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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025672
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】モーター駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 27/08 20060101AFI20230215BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230215BHJP
   H02M 7/493 20070101ALI20230215BHJP
【FI】
H02P27/08
H02M7/48 F
H02M7/493
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022101319
(22)【出願日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0105575
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ジュンモ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジャンユン
【テーマコード(参考)】
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505BB02
5H505CC04
5H505DD03
5H505EE41
5H505EE48
5H505EE52
5H505GG04
5H505HA10
5H505HB01
5H505HB05
5H505JJ17
5H505JJ25
5H505JJ28
5H505LL22
5H505LL24
5H505LL25
5H505LL41
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA30
5H770DA41
5H770EA01
5H770EA19
(57)【要約】
【課題】複数の相にそれぞれ対応する複数の巻線を有するモーターを駆動するモーター駆動装置を提供する。
【解決手段】前記モーター駆動装置は、複数の第1スイッチング素子を含み、前記複数の巻線のそれぞれの第1端に連結された第1インバーターと、複数の第2スイッチング素子を含み、前記複数の巻線のそれぞれの第2端に連結された第2インバーターと、事前に設定された前記モーターの電圧指令に基づいて空間ベクターパルス幅変調のための制限された極電圧指令を生成し、前記制限された極電圧指令を分配して前記第1スイッチング素子のスイッチングのための第1極電圧指令及び前記第2スイッチング素子のスイッチングのための第2極電圧指令を生成するコントローラーとを含む。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の相にそれぞれ対応する複数の巻線を有するモーターを駆動するモーター駆動装置であって、
複数の第1スイッチング素子を含み、前記複数の巻線のそれぞれの第1端に連結された第1インバーターと、
複数の第2スイッチング素子を含み、前記複数の巻線のそれぞれの第2端に連結された第2インバーターと、
事前に設定された前記モーターの電圧指令に基づいて空間ベクターパルス幅変調のための制限された極電圧指令を生成し、前記制限された極電圧指令を分配して前記第1スイッチング素子のスイッチングのための第1極電圧指令及び前記第2スイッチング素子のスイッチングのための第2極電圧指令を生成するコントローラーと、
を含む、モーター駆動装置。
【請求項2】
前記コントローラーは、
前記制限された極電圧指令を生成するために、前記モーターの電圧指令に対して前記モーターの回転角に30度先行又は後行する逆回転変換を遂行して前記モーターの各相に対する相電圧指令を生成することを特徴とする、請求項1に記載のモーター駆動装置。
【請求項3】
前記コントローラーは、
前記相電圧指令の中で最大値と最小値との平均に相当するオフセット電圧を生成し、前記オフセット電圧を前記相電圧指令からそれぞれ差し引いて前記制限された極電圧指令を生成することを特徴とする、請求項2に記載のモーター駆動装置。
【請求項4】
【請求項5】
【請求項6】
【請求項7】
前記P及びPは互いに異なる値を有することを特徴とする、請求項6に記載のモーター駆動装置。
【請求項8】
前記コントローラーは、
前記モーターの回転角に30度先行する逆回転変換を遂行した場合、
前記第1極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のa相、b相及びc相成分にそれぞれ対応するように決定し、
前記第2極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のb相、c相及びa相成分にそれぞれ対応するように決定することを特徴とする、請求項6に記載のモーター駆動装置。
【請求項9】
【請求項10】
前記コントローラーが前記モーターの回転角に30度後行する逆回転変換を遂行した場合、
前記第1極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のa相、b相及びc相成分にそれぞれ対応し、
前記第2極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のc相、a相及びb相成分にそれぞれ対応することを特徴とする、請求項6に記載のモーター駆動装置。
【請求項11】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモーター駆動装置に関し、より詳しくはモーターの巻線の両端にそれぞれインバーターが連結されたオープンエンドワインディング方式のモーター駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、モーターに含まれた各相の巻線は、その一端が一つのインバーターに連結され、他端が互いに連結されてY結線を形成する。
【0003】
モーター駆動の際、インバーター内のスイッチング素子はパルス幅変調制御によってオン/オフされ、Y結線されたモーターの巻線に線間電圧を印加して交流電流を生成することによりトルクを発生させるようになる。
【0004】
このようなモーターによって発生するトルクを動力として用いる電気車などのような環境に優しい車両の燃費(又は電費)は、インバーター-モーターの電力変換効率によって決定されるので、燃費向上のためには、インバーターの電力変換効率とモーターの効率を極大化することが重要である。
【0005】
インバーター-モーターシステムの効率は、主にインバーターの電圧利用率によって決定され、電圧利用率の高い区間でモーター速度とトルクとの間の関係によって決定される車両の運転点が形成される場合、車両の燃費が向上することができる。
【0006】
しかし、モーターの最大トルクを増加させるためにモーターの巻線数を増加させるほど、電圧利用率の高い区間は車両の主要運転点である低トルク領域から遠くなって燃費が悪くなる問題点が発生することがある。また、燃費の観点で電圧利用率が高い区間に主要運転点を含むように設計する場合、モーターの最大トルクに制約があり、車両の加速発進性能が落ちる問題が発生することがある。
