(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002573
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】セグメント化保護ディスプレイフィルム
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20221227BHJP
B32B 17/04 20060101ALI20221227BHJP
【FI】
G09F9/00 302
B32B17/04
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022157213
(22)【出願日】2022-09-30
(62)【分割の表示】P 2019531751の分割
【原出願日】2017-12-14
(31)【優先権主張番号】62/434,027
(32)【優先日】2016-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ウッディ,ジョーゼフ ダブリュ.ヴィー.
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,デイヴィッド エス.
(72)【発明者】
【氏名】ソロモンソン,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ストラディンガー,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ルール,ジョーゼフ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コンド,ピーター ディー.
(72)【発明者】
【氏名】レザーデール,キャサリン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マイケル エー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ディスプレイに耐擦傷性及び耐衝撃性をもたらす一方で、ディスプレイフィルムの光学特性を維持するセグメント化保護ディスプレイフィルム。
【解決手段】ディスプレイフィルム10は、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメント115、及び第1の主面と第1の主面114の反対側にある第2の主面116とによって画定される500マイクロメートル未満の厚さを含む透明ガラス層118と、隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料111と、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有し、第1の主面上に配置された透明なエネルギー散逸層と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有し、前記厚さが、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内である、透明ガラス層と、
隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料と、
前記第1の主面上に配置された透明なエネルギー散逸層であって、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、
を備えるディスプレイフィルム。
【請求項2】
前記透明なエネルギー散逸層が、架橋ポリウレタン、架橋ポリウレタンアクリレート、又は架橋ポリウレタン及びポリアクリレートを含む、請求項1に記載のディスプレイフィルム。
【請求項3】
前記隙間ポリマー材料が、第1の屈折率値を有し、前記ガラスセグメントが、第2の屈折率値を有し、前記屈折率値が、前記第2の屈折率値の0.1以内、又は0.05以内、又は0.02以内、又は0.01以内である、請求項1又は2に記載のディスプレイフィルム。
【請求項4】
前記ガラス層セグメントは、前記ガラス層セグメントを破損することなく前記ガラス層の曲げ又は折り畳みをもたらすように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項5】
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿って延びる平行なセグメントである、請求項1~4のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項6】
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの曲げ領域を画定する不均一セグメントである、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項7】
前記ガラス層セグメントが、1:1~100:1の範囲内の(幅の厚さに対する)アスペクト比を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項8】
前記ディスプレイフィルムが、5%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満のヘイズ値を有し、前記ディスプレイフィルムが、85%超、又は90%超の可視光透過率値を有し、前記ディスプレイフィルムが、90%超、又は95%超、又は98%超の透明度値を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項9】
前記透明なエネルギー散逸層が、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内のガラス転移温度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項10】
前記透明なエネルギー散逸層が、0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項11】
前記第2の主面上に配置された保護層を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項12】
前記保護層が、前記隙間ポリマー材料と同じ材料で形成されている、請求項11に記載のディスプレイフィルム。
【請求項13】
前記保護層が、ナノ粒子を含み、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、請求項11に記載のディスプレイフィルム。
【請求項14】
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された接着剤層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記透明ガラス層を前記接着剤層から分離している、請求項1~13のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項15】
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された透明なポリマー基材層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記透明ガラス層を前記透明なポリマー基材層から分離し、前記透明なポリマー基材層が、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲内の厚さと、90MPa超、又は100MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値と、を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項16】
前記隙間ポリマー材料が、前記透明なエネルギー散逸層と同じ材料で形成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項17】
前記ディスプレイフィルムが、500マイクロメートル未満、若しくは300マイクロメートル未満、若しくは200マイクロメートル未満、又は、85~350マイクロメートル、若しくは100~250マイクロメートル、若しくは100~200マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項18】
同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有し、前記厚さが、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内である透明ガラス層と、
前記第1の主面上に配置されたポリマー層であって、前記ポリマー層が、ポリマー材料で形成され、前記ポリマー材料がまた、隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料を形成する、ポリマー層と、
前記ポリマー層上に配置された透明なエネルギー散逸層であって、前記ポリマー層が、前記透明なエネルギー散逸層を前記透明ガラス層から分離し、前記前記透明なエネルギー散逸層が、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、
を備えるディスプレイフィルム。
【請求項19】
前記透明なエネルギー散逸層が、架橋ポリウレタン、又は架橋ポリウレタンアクリレート、又は架橋ポリウレタン及びポリアクリレートを含む、請求項18に記載のディスプレイフィルム。
【請求項20】
前記ポリマー層及び隙間ポリマー材料が、第1の屈折率値を有し、前記ガラスセグメントが、第2の屈折率値を有し、前記屈折率値が、前記第2の屈折率値の0.1以内、又は0.05以内、又は0.02以内、又は0.01以内である、請求項18又は19に記載のディスプレイフィルム。
【請求項21】
前記ガラス層セグメントが、前記ガラス層セグメントを破損することなく前記ガラス層の曲げ又は折り畳みをもたらすように構成されている、請求項18~20のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項22】
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿って延びる平行なセグメントである、請求項18~21のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項23】
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの曲げ領域を画定する不均一セグメントである、請求項18~22のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項24】
前記ガラス層セグメントが、1:1~100:1の範囲内の(幅の厚さに対する)アスペクト比を有する、請求項18~23のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項25】
前記ディスプレイフィルムが、5%未満、又は3%未満、又は1%未満、又は1%未満のヘイズ値を有し、前記ディスプレイフィルムが、85%超、又は90%超の可視光透過率値を有し、前記ディスプレイフィルムが、90%超、又は95%超、又は98%超の透明度値を有する、請求項18~24のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項26】
前記透明なエネルギー散逸層が、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内のガラス転移温度を有する、請求項18~25のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項27】
前記透明なエネルギー散逸層が、0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有する、請求項18~26のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項28】
前記第2の主面上に配置された保護層を更に備える、請求項18~27のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項29】
前記保護層が、前記ポリマー層と同じ材料で形成されている、請求項28に記載のディスプレイフィルム。
【請求項30】
前記保護層が、ナノ粒子を含み、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、請求項28に記載のディスプレイフィルム。
【請求項31】
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された接着剤層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記ポリマー層を前記接着剤層から分離する、請求項18~30のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項32】
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された透明なポリマー基材層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記ポリマー層を前記透明なポリマー基材層から分離し、前記透明なポリマー基材層が、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲内の厚さと、90MPa超、又は100MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値と、を有する、請求項18~30のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項33】
前記ディスプレイフィルムが、500マイクロメートル未満、若しくは300マイクロメートル未満、若しくは200マイクロメートル未満、又は、85~350マイクロメートル、若しくは100~250マイクロメートル、若しくは100~200マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、請求項18~32のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項34】
光学ディスプレイと、
請求項1~33のいずれか一項に記載のディスプレイフィルムと、
前記ディスプレイフィルムを前記光学ディスプレイに固定する光学接着剤層と、
を備える、物品。
【請求項35】
前記光学ディスプレイが、有機発光ダイオードを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記光学ディスプレイ及びディスプレイフィルムは、前記光学ディスプレイが前記光学ディスプレイ自体に向き合い、前記ディスプレイフィルムの少なくとも一部分が、前記ディスプレイフィルムの別の部分と重なり合うように、折り畳み可能である、請求項34又は35に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスプレイ及び電子デバイスは進化し、湾曲される、曲げられる、又は折り畳まれるようになり、新たなユーザーエクスペリエンスをもたらしている。これらのデバイスアーキテクチャは、例えば、フレキシブル有機発光ダイオード(OLED)、プラスチック液晶ディスプレイ(LCD)などを含み得る。
【0002】
このようなフレキシブルディスプレイを実現するため、かつディスプレイの要素を保護するため、フレキシブルカバーシート又はフレキシブルウィンドウフィルムが、従来のガラスカバーシートに取って代わる。このフレキシブルカバーシートは、高い可視光透過率、低いヘイズ、ディスプレイデバイスに含まれる要素を保護するための優れた耐擦傷性及び耐衝撃性などのいくつかの設計パラメータを有する。ある場合には、フレキシブルカバーシートは、目に見える損傷を生じることなく、小さい曲げ半径(約5mm以下)での数千回もの折り畳み動作に耐えなくてはならないこともある。他の場合には、フレキシブルカバーシートは、高温高湿で曲げられた後に、目に見える折り目を残すことなく広がることができなくてはならない。
【0003】
様々なハードコートプラスチック基材が検討されてきた。ハードコート無色透明ポリイミドフィルムのようなより新奇な(exotic)材料もまた、高い硬度及び良好な耐擦傷性を有することが示されている。しかしながら、多くのハードコートフィルムは、目に見える損傷を生じることなく小さい曲げ半径での折り畳み動作に耐えることができず、適切な耐衝撃性を提供することができない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ディスプレイウィンドウを保護することができ、折り畳み試験を無傷で耐え抜くことができる、セグメント化ガラス層を含むディスプレイフィルムに関する。セグメント化保護ディスプレイフィルムは、ディスプレイに耐擦傷性及び耐衝撃性をもたらす一方で、ディスプレイフィルムの光学特性を維持する。
