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特開2023-25809シート加工装置及びそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025809
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】シート加工装置及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 45/30 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
B65H45/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131173
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】595165047
【氏名又は名称】株式会社セーコウ
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章
(74)【代理人】
【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(72)【発明者】
【氏名】星野 祥範
【テーマコード(参考)】
3F108
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC01
(57)【要約】
【課題】コンパクトかつ簡単な構成で、シートに折り筋を高精度に加工する。
【解決手段】シート加工装置1は、筋付けローラー21外周面から突出する筋付け刃22でシート載置面11上のシートを筋付け溝22内に押圧移動して折り筋を加工する。移動レール部材32は、上下位置の第1、第2移動円弧状面39,40とそれらに近接対向する固定レール部材31の第1、第2固定円弧状面35,36との間で複数の球体43,44が摺動することにより、固定レール部材に支持案内され、下端に筋付けローラーを軸支するローラー支持アーム24と一体にシート幅方向に往復移動する。ローラー支持アームは、筋付け溝の延長方向に直交する断面において、第1移動円弧状面と第1固定円弧状面とが、及び第2移動円弧状面と第2固定円弧状面とがそれぞれ球体を挟んで僅かに偏倚することによって、シート搬送方向に揺動する。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの載置面に設けられた直線状の凹溝と、
外周面から半径方向に突出する突条を有する加工ローラーと、
一端で前記加工ローラーを軸支し、前記一端から他端へ前記加工ローラーの中心軸に直交するアーム延出方向に延出するローラー支持アームと、
固定レールと、前記ローラー支持アームにその前記他端側で一体に結合された移動レールとからなる案内機構と、を備え、
前記案内機構は、
前記凹溝の延長方向に直交する断面において、前記アーム延出方向に沿って前記一端から遠い遠位位置及び前記遠位位置よりも前記一端に近い近位位置に、前記固定レールが、それぞれ前記凹溝の延長方向に沿って延在する半筒状の第1固定案内部及び第2固定案内部を有し、かつ、前記移動レールが、それぞれ前記凹溝の延長方向に沿って延在する半筒状の第1移動案内部及び第2移動案内部を有し、
前記第1固定案内部と前記第1移動案内部とが互いに対向配置されて、それらの間に前記凹溝の延長方向に沿って延在する筒状の第1案内通路を画成し、前記第2固定案内部と前記第2移動案内部とが互いに対向配置されて、それらの間に前記凹溝の延長方向に沿って延在する筒状の第2案内通路を画成し、
前記第1案内通路の前記第1固定案内部と前記第1移動案内部間で、及び前記第2案内通路の前記第2固定案内部と前記第2移動案内部間で、それぞれ複数の球体が摺動自在に保持されることによって、前記移動レールが前記固定レールに支持されかつ案内されて、前記加工ローラーの前記突条を前記半径方向に前記凹溝に嵌入させつつ、前記凹溝に沿って前記ローラー支持アームと一体に移動可能である、シート加工装置。
【請求項2】
前記ローラー支持アームを前記凹溝に沿って移動させる駆動力を供給する駆動部を更に備える、請求項1に記載のシート加工装置。
【請求項3】
前記第1固定案内部、前記第2固定案内部、前記第1移動案内部及び前記第2移動案内部がそれぞれ略円筒状であり、前記第1案内通路及び前記第2案内通路がそれぞれ略円筒状である、請求項1又は2に記載のシート加工装置。
【請求項4】
前記加工ローラーの前記突条が、前記加工ローラーの外周全周に亘って連続する筋付け刃である、請求項1乃至3のいずれかに記載のシート加工装置。
【請求項5】
前記凹溝が矩形断面を有し、前記筋付け刃の少なくとも前記凹溝に突入する部分が、前記凹溝よりも狭幅の矩形断面を有する、請求項4に記載のシート加工装置。
【請求項6】
前記加工ローラーの前記突条が、前記加工ローラーの外周全周に亘って所定の間隔で連続する複数の突起からなる、請求項1乃至3のいずれかに記載のシート加工装置。
【請求項7】
前記案内機構は、前記第1案内通路及び前記第2案内通路内で、その延長方向に沿って前記複数の球体を所定の間隔で回転自在に保持するボールリテーナーを更に有する、請求項1乃至6のいずれかに記載のシート加工装置。
【請求項8】
前記載置面にシートを搬送し、所定の位置で停止させた状態で保持するシート搬送ローラーを更に備える、請求項1乃至7のいずれかに記載のシート加工装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のシート加工装置を備えることを特徴とするシート処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載のシート加工装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙及び他のシート材に筋付け加工をするためのシート加工装置及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つ折り又は3つ折りのグリーティングカードや挨拶状、往復はがき等のシートに、折り目に沿って折り筋を加工する筋付け(筋入れ)加工が広く行われている。最近では、フォトプリンター等の比較的小型の印刷機においても、印刷した用紙に折り筋を加工することが要望されている。
【0003】
筋付け加工装置は、筋付け方向に延びる直線状の凹溝を上面に形成した下側の部材と、それに対向して下面に直線状の凸部を形成した上側の部材との間に用紙を挟み込み、凸部により用紙を凹溝内に押し込んで筋付けをするラインプレス式のものが広く使用されている(例えば、特許文献1を参照)。また、筋付け加工装置として、外周面全周に亘って凸条を形成した筋付けローラーが、用紙を押圧しながら回転することによって筋付けをするロータリー式も多く使用されている。
【0004】
ロータリー式の筋付け加工装置として、例えば、上記筋付けローラーである上ローラーと外周面全周に亘って凹溝を形成した下ローラーとを対向して配置し、両ローラーが凸条を凹溝に係合させながら回転することによって、それらの間を通る用紙に折り筋を形成するものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。更に、筋付け方向に延びる直線状の凹溝を有するレール状の受台に沿って、上記筋付けローラーが、その外周面全周に亘って形成した凸条を凹溝に噛み合わせつつ、回転しながら移動することによって、受台上の用紙に筋付けをする筋付け加工装置も知られている(例えば、特許文献3を参照)。
