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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025927
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】ホットプレス装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 24/00 20060101AFI20230216BHJP
   B21D 37/16 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B21D24/00 M
B21D37/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131389
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】520200584
【氏名又は名称】株式会社キーレックス・ワイテック・インターナショナル
(71)【出願人】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(71)【出願人】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】山根 稔正
(72)【発明者】
【氏名】中崎 篤
(72)【発明者】
【氏名】板岡 毅
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 晋作
【テーマコード(参考)】
4E050
4E137
【Fターム(参考)】
4E050GA05
4E137AA02
4E137AA10
4E137BA01
4E137BB01
4E137CA09
4E137CA24
4E137DA03
4E137EA01
4E137EA26
4E137EA36
4E137GA03
4E137GB03
(57)【要約】
【課題】成形体表面の精度を確保しつつ成形体の冷却速度を向上させ、さらには、冷却用金型の下型の温度上昇を抑えて適切に焼き入れがなされた成形体を得ることができるホットプレス装置を提供する。
【解決手段】ホットプレス装置1は、成形領域にて得られた高温状態の一次成形体Pを冷却用金型40の両加圧保持面により加圧保持して冷却することで焼き入れがなされた車体フレームFを得る。冷却用下型41は、下側加圧保持面41aに対応する位置に開口する下側凹部43と、第1ピストン部61が往復移動可能に収容された第1シリンダー室45aを有する第1シリンダー部45と、第1シリンダー室45aと下側凹部43とを連通させる第1連通路47とを備え、第1シリンダー室45aには、第1ピストン部61に仕切られ、第1連通路47の一端が開口し且つ液体冷媒が溜まる第1貯留室55が設けられる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形領域にて得られた高温状態の一次成形体を冷却用金型の上型及び下型の両加圧保持面により加圧保持して冷却することにより焼き入れがなされた最終成形体を得るよう構成されたホットプレス装置であって、
前記下型は、当該下型の加圧保持面に対応する位置に開口する下側凹部と、第1ピストン部が往復移動可能に収容された第1シリンダー室を有する第1シリンダー部と、当該第1シリンダー室と前記下側凹部とを連通させる第1連通路とを備え、
前記第1シリンダー室には、前記第1ピストン部に仕切られ、且つ、前記第1連通路に対応しており、液体冷媒が溜まる第1貯留室が設けられていることを特徴とするホットプレス装置。
【請求項2】
請求項1に記載のホットプレス装置において、
前記第1シリンダー室は、上方に開口しており、
前記第1ピストン部は、上下方向に往復移動可能に構成され、
前記第1貯留室は、前記第1ピストン部の下側に位置しており、
前記上型における前記第1ピストン部に対応する位置には、前記上型が下降動作時に前記第1ピストン部を押し下げる第1押圧部が設けられていることを特徴とするホットプレス装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のホットプレス装置において、
前記上型は、当該上型の加圧保持面に対応する位置に開口する上側凹部と、第2ピストン部が往復移動可能に収容された第2シリンダー室を有する第2シリンダー部と、当該第2シリンダー室と前記上側凹部とを連通させる第2連通路とを備え、
前記第2シリンダー室には、前記第2ピストン部に仕切られ、且つ、前記第2連通路に対応しており、液体冷媒が溜まる第2貯留室が形成されていることを特徴とするホットプレス装置。
【請求項4】
請求項3に記載のホットプレス装置において、
前記第2シリンダー室は、下方に開口しており、
前記第2ピストン部は、上下方向に往復移動可能に構成され、
前記第2貯留室は、前記第2ピストン部の上側に位置しており、
前記下型における前記第2ピストン部に対応する位置には、前記上型が下降動作時に前記第2ピストン部を押し上げる第2押圧部が設けられていることを特徴とするホットプレス装置。
