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特開2023-2570NAFLD、脂肪肝、および、その後遺症を処置するための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002570
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】NAFLD、脂肪肝、および、その後遺症を処置するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/28 20060101AFI20221227BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 45/06 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221227BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20221227BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20221227BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20221227BHJP
   C07K 14/62 20060101ALN20221227BHJP
   C12N 15/17 20060101ALN20221227BHJP
   C12N 15/16 20060101ALN20221227BHJP
   C07K 14/605 20060101ALN20221227BHJP
【FI】
A61K38/28 ZNA
A61P1/16
A61K45/06
A61K9/08
A61P43/00 111
A61K47/18
A61K9/48
A61K47/44
C07K14/575
C07K14/62
C12N15/17
C12N15/16
C07K14/605
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022156787
(22)【出願日】2022-09-29
(62)【分割の表示】P 2020102461の分割
【原出願日】2014-01-02
(31)【優先権主張番号】PCT/IL2013/050007
(32)【優先日】2013-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(31)【優先権主張番号】61/763,996
(32)【優先日】2013-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510255716
【氏名又は名称】オラムド エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】キドロン,ミリアム
(72)【発明者】
【氏名】アービット,エフド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、脂肪肝、およびその後遺症を処置するまたはその発生率を低下させる経口医薬組成物を提供する。
【解決手段】II型糖尿病を患っている被験体において非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の進行を阻害するか、またはNASHを処置するための、インスリンを含む経口医薬組成物であって、当該経口医薬組成物はGLP-1アナログ、プロテアーゼ阻害剤および/または二価カチオンのキレート化剤、または液体製剤を含み、ここで、前記インスリンは前記液体製剤中にあり、当該液体製剤は水を含まない油ベースの液体製剤である、経口医薬組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)の進行を阻害するまたはNAFLDを処置するための経口の医薬組成物であって、
インスリン、GLP-1アナログ、またはその組み合わせ、プロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む、経口の医薬組成物。
【請求項2】
前記医薬組成物は1か月以上投与される、請求項1に記載の経口の医薬組成物。
【請求項3】
前記医薬組成物は一日1回または一日2回投与される、請求項1に記載の経口の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物は液体製剤を含み、前記インスリン、GLP-1アナログ、またはその組み合わせ、前記プロテアーゼ阻害剤、および前記二価カチオンのキレート化剤は前記液体製剤中にある、請求項1に記載の経口の医薬組成物。
【請求項5】
前記液体製剤はカプセルの内部にある、請求項4に記載の経口の医薬組成物。
【請求項6】
前記カプセルは、胃での分解に抵抗するコーティングによって囲まれている、請求項5に記載の経口の医薬組成物。
【請求項7】
前記液体製剤は油ベースの液体製剤である、請求項4に記載の経口の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は固体の製剤である、請求項1に記載の経口の医薬組成物。
【請求項9】
前記GLP-1アナログは、大人の患者で投与量あたり100-600マイクログラム(含む)の量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項1乃至8のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項10】
前記GLP-1アナログは、大人の患者で投与量あたり100-300マイクログラム(含む)の量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項9に記載の経口の医薬組成物。
【請求項11】
前記GLP-1アナログはエキセナチドである、請求項9または10に記載の経口の医薬組成物。
【請求項12】
前記インスリンは、大人の患者で投与量あたり8-32mg(含む)の量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項1乃至8のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項13】
前記インスリンは、大人の患者で投与量あたり4-12mg(含む)の量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項1乃至8のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項14】
前記インスリンに加えて、前記GLP-1アナログは、大人の患者で投与量あたり100-300マイクログラム(含む)の量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項13に記載の経口の医薬組成物。
【請求項15】
前記GLP-1アナログはエキセナチドである、請求項14に記載の経口の医薬組成物。
【請求項16】
前記プロテアーゼ阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤(SBTI)、ボーマン-バーク阻害剤(BBI)、クニッツ大豆トリプシン阻害剤3(KTI3)、およびアプロチニンからなる群から選択され、これらはそれぞれ、単独で、または別のプロテアーゼ阻害剤と組み合わせて存在することもある、請求項1乃至15のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項17】
1以上のプロテアーゼ阻害剤が存在し、前記プロテアーゼ阻害剤はトリプシンおよびキモトリプシンを集団的に阻害する、請求項1乃至15のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項18】
2つのプロテアーゼ阻害剤が前記組医薬成物中に存在し、前記2つのプロテアーゼ阻害剤はSBTIとアプロチニンである、請求項1乃至15のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項19】
2つのプロテアーゼ阻害剤が前記組医薬成物中に存在し、前記2つのプロテアーゼ阻害剤は単離したKTI3と単離したBBIである、請求項1乃至15のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項20】
2つのプロテアーゼ阻害剤が前記組医薬成物中に存在し、前記2つのプロテアーゼ阻害剤は(i)単離したKTI3と(ii)アプロチニンである、請求項1乃至15のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項21】
1つのプロテアーゼ阻害剤が前記組医薬成物中に存在し、前記1つのプロテアーゼ阻害剤は単離したBBIである、請求項1乃至15のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項22】
前記キレート化剤はEDTAである、請求項1乃至21のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項23】
油はオリーブオイル、アマニ油、ゴマ油、アボカド油、クルミ油、キャノーラ油、および魚油から選択される、請求項7-22のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項24】
前記油は魚油である、請求項23に記載の経口の医薬組成物。
【請求項25】
前記油ベースの液体製剤は水を含まない、請求項7-24のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項26】
前記GLP-1アナログはエキセナチドである、請求項1-10、12-14、および16-25のいずれかに記載の経口の医薬組成物。
【請求項27】
ヒトの被検体においてNAFLDの進行を阻害するまたはNAFLDを処置するための方法であって、
請求項1-26のいずれかに記載の経口の医薬組成物を前記被験体に投与する工程を含み、それによって、NAFLDの進行を阻害するまたはNAFLDを処置する、方法。
【請求項28】
前記医薬組成物は1か月以上投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ヒトではない被検体においてNAFLDの発生を阻害するまたはNAFLDを処置するための方法であって、
請求項1-26のいずれかに記載の経口の医薬組成物を前記ヒトではない被験体に投与する工程を含み、それによって、NAFLDの発生を阻害するまたはNAFLDを処置する、方法。
【請求項30】
前記医薬組成物は1か月以上投与される、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、脂肪肝、およびその後遺症を処置し、ならびにその発生率を低下させるために、GLP-1アナログおよび/またはインスリンを含む経口医薬組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
食物摂取の数分以内に分泌されるインクレチンホルモングルカゴン様ペプチド1(GLP-1)は、インスリン放出の誘導に関連付けられる。GLP-1は2型糖尿病(T2DM)の治療で使用される。
【0003】
天然のGLP-1の臨床的な使用は、2-3分の半減期を生じさせるその迅速な酵素の不活性化ゆえに限定されている。この障害を克服するために、GLP-1の模倣薬またはアナログと呼ばれる、天然または合成の、長時間作用型で耐分解性のペプチドが設計され、使用されている。
【0004】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、脂肪肝または無菌性の(bland)脂肪症、および、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、繊維症を含む小葉性壊死性炎症(lobular necroinflammation)、ならびに、硬変などの後遺症を含む様々な慢性疾患である(非特許文献1、非特許文献2)。NAFLD関連の硬変は、末期の肝臓疾患および肝細胞癌(HCC)につながりかねない。他の慢性的な末期の肝臓疾患のように、罹患している人に対する主たる選択肢は肝移植である。NAFLDは特定の脂質異常症に関連しているように思われている(非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5)。西洋の食事の重要な成分が飽和脂肪酸とトランス飽和脂肪酸の両方を含んでいる。最近の証拠によると、こうした脂肪酸は脂肪症を引き起こし、肝細胞インスリン抵抗性を煽ることに部分的に関与している(非特許文献6)。
【0005】
いくつかの研究では、GLP-1が肝細胞中の脂肪負荷を減らし、NAFLDに役立つこともあると示されているが、他の研究では、GLP-1は、NAFLDを悪化させると予想される肝グリコーゲンシンターゼ活性を増加させることが実証されている。確かに、肝細胞中にまさにGLP-1受容体が存在しているということ自体が依然として論争の的である(非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10、非特許文献11)。こうした薬剤に対する肝細胞の反応を完全に理解するためには、GLP-1に応答した炎症および繊維症のより厳正な評価が必要であると考えられている(非特許文献12)。
【0006】
アルツハイマー症としても知られているアルツハイマー病(AD)は認知症の最も一般的な形態である。この疾患に対する治療法はなく、進行すれば悪化し、死に至る。ADは65歳以上の人で最も頻繁に診断されるが、さほど一般的ではないアルツハイマー病の初期の発症がはるかに早い段階で生じることもある。2006年には世界中で2660万人がこの病に苦しんでいた。ADの原因はよく分かっていないが、脳内のアミロイドβペプチドとタウタンパク質の蓄積に一般的に関連しており、多くの科学者たちはこうした物質が原因に一定の役割を果たしていると考えている。
【0007】
パーキンソン病(PD;特発性または原発性のパーキンソン症候群、運動低下性剛直症候群(hypokinetic rigid syndrome)/HRS、あるいは、振戦麻痺としても知られている)は、中枢神経系の変性疾患である。パーキンソン病の運動症状は、中脳の領域である黒質内のドーパミン生成細胞の死亡に起因するが、その原因は分かっていない。疾患の経過では、動作関連の症状、後に発生する思考および行動の問題、および高度な疾患で生じる認知症が一般的に見られる。パーキンソン病は高齢者にもっとも多くみられ、50歳に達した後に生じる場合がほとんどである。
【0008】
ハンチントン病(HD)は神経変性の遺伝病であり、筋肉の協調に影響を与え、認知力低下や精神医学的な問題を引き起こす。HDは典型的には中年期に顕著である。ハンチンチン遺伝子は、「ハンチンチン」と呼ばれるタンパク質に遺伝子情報を提供する。ハンチンチン内部でのCAGトリプレットリピートストレッチ(triplet repeat stretch)の拡張は、変異形態のタンパク質を結果としてもたらし、これが十分には理解されていない機構を介して脳の細胞を徐々に破損する。
【0009】
ルー・ゲーリッグ病や運動ニューロン疾患としても知られている筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、任意の運動系の不治の神経変性障害である。ALSは、脳と脊髄内の運動ニューロンの選択的および進行性の死を特徴としており、随意筋を麻痺させ、臨床的発症から5年以内に死に至る。ALSのほとんどの事例が未知の病因で散発的に生じ得る(非特許文献13)。
【0010】
外傷性脳損傷(TBI)には毎年170万人のアメリカ人が侵されており、アメリカ合衆国のすべての損傷関連死の第一位の原因(30.5%)である。とりわけ、高齢者はTBIに脆弱であり、初期の損傷の重症度の低さにもかかわらず、死亡率は増加しており、機能的帰結は悪化している。多くの生存者が、認知、運動機能、および人格の永続的な変化と、長期間または不治の神経認識障害を経験する(非特許文献14)。
【0011】
気分障害(例えば、双極性障害(BD)や大うつ病(MDD))は広く蔓延しており、全人口の10-15%が生涯のある時点で影響を受けている。気分障害も同様に、処置された個体や処置されていない個体の躁うつ寛解期の間にも持続することが多い様々な認識障害に関係している。認識障害は、限定されないが、学習、記憶(例えば、作動記憶、エピソード記憶、および意味記憶)、注意、実行機能、処理速度、および社会的認知の欠損を含むほとんどの機能領域について文書化されている。しかしながら、気分障害用の従来の薬物は、客観的および/または主観的に測定された認識障害を処置するのに十分に有効であるとは証明されていない(非特許文献15)。
【0012】
脳卒中は血管の封鎖または破裂によって引き起こされ、これが周囲組織への血流の破壊をもたらす。脳卒中の領域の組織は不可逆的な損傷を受けることがあり、結局、壊死して死ぬことになる。この細胞死と結果として生じる脳損傷は予防できないこともあるが、損傷を受けた脳梗塞領域を囲む領域には治療を受け入れやすいこともある組織の領域が存在する(非特許文献16)。
【0013】
網膜変性の1つの形態である糖尿病性網膜症は、糖尿病の合併症によって引き起こされる網膜の損傷であり、最終的には失明に至ることもあり得る。糖尿病性網膜症は全身性疾患である糖尿病の眼の症状であり、10年以上糖尿病に罹患しているすべての患者の最大で80%を襲う(非特許文献17)。
【0014】
末梢神経障害(PN)は末梢神経系の神経の損傷または疾患である。末梢神経障害は、発症した神経のタイプに依存して、感覚、動作、腺、または、臓器の機能、および健康状態の他の態様に影響を与えることもある。PNは、糖尿病またはハンセン病などの全身性疾患、ビタミン欠乏、薬物(例えば、化学療法)、外傷、過度のアルコール摂取、免疫系疾患、または感染症によって引き起こされることもあり、あるいは遺伝することもある(非特許文献18)。
【0015】
現在に至るまで、GLP-1アナログは注射可能な形態としてのみ利用可能である。本発明者らは、糖尿病を処置する際に使用される経口のエキセナチド(GLP-1アナログ)製剤を開発している。健康なヒトにおける安全性を試験するfirst-in-humans trial(n=4)は、経口で送達されたエキセナチドの生物学的な機能性を実証した(非特許文献19)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Sharma et al,2011
【非特許文献2】Puri et al,2008
【非特許文献3】Malhi et al,2008
【非特許文献4】Retnakaran R et al 2012
【非特許文献5】Sung et al,2012
【非特許文献6】Centis et al,2010
【非特許文献7】Nielsen et al 2008
【非特許文献8】Redondo et al, 2003
【非特許文献9】Lopez-Delgado et al,1998
【非特許文献10】Sharma et al, 2011
【非特許文献11】Ben-Shlomo et al 2011
【非特許文献12】Kim et al, 2012
【非特許文献13】Li et al
【非特許文献14】Eakin et al
【非特許文献15】Mclntyre et al
【非特許文献16】Salcedo et al
【非特許文献17】Kertes et al
【非特許文献18】Hughes
【非特許文献19】Eldor et al 2010
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本明細書では、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)、脂肪肝、およびその後遺症を処置および予防するために、GLP-1アナログおよび/またはインスリンを含む経口医薬組成物と、同じ経口医薬組成物を利用する方法が提供される。経口剤形は吸収の門脈経路を利用する傾向があるため、皮下、全身、および他の投与経路からの結果を経口投与にあてはめて推定することはできない。発明者の知る限りでは、経口で投与されたGLP-1アナログは、NAFLD、その後遺症、または神経変性疾患の処置に関して試験されたことがない。
【0018】
記載された組成物は、膵臓の外側のGLP-1受容体によって媒介される他の治療効果と同様に、NAFLDの後遺症を処置および予防することができることが本明細書に記載されている。したがって、記載された組成物は、肥満、総コレステロールの上昇、高トリグリセリド血症、血清ApoB値の上昇、総コレステロール/HDL比の上昇、および、ApoB/ApoA1比率の上昇、アテローム性動脈硬化、無症候性の炎症、血栓形成促進性の状態、血小板活性化、内皮機能障害、心塞栓(cardioembolic)状態、および、血管拡張反応のインスリン誘導強化の悪化を処置および予防することができる(Sung et al,2012; Chatrath et al 2012; Nseir et al,2011; Salcedo et al,2012)。記載された組成物は様々な神経変性障害を処置することができることも記載されている。
【0019】
同様に、本明細書は、被験体に治療用のタンパク質を投与するための固体の医薬組成物も提供される。
【0020】
「タンパク質」及び「ペプチド」との用語は本明細書では交換可能に用いられる。どちらの用語も、限定が明らかに明示されている場合を除いて、存在するアミノ酸の数の限定を与えるようには意図されない。
【0021】
他の方法で明示されていない限り、本明細書で言及される範囲はすべてを含む。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書では、ヒトの非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を処置するまたはその発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および、二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1、アナログ、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。さらに別の実施形態において、医薬組成物は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間、被験体に投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は固体の製剤である。他の実施形態では、記載された医薬組成物は液体製剤を含み、前記製剤は、特定の実施形態で、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングによって囲まれている。いくつかの実施形態において、液体製剤は油ベースの液体製剤である。液体製剤のいくつかの実施形態は、GLP-1アナログ、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤(その例はトリプシン阻害剤、およびキモトリプシン阻害剤である)、および二価カチオンのキレート化剤を含む。他の実施形態では、液体製剤は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。GLP-1アナログおよびその量、インスリンまたはその量、プロテアーゼ阻害剤、キレート化剤、コーティングなどに関するそれぞれの記載された実施形態は、同様に、とりわけ、一般的な油ベースの液体製剤の文脈において、ならびに本明細書に記載される固体の製剤の文脈においても、特定の実施形態であると考えられるように意図されている。当業者は本開示に照らして、固体剤形が、記載された液体製剤からの不活性な賦形剤の異なるリストを含むこともあることを認識するであろう。
