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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025864
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】コンテナ用緊締装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 7/13 20060101AFI20230216BHJP
   B65D 90/12 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
B60P7/13
B65D90/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131272
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】521354695
【氏名又は名称】東原 衛
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】東原 衛
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170AB21
3E170QA03
3E170VA16
3E170WF07
(57)【要約】
【課題】車両1の荷台1bに鉄道コンテナ2を安定して固定できるコンテナ用緊締装置3を提供することを目的とする。
【解決手段】車両1の荷台1bに載置される鉄道コンテナ2を、荷台1bに固定するコンテナ用緊締装置3であって、鉄道コンテナ2の下部に設けたアンカー4との当接によって回動して、アンカー4に係止される係止部13を有するとともに、車幅方向Yに対向して荷台1bに配置される一対の第1緊締金具10と、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制する回動規制機構部とを備え、回動規制機構部は、第1緊締金具10の車幅方向Y内側に配置されるとともに、車幅方向Yの内側から外側へ向けて第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入され、係止部13が接触するピストンロッド32を有する一対の第1アクチュエータ30と、第1アクチュエータ30を駆動させる制御部100とで構成されたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に載置されるコンテナを、前記荷台に固定するコンテナ用緊締装置であって、
前記コンテナの下部に設けたアンカーとの当接によって回動して、前記アンカーに係止される係止部を有するとともに、車幅方向に対向して前記荷台に配置される一対の緊締金具と、
前記アンカーに係止された前記係止部の回動を規制する回動規制機構部とを備え、
該回動規制機構部は、
前記緊締金具の車幅方向内側に配置されるとともに、車幅方向の内側から外側へ向けて前記緊締金具の貫通孔に貫入され、前記係止部が接触する貫入部を有する一対のアクチュエータと、
該アクチュエータを駆動させる駆動手段とで構成された
コンテナ用緊締装置。
【請求項2】
車幅方向に対向して車両の荷台に固定された一対の緊締金具を介して、前記荷台に係止されたコンテナが、前記荷台から離脱することを阻止するコンテナ用緊締装置であって、
前記コンテナの下部に設けたアンカーとの当接によって回動して、前記アンカーに係止された前記緊締金具の係止部の回動を規制する回動規制機構部を備え、
該回動規制機構部は、
前記緊締金具の車幅方向内側に配置されるとともに、車幅方向の内側から外側へ向けて前記緊締金具の貫通孔に貫入され、前記係止部が接触する貫入部を有する一対のアクチュエータと、
該アクチュエータを駆動させる駆動手段とを備えた
コンテナ用緊締装置。
【請求項3】
前記アクチュエータは、
前記貫通孔から露出する前記貫入部の先端に、蓄光材または光を反射する反射板が設けられた構成である
請求項1または請求項2に記載のコンテナ用緊締装置。
【請求項4】
前記アクチュエータは、
前記貫入部の位置を検知する位置センサを有する構成であり、
前記貫入部の位置を点灯によって報知する報知手段を備えた
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のコンテナ用緊締装置。
【請求項5】
前記報知手段は、前記アクチュエータに近接して配置された
請求項4に記載のコンテナ用緊締装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記車両の車室内に配置された
請求項4または請求項5に記載のコンテナ用緊締装置。
【請求項7】
前記回動規制機構部は、
前記荷台への前記コンテナの載置を検知するコンテナ検知センサを備え、
前記駆動手段は、
前記コンテナの載置を前記コンテナ検知センサが検知した場合、前記アクチュエータの前記貫入部を前記緊締金具の前記貫通孔に貫入させる構成である
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載のコンテナ用緊締装置。
【請求項8】
前記アクチュエータを動作させる作業者の操作を受付ける操作受付部、及び前記アクチュエータの状態を表示する表示部を有するとともに、前記駆動手段に通信回線を介して通信可能に接続された携帯端末を備えた
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載のコンテナ用緊締装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば車両の荷台に搭載されるコンテナを、荷台に固定するようなコンテナ用緊締装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道で運ばれたコンテナは、トラックなどの車両に乗せ換えられたのち、目的地へ向けて陸送されている。このため、コンテナを陸送する車両の荷台には、荷台に載置されるコンテナを固定するコンテナ用緊締装置が設けられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、コンテナのアンカー(菱形挟持片)との当接によって回動して、アンカーに係止される係止部(揺動片)を有する緊締金具(ロック装置)と、緊締金具の貫通孔に貫入され、アンカーに係止された係止部の回動を規制するピストンロッドとを備えたコンテナ用緊締装置が開示されている。
【0004】
この特許文献1のピストンロッドは、コンテナが荷台に載置されていない場合、シリンダ内に設けられたコイルバネの付勢力によって、係止部の側面に当接している。そして、コンテナのアンカーとの当接によって係止部が回動した際、特許文献1のピストンロッドは、コイルバネの付勢力によって緊締金具の貫通孔に貫入されるように構成されている。
【0005】
これにより、特許文献1は、車両の荷台に載置されたコンテナを自動的に固定可能にしている。
しかしながら、特許文献1では、コイルバネの付勢力のバラツキ、あるいは経年によるコイルバネの付勢力の低下によって、ピストンロッドのスライド量が安定せず、貫通孔への貫入が不十分となるおそれがある。
【0006】
さらに、係止部の側面に当接したピストンロッドが、錆付きなどによって係止部に固着すると、アンカーとの当接によって係止部が回動した際、ピストンロッドが変形または破損して、貫通孔に貫入できないおそれがある。
このように、特許文献1のコンテナ用緊締装置では、アンカーに係止された係止部の回動を安定して規制できないため、コンテナの固定に改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭56-116240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の問題に鑑み、車両の荷台にコンテナを安定して固定できるコンテナ用緊締装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車両の荷台に載置されるコンテナを、前記荷台に固定するコンテナ用緊締装置であって、前記コンテナの下部に設けたアンカーとの当接によって回動して、前記アンカーに係止される係止部を有するとともに、車幅方向に対向して前記荷台に配置される一対の緊締金具と、前記アンカーに係止された前記係止部の回動を規制する回動規制機構部とを備え、該回動規制機構部は、前記緊締金具の車幅方向内側に配置されるとともに、車幅方向の内側から外側へ向けて前記緊締金具の貫通孔に貫入され、前記係止部が接触する貫入部を有する一対のアクチュエータと、該アクチュエータを駆動させる駆動手段とで構成されたことを特徴とする。
【0010】