【0007】
このような問題を解決するために、当該技術分野ではモーターの巻線の一端をY結線で短絡させる代わりに、モーターの巻線の両端にそれぞれインバーターを連結して両インバーターを駆動するオープンエンドワインディング(Open End Winding:OEW)方式のモーター駆動技法が提案された。
【0008】
このようなオープンエンドワインディング方式のモーター駆動技法は、通常的なY結線構造のモーターを駆動する方式に比べて、相電圧を増加させて電圧利用率を向上させることができ、高出力が可能な利点を有する。
【0009】
しかし、オープンエンドワインディング方式のモーター駆動技法は、モーターの巻線の両端にそれぞれ連結されるインバーターに共通の直流電源を適用する場合、0相成分電圧をインバータースイッチング周期において平均的に0になるように制御することができないので、共通モード電流を発生させることができる。この共通モード電流はモーターの巻線を流れながら銅損及び鉄損のような損失として作用してモーター効率を低下させ、深刻な場合にはモーターシステムの焼損を発生させる可能性がある。
【0010】
前記背景技術として説明した事項は、本発明の背景に対する理解増進のためのものであるだけで、当該技術分野で通常の知識を有する者に既に知られた従来技術に相当するというのを認めるものとして受け入れるべきではないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許公開第2009-0033253号公報
【特許文献2】特許第6285256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、モーター巻線の両端にそれぞれインバーターが連結されたオープンエンドワインディング方式のモーター駆動の際、両インバーターの間の共通モード電圧を互いに同じに設定して0相成分電圧を所望の通りに制御することにより、差によって発生する循環電流を除去してモーター効率を向上させることができる、モーター駆動装置を提供することを解決しようとする技術的課題とする。
【0013】
特に、本発明は、モーター巻線の両端にそれぞれインバーターが連結されたオープンエンドワインディング方式のモーター駆動の際、瞬時的に両インバーターが同じ0相成分電圧を有するようにして、両インバーターの0相成分電圧の差を瞬時的に0にすることができるモーター駆動装置を提供することを解決しようとする技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記技術的課題を解決するための手段として、本発明は、複数の相にそれぞれ対応する複数の巻線を有するモーターを駆動するモーター駆動装置であって、複数の第1スイッチング素子を含み、前記複数の巻線のそれぞれの第1端に連結された第1インバーターと、複数の第2スイッチング素子を含み、前記複数の巻線のそれぞれの第2端に連結された第2インバーターと、事前に設定された前記モーターの電圧指令に基づいて空間ベクターパルス幅変調のための制限された極電圧指令を生成し、前記制限された極電圧指令を分配して前記第1スイッチング素子のスイッチングのための第1極電圧指令、及び前記第2スイッチング素子のスイッチングのための第2極電圧指令を生成するコントローラーとを含むモーター駆動装置を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記コントローラーは、前記制限された極電圧指令を生成するために、前記モーターの電圧指令に対して前記モーターの回転角に30度先行又は後行する逆回転変換を遂行して、前記モーターの各相に対する相電圧指令を生成することができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記コントローラーは、前記相電圧指令の中で最大値と最小値との平均に相当するオフセット電圧を生成し、前記オフセット電圧を前記相電圧指令からそれぞれ差し引いて、前記制限された極電圧指令を生成することができる。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
本発明の一実施形態において、前記P及びPは、互いに異なる値を有することができる。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記コントローラーは、前記モーターの回転角に30度先行する逆回転変換を遂行した場合、前記第1極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のa相、b相及びc相成分にそれぞれ対応するように決定し、前記第2極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のb相、c相及びa相成分にそれぞれ対応するように決定することができる。
【0022】
【0023】
本発明の一実施形態において、前記コントローラーが前記モーターの回転角に30度後行する逆回転変換を遂行した場合、前記第1極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のa相、b相及びc相成分にそれぞれ対応し、前記第2極電圧指令のa相、b相及びc相成分は前記制限された極電圧指令のc相、a相及びb相成分にそれぞれ対応することができる。
【0024】
【発明の効果】
【0025】
前記モーター駆動装置によれば、オープンエンドワインディング方式に適用される二つのインバーターの0相成分電圧を所望の通りに制御することにより、共通モード電流の発生を抑制することができる。
【0026】
よって、前記モーター駆動装置によれば、共通モード電流によってモーター相電流が歪むことを防止してモーター電流を容易に制御し、循環電流によって発生するモーターの鉄損及び銅損のような損失を防止して、モーターの駆動効率を著しく向上させることができるだけではなく、モーターの焼損を事前に防止することができる。
【0027】
特に、前記モーター駆動装置によれば、オープンエンドワインディング方式のモーター駆動の際、瞬時的に0相成分電圧を0になるようにすることにより、0相成分電流(共通モード電流)の瞬時的リップルによるモーター損失まで除去することができる。
【0028】
また、前記モーター駆動装置によれば、モーターの電圧指令に基づいて先に空間ベクターパルス幅変調を遂行した後、出力される結果に基づいてそれぞれのインバーターに対する極電圧指令を生成するので、座標変換のための演算量を最小化することができ、よって、電圧変調演算のうちサイン、コサイン演算による離散化誤差を最小化することができる。
【0029】
本発明で得られる効果は以上で言及した効果に制限されず、言及しなかった他の効果は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態によるモーター駆動装置の回路図である。
図2】オープンエンドワインディング方式でモーターを制御するための通常的なコントローラーを詳細に示すブロック構成図である。
図3図2に示した通常的なコントローラーに適用されるモーター制御技法を説明するための電圧ベクター図である。
図4図2に示した通常的なコントローラーによるモーター制御の際に生成される各インバーターの電圧出力を示す波形図である。
図5図2に示した通常的なコントローラー内の空間ベクター変調部をより詳細に示すブロック構成図である。
