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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025892
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】車両用二酸化炭素回収装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/04 20060101AFI20230216BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B01D53/04 110
B01D53/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131326
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田原 大地
(72)【発明者】
【氏名】宇野 貴昭
【テーマコード(参考)】
4D012
4D020
【Fターム(参考)】
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA03
4D012CB05
4D012CG01
4D012CH10
4D020AA03
4D020BA16
4D020BB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吸引ポンプの省略又は小型化が可能な二酸化炭素を回収できる車両用二酸化炭素回収装置を提供する。
【解決手段】本開示は、車両に取り付けられる車両用二酸化炭素回収装置である。車両用二酸化炭素回収装置は、車両の内部に配置されるように構成されると共に、大気中の二酸化炭素を回収する回収器2と、回収器に車両の外部の大気を供給するように構成された吸気部3と、回収器を通過した大気を車両の外部へ排出するように構成された排気部4と、を備える。吸気部は、車両の外部と連通する位置に取り付けられるように構成された吸気開口31を有する。排気部は、車両において、車両の走行時に吸気開口に対し負圧となる位置に取り付けられるように構成された排気開口41を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられる車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記車両の内部に配置されるように構成されると共に、大気中の二酸化炭素を回収する回収器と、
前記回収器に前記車両の外部の大気を供給するように構成された吸気部と、
前記回収器を通過した大気を前記車両の外部へ排出するように構成された排気部と、
を備え、
前記吸気部は、前記車両の外部と連通する位置に取り付けられるように構成された吸気開口を有し、
前記排気部は、前記車両において、前記車両の走行時に前記吸気開口に対し負圧となる位置に取り付けられるように構成された排気開口を有する、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記吸気開口は、前記車両において、前記車両の前方又は後方から大気を取り込む位置に取り付けられるように構成される、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記排気開口は、前記車両において、前記車両の下方へ大気を排出する位置に取り付けられるように構成される、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記吸気開口は、前記車両において、前記排気開口よりも後方に取り付けられるように構成され、
前記吸気開口及び前記排気開口は、前記車両の走行時に発生する空気流が前記車両から剥離する剥離点を前後方向に挟んだ位置に取り付けられるように構成される、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記吸気部及び前記排気部は、それぞれ、前記回収器に下方から接続される、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記吸気部は、前記車両の外部から取り込まれた大気が衝突するように構成された衝突部を有する、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項7】
請求項6に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記衝突部は、前記吸気部を構成する配管が湾曲又は屈曲した部位によって構成される、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記吸気部は、前記吸気開口よりも下方に配置される貯水部を有する、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項9】
請求項8に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記吸気部は、前記貯水部から水を排出する排水路を有する、車両用二酸化炭素回収装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の車両用二酸化炭素回収装置であって、