またこの発明は、車幅方向に対向して車両の荷台に固定された一対の緊締金具を介して、前記荷台に係止されたコンテナが、前記荷台から離脱することを阻止するコンテナ用緊締装置であって、前記コンテナの下部に設けたアンカーとの当接によって回動して、前記アンカーに係止された前記緊締金具の係止部の回動を規制する回動規制機構部を備え、該回動規制機構部は、前記緊締金具の車幅方向内側に配置されるとともに、車幅方向の内側から外側へ向けて前記緊締金具の貫通孔に貫入され、前記係止部が接触する貫入部を有する一対のアクチュエータと、該アクチュエータを駆動させる駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記貫入部は、例えばアクチュエータのピストンロッド、あるいはピストンロッドに連結された部材などのことをいう。
この発明によれば、コンテナ用緊締装置は、車両の荷台にコンテナを安定して固定することができる。
【0012】
具体的には、駆動手段によって駆動するアクチュエータにより、コンテナ用緊締装置は、例えばコイルバネよりも安定した大きな荷重で貫入部を所望されるスライド量だけスライド移動させることができる。
【0013】
このため、コンテナ用緊締装置は、貫入部を緊締金具の貫通孔に確実に貫入させることができる。
さらに、駆動手段によってアクチュエータが駆動するため、コンテナ用緊締装置は、アンカーが緊締金具に係止されていない場合、アクチュエータの貫入部を係止部から離間させることができる。
【0014】
これにより、コンテナ用緊締装置は、貫入部が係止部に固着することを防止できるため、コンテナのアンカーとの当接によって係止部が回動した際、貫入部が変形または破損することを防止できる。
したがって、コンテナ用緊締装置は、アンカーに係止された係止部の回動を確実に規制できるため、車両の荷台にコンテナを安定して固定することができる。
【0015】
加えて、回動規制機構部がアクチュエータと駆動手段とで構成されているため、例えばアンカーとの当接によって回動して、アンカーに係止される係止部を有する既存の緊締金具を備えた車両であれば、回動規制機構部を容易に追加することができる。このため、コンテナ用緊締装置は、既存の緊締金具を備えた車両であっても、車両の荷台にコンテナを自動的に、かつ安定して固定することができる。
【0016】
この発明の態様として、前記アクチュエータは、前記貫通孔から露出する前記貫入部の先端に、蓄光材または光を反射する反射板が設けられた構成であってもよい。
この構成によれば、貫入部が貫通孔を貫通した際、蓄光材または反射板は、緊締金具よりも車幅方向の外側に露出することになる。
【0017】
このため、コンテナ用緊締装置は、アンカーに係止された係止部の回動が規制されているか否かを作業員に容易に知らせることができる。
例えば、蓄光材が発する光、または反射板が反射した光を視認できない場合、作業員は、アンカーに係止された係止部の回動が規制されていないと判断することができる。
【0018】
一方、蓄光材が発する光、または反射板が反射した光を視認できた場合、作業員は、アンカーに係止された係止部の回動が規制されていると判断することができる。
これにより、コンテナ用緊締装置は、例えば屋内や日陰もしく夜間、あるいは緊締金具から少し離れた場所であっても、作業員によるコンテナの固定状態の確認を容易にするとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記アクチュエータは、前記貫入部の位置を検知する位置センサを有する構成であり、前記貫入部の位置を点灯によって報知する報知手段を備えてもよい。
【0020】
上記貫入部の位置を検知するとは、例えば貫入部の位置を直接的に検知する、あるいは貫入部の移動量から貫入部の位置を検知することをいう。
上記貫入部の位置を点灯によって報知するとは、貫入部が貫通孔を貫通したことを点灯によって報知する、または/および貫入部が貫通孔を貫通していないことを点灯によって報知することをいう。
【0021】
この構成によれば、コンテナ用緊締装置は、貫入部が緊締金具の貫通孔を貫通しているか否かを作業員に確実に知らせることができる。このため、コンテナ用緊締装置は、アクチュエータを駆動させた際、作業員が貫入部を目視で確認する手間を省くことができる。
これにより、コンテナ用緊締装置は、作業員が貫入部の状態を目視で確認してまわる場合に比べて、効率よくコンテナを荷台に固定することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記報知手段は、前記アクチュエータに近接して配置されてもよい。
この構成によれば、報知手段は、荷台とコンテナとの隙間に位置することになる。
【0023】
このため、作業員は、一方のアクチュエータの貫入部と、他方のアクチュエータの貫入部とが、それぞれ緊締金具の貫通孔に貫入しているか否かを、車幅方向の一方側から確認することができる。
【0024】
これにより、コンテナ用緊締装置は、作業員が貫入部の状態を目視で確認してまわる場合に比べて、作業員の移動量を軽減することができる。このため、コンテナ用緊締装置は、より効率よくコンテナを荷台に固定することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記報知手段は、前記車両の車室内に配置されてもよい。
この構成によれば、コンテナ用緊締装置は、アンカーに係止された係止部の回動の規制を車室内で確認することができる。このため、コンテナ用緊締装置は、例えばコンテナの荷台への固定が不十分なまま、車両が走行開始することを防止できる。
【0026】
さらに、例えばアンカーに係止された係止部の回動の規制が、走行中に意図せず解除された際、報知手段が点灯または消灯することで、コンテナ用緊締装置は、回動規制機構部の異常を早期に運転手に知らせることができる。
これにより、コンテナ用緊締装置は、車両の走行前、及び車両の走行中であっても、コンテナの固定状態を容易に確認できるため、コンテナの安定した固定状態を維持することができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記回動規制機構部は、前記荷台への前記コンテナの載置を検知するコンテナ検知センサを備え、前記駆動手段は、前記コンテナの載置を前記コンテナ検知センサが検知した場合、前記アクチュエータの前記貫入部を前記緊締金具の前記貫通孔に貫入させる構成であってもよい。
【0028】
前記コンテナ検知センサは、コンテナを直接的に検知するセンサ、またはアンカーの当接による係止部の回動を、コンテナの載置として検知するセンサのこという。
この構成によれば、コンテナ用緊締装置は、車両の荷台に載置されたコンテナを、荷台に自動的に固定することができる。
【0029】
このため、コンテナ用緊締装置は、アクチュエータを動作させる作業員の操作を不要にすることができる。これにより、コンテナ用緊締装置は、コンテナの固定に係る作業性を向上することができる。
【0030】
またこの発明の態様として、前記アクチュエータを動作させる作業者の操作を受付ける操作受付部、及び前記アクチュエータの状態を表示する表示部を有するとともに、前記駆動手段に通信回線を介して通信可能に接続された携帯端末を備えてもよい。
【0031】
この構成によれば、駆動手段と携帯端末とが通信可能に接続されているため、コンテナ用緊締装置は、アクチュエータを遠隔操作することができる。このため、コンテナ用緊締装置は、例えば作業者が車両に固定された操作盤まで移動して、アクチュエータを動作させることを不要にでき、作業者の移動量を軽減することができる。
【0032】
さらに、例えばアクチュエータに不具合が生じた際、コンテナ用緊締装置は、アクチュエータの状態を携帯端末に通知することで、作業者または車両の乗員にアクチュエータの不具合を早期に知ることができる。
これにより、コンテナ用緊締装置は、コンテナの固定に係る作業性の向上と、作業員または車両の乗員に対する利便性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明により、車両の荷台にコンテナを安定して固定できるコンテナ用緊締装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】鉄道コンテナが搭載された車両の概略を側面視で説明する説明図。
図2】コンテナ用緊締装置の概略を平面視で説明する説明図。
図3】コンテナ用緊締装置の構成を示すブロック図。
図4】車幅方向の内側から見た係止状態の第1緊締金具を示す側面図。
図5】車幅方向の内側から見た非係止状態の第1緊締金具を示す側面図。
図6】ピストンロッドが後退位置に位置する第1アクチュエータを示す平面図。
図7図6中のA-A矢視断面図。
図8】アンカーが第1緊締金具に嵌合する過程を説明する説明図。
図9】ピストンロッドが前進位置に位置する第1アクチュエータを示す平面図。
図10】制御部が実行する処理動作を示すフローチャート。
図11】実施例2におけるコンテナ用緊締装置の構成を示すブロック図。
図12】携帯端末に表示された操作画面を説明する説明図。
図13】制御部が実行する処理動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
【実施例0036】