図6】本発明の一実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラーを詳細に示すブロック構成図である。
図7図6に示した本発明の一実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラー内の空間ベクター変調部をより詳細に示すブロック構成図である。
図8図6に示した本発明の一実施形態によるモーター駆動装置の制御によって生成される各インバーターの電圧出力を示す波形図である。
図9】本発明の他の実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラーを詳細に示すブロック構成図である。
図10図9に示した本発明の実施形態でモーターの回転角より30度先行するように第1インバーターの相電圧指令を変換し、モーターの回転角より150度先行するように第2インバーターの相電圧指令を変換した例を説明するための電圧ベクター図である。
図11図9に示した本発明の実施形態でモーターの回転角より30度後行するように第1インバーターの相電圧指令を変換し、モーターの回転角より150度後行するように第2インバーターの相電圧指令を変換した例を説明するための電圧ベクター図である。
図12図9に示した本発明の実施形態によるモーター駆動装置の制御によって生成される各インバーターの電圧出力、0相電圧成分及び共通モード電流を示す波形図である。
図13】本発明のさらに他の実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラーを詳細に示すブロック構成図である。
図14図13に示した空間ベクターパルス幅変調部をより詳細に示すコントローラーのブロック構成図である。
図15図13に示した実施形態のコントローラーの変形例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面に基づいて本発明の多様な実施形態によるモーター駆動装置を詳細に説明する。
【0032】
図1は、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置の回路図である。
【0033】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置は、複数の相に対応する複数の巻線L1-L3を有するモーター100に駆動電力を供給するモーター駆動装置であって、複数の第1スイッチング素子S11-S16を含み、モーター100の巻線のそれぞれの第1端に連結された第1インバーター10と、複数の第2スイッチング素子S21-S26を含み、モーター100の巻線のそれぞれの第2端に連結された第2インバーター20と、モーター100の所要出力に基づいて第1スイッチング素子S11-S16及び第2スイッチング素子S21-S26をパルス幅変調制御するコントローラー30とを含むことができる。
【0034】
第1インバーター10と第2インバーター20は、バッテリー200に貯蔵された直流電力を3相の交流電力に変換してモーター100に提供するか、又は回生制動の際にモーター100の回生制動トルクの発生によって生成される回生制動エネルギーを直流に変換してバッテリー200に提供することができる。このような直流電力と交流電力との間の変換は第1インバーター10と第2インバーター20とにそれぞれ備えられた、複数の第1スイッチング素子S11-S16及び複数の第2スイッチング素子S21-S26のパルス幅変調制御によって遂行することができる。
【0035】
第1インバーター10は、バッテリー200の両端の間に連結された直流リンクキャパシタ300に形成された直流電圧が印加される複数のレッグ11-13を含むことができる。各レッグ11-13はモーター100の複数の相にそれぞれ対応して電気的に連結されることができる。
【0036】
より具体的には、第1レッグ11は直流キャパシタ300の両端の間に互いに直列に連結された二つのスイッチング素子S11、S12を含み、両スイッチング素子S11、S12の連結ノードは複数の相の中で一相に相当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の一相の巻線L1の一端に連結されることができる。
【0037】
同様に、第2レッグ12は直流キャパシタ300の両端の間に互いに直列に連結された二つのスイッチング素子S13、S14を含み、両スイッチング素子S13、S14の連結ノードは複数の相の中で一相に相当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の一相の巻線L2の一端に連結されることができる。
【0038】
また、第3レッグ13は直流キャパシタ300の両端の間に互いに直列に連結された二つのスイッチング素子S15、S16を含み、両スイッチング素子S15、S16の連結ノードは複数の相の中で一相に相当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の一相の巻線L3の一端に連結されることができる。
【0039】
第2インバーター20も第1インバーター10と類似した構成を有することができる。第2インバーター20は、バッテリー200の両端の間に連結された直流リンクキャパシタ300に形成された直流電圧が印加される複数のレッグ21-23を含むことができる。各レッグ21-23はモーター100の複数の相に対応して電気的に連結されることができる。
【0040】
より具体的には、第1レッグ21は、直流キャパシタ300の両端の間に互いに直列に連結された二つのスイッチング素子S21、S22を含み、両スイッチング素子S21、S22の連結ノードは複数の相の中で一相に相当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の一相の巻線L1の他端に連結されることができる。
【0041】
同様に、第2レッグ22は、直流キャパシタ300の両端の間に互いに直列に連結された二つのスイッチング素子S23、S24を含み、両スイッチング素子S23、S24の連結ノードは複数の相の中で一相に相当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の一相の巻線L2の他端に連結されることができる。
【0042】
また、第3レッグ23は、直流キャパシタ300の両端の間に互いに直列に連結された二つのスイッチング素子S25、S26を含み、両スイッチング素子S25、S26の連結ノードは、複数の相の中で一相に相当する交流電力が入出力されるようにモーター100内の一相の巻線L3の一端に連結されることができる。
【0043】
第1インバーター10は、モーター100の巻線L1-L3の一端に連結され、第2インバーター20はモーター100の巻線L1-L3の他端に連結される。すなわち、モーター100の巻線L1-L3の両端には、第1インバーター10と第2インバーター20にそれぞれ連結されるオープンエンドワインディング方式の電気的連結が形成されることができる。
【0044】
コントローラー30は、基本的にはモーター100に要求される所要出力に基づいてモーター100が駆動されるように、第1インバーター10と第2インバーター20に含まれたスイッチング素子S11-S16、S21-S21をパルス幅変調制御する要素である。