前記吸気部は、
前記吸気開口と前記回収器とを連結する配管と、
前記配管内に配置されると共に、前記配管内の水量に応じて、前記配管を開放する開放位置と、前記配管を閉塞する閉塞位置との間で移動するように構成された開閉部と、
を有する、車両用二酸化炭素回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用二酸化炭素回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行中の車両の外部から二酸化炭素を回収して、二酸化炭素の排出量を低減する二酸化炭素回収装置が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-60028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した二酸化炭素回収装置では、吸引ポンプを用いて車両の外部から二酸化炭素を取り込んでいる。そのため、ある程度の吸引力を有する吸引ポンプを車両に設ける必要があり、装置の設置スペース、重量及びコストが大きくなる。
【0005】
本開示の一局面は、吸引ポンプの省略又は小型化が可能な二酸化炭素を回収できる車両用二酸化炭素回収装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に取り付けられる車両用二酸化炭素回収装置である。車両用二酸化炭素回収装置は、車両の内部に配置されるように構成されると共に、大気中の二酸化炭素を回収する回収器と、回収器に車両の外部の大気を供給するように構成された吸気部と、回収器を通過した大気を車両の外部へ排出するように構成された排気部とを備える。
【0007】
吸気部は、車両の外部と連通する位置に取り付けられるように構成された吸気開口を有する。排気部は、車両において、車両の走行時に吸気開口に対し負圧となる位置に取り付けられるように構成された排気開口を有する。
【0008】
このような構成によれば、車両の走行時に発生する圧力差によって、吸気部から負圧が発生する排気部に向かって大気が流入する。これにより、吸気部から回収器に向かって大気が送り込まれる。そのため、大気を吸引するためのポンプを省略又は小型化することができる。
【0009】
本開示の一態様では、吸気開口は、車両において、車両の前方又は後方から大気を取り込む位置に取り付けられるように構成されてもよい。このような構成によれば、走行風の流速が比較的小さい車両後方に吸気開口が位置することで、吸気部と排気部との圧力差を大きくすることができる。その結果、大気の吸引性能を高めることができる。
【0010】
本開示の一態様では、排気開口は、車両において、車両の下方へ大気を排出する位置に取り付けられるように構成されてもよい。このような構成によれば、走行風の流速が比較的大きい車両下方に排気開口が位置することで、吸気部と排気部との圧力差を大きくすることができる。その結果、大気の吸引性能を高めることができる。
【0011】
本開示の一態様では、吸気開口は、車両において、排気開口よりも後方に取り付けられるように構成されてもよい。吸気開口及び排気開口は、車両の走行時に発生する空気流が車両から剥離する剥離点を前後方向に挟んだ位置に取り付けられるように構成されてもよい。このような構成によれば、車両周囲の静圧が増大する剥離点の後方に吸気開口が配置されることで、吸気部と排気部との圧力差を大きくすることができる。その結果、大気の吸引性能を高めることができる。
【0012】
本開示の一態様では、吸気部及び排気部は、それぞれ、回収器に下方から接続されてもよい。このような構成によれば、回収器への水の侵入が抑制される。その結果、回収器の回収性能の低下が抑制される。
【0013】
本開示の一態様では、吸気部は、車両の外部から取り込まれた大気が衝突するように構成された衝突部を有してもよい。このような構成によれば、大気と共に取り込まれた水が衝突部に衝突することで、回収器への水の侵入が抑制される。その結果、回収器の回収性能の低下が抑制される。
【0014】
本開示の一態様では、衝突部は、吸気部を構成する配管が湾曲又は屈曲した部位によって構成されてもよい。このような構成によれば、部品点数を低減しつつ、低コストで衝突部を設けることができる。
【0015】
本開示の一態様では、吸気部は、吸気開口よりも下方に配置される貯水部を有してもよい。このような構成によれば、大気と共に取り込まれた水が貯水部に貯留されることで、回収器への水の侵入が抑制される。その結果、回収器の回収性能の低下が抑制される。
【0016】
本開示の一態様では、吸気部は、貯水部から水を排出する排水路を有してもよい。このような構成によれば、貯水部の水位上昇を抑えることができる。その結果、回収器への水の侵入が抑制される。
【0017】
本開示の一態様では、吸気部は、吸気開口と回収器とを連結する配管と、配管内に配置されると共に、配管内の水量に応じて、配管を開放する開放位置と、配管を閉塞する閉塞位置との間で移動するように構成された開閉部と、を有してもよい。このような構成によれば、大量の水が吸気部に侵入した場合に吸気部から回収器への流路が自動閉塞される。その結果、回収器への水の侵入が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態における車両用二酸化炭素回収装置の使用状態を示す模式図である。