実施例1のコンテナ用緊締装置3は、車両1の荷台1bに搭載される鉄道コンテナ2を、荷台1bに固定する装置である。このようなコンテナ用緊締装置3について、図1から図9を用いて説明する。
【0037】
なお、図1は鉄道コンテナ2が搭載された車両1の概略を側面視で説明する説明図を示し、図2はコンテナ用緊締装置3の概略を平面視で説明する説明図を示し、図3はコンテナ用緊締装置3のブロック図を示している。
【0038】
さらに、図4は車幅方向Yの内側から見た係止状態における第1緊締金具10の側面図を示し、図5は車幅方向Yの内側から見た非係止状態における第1緊締金具10の側面図を示し、図6はピストンロッド32が後退位置に位置する第1アクチュエータ30の平面図を示している。
【0039】
加えて、図7図6中のA-A矢視断面図を示し、図8はアンカー4が第1緊締金具10に嵌合する過程を説明する説明図を示し、図9はピストンロッド32が前進位置に位置する第1アクチュエータ30の平面図を示している。
【0040】
また、図1中の上側を上方とし、図1中の下側を下方として、図中の矢印Xは車両1の前後方向(以下、前後方向Xとする)を示し、図中の矢印Yは車両1の車幅方向(以下、車幅方向Yとする)を示している。
さらに、車幅方向Yのうち、矢印INは車幅方向Yの内側を示し、矢印OUTは車幅方向Yの外側を示している。
【0041】
まず、実施例1の車両1は、図1及び図2に示すように、乗員が乗り込む車室部1aと、車室部1aの後部に連結された荷台1bとで構成されている。この車両1の荷台1bには、図1に示すように、二つの鉄道コンテナ2が前後方向Xに沿って並置される。
【0042】
さらに、この車両1には、図1及び図2に示すように、鉄道コンテナ2をそれぞれ固定するための装置として、コンテナ用緊締装置3が設けられている。このコンテナ用緊締装置3は、エンジンが停止しているか否かに関わらず、バッテリーからの電力の供給を受けて動作するものとする。
【0043】
コンテナ用緊締装置3は、図1及び図2に示すように、荷台1bの車両前方側に配置された一対の第1緊締金具10と、第1緊締金具10に隣接して配置された第1コンテナ検知センサ20及び一対の第1アクチュエータ30とを備えている。
【0044】
さらに、コンテナ用緊締装置3は、図1及び図2に示すように、荷台1bの車両後方側に配置された一対の第2緊締金具50と、第2緊締金具50に隣接して配置された第2コンテナ検知センサ60及び一対の第2アクチュエータ70とを備えている。
【0045】
加えて、コンテナ用緊締装置3は、図2及び図3に示すように、第1アクチュエータ30の状態を点灯によって報知する第1報知部40と、第2アクチュエータ70の状態を点灯によって報知する第2報知部80と、作業者の各種操作を受付ける操作受付部90と、上述した各部の動作を制御する制御部100とを備えている。
【0046】
一対の第1緊締金具10は、図2に示すように、車幅方向Yで対向配置されるとともに、荷台1bの上面における車幅方向Yの縁端に固定されている。この第1緊締金具10は、図4に示すように、鉄道コンテナ2の底面に設けたアンカー4が係止される金具である。
【0047】
ここで、鉄道コンテナ2のアンカー4について、簡単に説明する。鉄道コンテナ2のアンカー4は、鉄道コンテナ2の前後方向Xの略中央において、車幅方向Yに対向配置されている。
【0048】
このアンカー4は、図4及び図5に示すように、側面視において、鉄道コンテナ2の底面に固定される基部4aと、基部4aから下方へ延びる首部4bと、上辺が長辺となる略台形状の先端部4cとで、下向きの略矢印形状に形成されている。
さらに、アンカー4は、先端部4cにおける前後方向Xへ突出した部分が、第1緊締金具10が係止される被係止部分4dとなるように形成されている。
【0049】
上述した第1緊締金具10は、図5及び図6に示すように、荷台1bの上面に固定される金具本体11と、金具本体11に挿通された一対の軸部12と、軸部12に回転自在に軸支された一対の係止部13とで構成されている。
【0050】
第1緊締金具10の金具本体11は、図5に示すように、前後方向Xに長い側面視略矩形であって、上方が開口するとともに、一対の係止部13を内部に収容可能な形状に形成されている。
【0051】
具体的には、金具本体11は、図5及び図6に示すように、車幅方向Yに所定間隔を隔てて対向する外側面部14及び内側面部15と、外側面部14と内側面部15との間を塞ぐ前面部16、後面部17、及び底面部18とで、上方が開口した形状に形成されている。
【0052】
さらに、金具本体11には、図4から図7に示すように、車幅方向Yの外側への鉄道コンテナ2の移動を規制する規制壁部19と、後述する第1アクチュエータ30のピストンロッド32が貫入する貫通孔11aとが形成されている。
【0053】
より詳しくは、外側面部14及び内側面部15は、図5から図7に示すように、車幅方向Yに厚みを有する板状であって、前後方向Xの略中央が下方へ向けて凹んだ凹形状に形成されている。この下方へ向けて凹んだ凹部分は、アンカー4が上方から下方へ向けて嵌合するアンカー嵌合部11bとして形成されている。
【0054】
さらに、外側面部14には、図6及び図7に示すように、前後方向Xの略中央における下部を、車幅方向Yに貫通する孔部14aが開口形成されている。この外側面部14の孔部14aは、後述する第1アクチュエータ30のピストンロッド32よりも僅かに大径に開口形成されている。
【0055】
加えて、内側面部15には、図5及び図6に示すように、外側面部14の孔部14aに対向する位置に、車幅方向Yに貫通する孔部15aが開口形成されている。この内側面部15の孔部15aは、外側面部14の孔部14aと同じ直径で開口形成されている。
【0056】
規制壁部19は、図6及び図7に示すように、車幅方向Yに厚みを有する板状であって、アンカー嵌合部11bを車幅方向Yの外側から覆うように、外側面部14に一体的に形成されている。
貫通孔11aは、図5及び図6に示すように、後述する第1アクチュエータ30のピストンロッド32が車幅方向Yに貫通する開口であって、外側面部14の孔部14a、外側面部14と内側面部15との間の空間、及び内側面部15の孔部15aで構成されている。
【0057】
また、第1緊締金具10の一対の軸部12は、図5に示すように、貫通孔11aの中心よりも僅かに上方の位置において、貫通孔11aの中心を通る略鉛直な対象軸で線対称となる位置に配置されている。この軸部12は、車幅方向Yに延びる柱状部材であって、金具本体11における外側面部14及び内側面部15に設けた開口(符号省略)に挿通されている。
【0058】
また、第1緊締金具10の一対の係止部13は、図4から図6に示すように、金具本体11における外側面部14と内側面部15との間に配置されるとともに、それぞれ軸部12に回転自在に軸支されている。
【0059】
この係止部13は、図7に示すように、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合していない状態において、貫通孔11a側とは前後方向Xで逆側の部分が、金具本体11の底面部18に当接して、軸部12を中心とした回動が規制される形状に形成されている。
【0060】
さらに、係止部13は、図8に示すように、アンカー嵌合部11bに嵌合開始したアンカー4との当接によって、上部が他方の係止部13へ向かうように、軸部12を中心に回動可能な状態で軸支されている。
【0061】
なお、係止部13は、側面視おいて、重心位置よりも上方の位置が軸部12によって支持されている。これにより、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合していない場合、係止部13は、金具本体11の底面部18に当接する。
【0062】
詳述すると、係止部13は、図4図5、及び図7に示すように、側面視において、車幅方向Yに厚みを有する略扇形の本体部分13aに、アンカー4が当接する当接部分13bと、アンカー4に係止される爪部分13cと、貫通孔11aへのピストンロッド32の貫入を規制する規制部分13dとが突設された形状に形成されている。
【0063】
係止部13の本体部分13aは、図7に示すように、軸部12に軸支された状態において、貫通孔11a側を中心点側として、貫通孔11aから前後方向Xに離間した端面が円弧面となる側面視略扇形に形成されている。
【0064】
係止部13の当接部分13bは、図7に示すように、側面視において、本体部分13aの中心点側(貫通孔11a側)の上部に突設されている。より詳しくは、当接部分13bは、図5に示すように、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合していない状態において、アンカー嵌合部11bに突出する形状に形成されている。
【0065】
なお、当接部分13bは、図4に示すように、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合した際、軸部12を中心とした回動によって、金具本体11の内部に収容されるとともに、貫通孔11aに側面視で重合しない形状に形成されている。