【0045】
コントローラー30は、第1インバーター10及び第2インバーター20に印加される直流電圧Vdcと電流センサー(図示せず)で検出されるモーター100に提供される相電流及びモーター100に設けられたモーター回転子センサー(図示せず)で検出されたモーターの電気角などを受け、第1インバーター10の第1スイッチング素子S11-S16及び第2インバーター20の第2スイッチング素子S21-S26をパルス幅変調方式でスイッチングしてモーター100を駆動することができる。特に、コントローラー30は、第1スイッチング素子S11-S16及び第2インバーター20の第2スイッチング素子S21-S26をパルス幅変調方式で制御するとき、空間ベクターパルス幅変調(Space Vector Pulse Width Modulation:SVPWM)方式を適用することができる。
【0046】
以上のような構成を有する、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置に対するより明確な理解を助けるために、通常的なオープンエンドワインディング方式モーター駆動装置の制御技法についてまず説明する。
【0047】
図2は、オープンエンドワインディング方式でモーターを制御するための通常的なコントローラーを詳細に示すブロック構成図であり、図3図2に示した通常的なコントローラーに適用されるモーター制御技法を説明するための電圧ベクター図である。また、図4は、図2に示した通常的なコントローラーによるモーター制御の際に生成される各インバーターの電圧出力を示す波形図であり、図5図2に示した通常的なコントローラー内の空間ベクター変調部をより詳細に示すブロック構成図である。
【0048】
図2に示したように、従来のモーター駆動装置のコントローラーは、電流指令マップ41、電流制御部42、第1デューティー生成部43及び第2デューティー生成部44を含むことができる。
【0049】
電流指令マップ41は、運転者の操作などによって生成されたモーター所要出力(モーター所要トルクT )及びモーターの逆起電力λ-1に基づいて、それに対応する電流指令I 、I を生成することができる。電流指令マップ41は、モーター所要出力を反映したモーターの電流指令を生成するものであり、図2の例にはモーター所要出力と逆起電力に基づくマップが示されているが、他の因子に基づいてモーターの電流指令を生成するマップを適用することができる。
【0050】
電流制御部42は、電流指令I 、I を受け、実際にモーターに提供される電流を検出した値と比較し、その差を減少させることができる電圧指令V 、V 、V を生成することができる。電圧指令は、d軸成分V 、q軸成分V 及び0相(zero phase)成分V を含むことができる。
【0051】
第1デューティー生成部43は、図1に示した第1インバーター10内のスイッチング素子のデューティーを生成するための要素であり、電圧指令V 、V 、V を1/2倍にして第1インバーター10に適用するための第1インバーター電圧指令Vd1 、Vq1 、Vn1 を生成する倍数部431と、第1インバーター電圧指令Vd1 、Vq1 、Vn1 をモーターの各相に対応する第1インバーター相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 に変換する座標変換部432と、第1インバーター相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 及び第1インバーター電圧指令の中で0相成分Vn1 に基づいて空間ベクターパルス幅変調を遂行して、第1インバーター10内のスイッチング素子のデューティーを生成する第1空間ベクターパルス幅変調部433とを含むことができる。
【0052】
第1デューティー生成部43と同様に、第2デューティー生成部44は、図1に示した第2インバーター20内のスイッチング素子のデューティーを生成するための要素であり、電圧指令V 、V 、V を-1/2倍にして第2インバーター20に適用するための第2インバーター電圧指令Vd2 、Vq2 、Vn2 を生成する倍数部441と、第2インバーター電圧指令Vd2 、Vq2 、Vn2 をモーターの各相に対応する第2インバーター相電圧指令Vas2 、Vbs2 、Vcs2 に変換する座標変換部442と、第2インバーター相電圧指令Vas2 、Vbs2 、Vcs2 及び第2インバーター電圧指令の中で0相成分Vn2 に基づいて空間ベクターパルス幅変調を遂行して、第2インバーター20内のスイッチング素子のデューティーを生成する第2空間ベクターパルス幅変調部443とを含むことができる。
【0053】
ここで、座標変換部432、442による座標変換は、dq同期座標をモーター3相に相当するabc座標に変換するものであり、当該技術分野に通常逆回転変換(Inverse Clarke/Park Transformation)として知られた公知の技術に相当する。その反対の変換である回転変換(Clarke/Park Transformation)も当該技術分野に公知となったものであり、追後これについての別途の詳細な説明は省略する。
【0054】
図2に示したように、通常的なオープンエンドワインディング方式モーター制御技法は、モーターの電圧指令を第1インバーターと第2インバーターとに同一に分配する方式でなされる。
【0055】
すなわち、図3に示したように、オープンエンドワインディング構造のモーター制御で、第1インバーターに対するスイッチングベクター図と第2インバーターに対するスイッチングベクター図を合成したベクター図上に示されたモーター電圧VMOTは、第1インバーターによる電圧VINV1と、第1インバーターによる電圧VINV1と同じ大きさを有しながら方向が反対の第2インバーターによる電圧VINV2との差の形態として示すことができる。それぞれのベクター図はdq平面上に示されたものであり、dq平面と空間ベクターパルス幅変調のためのベクター図などは当該技術分野に公知となった事項であり、それについての別途の詳細な説明は省略する。
【0056】
このように、同じ大きさを有しながら反対方向である第1インバーター電圧と第2インバーター電圧とを空間ベクターパルス幅変調によって具現すれば、図4に示したようなインバーター出力電圧波形を得ることができる。図4で、TSWはインバーター内のスイッチング素子のスイッチング周期であり、Va1、Vb1、Vc1、Vn1は第1インバーターの各相電圧及び0相成分電圧を示し、Va2、Vb2、Vc2、Vn2は第2インバーターの各相電圧及び0相成分電圧を示し、Vは第1インバーターの0相成分電圧と第2インバーターの0相成分電圧との差を示すものであり、第1インバーター及び第2インバーターによってモーターに印加される0相成分電圧を示すものである。
【0057】
図4に示したように、第1インバーター電圧と第2インバーター電圧は、dq平面上での電圧の大きさが同一であるにもかかわらず、位相が違うから互いに異なる0相成分電圧を有することになる。よって、モーターに印加される0相成分電圧Vの大きさは周期平均的に0を維持することができない。
【0058】
図2に示した通常的なコントローラー内の空間ベクター変調部433又は443は、図5に示したように、オフセット電圧生成部51、極電圧指令生成部52、極電圧指令制限部53、割り算部54及び合算部55を含むことができる。
【0059】