【0024】
いくつかの実施形態では、記載された医薬組成物を受け取る被験体はすでにNAFLDを患っている。他の実施形態では、被験体はNAFLDを進行させる危険性がある。
【0025】
また別の態様では、本明細書に記載される成分の組み合わせの使用は、ヒトのNAFLDを処置するための薬物の調製で提供される。
【0026】
さらに別の態様は、ヒトのNAFLDを処置またはその発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、NAFLDを診断することによって被験体を選択する随意の工程、その後、本明細書に記載される医薬組成物をこうした処置を必要としている被験体に投与する工程を含み、それによって、ヒトのNAFLDを処置またはその発生率を低下させる。
【0027】
特定の実施形態では、処置される障害は、無菌性の脂肪症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および、繊維症を含む小葉性壊死性炎症からなる群から選択される。他の実施形態では、疾患は無菌性の脂肪症であり、他の実施形態では、疾患は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)であり、さらに他の実施形態では、疾患は繊維症を含む小葉性壊死性炎症である。
【0028】
当業者は、本開示に照らして、NAFLDおよびその後遺症が、糖尿病を患った被験体、明白な糖尿病を患っていないインスリン抵抗性を示す被験体、およびインスリン抵抗性を示さない被験体に存在することもあるということを認識するであろう。いくつかの実施形態では、記載された方法および組成物によって処置された被験体は、インスリン抵抗性を示すが、明白な糖尿病を患ってはいない。他の実施形態では、被験体はインスリン抵抗性を示さない。他の実施形態では、被験体は肥満であるが、適切に制御された血漿ブドウ糖値を有している。他の実施形態では、処置された被験体は肥満ではない(Younossi et al 2012)。
【0029】
非アルコール性脂肪性肝炎を診断して測定する方法は当該技術では周知であり、例えば、超音波(例えば、肝腎コントラスト、肝臓輝度、腹部超音波検査下での血管不鮮明(Saverymuttu et al);肝臓酵素値、例えば、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ、および、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)の測定;脂質生成に関与する遺伝子の肝臓mRNA値;および肝臓のジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ-2(DGAT2)値;(Miyashita T et al 2012; Sung et al 2012; and Juurinen et al 2007);核磁気共鳴映像法(Mazhar et al,2009)、および、アディポネクチン値の測定、を含んでいる。
【0030】
本明細書に開示された様々な障害はNAFLDの後遺症であることが当業者によって理解されよう(例えば、 Sung et al, 2012; Chatrath et al 2012; Nseir et al, 2011; Salcedo et al, 2012を参照)。他の事例では、GLP-1はNAFLDに対するその効果と無関係に治療効果を有することができるということも当業者によって理解されよう。
【0031】
本明細書では、別の実施形態において、脂肪肝を患うヒトにおける総コレステロールの上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0032】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、脂肪肝を患うヒトにおける総コレステロールの上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0033】
さらに別の態様は、脂肪肝を患う被験体における総コレステロールの上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、脂肪肝を患う被験体に、本明細書に記載された医薬組成物を投与する工程を含み、それによって、総コレステロールの上昇を処置し、または、その発生率を低下させる。本明細書では、別の実施形態において、脂肪肝を患うヒトにおける高トリグリセリド血症を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0034】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、脂肪肝を患うヒトにおける高トリグリセリド血症を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0035】
また別の態様は、脂肪肝を患う被験体における高トリグリセリド血症を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を、脂肪肝を患う被験体に投与する工程を含み、それによって、高トリグリセリド血症を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0036】
本明細書では、別の実施形態において、脂肪肝を患うヒトにおける血清アポリポタンパク質B(ApoB)値の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0037】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、脂肪肝を患うヒトにおけるApoB値の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0038】
また別の態様は、脂肪肝を患うヒトにおけるApoB値の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、脂肪肝を患う被験体に本明細書に記載される医薬組成物を投与する工程を含み、それによって、ApoB値の上昇を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0039】
本明細書では、別の実施形態において、脂肪肝を患うヒトにおける総コレステロール/HDL比の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0040】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、脂肪肝を患うヒトにおける総コレステロール/HDL比の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製に提供される。
【0041】
また別の態様は、脂肪肝を患うヒトにおける総コレステロール/HDL比の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、脂肪肝を患う被験体に、本明細書に記載される医薬組成物を投与する工程を含み、それによって、総コレステロール/HDL比の上昇を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0042】
本明細書では、別の実施形態において、脂肪肝を患うヒトにおけるアポリポタンパク質B(ApoB)/アポリポタンパク質A1(ApoA1)比率の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0043】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、脂肪肝を患うヒトにおけるApoB/ApoA1の比率の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0044】
また別の態様は、脂肪肝を患うヒトにおけるApoB/ApoA1の比率の上昇を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、脂肪肝を患う被験体に本明細書に記載される医薬組成物を投与する工程を含み、それによって、ApoB/ApoA1の比率の上昇を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0045】
前述の脂質パラメータのそれぞれを測定する方法は、当業者に周知である。典型的な方法は、Chiquette E et alやMartinez-Colubi M et alにとりわけ記載されている。
【0046】
本明細書では、別の実施形態において、被験体の血管拡張反応のインスリン誘導強化の障害を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0047】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、被験体の血管拡張反応のインスリン誘導強化の障害を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0048】
また別の態様は、被験体の血管拡張反応のインスリン誘導強化の障害を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、血管拡張反応のインスリン誘導強化の障害を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0049】
別の態様は、NAFLDを患う被験体の血管拡張反応のインスリン誘導強化の障害を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物をこうした処置を必要としている被験体に投与する工程を含み、それによって、NAFLDを患う被験体の血管拡張反応のインスリン誘導強化の障害を処置する、または、その発生率を低下させる。インスリン誘導血管拡張反応を測定する方法は当該技術で知られており、例えば、アセチルコリン(ACh)およびニトロプルシドナトリウム(SNP)に対する血流反応(例えば、前腕の)を測定する工程を含んでいる(Tesauro et al)。
【0050】
本明細書では、別の実施形態において、肝臓での脂肪沈着を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0051】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、肝臓での脂肪沈着を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0052】
また別の態様は、肝臓での脂肪沈着を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、肝臓での脂肪沈着を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0053】
本明細書では、別の実施形態において、心塞栓を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0054】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、心塞栓を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製に提供される。
【0055】
また別の態様は、心塞栓を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、心塞栓を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0056】
本明細書では、別の実施形態において、内皮機能障害を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0057】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、内皮機能障害を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0058】
また別の態様は、内皮機能障害を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、内皮機能障害を逆転させる、または、その発生率を低下させる。
【0059】
本明細書では、別の実施形態において、血栓形成促進性の状態および血小板活性化の状態から選択された状態を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態において、医薬組成物は、インスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0060】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、血栓形成促進性の状態および血小板活性化の状態から選択された状態を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0061】
また別の態様は、血栓形成促進性の状態および血小板活性化の状態から選択された状態を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させるための方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、血栓形成促進性の状態および血小板活性化の状態から選択された状態を逆転させる、または、その発生率を低下させる。
【0062】
本明細書では、別の実施形態において、無症候性の全身性炎症を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0063】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、無症候性の全身性炎症を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させる薬物の調製で提供される。
【0064】
また別の態様は、無症候性の全身性炎症を逆転させる、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、無症候性の全身性炎症を逆転させる、または、その発生率を低下させる。
【0065】
本明細書では、別の実施形態において、アテローム性動脈硬化の発生率を低下させる、または、別の態様では、アテローム性動脈硬化を逆転させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0066】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、アテローム性動脈硬化の発生率を低下させる、または、別の態様では、アテローム性動脈硬化を逆転させるための薬物の調製で提供される。
【0067】
また別の態様は、アテローム性動脈硬化の発生率を低下させる、または、別の態様では、アテローム性動脈硬化を逆転させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、アテローム性動脈硬化の発生率を低下させる、または、アテローム性動脈硬化を逆転させる。
【0068】
本明細書では、別の実施形態において、肥満(一実施形態では中心性肥満)の発生率を低下させる、または、別の態様では、肥満を予防するための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0069】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、肥満の発生率を低下させる、または、別の態様では、肥満を予防する発生を少なくするための薬物の調製で提供される。
【0070】
また別の態様は、脂肪肝を患う被験体における肥満を減らす方法を提供し、該方法が、本明細書に記載される医薬組成物を、脂肪肝を患う被験体に投与する工程を含み、それによって、肥満を減らす。
【0071】
本明細書では、別の実施形態において、脂肪肝を患う被験体における肝臓のインスリン抵抗性を減らすための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。また別の実施形態では、医薬組成物はインスリン、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態において、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0072】
また別の態様では、本明細書に記載の成分の組み合わせの使用は、脂肪肝を患う被験体における肝臓のインスリン抵抗性を減らすための薬物の調製で提供される。
【0073】
また別の態様は、脂肪肝を患う被験体における肝臓のインスリン抵抗性を減らす方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を、脂肪肝を患う被験体に投与する工程を含み、それによって、脂肪肝を患う被験体における肝臓のインスリン抵抗性を減らす。
【0074】
油、インスリン、GLP-1アナログ、プロテアーゼ阻害剤、キレート化剤、コーティング、および、記載された方法および組成物の他の随意の成分は、本明細書に記載されたもののいずれかであってもよく、それぞれの代替物は、本明細書に開示された本発明の別々の実施形態を形成するために自由に組み合わされてもよい。
【0075】
本明細書で使用されるような「液体」とは、自由に流れて、周囲条件下で一定の容積を有している相のことを指す。魚油は例えば、周囲条件下では液体である。この用語は油ベースの溶液、懸濁液、およびその組み合わせを含んでいる。代替的な実施形態では、この用語は、20°Cで、1-1000ミリパスカル秒の範囲内の粘性を有する組成物を指すこともある。
【0076】
GLP-1アナログおよびインスリンが両方とも存在する実施形態では、これらの2つの成分は、同じ剤形または別々の剤形で、一緒に同時投与するために用いられる。別々の剤形の場合には、「同時投与」は、この点において、同時投与のことを指すか、あるいは、別の実施形態では、互いに30分以内の投与のことを指すこともある。さらに異なる実施形態では、一般に30分以下指定された時間間隔で隔てられた特定の順番の投与のために、異なる成分が用いられる。例えば、インスリンを含む剤形は、エキセナチドを含む剤形の2-10分後に、他の実施形態ではエキセナチドを含む剤形の10-20分後に、他の実施形態ではエキセナチドを含む剤形の20-30分後に、および、他の実施形態ではエキセナチドを含む投与量の後の30-60分後に、投与するために用いられてもよい。本明細書で提供される剤形などの経口剤形は、注入される剤形以上に連続投与に役立つ。というのも、繰り返し注入に関するレジメンは、服薬率の低さに関連付けられる可能性が高いからである。
【0077】
様々な実施形態における「長期間の」投与に係る言及は、1か月以上、6週以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、12か月以上、15か月以上、18か月以上、24か月以上、30か月以上、または36か月以上、48か月以上、60か月以上、72か月以上、96か月以上、10年以上、15年以上、または、20年以上の投与を指すこともある。他の実施形態では、この用語は、1-60か月、2-60か月、3-60か月、4-60か月、5-60か月、6-60か月、8-60か月、10-60か月、12-60か月、1-36か月、2-36か月、3-36か月、4-36か月、5-36か月、6-36か月、8-36か月、10-36か月、12-36か月、1-36か月、2-24か月、3-24か月、4-24か月、5-24か月、6-24か月、8-24か月、10-24か月、12-24か月、1-120か月、2-120か月、3-120か月、4-120か月、5-120か月、6-120か月、8-120か月、10-120か月、12-120か月、1-240か月、2-240か月、3-240か月、4-240か月、5-240か月、6-240か月、8-240か月、10-240か月、または、12-240か月の投与を指すこともある。
【0078】
さらに特定の実施形態では、8-16mgのインスリンが、1か月以上、6週以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、12か月以上、15か月以上、18か月以上、24か月以上、30か月以上、または36か月以上、48か月以上、60か月以上、72か月以上、96か月以上、10年以上、15年以上、または、20年以上、1日当たり1回投与される。他の実施形態では、この用語は、1-60か月、2-60か月、3-60か月、4-60か月、5-60か月、6-60か月、8-60か月、10-60か月、12-60か月、1-36か月、2-36か月、3-36か月、4-36か月、5-36か月、6-36か月、8-36か月、10-36か月、12-36か月、1-36か月、2-24か月、3-24か月、4-24か月、5-24か月、6-24か月、8-24か月、10-24か月、12-24か月、1-120か月、2-120か月、3-120か月、4-120か月、5-120か月、6-120か月、8-120か月、10-120か月、12-120か月、1-240か月、2-240か月、3-240か月、4-240か月、5-240か月、6-240か月、8-240か月、10-240か月、または、12-240か月の投与を指すこともある。
【0079】