【0005】
筋付け加工の加工精度は、或る側面において、加工された折り筋の、目標の折り筋加工位置からのずれ量並びにそのばらつきと、直線性とによって評価することができる。例えば非特許文献1には、「新方式」の紙折り機において、折り処理の折り精度即ち目標の折り位置からのずれ量のばらつきが0.5mm以下であるという高精度を実現できたことが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-251775号公報
【特許文献2】特開2017-114572号公報
【特許文献3】特開2014-24635号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】古橋朋裕外,"挟持反転折りおよびスパイラル増し折り技術の開発",リコーテクニカルレポートNo.43,2018年2月,p.63-72
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したラインプレス式の従来装置は、或る程度大きな加圧力を必要とするだけでなく、特許文献1にも記載されるように、用紙に印加される荷重が、その幅方向の全長に亘って均一でなければならない。そのため、加圧機構及び装置全体が大型かつ複雑になりがちで、大きな設置スペースを必要とし、高価格、高コストになるという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載されるように、上下ローラー間に用紙を挟み込む方式では、両方のローラーが回転移動するので、折り筋を所望の筋付け位置に正確に加工することが困難であり、加工された折り筋の直線がぶれてしまう虞がある。
【0010】
特許文献3に記載の従来装置では、固定された受台の上に用紙が置かれるので、その用紙送り方向の位置精度を確保できる点において有利である。しかしながら、受台上を走行中の筋付けローラーの凸条が、筋付け方向に沿って凹溝の中心(即ち、凹溝の幅方向の中心位置)からずれると、凹溝に押し込まれた用紙は、そのずれた側の入口角部に接する部分が強く折り曲げられて伸びや割れを生じ、その部分に施された印刷にダメージを与える虞がある。
【0011】
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、コンパクトかつ簡単な構成により、シートに折り筋を高精度に加工できるシート加工装置を提供することにある。
【0012】
更に本発明の目的は、かかるシート加工装置を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のシート加工装置は、上記目的を達成するために、
シートの載置面に設けられた直線状の凹溝と、
外周面から半径方向に突出する突条を有する加工ローラーと、
一端で前記加工ローラーを軸支し、前記一端から他端へ前記加工ローラーの中心軸に直交するアーム延出方向に延出するローラー支持アームと、
固定レールと、前記ローラー支持アームにその前記他端側で一体に結合された移動レールとからなる案内機構と、を備え、
前記案内機構は、
前記凹溝の延長方向に直交する断面において、前記アーム延出方向に沿って前記一端から遠い遠位位置及び前記遠位位置よりも前記一端に近い近位位置に、前記固定レールが、それぞれ前記凹溝の延長方向に沿って延在する半筒状の第1固定案内部及び第2固定案内部を有し、かつ、前記移動レールが、それぞれ前記凹溝の延長方向に沿って延在する半筒状の第1移動案内部及び第2移動案内部を有し、
前記第1固定案内部と前記第1移動案内部とが互いに対向配置されて、それらの間に前記凹溝の延長方向に沿って延在する筒状の第1案内通路を画成し、前記第2固定案内部と前記第2移動案内部とが互いに対向配置されて、それらの間に前記凹溝の延長方向に沿って延在する筒状の第2案内通路を画成し、
前記第1案内通路の前記第1固定案内部と前記第1移動案内部間で、及び前記第2案内通路の前記第2固定案内部と前記第2移動案内部間で、それぞれ複数の球体が摺動自在に保持されることによって、前記移動レールが前記固定レールに支持されかつ案内されて、前記加工ローラーの前記突条を前記半径方向に前記凹溝に嵌入させつつ、前記凹溝に沿って前記ローラー支持アームと一体に移動可能である、ことを特徴とする。
【0014】
本発明のシート加工装置によれば、移動レールを固定レールに支持されかつ案内されてスムーズに移動させるために、複数の球体と該球体が摺動する第1固定案内部と第1移動案内部との間及び第2固定案内部と第2移動案内部との間に予め設定されている寸法公差によって、凹溝の延長方向に直交する断面において、移動レールは、固定レールに対してアーム延出方向に沿う遠位位置及び近位位置でアーム延出方向に僅かに偏倚可能であり、それによってローラー支持アームは、突条が凹溝に嵌入した状態で揺動可能に設けることができる。従って、突条を凹溝内にその中心線上に整合するように調整し、折り筋を高精度に加工することができる。
【0015】
或る実施形態では、前記ローラー支持アームを前記凹溝に沿って移動させる駆動力を供給する駆動部を更に備える。
【0016】
別の実施形態では、前記第1固定案内部、前記第2固定案内部、前記第1移動案内部及び前記第2移動案内部がそれぞれ略円筒状であり、前記第1案内通路及び前記第2案内通路がそれぞれ略円筒状である。
【0017】
また、別の実施形態では、前記加工ローラーの前記突条が、前記加工ローラーの外周全周に亘って連続する筋付け刃である。
【0018】
或る実施形態では、前記凹溝が矩形断面を有し、前記筋付け刃の少なくとも前記凹溝に突入する部分が、前記凹溝よりも狭幅の矩形断面を有する。
【0019】
別の実施形態では、前記加工ローラーの前記突条が、前記加工ローラーの外周全周に亘って所定の間隔で連続する複数の突起からなる。
【0020】
別の実施形態では、前記案内機構は、前記第1案内通路及び前記第2案内通路内で、その延長方向に沿って前記複数の球体を所定の間隔で回転自在に保持するボールリテーナーを更に有する。
【0021】
或る実施形態では、前記載置面にシートを搬送し、所定の位置で停止させた状態で保持するシート搬送ローラーを更に備える。
【0022】
本発明の別の側面によれば、上述した本発明のシート加工装置を備えるシート処理装置が提供される。ここで、シート処理装置とは、画像形成装置に連結される後処理装置や製本装置等、シートの穿孔処理を行うあらゆるタイプのシート処理装置を含むものである。
【0023】
また、本発明の別の側面によれば、上述した本発明のシート加工装置を備える画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるシート加工装置の好適な実施形態の全体を示す斜視図。
図2図1のシート加工装置を背面側から示す斜視図。
図3図1のシート加工装置から正面側のケーシング部分を取り外して内部を示す斜視図。
図4図1のシート加工装置の平面図。
図5図1のシート加工装置の要部を示す正面図。
図6図4のVI-VI線におけるシート加工装置の断面図。
図7】(a)~(c)図はローラー支持アームのシート幅方向に直交する断面における揺動性を示す模式図。
図8】(a1)~(c1)図、(a2)~(c2)図はローラー支持アームのシート幅方向に沿う平面における揺動性を示す模式図。
