(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023002595
(43)【公開日】2023-01-10
(54)【発明の名称】患者の動きを追跡するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/11 20060101AFI20221227BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20221227BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20221227BHJP
A61B 5/282 20210101ALI20221227BHJP
A61B 5/332 20210101ALI20221227BHJP
A61B 5/33 20210101ALI20221227BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20221227BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20221227BHJP
G08B 25/08 20060101ALI20221227BHJP
G16H 10/00 20180101ALI20221227BHJP
【FI】
A61B5/11 200
A61B5/00 102A
A61B5/256 210
A61B5/282
A61B5/332
A61B5/33 120
A61B5/33 200
G08B21/02
G08B25/04 K
G08B25/08 A
G16H10/00
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022160988
(22)【出願日】2022-10-05
(62)【分割の表示】P 2018544566の分割
【原出願日】2017-03-31
(31)【優先権主張番号】62/316,196
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504242032
【氏名又は名称】ゾール メディカル コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Medical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーバー、ティモシー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ、ブルース エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン、ゲイリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】マーベンコ、ブランドン ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルペ、シェーン エス.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】携帯型医療デバイスが提供される。
【解決手段】携帯型医療デバイスは、患者の動きを記述したセンサデータを取得するように構成される少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのセンサに結合された少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、センサデータから患者の動きを検出し、患者の動きを分類するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の身体上の1または複数の解剖学的位置に位置し、前記患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを検出するように構成される複数の動きセンサと、
前記患者の身体上の様々な位置に配置され、前記患者の心臓の活動を示す心電図(ECG)信号を取得するよう構成される複数のECG電極と、
前記患者の前記心臓の活動に基づき、前記患者に対し少なくとも一部の治療プロトコルを提供するよう構成される治療実施インタフェースと、
前記複数の動きセンサと、前記複数のECG電極と、前記治療実施インタフェースとに通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサであって、
前記患者の身体の前記部位の前記動きに対応する前記複数の動きパラメータを受信すること、
患者固有のベースライン動きデータを含む前記複数の動きパラメータをデータストアに格納すること、
前記データストアに格納された前記複数の動きパラメータを処理して、前記患者の身体の前記部位の前記動きを判断すること、
前記複数の動きパラメータに基づき、複数の動きプリミティブおよび複数の動き修飾子を含む複数の予め定められた動きセンテンス特徴を判断すること、
前記複数の動きパラメータ、前記患者固有のベースライン動きデータおよび許容可能な動きプリミティブおよび/または動き修飾子のシーケンスを用いて定義される動き文法に基づき、前記複数の動きプリミティブから選択された少なくとも1つの動きプリミティブおよび前記複数の動き修飾子から選択された少なくとも1つの対応する動き修飾子を含む動きセンテンスを生成すること、および
前記患者の身体の前記動きに関する通知を示すことを行うよう構成される、少なくとも1つのプロセッサと
を備える、患者の動きをモニタリングするための携帯型医療デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、
前記患者の身体の前記部位の前記動きに基づき、前記治療プロトコルを修正することであって、前記治療プロトコルを修正することは、前記患者への治療ショックの適用を遅延させることを含む、こと、および
前記修正された治療プロトコルに従って、前記患者に前記治療ショックを供給することを行うよう構成される、請求項1に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項3】
前記複数の動きパラメータは、前記患者の身体の前記部位の向きに対応する少なくとも1つの向きパラメータを含む、請求項1または2に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項4】
前記複数の動きセンサは、加速度計、ジャイロスコープおよび磁気計のうちの少なくとも1つを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項5】
前記複数の予め定められた動きセンテンス特徴はさらに、少なくとも1つの予め定められた動きオブジェクトを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項6】
前記許容可能な動きプリミティブおよび/または動き修飾子のシーケンスは、予め収集された動き情報のデータベースから導出される、請求項1から5のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項7】
前記患者固有のベースライン動きデータは、睡眠期間中に記録される、請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項8】
前記患者固有のベースライン動きデータは、物理的な行為の試験期間中に記録される、請求項1から7のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項9】
前記複数の動きパラメータは、前記複数の動きセンサのうち第1の位置に取り付けられた第1の動きセンサから取得される第1のセンサデータと、前記複数の動きセンサのうち第2の位置に取り付けられた第2の動きセンサから取得される第2のセンサデータとに基づき、前記患者の前記部位の前記動きを特徴付ける、請求項1に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項10】
前記第1の位置は前記患者の身体上の前記1または複数の解剖学的位置のうちの1つであり、前記第2の位置は前記患者の身体以外の物理的な対象物の位置である、請求項9に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項11】
前記物理的な対象物は、ベッドおよび車椅子のうちの少なくとも一方を含む、請求項10に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項12】
前記患者の身体上の前記1または複数の解剖学的位置は、前記患者の身体の頭、胸、脚、首、肩、肘、膝、手首、顎、前腕、二頭筋、足首および足のうちの1または複数を含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つのプロセッサは、複数の患者から測定された予め定められた動きを用いて訓練された動き認識処理を用いて、前記動きセンテンスの少なくとも一部を生成するよう構成される、請求項1に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記生成された動きセンテンスに基づき、1または複数の通知アクションを開始するよう構成されており、
前記1または複数の通知アクションは、介護者に前記患者の身体の前記部位の前記動きについて通知することを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項15】
前記1または複数の通知アクションは、前記患者の身体の前記部位の前記動きに基づいて、前記患者に警告することを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの対応する動き修飾子は、前記選択された少なくとも1つの動きプリミティブの態様の説明を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つのプロセッサは、ベースライン期間中に実施された6分間の歩行試験中に記録された患者固有の動きを用いて訓練された動き認識処理を用いて、少なくとも一部の前記動きセンテンス
を生成するよう構成される、請求項1に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記患者によって経験される少なくとも1つの心臓不整脈を識別よう構成される、請求項1に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項19】
前記生成された動きセンテンスは、前記患者が一連の動きを実施していることを示し、
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記生成された動きセンテンスに基づき1または複数の通知アクションを開始するよう構成されており、前記1または複数の通知アクションは、前記一連の動きの実施に関連する前記生成された動きセンテンスのうちの少なくとも一部を含むアラートを出力することを含む、請求項18に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つのプロセッサはさらに、前記生成された動きセンテンスに基づき、1または複数の通知アクションを開始するよう構成されており、前記1または複数の通知アクションは、前記識別された少なくとも1つの心臓不整脈の指標を含むアラートを出力することを含む、請求項18に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項21】
前記生成された動きセンテンスは、前記患者が一連の動きを実施することを示す、請求項1に記載の携帯型医療デバイス。
【請求項22】
前記一連の動きは、歩行試験を実施すること、ベッドから出ること、ドアを開けること、階段を歩くこと、および、横たわっている状態から起き上がることのうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の携帯型医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[関連出願]本願は、2016年3月31日に出願された米国仮出願第62/316,196号の米国特許法第119(e)条に基づく優先権を主張する。上記出願に記載されている全ての主題は、ここに、参照により、本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、患者の動きを追跡するシステムおよび方法に関する。
【0003】
臨床現場における医療的成果は、患者の健康状態にいくつかの変化があることを示すイベントを迅速に検出することにより改善され得る。病院内の入院患者エリアなどの臨床現場では、変化を検出するために、患者の様々なバイタルサイン(例えば、血圧、脈拍、呼吸数)をモニタリングしている。モニタリングされたバイタルサインは、医療提供者がバイタルサインを評価し、さらなる調査を正当化するあらゆる変化に応答する中央ステーションに送信されることが多い。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの携帯型医療デバイスは、患者の動きを追跡できるコンポーネントを含む。これらのコンポーネントは、例えば、加速度計、ジャイロスコープおよび磁気計などの1または複数の慣性計測ユニット(IMU)を含み得る。病院現場において、携帯型医療デバイスによる患者の動きおよび患者の向きの詳細で連続したリアルタイムの追跡は、従来技術を介して対処し得ない様々な状況に対処することにより、患者の介護を改善し得る。本開示において説明される様々な実装において、動きパラメータは、向きパラメータを含む。従って、明確に示されない限り、患者の身体または患者の身体の部位の動きについての言及は、患者の身体または患者の身体の部位の空間における向きを含む。
【0005】
故に、本開示のいくつかの例に従って、IMUを含む医療デバイスが提供される。医療デバイスは、特定の種類の動きについて患者をモニタリングし、動きの種類に関連するアクションを取ることによりいくつかの種類の動きの検出に応答するように構成され、患者の動きの種類の結果を防止するか、またはそれに対処するように設計される。いくつかの例で検出および対処するように構成される患者の動きの種類は、発作、震え、咳、方向感を失った動き、意識の回復に関連する動き、転倒、夢中歩行、躓きおよび気絶を含む。いくつかの例において、医療デバイスは、ベースライン期間または訓練(すなわち、患者固有の動き認識訓練)期間に基づいてこれらおよび他の種類の患者の動きを検出するように構成される。これにより、動きセンサ/向きセンサは、患者の身体の適切な部位に取り付けられ、患者は、一連の予め定められた動きまたは行為を行うよう指示される。例えば、そのようなベースラインおよび/または訓練は、患者への医療デバイスの初回フィッティング中に記録され得る。使用中の患者の動きの挙動をデバイスが学習するので、そのデータは、経時的に改善され得る。代替的に、または追加的に、いくつかの例による医療デバイスは、特定のベースライン情報または訓練情報を参照することなしにだが、代わりに、患者の動きによりもたらされる、患者に作用する力の大きさおよび/または患者の動きの頻度など、より一般的ではあるが特有の、患者の動きの種類の特性を参照して、患者の動きの種類を検出する。
【0006】
少なくとも1つの例において、患者の動きをモニタリングするための携帯型医療デバイスが提供される。携帯型医療デバイスは、複数の動きセンサと、少なくとも1つのプロセッサとを含む。複数の動きセンサは、患者の身体上の1または複数の解剖学的位置に位置し、患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを検出するように構成される。少なくとも1つのプロセッサは、複数の動きセンサに通信可能に接続され、患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを受信し、複数の動きパラメータをデータストアに格納し、データストアに格納された複数の動きパラメータを処理して患者の身体の部位の動きを判断し、複数の予め定められた動きセンテンス特徴に基づいて患者の身体の部位の動きを分類するように構成される。複数の予め定められた動きセンテンス特徴は、少なくとも1つの予め定められた動きプリミティブを含み、類型に基づく1または複数の通知アクションを開始する。
【0007】
携帯型医療デバイスにおいて、複数の動きパラメータは、患者の身体の部位の向きに対応する少なくとも1つの向きパラメータを含み得る。複数の動きセンサは、加速度計、ジャイロスコープおよび磁気計のうちの少なくとも1つを含み得る。複数の予め定められた動きセンテンス特徴は、複数の予め定められた動きプリミティブと、少なくとも1つの予め定められた動き修飾子と、少なくとも1つの予め定められた動きオブジェクトと、少なくとも1つの予め定められた動きセンテンスと、少なくとも1つの予め定められた一連の動きセンテンスとを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、第1の位置に取り付けられた第1の動きセンサから取得される第1のセンサデータと、第2の位置に取り付けられた第2の動きセンサから取得される第2のセンサデータとを参照して患者の動きを分類するように構成され得る。患者の身体上の1または複数の解剖学的位置は、患者の身体の頭、胸、脚、首、肩、肘、膝、手首、顎、前腕、二頭筋、足首および足のうちの1または複数を含み得る。第1の位置は患者上の解剖学的位置を含み得、第2の位置は患者以外の物理的な対象物の位置を含み得る。物理的な対象物は、ベッドおよび車椅子のうちの少なくとも一方を含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、予め収集された動き情報のデータベースから導出される1または複数の動き検出ルールに基づいて動きを分類するように構成され得る。
【0008】
携帯型医療デバイスにおいて、少なくとも1つのプロセッサは、動き認識処理を用いて動きを分類し、複数の患者から測定された予め定められた動きと、ベースライン期間中に導出された患者固有の動きとのうちの少なくとも一方を用いて動き認識処理を訓練するように構成され得る。ベースライン期間中に導出された患者固有の動きは、睡眠期間中および6分間の歩行試験期間中のうちの少なくとも一方で記録され得る。1または複数の通知アクションは、患者の動きについて介護者に通知することを含み得る。1または複数の通知アクションは、患者の動きに基づいて患者に警告することを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者に近接する携帯型医療デバイスから離れた別の医療デバイスを識別し、アラートを発するよう医療デバイスに指示するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、現在時刻を識別し、現在時刻に関連するアクションを実行するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを、方向感を失った動き、転倒、躓き、気絶、発作、震えおよび咳のうちの少なくとも1つとして分類するように構成され得る。携帯型医療デバイスはさらに、ウェアラブル除細動器を備え得る。携帯型医療デバイスはさらに、モバイル心臓モニタリングデバイスを備え得る。
