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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025961
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】エネルギー原単位算出支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230216BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20230216BHJP
   B08B 3/04 20060101ALI20230216BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20230216BHJP
   B65B 3/04 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G06Q50/04
B08B9/032
B08B3/04
G05B19/418 Z
B65B3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131432
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】520285880
【氏名又は名称】中部電力ミライズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】市川 敏広
(72)【発明者】
【氏名】中村 剛
(72)【発明者】
【氏名】岡田 信彦
(72)【発明者】
【氏名】野々村 篤
(72)【発明者】
【氏名】降旗 由紀
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
3C100
3E118
5L049
【Fターム(参考)】
3B116AA13
3B116AB53
3B116BB21
3B116BB62
3B116CD42
3B116CD43
3B201AA13
3B201BB21
3B201BB62
3B201BB92
3B201BB94
3B201BB96
3B201CD42
3B201CD43
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA68
3C100BB05
3C100BB13
3C100BB15
3C100BB33
3C100EE14
3E118CA20
3E118DA20
3E118EA10
5L049CC04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】製造装置の変更を抑えながらエネルギー原単位の算出を支援するエネルギー原単位算出支援装置を提供する。
【解決手段】エネルギー原単位算出支援装置10は、第1ポンプ33の消費電力を検出するための電流センサ58を有する。コンピュータ40の記憶部41には、洗浄装置30の運転時における洗浄対象の工程装置を特定するための条件が予め記憶されている。対象装置特定部43は、第1ポンプ33の消費電力の推移が前記条件を満たす場合に、同消費電力に基づいて、洗浄装置30による洗浄対象の工程装置と、同工程装置の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間とを特定する。単位期間設定部44は、対象装置特定部43によって特定された洗浄対象の工程装置と同工程装置の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間とに基づいて、当該工程装置の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する単位期間を定める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程毎に異なる複数種類の工程装置と、前記複数種類の工程装置の利用前後に同一の洗浄ポンプの駆動を通じて同工程装置の内部洗浄を行う洗浄装置と、を有するとともに、前記複数種類の工程装置および前記洗浄装置を利用して製造物を製造する製造装置に適用され、
前記洗浄ポンプの消費電力の指標値を検出するポンプ検出部と、
前記洗浄装置の運転時における洗浄対象の前記工程装置を特定するための条件を予め記憶する記憶部と、
前記ポンプ検出部によって検出される前記消費電力の指標値の推移が前記条件を満たす場合に、前記消費電力の指標値に基づいて、前記洗浄対象の前記工程装置と同工程装置の洗浄のための前記洗浄ポンプの運転期間とを特定する対象装置特定部と、
前記対象装置特定部によって特定された前記洗浄対象の前記工程装置と前記運転期間とに基づいて、前記洗浄対象の前記工程装置の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する単位期間を定める単位期間設定部と、
を備えるエネルギー原単位算出支援装置。
【請求項2】
前記複数種類の工程装置の消費電力の指標値を各別に検出する工程検出部を備え、
前記対象装置特定部は、前記ポンプ検出部によって検出される前記消費電力の指標値の推移と前記工程検出部によって検出される前記複数種類の工程装置のいずれかの前記工程装置の前記消費電力の指標値の推移とが共に前記条件を満たす場合に、前記洗浄ポンプの前記消費電力の指標値と前記いずれかの前記工程装置の前記消費電力の指標値とに基づいて、前記洗浄対象の前記工程装置と前記運転期間とを特定するものである
請求項1に記載のエネルギー原単位算出支援装置。
【請求項3】
前記製造物は、飲料製品である
請求項1または2に記載のエネルギー原単位算出支援装置。
【請求項4】
前記複数種類の工程装置は、容器への飲料の充填を行う充填装置を含む
請求項3に記載のエネルギー原単位算出支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造物のエネルギー原単位の算出を支援するエネルギー原単位算出支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットボトル入りの紅茶等の飲料製品を製造する製造装置は、工程毎に異なる複数種類の工程装置を有している。工程装置としては、例えば茶葉エキスを抽出する抽出工程で利用される抽出器や、調合工程で利用される調合装置、ペットボトルへの紅茶の充填を行う充填工程で利用される充填装置を有している。
【0003】
飲料製品を製造する製造装置では、工程装置の内部(タンクや配管など)の洗浄を行う洗浄装置を設けることが多用されている(例えば、特許文献1参照)。この洗浄装置は、洗剤や温水などの洗浄液を工程装置の内部に圧送する洗浄ポンプを備えている。そして洗浄装置は、飲料製品の製造に際して、各工程装置の利用前後に洗浄ポンプを駆動することで、同工程装置の内部洗浄(いわゆるCIP)を行う。これにより、各工程装置、ひいては製造装置が衛生的で清潔な状態に保たれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5098321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、製造物の製造コストを把握するために、その製造において消費したエネルギーの量が、エネルギー原単位として算出されることがある。エネルギー原単位の算出のためには、製造物の製造にかかる各工程において、同工程で利用される工程装置の稼働状況を正確に把握する必要がある。各工程装置の稼働状況を把握するための装置を既存の製造装置に組み込むことは、そのこと自体にコストや手間がかかるため、製造の現場では好まれない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのエネルギー原単位算出支援装置は、工程毎に異なる複数種類の工程装置と、前記複数種類の工程装置の利用前後に同一の洗浄ポンプの駆動を通じて同工程装置の内部洗浄を行う洗浄装置と、を有するとともに、前記複数種類の工程装置および前記洗浄装置を利用して製造物を製造する製造装置に適用され、前記洗浄ポンプの消費電力の指標値を検出するポンプ検出部と、前記洗浄装置の運転時における洗浄対象の前記工程装置を特定するための条件を予め記憶する記憶部と、前記ポンプ検出部によって検出される前記消費電力の指標値の推移が前記条件を満たす場合に、前記消費電力の指標値に基づいて、前記洗浄対象の前記工程装置と同工程装置の洗浄のための前記洗浄ポンプの運転期間とを特定する対象装置特定部と、前記対象装置特定部によって特定された前記洗浄対象の前記工程装置と前記運転期間とに基づいて、前記洗浄対象の前記工程装置の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する単位期間を定める単位期間設定部と、を備える。