また他の実施形態では、8-16mgのインスリンが、1か月以上、6週以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、12か月以上、15か月以上、18か月以上、24か月以上、30か月以上、または36か月以上、48か月以上、60か月以上、72か月以上、96か月以上、10年以上、15年以上、または、20年以上、1日当たり2回投与される。他の実施形態では、この用語は、1-60か月、2-60か月、3-60か月、4-60か月、5-60か月、6-60か月、8-60か月、10-60か月、12-60か月、1-36か月、2-36か月、3-36か月、4-36か月、5-36か月、6-36か月、8-36か月、10-36か月、12-36か月、1-36か月、2-24か月、3-24か月、4-24か月、5-24か月、6-24か月、8-24か月、10-24か月、12-24か月、1-120か月、2-120か月、3-120か月、4-120か月、5-120か月、6-120か月、8-120か月、10-120か月、12-120か月、1-240か月、2-240か月、3-240か月、4-240か月、5-240か月、6-240か月、8-240か月、10-240か月、または、12-240か月の投与を指すこともある。
【0080】
さらに他の実施形態では、300-600mcgのエキセナチドが、1か月以上、6週以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、12か月以上、15か月以上、18か月以上、24か月以上、30か月以上、または36か月以上、48か月以上、60か月以上、72か月以上、96か月以上、10年以上、15年以上、または、20年以上、1日当たり1回投与される。他の実施形態では、この用語は、1-60か月、2-60か月、3-60か月、4-60か月、5-60か月、6-60か月、8-60か月、10-60か月、12-60か月、1-36か月、2-36か月、3-36か月、4-36か月、5-36か月、6-36か月、8-36か月、10-36か月、12-36か月、1-36か月、2-24か月、3-24か月、4-24か月、5-24か月、6-24か月、8-24か月、10-24か月、12-24か月、1-120か月、2-120か月、3-120か月、4-120か月、5-120か月、6-120か月、8-120か月、10-120か月、12-120か月、1-240か月、2-240か月、3-240か月、4-240か月、5-240か月、6-240か月、8-240か月、10-240か月、または、12-240か月の投与を指すこともある。
【0081】
さらに他の実施形態では、300-600mcgのエキセナチドが、1か月以上、6週以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、12か月以上、15か月以上、18か月以上、24か月以上、30か月以上、または36か月以上、48か月以上、60か月以上、72か月以上、96か月以上、10年以上、15年以上、または、20年以上、1日当たり2回投与される。他の実施形態では、この用語は、1-60か月、2-60か月、3-60か月、4-60か月、5-60か月、6-60か月、8-60か月、10-60か月、12-60か月、1-36か月、2-36か月、3-36か月、4-36か月、5-36か月、6-36か月、8-36か月、10-36か月、12-36か月、1-36か月、2-24か月、3-24か月、4-24か月、5-24か月、6-24か月、8-24か月、10-24か月、12-24か月、1-120か月、2-120か月、3-120か月、4-120か月、5-120か月、6-120か月、8-120か月、10-120か月、12-120か月、1-240か月、2-240か月、3-240か月、4-240か月、5-240か月、6-240か月、8-240か月、10-240か月、または、12-240か月の投与を指すこともある。
【0082】
さらに他の実施形態では、300-600mcgのエキセナチドが、1か月以上、6週以上、2か月以上、3か月以上、4か月以上、5か月以上、6か月以上、7か月以上、8か月以上、9か月以上、10か月以上、12か月以上、15か月以上、18か月以上、24か月以上、30か月以上、または36か月以上、48か月以上、60か月以上、72か月以上、96か月以上、10年以上、15年以上、または、20年以上、1日当たり3回投与される。他の実施形態では、この用語は、1-60か月、2-60か月、3-60か月、4-60か月、5-60か月、6-60か月、8-60か月、10-60か月、12-60か月、1-36か月、2-36か月、3-36か月、4-36か月、5-36か月、6-36か月、8-36か月、10-36か月、12-36か月、1-36か月、2-24か月、3-24か月、4-24か月、5-24か月、6-24か月、8-24か月、10-24か月、12-24か月、1-120か月、2-120か月、3-120か月、4-120か月、5-120か月、6-120か月、8-120か月、10-120か月、12-120か月、1-240か月、2-240か月、3-240か月、4-240か月、5-240か月、6-240か月、8-240か月、10-240か月、または、12-240か月の投与を指すこともある。
【0083】
1日当たり1回の投与は、本明細書に使用されているように、一日の任意の時間の投与、または、他の実施形態では、特定の時刻の毎日の投与を指すことがある。特定の実施形態では、1日当たり1回の投与は就寝時間の前であってもよい。
【0084】
(インスリンタンパク質およびGLP-1アナログ)
本明細書に記載されるように用いられるインスリンタンパク質およびGLP-1アナログは、いくつかの実施形態では、記載される医薬組成物に導入される前に単離される。この点について「単離される」は、均質化された組織標本または相当な量の夾雑タンパク質を含む他の形態としてのインスリンおよび/またはGLP-1アナログの調製を除外する。単離されたタンパク質またはペプチドの一例は、組換えタンパク質またはペプチドである。代替的な実施形態は合成タンパク質またはペプチドである。
【0085】
当業者は、様々なタイプのインスリンが記載された方法および組成物に適していることを本開示に照らして認識するであろう。典型的なインスリンタンパク質としては、限定されないが合成のヒトインスリン、合成のウシインスリン、合成のブタインスリン、合成のクジラインスリン、ならびに、インスリンの亜鉛複合体、プロタミン亜鉛インスリン、およびグロビン亜鉛などのインスリンの金属複合体を含む、野生型および変異型の両方のインスリンタンパク質が挙げられる。
【0086】
様々な分類のインスリン、例えば、即効性のインスリン、レンテインスリン、セミレンテインスリン、ウルトラレンテインスリン、NPHインスリン、グラルギンインスリン、リスプロインスリン、アスパルトインスリン、または上記のタイプのインスリンの2以上の組み合わせも利用されてもよい。
【0087】
特定の実施形態では、記載された方法および組成物のインスリンは、野生型のヒトインスリン(Uniprot ID P01308)である。いくつかの実施形態では、ヒトインスリンは細菌細胞の組換えタンパク質として生成される。他の実施形態では、ヒトインスリンは合成して生成される。
【0088】
GLP-1アナログは当該技術分野ではGLP-1模倣薬とも呼ばれる。当業者は、記載された組成物が以下のGLP-1アナログの少なくとも1つを含むこともあるということを認識するであろう:エキセナチド(Byetta(商標);CAS no.141732-76-5;SEQ ID、No:4)、リキシセナチド (CAS no. 320367-13-3), リラグルチド (CAS no. 204656-20-2), エキセンディン-9 (CAS no. 133514-43-9), AC3174 ([Leu(14)]エキセンディン-4, Amylin Pharmaceuticals, Inc.), タスポグルチド (CAS no. 275371-94-3), アルビグルチド (CAS no. 782500-75-8), セマグルチド(semaglutide) (CAS no. 910463-68-2), LY2189265 (デュラグルチド(dulaglutide)(商標); CAS no. 923950-08-7), および、 CJC-1134-PC (ConjuChem(商標)によって製造された組み換えヒトアルブミンに共役した修飾エキセンディン-4 アナログ)。すべてのCAS記録は2011年12月19日にアクセスされた。したがって、特定の実施形態では、記載された方法または組成物は、上記の列挙されたGLP-1アナログのいずれかを利用する。他の実施形態では、上記の列挙されたGLP-1アナログの1つが選択されている。当業者は、他のGLP-1アナログを利用することができることを、記載された本明細書の調査結果に照らして認識するであろう。
【0089】
本発明での使用に適した治療用のインスリンおよびGLP-1タンパク質は、修飾される(すなわちタンパク質への非アミノ酸残基の共有結合によって)誘導体を含んでいる。例えば、限定されるわけではないが、タンパク質は、例えば、既存の保護基(protecting/blocking)基によるグリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、または誘導体化によって、修飾されたタンパク質を含んでいる。高MWPEGは、NまたはC末端へのPEGの部位特異的な共役を介して、あるいは、リジン残基上に存在するイプシロンアミノ基を介して、多機能リンカーを含むまたは含まない治療用タンパク質に付着可能である。さらに、誘導体は、1以上の非古典的アミノ酸、例えば、共通アミノ酸のD異性体、2,4-ジアミノ酪酸、a-アミノイソ酪酸、A-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、および、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、ホモシトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン(butylglycine)、t-ブチルアラニン(butylalanine)、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、および、Nα-メチルアミノ酸などのデザイナーアミノ酸を含んでもよい。
【0090】
(乳化剤)
特定の実施形態では、記載された方法および医薬組成物で利用される油ベースの液体製剤は、乳化剤をさらに含む。当業者は、本開示に照らして、様々な薬学的に適合する乳化剤を利用することができることを認識するであろう。
【0091】
特定の実施形態では、乳化剤は、(a)モノアシルグリセロール(モノグリセリド)、ジアシルグリセロール(ジグリセリド)、トリアシルグリセロール(トリグリセリド)、または、その混合物と、(b)脂肪酸のポリエチレングリコール(PEG)エステルの混合物として提供される成分である。この点に関して、「モノアシルグリセロール」、「ジアシルグリセロール」、および「トリアシルグリセロール」の用語のそれぞれは、単一の化合物を指す必要がないが、むしろ、化合物の混合物、例えば、様々な長さの脂肪酸を有する、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、または、トリアシルグリセロールの混合物を含み得る。特定の好ましい実施形態では、記載された方法および組成物、例えば、一般的なPEGエステルに使用されるもので用いられるモノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、または、トリアシルグリセロールは、一般に安全と認められる(GRAS)油源からのものである。GRAS油源の例は、ココナッツ油、トウモロコシ油、ピーナッツ油、ダイズ油、Myvacet 9-45(C-18脂肪酸のジアセチル化した(Diacetylated)モノグリセリド)である。
【0092】
記載された組成物および方法のいくつかの実施形態で使用されるPEG部分のさらに具体的な長さは、5-100のモノマーを含む。具体的な実施形態では、PEGは15-50のモノマーを含んでもよい。さらに具体的な実施形態では、PEGは25-40のモノマーを含んでもよい。具体的な実施形態では、PEGは32のモノマーを含んでもよい。
【0093】
その上記の具体例を満たす成分の例は、Gelucire(商標)44/14、Gelucire(商標)53/10、および、Gelucire(商標)50/13である。具体的な例はGelucire(商標)44/14である。接尾語の44と14はそれぞれ、その融点とその親水性/親油ベースバランス(HLB)を指す。Gelucire(商標)44/14(Gattefosse SAS、Saint-Priest,France)は、水素化したココナッツ(PEG-32を備えた中鎖および長鎖のトリアシルグリセロール)のポリ解糖(polyglycolysis)によって得られる。これは14の親水性/親油ベースバランスを有している。これは、C8-C18モノ-、ジ-、および、トリアシルグリセロール(20%w/w)の定義された混合物、PEG-32モノ-およびジエステル、ならびに、遊離PEG-32(80%w/w)からなる。存在する主な脂肪酸は、全脂肪酸含有量の平均で45%を占めるラウリン酸である。これは、六方充填下で螺旋形の立体構造とアシルグリセロール画分を含む、120Aのラメラ相下のPEGエステル画分からなる固体の分散物である。Gelucire(商標)44/14のシミュレートされた胃腸の脂肪分解の主生成物は、PEG-32モノおよびジエステルである。
【0094】
いくつかの実施形態では、記載された方法および組成物で利用される自己乳化成分のHLBは、10以上である。他の実施形態において、それは11-19である。他の実施形態において、それは12-18である。他の実施形態において、それは12-17である。他の実施形態では、それは12-16であり、水中油型(O/W)乳化剤を示す。他の実施形態において、それは13-15である。他の実施形態では、それは14である。自己乳化成分のまたさらに具体的な実施形態は、12-16のHLBを有しており、PEG、遊離トリアシルグリセロール、および、遊離PEGに共役した中鎖および長鎖のトリアシルグリセロールを含む。他の実施形態では、自己乳化成分は、12-16のHLBを有し、PEG、遊離トリアシルグリセロール、および、遊離PEGに共役した中鎖および長鎖のトリアシルグリセロールの混合物からなる。他の実施形態では、自己乳化成分は、14のHLBを有しており、PEG、遊離トリアシルグリセロール、および、遊離PEGに共役した中鎖および長鎖のトリアシルグリセロールを含む。他の実施形態では、自己乳化成分は、14のHLBを有しており、PEG、遊離トリアシルグリセロール、および、遊離PEGに共役した中鎖および長鎖のトリアシルグリセロールの混合物からなる。
【0095】
ある実施形態において、特定の実施形態では自己乳化成分である前述の乳化剤は、油ベースの液体製剤の8-16%重量/重量を構成する。具体的な実施形態では、その量は9-15%である。具体的な実施形態では、その量は10-14%である。具体的な実施形態では、その量は11-13%である。具体的な実施形態では、その量は12%である。
【0096】
(非イオン洗剤)
特定の実施形態では、記載された方法および医薬組成物で用いられる油ベースの液体製剤は、ポリソルベートベースの洗剤をさらに含む。ポリソルベートベースの洗剤の例は、脂肪酸にポリエトキシ化した(polyethoxylated)ソルビタンを共有結合することに由来する洗剤である。ポリソルベートベースの洗剤の具体的な実施形態は、ポリソルベート-20、ポリソルベート-40、およびポリソルベート80である。
【0097】
例えば、ポリソルベート80(ツイーン80)は、ポリエトキシ化したソルビタンおよびオレイン酸に由来するマイルドな非イオン洗剤であり、以下の構造を有している。
【0098】
【化1】
ポリソルベート80の場合には、右側に示された部分が60-70%オレイン酸(描かれているような)を含む脂肪酸の混合物であり、そのバランスは主としてリノール酸、パルミチン酸、およびステアリン酸である。
【0099】
具体的な実施形態では、ポリソルベート80は、記載された方法および組成物で使用される、3-10%重量/重量の油ベースの液体製剤を構成する。具体的な実施形態では、その割合は4-8%である。具体的な実施形態では、その割合は4.5-6%である。具体的な実施形態では、その割合は5%である。
【0100】
(投与量)
具体的な実施形態では、記載された方法および組成物の剤形のインスリンの量は、6-64mgである。他の実施形態では、その量は6-56mgである。他の実施形態では、その量は6-48mgである。他の実施形態では、その量は6-40mgである。他の実施形態では、その量は6-36mgである。他の実施形態では、その量は6-32mgである。他の実施形態では、その量は6-28mgである。他の実施形態では、その量は6-24mgである。他の実施形態では、その量は6-20mgである。他の実施形態では、その量は6-14mgである。他の実施形態では、その量は6-12mgである。他の実施形態では、その量は6-10mgである。他の実施形態では、その量は10-64mgである。他の実施形態では、その量は10-56mgである。他の実施形態では、その量は10-48mgである。他の実施形態では、その量は10-40mgである。他の実施形態では、その量は10-36mgである。他の実施形態では、その量は10-32mgである。他の実施形態では、その量は10-28mgである。他の実施形態では、その量は16-64mgである。他の実施形態では、その量は16-56mgである。他の実施形態では、その量は16-48mgである。他の実施形態では、その量は16-40mgである。他の実施形態では、その量は16-36mgである。他の実施形態では、その量は16-32mgである。他の実施形態では、その量は16-28mgである。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0101】
他の実施形態では、その量は8mgである。他の実施形態では、その量は12mgである。他の実施形態では、その量は16mgである。他の実施形態では、その量は20mgである。他の実施形態では、その量は24mgである。他の実施形態では、その量は32mgである。他の実施形態では、その量は40mgである。他の実施形態では、その量は40mgである。他の実施形態では、その量は56mgである。他の実施形態では、その量は64mgである。他の実施形態では、その量は8-16mgである。他の実施形態では、その量は8-14mgである。他の実施形態では、その量は8-12mgである。他の実施形態では、その量は8-10mgである。他の実施形態では、その量は16mgである。
他の実施形態では、その量は10-16mgである。他の実施形態では、その量は10-14mgである。他の実施形態では、その量は10-18mgである。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0102】
他の実施形態では、記載された方法および組成物の剤形のインスリンの量は、0.06-0.64mg/kg(体重1キログラム体重当たりのミリグラム)である。他の実施形態では、その量は0.06-0.56mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.48mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.40mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.32mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.28mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.24mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.20mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.16mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.64mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.56mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.48mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.40mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.32mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.28mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.24mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.20mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.14mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.12mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.06-0.10mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.08mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.12mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.16mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.08-0.16mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.08-0.14mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.08-0.12mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.08-0.10mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.16mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.18mg/kgである。他の実施形態では、その量は0.10-0.14mg/kgである。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0103】
