu Met Thr Lys Asn Gln Val Ser Leu
355 360 365
Thr Cys Leu Val Lys Gly Phe Tyr Pro Ser Asp Ile Ala Val Glu Trp
370 375 380
Glu Ser Asn Gly Gln Pro Glu Asn Asn Tyr Lys Thr Thr Pro Pro Val
385 390 395 400
Leu Asp Ser Asp Gly Ser Phe Phe Leu Tyr Ser Lys Leu Thr Val Asp
405 410 415
Lys Ser Arg Trp Gln Gln Gly Asn Val Phe Ser Cys Ser Val Met His
420 425 430
Glu Ala Leu His Asn His Tyr Thr Gln Lys Ser Leu Ser Leu Ser Pro
435 440 445
Gly Lys
450
<210> 16
<211> 213
<212> PRT
<213> Artificial Sequence
<220>
<223> Description of Artificial Sequence: Synthetic
polypeptide
<400> 16
Asp Ile Gln Met Thr Gln Ser Pro Ser Thr Leu Ser Ala Ser Val Gly
1 5 10 15
Asp Arg Val Thr Ile Thr Cys Arg Ala Ser Gln Gly Ile Ser Ser Trp
20 25 30
Leu Ala Trp Tyr Gln Gln Lys Pro Gly Lys Ala Pro Lys Val Leu Ile
35 40 45
Tyr Lys Ala Ser Thr Leu Glu Ser Gly Val Pro Ser Arg Phe Ser Gly
50 55 60
Ser Gly Ser Gly Thr Glu Phe Thr Leu Thr Ile Ser Ser Leu Gln Pro
65 70 75 80
Asp Asp Phe Ala Thr Tyr Tyr Cys Gln Gln Ser Trp Leu Gly Gly Ser
85 90 95
Phe Gly Gln Gly Thr Lys Leu Glu Ile Lys Arg Thr Val Ala Ala Pro
100 105 110
Ser Val Phe Ile Phe Pro Pro Ser Asp Glu Gln Leu Lys Ser Gly Thr
115 120 125
Ala Ser Val Val Cys Leu Leu Asn Asn Phe Tyr Pro Arg Glu Ala Lys
130 135 140
Val Gln Trp Lys Val Asp Asn Ala Leu Gln Ser Gly Asn Ser Gln Glu
145 150 155 160
Ser Val Thr Glu Gln Asp Ser Lys Asp Ser Thr Tyr Ser Leu Ser Ser
165 170 175
Thr Leu Thr Leu Ser Lys Ala Asp Tyr Glu Lys His Lys Val Tyr Ala
180 185 190
Cys Glu Val Thr His Gln Gly Leu Ser Ser Pro Val Thr Lys Ser Phe
195 200 205
Asn Arg Gly Glu Cys
210
【手続補正書】
【提出日】2022-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【外国語明細書】