【請求項5】
請求項4に記載のホットプレス装置において、
前記第1押圧部は、前記第2ピストン部の下側端部で構成され、
前記第2押圧部は、前記第1ピストン部の上側端部で構成されていることを特徴とするホットプレス装置。
【請求項6】
請求項5に記載のホットプレス装置において、
前記第1貯留室には、当該第1貯留室の貯留容積を増加させる方向に前記第1ピストン部を付勢する第1付勢部材が設けられ、
前記第2貯留室には、当該第2貯留室の貯留容積を増加させる方向に前記第2ピストン部を付勢する第2付勢部材が設けられ、
前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材よりも小さな付勢力に設定されていることを特徴とするホットプレス装置。
【請求項7】
請求項6に記載のホットプレス装置において、
前記液体冷媒を貯留可能な液体貯留部をさらに備え、
前記上型には、前記第2貯留室と前記液体貯留部とを連通させる第3連通路が形成されていることを特徴とするホットプレス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形領域にて得られた高温状態の成形体を冷却領域の冷却用金型で加圧保持して冷却することにより焼き入れするよう構成されたホットプレス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、板厚を厚くすることなく高強度な成形体を得るための成形方法として、ホットプレス装置を用いたホットプレス成形が知られている。例えば、特許文献1に開示されているホットプレス装置は、内部に液体冷媒が流通する成形用金型を備え、当該成形用金型の型閉じ動作により高温状態の鋼板を絞り成形して成形体を得るとともに、当該成形体を型閉じ状態で加圧保持して冷却することにより焼き入れするよう構成されている。成形用金型における上型の加圧面には、複数の冷却用溝が形成されていて、成形用金型の型閉じ状態において加圧保持状態の成形体の表面と各冷却用溝との間の空間に液体冷媒を満たすことにより、当該液体冷媒で成形体を直接冷却して焼き入れ時における成形体の冷却速度を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018―012113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のように、成形用金型の加圧面に冷却用溝を設けると、ホットプレス成形の場合、鋼板が成形時において高温で軟化した状態であるので、成形体の表面に冷却用溝が転写されて成形体の表面が凹凸形状になってしまい、所望する成形体表面の精度を確保できなくなるおそれがある。
【0005】
これを回避するために、成形領域とは別に冷却領域を設け、成形領域にて得られた高温状態の一次成形体を冷却領域に配置した冷却用金型で加圧保持して冷却することにより焼き入れがなされた最終成形体を得るようにして成形体表面の精度を確保することが考えられる。
【0006】
しかし、ホットプレス成形において冷却領域を別に設けると、成形領域から冷却領域に搬入される高温状態の一次成形体を型開きした冷却用金型における下型の加圧面に一旦載置する必要があり、冷却用金型における上型よりも下型の温度が上昇しやすくなってしまう。そうすると、例えば、ホットプレス成形を繰り返し行う際に冷却用金型において下型が高温の状態で維持されてしまい、焼き入れ時において一次成形体の冷却だけでなく下型の冷却をも液体冷媒で行われてしまうことになり、焼き入れ時における一次成形体の冷却速度が著しく低下して最終成形体の強度に悪影響を及ぼしてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形体表面の精度を確保しつつ成形体の冷却速度を向上させ、さらには、冷却用金型の下型の温度上昇を抑えて適切に焼き入れがなされた成形体を得ることができるホットプレス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、液体冷媒を用いて成形体を直接的に冷却するとともに、冷却用金型の下型における第1貯留室に貯留された液体冷媒により当該下型を冷却するようにしたことを特徴とする。
【0009】
具体的には、成形領域にて得られた高温状態の一次成形体を冷却用金型の上型及び下型の両加圧保持面により加圧保持して冷却することにより焼き入れがなされた最終成形体を得るよう構成されたホットプレス装置を対象とし、次のような解決手段を講じた。
【0010】
