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  • 特開-生乳測定器 図1
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  • 特開-生乳測定器 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025870
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】生乳測定器
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/08 20060101AFI20230216BHJP
   G01N 27/28 20060101ALI20230216BHJP
   G01N 27/06 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G01N27/08
G01N27/28 321A
G01N27/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131282
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100113354
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 総
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 眞
(72)【発明者】
【氏名】田口 星人
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 富央
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA05
2G060AE40
2G060AF02
2G060AF07
2G060AG03
2G060AG10
2G060FA01
2G060FA11
2G060FA15
2G060KA05
(57)【要約】
【課題】生乳の粘度を測定する。
【解決手段】生乳測定器1は、生乳が流れる流路12と、流路12に向かって突出する第一電極142、144と、流路12に向かって、第一電極142、144とは逆向きに突出する第二電極162、164とを備える。第一電極142、144および第二電極162、164の間に電圧が印加されている。第一電極142、144の端面142e、144eおよび第二電極162、164の端面162e、164eが流路12内に配置されている。第一電極142、144の端面142e、144eと、第二電極162、164の端面162e、164eとが離れている。第一電極142、144の端面142e、144eおよび第二電極162、164の端面162e、164eの間の電気抵抗の変化に基づき、生乳の粘度を測定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生乳が流れる流路と、
前記流路に向かって突出する第一電極と、
前記流路に向かって、前記第一電極とは逆向きに突出する第二電極と、
を備え、
前記第一電極および前記第二電極の間に電圧が印加されており、
前記第一電極の端面および前記第二電極の端面が前記流路内に配置されており、
前記第一電極の端面と、前記第二電極の端面とが離れている、
生乳測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の生乳測定器であって、
前記第一電極の突出方向が、前記流路と直交する方向である、
生乳測定器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の生乳測定器であって、
前記第一電極および前記第二電極が、前記生乳が流れる方向に沿って、複数ずつ配置されている、
生乳測定器。
【請求項4】
請求項1または2に記載の生乳測定器であって、
前記第一電極および前記第二電極が、前記生乳が流れる方向に沿って、一つずつ配置されている、
生乳測定器。
【請求項5】
請求項1または2に記載の生乳測定器であって、
前記第一電極の端面および前記第二電極の端面の間の電気抵抗の変化に基づき、前記生乳の粘度を測定する、
生乳測定器。
【請求項6】
請求項3に記載の生乳測定器であって、
ある前記第一電極およびある前記第二電極の端面の間の電気抵抗が変化してから、別の前記第一電極および別の前記第二電極の端面の間の電気抵抗が変化するまでの時間に基づき、前記生乳の粘度を測定する、
生乳測定器。
【請求項7】
請求項4に記載の生乳測定器であって、
前記第一電極の端面および前記第二電極の端面の間の電気抵抗の変化の速度に基づき、前記生乳の粘度を測定する、
生乳測定器。
【請求項8】
請求項4に記載の生乳測定器であって、
前記第一電極の端面および前記第二電極の端面の間の電気抵抗の変化の速度に基づき、前記生乳内の白血球数を測定する生乳測定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生乳の粘度の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、流路を流れる液体の粘性の測定が知られている(例えば、特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-230363号公報
【特許文献2】特開2015-132510号公報
【特許文献3】特表2020-527732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、生乳の粘度の測定を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる生乳測定器は、生乳が流れる流路と、前記流路に向かって突出する第一電極と、前記流路に向かって、前記第一電極とは逆向きに突出する第二電極とを備え、前記第一電極および前記第二電極の間に電圧が印加されており、前記第一電極の端面および前記第二電極の端面が前記流路内に配置されており、前記第一電極の端面と、前記第二電極の端面とが離れているように構成される。
【0006】
上記のように構成された生乳測定器によれば、流路に生乳が流れる。第一電極が、前記流路に向かって突出する。第二電極が、前記流路に向かって、前記第一電極とは逆向きに突出する。前記第一電極および前記第二電極の間に電圧が印加されている。前記第一電極の端面および前記第二電極の端面が前記流路内に配置されている。前記第一電極の端面と、前記第二電極の端面とが離れている。