【0005】
一態様では、ディスプレイフィルムは、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有する、透明ガラス層を含む。厚さは、500マイクロメートル未満であってよい。隙間ポリマー材料は、隣接するセグメントを分離する。ポリマー層又は透明なエネルギー散逸層は、第1の主面上に配置される。
【0006】
別の態様では、ディスプレイフィルムは、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントで形成され、かつ第1の主面と第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有する、透明ガラス層を含む。厚さは、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内であってもよい。隙間ポリマー材料は、隣接するセグメントを分離する。透明なエネルギー散逸層は、第1の主面上に配置される。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する。
【0007】
別の態様では、ディスプレイフィルムは、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントで形成され、かつ第1の主面と第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有する、透明ガラス層を含む。厚さは、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内であってもよい。ポリマー層は、第1の主面上に配置される。ポリマー層は、ポリマー材料で形成され、ポリマー材料はまた、隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料も形成する。透明なエネルギー散逸層は、ポリマー層上に配置される。ポリマー層は、透明なエネルギー散逸層を透明ガラス層から分離する。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する。
【0008】
別の態様では、物品は、光学ディスプレイと、本明細書で説明するディスプレイフィルムと、を含む。光学接着剤層は、ディスプレイフィルムを光学ディスプレイに固定する。
【0009】
これら及び様々な他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態を読むことにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、本開示の様々な実施形態についての下記の詳細な説明を添付の図面と併せて考察することにより、より完全に理解し得る。
【0011】
【
図1】例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図2】例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図3】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図4】ランダムセグメントを有する例示的なディスプレイフィルムの曲げ領域の概略正面図である。
【
図5】曲げ領域を有する例示的なディスプレイフィルムの概略正面図である。
【
図6】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図7】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図8】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図9】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図10】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図11】例示的なディスプレイフィルムを含む例示的な折り畳み物品の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の発明を実施するための形態において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照する。これらの図面には、いくつかの具体的な実施形態が例として示されている。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されないものとする。
【0013】
本明細書で用いる全ての科学用語及び技術用語は、別途明記しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味を有する。本明細書で与えられる定義は、本明細書で頻繁に用いる特定の用語の理解を助けるためのものであり、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【0014】
別途断りがない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いる加工寸法(feature size)、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解するものとする。したがって、そうではないと明記しない限り、上記の明細書及び添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは、本明細書に開示された教示を利用して当業者が得ようとする特性に応じて変わり得る近似値である。
【0015】
端点による数値範囲の記載には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が別途明示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0017】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、用語「又は」は、内容が別途明示しない限り、「及び/又は」を含む意味で通常用いられる。
【0018】
本明細書で用いる場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、通常、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」などは、「含む(comprising)」などに包含されることが理解されるであろう。
【0019】
用語「ディスプレイフィルム」、「保護フィルム」及び「保護ディスプレイフィルム」は、本明細書において互換的に使用される。
【0020】
「透明な基材」又は「透明な層」は、可視光スペクトル(約380~約750ナノメートルの波長)を含む約350~約1600ナノメートルの波長を有する光スペクトルの少なくとも一部分にわたり、基材の表面の少なくとも一部分にわたって高い光透過率(典型的には90%超)を有する、基材又は層を指す。
【0021】
「ポリウレタン」は、ヒドロキシル官能性材料(水酸基-OHを含有する材料)を、イソシアネート官能性材料(イソシアネート基-NCOを含有する材料)と逐次重合させることによって調製されるポリマーを指し、そのため、ウレタン結合(-O(CO)-NH-)[式中、(CO)はカルボニル基(C=O)を指す]を含有する。この用語は、ウレタン結合及び尿素結合の両方が存在する「ポリウレタン-ウレア」を含み得る。
【0022】
「ポリアクリレート」は、アクリレート末端基又は(メタ)アクリレート末端基内に反応性ビニル基又はビニリデン基を含有する前駆体のフリーラジカル重合によって調製されるポリアクリレート又はポリ(メタ)アクリレートポリマーを指す。ポリアクリレート前駆体としては、ポリマー鎖中のウレタンセグメント及びアクリレートセグメントの両方を含むウレタンアクリレートが挙げられる。
【0023】
「ポリウレタンアクリレート」は、主として、ウレタン及びアクリレート部分又はセグメントを含むポリマーを指す。
【0024】
「ガラス転移温度」という語句は、本明細書において、E”に対するピークの位置によって決定されるガラス転移の開始を指し、ここで、ポリウレタン試料を、毎分2℃の速度での-50℃~200℃の昇温中を通して0.2%のひずみ及び1Hzの振動でのDMAによって特性を評価した。
【0025】
語句「Tanδピーク値」及びピーク温度は、実施例に記載のDMA分析に従って測定される。
【0026】
本開示は、ディスプレイ又はディスプレイウィンドウを保護することができ、屈曲、折り畳み、又は衝撃試験に耐えることができるガラスを有するディスプレイフィルムに関する。保護ディスプレイフィルムは、ディスプレイに耐久性をもたらしつつ、ディスプレイフィルムの光学特性を維持する。本開示は、ディスプレイウィンドウを保護し、折り畳み試験を無傷で耐え抜くことができるセグメント化ディスプレイフィルム又は保護セグメント化ディスプレイフィルムに関する。セグメント化ディスプレイフィルムは、ディスプレイに耐擦傷性をもたらす一方で、光学特性を維持する。ディスプレイフィルムは、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメント、及び第1の主面と第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを含む、透明ガラス層を含む。厚さは、500マイクロメートル未満、又は250マイクロメートル未満、又は150マイクロメートル未満であってもよい。隙間ポリマー材料は、隣接するセグメントを分離する。ポリマー層又は透明なエネルギー散逸層は、第1の主面上に配置される。隙間ポリマー材料は、ガラスセグメントと屈折率が一致する、又は実質的に屈折率が一致していてもよい。透明なエネルギー散逸層は、透明ガラス層上に配置する、又はそれと結合することができる。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する。セグメント化ディスプレイフィルムは、5%以下、又は3%以下、又は2%以下、又は1%以下のヘイズ値を呈することができる。セグメント化ディスプレイフィルムは、85%以上、又は90%以上、又は93%以上の可視光透過率を呈することができる。セグメント化ディスプレイフィルムは、95%以上、又は97%以上、又は99%以上の透明度を呈することができる。透明なエネルギー散逸層は、15℃以下、又は10℃以下、又は5℃以下、又は0℃以下のガラス転移温度を有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、0.5~2.5、又は1~2、又は1.2~2の範囲内のTanδピーク値を有することができる。セグメント化ディスプレイフィルムは、損傷、又は層間剥離、ひび割れ、若しくはヘイズなどの目に見える欠陥なしに、5mm以下、又は4mm以下、又は3mm以下、又は2mm以下、又は更に1mm以下の曲げ半径に耐えることができる。本開示がそのように限定されるわけではないが、下記に示した実施例の説明により、本開示の様々な態様の理解が得られるであろう。
【0027】
図1は、例示的なディスプレイフィルム10の概略側面図である。用語「ディスプレイフィルム」、「カバーフィルム」、「保護フィルム」、「保護カバーフィルム」又は「保護ディスプレイフィルム」は、本明細書において互換的に用いられる。ディスプレイフィルム10は、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメント115、及び第1の主面114と第1の主面114の反対側にある第2の主面116とによって画定される厚さYを含む、透明ガラス層118を含む。ガラス層118又はガラス層セグメント115の厚さは、500マイクロメートル未満、又は300マイクロメートル未満、又は250マイクロメートル未満、又は200マイクロメートル未満、又は150マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満とすることができる。厚さは、20マイクロメートル~250マイクロメートル、又は25マイクロメートル~150マイクロメートル、又は50マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲内であってもよい。隙間ポリマー材料111は、隣接するセグメント115を分離する。ポリマー層110は、第1の主面114上に配置して、隙間ポリマー材料111を形成してもよい。ポリマー層110は、200マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満、又は50マイクロメートル未満、又は20マイクロメートル未満の厚さを有してもよく、あるいはポリマー層110の厚さは、1マイクロメートル~200マイクロメートル、又は5マイクロメートル~100マイクロメートル、又は5マイクロメートル~50マイクロメートル、又は5~20マイクロメートルの範囲内であってもよい。
【0028】
ポリマー層110は、透明ガラス層118又はガラス層セグメント115と屈折率が一致していてもよい。ポリマー層110は、本明細書に記載される任意のポリマー材料で形成されてもよい。ポリマー層110は、透過性かつ光学的に透明であり、透明ガラス層118又はガラス層セグメント115に光学的に結合される。ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、保護層、エネルギー散逸層、又は弾性層を形成してもよい。場合によっては、ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、以下で説明するエネルギー散逸層材料で形成されてもよい。場合によっては、ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、以下で説明する保護層材料で形成されてもよい。他の場合には、ポリマー層110及び隙間ポリマー材料111は、光学的に透明な接着剤材料で形成されてもよい。
【0029】
隙間ポリマー材料111は、ガラスセグメント115と屈折率が一致する、又は実質的に屈折率が一致するポリマー材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料111は、第1の屈折率値を有し、ガラスセグメント115は、第2の屈折率値を有する。屈折率値は、第2の屈折率値の0.1以内、又は0.05以内、又は0.02以内、又は0.01以内であってもよい。屈折率を一致させること又は実質的に屈折率を一致させることにより、観察者からガラスからポリマーへの材料の遷移を隠蔽する、又はセグメント定義を隠蔽するのを支援することができる。
【0030】
隙間ポリマー材料111は、透明ガラス層118の厚さ(又は平均厚さ)の少なくとも25%、又は少なくとも50%、又は少なくとも75%、又は少なくとも100%(の最小横方向距離)だけ隣接するガラスセグメント115を分離してもよい。隙間ポリマー材料111は、透明ガラス層118の厚さ(又は平均厚さ)の25%~200%、又は50%~100%の範囲内で(最小横方向距離)隣接するガラスセグメント115を分離してもよい。隙間ポリマー材料111は、隣接するガラスセグメント115を互いに固定することができる。隙間ポリマー材料111は、ガラスセグメント115を互いに光学的に結合してもよい。
【0031】
ガラスセグメント115は、ガラスセグメント115の厚さを画定する直交する縁部表面を有してもよい。ガラスセグメント115は、直交しないがテーパ状である縁部表面を有してもよい。隣接するガラスセグメント115の縁部表面は、互いに平行であってもよく、透明ガラス層118の第1の主面114若しくは第2の主面116と直交する、又はテーパ状のいずれかであってもよい。隣接するガラスセグメント115の縁部表面は、互いにテーパ状になっていてもよく、断面が「V」形状を形成してもよい。
【0032】
隙間ポリマー材料111は、以下で説明する透明なエネルギー散逸層を形成する材料と同じ又は同様の材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料111は、透明なエネルギー散逸層を形成する材料とは異なる材料、又は異なる種類の材料で形成されてもよい。
【0033】
図2は、透明なエネルギー散逸層120が透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第1の主面114上に配置された、例示的なディスプレイフィルム100の概略側面図である。隙間ポリマー材料111は、透明なエネルギー散逸層120を形成する同じ又は同様の材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料111は、透明なエネルギー散逸層120を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。