さらに他の実施形態では、剤形のインスリンの量は、小児患者の体重当たりで調整された、大人の上記量または範囲の1つに対応する量である。本明細書で言及されたこの種の調整は、大人の体重として62キログラムを採用する。他の実施形態では、インスリンは、小児患者のために調整された量で存在し、および、GLP-1アナログも小児患者のために調整された量で存在する。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0104】
インスリンに関する本明細書に記載の投与量は、野生型のヒトインスリンのためのもであってもよく、あるいは、別の実施形態では、当該技術分野で既知の他のタイプのインスリンの1つのためのものであってもよい。
【0105】
他の実施形態では、記載された方法および組成物の剤形のGLP-1アナログの量は150マイクログラム(mcg)、200mcg、250mcg、300mcg、350mcg、400mcg、500mcg、または600mcgである。他の実施形態では、GLP-1アナログの量は、大人の患者で100-1600mcgである。他の実施形態では、その量は100-1400mcgである。他の実施形態では、その量は100-1200mcgである。他の実施形態では、その量は100-1000mcgである。他の実施形態では、その量は100-800mcgである。他の実施形態では、その量は100-700mcgである。他の実施形態では、その量は100-600mcgである。他の実施形態では、その量は100-500mcgである。他の実施形態では、その量は100-400mcgである。他の実施形態では、その量は200-1400mcgである。他の実施形態では、その量は200-1400mcgである。他の実施形態では、その量は200-1200mcgである。他の実施形態では、その量は200-1000mcgである。他の実施形態では、その量は200-800mcgである。他の実施形態では、その量は200-700mcgである。他の実施形態では、その量は200-600mcgである。他の実施形態では、その量は200-500mcgである。他の実施形態では、その量は200-400mcgである。他の実施形態では、その量は100-300mcgである。他の実施形態では、その量は100-250mcgである。他の実施形態では、その量は100-200mcgである。他の実施形態では、その量は100-150mcgである。他の実施形態では、その量は100mcgである。他の実施形態では、その量は150mcgである。他の実施形態では、その量は200mcgである。他の実施形態では、その量は250mcgである。他の実施形態では、その量は300mcgである。他の実施形態では、その量は150-400mcgである。他の実施形態では、その量は150-300mcgである。他の実施形態では、その量は150-250mcgである。他の実施形態では、その量は150-200mcgである。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0106】
また他の実施形態では、GLP-1アナログは、上記の量の1つで存在するエキセナチドである。他の実施形態では、記載された方法および組成物の剤形のGLP-1アナログの量は、大人の患者で0.100-1.60mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-1.40mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-1.20mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-1.0mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.800mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.700mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.600mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.500mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.400mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-1.40mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-1.40mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-1.20mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-1.0mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-0.800mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-0.700mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-0.600mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-0.500mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200-0.400mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.300mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.250mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.200mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.150mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.150mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.200mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.250mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.300mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.150-0.400mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.150-0.300mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.150-0.250mcg/kgである。他の実施形態では、その量は0.100-0.200mcg/kgである。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。また他の実施形態では、GLP-1アナログは、上記の量の1つで存在するエキセナチドである。
【0107】
他の実施形態では、剤形のGLP-1アナログの量は、小児患者の体重当たりで調整された、大人の上記の量または範囲の1つに対応する量である。他の実施形態では、GLP-1アナログは、小児患者のために調整された量で存在し、インスリンは、小児患者のために調整された量で、例えば、小児患者の体重に関して調整された、大人の4-12mgに対応する量で存在する。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。また他の実施形態では、GLP-1アナログは、上記の量の1つで存在するエキセナチドである。
【0108】
様々な実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または、150-250mcgの量のエキセナチドを、8-16mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcgまたは150-250mcgの量のエキセナチドを、8-12mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または、150-250mcgの量のエキセナチドを、12-16mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、16-24mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、24-32mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または、150-250mcgの量のエキセナチドを、12-16mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、8mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、12mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、16mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、20mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、24mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、28mgのインスリンと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、100-600mcg、100-500mcg、100-400mcg、100-300mcg、200-600mcg、200-500mcg、200-400mcg、200-300mcg、150-300mcg、または150-250mcgの量のエキセナチドを、32mgのインスリンと一緒に含んでいる。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0109】
他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、150-300mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、300-450mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、450-600mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、100-150mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、150-200mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、200-250mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、250-300mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0110】
他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、100mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、200mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、250mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、300mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、400mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、500mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。他の実施形態では、記載された剤形は、8-32mg、8-28mg、8-24mg、8-20mg、8-16mg、8-12mg、12-32mg、16-32mg、20-32mg、24-32mg、12-24mg、16-24mg、12-20mg、または、16-20mgの量のインスリンを、600mcgのエキセナチドと一緒に含んでいる。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0111】
他の実施形態では、記載された剤形は、8-16mgのインスリンおよび150-300mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、8-12mgのインスリンおよび150-300mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、12-16mgのインスリンおよび150-300mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、6-16mgのインスリンおよび150-300mcgのエキセナチドを含む。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0112】
他の実施形態では、記載された剤形は、8-16mgのインスリンおよび100-400mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、8-12mgのインスリンおよび100-400mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、12-16mgのインスリンおよび100-400mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、6-16mgのインスリンおよび100-400mcgのエキセナチドを含む。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0113】
他の実施形態では、記載された剤形は、8-16mgのインスリンおよび100-200mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、8-12mgのインスリンおよび100-200mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、12-16mgのインスリンおよび100-200mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、6-16mgのインスリンおよび100-200mcgのエキセナチドを含む。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0114】
他の実施形態では、記載された剤形は、8-16mgのインスリンおよび200-400mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、8-12mgのインスリンおよび200-400mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、12-16mgのインスリンおよび200-400mcgのエキセナチドを含む。他の実施形態では、記載された剤形は、6-16mgのインスリンおよび200-400mcgのエキセナチドを含む。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0115】
他の実施形態では、記載された剤形は、8-16mgのインスリンおよび150-300mcgのエキセナチドを含む。特定の実施形態では、上記の投与量は1日投与量である。
【0116】
(プロテアーゼ阻害剤)
当業者は、本開示に照らして、記載された製剤中のGLP-1アナログおよび/またはインスリンを保護するために、様々なプロテアーゼ阻害剤が使用されてもよいことを認識するであろう。特定の実施形態では、記載された組成物中に存在するプロテアーゼ阻害剤は、トリプシン阻害剤とキモトリプシン阻害剤から選択される。より特定した実施形態では、阻害剤はトリプシン阻害剤であるか、あるいは、他の実施形態では、キモトリプシン阻害剤である。さらに他の実施形態では、医薬組成物は、トリプシンとキモトリプシンの両方をまとめて阻害する1つ以上の阻害剤を含む。より特定した実施形態では、トリプシン阻害剤とキモトリプシン阻害剤の両方が存在するか、あるいは、他の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤は、トリプシンとキモトリプシンの両方を阻害する単一の阻害剤である。トリプシンとキモトリプシンの両方を阻害する単一の阻害剤の一例は、限定されることを意図してはいないが、BBI(本明細書に記載)である。
【0117】
本明細書で使用されているように、「キモトリプシン阻害剤」との用語は、基質上のキモトリプシンの作用を阻害することができる任意の薬剤を指す。キモトリプシンを阻害するこの薬剤の能力は、当該技術では周知のアッセイを使用して測定することができる。例えば、典型的なアッセイでは、1単位は、1つのベンゾイル-L-アルギニンエチルエステル単位(BAEE-U)によるトリプシン活性を低下させる阻害剤の量に相当する。1つのBAEE-Uは、pH7.6および25°Cで毎分0.001だけ253nmで吸光度を増加させる酵素の量である。例えば、K. Ozawa, M. Laskowski, 1966, J. Biol. Chem. 241:3955; and Y. Birk, 1976, Meth. Enzymol. 45:700を参照する。他に明示されない限り、本明細書で言及される抗キモトリプシン活性は、キモトリプシン1mg当たり40のBTEE単位の活性を有するキモトリプシンを用いて測定され、試験されるタンパク質1mg当たりの阻害されたキモトリプシンのmgで表現される。BTEEは、N-ベンゾイルL-チロシンエチルエステル(Sigma-Aldrich Product No.B6125の指示を参照)を指す。
【0118】
本明細書で使用されているように、「トリプシン阻害剤」との用語は、基質上のトリプシンの作用を阻害することができる任意の薬剤を指す。トリプシンを阻害する薬剤の能力は、当該技術において周知のアッセイを使用して測定することができる。例えば、典型的なアッセイでは、1単位は、1つのベンゾイル-L-アルギニンエチルエステル単位(BAEE-U)によるトリプシン活性を低下させる阻害剤の量に相当する。1つのBAEE-Uは、pH7.6および25°Cで、毎分0.001だけ253nmで吸光度を増加させる酵素の量である。例えば、K. Ozawa, M. Laskowski, 1966, J. Biol. Chem. 241:3955;¥ and Y. Birk, 1976, Meth. Enzymol. 45:700を参照のこと。トリプシンを阻害する阻害剤の一例は、限定することを意図していないが、KTI3(本明細書に記載)である。
【0119】
他の方法で明示されない限り、本明細書で言及される抗トリプシン活性は、トリプシン1mg当たり10,000BAEE単位の活性を有するトリプシンを用いて測定され、試験されるタンパク質1mg当たりの阻害されたトリプシンのmgで表現される。BAEEはNa-ベンゾイル-L-アルギニンエチルエステル溶液(Sigma-Aldrich Product No.B4500の指示を参照)を指す。例えば、典型的なアッセイでは、1単位は、1つのベンゾイル-L-アルギニンエチルエステル単位(BAEE-U)によるトリプシン活性を低下させる阻害剤の量に相当する。1つのBAEE-Uは、pH7.6および25°Cで、毎分0.001だけ253nmで吸光度を増加させる酵素の量である。例えば、K. Ozawa, M. Laskowski, 1966, J. Biol. Chem. 241:3955; and Y. Birk, 1976, Meth. Enzymol. 45:700を参照。
【0120】
当該技術の既知のいくつかのトリプシン阻害剤はトリプシンに特異的であり、一方で、他のトリプシン阻害剤は、トリプシンと、キモトリプシンなどの他のプロテアーゼを阻害している。トリプシン阻害剤は動物または植物の源:例えば、大豆、トウモロコシ、リママメ、および他のマメ、カボチャ、ヒマワリ、ウシや他の動物の膵臓および肺、ニワトリ、および七面鳥の卵白、大豆ベースの調整粉乳、および、哺乳類の血液、に由来することがある。トリプシン阻害剤は微生物期起源、例えば、アンチパインでもあり得る。例えば、H. Umezawa, 1976, Meth. Enzymol. 45, 678を参照。トリプシン阻害剤は、アルギニンまたはリジンの模倣薬または他の合成化合物、例えば、アリールグアニジン(arylguanidine)、ベンズアミジン、3,4-ジクロロイソクマリン(dichloroisocoumarin)、ジイソプロピルフルオロリン酸、メシル酸ガベキサート、または、フッ化フェニルメタンスルホニル、であり得る。本明細書で使用されているように、アルギニンまたはリジンの模倣薬は、トリプシンのP1ポケットに結合する、および/または、トリプシン活性部位機能に干渉することができる化合物である。
【0121】
特定の実施形態では、トリプシン阻害剤が本発明の方法および組成物で利用される場合、トリプシン阻害剤は、リママメトリプシン阻害剤、アプロチニン(別名、膵臓トリプシン阻害剤または塩基性膵臓トリプシン阻害剤[BPTTJ])、Uniprot No.P00974[2013年1月2日にアクセスされたデータベース]、カザール阻害剤(膵分泌性トリプシン阻害剤)、オボムコイド、アルファ1-抗トリプシン、コルチゾール結合グロブリン、Centerin([SERPINA9/GCET1(胚中心B細胞発現転写物1)]、PI-6(Sun et al,1995)、PI-8(Sprecher et al,1995)、Bomapin、クレードAセルピン[例えば、Serpina3(NCBI遺伝子ID:12;2012年12月27日にアクセスしたデータベース)、Serpina6(NCBI遺伝子ID:866;2012年12月27日にアクセスされたデータベース)、Serpinal2(NCBI遺伝子ID:145264;2012年12月27日にアクセスされたデータベース)、Serpina10(NCBI遺伝子ID:51156; 2012年12月27日にアクセスされたデータベース);Serpina7(NCBI遺伝子ID:6906; 2012年12月27日にアクセスされたデータベース);Serpina9(NCBI遺伝子ID:327657;2012年12月27日にアクセスされたデータベース);Serpina11(NCBI遺伝子ID:256394;2012年12月27日にアクセスされたデータベース);Serpina13(NCBI遺伝子ID:388007;2012年12月27日にアクセスされたデータベース);Serpina2(NCBI遺伝子ID:390502;2012年12月27日にアクセスされたデータベース);および、Serpina4(NCBI遺伝子ID:5104;2012年12月27日にアクセスされたデータベース)] Yukopin(SerpinB12;遺伝子ID:89777;2012年12月27日にアクセスされたデータベース)、アンチパイン、ベンズアミジン、3,4-ジクロロイソクマリン、および、メシル酸ガベキサート、からなる基から選択される。他の実施形態では、1つ以上、例えば2、3、または4の上記の阻害剤が選択される。