図9】シート加工装置とプリンターとの配置を例示する平面図。
図10】(a)、(b)図は、筋付けローラーのシート幅方向に直交する断面方向の調心機能を説明する図。
図11】(a)、(b)図は、筋付けローラーのシート幅方向に沿う平面方向の調心機能を説明する図。
図12】(a)図は筋付けローラーで加工した折り筋に沿って2つ折りしたシートの側面図、(b)図及び(c)図は、筋付けローラーの加圧力を変えて加工した折り筋の位置精度を示す図。
図13】シート加工装置の別の実施形態を模式的に断面視した説明図。
図14】シート加工装置の更に別の実施形態を模式的に断面視した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明によるシート加工装置を、その好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。添付図面において、本明細書全体を通して類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
【0026】
図1及び図2は、本発明によるシート加工装置の好適な実施形態の構成全体を概略的に示している。本実施形態のシート加工装置1は、例えば複写機やプリンターである画像形成装置により画像形成された厚紙等のシートに折り筋を加工する筋付け加工装置として使用される。そのために、シート加工装置1は、既存の画像形成装置に外付けされ、又は画像形成装置やそれに接続されるシート処理装置に搭載して使用することができる。
【0027】
シート加工装置1は、図1に矢印Aで示すシート搬送方向から供給されるシートSに、シート搬送方向Aに直交する向きに直線状の折り筋を加工する。そのために、シート加工装置1は、全体として、筋付け加工されるシートSの幅よりも幾分幅広で、奥行きを高さよりも相当小さくした矩形箱型のケーシング2を有する。ケーシング2の正面パネル2aには、その下部に比較的狭い水平直線スリットからなるシート入口3aが開口している。図2に示すように、ケーシング2の背面パネル2bには、シート入口3aに対応する位置にシート出口3bが開設されている。
【0028】
後述するように、シート加工装置1は、シートをシート出口3bから供給してシート入口3aから送り出すように使用することもできる。また、シートをシート入口3a又はシート出口3bから供給し、筋付け加工後に同じシート入口3a又はシート出口3bから戻すこともできる。
【0029】
図3は、図1からケーシング2の正面パネル2a及び上部パネルを取り外したシート加工装置1の内部を概略的に示している。図4は、ケーシング2の上部パネルを取り外したシート加工装置1の内部を概略的に示す平面図である。これら図面に示すように、シート加工装置1の内部には、筋付け加工されるシートを配置するためのシート受け台4が下部に設けられている。シート受け台4の正面側(図中手前側)部分には、シート保持部5が配設されている。シート保持部5の図中奥側には、筋付け加工部6がシート受け台4の直ぐ上方に配置され、その直ぐ奥側に、筋付け加工部6のための案内機構7が設けられている。ケーシング2の正面左端には、駆動部8が設けられ、その奥側から案内機構7の上側に掛けて、駆動部8からの駆動力の伝達機構9が設けられている。
【0030】
図5は、図3のシート加工装置1からシート保持部5及び駆動部8を省略して示す正面図である。図6は、図4のシート加工装置1をVI-VI線方向に見た断面図である。シート受け台4は、ケーシング2の下部を構成するベース部2cの上に一体に固定され、その上にシートを載置するためのシート載置面11を有する。シート載置面11は、ケーシング2のシート入口3に対応する高さに水平に設けられ、シート加工装置1による筋付け加工が可能な最大シート幅に合わせて、それより行く部分大きい横幅を有する。シート載置面11の奥行き寸法は、シートが筋付け加工部6による筋付け加工の間、シート載置面11上に水平に保持されるのに十分かつ最小限のシート搬送方向長さに設定することが好ましい。
【0031】
シート保持部5は、シートをシート搬送方向に送り出す向きに回動自在に設けられた複数(本実施形態では、3つ)のシート押えローラー13からなる。3つのシート押えローラー13は、図4に示すように、それらの回転中心軸14が、シート搬送方向にシート載置面11の正面側端縁に近い位置で同じ高さに、シート幅方向に沿って所定の間隔で一列に配置されている。各シート押えローラー13の回転中心軸14は、その両端部14a,14bがシート押えローラー13の両端から突出し、その上部には、図6に示すように、それぞれ概ね垂直筒状の押圧部材15a,15bが配置されて、回転中心軸14を回動自在に保持している。
【0032】
押圧部材15a,15bには、それぞれ圧縮コイルばね16a,16bが外装され、その上端が、ケージング2の正面パネル2aに固定された断面L字形の取付部材16a,16bの下面に係合し、かつ下端が前記押圧部材の下部段差部分に係合し、前記押圧部材を介して回転中心軸14を垂直下向きに付勢している。これによって、各シート押えローラー13は、その外周面が常に一定の圧力でシート載置面11に圧接される。従って、シート入口3からシート載置面11上に搬送され、該シート載置面上の所定の位置で停止したシートは、シート押えローラー13の押圧力によって、前記所定の位置からシート搬送方向及びシート幅方向に移動しないようにシート載置面11上に保持される。
【0033】
筋付け加工部6は、図6に示すように、短円柱形状の筋付けローラー21からなり、その外周面には、正面側(図中右側)の端部に1本の筋付け刃22が全周に亘って形成されている。筋付け刃22は、後述するように断面矩形で、筋付けローラー21の半径方向外向きに所定の長さ突出する突条に形成されている。
【0034】
更に筋付け加工部6は、シート載置面11に凹設された筋付け溝23からなる。筋付け溝23は、図6に示す矩形断面を有し、シート幅方向に沿ってシート載置面11の全長に亘って直線状に延在する凹溝で形成されている。筋付け溝23の矩形断面は、後述するように、上方から筋付けローラー21の筋付け刃22を、余裕をもって突入させ得る寸法に形成されている。
【0035】
また、筋付け加工部6は、図5に示すように正面から見て、概ね横長矩形の上側部分とその中央下端から下向きに延出する略五角形の下側部分とを有する所定厚さの金属板材からなるローラー支持アーム24を備える。ローラー支持アーム24の最下端には、その板面に垂設された回転軸25によって、筋付けローラー21が回転自在に支持されている。ローラー支持アーム24は、図6に示すように、シート搬送方向にシート保持部5と小さな隙間をもってその背後に、その板面を垂直にかつシート幅方向と平行をなすように配置される。従って、筋付けローラー21は、シート搬送方向に垂直かつシート幅方向と平行な面内で回転する。
【0036】
ローラー支持アーム24の上部には、後述するように伝達機構9と係合するための係合部材26が一体に結合されている。係合部材26は、図6に示す断面L字形で、図5に示すようにシート幅方向に細長い部材で形成されている。ローラー支持アーム24は、その上端がシート搬送方向の下流側(図6中左側)に向けて直角に折曲されている。係合部材26は、前記断面L字形の一辺を構成する水平部分26aをシート搬送方向下流側に向けて、前記断面L字形の他辺を構成する垂直部分26bが、ローラー支持アーム24の垂直な上部正面24aに止めねじで固定されている。係合部材26の水平部分26aの下面には、シート幅方向の歯列からなるラック状の係合歯27が一体に形設されている。このとき、係合部材26の水平部分26a下面とローラー支持アーム24上端面との間には、上下に比較的狭く一定の隙間28が画定される。