【0034】
図3は、ポリマー層110が透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第2の主面116上に配置され、透明なエネルギー散逸層120が透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第1の主面114上に配置された、別の例示的なディスプレイフィルム100の概略側面図である。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する同じ又は同様の材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。ポリマー層110は、保護層(以下で説明する)であってもよい。ポリマー層110は、5~200マイクロメートル、又は5~100マイクロメートル、又は10~75マイクロメートルの範囲内の厚さXを有することができる。接着剤層140は、透明なエネルギー散逸層120上に配置されてもよい。透明なエネルギー散逸層120は、透明ガラス層118を接着剤層140から分離してもよい。
【0035】
本明細書で説明する例示的なディスプレイフィルム構造体は、視野ウィンドウを画定する着色境界130を含むことができる。この境界130は、インクの使用によって製造されてもよく、又は装飾フィルムを含んでもよい。境界130は、例えば、透明なエネルギー散逸層上に、例えば、印刷された、連続的なフレーム要素であってもよい。境界又は着色境界130は、透明なエネルギー散逸層120上に配置されてもよい。
【0036】
図4は、ランダムセグメント115を有する例示的なディスプレイフィルム100の曲げ領域の概略正面図である。ガラス層セグメント115は、ディスプレイフィルム100の曲げ領域を画定する不均一なセグメント又はランダム化セグメントであってもよい。
図4に示すガラスセグメントパターンは、「プレートレット」パターンと呼ばれることがある。不均一又はランダム化セグメントにより、ガラスセグメント115の境界を隠すのを支援することができる。
【0037】
図5は、曲げ領域117を有する例示的なディスプレイフィルム101の概略正面図である。ガラス層セグメント115は、曲げ領域117を画定して、ガラス層セグメント115又はガラス層118を破損することなくガラス層118の曲げ又は折り畳みを提供するように構成されてもよい。曲げ領域117を形成するガラス層セグメント115は、均一セグメント、又は不均一セグメント、又はランダム化セグメント、又は
図4に示すようなプレートレットパターンであってもよい。
【0038】
曲げ領域117を形成するガラス層セグメント115は、ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿って延びる平行なセグメントであってもよい。平行なセグメントはそれぞれ、ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体と同一の広がりを持つ単一の要素であってもよい。これらの平行なセグメントは、平行六面体又は直方体形状を有してもよい。これらの平行なセグメントは、プリズム形状を有してもよい。平行なセグメントは、ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿った2つ以上又は複数のセグメントで形成されてもよい。平行なセグメントは、ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿ったタイル又はれんが状パターンを形成してもよい。隙間ポリマー材料は、ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿って隣接するセグメントを分離してもよい。曲げ領域117を形成するガラス層セグメント115は、不均一、若しくはランダムであってもよく、又は
図4に示すようなプレートレットパターンを形成してもよい。
【0039】
ディスプレイフィルムは、ディスプレイフィルムの表面に沿って画定された1つ以上の曲げ領域を有してもよい。ディスプレイフィルムは、ディスプレイ表面積の5%~50%、又は5%~25%をガラス層セグメントによって画定させることができる。ディスプレイフィルムは、表面全体(100%)をガラス層セグメントによって画定させることができる。ガラス層セグメントは、1:1~100:1の範囲内、又は2:1~50:1の範囲内、又は3:1~10:1の範囲内のアスペクト比(最小横方向距離と厚さとの)を有することができる。
【0040】
曲げ領域117を画定するガラス層セグメント115は、任意の有用な方法によって形成されてもよい。ガラス層セグメント115は、機械的破断によって形成されてもよい。ガラス層セグメント115は、化学エッチングによって形成されてもよい。ガラス層セグメント115は、レーザー切断によって形成されてもよい。ガラス層セグメント115は、機械的破断によって形成されてもよい。ガラス層セグメント115は、個々に形成され、次いで組み立てられて、曲げ領域117を形成してもよい。
【0041】
図6は、ポリマー層110が透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第2の主面116上に配置され、透明なエネルギー散逸層120が透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第1の主面114上に配置された、別の例示的なディスプレイフィルム100の概略側面図である。保護層105は、ポリマー層110上に配置される。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する同じ又は同様の材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。ポリマー層110は、5~200マイクロメートル、又は5~100マイクロメートル、又は5~75マイクロメートル、又は10~75マイクロメートルの範囲内の厚さXを有することができる。接着剤層140は、透明なエネルギー散逸層120上に配置されてもよい。透明なエネルギー散逸層120は、透明ガラス層118を接着剤層140から分離してもよい。境界又は着色境界130は、ディスプレイフィルム100に含まれてもよい。境界又は着色境界130は、透明なエネルギー散逸層120上に配置されてもよい。
【0042】
保護層105は、ディスプレイフィルムに耐摩耗性をもたらすことができ、耐摩耗層とも呼ばれることがある。保護層又は耐摩耗層は、ハードコート層、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層を含むことができる。保護層105は、ナノ粒子及び架橋ポリマーを含んでもよい。保護層105は、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有することができる。
【0043】
図7は、透明なエネルギー散逸層120を接着剤層140から分離する透明基材125を含む別の例示的なディスプレイフィルム100の概略側面図である。ポリマー層110は、透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第2の主面116上に配置してもよく、透明なエネルギー散逸層120は、透明ガラス層118及びガラスセグメント115の第1の主面114上に配置されてもよい。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する同じ又は同様の材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料111は、ポリマー層110を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。ポリマー層110は、保護層を画定して、以下で説明する保護層材料で形成されてもよい。ポリマー層110は、5~200マイクロメートル、又は5~100マイクロメートル、又は10~75マイクロメートルの範囲内の厚さXを有することができる。接着剤層140は、透明なエネルギー散逸層120上に配置されてもよい。透明なエネルギー散逸層120は、透明ガラス層118を接着剤層140から分離してもよい。境界又は着色境界130は、ディスプレイフィルム100に含まれてもよい。境界又は着色境界130は、透明なエネルギー散逸層120上に配置されてもよい。
【0044】
透明なポリマー基材層125は、任意の有用な厚さを有することができる。多くの実施形態では、透明なポリマー基材層125は、10~100マイクロメートル又は20~80マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。透明なポリマー基材層125は、ディスプレイフィルムに所望の機械的特性(寸法安定性など)及び光学特性(光透過率及び透明度など)をもたらす、任意の有用なポリマー材料から形成されてもよい。ポリマー基材層125に使用するのに好適な材料の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル(PET、PEN)、多環式オレフィンポリマー、及び熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。
【0045】
透明なポリマー基材層125をプライマー処理又は処理して、その表面の1つ以上に、なんらかの所望の特性を付与してもよい。特に、透明なポリマー基材層125をプライマー処理して、透明なエネルギー散逸層120と透明なポリマー基材層125との接着を向上させることができる。このような処理の例としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、及び、アクリレート又はシラン処理などの化学処理が挙げられる。
【0046】
透明なポリマー基材層125は、任意の有用な引張弾性率又はオフセット降伏応力値を有することができる。透明なポリマー基材層125は、50MPaを超える、又は75MPaを超えるオフセット降伏応力値を有することができる。語句「降伏応力」又は「オフセット降伏応力」は、本明細書において、ASTM D638-14で定義されているとおりの「0.2%オフセット降伏強度」を指す。ASTM D638-14セクションA2.6は、「オフセット降伏強度」の試験方法を定義しており、ひずみが、応力-ひずみ曲線の最初の比例部分における延長を規定量(オフセット)だけ上回る応力と定義される。これは単位面積当たりの力、通常、メガパスカル(ポンド力/平方インチ)で表される。
【0047】
図8は、別の例示的なディスプレイフィルム200の概略側面図である。透明ガラス層218は、第1の主面214及び第1の主面214の反対側にある第2の主面216によって画定される厚さYを有する、同一平面上の2つ以上のガラス層セグメント215で形成されてもよい。厚さは、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内であってもよい。ポリマー層210は、第1の主面214上に配置される。ポリマー層210は、ポリマー材料で形成され、ポリマー材料はまた、隣接するセグメント215を分離する隙間ポリマー材料211も形成する。透明なエネルギー散逸層220は、ポリマー層210上に配置される。ポリマー層210は、透明なエネルギー散逸層220を透明ガラス層218から分離する。透明なエネルギー散逸層210は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する。
【0048】
接着剤層240は、透明なエネルギー散逸層220上に配置されてもよい。透明なエネルギー散逸層220は、透明ガラス層218を接着剤層240から分離してもよい。境界又は着色境界230は、ディスプレイフィルム200に含まれてもよい。境界又は着色境界230は、透明なエネルギー散逸層220上に配置されてもよい。
【0049】
図9は、保護層205を含む別の例示的なディスプレイフィルム200の概略側面図である。保護層205は、ガラス層218の第2の表面216上に配置される。隙間ポリマー材料211は、ポリマー層210を形成する同じ又は同様の材料で形成されてもよい。隙間ポリマー材料211は、ポリマー層210を形成する材料とは異なる材料で形成されてもよい。ポリマー層210は、5~200マイクロメートル、又は5~100マイクロメートル、又は10~75マイクロメートルの範囲内の厚さXを有することができる。接着剤層240は、透明なエネルギー散逸層220上に配置されてもよい。透明なエネルギー散逸層220は、透明ガラス層218を接着剤層240から分離してもよい。境界又は着色境界230は、ディスプレイフィルム200に含まれてもよい。境界又は着色境界230は、透明なエネルギー散逸層220上に配置されてもよい。
【0050】
保護層205は、ディスプレイフィルムに耐摩耗性をもたらすことができ、耐摩耗層とも呼ばれることがある。保護層又は耐摩耗層は、ハードコート層、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層を含むことができる。保護層205は、ナノ粒子及び架橋ポリマーを含んでもよい。保護層205は、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有することができる。
【0051】
図10は、取り外し可能な保護層205を有する別の例示的なディスプレイフィルム200の概略側面図である。保護層205は、光学接着剤層207を介してガラス層218の第2の表面216に結合される。光学接着剤層207は、ガラス層218の第2の表面216からの保護層205及び光学接着剤層207のきれいな取り外しをもたらしてもよい。
【0052】
接着剤層140、240は、光学接着剤であってもよい。接着剤層140、240は、感圧接着剤であってもよい。接着剤層140、240は、本明細書に記載のディスプレイフィルム構造体のいずれに含まれてもよい。剥離ライナーは、本明細書に記載のディスプレイフィルム構造体のいずれかの外側主表面上に配置されてもよい。剥離ライナーは「プレマスク」層と呼ばれる場合もあり、光学ディスプレイに適用するため、又はディスプレイフィルムを見えるようにするため、光学ディスプレイ上に配置する前又は後に、容易に取り外すことができる。光学接着剤層は、アクリレート、シリコーン、シリコーンポリオキサミド、シリコーンポリウレア、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、又はポリイソブチレンで形成されてもよい。
【0053】
取り外し可能なライナー(又はプレマスク層)は、下にあるディスプレイフィルム100、200及び任意選択の光学接着剤層140、240を、輸送中に保護することができる。取り外し可能なライナーは、ライナーをディスプレイフィルム及び任意選択の光学接着剤層140、240からきれいに取り外すことを可能にする低い表面エネルギーを有する、層又は表面を有することができる。取り外し可能なライナーは、例えば、シリコーンでコーティングされたポリエステルの層とすることができる。取り外し可能なライナーは、任意選択の光学接着剤層140、240に、一時的な構造をもたらす場合がある。例えば、国際公開第2014/197194号及び国際公開第2014/197368号は、光学接着剤層をエンボス化する取り外し可能なライナーを記載しており、この取り外し可能なライナーが光学接着剤層から剥がされると、光学接着剤はその構造を失う。
【0054】
図11は、例示的なディスプレイフィルム310を含む例示的な折り畳み物品300の概略斜視図である。ディスプレイフィルム310は、光学ディスプレイ374などの光学素子上に配置された、本明細書に記載のディスプレイフィルム構造体のいずれであってもよい。ディスプレイデバイスは、折り畳み物品ではない場合もあり、特定の範囲内でのみ屈曲する場合もあり、又は静止した湾曲のディスプレイデバイスの場合もある。ディスプレイデバイスは、ガラス層セグメントの配置によって画定される折り畳み領域に沿って折り畳むことができる。
【0055】
光学ディスプレイ374は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分を形成することができる。ディスプレイデバイス370は、ディスプレイウィンドウ372を含むことができる。ディスプレイデバイス370は、電話又はスマートフォン、電子タブレット、電子手帳、コンピュータなどの任意の有用な物品とすることができる。光学ディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルを含んでもよい。光学ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)パネル又は反射型ディスプレイを含んでもよい。反射型ディスプレイの例としては、電気泳動ディスプレイ、電気流体ディスプレイ(エレクトロウェッティングディスプレイなど)、干渉ディスプレイ又は電子ペーパーディスプレイパネルが挙げられ、米国特許出願公開第2015/0330597号に記載されている。光学ディスプレイの更なる例としては、商業用のグラフィック表示及び広告板などの静止ディスプレイが挙げられる。
