(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025819
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】土留構造
(51)【国際特許分類】
E02D 17/08 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
E02D17/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131192
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 正宏
(72)【発明者】
【氏名】若山 崇大
(72)【発明者】
【氏名】鎌崎 祐治
【テーマコード(参考)】
2D044
【Fターム(参考)】
2D044AA03
(57)【要約】
【課題】土留構造が複数の土留部材を周方向に連結して形成された一段の土留ユニットから形成された場合において、変形を抑えることができる土留構造を提供する。
【解決手段】本発明は、土留部材を組み合わせて形成された土留ユニットと、土留ユニットに取り付けられた補剛部材と、を備え、土留部材のそれぞれは、土留ユニットの周方向である第1方向に垂直な断面形状が波形に加工された本体と、本体の第1方向の両端に設けられ、第1連結孔を備えた縦フランジ部と、を備え、本体は、第1方向に直交する当該本体の幅方向の両端に土留ユニットの内側に向かって突出して形成され、幅方向に対し垂直な面を有し、第2連結孔が形成された2つの横フランジ部を備え、補剛部材は、横フランジ部のうち少なくとも一方に接合され、第1方向において隣り合って配置された少なくとも2つの土留部材の縦フランジ部を連結して形成された軸方向連結部は、下方において補剛部材が2つの土留部材の横フランジ部に跨って連結されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土留部材を組み合わせて形成された土留ユニットと、
前記土留ユニットに取り付けられた補剛部材と、を備え、
前記土留部材のそれぞれは、
前記土留ユニットの周方向である第1方向に垂直な断面形状が波形に加工された本体と、
前記本体の第1方向の両端に設けられ、第1連結孔を備えた縦フランジ部と、を備え、
前記本体は、
第1方向に直交する当該本体の幅方向の両端に前記土留ユニットの内側に向かって突出して形成され、幅方向に対し垂直な面を有し、第2連結孔が形成された2つの横フランジ部を備え、
前記補剛部材は、
前記横フランジ部のうち少なくとも一方に接合され、
第1方向において隣り合って配置された少なくとも2つの前記土留部材の前記縦フランジ部を連結して形成された軸方向連結部は、
下方において前記補剛部材が2つの前記土留部材の前記横フランジ部に跨って連結されている、土留構造。
【請求項2】
前記土留ユニットは、
当該土留ユニットの中心軸方向視点において矩形に形成され、
前記矩形の角部に配置され、前記土留部材と接続される角部材を更に備え、
前記角部材は、
面が交差する様に接続された2つの平板部を備えるアングル部材と、
第1方向に垂直な断面形状が波形に加工され、第1方向の一方の端面がアングル部材に接合された本体と、
前記本体の第1方向の他方の端面に設けられ、第1連結孔を備えた縦フランジ部と、を備え、
第1方向において隣り合って配置された前記土留部材の前記縦フランジ部と前記角部材の前記縦フランジ部とを連結して形成された軸方向連結部の下方には、
前記補剛部材が前記土留部材の前記横フランジ部と前記角部材の前記横フランジ部とに跨って連結されている、請求項1に記載の土留構造。
【請求項3】
角部材を組み合わせて形成された土留ユニットと、
前記土留ユニットに取り付けられた補剛部材と、を備え、
前記土留ユニットは、
当該土留ユニットの中心軸方向視点において矩形に形成され、
前記角部材は、
矩形の前記土留ユニットの角部に配置され、
面が交差するように接続された2つの平板部を備えるアングル部材と、
第1方向に垂直な断面形状が波形に加工され、第1方向の一方の端面が前記アングル部材に接合された本体と、
前記本体の第1方向の他方の端面に設けられた縦フランジ部と、を備え、
前記角部材の前記本体は、
第1方向に直交する当該本体の幅方向の両端に前記土留ユニットの内側に向かって突出して形成され、幅方向に対し垂直な面を有し、第2連結孔が形成された2つの横フランジ部を備え、
第1方向において隣り合って配置された前記角部材の縦フランジ部を連結して形成された軸方向連結部の下方には、
前記補剛部材が2つの前記角部材の前記横フランジ部に跨って連結されている、土留構造。
【請求項4】
前記角部材の下方及び上方の少なくとも一方に配置され、前記角部材に接続される2つの前記土留部材のそれぞれの前記横フランジ部に連結される角部補剛部材を更に備え、
前記角部補剛部材は、
前記角部材に接続された2つの前記土留部材に跨って接続されている、請求項2又は3に記載の土留構造。
【請求項5】
前記補剛部材は、
第1方向に垂直な断面において、コ字形に形成され、
2つの前記横フランジ部の一方と連結されるフランジと、
前記フランジに交差して延びるウェブと、を備える、請求項1~4の何れか1項に記載の土留構造。
【請求項6】