オフセット電圧生成部51は、3相電圧指令Vas 、Vbs 、Vcs に基づいてオフセット電圧指令Vns を生成し、極電圧指令生成部52はこのオフセット電圧指令Vns に0相成分電圧V を引き算した値を3相電圧指令Vas 、Vbs 、Vcs から差し引いて極電圧指令Van 、Vbn 、Vcn を生成する。
【0060】
このように、通常のオープンエンドワインディング方式のモーター制御の際には、オフセット電圧指令Vns が3相電圧指令Vas 、Vbs 、Vcs に基づいて生成されるので、実際に両インバーターでモーターを駆動するとき、各インバーターから出力されるオフセット電圧との差を有することになる。特に、第1インバーターと第2インバーターでは互いに異なるオフセット電圧指令Vns が生成されるので、実際に各インバーターではオフセット電圧指令に対応するオフセット電圧が出力されなくなる。
【0061】
これを式で示せば下記の式1の通りである。
【数1】
【0062】
したがって、モーターに最終的に印加される0相成分電圧は下記の式2になり、所望の通りに0相成分電圧を制御することができない。
【数2】
【0063】
このように、0相成分電圧が周期平均的に0に制御されることができない場合、モーターの共通モード電流が発生し、共通モード電流の流れによってモーターで発生する損失が増加し、深刻な場合にはモーターの焼損が発生することもある。
【0064】
図5で、極電圧指令制限部53は、第1インバーター及び第2インバーターに印加される直流電圧VDCの±0.5の範囲で極電圧指令を制限し、割り算部54は制限された極電圧指令を第1インバーター及び第2インバーターに印加される直流電圧VDCで割り算し、合算部55は割り算部54の結果にそれぞれ0.5を足してインバーター内のスイッチング素子のデューティーD、D、Dを決定することができる。
【0065】
極電圧指令制限部53、割り算部54及び合算部55は、パルス幅変調制御を具現するために適用される公知の技術に相当し、詳細な動作は当該技術分野の通常の技術者が充分に実施可能なものなので、これについての追加的な詳細な説明は省略する。
【0066】
図6は、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラーを詳細に示すブロック構成図である。
【0067】
図6を参照すると、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラー30は、電流指令マップ61、電流制御部62、第1デューティー生成部63及び第2デューティー生成部64を含むことができる。
【0068】
電流指令マップ61は、運転者の操作などによって生成されたモーター所要出力(モーター所要トルクT )及びモーターの逆起電力λ-1に基づいて、それに対応する電流指令I 、I を生成することができる。
【0069】
電流制御部62は、電流指令I 、I を受け、実際にモーターに提供される電流を検出した値と比較し、その差を減少させることができる電圧指令V 、V 、V を生成することができる。電圧指令はd軸成分V 、q軸成分V 及び0相(zero phase)成分V を含むことができる。
【0070】
電流指令マップ61と電流制御部62は、図2に示した通常的なモーター制御技法に適用されるものと実質的に同一であってもよい。
【0071】
第1デューティー生成部63は、第1インバーター10内のスイッチング素子のデューティーを生成するための要素であり、電圧指令V 、V 、V を1/2倍にして第1インバーター10に適用するための第1インバーター電圧指令Vd1 、Vq1 、Vn1 を生成する倍数部631と、第1インバーター電圧指令Vd1 、Vq1 、Vn1 をモーターの各相に対応する第1インバーター相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 に変換する座標変換部632と、第1インバーター相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 に基づいて生成された第1オフセット電圧指令Vns1 と第1インバーター電圧指令の中で0相成分Vn1 及び第2デューティー生成部64で生成された第2オフセット電圧指令Vns2 とに基づいて、空間ベクターパルス幅変調を遂行して第1インバーター10内のスイッチング素子のデューティーDa1、Db1、Dc1を生成する第1空間ベクターパルス幅変調部633とを含むことができる。
【0072】
第1デューティー生成部63と同様に、第2デューティー生成部64は、第2インバーター20内のスイッチング素子のデューティーを生成するための要素であり、電圧指令V 、V 、V を-1/2倍にして第2インバーター20に適用するための第2インバーター電圧指令Vd2 、Vq2 、Vn2 を生成する倍数部641と、第2インバーター電圧指令Vd2 、Vq2 、Vn2 をモーターの各相に対応する第2インバーター相電圧指令Vas2 、Vbs2 、Vcs2 に変換する座標変換部642と、第2インバーター相電圧指令Vas2 、Vbs2 、Vcs2 に基づいて生成された第2オフセット電圧指令Vns2 と、第2インバーター電圧指令の中で0相成分Vn2 及び第1デューティー生成部63で生成された第1オフセット電圧指令Vns1 とに基づいて、空間ベクターパルス幅変調を遂行して第2インバーター20内のスイッチング素子のデューティーDa2、Db2、Dc2を生成する第2空間ベクターパルス幅変調部643とを含むことができる。
【0073】
本発明の一実施形態で、第1デューティー生成部63と第2デューティー生成部64は、それぞれ第1インバーター10及び第2インバーター20の出力電圧によって決定される、それぞれのオフセット電圧指令を互いに共有して両インバーターが同じ0相成分電圧を有するようにすることを特徴とする。すなわち、第1インバーター10を制御するための第1デューティー生成部63は、第1インバーター10の出力電圧に対応する第1インバーター相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 を用いて第1オフセット電圧指令Vns1 を生成した後、第2デューティー生成部64に提供することができ、第2インバーター20を制御するための第2デューティー生成部64は、第2インバーター20の出力電圧に対応する第2インバーター相電圧指令Vas2 、Vbs2 、Vcs2 を用いて第2オフセット電圧指令Vns2 を生成した後、第1デューティー生成部63に提供することができる。
【0074】
第1デューティー生成部63及び第2デューティー生成部64は、第1オフセット電圧指令Vns1 と第2オフセット電圧指令Vns2 を互いに合成して、互いに同じ値を有する合成オフセット電圧指令を生成し、合成オフセット電圧指令と各インバーターの0相成分電圧指令Vn1 、Vn2 を各インバーターの相電圧指令に適用して、各インバーターに対する極電圧指令を生成することができる。
【0075】
図7は、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラー内の空間ベクター変調部をより詳細に示すブロック構成図である。特に、図7は第1デューティー生成部63内の第1空間ベクターパルス幅変調部643を詳細に示すものであり、別に示さないが、第2デューティー生成部64内の第2空間ベクターパルス幅変調部644も互いに対応する構成を有するように具現されることができる。