【0056】
ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374は、
図11に示すように、光学ディスプレイ374がそれ自体に向き合い、ディスプレイフィルム310の少なくとも一部分が保護フィルム310の別の部分に接触する、又は直接向き合うように、折り畳み可能とすることができる。ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374は、ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374の一部分が、ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374の別の部分に対して接合できるように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能とすることができる。ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374は、ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374の一部分が、ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374の別の部分に対して少なくとも90度又は少なくとも170度で接合できるように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能とすることができる。
【0057】
ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374は、ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374の一部分が、ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374の別の部分に対して接合でき、ディスプレイフィルム310において、曲げ線又は折れ線で3mm以下の曲げ半径を形成するように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能とすることができる。ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374は、ディスプレイフィルム310及び光学ディスプレイ374の一部分が、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ374の別の部分に対して接合でき、ディスプレイフィルム310がそれ自体に重なり、互いに10mm以下、若しくは6mm以下、若しくは3mm以下の距離だけ離れる、又は互いに接触するような曲げ半径を形成するように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能とすることができる。
図11は、ディスプレイデバイス374が内側に折り畳み、ディスプレイフィルム310の表面が互いに接近する場合を示すが、ディスプレイフィルム310がディスプレイデバイスの外面上にあるように、ディスプレイデバイスが反対方向又は外向きの方向(アウトフォールド)に折り畳むことができる、他の場合が存在する。
【0058】
本明細書に記載される保護フィルムは、いくつかの方法で構築することができるが、低い温度であっても、動的折り畳み動作での破損につながることがないとともに、衝撃に有益な特性を提供する、エネルギー散逸層を含んでもよい。
【0059】
ディスプレイフィルムは、5%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満のヘイズ値を有することができる。ディスプレイフィルムは、90%超、又は95%超、又は98%超の透明度を有することができる。ディスプレイフィルムは、85%超、又は90%超、又は93%超の可視光透過率を有することができる。
【0060】
ディスプレイフィルムは、5以下、又は4以下、又は3以下、又は2以下、又は1以下の黄色度又はb*値を有し得る。多くの実施形態において、ディスプレイフィルムは、1以下の黄色度又はb*値を有し得る。
【0061】
ディスプレイフィルムは、任意の有用な厚さを有することができる。多くの実施形態では、ディスプレイフィルムは、500マイクロメートル以下、又は400マイクロメートル以下、又は300マイクロメートル以下、又は200マイクロメートル以下の厚さを有する。ディスプレイフィルムは、85マイクロメートル~350マイクロメートル、又は100マイクロメートル~250マイクロメートル、又は100マイクロメートル~200マイクロメートルの範囲内の厚さを有することができる。ディスプレイフィルムの厚さは、所望のディスプレイ保護をもたらすのに十分な厚さであることと、折り畳み及び薄型化設計パラメータをもたらすのに十分な薄さであることと、の兼ね合いである。
【0062】
ディスプレイフィルムは、1つ以上の更なる層を含み得る。更なる層は、タッチ感知表示要素のための導電層、又はバリア層を含み得る。ディスプレイフィルムに所望の機械的特性(寸法安定性など)及び光学特性(光透過率及び透明度など)をもたらす、任意の有用なポリマー材料の1つ以上の更なる透明なポリマー基材層がディスプレイフィルム内に配置されていてもよい。ポリマー基材層において用いるのに好適な材料の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル(PET、PEN)、多環式オレフィンポリマー、及び熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。
【0063】
任意選択的な1つ以上のバリア層は透明なバリア層を含み得る。透明なバリア層は、基材又は保護層又はエネルギー散逸層上に配置されてもよい。透明なバリア層は、ディスプレイフィルムを通過する酸素又は水分の侵入を軽減する又は遅らせることができる。透明なバリア層は、例えば、シリカ、アルミナ又はジルコニアと有機樹脂との薄い層を交互に含む場合がある。例示的な透明なバリア層は、米国特許第7,980,910号及び国際公開第2003/094256号に記載されている。
【0064】
任意選択的な更なる層としては、マイクロ構造層、防眩層、反射防止層、又は耐指紋層を挙げることができる。更なる任意選択的な層が、ディスプレイフィルムの内部に配置されていてもよい。ディスプレイフィルム内に配置される1つの有用な更なる層は、国際公開第2015/191949号に記載されているとおりのスパークル低減層である。スパークル低減層は、防眩コーティングを含む高精細度ディスプレイにおいて特に有用になり得る。
【0065】
透明ガラス層118、218及びガラス層セグメント115、215は、任意の有用なガラス材料で形成することができる。ガラスは、有益な特性をもたらすように処理することができる。例えば、ガラスは、イオン注入、化学的強化又は調整などをすることができる。透明ガラス層118、218及びガラス層セグメント115、215は、500マイクロメートル、又は300マイクロメートル未満、又は250マイクロメートル未満、又は200マイクロメートル未満、又は150マイクロメートル未満、又は100マイクロメートル未満の厚さを有することができる。厚さは、20マイクロメートル~250マイクロメートル、又は25マイクロメートル~150マイクロメートル、又は50マイクロメートル~100マイクロメートルの範囲内であってもよい。薄い透明なガラスの供給業者としては、Corning、Nippon Electric Glass、Schott及びAsahi Glassが挙げられる。用語「ガラス」は、本明細書においてサファイアも指す。
【0066】
透明ガラス層118、218及びガラス層セグメント115、215は、プライマー処理又は処理して、その表面のうちの1つ以上に、なんらかの所望の特性を付与することができる。特に、透明ガラス層118、218及びガラス層セグメント115、215は、プライマー処理して、透明ガラス層118、218及びガラス層セグメント115、215と、ポリマー層110、111、210、211、又はエネルギー散逸層120、220、又は本明細書に記載される層のいずれかとの接着を改善することができる。このような処理の例としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、及び、アクリレート又はシラン処理などの化学処理が挙げられる。
【0067】
接着剤層140、240は、光学接着剤であってもよい。接着剤層140、240は、感圧接着剤であってもよい。接着剤層140、240は、本明細書に記載のディスプレイフィルム構造体のいずれに含まれてもよい。光学接着剤層は、アクリレート、シリコーン、シリコーンポリオキサミド、シリコーンポリウレア、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、又はポリイソブチレンで形成されてもよい。
【0068】
本明細書に記載される保護フィルムは、いくつかの方法で構築することができるが、低い温度であっても、動的折り畳み動作での破損につながることがないとともに、衝撃に有益な特性を提供する、エネルギー散逸層を含んでもよい。
【0069】
透明なエネルギー散逸層120、220は、任意の有用な厚さを有することができる。多くの実施形態では、透明なエネルギー散逸層120、220は、100マイクロメートル以上、又は100~300マイクロメートル若しくは100~250マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。透明なエネルギー散逸層120、220の厚さは、ディスプレイ、特に透明なポリマー基材層120、220に所望の保護をもたらすのに十分な厚さと、折り畳み及び薄型化設計パラメータを与えるのに十分な薄さとのバランスである。
【0070】
エネルギー散逸層は、27℃以下、又は10℃未満、又は5℃未満のガラス転移温度を有することができる。エネルギー散逸層は、5℃より低い、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-10℃以下、-40~5℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-20~5℃の範囲内、又は-15~5℃の範囲内、又は-10~5℃の範囲内、又は-5~5℃の範囲内などの、低いガラス転移温度を有し得る。ガラス転移温度は、本明細書において、E”を用いた動的機械分析を用いて特性を評価される。
【0071】
エネルギー散逸層は複数の層で形成されてもよく、これらの層のうちの少なくとも2つは異なるガラス転移温度値を有する。これらの層は、例えば、少なくとも2℃、又は少なくとも5℃、又は少なくとも10℃異なるガラス転移温度を有し得る。ある場合には、各エネルギー散逸層のピークTanδ値は、特定の温度において異なる振動数で生じ得る。
【0072】
エネルギー散逸層は、0.5以上、又は0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5、又は1~2.5、又は1~2のTanδピーク値を有し得る。エネルギー散逸層又は層群は、-40℃~70℃の温度範囲にわたって0.9MPa超のヤング率(E’)を有する。エネルギー散逸層は感圧性接着剤と呼ばれないであろう。
【0073】
透明なエネルギー散逸層は、架橋ポリウレタン、又は架橋ポリウレタンアクリレート、又は架橋ポリウレタン及びポリアクリレートを含んでもよい。
【0074】
透明なエネルギー散逸層120、220は、透明な架橋ポリウレタン層で形成されてもよい。透明な架橋ポリウレタン層は、イソシアネート及びポリオールオリゴマーの逐次重合由来の、化学結合又は共有結合で架橋された材料を含むことが好ましい。反応物であるイソシアネート及びポリオールの選択によって、得られる硬化したポリウレタンのガラス転移温度を調整することができる。架橋ポリウレタン層を、透明な基材又はガラス層(これはプライマー処理されていてもよい)上にコーティングした後、硬化又は架橋させ、熱硬化ポリウレタン層を形成してもよい。代替的に、架橋ポリウレタン層をフィルムとして生成し、その後、後続のプロセスステップにおいて基材又はガラス層に積層することができるであろう。このような積層は、熱、真空を用いて、あるいは接着剤の使用、又はこれらの組み合わせを通じて、支援することができるであろう。
【0075】
ポリウレタンは、カルバメート(ウレタン)結合によって連結された有機単位で構成されたポリマーである。本明細書に記載のポリウレタンは、加熱された際に溶融しない熱硬化性ポリマーである。ポリウレタンポリマーは、ジイソシアネート又はポリイソシアネートをポリオールと反応させることによって形成させることができる。ポリウレタンを製造するために用いられるイソシアネート及びポリオールは両方とも、1分子当たり平均して2つ以上の官能基を含有する。本明細書に記載されているポリウレタンは、2.4又は2.5を超える官能価を有し得る。
【0076】
幅広い種類のポリオールを使用して、透明なエネルギー散逸層の脂肪族架橋ポリウレタン成分を形成することができる。ポリオールという用語は、一般に、少なくとも2個の末端水酸基を含むヒドロキシル官能性材料を含む。ポリオールは、ジオール(2個の末端水酸基を有する材料)、並びにトリオール(3個の末端水酸基を有する材料)、及びテトラオール(4個の末端水酸基を有する材料)などのより多官能性のポリオールを含む。典型的には、反応混合物は、少なくともいくつかのジオールを含有し、より多官能性のポリオールもまた含有してもよい。より多官能性のポリオールは、架橋ポリウレタンポリマーの形成に特に有用である。ジオールは、一般に、構造HO-B-OH[式中、B基は脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基と脂肪族基との組み合わせを含有する基であり得、更なる末端水酸基を含む様々な結合又は官能基を含有してもよい]で記述することができる。
【0077】
ポリエステルポリオールは特に有用である。有用なポリエステルポリオールのうち、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンスクシネート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンドデカンジオエート、ポリネオペンチルアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリシクロヘキサンジメチルアジペート、及びポリε-カプロラクトンを含む線状及び非線状ポリエステルポリオールが有用である。特に有用なものは、King Industries(Norwalk,Conn.)より商標名「K-FLEX」で入手可能な、K-FLEX 188又はK-FLEX A308などの脂肪族ポリエステルポリオールである。
【0078】
幅広い種類のポリイソシアネートを使用して、透明なエネルギー散逸層の脂肪族架橋ポリウレタン成分を形成することができる。ポリイソシアネートという用語は、一般に、少なくとも2個の末端イソシアネート基を含むイソシアネート官能性材料を含む。ポリイソシアネートは、ジイソシアネート(2個の末端イソシアネート基を有する材料)、並びにトリイソシアネート(3個の末端イソシアネート基を有する材料)、及びテトライソシアネート(4個の末端イソシアネート基を有する材料)などの、より多官能性のポリイソシアネートを含む。典型的には、二官能性ポリオールが用いられる場合、反応混合物は、少なくとも1つのより多官能性のイソシアネートを含有する。より多官能性のイソシアネートは、架橋ポリウレタンポリマーの形成に特に有用である。ジイソシアネートは、一般に、構造OCN-Z-NCO[式中、Z基は脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基と脂肪族基との組み合わせを含有する基であり得る]によって記述することができる。
【0079】
トリイソシアネートなどのより多官能性のポリイソシアネートは、架橋ポリウレタンポリマーを形成するために特に有用である。トリイソシアネートとしては、ビウレット、イソシアヌレート、及び付加物などから生成されるものなどの多官能性イソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの市販されているポリイソシアネートとしては、Bayer Corporation(Pittsburgh,Pa.)のDESMODUR及びMONDURシリーズの一部、及びDow Chemical Company(Midland,Mich)の企業グループであるDow PlasticsのPAPIシリーズが挙げられる。特に有用なトリイソシアネートとしては、Bayer Corporationから商品名DESMODUR N3300A及びMONDUR 489で入手可能なものが挙げられる。特に好適な脂肪族ポリイソシアネートの1つは、DESMODUR N3300Aである。