【0122】
アプロチニンの代表的な前駆体配列は次のとおりである:
【0123】
【化2】
【0124】
これらの100の残基のうち、残基1-21はシグナルペプチドであり、22-35と94-100はプロペプチドであり、成熟した鎖であるアプロチニン鎖は残基36-93(58AA)からなる。
【0125】
特定の実施形態では、キモトリプシン阻害剤が本発明の方法および組成物で用いられる場合、キモトリプシン阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤、ボーマン-バーク阻害剤、アプロチニン、ヒル(Sigma-Aldrich cat.no.E7888)からのN-アセチル-エグリンC、キモスタチン(Sigma-Aldrich cat.No.C7268)、1-抗トリプシン(Sigma-Aldrich cat.No.A9024)、al-抗キモトリプシン(Sigma-Aldrich cat.No.A9285)、ジャガイモI型プロテイナーゼ阻害剤、およびジャガイモII型プロテイナーゼ阻害剤、からなる群から選択される。
【0126】
他の実施形態では、トリプシン阻害剤および/またはキモトリプシン阻害剤は、大豆に由来する。大豆(Glycine max)に由来するキモトリプシンとトリプシンの阻害剤は容易に利用可能であり、ヒトの摂取にも安全であると考えられている。これらはSBTI(ダイズトリプシン阻害剤)を含んでおり、これは、その天然形態で、トリプシンを阻害するKTI3(クニッツ大豆トリプシン阻害剤3)、および、キモトリプシンとトリプシンを阻害するBBI(ボーマン-バーク阻害剤;Uniprot number P01055[2013年1月3日にアクセスされたデータベース])からなる。「SBTI」との用語は、本明細書に使用されているように、他に明示しない限り、KTI3とBBIの組み合わせを指し、これは、自然に発生する組み合わせ、または、KTI3とBBIの人工的な組み合わせであってもよい。当該技術において認可された使用に従って、SBTIは、2つの別々のプロテアーゼ成分を備えているという事実にもかかわらず、本明細書では往々にして単一のプロテアーゼ阻害剤と呼ばれる。
【0127】
キモトリプシンとトリプシンの阻害剤は、例えば、米国ミズーリ州セントルイスのSigma-Aldrichから入手可能である。
【0128】
特定の実施形態では、SBTIは、キモトリプシンおよび/またはトリプシンの別の阻害剤と共に存在する場合、投与量単位当たり25-125mgの量で、ならびに、キモトリプシンおよび/またはトリプシンの阻害剤のみとして存在する場合、投与量単位当たり75-200mgの量で存在する。様々な実施形態では、SBTIは、投与量単位当たり、30-180mg、35-170mg、40-160mg、45-150mg、50-140mg、50-130mg、50-120mg、50-100mg、55-95mg、60-90mg、65-85mg、70-80mg、50-150mg、60-140mg、70-130mg、80-120mg、90-100mg、100-150mg、110-140mg、120-130mg、100-200mg、110-190mg、120-180mg、130-170mg、または、140-160mgの量で存在する。前述の範囲はすべて含める。また他の実施形態では、SBTIは、投与量単位当たり、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、75mg、90mg、100mg、110mg、125mg、150mg、175mg、または200mgの量で存在する。
【0129】
BBIを調製する方法は、例えば、米国7,404,973号と、2013年1月31日に出願されたAvraham HershkoのPCT国際出願番号WO 2013/10289号に記載されており、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0130】
BBIの代表的な前駆体配列は次のとおりである:
【0131】
【化3】
【0132】
これらの110の残基のうち、残基1-19はシグナルペプチドであり、20-39はプロペプチドであり、成熟した鎖であるBBI鎖は残基40-110(71AA)からなる。
【0133】
特定の実施形態では、SBTIは、キモトリプシンおよび/またはトリプシンの別の阻害剤と共に存在する場合、投与量単位当たり25-125mgの量で、ならびに、キモトリプシンおよび/またはトリプシンの阻害剤のみとして存在する場合、投与量単位当たり75-200mgの量で存在する。様々な実施形態では、BBIは、投与量単位当たり、30-180mg、35-170mg、40-160mg、45-150mg、50-140mg、50-130mg、50-120mg、50-100mg、55-95mg、60-90mg、65-85mg、70-80mg、50-150mg、60-140mg、70-130mg、80-120mg、90-100mg、100-150mg、110-140mg、120-130mg、100-200mg、110-190mg、120-180mg、130-170mg、または、140-160mgの量に存在する。前述の範囲はすべて含まれる。また他の実施形態では、BBIは、投与量単位当たり、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、75mg、90mg、100mg、110mg、125mg、150mg、175mg、または200mgの量で存在する。
【0134】
1つの態様では、記載された方法および組成物で利用されるBBIは、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)、ブリリアント・ブルー染色、または撮像装置定量化によって、様々な実施形態で測定されるように、少なくとも85%純粋である。特定の実施形態において、大豆生成物は大豆粉である。
【0135】
また別の態様では、BBIのタンパク質含有量はBCA(ビシンコニン酸)アッセイによって95%以上である。
【0136】
また別の態様では、記載された方法および組成物で利用されるBBIは、例えば、SDS-PAGEおよび撮像装置定量化によって評価されるように、0.1%未満の高MW汚染物質を含む。
【0137】
他の実施形態では、単離されたBBIは、阻害剤1mg当たり少なくとも0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、または1.4mgのキモトリプシンの抗キモトリプシン活性を阻害する。他の実施形態では、抗キモトリプシン活性は、阻害剤1mg当たり0.8-1.8、0.9-1.8、1.0-1.8、1.1-1.8、1.2-1.8、または1.4-1.8mgの阻害されたキモトリプシンの範囲にある。具体的な実施形態では、活性は、阻害剤1mg当たり0.8-1.8mgの阻害されたキモトリプシンである。他の実施形態では、活性は、阻害剤1mg当たり0.8-1.5mgの阻害されたキモトリプシンの範囲にある。医薬組成物の文脈では、この値は、医薬組成物の1つ以上の他の成分と混合される前のBBIの特徴を指す。当業者は、上記の純度要件のそれぞれが、そのタンパク質含有量、汚染物質の値、または効力に関して、BBIが医薬組成物の他の成分のいずれかと混合される前に、評価されるのが一般的であることを理解するであろう。様々な精製されたタイプのBBIは、2013年1月31日に出願されたAvraham HershkoのPCT国際出願番号WO 2013/10289号に記載されており、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0138】
他の実施形態では、記載された方法および組成物における単離されたBBIは、組み換え型のBBIであり、例えば、操作されて発現し、その後単離する細菌のような微生物によって生成されるBBIである。また他の実施形態において、BBIは合成のBBIである。合成BBIの一例は、ペプチド・シンセサイザーのような無細胞の装置内で生成されたBBIである。ペプチド・シンセサイザー、例えば、自動ペプチド・シンセサイザーは、当該技術において周知であり商業上利用可能である。組み換え型のBBIを含む医薬組成物も本明細書で提供される。合成のBBIを含む医薬組成物も本明細書で提供される。
【0139】
特定の実施形態では、記載されたBBIは、記載された方法および組成物のただ一つのプロテアーゼ阻害剤である。効能の低いSBTIは、ヒト消化管で特定の治療用のタンパク質を効率的に保護するために、追加のプロテアーゼ阻害剤(例えば、アプロチニン)を必要とするが、記載された単離したBBIは、いくつかの実施形態において、この点に関して追加のプロテアーゼ阻害剤のニーズを減らすことができる。
【0140】
KTI3を調製する方法は、2013年1月31日に出願されたAvraham HershkoのPCT国際出願番号WO 2013/102899号に記載されており、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
KTI3はUniprot数 P01070(2013年1月3日にアクセスされたデータベース)を有する。KTI3の代表的な前駆体配列は次のとおりである:
【0142】
【化4】
【0143】
上記の配列のうち、残基1-24はシグナルペプチドであり、206-216はプロペプチドであり、成熟したKTI3鎖は残基25-205(181AA)からなる。
【0144】
特定の実施形態では、KTI3は、投与量単位当たり25-125mgの量で存在し、キモトリプシン阻害剤中に存在する。様々な実施形態では、KTI3は、投与量単位当たり、30-120mg、35-115mg、40-110mg、45-105mg、50-100mg、55-95mg、60-90mg、65-85mg、70-80mg、25-100mg、30-90mg、35-80mg、35-70mg、40-60mg、45-55mg、80-120mg、85-115mg、90-100mg、または、95-105mgの量で存在する。前述の範囲はすべて含まれる。また他の実施形態では、KTI3は、投与量単位当たり、25mg、30mg、40mg、50mg、60mg、75mg、90mg、100mg、110mg、または120mgの量で存在する。
【0145】
追加の態様では、記載された方法および組成物で利用されるKTI3は、SDS-PAGE、ブリリアント・ブルー染色、または撮像装置定量化によって、様々な実施形態において測定されるように、少なくとも85%純粋である。
【0146】
また別の態様では、KTI3のタンパク質含有量は、BCAアッセイによって測定されるように、95%以上である。また別の態様では、KTI3は、例えば、SDS-PAGEおよび撮像装置定量化によって評価されるように、0.1%未満の高MW汚染物質を含む。
【0147】
他の実施形態では、単離させたKTI3は、阻害剤1mg当たり少なくとも0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、または、1.3mgの阻害されたトリプシンの抗トリプシン活性を有する。他の実施形態では、KTI3の活性は、阻害剤1mg当たり0.8-1.8、0.9-1.8、1.0-1.8、1.1-1.8、1.2-1.8、または1.3-1.8mgの阻害されたトリプシンの範囲にある。具体的な実施形態では、KTI3の活性は、阻害剤1mg当たり0.8-1.7mgの阻害されたトリプシンである。他の実施形態では、活性は、阻害された1mg当たり0.8-1.4mgの阻害されたトリプシンの範囲である。
【0148】
他の好ましい実施形態では、単離させたKTIは、組み換え型のKTI、例えば、発現するように操作された細菌などの微生物によって生成されるKTIである。また他の実施形態において、KTIは合成のKTIである。合成のKTIの一例は、ペプチド・シンセサイザーなどの無細胞の装置で生成されたKTIである。
【0149】
当業者は、上記の純度要件のそれぞれが、そのタンパク質含有量、汚染物質の値、または効力に関して、KTI3が医薬組成物の他の成分のいずれかと混合される前に、評価されるのが一般的であることを理解するであろう。様々な精製されたKTIのタイプは、2013年1月31日に出願されたAvraham HershkoのPCT国際出願番号WO 2013/10289号に記載されており、この内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
他の実施形態は、記載された医薬組成物中に存在する抗キモトリプシン活性対該医薬組成物の抗トリプシン活性の比率に関連する。いくつかの実施形態において、このパラメータは、1.5:1乃至1:1である。具体的な実施形態では、この比率は、1.4:1乃至1.1:1である。具体的な実施形態では、この比率は、1.35:1乃至1.2:1である。
【0151】
またさらなる他の実施形態では、記載された精製済のSBTI、BBI、および/またはKTIは、いくつかの実施形態では、記載された非イオン洗剤の少なくとも1つと組み合わせて、記載された乳化剤の少なくとも1つと一緒に存在する。精製されたSBTI、BBI、および/またはKTIのそれぞれの記載された実施形態は、乳化剤および/または非イオン洗剤の記載された実施形態と自由に組み合わせてもよい。
【0152】
(プロテアーゼ阻害剤の組み合わせ)
特定の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される医薬組成物は、単離させたBBIおよび別のプロテアーゼ阻害剤、例えば、トリプシン阻害剤の組み合わせを含む。他の実施形態では、医薬組成物は、単離したKTI3および別のプロテアーゼ阻害剤の組み合わせを含む。当業者は、上記に言及された阻害剤を含む様々なプロテアーゼ阻害剤が採用されてもよいことを、本開示に照らして認識するであろう。タンパク質であるプロテアーゼ阻害剤の場合には、大きさは一般に最大で100kDaである。
【0153】
他の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される医薬組成物は、単離したBBIと単離したKTIの両方、特定の実施形態では、単離したBBIと単離したKTI3の両方を含む。「単離したKTI3」および「単離したBBI」との用語は、本明細書で使用されるように、SBTIの他の成分(すなわち、それぞれ、BBIまたはKTI3)に対して指定された成分中で濃縮された調製物のことを指す。様々な実施形態では、記載された方法および組成物で利用されるKTIの調製は、SDS-PAGE、ブリリアント・ブルー染色、または撮像装置定量化によって(例えば、本明細書に記載の手順にしたがって)評価されるように、少なくとも85%純粋である。他の実施形態では、KTI調製物のタンパク質含有量はBCAアッセイによって95%以上である。医薬組成物の文脈では、こうした値は、医薬組成物の1つ以上の他の成分と混合される前のKTIの特徴を指す。他の実施形態では、KTI調製物は、SDS-PAGEによって評価されるように、5%以下のBBIを含む。他の実施形態では、KTI調製物は、0.1%未満の高MW汚染物質(言いかえれば、30,000を超えるMWを有する物質)を含む。
【0154】
また他の実施形態では、医薬組成物中のKTI3に対するBBIの重量/重量(w/w)比率は、1.5:1乃至2.5:1、他の実施形態では、1.6:1乃至2.4:1、他の実施形態では、1.7:1乃至2.3:1、他の実施形態では、1.8:1乃至2.2:1、他の実施形態では、1.9:1乃至2.1:1、他の実施形態では、1.95:1乃至2.05:1、他の実施形態では、2:1である。
【0155】
さらに特定の実施形態では、記載された方法および組成物は、ただ一つのプロテアーゼ阻害剤として、記載されたBBIおよびKTIを、さらに具体的な実施形態では、BBIおよびKTI3を含む。他の実施形態では、記載された方法および組成物は、ただ一つのプロテアーゼ阻害剤として、KTIとアプロチニンを、具体的な実施形態では、KTI3とアプロチニンを含む。他の実施形態では、単離したBBI、単離したKTI、および、アプロチニンは、医薬組成物中にすべて存在する。
【0156】
また他の実施形態では、BBIとKTI3は、剤形当たり、50-100および25-50mgの量でそれぞれ存在し、組成物中のただ一つのプロテアーゼ阻害剤である。他の実施形態では、その量はそれぞれ55-90および25-45mgであり、それぞれ60-90および25-45mgであり、それぞれ60-85および25-45mgであり、それぞれ60-80および25-45mgであり、それぞれ65-75および30-40mgであり、それぞれ68-72および33-37mgであり、あるいは、それぞれ70および35mgである。また他の実施形態では、前述の量のBBIおよびKTI3は、別のトリプシン阻害剤、例えば、アプロチニンとともに存在する。
【0157】
また他の実施形態では、プロテアーゼ阻害剤の記載された組み合わせは、記載された非イオン洗剤とともに、いくつかの実施形態では、記載された非イオン性の乳化剤と組み合わせて、存在する。プロテアーゼ阻害剤の記載された組み合わせはそれぞれ、乳化剤および/または非イオン洗剤の記載された実施形態と自由に組み合わせてもよい。
【0158】
(二価カチオンのキレート化剤)
記載された方法および組成物中で利用される二価カチオンのキレート化剤は、1つの実施形態において、カルシウム、マグネシウム、およびマンガンのイオンの少なくとも1つに高い親和性を有する任意の生理学的に許容可能な化合物である。別の実施形態では、キレート化剤は、クエン酸塩またはその塩;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩(例えば、二ナトリウムEDTAおよびカルシウム二ナトリウムEDTA);EGTA(エチレングリコール四酢酸)またはその塩;ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはその塩;および、BAPTA(1,2-bis(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N’,N’-四酢酸)またはその塩、からなる群から選択される。他の実施形態では、上記の列挙されたキレート化剤の1つが利用される。具体的な実施形態において、キレート化剤はEDTAである。
【0159】
(油)
本明細書に記載される医薬組成物および方法の特定の実施形態は液相を含み、1つ以上の油が液相の基礎として利用される。特定の実施形態では、油は周囲温度で液体である任意の生理学的に許容可能な油であってもよい。
【0160】
「油中」または「液体中」にある成分についての言及は、指定された成分のそれぞれが油または油相中に、溶解、懸濁、および/または、乳化していることを意味する。「油ベース」組成物についての言及は、組成物のすべての固体成分(すなわち、錠剤化プロセスにおいて固体として通常提供される成分)が、油または油相中に、溶解、懸濁、および/または、乳化していることを意味する。いくつかの実施形態では、油相は医薬組成物の唯一の液体成分である。具体的な実施形態では、油相は、カプセルおよび随意の他のコーティングを除いて、医薬組成物の唯一の成分である。
【0161】
他の実施形態では、医薬組成物の油ベース液相は水を含まないか、あるいは他の実施形態では、アルコールを含まないか、あるいは他の実施形態では、アルコールも水も含まない。他の実施形態では、油または油の混合物は、1以上の随意の乳化剤または界面活性剤を除けば、油相のただ一つの液体成分である。また他の実施形態では、油または油の混合物は油相のただ一つの液体成分である。また他の実施形態では、油相は、油または油の混合物と、そのなかに溶解、懸濁、および/または、乳化した固体成分からなる。また他の実施形態では、油相は、油または油の混合物と、そのなかに溶解、懸濁、および/または、乳化した、1つ以上の治療用のタンパク質、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤、および、二価カチオンのキレート化剤からなる。また他の実施形態では、油相は油または油の混合物、そのなかに溶解、懸濁、および/または、乳化した、1つ以上の治療用タンパク質、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオン;ならびに、1つ以上の随意の乳化剤または界面活性剤、からなる。大気から吸収された水などの微量液体成分は、「唯一の液体成分」などとして油または油の混合物を有する組成物を、「水を含まない」として分類する目的のために存在しているとは考えられない。
【0162】
具体的な実施形態では、油はオメガ-3脂肪酸を含む。他の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はオメガ-3多価不飽和脂肪酸である。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、オメガ-3,ポリ不飽和22-炭素脂肪酸であるDHAであり、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸とも呼ばれる。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はリノレン酸(9,12,15-オクタデカトリエン酸)である。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はステアリドン酸(6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸(octadecatetraenoic acid)である。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はエイコサトリエン酸(ETA;11,14,17-エイコサトリエン酸)である。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はエイコサテトラエン酸(eicsoatetraenoic acid)(8,11,14,17-エイコサテトラエン酸)である。1つの実施形態では、オメガ-3脂肪酸はイコサペンタエン酸(EPA;5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸)である。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸は、エイコサヘキサエン酸(eicosahexaenoic acid)(5,7,9,11,14,17-エイコサヘキサエン酸)である。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はドコサペンタエン酸(DPA;7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸(docosapenatenoic acid)である。別の実施形態では、オメガ-3脂肪酸はテトラコサヘキサエン酸(6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸)である。