【0009】
別の例において、患者の動きをモニタリングするためのシステムが提供される。システムは、心臓モニタリングデバイスを含む。心臓モニタリングデバイスは、複数の動きセンサと、少なくとも1つのプロセッサとを含む。複数の動きセンサは、患者の身体上の1または複数の解剖学的位置に位置して患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを検出するように構成される。少なくとも1つのプロセッサは、複数の動きセンサに通信可能に接続される。少なくとも1つのプロセッサは、患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを遠隔サーバに送信するように構成される。遠隔サーバは、患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを受信し、複数の動きパラメータをデータストアに格納し、データストアに格納された複数の動きパラメータを処理して患者の身体の部位の動きを判断し、少なくとも1つの予め定められた動きプリミティブを含む複数の予め定められた動きセンテンス特徴に基づいて患者の身体の部位の動きを分類し、類型に基づく1または複数の通知アクションを開始するように構成される。システムはさらに、遠隔サーバと通信する少なくとも1つのクライアントデバイスを含み得る。少なくとも1つのクライアントデバイスは、1または複数の通知アクションに基づいて、患者の動きについて介護者および患者のうちの少なくとも一方に通知するように構成される。
【0010】
一例において、携帯型医療デバイスが提供される。携帯型医療デバイスは、少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのセンサは、患者の動きを記述したセンサデータを取得するように構成される。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つのセンサに接続される。少なくとも1つのプロセッサは、センサデータから患者の動きを検出して、例えば、測定および検出された動き特徴が、複数の患者または他のユーザから測定された動きの予め収集されたデータベースから導出されたか、または患者固有のベースライン期間または訓練期間中に導出された患者固有のテンプレートから導出されたテンプレートと比較される、当業者に知られているテンプレートマッチングを用いて患者の動きを分類し、少なくとも1つの予め定められたテンプレートに関連する通知コンポーネントを実行するように構成される。
【0011】
携帯型医療デバイスにおいて、少なくとも1つのセンサは、加速度計、ジャイロスコープおよび磁気計のうちの少なくとも1つを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを少なくとも1つの動きプリミティブを含む少なくとも1つの動きシーケンスとして分類するように構成され得る。少なくとも1つのセンサは、複数のセンサを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、第1の位置に取り付けられた第1のセンサから取得された第1のセンサデータと、第2の位置に取り付けられた第2のセンサから取得された第2のセンサデータとを参照して患者の動きを分類するように構成され得る。第1の位置および第2の位置は、患者上の解剖学的位置であり得る。第1の位置および第2の位置は、患者の関節により分離され得る。関節は、患者の膝および肘のうちの少なくとも一方であり得る。第1の位置は患者上の解剖学的位置であり得、第2の位置は患者以外の物理的な対象物の位置であり得る。物理的な対象物は、ベッドおよび車椅子のうちの少なくとも一方を含み得る。ベースライン情報および/または訓練情報(例えば、以下の
図5を参照のこと)は、睡眠中および6分間の歩行試験中のうちの少なくとも一方で記録され得る。患者の動きを記述したセンサデータは、動き(向きを含む)を示し得ない。
【0012】
携帯型医療デバイスにおいて、通知コンポーネントは、患者の動きについて介護者に通知するように構成され得る。通知コンポーネントは、患者に警告するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の状態に関連付けられ、患者に近接する医療デバイスを識別し、アラートを発するよう医療デバイスに命令するように構成され得る。状態は、患者の動きに関連付けられ得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の年齢に関連するアクションを実行するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、現在時刻を識別し、現在時刻に関連するアクションを実行するように構成され得る。携帯型医療デバイスは、日中モードと夜間モードとの間で設定可能であり得る。少なくとも1つのプロセッサは、現在のモードを日中モードまたは夜間モードのいずれかとして識別し、現在のモードに関連するアクションを実行するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサはさらに、一連の動きを実行するよう患者に促し、一連の動きの各々を実行する患者のテンプレートを記録するように構成され得る。
【0013】
別の例において、携帯型医療デバイスが提供される。携帯型医療デバイスは、少なくとも1つの慣性計測ユニットと、少なくとも1つの慣性計測ユニットに結合された少なくとも1つのプロセッサとを含む。携帯型医療デバイスは、一連の測定値を識別することにより患者の転倒を少なくとも部分的に検出するように構成される。一連の測定値は、第1の閾値未満の第1の加速度と、第2の閾値よりも大きい第2の加速度と、閾値の範囲内の第3の加速度とを含む。
【0014】
携帯型医療デバイスにおいて、第1の閾値は0.5G0と等しいことがあり得、第2の閾値は8G0と等しいことがあり得、これらの閾値の範囲は[0.95G0、1.05G0]と等しいことがあり得る。少なくとも1つのプロセッサは、信頼度メトリックを計算し、信頼度メトリックが第4の閾値を超える場合に患者の転倒を検出するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の転倒が検出されると動作するように構成され得る。動作は、転倒を確認するよう患者に促すこと、転倒について傍観者に通知すること、および転倒について病院職員に通知することのうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
別の例において、病院ベースの携帯型除細動器が提供される。病院ベースの携帯型除細動器は、患者を記述したデータを取得するように構成される少なくとも1つの接着型電極と、少なくとも1つの慣性計測ユニットと、少なくとも1つの接着型電極および少なくとも1つの慣性計測ユニットに結合された少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの慣性計測ユニットを介して患者の動きをモニタリングするように構成される。
【0016】
病院ベースの携帯型除細動器において、少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを、方向感を失った動き、転倒、躓きおよび気絶のうちの少なくとも1つとして分類するように構成され得る。ある実装において、少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを、複数の患者または他のユーザから測定された動きの予め収集されたデータベースから導出されたか、または患者固有のベースライン期間または訓練期間中に導出される患者固有のテンプレートから導出されたテンプレートと比較することにより、患者の動きを少なくとも部分的に分類するように構成され得る。例えば、患者固有のテンプレートは、6分間の歩行試験中に記録され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを発作、震えおよび咳のうちの少なくとも1つとして分類するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きの大きさを第1の閾値と、患者の動きの頻度を第2の閾値と比較することにより、患者の動きを少なくとも部分的に分類するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを、方向感を失った動き、転倒、躓き、気絶、発作、震えおよび咳を含む群から選択される少なくとも1つの動きの種類として分類し、患者の動きの分類に応答して少なくとも1つのアクションを実行するように構成され得る。少なくとも1つのアクションは、患者の動きが少なくとも1つの動きの種類のものであることを確認するよう患者に促すこと、患者の動きについて傍観者に通知すること、患者の動きについて病院職員に通知することのうちの少なくとも1つを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、病院ベッドからの患者の距離を計算し、当該距離が閾値を超えていることに応答して少なくとも1つのアクションを実行するように構成され得る。少なくとも1つのアクションは、応答するよう患者に促すこと、患者の動きについて傍観者に通知すること、および患者の動きについて病院職員に通知することのうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
別の例において、医療デバイスのシステムが提供される。システムは、病院ベースの携帯型除細動器および病院ベッドを含む。病院ベースの携帯型除細動器は、少なくとも1つの接着型電極と、少なくとも1つの慣性計測ユニットと、少なくとも1つの接着型電極および少なくとも1つの慣性計測ユニットに結合された少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、少なくとも1つの慣性計測ユニットを介して患者の動きをモニタリングするように構成される。病院ベッドは、1または複数の慣性計測ユニットと、1または複数の慣性計測ユニットに結合された1または複数のプロセッサとを含み得る。1または複数のプロセッサは、1または複数の慣性計測ユニットを介して患者の動きをモニタリングするように構成される。
【0018】
医療デバイスのシステムにおいて。病院ベースの携帯型除細動器はさらに、第1のネットワークインタフェースを含み得る。病院ベッドは、第1のネットワークインタフェースと通信するように構成される第2のネットワークインタフェースを含み得る。1または複数のプロセッサは、患者の動きデータを少なくとも1つのプロセッサに送信するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きデータを処理することにより、病院ベッドを少なくとも部分的に離れている患者を検出するように構成され得る。
【0019】
別の例において、病院ベースの携帯型除細動器が提供される。病院ベースの携帯型除細動器は、患者を記述したデータを取得するように構成される少なくとも1つの接着型電極と、少なくとも1つの慣性計測ユニットと、少なくとも1つの接着型電極および少なくとも1つの慣性計測ユニットに結合された少なくとも1つのプロセッサとを含む。少なくとも1つのプロセッサは、睡眠中の患者の動きを少なくとも1つの慣性計測ユニットを介してモニタリングするように構成される。
【0020】
病院ベースの携帯型除細動器において、少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを過剰である、または過剰ではない、のいずれかとして分類するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きを、複数の患者または他のユーザから測定された動きの予め収集されたデータベースから導出されたか、または患者固有のベースライン期間または訓練期間中に導出された患者固有のテンプレートから導出されたテンプレートと比較することにより、患者の動きを少なくとも部分的に分類するように構成され得る。例えば、患者=特定のテンプレートは、標準的な患者の睡眠中に記録され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きの大きさを第1の閾値と、患者の動きの頻度を第2の閾値と比較することにより、患者の動きを少なくとも部分的に分類するように構成され得る。
【0021】
病院ベース携帯型除細動器において、患者を記述したデータは、心電図データを含み得る。少なくとも1つの慣性計測ユニットは、患者の心音を取得するように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きと心電図データおよび心音のうちの少なくとも一方とを分析して、患者の状態を判断するように構成され得る。
【0022】
病院ベースの携帯型除細動器はさらに、少なくとも1つのプロセッサに結合されたネットワークインタフェースを含み得る。患者を記述したデータは、心電図データを含み得る。少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きおよび心電図データを異なる医療モニタリングデバイスに送信するように構成され得る。
【0023】
病院ベースの携帯型除細動器において、少なくとも1つのプロセッサは、患者の動きが過剰であると分類されたことに応答して不整脈治療プロトコルを変えるように構成され得る。少なくとも1つのプロセッサは、病院職員に対する触覚アラートおよびアラートを既定の不整脈治療プロトコルの先頭に追加することにより不整脈治療プロトコルを変えるように構成され得る。
【0024】
さらに他の態様、例、およびこれらの態様および例の利点が以下に詳細に述べられる。その上、前述の情報および以下の発明を実施するための形態の両方は、様々な態様および特徴の例示的な実施例であるに過ぎず、特許請求の範囲に記載される態様および実施例の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供するよう意図されていることが理解されるべきである。本明細書において開示される例または特徴はいずれも、いかなる他の例または特徴とも組み合わされ得る。異なる例についての言及は、必ずしも互いに排他的ではなく、当該例に関連して説明される特定の特徴、構造または特性が少なくとも1つの例に含まれ得ることを示すよう意図されている。本明細書に現れるそのような用語は、必ずしも全てが同じ例に言及しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
少なくとも1つの例の様々な態様が、添付図面を参照して以下に述べられる。当該図面は、原寸に比例して描写されることは意図されていない。 図は、実例と、様々な態様および例についてのさらなる理解とを提供するために含まれており、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成しているが、いかなる特定の例の限定の定義としても意図されていない。図面は、本明細書の残りの部分と共に、説明され、特許請求される態様および例の原理および作用を説明するのに役立つ。図では、様々な図に示される同一またはほぼ同一の各コンポーネントは、同様の符号により表されている。明確性の目的で、全てのコンポーネントが全ての図において表示されているとは限らない。
【0026】
【
図1】本開示の例による、患者に近接して配置され、動き追跡ユニットと通信する複数の動きセンサ/向きセンサを含むセンサ配置の概略図である。
【0027】
【
図2】本開示の例による携帯型医療デバイスの概略図である。
【0028】
【
図3】本開示の例による医療デバイスコントローラの概略図である。
【0029】
【
図4】本開示の例による、
図3の医療デバイスコントローラの動き情報データストアの概略図である。
【0030】
【
図5】本開示の例による、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネントがベースラインモード/訓練モードで動作する場合に実行するように構成されるベースライン/訓練処理を示すフロー図である。
【0031】
【
図6】本開示の例による、患者の動きを検出し、検出された動きを、動きプリミティブまたは一連の複数の動きプリミティブに対応するものとして分類する方法を示すフロー図である。
【0032】
【
図7】地面への患者の支えられていない状態での転倒中の患者の力ベクトル対時間のグラフである。
【0033】
【
図8】地面への患者の支えられていない状態での転倒中および地面との患者の衝突の後の患者の動きベクトル対時間のグラフである。
【0034】
【
図9】地面への患者の支えられていない状態での転倒中およびその後の患者の動きの段階の概略図である。
【0035】
【
図10】患者の震えの発現中の患者の動きのベクトル和を示すグラフである。
【0036】
【
図11】患者の咳の発現中の患者の動きのベクトル和を示すグラフである。
【0037】
【
図12】患者の発作の発現中の患者の動きのベクトル和を示すグラフである。
【0038】
【
図13】本開示の例による、病院環境内の分散コンピュータシステムの一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本明細書において説明される例は、患者の動きを記述したデータを含む動きパラメータを取得するために用いられる少なくとも1つのセンサを有する携帯型医療デバイスを含む。以下にさらに詳細に説明されるように、様々な実装において、動きパラメータは、患者の向きパラメータを含む。従って、本開示において、患者の身体の動きまたは患者の身体の部位の動きについての言及は、空間における患者の身体または患者の身体の部位の向きを含む。センサは、いくつかの取り外し可能な連結手段によって、例えば、バンド、または人間の皮膚もしくは衣服と適合する一時的な接着剤によって、患者により着用されている衣服に取り付けられ得るか、または患者自身に取り付けられ得る。患者のどの部位(例えば、頭、腕、脚、胸郭)にセンサが取り付けられているかに拘らず、患者のその部位の動き(向きを含む)が測定される。携帯型医療デバイスは、取得されたデータを用いて、患者の動きを検出し、いくつかの例においては患者の動きを分類する。その特定のセンサ位置での動き(空間における向きを含む)を推定するために、測定された動きに対応するデータが収集および処理される。動きまたは向きの測定値は、一連の1または複数の予め定められた動きまたは向きの種類(「動きプリミティブ」)を検出するために、また、動きプリミティブを、動きの波形の特徴に基づいて、1または複数の予め定められた動きプリミティブに対応するものとして分類するために処理される。動きプリミティブのいくつかの例は、「横になる」、「座る」、「立つ」、「足を置く」、「転倒する」、「転がる」、「歩く」、「走る」、「向きを変える」、「屈む」、「直立する」であり得る。
【0040】