すなわち、第1の発明では、前記下型は、当該下型の加圧保持面に対応する位置に開口する下側凹部と、第1ピストン部が往復移動可能に収容された第1シリンダー室を有する第1シリンダー部と、当該第1シリンダー室と前記下側凹部とを連通させる第1連通路とを備え、前記第1シリンダー室には、前記第1ピストン部に仕切られ、且つ、前記第1連通路に対応しており、液体冷媒が溜まる第1貯留室が設けられていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、第1の発明において、前記第1シリンダー室は、上方に開口しており、前記第1ピストン部は、上下方向に往復移動可能に構成され、前記第1貯留室は、前記第1ピストン部の下側に位置しており、前記上型における前記第1ピストン部に対応する位置には、前記上型が下降動作時に前記第1ピストン部を押し下げる第1押圧部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、前記上型は、当該上型の加圧保持面に対応する位置に開口する上側凹部と、第2ピストン部が往復移動可能に収容された第2シリンダー室を有する第2シリンダー部と、当該第2シリンダー室と前記上側凹部とを連通させる第2連通路とを備え、前記第2シリンダー室には、前記第2ピストン部に仕切られ、且つ、前記第2連通路に対応しており、液体冷媒が溜まる第2貯留室が形成されていることを特徴とする。
【0013】
第4の発明では、第3の発明において、前記第2シリンダー室は、下方に開口しており、前記第2ピストン部は、上下方向に往復移動可能に構成され、前記第2貯留室は、前記第2ピストン部の上側に位置しており、前記下型における前記第2ピストン部に対応する位置には、前記上型が下降動作時に前記第2ピストン部を押し上げる第2押圧部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
第5の発明では、第4の発明において、前記第1押圧部は、前記第2ピストン部の下側端部で構成され、前記第2押圧部は、前記第1ピストン部の上側端部で構成されていることを特徴とする。
【0015】
第6の発明では、第5の発明において、前記第1貯留室には、当該第1貯留室の貯留容積を増加させる方向に前記第1ピストン部を付勢する第1付勢部材が設けられ、前記第2貯留室には、当該第2貯留室の貯留容積を増加させる方向に前記第2ピストン部を付勢する第2付勢部材が設けられ、前記第1弾性部材は、前記第2弾性部材よりも小さな付勢力に設定されていることを特徴とする。
【0016】
第7の発明では、第6の発明において、前記液体冷媒を貯留可能な液体貯留部をさらに備え、前記上型には、前記第2貯留室と前記液体貯留部とを連通させる第3連通路が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
第1の発明では、第1貯留室の貯留容積が減少する方向に第1ピストン部が第1シリンダー室を移動すると、第1貯留室に溜まる液体冷媒が第1ピストン部により押されて第1連通路を介して下側凹部に流れ込む。すると、下側凹部の液体冷媒の液面が上昇して下型の加圧保持面と当該加圧保持面において載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体とが液体冷媒に浸された状態になる。したがって、液体冷媒が一次成形体の熱を直接的に奪うようになり、焼き入れにおける一次成形体の冷却速度を高めることができる。また、第1貯留室に溜まる液体冷媒が冷却用金型の下型から熱を奪って当該下型を冷却するようになるので、当該下型の温度上昇も効果的に抑えることができる。さらに、特許文献1の如き成形用金型に冷却用溝を設ける必要がなくなるので、冷却用溝を設けたことを起因としてホットプレス成形時の成形体表面の精度が確保できないといった事態を回避することができる。
【0018】
第2の発明では、冷却用金型における上型の下降動作に連動して第1ピストン部が下方に移動して第1貯留室の貯留容積が減少するようになり、それに伴って、当該第1貯留室に溜まる液体冷媒を下側凹部に移動させて当該下側凹部に溜まる液体冷媒の液面を上昇させることができるようになる。したがって、一次成形体を冷却用金型で加圧保持する状態と一次成形体が液体冷媒で浸される状態とを同時或いは比較的少ない時間差で実現することができるようになり、高温状態の一次成形体が液体冷媒に浸されない状態で冷却用金型の下型の加圧保持面に載置或いは加圧保持されている時間を短縮することができ、高温状態の一次成形体から下型の加圧保持面への伝熱を減らして冷却用金型の下型の温度上昇を抑えることができる。また、上型の下降動作を利用して第1ピストン部を移動させるので、第1ピストン部を移動させるための駆動源を別途備えることによってコストが上昇するのを回避することができる。
【0019】
第3の発明では、第2貯留室の貯留容積が減少する方向に第2ピストン部が第2シリンダー室を移動すると、第2貯留室に溜まる液体冷媒が第2ピストン部により押し出されて第2連通路を介して上側凹部に流れ込む。すると、上側凹部の開口部を介して液体冷媒が落下して冷却用金型の下型の加圧保持面に載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体の表面に接触するようになる。したがって、一次成形体の表面に接触した液体冷媒が高温状態の一次成形体の熱を直接的に奪うようになり、焼き入れにおける一次成形体の冷却速度をより一層高めることができる。
【0020】