【0080】
透明なエネルギー散逸層の透明な脂肪族架橋ポリウレタン成分を形成するために使用される反応混合物はまた、触媒も含有する。触媒は、ポリオールとポリイソシアネートとの間の逐次反応を促進する。ウレタンの重合での使用が一般に認識されている従来の触媒が、本開示での使用に好適であり得る。例えば、アルミニウム系、ビスマス系、スズ系、バナジウム系、亜鉛系、又はジルコニウム系触媒を用いることができる。スズ系触媒が特に有用である。スズ系触媒は、ポリウレタン中に存在するガス放出の量を有意に低減させることが分かっている。最も望ましいのは、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジメルカプチド、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズアセトニルアセトネート、及びジブチルスズオキシドなどのジブチルスズ化合物である。特に、Air Products and Chemicals,Inc.(Allentown,Pa.)より市販されているジブチルスズジラウレート触媒DABCO T-12が特に好適である。触媒は、概して、少なくとも200ppm又は300ppm以上の濃度で含まれる。触媒は、最終形成フィルム中に、少なくとも100ppm、又は100~500ppmの範囲内の濃度で存在してもよい。
【0081】
エネルギー散逸層の架橋ポリウレタン部分は、0.1~1.0mol/kg、又は0.2~0.9mol/kg、又は0.37~0.74mol/kgの範囲内の架橋密度を有することができる。硬化したポリウレタンの架橋密度は、Macromolecules,Vol.9,No.2,pages 206~211(1976)に記載の方法を用いて算出される。このモデルの実施には、化学官能性について整数値が必要である。DESMODUR N3300は、3.5の平均官能性、及び193g/当量のイソシアネート当量重量を有することが報告されている。この材料は数学モデルにおいて、47.5重量%のHDIトリマー(168.2g/当量)と、25.0重量%のHDIテトラマー(210.2g/当量)と、27.5重量%のHDIペンタマー(235.5g/当量)と、の混合物として表された。この混合物の平均当量重量は193g/当量となり、平均官能性は3.5となる。Desmodur N3400は、平均官能性2.5及び193の当量重量を有することが報告され、HDIイソシアヌレートトリマーとHDIウレトジオンダイマーとのブレンドであることが報告されている。この材料は数学モデルにおいて、19重量%のHDIイソシアヌレートトリマーと、33重量%のHDIウレトジオンダイマーと、10重量%のHDIウレトジオントリマーと、1つのイソシアヌレート基及び1つのウレトジオン基を有する、38重量%のHDIテトラマーと、の混合物として表された。数学モデルにおいて、イソシアネート基とウレトジオン基との合計に対して水酸基が過剰であった場合、官能性は、イソシアネート基とウレトジオン基との合計によって求めた。
【0082】
10℃未満のガラス転移温度を有するエネルギー散逸層を生成するため、イソシアネート成分の量を制限するのが好ましい場合がある。HDI由来のイソシアネートを用いるいくつかの実施形態においては、全コア層組成物に基づいて40重量%未満、又は38重量%未満、又は35重量%未満のイソシアネート成分を用いるのが好ましい場合がある。いくつかの実施形態において、ウレトジオン基を含有するイソシアネート成分を用いるのが好ましい。ウレトジオン基が含有される場合、イソシアネート基に対して過剰なヒドロキシル官能基(hydroxyl functional group)を用いるのが好ましい場合がある。過剰な水
酸基(hydroxyl group)はウレトジオン基と反応してアロファネート基を形成し、硬化及び化学架橋をもたらすことができる。いくつかの実施形態において、狭いTanδピークを生成するため、単一のポリオール成分のみを含むことが好ましい。いくつかの実施形態において、室温で互いに混和性であるポリオール成分及びイソシアネート成分を用いるのが好ましい。
【0083】
透明なエネルギー散逸層120、220は、ウレタンアクリレートオリゴマーで形成されてもよい。ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリレート又はメタクリレート反応基を有する多種多様のウレタン材料で構成され得る。ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、Exton,PennsylvaniaのSartomer(Arkemaの子会社)及びAllnex(Ebecrylのブランド名)などのベンダから市販されている。
【0084】
市販の脂肪族ウレタンオリゴマーの例としては、限定するものではないが、Sartomer Companyから入手可能なCN9002、CN9004、CN9893、及びCN3211、並びにEbecrylのブランド名で販売されているものが挙げられる。
【0085】
透明なエネルギー散逸層120、220は、ポリウレタン前駆体成分をポリアクリレート前駆体成分と混合することによって形成することができる。ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーは、別個の開始剤を介して形成される。これにより、ポリアクリレートポリマーを、ポリウレタンポリマーを形成することなく選択的に形成することができる。ポリウレタンポリマーは、触媒(熱硬化)を使用して形成されてもよく、ポリアクリレートは、例えば、光開始剤(UV又は光硬化)を使用して形成することができる。
【0086】
透明なエネルギー散逸層前駆体(光開始剤及び触媒の両方とともに、ポリアクリレート前駆体成分とポリウレタン前駆体成分の両方を含む)を、透明なポリマー基材層(プライマー処理されてもよい)又はガラス層上にコーティングしてもよく、次いで、ポリアクリレートポリマーは、b段階層を形成するために選択的に重合又は架橋されてもよい(UV硬化によって)。次いで、このb段階層を硬化又は架橋して、熱硬化性又は架橋ポリウレタンポリマーを形成し、透明なエネルギー散逸層の形成を完了することができる。
【0087】
透明なエネルギー散逸層は、1~50重量%のポリアクリレートポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、50~99重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、1~20重量%のポリアクリレートポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、2~15重量%のポリアクリレートポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、3~10重量%のポリアクリレートポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、80~99重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、85~98重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、90~97重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、光開始剤及び触媒の両方を含有してもよい。
【0088】
透明なエネルギー散逸層が約10重量%未満のポリアクリレート(前駆体混合物中のポリアクリレート前駆体材料の重量%に基づく)を含有する場合、ポリアクリレートは主に直鎖又は分枝鎖ポリマーを画定すると考えられる。透明なエネルギー散逸層が約10重量%~約20重量%のポリアクリレート(前駆体混合物中のポリアクリレート前駆体材料の重量%に基づく)を含有する場合、ポリアクリレートは分枝鎖又は架橋ポリマーを画定すると考えられる。透明なエネルギー散逸層が約20重量%~約50重量%未満のポリアクリレート(前駆体混合物中のポリアクリレート前駆体材料の重量%に基づく)を含有する場合、ポリアクリレートは主に架橋ポリマーを画定すると考えられる。架橋ポリアクリレートは、透明なエネルギー散逸層内の架橋ポリウレタンとの相互貫入ネットワークを画定することができる。
【0089】
ポリアクリレートポリマーは、重合又は架橋される。ポリアクリレートポリマーは、アクリレートモノマー又はオリゴマーで形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ポリアクリレートは、ポリアクリレートホモポリマーである。アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ポリアクリレートポリマーの重合又は架橋を可能にするために多官能性である。ポリアクリレートポリマーは、例えば、光開始剤などの開始剤の助けを借りて形成することができる。ポリアクリレートポリマーは、アクリレート及びウレタンセグメント、又はアクリレート及びウレタン相溶性セグメントを含む、オリゴマーで形成することができる。ポリアクリレートポリマーは、脂肪族であってよい。
【0090】
ポリアクリレートポリマーは、多官能性(メタ)アクリルモノマー、オリゴマー、及びポリマーで形成されてもよく、個々の樹脂は、二官能性、三官能性、四官能性、又はより高い官能性であり得る。有用な多官能性アクリレートモノマー及びオリゴマーとしては、次のものが挙げられる。
(a)ジ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなど、
(b)トリ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートなど、
(c)より多官能性の(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなど。
【0091】
例えば、ウレタンアクリレートなどのオリゴマー(メタ)アクリルモノマーもまた用いることができる。
【0092】
このような(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、Sartomer Company(Exton,Pennsylvania)、Cytec Industries(Woodland Park,N)、及びAldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)などの供給業者から広く入手可能である。
【0093】
いくつかの実施形態では、ポリアクリレートポリマーは、少なくとも3つの(メタ)アクリレート官能基を含む(メタ)アクリレートモノマーを含む。いくつかの実施形態において、架橋性モノマーは、少なくとも4つ、5つ又は6つの(メタ)アクリレート官能基を含む。アクリレート官能基は、(メタ)アクリレート官能基よりも好まれることがある。
【0094】
好ましい官能性アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)より商標名「SR351」で市販されている)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)より商標名「SR454」で市販されている)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Sartomerより商標名「SR444」で市販されている)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomerより商標名「SR399」で市販されている)、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商標名「SR494」でSartomerより)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(商標名「SR368」でSartomerより)が挙げられる。
【0095】
脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーは、ポリアクリレートポリマーと架橋ポリウレタンとの相溶性を向上させるように好ましいポリアクリレートポリマーを形成するために利用することができるが、他の脂肪族ポリアクリレートモノマーも有用であり得る。本明細書に記載のポリアクリレート又はポリウレタンアクリレートは、熱硬化性ポリマーである。
【0096】
ポリアクリレートポリマーは、多官能性ウレタンアクリレートオリゴマーのフリーラジカル重合によって形成することができる。ウレタンアクリレートオリゴマーは、処理の目的のために樹脂の硬化前の粘度を変更するべく、他の低分子量単官能性及び/又は多官能性アクリレートと混合され得る。概して、硬化前のエネルギー散逸層において用いられる多官能性アクリレートの平均官能性は、3(即ち1分子当たり3つの官能性アクリレート官能基)未満である、又は、2以下であり得る。硬化(又は架橋)材料は、適用時、ディスプレイフィルムの使用に対して安定な材料特性を呈し得る。即ち、エネルギー散逸層は感知できる流動を呈し得ない。
【0097】
ディスプレイフィルムは保護層を含み得る。保護層はディスプレイフィルムに耐摩耗性をもたらし、耐摩耗層とも呼ばれ得る。保護層又は耐摩耗層は、ハードコート層、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、弾性ナノコンポジットウレタン層、又はガラス層を含む。
【0098】
研磨は、摩擦によって材料を摩耗させる、又は、こすり落とす方法である。材料の耐摩耗性は、材料が機械的作用に耐えるのを助け、材料がその表面から除去されないよう保護しやすくする。これにより、材料はその完全性を保持し、その形態を保つことができる。耐摩耗性は、透明な保護層をスチールウール又は研磨パッドなどの粗い材料で規定のサイクル数にわたってこするか又は拭き取った後、微細な擦傷又はヘイズなどの目に見える変化について層を検査することにより、測定することができる。
【0099】
耐摩耗層は、ディスプレイフィルム層上に(例えば、基材又はエネルギー散逸層上に)直接配置されたハードコート層を含むことができる、又はハードコート層は、基材層上に配置されてもよく、この複合層がディスプレイフィルム層上に配置される。ハードコート層は、50マイクロメートル未満、又は40マイクロメートル未満の厚さ、あるいは2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有し得る。基材層は、10マイクロメートル超又は200マイクロメートル未満の厚さを有し得る。基材層は、好ましくは、透明なポリマー層である。
【0100】
基材層(保護層の一部分を形成する)は、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲内の厚さを有し得る。基材層は、70MPa超、又は90MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値を有し得る。語句「降伏応力」又は「オフセット降伏応力」は、本明細書において、ASTM D638-14で定義されているとおりの「0.2%オフセット降伏強度」を指す。ASTM D638-14セクションA2.6は、「オフセット降伏強度」の試験方法を定義しており、ひずみが、応力-ひずみ曲線の最初の比例部分における延長を規定量(オフセット)だけ上回る応力と定義される。これは単位面積当たりの力、通常は、メガパスカル(ポンド力毎平方インチ)で表される。
【0101】
基材層は、ディスプレイフィルムに所望の機械的特性(寸法安定性など)及び光学特性(光透過率及び透明度など)をもたらす、任意の有用なポリマー材料で形成され得る。ポリマー基材層において用いるのに好適な材料の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル(PET、PEN)、多環式オレフィンポリマー、及び熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。透明なポリマー基材層を形成するのに有用なポリマー材料の1つは、ポリイミドである。多くの実施形態において、ポリイミド基材層は無色である。無色のポリイミドは、化学反応によって、又はナノ粒子の組み込みによって形成することができる。化学反応によって形成されるいくつかの例示的な無色のポリイミドは、国際公開第2014/092422号に記載されている。
【0102】
基材層をプライマー処理又は処理し、その表面のうちの1つ以上に、何らかの所望の特性を付与してもよい。具体的には、基材層をプライマー処理し、エネルギー散逸層又はガラス層又は光学的に透明な接着剤層の、基材層との接着を改善することができる。このような処理の例としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、及び、アクリレート又はシラン処理などの化学処理が挙げられる。
