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  • 特開-プリント基板 図1
  • 特開-プリント基板 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025872
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】プリント基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20230216BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20230216BHJP
【FI】
H05K1/02 N
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131291
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】松田 真一
【テーマコード(参考)】
5E338
5H770
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA16
5E338BB75
5E338CC04
5E338CD10
5E338EE31
5H770BA01
5H770CA02
5H770JA18W
5H770JA19W
5H770QA01
5H770QA21
(57)【要約】
【課題】電力変換装置に用いられる平滑回路として、入力電圧が異なるものに共用できるようにしたプリント基板を提供する。
【解決手段】本発明の電力変換装置の平滑回路用のプリント基板PBは、絶縁基板1に、プリント配線により、直流電力が入力される一対の電圧印加線2a,2bと、コンデンサ61aを有する第1の平滑回路部6aと、第1の平滑回路部のコンデンサと同等の定格電圧を持つコンデンサ61bを有する第2の平滑回路部6bとを形成し、ジャンパー線7a,7b,7cにより、一対の電圧印加線の間で第1の平滑回路部と第2の平滑回路部とが直列接続されて高電圧用の平滑回路を構成する状態と、第1の平滑回路部と第2の平滑回路部とが並列接続されて低電圧用の平滑回路を構成する状態とを切換自在である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置の平滑回路用のプリント基板において、
絶縁基板に、プリント配線により、直流電力が入力される一対の電圧印加線と、コンデンサを有する第1の平滑回路部と、第1の平滑回路部のコンデンサと同等の定格電圧を持つコンデンサを有する第2の平滑回路部とを形成し、ジャンパー線により、一対の電圧印加線の間で第1の平滑回路部と第2の平滑回路部とが直列接続されて高電圧用の平滑回路を構成する状態と、第1の平滑回路部と第2の平滑回路部とが並列接続されて低電圧用の平滑回路を構成する状態とを切換自在であることを特徴とするプリント基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置の平滑回路用のプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モータを駆動するための電力変換装置(インバータ)は、入力される交流電圧をコンバータ回路によって整流して直流電圧に変換し、平滑回路を通して脈動電圧の少ない直流電圧に平滑化する。その後、インバータ回路によって再び所望の交流電圧に変換して出力する(例えば、特許文献1参照)。このような平滑回路は、コンデンサや抵抗といった電子部品を有し、通常は、直流電圧が入力される一対の電圧印加線と、一対の電圧印加線間に接続される、上記各電子部品を有する平滑回路部とを絶縁基板上にプリント配線したプリント基板の形態で電力変換装置に使用される。
【0003】
ここで、平滑回路部に用いられるコンデンサは、入力電圧(直流電圧)に応じた耐電圧特性を有する必要がある。一方、同容量の電力変換装置を例えば入力電圧が200V(低電圧用)のものと入力電圧が400V(高電圧用)のものとに分けて構成する場合があり、平滑回路部には、入力電圧に応じた耐電圧特性を有するコンデンサが夫々使用されることになる。このような場合、低電圧用の平滑回路と高電圧用の平滑回路とを夫々構成する2種類のプリント基板を準備しておくのでは、その製造や管理が面倒であるばかりか、製造コスト高を招くという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-295081号公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電力変換装置に用いられる平滑回路として、入力電圧が異なるものに共用できるようにしたプリント基板を提供することをその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電力変換装置の平滑回路用のプリント基板は、絶縁基板に、プリント配線により、直流電力が入力される一対の電圧印加線と、コンデンサを有する第1の平滑回路部と、第1の平滑回路部のコンデンサと同等の定格電圧を持つコンデンサを有する第2の平滑回路部とを形成し、ジャンパー線により、一対の電圧印加線の間で第1の平滑回路部と第2の平滑回路部とが直列接続されて高電圧用の平滑回路を構成する状態と、第1の平滑回路部と第2の平滑回路部とが並列接続されて低電圧用の平滑回路を構成する状態とを切換自在であることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、例えば、ジャンパー線により第1の平滑回路部と第2の平滑回路部とを直列接続すると、コンデンサの定格電圧が2倍になるため、単一のプリント基板で低電圧用の平滑回路(例えば、入力電圧が200V)と高電圧用の平滑回路(入力電圧が400V)とが共用できる。このため、入力電圧に応じたコンデンサを備える複数枚のプリント基板を準備しておく必要はなく、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態のプリント基板の回路図。