【0163】
他の実施形態では、油はオメガ-3脂肪酸を含む自然に発生する油である。他の実施形態では、油は安全であると一般に認められる(GRAS)自然に発生する油である。他の実施形態では、油は自然に発生するGRAS植物性油である。特定の実施形態では、油は、カルダモン油、ニンジン種子油、ローマンカモミール油、コリアンダー油、ブラッククミン油、アキノキリンソウ油、マンダリン油、レモンバーム油、ビャクダン油、スペアミント油、オリーブオイル、アマニ油、ゴマ油、アボカド油、クルミ油、キャノーラ油、綿実油、トウモロコシ油、ベニバナ油、ヒマワリ油、ダイズ油、ブドウ種油、アーモンド油、および、魚油(この非限定的な例はサーモン油およびまぐろ油である)から選択されてもよい。具体的な実施形態では、油は、オリーブオイル、アマニ油、ゴマ油、アボカド油、クルミ油、キャノーラ油、および魚油から選択されてもよい。さらに特定の実施形態では、油は魚油、キャノーラ油、およびアマニ油から選択される。代替的に、油は、魚油、キャノーラ油、アマニ油、藻類の油、および麻実油からなる群から選択される。特定の実施形態において、油は魚油である。いくつかのタイプの魚油は、本明細書に記載の組成物中で試験されており、すべて等しく十分に作用することが分かっている。
【0164】
(神経変性障害)
GLP-はNAFLDに対する効果とは無関係に、神経変性障害に対して治療上の効果を有し得ることが当業者によって理解されるであろう。当業者は、中枢神経系のMRI(核磁気共鳴映像法)を含む多くの既知の方法によって、神経変性障害を診断することができることを認識するであろう。
【0165】
本明細書では、別の実施形態において、アルツハイマー病を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0166】
また別の態様は、アルツハイマー病を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、アルツハイマー病を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0167】
本明細書では、別の実施形態において、パーキンソン病を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0168】
また別の態様は、パーキンソン病を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、パーキンソン病を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0169】
本明細書では、別の実施形態において、ハンチントン病を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0170】
また別の態様は、ハンチントン病を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、ハンチントン病を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0171】
本明細書では、別の実施形態において、ALSを処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0172】
また別の態様は、ALSを処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、ALSを処置する、または、その発生率を低下させる。
【0173】
本明細書では、別の実施形態において、外傷性脳損傷(TBI)を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および、二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0174】
また別の態様は、TBIを処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、TBIを処置する、または、その発生率を低下させる。
【0175】
本明細書では、別の実施形態において、気分障害を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0176】
また別の態様は、気分障害を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、気分障害を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0177】
本明細書では、別の実施形態において、脳卒中からの組織損傷を減らすための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0178】
また別の態様は、脳卒中からの組織損傷を減らす方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、脳卒中からの組織損傷を減らす。
【0179】
本明細書では、別の実施形態において、網膜変性を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0180】
また別の態様は、網膜変性を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、網膜変性を処置する、または、その発生率を低下させる。
【0181】
本明細書では、別の実施形態において、末梢神経障害(PN)を処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させるための医薬組成物が提供され、前記医薬組成物は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。別の実施形態では、医薬組成物はGLP-1アナログ、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤、および二価カチオンのキレート化剤を含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載される油ベースの液体製剤の1つを含み、ここで、医薬組成物は、いくつかの実施形態では、胃での分解に抵抗するカプセルおよび/またはコーティングをさらに含むこともある。他の実施形態では、医薬組成物は本明細書に記載の固体の製剤の1つを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0182】
また別の態様は、PNを処置する、または、別の態様では、その発生率を低下させる方法を提供し、該方法は、本明細書に記載される医薬組成物を被験体に投与する工程を含み、それによって、PNを処置する、または、その発生率を低下させる。
【0183】
(代表的な特異的な製剤)
特定の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、および少なくとも1つのトリプシン阻害剤を含む液体製剤であり、これらはすべて、例えば、油中に溶解、懸濁、および/または、乳化している。具体的な実施形態では、GLP-1アナログはエキセナチドであってもよい。他の実施形態では、記載された液体製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、および少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。またさらに別の実施形態では、記載された液体製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、少なくとも1つのトリプシン阻害剤、および、少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。またさらに別の実施形態では、記載された液体製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、1つのトリプシン阻害剤、および、1つのキモトリプシン阻害剤を含む。より具体的な実施形態では、プロテアーゼ阻害剤はSBTIおよびアプロチニンである。代替的に、精製されたKTI3およびアプロチニンが利用される。また他の実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤である。他の実施形態では、二価カチオンのキレート化剤も、液体製剤、具体的な実施形態ではEDTA中に存在する。代替的に、あるいは、加えて、液体製剤はゼラチンカプセルに入っている。具体的な実施形態では、ゼラチンカプセルは腸溶コーティングで覆われる。
【0184】
キモトリプシン阻害剤と組み合わせるトリプシン阻害剤についての言及は、KTI3などのトリプシン阻害剤がキモトリプシンとトリプシンの両方の阻害剤と一緒に存在する事例を包含する。
【0185】
特定の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される製剤は、インスリンおよび少なくとも1つのトリプシン阻害剤を含む液体製剤であり、これらは両方とも/すべて、例えば、油中に溶解、懸濁、および/または、乳化している。他の実施形態では、記載された液体製剤はインスリンおよび少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。また他の実施形態では、記載された液体製剤は、インスリン、少なくとも1つのトリプシン阻害剤、および、少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。また他の実施形態では、記載された液体製剤は、インスリン、1つのトリプシン阻害剤、および、1つのキモトリプシン阻害剤を含む。より具体的な実施形態では、プロテアーゼ阻害剤はSBTIとアプロチニンである。代替的に、精製されたKTI3およびアプロチニンが利用される。また他の実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤である。他の実施形態では、二価カチオンのキレート化剤も、液体製剤、具体的な実施形態ではEDTA中に存在する。代替的に、あるいは、加えて、液体製剤はゼラチンカプセルに入っている。具体的な実施形態では、ゼラチンカプセルは腸溶コーティングで覆われる。
【0186】
特定の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される製剤は、GLP-1アナログおよび少なくとも1つのトリプシン阻害剤を含む液体製剤であり、これらは両方とも/すべて、例えば、油中に溶解、懸濁、および/または、乳化している。具体的な実施形態では、GLP-1アナログはエキセナチドであってもよい。他の実施形態では、記載された液体製剤は、GLP-1アナログおよび少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。また他の実施形態では、記載された液体製剤は、GLP-1アナログ、少なくとも1つのトリプシン阻害剤、および少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。また他の実施形態では、記載された液体製剤は、GLP-1アナログ、1つのトリプシン阻害剤、および1つのキモトリプシン阻害剤を含む。より具体的な実施形態では、プロテアーゼ阻害剤はSBTIとアプロチニンである。代替的に、精製したKTI3およびアプロチニンが利用される。また他の実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤である。他の実施形態では、二価カチオンのキレート化剤も、液体製剤、具体的な実施形態ではEDTA中に存在する。代替的に、あるいは、加えて、液体製剤はゼラチンカプセルに入っている。具体的な実施形態では、ゼラチンカプセルは腸溶コーティングで覆われる。
【0187】
他の実施形態では、記載された方法または組成物で利用される液体製剤は、インスリン、エキセナチド、界面活性剤、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油を含む。いくつかの実施形態では、この段落で引用された界面活性剤は、Gelucire 44/14であってもよい。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、エキセナチド、界面活性剤、EDTA、SBTI、アプロチニン、および、油から本質的になる。この段落や以下の段落における「本質的になる」とは、液体製剤がその生理的な特徴にかなりの影響を与える任意の他の成分を含んでいないことを示している。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、エキセナチド、界面活性剤、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油からなる。他のさらに具体的な実施形態では、剤形当たりのインスリン、エキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、および、油の量はそれぞれ、8-16mg、150-300mcg、100-200mg、50-100mg、20-30mg、および、0.4-0.7mlであり、界面活性剤、例えば、Gelucire 44/14の量は8-16%である。さらに特定の実施形態では、剤形当たりのインスリン、エキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、8-16mg、150-300mcg、150mg、65-85mg、22-26mg、および、0.5-0.7mlであり、界面活性剤、例えば、Gelucire 44/1444/14の量は8-16%である。さらに具体的な実施形態は75mgのSBTIおよび24mgのアプロチニンを含む。他の実施形態では、上記の組成物はポリソルベート80をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80は、油ベースの液体製剤を含んで3-10%重量/重量を構成する。特定の実施形態では、すべての前述の成分(油以外の)は油中で提供され、例えば、油、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される油の1つにおいて、溶解または懸濁している。代替的に、または、加えて、上記の組成物は胃での分解に抵抗するコーティングによって覆われる。代替的に、または、加えて、精製したKTI3は上記の量の1つでSBTIの代わりに存在する。様々な実施形態では、精製したBBIは唯一のプロテアーゼ阻害剤であり、50-200mg、他の実施形態では75-200mg、他の実施形態では75-180mg、他の実施形態では75-150mg、他の実施形態では75-125mg、他の実施形態では90-110mg、他の実施形態では100-150mg、他の実施形態では110-140mg、他の実施形態では120-130mg、他の実施形態では120-160mg、他の実施形態では130-150mg、他の実施形態では75mg、他の実施形態では100mg、他の実施形態では125mg、他の実施形態では150mg、他の実施形態では175mg、他の実施形態では200mgの量で存在する。
【0188】
具体的な実施形態では、記載された方法または組成物で利用される液体製剤は、インスリン、エキセナチド、自己乳化成分、例えば、(a)モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、トリアシルグリセロール、または、その混合物、ならびに、(b)脂肪酸のPEGエステル;EDTA;SBTI;アプロチニン;および、油、の混合物として提供された成分、を含む。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、エキセナチド、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油から本質的になる。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、エキセナチド、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油からなる。他のさらに具体的な実施形態では、剤形当たりのインスリン、エキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、または、油の量はそれぞれ、8-16mg、150-300mcg、100-200mg、50-100mg、20-30mg、および、0.4-0.7mlであり、自己乳化成分の量は8-16%である。さらに特定の実施形態では、剤形当たりのインスリン、エキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、8-16mg、150-300mcg、150mg、65-85mg、22-26mg、および0.5-0.7mlであり、自己乳化成分の量は8-16%である。さらに具体的な実施形態は75mgのSBTIおよび24mgのアプロチニンを含む。他の実施形態では、上記組成物はポリソルベート80をさらに含む。特定の実施形態では、ポリソルベート80は、油ベースの液体製剤の3-10%(含む)重量/重量を構成する。特定の実施形態では、油以外の前述の成分はすべて油中で提供され、例えば、油中に溶解または懸濁しており、これは、いくつかの実施形態では本明細書で上記の油の1つである。代替的に、または、加えて、上記の組成物は、胃での分解に抵抗するコーティングによって覆われる。代替的に、または、加えて、精製したKTI3は、上に言及された量の1つでSBTIに代わって存在する。他の実施形態では、精製したBBIは、SBTIについて上に言及された量の1つで存在し、存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤である。
【0189】
他の実施形態では、記載された方法または組成物で利用される液体製剤は、エキセナチド、界面活性剤、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油を含む。いくつかの実施形態では、この段落で言及された界面活性剤は、Gelucire 44/14であってもよい。他の実施形態では、液体製剤は、エキセナチド、界面活性剤、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油から本質的になる。他の実施形態では、液体製剤は、エキセナチド、界面活性剤、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油からなる。他の具体的な実施形態では、剤形当たりのエキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、150-300mcg、100-200mg、50-100mg、20-30mg、および、0.4-0.7mlであり、界面活性剤、例えば、Gelucire 44/14の量は、8-16%である。さらに特定の実施形態では、剤形当たりのエキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、150-300mcg、150mg、65-85mg、22-26mg、および、0.5-0.7mlであり、界面活性剤、例えば、Gelucire 44/1444/14の量は、8-16%である。さらに具体的な実施形態は75mgのSBTIおよび24mgのアプロチニンを含む。他の実施形態では、上記の組成物はポリソルベート80をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80は、油ベースの液体製剤を含んで3-10%重量/重量を構成する。特定の実施形態では、油以外の前述の成分はすべて油中で提供され、油、例えば、本明細書に記載された油の1つに、溶解または懸濁している。代替的に、または、加えて、上記の組成物は、胃での分解に抵抗するコーティングによって覆われる。代替的に、または、加えて、精製したKTI3は、上に言及された量の1つでSBTIの代わりに存在する。様々な実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤であり、50-200mg、他の実施形態では75-200mg、他の実施形態では75-180mg、他の実施形態では75-150mg、他の実施形態では75-125mg、他の実施形態では90-110mg、他の実施形態では100-150mg、他の実施形態では110-140mg、他の実施形態では120-130mg、他の実施形態では120-160mg、他の実施形態では130-150mg、他の実施形態では75mg、他の実施形態では100mg、他の実施形態では125mg、他の実施形態では150mg、他の実施形態では175mg、他の実施形態では200mgの量で存在する。
【0190】