追加的に、動きの速度を説明する「速く」もしくは「ゆっくり」、または、例えば、方向を説明する「上」、「下」、「左」、「右」など、動きプリミティブの動き修飾子が存在し得る。追加的に、例えば、センサが位置している身体上の位置についての「脚」もしくは「腕」または「胴体」といった動きオブジェクトが存在し得る。追加的に、例えば、どちらの腕または脚が動いているかを説明する「左」もしくは「右」、または、胴体、腕、脚または他の身体の部分のどの部位が動いているかを説明する「上方」もしくは「下方」といった動きオブジェクト修飾子(すなわち、動き形容詞)が存在し得る。いくつかの場合において、許容可能な検出された一連の動きプリミティブまたは動き修飾子についての予め定められたルールの関連セットが存在し得る。予め定められたルールは、動き文法を構成する。検出された動きプリミティブおよび動き修飾子を用いて、かつ、動き文法に基づいて、例えば、「踏み出す」、「ベッドから起き上がる」、「ドアを開ける」、「廊下を早足で歩く」または「地面に転倒する」といった動きセンテンスが構成され得る。
【0041】
動きプリミティブ、動き修飾子、動きオブジェクト、動き形容詞および動き文法構造の検出のこの動き認識処理は、「ベースライン」期間または訓練(すなわち、患者固有の動き認識訓練)期間で実現され得る。これにより、動きセンサ/向きセンサは、患者の身体の適切な部位に取り付けられ、患者は、例えば、横たわる、座る、座っている状態から起き上がる、横たわっている状態から起き上がる、歩く等の一連の予め定められた動きまたは行為を行うよう指示される。次に、システムは、患者の固有の動きまたは行為を分析し、それを用いてその患者の動きの認識精度を上げる。代替的に、動き認識処理は、いかなるベースライン期間または訓練期間も利用しないことがあり、ルールの生成より前に収集された動きのデータベースから全て導出される動き検出ルールに完全に依存していることがある。
【0042】
次に、動き認識(MR)処理の出力(例えば、動きプリミティブ、動き修飾子、動きオブジェクト、動き形容詞および動き文法構造)が、MR出力が患者の健康または安全に対する脅威をもたらすかどうか、または、そうでない場合には初期障害を構成するかどうかを判断するために分析され得る。次に、検出動作の分類に応答して、(医療提供者または他の介護者に対するアラームまたは通知などの)通知コンポーネントが実行され得る。
【0043】
その特定のセンサ位置での推定される動き(空間における向きを含む)は、動きに関連するパラメータ、例えば、1または複数の軸(例えば、x軸、y軸、z軸)に沿った加速度、速度、位置および回転のベクトルであり得る。動きベクトルは、時刻、位置(例えば、GPSシステムを介して認識される地理的位置、または、寝室、階段、玄関通路などの屋内での位置、屋外)または天気など、動き認識処理に関連する他の情報も含み得る。いくつかの実施例において、加速度計または他の種類の動きセンサもしくは向きセンサの軸は、胸骨上に、またはその近くに配置され得、身体の主軸、例えば、長手軸(縦軸、例えば、加速度センサの「z」軸)、横断軸(横軸、例えば、加速度センサの「x」軸)または矢状軸と位置合わせされる。
【0044】
いくつかの実施例において、動き認識は、一連の動きパラメータのベクトルを入力とした隠れマルコフモデル(HMM)に基づき得る。状態遷移行列が、当業者に知られているHMM技術を用いて作成され得る。特に、一連の動きパラメータ推定値、動きプリミティブおよび動きセンテンスは、隠れマルコフモデル(HMM)としてモデル化され、状態Q、出力アルファベットO、遷移確率A、出力確率Bおよび初期状態確率Πのセットを有する有限ステートマシンの変数として定義される。現在状態は観察可能ではない。代わりに、各状態により、特定の確率(B)で出力が生成される。通常、状態Qおよび出力Oは理解されるので、HMMは3つ組λ=(A, B, Π)になると言われている。出力アルファベットOの各値には、一意の閾値および係数のセットが与えられ得る。例えば、HMMは、データベースまたは患者固有の訓練のいずれかの結果として、HMMに格納された遷移確率を有することになる。HMMは、そのような理解された「事実」(すなわち、動き文法)を示す。例えば、ある人が「立って」いた状態のすぐ後に「起き上がる」確率は非常に低い。ノイズの中で失われ得る中間動きプリミティブ、または、代替的に、「起き上がる」および「転倒する」の両方、「屈む」または「倒れ込む」の全てが患者の胸郭の順回転を伴い得るので、「転倒する」、「屈む」または「倒れ込む」のいずれかへの遷移の確率が「起き上がる」への遷移の確率よりも高くなる中間動きプリミティブのいずれかが存在していたはずである。
【0045】
別の実施形態において、「立つ」という動きセンテンスの文法構造の後に患者の胸郭の検出または屈曲が続き、その後、「立って」いる向きに戻ること(例えば、「立ち」、「屈み」、「立ち」、「屈む」)が2回またはそれより多く続く場合、文法センテンス構造は、患者がバランスを失って転倒して負傷するリスクが高く、MR出力が患者の健康または安全に対する脅威をもたらすか、またはそうでない場合には初期障害を構成することを意味するように検出される。次に、検出動作の分類に応答して、(医療提供者または他の介護者に対するアラームまたは通知などの)通知コンポーネントが実行され得る。
【0046】
アルゴリズムの作成中、HMMは、複数の患者または他の被験者による複数の動きの種類(例えば、座る、立つ、歩く、横たわる)のデータベースに対して訓練される。いくつかの実施例において、患者固有の訓練期間が無い基本的なアプローチの結果を改善するために、患者固有のベースライン期間または訓練期間が提供される。例えば、訓練期間は、動きパラメータを患者のサイズ、例えば胴体または四肢の長さへと正規化すること、例えば、ベッドから起き上がり、ベッドで転がり、ベッドに入り、ベッドから出て、階段を上がり、歩くといった、特定の患者による特定の動きシーケンスを訓練すること、異なる文脈において複数種類の動きを実行して文脈依存性を持たせること(例えば、異なる部屋もしくは異なるベッドにおいて、または異なる時刻に行われる同じ試験)、患者の強度依存訓練(例えば、患者が同じアクションを異なる強度レベルで実行する場合)をすることなど、改良のために用いられ得る。
【0047】
HMM分類の分野において知られている他の技術が利用され得る。例えば、HMMパラメータ推定に対する純粋に統計学的なアプローチを無くし、代わりに訓練データのいくつかの分類関連の測定値を最適化する、判別的な訓練技術である。例としては、最大相互情報量(MMI)、最小分類誤り(MCE)および最小音素誤り(MPE)がある。また、最良の経路を見出すためのビタビアルゴリズムの使用がある。他の技術は、単に最良の候補を保持する代わりに良好な候補のセットを保持し、より良好なスコアリング機能(再スコアリング)を用いてこれらの良好な候補を格付けするためのものである。候補のセットは、リスト(N‐bestリストアプローチ)またはモデルのサブセット(格子)のいずれかとして保持され得る。ベイズリスクを最小化するために、再スコアリングが行われ得る。
【0048】
いくつかの実施例において、動きの速度に起因する認識精度への影響を最小化するために、動的時間伸縮法などの技術が利用され得る。例えば、患者が訓練セッションにおけるよりもゆっくり脚を動かしている場合であっても、歩行パターンにおける類似点が検出されるであろう。シーケンスが、互いに一致するよう非線形的に「伸縮され」る。このシーケンスアライメント方法は、HMMに関連して用いられることが多い。
【0049】
いくつかの実施例において、いわゆる深層学習(ディープラーニング)ネットワークが動き認識のために利用され得る。Deng LiとYu Dongの共著による「ディープラーニング:方法および応用」信号処理における基礎および動向:(7 (3‐4): 197‐387)(2014年)においてDengとYuにより説明されるように、ディープラーニングネットワークは、以下の3つの主なクラスとして分類され得る。
【0050】
1.ターゲットクラスラベルについての情報が利用可能ではない場合にパターン分析用または合成目的の観察データまたは可視データの高次相関を捕捉することが意図されている、教師なし学習または生成学習のためのディープネットワーク。この文献における教師なし特徴学習または教師なし表現学習は、ディープネットワークのこのカテゴリを指している。生成モードで用いられる場合、可視データおよび(利用可能であり、可視データの一部として扱われている場合には)それらの関連クラスの結合統計分布を特性評価することも意図されていることがある。後者の場合、ベイズルールを用いることにより、この種類の生成ネットワークを学習用の判別ネットワークにし得る。
【0051】
2.判別能力をパターン分類の目的で(多くの場合、可視データを条件とするクラスの事後分布を特性付けることにより)直接提供することが意図されている、教師付き学習のためのディープネットワーク。ターゲットラベルデータは、そのような教師付き学習において、直接または間接的な形式で常に利用可能である。それらは、判別ディープネットワークとも呼ばれる。
【0052】
3.判別が目標であるハイブリッドディープネットワーク。この判別は、生成ディープネットワークまたは教師なしディープネットワークの成果を用いることにより、多くの場合は顕著な態様で補助される。これは、カテゴリ(2)のディープネットワークのより良い最適化および/または正則化により実現され得る。この目標は、上記カテゴリ(1)の生成ディープネットワークまたは教師なしディープネットワークのいずれかにおいてパラメータを推定するために教師付き学習のための判別基準が用いられる場合にも実現され得る。
【0053】
他の一般的な類型は、ディープニューラルネットワーク(DNN)および再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、制限ボルツマンマシン(RBM)、ディープビリーフネットワーク(DBN)、ディープボルツマンマシン(DBM)等である。
【0054】
いくつかの実施例において、当業者に知られているテンプレートマッチングなど、より単純なMR技術が利用され得る。当該技術において、測定および検出された動き特徴は、複数の患者または他のユーザから測定された動きの予め収集されたデータベースから導出されたか、または患者固有のベースライン期間または訓練期間中に導出された患者固有のテンプレートから導出されたテンプレートと比較される。
【0055】
[例示的なセンサ配置]
図1は、患者の身体上の特定のセンサ位置での患者の向きおよび動きを検知するように構成されるセンサ配置100の概略図である。その特定のセンサ位置での動きまたは向きを推定するために、測定された動きまたは向きに対応するデータが、収集および処理される。動きまたは向きの測定値は、一連の1または複数の予め定められた動きまたは向きの種類(「動きプリミティブ」)を検出するために、また、動きプリミティブを、動きの波形の特徴に基づいて、1または複数の予め定められた動きプリミティブに対応するものとして分類するために処理される。動きプリミティブのいくつかの例は、「横になる」、「座る」、「立つ」、「足を置く」、「転倒する」、「転がる」、「歩く」、「走る」、「向きを変える」、「屈む」、「直立する」であり得る。
【0056】
追加的に、動きの速度を説明する「速く」もしくは「ゆっくり」、または、例えば、方向を説明する「上」、「下」、「左」、「右」など、動きプリミティブの動き修飾子が存在し得る。追加的に、例えば、センサが位置している身体上の位置についての「脚」もしくは「腕」または「胴体」といった動きオブジェクトが存在し得る。追加的に、例えば、どちらの腕または脚が動いているかを説明する「左」もしくは「右」、または、胴体、腕、脚または他の身体の部分のどの部位が動いているかを説明する「上方」もしくは「下方」といった動きオブジェクト修飾子(すなわち、動き形容詞)が存在し得る。いくつかの場合において、許容可能な検出された一連の動きプリミティブまたは動き修飾子についての予め定められたルールの関連セットが存在し得る。予め定められたルールは、動き文法を構成する。検出された動きプリミティブおよび動き修飾子を用いて、かつ、動き文法に基づいて、例えば、「踏み出す」、「ベッドから起き上がる」、「ドアを開ける」、「廊下を早足で歩く」または「地面に転倒する」といった動きセンテンスが構成され得る。
【0057】
動きプリミティブ、動き修飾子、動きオブジェクト、動き形容詞および動き文法構造の検出のこの動き認識処理は、「ベースライン」(すなわち、動き認識訓練)期間で実現され得る。これにより、動きセンサ/向きセンサは、患者の身体の適切な部位に取り付けられ、患者は、例えば、横たわる、座る、座っている状態から起き上がる、横たわっている状態から起き上がる、歩く等の一連の予め定められた動きまたは行為を行うよう指示される。次に、システムは、患者の固有の動きまたは行為を分析し、それを用いてその患者の動きの認識精度を上げる。代替的に、動き認識処理は、いかなるベースライン期間または訓練期間も利用しないことがあり、ルールの生成より前に収集された動きのデータベースから全て導出される動き検出ルールに完全に依存していることがある。
【0058】
次に、動き認識(MR)処理の出力(例えば、動きプリミティブ、動き修飾子、動きオブジェクト、動き形容詞および動き文法構造)が、MR出力が患者の健康または安全に対する脅威をもたらすかどうか、または、そうでない場合には初期障害を構成するかどうかを判断するために分析され得る。次に、検出動作の分類に応答して、(医療提供者または他の介護者に対するアラームまたは通知などの)通知コンポーネントが実行され得る。
【0059】
示される例示的なセンサ配置100は、複数の動きセンサ/向きセンサ104および動き追跡ユニット106を含む。それらの全ては、患者102に取り付けられるか、または患者102により装着される。センサ配置100の動きセンサ/向きセンサ104は、1または複数の慣性運動ユニットセンサ(「IMU」)を含み得る。当該IMUは、1次元加速度計、2次元加速度計、3次元加速度計、ジャイロスコープおよび磁気計のうちの1または複数を含むが、それらに限定されない。例えば、動きセンサ/向きセンサ104の例は、ANALOG DEVICES(登録商標)のADIS16362 iSensor(登録商標)慣性システムまたはSTMicroelectronics(登録商標)により製造されているiNEMO(登録商標)M1動き検知システムなど、多軸加速度計および多軸ジャイロスコープを含む(多軸磁気計も含む)。動きセンサ/向きセンサ104の別の例は、Freescale Semiconductorの3軸低g超微小加速度計であるMMA7361LC(計測レンジ±1.5g、±6g)を含む。
【0060】
動きセンサ/向きセンサ104により収集されたデータの計算は、動きセンサ/向きセンサ104自体の内部に配置されたマイクロプロセッサ、または動きセンサ/向きセンサ104と通信する、他の場所に配置されたマイクロプロセッサにより実行される。マイクロプロセッサは、動きセンサ/向きセンサ104により収集されたデータ(例えば、直線加速度、力、向き)を用いて、3次元空間における動きセンサ/向きセンサ104の位置および向きを判断する。
【0061】
概して、1または複数のIMUは、患者の身体の部位の位置の変化を少なくとも3つの軸、つまり、ピッチ(横断面に対して上/下)、ヨー(矢状面に対して左/右)およびロール(前頭面に対して時計回り/反時計回り、例えば、後方向または前方向)において測定し得る。これらの軸における測定値の各々により、1または複数のIMUは、これら1または複数のIMUが取り付けられている患者の身体の部位に対応する一連の動きパラメータを生成することになる。例えば、6自由度(x、yおよびzならびにθx、θyおよびθzなど)毎に、IMUは、検知された加速度を重力の推定値と共に時間で積分して、現在の速度を計算し得る。次に、IMUは、この速度を積分して、現在の位置を計算し得る。位置情報に基づいて、IMUは、動き認識/分類処理において用いるために、患者の身体の部位についての1または複数の向きパラメータを導出し得る。
【0062】
動きセンサ/向きセンサ104のために用いられるセンサの種類に応じて、3次元空間の1または複数の次元における向き(すなわち、デカルト座標系のx方向、y方向およびz方向)を含む動きが検出される。この動きに対応するデータ(加速度データ、向きデータまたは他の測定データのいずれであるかを問わない)が、動きセンサ/向きセンサ104により検出され、動き追跡ユニット106に提供される。このデータは、動きを示さない(すなわち、患者が動いていない)こともあり得る。さらに、データを提供する各センサに対応する識別子(ID)が、検出時の状態で動き追跡ユニットに送信される。次に、これらのデータは、動きを分類するために用いられる。このことは、
図4から
図6に関連して以下でより詳細に述べられる。
【0063】
示される例示的なセンサ配置100において、動きセンサ/向きセンサ104は、患者102の末端箇所で終端する別個の経路に沿って、互いに連続して接続されている。示されるように、これらの様々な例示的な接続経路は、動き追跡ユニット106を起点としている。1つの経路が、患者102の右腕で終端する第1の経路に沿って、いくつかのセンサを接続している。別の経路が、患者102の頭蓋冠で終端する第2の経路に沿って、いくつかのセンサを接続している。他の類似の経路が、患者102の左腕と、患者102の右脚および左腕とへ延びている。必要に応じて、その他の経路が、患者102の身体の他の部位に配置された1または複数のセンサを動き追跡ユニット106に接続し得る。追加的に、いくつかの例では、センサ104のうちのいくつかを省略していることがある。
【0064】
患者102の身体上での個々の動きセンサ/向きセンサ104の位置は、対応する動きセンサ/向きセンサ104が取り付けられている患者102の部位の動きを検出する意図で選択される。示される例において、動きセンサ/向きセンサ104は、腕、脚、頭、または胴体の異なる部分の特定の区域の動きを検出するように、患者の身体の解剖学的部位に取り付けられるか、または、概して患者102上の解剖学的位置に位置し、任意選択的に関節(例えば、肘、膝、手首、首、顎)により分離される。本明細書において説明される解剖学的位置は、患者の身体の基礎的な部位の向きを含む動きをモニタリングするために1または複数の動きセンサが配置され得る患者の身体上のあらゆる位置を含み得る。例えば、そのような解剖学的位置は、患者の身体の頭、胸、脚、首、肩、肘、膝、手首、顎、前腕、二頭筋、足首および足のうちの1または複数を含み得る。
【0065】
動きセンサ/向きセンサ104をこのように構成することは、患者の全身の動きを検出するために有益であるが、患者102の身体の全ての部位の動き、さらには、患者102の1つの部位の他の部位に対しての動きを検出するためにも有益である。また、動きセンサ/向きセンサ104は、患者102の部位の動きが無いことを示すデータを送信するようにも構成され得る。例として、胴体に取り付けられた(または胴体に装着された)動きセンサ/向きセンサ104は、患者102が地面に転倒したと判断するのに役立ち得る。別の例において、1または複数の脚に取り付けられた動きセンサ/向きセンサは、患者102が歩いていると判断するのに役立ち得る。他の類似の例が、先述の例および本開示に照らして明らかになろう。
【0066】