【0007】
上記構成では、洗浄装置は共用の洗浄ポンプで駆動される。とはいえ、洗浄対象の工程装置が違えば、工程装置の洗浄態様が異なるために洗浄ポンプの駆動態様も異なる。
上記構成によれば、工程装置毎に、洗浄装置の作動時における洗浄ポンプの特徴的な動き(具体的には、電力指標値の推移)を予め把握したうえで、その特徴的な動きを特定可能な条件を洗浄対象の工程装置を特定するための条件として記憶させておくことができる。そのため、上記条件をもとに、洗浄ポンプの消費電力の指標値の特徴的な動きを捉えて、洗浄装置による洗浄対象の工程装置を特定することができる。しかも、洗浄ポンプの消費電力の指標値の推移から、洗浄対象の工程装置の洗浄のための洗浄ポンプの運転期間を特定することもできる。
【0008】
各工程装置の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する際の算出対象期間である「単位期間」は、工程装置が運転される期間と、利用前または利用後において同工程装置の洗浄のために洗浄装置が運転される期間とによって定まる。このことから、上記単位期間としては、今回の工程装置の運転のために洗浄装置の運転が開始(または終了)してから、次回の同工程装置の運転のために洗浄装置の運転が開始(または終了)するまでの期間を定めることができる。
【0009】
上記構成によれば、対象装置特定部によって洗浄対象の工程装置の洗浄のための洗浄ポンプの運転期間を特定することができるため、この運転期間を利用して、上記単位期間を定めることができる。単位期間としては、工程装置の運転直前の洗浄における上記運転期間の開始(または終了)タイミングから同工程装置の運転直後の洗浄における上記運転期間の開始(または終了)タイミングまでの期間を定めることなどが可能である。しかも上記構成によれば、洗浄ポンプの消費電力の指標値を検出するための構成であるポンプ検出部を追加することをもって、上記単位期間を定めることが可能になる。そして、このようにして定められた単位期間を、エネルギー原単位の算出に利用することができる。
【0010】
したがって上記構成によれば、製造装置の変更を抑えながらエネルギー原単位の算出を支援することができる。
上記エネルギー原単位算出支援装置において、前記複数種類の工程装置の消費電力の指標値を各別に検出する工程検出部を備え、前記対象装置特定部は、前記ポンプ検出部によって検出される前記消費電力の指標値の推移と前記工程検出部によって検出される前記複数種類の工程装置のいずれかの前記工程装置の前記消費電力の指標値の推移とが共に前記条件を満たす場合に、前記洗浄ポンプの前記消費電力の指標値と前記いずれかの前記工程装置の前記消費電力の指標値とに基づいて、前記洗浄対象の前記工程装置と前記運転期間とを特定するものであることが好ましい。
【0011】
工程装置の洗浄のために洗浄装置を運転する際に、同工程装置も作動するタイプの製造装置がある。上記構成によれば、そうした製造装置において、洗浄対象の工程装置を特定するための条件を規定するパラメータとして、洗浄ポンプの消費電力の指標値を用いることに加えて、工程装置の消費電力の指標値を用いることができる。これにより、上記条件を細かく設定することができるため、洗浄対象の工程装置と同工程装置の洗浄のための洗浄ポンプの運転期間とを精度良く特定することが可能になる。
【0012】
上記エネルギー原単位算出支援装置において、前記製造物は、飲料製品である。
飲料製品を製造する製造装置は、内部を原料が通過する部分が密閉された構造であるため、その稼働状況を把握しづらい構造であると云える。上記構成によれば、そうした製造装置において、洗浄装置による洗浄対象の工程装置や、同工程装置の洗浄のための洗浄ポンプの運転期間を精度良く特定することができる。
【0013】
上記エネルギー原単位算出支援装置において、前記複数種類の工程装置は、容器への飲料の充填を行う充填装置を含む。
上記構成によれば、充填装置の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する単位期間を、精度良く求めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、製造装置の変更を抑えながらエネルギー原単位の算出を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態のエネルギー原単位算出支援装置の概略構成図である。
図2】エネルギー原単位算出支援装置が適用される製造装置による飲料製品の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、エネルギー原単位算出支援装置の一実施形態について説明する。
先ず、本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置が適用される製造装置について説明する。本実施形態の製造装置は、製造物としての飲料製品(例えば、紅茶製品)を製造するための装置である。詳しくは、この製造装置を順番に利用することにより、複数種類の飲料製品が製造される。
【0017】
図1および図2に示すように、製造装置10は、抽出器11、遠心分離機12、ストレージタンク13、調合装置14、殺菌装置15、無菌タンク16、充填装置17、ラベリング装置18、包装装置19、および箱詰装置20の複数種類の工程装置を有している。
【0018】
(抽出工程)
飲料製品の製造に際しては、先ず、抽出工程が実行される(図2のステップS1)。
この抽出工程では、抽出器11、遠心分離機12、およびストレージタンク13といった工程装置が利用される。抽出工程では、先ず、抽出器11によって原料(茶葉)から抽出液(茶葉エキス)が抽出される。そして、この抽出液は、遠心分離機12によって清澄化された後に、ストレージタンク13に送られて一時的に貯留される。
【0019】
(調合工程)
抽出工程の実行後においては、調合工程が実行される(図2のステップS2)。
調合工程では、工程装置として調合装置14が利用される。調合工程では、調合装置14により、抽出液と他の原料とを所定の割合で混合(調合)することによって調合液(飲料)が作られる。
【0020】
(充填工程)
調合工程の実行後においては、充填工程が実行される(図2のステップS3)。
充填工程では、殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17といった工程装置が利用される。本実施形態の製造装置10では、殺菌装置15や無菌タンク16に対して、工場に設置されたボイラー21(図1)から蒸気を供給することが可能になっている。殺菌装置15は、この蒸気を利用して調合液を加熱殺菌する構造になっている。また無菌タンク16は、ボイラー21から供給される蒸気を利用して内部が無菌状態に保たれる構造になっている。
【0021】
充填工程では、先ず、調合装置14から殺菌装置15に送られる上記調合液が、同殺菌装置15によって殺菌処理された後に、無菌タンク16に送られて一時的に貯留される。そして、この調合液は、無菌タンク16から充填装置17に送られるとともに、同充填装置17によって飲料容器(例えばペットボトル)に充填される。
【0022】
(仕上げ工程)
