(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025785
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】灯具ユニット、車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/47 20180101AFI20230216BHJP
F21S 45/43 20180101ALI20230216BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20230216BHJP
F21S 41/151 20180101ALI20230216BHJP
F21S 41/25 20180101ALI20230216BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20230216BHJP
F21V 29/75 20150101ALI20230216BHJP
F21V 29/67 20150101ALI20230216BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20230216BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230216BHJP
【FI】
F21S45/47
F21S45/43
F21S41/143
F21S41/151
F21S41/25
F21V29/503
F21V29/75
F21V29/67 100
F21W102:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131130
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100136630
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 祐啓
(74)【代理人】
【識別番号】100201514
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 悦
(72)【発明者】
【氏名】野末 修平
(72)【発明者】
【氏名】望月 惇平
(57)【要約】 (修正有)
【課題】灯具ユニットのヒートシンクの冷却性能を向上させつつ、ヒートシンクのサイズを抑制した灯具ユニット、車両用灯具を提供する。
【解決手段】灯具ユニットのヒートシンク2は、光源ユニットをヒートシンク2のベース部23の裏面に載置するベース部23と、ベース部23の表面に形成された複数のフィンを備える。フィンは、互いに略平行に形成された複数の第一フィン21と、第一フィン21と非平行に形成されファン4の風を第一フィン21に導く第二フィン22を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を搭載した光源ユニットと、
光源ユニットを支持するヒートシンクと、
ヒートシンクに送風してヒートシンクの熱を放散するファンと、
を備えた灯具ユニットであって、
前記ヒートシンクは、前記光源ユニットを裏面に載置するベース部と、前記ベース部の表面に形成された複数のフィンと、を備え、
前記フィンが、互いに略平行に形成された複数の第一フィンと、前記第一フィンと非平行に形成された第二フィンと、を含むことを特徴とする灯具ユニット。
【請求項2】
前記第一フィンは、前記ベース部の対角線に沿って形成された請求項1に記載の灯具ユニット。
【請求項3】
前記第一フィンは、前記光源ユニットにおける光源の配列方向と非平行に形成された請求項1または2に記載の灯具ユニット。
【請求項4】
前記第一フィンが、周囲よりもフィンの高さが低い切欠部を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の灯具ユニット。
【請求項5】
前記第二フィンが、前記第一フィンを囲む外周領域の一部に配置された請求項1~4のいずれか一項に記載の灯具ユニット。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の灯具ユニットを搭載した車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光源の熱を効率的に放散できるヒートシンクを搭載した灯具ユニット、および、該灯具ユニットを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、灯具ユニットにヒートシンクを設け、光源の熱を効率的に放散させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、ヒートシンクの複数のフィンに各々切欠部を設け、切欠部の面積が一方から他方に向けて徐々に拡大するように構成して、ファンの配置の自由度を向上させた灯具ユニットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、灯具ユニットを小型化が求められる一方で、灯具が多機能化して灯具ユニット内部の発熱量が増加する傾向にあり、ヒートシンクの冷却性能を向上させたいという要望があった。しかし、ヒートシンクの冷却性能を向上させるためにヒートシンクのサイズを大きくすると、灯具ユニットの小型化が難しくなるという問題があった。