さらに特定の実施形態では、記載された方法または組成物で利用される液体製剤は、エキセナチド、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油を含む。他の実施形態では、液体製剤は、エキセナチド、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油から本質的になる。他の実施形態では、液体製剤は、エキセナチド、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油からなる。他の具体的な実施形態では、剤形当たりのエキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、、150-300mcg、100-200mg、50-100mg、20-30mg、および、0.4-0.7mlであり、自己乳化成分の量は8-16%である。さらに特定の実施形態では、剤形当たりのエキセナチド、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、150-300mcg、150mg、65-85mg、22-26mg、および、0.5-0.7mlであり、自己乳化成分の量は8-16%である。さらに具体的な実施形態は75mgのSBTIおよび24mgのアプロチニンを含む。他の実施形態では、上記の組成物はポリソルベート80をさらに含む。特定の実施形態では、ポリソルベート80は油ベースの液体製剤を含んで3-10%重量/重量を構成する。特定の実施形態では、油以外の前述の成分はすべて油中で提供され、油、例えば、いくつかの実施形態で本明細書に記載された油の1つに、溶解または懸濁している。代替的に、または、加えて、上記の組成物は、胃での分解に抵抗するコーティングによって覆われる。代替的に、または、加えて、精製したKTI3は、上に言及された量の1つでSBTIの代わりに存在する。様々な実施形態において、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤であり、50-200mg、他の実施形態では75-200mg、他の実施形態では75-180mg、他の実施形態では75-150mg、他の実施形態では75-125mg、他の実施形態では90-110mg、他の実施形態では100-150mg、他の実施形態では110-140mg、他の実施形態では120-130mg、他の実施形態では120-160mg、他の実施形態では130-150mg、他の実施形態では75mg、他の実施形態では100mg、他の実施形態では125mg、他の実施形態では150mg、他の実施形態では175mg、他の実施形態では200mgの量で存在する。
【0191】
他の実施形態では、記載された方法または組成物で利用される液体製剤は、インスリン、Gelucire 44/14、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油を含む。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、Gelucire 44/14、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油から本質的になる。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、Gelucire 44/14、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油からなる。他の具体的な実施形態では、剤形当たりのインスリン、EDTA、SBTI、アプロチニン、および、油の量はそれぞれ、8-16mg、100-200mg、50-100mg、20-30mg、および、0.4-0.7mlであり、Gelucire 44/14の量は8-16%である。さらに特定の実施形態では、剤形当たりのインスリン、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、8-16mg、150mg、65-85mg、22-26mg、および、0.5-0.7mlであり、Gelucire 44/14の量は8-16%である。さらに具体的な実施形態は75mgのSBTIおよび24mgのアプロチニンを含む。他の実施形態では、上記の組成物はポリソルベート80をさらに含む。いくつかの実施形態では、ポリソルベート80は油ベースの液体製剤を含んで3-10%重量/重量を構成する。特定の実施形態では、油以外の前述の成分はすべて油中で提供され、油、例えば、いくつかの実施形態で本明細書に記載された油の1つに、溶解または懸濁している。代替的に、または、加えて、上記の組成物は、胃での分解に抵抗するコーティングによって覆われる。代替的に、または、加えて、精製したKTI3は、上に言及された量の1つでSBTIの代わりに存在する。様々な実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤であり、50-200mg、他の実施形態では75-200mg、他の実施形態では75-180mg、他の実施形態では75-150mg、他の実施形態では75-125mg、他の実施形態では90-110mg、他の実施形態では100-150mg、他の実施形態では110-140mg、他の実施形態では120-130mg、他の実施形態では120-160mg、他の実施形態では130-150mg、他の実施形態では75mg、他の実施形態では100mg、他の実施形態では125mg、他の実施形態では150mg、他の実施形態では175mg、他の実施形態では200mgの量で存在する。
【0192】
さらに特定の実施形態では、記載された方法または組成物で利用される液体製剤は、インスリン、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油を含む。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油から本質的になる。他の実施形態では、液体製剤は、インスリン、自己乳化成分、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油からなる。他の具体的な実施形態では、剤形当たりのインスリン、EDTA、SBTI、アプロチニン、および、油の量はそれぞれ、8-16mg、100-200mg、50-100mg、20-30mg、および、0.4-0.7mlであり、自己乳化成分の量は8-16%である。さらに特定の実施形態では、剤形当たりのインスリン、EDTA、SBTI、アプロチニン、および油の量はそれぞれ、8-16mg、150mg、65-85mg、22-26および0.5-0.7mlであり、自己乳化成分の量は8-16%である。さらに具体的な実施形態は75mgのSBTIおよび24mgのアプロチニンを含む。いくつかの実施形態では、上記の組成物はポリソルベート80をさらに含む。特定の実施形態では、ポリソルベート80は油ベースの液体製剤を含む3-10%重量/重量を構成する。特定の実施形態では、油以外の前述の成分はすべて油中で提供され、油、例えば、いくつかの実施形態で本明細書に記載された油の1つに、溶解または懸濁している。代替的に、または、加えて、上記の組成物は、胃での分解に抵抗するコーティングによって覆われる。代替的に、または、加えて、精製したKTI3は、上に言及された量の1つでSBTIの代わりに存在する。様々な実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤であり、50-200mg、他の実施形態では75-200mg、他の実施形態では75-180mg、他の実施形態では75-150mg、他の実施形態では75-125mg、他の実施形態では90-110mg、他の実施形態では100-150mg、他の実施形態では110-140mg、他の実施形態では120-130mg、他の実施形態では120-160mg、他の実施形態では130-150mg、他の実施形態では75mg、他の実施形態では100mg、他の実施形態では125mg、他の実施形態では150mg、他の実施形態では175mg、他の実施形態では200mgの量で存在する。
【0193】
乳化剤や洗剤の文脈において本明細書で言及される「重量/重量」の比率は、分母として、製剤中の油(例えば魚油)ベースの量を採用し、したがって、500mgの油中の(例えば)60mgのGelucireは、他の成分の重量にかかわらず、12%w/wであると考えられる。同様に、500mgの油と混合した50mgのツイーン80は、10%のツイーン80と見なされる。
【0194】
他の実施形態では、記載された方法または組成物で利用される液体製剤は水を含まない。2以上の液体製剤が例えば、複数成分の組成物中に存在する場合、それぞれの液体製剤は水を含まない。特定の実施形態では、「水を含まない」とは、水性成分が故意に加えられなかった製剤のことを指す。この用語は、大気中からその成分に吸収された水の痕跡量の存在を除外するものではない。他の実施形態において、液体製剤は水性成分を含まない。2以上の液体製剤が、例えば、複数成分の組成物中に存在する場合、それぞれの液体製剤は水性成分を含まなくてもよい。また他の実施形態において、オリーブオイル、アマニ油、ゴマ油、アボカド油、クルミ油、キャノーラ油、および魚油から選択された1つ以上の油は、1つ以上の液体製剤のそれぞれのただ一つの液体成分である。また別の実施形態では、魚油は1つ以上の液体製剤のそれぞれのただ一つの液体成分である。また別の実施形態では、1つ以上の液体製剤のただ一つの液体成分は、魚油、キャノーラ油、およびアマニ油からなる基から選択される。
【0195】
他の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、EDTA、および少なくとも1つのトリプシン阻害剤を含む固体の製剤である。具体的な実施形態では、GLP-1アナログはエキセナチドであってもよい。他の実施形態では、製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、EDTA、および少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。他の実施形態では、製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、EDTA、少なくとも1つのトリプシン阻害剤、および少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。他の実施形態では、製剤は、インスリン、GLP-1アナログ、EDTA、1つのトリプシン阻害剤、および1つのキモトリプシン阻害剤を含む。より具体的な実施形態では、プロテアーゼ阻害剤はSBTIとアプロチニンである。代替的に、精製されたKTI3およびアプロチニンが利用される。様々な実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤であり、50-200mg、他の実施形態では75-200mg、他の実施形態では75-180mg、他の実施形態では75-150mg、他の実施形態では75-125mg、他の実施形態では90-110mg、他の実施形態では100-150mg、他の実施形態では110-140mg、他の実施形態では120-130mg、他の実施形態では120-160mg、他の実施形態では130-150mg、他の実施形態では75mg、他の実施形態では100mg、他の実施形態では125mg、他の実施形態では150mg、他の実施形態では175mg、他の実施形態では200mgの量で存在する。代替的に、または、加えて、固体の製剤は腸溶コーティングで覆われる。
【0196】
本明細書で使用されるような「固体の製剤」との用語は、錠剤、カプセル、および、剤形全体で非液体構造を有している他の剤形のことを指す。特定の非限定的な実施形態では、治療用のペプチド、EDTA、およびプロテアーゼ阻害剤(すべて結晶形態、または、他の実施形態では非晶形)は組み合わされ、当該技術分野で知られている錠剤化プロセスにかけられる。
【0197】
他の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される製剤は、GLP-1アナログ、EDTA、および少なくとも1つのトリプシン阻害剤を含む固体の製剤である。具体的な実施形態では、GLP-1アナログはエキセナチドであってもよい。他の実施形態では、製剤は、GLP-1アナログ、EDTA、および、少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。他の実施形態では、製剤は、GLP-1アナログ、EDTA、少なくとも1つのトリプシン阻害剤、および、少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。他の実施形態では、製剤は、GLP-1アナログ、EDTA、1つのトリプシン阻害剤、および1つのキモトリプシン阻害剤を含む。より具体的な実施形態では、プロテアーゼ阻害剤はSBTIとアプロチニンである。代替的に、精製したKTI3およびアプロチニンが利用される。また他の実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤である。代替的に、あるいは、加えて、液体製剤はゼラチンカプセルに入っている。具体的な実施形態では、ゼラチンカプセルは腸溶コーティングで覆われる。
【0198】
他の実施形態では、記載された方法および組成物で利用される製剤は、インスリン、EDTA、および少なくとも1つのトリプシン阻害剤を含む固体の製剤である。他の実施形態では、製剤は、インスリン、EDTA、および少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。他の実施形態では、製剤は、インスリン、EDTA、少なくとも1つのトリプシン阻害剤、および、少なくとも1つのキモトリプシン阻害剤を含む。他の実施形態では、製剤は、インスリン、EDTA、1つのトリプシン阻害剤、および1つのキモトリプシン阻害剤を含む。より具体的な実施形態では、プロテアーゼ阻害剤はSBTIとアプロチニンである。代替的に、精製したKTI3およびアプロチニンが利用される。また他の実施形態では、精製したBBIは存在する唯一のプロテアーゼ阻害剤である。代替的に、あるいは、加えて、液体製剤はゼラチンカプセルに入っている。具体的な実施形態では、ゼラチンカプセルは腸溶コーティングで覆われる。
【0199】
(糖尿病および他の代謝障害)
同様に、本明細書では、真性糖尿病を処置するための本明細書に記載の固体の医薬製剤が提供され、真性糖尿病はいくつかの実施形態ではI型DMであり、他の実施形態では、II型DMである。同様に、本明細書に記載の固体の医薬製剤を被験体に投与することによって糖尿病を処置するための方法が提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、血糖値に依存して、1日当たり1回以上被験体に投与される。他の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0200】
他の実施形態において、II型糖尿病(T2DM)の進行リスクのある被験体のT2DMの進行を阻害または低下させるために、活性成分として、様々な実施形態でインスリン、GLP-1アナログ、または、その組み合わせを含む、本明細書に記載の固体の医薬製剤が提供される。特定の実施形態では、こうしたリスクにある被験体は、「前糖尿病性」とみなされる、および/または、耐糖能異常(IGT)を呈する。IGTは、空腹時血漿グルコース(FPG)値が1デシリットル当たり100-126ミリグラム(mg/dl)であるか、および/または、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)における2時間の値が140-200mg/dlであるときに、存在すると一般には考えられており、T2DMは、FPG値>126であるか、または、2時間のOGTT値>200mg/dlであるときに、存在すると考えられている。しかしながら、当業者は、IGTとT2DMを決定する正確な基準が重要ではないこと、および、他の検査、例えば、頻繁にサンプリングした静脈グルコース耐性検査(FSIVGTT)とHbAlC値が利用されてもよいこと、を認識するであろう。他の実施形態では、こうしたリスクにある被験体は、インスリン抵抗性、肥満、および/または、糖尿病の家族歴を呈する。特定の実施形態では、医薬組成物は長期間にわたって投与される。具体的な実施形態では、医薬組成物は、長時間にわたって、例えば、一日1回または一日2回投与されてもよい。毎日の投与の非限定的な例は、就寝時間の前の単回投与である。
【0201】
同様に、本明細書では、食物摂取量を減らすための本明細書に記載される固体の医薬製剤が提供される。同様に、被験体に本明細書に記載の固体の医薬製剤を投与することによって、被験体により食物摂取量を減らす方法が提供される。
【0202】
同様に、本明細書では、インスリン分泌物を増強するために、本明細書に記載の固体の医薬製剤が提供される。同様に、本明細書に記載の固体の医薬製剤を被験体に投与することにより、インスリン分泌物を増強する方法が提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、血糖値に依存して、被験体に1日一度以上投与される。他の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0203】
同様に、本明細書では、高血糖症の発生を予防的に低下させるために本明細書に記載の固体の医薬製剤が提供される。同様に、本明細書に記載の固体の医薬製剤を被験体に投与することにより、高血糖症を予防的に減らす方法が提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、血糖値に依存して、被験体に1日一度以上投与される。他の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。
【0204】
同様に、本明細書では、グルカゴン分泌を予防的に減らすために、本明細書に記載の固体の医薬製剤が提供される。同様に、本明細書に記載の固体の医薬製剤を被験体に投与することにより、グルカゴン分泌を予防的に減らす方法が提供される。
【0205】
同様に、本明細書では、真性糖尿病(いくつかの実施形態ではI型糖尿病であり、他の実施形態では、II型糖尿病である)を処置するために、様々な実施形態で、活性成分として、インスリン、GLP-1アナログ、またはその組み合わせを含む医薬組成物中のBBI:KTIの特定のw/w比率を有する医薬製剤が提供される。同様に、特定のBBI:KTIw/w比率を有する医薬製剤を、被験体に投与することによって、DMを処置するための方法が提供される。特定の実施形態では、医薬組成物は、血糖値に依存して、被験体に1日一度以上投与される。他の実施形態では、医薬組成物は長時間にわたって被験体に投与される。医薬組成物は、様々な実施形態で、本明細書に記載の液体の医薬製剤または本明細書に記載の固体の医薬製剤である。BBI対KTIの前述のw/w比率は、いくつかの実施形態では1.5:1乃至2.5:1、他の実施形態では、1.6:1乃至2.4:1、他の実施形態では、1.7:1乃至2.3:1、他の実施形態では、1.8:1乃至2.2:1、他の実施形態では、1.9:1乃至2.1:1、他の実施形態では、1.95:1乃至2.05:1、他の実施形態では、2:1である。
【0206】
他の実施形態では、(T2DM)の進行リスクのある被験体のT2DMの進行を阻害または低下させるために、活性成分として、様々な実施形態でインスリン、GLP-1アナログ、または、その組み合わせを含む、特定のBBL:KTIのw/w比率を有する医薬製剤が提供される。特定の実施形態では、こうしたリスクにある被験体は、「前糖尿病性」とみなされる、肥満を示す、および/または、糖尿病の家族歴を有する。特定の実施形態では、医薬組成物は長期間にわたって投与される。具体的な実施形態では、医薬組成物は、長時間にわたって、例えば、一日1回または一日2回投与されてもよい。毎日の投与の非限定的な例は、就寝時間の前の単回投与である。BBI対KTIの前述のw/w比率は、いくつかの実施形態では1.5:1乃至2.5:1、他の実施形態では、1.6:1乃至2.4:1、他の実施形態では、1.7:1乃至2.3:1、他の実施形態では、1.8:1乃至2.2:1、他の実施形態では、1.9:1乃至2.1:1、他の実施形態では、1.95:1乃至2.05:1、他の実施形態では、2:1である。
【0207】
(コーティング)
特定の実施形態では、記載された液体製剤は、カプセル、例えば、ゼラチンカプセル、さらに具体的な実施形態では、pH高感度なコーティングでコーティングされたカプセル内に入れられる。他の実施形態では、固体の製剤は、例えば、pH高感度なコーティングで直接コーティングされてもよい。当業者は、本開示を考慮して、様々なpH高感度なコーティングが、記載された方法および組成物中で利用されてもよいことを理解するであろう。特定の実施形態では、被験体の胃での組成物の消化を阻害する任意のコーティングが利用されることもある。一般に、こうしたコーティングは2時間以内にヒト胃液に溶けることはなく、十二指腸の流体で30分以内に溶ける。
【0208】
他の実施形態において、コーティングは生分解性の多糖類を含む。他の実施形態では、ヒドロゲルが用いられる。他の実施形態において、コーティングは、以下の賦形剤の1つを含む:キトサン、アクアコート(aquacoat)ECDコーティング、アゾ架橋ポリマー、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルローストリメリテート(CAT)、酢酸酪酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、または、ポリ酢酸ビニルフタレート。
【0209】
他の実施形態では、Pulsincap(商標)のような徐放性の系が用いられる。
【0210】
好ましい実施形態では、本明細書に記載のコーティングした剤形は、pHが、胃内のそれに対してアルカリ性の腸で見られる領域に達すると、コア(油ベースの製剤を含む)を放出する。具体的な実施形態では、コーティングはpH-高感度なポリマーを含む。様々な実施形態では、単層または多層のコーティングのいずれかが利用されてもよい。
【0211】
1つの実施形態では、コーティングは腸溶コーティングである。腸溶コーティングのための方法は、当該技術(例えば、Siepmann F et al 2005を参照)で周知である。具体的な実施形態では、Eudragit(商標)コーティングは腸溶コーティングとして利用される。Eudragit(商標)コーティングはアクリルポリマーであり、その使用は当該技術で周知である。
【0212】
別の実施形態では、マイクロカプセル化は、本明細書に記載の組成物中の耐胃性のコーティングとして使用される。マイクロカプセル化のための方法は当該技術では周知であり、米国特許出願公報2011/0305768号にとりわけ記載されており、この文献は本明細書に参照することで組み込まれる。
【0213】
他の実施形態では、記載された医薬組成物は、カプセルの形態である。ゼラチンカプセルが最も好ましく、これはソフトゼラチンカプセルであってもよく、あるいは、他の実施形態では、ハードゼラチンカプセルであってもよい。ゼラチンカプセルに油ベースの製剤を挿入する方法は、当該技術で周知である。具体的な実施形態では、ゼラチンカプセルは、腸溶コーティングによってそれ自体がコーティングされる。
【0214】