充填工程の実行後においては、仕上げ工程が実行される(図2のステップS4)。
仕上げ工程では、ラベリング装置18、包装装置19、および箱詰装置20が利用される。仕上げ工程では、先ず、ラベリング装置18により、内部に調合液が充填された状態の飲料容器の外面に商品ラベルが貼り付けられる。その後、包装装置19によって飲料製品が包装されるとともに、箱詰装置20によって飲料製品が箱詰めされる。
【0023】
本実施形態の製造装置10では、抽出工程、調合工程、充填工程、および仕上げ工程を経て飲料製品が製造される。なお、本実施形態の製造装置10では、飲料製品の効率のよい製造のために、前後において並ぶ工程の一部がオーバーラップする態様で各工程が実行される。
【0024】
(洗浄装置)
図1に示すように、本実施形態の製造装置10は、工程装置の内部洗浄を行う洗浄装置30を有している。洗浄装置30は、定置洗浄、いわゆるCIP(Cleaning in Place)を行う装置である。詳しくは、洗浄装置30は、製造装置10に予め組み込まれた機器(洗浄液タンクや、配管、ポンプなど)を有している。そして、洗浄装置30は、上記機器を利用して工程装置の内部に洗浄液を送り込むとともに回収することで、同工程装置の内部を自動洗浄するようになっている。
【0025】
洗浄装置30は、洗浄液タンク31や、第1配管32、第1ポンプ33、第2配管34、第2ポンプ35を有している。
洗浄液タンク31は、工程装置の洗浄に用いる洗浄液を貯留するタンクである。本実施形態では、洗浄液タンク31として、洗浄液としての温水を貯留するタンクや、アルカリ性の洗浄液を貯留するタンク、酸性の洗浄液を貯留するタンクなど、異なる種類の洗浄液を貯留する複数のタンクを備えている。そして、工程装置の内部洗浄を行う場合には、作業者による洗浄装置30の操作を通じて、同工程装置に対して複数種類の洗浄液タンクのいずれか一つから洗浄液が送り込まれるようになっている。なお図1には洗浄液タンク31を一つのみ示している。
【0026】
第1配管32は、洗浄液タンク31を抽出器11および調合装置14の一方に選択的に連通する態様で延設されている。第1配管32には、上記第1ポンプ33と切替バルブ(図示略)とが設けられている。第1ポンプ33は、洗浄液タンク31内の洗浄液を抽出器11または調合装置14に圧送する電動式のポンプである。第1配管32に設けられる切替バルブは、同第1配管32によって洗浄液タンク31および抽出器11が連通される状態と、第1配管32によって洗浄液タンク31および調合装置14が連通される状態とを切り替えるためのバルブである。
【0027】
洗浄装置30では、第1配管32の切替バルブを操作したうえで第1ポンプ33を駆動することにより、抽出器11および調合装置14の一方に選択的に洗浄液が送り込まれて、抽出器11や調合装置14の内部が自動洗浄されるようになっている。このように本実施形態の洗浄装置30は、同一の洗浄ポンプ(具体的には、第1ポンプ33)の駆動を通じて、抽出器11の内部洗浄と調合装置14の内部洗浄とを行うようになっている。
【0028】
一方、第2配管34は、洗浄液タンク31を殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17に連通する態様で延設されている。第2配管34には第2ポンプ35が設けられている。第2ポンプ35は、洗浄液タンク31内の洗浄液を殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17に圧送する電動式のポンプである。洗浄装置30では、第2ポンプ35を駆動することにより、第2配管34を通じて殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17に洗浄液が送り込まれて、それら殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の内部が自動洗浄されるようになっている。
【0029】
抽出器11や遠心分離機12、ストレージタンク13、調合装置14、殺菌装置15、無菌タンク16、充填装置17、ラベリング装置18、包装装置19、箱詰装置20といった各工程装置、および洗浄装置30は、それぞれ操作盤を備えている。製造装置10による飲料製品の製造に際しては、作業者による各操作盤の操作を通じて、同操作盤に対応する工程装置の運転制御が実行される。
【0030】
(エネルギー原単位算出支援装置)
本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置は、コンピュータ40を備えている。コンピュータ40は、ユーザーによって操作される入力機器や、ユーザーに向けた情報の表示を行う表示機器などを備えている。なお、コンピュータ40としては、デスクトップ型、ノート型、及びタブレット型等のパーソナルコンピュータを採用したり、スマートフォン等の携帯型のコンピュータを採用したりすることが考えられる。
【0031】
コンピュータ40は、製造装置10によって製造される飲料製品についてのエネルギー原単位の算出を支援する支援プログラムを実行することが可能になっている。
(記憶部)
コンピュータ40は、各種データを記憶する記憶部41を備えている。記憶部41には、支援プログラムや、コンピュータ40による各種の演算結果が記憶されている。また記憶部41には、洗浄装置30の運転時における洗浄対象の工程装置を特定するための条件、詳しくは、後述する条件A1~A3、条件B1~B4、条件C1,C2なども記憶されている。
【0032】
(対象装置特定部、単位期間設定部)
コンピュータ40は、機能部として、対象装置特定部43と単位期間設定部44とを備えている。
【0033】
対象装置特定部43は、第1ポンプ33の消費電力P1の推移と抽出器11の消費電力PAの推移とが共に前記条件(詳しくは、条件A1~A3)を満たす場合に、それら消費電力P1,PAに基づいて、次の内容を特定する。すなわち、このときの洗浄装置30による洗浄対象が抽出器11であることを特定する。また、今回の抽出器11の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T1を特定する。この運転期間T1は記憶部41に記憶される。
【0034】
一方、対象装置特定部43は、第1ポンプ33の消費電力P1の推移と調合装置14の消費電力PBの推移とが前記条件(詳しくは、条件B1~B4)を満たす場合に、それら消費電力P1,PBに基づいて、次の内容を特定する。すなわち、このときの洗浄装置30による洗浄対象が調合装置14であることを特定する。また、今回の調合装置14の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T2を特定する。この運転期間T2は記憶部41に記憶される。
【0035】
他方、対象装置特定部43は、第2ポンプ35の消費電力P2の推移が前記条件(詳しくは、条件C1,C2)を満たす場合に、消費電力P2に基づいて、次の内容を特定する。すなわち、このときの洗浄装置30による洗浄対象が殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17であることを特定する。また、今回の洗浄工程における第2ポンプ35の運転期間T3を特定する。この運転期間T3は記憶部41に記憶される。
【0036】
単位期間設定部44は、対象装置特定部43によって特定された洗浄対象の工程装置の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する際の算出対象期間である「単位期間」を定める。
【0037】
単位期間設定部44は、対象装置特定部43によって特定された洗浄対象が抽出器11である場合には、抽出器11の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T1を記憶部41から読み出すとともに、同運転期間T1に基づいて単位期間を次のように定める。すなわち、抽出器11の運転直前の洗浄処理における運転期間T1の終了タイミングから同抽出器11の運転直後の洗浄処理における第1ポンプ33の運転期間T1の終了タイミングまでの期間を、単位期間TAとして定める。本実施形態では、この単位期間TAは、抽出器11の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する際の算出対象期間として利用される。