【0005】
そこで、本開示の目的は、灯具ユニットのヒートシンクの冷却性能を向上させつつ、ヒートシンクのサイズを抑制し、灯具ユニット全体を小型化できる灯具ユニット、および、該灯具ユニットを備えた車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の灯具ユニットは、複数の発光素子を搭載した光源ユニットと、光源ユニットを支持するヒートシンクと、ヒートシンクに送風してヒートシンクの熱を放散するファンと、を備え、ヒートシンクは、光源ユニットを裏面に載置するベース部と、ベース部の表面に形成された複数のフィンと、を備え、フィンが、互いに略平行に形成された複数の第一フィンと、第一フィンと非平行に形成された第二フィンと、を含むことを特徴とする。
【0007】
このとき、第一フィンをベース部の対角線に沿って形成したり、第一フィンを光源ユニットにおける光源の配列方向と非並行に形成したり、第一フィンが周囲よりもフィンの高さが低い切欠部を含むように形成することが好ましい。
【0008】
また、本開示の車両用灯具は、上記灯具ユニットを搭載する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の灯具ユニットおよび車両用灯具によれば、第一フィンと非平行に形成された第二フィンによって、ヒートシンクに入らない気流、または、ヒートシンクから漏出した気流を、ヒートシンク内側の熱源に向けて送ることができる。このため、ヒートシンクのサイズを抑制しつつ、ヒートシンクの冷却性能を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態を示す車両用灯具の断面模式図である。
【
図2】(a)従来のヒートシンクを示す模式図、(b)第二フィンを形成した構成の要部拡大図である。
【
図3】(a)第一フィンを対角線に沿って形成した構成、(b)第一フィンを光源の配列と直行するように形成した構成を示す模式図である。
【
図4】(a)従来のヒートシンク、(b)第一フィンに切欠部を形成した構成を示す模式図である。
【
図5】切欠部のバリエーションを示す模式図である。
【
図6】ヒートシンクの最良の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示を車両用前照灯に具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、
図2~4,6は、車両用灯具51の背面側から観察した場合のヒートシンク2の模式図を示す。
【0012】
図1に示す車両用灯具51は、車体に取り付けられる灯具ボディ52と、透明樹脂材料からなる透光カバー53を備え、灯具ボディ52と透光カバー53の両者の内側に形成された灯室54に、灯具ユニット1を備えている。
【0013】
灯具ユニット1は、複数の発光素子(LED31)を搭載した光源ユニット3と、光源ユニット3を支持するヒートシンク2と、ヒートシンク2に送風してヒートシンク2の熱を放散するファン4と、LED31の光を車両外部に投影する投影レンズ5を備える。
【0014】
ヒートシンク2は、熱伝導率の良い金属材により一体成形され、光源ユニット3を裏面23b(
図5(a)参照)に載置するベース部23と、ベース部23の表面23aに形成された複数のフィンである第一フィン21および第二フィン22を備える。また、ヒートシンク2は、光源ユニット3のうち、特に、直列に配列されたLED31から生じた熱(熱源H)を冷却する。フィン21は、ベース部23の表面23aを基端として灯具背面側に向けて突出するように形成されている。ファン4は、ヒートシンク2よりも灯具背面側であって、フィン21と対向する位置に配置されている。
【0015】
図2(a)に示すように、従来のヒートシンク2では、ファン4からの気流Sが第一フィン21に当たり、熱源Hに向かう気流S1と、ヒートシンク2の内部から外部に向かう気流S2が生じる。また、ヒートシンク2に流入しない気流S3もある。このように、従来のヒートシンク2では、熱源Hに向かわない気流S2,S3が生じていた。
【0016】
図2(b)に示すように、第一フィン21と非平行な第二フィン22を配置することにより、気流S2,S3を防止でき、ヒートシンク2を効率的に冷却できる。
【0017】
このとき、気流S2,S3を第一フィン21により効率的に流入させるため、第二フィン22は、第一フィン21に対して15~45度程度に傾斜していることが好ましい。また、第二フィン22の端部22aは、最も外側の第一フィン21の端部21bと当接するように配置されていても良い。その他、第一フィン21の長さを調整し、第一フィン21と第二フィン22との間隔Dを、第二フィン22の端部22aに近づくにつれて徐々に狭まるように設け、より効率的に気流S2,S3を第一フィンに流入させるように構成することも可能である。
