(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025674
(43)【公開日】2023-02-22
(54)【発明の名称】アクチン構造の検出方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/53 20060101AFI20230215BHJP
C12Q 1/00 20060101ALI20230215BHJP
G01N 33/536 20060101ALI20230215BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20230215BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20230215BHJP
【FI】
G01N33/53 D
C12Q1/00
G01N33/536 D
G01N21/64 F
C12N15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104023
(22)【出願日】2022-06-28
(31)【優先権主張番号】P 2021130888
(32)【優先日】2021-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.PHOTOSHOP
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長崎 晃
(72)【発明者】
【氏名】上田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】貴嶋 紗久
(72)【発明者】
【氏名】加藤 薫
(72)【発明者】
【氏名】新海 陽一
(72)【発明者】
【氏名】落石 知世
(72)【発明者】
【氏名】大塚 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 保典
(72)【発明者】
【氏名】羽田 沙緒里
(72)【発明者】
【氏名】平野 和己
(72)【発明者】
【氏名】戸井 基道
【テーマコード(参考)】
2G043
4B063
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043EA01
2G043FA02
2G043KA01
2G043KA02
2G043KA03
2G043KA09
2G043LA01
2G043LA03
4B063QA01
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QR77
4B063QX02
(57)【要約】
【課題】各アクチン繊維構造体に含まれるアクチン分子特有の構造を識別し、各アクチン構造体を簡便にかつ客観的に検出する方法の提供。
【解決手段】下記の工程を含む、アクチン構造の検出方法。
〔1〕生体試料において、アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)、又は、アクチン可視化手段(1)、アクチン可視化手段(2)及びアクチン可視化手段(3)を用いて、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を取得する工程、
〔2〕前記各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を、それぞれ異なる色チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する工程
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の工程を含む、アクチン構造の検出方法。
〔1〕生体試料において、アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)、又は、アクチン可視化手段(1)、アクチン可視化手段(2)及びアクチン可視化手段(3)を用いて、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を取得する工程、
〔2〕前記各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を、それぞれ異なる色チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する工程
【請求項2】
前記アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)、又は、アクチン可視化手段(1)、前記アクチン可視化手段(2)、及び前記アクチン可視化手段(3)が、それぞれアクチンと特異的に結合する低分子化合物、アクチンと特異的に結合する抗体、アクチンと特異的に結合するペプチド、及びアクチン結合領域を含むタンパク質の全長若しくは該アクチン結合領域を含む断片からなる群より選択される1種のアクチンを認識する部位を介してアクチン繊維を特異的に認識する、請求項1に記載のアクチン構造の検出方法。
【請求項3】
前記各アクチン可視化手段に対応した可視化画像が、それぞれ異なって(a)近紫外色の蛍光標識化合物、(b)青色蛍光タンパク質若しくは青色の蛍光標識化合物、(c)緑色蛍光タンパク質若しくは緑色の蛍光標識化合物、(d)赤色蛍光タンパク質若しくは赤色の蛍光標識化合物、及び(e)近赤外色の蛍光標識化合物からなる群より選択される、赤系蛍光標識、緑系蛍光標識及び青系蛍光標識により可視化を行う、請求項1又は2に記載のアクチン構造の検出方法。
【請求項4】
前記工程〔2〕において、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を、それぞれ異なって赤(R)チャンネル、緑(G)チャンネル及び青(B)チャンネル、又は、シアン(C)チャンネル、マゼンダ(M)チャンネル及びイエロー(Y)チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する、請求項1又は2に記載のアクチン構造の検出方法。
【請求項5】
前記生体試料が固定処理をした生体試料である、請求項1又は2に記載のアクチン構造の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチン構造の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アクチン繊維は、中間径フィラメント及び微小管と共に、細胞骨格を形成する。アクチン繊維は、細胞内でラメリポディア、フィロポディア、ストレスファイバー等のアクチン構造を形成し、細胞の構造維持、細胞移動、細胞分裂等の各種細胞の機能の発揮に寄与している。また、組織を構成する細胞毎にアクチン構造体の種類や分布、その量が異なるため、細胞種特異的なアクチン構造体が検出できれば、組織内に存在する細胞種を区別同定することができる。さらに、細胞の状態(例えば、通常状態又はがん化状態)によりアクチン構造体の分布や量比は変化する。これらの変化を検出することは異常細胞の早期検出に繋がる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Julia Riedl et al.,Nat Methods.2008 Jul;5(7):605-7.