図2図2は、図1の車両用二酸化炭素回収装置の模式図である。
図3図3Aは、開放位置にある開閉部を示す模式図であり、図3Bは、閉塞位置にある開閉部を示す模式図である。
図4図4Aは、図2とは異なる実施形態における吸気部の模式図であり、図4B及び図4Cは、図2とは異なる実施形態における回収器及び吸気部の模式図である。
図5図5A図5B及び図5Cは、図2とは異なる実施形態における開閉部の模式図である。
図6図6は、図2とは異なる実施形態における車両用二酸化炭素回収装置の模式図である。
図7図7は、図2とは異なる実施形態における車両用二酸化炭素回収装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1に示す車両用二酸化炭素回収装置1(以下、単に「回収装置1」ともいう。)は、車両100に取り付けられている。
【0020】
回収装置1は、車両100の走行中に車両100の周囲の大気に含まれる二酸化炭素を回収する。本実施形態では、回収装置1は、車両100の後方下部に配置されている。図2に示すように、回収装置1は、回収器2と、吸気部3と、排気部4とを備える。
【0021】
<回収器>
回収器2は、車両100の内部に配置されるように構成されている。回収器2は、大気中の二酸化炭素(CO)を回収する。
【0022】
回収器2は、公知の化学吸収法、物理吸着法又は物理吸収法により二酸化炭素を回収する。化学吸収法では、アミン等の二酸化炭素と結合する化合物の液体又は固体が用いられる。物理吸着法では、ゼオライト、活性炭等の吸着剤が用いられる。吸着剤は、容器に充填されるか、又は担持体により担持される。物理吸収法では、エタノール、アセトン等の二酸化炭素を溶解させる溶液が用いられる。
【0023】
回収器2によって回収された二酸化炭素は、加熱、減圧等によって回収器2から脱離される。回収器2は、車両100に対して脱着可能に構成されてもよい。回収器2からの二酸化炭素の脱離は、回収器2を車両100から取り外した状態で行われてもよい。
【0024】
<吸気部>
吸気部3は、回収器2に車両100の外部の大気を供給するように構成されている。吸気部3は、吸気開口31と、吸気配管32と、衝突部33と、貯水部34と、排水路35と、補助排水路36と、開閉部37とを有する。
【0025】
(吸気開口)
吸気開口31は、車両100において、車両100の後方から大気を取り込む位置(つまり、車両100の後方において車両100の外部と連通する位置)に取り付けられるように構成されている。
【0026】
具体的には、吸気開口31は、車両100の後方の壁(つまりボディーパネルの後面)に設けられた開口に配置されている。吸気開口31は、排気部4の排気開口41よりも後方かつ上方に位置する。また、吸気開口31は、回収器2よりも下方に位置する。
【0027】
吸気開口31の法線(つまり大気の流れの中心軸)は、水平方向と平行であってもよいし、水平方向に対し上方又は下方に傾斜していてもよい。
【0028】
(吸気配管)
吸気配管32は、吸気開口31と回収器2とを連結している。吸気配管32は、上流部32Aと、下流部32Bと、収容部32Cとを有する。
【0029】
上流部32Aは、大気の流れ方向における上流側の端部が吸気開口31に連結されている。上流部32Aは、上下方向に湾曲又は屈曲している。上流部32Aは、前方に向かって大気が流れる流路を構成しており、回収器2よりも下方に位置する。
【0030】
下流部32Bは、上流部32Aの下流側の端部に連結されている。下流部32Bの下流側の端部は、回収器2に連結されている。下流部32Bは、回収器2に下方から接続されている。下流部32Bは、上方に向かって大気が流れる流路を構成している。
【0031】
収容部32Cは、開閉部37を収容する空間を構成している。収容部32Cは、下流部32Bの下端に連結されている。収容部32Cは、吸気部3に侵入した水を貯める貯水機能を有する。収容部32Cには、補助排水路36が連結されている。
【0032】
吸気配管32の断面形状(つまり、吸気開口31の平面形状)は、円形及び多角形のいずれでもよい。また、吸気配管32は、縮径部又は拡径部を有してもよい。さらに、吸気配管32の内部又は吸気開口31に水又は異物の侵入を防ぐためのフィルタが設けられてもよい。
【0033】
(衝突部)
衝突部33は、吸気開口31を介して車両100の外部から取り込まれた大気が衝突するように構成されている。衝突部33は、上流部32Aの湾曲又は屈曲した部位の内面によって構成されている。
【0034】
(貯水部)
貯水部34は、吸気開口31よりも下方に配置されている。本実施形態では、貯水部34は、吸気配管32の一部で構成されている。
【0035】
具体的には、貯水部34は、上流部32Aのうち、下方に凸なるように湾曲した部位(つまり、上流側及び下流側の部位よりも下方に位置する部位)で構成されている。したがって、貯水部34は、衝突部33と隣接して設けられている。大気と共に吸気配管32に侵入した水は、衝突部33に衝突することで上流部32Aの下方に落下し、貯水部34に貯留される。