【0038】
一方、単位期間設定部44は、対象装置特定部43によって特定された洗浄対象が調合装置14である場合に、調合装置14の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T2を記憶部41から読み出すとともに、同運転期間T2に基づいて単位期間を次のように定める。すなわち、調合装置14の運転直前の洗浄処理における第1ポンプ33の運転期間T2の終了タイミングから同調合装置14の運転直後の洗浄処理における運転期間T2の終了タイミングまでの期間を、単位期間TBとして定める。本実施形態では、この単位期間TBは、調合装置14の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する際の算出対象期間として利用される。
【0039】
他方、単位期間設定部44は、対象装置特定部43によって特定された洗浄対象が殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17である場合には、その洗浄における第2ポンプ35の運転期間T3に基づいて単位期間を次のように定める。すなわち、上記運転期間T3を記憶部41から読み出す。そして、殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の運転直前の洗浄処理における運転期間T3の終了タイミングから運転直後の洗浄処理における運転期間T3の終了タイミングまでの期間を、単位期間TCとして定める。本実施形態では、この単位期間TCは、殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する際の算出対象期間として利用される。
【0040】
(工程検出部、ポンプ検出部)
本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置は、以下に記載する電流センサ50~59を備えている。すなわち、本実施形態の装置は、抽出器11の消費電流を検出するための電流センサ50や、遠心分離機12の消費電流を検出するための電流センサ51、調合装置14の消費電流を検出するための電流センサ52を備える。また本実施形態の装置は、殺菌装置15の消費電流を検出するための電流センサ53や、充填装置17の消費電流を検出するための電流センサ54、ラベリング装置18の消費電流を検出するための電流センサ55を備える。さらに本実施形態の装置は、包装装置19の消費電流を検出するための電流センサ56や、箱詰装置20の消費電流を検出するための電流センサ57を備える。その他、第1ポンプ33の消費電流を検出するための電流センサ58や、第2ポンプ35の消費電流を検出するための電流センサ59なども、本実施形態の装置は備えている。
【0041】
電流センサ50~59はいずれも、工場に設置された状態の製造装置10に、後から付け足すかたちで取り付けられている。各電流センサ50~59の出力信号は、上記コンピュータ40に取り込まれている。コンピュータ40は、これら電流センサ50~59の出力信号をもとに同電流センサ50~59に対応する装置の消費電力を算出するとともに、その消費電力を各種の演算に利用する。なお本実施形態では、第1ポンプ33に設けられる電流センサ58が洗浄ポンプの消費電力の指標値を検出するポンプ検出部に相当する。また本実施形態では、抽出器11に設けられる電流センサ50と調合装置14に設けられる電流センサ51とが、複数種類の工程装置の消費電力の指標値を各別に検出する工程検出部に相当する。
【0042】
本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置は、以下に記載する蒸気流量計60,61を備えている。ボイラー21と殺菌装置15とを接続する第1ボイラー配管62には、殺菌装置15に供給される蒸気の量を検出するための蒸気流量計60が設けられている。また、ボイラー21と無菌タンク16とを接続する第2ボイラー配管63には、無菌タンク16に供給される蒸気の量を検出するための蒸気流量計61が設けられている。蒸気流量計60,61の出力信号は、前記コンピュータ40に取り込まれている。コンピュータ40は、蒸気流量計60、61によって検出される蒸気量を、エネルギー原単位の算出処理などの各種の演算処理に利用する。
【0043】
本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置は、充填装置17からラベリング装置18に送られる飲料製品を検出してカウントするための光センサ70を有している。光センサ70の出力信号は、コンピュータ40に取り込まれている。コンピュータ40は、光センサ70の出力信号をもとに、充填装置17による飲料容器への飲料の充填が実行されている実行期間を求める。コンピュータ40は、光センサ70によって飲料製品の通過が検出されているときには充填装置17による飲料の充填が実行されていると判断する。またコンピュータ40は、光センサ70によって飲料製品の通過が検出されていないときには充填装置17による飲料の充填が実行されていないと判断する。またコンピュータ40は、光センサ70の出力信号をもとに、上記実行期間において飲料が充填された飲料容器の数を検出する。
【0044】
(エネルギー原単位の算出手順)
以下、飲料製品の製造にかかるエネルギー原単位の算出手順について、具体的に説明する。
【0045】
本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置では、以下に記載する消費エネルギー量A,B,C,D,Eの加算値を飲料製品の製造数Fで除算した値([A+B+C+D+E]/F)が、エネルギー原単位として求められる。
【0046】
(消費エネルギー量A)抽出工程における抽出器11、および遠心分離機12の運転に伴って消費されるエネルギーの総量。
(消費エネルギー量B)調合工程における調合装置14の運転に伴って消費されるエネルギーの総量。
【0047】
(消費エネルギー量C)充填工程における殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の運転に伴って消費されるエネルギーの総量。
(消費エネルギー量D)仕上げ工程におけるラベリング装置18、包装装置19、および箱詰装置20の運転に伴って消費されるエネルギーの総量。
【0048】
(消費エネルギー量E)抽出工程における工程装置の運転直後の洗浄処理と、調合工程における工程装置の運転直後の洗浄処理と、充填工程における工程装置の運転直後の洗浄処理とにおいて実行される洗浄装置30の運転に伴って消費されるエネルギーの総量。
【0049】
(消費エネルギー量Aの算出手順)
以下、消費エネルギー量Aの算出態様について説明する。
本実施形態では、コンピュータ40の対象装置特定部43により、以下の条件A1,A2,A3の全てが満たされたことをもって、洗浄装置30による洗浄対象が抽出器11であることが特定される。
【0050】
(条件A1)抽出器11の消費電力の所定時間(例えば、十数分)における平均値が所定値AA1以上になったこと。なお、所定値AA1としては、抽出液の抽出のための通常運転時における抽出器11の消費電力AA2よりも多い値が定められる(AA1>AA2)。
【0051】
(条件A2)第1ポンプ33の消費電力の所定時間(例えば数分)における平均値が所定値AA3以上になったこと。
(条件A3)条件A1および条件A2を共に満たした状態から、第1ポンプ33の消費電力の所定時間(例えば数分)における平均値が所定値AA4(例えば、略0kW)以下の状態になったこと。
【0052】