他の例において、センサ配置の1または複数のセンサ104が、ベッドもしくは椅子(またはさらには、患者の動きから区別され得る一様な直線運動を示す車椅子)などの静止している物体に取り付けられる。これにより、患者の動きが、既知の静止している物体に対して検出される。例えば、少なくとも1つの動きセンサ/向きセンサ104を装着している患者102が、別の動きセンサ/向きセンサ104が取り付けられたベッドから出た場合、これら2つのセンサ間のこの相対的な動きが検出される。これは、ハイリスクの患者の動きを介護者に通知するために特に有益であり得る。例えば、そのようなセンサ構成を用いることで、看護師は、転倒のリスクが高い患者102がベッドから出る過程にあることについて、即座に警告を受け得る。故に、看護師は、患者を支援すべく介入し得る。同様に、この構成(および本明細書において説明されるその他のもの)は、ハイリスクの動きが検出された場合に患者自身に警告すべくアラートを発するために用いられ得る。故に、患者は、助けを待つこと、および/またはハイリスクの動きを止めることが可能になる。
【0067】
例示的なセンサ配置100は、ワイヤを介して、ある経路上で他のセンサに、最終的には動き追跡ユニット106に接続された複数の動きセンサ/向きセンサ104を示しているが、これは必須ではない。他の例において、動きセンサ/向きセンサ104は、動き追跡ユニット106、または無線接続を介して患者には配置されない分散コンピューティングシステムの送受信器に接続し得ることが理解されよう。
【0068】
[例示的な携帯型医療デバイス]
いくつかの場合において、本明細書において説明される例は、実質的な中断なしに長時間、患者により装着され得るか、患者に取り付けられ得るか、またはそうでない場合には、患者に接続され得る。例えば、デバイスは、数時間、数日間、数週間またはより長い期間、患者により装着され得るか、患者に取り付けられ得るか、またはそうでない場合には、患者に接続され得る。例えば、携帯型デバイスは、少なくとも24時間という期間、少なくとも1週間および少なくとも1ヶ月間を含む様々な期間にわたって実質的に連続したモニタリングおよび/または治療用に構成され得る。例えば、そのような医療デバイスは、特定の病状について長期間にわたって患者を連続的にモニタリングするように構成されるモニタリングデバイスおよび/または治療デバイスを含み得る。長期間とは、例えば、4時間(例えば、睡眠時無呼吸デバイスなどの治療デバイスおよびモニタリングデバイス)、12時間(例えば、モバイル心臓モニタリングデバイス、ウェアラブル除細動器デバイスなどの治療デバイスおよび/またはモニタリングデバイス)および24時間またはさらには数日の期間にわたる実質的に連続したモニタリング期間などである。そのようなデバイスは、シャワーを浴びる、再装着する、デバイスのコンポーネントを変えるなどのために患者がデバイスを定期的に取り外し得る期間を別にすれば、患者を実質的に連続的にモニタリングし得る。
【0069】
図2は、ZOLL(登録商標)Medical Corporationから入手可能なウェアラブル除細動器であるLifeVest(登録商標)など、外部携帯型の、患者102により装着可能な例示的な医療デバイス200を示す。示されるように、医療デバイス200は、ガーメント210と、複数の検知電極212と、複数の治療電極214と、医療デバイスコントローラ220と、接続ポッド230と、患者インタフェースポッド240と、ベルト222とを含む。動きセンサもしくは向きセンサ(またはより一般的には慣性計測ユニット)250も、医療デバイス200の一部であり、この場合、ベルト222に取り付けられている。
【0070】
複数の検知電極212は、患者の身体の周りの様々な位置に配置され得る(例えば、適切な位置にガーメント210により保持され得るか、または患者の皮膚に接着するよう取り付けられ得る)。示されるように、検知電極212は、接続ポッド230を通じて医療デバイスコントローラ220に電気的に結合される。いくつかの実装において、ウェアラブル医療デバイス200のコンポーネントのうちのいくつかは、患者の胴体に装着され得るガーメント210に取り付けられる。例えば、
図2に示されるように、コントローラ220と、検知電極212のうちの少なくともいくつかと、任意選択的に、接着剤を介して患者に取り付けられ得る1または複数の治療電極214が、患者102により装着されているベルト222に搭載され得る。検知電極212および接続ポッド230は、示されるように、ガーメント210に集められ得るか、またはガーメント210に統合され得る。検知電極212は、患者の心機能を示す信号を取得するように構成される。これにより、コントローラ220は、患者の1または複数の心臓信号をモニタリングし得る。複数の治療電極214は、接続ポッド230を通じてコントローラ220に電気的に結合され得る。治療電極214は、1または複数の治療用除細動ショックを、そのような治療が正当化されるとコントローラ220が判断した場合に患者の身体に加えるように構成される。接続ポッド230は、電子回路、および、患者の行為をモニタリングするように構成される1または複数のセンサ(例えば、動きセンサまたは向きセンサ、加速度計等)を含み得る。
【0071】
ウェアラブル医療デバイス200は、医療デバイスコントローラ220に結合された任意選択的な患者インタフェースポッド240を含み得る。例えば、患者インタフェースポッド240は、スピーカ、患者の入力に応答するマイク、ディスプレイ、患者の入力に応答する対話型タッチスクリーンおよび/または入力用の物理的ボタンなどの患者インタフェース要素を含み得る。いくつかの実装において、これらの要素は、コントローラ220のハウジングに組み込まれる。患者インタフェースポッド240は、例えばネットワークインタフェースを通じて、コントローラ220と無線接続され得、故に、心電図データを別個の異なる医療モニタリングデバイスに送信する。患者インタフェースポッド240は、他の形態を取り得、追加の機能を含み得る。例えば、患者インタフェースポッド240は、スマートフォン、タブレットまたは患者により持ち運ばれる他の携帯デバイスに実装され得る。別の例において、患者インタフェースポッド240は、腕時計として患者の手首の周りに装着され得るか、またはバンドとして患者の上腕の周りに装着され得る。いくつかの実装において、コントローラ220は、特定のアラートおよび情報を通信し得、および/またはコントローラ220および/または患者インタフェースポッド240に含まれる患者インタフェース要素を介して患者の入力に応答し得る。患者および/または介護者は、タッチディスプレイまたは患者インタフェースポッド240と情報をやり取りして、医療デバイス200を制御し得る。
【0072】
心音および患者の他の行為を検出するためにウェアラブル医療デバイス200上に任意選択的に存在し得る加速度計に加えて、動きセンサまたは向きセンサ250も、いくつかの例において、ウェアラブル医療デバイス200に取り付けられる。いくつかの例において、動きセンサまたは向きセンサ250自体が、患者の心音を検出するように構成され得、故に、心機能をモニタリングし、心音および肺音を介して患者の生理状態を測定するためのセンサとしても動作し得る。いくつかの場合において、これらの測定値は、患者の治療(例えば、除細動、心臓ペーシング、CPR、呼吸困難の治療、心臓障害等)に用いられる。
図2における例は、ベルト222に取り付けられた動きセンサまたは向きセンサ250を示しているが、動きセンサまたは向きセンサ250は、ウェアラブル医療デバイス200の他の部分に取り付けられ得る。動きセンサまたは向きセンサ250は、3次元加速度計およびジャイロスコープのうちの少なくとも一方を含み得る。これにより、患者102の向きが、ベースラインデータまたは訓練データを記録して(
図4を参照して以下に説明される)データ構造をポピュレートする目的および患者102の動きを検出および分析する目的の両方で判断され得る。3次元加速度計およびジャイロスコープのうちの少なくとも一方を用いることにより、ウェアラブル医療デバイス200は、患者102の胴体(例えば、胸)または身体の他の一部(例えば、頭、脚、肩、頭、前腕、二頭筋、足首、首)が加速したか、または向きを変えた動きプリミティブまたは動きセンテンスを検出することが可能になる。胴体の動きおよび/または向きの変化を含む動きプリミティブまたは動きセンテンスの例は、ベッドから起き上がる、向きを変える、いくつかの種類の足取り、転倒、気絶および/または躓きを含み得る。
【0073】
他の例において、ウェアラブル医療デバイス200は、睡眠中の患者の動きをモニタリングするために検知電極212および動きセンサもしくは向きセンサ(または慣性計測ユニット)に結合された(またはそうでない場合にはそれらと通信する)プロセッサを含み得る。睡眠中の患者の動きのモニタリングにおいて、プロセッサは、本明細書において説明される方法およびシステムを用いて、患者の動きが過剰であるかどうかを判断し得る。例えば、患者がウェアラブル医療デバイス200を装着した初めての夜などのベースライン期間または訓練期間中、患者が寝ている間に、通常の睡眠中の動きが記録され得る。テンプレートベースの動き認識またはヒューリスティックなロジックベースの動き認識を利用する場合、「寝る」という動きセンテンス(すなわち、「十分な時間静かに横になる」ことであり、これは、特徴、つまり、「横になる」という動きプリミティブならびに「静かに」および「十分な時間」という動き副詞をさらに有する)という動きセンテンスを決定付けているものについての訓練期間中に取得されたこのデータに基づいて、閾値および/またはルールが確立され得る。例えば、患者の胴体の角度位置の閾値が、例えば、追加の枕を用いて寝るか、またはベッドの頭側を上げて寝るのを患者が好むことに注意するように、15度またはそれより小さいものとして予め定められ得るか、または患者の固有の状況に合うように、ベースライン処理中に介護者により調整され得る。同様に、睡眠中の行為に基づいて、およびいくつかの場合においては訓練期間中の測定値を検証する介護者または他の人による分類に基づいて、行為のレベルが、例えば、「熟睡」「賦活睡眠」または「覚醒睡眠」と判断され得る。HMMまたはディープラーニングネットワークが動き認識のために用いられる場合、ベースライン期間または訓練期間中にその特定の患者のためにデータを記録することにより、動き認識の精度が改善される。精度を高めるために、時刻もデータ要素として動きベクトルに含まれ得る。なぜなら、ほとんどの個人は、夜間に睡眠中である可能性がより高くなるからである。
【0074】
モニタリングおよび分類される動きの種類は、脚、腕、頭および胴体の動き、動きの方向およびパターンを含むが、それらに限定されない。通常の睡眠中の動きの閾値(例えば、動きの頻度、動きの振幅)が確立され得、患者の動きを分類するために、および/またはアクションをトリガするために用いられ得る。これらの用途に加え、プロセッサは、患者の動きが過剰であるとの分類に応答して心臓不整脈治療プロトコルを変えるようにも構成され得る。例えば、いくつかの実装において、治療プロトコルは、信頼度スコアを、検出された不整脈状態に関連付け得る。患者の動きが過剰である(例えば、動きが、動きおよび/またはそのような動きの持続時間の予め定められた閾値を超えている)とプロセッサが判断した状況において、治療プロトコルは、そのような動きが無ければプロトコルが関連付けるであろうよりも低い信頼度スコアを、検出された不整脈状態に関連付け得る。いくつかの実装において、患者に印加されるべき除細動電流は、信頼度スコアの改善を可能にするために、ある期間遅らされ得る。代替的に、または追加的に、変更された除細動電流は、プロセッサにより判断されるとおりに、睡眠中の過剰な動きの種類または程度に基づいて患者に印加され得る。さらに、プロセッサは、1または複数の追加のアラート、警告および/または通知(例えば、患者に対する触覚アラート、病院職員に対するアラート等)を既定の不整脈治療プロトコルの先頭に追加することにより、不整脈治療プロトコルも変え得る。
【0075】
患者の動きは、本明細書において説明される方法およびシステムを用いて、いくつかの例においては閾値を用いて、過剰である、または過剰ではない、のいずれかとして分類され得る。言い換えると、身体の部位の動きの頻度、大きさ、持続時間、およびそれらの組み合わせは、ベースライン期間または訓練期間中に患者が睡眠を取っている間に取得される動きデータに照らして分類され得る。例えば、患者の動きの大きさは、医療提供者により、設定された対応する閾値と比較され得る。別の例において、患者の動きの頻度は、医療提供者により、設定された対応する閾値と比較され得る。さらに別の例において、患者の動きの持続時間は、医療提供者により、設定された対応する持続時間の閾値と比較され得る。これらの例示的な閾値のいずれかまたは全ては、それらを超えた場合、例えば、通知コンポーネントを介して過剰な動きについて医療提供者に警告するといったアクションをトリガし得る。
【0076】
図3は、本明細書において説明される方法およびシステムに従って、動きセンサデータまたは向きセンサデータを受信し、分類のためにこのデータを格納する医療デバイスコントローラ300の例の概略図を示す。医療デバイスコントローラの任意選択的なコンポーネントが、破線を用いて
図3に描写されている。医療デバイスコントローラ300は、いくつかの例において、動き追跡ユニット106またはコントローラ220に組み込まれる。
【0077】
医療デバイスコントローラ300は、任意選択的な治療実施インタフェース302と、(
図4を参照して以下に説明される動き情報データストア330を含む)データストレージ304と、任意選択的なネットワークインタフェース306と、任意選択的なユーザインタフェース308と、センサインタフェース312と、任意選択的な動き認識分類コンポーネント316と、任意選択的な通知コンポーネント317と、少なくとも1つのプロセッサ318と、任意選択的なバッテリ332とを含む。
【0078】
治療実施インタフェース302(含まれる場合)は、例えば、1または複数の除細動電極320、ペーシング電極322および/またはTENS電極324など、患者に治療を提供するように構成される1または複数の電極に結合され得る。センサインタフェース312および治療実施インタフェース302は、センサ212と、検知電極328と、動きセンサ334と、治療実施デバイス320、322および324と、医療デバイスコントローラ300との間でのデータの交換を容易にする様々な連結技術および通信技術を実装し得る。いくつかの例において、1または複数の動きセンサ/向きセンサ334は、動きセンサ/向きセンサ104および/または動きセンサまたは向きセンサ250のうちの1または複数を含む。また、いくつかの例において、治療実施デバイス320、322および324は、治療電極214に含まれる。
【0079】
データストレージ304は、例えば、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリ、磁気メモリ、光メモリ、キャッシュメモリ、それらの組み合わせなどの非一時的コンピュータ可読媒体のうちの1または複数を含む。データストレージ304は、様々な例において、医療デバイスコントローラ300自体の動作だけでなく、センサ配置100、動き追跡ユニット106およびウェアラブル医療デバイス200のうちの1または複数の動作のために用いられる実行可能な命令およびデータを格納するように構成される。さらに、以下により詳細に説明されるように、データストレージ304は、動き情報データストア330を含む。動き情報データストア330は、1または複数の動きセンサ/向きセンサ334により収集され、1または複数の動きセンサ/向きセンサ334から送信される患者の動きのデータを含む。動き情報データストア330は、動きの測定ならびに動きプリミティブ、動き修飾子、動きオブジェクト、動き文法および動きセンテンスのうちの少なくとも1つの検出および推定のために必要な情報を含む。動きプリミティブ、動き修飾子、動きオブジェクト、動き文法は全て、「動きセンテンス特徴」と呼ばれる。テンプレートベースの動き認識システムまたはヒューリスティックな動き認識システムの場合、これは、閾値ならびに他のロジックベースの要素およびデータ構造を含み得る。ディープラーニングネットワークの場合、これは、ノード係数であり得る。HMMアプローチの場合、これは、状態遷移確率の形式であり得る。動き情報データストア330は、ベースライン期間または訓練期間中に取得されたデータ、またはベースライン期間または訓練期間中に取得されたデータから少なくとも部分的に導出されたデータも含み得る。医療デバイスコントローラの動き分類コンポーネントがモニタリングモードで動作している間に1または複数の動きセンサ/向きセンサ334からのインバウンド動きデータを分類するために用いられる予め定められた動きセンテンス特徴および動きセンテンスに対応する動きデータは、以下でさらに説明される。
【0080】
いくつかの例において、ネットワークインタフェース306は、通信ネットワークを介した、医療デバイスコントローラ300と1または複数の他のデバイスまたはエンティティとの間の情報通信を容易にし得る。例えば、コントローラ300が(医療デバイス200などの)携帯型医療デバイスに含まれる場合、ネットワークインタフェース306は、
図13を参照して以下にさらに説明される病院用医療デバイス1316などの病院用医療デバイス内に含まれる医療デバイスコントローラ300と通信するように構成され得る。別の例において、ネットワークインタフェース306は、
図13を参照して以下にさらに説明されるプログラマブルデバイスなど、プロセッサを含む遠隔デバイスと通信するように構成され得る。介護者は、遠隔デバイスで、患者に関連する情報にアクセスし得る。
【0081】
いくつかの例において、任意選択的なユーザインタフェース308は、入力デバイス、出力デバイスおよび入力デバイス/出力デバイスの組み合わせなどの1または複数の物理的インタフェースデバイスと、これらのデバイスの動作を引き起こすように構成されるソフトウェアスタックとを含む。これらのユーザインタフェース要素は、位置固有の処理に関連するコンテンツなど、視覚コンテンツ、音声コンテンツおよび/または触覚コンテンツを表示し得る。故に、ユーザインタフェース308は、入力を受信し得るか、または出力を提供し得、それにより、ユーザは、コントローラ300と情報をやり取りすることが可能になる。
【0082】
センサインタフェース312は、1または複数の動きセンサ/向きセンサ334に結合されることに加え、患者のパラメータを示す他の患者データを受信するための検知電極/他のセンサのうちのいずれか一方またはそれらの組み合わせに結合され得る。センサからのデータが一度センサインタフェース312により受信されると、ソースセンサは、プロセッサ318により識別され、データは、医療デバイスコントローラ300内の適切なコンポーネントに送信される。例えば、心臓データが心臓検知電極212により収集され、センサインタフェース312に送信された場合、センサインタフェース312は、データをプロセッサ318に送信し、次に、プロセッサ318は、データを心臓イベント検出器326に中継する。
【0083】
いくつかの実装において、プロセッサ318は、1または複数のプロセッサを含む。1または複数のプロセッサの各々は、操作されたデータをもたらす、および/またはコントローラ300の他のコンポーネントの動作を制御する一連の命令を実行するように構成される。いくつかの実装において、本明細書において提供される特定の処理(例えば、
図5および
図6)を実行する場合、プロセッサ318は、受信された入力データに基づいて特定のロジックベースの判断を行うように構成され、さらに、1または複数の出力を提供できる。1または複数の出力は、プロセッサ318および/もしくは他のプロセッサまたはプロセッサ318が通信可能に結合された回路により実行されるべき後続の処理を制御するために、またはそうでない場合には通知するために用いられ得る。故に、プロセッサ318は、特定の入力刺激に特定の態様で反応し、その入力刺激に基づいて対応する出力を生成する。この意味で、一例によるプロセッサ318の構造は、