【0103】
(基材上に配置された)ハードコート層は、50マイクロメートル未満又は40マイクロメートル未満の厚さを有する。いくつかの実施形態において、ハードコート層は、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。ハードコート層は、ナノ粒子を含む。
【0104】
好適なハードコートは、無機ナノ粒子を有する様々な硬化ポリマー材料を含み得る。これらのハードコートとしては、(メタ)アクリル系ハードコート、シロキサンハードコート、ポリウレタンハードコートなどを挙げることができるが、これらに限定されない。好適なハードコートとしては、無機ナノ粒子を有する様々な硬化ポリマー材料を挙げることができる。これらのハードコートは、(メタ)アクリル系ハードコート、シロキサンハードコート、ポリウレタンハードコートなどを含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0105】
1つの好ましい種類のハードコートは、無機ナノ粒子を含むアクリルハードコートを含む。このようなハードコートは、多官能性(メタ)アクリルモノマー、オリゴマー、及びポリマーの混合物を含む重合性樹脂組成物を有することができ、個々の樹脂は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性であり得、又はより高い官能性を有し得る。好適な場合には、樹脂系の重合性(メタ)アクリレート成分は、重合する際に、ハードコートが遊離(メタ)アクリルモノマーをほとんどないし全く含まないように、選択される。
【0106】
有用なハードコート多官能性(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーは、架橋ポリアクリレートポリマーに有用な材料として上述した。
【0107】
ハードコート組成物は、得られるコーティングに機械的強度及び耐久性を付加する、表面改質された無機酸化物粒子を含み得る。粒子は、典型的には、実質的に球状の形状であり、比較的均一なサイズである。粒子は、実質的に単分散の粒度分布、又は、2種以上の実質的に単分散分布のものをブレンドすることによって得られる多モード分布を有し得る。無機酸化物粒子は、典型的には非凝集(実質的に分離している)であるが、これは、凝集が起きると、無機酸化物粒子の析出又はハードコートのゲル化を来す場合があるからである。無機酸化物粒子のサイズは、有意な可視光の散乱を回避するように選択される。
【0108】
ハードコート組成物は、少なくとも10、20、30、40、又は50nm、かつ約200、175、又は150nm以下の平均(例えば非会合)一次粒径又は会合粒径を有する、有意な量の表面改質された無機酸化物ナノ粒子を含むことができる。ハードコート組成物が有意な量のこのようなサイズの無機ナノ粒子を含まない場合、硬化したハードコートは、鉛筆硬度試験を行った場合、ひび割れを起こすことがある。無機酸化物ナノ粒子の総濃度は、典型的には少なくとも30、35、又は40固形分重量%、かつ概して90固形分重量%、80固形分重量%、75固形分重量%以下であり、いくつかの実施形態において70固形分重量%、又は65固形分重量%、又は60固形分重量%以下である。
【0109】
ハードコート組成物は、より小さいナノ粒子を、最大約10固形分重量%含み得る。このような無機酸化物ナノ粒子は、典型的には、少なくとも1nm又は5nm、かつ50、40、又は30nm以下の平均(例えば非会合)一次粒径又は会合粒径を有する。
【0110】
無機酸化物粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用い、所与の直径の無機酸化物粒子を計数して測定することができる。無機酸化物粒子は、シリカなどの単一の酸化物から実質的になる、若しくは、これからなる場合がある、又は、酸化物の組み合わせ、若しくは1種類の酸化物のコア(若しくは金属酸化物以外の材料のコア)の上に別の種類の酸化物が堆積されたものを含む場合がある。シリカは、ハードコート組成物中で利用される通常の無機粒子である。無機酸化物粒子は、液体媒質中に無機酸化物粒子のコロイド状分散体を含むゾルの形態で提供されることが多い。ゾルは、様々な手法を用い、ヒドロゾル(この場合は、水が液体媒質の役割を果たす)、オルガノゾル(この場合は、有機液体がその役割を果たす)、及び混合ゾル(この場合は、液体媒質が水及び有機液体の両方を含む)を含む様々な形態で調製することができる。
【0111】
水性コロイド状シリカ分散体は、Nalco Chemical Co.(Naperville,IL)より、製品1040、1042、1050、1060、2327、2329、及び2329Kなどの商標名「Nalco Collodial Silicas」で、又はNissan Chemical America Corporation(Houston,TX)より商標名Snowtex(商標)で市販されている。コロイド状シリカの有機分散体は、Nissan Chemicalより商標名Organosilicasol(商標)で市販されている。好適なヒュームドシリカとしては、例えば、Evonki DeGussa Corp.(Parsippany,NJ)より、商標名「AerosilシリーズOX-50」、並びに製品番号-130、-150、及び-200で市販されている製品が挙げられる。ヒュームドシリカはまた、Cabot Corp.(Tuscola,IL)より商標名「CAB-O-SPERSE 2095」、「CAB-O-SPERSE A105」、及び「CAB-O-SIL M5」で市販されている。
【0112】
光学特性、材料特性を最適化し、又は全組成物のコストを削減するため、無機酸化物粒子種の混合物を利用するのが望ましい場合もある。
【0113】
シリカの代わりに、又はシリカと組み合わせて、ハードコートは、様々な高屈折率無機ナノ粒子を含み得る。このようなナノ粒子は、少なくとも1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、又は更に高い屈折率を有する。高屈折率無機ナノ粒子は、例えば、ジルコニア(「Zr02」)、チタニア(「Ti02」)、酸化アンチモン、アルミナ、酸化スズを、単独又は組み合わせて含む。また、混合金属酸化物を用いてもよい。
【0114】
高屈折率層中に用いるためのジルコニアは、Nalco Chemical Co.より商標名「Nalco OOSS008」で、Buhler AG Uzwil(Switzerland)より商標名「Buhler zirconia Z-WO sol」で、Nissan Chemical America Corporationより商標名NanoUse ZR(商標)で入手可能である。ジルコニアナノ粒子は、米国特許公開第2006/0148950号及び米国特許第6,376,590号に記載のように調製することもできる。酸化アンチモンによって被覆された酸化スズ及びジルコニアの混合物を含むナノ粒子分散体(RI -1.9)が、Nissan Chemical America Corporationより商標名「HX-05M5」で市販されている。酸化スズナノ粒子分散体(RI -2.0)が、Nissan Chemicals Corpより商標名「CX-S401M」で市販されている。ジルコニアナノ粒子は、米国特許第7,241,437号及び同第6,376,590号に記載のように調製することもできる。
【0115】
保護層は弾性ナノコンポジット層であってもよい。弾性ナノコンポジット層は、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層であり得る。ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層は、エネルギー散逸層又は光学的に透明な接着剤層上に直接コーティングされてもよい。代替的に、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層は、上述したように、透明な基材層上にコーティングされてもよく、透明な基材層がエネルギー散逸層又は光学的に透明な接着剤層に直接付着される。
【0116】
透明な保護層は弾性ナノコンポジット層であってもよい。この層は、30~125マイクロメートルの範囲内の厚さを有し得る。この弾性ナノコンポジット材料は、外層に対して耐久性のある表面特性をもたらす、任意の有用な材料から製造することができる。ある場合には、この弾性ナノコンポジット層は、シリカナノ粒子充填UV硬化性ポリウレタン樹脂などのポリウレタンナノコンポジット材料から製造される。他の実施形態において、弾性ナノコンポジット材料は、ナノ粒子充填イオン性エラストマー材料から製造することができる。この弾性ナノコンポジット層は、永久的変形が生じないように、弾性範囲内で延伸することができる。材料の比例限度は、応力がひずみに比例する最大応力と定義される(フックの法則)。弾性限度は、永久変形を測定することができる最小の応力である。弾性ナノコンポジット層は、比例限度におけるひずみよりも20%超大きい、比例限度におけるひずみよりも50%超大きい、又は比例限度におけるひずみよりも100%超大きい、弾性限度におけるひずみを有し得る。下記のグラフは、この概念を示している。
【0117】
本明細書に記載のディスプレイフィルムの全厚は、用途に応じて任意の有用な値を有し得る。ディスプレイフィルムの厚さは、所望のディスプレイ保護をもたらすのに十分な厚さであることと、折り畳み及び薄型化設計パラメータをもたらすのに十分な薄さであることと、の兼ね合いである。ディスプレイフィルムがそれ自体の上に折り畳まれる場合、このフィルムは、85~350マイクロメートル又は100~300マイクロメートル又は150~250マイクロメートルの範囲内の全厚を有し得る。ディスプレイフィルムが中程度に屈曲する場合、このフィルムは、300~500マイクロメートルの範囲内の全厚を有し得る。
【0118】
本開示の目的及び利点を以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例に記載の特定の材料及びこれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈してはならない。
【実施例0119】
実施例中の全ての部、百分率、比などは、別途断りのない限り、重量による。用いた溶媒及び他の試薬は、別途明記しない限り、Sigma-Aldrich Corp.(St.Louis,Missouri)より入手した。
【0120】
【0121】
ハードコーティングされる溶液1の調製
Esacure 1(Lamberti(Gallarate,Italy))1.51グラム、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン官能化20nmシリカ粒子(1-メトキシ-2-プロパノール中45重量%)109.18グラム、メチルトリメトキシシラン官能化20nmシリカ粒子(1-メトキシ-2-プロパノール中45重量%)36.39グラム、10.37グラムのSR399、13.96グラムのSR9035、19.14グラムのSR444c、1.72グラムのSR344を、メチルエチルケトン(Fisher scientific)57.49グラム中で混合することにより、ハードコート溶液を調製した。この溶液を、全ての成分が溶解するまで撹拌した。この溶液にScotchgard PM-1501(3M)0.24gを加え、溶液を更に20分間撹拌した。得られた溶液は実質的に均質で、澄明な青色の外観であった。
【0122】
ポリウレタンの実施例1~5:
インラインダイナミックミキサーを用い、イソシアネート及びポリオールが触媒とともに混合されるロールツーロールプロセスにおいて、形状記憶ポリウレタンの試料を調製した。2つのシリコーン剥離ライナーの間の移動ウェブに、所望の最終試料厚さを達成するための適切な流量で溶液を適用した。フィルムの間のポリウレタンを70℃で加熱し、ロール状に巻回した。ガラスへの積層前に、フィルムを70℃で24時間ポストベークした。試料は、所望のガラス転移温度及び架橋濃度を達成するために、表2に示されるように、1.0当量の-OHと反応する或る範囲の当量のNCOを有した。表2に、試料1~5のためのK-FLEX 188とDesmodur N3300との相対的質量比率を示す。コーティングされた材料は約350ppmのジブチルスズジラウレート触媒を含有した。
【0123】
【0124】
ポリウレタンの実施例6~9
試料1~5と同様であるが、これらのポリウレタンコーティングはイソシアネートの混合物を用いて作製した。これらの実施例のためのポリウレタンは、試料1~5と同じ仕方で調製した、多官能性イソシアネート(Desmodur N3300及びDesmodur N3400)のブレンドと反応した脂肪族ポリオール(K-FLEX 188)で構成された。表3に、試料6~9のための重量比K-FLEX対Desmodur N3300対Desmodur N3400を示す。
【0125】
【0126】
ポリウレタンの実施例10
試料1~5と同様であるが、このポリウレタンコーティングは、更により低いガラス転移温度を達成するために、代替的なポリオール、Fomrez 55-112を用いて作製した。ポリウレタンは、試料1~5と同じ仕方で調製した、多官能性イソシアネート(Desmodur N3300)と反応した脂肪族ポリオール(Fomrez 55-112)で構成された。表4に、試料10のための重量比Fomrez 55-112対Desmodur N3300を示す。オーブンを70℃で作動させ、試料を70℃で24時間、後硬化させた。
【0127】
【0128】
ポリウレタン層の特性評価
ガラス転移温度
TA InstrumentsのQ800 DMAを用い、ポリウレタンコーティングのガラス転移温度の特性を評価した。試料を、幅6.35mm及び長さ約4cmのストリップにカットした。各フィルムの厚さを測定した。フィルムを、TA InstrumentsのQ800 DMAの引張グリップに、16mm~19mmの初期グリップ分離で固定した。次いで、試料を、-50℃から200℃までの毎分2℃の速度での昇温中を通じ、0.2%のひずみ及び1Hzの振動で試験した。結果を表5に示す。E”についてのピークの位置特定によって、ガラス転移の開始を決定した。Tanδシグナルが最大に達した温度を、ピークTanδ温度として記録した。
【0129】
【0130】
実施例11:ポリウレタンアクリレート樹脂及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、99.5gのCN9004及びIrgacure TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約50000cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0131】
実施例12:ポリウレタンアクリレート樹脂及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、99.5gのCN3211及びIrgacure TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約25000cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0132】
実施例13:ポリウレタンアクリレート樹脂(90/10)及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、CN3211(Sartomer,Inc.)79.60g及びSR501(Sartomer,Inc.)19.90gを加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。スピードミキサーカップに、Irgacure
TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を31000rpmで1分間再度混合した。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約8500cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0133】
実施例14:ポリウレタンアクリレート樹脂(80/20)及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、79.60gのCN3211及び19.90gのCD9043を加えた。内容物を、Flacktek
DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。スピードミキサーカップに、TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を31000rpmで1分間再度混合した。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約5800cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0134】