【0076】
図7を参照すると、第1デューティー生成部63内の第1空間ベクターパルス幅変調部634は、オフセット電圧生成部71、オフセット電圧指令合成部711、極電圧指令生成部72、極電圧指令制限部73、割り算部74及び合算部75を含むことができる。
【0077】
オフセット電圧生成部71は、第1インバーターの3相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 に基づいてオフセット電圧指令Vns1 を生成することができる。
【0078】
図7に示した例で、オフセット電圧生成部71は、3相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 の中で最大値と最小値との平均値で第1インバーター10のオフセット電圧指令Vns1 を演算するものとして示されているが、これは単純な例であり、当該技術分野に知られた多様な方式でオフセット電圧指令を決定することができる。
【0079】
オフセット電圧指令合成部711は、オフセット電圧生成部71で生成された第1インバーター10のオフセット電圧指令Vns1 と第2デューティー生成部64内の第2空間ベクターパルス幅変調部644によって生成された、第2インバーター20のオフセット電圧指令Vns2 とを互いに合成して合成オフセット電圧指令Vns、f を生成することができる。
【0080】
オフセット電圧指令合成部711は、多様な方式で合成オフセット電圧指令Vns、f を生成することができる。例えば、オフセット電圧指令合成部711は、第1インバーター10のオフセット電圧指令Vns1 と第2インバーター20のオフセット電圧指令Vns2 とにそれぞれ加重値を適用した後、合算して合成オフセット電圧指令Vns、f を生成することができる。また、オフセット電圧指令合成部711は、第1インバーター10のオフセット電圧指令Vns1 と第2インバーター20のオフセット電圧指令Vns2 との平均値として、オフセット電圧指令Vns2 を決定することができる。
【0081】
オフセット電圧指令合成部711がどの方式で合成オフセット電圧指令Vns、f を生成しても、第1空間ベクターパルス幅変調部634と第2空間ベクターパルス幅変調部644とでそれぞれ生成された合成オフセット電圧指令Vns、f は、互いに同じ値を有するように具現されなければならない。
【0082】
オフセット電圧指令合成部711によって第1インバーター10のオフセット電圧指令Vns1 と第2インバーター20のオフセット電圧指令Vns2 との平均値を合成オフセット電圧指令として決定した場合、各インバーターから出力される0相成分電圧は次の式3の通りである。
【数3】
【0083】
式3によれば、両インバーターの0相成分電圧の差(Vns1-Vns2)は、電流制御部62で設定された映像成分電圧指令V として出力されることができる。ここで、両インバーターの変調に最終的に適用される合成オフセット電圧指令Vns、f は、両オフセット電圧指令Vns1 、Vns2 の平均として決定される場合、両インバーターが有する出力デューティーのマージンが同一になるので、合成オフセット電圧指令Vns、f が両オフセット電圧指令Vns1 、Vns2 の平均として決定されることが好ましい。
【0084】
図7で、極電圧指令生成部72は、合成オフセット電圧指令Vns、f から第1インバーター10の電圧指令の中で0相成分電圧指令Vn1 を差し引いた値を第1インバーター10の3相電圧指令Vas1 、Vbs1 、Vcs1 からそれぞれ差し引いて、第1インバーター10の極電圧指令Van1 、Vbn1 、Vcn1 を生成することができる。
【0085】
図7で、極電圧指令制限部73は、第1インバーター及び第2インバーターに印加される直流電圧VDCの±0.5の範囲で極電圧指令を制限し、割り算部74は、制限された極電圧指令を第1インバーター及び第2インバーターに印加される直流電圧VDCで割り算し、合算部75は、割り算部74の結果にそれぞれ0.5を足してインバーター内のスイッチング素子のデューティーD、D、Dを決定することができる。
【0086】
極電圧指令制限部53、割り算部54及び合算部55は、パルス幅変調制御を具現するために適用される公知の技術に相当し、詳細な動作は当該技術分野の通常の技術者が充分に実施可能なものなので、これについての追加的な詳細な説明は省略する。
【0087】
また、図7は、第1デューティー生成部63内の空間ベクターパルス幅変調部633の詳細構成を示すものであるが、当該技術分野の通常の技術者であれば、図7から第2デューティー生成部64内の空間ベクターパルス幅変調部643の詳細構成を容易に類推することができる。したがって、第2デューティー生成部64内の空間ベクターパルス幅変調部643についての別途の説明は省略する。
【0088】
図8は、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置の制御によって生成される各インバーターの電圧出力を示す波形図である。
【0089】
図8を参照すると、図4に示した通常のモーター駆動装置の波形と比較するとき、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置によれば、モーターの0相成分電圧Vが一周期内で0の平均値を有するように決定されることを確認することができる。
【0090】
したがって、本発明の一実施形態によるモーター駆動装置は、空間ベクターパルス幅変調によって0相成分電圧の歪みが発生しないように所望の制御を遂行することができ、よってモーターで発生する共通モード電流を抑制してモーターの不必要な損失を抑制し、モーターの焼損を防止することができる。
【0091】
以上で説明した図6図8に示した本発明の実施形態は、スイッチング周期内の0相成分電圧の平均を0に制御する実施形態である。このような実施形態では、周期平均的に0相成分電圧を0に制御することができるが、瞬時的には0相成分電圧が脈動することによって共通モード電流を発生することができ、瞬時的な共通モード電流でもモーターの損失を発生させることができる。以下では、0相成分電圧の脈動を抑制することにより瞬時的な共通モード電流まで除去することができる本発明の他の実施形態を説明する。
【0092】
図9は、本発明の他の実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラーを詳細に示すブロック構成図である。
【0093】
図9を参照すると、本発明の他の実施形態によるモーター駆動装置のコントローラー30は、電流指令マップ81、電流制御部82、第1デューティー生成部83及び第2デューティー生成部84を含むことができる。
【0094】
電流指令マップ81は、運転者の操作などによって生成されたモーター所要出力(モーター所要トルクT )及びモーターの逆起電力λ-1に基づいて、それに対応する電流指令I 、I を生成することができる。
【0095】
電流制御部62は、電流指令I 、I を受け、実際にモーターに提供される電流を検出した値と比較し、その差を減少させることができる電圧指令V 、V 、V を生成することができる。電圧指令は、d軸成分V 、q軸成分V 及び0相(zero phase)成分V を含むことができる。
【0096】