【0036】
(排水路)
排水路35は、貯水部34から水を排出する。排水路35は、貯水部34の底面(つまり上流部32Aの下面)に連結されている。
【0037】
排水路35の下端は、車両100の下部に設けられた開口に連結されている。排水路35は、貯水部34内の水を重力によって車両100の下方に排出する。排水路35の流路の断面積は、上流部32Aの流路の断面積よりも小さい。
【0038】
(補助排水路)
補助排水路36は、収容部32Cから水を排出する。補助排水路36は、収容部32Cと排水路35とに連結されている。
【0039】
(開閉部)
開閉部37は、吸気配管32内に配置されている。開閉部37は、吸気配管32内の水量に応じて、図3Aに示す吸気配管32を開放する開放位置と、図3Bに示す吸気配管32を閉塞する閉塞位置との間で移動するように構成されている。
【0040】
具体的には、開閉部37は、水よりも軽い浮きで構成されている。吸気配管32内に水が存在しない場合は、図3Aに示すように、開閉部37は収容部32Cに収容され、上流部32Aと下流部32Bとの連結部よりも下方に位置する。
【0041】
吸気配管32内に水Wが侵入すると、収容部32C内の水量に合わせて開閉部37が上昇する。水量が上流部32Aと下流部32Bとの連結部よりも上方に到達すると、開閉部37は下流部32B内を閉塞する位置に移動する。その結果、回収器2への流路が遮断される。
【0042】
<排気部>
図2に示す排気部4は、回収器2を通過した大気を車両100の外部へ排出するように構成されている。排気部4は、排気開口41と、排気配管42とを有する。
【0043】
(排気開口)
排気開口41は、車両100において、車両100の走行時に吸気開口31に対し負圧となる位置に取り付けられるように構成されている。
【0044】
具体的には、排気開口41は、車両100において、車両100の下方へ大気を排出する位置に取り付けられるように構成されている。つまり、排気開口41は、車両100の下方の壁(つまりボディーパネルの下面)に設けられた開口に配置されている。
【0045】
車両100の走行中、車両100の下方及び後方において、車両100外面に沿った走行風Rが発生する。走行風Rは、車両100の下方では、車両100の下面に沿って流れ、車両100の後端に到達すると、上方に曲がりつつ後方に流れる。
【0046】
車両100の下方での走行風Rの速度は、車両100の後方での走行風Rの速度よりも大きい。そのため、車両100の下方は、車両100の後方に対し負圧となる。つまり、排気開口41は、吸気開口31に対し負圧となる。その結果、吸気開口31から回収装置1に大気が取り込まれ、排気開口41から排出される流れが生じる。
【0047】
排気開口41の法線と鉛直方向との成す角度は、0°から90°である。なお、排気開口41の法線と鉛直方向との成す角度が90°の場合、排気開口41は車両100の後方を向く。
【0048】
(排気配管)
排気配管42は、排気開口41と回収器2とを連結している。具体的には、排気配管42の大気の流れ方向における下流側の端部は、排気開口41に連結されている。排気配管42の上流側の端部は、回収器2に連結されている。
【0049】
排気配管42は、回収器2に下方から接続されている。排気配管42は、下方に向かって大気が流れる流路を構成している。排気配管42は、吸気配管32よりも前方に配置されている。
【0050】
排気配管42の断面形状(つまり、排気開口41の平面形状)は、円形及び多角形のいずれでもよい。また、排気配管42は、縮径部又は拡径部を有してもよく、湾曲又は屈曲していてもよい。
【0051】
[1-2.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)車両100の走行時に発生する圧力差によって、吸気部3から負圧が発生する排気部4に向かって大気が流入する。これにより、吸気部3から回収器2に向かって大気が送り込まれる。そのため、大気を吸引するためのポンプを省略又は小型化することができる。
【0052】
(1b)走行風の流速が比較的小さい車両後方に吸気開口31が位置することで、吸気部3と排気部4との圧力差を大きくすることができる。その結果、大気の吸引性能を高めることができる。
【0053】
(1c)走行風の流速が比較的大きい車両下方に排気開口41が位置することで、吸気部3と排気部4との圧力差を大きくすることができる。その結果、大気の吸引性能を高めることができる。
【0054】
(1d)吸気部3及び排気部4がそれぞれ、回収器2に下方から接続されることにより、回収器2への水の侵入が抑制される。その結果、回収器2の回収性能の低下が抑制される。
【0055】
(1e)大気と共に取り込まれた水が衝突部33に衝突することで、回収器2への水の侵入が抑制される。その結果、回収器2の回収性能の低下が抑制される。
(1f)衝突部33が吸気配管32の湾曲又は屈曲した部位によって構成されることで、部品点数を低減しつつ、低コストで衝突部33を設けることができる。
【0056】
(1g)大気と共に取り込まれた水が貯水部34に貯留されることで、回収器2への水の侵入が抑制される。その結果、回収器2の回収性能の低下が抑制される。