【非特許文献2】Wulf E. et al.,Proc Natl Acad Sci USA.1979 Sep;76(9):4498-502
【非特許文献3】Melak M. et al.,J Cell Sci.2017 Feb 1;130(3):525-530.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクチン分子は細胞内で重合することで繊維構造体を形成し、これらアクチン繊維構造体には様々な形態が存在し、さらに各アクチン繊維構造体に含まれるアクチン分子(プロトマー)は固有の分子構造をとると考えられている。細胞内機能に対応した各アクチン構造体の解析は、電子顕微鏡法により行うことができるが、試料の準備等に煩雑な手間を要し、必要な機器等の観点で汎用性を欠く。また、蛍光顕微鏡下で観察可能な各種アクチン染色により全てのアクチン繊維を可視化し、目視でアクチン構造の判別を行うこともできる。しかし、目視でアクチン構造の判別は、実験者の経験則に依存し、客観性及び定量性を欠く。さらに各アクチン構造体に含まれる特有のアクチン分子構造の変化は、細胞の形態及び機能に直結し、細胞の異常を検出するための良い指標ともなり得るが、僅かな構造変化を検出することは容易ではなく、疾患検出技術とはなりえていない。
このように、簡便にかつ客観的にアクチン構造体およびそれらのプロトマーであるアクチン分子の構造の違いを検出する方法が求められているのが現状である。
本発明は、各アクチン繊維構造体に含まれるアクチン分子特有の構造を識別し、各アクチン構造体を簡便にかつ客観的に検出する方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、2種又は3種のアクチン可視化手段による画像を重ね合わせることで、アクチン構造の差異を検出することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の態様を包含する。
<1> 下記の工程を含む、アクチン構造の検出方法。
〔1〕生体試料において、アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)、又は、アクチン可視化手段(1)、アクチン可視化手段(2)及びアクチン可視化手段(3)を用いて、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を取得する工程、
〔2〕前記各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を、それぞれ異なる色チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する工程
<2> 前記アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)、又は、アクチン可視化手段(1)、前記アクチン可視化手段(2)、及び前記アクチン可視化手段(3)が、それぞれアクチンと特異的に結合する低分子化合物、アクチンと特異的に結合する抗体、アクチンと特異的に結合するペプチド、及びアクチン結合領域を含むタンパク質の全長若しくは該アクチン結合領域を含む断片からなる群より選択される1種のアクチンを認識する部位を介してアクチン繊維を特異的に認識する、<1>に記載のアクチン構造の検出方法。
<3> 前記各アクチン可視化手段に対応した可視化画像が、それぞれ異なって(a)近紫外色の蛍光標識化合物、(b)青色蛍光タンパク質若しくは青色の蛍光標識化合物、(c)緑色蛍光タンパク質若しくは緑色の蛍光標識化合物、(d)赤色蛍光タンパク質若しくは赤色の蛍光標識化合物、及び(e)近赤外色の蛍光標識化合物からなる群より選択される、赤系蛍光標識、緑系蛍光標識及び青系蛍光標識により可視化を行う、<1>又は<2>に記載のアクチン構造の検出方法。
<4> 前記工程〔2〕において、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を、それぞれ異なって赤(R)チャンネル、緑(G)チャンネル及び青(B)チャンネル、又は、シアン(C)チャンネル、マゼンダ(M)チャンネル及びイエロー(Y)チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する、<1>~<3>のいずれか1つに記載のアクチン構造の検出方法。