なお本実施形態では、発明者等による製造装置10の運転実績データの検証を通じて、洗浄装置30による抽出器11の洗浄実行時において特徴的に現れる第1ポンプ33の消費電力の推移や、抽出器11の消費電力の推移が予め求められている。そして発明者等により、そうした特徴的な第1ポンプ33の消費電力の推移と抽出器11の消費電力の推移とが現出したことを特定可能な条件(条件A1~A3)が予め定められるとともに、その条件A1~A3が記憶部41に記憶されている。これにより、条件A1,A2,A3の全てが満たされることによって、洗浄装置30による洗浄対象が抽出器11であることを精度良く特定することが可能になっている。
【0053】
本実施形態の製造装置10では、洗浄装置30によって抽出器11を洗浄する際に、同洗浄装置30の第1ポンプ33が作動することに加えて、抽出器11も作動するようになっている。この点をふまえて、本実施形態では、条件A1~A3として、第1ポンプ33の消費電力と抽出器11の消費電力とをパラメータとする条件が定められている。
【0054】
洗浄対象が抽出器11であることが特定された場合には、コンピュータ40の単位期間設定部44により、記憶部41に記憶されている運転期間T1をもとに、消費エネルギー量Aを算出する際の算出対象期間である「単位期間TA」が定められる。
【0055】
抽出工程では、抽出器11による抽出液の抽出に先立ち、洗浄装置30による抽出器11の洗浄が実行される。本実施形態では、そうした抽出器11の洗浄の完了タイミングが単位期間TAの開始タイミングに設定されている。また抽出工程では、抽出器11による抽出液の抽出が終了した後に、次回の抽出工程のために、洗浄装置30による抽出器11の洗浄が実行される。本実施形態では、この抽出器11の洗浄の完了タイミングが単位期間TAの終了タイミングに設定されている。したがって、単位期間TAとしては、抽出器11の運転直前の洗浄処理における第1ポンプ33の運転期間T1の終了タイミングから同抽出器11の運転直後の洗浄処理における運転期間T1の終了タイミングまでの期間が定められる。
【0056】
ここで、本実施形態の製造装置10では、洗浄装置30による抽出器11の洗浄が完了した後に、同抽出器11による抽出液の抽出が開始されるまでの間、抽出器11は待機状態になる。待機状態においても抽出器11は電力などのエネルギーを消費するため、消費エネルギー量Aの算出に際しては、そうした抽出器11の待機エネルギーを考慮する必要がある。本実施形態では、そうした待機期間を含むかたちで単位期間TAが定められている。
【0057】
そして本実施形態では、単位期間TAにおいて消費された各種のエネルギーの量が積算されるとともに、その積算値が「消費エネルギー量A」として算出される。各種のエネルギーとしては、抽出器11の消費電力や、遠心分離機12の消費電力、蒸気の使用量(詳しくは、同量の蒸気の供給のためにボイラー21で消費されたガスの量)、水の使用量などを挙げることができる。
【0058】
本実施形態では、製造装置10の各部に設けられたセンサ類によって各種の算出パラメータを検出する処理と、同算出パラメータに基づいて消費エネルギー量Aを算出する処理とをコンピュータ40によって自動的に実行することができる。また、別途入手した各種の算出パラメータを入力装置の操作を通じてコンピュータ40に入力したうえで、それら算出パラメータに基づく消費エネルギー量Aの算出をコンピュータ40による演算処理を通じて実行することもできる。本実施形態によれば、上述した態様で単位期間TAが定められるため、この単位期間TAを算出対象期間とする消費エネルギー量Aの算出を実行することができるようになる。
【0059】
(消費エネルギー量Bの算出手順)
次に、消費エネルギー量Bの算出態様について説明する。
本実施形態では、コンピュータ40の対象装置特定部43により、以下の条件B1,B2,B3,B4の全てが満たされたことをもって、洗浄装置30による洗浄対象が調合装置14であることが特定される。
【0060】
(条件B1)第1ポンプ33が運転された状態、且つ、調合装置14の消費電力が所定値BB1以上の状態が所定時間以上継続されたこと。なお、所定値BB1としては、調合のための通常運転時における調合装置14の消費電力BB2よりも多い値が定められている(BB1>BB2)。
【0061】
(条件B2)条件B1が満たされた状態から、調合装置14の消費電力が一時的に所定値BB3以下になるまで低下したこと。
(条件B3)条件B2が満たされた直後において、第1ポンプ33が運転された状態、且つ、調合装置14の消費電力が所定値BB1以上の状態が所定時間(例えば十数分)以上継続されたこと。
【0062】
(条件B4)条件B3が満たされた状態から第1ポンプ33が停止した状態になったこと。
なお本実施形態では、発明者等による製造装置10の運転実績データの検証を通じて、洗浄装置30による調合装置14の洗浄実行時において特徴的に現れる第1ポンプ33の消費電力の推移や、調合装置14の消費電力の推移が予め求められている。そして発明者等により、そうした特徴的な第1ポンプ33の消費電力の推移と調合装置14の消費電力の推移とが現出したことを特定可能な条件(条件B1~B4)が予め定められるとともに、その条件B1~B4が記憶部41に記憶されている。これにより、条件B1,B2,B3,B4の全てが満たされることによって、洗浄装置30による洗浄対象が調合装置14であることを精度良く特定することが可能になっている。
【0063】
本実施形態の製造装置10では、洗浄装置30によって調合装置14を洗浄する際に、洗浄装置30の第1ポンプ33が作動することに加えて、調合装置14も作動するようになっている。この点をふまえて、本実施形態では、条件B1~B4として、第1ポンプ33の消費電力と調合装置14の消費電力とをパラメータとする条件が定められている。
【0064】
洗浄対象が調合装置14であることが特定された場合には、コンピュータ40の単位期間設定部44により、記憶部41に記憶されている運転期間T2をもとに、消費エネルギー量Bを算出する際の算出対象期間である「単位期間TB」が定められる。
【0065】
調合工程では、調合装置14による調合に先立ち、洗浄装置30による調合装置14の洗浄が実行される。本実施形態では、そうした調合装置14の洗浄の完了タイミングが単位期間TBの開始タイミングに設定されている。また調合工程では、調合装置14による調合が終了した後に、次回の調合工程のために、洗浄装置30による調合装置14の洗浄が実行される。本実施形態では、この調合装置14の洗浄の完了タイミングが単位期間TBの終了タイミングに設定されている。したがって、単位期間TBとしては、調合装置14の運転直前の洗浄処理における第1ポンプ33の運転期間T2の終了タイミングから同調合装置14の運転直後の洗浄処理における運転期間T2の終了タイミングまでの期間が定められる。
【0066】
ここで、本実施形態の製造装置10では、洗浄装置30による調合装置14の洗浄が完了した後に、同調合装置14による調合液の調合が開始されるまでの間、調合装置14は待機状態になる。待機状態においても調合装置14は電力などのエネルギーを消費するため、消費エネルギー量Bの算出に際しては、そうした調合装置14の待機エネルギーを考慮する必要がある。本実施形態では、そうした待機期間を含むかたちで単位期間TBが定められる。
【0067】
そして本実施形態では、単位期間TBにおいて消費された各種のエネルギーの量が積算されるとともに、その積算値が「消費エネルギー量B」として算出される。各種のエネルギーとしては、調合装置14の消費電力や、水の使用量などを挙げることができる。
【0068】
本実施形態では、製造装置10の各部に設けられたセンサ類によって各種の算出パラメータを検出する処理と、同算出パラメータに基づいて消費エネルギー量Bを算出する処理とをコンピュータ40によって自動的に実行することができる。また、別途入手した各種の算出パラメータを入力装置の操作を通じてコンピュータ40に入力したうえで、それら算出パラメータに基づく消費エネルギー量Bの算出をコンピュータ40による演算処理を通じて実行すること等も可能である。本実施形態によれば、上述した態様で単位期間TBが定められるため、この単位期間TBを算出対象期間とする消費エネルギー量Bの算出を実行することができるようになる。
