(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025852
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】液体製剤噴霧化のためのマルチ噴射ポートを有するベンチュリデバイス
(51)【国際特許分類】
B05B 7/04 20060101AFI20230216BHJP
B05B 7/24 20060101ALI20230216BHJP
A61M 11/02 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B05B7/04
B05B7/24
A61M11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021131250
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】パトリツィア・ゾウンザ
(72)【発明者】
【氏名】ロイック・カルドン
(72)【発明者】
【氏名】ウラム・パク
【テーマコード(参考)】
4F033
【Fターム(参考)】
4F033QA10
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB13Y
4F033QB15X
4F033QB17
4F033QD04
4F033QD15
4F033QE01
4F033QE14
4F033QF01X
4F033QF08Y
(57)【要約】
【課題】ベンチュリ管の性能を改善して、噴射性能の安定性の改善をもたらすこと。
【解決手段】ベンチュリデバイスは、長手方向中心軸と、液体製剤を含有する液体容器がその上に搭載された搭載フランジと、長手方向中心軸に沿って延びる内部通路と、を含み、内部通路は、内径を有する入口および内径を有する出口を含む先細部分と、内径を有する入口および内径を有する出口を含む末広部分と、内径を有する入口および内径を有する出口を含む加速および混合部と、を含み、先細部分の出口は加速および混合部の入口に接続され、加速および混合部の出口は末広部分の入口に接続され、搭載フランジを内部通路内に貫通する2つ以上の噴射ポートが搭載フランジ内に形成されること、および液体製剤が0.5Pa・sを超える粘度を有すること、を特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向中心軸(X1)と、
液体製剤(L)を含有する液体容器(200)が液密に取り外し可能にその上に搭載された搭載フランジ(160)と、
前記長手方向中心軸(X1)に沿って延びる内部通路(110)と、
を含み、前記内部通路は、
先細部分(130)の2つの端部の各々にそれぞれ配置された、内径(D1)を有する入口(132)および内径(D4)を有する出口(134)を含む先細部分(130)と、
末広部分(140)の各端部にそれぞれ配置された、内径(D5)を有する入口(142)および内径(D2)を有する出口(144)を含む末広部分(140)と、
加速および混合部(150)の各端部にそれぞれ配置された、内径(D3)を有する入口(152)および内径(D3)を有する出口(154)を含む加速および混合部(150)と、
を含み、
前記先細部分(130)の前記出口(134)は前記加速および混合部(150)の前記入口(152)に接続され、かつ前記加速および混合部(150)の前記出口(154)は前記末広部分(140)の前記入口(142)に接続されており、
前記搭載フランジ(160)を前記内部通路(110)内に貫通する2つ以上の噴射ポート(120)が前記搭載フランジ(160)内に形成されること、および前記液体製剤(L)が最大でも0.5Pa・sの粘度を有すること、を特徴とする、ベンチュリデバイス(100)。
【請求項2】
前記噴射ポート(120)は、前記加速および混合部(150)内に貫通する、請求項1に記載のベンチュリデバイス(100)。
【請求項3】
前記2つ以上の噴射ポート(120)は、前記長手方向中心軸(X1)に直角の方向に整列される、請求項1または2に記載のベンチュリデバイス(100)。
【請求項4】
前記先細部分(130)の前記入口(132)の前記内径(D1)と、前記加速および混合部(150)の前記内径(D3)と、前記末広部分(140)の前記出口(144)の前記内径(D2)と、の比は、2:1:2またはそれよりより大きい比である、請求項1から3のいずれか一項に記載のベンチュリデバイス(100)。
【請求項5】
前記先細部分(130)の前記内径は、前記入口(132)から前記出口(134)まで直線的にまたは指数関数的に減少し、前記末広部分(140)の前記内径は、前記入口(142)から前記出口(144)まで直線的にまたは指数関数的に増加する、請求項1から4のいずれか一項に記載のベンチュリデバイス(100)。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の前記ベンチュリデバイス(100)と、