【0066】
係止部13の爪部分13cは、図7に示すように、側面視において、本体部分13aにおける円弧面側の上部に他方の係止部13へ向けて突設されている。より詳しくは、爪部分13cは、図5に示すように、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合していない状態において、金具本体11の内部に収容されるとともに、アンカー嵌合部11bに突出しない形状に形成されている。
【0067】
なお、爪部分13cは、図4に示すように、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合した際、軸部12を中心とした回動によって、金具本体11の内部から突出して、アンカー4の被係止部分4dに係止される形状に形成されている。
【0068】
係止部13の規制部分13dは、図4及び図7に示すように、側面視において、貫通孔11aの直径よりも僅かに大きい間隔を隔てて、当接部分13bの下方の位置に突設されている。
より詳しくは、規制部分13dは、図5に示すように、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合していない状態において、貫通孔11aに側面視で重合する形状に形成されている。
【0069】
なお、規制部分13dは、図4に示すように、アンカー4がアンカー嵌合部11bに嵌合した際、軸部12を中心とした回動によって、貫通孔11aの下方に位置し、外側面部14の孔部14aと内側面部15の孔部15aとを連通させる形状に形成されている。
【0070】
また、第1コンテナ検知センサ20は、図2及び図3に示すように、一方の第1緊締金具10の近傍における荷台1bの上面に配置されるとともに、後述する制御部100に電気的に接続されている。
【0071】
この第1コンテナ検知センサ20は、荷台1bに載置された鉄道コンテナ2を検知する機能と、鉄道コンテナ2を検知したことを示す信号を制御部100に出力する機能とを有している。
【0072】
なお、第1コンテナ検知センサ20は、第1緊締金具10のアンカー嵌合部11bにアンカー4が嵌合した際に、鉄道コンテナ2を検知するように構成されている。換言すると、第1コンテナ検知センサ20は、鉄道コンテナ2の荷台1bへの載置を、第1緊締金具10の係止部13がアンカー4に係止された状態として検知している。
【0073】
また、一対の第1アクチュエータ30は、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制する回動規制機構部を、後述する制御部100とで構成している。この一対の第1アクチュエータ30は、図2に示すように、第1緊締金具10の車幅方向Yの内側で車幅方向Yに対向配置されるとともに、第1緊締金具10へ向けてピストンロッド32を出没可能に構成されている。
【0074】
このピストンロッド32は、図4及び図9に示すように、係止部13がアンカー4に係止された状態において、第1緊締金具10の貫通孔11aを貫通して、車幅方向Yの外側へ突出可能に構成されている。
【0075】
そして、一対の第1アクチュエータ30は、図4及び図9に示すように、第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入されたピストンロッド32に、アンカー4に係止された係止部13が接触することで、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制している。
【0076】
この第1アクチュエータ30は、図3示すように、例えば後述する制御部100に電気的に接続された電動アクチュエータであって、制御部100からの制御信号に基づいて動作する。なお、第1アクチュエータ30は、電力供給が途切れた場合であっても、ピストンロッド32の状態を維持できるように構成されている。
【0077】
具体的には、第1アクチュエータ30は、図6及び図9に示すように、荷台1bの上面に固定されるシリンダ31と、車幅方向Yに出没可能にシリンダ31に収容されたピストンロッド32と、ピストンロッド32の位置を検知する後退位置センサ33及び前進位置センサ34とを備えている。
【0078】
ピストンロッド32は、図6及び図9に示すように、先端が第1緊締金具10から離間してシリンダ31の内部に収容される後退位置と、シリンダ31から突出して第1緊締金具10の貫通孔11aを貫通する前進位置とにスライド移動可能に構成されている。
さらに、ピストンロッド32には、図6及び図9に示すように、第1緊締金具10よりも車幅方向Yの外側に露出する先端部分に、光を反射する反射板35が巻着されている。
【0079】
後退位置センサ33は、図3及び図6に示すように、シリンダ31に一体的に設けられるともに、後述する制御部100に電気的に接続されている。この後退位置センサ33は、ピストンロッド32が後退位置に位置するか否かを検知する機能と、ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を制御部100に出力する機能とを有している。
【0080】
前進位置センサ34は、図3及び図6に示すように、シリンダ31に一体的に設けられるとともに、後述する制御部100に電気的に接続されている。この前進位置センサ34は、ピストンロッド32が前進位置に位置するか否かを検知する機能と、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を制御部100に出力する機能とを有している。
【0081】
また、第1報知部40は、図2図3、及び図6に示すように、車室部1aの車内に配置された車内側ランプ41と、車室部1aの外部に配置された車外側ランプ42とで構成されている。
【0082】
より詳しくは、車内側ランプ41は、一方の第1アクチュエータ30に対応するランプと、他方の第1アクチュエータ30に対応するランプとで構成されている。この車内側ランプ41は、図2及び図3に示すように、車室部1aに着座した乗員が視認可能な位置に配置されるとともに、後述する制御部100に電気的に接続されている。
【0083】
一方、車外側ランプ42は、図3及び図6に示すように、第1アクチュエータ30にそれぞれ装着されるとともに、後述する制御部100に電気的に接続されている。この車外側ランプ42は、図9に示すように、前後方向Xの一方及び車幅方向Yへ光を照射可能に配置されている。
【0084】
このような車内側ランプ41及び車外側ランプ42は、ピストンロッド32が前進位置に位置することを前進位置センサ34が検知した場合、制御部100からの制御信号に基づいて点灯する。
【0085】
さらに、車内側ランプ41及び車外側ランプ42は、例えばピストンロッド32が後退位置に位置する場合に消灯し、第1アクチュエータ30に意図しない不具合が生じた場合点滅するように構成されている。
【0086】
また、第2緊締金具50、第2コンテナ検知センサ60、第2アクチュエータ70、及び第2報知部80は、それぞれ第1緊締金具10、第1コンテナ検知センサ20、第1アクチュエータ30、及び第1報知部40と同じ構成である。このため、実施例1では、第2緊締金具50、第2コンテナ検知センサ60、第2アクチュエータ70、及び第2報知部80の詳細な説明を省略する。
【0087】
なお、第2緊締金具50は、第1緊締金具10と同様に、荷台1bの上面に固定される金具本体と、金具本体に挿通された一対の軸部と、軸部に回転自在に軸支された一対の係止部とで構成されている。
【0088】
また、第2アクチュエータ70は、図2及び図3に示すように、第1アクチュエータ30と同様に、荷台1bに固定されるシリンダと、車幅方向Yに出没可能にシリンダに収容されたピストンロッドと、ピストンロッドの位置を検知する後退位置センサ71及び前進位置センサ72とを備えている。
【0089】
また、第2報知部80は、図2及び図3に示すように、第1報知部40と同様に、車室部1aの車内に配置された車内側ランプ81と、車室部1aの外部に配置された車外側ランプ82とで構成されている。
【0090】
また、操作受付部90は、図2に示すように、車室部1aの後面に配置され、鉄道コンテナ2を荷台1bに載置する作業員の操作を受付けて、第1アクチュエータ30及び第2アクチュエータ70を、作業員の操作によってそれぞれ独立して動作させるために設けている。
【0091】
この操作受付部90は、図3に示すように、後述する制御部100に電気的に接続され、作業員の操作を受付ける機能と、受付けた操作に応じた信号を制御部100に出力する機能とを有している。
【0092】
なお、詳細な図示を省略するが、操作受付部90は、第1アクチュエータ30のピストンロッド32を後退位置に移動させる解除ボタンと、第1アクチュエータ30のピストンロッド32を前進位置に移動させるロックボタンと、第1報知部40の点灯に応じて点灯する第1報知ランプとを備えている。
【0093】
