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  • 特開-油揚げの製造方法 図1
  • 特開-油揚げの製造方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025964
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】油揚げの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 11/45 20210101AFI20230216BHJP
【FI】
A23L11/45 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131436
(22)【出願日】2021-08-11
(71)【出願人】
【識別番号】521355061
【氏名又は名称】金子 泰久
(71)【出願人】
【識別番号】521355072
【氏名又は名称】毛利 実
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】金子 泰久
(72)【発明者】
【氏名】毛利 実
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB06
4B020LC04
4B020LG06
4B020LS02
4B020LS03
(57)【要約】
【課題】より美味しい油揚げを製造できる油揚げの製造方法を提供する。
【解決手段】油揚げの製造方法は、豆腐を脱水する脱水工程S1と、脱水した豆腐を予め設定した寸法形状に成型する成型工程S3と、成型後の豆腐を常温の第1食用油でコーティングするコーティング工程S4と、第1食用油でコーティングした後の豆腐を高温の第2食用油で揚げる揚げ工程S5と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆腐を脱水する脱水工程と、
脱水した前記豆腐を予め設定した寸法形状に成型する成型工程と、
成型後の前記豆腐を常温の第1食用油でコーティングするコーティング工程と、
前記第1食用油でコーティングした後の前記豆腐を高温の第2食用油で揚げる揚げ工程と、
を備えた油揚げの製造方法。
【請求項2】
前記脱水工程と前記成型工程との間に、脱水後の前記豆腐を練る練り工程を備え、
前記成型工程では、前記練り工程で練った後の前記豆腐を予め設定した寸法形状に成型することを特徴とする請求項1に記載の油揚げの製造方法。
【請求項3】
前記コーティング工程では、成型後の前記豆腐を常温の前記第1食用油の中に入れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油揚げの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油揚げの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、油揚げの製造方法として、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。こうした油揚げの製造方法では、まず、絞り袋に豆腐を入れて絞り機で絞り、絞られた豆腐を練機で練り、練られた豆腐を成型機で油揚型に成型する。その後、成型機で成型された豆腐の成型品を回転フライヤーの升に装填した状態で油槽を通過させて油で揚げることにより油揚げを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-308165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような油揚げの製造方法では、成型機で成型された豆腐の成型品を、そのまま油槽内の高温の油の中を通過させて揚げている。このため、豆腐の成型品を高温の油の中に入れたときに、当該豆腐の成型品に残存する水分が蒸発し易いので、出来上がった油揚げを食べたときのしっとり感や滑らかさなどが低下する。したがって、より美味しくなる油揚げの製造方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する油揚げの製造方法は、豆腐を脱水する脱水工程と、脱水した前記豆腐を予め設定した寸法形状に成型する成型工程と、成型後の前記豆腐を常温の第1食用油でコーティングするコーティング工程と、前記第1食用油でコーティングした後の前記豆腐を高温の第2食用油で揚げる揚げ工程と、を備えたことを要旨とする。
【0006】
この構成によれば、コーティング工程で豆腐の表面が第1食用油でコーティングされるので、豆腐に残存する水分の蒸発が抑制される。このため、第1食用油でコーティングした後の豆腐を、水分が適度に保持された状態で揚げ工程において高温の第2食用油で揚げることができる。この結果、出来上がった油揚げを食べたときに得られるしっとり感や滑らかさなどが向上されるので、より美味しい油揚げを製造できる。
【0007】
上記油揚げの製造方法において、前記脱水工程と前記成型工程との間に、脱水後の前記豆腐を練る練り工程を備え、前記成型工程では、前記練り工程で練った後の前記豆腐を予め設定した寸法形状に成型することが好ましい。