噴射される液体製剤(L)を含有して前記ベンチュリデバイス(100)の前記内部通路(110)と通じている容器(200)と、
前記ベンチュリデバイス(100)の前記先細部分(130)の前記入口(132)に結合されて前記入口(132)に加圧ガスを供給するデバイスと、
を含む、噴射システム(300)。
【請求項7】
前記デバイスは、前記ベンチュリデバイス(100)に供給される加圧ガスを含有するガス容器を含む、請求項6に記載の噴射システム(300)。
【請求項8】
前記デバイスは、前記ベンチュリデバイス(100)に供給される前記ガスを加圧するために、シリンダ(308)と前記シリンダ(308)内に滑動可能に配置されたピストン(310)とを含む、請求項6に記載の噴射システム(300)。
【請求項9】
前記ピストン(310)は、電気モータ(304)によって駆動される、請求項8に記載の噴射システム(300)。
【請求項10】
前記加圧ガスは、空気、CO2、N2、N2O、NO、O2、または生体への利用性を有する非毒性ガスである、請求項6から9のいずれか一項に記載の噴射システム(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経皮送達のために、たとえば水、オイル、ローションなどの液体製剤を噴霧化して噴射するためのマルチ噴射ポートを有するベンチュリデバイスに関する。本発明はまた、そのようなベンチュリデバイスを含む噴射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ヒアルロン酸を含む液体ローションなどの液体製剤は、一般的に浅い経皮送達(すなわち、浅い深度の経皮送達)により、顔、手、および腕など、使用者の体の特定の部分に塗布される。
【0003】
特に、液体製剤の粒子を加速することによって100m/s以上が達成されるとき、経皮吸収効果が強化されることが、多くの研究を通して発見されている。液体製剤を噴霧化して供給するためにベンチュリ管を使用することは、従来技術からよく知られている。
【0004】
特許文献1(ゴールドナノテック社)は、固定された量の液体を噴霧化粒子に変える液体誘導デバイスを開示している。液体誘導デバイスは、液体を含有するボトルと、ボトルと流体連通しているベンチュリ管とを含む。加圧ガスがベンチュリ管を通って流れ、ボトル内に含有される液体を噴霧化する。
【0005】
特許文献2(ゴールドナノテック社)は、美容および医療用の物質を噴射するための薬物送達デバイスを開示している。送達デバイスは、ベンチュリ管形状を有する薬物送達加圧管と、薬物を含有して薬物送達加圧管と流体連通している容器とを含む。加圧ガスは、薬物送達加圧管を通って流れ、容器内に含有される液体を噴霧化する。
【0006】
しかしながら、一般的な噴射ポートを有するベンチュリ管が使用されたとき、カルマン渦と呼ばれる流れ不安定現象が観察され、それは、液体製剤の噴射に悪影響を及ぼし、粒子サイズを増大させるかまたはベンチュリ管の加速および混合能力を低下させるという問題を引き起こす。
【0007】
通常、ベンチュリ管は、1つの流体入口と1つの出口とを有する。液体の噴射と加速および混合とを同時に実行するために、ベンチュリ管の中点、すなわち流体の加速および混合が最大化される点において製剤が噴射され得る接続通路を確保することが必要である。通常、接続通路は、ベンチュリの加速および混合部の中に、または流体の入り口の近くに配置される。流体の流れが加速されると、この通路は、液体をベンチュリ管の中心に自然発生的に誘導し、ベンチュリ管において、流体の強い圧力および速度が、誘導された液体を粒子に縮小させて出口に移動させる。
【0008】
しかしながら、噴射するとき、特に高い粘度の液体を噴射するとき、噴射の結果は不均一になる。出口を通して噴射された液体製剤は、100m/s以上の速度を有し、それは、化粧品組成物のより強い経皮吸収能力を有することが予期される。噴射された粒子の速度が速いほど、粒子サイズ分布はより不安定になる。これは、よく知られている流体動力学における現象、より具体的には、旋回渦の繰返しパターンを有するカルマン渦であり、それは、流れ方向にある障害物の周りで流体の流れの不安定な分離の原因となる。ベンチュリシステムでは、単一の液体噴射ポートは障害物として働き、噴射の結果、カルマン渦を生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0099104号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0137281号明細書