土留部材及び角部材を組み合わせて形成された土留ユニットと、
前記角部材の下方及び上方の少なくとも一方に配置され、前記角部材に接続される2つの前記土留部材に連結される角部補剛部材と、を備え、
前記土留部材は、
前記土留部材が接続する第1方向に垂直な断面形状が波形に加工された本体と、
前記本体の第1方向の両端に設けられ第1連結孔を備えた平板状の縦フランジ部と、を備え、
前記本体は、
第1方向に直交する幅方向の両端に形成され、幅方向に対し垂直な面を有し、第2連結孔が形成された2つの横フランジ部を備え、
前記角部材は、
幅方向に垂直な断面形状がL字形のアングル部材であり、前記アングル部材が有する2つの平板部に前記土留部材の前記縦フランジ部が連結され、
前記角部補剛部材は、
前記角部材に接続された2つの前記土留部材に跨がって接続されている、土留構造。
【請求項7】
前記角部補剛部材は、
前記角部材に接続された2つの前記土留部材のそれぞれの前記横フランジ部と複数箇所において接合される、請求項6に記載の土留構造。
【請求項8】
前記角部補剛部材は、
板材である、請求項6又は7に記載の土留構造。
【請求項9】
前記本体は、
2つの前記横フランジ部の間に、板を波形に加工して形成された波加工部を備え、
前記波加工部は、
前記土留ユニットの内側に向かって突出して形成されている凸部と、
前記凸部及び前記横フランジ部を接続する第1外側壁部と、を備える、請求項1~8の何れか1項に記載の土留構造。
【請求項10】
前記凸部は、
複数の凸部を含み、
前記波加工部は、
前記凸部及び前記横フランジ部を接続する第2外側壁部を更に備える、請求項9に記載の土留構造。
【請求項11】
前記縦フランジ部の前記第1連結孔は、
前記第1外側壁部又は前記第2外側壁部に対し前記土留ユニットの内側方向に並列して設けられている、請求項9又は10に記載の土留構造。
【請求項12】
前記凸部は、
第1方向に垂直な前記波加工部の断面において、前記本体の厚さ方向の中立軸を規定したときに、前記中立軸よりも内側に位置する内側壁部と、
前記本体の厚さ方向に延び、前記第1外側壁部又は前記第2外側壁部と前記内側壁部とを接続するウェブ部とを備える、請求項9~11の何れか1項に記載の土留構造。
【請求項13】
前記本体は、
2つの前記横フランジ部の間に、板を波形に加工して形成された波加工部を備え、
前記波加工部は、
前記第1方向に垂直な断面においてサインカーブ形状の波形を有する、請求項1~8の何れか1項に記載の土留構造。
【請求項14】
前記縦フランジ部の前記第1連結孔は、
前記サインカーブ形状の波形のうち前記土留ユニットの内側に向かって突出する凸部の間及び前記凸部と前記横フランジ部との間に位置するように設けられている、請求項13に記載の土留構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に構築される土留構造に関し、特に複数の土留部材と補剛部材とにより構成される土留構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物の基礎を構築するための立坑、地中に構築される集水井、斜面の擁壁などの土木構造物は、土留部材等の土留部材を接続して環状又は馬蹄形(U字形)に壁を形成して構成された土留構造により構成される。
【0003】
このような土留構造は、土留部材がそれぞれ軽量であり、山間部等の大型の重機が使用できない現場においても、人力での施工が容易であるという利点がある。例えば、立坑を構築するにあたっては、作業者が立坑の中に入り土留部材を連結する作業を行うことができる。
【0004】
特許文献1に開示されている土留構造は、複数の土留部材を組み合わせて環状体を形成し、その環状体を当該環状体の中心軸方向に複数接続して構成されている。そして、複数の土留部材がそれぞれ千鳥状に配置されることにより、土留構造全体の強度を確保している(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、例えばライナープレートなどの土留部材を用いた土留構造は、土留部材の取り扱い易さから、小規模の基礎、鉄道に設けられたハンドホール又はマンホールを形成する場合に用いられることがある。この場合、土留構造は、複数の土留部材を接続して形成された1段の環状体から形成される。複数の土留部材を周方向にのみ接続して形成された構造の土留構造は、土留部材同士を例えばボルトなどの連結部材により接続しただけの構造であり、土圧等により外側から荷重を受けた際に、環状体の上下には荷重を支持する部材が無いため、各土留部材の端部の縦フランジ部から変形を生じてしまうという課題があった。
【0007】
