(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025955
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】自由診療価格算定装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230216BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131424
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】517307784
【氏名又は名称】株式会社くすりの窓口
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】下平 宏一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】医療機関および患者の双方にとってバランスのとれた自由診療価格を提示することを可能にする。
【解決手段】医療機関の診療に対する負荷状況の推定の根拠となる医療機関側負荷判定用情報を取得する医療機関側情報取得部11と、患者の身体的または精神的な負荷状況の推定の根拠となる患者側負荷判定用情報を取得する患者側情報取得部12と、医療機関側負荷判定用情報および患者側負荷判定用情報に基づいて自由診療価格を算定する価格算定部13とを備え、医療機関および患者の双方の負荷状況を反映した自由診療価格が算定されるようにすることで、医療機関および患者の双方にとってバランスのとれた自由診療価格を提示することを可能とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機関の診療に対する負荷状況の推定の根拠となる医療機関側負荷判定用情報を取得する医療機関側情報取得部と、
患者の身体的または精神的な負荷状況の推定の根拠となる患者側負荷判定用情報を取得する患者側情報取得部と、
上記医療機関側情報取得部により取得された上記医療機関側負荷判定用情報および上記患者側情報取得部により取得された上記患者側負荷判定用情報に基づいて自由診療価格を算定する価格算定部とを備えた
ことを特徴とする自由診療価格算定装置。
【請求項2】
上記価格算定部は、上記医療機関の負荷が高いと推定される根拠となる医療機関側負荷判定用情報が取得された場合には上記自由診療価格を引き上げる一方、上記医療機関の負荷が低いと推定される根拠となる医療機関側負荷判定用情報が取得された場合には上記自由診療価格を引き下げ、かつ、上記患者の負荷が高いと推定される根拠となる患者側負荷判定用情報が取得された場合には上記自由診療価格を引き下げる一方、上記患者の負荷が低いと推定される根拠となる患者側負荷判定用情報が取得された場合には上記自由診療価格を引き上げるという価格算定基準に従って、上記自由診療価格を算定することを特徴とする請求項1に記載の自由診療価格算定装置。
【請求項3】
上記医療機関側負荷判定用情報は、上記医療機関における医療従事者の稼働状況に関連する稼働状況情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自由診療価格算定装置。
【請求項4】
上記医療機関側負荷判定用情報は、上記医療機関において患者を受け入れる余裕状況に関連する空満情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自由診療価格算定装置。
【請求項5】
上記患者側負荷判定用情報は、上記患者の症状に影響を与える要因となり得る気象に関連する気象情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自由診療価格算定装置。
【請求項6】
上記患者側負荷判定用情報は、上記患者の通院時における負担の要因となり得る交通状況に関連する交通情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自由診療価格算定装置。
【請求項7】
上記患者側負荷判定用情報は、上記医療機関と上記患者との間で設定された目標活動を上記患者が実施しているか否かの活動状況に関連する活動情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自由診療価格算定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自由診療価格算定装置に関し、特に、健康保険等を使用せずに受ける自由診療の価格を算定する装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、医療機関が提供する診療には、保険診療と自由診療とがある。保険診療は、国民健康保険法や健康保険法などにより定められている診療であり、医療費のうち、通常は7割を国民健康保険や健康保険組合などが負担し、残りの3割を患者が自己負担する。一方、自由診療は、健康保険等を使用せずに受ける診療であり、かかった医療費は全て患者が自己負担することになる。医療機関は自由診療の金額を自由に決めてよいことになっている。