さらに、操作受付部90は、第2アクチュエータ70のピストンロッドを後退位置に移動させる解除ボタンと、第2アクチュエータ70のピストンロッドを前進位置に移動させるロックボタンと、第2報知部80の点灯に応じて点灯する第2報知ランプとを備えている。
【0094】
また、制御部100は、CPUやメモリなどのハードウェアと、制御プログラムなどのソフトウェアとで構成されている。この制御部100は、第1コンテナ検知センサ20、第1アクチュエータ30、第1報知部40、第2コンテナ検知センサ60、第2アクチュエータ70、第2報知部80、及び操作受付部90との各種信号の授受に係る処理機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0095】
次に、作業者が鉄道コンテナ2をクレーンで吊り上げて、鉄道コンテナ2の荷台1bへの搭載を開始した際、コンテナ用緊締装置3の制御部100が行う処理動作について、制御部100が実行する処理動作のフローチャートを示す図10を用いて説明する。
【0096】
なお、制御部100が行う処理動作は、鉄道コンテナ2が第1緊締金具10に固定される場合と、鉄道コンテナ2が第2緊締金具50に固定される場合とで同じである。このため、実施例1では、鉄道コンテナ2が第1緊締金具10に固定される場合について説明する。
また、第1アクチュエータ30のピストンロッド32は、鉄道コンテナ2が荷台1bに載置されていない場合、後退位置に位置するものとする。
【0097】
処理動作を開始したコンテナ用緊締装置3の制御部100は、鉄道コンテナ2の検知を示す信号を第1コンテナ検知センサ20から取得したか否かを判定する(ステップS101)。鉄道コンテナ2の検知を示す信号を取得していない場合(ステップS101:No)、制御部100は、鉄道コンテナ2の検知を示す信号を第1コンテナ検知センサ20から取得するまで処理を待機する。
【0098】
一方、鉄道コンテナ2の検知を示す信号を取得した場合(ステップS101:Yes)、制御部100は、荷台1bに載置された鉄道コンテナ2のアンカー4に、第1緊締金具10の係止部13が係止されたものとして、第1アクチュエータ30へ制御信号を出力し、ピストンロッド32を前進位置へスライド移動させる(ステップS102)。
【0099】
その後、制御部100は、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を前進位置センサ34から取得したか否かを判定する(ステップS103)。
ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得していない場合(ステップS103:No)、制御部100は、ピストンロッド32が第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入完了していないものとして、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得するまで処理を待機する。
【0100】
一方、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得した場合(ステップS103:Yes)、制御部100は、第1アクチュエータ30のピストンロッド32が第1緊締金具10の貫通孔11aを貫通したものとして、第1報知部40に制御信号を出力し、第1報知部40を点灯させる。
【0101】
この際、作業者は、第1報知部40の点灯、またはピストンロッド32の反射板35で反射した光によって、荷台1bへの鉄道コンテナ2の固定を判断する。
例えば、作業者は、荷台1bと鉄道コンテナ2との隙間から第1アクチュエータ30に隣接する車外側ランプ42が二つとも点灯していることを目視で確認して、鉄道コンテナ2が荷台1bに固定されたと判断する。
【0102】
あるいは、作業者は、第1報知部40の車内側ランプ41が二つとも点灯していることを目視で確認して、鉄道コンテナ2が荷台1bに固定されたと判断する。
もしくは、作業者は、ピストンロッド32の反射板35で反射する光を目視で確認して、鉄道コンテナ2が荷台1bに固定されたと判断する。
【0103】
第1報知部40を点灯させると、制御部100は、前進位置センサ34が出力する信号に基づいて、ピストンロッド32が前進位置に位置しているか否かを判定する(ステップS105)。
【0104】
ピストンロッド32が前進位置に位置する場合(ステップS105:Yes)、制御部100は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制された状態が維持されているものとして、処理を進める。
【0105】
その後、制御部100は、第1アクチュエータ30のピストンロッド32を後退位置に移動させる解除ボタンの押下を示す信号を、操作受付部90から取得したか否かを判定する(ステップS106)。
【0106】
解除ボタンの押下を示す信号を操作受付部90から取得していない場合(ステップS106:No)、制御部100は、処理をステップS105に戻す。すなわち、制御部100は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制された状態を維持する。
【0107】
一方、解除ボタンの押下を示す信号を操作受付部90から取得した場合(ステップS106:Yes)、制御部100は、第1アクチュエータ30へ制御信号を出力して、ピストンロッド32を後退位置へスライド移動させる(ステップS107)。
その後、制御部100は、ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を後退位置センサ33から取得したか否かを判定する(ステップS108)。
【0108】
ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を取得していない場合(ステップS108:No)、制御部100は、ピストンロッド32が第1緊締金具10の貫通孔11aから離脱していないものとして、ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を取得するまで処理を待機する。
【0109】
一方、ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を取得した場合(ステップS108:Yes)、制御部100は、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制した状態が解除されたと判別する。
【0110】
そこで、制御部100は、第1報知部40に制御信号を出力し、第1報知部40を消灯させたのち(ステップS109)、処理をステップS101に戻す。
一方、作業者は、第1報知部40の消灯を確認したのち、鉄道コンテナ2をクレーンで吊り上げて荷台1bから搬出する。
【0111】
また、図10のステップS105において、ピストンロッド32が前進位置に位置しない場合(ステップS105:No)、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制した状態が解除されたおそれがあるため、制御部100は、第1アクチュエータ30の不具合を乗員または作業員に知らせるエラー報知を開始する(ステップS110)。
【0112】
例えば、制御部100は、第1報知部40を点滅させて、乗員または作業員に第1アクチュエータ30の不具合を知らせる。
この際、制御部100は、乗員または作業員の操作を受付けるまで、エラー報知を実行し、処理をステップS101に戻す。
【0113】
このようにして、実施例1のコンテナ用緊締装置3は、鉄道コンテナ2の荷台1bへの固定を自動的に行うとともに、作業員による鉄道コンテナ2の固定の確認を容易にしている。
【0114】
以上のように、実施例1のコンテナ用緊締装置3は、車両1の荷台1bに載置される鉄道コンテナ2を、荷台1bに固定する装置である。
このコンテナ用緊締装置3は、鉄道コンテナ2の下部に設けたアンカー4との当接によって回動して、アンカー4に係止される係止部13を有するとともに、車幅方向Yに対向して荷台1bに配置される一対の第1緊締金具10を備えたものである。
【0115】
さらに、コンテナ用緊締装置3は、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制する回動規制機構部を備えたものである。
この回動規制機構部は、第1緊締金具10の車幅方向Yの内側に配置されるとともに、車幅方向Yの内側から外側へ向けて第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入され、係止部13が接触するピストンロッド32を有する一対の第1アクチュエータ30と、第1アクチュエータ30を駆動させる制御部100とで構成されたものである。
【0116】
また、実施例1のコンテナ用緊締装置3は、車幅方向Yに対向して車両1の荷台1bに固定された一対の第1緊締金具10を介して、荷台1bに係止された鉄道コンテナ2が、荷台1bから離脱することを阻止する装置である。