また、土留構造が設けられた地盤を平面視したときに土留構造が矩形に形成されている場合においては、矩形の角部に土留部材同士の連結部が配置されるため、角部の強度が低い、という課題があった。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するものであり、土留構造が複数の土留部材を周方向に連結して形成された一段の土留ユニットから形成された場合において、変形を抑えることができる土留構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る土留構造は、土留部材を組み合わせて形成された土留ユニットと、前記土留ユニットに取り付けられた補剛部材と、を備え、前記土留部材のそれぞれは、前記土留ユニットの周方向である第1方向に垂直な断面形状が波形に加工された本体と、前記本体の第1方向の両端に設けられ、第1連結孔を備えた縦フランジ部と、を備え、前記本体は、第1方向に直交する当該本体の幅方向の両端に前記土留ユニットの内側に向かって突出して形成され、幅方向に対し垂直な面を有し、第2連結孔が形成された2つの横フランジ部を備え、前記補剛部材は、前記横フランジ部のうち少なくとも一方に接合され、第1方向において隣り合って配置された少なくとも2つの前記土留部材の前記縦フランジ部を連結して形成された軸方向連結部は、下方において前記補剛部材が2つの前記土留部材の前記横フランジ部に跨って連結されている。
【0010】
また、本発明に係る土留構造は、角部材を組み合わせて形成された土留ユニットと、前記土留ユニットに取り付けられた補剛部材と、を備え、前記土留ユニットは、当該土留ユニットの中心軸方向視点において矩形に形成され、前記角部材は、矩形の前記土留ユニットの角部に配置され、面が交差するように接続された2つの平板部を備えるアングル部材と、第1方向に垂直な断面形状が波形に加工され、第1方向の一方の端面が前記アングル部材に接合された本体と、前記本体の第1方向の他方の端面に設けられた縦フランジ部と、を備え、前記角部材の前記本体は、第1方向に直交する当該本体の幅方向の両端に前記土留ユニットの内側に向かって突出して形成され、幅方向に対し垂直な面を有し、第2連結孔が形成された2つの横フランジ部を備え、第1方向において隣り合って配置された前記角部材の縦フランジ部を連結して形成された軸方向連結部の下方には、前記補剛部材が2つの前記角部材の前記横フランジ部に跨って連結されている。
【0011】
また、本発明に係る土留構造は、土留部材及び角部材を組み合わせて形成された土留ユニットと、前記角部材の下方及び上方の少なくとも一方に配置され、前記角部材に接続される2つの前記土留部材に連結される角部補剛部材と、を備え、前記土留部材は、前記土留部材が接続する第1方向に垂直な断面形状が波形に加工された本体と、前記本体の第1方向の両端に設けられ第1連結孔を備えた平板状の縦フランジ部と、を備え、前記本体は、第1方向に直交する幅方向の両端に形成され、幅方向に対し垂直な面を有し、第2連結孔が形成された2つの横フランジ部を備え、前記角部材は、幅方向に垂直な断面形状がL字形のアングル部材であり、前記アングル部材が有する2つの平板部に前記土留部材の前記縦フランジ部が連結され、前記角部補剛部材は、前記角部材に接続された2つの前記土留部材に跨がって接続されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、土留構造は、土留ユニットの中心軸方向の少なくとも一方の端部に補剛部材又は角部補剛部材を有し、補剛部材及び角部補剛部材が2つの土留部材に跨って接続されている。そのため、土留部材同士の連結部が補剛部材又は角部補剛部材により支持され、一段の土留ユニットで構成された土留構造においても複数の土留部材の連結部の強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態1に係る土留構造100の斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係る土留部材10の断面図である。
【
図3】実施の形態1に係る土留部材10の断面図である。
【
図5】実施の形態1に係る土留構造100の角部材30の斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る土留構造100の角部材30の斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係る角部材30の補強部材32の溶接部36の配置図である。
【
図8】実施の形態1に係る補剛部材20の斜視図である。
【
図9】実施の形態1に係る土留構造100の変形例を示す平面図である。
【
図10】実施の形態1に係る土留構造100の変形例である。
【
図11】実施の形態2に係る土留構造200の斜視図である。
【
図12】実施の形態2に係る土留構造200の角部材230の変形例の正面図である。
【
図13】実施の形態2に係る土留構造200の底面図である。
【
図14】実施の形態1に係る土留構造100に取り付けられた連結部材40の変形例の斜視図である。
【
図15】実施の形態1に係る土留構造100に取り付けられた連結部材40の変形例の斜視図である。
【
図16】実施の形態1に係る土留構造100の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態に係る土留構造100について図面等を参照しながら説明する。なお、
図1を含む以下の図面では、各構成部材の相対的な寸法の関係及び形状等が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば、上、下、左、右、前、後、表及び裏等)を適宜用いるが、それらの表記は、説明の便宜上の記載であり、装置、器具、あるいは部品等の配置、方向及び向きを限定するものではない。
【0015】
実施の形態1.