【0007】
なお、本発明にかかる生乳測定器は、前記第一電極の突出方向が、前記流路と直交する方向であるようにしてもよい。
【0008】
なお、本発明にかかる生乳測定器は、前記第一電極および前記第二電極が、前記生乳が流れる方向に沿って、複数ずつ配置されているようにしてもよい。
【0009】
なお、本発明にかかる生乳測定器は、前記第一電極および前記第二電極が、前記生乳が流れる方向に沿って、一つずつ配置されているようにしてもよい。
【0010】
なお、本発明にかかる生乳測定器は、前記第一電極の端面および前記第二電極の端面の間の電気抵抗の変化に基づき、前記生乳の粘度を測定するようにしてもよい。
【0011】
なお、本発明にかかる生乳測定器は、ある前記第一電極およびある前記第二電極の端面の間の電気抵抗が変化してから、別の前記第一電極および別の前記第二電極の端面の間の電気抵抗が変化するまでの時間に基づき、前記生乳の粘度を測定するようにしてもよい。
【0012】
なお、本発明にかかる生乳測定器は、前記第一電極の端面および前記第二電極の端面の間の電気抵抗の変化の速度に基づき、前記生乳の粘度を測定するようにしてもよい。
【0013】
なお、本発明にかかる生乳測定器は、前記第一電極の端面および前記第二電極の端面の間の電気抵抗の変化の速度に基づき、前記生乳内の白血球数を測定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態にかかる生乳測定器1の平面図である。
図2】本発明の実施形態にかかる生乳測定器1のII-II断面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる生乳測定器1のIII-III断面図である。
図4】本発明の実施形態の変形例にかかる生乳測定器1のIII-III断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態にかかる生乳測定器1の平面図である。図2は、本発明の実施形態にかかる生乳測定器1のII-II断面図である。図3は、本発明の実施形態にかかる生乳測定器1のIII-III断面図である。ただし、図1においては、基体10、流路12、流入口12aおよび流出口12bのみを図示している。
【0017】
本発明の実施形態にかかる生乳測定器1は、基体10、流路12、流入口12a、流出口12b、端子14、16、配線141、161、第一電極142、144、第二電極162、164を備える。
【0018】
生乳が流れる流路12は、基体10内に設けられ、流入口12aおよび流出口12bに接続されている。流入口12aに注がれた生乳が、流路12を流れて、流出口12bから出ていく。なお、生乳には界面活性剤を作用させ、生乳内の白血球の細胞膜を破壊しておく。
【0019】
第一電極142、144は、流路12に向かって突出する。第一電極142が流路12に向かって突出する方向を方向d11とし、第一電極144が流路12に向かって突出する方向を方向d12とする。すると、方向d11と方向d12とは平行であり、方向d11は方向d12よりも流入口12aに近い。また、方向d11と方向d12とは図3において下向きである。
【0020】
第二電極162、164は、流路12に向かって突出する。第二電極162が流路12に向かって突出する方向を方向d21とし、第二電極164が流路12に向かって突出する方向を方向d22とする。すると、方向d21と方向d22とは平行であり、方向d21は方向d22よりも流入口12aに近い。また、方向d21と方向d22とは図3において上向きである。すなわち、第二電極162、164は、流路12に向かって、第一電極142、144とは逆向きに突出している。
【0021】
第一電極142、144および第二電極162、164が、生乳が流れる方向(図3において左右方向)に沿って、複数ずつ(図3において2個ずつ)配置されている。
【0022】
なお、方向d11と方向d21とが同一直線上に、方向d12と方向d22とが同一直線上に存在している。また、方向d11および方向d12は、流路12と直交する方向である。方向d21および方向d22は、流路12と直交する方向である。
【0023】
端子14は、配線141を介して、第一電極142、144に接続されている。端子16は、配線161を介して、第二電極162、164に接続されている。端子14と端子16との間には電圧が印加されている。例えば、端子14を正の電位とし、端子16を接地する。これにより、第一電極142および第二電極162の間に電圧が印加され、かつ、第一電極144および第二電極164の間にも電圧が印加される。
【0024】
なお、第一電極142の端面142e、第一電極144の端面144e、第二電極162の端面162e、第二電極164の端面164eが流路12内に配置されている。
【0025】
また、第一電極142の端面142eと、第二電極162の端面162eとが離れて向かい合っている。第一電極144の端面144eと、第二電極164の端面164eとが離れて向かい合っている。
【0026】
なお、第一電極142の端面142eと第二電極162の端面162eとの間の電気抵抗の変化および第一電極144の端面144eおよび第二電極164の端面164eの間の電気抵抗の変化に基づき、生乳の粘度を測定する。
【0027】
次に、本発明の実施形態の動作を説明する。
【0028】
まず、生乳に界面活性剤を作用させ、生乳内の白血球の細胞膜を破壊しておく。この生乳を流入口12aに注ぐと、生乳は流路12を流れ、流出口12bから排出される。
【0029】
第一電極142および第二電極162の間に電圧が印加されているが、生乳が端面142eおよび端面162eの間に到達しないと、第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗は高く、電流は流れない。
【0030】
やがて、生乳が端面142eおよび端面162eの間に到達すると、第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗が低くなり、電流が流れる。端面142eおよび端面162eの間の電気抵抗が低くなるように変化する時間をt1とする。
【0031】
第一電極144および第二電極164の間にも電圧が印加されているが、生乳が端面144eおよび端面164eの間に到達しないと、第一電極144および第二電極164の間の電気抵抗は高く、電流は流れない。