電流指令マップ81と電流制御部82は、図2に示した通常的なモーター制御技法に適用されるものと実質的に同一であってもよい。
【0097】
【0098】
【0099】
ここで、モーターの回転角(θ)がモーターに設けられた回転角センサー(図示せず)から取得することができるというのは、当該技術分野において知られている。
【0100】
本発明の一実施形態で、第1デューティー生成部83と第2デューティー生成部84とは、d軸電圧指令とq軸電圧指令を3相電圧指令に変換する過程で互いに120度の差があるように座標変換を遂行することを特徴とする。
【0101】
図10は、図9に示した本発明の実施形態で、モーターの回転角より30度先行するように第1インバーターの相電圧指令を変換し、モーターの回転角より150度先行するように第2インバーターの相電圧指令を変換した例を説明するための電圧ベクター図であり、図11は、図9に示した本発明の実施形態で、モーターの回転角より30度後行するように第1インバーターの相電圧指令を変換し、モーターの回転角より150度後行するように第2インバーターの相電圧指令を変換した例を説明するための電圧ベクター図である。
【0102】
【0103】
【0104】
図12は、図9に示した本発明の実施形態によるモーター駆動装置の制御によって生成される、各インバーターの電圧出力、0相電圧成分及び共通モード電流を示す波形図である。
【0105】
図12に示したように、両インバーターが出力する電圧ベクターが120度の差を有すれば、両電圧ベクターを用いた変調を遂行する場合、瞬時的に同じ0相成分電圧Vn1、Vn2を示すことを確認することができる。よって、両インバーターの0相成分電圧の差Vは瞬時的に0になり、よって0相成分電圧の差による0相成分電流リップル(共通モード電流)も0になることを確認することができる。
【0106】
一方、本発明の一実施形態で、各インバーターに対する0相成分電圧指令V は、互いに異なるように分配することもできる。すなわち、図9で、第2倍数部832と第4倍数部842によって設定される第1インバーターに対する倍数値Pと、第2インバーターに対する倍数値Pは、大きさが互いに異なるように決定されることができる。ここで、両倍数値の大きさの和は1にならなければならない(P+P=1)。
【0107】
0相成分電圧指令V の分配は、モーターの出力には影響を及ぼさないので、モーターの立場では同一である。
【0108】
一例として、0相成分電圧の大きさを同一に分配する場合(PとPの大きさが同一の場合)、スイッチングデッドタイムのようにインバーターに存在する誤差とそれに対する補償のために両インバーターの最終出力デューティーが変わり、これに対して一方のインバーターが先にデューティー制限にかかる場合が発生することがある。
【0109】
一方、両インバーターに0相成分電圧指令の分配に対して自由度を付与すれば、デッドタイムのようにインバーターに存在する誤差のために互いに変わるデューティーの最大値を同一に調整することができる手段を提供することができ、これによりモーターの出力を増大させることができる。すなわち、倍数値P1、P2のチューニングによって、インバーター自体が不可避に有することになる誤差による問題を適切に改善することができ、これによりモーターの出力を向上させることができる。
【0110】
このように、図9図12に基づいて説明した本発明の一実施形態では、両インバーターの電圧ベクターの位相を120度の差を有するように設定して両インバーターの空間ベクターパルス幅変調(Space Vector Pulse Width Modulation:SVPWM)による、0相成分出力電圧を同一に生成することにより両インバーターの間の0相成分スイッチング脈動を除去することができる。
【0111】
しかし、このような実施形態では、モーター駆動システム全体の電圧指令Vdqn からそれぞれのインバーターを駆動するための電圧を分離した後、それぞれのインバーターを空間ベクターパルス幅変調方式で駆動するための演算を遂行する方式を採用している。このような方式は座標変換、大きさ制限などのための多くの演算を要求し、コサイン、サイン演算などの離散化誤差によってインバーターの出力電圧が誤差を有する問題が発生することがある。
【0112】
したがって、本発明はより単純な演算によって、0相成分電圧によるスイッチング脈動を解決することができるさらに他の実施形態を提供する。
【0113】
図13は、本発明のさらに他の実施形態によるモーター駆動装置に適用されたコントローラーを詳細に示すブロック構成図であり、図14は、図13に示した空間ベクターパルス幅変調部をより詳細に示すコントローラーのブロック構成図である。
【0114】
図13及び図14を参照すると、本発明のさらに他の実施形態によるモーター駆動装置のコントローラー30は、座標変換部91と、空間ベクターパルス幅変調部92と、倍数部94と、第1極電圧指令生成部961と、第2極電圧指令生成部962とを含むことができる。図13に示したコントローラーの例は、図9に示した実施形態が含む電流指令マップ81と電流制御部82とを当たり前に含むことができる。すなわち、図13の実施形態の座標変換部91は、図9に示した実施形態の電流制御部82で生成されたモーターの電圧指令(同期座標系のdq電圧指令)Vdr 、Vqr を受けて動作することができる。
【0115】
座標変換部91は、電流制御部で生成されたモーターの電圧指令Vdr 、Vqr を受け、これをモーターの回転角(θ)に30度後行するように変換して、モーターの回転角(θ)に30度後行する相電圧指令Vas +*、Vbs +*、Vcs +*を生成することができる。座標変換部91によってなされる座標変換は、公知技術の逆回転変換(Inverse Clarke/Park Transformation)を適用して遂行することができる。
【0116】
空間ベクターパルス幅変調部92は、座標変換部91から出力されたモーターの回転角(θ)に30度後行する相電圧指令Vas +*、Vbs +*、Vcs +*を受け、これに基づいて空間ベクターパルス幅変調を遂行してモーターの回転角(θ)に30度後行する、制限された極電圧指令Vam_lim +*、Vbm_lim +*、Vcm_lim +*を生成することができる。
【0117】
より具体的には、空間ベクターパルス幅変調部92は、モーターの回転角(θ)に30度後行する相電圧指令Vas +*、Vbs +*、Vcs +*の中で最大値と最小値との平均に相当するオフセット電圧を生成するオフセット電圧生成部921と、オフセット電圧をモーターの回転角(θ)に30度後行する相電圧指令Vas +*、Vbs +*、Vcs +*から差し引いて遂行してモーターの回転角(θ)に30度後行する、極電圧指令Vam +*、Vbm +*、Vcm +*を生成する極電圧指令生成部922と、極電圧指令生成部922で生成されたモーターの回転角(θ)に30度後行する極電圧指令Vam +*、Vbm +*、Vcm +*の大きさを制限してモーターの回転角(θ)に30度後行する、制限された極電圧指令Vam_lim +*、Vbm_lim +*、Vcm_lim +*を生成する極電圧指令制限部923とを含むことができる。
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
第1極電圧指令生成部961は、倍数部94から出力される値にそれぞれ0相成分電圧指令V を0.5倍にして合算して、最終的に第1インバーター10に対する極電圧指令を生成することができる。