【0003】
患者が自由診療を利用するメリットは、治療の選択肢(国内未承認の治療を含む)が増え、自分の体質や病気にあった治療を受けられるということである。これに対し、デメリットは、医療費が高額になってしまうことである。自由診療の金額は患者と医療機関との間の個別契約に基づき決定されるとは言え、医療機関が提示する高額な金額となることが多く、患者にとっては大きな経済的負担となる。そのため、患者が自由診療を望む場合でも受診できないことが少なくない。
【0004】
医療機関が自由診療を提供するメリットは、保険診療を提供するだけの場合に比べて売上の向上が期待できることである。しかしながら、上述の通り患者の経済的負担が大きいことから、自由診療が提供されることはそれほど多くないのが実情である。また、数多くの保険診療を行う中で自由診療を行うことになるため、医療従事者のスケジュールや専用設備の準備などを含むマネジメントを適切に行う必要があり、その点については医療機関の負担となることがある。
【0005】
なお、病院の収益および患者の自己負担が概算でき、診療報酬、薬剤費の適正化、病院経営、患者の自己負担の各面からコストメリットを容易に知ることを可能にした医療システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の医療システムでは、選択された最適な処置方法に係る標準的診療報酬額および患者の自己負担額を出力する処理と、当該診療報酬に関連する薬剤費部分の標準的上限額を出力する処理と、薬剤費部分の標準的上限額を超えない範囲で処方できる薬剤、特にジェネリック医薬品および当該薬剤に係る患者の自己負担額を出力する処理とを行う。しかしながら、これは保険診療の診療報酬を適正化するものであり、自由診療の価格を定めるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、医療機関および患者の双方にとってバランスのとれた自由診療価格を提示することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明では、医療機関の診療に対する負荷状況の推定の根拠となる医療機関側負荷判定用情報と、患者の身体的または精神的な負荷状況の推定の根拠となる患者側負荷判定用情報とに基づいて、自由診療価格を算定するようにしている。
【発明の効果】
【0009】
上記のように構成した本発明によれば、医療機関および患者の双方の負荷状況を反映した自由診療価格が算定されるので、医療機関および患者の双方にとってバランスのとれた自由診療価格を提示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態による自由診療価格算定装置を備えた自由診療価格算定システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態による自由診療価格算定装置の機能構成例を示すブロック図である。
【
図3】稼働状況情報に基づいて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定するためのテーブル情報の一例を示す図である。
【
図4】空満情報に基づいて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定するためのテーブル情報の一例を示す図である。
【
図5】気象情報に基づいて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定するためのテーブル情報の一例を示す図である。
【
図6】交通情報に基づいて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定するためのテーブル情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による自由診療価格算定装置を備えた自由診療価格算定システムの全体構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の自由診療価格算定システムは、自由診療価格算定装置100、医療従事者管理システム200、外来管理システム300、気象情報提供システム400および交通情報提供システム500を備えて構成される。自由診療価格算定装置100は、インターネットなどの通信ネットワーク600を介して、医療従事者管理システム200、外来管理システム300、気象情報提供システム400および交通情報提供システム500と接続されている。
【0012】
自由診療価格算定装置100は、自由診療の価格を算定するものである。これの具体的な機能については後述する。