[土留構造100]
図1は、実施の形態1に係る土留構造100の斜視図である。土留構造100は、例えば構造物の基礎を構築するための立坑等の土木構造物であって、地盤92を掘削して形成された縦穴の内部に構築されるものである。
図1に示されている土留構造100は、一例として、比較的小規模の基礎を地盤92に形成するための構造物であって、平面視において、複数の土留部材10を角部材30により矩形に接続して形成された一段の土留ユニット50から構成される。以下の説明において、土留構造100の外側を地盤92、内側を空間部93と呼ぶ。なお、実施の形態1において、土留構造100は、地盤92に対し垂直方向、即ちz方向の視点において、矩形であるが、矩形に限定するものではない。土留構造100は、例えば、平面視において、円形、長円形、楕円形、矩形、小判形の環状に形成してもよい。また、土留構造100は、平面視において馬蹄形又はコ字形などの半環状体に形成することもできる。土留ユニット50が半環状体である場合は、土留ユニット50の中心軸Cは、平面視したときの土留ユニット50の重心を通り、土留ユニット50が設置された地盤92に垂直方向に延びる軸である。なお、図に示すx及びy方向は、土留構造100が設置される地盤92の表面に沿った方向であり、z方向は立坑の深さ方向である。
【0016】
土留ユニット50は、例えば駅のプラットフォームを支える基礎などの比較的小規模の基礎を設置する場合に、地盤92を略矩形に掘削して形成された立坑の掘削壁面95(
図3参照)に沿って設置される。この場合、小規模の基礎の場合、立坑の深さは、比較的浅く、土留部材10がz方向に1段のみ配置できる程度である。そのため、土留ユニット50は、その周方向に複数の土留部材10を、ボルト及びナットなどの連結部材40を用いて連結して形成されている。また、
図1の土留構造100は、矩形の各辺が短いため、各辺に土留部材10が1つずつ配置され、それらの複数の土留部材10を角部材30で連結している。なお、土留ユニット50は、各辺に土留部材10が1つずつ配置されたものに限定されず、各辺に2つ以上の土留部材10を有するものであってもよい。また、土留ユニット50は、一部の辺に土留部材10が配置されていない構成であっても良いし、角部材30のみを連結して構成されていても良い。
【0017】
角部材30は、両端に土留部材10が連結する様に構成されたものであり、交差する方向に向けて配置された2つの土留部材10を接続するものである。なお、角部材30の両端に他の角部材30を直接連結することもできる。ここで、環状体である土留ユニット50において複数の土留部材10が接続されている方向を第1方向と称する。第1方向は、土留ユニット50の中心軸周りの周方向であり、
図1の土留ユニット50であれば、矩形の各辺に沿った方向である。また、第1方向は、
図4においてはx(y)に沿った方向であり、
図5及び
図6においては、x(y)軸及びy(x)軸に沿った方向である。つまり、土留部材10及び角部材30の端部に接合されている縦フランジ部19の面に垂直な方向が第1方向になる。
【0018】
土留ユニット50は、土留部材10と角部材30とが連結される軸方向連結部11を有し、軸方向連結部11の下方(z方向側)に補剛部材20が配置されている。補剛部材20と土留部材10又は角部材30とは、連結部12においてボルト及びナットなどの連結部材40を用いて連結されている。土留ユニット50の軸方向連結部11のそれぞれは、補剛部材20により補強されている。補剛部材20は、1つの土留部材10又は1つの角部材30に複数箇所で連結されている。このように構成されることにより、土留部材10又は角部材30が地盤92から荷重を受けたときに補剛部材20が荷重を受けることができる。補剛部材20は、例えば土留部材10に2箇所以上で連結されることにより、土留部材10に対し回転することがないため、土留部材10が受けた荷重を、補剛部材20を介して隣り合って連結された角部材30に伝達することができる。
【0019】
[土留部材10]
図2及び
図3は、実施の形態1に係る土留部材10の断面図である。
図2及び
図3は、土留ユニット50の周方向である第1方向に対し垂直な断面を示しており、
図1に示されている土留構造100の土留ユニット50の中心軸に沿った断面(xz断面又はyz断面)の一例を示している。
図2に示されている土留部材10の本体14は、第1方向に垂直な断面においてサインカーブ形状の波形が付されている。また、
図3に示されている土留部材10の本体14は、断面において角が丸められた矩形波状になっており、土留構造100の外側及び内側に互いに平行な面が形成されている。
図1に示されている土留構造100は、一例として
図3に示されている本体14の断面形状を備える土留部材10及び角部材30により構成されたものであるが、本体14の断面形状は他の波形状に変更することができる。
【0020】
図2及び
図3に示されている土留部材10は、それぞれ断面形状が異なり本体14の波形状が異なるが、z方向の両端部に横フランジ部13が形成されており、z方向に補剛部材20が接続可能な構造となっている。横フランジ部13は、連結部材40を適用する連結孔13aが形成されている。連結孔13aは、横フランジ部13に複数形成されており、第1方向に等間隔に並べられている。また、2つの横フランジ部13の間には波加工部が形成されている。なお、横フランジ部13に設けられたz方向に貫通する連結孔13aを第2連結孔13aと呼ぶ場合がある。
【0021】