第4の発明では、冷却用金型における上型の下降動作に連動して第2ピストン部が上方に移動して第2貯留室の貯留容積が減少するようになり、それに伴って、当該第2貯留室に溜まる液体冷媒が上側凹部に移動して当該上側凹部の開口部を介して冷却用金型の下型の加圧保持面に載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体の表面に向かって落下するようになるので、一次成形体に降り注いだ液体冷媒が高温状態の一次成形体の表面を効率良く冷却することができる。また、上型の下降動作を利用して第2ピストン部を移動させるので、第2ピストン部を移動させるための駆動源を別途備えることによってコストが上昇するのを回避することができる。
【0021】
第5の発明では、第2ピストン部の移動動作を下型の液体冷媒の移動を制御する第1ピストン部を利用して行う一方、第1ピストン部の移動動作を上型の液体冷媒の移動を制御する第2ピストン部を利用して行うようになるので、第1ピストン部及び第2ピストン部を移動させるためだけの押圧構造を別途設ける必要が無くなり、部品点数を少なくして製造にかかるコストを抑えることができるとともに、両ピストン部以外の領域に押圧構造を設けて冷却用金型が水平方向に大型化してしまうといったことを抑制できる。
【0022】
第6の発明では、冷却用金型における上型の下降動作の際に第2ピストン部が第1ピストン部よりも遅れて第2貯留室の貯留容積を減少させる方向に移動開始するようになるので、下側凹部における液体冷媒の液面上昇による一次成形体の裏面の冷却と、上側凹部下方の開口部を介して供給される液体冷媒による一次成形体の表面の冷却とが同時或いは比較的少ない時間差で行われるようになり、一次成形体の表面と裏面をバランス良く冷却されるとともに、一次成形体全体の冷却速度を高めることができる。
【0023】
第7の発明では、冷却用金型における上型の上昇動作の際に第2ピストン部が第2付勢部材の付勢力によって第2貯留室の貯留容積を増加する方向に移動して当該第2貯留室に負圧が発生する。すると、その負圧によって第2貯留室から第2連通路に流れ出た液体冷媒の一部が第2貯留室に還流するとともに、液体貯留部から第3連通路を介して液体冷媒が第2貯留室に流れ込み、当該第2貯留室が液体冷媒で満たされるようになる。したがって、冷却用金型の上型の昇降動作を繰り返し行っても第2貯留室が液体冷媒で常に満たされた状態になるので、冷却用金型の上型の下降動作時に第2貯留室から流れ出る液体冷媒の量が減少してしまって当該液体冷媒による一次成形体の表面の冷却速度が低下してしまうといったことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るホットプレス装置の概略正面図である。
図2】本発明の実施形態に係るホットプレス装置の冷却用金型を示す概略断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るホットプレス装置の冷却用金型を構成する下型に一次成形体が載置されている状態を示す概略断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るホットプレス装置の冷却用金型において一次成形体を加圧保持して冷却している状態を示す概略断面図である。
図5】変形例に係る図3相当図である。
図6】変形例に係る図3相当図である。
図7】変形例に係る図4相当図である。
図8】変形例に係るホットプレス装置の冷却用金型の型開き状態を示す概略断面図である。
図9】変形例に係るホットプレス装置の冷却用金型の型開き状態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係るホットプレス装置1を示す。該ホットプレス装置1は、断面ハット形状をなす車体フレームF(最終成形体)を生産するようになっていて、装置の上流側から順に、鋼板Sを加熱する加熱領域2と、ホットプレス成形を行って一次成形体Pを得る成形領域3と、一次成形体Pを冷却して車体フレームFを得る焼き入れ領域4とが直線状に設定されている。
【0027】
加熱領域2には、遠赤外線式の加熱炉20が配置され、該加熱炉20は、フロアに設置された下側炉体20aと、該下側炉体20aの上方に対向配置された上側炉体20bとを有している。
【0028】
上側炉体20bには、当該上側炉体20bと下側炉体20aとの間の雰囲気ガスの温度を上昇させるヒータ(図示せず)が取り付けられ、鋼板Sを所定の加熱時間だけ加熱して予め設定された焼き入れ温度である約900℃にまで昇温させるようになっている。
【0029】
加熱領域2と成形領域3との間には、加熱炉20にて昇温されて高温状態となった鋼板Sを成形領域3まで搬送する第1ロボットR1が配設されている。
【0030】
成形領域3は、ホットプレス成形用の成形用金型30と、メカプレス5とを備えている。
【0031】
成形用金型30は、互いに対向する成形用下型31と成形用上型32とを備え、成形用上型32は、メカプレス5により、成形用下型31に対して昇降するようになっている。
【0032】
成形用下型31には、上方に膨出する断面略凸状の第1加圧面31aが形成される一方、成形用上型32には、上方に窪む断面略凹状をなす第2加圧面32aが形成されている。
【0033】
そして、焼き入れ温度にまで昇温させた状態の鋼板Sを成形用下型31の第1加圧面31a上にセットした後、成形用上型32を下降させて成形用金型30を型閉じすることにより、鋼板Sから断面略ハット形状をなす一次成形体Pが得られるようになっている。