【0069】
(消費エネルギー量Cの算出手順)
次に、消費エネルギー量Cの算出態様について説明する。
本実施形態では、コンピュータ40の対象装置特定部43により、以下の条件C1,C2が共に満たされたことをもって、洗浄装置30による洗浄対象が殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17であることが特定される。
【0070】
(条件C1)殺菌装置15の消費電力が所定値以下になっていること。すなわち、殺菌装置15の運転が停止されていること。
(条件C2)第2ポンプ35の消費電力が所定値以上の状態から第2ポンプ35の運転が停止した状態になったこと。
【0071】
なお本実施形態では、発明者等による運転実績データの検証を通じて、洗浄装置30による殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の洗浄実行時に特徴的に現れる第2ポンプ35の消費電力の推移や、殺菌装置15の消費電力の推移が予め求められる。そして発明者等により、そうした特徴的な第2ポンプ35の消費電力の推移と殺菌装置15の消費電力の推移とが現出したことを特定可能な条件(条件C1,C2)が予め定められるとともに、条件C1,C2が記憶部41に記憶されている。これにより、条件C1,C2が共に満たされることによって、洗浄装置30による洗浄対象が殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17であることを精度良く特定することが可能になっている。
【0072】
このようにして洗浄対象が特定された場合には、コンピュータ40の単位期間設定部44により、記憶部41に記憶されている運転期間T3をもとに、消費エネルギー量Cを算出する際の算出対象期間である「単位期間TC」が定められる。
【0073】
充填工程では、充填装置17による飲料容器への飲料の充填に先立ち、洗浄装置30による殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の洗浄が実行される。本実施形態では、この洗浄の完了タイミングが単位期間TCの開始タイミングに設定されている。また充填工程では、充填装置17による充填が終了した後に、次回の充填工程のために、洗浄装置30による殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の洗浄が実行される。本実施形態では、この洗浄の完了タイミングが単位期間TCの終了タイミングに設定されている。したがって、単位期間TCとしては、充填装置17の運転直前の洗浄処理における第2ポンプ35の運転期間T3の終了タイミングから同充填装置17の運転直後の洗浄処理における運転期間T3の終了タイミングまでの期間が定められる。
【0074】
ここで、本実施形態の製造装置10では、洗浄装置30による殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17の洗浄が完了した後に、充填装置17による充填が開始されるまでの間、殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17は待機状態になる。待機状態においても殺菌装置15、無菌タンク16、および充填装置17はエネルギーを消費するため、消費エネルギー量Cの算出に際しては、そうした待機のためのエネルギーを考慮する必要がある。本実施形態では、そうした待機期間を含むかたちで単位期間TCが定められる。
【0075】
そして本実施形態では、単位期間TCにおいて消費された各種のエネルギーの量が積算されるとともに、その積算値が「消費エネルギー量C」として算出される。各種のエネルギーとしては、殺菌装置15の消費電力や蒸気使用量、無菌タンク16の消費電力や蒸気使用量、充填装置17の消費電力などを挙げることができる。
【0076】
本実施形態では、製造装置10の各部に設けられたセンサ類によって各種の算出パラメータを検出する処理と、同算出パラメータに基づいて消費エネルギー量Cを算出する処理とをコンピュータ40によって自動的に実行することができる。また、別途入手した各種の算出パラメータを入力装置の操作を通じてコンピュータ40に入力したうえで、それら算出パラメータに基づく消費エネルギー量Cの算出をコンピュータ40による演算処理を通じて実行すること等も可能である。本実施形態によれば、上述した態様で単位期間TCが定められるため、この単位期間TCを算出対象期間とする消費エネルギー量Cの算出を実行することができるようになる。
【0077】
(消費エネルギー量Dの算出手順)
次に、消費エネルギー量Dの算出態様について説明する。
本実施形態では、単位期間TCにおいて、ラベリング装置18、包装装置19、および箱詰装置20によって消費された各種のエネルギー(消費電力など)の量が積算されるとともに、その積算値が「消費エネルギー量D」として算出される。
【0078】
本実施形態では、製造装置10の各部に設けられたセンサ類によって各種の算出パラメータを検出する処理と、同算出パラメータに基づいて消費エネルギー量Dを算出する処理とをコンピュータ40によって自動的に実行することができる。また、別途入手した各種の算出パラメータを入力装置の操作を通じてコンピュータ40に入力したうえで、それら算出パラメータに基づく消費エネルギー量Dの算出をコンピュータ40による演算処理を通じて実行すること等も可能である。本実施形態によれば、上述した態様で単位期間TCが定められるため、この単位期間TCを算出対象期間とする消費エネルギー量Dの算出を実行することができる。
【0079】
(消費エネルギー量Eの算出手順)
次に、消費エネルギー量Eの算出態様について説明する。
先ず、抽出工程、調合工程、および充填工程といった一連の工程において、詳しくは単位期間TAの開始タイミングから単位期間TCの終了タイミングまでの期間において、洗浄装置30の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値が算出される。そして、その積算値が消費エネルギー量Eとして算出される。なお各種のエネルギーとしては、第1ポンプ33の消費電力や、第2ポンプ35の消費電力、洗浄液の使用量などを挙げることができる。
【0080】
本実施形態では、製造装置10の各部に設けられたセンサ類によって各種の算出パラメータを検出する処理と、同算出パラメータに基づいて消費エネルギー量Eを算出する処理とをコンピュータ40によって自動的に実行することができる。また、別途入手した各種の算出パラメータを入力装置の操作を通じてコンピュータ40に入力したうえで、それら算出パラメータに基づく消費エネルギー量Eの算出をコンピュータ40による演算処理を通じて実行すること等も可能である。本実施形態によれば、上述した態様で単位期間TA,TB,TCが定められるため、単位期間TA,TB,TCに基づいて消費エネルギー量Eの算出を実行することができるようになる。
【0081】
(エネルギー原単位の算出手順)
次に、エネルギー原単位の算出態様について説明する。
本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置では、光センサ70によって、一連の工程(抽出工程、調合工程、充填工程、仕上げ工程)で製造された飲料製品の数(製造数F)が検出されている。そして、本実施形態の装置では、消費エネルギー量A、消費エネルギー量B、消費エネルギー量C、消費エネルギー量Dおよび消費エネルギー量Eを加算した値を上記製造数Fで除算した値([A+B+C+D+E]/F)が、エネルギー原単位として求められる。
【0082】
本実施形態では、このようにしてエネルギー原単位を算出する処理をコンピュータ40によって自動的に実行することができる。また、各別に算出された消費エネルギー量A~Eと光センサ70によって検出される製造数Fとを利用して、手計算により、エネルギー原単位を算出することなども可能である。