【0013】
医療従事者管理システム200は、医療機関において従事する医師や看護師その他のスタッフの稼働状況を管理するものである。例えば、医療従事者管理システム200は、医療従事者の勤怠および勤務時間、医師の診療対応場所(院内または院外)、医師の睡眠時間、医師による手術の実施スケジュールなどの情報(以下、稼働状況情報という)を日次の情報として管理する。例えば、これらの稼働状況情報を医療従事者が医療従事者管理システム200に手入力する。医療従事者管理システム200は、この稼働状況情報を通信ネットワーク600を介して自由診療価格算定装置100に提供する。
【0014】
外来管理システム300は、外来患者の予約・受付、診療の実施状況などの情報(以下、外来管理情報という)を日次の情報として管理する。外来管理システム300は、この外来管理情報を通信ネットワーク600を介して自由診療価格算定装置100に提供する。
【0015】
外来患者の予約は、例えば、患者が使用するスマートフォンやパーソナルコンピュータ等の端末からオンラインで行うことが可能である。あるいは、患者が医療機関に電話をかけて予約をオフラインで行うことも可能である。オンラインで予約を行う場合、患者は、端末から通信ネットワーク600を介して外来管理システム300の予約画面にアクセスし、予約日時、患者名その他の必要な情報を入力する。オフラインで予約を行う場合、医療従事者は、患者から電話で聞きとった予約日時、患者名その他の必要な情報を外来管理システム300に手入力する。なお、ここに示す外来患者の予約方法は一例であり、これに限定されない。
【0016】
外来患者の受付は、例えば、医療機関に設置した番号発券機を含む受付システムを用いて行うことが可能である。患者は、予約なしに医療機関を訪問して診療を受けることも可能である。この場合患者は、番号発券機を操作して番号カードを発行することにより、順番待ちのリストに加わる。外来管理システム300は、番号発券機の操作により番号カードが発行されたことを検知すると、外来患者を受け付けたことを示す情報を自動入力する。なお、ここに示す外来患者の受付方法は一例であり、これに限定されない。
【0017】
診療の実施状況は、予約または受付が行われた外来患者について、診療が終了したか否かを示す情報である。例えば、診療を行った医療従事者が、診療が終了した時点でそのことを示す情報を外来管理システム300に手入力する。あるいは、図示しない会計システムと連携し、会計が行われたことを外来管理システム300に通知するようにし、会計の終了が検知された場合に、診療が終了したことを示す情報を外来管理システム300が自動入力するようにしてもよい。なお、ここに示す診療の実施状況の管理方法は一例であり、これに限定されない。
【0018】
気象情報提供システム400は、気象情報を広く一般に提供するものである。例えば、気象情報提供システム400は、気象庁から公表される気象情報をウェブサイトにて提供する。気象情報提供システム400が提供する気象情報は、例えば、気圧、気温、湿度、日照時間、降水量、紫外線量、風量、雨量、降雪量、雷発生量などである。例えば、自由診療価格算定装置100は、気象情報提供システム400により公開されるウェブサイトから上述の気象情報を取得する。あるいは、気象情報提供システム400が自由診療価格算定装置100に対して上述の気象情報を通知するようにしてもよい。
【0019】
交通情報提供システム500は、交通情報を広く一般に提供するものである。例えば、交通情報提供システム500は、最新の道路交通情報をウェブサイトにて提供する。交通情報提供システム500が提供する交通情報は、例えば、渋滞、工事、交通事故、交通規制(天候異常・災害、警備、イベント、犯罪などによるものなどを含む)などである。例えば、自由診療価格算定装置100は、交通情報提供システム500により公開されるウェブサイトから上述の交通情報を取得する。あるいは、交通情報提供システム500が自由診療価格算定装置100に対して上述の交通情報を通知するようにしてもよい。
【0020】
図2は、本実施形態による自由診療価格算定装置100の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の自由診療価格算定装置100は、機能構成として、医療機関側情報取得部11、患者側情報取得部12および価格算定部13を備えている。
【0021】
上記各機能ブロック11~13は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェアの何れによっても構成することが可能である。例えばソフトウェアによって構成する場合、上記各機能ブロック11~13は、実際にはコンピュータのCPU、RAM、ROMなどを備えて構成され、RAMやROM、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記録媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。