図2】(a)は、低電圧用の平滑回路を構成する状態の回路図、(b)は、高電圧用の平滑回路を構成する状態の回路図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図を参照して、本発明の電力変換装置(インバータ)の平滑回路用のプリント基板PBの実施形態を説明する。なお、電力変換装置(インバータ)自体は、公知のものが利用できるため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0010】
図1を参照して、プリント基板PBは、例えば樹脂製の絶縁基板1を備える。絶縁基板1には、プリント配線により一対の電圧印加線2a,2bが形成され、一対の電圧印加線2a,2bの間に、図外のコンバータによって整流された直流電圧が印加される。各電圧印加線2a,2bには一対の電源端子3a,3bが設けられている。一対の電源端子3a,3bからは、プリント配線により、一対の電圧印加線2a,2bからのびる一対の分岐印加線4a,4bが同等の長さで形成され、各分岐印加線4a,4bの一端には、第1接続端子5aと第2接続端子5bとが夫々形成されている。絶縁基板1にはまた、一対の電圧印加線2a,2bに沿って同等の距離を離間させて第3接続端子5cと第4接続端子5dとが夫々形成されている。そして、第1接続端子5aと第4接続端子5dとの間に、及び、第2接続端子5bと第3接続端子5cとの間に第1及び第2の各平滑回路部6a,6bが夫々接続されている。
【0011】
第1の平滑回路部6aは、所定の耐電圧特性を有するコンデンサ61aと抵抗器62aとが並列接続されるようにプリント配線で形成したものである。第2の平滑回路部6bもまた、コンデンサ61aと同一の耐電圧特性を有するコンデンサ61bと抵抗器62bとが並列接続されるようにプリント配線で形成したものである。この場合、各コンデンサ61a,61bの耐電圧特性は、一対の電圧印加線2a,2bの間に印加される直流電圧(入力電圧)に応じて適宜設定される。なお、第1及び第2の各平滑回路部6a,6b自体は公知のものであるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0012】
以上の構成を持つプリント基板PBにおいて、一対の電圧印加線2a,2bの間に印加される直流電圧(入力電圧)がコンデンサ61a,61bの耐電圧特性より低い場合には、図2(a)に示すように、第1接続端子5aと第3接続端子5c並びに第2接続端子5bと第4接続端子5dとをジャンパー線7a,7bにより夫々接続する。これにより、第1及び第2の各平滑回路部6a,6bが並列接続され、プリント基板PBを、例えば入力電圧が200Vである低電圧用の平滑回路として使用することができる。他方、一対の電圧印加線2a,2bの間に印加される直流電圧(入力電圧)がコンデンサ61a,61bの耐電圧特性より高い場合には、第4接続端子5dと第3接続端子5cとを単一のジャンパー線7cにより接続する。これにより、第1及び第2の各平滑回路部6a,6bが直列接続され、プリント基板PBを、例えば入力電圧が400Vである高電圧用の平滑回路として使用することができる。ジャンパー線7a,7b,7cとしては、例えば銅製で板状のものが利用される。
【0013】
以上によれば、例えば、ジャンパー線7cにより第1の平滑回路部6aと第2の平滑回路部6bとを直列接続すると、コンデンサ61a,61bの定格電圧が2倍になるため、単一のプリント基板PBで低電圧用のもの(例えば、入力電圧が200V)と高電圧用のもの(入力電圧が400V)のものとが共用できる。このため、入力電圧に応じたコンデンサを備える複数枚のプリント基板を準備しておく必要はなく、製造コストの低減を図ることができる。
【0014】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、ジャンパー線7a,7b,7cを適宜接続して低電圧用の平滑回路と高電圧用の平滑回路とを使い分けるものを例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、特に図示して説明しないが、コンデンサ61a,61bと同等の耐電圧特性を有するコンデンサを備える別の平滑回路部を絶縁基板1に更に設け、ジャンパー線により3個のコンデンサを直列接続して、入力電圧がより高電圧(例えば、690V)の平滑回路として機能させる場合にも本発明は適用することができる。
【符号の説明】
【0015】
PB…プリント基板,1…絶縁基板、2a,2b…電圧印加線、6a…第1の平滑回路部、61a…コンデンサ、6b…第2の平滑回路部、61b…コンデンサ、7a,7b,7c…ジャンパー線。

図1
図2