実施例15:ポリウレタンアクリレート樹脂(80/20)及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、79.60gのCN3211及び19.90gのSR415を加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。スピードミキサーカップに、TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を31000rpmで1分間再度混合した。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約5500cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0135】
実施例16:ポリウレタンアクリレート樹脂(70/30)及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、69.65gのCN3211及び29.85gのSR531を加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。スピードミキサーカップに、Irgacure TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を31000rpmで1分間再度混合した。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約4000cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0136】
実施例17:ポリウレタンアクリレート樹脂(80/20)及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、79.60gのCN3211及び19.90gのSR531を加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。スピードミキサーカップに、Irgacure TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を31000rpmで1分間再度混合した。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約5000cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0137】
実施例18:ポリウレタンアクリレート樹脂(90/10)及びフィルム
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、CN3211(Sartomer,Inc.)89.55g及びSR531(Sartomer,Inc.)9.95gを加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、3100rpmで1分間混合した。得られた溶液は均質な、ほぼ無色の粘稠な溶液であった。スピードミキサーカップに、Irgacure TPO-L触媒0.5gを加えた。内容物を31000rpmで1分間再度混合した。次いで、得られた溶液を40℃の真空オーブンに入れて脱気し、この粘稠な溶液から全ての溶存空気及び気泡を除去した。この溶液は、室温で約6000cPの粘度を有していた。2mil厚のZF-50と2mil厚のT50シリコーン剥離コーティングポリエステルライナーとの間にこの樹脂をコーティングすることにより、この樹脂からフィルム試料を作製した。175umのフィルムがキャスト成型されるように、フィルムの間の溶液をノッチバーの下で抜き取った。ライナーの間のコーティングを、低出力の350nmブラックライトバルブ下で15分間照射し、弾性特性を有する硬化フィルムを得た。
【0138】
【0139】
動的機械分析試験法
試料を、幅6.35mm及び長さ約4cmのストリップにカットした。各フィルムの厚さを測定した。フィルムを、TA InstrumentsのQ800 DMAの引張グリップに、16mm~19mmの初期グリップ分離で固定した。次いで、試料を、-20℃から200℃までの毎分2℃の速度での昇温中を通じ、0.2%のひずみ及び1Hzの振動で試験した。Tanδシグナルが最大に達した温度を、ピークTanδ温度として記録した。E”のピークからガラス転移温度を取った。
【0140】
ガラス/ポリウレタン構造体
実施例A:
ダイヤモンドスクライブを用い、NEGガラス(材料OA-10G、幅300mm、長さ30m、厚さ100ミクロン)のロールから3インチ×6インチのガラス試料を切断した。2つのシリコーン剥離ライナーの間のコーティングによって、形状記憶ポリウレタンのフィルム試料を調製した。約500ppmのスズ触媒を含有するポリオール、及びイソシアネートを混合することによって、ポリウレタンフィルムを作製した。触媒を含むポリオール(K-FLEX 188)、及びイソシアネート(DESMODUR N3300)を、質量流量制御器を備えた別々のポンプカートに添加した。触媒を含むポリオールを60℃まで加熱して粘度を低下させた。2つの成分を、制御された化学量論で、ポンプカートから質量流量制御器を介してKenicsスタティックミキサー(長さ355mm、32個のエレメントを有する)に送った。0.8のポリウレタン反応混合物のための全体目標NCO/OH比を与えるために、触媒を含むポリオール及びDESMODUR N3300のための質量流量をそれぞれ32.8g/分及び20.74g/分にした。2部分ポリウレタン反応混合物を2つのシリコーン剥離ライナー(例えば例えば、Eastman Chemicalから入手可能なT50剥離ライナー)の間にコーティングした。ノッチバーコーティング方法を用い、反応混合物を剥離フィルムの間で所望の厚さに連続的な仕方でコーティングした。ここで、厚さは、規定の間隙を設定することによって制御した。コーティングされたポリウレタンフィルムを熱板上で高温で加熱して、ポリウレタンフィルムをゲル化し、得られたフィルムを70℃のオーブン中に16時間入れて硬化させた。ライナーを有する得られたフィルムは約260umであった。ポリウレタンフィルムは約156umであった。
【0141】
ライナーをポリウレタンフィルムの一方の側から剥がし、それをガラスに積層することによって、ガラス/ポリウレタン構造体を作製した。この積層された構造を70℃で約24時間加熱した。第2のライナーを取り外し、ガラス/ポリウレタン構造体に対して球落下及び衝撃試験を実施し、表7に結果を記載している。
【0142】
実施例B:
ダイヤモンドスクライブを用い、NEGガラス(材料OA-10G、幅300mm、長さ30m、厚さ100ミクロン)のロールから3インチ掛ける6インチのガラス試料を切断した。2つのシリコーン剥離ライナーの間のコーティングによって、形状記憶ポリウレタンのフィルム試料を調製した。約500ppmのスズ触媒を含有するポリオール、及びイソシアネートを混合することによって、ポリウレタンフィルムを作製した。触媒を含むポリオール(K-FLEX 188)、及びイソシアネート混合物(DESMODUR N3300及びDesmodur 3400)を、質量流量制御器を備えた別々のポンプカートに添加した。触媒を含むポリオールを60℃まで加熱して粘度を低下させた。2つの成分を、制御された化学量論で、ポンプカートから質量流量制御器を介してKenicsスタティックミキサー(長さ355mm、32個のエレメントを有する)に送った。0.67のポリウレタン反応混合物のための全体目標NCO/OH比を与えるために、触媒を含むポリオール及びDESMODUR N3300及びDesmodur 3400のための質量流量をそれぞれ65.2g/分、17.4g/分及び17.4g/分に設定した。2部分ポリウレタン反応混合物を2つのシリコーン剥離ライナー(例えば、Eastman Chemicalから入手可能なT50剥離ライナー)の間にコーティングした。ノッチバーコーティング方法を用い、反応混合物を剥離フィルムの間で所望の厚さに連続的な仕方でコーティングした。ここで、厚さは、規定の間隙を設定することによって制御した。コーティングされたポリウレタンフィルムを熱板上で高温(約160°F)で加熱して、ポリウレタンフィルムをゲル化し、得られたフィルムを70℃のオーブン中に16時間入れて硬化させた。ライナーを有する得られたフィルムは約240umであった。ポリウレタンフィルムは約136umであった。
【0143】
ライナーをポリウレタンフィルムの一方の側から剥がし、それをガラスに積層することによって、ガラス/ポリウレタン構造体を作製した。この積層された構造を70℃で約24時間加熱した。第2のライナーを取り外し、ガラス/ポリウレタン構造体に対して球落下及び衝撃試験を実施し、表7に結果を記載している。
【0144】
実施例C:
ダイヤモンドスクライブを介して、厚さ100ミクロンのSchottガラス(Type D263(商標)T eco)のロールから3インチ掛ける6インチのガラス試料を切断した。Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、約500ppmのDABCO T-12を含有する14gのK-FLEX188、及び約10.0gのDesmodur N-3300Aを加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、1500rpmで30秒間混合した。得られた粘稠混合物は均質であり、ほぼ無色であった。2つのシリコーン剥離ライナーの間にガラス試料を配置し、規定の間隙を有するノッチバーの下でポリウレタンを含む2つの剥離ライナーを引くことにより、ポリウレタンをガラス試料の上にコーティングすることによって、粘稠混合物をガラスの表面に適用し、ポリウレタンの厚さ100umのコーティングを厚さ100umのガラス上に生成した。ライナーの間の試料を70℃で24時間硬化させた。2つの剥離ライナーを取り外し、ガラス及びポリウレタン構造体を与えた。構造体に対して球落下及び衝撃試験を実施し、表7に結果を記載している。
【0145】
実施例D:
実施例Cにおいて上述されたようにポリウレタンガラス構造体を調製し、2ミルの光学的に透明なフィルム接着剤(3Mから入手可能な8146 OCA)を用いて、2ミルのPET層(DuPontから入手可能)をポリウレタンに積層した。構造体に対して球落下及び衝撃試験を実施し、表7に結果を記載している。
【0146】
比較例1:
実施例Aにおいて説明したように、光学的に透明な接着剤(3M 8146 OCA)の4ミルの層を厚さ100ミクロンのNEGガラス層に積層した。2ミルのPETフィルム(DuPontから入手可能)を接着剤の他方の側に積層した。ガラス層とPET層との間の2ミルのOCAを含むガラス/OCA構造体に対して球落下及び衝撃試験を実施し、表7に結果を記載している。
【0147】
比較例2
実施例Cにおいて説明されたとおりのSchottガラスの100umの試料に、2ミルの3M 8146 OCAの3つの層、及びそれに続き、2ミルのPET(DuPontから入手可能)の層を順次積層した。ガラス層とPET層との間の6ミルのOCAを含む、得られたガラス/OCA構造体に対して球落下及び衝撃試験を実施し、表7に結果を記載している。
【0148】
【0149】
まず、4.3gのステンレス鋼球を各構造体上に落下させ、次に、非筆記端部に取り付けたキャップを有するBic(商標)スティックペン(1mmの球ペン先)(総重量5.5g)を、指定された高さから落下させることによって、保護ディスプレイフィルムの耐衝撃性を2つの仕方で試験した。落高は、球の底部又はペンの筆記端部から試料の表面までを測定した。球及びペンは、ペンが表面に対して試料に約90度の角度で当たることを確実にする細管内を落下させた。落下試験ごとに、既存のひびのない試料の新たな区域を用いた。装置を用いて試験することができるであろう最大落高は、球に対して27cm、及びペンに対して16cmであった。永久的な跡又はガラスのひび割れを生じることなく球又はペンを落下させることができるであろう最大高さとして臨界高さを記録した。
【0150】
セグメント化ガラス構造体
実施例E:
ダイヤモンドスクライブを用い、NEGガラス(Nippon Electric Glass Company、材料OA-10G、幅300mm、長さ30m、厚さ100ミクロン)のロールから3インチ掛ける6インチのガラス試料を切断した。2つのシリコーン剥離ライナーの間のコーティングによって、形状記憶ポリウレタンのフィルム試料を調製した。約500ppmのスズ触媒を含有するポリオール、及びイソシアネートを混合することによって、ポリウレタンフィルムを作製した。触媒を含むポリオール(K-FLEX 188)、及びイソシアネート(DESMODUR N3300)を、質量流量制御器を備えた別々のポンプカートに添加した。触媒を含むポリオールを60℃まで加熱して粘度を低下させた。2つの成分を、制御された化学量論で、ポンプカートから質量流量制御器を介してKenicsスタティックミキサー(長さ355mm、32個のエレメントを有する)に送った。0.8のポリウレタン反応混合物のための全体目標NCO/OH比を与えるために、触媒を含むポリオール及びDESMODUR N3300のための質量流量をそれぞれ32.8g/分及び20.74g/分にした。2部分ポリウレタン反応混合物を2つのシリコーン剥離ライナー(例えば例えば、Eastman Chemicalから入手可能なT50剥離ライナー)の間にコーティングした。ノッチバーコーティング方法を用い、反応混合物を剥離フィルムの間で所望の厚さに連続的な仕方でコーティングした。ここで、厚さは、規定の間隙を設定することによって制御した。コーティングされたポリウレタンフィルムを熱板上で高温で加熱して、ポリウレタンフィルムをゲル化し、得られたフィルムを70℃のオーブン中に16時間入れて硬化させた。ライナーを有する得られたフィルムは約260umであった。ポリウレタンフィルムは約156umであった。
【0151】
ライナーをポリウレタンフィルムの一方の側から剥がし、それをガラスに積層することによって、ガラス/ポリウレタン構造体を作製した。この積層された構造体を、ガラス板を上にして均一な圧力を加え、約24時間、70℃で加熱した。次いで、試料を直径3mmの金属ロッドの周囲に適合させることによって、セグメンテーションを生成した。結果として得られた構造体は、3インチのガラス試料の全幅を並進して、試料中に曲げ領域を生成した、ほぼ平行なひびから構成された。
【0152】
ガラス表面にアクリル系コーティングを塗布することにより、ひびの視認性を低下させた。コーティング溶液(上述したハードコート溶液1)をシリンジを介して試料に塗布した。(試料の曲げ又は伸張により、ひびの完全な湿潤を補助することができることに留意されたい)。PETフィルム片をナイフコータとして使用し、試料表面にわたって平行移動させて、試料上にほぼ均一かつ薄いコーティングを作製した。試料を室温で30分間空気中で乾燥させ、次いで、100%の電力及びベルト速度10フィート/分で、Hバルブを有する溶融システム(Fusion UV System,Inc.(Gathersburg,MD)Model#I6P1/LH)内でUV硬化させた。残りのライナーを取り除いた後で、結果として得られた試料は、最終アクリルコーティングを凹状(圧縮される)側にして曲げられる能力、すなわち、ガラスのコーティングされた側に向かって折り畳む能力を有して、透明に見えた。試料を、およそ5mmの半径まで圧縮して折り畳んだ。
【0153】
実施例F:
ダイヤモンドスクライブを用い、NEGガラス(Nippon Electric Glass Company、材料OA-10G、幅300mm、長さ30m、厚さ100ミクロン)のロールから3インチ×6インチのガラス試料を切断した。2つのシリコーン剥離ライナーの間のコーティングによって、形状記憶ポリウレタンのフィルム試料を調製した。約500ppmのスズ触媒を含有するポリオール、及びイソシアネートを混合することによって、ポリウレタンフィルムを作製した。触媒を含むポリオール(K-FLEX
188)、及びイソシアネート(DESMODUR N3300)を、質量流量制御器を備えた別々のポンプカートに添加した。触媒を含むポリオールを60℃まで加熱して粘度を低下させた。2つの成分を、制御された化学量論で、ポンプカートから質量流量制御器を介してKenicsスタティックミキサー(長さ355mm、32個のエレメントを有する)に送った。0.8のポリウレタン反応混合物のための全体目標NCO/OH比を与えるために、触媒を含むポリオール及びDESMODUR N3300のための質量流量をそれぞれ32.8g/分及び20.74g/分にした。2部分ポリウレタン反応混合物を2つのシリコーン剥離ライナー(例えば例えば、Eastman Chemicalから入手可能なT50剥離ライナー)の間にコーティングした。ノッチバーコーティング方法を用い、反応混合物を剥離フィルムの間で所望の厚さに連続的な仕方でコーティングした。ここで、厚さは、規定の間隙を設定することによって制御した。コーティングされたポリウレタンフィルムを熱板上で高温で加熱して、ポリウレタンフィルムをゲル化し、得られたフィルムを70℃のオーブン中に16時間入れて硬化させた。ライナーを有する得られたフィルムは約260umであった。ポリウレタンフィルムは約156umであった。