【0022】
医療機関側情報取得部11は、医療機関の診療に対する負荷状況の推定の根拠となる情報(以下、医療機関側負荷判定用情報という)を取得する。医療機関側負荷判定用情報は、医療従事者管理システム200から提供される稼働状況情報および外来管理システム300から提供される外来管理情報である。
【0023】
医療従事者の稼働状況情報のうち、勤務時間は、連続勤務時間の長さに応じて医療従事者の負荷状況を推定することが可能な情報である。診療対応場所は、院内または院外の何れであるかに応じて医療従事者の負荷状況を推定することが可能な情報である。睡眠時間は、その長さに応じて医療従事者の負荷状況を推定することが可能な情報である。手術の実施スケジュールは、例えば難易度が高い手術を行う予定があるか否かに応じて医療従事者の負荷状況を推定することが可能な情報である。
【0024】
医療従事者の稼働状況情報のうち勤怠の情報と、外来管理情報は、医療機関において患者を受け入れる余裕状況に関連する空満情報として用いることが可能である。例えば、外来患者の予約人数および受付人数と、勤怠情報により勤務中であることが示されているスタッフの人数とに応じて、医療従事者の負荷状況を推定することが可能である。すなわち、外来患者が多いほど医療従事者の負荷は高く、勤務中のスタッフの人数が少ないほど医療従事者の負荷は高いと推定することが可能である。さらに、診療が終了した患者の人数も空満情報として利用するようにしてもよい。例えば、外来患者の予約人数および受付人数と診療が終了した患者の人数とから診療待ちの患者の人数を算出し、これを空満情報として用いるようにしてもよい。また、予約日までのリードタイムや、営業終了までのリードタイムを更に空満情報として用いるようにしてもよい。
【0025】
患者側情報取得部12は、患者の身体的または精神的な負荷状況の推定の根拠となる情報(以下、患者側負荷判定用情報という)を取得する。患者側負荷判定用情報は、気象情報提供システム400から提供される気象情報および交通情報提供システム500から提供される交通情報である。
【0026】
気圧、気温、湿度、日照時間、降水量、紫外線量、風量、雨量、降雪量、雷発生量などの気象情報は、患者の症状に影響を与える要因となり得る気象に関連する情報である。特に、気象条件によって頭痛・むくみ・だるさ・めまい・倦怠感・気分の落ち込み等を発症する気象病については、気象情報は患者の症状に影響を与える要因となり得る情報と言える。
【0027】
渋滞、工事、交通事故、交通規制などの交通情報は、患者の通院時における負担の要因となり得る交通状況に関連する情報である。特に、電車等の公共交通機関の利用が難しく車による移動が必要な疾患で、渋滞、工事、交通事故、交通規制などによって車両内に長時間閉じ込められると発症のリスクが高くなる疾患(例えば、神経症、心身症、脳神経疾患、循環器疾患等)については、交通情報は患者の症状に影響を与える要因となり得る情報と言える。
【0028】
価格算定部13は、医療機関側情報取得部11により取得された医療機関側負荷判定用情報および患者側情報取得部12により取得された患者側負荷判定用情報に基づいて自由診療価格を算定する。ここで、価格算定部13は、以下の(1)かつ(2)に示す価格算定基準に従って、自由診療価格を算定する。
(1)医療機関の負荷が高いと推定される根拠となる医療機関側負荷判定用情報が取得された場合は自由診療価格を引き上げる一方、医療機関の負荷が低いと推定される根拠となる医療機関側負荷判定用情報が取得された場合は自由診療価格を引き下げる。
(2)患者の負荷が高いと推定される根拠となる患者側負荷判定用情報が取得された場合は自由診療価格を引き下げる一方、患者の負荷が低いと推定される根拠となる患者側負荷判定用情報が取得された場合は自由診療価格を引き上げる。
【0029】
例えば、価格算定部13は、医療機関側負荷判定用情報(医療従事者の稼働状況情報および医療機関の空満情報)の1つ1つに対して、医療機関の負荷が高いか否かの境界となる閾値を設定し、医療機関側負荷判定用情報で示される値が閾値より大きいか否かに応じて、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを個々に判定する。同様に、価格算定部13は、患者側負荷判定用情報(気象情報および交通情報)の1つ1つに対して、患者の負荷が高いか否かの境界となる閾値を設定し、患者側負荷判定用情報で示される値が閾値より大きいか否かに応じて、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを個々に判定する。そして、医療機関側負荷判定用情報の1つ1つについて個々に判定した結果と、患者側負荷判定用情報の1つ1つについて個々に判定した結果とを総合判定することにより、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定するとともに、あらかじめ設定した基準価格に対してどの程度増減するかを決定する。