<5> 前記生体試料が固定処理をした生体試料である、<1>~<4>のいずれか1つに記載のアクチン構造の検出方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、簡便にかつ客観的にアクチン構造を検出することができる、アクチン構造の検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、固定した培養細胞をAlexa 405ファロイジン、EGFP-Talin ABD、LifeAct-mCherryで染色したマージ画像及び各チャネルの染色像、並びに、青色、緑色及び赤色で表示される領域をそれぞれ抽出した画像である。
【
図2】
図2は、固定した線虫咽頭組織をAlexa 405ファロイジン、EGFP-Talin ABD、LifeAct-mCherryで染色したマージ画像及び各チャネルの染色像、並びに、青色、緑色及び赤色で表示される領域をそれぞれ抽出した画像である。
【
図3】
図3は、固定したホヤ幼生をAlexa 405ファロイジン、EGFP-Talin ABD、LifeAct-mCherryで染色したマージ画像及び各チャネルの染色像、並びに、緑色、黄色及び赤紫色で表示される領域をそれぞれ抽出した画像である。
【
図4】
図4は、固定したマウス脳切片をAlexa 405ファロイジン、GFP-Talin ABD、LifeAct-mCherryで染色したマージ画像、並びに、青~緑色、黄色及び赤色で表示される領域をそれぞれ抽出した画像である。
【
図5】
図5は、固定したマウス大腸切片をファロイジン-iFlour 405、GFP-Talin ABD、LifeAct-mCherryで染色したマージ画像及び各チャネルの染色像、並びに、青色、緑色及び紫色で表示される領域をそれぞれ抽出した画像である。
【
図6】
図6は、固定したヒトiPS細胞由来の脳オルガノイドをファロイジン-iFlour 405、GFP-Talin ABD、LifeAct-mCherryで染色したマージ画像及び各チャネルの染色像、並びに、青色、緑色及び紫色で表示される領域をそれぞれ抽出した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[アクチン構造の検出方法]
本発明のアクチン構造の検出方法は、下記の工程〔1〕及び〔2〕を含む。
〔1〕生体試料において、アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)、又は、アクチン可視化手段(1)、アクチン可視化手段(2)及びアクチン可視化手段(3)を用いて、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を取得する工程、
〔2〕前記可視化画像を、それぞれ異なる色チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する工程
【0009】
<工程〔1〕>
工程〔1〕では、生体試料において、アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)、又は、アクチン可視化手段(1)、アクチン可視化手段(2)及びアクチン可視化手段(3)を用いて、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を取得する。
【0010】
(生体試料)
生体試料が由来する生物は、アクチン構造を有するものであれば、特に限定されず、多細胞生物及び単細胞生物のいずれであってもよい。生体試料の種類も特に限定されず、例えば、真核生物等の単細胞生物や多細胞の微生物等の生物個体そのもの、多細胞生物から採取した臓器、組織片、細胞等及び病理切片等が挙げられる。臓器、組織片、細胞は、多細胞生物から採取した細胞そのものに限定されず、生体外で増殖、細胞株化、初期化、分化誘導等をしたものも含まれる。具体的には、組織片としては、生体由来の臓器の一部、生体外でiPS細胞等の幹細胞から作製したオルガノイド若しくは人工臓器等が挙げられる。
生体試料は、固定処理をした生体試料又は固定処理をしない生の生体試料のいずれであってもよく、好ましくは固定処理及び細胞膜透過処理をした生体試料である。固定処理としては、アセトン等の有機溶媒による固定、ホルマリンによる固定等が挙げられる。また、細胞膜透過処理はTriton X-100等の非イオン界面活性剤を使用した方法が挙げられる。固定処理及び細胞膜透過処理は、アクチン可視化手段に応じて適宜選択することが好ましい。
【0011】
(アクチン可視化手段)
工程〔1〕で使用するアクチン可視化手段は、アクチンを特異的に可視化できる手段であれば特に限定されない。
アクチン可視化手段は、アクチンを認識する部位及び可視化を可能にする蛍光標識部位を含むことが好ましい。
【0012】
・アクチンを認識する部位
アクチン可視化手段は、アクチンを認識する部位を介してアクチンを特異的に認識する。好ましくは、アクチンを認識する部位を介してアクチンと特異的に会合する。