【0122】
第2極電圧指令生成部962は、第2インバーター20に対する極電圧指令を生成することができる。第1インバーター10の電圧がモーター電圧と比べて30度後行する場合、第2インバーター20の電圧指令は第1インバーターの電圧より120度さらに後行することになる。これは、第1極電圧指令の中でa相指令をb相指令に、第1極電圧指令の中でb相指令をc相指令に、第1極電圧指令の中でc相指令をa相指令にシフトさせたものに相当する。
【0123】
すなわち、第2極電圧指令生成部962は、倍数部94から出力される値からそれぞれ0相成分電圧指令V を0.5倍にして引き算し、倍数部94から出力される値の中でa相に相当する値から0相成分電圧指令V の1/2が引き算された値を第2インバーター20のb相極電圧指令に、倍数部94から出力される値の中でb相に相当する値から0相成分電圧指令V の1/2が引き算された値を第2インバーター20のc相極電圧指令に、倍数部94から出力される値の中でc相に相当する値から0相成分電圧指令V の1/2が引き算された値を第2インバーター20のa相極電圧指令として決定することができる。
【0124】
第1極電圧指令生成部961及び第2極電圧指令生成部962からそれぞれ出力される極電圧指令に基づいてデューティーを生成して、第1インバーター10内のスイッチング素子及び第2インバーター20内のスイッチング素子をスイッチング制御すれば、図9に示した実施形態のように、第1インバーターの電圧がモーター電圧指令より30度後行し、第2インバーターの電圧が第1インバーター電圧と120度の位相差を有するようにすることにより、0相成分電流を除去することができる。
【0125】
特に、図13及び図14に示した実施形態では、モーターの電圧指令に基づいてまず空間ベクターパルス幅変調を遂行した後、出力される結果に基づいてそれぞれのインバーターに対する極電圧指令を生成するから、図9に示した実施形態と比べて座標変換のための演算量を最小化することができ、よって、電圧変調演算のうちサイン、コサイン演算による離散化誤差を最小化することができる。
【0126】
一方、図13及び図14では、0相成分電圧指令V を0.5倍にするための倍数部95が適用されたが、図15に示したように、各インバーターに対する0相成分電圧指令V は互いに異なるように分配されることもできる。
【0127】
図15は、図13に示した実施形態のコントローラーの変形例を示すブロック構成図である。
【0128】
図15を参照すると、第1極電圧指令生成部961に合算される0相成分電圧指令に対する倍数値Pと第2極電圧指令生成部962に合算される0相成分電圧指令に対する倍数値Pは、大きさが互いに異なるように決定されることができる。ここで、両倍数値の大きさの和は1にならなければならない(P+P=1)。
【0129】
図9の実施形態の説明で既に記述したように、0相成分電圧指令V の分配はモーターの出力には影響を及ぼさないので、モーターの立場では同一である。両インバーターに0相成分電圧指令の分配に対して自由度を付与すれば、デッドタイムのようにインバーターに存在する誤差のために、互いに変わるデューティーの最大値を同一に調整することができる手段を提供することができ、これによりモーターの出力を増大させることができる。
【0130】
すなわち、図15に示した実施形態は、倍数値P、Pのチューニングにより、インバーター自体が不可避に有することになる誤差による問題を適切に改善することができ、これによりモーターの出力を向上させることができる。
【0131】
一方、図13図15で参照符号‘93’は、積分制御器(図9の電流制御器82に相当する)にフィードバックされる信号を作って与えるためのアンチワインドアップ演算部である。
【0132】
図13図15に示した実施形態では、電流制御器82の出力に相当するモーターの電圧指令V r*、V r*が空間ベクターパルス幅変調部92内の極電圧指令制限部923によって制限され、その後、各インバーターに対するスイッチング制御は制限された指令によって遂行される。すなわち、電流制御器82が正確なフィードバック制御を遂行するためには、自分が出力した電圧指令が実際にインバーター制御に適用されるときに制限された程度にフィードバックされる必要がある。
【0133】
アンチワインドアップ演算部93は、モーターの回転角(θ)に30度後行する制限された極電圧指令Vam_lim +*、Vbm_lim +*、Vcm_lim +*に、モーターの回転角(θ)に30度後行する回転変換(Clarke/Park Transformation)を遂行して電流制御器にフィードバックすることができる。
【0134】
加えて、本発明のさらに他の実施形態で、第1インバーター10の電圧はモーターの電圧指令に30度先行することもできる。この場合には、第2インバーター20の電圧が第1インバーター10の電圧と比べて120度先行することができる。よって、第2極電圧指令生成部962は、倍数部94から出力される値にそれぞれ0相成分電圧指令V を0.5倍にして合算し、倍数部94から出力される値の中でa相に相当する値に0相成分電圧指令V の1/2が合算された値を第2インバーター20のc相極電圧指令に、倍数部94から出力される値の中でb相に相当する値に0相成分電圧指令V の1/2が合算された値を第2インバーター20のa相極電圧指令に、倍数部94から出力される値の中でc相に相当する値に0相成分電圧指令V の1/2が合算された値を第2インバーター20のb相極電圧指令として決定することができる。
【0135】
このような第1インバーターと第2インバーターとの電圧位相関係は図10に示す。図10は、第1インバーターの電圧がモーター電圧より30度先行する場合の例を示すが、当該技術分野の通常の技術者であれば図10の例から第1インバーターの電圧がモーター電圧より30度後行する実施形態も充分に類推して実施することができる。
【0136】
以上で本発明の特定の実施形態について図示しながら説明したが、請求範囲の範疇内で本発明を多様に改良及び変化させることができるというのは、当該技術分野で通常の知識を有する者に明らかであろう。
【符号の説明】
【0137】
10 第1インバーター
20 第2インバーター
30 コントローラー
100 モーター
200 バッテリー
61、81 電流指令マップ
62、82 電流制御部
63、64、83、84 デューティー生成部
631、641、831、832、841、842 倍数部
632、642、833、843 座標変換部
633、634、834、844 空間ベクターパルス幅変調部
71 オフセット電圧生成部
711 オフセット電圧指令合成部
72 極電圧指令生成部
73 極電圧指令制限部
74 割り算部
75 合算部
91 座標変換部
92 空間ベクターパルス幅変調部
921 オフセット電圧生成部
922 極電圧指令生成部
923 極電圧指令制限部
93 アンチワインドアップ演算部
94、95、951、952 倍数部
961 第1極電圧指令生成部
962 第2極電圧指令生成部
S11-S16 第1スイッチング素子
S21-S26 第2スイッチング素子
S31-S33 第3スイッチング素子
L1-L3 巻線
図1
図2
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