【0154】
ライナーをポリウレタンフィルムの一方の側から剥がし、それをガラスに積層することによって、ガラス/ポリウレタン構造体を作製した。この積層された構造体を、ガラス板を上にして均一な圧力を加え、約24時間、70℃で加熱した。次いでゴムスタンプを使用して、配列された正方形のパターンで透明なアクリルインクを塗布し、インクを硬化させ、試料をHFの溶液でエッチングすることによって、セグメンテーションを生成することができる。結果として得られた試料は、ウレタンフィルム上に正方形のガラスプレートレットのアレイを有することができる。すすぎ及び乾燥後、試料を透明なアクリルインクでコーティングして、試料を平坦化し、試料に透明度を復活させることができる。
【0155】
実施例G:
レーザーにより、厚さ100ミクロンのSchottガラス(Type D263(商標)T eco)のシートから、3インチ掛ける6インチのガラス試料を切断することができる。加えて、このガラス片は、追加のレーザー切断をさせて、試料の中心に、試料の幅に延び100ミクロンの間隙で離間した幅0.3mm×長さ3インチのガラスセグメントのアレイを作製することができる。セグメントの位置決めを維持しながら、セグメント化ガラス構造体を移動させることができるように、弱い接着性を有するシリコーンライナーフィルムをガラス試料の露出面に貼り付けることができる。
【0156】
Flacktek Inc.のサイズ20のスピードミキサーカップに、約500ppmのDABCO T-12を含有する14gのK-FLEX188、及び約10.0gのDesmodur N-3300Aを加えた。内容物を、Flacktek DAC 150 FVZ-Kスピードミキサーを用いて混合し、1500rpmで30秒間混合した。得られた粘稠混合物は均質であり、ほぼ無色であった。粘稠混合物は、2つのシリコーン剥離ライナー(1つはガラス試料を接着させたもの)を、ポリウレタン混合物を定義された間隙を有するノッチバーの下にして引っ張ることにより、パターン化ガラス試料に塗布して、厚さ100umのパターン化ガラス上にポリウレタンの厚さ100umのコーティングを生成することができる。ガラス内の間隙と同じ方向にコーティングすることにより、空気混入なしの完全なコーティングを可能にすることができることに留意されたい。ライナーの間の試料を70℃で24時間硬化させることができる。2つの剥離ライナーを取り外し、埋め込みパターン化されたガラス及びポリウレタン構造体を得ることができる。結果として得られた透明な試料は、セグメント化領域内で5mm以下の半径に曲げることができる。
【0157】
このように、セグメント化保護ディスプレイフィルムの実施形態を開示する。本明細書で言及した全ての参考文献及び刊行物は、これらが本開示に直接矛盾し得る場合を除き、これらの全体が参照により本開示に明示的に組み込まれる。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。開示された実施形態は例示目的で提示されており、限定を目的とするものではない。
このように、セグメント化保護ディスプレイフィルムの実施形態を開示する。本明細書で言及した全ての参考文献及び刊行物は、これらが本開示に直接矛盾し得る場合を除き、これらの全体が参照により本開示に明示的に組み込まれる。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。開示された実施形態は例示目的で提示されており、限定を目的とするものではない。以下、他の例示的実施形態について述べる。
[1]
同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有し、前記厚さが、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内である、透明ガラス層と、
隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料と、
前記第1の主面上に配置された透明なエネルギー散逸層であって、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、
を備えるディスプレイフィルム。
[2]
前記透明なエネルギー散逸層が、架橋ポリウレタン、架橋ポリウレタンアクリレート、又は架橋ポリウレタン及びポリアクリレートを含む、[1]に記載のディスプレイフィルム。
[3]
前記隙間ポリマー材料が、第1の屈折率値を有し、前記ガラスセグメントが、第2の屈折率値を有し、前記屈折率値が、前記第2の屈折率値の0.1以内、又は0.05以内、又は0.02以内、又は0.01以内である、[1]又は[2]に記載のディスプレイフィルム。
[4]
前記ガラス層セグメントは、前記ガラス層セグメントを破損することなく前記ガラス層の曲げ又は折り畳みをもたらすように構成されている、[1]~[3]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[5]
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿って延びる平行なセグメントである、[1]~[4]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[6]
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの曲げ領域を画定する不均一セグメントである、[1]~[5]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[7]
前記ガラス層セグメントが、1:1~100:1の範囲内の(幅の厚さに対する)アスペクト比を有する、[1]~[6]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[8]
前記ディスプレイフィルムが、5%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満のヘイズ値を有し、前記ディスプレイフィルムが、85%超、又は90%超の可視光透過率値を有し、前記ディスプレイフィルムが、90%超、又は95%超、又は98%超の透明度値を有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[9]
前記透明なエネルギー散逸層が、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内のガラス転移温度を有する、[1]~[8]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[10]
前記透明なエネルギー散逸層が、0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有する、[1]~[9]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[11]
前記第2の主面上に配置された保護層を更に備える、[1]~[10]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[12]
前記保護層が、前記隙間ポリマー材料と同じ材料で形成されている、[11]に記載のディスプレイフィルム。
[13]
前記保護層が、ナノ粒子を含み、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、[11]に記載のディスプレイフィルム。
[14]
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された接着剤層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記透明ガラス層を前記接着剤層から分離している、[1]~[13]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[15]
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された透明なポリマー基材層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記透明ガラス層を前記透明なポリマー基材層から分離し、前記透明なポリマー基材層が、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲内の厚さと、90MPa超、又は100MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値と、を有する、[1]~[13]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[16]
前記隙間ポリマー材料が、前記透明なエネルギー散逸層と同じ材料で形成されている、[1]~[15]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[17]
前記ディスプレイフィルムが、500マイクロメートル未満、若しくは300マイクロメートル未満、若しくは200マイクロメートル未満、又は、85~350マイクロメートル、若しくは100~250マイクロメートル、若しくは100~200マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、[1]~[16]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[18]
同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有し、前記厚さが、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内である透明ガラス層と、
前記第1の主面上に配置されたポリマー層であって、前記ポリマー層が、ポリマー材料で形成され、前記ポリマー材料がまた、隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料を形成する、ポリマー層と、
前記ポリマー層上に配置された透明なエネルギー散逸層であって、前記ポリマー層が、前記透明なエネルギー散逸層を前記透明ガラス層から分離し、前記前記透明なエネルギー散逸層が、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、
を備えるディスプレイフィルム。
[19]
前記透明なエネルギー散逸層が、架橋ポリウレタン、又は架橋ポリウレタンアクリレート、又は架橋ポリウレタン及びポリアクリレートを含む、[18]に記載のディスプレイフィルム。
[20]
前記ポリマー層及び隙間ポリマー材料が、第1の屈折率値を有し、前記ガラスセグメントが、第2の屈折率値を有し、前記屈折率値が、前記第2の屈折率値の0.1以内、又は0.05以内、又は0.02以内、又は0.01以内である、[18]又は[19]に記載のディスプレイフィルム。
[21]
前記ガラス層セグメントが、前記ガラス層セグメントを破損することなく前記ガラス層の曲げ又は折り畳みをもたらすように構成されている、[18]~[20]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[22]
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの1つの寸法(長さ又は幅)全体に沿って延びる平行なセグメントである、[18]~[21]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[23]
前記ガラス層セグメントが、前記ディスプレイフィルムの曲げ領域を画定する不均一セグメントである、[18]~[22]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[24]
前記ガラス層セグメントが、1:1~100:1の範囲内の(幅の厚さに対する)アスペクト比を有する、[18]~[23]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[25]
前記ディスプレイフィルムが、5%未満、又は3%未満、又は1%未満、又は1%未満のヘイズ値を有し、前記ディスプレイフィルムが、85%超、又は90%超の可視光透過率値を有し、前記ディスプレイフィルムが、90%超、又は95%超、又は98%超の透明度値を有する、[18]~[24]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[26]
前記透明なエネルギー散逸層が、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内のガラス転移温度を有する、[18]~[25]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[27]
前記透明なエネルギー散逸層が、0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有する、[18]~[26]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[28]
前記第2の主面上に配置された保護層を更に備える、[18]~[27]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[29]
前記保護層が、前記ポリマー層と同じ材料で形成されている、[28]に記載のディスプレイフィルム。
[30]
前記保護層が、ナノ粒子を含み、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、[28]に記載のディスプレイフィルム。
[31]
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された接着剤層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記ポリマー層を前記接着剤層から分離する、[18]~[30]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[32]
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された透明なポリマー基材層を更に備え、前記透明なエネルギー散逸層が、前記ポリマー層を前記透明なポリマー基材層から分離し、前記透明なポリマー基材層が、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲内の厚さと、90MPa超、又は100MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値と、を有する、[18]~[30]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[33]
前記ディスプレイフィルムが、500マイクロメートル未満、若しくは300マイクロメートル未満、若しくは200マイクロメートル未満、又は、85~350マイクロメートル、若しくは100~250マイクロメートル、若しくは100~200マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、[18]~[32]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[34]
光学ディスプレイと、
[1]~[33]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルムと、
前記ディスプレイフィルムを前記光学ディスプレイに固定する光学接着剤層と、
を備える、物品。
[35]
前記光学ディスプレイが、有機発光ダイオードを含む、[34]に記載の物品。
[36]
前記光学ディスプレイ及びディスプレイフィルムは、前記光学ディスプレイが前記光学ディスプレイ自体に向き合い、前記ディスプレイフィルムの少なくとも一部分が、前記ディスプレイフィルムの別の部分と重なり合うように、折り畳み可能である、[34]又は[35]に記載の物品。
同一平面上の2つ以上のガラス層セグメントを含み、かつ第1の主面と前記第1の主面の反対側にある第2の主面とによって画定される厚さを有し、前記厚さが、500マイクロメートル未満、又は25マイクロメートル~250マイクロメートルの範囲内、又は25マイクロメートル~150マイクロメートルの範囲内である、透明ガラス層と、
隣接するセグメントを分離する隙間ポリマー材料と、
前記第1の主面上に配置された透明なエネルギー散逸層であって、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、
を備えるディスプレイフィルム。