【0034】
成形領域3と焼き入れ領域4との間には、成形領域3にて得られた一次成形体Pを焼き入れ領域4まで搬送する第2ロボットR2が配設されている。
【0035】
焼き入れ領域4には、互いに対向する冷却用下型41及び冷却用上型42を備えた焼き入れ用の冷却用金型40と、冷却用下型41に対して冷却用上型42を昇降させるサーボプレス6とが配置されている。当該焼き入れ領域4では、一次成形体Pが液体冷媒で冷却されることにより焼き入れが施されて最終成形体である車体フレームFが得られるようになっている。
【0036】
そして、焼き入れ領域4にて得られた車体フレームFは、図1に示すように、焼き入れ領域4の下流側に配設された第3ロボットR3により次領域に搬送されるようになっている。
【0037】
次に、冷却用金型40について詳述する。
【0038】
冷却用下型41は、図2に示すように、幅広で且つ断面が上方を向く櫛歯状をなしており、その上面の外周部に位置し且つ上方に突出する下側外壁51と、当該下側外壁51の内側に位置し且つ上方に突出する下側内壁53とを備えている。
【0039】
冷却用下型41の上面における長手方向一端に位置する下側外壁51と下側内壁53との間の領域には、下側加圧保持面41aが設けられ、該下側加圧保持面41aは、下側外壁51及び下側内壁53の上面よりも下方の位置に設定されている。
【0040】
下側加圧保持面41aに対応する位置には、複数の下側凹部43が設けられている。
【0041】
下側凹部43には、液体冷媒が溜まっていて、当該下側凹部43に溜まる液体冷媒が冷却用下型41から熱を奪って当該冷却用下型41を冷却するようになっている。
【0042】
一方、冷却用下型41の上面における長手方向他端に位置する下側外壁51と下側内壁53との間の領域には、上方に開口する第1シリンダー室45aを有する第1シリンダー部45が設けられ、第1シリンダー室45aには、第1ピストン部61が上下方向に往復移動可能に収容されている。
【0043】
第1ピストン部61は、中心線が上下に向く円柱状をなし、水平に延びる第1上側端部61a(第2押圧部)を上端に備える一方、水平に延びる第1下側端部61bを下端に備えている。
【0044】
第1シリンダー室45aの第1ピストン部61に仕切られた下側の領域には、液体冷媒を貯留可能な第1貯留室55が設けられ、該第1貯留室55に溜まる液体冷媒は、冷却用下型41から熱を奪って当該冷却用下型41を冷却するようになっている。
【0045】
第1貯留室55の貯留容積は、第1ピストン部61の上下動作によって可変するようになっている。つまり、第1ピストン部61が下動すると、第1貯留室55の貯留容積が減少する一方、第1ピストン部61が上動すると、第1貯留室55の貯留容積が増加するようになっている。
【0046】
また、第1貯留室55には、圧縮コイルばねタイプの第1ばね57(第1付勢部材)が配設されている。該第1ばね57は、一端が第1ピストン部61の第1下側端部61bに当接する一方、他端が第1貯留室55の底面に当接しており、第1貯留室55の貯留容積を増加させる方向、つまり、上方向に第1ピストン部61を付勢している。
【0047】
冷却用下型41には、各下側凹部43と第1貯留室55とを連通させる第1連通路47が設けられている。該第1連通路47は、一端が第1貯留室55に開口する一方、その中途部において分岐するとともに当該分岐部分の各端部が各下側凹部43の底面にそれぞれ開口している。さらに、第1連通路47は、液体冷媒で満たされており、当該液体冷媒が冷却用下型41の熱を奪って当該冷却用下型41を冷却するようになっている。
【0048】
一方、冷却用上型42は、図2に示すように、幅広で且つ断面が下方を向く櫛歯状をなしており、その下面における下側外壁51に対応する位置で且つ下方に突出する上側外壁52と、当該下面における下側内壁53に対応する位置で且つ下方に突出する上側内壁54とをそれぞれ備えている。
【0049】
冷却用上型42の下面における下側加圧保持面41aに対応する位置には、上側加圧保持面42aが設けられ、該上側加圧保持面42aは、上側外壁52の下面及び上側内壁54の下面よりも下方の位置に設定されている。
【0050】
上側加圧保持面42aに対応する位置には、複数の上側凹部44が設けられ、当該複数の上側凹部44は、複数の下側凹部43と上下方向に対向するよう形成されている。
【0051】
また、冷却用上型42の下面における第1シリンダー部45に対応する位置には、下方に開口する第2シリンダー室46aを有する第2シリンダー部46が設けられ、第2シリンダー室46aには、第2ピストン部62が上下方向に往復移動可能に収容されている。
【0052】
第2ピストン部62は、中心線が上下に向く円柱状をなし、水平に延びる第2上側端部62aを上端に備える一方、水平に延びる第2下側端部62b(第1押圧部)を下端に備えていて、当該第2下側端部62bは、第1ピストン部61の第1上側端部61aと上下方向において対向している。
【0053】
第2シリンダー室46aの第2ピストン部62に仕切られた上側の領域には、液体冷媒を貯留可能な第2貯留室56が設けられている。