【0083】
本実施形態によれば、以下に記載する作用効果が得られる。
(1)製造装置10には、第1ポンプ33の消費電力を検出するための電流センサ58が設けられている。コンピュータ40の記憶部41には、洗浄装置30の運転時における洗浄対象の工程装置(抽出器11または調合装置14)を特定するための条件が予め記憶されている。対象装置特定部43は、第1ポンプ33の消費電力の推移が前記条件を満たす場合に、同消費電力に基づいて、洗浄装置30による洗浄対象の工程装置(抽出器11または調合装置14)と、同工程装置の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間とを特定する。単位期間設定部44は、対象装置特定部43によって特定された洗浄対象の工程装置と同工程装置の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間とに基づいて、当該工程装置の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する単位期間を定める。
【0084】
製造装置10では、洗浄装置30による抽出器11の洗浄と調合装置14の洗浄とにおいて、同洗浄装置30が共用の第1ポンプ33で駆動される。とはいえ、洗浄対象の工程装置(抽出器11または調合装置14)が違えば、工程装置の洗浄態様が異なるために第1ポンプ33の駆動態様も異なる。
【0085】
本実施形態では、抽出器11と調合装置14とにおいて各別に、洗浄装置30の作動時における第1ポンプ33の特徴的な動き(具体的には、消費電力の推移)が予め把握される。そして、そうした第1ポンプ33の特徴的な動きを特定可能な条件が、洗浄対象の工程装置を特定するための条件として記憶部41に記憶されている。したがって本実施形態によれば、上記条件をもとに、第1ポンプ33の特徴的な動きを捉えて、洗浄装置30による洗浄対象の工程装置を特定することができる。しかも、第1ポンプ33の消費電力の推移から、洗浄対象の工程装置の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間を特定することもできる。
【0086】
工程装置(抽出器11または調合装置14)の運転に伴って消費されるエネルギー量を算出する単位期間TA,TBは、工程装置が運転される期間と、利用後において同工程装置の洗浄のために洗浄装置30が運転される運転期間T1,T2とによって定まる。このことをふまえて、本実施形態では、単位期間TA,TBとして、今回の工程装置の利用前における洗浄装置30の運転が終了してから、次回の工程装置の運転のための洗浄装置30の運転が終了するまでの期間が定められている。
【0087】
本実施形態によれば、対象装置特定部43によって、抽出器11の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間T1と、調合装置14の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間T2とを特定することができる。そのため、抽出器11の運転直前の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T1の終了タイミングから同抽出器11の運転直後の洗浄における運転期間T1の終了タイミングまでの期間を前記消費エネルギー量Aについての単位期間TAとして定めることができる。また、調合装置14の運転直前の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T2の終了タイミングから同調合装置14の運転直後の洗浄における運転期間T2の終了タイミングまでの期間を前記消費エネルギー量Bについての単位期間TBとして定めることができる。しかも本実施形態によれば、第1ポンプ33の消費電力を検出するための電流センサ58を追加することをもって、上記単位期間TA,TBを定めることが可能になる。そして、このようにして定められた単位期間TA,TBを、消費エネルギー量A,Bの算出に利用することができ、ひいてはエネルギー原単位の算出に利用することができる。したがって本実施形態によれば、製造装置10の変更を抑えながらエネルギー原単位の算出を支援することができる。
【0088】
(2)第1ポンプ33の消費電力の推移と抽出器11の消費電力の推移とが条件A1~A3を満たす場合には、それら消費電力に基づいて、抽出器11が洗浄対象の工程装置であることと、抽出器11の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間T1とが特定される。第1ポンプ33の消費電力の推移と調合装置14の消費電力の推移とが条件B1~B4を満たす場合には、それら消費電力に基づいて、調合装置14が洗浄対象の工程装置であることと、調合装置14の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間T2とが特定される。
【0089】
抽出器11および調合装置14はいずれも、その洗浄のために洗浄装置30が運転される際に、自身(抽出器11または調合装置14)も作動するタイプの工程装置である。
本実施形態によれば、洗浄対象の工程装置が抽出器11であることを特定するための条件A1~A3を規定するパラメータとして、第1ポンプ33の消費電力を用いることに加えて、抽出器11の消費電力を用いることができる。これにより、上記条件A1~A3を細かく設定することができるため、洗浄対象の工程装置が抽出器11であることと、抽出器11の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間T1とを精度良く特定することができる。また、洗浄対象の工程装置が調合装置14であることを特定するための条件B1~B4を規定するパラメータとして、第1ポンプ33の消費電力を用いることに加えて、調合装置14の消費電力を用いることができる。これにより、上記条件B1~B4を細かく設定することができるため、洗浄対象の工程装置が調合装置14であることと、調合装置14の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間T2とを精度良く特定することができる。
【0090】
(3)本実施形態のエネルギー原単位算出支援装置を、飲料製品を製造する製造装置10に適用した。飲料製品を製造する製造装置10は、内部を原料が通過する部分が密閉された構造であるため、各工程装置の稼働状況を把握しづらい構造であると云える。本実施形態によれば、そうした製造装置10において、洗浄装置30による洗浄対象の工程装置や、同工程装置の洗浄のための第1ポンプ33の運転期間を精度良く特定することができる。
【0091】
(変形例)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0092】
・光センサ70を、ラベリング装置18から包装装置19に送られる飲料製品を検出可能な位置に設けたり、包装装置19から箱詰装置20に送られる飲料製品を検出可能な位置に設けたりすることができる。同構成によっても、コンピュータ40は、光センサ70の出力信号をもとに、充填装置17による飲料容器への飲料の充填が実行されている実行期間を求めることができ、同実行期間において飲料が充填された飲料容器の数(製造数F)を検出することができる。
【0093】
・光センサ70に代えて、近接センサを設けたり、画像処理装置を設けたりしてもよい。近接センサや画像処理装置によっても、充填装置17からラベリング装置18に送られる飲料製品が通過したことを検知することができる。
【0094】
・電流センサ50~59として、工場に設置された状態の製造装置10に後から付け足すかたちで取り付けられたものを用いることに限らず、製造装置10が元々備えているものを用いることができる。
【0095】
・洗浄対象の工程装置を特定するための条件を規定するパラメータとして、第1ポンプ33の消費電力や工程装置の消費電力を用いることに限らず、第1ポンプ33の消費電流や工程装置の消費電流を用いることも可能である。