図2に示される土留部材10の本体14は、サインカーブ形状の波形が付されており、地盤92からの土圧による荷重に対抗することができる。本体14は、波形が付されていることにより、単純な平板状の断面形状に形成されるよりも土留部材10の厚さ方向に掛かる荷重に対する強度及び剛性が高い。
【0022】
図3に示されている土留部材10の台形波形状に形成されている本体14は、
図3の断面において、土留ユニット50の内側に突出して位置する凸部16と、土留ユニット50の外側に突出して位置する外側壁部17及び18と、を備える。凸部16と横フランジ部13とを接続する外側壁部18を第1外側壁部18と称し、隣り合う2つの凸部16を接続する外側壁部17を第2外側壁部17と称する。実施の形態1に係る土留部材10の本体14の断面形状において、凸部16は複数設けられているが、1つであっても良い。例えば
図3において凸部16は、2箇所設けられているが、z方向の中央部に一つだけ配置されていても良い。
【0023】
凸部16は、断面において横フランジ部13の面に直交する面を備える内側壁部16aを備える。内側壁部16aと外側壁部17及び18とは、実質的に平行に形成されている。内側壁部16aと外側壁部17及び18との間は、ウェブ部15により接続されている。ウェブ部15は、
図3の断面においてy(x)方向に延びる面を有し、y(x)方向に対し若干傾斜している。ウェブ部15の傾斜方向は、本体14を土留ユニット50の中心軸Cから見た時に、波形状の谷の部分の開放端が広く、谷底が狭くなる様になっている。このように構成されることにより、本体14は波付けのための塑性加工を行う際に、離型しやすく製造が容易になる。
【0024】
また、ウェブ部15は、
図3のy(x)軸に平行に近い角度で成形されることにより、内側壁部16a、外側壁部17及び18の幅が広くなる。これにより、土留部材10は、厚さ方向に曲げモーメントが負荷されたときの剛性が高くなる。例えば、
図2に示される土留部材10よりも
図3に示される土留部材10は、y(x)方向の寸法が大きくy(x)方向に掛かる荷重に対し剛性が高い。
図1の土留構造100の土留部材10が本体14の面方向、つまりy(x)方向に荷重を受けた場合に、土留部材10はy(x)方向に曲げモーメントが負荷される。このとき、土留部材10の曲げの中立軸Nについての断面係数は、中立軸Nから遠い内側壁部16a、外側壁部17及び18の幅が広い方が大きくなる。よって、ウェブ部15がy(x)軸に平行に近い角度で構成されることにより、内側壁部16a、外側壁部17及び18のz方向の幅寸法が広くなり、土留部材10は、y(x)方向の曲げ荷重に対する強度及び剛性が高くなる。具体的には、ウェブ部15は、内側壁部16a又は外側壁部17及び18に垂直な方向に対し、0°以上20°以下に設定され、さらに望ましくは0°以上3°以下に設定される。
【0025】
なお、
図3の、内側壁部16a、外側壁部17及び18は、ウェブ部15と同じ板厚で形成されているが、板厚をウェブ部15よりも厚くしても良い。このように構成されることにより、中立軸Nから遠い内側壁部16a、外側壁部17及び18の断面積が大きくなり、土留部材10は、断面係数をさらに高くすることができる。
【0026】
図2及び
図3に示されている土留部材10のz方向の両端部は、横フランジ部13が形成されている。横フランジ部13は、z方向に対し垂直に形成され、平坦な部分に連結孔13aが設けられている。横フランジ部13は、xy方向に平行であり連結部材40が取り付けられる程度の面を有している。特に、横フランジ部13の先端部13bは、連結部材40がクリップ状の連結金具(
図14及び15参照)の挟持部43が嵌る程度の平面を有する。
【0027】
図4は、
図3の土留部材10の斜視図である。土留部材10は、土留ユニット50の周方向である第1方向の両端に縦フランジ部19を備える。縦フランジ部19は、板状部材であり本体14の第1方向の端面に溶接により接合されている。縦フランジ部19のz方向の長さは、本体14の幅方向、即ちz方向の長さと実質的に同じである。縦フランジ部19は、板面を貫通する連結孔19aを備える。なお、縦フランジ部19に第1方向に貫通して設けられた連結孔19aを第1連結孔19aと呼ぶ場合がある。
図1に示されるように、連結孔19aは土留部材10と他の土留部材10又は角部材30とを土留ユニット50の周方向に連結する際にボルト及びナットなどの連結部材40を通すための孔である。
【0028】
連結孔19aは、本体14の波形状に対応して設置されており、具体的には、本体14の外側壁部17及び18のそれぞれのy(x)方向に並べて配置されている。また、連結孔19aは、外側壁部17及び18よりも土留ユニット50の内側に配置されている。このように構成されることにより、作業者は、土留構造100が設置される立坑の内側から土留部材10の連結作業が可能となる。
【0029】
なお、縦フランジ部19の構造は、本体14の断面形状が
図2に示すサインカーブ形状であっても同様である。つまり、
図2に示す断面形状を有する土留部材10であれば、土留部材10を土留ユニット50の内側から見たときの谷部である外側壁部17b及び18に対応した位置に連結孔19aが配置される。
図2に示す断面形状を有する土留部材10の場合は、連結孔19aは、縦フランジ部19に4つ配置される。また、
図3に示す断面形状を有する土留部材10であれば連結孔19aは、縦フランジ部19に3つ配置される。
【0030】
[角部材30]
図5及び
図6は、実施の形態1に係る土留構造100の角部材30の斜視図である。角部材30は、z方向から見たときにL字形のアングル部材31と、土留部材10の本体14と同じ構造の本体14と、本体14の第1方向(周方向)の端面に接合された縦フランジ部19と、を備える。角部材30は、縦フランジ部19に土留部材10が連結され、土留構造100の角部を形成するものである。実施の形態1において、角部材30は、2つの土留部材10を直交するように接続するが、直角以外の角度で接続しても良い。