【0054】
第2貯留室56の貯留容積は、第2ピストン部62の上下動作によって可変するようになっている。つまり、第2ピストン部62が上動すると、第2貯留室56の貯留容積が減少する一方、第2ピストン部62が下動すると、第2貯留室56の貯留容積が増加するようになっている。
【0055】
また、第2貯留室56には、圧縮コイルばねタイプの第2ばね58(第2付勢部材)が配設されている。該第2ばね58は、付勢力が第1ばね57と同一に設定されるとともに、一端が第2ピストン部62の第2上側端部62aに当接する一方、他端が第2貯留室56の天井部分に当接しており、第2貯留室56の貯留容積を増加させる方向、つまり、下方向に、第2ピストン部62を付勢している。
【0056】
冷却用上型42には、各上側凹部44と第2貯留室56とを連通させる第2連通路48が設けられている。当該第2連通路48は、一端が第2貯留室56に開口する一方、その中途部において分岐するとともに当該分岐部分の各他端が各上側凹部44の天井部分にそれぞれ開口している。さらに、第2連通路48は、液体冷媒を満たすことが可能になっている。
【0057】
次に、図3及び図4を用いて、焼き入れ領域4における冷却用金型40を用いた焼き入れ方法について詳述する。
【0058】
まず、成形用金型30にて一次成形体Pが成形されると、図3に示すように、当該一次成形体Pを第2ロボットR2にて搬送して型開き状態における冷却用下型41の下側加圧保持面41aに載置する。
【0059】
ここで、冷却用下型41の下側加圧保持面41aの面積は、下側凹部43の開口領域が設けられている分だけ狭いので、下側加圧保持面41aに載置されている高温状態の一次成形体Pから当該下側加圧保持面41aへの伝熱量が減り、冷却用下型41の温度が上昇しにくくなっている。
【0060】
次に、図4に示すように、冷却用上型42を冷却用下型41に対して下降させて冷却用金型40を型閉じする。すると、第1ピストン部61の第1上側端部61aと、第2ピストン部62の第2下側端部62bとが当接し、当該第2下側端部62bによって第1ピストン部61が押し下げられるとともに、第1上側端部61aによって第2ピストン部62が押し上げられる。
【0061】
第1ピストン部61が押し下げられることで第1貯留室55の貯留容積が減少すると、当該第1貯留室55に溜まる液体冷媒が第1ピストン部61により第1連通路47を介して下側凹部43に押し出されて当該下側凹部43に溜まる液体冷媒の液面が上昇する。すると、冷却用下型41の下側加圧保持面41aに載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体Pが液体冷媒で浸されるようになり、当該液体冷媒が一次成形体Pの熱を奪って当該一次成形体Pが冷却される。
【0062】
また、第2ピストン部62が押し上げられることで第2貯留室56の貯留容積が減少すると、当該第2貯留室56に溜まる液体冷媒が第2ピストン部62により第2連通路48を介して上側凹部44に押し出されて当該上側凹部44の開口部を介して冷却用下型41の下側加圧保持面41aに載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体Pの表面に向かって落下するようになるので、一次成形体Pに降り注いだ液体冷媒によって高温状態の一次成形体Pの表面が冷却される。
【0063】
冷却用金型40の型閉じ状態では、一次成形体Pが冷却用下型41の下側加圧保持面41aと冷却用上型42の上側加圧保持面42aとにより加圧保持されるとともに、下側凹部43及び上側凹部44が液体冷媒で満たされることで一次成形体Pが液体冷媒で冷却されて焼き入れが施される。
【0064】
その後、冷却用金型40が型開きして焼き入れが施された車体フレームFが第3ロボットR3に取り出されて次領域に搬送される。なお、冷却用金型40の冷却用上型42の型開き動作に伴って、第1ばね57及び第2ばね58の付勢力によって第1ピストン部61が上方に移動するとともに第2ピストン部62が下方に移動して、図3に示す元位置に復帰する。
【0065】
以上より、本発明の実施形態によると、第1貯留室55の貯留容積が減少する方向に第1ピストン部61が第1シリンダー室45aを移動すると、第1貯留室55に溜まる液体冷媒が第1ピストン部61により押されて第1連通路47を介して下側凹部43に流れ込む。すると、下側凹部43の液体冷媒の液面が上昇して冷却用下型41の下側加圧保持面41aと当該下側加圧保持面41aにおいて載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体Pとが液体冷媒に浸された状態になる。したがって、液体冷媒が一次成形体Pの熱を直接的に奪うようになり、焼き入れにおける一次成形体Pの冷却速度を高めることができる。また、第1貯留室55に溜まる液体冷媒が冷却用金型40の冷却用下型41から熱を奪って当該冷却用下型41を冷却するようになるので、当該冷却用下型41の温度上昇も効果的に抑えることができる。さらに、特許文献1の如き成形用金型に冷却用溝を設ける必要がなくなるので、冷却用溝を設けたことを起因としてホットプレス成形時の成形体表面の精度が確保できないといった事態を回避することができる。