アクチンを認識する部位としては、アクチンと特異的に結合する低分子化合物、アクチンと特異的に結合する抗体、アクチンと特異的に結合するペプチド(ただし、上記抗体以外)、アクチン結合領域を含むタンパク質の全長又は該アクチン結合領域を含む断片が挙げられる。
アクチンと特異的に結合する低分子化合物としては、ファロイジン、ジャスプラキノリド(例えば、商品名「SiR700-actin」、「SPY620-actin」、「SPY555-actin」(Spirochrome社製))、HMRef(例えば、商品名「SaraFluor497 actin probe」(五稜化薬株式会社製))、これらの誘導体等が挙げられる。
アクチンと特異的に結合する抗体としては、総アクチン抗体、βアクチン抗体、γアクチン抗体が挙げられる。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナ抗体のいずれであってもよい。また、抗体の由来生物は特に限定されず、マウス、ウサギ、ラット、ハムスター、モルモット、ニワトリ、ダチョウ、ヤギ、ヒツジ、ロバ等が挙げられる。
アクチンと特異的に結合するペプチドとしては、LifeAct(アミノ酸配列:MGVADLIKKFESISKEE(配列番号1))及びその改変体が挙げられる。LifeActの改変体としては、LifeAct×2、E17K変異体等が挙げられる。
アクチン結合領域を含むタンパク質としては、各種生物由来のTalinファミリータンパク質、ミオシンファミリータンパク質、Fimbrinファミリータンパク質、α-Actininファミリータンパク質、Caldesmonファミリータンパク質、Cofilinファミリータンパク質、イノシトール1,4,5-三リン酸3-キナーゼ(ITPKA)ファミリータンパク質(例えば、商品名「Utrophin」、「F-tractin」等)等;分裂酵母のRng2タンパク質等が挙げられる。アクチン結合領域を含むタンパク質の断片としては、各タンパク質のアクチン結合領域、ミオシンII S1フラグメント当が挙げられる。
【0013】
・蛍光標識部位
蛍光標識部位としては、蛍光化合物を使用することができる。蛍光化合物とは、特定の励起光を受容し、励起光とは異なる波長の蛍光を発する化合物を指す。通常、蛍光の波長は、励起光の波長よりも長波長である。
蛍光の波長は、検出可能な波長であれば限定されず、通常、300nm以上800nm以下であり、400nm未満程度の近紫外域、400nm以上760nm未満程度の可視光域、760nm以上程度の近赤外線域の波長を含む。
具体的には、青色、緑色、赤色等各色の蛍光タンパク質;近紫外色、青色、緑色、赤色、近赤外色の蛍光標識化合物が挙げられる。
蛍光タンパク質としては、青色蛍光タンパク質(例えば、BFP及びその改変体等)、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP及びその改変体等)、赤色蛍光タンパク質(mCherry、mRFP、DsRed及びそれらの改変体等)が挙げられる。
近紫外色の蛍光標識化合物としては、最大蛍光波長が300nm以上400nm未満程度の蛍光標識化合物が挙げられ、具体的にはAlexa Fluor 350が挙げられる。
青色の蛍光標識化合物としては、最大蛍光波長が430nm以上480nm未満程度の蛍光標識化合物が挙げられ、具体的にはAlexa Fluor 405、Cruz Fluor 405、iFluor405等が挙げられる。
緑色の蛍光標識化合物としては、最大蛍光波長が500nm以上560nm未満程度の蛍光標識化合物が挙げられ、具体的にはAlexa Fluor 488、Cruz Fluor 488、iFluor488、FITC等が挙げられる。
赤色の蛍光標識化合物としては、最大蛍光波長が610nm以上750nm未満程度の蛍光標識化合物が挙げられ、具体的にはAlexa Fluor 555、Alexa Fluor 594、Cruz Fluor 555、Cruz Fluor 594、iFluor 555、iFluor 594、Rhodamine等が挙げられる。
近赤外色の蛍光標識化合物としては、最大蛍光波長が760nm以上800nm未満程度の蛍光標識化合物が挙げられ、具体的にはAlexa Fluor 647、Alexa Fluor 700、Cy5、Cy5.5等が挙げられる。
【0014】
アクチンを認識する部位及び蛍光標識部位は、必要に応じてリンカーを介して共有結合していることが好ましい。アクチンを認識する部位及び蛍光標識部位が、それぞれタンパク質である場合、融合タンパク質であることが好ましい。抗アクチン抗体等の抗体による染色の場合は、二次抗体が蛍光標識化合物でラベルされていることが好ましい。