【0031】
角部材30の本体14は、第1方向の長さ以外は土留部材10の本体14と同じ形状になっており、
図2に示すサインカーブ形状の波形に形成されても良い。本体14の長さは、適宜変更することができる。
【0032】
アングル部材31は、z方向から見たときにL字形に形成されており、平板部33を直交して接続した形状になっている。平板部33は、板状であり、長手方向がz方向に延びている。平板部33には本体14の一方の端面が溶接等により接合されている。アングル部材31の2つの平板部33の先端部35は、補強部材32が接合されている。補強部材32は、板状部材であり、
図6に示すように、長手方向がz方向に延びている。補強部材32は、アングル部材31の先端部35同士を接続するように配置されることにより、平板部33の先端部35同士が開く方向に変形するのを抑制する部材である。
【0033】
図7は、実施の形態1に係る角部材30の補強部材32の溶接部36の配置図である。補強部材32は、2つの平板部33の先端部35に溶接されている。実施の形態1に係る補強部材32の溶接部36は、z方向の全長にわたって溶接されていても良いし、z方向において一部の領域のみに設けられていても良いし、又はz方向において複数箇所に設けられていても良い。溶接部36は、
図7に示す様に複数の溶接部36a、36b及び36cを含む場合がある。補強部材32の溶接部36は、複数に分割されて配置されていることにより、溶接による製造コストを低減するとともに、溶接による変形を抑えることができる。また、アングル部材31の平板部33は、平板部33に接合されている本体14が受ける荷重が伝達され、2つの平板部33が開くように変形する。補強部材32の溶接部36は、2つの平板部33の先端部35が引っ張られて開くように変形する箇所に設けられていれば良い。本体14が地盤92から荷重を受けたときに、本体14の外側壁部17及び18は、アングル部材31の平板部33の先端部35に接合されているため、アングル部材31の先端部35を引っ張り、2つの先端部35が開くように変形させる。そのため、溶接部36は、
図5に示すように、z方向における位置を本体14の外側壁部17及び18に対応する位置に配置される。具体的には、溶接部36a及び36cは、土留ユニット50の周方向、即ち第1方向において外側壁部18に少なくとも一部が並列するように配置されている。また、溶接部36cは、環状体である土留ユニット50の周方向、即ち第1方向において外側壁部17に少なくとも一部が並列するように配置されている。
【0034】
換言すると、溶接部36aは、z方向において、
図3に示す領域a1に少なくとも部分的に重なるように位置する。望ましくは、溶接部36aは、
図3の領域aa1に重なるように位置すると良い。また、溶接部36bは、z方向において、
図3に示す領域a2に少なくとも部分的に重なるように位置する。望ましくは、溶接部36bは、
図3の領域aa2に重なるように位置すると良い。溶接部36cは、z方向において、
図3に示す領域a3に少なくとも部分的に重なるように位置する。望ましくは、溶接部36cは、
図3の領域aa3に重なるように位置すると良い。
【0035】
溶接部36aは、
図3に示す領域a1を全て含むように配置することもできるが、少なくとも領域a1に部分的に重なるよう配置されていれば、外側壁部18からの荷重を溶接部36aを介して補強部材32に伝達することができる。溶接部36bと領域a2、溶接部36cと領域a3も、溶接部36aと領域a1の関係と同様に配置される。なお、溶接部36は、領域bに重なっても良いが、領域bに相当する部分の補強部材32は溶接されていなくともよい。
【0036】
[補剛部材20]
図8は、実施の形態1に係る補剛部材20の斜視図である。実施の形態1において、補剛部材20は、第1方向に長い断面がコ字形の溝形鋼、いわゆるチャンネル部材である。補剛部材20は、z方向の両端に配置されたフランジ21と、2つのフランジ21を接続するウェブ22と、を備える。フランジ21には、連結部材40を通すための連結孔23が設けられており、土留部材10及び角部材30の本体14の横フランジ部13に設けられた連結孔13aに対応するように設けられている。
【0037】
補剛部材20は、断面形状のコ字形の開放側を土留ユニット50の内側に向けて配置されている。これにより、補剛部材20を土留ユニット50に取り付ける作業者は、土留ユニット50の内側から連結部材40を取り付けることが可能となり、補剛部材20自体の剛性も高くなる。
【0038】
なお、補剛部材20は、溝形鋼のみに限定されるものではない。補剛部材20は、例えば、断面形状がL字形の山形鋼(アングル部材)でもよいし、平板であっても良い。補剛部材20は、軸方向連結部11から土留部材10又は角部材30が土留ユニット50の内側に変形するのを抑えることができる断面係数を有している。
【0039】
補剛部材20は、隣り合って配置された土留部材10同士又は土留部材10と角部材30とに跨って連結される。補剛部材20は、一つの土留部材10又は角部材30に対し2箇所以上で固定される。このように構成されることにより、補剛部材20が土留部材10又は角部材30に対しz軸周りに回転変位するのを抑制し、連結部材40の外れも抑制することができる。
【0040】