【0066】
また、冷却用金型40における冷却用上型42の下降動作に連動して第1ピストン部61が下方に移動して第1貯留室55の貯留容積が減少するようになり、それに伴って、当該第1貯留室55に溜まる液体冷媒を下側凹部43に移動させて当該下側凹部43に溜まる液体冷媒の液面を上昇させることができるようになる。したがって、一次成形体Pを冷却用金型40で加圧保持する状態と一次成形体Pが液体冷媒で浸される状態とを同時或いは比較的少ない時間差で実現することができるようになり、高温状態の一次成形体Pが液体冷媒に浸されない状態で冷却用金型40の冷却用下型41の下側加圧保持面41aに載置或いは加圧保持されている時間を短縮することができ、高温状態の一次成形体Pから冷却用下型41の下側加圧保持面41aへの伝熱を減らして冷却用金型40の冷却用下型41の温度上昇を抑えることができる。また、冷却用上型42の下降動作を利用して第1ピストン部61を移動させるので、第1ピストン部61を移動させるための駆動源を別途備えることによってコストが上昇するのを回避することができる。
【0067】
また、第2貯留室56の貯留容積が減少する方向に第2ピストン部62が第2シリンダー室46aを移動すると、第2貯留室56に溜まる液体冷媒が第2ピストン部62により押し出されて第2連通路48を介して上側凹部44に流れ込む。すると、上側凹部44の開口部を介して液体冷媒が落下して冷却用金型40の冷却用下型41の下側加圧保持面41aに載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体Pの表面に接触するようになる。したがって、一次成形体Pの表面に接触した液体冷媒が高温状態の一次成形体Pの熱を直接的に奪うようになり、焼き入れにおける一次成形体Pの冷却速度をより一層高めることができる。
【0068】
また、冷却用金型40における冷却用上型42の下降動作に連動して第2ピストン部62が上方に移動して第2貯留室56の貯留容積が減少するようになり、それに伴って、当該第2貯留室56に溜まる液体冷媒が上側凹部44に移動して当該上側凹部44の開口部を介して冷却用金型40の冷却用下型41の下側加圧保持面41aに載置或いは加圧保持されている高温状態の一次成形体Pの表面に向かって落下するようになるので、一次成形体Pに降り注いだ液体冷媒が高温状態の一次成形体Pの表面を効率良く冷却することができる。また、冷却用上型42の下降動作を利用して第2ピストン部62を移動させるので、第2ピストン部62を移動させるための駆動源を別途備えることによってコストが上昇するのを回避することができる。
【0069】
また、第2ピストン部62の移動動作を冷却用下型41の液体冷媒の移動を制御する第1ピストン部61を利用して行う一方、第1ピストン部61の移動動作を冷却用上型42の液体冷媒の移動を制御する第2ピストン部62を利用して行うようになるので、第1ピストン部61及び第2ピストン部62を移動させるためだけの押圧構造を別途設ける必要が無くなり、部品点数を少なくして製造にかかるコストを抑えることができるとともに、第1ピストン部61及び第2ピストン部62以外の領域に押圧構造を設けて冷却用金型40が水平方向に大型化してしまうといったことを抑制できる。
【0070】
尚、本発明の実施形態では、第1シリンダー部45及び第1ピストン部61と第2シリンダー部46及び第2ピストン部62とを上下方向に対向するように構成したが、図5に示すように、第1シリンダー部45及び第1ピストン部61を冷却用下型41の上面における長手方向一側領域に設けることで、第1シリンダー部45及び第1ピストン部61と第2シリンダー部46及び第2ピストン部62とを長手方向の両側に分けて配置する構成にしてもよい。そして、冷却用上型42の下面における長手方向一側の上側外壁52を第1シリンダー部45及び第1ピストン部61に対応するよう幅広且つ水平形状とすることで、当該上側外壁52の下面を冷却用金型40の型閉じ動作の際に第1ピストン部61を押し下げる第1押圧部として機能させるとともに、冷却用下型41の下面における長手方向他側の下側外壁51を第2シリンダー部46及び第2ピストン部62に対応するよう幅広且つ水平形状とすることで、当該下側外壁51の上面を冷却用金型40の型閉じ動作の際に第2ピストン部62を押し上げる第2押圧部として機能させるようにしてもよい。
【0071】
また、本発明の実施形態では、第1ピストン部61の第1上側端部61aと第2ピストン部62の第2下側端部62bとを上下方向に対向配置するとともに、冷却用上型42の下降動作に連動して第1ピストン部61及び第2ピストン部62を移動させるようにしているが、これに限らず、例えば、図6に示すように、第1ピストン部61及び第2ピストン部62を移動させるための専用の駆動源63、64を別途設けても良い。そして、図7に示すように、冷却用上型42の下降動作に合わせて、駆動源63、64を駆動させて第1ピストン部61及び第2ピストン部62を移動させることにより、第1貯留室55及び第2貯留室56の貯留容積を減少させてもよい。このようにすることで、第1貯留室55及び第2貯留室56から下側凹部43及び上側凹部44に流れ込む液体冷媒によって一次成形体Pを冷却することができる。