図5および
図6に示されるフローチャートにより定義される。いくつかの例示的な場合において、プロセッサ318は、一連の論理遷移を経る。この論理遷移において、様々な内部レジスタの状態および/またはプロセッサ318の内部または外部の他のビットセルの状態が、ロジックハイまたはロジックローに設定され得る。この特定の一連の論理遷移は、プロセッサ318への電気入力信号の状態により判断され、
図5および
図6に示されるソフトウェア処理の各ソフトウェア命令を実行する場合、特定用途向けの構造が、プロセッサ318により効果的に想定される。具体的には、それらの命令は、受信される様々な刺激を予想し、関係するメモリの状態をそれに応じて変える。このように、プロセッサ318は、有用な出力信号を生成および格納し得るか、またはそうでない場合には提供し得る。プロセッサ318は、処理の実行中、各ソフトウェア命令の実行中に実行される1または複数の論理演算に基づいて、特定の入力信号を処理し、特定の出力信号を表示できることが理解されよう。本明細書において言及されるように、プロセッサ318は、プロセッサ318に結合されたデータストアにソフトウェアが格納されている場合にある機能を実行するように構成され、ソフトウェアは、この機能の実行をもたらす一連の様々な論理判断をプロセッサ318に経させるように構成される。プロセッサ318により実行可能であると本明細書において説明される様々なコンポーネントは、専用のハードウェア、ソフトウェアまたはそれらの組み合わせという様々な形態で実装され得る。
【0084】
いくつかの例において、コントローラ300は、患者の心臓の活動をモニタリングし、患者が直面した心臓イベントを受信された心臓信号に基づいて識別し、また、必要な場合には患者の身体に1または複数の除細動ショックを結果的に加えることになり得る治療プロトコルを実行することにより患者を治療するための心臓イベント検出器326を含む。
【0085】
いくつかの例において、任意選択的な動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、1つの動きセンサ/向きセンサ334により取得される動き情報を受信および処理するように構成される。いくつかの例において、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、ベースラインモード/訓練モードおよび/またはモニタリングモードで動作するように設定可能である。
図5は、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316がベースラインモード/訓練モードで動作している場合に実行するように構成されるベースライン処理/訓練処理の一例を示す。
図6は、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316がモニタリングモードで動作している場合に実行するように構成される動き分類処理の一例を示す。動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、任意選択的なものとして示される。なぜなら、いくつかの例(例えば、
図13に示される例)において、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、異なるプログラマブルデバイス(例えば、サーバ1302)に実装されるからである。動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、医療デバイスコントローラ300以外のデバイスにより実装されている場合、プロセッサ318は、例えばネットワークインタフェース306を介して遠隔動き分類コンポーネントにセンサデータを送信する前に、インバウンドセンサデータを動き情報データストア330に(例えば、センサデータ構造400に)格納する。いくつかの例において、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、医療デバイスを用いて位置を判断するシステムおよび方法という発明の名称の米国特許出願第15/077,995号において説明される技術を用いて医療デバイスの位置を判断するように構成される。当該出願は、2016年3月23日に出願され、米国特許出願公開第US20160278652A1号として公開されており、ここに、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0086】
いくつかの例において、任意選択的な通知コンポーネント317は、検出された一連の患者の動きに応答してアラート、警告または他の通知が正当化されると動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316が万一判断した場合に動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316から1または複数の通知要求を受信および処理するように構成される。通知コンポーネント317は、その構成に従って実行する場合、ネットワークインタフェース306および/またはユーザインタフェース308を介して通知を発し得る。例えば、通知コンポーネント317は、プログラマブルデバイス(例えば、
図13を参照して以下に説明されるクライアントデバイス1304)および/または医療デバイス(例えば、
図13を参照して以下に説明される医療デバイス1316、1314、1312、1310、1308のうちのいずれか)に対して、プログラマブルデバイスのユーザインタフェースを介して、介護者(例えば、
図13を参照して以下に説明される介護者1319)にアラートを発するよう1または複数の命令を送信し得る。代替的に、または追加的に、通知コンポーネント317は、ユーザインタフェース308を介して、患者102に通知を示し得る。これらの通知は、視覚要素、音声要素および触覚要素を含み得る。
【0087】
いくつかの実装において、通知アクションに加えて、または通知アクションの代替手段として、通知コンポーネント317は、動き認識処理または動き分類処理の出力を1または複数のデータベースに格納するように構成され得る。そのような場合、このデータは、情報の分析に基づいて、動きデータの種類、このデータが収集された日時および/またはこのデータの注釈毎にグループ化され得る。介護者または支援員など、権限を有する者が、医療デバイスに、このデータに基づく1または複数のレポートを生成させ得る。例えば、そのようなレポートは、データの種類およびデータが収集された日時により順序付けられ得る。
【0088】
様々な実装において、コントローラ300は、ファイルシステムおよびネットワークサポートを供給する組み込みオペレーティングシステムを実装する。一例において、コントローラ300は、リレーショナルデータベース機能、タッチスクリーンディスプレイドライバ、音声生成、Bluetooth(登録商標)無線ネットワーク、(アクティブNFCビーコンまたはパッシブ、非接触RFIDタグなどのiBeacon(登録商標)または近距離通信方法を含むがそれらに限定されない)Bluetooth(登録商標)低エネルギー(BLE)ビーコン技術、ネットワークセキュリティ、ファイアウォールおよびデータ暗号化サービスを提供するソフトウェア機能を含む。
【0089】
動き情報は、病院などの施設内の連結部分、例えば、玄関通路の端、病院の階段室、カフェテリアおよび入口内ならびに患者の部屋のドア内の中間通路的な位置に配置された位置ビーコンにより増強され得る。位置ビーコンは、iBeacon(登録商標)などの近距離ビーコンと共に実装され得る。近距離ビーコンは、患者に装着されているデバイスと、患者が歩いている時に通信し、その位置を較正するためにデバイスが用い得る絶対ロケーション位置データを提供するだけでなく、その実際の位置を介護者に送信する。動きセンサ/向きセンサをビーコンシステムと組み合わせることにより、ビーコンの数が低減され得、故に、実装のコストおよび複雑さが減る。
【0090】
図4は、医療デバイスコントローラ300のデータストレージ304のコンポーネントとして示される、複数の動きパラメータを格納するための動き情報データストア330の例を示す。動き情報データストア330は、センサデータ構造400と、センサマスター構造402と、動きプリミティブマスター構造404と、動きプリミティブデータ構造406と、動きシーケンスマスター構造408と、動きシーケンス構造410とを含む。いくつかの例において、データ構造402、404および408は、ベースラインモード/訓練モードで動作している間(例えば、医療デバイスコントローラ300を含む医療デバイスの初回フィッティング中に)、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316によりポピュレートされる。いくつかの例において、データ構造400、406および410は、モニタリングモードで動作している場合、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316によりポピュレートされる。
【0091】
センサマスター構造402は、動きセンサ/向きセンサ(例えば、動きデータを取得し、センサインタフェース312を介してプロセッサ318に送信する1または複数の動きセンサ/向きセンサ334)のリストを格納する。センサマスター構造402において表されるセンサの種類の例は、1次元加速度計、2次元加速度計、3次元加速度計、ジャイロスコープおよび磁気計のうちの1または複数を含むが、それらに限定されない。
図4に示されるように、センサマスター構造402は、センサ_IDフィールドおよび位置フィールドを含む少なくとも2つのパラメータを含む。センサ_IDフィールドは、1または複数の動きセンサ/向きセンサ334の各々の識別子を格納するように構成される。これらの識別子は、識別されたセンサにデータを関連付けるために、
図4に示されるデータモデルの全体にわたって用いられる。位置フィールドは、センサ_IDにより識別されたセンサが配置されている患者102の身体上の解剖学的位置を記述したデータを格納するように構成される。故に、位置フィールドに格納されたデータにより、患者102の身体上の位置(例えば、左前腕、右前腕、左向こう脛、右腿、頭冠、胸郭)とセンサが関連付けられる。次に、この位置データは、動きプリミティブと、任意選択的に、患者102により実行される動きセンテンスとを識別するために、動き情報データストア330および医療デバイスコントローラ300の他の要素(例えば、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316)により用いられる。センサマスター構造402により、医療デバイスコントローラ300の計算効率が改善される。なぜなら、頻繁には変わらない情報(例えば、センサ位置)は、動きデータの各データ項目と共には送信されないからである。いくつかの例において、センサマスター構造402は、センサ配置(例えば、センサ配置100)または携帯型医療デバイス(例えば、携帯型医療デバイス200)の初回フィッティング中に、実際のセンサIDおよび解剖学的位置と共にポピュレートされる。
【0092】
動きプリミティブマスター構造404は、患者102により実行されている時に医療デバイスコントローラ300により記録される様々な予め定められた動きプリミティブを記述したベースラインデータを格納する。上述のように、動きプリミティブは本質的に、動きセンテンス特徴を含む動きセンテンスの「動詞」である。動きプリミティブは、対応する患者固有のベースラインデータをベースライン期間/訓練期間中に収集するように、コマンドが出されると患者102により実行され得る程度に、十分単純であることが多いか、または十分に一般的である予め定められた動きである。動きプリミティブは、1または複数の動きセンテンスにおける他の予め定められた動きセンテンス特徴を含む、より複雑な動きのコンポーネントとも識別され得る。臨床医療現場(例えば、病院または入院患者用診療所)において特に役立つ動きセンテンスの例は、数ある中でも特に、1)「ベッドから立ち上がる」=「ベッドから起き上がる」+「両脚をベッドの縁にもっていく」+「両足を床に置く」+「屈んで立ち上がる」、2)「ベッドに座る」、3)「仰臥位からベッドから起き上がる」、4)「座位からベッドに横たわる」、5)「左足を踏み出す」、6)「右足を踏み出す」、7)「ドアを開ける」、8)「適切な位置に立ちながら向きを変える」、9)「熟睡する」および10)「立位から椅子またはトイレに座る」である。これらの例示的な動きプリミティブおよび動きセンテンスまたは本明細書において明示的に識別されていない他の動きプリミティブ、動きセンテンスおよび動きセンテンス特徴のうちのいずれか1つまたは複数は、動きセンサアセンブリもしくは向きセンサアセンブリ100または携帯型医療デバイス200を装着している(患者102などの)個々の患者について記録される。これにより、個々の患者および個々の動きセンサ/向きセンサに固有の動きまたはそれらの位置のばらつきおよび特徴が、ベースライン期間/訓練期間中に記録されたベースラインデータに反映される。
【0093】
数ある中でも特にこれらの動きプリミティブは、
図5において以下に説明されるように、医療デバイスコントローラ300がベースラインモード/訓練モードで動作している間、個々の患者の各々について記録および分析され得、故に、ベースラインデータのライブラリを生成するだけでなく、その特定の患者の動き認識アルゴリズムの精度の改善を生じさせる。動きセンサ/向きセンサからのデータは、医療デバイスコントローラ300がモニタリングモードで動作している間、測定され、動き認識アルゴリズムに入力される。動き認識アルゴリズムは、動きが予め定められた動きプリミティブまたは動きセンテンス特徴に最も良く対応するように動きを分類する。次に、動き認識(MR)処理の出力(例えば、動きプリミティブ、動き修飾子、動きオブジェクト、動き形容詞および動き文法構造)が、MR出力が患者の健康または安全に対する脅威をもたらすかどうか、または、そうでない場合には初期障害を構成するかどうかを判断するために分析され得る。次に、検出動作の分類に応答して、(医療提供者または他の介護者に対するアラームまたは通知などの)通知コンポーネントが実行され得る。適切な信号が患者102、医療提供者または医療デバイスシステムのコンポーネントのうちの1または複数に提供され得、それらのうちのいずれか1つがアクションを開始し得る。一連の動きプリミティブが、患者の動きが危険な結果を招くと万一予想している場合には、これらのアクションは保護的措置を含み得る。
【0094】
図4に示されるように、動きプリミティブマスター構造404は、プリミティブ_名前フィールドと、プリミティブ_IDフィールドと、位置フィールドと、パラメータ_IDフィールドと、時間フィールドと、値フィールドとを含む。プリミティブ_名前フィールドは、患者102について記録されるべき各動きプリミティブ用の人間が読み取り可能な名前を記述したデータを格納するように構成される。プリミティブ_IDフィールドは、各動きプリミティブの識別子を格納するように構成される。これらの識別子は、他のデータを識別された動きプリミティブに関連付けるために、
図4に示されるデータモデルの全体にわたって用いられる。残りの4つのフィールド、つまり、位置フィールド、パラメータ_IDフィールド、時間フィールドおよび値フィールドは、各動きプリミティブの記録中に取得されるセンサデータを格納するように構成される。より具体的には、各動きプリミティブは、(時間フィールドにおいて指定される)特定の時刻に(位置フィールドにおいて指定される)解剖学的位置で記録された(パラメータ_IDフィールドにおいて識別される)パラメータの(値フィールドにおいて指定される)1または複数のセンサ値から成り得る。動きプリミティブマスター構造は、動きオブジェクトおよび動き修飾子を記述した情報も含む。
【0095】
動きシーケンスマスター構造408は、動きセンテンス(単一の動きセンテンスおよび一連の動きセンテンスの両方)を記述したデータを格納する。動きセンテンスの名前の例は、「右足を踏み出す」、「ベッドから起き上がる」、「(立ちながら)向きを変える」、「(立位から)座る」および他のそのような例を含む。一連の動きセンテンスが、患者のより複雑な動きを説明し得る。そのようなシーケンスの例は、患者がベッドを出て浴室に行く、患者が自分の部屋を離れて廊下を歩いている、患者が(安定した歩みが経時的に徐々に少なくなっていることを識別するためにベースライン期間/訓練期間中に取得される患者固有のベースラインデータとして用いられ得る)6分間の歩行試験を実行している、を含む。
図4に示されるように、動きシーケンスマスター408は、シーケンス_名前フィールド、シーケンス_IDフィールド、プリミティブ_IDフィールドおよびアクションフィールドを含む。シーケンス_名前フィールドは、医療デバイスコントローラ300を含む医療デバイスにより患者がモニタリングされている間、患者102に関連付けられた各動きセンテンス用の人間が読み取り可能な名前を記述したデータを格納するように構成される。一連の動きセンテンスの名前の例は、「浴室に行く」、「6分間の歩行試験を実行する」、「ナースステーションに行く」および他のそのような例を含む。故に、各シーケンスは、一連の行為の全体を共に記述した2つまたはそれより多くの動きセンテンスから成る。
【0096】
シーケンス_IDフィールドは、各動きシーケンスの識別子を格納するように構成される。これらの識別子は、他のデータを識別された動きシーケンスに関連付けるために、
図4に示されるデータモデルの全体にわたって用いられる。プリミティブ_IDフィールドは、シーケンス_IDフィールドにおいて識別された動きシーケンスを共に構成する1または複数のプリミティブ_IDを格納するように構成される。アクションフィールドは、シーケンス_IDにより識別された動きシーケンスの識別に応答してトリガされるべき1または複数のアクションを識別するデータを格納するように構成される。いくつかの例においてこのフィールドを介して識別可能なアクションは、通知コンポーネントの実行を含む。当該実行は、検出された動きの結果に対処するよう設計された自動化である。例えば、
図13を参照して以下にさらに説明されるように、通知コンポーネントは、プロセッサにより実行可能であり得、ユーザに関連するか、または特定の位置に配置されたデバイスに対してアラートを発するように構成される。
【0097】
アクションフィールドは、1または複数のアクションのうちのどれがいつトリガされるかに影響を及ぼす様々な条件を含むようにも構成され得る。例えば、患者の年齢、動きに関連する1日における(日中/夜間の指定時刻および時間を含む)現在時刻、動き分類コンポーネントの動作モードおよび/または実行されるべきアクションがアクションフィールドに含まれ得る。例えば、90歳の患者のための巡回を行っている専門の看護師のページャに、その患者がベッドを出ている昼間の時間中、アラートが送信される。職員がより少ない夜間帯中は、類似のアラートがトリガされ、ナースステーションに送信され得る。代替的に、20歳の患者については、この患者がベッドを出ている時刻に拘らず、アラートはトリガされない。
【0098】