【0037】
案内機構7は、ケーシング2側に固定される固定レール部材31と、該固定レール部材に関して移動自在な移動レール部材32とを備える。固定レール部材31は、図6に断面視するように、垂直な平板部と、その上下両端をそれぞれ正面側(図6中右側)即ちシート搬送方向の上流側へ折曲して設けられた上側の第1固定案内部33及び下側の第2固定案内部34とからなる概ねC字形の断面を有する。第1固定案内部33及び第2固定案内部34は、図5に示すように、シート幅方向にケーシング2の略全幅に亘って延在する。
【0038】
第1固定案内部33は、その正面側の先端を下向き凹状に湾曲させた第1固定円弧状面35を有する。第2固定案内部34は、正面側の先端を上向き凹状に湾曲させた第2固定円弧状面36を有する。固定レール部材31の前記垂直な平板部は、第1固定円弧状面35及び第2固定円弧状面36が、シート幅方向に互いに平行で水平に延在するように、ケージング2の背面パネル2bの内面に止めねじで固定されている。本実施形態では、第1固定案内部33と第2固定案内部34とがシート搬送方向に同じ長さで、第1固定円弧状面35と第2固定円弧状面36とが、シート搬送方向に同じ位置で上下垂直に対向するように配置されている。
【0039】
移動レール部材32は、図6に断面視するように、垂直な平板部と、その上下両端を奥側(図6中左側)即ちシート搬送方向の下流側へ折曲して設けられた上側の第1移動案内部37及び下側の第2移動案内部38とからなる概ねコ字形の断面を有する。図3に示すように、移動レール部材32は、シート幅方向に固定レール部材31よりも大幅に短く、ローラー支持アーム23の前記上側部分と略同じ長さを有する。
【0040】
第1移動案内部37は、その先端を上向き凹状に湾曲させた第1移動円弧状面39を有する。第2移動案内部38は、その先端を下向き凹状に湾曲させた第2移動円弧状面40を有する。移動レール部材32の前記垂直な平板部は、第1移動円弧状面39及び第2移動円弧状面40が、シート幅方向に互いに平行で水平に延在するように、ローラー支持アーム23の前記上側部分の背面に止めねじで固定されている。本実施形態では、第1移動案内部37と第2移動案内部38とがシート搬送方向に同じ長さで、第1移動円弧状面39と第2移動円弧状面40とが、シート搬送方向に同じ位置で上下垂直逆向きに対向するように配置されている。
【0041】
移動レール部材32は、図6に示すように、第1移動案内部37と第2移動案内部38とを固定レール部材31の断面C字形の内側に、第1移動円弧状面39が対応する第1固定円弧状面35と上下に近接対向し、かつ第2移動円弧状面40が対応する第2固定円弧状面36と上下に近接対向するように配置される。これにより、第1移動円弧状面39と第1固定円弧状面35との間、及び第2移動円弧状面40と第2固定円弧状面36との間には、それぞれシート幅方向に沿って断面一定の略円筒状の第1案内通路41及び第2案内通路42が画成される。
【0042】
第1案内通路41及び第2案内通路42内には、それぞれその軸線方向に沿って複数の同一寸法の球体43、44が一列に配置される。球体43は、第1案内通路41内において、第1移動円弧状面39及び第1固定円弧状面35に摺接しながら移動、即ち摺動又は転動する寸法に設定される。球体44は、第2案内通路42内において、第2移動円弧状面40及び第2固定円弧状面36に摺接しながら移動、即ち摺動又は転動する寸法に設定される。これによって、移動レール部材32は、球体43、44を介して固定レール部材31に支持され、かつ案内されてシート幅方向に往復移動させることができる。
【0043】
球体43、44は、第1移動円弧状面39と第1固定円弧状面35との間、及び第2移動円弧状面40と第2固定円弧状面36との間で、移動レール部材32及び筋付け加工部6の重量に加えて、ローラー支持アーム23を介して筋付けローラー21が筋付け加工する際の加圧力を受ける。しかも、これらの荷重は、筋付け加工の際に移動レール部材32が往復移動することによって、繰り返し荷重として作用するから、球体43、44には、前記繰り返し荷重に対する耐摩耗性、耐荷重性等の耐久性も要求される。
【0044】
従って、球体43、44としては、例えば家具の引き出しのスライドレールに一般的に使用されている鋼球(炭素鋼球やクローム鋼球等)が、入手し易さ及び価格等の点から好ましい。しかしながら、球体43、44の材料は、これに限定されるものではなく、例えば、筋付け加工されるシートの材質や寸法、性状等によって、セラミック材料、ガラス材料、合成樹脂材料や、それらに表面処理したものであっても良い。
【0045】
移動レール部材32を固定レール部材31に沿って移動させたとき、その移動に伴って球体43、44も、第1案内通路41及び第2案内通路42内を移動する。そのため、第1及び第2案内通路41、42の両端が開放されていると、球体43、44は、前記第1及び第2通路から転がり落ちてしまう虞がある。そこで、案内機構7は、移動レール部材32が移動しても、球体43、44を第1案内通路41及び第2案内通路42内に保持するためのボール保持部材(図示せず)を更に備えることが好ましい。
【0046】
前記球体保持部材は、例えば図6に想像線Rで示すように、固定レール部材31と移動レール部材32との間に挿入される。具体的には、対向する第1移動円弧状面39と第1固定円弧状面35との間、及び第2移動円弧状面40と第2固定円弧状面36との間にそれぞれ配置されて、シート幅方向に概ね水平に延在する上側及び下側帯状片と、それら帯状片のシート搬送方向下流側(図6中左側)の端部を上下に連結する垂直な平板部とからなる略コ字形の断面を有する。
【0047】
前記上側及び下側帯状片には、その長手方向即ちシート幅方向に沿って所定の間隔で複数の球体保持孔(図示せず)が形設されている。球体43、44は、それぞれ1個ずつ対応する前記球体保持孔に回転自在に保持される。前記球体保持孔の直径を球体43、44の直径より僅かに小さくし、前記上側帯状片は前記球体保持孔に上から球体43を載せるように、前記下側帯状片は前記球体保持孔を球体44に上から被せるように配置することによって、前記球体保持部材は、固定レール部材31と移動レール部材32との間で球体43、44によって浮いた状態に保持される。
【0048】
固定レール部材31及び移動レール部材32は、例えば適当な厚さの金属板材を板金加工することによって、又は切削加工等の機械加工によって、上述した形態に形成することができる。前記球体保持部材は、シート幅方向に細長い帯状の金属板材を板金加工することによって、上述した形態に容易に形成することができる。また、前記球体保持部材は、合成樹脂材料で上述した形態に一体成形することもできる。
【0049】
別の実施形態において、固定レール部材31は、第1固定円弧状面35と第2固定円弧状面36とをシート搬送方向にずれた位置に、即ち図6で上下垂直に対向しない位置に配置することができる。この場合、移動レール部材32も、第1移動円弧状面39と第2移動円弧状面40とを、それぞれ第1固定円弧状面35及び第2固定円弧状面36に対向するようにシート搬送方向にずれた位置に移動させる。これは、第1固定案内部33及び第2固定案内部34、及びそれに対応して第1移動案内部37及び第2移動案内部38を異なるシート搬送方向長さに設定することによって、容易に可能である。