【0096】
・工程装置や第1ポンプ33、第2ポンプ35の消費電力の指標値を検出することができるものであれば、電流センサ50~59に代えて、消費電力そのものを検出する電力センサや、消費電力の指標値としての電圧を検出する電圧センサを設けることができる。
【0097】
・単位期間TAを算出対象期間として消費エネルギー量Aを算出することに代えて、あるいは合わせて、単位期間TAにおいて抽出器11の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Aa)を算出するようにしてもよい。また、単位期間TAにおいて遠心分離機12の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Ab)を算出するようにしてもよい。こうした構成によれば、抽出器11の効率的な運転のために消費エネルギー量Aaを精査したり、調合装置14の効率的な運転のために消費エネルギー量Abを精査したりするといったように、工程装置毎に消費エネルギー量の精査を実行することができる。
【0098】
・単位期間TCを算出対象期間として消費エネルギー量Cを算出することに代えて、あるいは合わせて、単位期間TCにおいて殺菌装置15の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Ca)を算出するようにしてもよい。また、単位期間TCにおいて無菌タンク16の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Cb)を算出するようにしてもよい。さらに、単位期間TCにおいて充填装置17の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Cc)を算出するようにしてもよい。上記構成によれば、殺菌装置15の効率的な運転のために消費エネルギー量Caを精査したり、無菌タンク16の効率的な運転のために消費エネルギー量Cbを精査したりする等、工程装置毎に消費エネルギー量の精査を実行することができる。
【0099】
・単位期間TDを算出対象期間として消費エネルギー量Dを算出することに代えて、あるいは合わせて、単位期間TDにおいてラベリング装置18の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Da)を算出するようにしてもよい。また、単位期間TDにおいて包装装置19の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Db)を算出するようにしてもよい。さらに、単位期間TDにおいて箱詰装置20の運転に伴い消費された各種のエネルギーの量を積算した値(消費エネルギー量Dc)を算出するようにしてもよい。上記構成によれば、ラベリング装置18の効率的な運転のために消費エネルギー量Daを精査したり、包装装置19の効率的な運転のために消費エネルギー量Dbを精査したりする等、工程装置毎に消費エネルギー量の精査を実行することができる。また、上記消費エネルギー量Daに基づいてラベリング装置18についてのエネルギー原単位を算出したり、消費エネルギー量Dbに基づいて包装装置19についてのエネルギー原単位を算出したりしてもよい。上記消費エネルギー量Dcに基づいて箱詰装置20についてのエネルギー原単位を算出することなども可能である。
【0100】
・上記実施形態にかかるエネルギー原単位算出支援装置は、「抽出器11の洗浄」と「調合装置14の洗浄」と「殺菌装置15、無菌タンク16および充填装置17の洗浄」とを同一の洗浄ポンプの駆動を通じて行う製造装置にも適用することができる。また、上記実施形態にかかるエネルギー原単位算出支援装置は、「抽出器11の洗浄」と「殺菌装置15、無菌タンク16および充填装置17の洗浄」とを同一の洗浄ポンプの駆動を通じて行う製造装置にも適用可能である。その他、上記実施形態にかかるエネルギー原単位算出支援装置は、「調合装置14の洗浄」と「殺菌装置15、無菌タンク16および充填装置17の洗浄」とを同一の洗浄ポンプの駆動を通じて行う製造装置にも適用することができる。いずれの構成によっても、工程装置毎に洗浄対象の工程装置を特定するための条件を定めることにより、この条件をもとに洗浄ポンプの消費電力や工程装置の消費電力の特徴的な動きを捉えて、洗浄装置30による洗浄対象の工程装置を特定することができる。
【0101】
・上記実施形態にかかるエネルギー原単位算出支援装置は、液状の原料が通過する複数種類の工程装置と、それら工程装置の内部洗浄を同一の洗浄ポンプの駆動を通じて洗浄液を利用して行う洗浄装置とを有する製造装置であれば、適用可能である。同構成によっても、工程装置毎に洗浄対象の工程装置を特定するための条件を定めることにより、この条件をもとに洗浄ポンプの消費電力や工程装置の消費電力の特徴的な動きを捉えて、洗浄装置による洗浄対象の工程装置を特定することができる。こうした製造装置としては、例えばジュースやコーヒー、牛乳など、紅茶以外の飲料製品を製造する製造装置や、マヨネーズなどの食料品を製造する製造装置、薬品を製造する製造装置を挙げることができる。その他、化粧品を製造する製造装置や、トイレタリーを製造する製造装置、石鹸を製造する製造装置なども挙げられる。
【0102】
・洗浄装置30の運転時における洗浄対象の工程装置を特定するための条件は任意に変更することができる。上記条件は、次のように定めればよい。洗浄装置30による工程装置の洗浄実行時において特徴的に現れる第1ポンプ33の消費電力の推移や、同工程装置の消費電力の推移を予め求める。そして、そうした特徴的な第1ポンプ33の消費電力の推移と工程装置の消費電力の推移とが現出したことを特定可能な条件を定めて記憶部41に記憶させる。
【0103】
・洗浄装置30の運転時における洗浄対象の工程装置を特定するための条件を規定するパラメータとして、工程装置の消費電力の推移を用いることなく、同条件を定めるようにしてもよい。この場合には、上記条件を次のように定めればよい。洗浄装置30による工程装置の洗浄実行時において特徴的に現れる第1ポンプ33の消費電力の推移を予め求める。そして、そうした特徴的な第1ポンプ33の消費電力の推移が現出したことを特定可能な条件を定めて記憶部41に記憶させる。
【0104】
・単位期間TA,TBとして、工程装置の運転直前の洗浄処理における第1ポンプ33の運転期間T1,T2の開始タイミングから同工程装置の運転直後の洗浄処理における運転期間T1,T2の開始タイミングまでの期間を定めてもよい。また単位期間TCとして、工程装置(殺菌装置15、無菌タンク16、充填装置17)の運転直前の洗浄処理における第2ポンプ35の運転期間T3の開始タイミングから、運転直後の洗浄処理における運転期間T3の開始タイミングまでの期間を定めてもよい。
【0105】
上記構成においては、例えば、上記単位期間TAを次のように定めることができる。すなわち、抽出器11の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T1を記憶部41から読み出す。そして、抽出器11の運転直前の洗浄処理における運転期間T1の開始タイミングから同抽出器11の運転直後の洗浄処理における運転期間T1の開始タイミングまでの期間を、単位期間TAとして定める。また、上記単位期間TBは次のように定めることができる。すなわち、調合装置14の洗浄における第1ポンプ33の運転期間T2を記憶部41から読み出す。そして、調合装置14の運転直前の洗浄処理における運転期間T2の開始タイミングから同調合装置14の運転直後の洗浄処理における運転期間T2の開始タイミングまでの期間を、単位期間TBとして定める。
【符号の説明】
【0106】
10…製造装置
11…抽出器
14…調合装置
15…殺菌装置
16…無菌タンク
17…充填装置
30…洗浄装置
33…第1ポンプ
40…コンピュータ
41…記憶部
43…対象装置特定部
44…単位期間設定部
50~59…電流センサ
図1
図2