【0032】
やがて、生乳が端面144eおよび端面164eの間に到達すると、第一電極144および第二電極164の間の電気抵抗が低くなり、電流が流れる。端面144eおよび端面164eの間の電気抵抗が低くなるように変化する時間をt2とする。すると、t2>t1である。
【0033】
t2-t1=Δtとすると、生乳の粘度が高いほど、生乳の流速が遅くなるので、Δtが大きくなる。Δtは、ある第一電極142およびある第二電極162の端面142e、162eの間の電気抵抗が変化してから、別の第一電極144および別の第二電極164の端面144e、164eの間の電気抵抗が変化するまでの時間といえる。このように、Δtと生乳の粘度とは相関関係があるので、Δtに基づき、生乳の粘度を測定することができる。
【0034】
なお、生乳内の白血球内にはDNAおよび細胞基質などの粘性の高い物質が存在している。ここで、生乳に界面活性剤を作用させて生乳内の白血球の細胞膜を破壊すると、DNAおよび細胞基質などの粘性の高い物質が生乳内に排出される。これにより、生乳の粘度が高くなる。生乳内の白血球数が多いほど、DNAおよび細胞基質などの粘性の高い物質も多くなるので、界面活性剤を作用させた生乳の粘度も高くなる。よって、Δtに基づき、生乳の粘度、ひいては白血球数を測定することができる。
【0035】
本発明の実施形態によれば、生乳の粘度を測定することができる。
【0036】
なお、本発明の実施形態においては、第一電極142、144および第二電極162、164が、生乳が流れる方向に沿って、2個ずつ配置されている。しかし、第一電極146および第二電極166が、生乳が流れる方向に沿って、一つずつ配置されているようにする変形例が考えられる。
【0037】
図4は、本発明の実施形態の変形例にかかる生乳測定器1のIII-III断面図である。変形例においては、第一電極146および第二電極166が、生乳が流れる方向に沿って、一つずつ配置されている。
【0038】
第一電極146は、流路12に向かって突出する。第一電極146が流路12に向かって突出する方向を方向d13とする。方向d13は図4において下向きである。
【0039】
第二電極166は、流路12に向かって突出する。第二電極166が流路12に向かって突出する方向を方向d23とする。方向d23は図4において上向きである。すなわち、第二電極166は、流路12に向かって、第一電極146とは逆向きに突出している。
【0040】
第一電極146および第二電極166が、生乳が流れる方向(図4において左右方向)に沿って、一つずつ配置されている。
【0041】
なお、方向d13と方向d23とが同一直線上に存在している。また、方向d13および方向d23は、流路12と直交する方向である。
【0042】
端子14は、配線141を介して、第一電極146に接続されている。端子16は、配線161を介して、第二電極166に接続されている。端子14と端子16との間には電圧が印加されている。例えば、端子14を正の電位とし、端子16を接地する。これにより、第一電極146および第二電極166の間に電圧が印加される。
【0043】
なお、第一電極146の端面146eおよび第二電極166の端面166eが流路12内に配置されている。
【0044】
また、第一電極146の端面146eと、第二電極166の端面166eとが離れて向かい合っている。
【0045】
次に、本発明の実施形態の変形例の動作を説明する。
【0046】
まず、生乳に界面活性剤を作用させ、生乳内の白血球の細胞膜を破壊しておく。この生乳を流入口12aに注ぐと、生乳は流路12を流れ、流出口12bから排出される。
【0047】
第一電極146および第二電極166の間に電圧が印加されているが、生乳が端面146eおよび端面166eの間に到達しないと、第一電極146および第二電極166の間の電気抵抗は高く、電流は流れない。
【0048】
やがて、生乳が端面146eおよび端面166eの間に到達すると、第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗が低くなり始め、電流が流れる。ただし、端面146eおよび端面166eの幅(左右方向の長さ)は広いので、端面146eおよび端面166eの左端付近に到達しただけでは、第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗が少し低くなるだけである。しかし、生乳が、端面146eおよび端面166eの間を右に進行していくにつれて、第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗はますます低くなっていく。生乳が、端面146eおよび端面166eの右端付近に到達すると、第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗はほぼ最小値となる。
【0049】
ここで、生乳が端面146eおよび端面166eの左端に到達した時間をt3とし、このときの第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗値をR3とする。さらに、生乳が端面146eおよび端面166eの右端に到達した時間をt4とし、このときの第一電極142および第二電極162の間の電気抵抗値をR4とする。第一電極146の端面146eおよび第二電極166の端面166eの間の電気抵抗の変化の速度を、(R3-R4)/(t4-t3)と定義する。
【0050】
ここで、生乳の粘度が高いほど、生乳の流速が遅くなるので(t4-t3が大きくなる)、第一電極146の端面146eおよび第二電極166の端面166eの間の電気抵抗の変化の速度が小さくなる。よって、この電気抵抗の変化の速度に基づき、生乳の粘度を測定することができる。
【0051】
なお、本発明の実施形態と同様に、生乳の粘度を測定できれば、生乳内の白血球数を測定することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1 生乳測定器
10 基体
12 流路
12a 流入口
12b 流出口
14、16 端子
141、161 配線
142、144、146 第一電極
162、164、166 第二電極
142e、144e、146e、162e、164e、166e 端面
d11、d12、d13、d21、d22、d23 方向
図1
図2
図3
図4