【0030】
図3~
図6は、医療機関側負荷判定用情報の1つ1つおよび患者側負荷判定用情報の1つ1つについて個々に自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定するためのテーブル情報の一例を示す図である。
図3は、医療従事者の稼働状況情報の1つ1つについて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定する際に使用するテーブル情報の一例を示す図である。
【0031】
図3の例は、連続勤務時間の長さが閾値より長い場合は自由診療価格を引き上げる一方、閾値より短い場合は自由診療価格を引き下げることを示している。また、
図3の例は、診療対応場所が院内の場合は自由診療価格を引き上げる一方、院外(自宅)の場合は自由診療価格を引き下げることを示している。また、
図3の例は、医師の睡眠時間が閾値より長い場合は自由診療価格を引き下げる一方、閾値より短い場合は自由診療価格を引き上げることを示している。また、
図3の例は、難易度の高い手術を行う予定がある場合は自由診療価格を引き上げる一方、ない場合は自由診療価格を引き下げることを示している。
【0032】
図4は、空満情報の1つ1つについて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定する際に使用するテーブル情報の一例を示す図である。
図4の例は、外来予約人数が閾値より多い場合は自由診療価格を引き上げる一方、閾値より少ない場合は自由診療価格を引き下げることを示している。また、
図4の例は、外来受付人数が閾値より多い場合は自由診療価格を引き上げる一方、閾値より少ない場合は自由診療価格を引き下げることを示している。また、
図4の例は、勤務中のスタッフの人数が閾値より多い場合は自由診療価格を引き下げる一方、閾値より少ない場合は自由診療価格を引き上げることを示している。また、
図4の例は、予約日までのリードタイムが閾値より長い場合は自由診療価格を引き下げる一方、短い場合は自由診療価格を引き上げることを示している。また、
図4の例は、営業終了までのリードタイムが閾値より長い場合は自由診療価格を引き下げる一方、短い場合は自由診療価格を引き上げることを示している。
【0033】
図5は、気象情報の1つ1つについて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定する際に使用するテーブル情報の一例を示す図である。
図5の例は、気圧、気温、湿度がそれぞれの閾値より大きいか否かに応じて、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを示している。また、
図5の例は、日照時間が閾値より長いか否かに応じて、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを示している。また、
図5の例は、降水量、紫外線量、風量、雨量、降雪量、雷発生量がそれぞれの閾値より多いか否かに応じて、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを示している。
【0034】
図6は、交通情報の1つ1つについて自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定する際に使用するテーブル情報の一例を示す図である。
図6の例は、渋滞、工事、交通事故、天候異常・災害による交通規制、警備による交通規制、イベントによる交通規制、犯罪による交通規制がある場合は自由診療価格を引き下げる一方、ない場合は自由診療価格を引き上げることを示している。
【0035】
価格算定部13は、
図3~
図6に示した複数の項目のそれぞれについて個々に判定した結果に基づいて、自由診療価格を引き上げると判定された項目の数と、自由診療価格を引き下げると判定された項目の数とを比較し、数が多い方に従って自由診療価格を算定する。すなわち、自由診療価格を引き上げると判定された項目の数の方が引き下げると判定された項目の数より多い場合は、自由診療価格を基準価格から引き上げる。一方、自由診療価格を引き上げると判定された項目の数の方が引き下げると判定された項目の数より少ない場合は、自由診療価格を基準価格から引き下げる。
【0036】
自由診療価格をどの程度引き上げるかまたは引き下げるかは、自由診療価格を引き上げると判定された項目の数と、自由診療価格を引き下げると判定された項目の数との差分に応じて決定する。例えば、差分数が1つ当たりの単位調整価格を設定しておき、差分数×単位調整価格だけ自由診療価格を調整するようにすることが可能である。なお、自由診療価格を引き上げると判定された項目の数と引き下げると判定された項目の数とが同じ場合は、自由診療価格は基準価格のままとする。