錠剤、カプセル、丸剤、粉剤、および顆粒剤などの様々な経口剤形は、記載された固体組成物中で使用されてもよい。適切な賦形剤は、制限されないが、固体の粉末担体、例えば、US Pharmacopeia and the Handbook of Pharmaceutical Excipients、例えば、マンニトール、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、および、デンプン;結合剤、例えば、ポリビニルピロリドン、デンプン、および、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;崩壊剤、例えば、クロスカルメロースナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、および、ポリビニルピロリドンや、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、および、Sterotex NFなどの水素化した植物性油、の中から選ぶことができる。いくつかの実施形態では、ラクトースを含まない組成物は、適合する量で、活性成分、結合剤/充填剤、および潤滑剤を含む。ラクトースを含まない剤形の具体的な実施形態は、活性成分、微結晶性セルロース、あらかじめゼラチン化したデンプン、および、ステアリン酸マグネシウムを含む。その後、混合物は、特定の実施形態で、カプセル用の錠剤または顆粒剤へと処理される。特定の実施形態では、急速崩壊性の錠剤が利用され、これは、いくつかの実施形態において、咽下をするのが困難な高齢者または身体の弱い個体に役立つ。他の実施形態では、経口剤形は腸溶コーティングされる。
【0215】
例えば、インスリンタンパク質またはその投与量、GLP-1アナログまたはその投与量、プロテアーゼ阻害剤またはその量、キレート化剤またはその量、乳化剤またはその量、非イオン洗剤またはその量、あるいは、カプセルおよび/またはコーティングといった、単一の分離可能な特徴の代替物が「実施形態」として本明細書で説明されるときはいつでも、こうした代替物は本明細書で開示される本発明の別々の実施形態を形成するために自由に組み合わせてもよいということが理解されよう。
【0216】
それを可能にする司法権に関して、上記や下記において本明細書で記載されるすべての特許、特許出願、および公開物は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0217】
本発明は、以下の実施例と図面によってさらに例証され、こうした実施例と図面からさらなる実施形態と利点を引き出すことができる。これらの実施例は、本発明を例証するためのもので、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例0218】
(実験の詳細部分)
本明細書に記載のすべての動物実験において、腸溶コーティングを施したカプセルでヒトに投与される、液体剤形は、例えば、カニューレによって動物の消化器系に直接投与されてもよい。一般に、液体および固体の剤形は経管栄養によって動物に与えられてもよい。
【0219】
実施例1:NAFLDを処置するための経口のGLP-1アナログおよび/またはインスリン製剤の試験
NAFLDを患う志願者に、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤;EDTA;および、GLP-1アナログを含む、pH高感度なコーティングおよび/またはカプセルを有する1つ以上の剤形を、例えば1-24か月の期間にわたって、継続的に投与する。他の実験では、剤形はインスリンおよびGLP-1アナログを含む。さらに別の実験では、NAFLDを進行させるリスクのある被験体を組成物で処置する。組成物の有効性を試験するために、実験期間にわたって、被験体のNAFLD状態を観察する。
【0220】
実施例2:他の代謝の徴候に関する経口GLP-1アナログおよび/またはインスリン製剤の試験
代謝障害(Grundy et al,2004)の志願者に、pH高感度なコーティングおよび/またはカプセルを有し、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤;EDTA;および、GLP-1アナログを含む1つ以上の剤形を、例えば、1-24か月の期間、継続的に投与する。他の実験では、剤形はインスリンおよびGLP-1アナログを含む。さらに別の実験では、代謝障害を進行させるリスクのある被験体を組成物で処置する。肥満(例えば、ウエスト周囲を測定することによる)、総コレステロール値、高トリグリセリド血症、血清ApoB値、総コレステロール/HDL比、ApoB/ApoA1比率、アテローム性動脈硬化、無症候性の炎症(とりわけC-反応性タンパクの値の測定により測定することができる)、血栓形成促進性の状態(とりわけプラスミノーゲン活性化因子阻害剤-1[PAI-1]の値の測定により測定することができる)、血小板活性化の存在、内皮機能障害の存在、心塞栓状態の存在、および/または、血管拡張反応のインスリン誘導性の強化について、実験期間にわたって被験体を観察する(Sung et al,2012;Chatrath et al 2012;Nseir et al,2011)。
【0221】
実施例3:動物モデルにおけるアルツハイマー病を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の試験
1つ以上のプロテアーゼ阻害剤、EDTA、およびGLP-1アナログを含む1つ以上の剤形を、アルツハイマー病の動物モデルの文脈中の実験動物に、例えば、1-24週間、継続的に投与する。他の実験では、製剤は、活性薬剤としてインスリンおよびGLP-1アナログを含む。いくつかの実験では、動物モデルは、ADのストレプトゾトシン(STZ)誘導ラットモデルである。STZの脳内注入により結果としてタウタンパク質の過剰リン酸化が生じ、ADを模倣した疾病を引き起こす。いくつかの実験は、STZの代わりにCSFを使用する偽注入された動物を対照群として用いる。
【0222】
手術から完全に回復した後(一般に誘導の数か月後)、動物を数グループに分け、数日間、実験によっては少なくとも30日間、経口GLP-1または空の担体(例えば、通常の生理食塩水)で処置する。
【0223】
記憶の維持に関する経口GLP-1の用量依存効果と経時効果を処置の間に測定する。処置後、動物を屠殺し、脳組織を用いて海馬と皮質のGLP-1値、アミロイド・ベータ(Αβ)負荷、タウのリン酸化、および炎症性のマーカーを評価する。
【0224】
いくつかの実験では、実験期間、被験体の認知状態を観察し、Salcedoらに従って、または本明細書で引用される文献に従って、神経変性疾患の状態を評価して組成物の有効性を試験する。以下は使用することができるいくつかの代表的なプロトコルである。
【0225】
(放射状アーム迷路(Radial arm maze)(RAM)作業)
動物の作動記憶はRAM装置(アラーム付)で、トレーニングを含む記載された検査方法を用いて検査する。検査は一般にSTZ誘導の数か月後に行なわれる。
【0226】
(穴ボード(HB)作業)
食物で動機づけする複雑なHB装置で学習障害について動物を検査する。装置はプレキシガラス壁に囲まれた多くの穴を含むオープンフィールドからなる。それぞれの穴には孔の空いた底部を有する金属製のカップが入れられ、その下には食物ペレット剤が置かれている。検査は、食物を付けた穴に来た回数(ヒット)、食物の付いていない穴に来た回数(エラー)、および試験を終えるまでの時間を記録する。
【0227】
(生化学研究)
行動研究の完了後に動物を安楽死させ、固定した脳で生化学的研究と組織学的検査を行う。いくつかの実験では、1つの半球からの海馬と前頭皮質を解剖して用い、以下に列挙されるような生化学的試験を行う。
【0228】
(活性GLP-1値の評価)
単離した海馬と皮質のサンプルを、冷蔵した50mMのリン酸緩衝生理食塩水(pH7.8)の10倍の体積で均質化する。ホモジネートを4つの等しい部分に分け、GLP-1、Αβ42、タウ、および炎症性のマーカー評価するために利用する。活性GLP-1およびΑβ42の値は、市販のELISAキットを使用して検査することができる。
【0229】
(リン酸化されたタウ(p-タウ)の測定)
海馬と皮質の組織を採取し、ウエスタンブロット解析にかける。
【0230】
(TNF-αとIL-Ιβ値の測定)
海馬と皮質のホモジネート中のTNF-αとIL-Ιβmp値は、入手可能なELISAキットを用いて測定することができる。
(組織学的検査およびニューロンの数)
海馬と皮質を区分して、酢酸クレシルバイオレット(CV)で染色して、染色したニューロンを、画像アナライザーを用いて分析する。CV陽性のニューロン数を偽対象グループと比較し、区分けした部分の平均細胞数をそれぞれの動物から得る。
【0231】
実施例4:動物モデルにおいて脳卒中を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
経口GLP-1アナログの予防効果と治療効果を、動物の脳卒中モデルで検査する。こうした1つのモデルはラットの再潅流障害モデルであり、ここでラットの中大脳動脈を90分間一時的に閉塞する。再灌流の前後数日間にわたって、ラットにGLP-1アナログまたは担体を投与する。神経学的な結果、生化学的変化、および/または梗塞の大きさについての評価を行う。神経機能は、閉塞後の1つまたは複数の時点で、修正されたBederson検査を用いて決定されてもよく、その後、組織学的研究のためにラットを安楽死させてもよい。いくつかの実験では、血液グルコース値と酸化ストレスの測定のために末梢血を採取し、および/または脳組織を集めて血管内皮細胞増殖因子(VEGF)値を測定する(Satoら)。
【0232】
実施例5:パーキンソン病を治療および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
中程度のパーキンソン病(PD)を患う患者は、12か月間、経口GLP-1アナログまたは偽薬のいずれかを摂取するように無作為に割り当てられる。場合によっては、従来のPD薬物を中止した後にPDの進行を測定する。例えば、Movement Disorders Society Unified Parkinson’s Disease Rating Scale (MDS-UPDRS)は、処置の間の複数の時点で、場合によっては洗浄期間の後で、場合によっては1つ以上の非運動検査と一緒に、用いられてもよい(Aviles-Olmosら)。
【0233】
実施例6:動物モデルにおいて外傷性脳損傷(TBI)を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
TBIを防ぎ、かつTBIからの回復を促進する経口GLP-1アナログ製剤の能力を評価する。いくつかの実験では、GLP-1アナログは損傷後に数日間投与される。使用されてもよい1つのモデルは、生体内の流体衝撃損傷モデルである(Eakinら)。細胞死のマーカーや認知機能の手段が利用されることもある。後者の例はモリス水迷路や本明細書に記載の他の認識力テストである。
【0234】
実施例7:動物モデルにおいて末梢神経損傷を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
末梢神経症を防ぎ、かつ末梢神経症からの回復を促進する経口GLP-1アナログ製剤の能力を評価する。使用されてもよい1つのモデルは坐骨神経挫滅神経損傷である。圧挫損傷の直後にGLP-1アナログまたは空の担体を投与し、数日または数週間継続する。坐骨神経挫滅を被ったラットは、前脛骨筋(TA)の顕著な機能喪失、電気生理学的機能不全、および萎縮を示すこともある。神経挫滅の数日後または数週間後に、ニューロン機能、電気生理学的機能、筋萎縮、および/または、形態学的なパラメータを測定することで、回復を観察することができる(Yamamotoら)。
【0235】
実施例8:認知障害と気分障害を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
他の実験において、双極性障害、大うつ病、統合失調症、および/または統合失調感情障害を処置する経口GLP-1アナログ製剤の能力を評価する。こうした疾病を患う、またはこうした疾患を進行させるリスクのある個体を、継続的に、例えば、1-24か月にわたってGLP-1アナログで処置し、精神症状および/または躁病の症状、抑圧的な症状、または統合失調症の症状の臨床的な全般的改善が測定される。他の実験では、当業者に知られている検査を用いて認知機能を決定する(Mclntyreら)。
【0236】
実施例9:動物モデルにおいて筋萎縮性側索硬化症(ALS)を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
他の実験では、ALSを処置および予防する経口GLP-1アナログ製剤の能力を評価する。GLP-1アナログを継続的に、例えば、1-18週間投与する。いくつかの実験では、SOD1 G93A変異マウスなどの動物モデルが利用される(Liら)。疾患進行は、活動レベル、例えば、走行挙動、腰髄構造を測定することにより、および、脳組織、グリア細胞繊維性酸性タンパク質(GFAP)、カスパーゼ-3、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)、および、ニューロン細胞ニューロフィラメントタンパク質(SMI-32)などのニューロン密度および特異的疾患進行マーカーを用いて、観察することができる(Liら)。
【0237】
実施例10:動物モデルにおいてハンチントン病を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
他の実験では、ハンチントン病を処置および予防する経口GLP-1アナログ製剤の能力を評価する。GLP-1アナログを継続的に、例えば、1-18週間投与する。いくつかの実験では、Brooks and Dunnettや本明細書で引用された文献に記載されるような動物モデルが採用される。
【0238】
実施例11:動物モデルにおいて糖尿病性神経障害を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
他の実験では、糖尿病性神経障害を処置および予防する経口GLP-1アナログ製剤の能力を評価する。GLP-1アナログを継続的に、1-18週間投与する。いくつかの実験において、Lai and Loや本明細書で引用された文献に記載されるような動物モデルが採用される。
【0239】
実施例12:ヒトにおけるアルツハイマー病、ハンチントン病、脳卒中、TBI、末梢神経損傷、AL、および糖尿病性神経障害を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
例えば、1つ以上のプロテアーゼ阻害剤、EDTA、およびGLP-1アナログを含む1つ以上の剤形を、アルツハイマー病、ハンチントン病、脳卒中、TBI、末梢神経損傷、ALS、または糖尿病性神経障害を進行させるリスクのある被験体に、継続的に、例えば、1-48か月にわたって投与する。他の実験では、製剤はインスリンおよびGLP-1アナログを含む。組成物の有効性を検査するために、被験体の疾患状態を実験期間にわたって、場合によっては脳画像診断と組み合わせて観察する。疾患状態は、例えば、Salcedoらや本明細書で引用された文献に従って、または当該技術分野で知られている他の検査に従って、生理学的な検査を行い、および/または認知状態または神経機能を決定することによって観察されてもよい。
【0240】
実施例13:動物モデルにおいて糖尿病性神経障害を処置および予防するための経口GLP-1アナログ製剤の検査
他の実験では、耐糖能異常(IGT)を患う被験体におけるII型糖尿病(T2DM)の進行を阻害するまたは予防する、インスリン、GLP-1アナログ、またはその組み合わせを含む固体の医薬製剤の能力が評価される。継続的に、例えば、1-240週間にわたって、実験によっては就寝時間に毎日、医薬組成物を投与する。空腹時血漿グルコース(FPG)値、頻繁にサンプリングされる静脈グルコース耐性検査(FSIVGTT)、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)、およびHbAlC値などの当該技術分野で知られているDMの兆候によって患者を観察して、T2DMの進行をモニタリングする。代替的に、または、加えて、インスリン感受性およびβ細胞機能を測定する。
【0241】
特許請求の範囲では、「含む(comprise)」との単語やその変更形態「含む(comprises)、含むこと(comprising)」などは、列挙された成分が含まれることを示すが、他の成分を排除することを示すものでもない。
【0242】
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【配列表】
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【手続補正書】
【提出日】2022-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
II型糖尿病を患っている被験体において非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の進行を阻害するか、またはNASHを処置するための、インスリンを含む経口医薬組成物であって、
II型糖尿病を患っている被験体において非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の進行を阻害するか、またはNASHを処置するための、インスリンを含む経口医薬組成物であって、
当該経口医薬組成物はGLP-1アナログ、プロテアーゼ阻害剤および/または二価カチオンのキレート化剤、または液体製剤を含み、
ここで、前記インスリンは前記液体製剤中にあり、当該液体製剤は水を含まない油ベースの液体製剤である、経口医薬組成物。
【請求項2】
前記GLP-1アナログは、成人患者で投与量あたり100-600マイクログラムの量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項3】
前記GLP-1アナログは、成人患者で投与量あたり100-300マイクログラムの量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項4】
前記GLP-1アナログはエキセナチドである、請求項2乃至のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項5】
前記プロテアーゼ阻害剤は、ダイズトリプシン阻害剤(SBTI)、ボーマン-バーク阻害剤(BBI)、クニッツダイズトリプシン阻害剤3(KTI3)、およびアプロチニンからなる群から選択され、これらはそれぞれ、単独で、または別のプロテアーゼ阻害剤と組み合わせて存在することもある、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項6】
1以上のプロテアーゼ阻害剤が存在し、前記プロテアーゼ阻害剤はトリプシンおよびキモトリプシンの両方を集団的に阻害する、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項7】
2つのプロテアーゼ阻害剤が前記医薬組成物中に存在し、前記2つのプロテアーゼ阻害剤はSBTIとアプロチニンである、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項8】
2つのプロテアーゼ阻害剤が前記医薬組成物中に存在し、前記2つのプロテアーゼ阻害剤は単離したKTI3と単離したBBIである、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項9】
2つのプロテアーゼ阻害剤が前記医薬組成物中に存在し、前記2つのプロテアーゼ阻害剤は(i)単離したKTI3および(ii)アプロチニンである、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項10】
1つのプロテアーゼ阻害剤が前記医薬組成物中に存在し、前記1つのプロテアーゼ阻害剤は単離したBBIである、請求項に記載の経口医薬組成物。
【請求項11】
前記キレート化剤はEDTAである、請求項乃至1のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項12】
前記医薬組成物は1か月以上投与される、請求項1乃至1のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物は一日1回または一日2回投与される、請求項1乃至1のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項14】
前記医薬組成物は液体製剤を含み、前記インスリンおよび前記GLP-1アナログは前記液体製剤中にある、請求項2乃至のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項15】
前記医薬組成物は液体製剤を含み、前記インスリン、前記GLP-1アナログ、ならびに前記プロテアーゼ阻害剤および/または前記二価カチオンのキレート化剤は、前記液体製剤中にある、請求項乃至1のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項16】
前記液体製剤はカプセルの内部にある、請求項14または請求項15のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項17】
前記カプセルは、胃での分解に抵抗するコーティングによって囲まれている、請求項1に記載の経口医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物は固体の製剤である、請求項1乃至1のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項19】
前記インスリンは、成人患者で投与量あたり8-32mgの量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項20】
前記インスリンは、成人患者で投与量あたり4-12mgの量で、あるいは小児患者では体重あたりの対応する量で存在する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項21】
前記油はオリーブオイル、アマニ油、ゴマ油、アボカド油、クルミ油、キャノーラ油、および魚油から選択される、請求項1に記載の経口医薬組成物。
【請求項22】
前記油は魚油である、請求項2に記載の経口医薬組成物。
【請求項23】
ヒトの被験体においてNASHの進行を阻害するか、またはNASHを処置するための、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【請求項24】
ヒトではない被験体においてNASHの進行を阻害するか、またはNASHを処置するための、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の経口医薬組成物。
【外国語明細書】