【0072】
また、本発明の実施形態では、第2貯留室56に液体冷媒を補充するための液体貯留部を設けていなかったが、図8に示すように、液体冷媒を貯留可能な液体冷媒タンク71を備えるとともに、冷却用上型42に設けられた第3連通路49及びホース72によって当該液体冷媒タンク71と第2貯留室56との間を連通させるようにしてもよく、また、図9に示すように、冷却用上型42の上部領域に上方に開口する液体冷媒貯留槽73を備えるとともに、当該液体冷媒貯留槽73と第2貯留室56とを連通させる第3連通路49を冷却用上型42に設けてもよい。このようにすることで、冷却用金型40における冷却用上型42の上昇動作の際に第2ピストン部62が第2ばね58の付勢力によって第2貯留室56の貯留容積を増加する方向に移動して当該第2貯留室56に負圧が発生すると、その負圧によって第2貯留室56から第2連通路48に流れ出た液体冷媒の一部が第2貯留室56に還流するとともに、液体冷媒タンク71或いは液体冷媒貯留槽73から第3連通路49を介して液体冷媒が第2貯留室56に流れ込み、当該第2貯留室56が液体冷媒で満たされるようになる。したがって、冷却用金型40の冷却用上型42が上下動を繰り返し行っても第2貯留室56が液体冷媒で常に満たされた状態になるので、冷却用金型40における冷却用上型42の下降動作時において第2貯留室56から流れ出る液体冷媒の量が減少してしまって当該液体冷媒による一次成形体Pの表面の冷却速度が低下してしまうといったことを抑制することができる。
【0073】
また、本発明の実施形態では、第1ばね57及び第2ばね58の付勢力を同一に設定していたが、第1ばね57を第2ばね58よりも小さな付勢力に設定してもよい。これにより、冷却用金型40における冷却用上型42の下降動作の際に第2ピストン部62が第1ピストン部61よりも遅れて第2貯留室56の貯留容積を減少させる方向に移動開始するようになるので、下側凹部43における液体冷媒の液面上昇による一次成形体Pの裏面の冷却と、上側凹部44の下方の開口部を介して供給される液体冷媒による一次成形体Pの表面の冷却とが同時或いは比較的少ない時間差で行われるようになり、一次成形体Pの表面と裏面とがバランス良く冷却されるとともに、一次成形体P全体の冷却速度を高めることができる。
【0074】
また、本発明の実施形態では、圧縮コイルばねタイプの第1ばね57及び第2ばね58により第1ピストン部61及び第2ピストン部62に対して付勢力を加えているが、板ばね、ゴム、ピストンなどの付勢部材で第1ピストン部61及び第2ピストン部62に対して付勢力を加えてもよい。
【0075】
また、本発明の実施形態では、冷却用下型41に第1シリンダー部45及び第1ピストン部61を設けるとともに、冷却用上型42に第2シリンダー部46及び第2ピストン部62とを設けているが、冷却用上型42に第2シリンダー部46及び第2ピストン部62を設けるのは必須ではない。
【0076】
また、本発明の実施形態では、第1ピストン部61及び第2ピストン部62が円柱状をなしているが、断面が四角形状をなす角柱でもよく、柱状でなくてもよい。
【0077】
また、本発明の実施形態では、第1ピストン部61の外面と第1シリンダー部45の内面との間の隙間、及び、第2ピストン部62の外面と第2シリンダー部46の内面との間の隙間にシール部材を配設していないが、双方の隙間を水密に封止するシール部材を配設するようにしてもよい。
【0078】
また、本発明の実施形態では、下側加圧保持面41aが下側内壁53及び下側外壁51の上面よりも下方の位置に設定されるとともに、上側加圧保持面42aが上側内壁54及び下側外壁51の下面よりも下方の位置に設定されているが、下側加圧保持面41aが下側内壁53及び下側外壁51の上面よりも上方の位置に設定されるとともに、上側加圧保持面42aが上側内壁54及び下側外壁51の下面よりも上方の位置に設定された構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、成形領域にて得られた高温状態の一次成形体を冷却用金型の上型及び下型の両加圧保持面により加圧保持して冷却することにより焼き入れがなされた最終成形体を得るよう構成されたホットプレス装置に適している。
【符号の説明】
【0080】
1 ホットプレス装置
40 冷却用金型
41 冷却用下型
42 冷却用上型
43 下側凹部
44 上側凹部
45 第1シリンダー部
45a 第1シリンダー室
46 第2シリンダー部
46a 第2シリンダー室
47 第1連通路
48 第2連通路
49 第3連通路
55 第1貯留室
56 第2貯留室
57 第1ばね(第1付勢部材)
58 第2ばね(第2付勢部材)
61 第1ピストン部
61a 第1上側端部(第2押圧部)
62 第2ピストン部
62b 第2下側端部(第1押圧部)
71 液体冷媒タンク(液体貯留部)
73 液体冷媒貯留槽(液体貯留部)
P 一次成形体
F 車体フレーム(最終成形体)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9