センサデータ構造400は、医療デバイスコントローラ300がモニタリングモードを実行している間に各動きセンサまたは向きセンサにより取得された患者の動きを記述した様々なデータを格納する。
図4に示されるように、センサデータ構造は、センサ_IDフィールド、パラメータ_IDフィールド、時間フィールドおよび値フィールドを含む。センサ_IDフィールドは、センサマスター構造402において定義される、動きセンサまたは向きセンサの識別子を格納するように構成される。パラメータ_IDフィールドは、センサ_IDフィールドにおいて識別されたセンサにより取得されたデータ値により測定されたパラメータの識別情報を指定するデータを格納するように構成される。例えば、x軸方向、y軸方向およびz軸方向における力データは各々、力の方向を指定する異なるパラメータIDを有する。同様に、ジャイロスコープにより送信される向き(例えば、傾き、回転)データは、そのデータに対応する測定を識別するために用いられる1または複数のパラメータIDを有する。時間フィールドは、測定された各値が1または複数の動きセンサ/向きセンサにより取得された時点および/または動きが起こっている持続時間を示すデータを格納するように構成される。センサデータ構造400の時間フィールドは、患者102について収集されたセンサデータを順序に応じて配置するためのインデックスとして用いられる。これにより、1つの動きセンテンスまたは複数の動きセンテンスが1つの動きシーケンスに配置され得ることを判断するために、また、動きの持続時間(例えば、動きが始まってから止まるまで)を測定するために、複数の動きが分析され得る。値フィールドは、動きセンサ/向きセンサにより取得された値パラメータの測定値を格納するように構成される。これらの値は、例えば、患者102の動きを記述したものとして動きセンサまたは向きセンサにより測定されるスカラ値またはベクトル値であり得る。スカラ値は、センサ_ID、パラメータ_IDおよび他のデータ構造および/または動き情報データストア330の要素のうちの1または複数と共に分析される場合、1または複数のベクトル成分に関連し得ることが理解されよう。
【0099】
動きプリミティブデータ構造406は、センサデータ構造404に格納されたセンサデータ内に示される動きプリミティブおよび他の動きセンテンス特徴を記述したデータを格納する。図示されるように、動きプリミティブデータ構造406は、プリミティブ_IDフィールド、位置フィールド、パラメータ_IDフィールド、時間フィールドおよび値フィールドを含む。いくつかの例において、これらのフィールドに格納されたデータは、センサデータ構造400に格納されたデータをセンサマスター構造402に格納されたデータと結合し、関連付けられた位置、パラメータ_ID、位置と一致する時間および値、パラメータ_ID、時間および結合されたデータ内の値を有する、動きプリミティブマスター構造404からのプリミティブ_IDを識別することにより判断される。一致を見つけるために必要な信頼度は、例の間で異なり得る。
【0100】
動きシーケンス構造410は、動きプリミティブデータ構造406に格納された動きプリミティブ内に示される動きセンテンスおよび一連の動きセンテンスを記述したデータを格納する。図示されるように、動きシーケンス構造410は、シーケンス_IDフィールドおよびプリミティブ_IDフィールドを含む。いくつかの例において、これらのフィールドに格納されたデータは、動きプリミティブデータ構造406に格納されたデータを動きシーケンスマスター構造408に格納されたデータと結合し、結合されたデータ内のプリミティブ_IDと一致する関連付けられたプリミティブ_IDを有する動きシーケンスマスター構造408からシーケンス_IDを識別することにより判断される。一致を見つけるために必要な信頼度は、例の間で異なり得る。いくつかの例において、動きプリミティブデータ構造406および動きシーケンスデータ構造410は、データのコピーを含むデータストアではなくセンサデータ構造400へのビューとして実装され得ることが理解されよう。
【0101】
2つまたはそれより多くの関連する患者の動きの状態がある場合、状態空間が定義され得る。これらの患者の動きの状態は、本明細書において説明される1または複数の動きプリミティブに対応し得る。例示的な患者の動きの状態が、説明目的でのみ以下に示される。述べられる測定値のうちのいくつかの偏差が、様々な例において予想され得る。
【0102】
患者が座っている:非アクティブ―患者の胴体は、15度よりも大きい角度で傾斜しているが、5秒の連続期間において1フィート/秒(または例えば0.25、0.5、2、4、8または16フィート/秒といった他の適切な閾値)未満の移動速度がある。他の例において、座っている患者:非アクティブの定義は、二乗平均平方根(RMS)の動き、加速度等またはそれらの多元的な組み合わせなど、他の動きの測定値に基づき得る。患者が座っている状態も、移動速度が「非アクティブ」状態について定義されるものよりも大きい「アクティブ」というサブ状態を有し得る。
【0103】
患者が睡眠中である:非アクティブ―患者は、15度未満傾斜しているが、10分間持続する0.25フィート/秒(または上記のように測定される他の閾値、範囲、パラメータ)未満の移動速度がある。
【0104】
患者が睡眠中である:アクティブ―患者は、15度未満傾斜しているが、直近の10分間の連続期間において0.25フィート/秒(または上記のように測定される他の閾値、範囲、パラメータ)超の移動速度がある。
【0105】
患者がベッドを出ている―この状態は、患者が睡眠中である:非アクティブまたは患者が睡眠中である:アクティブのいずれか一方が前にある。患者は、15度よりも大きく傾斜している。患者がベッドを出ている状態は、胴体が垂直位に向かって上方に傾斜する過程である「起き上がる」という状態、患者の足または足首上に位置する動きセンサ/向きセンサ104が下方に6インチ超下がる「両足を下に置く」という状態にさらに細分化され得る。いくつかの例において、「患者が床に足を下ろす」は、患者の腿または胴体のいずれかに位置する動きセンサまたは向きセンサが足のセンサに対して0.5フィート未満垂直に位置合わせされたようになった場合に示される。
【0106】
患者が睡眠中である:寝返り―患者の寝返りサブ状態:「睡眠中である」は、(水平方向に対して依然として15度未満の角度のままでありながら)胴体の角回転運動が回転角度20度を超える場合に定義される。患者が睡眠中である:寝返りが検出された場合、デバイスは、生理的モニタリングセンサ(例えば、ECG、SpO2等)が現在、患者の下側にあり、患者とマットレスとの間で圧縮されている可能性があると判断し得る。これに応答して、患者の生理的メトリックをより正確にモニタリングすることを容易にする位置を有するセンサの異なるセットが有効化され得る(例えば、それらが患者とベッドとの間で圧縮されていないことがその理由である)。例えば、ZOLL LifeVest(登録商標)ウェアラブル除細動器は、2つのECGリード、つまり、前後(FB)リードおよび左右(SS)リードのペアに接続されたECG電極ペアの2つのセットを含む。患者が一方の側を下にして横になっていると判断された場合、プロセッサは、FBリードではなく、SSリードのモニタリングに切り替わるであろうし、または代替的に、FBリード上でより大きい圧縮および動きアーティファクトが生じることを予想したうえでの信号フィルタリングなど、いくつかの追加の処理を実行し得る。
【0107】
患者が立ち上がっている―患者がベッドを出ている状態と類似しているが、患者が睡眠中である状態ではなく、患者が座っている状態が前にある。
【0108】
患者が立っている―患者の胴体は、鉛直方向に対して5度未満であるが、水平方向の動きの移動速度は、直近の連続した5秒という期間において1フィート/秒(または他の適切な閾値、例えば、0.25、0.5、2、4、8または16フィート/秒)未満である。
【0109】
患者が転倒している―前の状態は、患者が立っている、または患者が座っているであり、これらの状態において、水平方向に対する角速度は、毎秒10度超である。
【0110】
患者が歩いている―患者の胴体は、鉛直方向に対して5度未満であるが、水平方向の動きの移動速度は、5秒という直近の連続期間において1フィート/秒(または他の適切な閾値、例えば0.25、0.5、2、4、8または16フィート/秒)超である。ゼロ速度更新(ZUPT)またはゼロ速度検出(ZVD)など、当業者にとって既知の技術が用いられ得る。これにより、患者上の特定の動きセンサ/向きセンサ104が較正を実行するのに十分な時間にわたって動きを止めたのがいつなのかをステートマシンが判断する。間隔は規則的または不規則であり得る。例えば、較正は、「患者が歩いている」といった既知の動きの状態に基づき得る。この場合、較正は、患者の足または足首上に位置する動きセンサ/向きセンサ104に主に依拠する動き推定に基づき得、患者が各々の踏み出しで特定の足を地面に置いた場合にゼロ速度が検出されると、Skog他により説明されるもの(ここに、参照により、全体が本明細書に組み込まれるI. Skog、P. Handel、J.-O. NilssonおよびJ. Rantakokko著「ゼロ速度の検出―アルゴリズム評価」(2010年11月、IEEE Trans. Biomed. Eng.第57巻第11号2657頁‐2666頁))などのアルゴリズムを用いて行われ得る。Skog他によると、「足付き慣性センサにより提供される動き情報が歩行分析および歩行者ナビゲーションにおいて異なる目的で用いられるとしても、両方の応用分野で、質の高い動き情報が必要である。」
【0111】
Skog他はさらに、「慣性航法システム(INS)について低コストのセンサを利用することにより、位置誤差が動作時間の三乗に比例する。従って、現在入手可能な低コストの慣性センサの性能だと、自由慣性航法は、数秒の範囲内の期間についてのみ実現可能である。しかしながら、三次誤差成長は、ナビゲーションソリューションに対して、システムのダイナミクスについての情報を用いて制約を課すことにより、低減され得る。この目的で一般に用いられる情報の種類は、システムが静止局面にある時間、すなわち、システムが一定の位置および姿勢を有している時間についての知識である。誤差成長を制限するためにこの情報を用いることは、ゼロ速度更新の利用と称される。通常の歩行中に足は定期的に静止状態に戻るので、ゼロ速度更新は、足付きINSの誤差成長を制限するのに十分適している。」と説明している。
【0112】
Skog他はさらに、「数歩にわたる足の累積移動距離が対象である足付き慣性センサベースの歩行者ナビゲーションシステムにおいては、「ソフトな」ゼロ速度更新が一般に用いられる。つまり、最後のゼロ速度更新からの累積誤差の推定値を提供するために、システムがゼロ速度をいつ有しているかについての知識は、位置誤差、速度誤差および姿勢誤差がどのように経時的に生じるかについてのモデルと共に用いられる。次に、ナビゲーションソリューションを補正するために、かつ、ナビゲーションアルゴリズムを較正するために、累積誤差の推定値がフィードバックされる。」と説明している。
【0113】
Skog他は、「ハードな」ゼロ速度更新を「いくつかのサイクルにわたる足の累積移動距離ではなく、個々の歩行サイクル中の足の動きが対象である歩行分析においては、「ハードな」ゼロ速度更新が一般に用いられる。システムがゼロ速度更新を課した場合、位置、速度およびヨーがゼロにリセットされ、ロールおよびピッチが加速度計の重力加速度の測定値から直接初期化されるという点で更新はハードである。」と説明している。
【0114】
ユーザの視点からデバイスが非アクティブであるように見えるが、実際には、ユーザまたは患者による介入を必要としない様々なセルフテストを実行している間(例えば、(「患者が睡眠中である:非アクティブ」または「患者が静止している:非アクティブ」のような)非アクティブなサブ状態のいずれかの間)にも動きセンサ/向きセンサ104の較正が実行され得る。これらの非アクティブ期間中、較正の間隔は、1ミリ秒毎程度の頻度で行われ得るが、1分毎に1回程度または3時間毎に1回程度でも行われ得る。較正は、1秒、1分、1時間等といったいくつかの期間にわたって持続し得、これらの期間中、オフセットされたドリフトなどの時間依存型因子が推定され得る。
【0115】
これらの較正中、RMSノイズ、オフセットおよびドリフトなどの動き特徴が推定され得る。RMSノイズの更新された推定値は、ゼロ速度状態の検出のための閾値を判断するために用いられ得る。オフセットおよびオフセットされたドリフトの更新された推定値は、最終的な位置精度を合計移動距離のおよそ1%まで減らすために用いられ得る(例えば、30フィートの移動毎に、誤差はおよそ3.5インチになるであろう)。
【0116】
例示的な動き分類処理
図5は、動きプリミティブ、動きセンテンス特徴、動きセンテンスおよび特定の一連の動きセンテンスに対応するベースラインデータを収集するための患者固有のベースライン処理/訓練処理500を示すフロー図である。患者固有のベースライン処理/訓練処理500は、医療デバイスコントローラ300を含むか、または動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316を含む別のプログラマブルデバイスを含む医療デバイスにより実行され得る。動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、患者固有のベースラインモード/訓練モードで動作し得る。患者固有のベースライン処理/訓練処理500は、1または複数の動きセンサ/向きセンサ(例えば、1または複数の動きセンサ/向きセンサ334)を患者(例えば、患者102)に配置し(502)、センサマスター構造402における1または複数のセンサの各々の位置を記録することにより始まる。この記録は、デフォルトで、またはユーザインタフェースを介して位置をセンサに対して肯定的に割り当てることにより実行され得る。1または複数のセンサの既定の位置がユーザインタフェースを介して修正されない場合、センサマスター構造402に格納された位置データは、特定のセンサが特定の位置で患者102に配置されていることを必要とし得る。いくつかの例において、これらのセンサは、センサのための適切な解剖学的位置の視覚的なしるしを含む。
【0117】
患者固有のベースライン処理/訓練処理は、患者により実行されるべき動きプリミティブを対応するベースラインデータが収集および分析され得るように識別すること(504)へと続く。識別された(504)動きプリミティブは、上述の例のいずれか、または患者の動きを識別および分類するために用いられる他の動きプリミティブであり得る。次に、患者は、動きプリミティブの実行を促される(506)。この催促(506)は、医療デバイス(もしくは動き情報データストア330と通信する類似のデバイス)により、または介護者が医療デバイスを用いてベースラインデータを収集することにより、患者102に直接提供され得る。患者102が動きプリミティブを実行すると、患者102に取り付けられているか、または装着されている動きセンサまたは向きセンサ(例えば、1または複数の動きセンサ/向きセンサ334)が、動きプリミティブに対応するセンサデータを記録する(508)。次に、センサデータは、識別(502)および実行(504)された動きプリミティブと共に、例えば動きプリミティブマスター構造404に格納される(510)。これにより、動きオブジェクト、動き修飾子、動きセンテンスおよび一連の動きセンテンスを含む識別(502)および実行(504)された動きプリミティブに対応するベースラインデータが確立される。
【0118】
次に、ベースライン処理/訓練処理500により、患者に要求または推奨される全ての動きプリミティブについてのベースラインデータが記録(510)されたかどうかが判断される。記録されることが要求または推奨される全ての動きプリミティブのリストが、年齢、体重、身長、健康リスク(方向感覚の喪失、疲労、記憶喪失、卒倒等)、病気の種類、手術の種類、または今後実行されるか、または以前に実行された処置およびその他のものなど、様々な健康因子に基づいて、患者102について識別され得る。さらにその他の処理が、患者の動きをモニタリングするための標準処理の一部として要求され、標準的な動きからの偏差を判断するために(例えば、発作を判断するために、咳を判断するために、震えを判断するために)用いられ得る。患者に要求または推奨される動きプリミティブの全てが記録された場合、方法500は終了する。いくつかの動きプリミティブが記録(510)されるべき状態のままである場合、患者固有のベースライン処理/訓練処理500は、記録されるべき次の動きプリミティブの識別(502)に戻る。次に、患者固有のベースライン処理/訓練処理500の前述の態様は、全ての動きプリミティブが記録され、格納される(510)まで、繰り返される。
【0119】
上述の患者固有のベースライン処理/訓練処理500は、単一の動きプリミティブ、動きオブジェクトおよび動き修飾子(例えば、座る、左脚を踏み出す、右脚を踏み出す)に関して説明されてきたが、ベースラインデータは、一連の動きセンテンスについて記録され、格納され510得ることが理解されよう。例えば、ベースラインデータは、ベッドから起き上がり、それに続いて両脚をベッドの側方へと動かし、次に立ち上がり、その次に踏み出すという一連の行為について記録される(510)。別の例において、ベースラインデータは、患者の部屋のドアへと歩き、部屋のドアを開け、部屋の外へと歩くという一連の行為について記録される。さらに別の例において、一連の動きプリミティブおよび動きセンテンスならびに一連の動きセンテンスは、患者が6分間の試験を実行している間、記録される(510)。他のシーケンスが、本明細書における説明に照らして理解されよう。
【0120】
図6は、動きセンサの出力を測定し、動きまたは向きを動きプリミティブ、動きセンテンスまたは一連の動きセンテンスに対応するものとして分類するための1つの可能なモニタリング処理600を示すフロー図である。
【0121】
モニタリング処理600は、医療デバイスコントローラ300を含むか、または動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316を含む別のプログラマブルデバイスを含む医療デバイスにより実行され得る。いくつかの実装において、モニタリング処理600は、外部プログラマブルデバイス、例えば、電話、パーソナルデジタルアシスタント、タブレット、または医療デバイスから離れているが、医療デバイスを装着している患者によっても運ばれ得る他の電子デバイス上で行われるように構成され得る。いくつかの例において、そのような外部デバイスは、患者により運ばれるのではなく、介護者、患者の代理人(例えば、恋人)または患者が動き回る時に患者に付き添い得る他の個人によっても運ばれ得る。1つのシナリオにおいて、病院環境内の看護師が、病院の建物内で動き得る患者を補助している間に、そのようなデバイスを運び得る。例えば、そのような電話、パーソナルデジタルアシスタント、タブレットまたは他の電子デバイスは、(例えば、有線接続または無線接続を介して)医療デバイスに動作可能に接続され、モニタリング処理600に関する情報を医療デバイスと交換し得る。
【0122】
いくつかの実装において、モニタリング処理600は、遠隔サーバ(例えば、医療デバイス施設または介護者施設)で行われるように構成され得る。例えば、そのような遠隔サーバは、(例えば、BlueTooth(登録商標)有効化済み基地局またはWiFi(登録商標)接続を介して)医療デバイスと無線接続し、モニタリング処理600に関する情報を医療デバイスと交換し得る。