融合タンパク質は、公知タンパク質発現系及びタンパク質精製方法により得ることができる。
【0015】
(アクチン可視化手段の組み合わせ)
工程〔1〕において、アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)の2種のアクチン可視化手段、又は、アクチン可視化手段(1)、アクチン可視化手段(2)及びアクチン可視化手段(3)の3種のアクチン可視化手段を使用する。
使用する2種又は3種のアクチン可視化手段において、アクチンを認識する部位及び蛍光標識部位がそれぞれ互いに異なることが好ましい。
【0016】
互いに異なるアクチンを認識する部位の組合せとしては、LifeAct、マウスのTalinタンパク質のアクチン結合領域、ファロイジンが挙げられる。
なお、アクチン結合領域を含むタンパク質の全長又は該アクチン結合領域を含む断片は、同一のタンパク質ファミリーに属するタンパク質を複数同時に使用しないことが好ましい。
互いに異なる蛍光標識部位としては、互いの最大蛍光波長を分光して検出可能である蛍光標識化合物の組み合わせが挙げられる。具体的には、互いの最大蛍光波長が、それぞれ50nm以上離れている蛍光標識化合物の組み合わせが好ましい。また、蛍光顕微鏡等の蛍光検出手段が備えるバンドパスフィルターを用いて、互いの最大蛍光波長を分光して検出可能である蛍光標識化合物の組み合わせも好ましい。
本発明の好ましい態様において、アクチン可視化手段(1)及びアクチン可視化手段(2)の組み合わせは、好ましくは(a)近紫外色の蛍光標識化合物、(b)青色蛍光タンパク質若しくは青色の蛍光標識化合物、(c)緑色蛍光タンパク質若しくは緑色の蛍光標識化合物、(d)赤色蛍光タンパク質若しくは赤色の蛍光標識化合物、及び(e)近赤外色の蛍光標識化合物の5種から選ばれる異なる2種の組み合わせ、より好ましくは上記(b)~(d)の3種から選ばれる組み合わせである。また、アクチン可視化手段(1)、アクチン可視化手段(2)及びアクチン可視化手段(3)の組み合わせは、好ましくは上記(a)~(e)の5種から選ばれる異なる3種の組み合わせ、より好ましくは、(b)青色蛍光タンパク質若しくは青色の蛍光標識化合物、(c)緑色蛍光タンパク質若しくは緑色の蛍光標識化合物、及び(d)赤色蛍光タンパク質若しくは赤色の蛍光標識化合物の3種の組み合わせである。
【0017】
(可視化画像の取得)
工程〔1〕で、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を取得する。
各アクチン可視化手段において、それぞれのアクチン可視化手段に応じて、公知のアクチンプローブを用いた染色、抗アクチン抗体を用いた免疫染色等に準じて、具体的な可視化を行うことができる。
可視化画像を取得する手段としては、蛍光顕微鏡、蛍光実体顕微鏡、共焦点顕微鏡、多光子顕微鏡による観察などの従来公知の蛍光検出手段を用いることができる。これら蛍光イメージング手段を用いて、蛍光発光を蛍光イメージとして可視化し、可視化画像を取得することができる。
可視化画像は必要に応じて、コンピュータの格納領域に格納することができる。
かくして、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像を取得される。
【0018】
<工程〔2〕>
工程〔2〕は、前記工程〔1〕可視化画像を、それぞれ異なる色チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する。重ね合わせ画像の生成は、例えばImage J、Photoshop等の画像解析ソフトを適宜選択して行うことができる。
本発明の好ましい態様において、各アクチン可視化手段に対応した可視化画像、それぞれ異なって赤(R)チャンネル、緑(G)チャンネル及び青(B)チャンネル、又は、シアン(C)チャンネル、マゼンダ(M)チャンネル及びイエロー(Y)チャンネルに対応させた重ね合わせ画像を生成する。
【0019】
得られた重ね合わせ画像において、アクチン構造が検出される。
生体試料が細胞である場合、得られた重ね合わせ画像において、細胞内における特定のアクチン構造が特定の色相により検出される。具体的には、ストレスファイバー、接着斑、糸状仮足、葉状仮足、表層アクチン繊維等のアクチン構造を、それぞれ異なる色で検出することができる。また、細胞形態等により細胞内に存在するアクチン構造が異なるため、色相の違いに応じて、分化細胞又は未分化細胞であるかの判定;分化細胞の種類の判定等を行うことができる。
生体試料が多細胞の組織、臓器、多細胞生物そのもの等である場合は、得られた重ね合わせ画像において、組織内に存在する特定のアクチン構造を有する細胞が特定の色相により検出される。具体的には、細胞内に存在する特定のアクチン構造体の種類、分布、量等に応じて、それぞれ異なる色で検出することができる。その結果、細胞種の判定を行うことができる。