実施の形態1に係る土留構造100は、土留ユニット50の下側のみに補剛部材20が設置されているが、上面にも設置することができる。補剛部材20を土留ユニット50の上下に配置することにより、土留構造100は、更に強度が向上する。
【0041】
[変形例]
図9は、実施の形態1に係る土留構造100の変形例を示す平面図である。
図1に示す土留構造100は、矩形の土留ユニット50の各辺に土留部材10を一つずつ有しているが、
図9に示す土留構造100は、土留ユニット50の各辺に2つの土留部材10を配置した例を示している。土留部材10は、複数の土留部材10を連結し、その軸方向連結部11の下方に補剛部材20が配置されている。補剛部材20により、土留部材10同士の軸方向連結部11も、上述した土留部材10と角部材30との軸方向連結部11と同様に補強される。
【0042】
図10は、実施の形態1に係る土留構造100の変形例である。実施の形態1に係る補剛部材20は、円環状の土留構造100aにも適用することができる。円環状の土留構造100aの場合は、補剛部材20は、土留部材10の円弧形状に合わせた円弧形状になっている。また、連結部材40を設置する連結孔23も土留部材10の横フランジ部13の連結孔13aに対応した位置に設けられている。
【0043】
図16は、実施の形態1に係る土留構造100の変形例を示す斜視図である。実施の形態1に係る土留構造100は、角部材30を4つ組み合わせて構成されていても良い。この場合、隣り合って配置された2つの角部材30の本体14の横フランジ部13に跨がって補剛部材20が連結される。このように構成されることにより、角部材30同士の軸方向連結部11も補強でき、土留構造100の強度が向上する。なお、
図16に示す土留構造100の4つの辺のうち対向する2辺に土留部材10を追加することもできる。土留構造100は、角部材30のみでも、土留部材10及び角部材30を併用した形態であっても構成することができ、かつ軸方向連結部11を補剛部材20で補強できるため、設置環境に応じて構造を適宜変更させることができる。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2に係る土留構造200について説明する。土留構造200は、実施の形態1に係る土留構造100を構成する角部材30の構成を変更し、角部補剛部材60を適用したものである。なお、実施の形態1と同一の機能及び作用を有する構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
図11は、実施の形態2に係る土留構造200の斜視図である。土留構造200は、矩形に構成されており土留部材10を各辺に一つずつ配置し、それらを角部材230で接続したものである。角部材230の下方には角部補剛部材60が配置されており、角部材230に連結された2つの土留部材10に跨って接続されている。
【0046】
[角部材230]
実施の形態2に係る角部材230は、z方向から見たときにL字形のアングル部材231を備える。アングル部材231は、2つの平板部233を接続した形状で構成され、2つの平板部233が直交する位置関係で配置されている。平板部233の長手方向は、z方向に延びている。平板部233には連結孔239が設けられており、土留部材10の縦フランジ部19を連結できるように構成されている。
【0047】
角部材230は、アングル部材231の2つの平板部233の間に配置され溶接により接合された補強部材232を備える。補強部材232は、アングル部材231の断面形状に合わせてL字の内側に形状を合わせており、面をz方向に垂直に向けた板状体である。補強部材232は、平面視で、例えば三角形状若しくは略三角形状を有している。補強部材232は、2つの平板部233の先端部235が引っ張られて開くように変形する箇所に接合されていれば良い。補強部材232は、アングル部材231の2つの平板部233同士が広がる方向及び狭まる方向の荷重に対し対抗し、アングル部材231を補強する。
図11においては、補強部材232は、連結孔239の間に配置され、2箇所に設けられているが、必要とされる強度に応じ設置箇所を適宜変更できる。
【0048】
図12は、実施の形態2に係る土留構造200の角部材230の変形例の正面図である。補強部材232は、本体14の外側壁部17及び18に対応する位置に設けることにより、外側壁部17及び18から伝達する力を支持することができ、アングル部材231の強度を効率よく向上できる。
【0049】
補強部材232は、
図3に示す領域a1、a2及びa3の何れかの範囲内に対応して配置されていると良く、望ましくは、領域aa1、aa2及びaa3の範囲内に配置されていると良い。
【0050】
[角部補剛部材60]
図13は、実施の形態2に係る土留構造200の底面図である。実施の形態2に係る角部補剛部材60は、角部材230の下方に配置され、角部材230に連結された2つの土留部材10に跨るように固定される。角部補剛部材60は、本体14の横フランジ部13に複数箇所固定される。実施の形態2においては、角部補剛部材60は、土留ユニット50の角部に沿ってL字形に形成されているが、例えば台形の板(
図13の二点鎖線Pを外形とする板)など、他の形態でもよい。
【0051】
実施の形態2に係る土留構造200は、角部材230がアングル部材231により構成され、土留部材10と角部材230とが連結部材40により連結される構造であるため、各部材の製造の際に溶接及び加工を削減できる。従って、土留構造200は、各部材の加工量を削減しつつ、角部補剛部材60及び補剛部材20により十分な強度を確保できる。
【0052】