【0123】
動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、モニタリングモードで動作し得る。モニタリング処理600は、患者102が動いているか、または静止していることを記述したセンサデータを、医療デバイスを用いて取得および/または測定(602)することにより始まる。センサデータは、医療デバイス(または分散コンピューティングネットワークの一部である類似のデバイス)に伝達され、データストア330(例えば、センサデータ構造400)に記録される。次に、動き分類または動き認識604は、人工ニューラルネットワーク、ディープラーニングネットワーク、HMM、特徴ベクトル分析および距離関数分析を含む様々な機械学習技術のいずれか、相互相関、閾値分析または上記の詳細に述べられた他の既知の技術を用いて、センサデータに対して(例えば、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316により)実行される。動き分類処理または動き認識処理604に対して統計的アプローチまたは確率的アプローチが取られる場合、分類の信頼度レベルが、機械学習または他の分類技術の動作の一部として判断される。判断された信頼度レベル608が、一致を見つけるために必要な最小合致レベルを設定した閾値未満である場合には、検出された動きに対応するセンサデータには、介護者による検証のためにフラグが設定される(606)。モニタリング処理600は、センサデータのフラグ設定(606)後に終了する。
【0124】
統計的認識アプローチの場合において、判断された信頼度レベル608が信頼度の閾値よりも大きいときは、分類された(604)動きセンテンス特徴は、現在の動きセンテンス(例えば、格納された動きプリミティブデータ構造406)に加えられる(610)。動き認識に対するテンプレートマッチングアプローチにおいて、ベースライン処理/訓練処理中に取得された動きセンテンスおよび一連の動きセンテンスは、(例えば、動きシーケンスマスター408に格納されるように)患者固有のベースラインデータとして格納され得る。次に、測定された動き、検出された動きセンテンス特徴および動きセンテンスは、動きシーケンス612との最良の一致を見つけるために、汎用動きシーケンスマスターデータだけでなく患者固有のベースラインデータに照合され得る。例示のために、分類された(604)動きセンテンス特徴が「起き」という動きプリミティブおよび「上がる」という動き修飾子であり、以前の向き(過去の履歴)が「横たわる」であり、その前が「睡眠」であった場合、汎用動きデータベース、患者固有のベースラインデータおよび汎用文法ルールの両方に基づいて、分類ステップ612は、完全なセンテンスが「ベッドから起き上がる」であると判断する。動きシーケンスが認識されなかった(614)場合、動きシーケンスには、介護者による検証のためにフラグが設定され(618)、モニタリング処理600は終了する。しかしながら、1または複数の定義された動きセンテンスまたは動きセンテンスシーケンスが識別された(すなわち、未定義ではない(614))場合、モニタリング処理600は、患者による一連の動きが実行可能である(例えば、動きシーケンスマスター408に格納されたアクションを記述したデータを有しているか、または患者を初期段階または即時のリスクにさらす動きセンテンスまたは一連の動きセンテンスである)かどうかを判断する。そうである場合、モニタリング処理600は、通知アクション(例えば、通知コンポーネント、例えば、通知コンポーネント317への通知要求の送信)を実行する。通知コンポーネントを介して実行(620)が要求され得る通知アクションの例は、不正な動きまたはハイリスクな動きについて患者、医療従事者またはそれらの両方に警告することを含む。一連の動きプリミティブが実行可能ではない場合、モニタリング処理600は動作602を実行する。動作616において、モニタリング処理は、例えば格納された文法ルールを用いることにより、動きシーケンスが完全である(616)かどうかを判断する。動きシーケンスが完全である(616)と判断された場合、新しい動きシーケンスが開始され(例えば、新しい記録が動きシーケンス構造410に加えられ)、モニタリング処理600は、動作602を実行する。
【0125】
動作602に戻ると、モニタリング処理600は、別の患者の動きがより多くのセンサデータの取得(602)を介して検出されるのを待機することにより継続する。いくつかの例において、上述のフラグ設定606および618の動作は、同定できない動きが患者102により実行されたことを介護者に警告するために、介護者に関連付けられたデバイスに対して緊急アラートを発することを含み得ることが理解されよう。
【0126】
いくつかの例において、動きシーケンスが実行可能であるかまたはそうではないかは、少なくとも部分的に、文脈的な因子に基づく。例えば、動作616の様々な例において、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316はさらに、時刻、患者の年齢、患者の既往症、患者の動きに関する処方された医療上の指示(例えば、連続したベッドでの休養、一度に10分を上回って歩かないこと)に対する違反があったかどうか、および/または動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316の動作モードを評価する。いくつかの例において、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、昼間モニタリングモードと夜間モニタリングモードとの間で設定可能である。これらの例において、いくつかの動きシーケンスが、夜間モニタリングモードで実行可能であり得るが、昼間モニタリングモードで実行可能ではないか、または逆も当てはまる。例えば、浴室に行く患者の動きシーケンスは、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316が昼間モニタリングモードで動作している間は実行可能ではないことがあるが、同じ動きシーケンスが、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316が夜間モニタリングモードで動作している場合には実行可能であり得る。いくつかの例において、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、標準モニタリングモードと、静脈内への流体または薬の供給、透析または他の医療処置などの医療処置に関連するモニタリングモードとの間で設定可能である。例えば、立っている患者の動きシーケンスは、標準モニタリングモードの間は実行可能ではないことがあるが、患者がベッドでの休養を処方された透析またはいくつかの他の治療(例えば、鎮静剤の服用)を患者が受けている場合には、同じ動きシーケンスが実行可能であり得る。
【0127】
個々の患者の全員について全ての動きプリミティブが記録される必要はない。例えば、支えられていない状態での地面への転倒があると、ほとんどの部分が(a)他の動きプリミティブの中でも特有であり、(b)ほとんどの患者にとって一般的なセンサデータが生成される。この理由で、複数の患者および動きのデータベースから生成されるモデル、ヒューリスティックルール、または以前に収集されてHMM、ディープラーニングネットワークに入力されたデータからの認識された類型の形式であり得る既存の汎用データは、いくつかの場合において、いくつかの動きセンテンス特徴、動きセンテンスまたは動きセンテンスシーケンスの認識のために用いられ得る。例えば、患者の転倒を記述したセンサデータの特殊性および共通性の結果として、用いられる分類処理は、より計算上特殊かつ効率的であり得る。
【0128】
図7は、ベースライン処理/訓練処理中に患者自身が動きプリミティブを実行する必要なく、患者により示される一連の動きプリミティブを識別するために用いられ得る既存の汎用データの例である。
図7は、支えられていない状態での地面への転倒中の時間の関数として患者に作用する力のグラフである。示される力は、デカルト座標系におけるx方向、y方向およびz方向に向いている。これらの力の絶対値の和も示される。
図7に示される例示的なデータは3次元加速度計から収集されたが、患者の支えられていない状態での地面への転倒という物理現象の代替的な表現が、用いられるセンサおよびセンサの向きに応じて可能であることが理解されよう。
図7に示されるデータの正および負の符号は、3次元加速度計の向きの関数だった。説明目的で、時間の関数としての大きさのみが述べられる。
【0129】
示されるように、時点(t)=0秒(s)において、患者は直立していた。重力に耐えながら、患者(またはより具体的には、患者に取り付けられた加速度計)は、1Gと等しい縦の力を(患者上の加速度計の向きによる負のy方向)受けた。この1Gの力は、およそ、患者の支えられていない状態での地面への転倒(「自由落下」としても知られる)が始まった時点t=0.35sまで続いた。t=0.35sからおよそt=0.48sまでの自由落下中、患者に作用していた正味の力が減少した。なぜなら、患者は直立することにより重力に引っぱられるのに対して耐えることがもはやできなくなったからである。この減少は、患者が地面に接触するまで続いた。患者に作用する様々な力は、患者が地面に衝突する直前におよそゼロになった。
【0130】
図8は、
図7に示されるデータに類似するデータであるが、より長い時間スケールにおけるものを示す。
図8は、地面への衝突中および衝突後に患者が受けた力をさらに示す。
図8に示されるように、患者の動きは、患者に作用する正味の力がおよそ1Gである安定状態で始まった。患者が地面に向かって自由落下した時、力は上述の理由と同じ理由で減少した。しかしながら、「衝突」と表示されている領域に示されるように、一度患者が地面と接触すると、衝突の力は10G超だった。示される例において、患者が地面で跳ね返った時、および衝突の力が患者の身体の全体にわたって反響した時に、大きな力の連続的な波が生じた。衝突の力は、衝突後の「安定」と表示される領域に示されるように、最終的には放散した。
【0131】
他の動きプリミティブおよびそれらの動きシーケンスと同様に、動きプリミティブおよび動きシーケンスの分類は、センサデータと様々な閾値との比較を用いることにより実現され得る。動きシーケンスが万一この閾値比較技術を用いて分類される場合、医療デバイスコントローラ300は、これらの閾値のうちの1または複数に跨るデータに応答して、(患者、モニタリングシステムおよび/または介護者に対する)通知、警告、またはアラームを、通知コンポーネント(例えば、通知コンポーネント317)を介してトリガし得る。自由落下の場合、力に対応する一連の動きプリミティブは、既存の汎用データとして格納され、閾値力は、自由落下中の患者を検出するように設定される。これらの閾値は、連続的に大きくなるか、または小さくなる値の力を含み得る。各閾値を超えた時に、新しい警告またはアラームが、通知コンポーネントの実行を介して動き分類コンポーネントにより開始される。転倒についての閾値の例は、患者が地面に向かって進んでいることを示す0.8G0、0.5G0およびそれらの間の任意の値を含み得る。他の例において、衝突後の安定を示す閾値は、0.95G0と1.05G0との間のいずれかの値であり得る。また、上述のように、信頼度メトリックは、動きセンサデータまたは向きセンサデータから判断され、通知コンポーネントを関与させるための追加の閾値として用いられ得る。例において、例示的な医療デバイス200などのモバイル携帯型デバイスは、転倒を確認するよう患者に要求し、(例えば、アラームを通じて)傍観者に通知し得、および/または患者が転倒したことを医療提供者に通知し得るシステムも含み得る。
【0132】
図9は、患者の転倒を示す動きシーケンス900の概略図である。示されるように、シーケンス900の第1の動きプリミティブは、自由落下動きプリミティブ902、衝突動きプリミティブ904および安定化した動きプリミティブ906を含む。モニタリング処理600に関連して、これらの動きプリミティブの各々は、動作604において閾値比較技術を用いて分類され得、これにより、患者固有のベースラインデータの必要性が取り除かれる。さらに、モニタリング処理600は、自由落下動きプリミティブを含む任意の動きシーケンスが動作616において実行可能であると判断し得、これに応答して、動作620においてアクションを取る。このアクションは、転倒について患者および/または介護者にアラートまたは警告するように構成される通知コンポーネントの実行を含み得る。加えて、モニタリング処理600は、動きプリミティブ904および906が動きシーケンスに加えられる時に追加のアクションを取り得る。
【0133】
いくつかの例において、患者が転倒したかどうかを判断するために用いられる動きプリミティブは、向きを記述したデータを含み得る。例えば、患者の向きが実質的に縦方向から実質的に横方向へ短時間で突然変わった場合、本明細書において開示されるいくつか例は、この一連の患者の動きを転倒として識別し、それに応じてアクションを取り得る。
【0134】
上述の患者の転倒の例と同様に、既存の汎用の動きセンテンス特徴、動きセンテンスおよび一連の動きセンテンスは、シミュレーションされたデータまたは別の1または複数の患者により生成されたデータから患者に適用され得、方向感を失った動き、躓きおよび気絶を含み得る。同様に、
図10、
図11および
図12に示され、以下により詳細に説明されるように、既存の汎用の動きセンテンス特徴等は、震え、咳、発作の発生について、シミュレーションまたは生成され得る。
【0135】
図10は、患者上の3つの異なる位置に配置された3つの異なる動きセンサ/向きセンサにより患者の震えの発現中に取得された患者の動きのベクトル和のグラフである。示される例において、震えは、高周波(例えば、およそ50Hzからおよそ100Hzまたはおよそ100Hzからおよそ1000Hz)振動として検出された。主周波数は、短時間にではないが、経時的にずれ得る。いくつかの例において、高周波振動は、複数の軸のいくつかまたは全てにおいて検出される。これら複数の軸において、動きセンサまたは向きセンサは、動き(例えば、1軸、2軸または3軸の加速度計)を検出するように構成され、動きを検出し得るように(例えば、動きセンサまたは向きセンサの動きが患者とベッドとの間で制限されないように)位置する。いくつかの例において、患者に対する正味の力がおよそゼロだとしても、異なる位置または異なる軸における大きさは異なり得る。
【0136】
図11は、患者上の3つの異なる位置(胴体上の2つの位置および膝上の1つの位置)に配置された3つの異なる動きセンサ/向きセンサにより患者の咳の発現中に取得された患者の動きのベクトル和のグラフである。示されるように、咳からの力のパターンは、いくつかの方向における大きな力の加速度として示され得る。これらの大きな力の加速度は一時的なものである。つまり、時間の関数として、患者の胴体上の動きセンサまたは向きセンサにより検出された力は、数秒程度持続する。各咳は患者の横隔膜の圧縮に伴うので、横隔膜に近接する胴体に配置された動きセンサは、咳により引き起こされる力を検出する可能性がより高い。
【0137】
図12は、患者上の3つの異なる位置に配置された3つの異なる動きセンサ/向きセンサにより患者の発作の発現中に取得された患者の動きのベクトル和のグラフである。示される例において、
図12に示される発作のベクトル和は、力の周期的な変動が動きセンサ/向きセンサにより検出される。咳から検出される(
図11に示される)周期的な周波数とは異なり、
図12に示される例示的な発作の周期的な周波数は、時間の関数として振幅が上がり、咳よりも長い時間スケールにわたって起こる。様々な種類発作に起因する動きは、患者間および発作原因間で異なり得る。例えば、発熱の発作中に検出される動きプリミティブは、大発作中に検出されるものとは異なり得る。異なる種類の発作が異なる既存の汎用データを利用し得ること、つまり、これら種類の状況の多くについて患者固有のベースラインデータを取得できる可能性は低いことが理解されよう。
【0138】
震え、咳、発作、躓きまたは方向感を失った動きのいずれが分析されるかに拘らず、いくつかの例において、時間の関数としての正味の力が動きセンサまたは向きセンサの各について識別されるように動きセンサまたは向きセンサの各々からのベクトル和を分析することが有用である。いくつかの場合において、適切な位置で起こる患者の動き(例えば、ベッドに横になっている間の震え)または歩行可能な患者の動き中に起こる患者の動きをさらに識別するために、静止している(例えば、ベッドなどの近接する静止面または台車付き担架もしくは救急車などの比較的静止している面に取り付けられた)基準動きセンサまたは基準向きセンサが用いられ得る。代替的に、または同時に、患者の動きが非対称である(例えば、患者の左側のみで発作があるか、または患者の左側で動きが無い)かどうかを判断するために、合計されない力ベクトルが分析され得る。
【0139】
本明細書において開示される処理の各々は、特定の例における特定の一連の動作を示す。これらの処理に含まれる動作は、本明細書において述べられるように特別に構成される1または複数のプログラマブルデバイスにより、または当該プログラマブルデバイスを用いて、実行され得る。いくつかの動作は、任意選択的なものであり、それ故、1または複数の例に従って省略され得る。追加的に、本明細書に述べられるシステムおよび方法の範囲から逸脱することなく、動作の順序が変えられ得るか、または他の動作が加えられ得る。さらに、上述のように、少なくとも1つの例において、動作は、特定の特別に構成される機械、すなわち、本明細書において開示される例に従って構成される医療デバイス上で実行される。
【0140】
[例示的な病院環境]
図13は、本開示の例による病院環境内の分散コンピュータシステムの一例1300の概略図である。例1300は、プログラマブルデバイス1302および1304と、ネットワーク1306と、様々な医療デバイス101、1308、1310、1312、1314および1316とを含む。例えば、ネットワーク1306内のプログラマブルデバイスは、以下にさらに詳細に説明されるように、遠隔サーバ1302と、ネットワーク1306にアクセスするために介護者または他の権限を有する職員により用いられるセキュアかつ権限を有するパーソナルデジタルアシスタントまたはインターネット有効化済みスマートフォンなどの1または複数のクライアントデバイス1304とを含む。
図13による一例において、医療デバイス101は、患者102に関連付けられ、センサ配置100および携帯型医療デバイス200のうちの少なくとも一方を含む。例1300は、患者102および医療デバイス101が経時的に移動する、病院環境1318、1320および1322内の様々な位置を示す。
【0141】
サーバ1302は、1または複数のプロセッサを含むあらゆるコンピューティングデバイスを含み、ネットワーク1306を通じて1または複数の遠隔コンピューティングデバイスと通信するように構成される。サーバ1302は、上述の動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316も含む。いくつかの例において、サーバ1302は、動き情報データストア330に格納された動き情報を含むローカル動き情報データストアを維持する。