【0117】
このコンテナ用緊締装置3は、鉄道コンテナ2の下部に設けたアンカー4との当接によって回動して、アンカー4に係止された第1緊締金具10の係止部13の回動を規制する回動規制機構部を備えたものである。
【0118】
そして、回動規制機構部は、第1緊締金具10の車幅方向Yの内側に配置されるとともに、車幅方向Yの内側から外側へ向けて第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入され、係止部13が接触するピストンロッド32を有する一対の第1アクチュエータ30と、第1アクチュエータ30を駆動させる制御部100とを備えたものである。
【0119】
この構成によれば、コンテナ用緊締装置3は、車両1の荷台1bに鉄道コンテナ2を安定して固定することができる。
具体的には、制御部100によって駆動する第1アクチュエータ30により、コンテナ用緊締装置3は、例えばコイルバネよりも安定した大きな荷重でピストンロッド32を所望されるスライド量だけスライド移動させることができる。
【0120】
このため、コンテナ用緊締装置3は、ピストンロッド32を第1緊締金具10の貫通孔11aに確実に貫入させることができる。
【0121】
さらに、制御部100によって第1アクチュエータ30が駆動するため、コンテナ用緊締装置3は、アンカー4が第1緊締金具10に係止されていない場合、第1アクチュエータ30のピストンロッド32を係止部13から離間させることができる。
【0122】
これにより、コンテナ用緊締装置3は、ピストンロッド32が係止部13に固着することを防止できるため、鉄道コンテナ2のアンカー4との当接によって係止部13が回動した際、ピストンロッド32が変形または破損することを防止できる。
【0123】
したがって、コンテナ用緊締装置3は、アンカー4に係止された係止部13の回動を確実に規制できるため、車両1の荷台1bに鉄道コンテナ2を安定して固定することができる。
【0124】
加えて、回動規制機構部が第1アクチュエータ30と制御部100とで構成されているため、例えばアンカー4との当接によって回動して、アンカー4に係止される係止部を有する既存の緊締金具を備えた車両であれば、回動規制機構部を容易に追加することができる。このため、コンテナ用緊締装置3は、既存の緊締金具を備えた車両であっても、車両の荷台に鉄道コンテナ2を自動的に、かつ安定して固定することができる。
【0125】
また、第1アクチュエータ30は、貫通孔11aから露出するピストンロッド32の先端に光を反射する反射板35が設けられたものである。
この構成によれば、ピストンロッド32が貫通孔11aを貫通した際、反射板35は、第1緊締金具10よりも車幅方向Yの外側に露出することになる。
【0126】
このため、コンテナ用緊締装置3は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制されているか否かを作業員に容易に知らせることができる。
例えば、反射板35が反射した光を視認できない場合、作業員は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制されていないと判断することができる。
【0127】
一方、反射板35が反射した光を視認できた場合、作業員は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制されていると判断することができる。
これにより、コンテナ用緊締装置3は、例えば屋内や日陰もしく夜間、あるいは第1緊締金具10から少し離れた場所であっても、作業員による鉄道コンテナ2の固定状態の確認を容易にするとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0128】
また、第1アクチュエータ30は、ピストンロッド32の位置を検知する後退位置センサ33及び前進位置センサ34を有する構成である。そして、コンテナ用緊締装置3は、ピストンロッド32の位置を点灯によって報知する報知手段(第1報知部40及び制御部100)を備えたものである。
【0129】
この構成によれば、コンテナ用緊締装置3は、ピストンロッド32が第1緊締金具10の貫通孔11aを貫通しているか否かを作業員に確実に知らせることができる。このため、コンテナ用緊締装置3は、第1アクチュエータ30を駆動させた際、作業員がピストンロッド32を目視で確認する手間を省くことができる。
【0130】
これにより、コンテナ用緊締装置3は、作業員がピストンロッド32の状態を目視で確認してまわる場合に比べて、効率よく鉄道コンテナ2を荷台1bに固定することができる。
【0131】
また、第1報知部40の車外側ランプ42は、第1アクチュエータ30に近接して配置されたものである。
この構成によれば、第1報知部40の車外側ランプ42は、荷台1bと鉄道コンテナ2との隙間に位置することになる。
【0132】
このため、作業員は、一方の第1アクチュエータ30のピストンロッド32と、他方の第1アクチュエータ30のピストンロッド32とが、それぞれ第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入しているか否かを、車幅方向Yの一方側から確認することができる。
【0133】
これにより、コンテナ用緊締装置3は、作業員がピストンロッド32の状態を目視で確認してまわる場合に比べて、作業員の移動量を軽減することができる。このため、コンテナ用緊締装置3は、より効率よく鉄道コンテナ2を荷台1bに固定することができる。
【0134】
また、第1報知部40の車内側ランプ41は、車両1の車室内に配置されたものである。
この構成によれば、コンテナ用緊締装置3は、アンカー4に係止された係止部13の回動の規制を車室内で確認することができる。このため、コンテナ用緊締装置3は、例えば鉄道コンテナ2の荷台1bへの固定が不十分なまま、車両1が走行開始することを防止できる。
【0135】
さらに、例えばアンカー4に係止された係止部13の回動の規制が、走行中に意図せず解除された際、第1報知部40の車内側ランプ41が消灯することで、コンテナ用緊締装置3は、回動規制機構部の異常を早期に運転手に知らせることができる。
これにより、コンテナ用緊締装置3は、車両1の走行前、及び車両1の走行中であっても、鉄道コンテナ2の固定状態を容易に確認できるため、鉄道コンテナ2の安定した固定状態を維持することができる。
【0136】
また、回動規制機構部は、荷台1bへの鉄道コンテナ2の載置を検知する第1コンテナ検知センサ20を備えたものである。さらに、制御部100は、鉄道コンテナ2の載置を第1コンテナ検知センサ20が検知した場合、第1アクチュエータ30のピストンロッド32を第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入させる構成である。
【0137】
この構成によれば、コンテナ用緊締装置3は、車両1の荷台1bに載置された鉄道コンテナ2を、荷台1bに自動的に固定することができる。
このため、コンテナ用緊締装置3は、第1アクチュエータ30を動作させる作業員の操作を不要にすることができる。これにより、コンテナ用緊締装置3は、鉄道コンテナ2の固定に係る作業性を向上することができる。
【0138】
また、第2緊締金具50、第2コンテナ検知センサ60、第2アクチュエータ70、及び第2報知部80においても上述の実施例1と同様に動作するため、コンテナ用緊締装置3は、鉄道コンテナ2が第2緊締金具50に固定される場合も、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。
【実施例0139】
次に、作業員が携帯する携帯端末200を備えたコンテナ用緊締装置3について、図11及び図12を用いて説明する。なお、実施例2のコンテナ用緊締装置3は、実施例1の第1コンテナ検知センサ20、第1報知部40、第2コンテナ検知センサ60、第2報知部80、及び操作受付部90を備えていない。
【0140】
また、図11は実施例2におけるコンテナ用緊締装置3のブロック図を示し、図12は携帯端末200に表示された操作画面6を説明する説明図を示している。
また、上述した実施例1と同じ構成は、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0141】
実施例2のコンテナ用緊締装置3は、図11に示すように、車両1の荷台1bに固定された一対の第1緊締金具10及び一対の第2緊締金具50と、車両1に搭載された第1アクチュエータ30及び第2アクチュエータ70と、制御部100と、通信回線5に接続される回線接続部91とを備えている。
【0142】
さらに、実施例2のコンテナ用緊締装置3は、図11に示すように、例えば作業員が携帯する端末であって、通信回線5を介して車両1に接続される携帯端末200を備えている。
【0143】
車両1の回線接続部91は、例えば無線通信機などで構成され、通信回線5に接続する機能と、通信回線5を介した各種情報の送受信を行う機能とを有している。