【0050】
このとき、図6の断面上、固定レール部材31及び/又は移動レール部材32の前記垂直な平板部を適当な高さ位置で、そのままではシート搬送方向長さが大きくなる第1固定案内部33又は第2固定案内部34の側にクランク状に折曲させることによって、それらのシート搬送方向長さの差を小さくすることができる。移動レール部材32をクランク状に折曲させる場合、その断面形状に合わせて、ローラー支持アーム23もクランク状に折曲させることができる。
【0051】
駆動部8は、図3に示すように、筋付けローラー21の駆動源として電動モーター51を備える。電動モーター51は、図示しない制御部によって正逆回転可能に駆動制御される。前記制御部は、シート加工装置1がスタンドアローン型の場合、該シート加工装置に内蔵される。シート加工装置1がプリンター等の外部装置に接続して使用される場合、電動モーター51は、前記外部装置の制御部に同期して駆動制御することができる。また、シート加工装置1が画像形成装置に内蔵される場合、電動モーター51の駆動は、前記画像形成装置の制御部によって制御される。
【0052】
更に駆動部8は、図4に示すように、電動モーター51の出力回転軸に接続された減速歯車機構52を備える。減速歯車機構52は、ケーシング2と電動モーター51との間に配置された複数の歯車を有する従来公知の構造からなり、電動モーター51の回転駆動力を減速して伝達機構9に伝達する。
【0053】
伝達機構9は、図4及び図5に示すように、1対の歯付プーリー53,54と、それらの間に巻き掛けられた歯付ベルト55とからなるベルト伝動装置である。歯付プーリー53,54は、ケーシング2内のシート幅方向両端付近に、案内機構7の固定レール部材31のやや上方位置に配設されている。一方即ち図4中左側の歯付プーリー53は、駆動プーリーであって、減速歯車機構52の出力軸52aと同軸で一体に回転可能に装着され、他方の歯付プーリー54は、従動プーリーである。
【0054】
歯付ベルト55は、図6に示すように、その下側走行部分26aが、ローラー支持アーム24上端面と係合部材26の水平部分26a下面との隙間28を通過し、その歯が係合部材26の係合歯27に歯合するように装着される。このとき、隙間28の上下寸法が小さく、しかも歯付ベルト55の下側走行部分26aを隙間28内で垂れ下がることなく概ね水平に保持するのに十分なシート幅方向長さをローラー支持アーム24の前記上部が有することによって、歯付ベルト55の歯を常に係合歯27に確実に歯合させることができる。
【0055】
使用時には、前記制御部によって電動モーター51を回転駆動し、減速歯車機構52により減速して、電動モーター51の回転トルクよりも高いトルクで駆動側の歯付プーリー53を回転させ、その回転方向に対応する向きに歯付ベルト55を移動させる。これにより、ローラー支持アーム24が案内機構7に案内されてシート幅方向に移動し、筋付けローラー21は、図6に示すように筋付け刃22を筋付け溝23内に部分的に突入させた状態で、該筋付け溝に沿って走行する。このように筋付けローラー21を走行させることによって、シート載置面11上に載置されたシートに折り筋が加工される。
【0056】
案内機構7は、移動レール部材32を固定レール部材31に沿ってスムーズに、不要なガタつきや振動を生じることなく移動させるために、互いに摺接する第1,第2固定円弧状面35,36と球体43,44との間、及び球体43,44と第1,第2移動円弧状面39,40との間に、それぞれ予め僅かな寸法差(公差)が設定されている。この案内機構7に設定された公差によって、移動レール部材32は、固定レール部材31に対して図6の断面においてシート搬送方向に、かつ図4の平面においてシート幅方向に僅かな振れ性を有する。移動レール部材32の前記振れ性は、ローラー支持アーム24に同様の僅かな振れ性を発揮させる。
【0057】
図7(a)~(c)は、図6と同様のシート幅方向に直交する断面内において、ローラー支持アーム24のシート搬送方向に沿う前記振れ性を模式的に示している。同図は、理解を容易にするために縮尺を誇大に表わしている。
【0058】
図7(a)は、上下双方の球体43,44が、それぞれ第1固定円弧状面35並びに第1移動円弧状面39のシート搬送方向中心位置、及び第2固定円弧状面36並びに第2移動円弧状面40のシート搬送方向中心位置にある標準状態を示している。この状態において、移動レール部材32の前記平板部及びローラー支持アーム24は垂直になるので、その下端に垂設された筋付けローラー21の筋付け刃22は、その回転面即ち筋付け刃22の円形を含む平面が、同様に垂直に配向される。
【0059】
図7(b)は、案内機構7について設定された前記公差によって、上側の第1移動円弧状面39が球体43を挟んで第1固定円弧状面35に対してシート搬送方向下流側(図中左側)に最大限偏倚し、かつ下側の第2移動円弧状面40が球体44を挟んで第2固定円弧状面36に対してシート搬送方向上流側(図中右側)に最大限偏倚した状態を示している。このとき、ローラー支持アーム24は、第1移動案内部37と第2移動案内部38との概ね中間位置である点C1を中心に図中反時計周りに揺動し、筋付けローラー21及び筋付け刃22は、シート搬送方向上流側に最も大きく振れた位置にある。
【0060】
図7(c)は逆に、案内機構7の前記公差によって、上側の第1移動円弧状面39が球体43を挟んで第1固定円弧状面35に対してシート搬送方向上流側(図中右側)に最大限偏倚し、かつ下側の第2移動円弧状面40が球体44を挟んで第2固定円弧状面36に対してシート搬送方向下流側(図中左側)に最大限偏倚した状態を示している。このとき、ローラー支持アーム24は、同じく点C1を中心に図中時計周りに揺動し、筋付けローラー21及び筋付け刃22は、シート搬送方向下流側に最も大きく振れた位置にある。
【0061】
図7(b)及び(c)において、筋付け刃22の最下端22aの、図7(a)の標準状態からの振れ幅をα1、α2とすると、その最大振れ幅αはα1+α2となる。この最大振れ幅αは、案内機構7の前記公差と、ローラー支持アーム24の垂直方向の寸法、特に揺動中心の点C1から筋付け刃最下端22aまでの長さとによって決定される。最大振れ幅αが、筋付け溝23の溝幅と筋付け刃22の刃幅(シート搬送方向寸法)との寸法差ΔWを超えていると、筋付け刃22が筋付け溝23内で揺動してその内壁面を損傷する虞がある。従って、最大振れ幅αは、前記寸法差ΔWの範囲内にあるように設定することが好ましい。
【0062】
図8(a)~(c)は、図4と同様のシート幅方向に沿う平面内において、ローラー支持アーム24のシート幅方向に沿う前記振れ性を模式的に示している。同様に同図は、理解を容易にするために縮尺を誇大に表わしている。
【0063】
図8(a1)は、上下双方の球体43,44が、それぞれ第1固定円弧状面35並びに第1移動円弧状面39、及び第2固定円弧状面36並びに第2移動円弧状面40に摺接しつつ、第1(及び第2)移動案内部37(38)のシート幅方向に沿う中心線37a(38a)が第1(及び第2)固定案内部33(34)の中心線33a(34a)と、平面視して一致するか平行をなす標準状態を示している。この状態において、ローラー支持アーム24は、その板面がシート幅方向と平行になるので、筋付けローラー21の筋付け刃22は、図8(a2)に示すように、その回転面が同様にシート幅方向に沿うように配向される。