【0142】
クライアントデバイス1304は、ネットワーク1306と通信するように配置され得る様々なコンピューティングデバイスを含み得る。いくつかの例において、クライアントデバイス1304は、ユーザ入力を受信できるだけでなく、ネットワーク1306を介してデータを送信および/または受信できるコンピューティングデバイスである。例えば、クライアントデバイス1304は、患者により運ばれ得る。例えば、クライアントデバイス1304は、看護師または医師などの介護者により運ばれ得る。一実施形態において、クライアントデバイス1304は、デスクトップコンピュータまたはラップトップコンピュータなどの従来のコンピュータシステムである。別の実施形態において、クライアントデバイス1304は、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、タブレットコンピュータ、スマートフォンまたは類似のデバイスなど、コンピュータ機能を有するデバイスである。一例において、クライアントデバイス1304は、ユーザ(例えば、介護者1319)がネットワーク1306と情報をやり取りすること、およびデータと様々な患者の動きプリミティブおよび/または動きシーケンスの分析結果とを受信することを可能にするアプリケーションを実行し、故に、専用のコンピューティングマシンになる。少なくとも1つの例において、クライアントデバイス1304は、介護者ステーションに位置し、動き分類コンポーネント(例えば、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316)から通知要求を受信するように構成される通知コンポーネント317を含む。クライアントデバイス1304は、要求の受信に応答して、例えば、1または複数の通知を介護者または患者に示すことを含む1または複数のクライアントデバイスアクションを実行し得る。
【0143】
いくつかの実装において、遠隔サーバ1302は、動き認識処理または動き分類処理の出力を1または複数のデータベースに格納するように構成され得る。そのような場合、データは、情報の分析に基づいて、動きデータの種類、データが収集された日時および/またはデータの注釈毎にグループ化され得る。介護者または支援員など、権限を有する者が、(例えば、クライアントデバイス1304を介して)サーバ1302に、データに基づいて1または複数のレポートを生成させ得る。例えば、そのようなレポートは、データの種類、データが収集された日時により順序付けられ得る。
【0144】
ネットワーク1306は、有線通信システムおよび無線通信システムの両方を用いたローカルエリアネットワークおよび/またはワイドエリアネットワークのあらゆる組み合わせを備え得る。一実施形態において、ネットワーク1306は、標準通信技術および/または標準通信プロトコルを用いる。故に、ネットワーク1306は、イーサネット(登録商標)、IEEE802.11、ワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX(登録商標))、3G、4G、CDMA、デジタル加入者線(DSL)などの技術を用いたリンクを含み得る。同様に、ネットワーク1306上で用いられるネットワークプロトコルは、マルチプロトコルラベルスイッチング(MPLS)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキストトランスポートプロトコル(HTTP)、シンプルメールトランスファープロトコル(SMTP)およびファイル転送プロトコル(FTP)を含み得る。ネットワーク1306上で交換されるデータは、ハイパーテキストマークアップ言語(HTML)または拡張マークアップ言語(XML)を含む技術および/またはフォーマットを用いて表され得る。加えて、リンクの全てまたはいくつかは、セキュアソケットレイヤ(SSL)、トランスポート層セキュリティ(TLS)、インターネットプロトコルセキュリティ(IPsec)などの従来の暗号化技術を用いて暗号化され得る。
【0145】
いくつかの例において、ネットワーク1306と通信でき、ネットワーク1306と直接、またネットワーク1306を通じて通信できる他のデバイスと通信し得る医療デバイス1308、1310、1312、1314および1316は、任意の医療デバイスまたは医療デバイスのアセンブリであり得る。例は、数ある中でも、心臓除細動器と、心臓除細動器に格納された「緊急用カート」と、心停止に直面している患者を蘇生させるために用いられる様々な他のデバイス、薬および器具と、車椅子と、台車付き担架または移動式病院ベッドとを含む。これらのデバイスと、本明細書において明示的に言及されないその他のものは、以下に説明されるように、ネットワーク1306、およびサーバ1302内の動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316と通信するように構成され得る。
【0146】
第1の例示的な位置1318において、医療デバイス101を装着している患者102が、独自の動きセンサ/向きセンサ104が備え付けられた病院ベッド1328を出ている。上述のように、患者102により装着されている医療デバイス101と、静止している病院ベッド1328に取り付けられた動きセンサ/向きセンサ104との間の相対的な動きが検出される。検出された動きデータは、上述の方法およびシステムを用いて、ネットワーク1306を通じてサーバ1302に送信され、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316により分類される。一例において、医療デバイス101の動きセンサ/向きセンサは、患者が要した歩数を一連の動きプリミティブ(例えば、6分間の歩行試験中に記録された患者固有のベースラインデータ)を用いて判断するために用いられる動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316にこのデータを送信し得る。患者102と病院ベッド1328との間の距離が、判断された歩数を用いて推定される。この推定と、患者102と病院ベッド1328との間の1または複数の許容される距離に関して事前に設定されたあらゆる閾値とに基づいて、病院職員に患者の動きを通知するなどのアクションが実行され得る。同様に、傍観者も、患者102がベッドに戻るのを手助けし得るように通知され得る。いくつかの例において、病院ベッドに取り付けられた動きセンサ/向きセンサ104は、病院ベッド1328の動きセンサ/向きセンサ104(または類似の慣性計測ユニット(IMU))に直接接続された1または複数のプロセッサと通信する。プロセッサおよび/または動きセンサ/向きセンサはいずれも、ネットワークインタフェースも含み得る。この構成により、患者の動きモニタリングするために病院ベッド1328の動きセンサ/向きセンサ104を用いる場合の応答時間および計算効率が改善され得る。
【0147】
モニタリングされ得る患者の動きの例は、上述のように歩行を含むが、より軽微な患者の動きも含む。病院ベッド1328に取り付けられた動きセンサ/向きセンサ104などの静止基準点をこれらの動きが有していると役立ち得る。これらの患者の動きは、震え、咳、発作の発生、躓き、気絶または他の方向感を失った動きを含む。静止基準点を有していることは、これらの動きを検出するために用いられ得る一例であるが、必須ではない。他の例は、患者の動きをより正確に検出し、震え、咳、発作の発生、躓き、気絶または他の方向感を失った動きとして分類するために、歩く、ベッドに座る、標準的な呼吸、睡眠および他の類似の行為などの様々な行為に患者を関与させるベースライン期間または訓練期間中に記録され、測定され、分析されたベースラインデータに依存し得ることが理解されよう。いくつかの場合において、これらのために用いられる既存の汎用データは、モデルから生成されるか、または(
図7および
図8の例におけるものなどの)汎用データであり、患者102に固有のものではない。さらに他の例において、病院ベッドの動きセンサ/向きセンサ104に関連付けられたプロセッサまたはサーバ1302に関連付けられたプロセッサは、患者の動きの大きさを第1の閾値と、患者の動きの頻度を第2の閾値と比較することにより、患者の動きを少なくとも部分的に分類する。
【0148】
他の例において、患者の動きの分類に応じて、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、患者の状態に関連付けられ、患者に近接する、医療デバイス1316などの医療デバイスを識別し、通知コンポーネント317を介してアラートを発するよう医療デバイスに命令するように構成される。例えば、分類された動きが、ベッドを出て、次に(医療デバイス101により検出される)心停止に陥った患者102のものである場合、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、分類された動きと心停止の検出とに応答して、医療デバイス1316など、患者に近接する緊急用カートを識別する。そのように備え付けられている場合、医療デバイス1316は、応答する介護者により医療デバイス1316が配置されるように、(介護者1319に関連付けられたクライアントデバイス1304に対して、病院における座標を識別するトーン、点滅光または電子通知などの)アラートを発し得る。患者に近い医療デバイスの位置を判断するためのシステムおよび方法が、2015年12月18日に出願され、WO/2016/106132として公開されている、ウェアラブルデバイスに対する医療デバイスの位置を判断するシステムおよび方法という発明の名称の国際特許出願第PCT/US15/66720号において説明されている。当該出願は、ここに、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0149】
例示的な位置1320において、患者102の動きシーケンスは、トイレ1330へと歩いているものと分類される。例示的な位置1322において、患者102の動きシーケンスは、割り当てられた病室のドアから出て歩いているものと分類される。上述のように、医療デバイス101は、患者102により装着される。医療デバイス101の動きセンサ/向きセンサは、動きデータを記録し、ネットワーク1306を通じてこのデータを遠隔サーバ1302に送信する。遠隔サーバ1302において、動き認識コンポーネントまたは動き分類コンポーネント316は、前述の様々な動き認識アルゴリズムを用いてこのデータを分類する。上述のように、患者102の動きに関連付けられた閾値に応じて、アラート、警告または他のアクションが取られる。
【0150】
さらに別の例において、上述の例は、病院または診療所内での患者102の位置を追跡するために、上述の実施形態のいくつかと組み合わせて、それらの全てと組み合わせて、またはそれらのいずれとも組み合わせないで、病院環境または臨床環境において用いられ得る。つまり、患者の動きおよび向きをモニタリングすることに加え、いくつかの例は、近接するセンサ、ビーコン、および様々なエリアネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標)またはZigBee(登録商標)ネットワーク)用インフラを用いて、位置(または利用される技術の測定区別に応じたおおよその位置)を識別することを含む。上述の例のいくつかと同様に、患者の位置に関する様々な閾値が、患者が閾値を超過すると患者および/または介護者が通知を受けるように確立され得る。患者の位置の追跡を含む例についての追加の詳細は、米国特許第15/077,995号において説明されている。
【0151】
少なくとも1つの例のいくつかの態様が説明されたので、様々な変更、修正および改善が当業者にはすぐに思い浮かぶであろうことが理解されるべきである。例えば、本明細書において開示される例は、他の状況においても用いられ得る。そのような変更、修正および改善は、本開示の一部であるよう意図されており、本明細書に述べられている例の範囲内であるよう意図されている。従って、前述の説明および図面は、例としてのみのものである。
[項目1]
患者の身体上の1または複数の解剖学的位置に位置し、前記患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを検出するように構成される複数の動きセンサと、
前記複数の動きセンサに通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサであって、
前記患者の身体の前記部位の前記動きに対応する前記複数の動きパラメータを受信し、
前記複数の動きパラメータをデータストアに格納し、
前記データストアに格納された前記複数の動きパラメータを処理して、前記患者の身体の前記部位の前記動きを判断し、
前記患者の身体の前記部位の前記動きを、少なくとも1つの予め定められた動きプリミティブを含む複数の予め定められた動きセンテンス特徴に基づいて類型に分類し、
前記類型に基づいて1または複数の通知アクションを開始する
ように構成される少なくとも1つのプロセッサと
を備える、患者の動きをモニタリングするための携帯型医療デバイス。
[項目2]
前記複数の動きパラメータは、前記患者の身体の前記部位の向きに対応する少なくとも1つの向きパラメータを含む、
項目1に記載の携帯型医療デバイス。
[項目3]
前記複数の動きセンサは、加速度計、ジャイロスコープおよび磁気計のうちの少なくとも1つを有する、
項目1または2に記載の携帯型医療デバイス。
[項目4]
前記複数の予め定められた動きセンテンス特徴は、複数の予め定められた動きプリミティブと、少なくとも1つの予め定められた動き修飾子と、少なくとも1つの予め定められた動きオブジェクトと、少なくとも1つの予め定められた動きセンテンスと、少なくとも1つの予め定められた一連の動きセンテンスとを含む、
項目1から3のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目5]
前記少なくとも1つのプロセッサは、第1の位置に取り付けられた第1の動きセンサから取得された第1のセンサデータと、第2の位置に取り付けられた第2の動きセンサから取得された第2のセンサデータとを参照して、前記患者の前記動きを分類するように構成される、
項目1から4のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目6]
前記第1の位置は前記患者上の解剖学的位置であり、前記第2の位置は前記患者以外の物理的な対象物の位置である、
項目5に記載の携帯型医療デバイス。
[項目7]
前記物理的な対象物は、ベッドおよび車椅子のうちの少なくとも一方を含む、
項目6に記載の携帯型医療デバイス。
[項目8]
前記患者の身体上の前記1または複数の解剖学的位置は、前記患者の身体の頭、胸、脚、首、肩、肘、膝、手首、顎、前腕、二頭筋、足首および足のうちの1または複数を含む、
項目1から7のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目9]
前記少なくとも1つのプロセッサは、予め収集された動き情報のデータベースから導出された1または複数の動き検出ルールに基づいて前記動きを分類するように構成される、
項目1から8のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目10]
前記少なくとも1つのプロセッサは、
動き認識処理を用いて前記動きを分類し、
複数の患者から測定された予め定められた動きと、ベースライン期間中に導出された患者固有の動きとのうちの少なくとも一方を用いて、前記動き認識処理を訓練する
ように構成される、
項目1から9のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目11]
前記ベースライン期間中に導出された前記患者固有の動きは、睡眠期間中および6分間の歩行試験期間中のうちの少なくとも一方において記録される、
項目10に記載の携帯型医療デバイス。
[項目12]
前記1または複数の通知アクションは、前記患者の前記動きについて介護者に通知することを含む、
項目1から11のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目13]
前記1または複数の通知アクションは、前記患者の前記動きに基づいて前記患者に警告することを含む、
項目1から12のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目14]
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記患者に近接する前記携帯型医療デバイスから離れた別の医療デバイスを識別し、
アラートを発するよう前記医療デバイスに指示する
ように構成される、
項目1から13のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目15]
前記少なくとも1つのプロセッサは、現在時刻を識別し、前記現在時刻に関連するアクションを実行するように構成される、
項目1から14のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目16]
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記患者の前記動きを、方向感を失った動きと、転倒と、躓きと、気絶と、発作と、震えと、咳とのうちの少なくとも1つとして分類するように構成される、
項目1から15のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目17]
ウェアラブル除細動器を備える、
項目1から16のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目18]
モバイル心臓モニタリングデバイスを備える、
項目1から17のいずれか一項に記載の携帯型医療デバイス。
[項目19]
心臓モニタリングデバイスを備え、
前記心臓モニタリングデバイスは、
患者の身体上の1または複数の解剖学的位置に位置して、前記患者の身体の部位の動きに対応する複数の動きパラメータを検出するように構成される複数の動きセンサと、
前記複数の動きセンサに通信可能に結合された少なくとも1つのプロセッサであって、
前記患者の身体の前記部位の前記動きに対応する前記複数の動きパラメータを遠隔サーバに送信するように構成される少なくとも1つのプロセッサと
を有し、
前記遠隔サーバは、
前記患者の身体の前記部位の前記動きに対応する前記複数の動きパラメータを受信し、
前記複数の動きパラメータをデータストアに格納し、
前記データストアに格納された前記複数の動きパラメータを処理して、前記患者の身体の前記部位の前記動きを判断し、
前記患者の身体の前記部位の前記動きを、少なくとも1つの予め定められた動きプリミティブを含む複数の予め定められた動きセンテンス特徴に基づいて類型に分類し、
前記類型に基づいて1または複数の通知アクションを開始する
ように構成される、
患者の動きをモニタリングするためのシステム。
[項目20]
前記遠隔サーバと通信する少なくとも1つのクライアントデバイスであって、前記1または複数の通知アクションに基づいて、前記患者の前記動きについて介護者および前記患者のうちの少なくとも一方に通知するように構成される少なくとも1つのクライアントデバイス
をさらに備える、
項目19に記載の患者の動きをモニタリングするためのシステム。
【外国語明細書】