【0018】
図3(a)の例では、第一フィン21を、略矩形状のベース部23の対角線23dに沿って形成している。このように第一フィン21を形成することにより、第一フィン21の長さLを拡張するとともに第一フィン21の本数を増やすことができるため、第一フィン21の総面積を増加させて、ヒートシンク2の冷却効率を向上させることができる。なお、この例では、第一フィン21を対角線23dに沿って形成しているが、その他、辺23cと非平行となるように所定の角度に傾斜させて設けても良い。このように設けた場合でも、辺23cと平行に設けた場合と比べて、第一フィン21の総面積を増加させることが可能である。
【0019】
図3(b)の例では、第一フィン21をLED31の配列方向と非平行に形成している。特に、第一フィン21をLED31の配列方向と直行するように形成することが好ましい。第一フィン21をこのように形成することによって、多数の第一フィン21(ハッチングを付した第一フィン21)を熱源Hと交わるように配置でき、より効率的に熱源Hを冷却することができる。
【0020】
図4(a)に示すように、従来のヒートシンク2では、第一フィン21と直行する向きの気流S4は、第一フィン21によって遮られ、冷却に用いることができなかった。
【0021】
図4(b)の例では、第一フィン21に、ファン4の気流Sに沿って、周囲よりもフィンの高さが低い切欠部21aを形成している。第一フィン21に、ファン4の気流Sに沿う切欠部21aを形成することにより、切欠部21aを介して気流S4が通ることができるため、ヒートシンク2の冷却効率を向上させることができる。切欠部21aは、適宜、コの字形状(
図5(a))、U字形状(
図5(b))、V字形状(
図5(c))、スリット状(
図5(d))に形成することが可能である。
【0022】
図6に、ヒートシンク2の好ましい構成を例示する。
図6の例では、第二フィン22(221~224)の全てを四方に配置しているが、例えば、第二フィン221~224のいずれか一つ、第二フィン221~224のいずれか二つ、または、第二フィン221~224のいずれか三つを配置することとしてもよい。また、第二フィン22の数や傾き状態は、ファン4からの風の向きに合わせて調整できる。
【0023】
図6(a)の例では、第一フィン21を対角線23dに沿って形成し、第二フィン221~224を第一フィン21を囲む外周領域Aに配置している。ここで、外周領域Aとは、ベース部23の表面23aであって、第一フィン21を配置した範囲の外周部を示す。このように第一フィン21および第二フィン22を設けることで、第一フィン21の総面積を増加させつつ熱源Hにファン4の風を導くため、より効率的に熱源Hを冷却することが可能となる。また、第一フィン21がLED31の配列方向に対して非平行に設けられるため、熱源Hにより多数の第一フィン21を配置できるという効果も有する。
【0024】
図6(b)の例では、第一フィン21をLED31の配列方向と直行する向きに形成し、第二フィン221~224を外周領域Aに配置している。このように第一フィン21および第二フィン22を設けることで、多数の第一フィン21を熱源Hと交わるように配置して冷却効率を上げつつ、熱源Hにファン4の風を導くため、より効率的に熱源Hを冷却することができる。
【0025】
図6(c)の例では、第一フィン21に、ファン4の気流Sに沿う切欠部21aを形成し、第二フィン221~224を外周領域Aに配置している。このように第一フィン21および第二フィン22を設けることで、第一フィン21に遮られることなく、ファン4からの風をスムーズに熱源Hに導き、より効率的に熱源Hを冷却することが可能となる。
【0026】
したがって、この実施形態の灯具ユニット1、車両用灯具51によれば、第一フィン21の向きを調整したり、第一フィン21に切欠部21aを設けたりし、また、第一フィン21にファン4からの風を導く第二フィン22を設けたため、ファン4からの風を効率的に熱源Hに導き、ヒートシンク2自体のサイズを大きくすることなく、光源ユニット3の熱を放散できる。
【0027】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各部の形状や構成を適宜に変更して実施することも可能である。例えば、光源ユニット3に、複数の発光素子を搭載する代わりに単数の発光素子を搭載したり、光源ユニット3に、細長く形成された単数の発光素子を搭載し、該発光素子に対して第一フィン21を非平行に形成したりすることも可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 灯具ユニット
2 ヒートシンク
3 光源ユニット
4 ファン
5 投影レンズ
21 第一フィン(a:切り欠き、b:端部)
22 第二フィン(a:端部)
23 ベース部(a:表面、b:裏面、c:辺、d:対角線)
31 LED
51 車両用灯具
52 灯具ボディ
53 透光カバー
54 灯室
L 長さ
A 外周領域
H 熱源
S 気流