【特許文献3】特開2020-213550号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ベンチュリ管の性能を改善して、噴射性能の安定性の改善をもたらすことである。特に、本発明の目的は、(0.5Pa・sを超えるような)高い粘度を有する化粧品製剤を使用する噴霧化性能を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するために、本発明はベンチュリデバイスを提供し、ベンチュリデバイスは、長手方向中心軸と、液体製剤を含有する液体容器が液密に取り外し可能にその上に搭載された搭載フランジと、長手方向中心軸に沿って延びる内部通路と、を含み、内部通路は、先細部分の2つの端部の各々にそれぞれ配置された、内径を有する入口および内径を有する出口を含む先細部分と、末広部分の2つの端部の各々にそれぞれ配置された、内径を有する入口および内径を有する出口を含む末広部分と、加速および混合部の2つの端部の各々にそれぞれ配置された、内径を有する入口および内径を有する出口を含む加速および混合部と、を含み、先細部分の出口は加速および混合部の入口に接続され、加速および混合部の出口は末広部分の入口に接続され、搭載フランジを内部通路内に貫通する2つ以上の噴射ポートが搭載フランジ内に形成されること、液体製剤がたかだか0.5Pa・sの粘度を有すること、および入口の内径のサイズが0.1~3mm、好ましくは0.3~0.6mmであることを特徴とする。
【0012】
本発明による実施形態では、噴射ポートは、加速および混合部内に貫通し、2つ以上の噴射ポートは、長手方向中心軸に直角の方向に整列される。
【0013】
本発明による実施形態では、先細部分の入口の内径と、加速および混合部の内径と、末広部分の出口の内径と、の比は、2:1:2~3:1:3である。先細部分の内径は、入口から出口まで直線的にまたは指数関数的に減少し、末広部分の内径は、入口から出口まで直線的にまたは指数関数的に増加する。
【0014】
本発明はまた、上述のベンチュリシステムと、噴射される液体製剤を含有してベンチュリシステムの内部通路と通じている容器と、ベンチュリシステムの先細部分の入口に結合されて入口に加圧ガスを供給するデバイスと、を含む噴射システムを提供する。
【0015】
本発明による実施形態では、デバイスは、加圧ガスを含有するガス容器を含むか、またはベンチュリシステムに供給されるガスを加圧するために、シリンダとシリンダ内に配置されて滑動可能なピストンとを含む。
【0016】
本発明による実施形態では、ピストンは、電気モータによって駆動される。加圧ガスは、空気、CO2、N2、N2O、NO、O2、または生体への利用性を有する非毒性ガスである。
【0017】
本発明は、その非限定的な実施形態についての以下の説明を読めば、また添付の図面を検討すれば、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるベンチュリデバイスの実施形態の長手方向中心軸に沿った断面図である。
【
図2】本発明によるベンチュリデバイスの平面図である。
【
図3】本発明によるベンチュリデバイスを有する噴射システムの断面図である。
【
図4a】性能試験において使用されるベンチュリデバイスの平面図である。
【
図4b】
図4aの断面A-Aに沿った断面図である。
【
図5a】性能試験において使用されるシステムの概略図である。
【
図5b】従来技術におけるベンチュリデバイスを使用するときに2点において測定された粒子速度の結果を示す図である。
【
図5c】本発明によるベンチュリデバイスを使用するときに2点において測定された粒子速度の結果を示す図である。
【
図5d】従来技術におけるベンチュリデバイスを使用するときの粒径およびその累積ボリュームに対する分布の度数の結果を示す図である。
【
図5e】本発明によるベンチュリデバイスを使用するときの粒径およびその累積ボリュームに対する分布の度数の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、
図1から
図5eを参照しながら、本発明のいくつかの例示的な実施形態について説明する。各図では、各要素の幅、長さ、高さ、直径などの縮尺比率は一定でない可能性があり、実際のものと異なる可能性がある。ある図では、ある要素または特徴が、強調のために実際よりも大きくまたは小さく描かれていることに留意されたい。
【0020】
図1は、噴射される液体製剤Lを含有する液体容器200を有する、本発明によるベンチュリデバイス100の実施形態の長手方向中心軸X
1に沿った断面図を概略的に示す。
図2は、ベンチュリデバイス100の平面図を概略的に示す。ベンチュリデバイス100は、液体容器200が好適な手段によって液密に取り外し可能にその上に搭載される搭載フランジ160を含む。容器200は、その開口側の上にフランジ210を含んでよく、フランジ210は、ベンチュリデバイス100のフランジ160に対応する。一例として、限定はしないが、液体容器200は、搭載フランジ160の上にねじ止めで搭載され得る。任意の他の好適な取り付け具が、使用され得る。