【0144】
また、携帯端末200は、図11に示すように、操作表示部201と、記憶部202と、回線接続部203と、端末制御部204とで構成されている。
【0145】
具体的には、操作表示部201は、例えばタッチパネルなどで構成され、作業者に対して各種情報を表示する機能と、作業者の各種操作を受付ける機能と、受付けた操作を示す情報を端末制御部204へ出力する機能とを有している。
【0146】
また、記憶部202は、ハードディスクあるいは不揮発性メモリなどで構成され、各種情報を書き込んで記憶する機能と、各種情報を読み出す機能とを有している。この記憶部202は、操作表示部201に表示される画面に関する情報などが記憶されている。
【0147】
また、端末制御部204は、CPU及びメモリなどをハード構成と、プログラム及びデータなどのソフト構成とで構成されている。この端末制御部204は、操作表示部201、記憶部202、及び回線接続部203との各種信号の授受に係る処理機能と、車両1に設けた制御部100から取得した各種情報を処理する機能と、所定のバスを介して接続された各部の動作を制御する機能とを有している。
【0148】
上述した構成の携帯端末200は、図12に示すように、第1アクチュエータ30及び第2アクチュエータ70を操作するための操作画面6が表示されている。
この操作画面6には、図12に示すように、画面上部に第1アクチュエータ30の操作に関する各種情報が表示され、画面下部に第2アクチュエータ70の操作に関する各種情報が表示されている。
【0149】
具体的には、操作画面6の画面上部には、図12に示すように、第1アクチュエータ30のピストンロッド32を後退位置へ移動開始させる「解除」側と、ピストンロッド32を前進位置へ移動開始させる「ロック」側との間をスライド移動可能な第1スライドボタン6aが表示されている。
【0150】
さらに、操作画面6の画面上部には、車両1の制御部100から取得した第1アクチュエータ30の状態を示す情報をステータスとして表示するステータス欄6bが、第1スライドボタン6aの下方に表示されている。
【0151】
また、操作画面6の画面下部には、図12に示すように、第2アクチュエータ70のピストンロッドを後退位置へ移動開始させる「解除」側と、ピストンロッドを前進位置へ移動開始させる「ロック」側との間をスライド移動可能な第2スライドボタン6cが表示されている。
【0152】
さらに、操作画面6の画面下部には、車両1に設けた制御部100から取得した第2アクチュエータ70の状態を示す情報をステータスとして表示するステータス欄6dが、第2スライドボタン6cの下方に表示されている。
【0153】
なお、ステータス欄6b,6dには、ピストンロッドが後退位置に位置することを示す「解除中」というメッセージ、ピストンロッドが前進位置に位置することを示す「ロック中」というメッセージ、第1アクチュエータ30及び第2アクチュエータ70の不具合を示すメッセージなどが表示される。
【0154】
このような携帯端末200において、例えば作業者が操作画面6を操作して、第1スライドボタン6aを「ロック」側へスライドさせた場合、携帯端末200の端末制御部204は、第1スライドボタン6aが「ロック」側へスライドしたことを示す信号を、通信回線5を介して、車両1に設けた制御部100に送信する。
【0155】
あるいは、例えば作業者が操作画面6を操作して、第1スライドボタン6aを「解除」側へスライドさせた場合、携帯端末200の端末制御部204は、第1スライドボタン6aが「解除」側へスライドしたことを示す信号を、通信回線5を介して、車両1に設けた制御部100に送信する。
【0156】
次に、実施例2において、車両1に設けた制御部100が行う処理動作について、制御部100が実行する処理動作のフローチャートを示す図13を用いて説明する。
【0157】
なお、実施例2においても、制御部100が行う処理動作は、鉄道コンテナ2が第1緊締金具10に固定される場合と、鉄道コンテナ2が第2緊締金具50に固定される場合とで同じである。このため、実施例2では、鉄道コンテナ2が第1緊締金具10に固定される場合について説明する。
また、第1アクチュエータ30のピストンロッド32は、鉄道コンテナ2が荷台1bに載置されていない場合、後退位置に位置するものとする。
【0158】
処理動作を開始したコンテナ用緊締装置3の制御部100は、作業者の操作によって、携帯端末200の第1スライドボタン6aが「ロック」側へスライドしたことを示す信号を、携帯端末200から取得したか否かを判定する(ステップS121)
第1スライドボタン6aが「ロック」側へスライドしたことを示す信号を取得していない場合(ステップS121:No)、制御部100は、第1スライドボタン6aが「ロック」側へスライドしたことを示す信号を取得するまで処理を待機する。
【0159】
一方、第1スライドボタン6aが「ロック」側へスライドしたことを示す信号を取得した場合(ステップS121:Yes)、制御部100は、第1アクチュエータ30へ制御信号を出力し、ピストンロッド32を前進位置へスライド移動させる(ステップS122)。
【0160】
その後、制御部100は、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を前進位置センサ34から取得したか否かを判定する(ステップS123)。
ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得していない場合(ステップS123:No)、制御部100は、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得するまで処理を待機する。
【0161】
一方、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得した場合(ステップS123:Yes)、制御部100は、第1アクチュエータ30のピストンロッド32が第1緊締金具10の貫通孔11aを貫通したことを示すロック情報を、通信回線5を介して携帯端末200に送信する(ステップS124)。
この際、ロック情報を取得した携帯端末200の端末制御部204は、図12に示すように、ステータス欄6bに「ロック中」というメッセージを表示させる。
【0162】
図13のステップS124に戻り、ロック情報を送信すると、車両1に設けた制御部100は、前進位置センサ34が出力する信号に基づいて、ピストンロッド32が前進位置に位置しているか否かを判定する(ステップS125)。
【0163】
ピストンロッド32が前進位置に位置する場合(ステップS125:Yes)、制御部100は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制された状態が維持されているものとして、処理を進める。
【0164】
その後、制御部100は、携帯端末200の第1スライドボタン6aが「解除」側へスライドしたことを示す信号を、携帯端末200から取得したか否かを判定する(ステップS126)。
【0165】
第1スライドボタン6aが「解除」側へスライドしたことを示す信号を取得していない場合(ステップS126:No)、制御部100は、処理をステップS125に戻す。すなわち、制御部100は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制された状態を維持する。
【0166】
一方、第1スライドボタン6aが「解除」側へスライドしたことを示す信号を取得した場合(ステップS126:Yes)、制御部100は、第1アクチュエータ30へ制御信号を出力して、ピストンロッド32を後退位置へスライド移動させる(ステップS127)。
その後、制御部100は、ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を後退位置センサ33から取得したか否かを判定する(ステップS128)。
【0167】
ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を取得していない場合(ステップS128:No)、制御部100は、ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を取得するまで処理を待機する。
【0168】
一方、ピストンロッド32が後退位置に位置することを示す信号を取得した場合(ステップS128:Yes)、制御部100は、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制した状態が解除されたことを示す解除情報を、通信回線5を介して携帯端末200に送信したのち(ステップS129)、処理をステップS121に戻す。
この際、解除情報を取得した携帯端末200の端末制御部204は、ステータス欄6bに「解除中」というメッセージを表示させる。
【0169】