【0020】
本発明の効果が得られるメカニズムは定かではないが、アクチン繊維に対するアクチン可視化手段(アクチン結合性分子)の親和性が、アクチン構造毎に画一的ではなく僅かに異なることに基づくと考えられる。各アクチン結合性分子とアクチン繊維の間には、一見では認知できない程度の特異性の差異が存在し、このような差異が異なるアクチン可視化手段を用いて取得した可視化画像を重ね合わせることで顕在化し、アクチン構造の検出が達成されると考えられる。各アクチン結合性分子のアクチン繊維との特異性の差異は、結合能の違いを示しており、その結合能の差異は各アクチン構造を構成するアクチン分子の構造多型を反映していると考えられる。
【実施例0021】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
【0022】
製造例:タンパク質プローブの作製
EGFP-Talin ABDタンパク質及びLifeAct-mCherryタンパク質を大腸菌で発現させ、製造した。
【0023】
(i)低温発現誘導pCold Iベクター(タカラバイオ株式会社製)のマルチクローニングサイトのKpnIサイトとBamHIサイトの間に緑色蛍光タンパク質としてEGFPのcDNA(クロンテック社製)を挿入し、次いでEGFPの3’側のBamHIサイトとXbaIサイトの間にマウスのTalin ABD(Actin Binding Domain)のcDNA(配列番号2)を挿入し、EGFP-Talin ABDタンパク質の発現ベクターを得た。
【0024】
(ii)低温発現誘導pCold Iベクター(タカラバイオ株式会社製)のマルチクローニングサイトのBamHIサイトとEcoRIサイトの間に赤色蛍光タンパク質としてmCherry(タカラバイオ株式会社製)を挿入し、次いでmCherryの5’側のKpnIサイトとBamHIサイトの間にLifeActのcDNA(配列番号3)を挿入し、LifeAct-mCherryタンパク質の発現ベクターを得た。
【0025】
(iii)作製した発現ベクターを、タンパク質発現用大腸菌株Rosetta(DE3)(ノヴァジェン社製)にヒートショック法によりトランスフォームし、アンピシリン含有LB寒天培地上で、37℃において一晩培養した。
予め37℃に加熱したアンピシリン含有LB液体培地2mLにコロニーを接種し、37℃で約3時間前培養を行った。得られた前培養液を、200mLアンピシリン含有LB液体培地に接種し、37℃で本培養を行った。
濁度OD600が0.5となった時点で培養液を15℃に移し、30分間冷却した。その後、1mM IPTG(富士フイルム和光純薬株式会社製)を添加した。引き続き16℃で振盪培養を一晩行い、コールドショックによりタンパク質の発現を誘導した。
【0026】
培養液から遠心分離処理により大腸菌の菌体を回収し、凍結融解処理後、100mM 塩化ナトリウム、10mM Tris-HCl(pH8)、0.1% Triton X-100を含む破砕バッファーに菌体を懸濁し、超音波破砕機により破砕した。
破砕液から遠心分離処理により上清を回収し、上清に100mM 塩化ナトリウム、10mM Tris-HCl(pH8)を含む精製バッファーで予め平行化したニッケルNTAアガロース(キアゲン社製)を加えた。
撹拌しながら4℃で一時間静置し、融合タンパク質をニッケルNTAアガロースに吸着させた。遠心分離処理によりニッケルNTAアガロースを回収し、精製バッファーで2回、10mM イミダゾール(富士フイルム和光純薬株式会社製)を添加した精製バッファーで2回洗浄した。
その後、200mMイミダゾールを添加した精製バッファーで融合タンパク質を溶出した。過剰量の精製バッファーで一晩透析を行い、EGFP-Talin ABDタンパク質及びLifeAct-mCherryタンパク質の溶液を得た。
【0027】
実施例1:培養細胞
(1)固定処理
培養細胞U2OS細胞をカバーガラス上で24時間以上培養した。
培養細胞を1mM塩化マグネシウム及び1mM DTTを含むPBS緩衝液(以下、「サンプルバッファー」ともいう。)で洗浄した後、0.5%ホルムアルデヒド溶液中、室温で20分間固定処理を行った。その後、サンプルバッファーで3回洗浄した。0.1%Triton X-100を含むサンプルバッファー中で更に室温で20分間静置し、細胞膜の透過処理をした。再度サンプルバッファーで3回洗浄し、細胞の固定試料を得た。
【0028】
(2)染色処理