【0021】
ベンチュリデバイス100は、長手方向中心軸X
1に沿って連続的に延びる内部通路110を含む。
図1に示すように、内部通路110は、先細部分130と、末広部分140と、加速および混合部150と、を含み、これらは長手方向中心軸X
1に沿って連続的に接続される。加速および混合部150は、先細部分130と末広部分140との間に配置される。
【0022】
先細部分130は、それの各端部にそれぞれ配置された入口132と出口134とを有する。加速および混合部150も、それの各端部にそれぞれ配置された入口152と出口154とを有する。さらに、末広部分140は、それの2つの端部の各々にそれぞれ配置された入口142と出口144とを有する。先細部分130の出口134は、加速および混合部150の入口152に滑らかに連続的に接続される。同様に、加速および混合部150の出口154は、末広部分140の入口142に滑らかに連続的に接続される。
【0023】
先細部分130の入口132および出口134は、それぞれ、内径(最大内径)D1と内径(最小内径)D4とを有する。同様に、末広部分140の入口142および出口144は、それぞれ、内径D5(最小内径)と内径(最大内径)D2とを有する。この実施形態では、先細部分130の内径は、入口132から出口134まで直線的に減少する一方で、末広部分140の内径は、入口142から出口144まで直線的に増加する。しかしながら、先細部分130および末広部分140の内径は、それぞれ、指数関数的に減少および増加してもよい。
【0024】
この実施形態では、加速および混合部150は、入口152から出口154まで一定の内径D3を有する。したがって、この実施形態では、先細部分130の出口134の内径D4は、加速および混合部150の内径D3と同じであり、末広部分140の入口142の内径D5も、加速および混合部150の内径D3と同じである。D1:D3:D2の比は、好ましくは2:1:2~3:1:3である。任意の他の比も、必要に応じて使用され得る。
【0025】
図2に最もよく示されるように、2つの噴射ポート120が、搭載フランジ160内に形成され、長手方向中心軸X
1に対して対称に配置される。すなわち、噴射ポート120は、長手方向中心軸X
1に直角の方向に整列される。噴射ポート120の各々は、搭載フランジ160を内部通路110内に貫通させる。したがって、内部通路110、特に加速および混合部150は、噴射ポート120を介して搭載フランジ160上に搭載された液体容器200と流体連通している。この実施形態では、2つの噴射ポート120が形成されるが、3つ以上の噴射ポート120が形成され得る。
【0026】
図3を参照しながら、本発明によるベンチュリデバイス100を含む噴射システム300の例示的な実施形態の断面図について概略的に説明する。噴射システム300は、主に、ケーシング302と、電気モータ304と、ギヤボックス306と、シリンダ308と、ピストン310と、圧縮バネ312と、バッテリ314と、噴射ノズル316と、取り付け具318と、消音器320と、を含む。
【0027】
ピストン310はシリンダ308内に挿入され、シリンダ308の中で(噴射ノズル316から離れて)後方におよび(噴射ノズル316に向かって)前方に滑動可能である。圧縮バネ312は、一端においてケーシング302に固定され、他端においてピストン310に結合される。電気モータ304はギヤボックス306に結合され、ギヤボックス306の1つのギヤがピストン310上に設けられたラックとかみ合う。モータ304は、バッテリ314によって電力を供給される。ベンチュリデバイス100は、先細部分130の入口132が噴射ノズル316に隣接して配置されるように、取り付け具318によってケーシング302に取り付けられる。消音器320は、末広部分140の出口144を囲むように配置される。
【0028】
使用中、バッテリ314は、モータ304に電力を供給し、モータ304の出力は、ギヤボックス306を介してピストン310に伝達される。モータ304の軸の回転が、ギヤボックス306とピストン310上に設けられたラックとを介してシリンダ308内のピストン310の直線的後退運動に変換される。ピストン310の後退運動が、圧縮バネ312を圧縮する。ピストン310が一定の位置まで後方に動いたとき、ラックがギヤボックス306から外れ、その結果、ピストン310が圧縮バネ312の復元力によって前進する。ピストン310の前進によってシリンダ308内の空気が圧縮され、圧縮空気が、噴射ノズル316を介して内部通路110内に噴射される。内部通路110を通って流れる圧縮空気は、加速および混合部150においてさらに加速され、負圧を発生して、容器200内に含有される液体製剤を噴射ポート120を介して加速および混合部150内に引き込む。引き込まれた液体製剤は、圧縮空気によって噴霧化されて、末広部分140の出口144から噴射される。
【0029】