【0064】
図8(b1)は、案内機構7の前記公差によって、第1(及び第2)移動案内部37(38)の図中上端であるシート幅方向の一端が、シート搬送方向下流側(図中左側)に最大限偏倚し、かつ図中下端であるシート幅方向の他端が、シート搬送方向上流側(図中右側)に最大限偏倚した状態を示している。このとき、ローラー支持アーム24は、第1(及び第2)移動案内部37(38)のシート幅方向両端の概ね中間位置である点C2を中心に図中反時計周りに揺動し、筋付けローラー21及び筋付け刃22は、図8(b2)に示すように、図8(a2)の標準状態からシート搬送方向上流側に最も大きく振れた位置にある。
【0065】
図8(c1)は逆に、案内機構7の前記公差によって、第1(及び第2)移動案内部37(38)の図中上端であるシート幅方向の一端が、シート搬送方向上流側(図中右側)に最大限偏倚し、かつ図中下端であるシート幅方向の他端が、シート搬送方向下流側(図中左側)に最大限偏倚した状態を示している。このとき、ローラー支持アーム24は、同様に点C2を中心に図中時計周りに揺動し、筋付けローラー21及び筋付け刃22は、図8(c2)に示すように、図8(a2)の標準状態からシート搬送方向下流側に最も大きく振れた位置にある。
【0066】
図8(b2)及び(c2)において、筋付け刃22のシート幅方向の端部(図中下側)
の、図8(a2)の標準状態からの振れ幅をβ1、β2とすると、その最大振れ幅βはβ1+β2となる。この最大振れ幅βは、案内機構7の前記公差、特に移動レール部材32のシート幅方向寸法と、筋付けローラー21の直径とによって決定される。最大振れ幅βが、筋付け溝23の溝幅と筋付け刃22の刃幅(シート搬送方向寸法)との寸法差ΔWを超えると、同様に筋付け刃22が筋付け溝23内で揺動してその内壁面を損傷する虞がある。従って、最大振れ幅βは、前記寸法差ΔWの範囲内にあるように設定することが好ましい。
【0067】
図9は、シート加工装置1を既存のプリンターPに外付けで接続する場合の配置を模式的に例示している。図示する実施形態において、シート加工装置1は、その背面側をプリンターPの排紙側に向け、シート出口3bをプリンターPの排紙口に整合させて配置される。プリンターPから送り出されたシートSは、シート出口3bからシート加工装置1内に入り、その先端側がシート加工装置1のシート入口3aを通過して、図示する所定の筋付け加工位置まで送り込まれる。シートSが十分な剛性を有する厚紙の場合、プリンターPの排紙機構(排紙ローラー等)の搬送力によってシート押さえローラー13を通過し、前記筋付け加工位置でシート押さえローラー13によりシート載置面11上に押圧された状態で保持される。
【0068】
この状態で電動モーター51を駆動して、筋付けローラー21をシート幅方向に案内機構7の固定レール部材31に沿ってその一端から他端に向けて移動させる。筋付けローラー21が、筋付け刃22を筋付け溝23内に突入させ、シート載置面11上に載置されたシートSを横断して走行することによって、該シートSに折り筋が直線状に加工される。シートの厚さや硬さによって必要な場合には、更に電動モーター51を反転駆動して、筋付けローラー21を往復移動させることによって、シートSに折り筋をより確実により明確に加工することができる。
【0069】
本実施形態の筋付けローラー21は、シートへの折り筋加工時に筋付け刃22を自動的に筋付け溝23の中心線上に位置させる調心機能を備える。この調心機能は、筋付けローラー21を支持するローラー支持アーム24が、上述したように固定レール部材31に対してシート搬送方向及びシート幅方向に沿う振れ性を備えることによって発揮される。以下に、図10を用いて説明する。
【0070】
図10(a)は、シート幅方向に直交する断面において、筋付けローラー21が図中手前側に走行を開始して、筋付け刃22がシート載置面11上のシートSに折り筋を加工し始めた時点で、筋付け刃22とシートSとの間に働く力を示している。図7に関連して上述したように、筋付け溝23の溝幅Wcは筋付け刃22の刃幅Wbより大きく、両者の間には、所定の寸法差ΔWが予め設定されている。
【0071】
基本的に、筋付け刃22は、そのシート幅方向に沿う中心線22aが筋付け溝23の中心線23aと一致した状態でシート幅方向に走行するように設けられる。しかしながら、実際の使用時には、何らかの理由で筋付け刃22の中心線22aが筋付け溝23の中心線23aと一致しないまま、筋付け刃22が筋付け溝23内を走行することが起こり得る。図10(a)は、筋付け刃22の中心線22aが、筋付け溝23の中心線23aに関してシート搬送方向の片側(図中左側)に僅かにずれた場合を例示している。
【0072】
シートSは、筋付け溝23のシート搬送方向直ぐ上流側でシート押えローラー13によりシート載置面11に押圧され、位置ずれしないように保持された状態で、筋付け溝23に対応するシート部分が筋付け溝23内に押し込まれている。シートSは、シート搬送方向に筋付け刃22の外周角部57a,57b間で、緩み又は弛みを生じることなく筋付け刃22の外周面に当接している。更にシートSは、筋付け刃22の外周角部57a,57b及び筋付け溝23の開口角部58a,58bが直角に形成されているので、これら角部で角を付けて折曲され、外周角部57aと開口角部58aとの間で及び外周角部57bと開口角部58bとの間でそれぞれ緩みなく張った状態に保持されている。
【0073】
このとき、一方(図中左側)の外周角部57aで、筋付け刃22からシートSに作用する力、即ち外周角部57aと開口角部58a間のシート部分が筋付け刃22から受ける力をFaとする。他方(図中右側)の外周角部57bで、筋付け刃22からシートSに作用する力、即ち外周角部57bと開口角部58b間のシート部分が筋付け刃22から力をFbとする。筋付け刃22には、これらの力Fa,Fbの反作用として、それらと同じ大きさの反力Ra,Rbが逆向きに、即ち外周角部57a,57bから開口角部58a,58bに向けてそれぞれ作用する。
【0074】
図10(a)において、シート搬送方向である水平方向をX(図中右向きを+)、X方向及びシート幅方向に直交する垂直方向をY(図中上向きを+)とすると、力Fa,FbのY方向成分Fay,Fbyは向きが同じで等しく、従って反力Ra,RbのY方向成分Ray,Rbyも向きが同じで等しい。この実施形態では、一方の外周角部57aと開口角部58aとを結ぶ直線は傾きが急峻であるのに対し、他方の外周角部57bと開口角部58bとを結ぶ直線は傾きが緩やかである。従って、反力Ra,RbのX方向成分Rax,Rbxは、向きが逆で、外周角部57bにおけるX方向成分Rbxが、外周角部57aにおけるX方向成分Rbxよりも大きい。
【0075】
そのため、筋付け刃22には、シートSからの反力が全体として+X方向に、その中心線22aの筋付け溝23の中心線23aからのずれを解消する向きに作用する。更に、外周角部57bにおけるシートSの折曲角度は、比較的緩やかであるから、シートSは外周角部57bにおいて滑り易い。その結果、筋付け刃22は、シートSを押圧する加圧力Dが大きく、それに対応してシートSからの反力が大きいと、外周角部57bでシートSが滑ることによって、筋付け溝23の中心線23aに向けて移動する。
【0076】