Alexa 405ファロイジン(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、並びに、製造例1で得たEGFP-Talin ABDタンパク質(最終濃度35μg/mL)及びLifeAct-mCherryタンパク質(最終濃度40μg/mL)を含むサンプルバッファーを、固定試料に加え、遮光条件下、室温で30分間静置した。
その後、サンプルバッファーで3回洗浄した後、3%ホルマリン、1mM 塩化マグネシウムを含むPBS緩衝液中、室温で20分間更に固定処理を行い、染色プローブを安定的に結合させた。
サンプルバッファーで3回洗浄し、蛍光褪色防止剤を含む封入剤(ProLong Gold、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いてプレパラート試料を作成した。
【0029】
(3)顕微鏡観察
作製したプレパラート試料を作成し、蛍光顕微鏡等で観察し、蛍光像を取得した。
Alexa 405ファロイジンは、405nmを中心波長とした励起光で励起し、青色チャンネルを通してモノクロ蛍光像を取得した。EGFP-Talin ABDタンパク質は、488nmを中心波長とした励起光で励起し、緑色チャンネルを通してモノクロ蛍光像を取得した。LifeAct-mCherryタンパク質は、560nmを中心波長とした励起光で励起し、赤色チャンネルを通してモノクロ蛍光像を取得した。
【0030】
(4)画像処理
各チャネルを通り取得した蛍光像を、画像処理ソフトウェアを用いて重ね合わせて、フルカラーの重ね合わせ(マージ)画像を取得した。
マージ画像から、青色成分、緑色成分及び赤色成分を抽出した。結果を
図1に示す。
【0031】
実施例2:線虫Caenorhabditis elegans
(1)フリーズクラック法
線虫Caenorhabditis elegansの個体を、接着性を付加したMAS-GP typeA コートスライドグラス(松浪硝子工業株式会社製)2枚に挟み、凍結後に2枚のスライドガラスを引き剥がした。このようなフリーズクラック法の処理により、個体表面のクチクラ構造を除去した。
【0032】
(2)固定処理
3%ホルムアルデヒド溶液中、室温で20分間固定処理を行った。その後、サンプルバッファーで3回洗浄した。0.1%Triton X-100を含むサンプルバッファー中で更に室温で20分間静置し、細胞膜の透過処理をした。再度サンプルバッファーで3回洗浄し、線虫の固定試料を得た。
【0033】
(3)染色処理、顕微鏡観察、画像処理
その後の操作は実施例1と同様にして、青色、緑色及び赤色の各チャネルを通り取得した蛍光像、並びに、重ね合わせ(マージ)像を取得した。
マージ画像から、青色成分、緑色成分及び赤色成分を抽出した。結果を
図2に示す。
【0034】
実施例3:カタユウレイボヤCiona intestinalisの幼生
(1)固定処理
カタユウレイボヤCiona intestinalisの幼生個体を、サンプルチューブ内において12%ホルムアルデヒドを含むPBS緩衝液中で、室温で30分間固定処理を行った。サンプルバッファーで3回洗浄した。0.1%Triton X-100を含むサンプルバッファー中で更に室温で15分間静置し、細胞膜の透過処理をした。再度サンプルバッファーで3回洗浄し、ホヤ幼生の固定試料を得た。
【0035】
(2)染色処理
Alexa 405ファロイジン(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)、並びに、製造例1で得たEGFP-Talin ABDタンパク質(最終濃度35μg/mL)及びLifeAct-mCherryタンパク質(40μg/mL)を含むサンプルバッファーを、固定試料に加え、遮光条件下、冷蔵庫内4℃で一晩静置した。
その後、サンプルバッファーで3回洗浄した後、3%ホルマリン、1mM 塩化マグネシウムを含むPBS緩衝液中、室温で20分間更に固定処理を行い、染色プローブを安定的に結合させた。
サンプルバッファーで3回洗浄し、蛍光褪色防止剤を含む封入剤(ProLong Gold, サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いてプレパラート試料を作成した。
(2)顕微鏡観察、画像処理
その後の操作は実施例1と同様にして、青色、緑色及び赤色の各チャネルを通り取得した蛍光像、並びに、重ね合わせ(マージ)像を取得した。
マージ画像から、緑色成分、黄色成分及び赤紫色成分を抽出した。結果を
図3に示す。
【0036】
実施例4:マウスの脳切片
(1)切片の作製
4%ホルマリンを含むリン酸バッファーで灌流固定したマウスから、脳の凍結組織切片を作製した。脳切片を過剰量のサンプルバッファー中、室温で30分間静置した。その後、0.1%Triton X-100溶液中含むサンプルバッファー中で更に室温で15分間静置し、細胞膜の透過処理をした。再度サンプルバッファーで3回洗浄し、マウスの脳切片の試料を得た。