【0037】
なお、ここでは、
図3~
図6に示した複数の項目のそれぞれについて個々に判定した結果に基づく単純な多数決により、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、
図3~
図6に示した複数の項目のそれぞれについて個々に判定した結果に対し、重み付けを行うようにしてもよい。すなわち、複数の項目のそれぞれについて、自由診療価格を引き上げる方向または引き下げる方向に対する調整の重み値をテーブル情報として設定しておき、自由診療価格を引き上げる方向に決定された重み値の合計と、引き下げる方向に決定された重み値の合計との比較に基づいて、自由診療価格を引き上げるか引き下げるかを決定するとともに、基準価格からどの程度調整するかを決定するようにしてもよい。
【0038】
この重み値は、疾患の種類に応じて変えるようにしてもよい。すなわち、ある特定の疾患については、気圧が症状に影響を与える要因となり得る一方で、気温は症状に影響を与える要因とはならないといったことがある。疾患の種類に応じて、症状に影響を与える程度が異なる場合もある。そこで、自由診療価格を引き上げる方向または引き下げる方向に対する調整の重み値を疾患の種類ごとに変えたテーブル情報を用意しておき、疾患の種類に応じたテーブル情報に基づいて重み値を決定するようにしてもよい。交通情報についても同様に、自由診療価格を引き上げる方向または引き下げる方向に対する調整の重み値を疾患の種類ごとに変えたテーブル情報を用意しておき、疾患の種類に応じたテーブル情報に基づいて重み値を決定するようにしてもよい。
【0039】
また、複数の項目のそれぞれについて調整の重み値を設定することに代えて、複数の項目のそれぞれについて基準価格からの調整額を設定するようにしてもよい。この場合は、自由診療価格を引き上げる方向に決定された調整額の合計と、引き下げる方向に決定された調整額の合計とを基準価格に対して加減算することによって自由診療価格を決定すればよい。すなわち、自由診療価格=基準価格+引き上げ調整額の合計-引き下げ調整額の合計とすればよい。
【0040】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、医療機関の診療に対する負荷状況の推定の根拠となる医療機関側負荷判定用情報と、患者の身体的または精神的な負荷状況の推定の根拠となる患者側負荷判定用情報とに基づいて、自由診療価格を算定するようにしている。このように構成した本実施形態によれば、医療機関および患者の双方の負荷状況を反映した自由診療価格が算定されるので、医療機関および患者の双方にとってバランスのとれた自由診療価格を提示することが可能となる。
【0041】
なお、自由診療価格算定装置100が以上のようにして算定した自由診療価格を外来管理システム300に提供し、例えば予約画面を通じて公開するようにしてもよい。ここで、自由診療価格算定装置100は、例えば一定時間ごとに自由診療価格を算定し、算定を行う都度、直近の自由診療価格を外来管理システム300に提供する。このようにすれば、端末から外来管理システム300の予約画面にアクセスして診療の予約を行おうとしている患者は、その時点での自由診療価格を確認し、予約を行うか否かの参考情報とすることができる。
【0042】
また、上記実施形態では、医療機関側負荷判定用情報として医療従事者の稼働状況情報および医療機関の空満情報を用いる例について説明したが、何れか一方の情報のみを用いるようにしてもよい。また、上記実施形態では、患者側負荷判定用情報として気象情報および交通情報を用いる例について説明したが、何れか一方の情報のみを用いるようにしてもよい。また、上記実施形態では、医療機関側負荷判定用情報および患者側負荷判定用情報の例として
図3~
図6に示す情報を示したが、これは一例である。これらの情報を全て用いることを必須とするものではないし、これ以外の情報を用いてもよい。
【0043】
例えば、患者側負荷判定用情報として、医療機関と患者との間で設定された目標活動を患者が実施しているか否かの活動状況に関連する活動情報を更に用いるようにしてもよい。一例として、患者が目標活動を実施している場合または達成率が閾値より高い場合は患者の負荷が低いと推定されるため自由診療価格を引き上げ、患者が目標活動を実施していない場合または達成率が閾値より低い場合は患者の負荷が高いと推定されるため自由診療価格を引き下げるようにすることが可能である。
【0044】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0045】
11 医療機関側情報取得部
12 患者側情報取得部
13 価格算定部
100 自由診療価格算定装置
200 医療従事者管理システム
300 外来管理システム
400 気象情報提供システム
500 交通情報提供システム