上述したように、筋付け刃22は、図6のシート幅方向に直交する断面内において、筋付け溝23の溝幅Wcの範囲内で揺動性を有するから、筋付け溝23の中心線23aに向けた移動は容易である。他方、筋付け刃22が筋付け溝23の溝幅Wcを超えた揺動性を有すると、シートSからの反力で筋付け刃22が大きく移動して、筋付け溝23の内側面に衝突し、そのスムーズな走行を妨げたり、筋付け溝23を損傷する虞があるので、好ましくない。
【0077】
筋付け刃22が、図10(b)に示すように、その中心線22aが筋付け溝23の中心線23aと一致する位置まで揺動すると、その外周角部57a,57bに作用するシートSからの反力Ra,RbのX方向成分Rax,Rbxは、互いに逆向きのまま、大きさが等しくなる。従って、筋付け刃22は、シート搬送方向の前記揺動が自然と停止し、筋付け溝23の中心位置に自動的に調心される。このとき、単なる可能性として、筋付け刃22が筋付け溝23の中心位置を越えて反対側まで揺動することが考えられるが、その大きさは比較的小さく、直ぐに筋付け溝23の中心線23aに収束すると予想されるので、実質的に問題は無い。
【0078】
図10では、シート搬送方向に揺動する筋付けローラー21及び筋付け刃22を調心させる場合について説明した。本発明の筋付けローラー21は、シート幅方向に沿う平面内においても、筋付け刃22の前記回転面をシート幅方向に沿うように、筋付け溝23の中心線23aと平行をなすように自動的に配向させる調心機能を発揮する。以下に、図11を用いて説明する。
【0079】
図11(a)は、シート幅方向に沿う平面において、図10(a)と同様に、筋付けローラー21が図中上から下に向けて走行を開始して、筋付け刃22がシート載置面11上のシートSに折り筋を加工し始めた時点で、筋付け刃22とシートSとの間に働く力を示している。同図において、符号Qのハッチングを付した矩形領域は、実質的にシートSを接触押圧している筋付け刃22の外周面部分を模式的に表している。符号59a,59bは、シートSに接する筋付け刃22の走行方向前側の左右外周角部であり、符号60a,60bは、走行方向後側の左右外周角部である。図11(a)は、筋付け刃22の中心線22aが、筋付け溝23の中心線23aに関して片側(図中反時計周り)に振れた場合を例示している。
【0080】
シートSは、図10の場合と同様に、筋付け溝23のシート搬送方向直ぐ上流側でシート押えローラー13によりシート載置面11に押圧保持された状態で、筋付け溝23内に押し込まれ、筋付け刃22の外周角部59a,59b,60a,60b及び筋付け溝23の開口角部58a,58bで角を付けて折曲され、隣接する前記外周角部と前記開口角部の間でそれぞれ緩みなく張った状態に保持されている。このとき、シートSが筋付け刃22から外周角部59a,59b,60a,60bで受ける力をFa1,Fa2,Fb1,Fb2とし、その反作用として筋付け刃22が外周角部59a,59b,60a,60bでシートSから受ける反力をRa1,Ra2,Rb1,Rb2とする。実際には、シートSと筋付け刃22との間には、外周角部59a,60a間の外周円弧部分及び外周角部59b,60b間の外周円弧部分でそれらの全長に亘って力が作用しているが、ここでは説明を分かり易くするために、それら外周円弧部分の両端に働く力のみを取り上げることにした。
【0081】
図11(a)において、図10と同様に、水平方向(シート搬送方向)をX(図中右向きを+)、図面奥から手前に向かう方向をYとし、シート幅方向である垂直方向をZ(図中下向きを+)とする。図11(a)は平面図であるから、同図に示した反力Ra1,Ra2,Rb1,Rb2の大きさは、それらのX方向成分Ra1x,Ra2x,Rb1x,Rb2xに等しい。また、力Fa1,Fa2,Fb1,Fb2及び反力Ra1,Ra2,Rb1,Rb2のY方向成分は、互いに平衡しているので、考慮しなくて良い。尚、前記力及び反力には、実際はそれぞれZ方向成分が含まれるはずである。しかし、筋付け溝23の中心線23aに関する筋付け刃22の中心線22aの振れが非常に小さく、従って前記力及び反力のZ方向成分は、実質的に筋付けローラー21の調心機能に影響し得ない程度に小さいと考えられるので、ここでは説明を省略することにした。
【0082】
この実施形態では、前記各外周角部から隣接する前記開口角部までの平面距離から判断して、外周角部60bから開口角部58bへの傾きが最も緩やかで、次に緩やかなのが外周角部59bから開口角部58bへの傾きであり、それよりも外周角部59aから開口角部58aへの傾きは急であり、外周角部60aから開口角部58aへの傾きが最も急である。これに対応して、前記各外周角部における前記反力のX方向成分の大きさは、Rb2x>Rb1x>Ra1x>Ra2xである。ここで、Rb2xとRb1xが同じ向きで、Ra1xとRa2xが同じ向きであり、Rb2x、Rb1xとRa1x、Ra2xとが互いに逆向きである。
【0083】
そのため、筋付け刃22には、シートSからの反力が全体として、図中時計周りのモーメントMを、中心線22aの筋付け溝23の中心線23aからの前記振れを解消する向きに作用させる。更に、シートSは、外周角部60b、59bにおいて、中心線22aを挟んで反対側の外周角部60a、59aにおける折曲角度よりも、その折曲角度が緩やかであるから、滑り易い。その結果、筋付け刃22は、シートSを押圧する加圧力Dが大きく、それに対応してシートSからの反力が或る程度大きいと、外周角部60b、59bでシートSが滑ることによって、その中心線22aを筋付け溝23の中心線23aに合わせるように時計周りに回転する。
【0084】
筋付け刃22が、図11(b)に示すように、その中心線22aが筋付け溝23の中心線23aと一致する位置まで揺動すると、中心線22aを挟んで外周角部60b、59bにおけるシートSからの前記反力のX方向成分Rb2x,Rb1xと、外周角部60a、59aにおけるシートSからの前記反力のX方向成分Ra1x,Ra2xとは、互いに逆向きのまま、大きさが等しくなる。従って、筋付け刃22は、シート幅方向の前記振れが自然と解消され、筋付け溝23の中心線23aに自動的に調心される。このとき、単なる可能性として、筋付け刃22が筋付け溝23の中心線23aを越えて反対側まで振れることも考えられるが、その大きさは非常に小さく、直ぐに筋付け溝23の中心線23a上に収束すると予想されるので、問題は無い。
【0085】
本実施形態のシート加工装置1によりシートに加工される折り筋の加工精度、特に目標の筋付け位置に関する位置精度、及び折り筋の直線性を検証する評価試験を行った。この評価試験では、A4サイズのシートサンプルを使用して、その長手方向中央位置を目標の筋付け位置として折り筋を加工した。
【0086】
図12(a)において、符号KはシートSSに加工された実際の折り筋を、符号KtはシートSSの長手方向中央位置である目標の折り筋加工位置を示している。同図に示すように、筋付け加工したシートSSを、折り筋Kの凹みを外側にして二つ折りにし、上側の表面部分FS及び下側の裏面部分RSの左右両辺の長さLf1,Lf2,Lr1,Lr2を測定した。ここで、表面部分FSと裏面部分RSとの間で、それらの前記左右各辺における長さの差ΔL1=Lf1-Lr1,ΔL2=Lf2-Lr2を先端ずれ量とする。前記先端ずれ量の半値ΔL1/2,ΔL2/2が、実際の折り筋Kの、目標の折り筋加工位置Ktからの位置ずれ量となる。
【0087】