実施の形態2に係る土留構造200は、各辺に土留部材10を一つずつ配置したものであるが、各辺の土留部材10を2つ以上にして構成しても良い。各辺に土留部材10を複数配置した場合は、隣り合う土留部材10の軸方向連結部11は、実施の形態1において説明した補剛部材20が設置される。
【0053】
実施の形態2に係る土留構造200は、角部補剛部材60を土留ユニット50の底面のみに配置しているが、上面にも設置してよい。角部補剛部材60を上下面に配置することにより、土留構造200はさらに強度が向上する。
【0054】
[連結部材40の変形例]
図14及び
図15は、実施の形態1に係る土留構造100に取り付けられた連結部材40の変形例の斜視図である。実施の形態1及び2に示される連結部材40は、
図14及び
図15に示されるクリップ状の連結部材40に置換しても良い。連結部材40は、板金を折り曲げて形成された金具であり、土留部材10を連結する連結部材40の1つである。連結部材40は、エンボス加工により形成された凸部46を備える連結金具本体42と、連結金具本体42の一方の端部を折り曲げられて形成された差込み部45と、連結金具本体42の他方の端部から差込み部45と同じ方向に向かって折り曲げられた挟持部43と、を備える。
【0055】
連結部材40は、差込み部45が土留部材10の横フランジ部13に形成された連結孔13aに差し込まれ、挟持部43の当接部43bと連結金具本体42とが横フランジ部13の先端部13bを挟持することにより2つの土留部材10を連結するものである。なお、挟持部43の先端部43aは、組み付け易いように連結金具本体42から離れる方向に曲げられている。連結部材40は、横フランジ部13に嵌め込まれて土留部材10を連結できるため、ボルト及びナットを用いた連結と比較して連結作業の効率が向上する。
【0056】
連結金具本体42の挟持部43が形成されている挟持側端部42bの端縁42cは、横フランジ部13の先端と平行に形成されている。連結金具本体42は、端縁42cに直交する方向から傾斜して延びている。連結金具本体42の端縁42dは、差込み部45に接続されている。差込み部45が接続されている端縁42dは、土留部材10の横フランジ部13に対し傾斜している。
【0057】
差込み部45は、連結金具本体42の端縁42dから横フランジ部13に向かって延び、その先端でL字に折り曲げられ先端部41が形成されている。先端部41は、板面41bが横フランジ部13の表面に沿うようにして延びている。先端部41の板面41bは、連結金具本体42の板面と略平行に形成されている。または、先端部41の板面41bは、連結金具本体42の板面と平行ではなく、先端41aが連結金具本体42側に傾斜していても良い。このように構成されることにより、連結される2つの土留部材10の横フランジ部13の一方の面側に連結金具本体42が配置され、他方の面側に先端部41が配置され、2つの横フランジ部13を先端部41と連結金具本体42との間に保持することができる。
【0058】
図14に示されるように、連結金具本体42の差込み部45が形成されている差込み側端部42bは、挟持部43が形成されている側の挟持側端部42bよりも幅が狭く形成されており、横フランジ部13の連結孔13aに差し込める程度の幅に形成されている。つまり、先端部41は、2つの土留部材10の横フランジ部13の連結孔13aに挿通自在になっている。また、差込み側端部42aは、エンボス加工が施され凸部46が形成されていることにより、剛性が向上している。
【0059】
一方、挟持部43が形成されている挟持側端部42bは、挟持部43が2つの土留部材10の横フランジ部13を挟んで保持できるように、幅が広く形成されている。
【0060】
実施の形態1又は2に係る土留構造100及び200は、連結部材40を上記のようなクリップ状の連結部材40に置換することにより、更に設置時の作業性が向上する。なお、必要に応じて、連結部材40は、一部をボルト及びナットを用い、一部をクリップ状の金具を用いることもできる。
【0061】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、実施の形態同士を組み合わせることもできる。例えば、同じ土留構造に角部材30及び230の両方を含み、補剛部材20及び角部補剛部材60の両方を用いて補強しても良い。また、以上の実施の形態に別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 土留部材、11 軸方向連結部、12 連結部、13 横フランジ部、13a (第2)連結孔、13b 先端部、14 本体、15 ウェブ部、16 凸部、16a 内側壁部、17 (第2)外側壁部、17b 外側壁部、18 (第1)外側壁部、19 縦フランジ部、19a (第1)連結孔、20 補剛部材、21 フランジ、22 ウェブ、23 連結孔、25 差込み部、30 角部材、31 アングル部材、32 補強部材、33 平板部、35 先端部、36 溶接部、36a 溶接部、36b 溶接部、36c 溶接部、40 連結部材、41 先端部、41a 先端、41b 板面、42 連結金具本体、42a 挟持側端部、42b 差込み側端部、42c 端縁、42d 端縁、43 挟持部、43a 先端部、43b 当接部、45 差込み部、46 凸部、50 土留ユニット、60 角部補剛部材、80 連結金具、92 地盤、93 空間部、94 立坑、95 掘削壁面、100 土留構造、100a 土留構造、200 土留構造、230 角部材、231 アングル部材、232 補強部材、233 平板部、235 先端部、239 連結孔、C 中心軸、N 中立軸、a1 領域、a2 領域、a3 領域、aa1 領域、aa2 領域、aa3 領域、b 領域。