【0037】
(2)固定処理、染色処理、顕微鏡観察、画像処理
その後の操作は実施例3と同様にして、青色、緑色及び赤色の各チャネルを通り取得した蛍光像、並びに、重ね合わせ(マージ)像を取得した。
マージ画像から、緑色成分、黄色成分及び赤紫色成分を抽出した。結果を
図4に示す。
【0038】
実施例5:マウスの大腸切片
(1)切片の作製
4%ホルマリンを含むリン酸バッファーで灌流固定したマウスから、大腸の凍結組織切片を作製した。脳切片を過剰量のサンプルバッファー中、室温で30分間静置した。その後、0.1%Triton X-100を含むサンプルバッファー中で更に室温で15分間静置し、細胞膜の透過処理をした。再度サンプルバッファーで3回洗浄し、マウスの脳切片の試料を得た。
【0039】
(2)固定処理、顕微鏡観察、画像処理
その後の操作はAlexa 405ファロイジンに替えてファロイジン-iFluor 405(アブカム社製)を用いた以外は実施例3と同様にして、青色、緑色及び赤色の各チャネルを通り取得した蛍光像、並びに、重ね合わせ(マージ)像を取得した。結果を
図5に示す。
【0040】
実施例6:ヒト脳オルガノイド
(1)固定処理
ヒト由来のiPS細胞から作製した脳オルガノイドをサンプルチューブ内において4%ホルムアルデヒドを含むPBS緩衝液中で、室温で一時間固定処理を行った。サンプルバッファーで3回洗浄した。0.1%Triton X-100を含むサンプルバッファー中で更に室温で一時間静置し、細胞膜の透過処理をした。再度サンプルバッファーで3回洗浄し、脳オルガノイドの固定試料を得た。
なお、脳オルガノイドの作製は、文献:Anca M Pasca et al.,Nat Methods. 2015 Jul;12(7):671-8.及び文献:Fikri Birey et al.,Nature. 2017 May 4;545(7652):54-59.の記載に準じて行った。
【0041】
(2)顕微鏡観察、画像処理
その後の操作はAlexa 405ファロイジンに替えてファロイジン-iFluor 405(アブカム社製)を用いた以外は実施例3と同様にして、青色、緑色及び赤色の各チャネルを通り取得した蛍光像、並びに、重ね合わせ(マージ)像を取得した。結果を
図6に示す。
【0042】
上記実施例1~6において、顕微鏡として、蛍光ミラーユニットを備えた倒立型顕微鏡「IX80」(オリンパス株式会社製)及び共焦点レーザー顕微鏡システムA1(株式会社ニコン製)を使用した。また、画像処理ソフトウェアとして、ImageJ(米国、国立衛生研究所製)及びNIS-Elements(ニコン株式会社製)を使用した。
【0043】
考察
細胞には多種多様なアクチン繊維構造体が存在し、各細胞種によって細胞内に形成されるアクチン繊維構造体の組合せとその割合は異なる。真核細胞には多数のアクチン結合タンパク質が存在しており、各種アクチン繊維構造体はそれぞれ特有のアクチン結合タンパク質が様々な組み合わせで結合し、形成制御することによってアクチン繊維構造体の多様性が担保されている。このことからアクチン繊維中のアクチン分子にはアクチン繊維構造体特有の様々なアクチン結合分子が結合しており、プロトマーであるアクチン分子構造に影響を与えており、アクチン繊維構造体間におけるアクチン分子構造の僅かな違いが、各種アクチン結合分子の結合力に違いを生じさせている可能性が考えられる。
本発明のアクチン構造の検出方法は、異なる蛍光分子を結合させたアクチン結合分子を複数種用いて細胞を検出し、各アクチン結合分子のアクチン繊維構造体に対する親和性の差をフルカラーのマージ画像によって強調することでアクチン構造を個別に検出する新規の方法である。得られたフルカラー画像から特定の色相、すなわち特定の割合に基づく各チャネル(例えば、RGB)の画像の重なり領域を、画像処理ソフトウェアの操作(例えば、ImageJのColor thresholdやPhotoshopの色域指定等)を利用することで、細胞内における特定のアクチン構造を抽出できる。また、細胞形態により細胞内に存在するアクチン構造体が異なるため、分化と未分化細胞となど異なる細胞種を判別することできる。
さらに、本発明の検出方法を組織切片に適応することにより、従来の色素を用いた手法では検出できなかった細胞種を容易に分けて染色することで検出が可能となる。加えて、一般的な免疫組織染色とは異なり、本発明の検出方法は組織の細胞内において存在量が顕著に多いアクチンタンパク質を標的とすることから、幅広い細胞種に対して有効な染色法である。近年、再生医療分野等で注目されているオルガノイド形成における組織の分化指標や標準化への適用が期待される。