実施例1では、厚紙である坪量200g/mのA4シートを、実施例2では、それより薄い坪量160g/mのA4シートを使用した。実施例1,2とも、検証したサンブル数は10である。実施例1について得られた折り筋の加工精度(折り精度)を図12(b)のグラフ上に、実施例2について得られた折り筋の加工精度(折り精度)を図12(c)のグラフ上にそれぞれ示す。
【0088】
図12(b)及び(c)において、縦軸は、実際の折り筋Kの目標の折り筋加工位置Ktに関するずれの大きさ(単位:mm)、及びその折り筋Kの長さ方向に沿うばらつきを示している。前記ばらつきは、表面部分FSの左右各辺の長さLf1,Lf2及び裏面部分RSの左右各辺の長さLr1,Lr2を測定し、それら測定値から表面部分FSの左右辺間における長さの差、即ち先端ずれ量ΔLf=Lf1-Lf2を算出し、同様に裏面部分RSの左右辺間における長さの差、即ち先端ずれ量ΔLr=Lr1-Lr2を算出し、各先端ずれ量ΔLf,ΔLrの標準偏差(単位:mm)をσとしたとき、それぞれ標準偏差±σ×3の範囲で表している。
【0089】
図中「表」及び「裏」の文字を付した各横軸位置の◆点は、それぞれ表面部分FSの左右辺間の先端ずれ量ΔLfの平均値であり、裏面部分RSの左右辺間の先端ずれ量ΔLrの平均値である。更に、図中「先端ずれ」の文字を付した横軸位置の◆点は、表面部分FSと裏面部分RSとの左辺同士間の先端ずれ量ΔL1=Lf1-Lr1と、右辺同士間の先端ずれ量ΔL2=Lf2-Lr2との平均値、即ち折り筋Kの長さ方向の全長に亘るシートSSの先端ずれ量の平均値ΔLm=(ΔL1+ΔL2)/2である。
【0090】
実施例1において、シートSSの表面部分FSは、左右辺間の長さの差ΔLfの平均値が0.02mmであり、標準偏差σ×3が0.18mmであった。シートSSの裏面部分RSは、左右辺間の長さの差ΔLrの平均値が0.10mmであり、標準偏差σ×3が0.32mmであった。シートSSの折り筋Kの長さ方向全長に亘って、先端ずれ量の平均値ΔLmは-0.07mmであり、標準偏差σ×3が0.37mmであった。これらの値は、本実施形態のシート加工装置1によれば、坪量200g/mの厚紙に、全長に亘って直線性の高い折り筋を目標の折り筋加工位置に高精度に加工し得ることを示している。
【0091】
実施例2において、シートSSの表面部分FSは、左右辺間の長さの差ΔLfの平均値が0.02mmであり、標準偏差σ×3が0.37mmであった。シートSSの裏面部分RSは、左右辺間の長さの差ΔLrの平均値が0.10mmであり、標準偏差σ×3が0.45mmであった。シートSSの折り筋Kの長さ方向全長に亘って、先端ずれ量の平均値ΔLmは-0.11mmであり、標準偏差σ×3が0.42mmであった。これらの値は、坪量160g/mの薄めの紙であっても、シート加工装置1によれば、全長に亘って比較的直線性が高く、目標の折り筋加工位置に対して高精度な折り筋を加工し得ることを示している。
【0092】
これらの試験結果は、本実施形態のシート加工装置1によれば、坪量200g/mの厚紙に、全長に亘って位置ずれが少なく直線性の高い折り筋を高精度に加工し得ることを示している。更に坪量160g/mの薄めの紙にも、全長に亘って比較的位置ずれが少なくかつ直線性が高く、略同程度に高精度に折り筋を加工し得ることを示している。
【0093】
本発明の要部を構成する案内機構7は、上記実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例が可能である。図13及び図14は、変形された実施形態の案内機構71,72をそれぞれ模式的に例示している。
【0094】
図13の案内機構71は、図6の案内機構7に加えて、そのローラー支持アーム24に関して線対称に配置された第2の固定レール部材73と第2の移動レール部材74とを備える。第2の固定レール部材73及び第2の移動レール部材74は、それぞれ案内機構7の固定レール部材31及び移動レール部材32の第1、第2固定案内部33,34及び第1、第2移動案内部37,38と同様の第1、第2固定案内部75,76及び第1、第2移動案内部77,78を有する。即ち、第1、第2固定案内部75,76及び第1、第2移動案内部77,78の先端にそれぞれ形成された円弧状面同士を対向させ、それらの間に複数の球体79,80を摺動可能に介装して、第2の移動レール部材74が第2の固定レール部材73に支持されかつ案内されて、シート幅方向に往復移動可能に構成されている。
【0095】
かかる構成によって、案内機構71は、シート幅方向に直交する断面におけるローラー支持アーム24の揺動性が低下する可能性はあるが、筋付け刃22がシート載置面11上のシートを筋付け溝23内に押し込む加圧力は、案内機構7よりも向上する。また、前記断面におけるローラー支持アーム24の振れは、シート搬送方向の両方向に対称性が向上する。
【0096】
図14の案内機構72は、固定レール部材31及び移動レール部材32に類似した構成の固定レール部材81と移動レール部材82とを有し、それらの第1、第2固定案内部83,84が、上下垂直逆向きに対向する第1及び第2固定円弧状面85,86を有し、第1、第2移動案内部87,88が、上下垂直に対向する第1及び第2移動円弧状面89,90を有する点において、案内機構7と異なる。近接して対向する第1固定円弧状面85と第1移動円弧状面89との間、及び第2固定円弧状面86と第2移動円弧状面90との間には、それらに摺接する複数の球体91,92がそれぞれ介装されて、移動レール部材81が固定レール部材82に支持されかつ案内され、シート幅方向に往復移動可能に構成されている。
【0097】
以上、本発明を好適な実施形態に関連して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その技術的範囲において、様々な変更又は変形を加えて実施し得ることは言うまでもない。例えば、筋付けローラー21に、軸線方向に近接する2条の筋付け刃を形成することによって、シートに2条の折り筋を同時に加工することができる。また、筋付けローラー21の外周面全周に亘って連続する筋付け刃22を、所定の間隔で不連続に設けた複数の突条に置き換えることによって、シートにミシン目を加工することが可能である。
【0098】
更に本発明のシート加工装置1は、既存の画像形成装置に内蔵して、画像形成されたシートを更に折り筋加工して搬出するように構成することができる。その場合、シート搬送方向に筋付け溝22を配置し、それに合わせてローラー支持アーム24及び筋付けローラー21が移動するように案内機構7を配設することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 シート加工装置
2 ケーシング
4 シート受け台
5 シート保持部
6 筋付け加工部
7,71,72 案内機構
8 駆動部
9 伝達機構
11 シート載置面
13 シート押えローラー
21 筋付けローラー
22 筋付け刃
23 筋付け溝
24 ローラー支持アーム
27 係合歯
31 固定レール部材
32 移動レール部材
33 第1固定案内部
34 第2固定案内部
35 第1固定円弧状面
36 第2固定円弧状面
37 第1移動案内部
38 第2移動案内部
39 第1移動円弧状面
40 第2移動円弧状面
43、44 球体
51 電動モーター
52 減速歯車機構
53,54 歯付プーリー
55 歯付ベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14