噴射システムのより詳細な構成および動きが、特許文献3において開示されており、その開示は、参照により本出願に組み込まれる。モータ駆動のピストンの代わりに、噴射システムは、加圧ガスを含有するガス容器(
図5aに示す)を使用してもよい。空気、CO
2、N
2、N
2O、NO、O
2、または生体への利用性を有する非毒性ガスなどが、加圧ガスのために使用され得る。
【0030】
本発明者は、従来技術におけるベンチュリデバイスと比較して、本発明によるベンチュリデバイスの改善を確認するために試験を実施した。
図4aおよび
図4bに示すベンチュリデバイスが使用される。本発明によるベンチュリデバイスと従来技術におけるものとの間の差は、噴射ポートの数である。本発明によるベンチュリデバイスは2つの噴射ポートを有する一方で、従来技術におけるベンチュリデバイスは単一の噴射ポートを有する。
【0031】
試験に使用されたベンチュリデバイスの寸法は以下のとおりである。
- ベンチュリ管の長さ、52.5mm
- 噴射ポートの直径、0.3mm
- 加速および混合部の直径、3.5mm
- 出口の直径、9mm
使用された液体は、水と、1%のヒアルロン酸溶液を0.7%のフェノキシエタノールとともに含む製剤と、の混合物である。液体の粘度は3.37Pa・sである。入力ガスは、化粧品含有物または製剤と相互作用しないCO2、空気、窒素、または任意の他のガスである。入力ガス圧力は、1~10バールである。
【0032】
図5aは、噴射された流体の速度を測定するモデルを概略的に示す。点1は、液体が容器から供給される加速および混合部の半径方向および長手方向の中心に位置する。点2は、出口の半径方向の中心に位置する。
【0033】
図5bおよび
図5cは、それぞれ、噴射の持続時間に対する液体の速度の変動を示すグラフを示しており、持続時間が横軸にプロットされ、液体の速度が縦軸にプロットされる。
図5bは、単一の噴射ポートを有するベンチュリデバイスを使用するときの結果を示す一方で、
図5cは、2つの噴射ポートを有するベンチュリデバイスを使用するときの結果を示す。本発明者は、2つの噴射ポートを有するベンチュリデバイスの結果が、単一の噴射ポートを有するベンチュリデバイスの結果より安定した液体の速度を取得することができることを観察した。
【0034】
図5dおよび
図5eは、液体の粒径の変動を示すグラフを示す。
図5dは、単一の噴射ポートを有するベンチュリデバイスを使用するときの結果を示す一方で、
図5eは、2つの噴射ポートを有するベンチュリデバイスを使用するときの結果を示す。加えて、表1は、粒径の累積ボリューム分布における平均直径を示す。表1内の「Dv10(小さい10%)」は、累積ボリューム分布の10パーセンタイルを意味し、それは、そのサイズより下にサンプルのボリュームの10%が存在するサイズであり、それゆえ、それは、母集団の中の最も細かい粒子に対する変化を追跡するために使用される。表1内の「Dv50(小さい50%)」は、累積ボリューム分布の細かい側から数えた50パーセンタイルを意味する。表1内の「Average_D66%」は、累積ボリューム分布内の粒径の中央66%の平均を意味する。「ギャップ」は、単一のポートの平均直径に対する単一のポートと2つのポートとの間の平均直径の差のパーセンタイルを示す。本発明者は、2つの噴射ポートを有するベンチュリデバイスが、単一の噴射ポートを有するベンチュリデバイスより細かい粒子を取得することができることを観察した。
【0035】
【0036】
上記で説明した実施形態によるベンチュリデバイスの一例の特定のデータを以下に記載する。しかしながら、本発明はこれらの値に限定されない。
- ベンチュリデバイスの長さ、30~100mm
- 加速および混合部の内径、3.5mm
- 先細部分の入口および末広部分の出口の直径、加速および混合部の内径より2~3倍大きい
- 噴射ポートの直径、0.1~1mm、好ましくは0.1~0.6mm
【0037】
本発明の好ましい実施形態について、図面を参照して詳細に上記で説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく、上記で説明した実施形態に、様々な修正および変更が行われる場合があり、そのような修正および変更もまた、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
100 ベンチュリデバイス
110 内部通路
120 噴射ポート
130 先細部分
132 入口
134 出口
140 末広部分
142 入口
144 出口
150 加速および混合部
152 入口
154 出口
160 搭載フランジ
200 液体容器
210 フランジ
300 噴射システム
302 ケーシング
304 電気モータ
306 ギヤボックス
308 シリンダ
310 ピストン
312 圧縮バネ
314 バッテリ
316 噴射ノズル
318 取り付け具
320 消音器
【外国語明細書】