(1h)排水路35により、貯水部34の水位上昇を抑えることができる。その結果、回収器2への水の侵入が抑制される。
【0057】
(1i)開閉部37により、大量の水が吸気部3に侵入した場合に吸気部3から回収器2への流路が自動閉塞される。その結果、回収器2への水の侵入が抑制される。
【0058】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0059】
(2a)上記実施形態の車両用二酸化炭素回収装置において、図4Aに示すように、吸気部3は、複数の貯水部34を有してもよい。貯水部34は、図2の上流部32A又は下流部32Bのいずれに設けられてもよい。
【0060】
また、吸気部3は、貯水槽38を有してもよい。貯水槽38は、排水路35を介して、貯水部34に貯留された水の一部を回収する。貯水槽38が回収した水は、車両において種々の用途に利用することができる。
【0061】
(2b)上記実施形態の車両用二酸化炭素回収装置において、吸気部及び排気部は、必ずしも回収器に下方から接続されなくてもよい。例えば、図4Bに示すように、吸気部3の吸気配管32が回収器2に水平方向から接続されてもよい。また、図4Cに示すように、吸気配管32が回収器2に上方から接続されてもよい。排気部についても同様である。
【0062】
(2c)上記実施形態の車両用二酸化炭素回収装置において、開閉部の構成は、上述のものに限定されない。例えば、図5Aに示すように、開閉部は、開閉弁37Aと、メッシュ37Bとを有してもよい。
【0063】
メッシュ37Bは、吸気配管32内に配置されており、大気の通過を許容する。開閉弁37Aは、吸気配管32内の水量が小さい場合は、重力により図5Aの開放位置に存在する。図5Bに示すように、水Wが開閉弁37Aの高さまで到達すると、開閉弁37Aはメッシュ37Bに下方から接触する位置まで回転し、閉塞位置に移動する。
【0064】
また、図5Cに示すように、開閉部37を構成する浮きは、ワイヤ37Cによって吊るされてもよい。また、開閉部37は、吸気配管32に設けられた縮径部32Dを閉塞してもよい。縮径部32Dは、下流側に向かって吸気配管32の流路面積が小さくなる部位である。
【0065】
(2d)上記実施形態の車両用二酸化炭素回収装置において、排気部に対し、吸気部と同様の貯水部、開閉部及びフィルタを設けてもよい。また、吸気開口及び排気開口それぞれに開閉自在な蓋が設けられてもよい。この蓋は、回収装置に水の侵入が予測される際に閉じられる。
【0066】
(2e)上記実施形態の車両用二酸化炭素回収装置において、衝突部は、吸気配管に配置された邪魔板等の他の部材によって構成されてもよい。また、吸気部は、必ずしも衝突部、貯水部及び開閉部を有しなくてもよい。
【0067】
(2f)上記実施形態の車両用二酸化炭素回収装置において、排水路は、吸気配管に設けられた孔のみで構成されてもよい。
【0068】
(2g)上記実施形態の車両用二酸化炭素回収装置の車両における設置位置は一例である。例えば、回収装置は車両後方に配置されたウィングに設置されてもよい。また、吸気開口及び排気開口の位置は上述のものに限定されない。
【0069】
これらの開口は、車両の走行時に排気開口が吸気開口に対して負圧となる位置であれば限定されない。そのため、例えば、排気開口を車両の側面に設けることも可能である。また、車両によっては吸気開口を車両の前面に設けることも可能である。
【0070】
例えば図6に示すように、吸気開口31を車両100の前方から大気を取り込む位置に設けることも可能である。図6では、吸気開口31及び排気開口41は、それぞれ車両100の側壁(つまりボディーパネルの側面)に設けられた開口に配置されている。また、排気開口41は、吸気開口31よりも後方に配置されている。
【0071】
さらに、図7に示すように、吸気開口31及び排気開口41は、車両100の走行時に発生する空気流が車両100から剥離する剥離点Pを前後方向に挟んだ位置に取り付けられてもよい。図7では、吸気開口31は、排気開口41よりも後方に位置する。
【0072】
車両100の走行時は、車両100の前端から中央部にかけて車両100周囲の静圧が減少すると共に、中央部から後端にかけて車両100周囲の静圧が増大する。そのため、剥離点Pの前後では静圧が顕著に増大する。静圧が増大する剥離点Pの後方に吸気開口31が配置されることで、吸気部3と排気部4との圧力差を大きくすることができる。その結果、大気の吸引性能を高めることができる。
【0073】
(2h)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、特許請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【符号の説明】
【0074】
1…車両用二酸化炭素回収装置、2…回収器、3…吸気部、4…排気部、
31…吸気開口、32…吸気配管、32A…上流部、32B…下流部、
32C…収容部、32D…縮径部、33…衝突部、34…貯水部、35…排水路、
36…補助排水路、37…開閉部、37A…開閉弁、37B…メッシュ、
37C…ワイヤ、38…貯水槽、41…排気開口、42…排気配管、100…車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7