また、図13のステップS125において、ピストンロッド32が前進位置に位置しない場合(ステップS125:No)、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制した状態が解除されたおそれがあるため、制御部100は、第1アクチュエータ30の不具合を示すエラー情報を、通信回線5を介して携帯端末200に送信する(ステップS130)。
【0170】
この際、エラー情報を取得した携帯端末200の端末制御部204は、エラー情報に基づいて、第1アクチュエータ30の不具合を示すメッセージをステータス欄6bに表示させる。
このようにして、実施例2のコンテナ用緊締装置3は、鉄道コンテナ2の荷台1bへの固定を行うとともに、作業員による鉄道コンテナ2の固定の確認を容易にしている。
【0171】
以上のように、実施例2のコンテナ用緊締装置3は、アンカー4に係止された係止部13の回動を規制する回動規制機構部として、一対の第1アクチュエータ30及び制御部100を備えたことにより、上述の実施例1と同様、車両1の荷台1bに鉄道コンテナ2を安定して固定することができる。
【0172】
さらに、コンテナ用緊締装置3は、第1アクチュエータ30を動作させる作業者の操作を受付ける操作受付部(操作表示部201)、及び第1アクチュエータ30の状態を表示する表示部(操作表示部201)を有するとともに、制御部100に通信回線5を介して通信可能に接続された携帯端末200を備えたものである。
【0173】
この構成によれば、制御部100と携帯端末200とが通信可能に接続されているため、コンテナ用緊締装置3は、第1アクチュエータ30を遠隔操作することができる。このため、コンテナ用緊締装置3は、例えば作業者が車両1に固定された操作盤まで移動して、第1アクチュエータ30を動作させることを不要にでき、作業者の移動量を軽減することができる。
【0174】
さらに、例えば第1アクチュエータに不具合が生じた際、コンテナ用緊締装置3は、第1アクチュエータ30の状態を携帯端末200に通知することで、作業者または車両1の乗員に第1アクチュエータ30の不具合を早期に知ることができる。
これにより、コンテナ用緊締装置3は、鉄道コンテナ2の固定に係る作業性の向上と、作業員または車両1の乗員に対する利便性の向上を図ることができる。
【0175】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のコンテナは、実施形態の鉄道コンテナ2に対応し、
以下同様に、
一対の緊締金具は、第1緊締金具10及び第2緊締金具50に対応し、
貫入部は、第1アクチュエータ30のピストンロッド32及び第2アクチュエータ70のピストンロッドに対応し、
アクチュエータは、第1アクチュエータ30及び第2アクチュエータ70に対応し、
駆動手段は、制御部100に対応し、
位置センサは、後退位置センサ33,71及び前進位置センサ34,72に対応し、
報知手段は、第1報知部40、第2報知部80、及び制御部100に対応し、
コンテナ検知センサは、第1コンテナ検知センサ20及び第2コンテナ検知センサ60に対応し、
操作受付部及び表示部は、操作表示部201に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0176】
例えば、二つの鉄道コンテナ2を荷台1bに搭載可能な車両1としたが、これに限定せず、一つの鉄道コンテナ2を荷台1bに搭載可能な車両であってもよい。
また、車両1の荷台1bに搭載されるコンテナを鉄道コンテナ2としたが、これに限定せず、アンカーを有するコンテナであれば、海上コンテナなどの適宜の輸送コンテナであってもよい。
【0177】
また、鉄道コンテナ2の前後方向Xの略中央に設けたアンカー4を介して、鉄道コンテナ2を車両1の荷台1bに固定したが、これに限定せず、例えば鉄道コンテナ2の四隅に設けたアンカー4を介して、鉄道コンテナ2を車両1の荷台1bに固定してもよい。この場合、アンカー4に係止される緊締金具は、鉄道コンテナ2の四隅に対応する位置に配置する。
【0178】
また、第1緊締金具10及び第2緊締金具50は、車両1の荷台1bに固定された既存の緊締金具であってもよく、あるいはコンテナ用緊締装置として車両1の荷台1bに後付けされる緊締金具であってもよい。
【0179】
また、第1アクチュエータ30及び第2アクチュエータ70を、電動アクチュエータとしたが、これに限定せず、油圧アクチュエータあるいは空圧アクチュエータなどであってもよい。この場合、アクチュエータを駆動させる駆動手段として、制御部100に加えて、油圧ポンプやエアコンプレッサを有するものとする。
【0180】
また、第1アクチュエータ30のピストンロッド32が、第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入する構成としたが、これに限定せず、ピストンロッドに連結した部材が、第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入される構成であってもよい。
【0181】
また、鉄道コンテナ2の直接的に検知する第1コンテナ検知センサ20としたが、これに限定せず、アンカー4の当接による係止部13の回動を検知する第1コンテナ検知センサであってもよい。この場合、第1コンテナ検知センサは、係止部13の回動を鉄道コンテナ2の載置として検知する。
【0182】
また、第1アクチュエータ30のピストンロッド32の先端部分に反射板35を巻着した構成としたが、これに限定せず、ピストンロッドの先端部分に蓄光材を設けてもよい。
この場合であっても、ピストンロッド32が貫通孔11aを貫通した際、蓄光材が、第1緊締金具10よりも車幅方向Yの外側に露出するため、コンテナ用緊締装置3は、アンカー4に係止された係止部13の回動が規制されているか否かを作業員に容易に知らせることができる。
【0183】
これにより、コンテナ用緊締装置3は、例えば屋内や日陰もしく夜間、あるいは第1緊締金具10から少し離れた場所であっても、作業員による鉄道コンテナ2の固定状態の確認を容易にするとともに、作業効率の向上を図ることができる。
【0184】
また、後退位置センサ33及び前進位置センサ34によって、第1アクチュエータ30のピストンロッド32の位置を検知したが、これに限定せず、ピストンロッド32のスライド量からピストンロッド32の位置を検知する構成であってもよい。
また、実施例1のコンテナ用緊締装置3において、実施例2の携帯端末200を備えてもよい。
【0185】
また、第1アクチュエータ30のピストンロッド32が、第1緊締金具10の貫通孔11aを貫通したことを点灯によって報知する第1報知部40としたが、これに限定しない。例えば、第1アクチュエータ30のピストンロッド32が、第1緊締金具10の貫通孔11aを貫通していないことを点灯によって報知する構成であってもよい。
【0186】
あるいは、ピストンロッド32が貫通孔11aを貫通していないことを赤色のランプの点灯で報知し、ピストンロッド32が貫通孔11aを貫通したことを緑色のランプの点灯で報知する構成であってもよい。
【0187】
また、図10のステップS103において、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得していない場合(ステップS103:No)、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得するまで処理を待機したが、これに限定しない。
【0188】
例えば、ピストンロッド32が第1緊締金具10の貫通孔11aに貫入するのに必要な時間を経過しても、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を制御部100が取得できない場合、ピストンロッド32が貫通孔11aに貫入できない不具合が生じているおそれがある。
【0189】
そこで、ピストンロッド32が前進位置に位置することを示す信号を取得していない場合(ステップS103:No)、制御部100が、第1アクチュエータ30へ制御信号を出力し、ピストンロッド32を後退位置へスライド移動させる構成であってもよい。
【0190】
この場合、鉄道コンテナ2を荷台1bに搭載する作業者は、再度、鉄道コンテナ2を吊り上げて、荷台1bへの鉄道コンテナ2の載置をやり直すことになる。このため、コンテナ用緊締装置3は、荷台1bに鉄道コンテナ2をより確実に固定することができる。
【符号の説明】
【0191】
1…車両
1b…荷台
2…鉄道コンテナ
3…コンテナ用緊締装置
4…アンカー
5…通信回線
10…第1緊締金具
11a…貫通孔
13…係止部
20…第1コンテナ検知センサ
30…第1アクチュエータ
32…ピストンロッド
33…後退位置センサ
34…前進位置センサ
35…反射板
40…第1報知部
50…第2緊締金具
60…第2コンテナ検知センサ
70…第2アクチュエータ
71…後退位置センサ
72…前進位置センサ
80…第2報知部
100…制御部
201…操作表示部
Y…車幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13