【0008】
この構成によれば、練り工程で豆腐を十分に練ることで、出来上がった油揚げの食感を向上できる。
上記油揚げの製造方法において、前記コーティング工程では、成型後の前記豆腐を常温の前記第1食用油の中に入れることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、成型後の豆腐を常温の第1食用油によって確実且つ迅速にコーティングすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より美味しい油揚げを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の油揚げの製造方法における作業工程を示すフローチャートである。
図2】同油揚げの製造方法におけるコーティング工程を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、油揚げの製造方法の一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、油揚げの製造方法は、脱水工程S1、練り工程S2、成型工程S3、コーティング工程S4、及び揚げ工程S5を備えている。そして、これらの工程S1~S5を順次に実行することで、油揚げが製造される。
【0013】
(脱水工程)
脱水工程S1は、木綿豆腐または絹ごし豆腐などの豆腐を絞り袋に入れた状態で絞ることによって豆腐の脱水を行う工程である。脱水工程S1における豆腐の脱水作業は、手作業で行ってもよいし、絞り機(図示略)を用いて行ってもよいが、作業性を考慮すると絞り機を用いて行うことが好ましい。脱水された豆腐には、適量の水分が残存している。つまり、この脱水工程S1では、豆腐を完全に脱水するのではなく、豆腐を適度に脱水する。
【0014】
(練り工程)
練り工程S2は、脱水工程S1と成型工程S3との間に配置され、脱水工程S1での脱水後の豆腐を練る工程である。練り工程S2における脱水後の豆腐を練る作業は、手作業で行ってもよいし、がん練り機(図示略)を用いて行ってもよいが、作業性を考慮するとがん練り機を用いて行うことが好ましい。
【0015】
(成型工程)
成型工程S3は、練り工程S2で練った後の豆腐を予め設定した寸法形状(所望の油揚げの寸法形状)に成型する工程である。成型工程S3では、練り工程S2で練った後の豆腐を、例えば長辺、短辺、及び厚さが所望の寸法の矩形板状に成型する。成型工程S3における練り工程S2で練った後の豆腐を成型する作業は、例えば包丁やカッターなどを用いて手作業で行ってもよいし、成型機11(図2参照)を用いて行ってもよいが、作業性を考慮すると成型機11を用いて行うことが好ましい。
【0016】
(コーティング工程)
図1及び図2に示すように、コーティング工程S4は、成型工程S3での成型後の豆腐である成型豆腐Tを常温の第1食用油でコーティングする工程である。コーティング工程S4では、例えば成型機11による成型後の成型豆腐Tを常温の第1食用油が入った容器12の中に入れることで、成型豆腐Tを第1食用油でコーティングする。
【0017】
成型機11から常温の第1食用油が入った容器12内までの成型豆腐Tの搬送は、手作業で行ってもよいし、コンベア(図示略)を用いて行ってもよいが、作業性を考慮するとコンベアを用いて行うことが好ましい。コーティング工程S4では成型豆腐Tの表面が第1食用油でコーティングされるので、当該コーティング後の成型豆腐Tに残存する水分の蒸発が抑制される。
【0018】
(揚げ工程)
図1及び図2に示すように、揚げ工程S5は、コーティング工程S4において第1食用油でコーティングした後の成型豆腐Tを高温の第2食用油で揚げる工程である。揚げ工程S5では、コーティング工程S4において第1食用油でコーティングした後の成型豆腐Tを高温の第2食用油が入ったフライヤー13の中に入れることで、当該成型豆腐Tを第2食用油で揚げる。これにより、油揚げが出来上がる。
【0019】
この場合、第2食用油は、第1食用油と同一の食用油であることが好ましいが、第1食用油と異なる食用油であってもよい。また、揚げ工程S5では、成型豆腐Tを、第1温度の第2食用油で揚げた後、さらに第1温度よりも高い温度である第2温度の第2食用油で揚げることが好ましい。このようにすることで、出来上がった油揚げがふっくらとしたものになる。
【0020】
常温の第1食用油が入った容器12内から高温の第2食用油が入ったフライヤー13内までの成型豆腐Tの搬送は、手作業で行ってもよいし、コンベア(図示略)を用いて行ってもよいが、作業性を考慮するとコンベアを用いて行うことが好ましい。
【0021】
揚げ工程S5では、コーティング工程S4にて第1食用油でコーティングした後の成型豆腐Tを揚げる。すなわち、揚げ工程S5では、第1食用油によるコーティングによって水分が適度に保持された状態の成型豆腐Tを高温の第2食用油で揚げる。このため、揚げ工程S5で成型豆腐Tを揚げることで出来上がった油揚げを食べたときに得られるしっとり感や滑らかさなどが向上される。このため、出来上がった油揚げがより美味しくなる。
【0022】
また、上述した油揚げの製造方法においては、通常、成型工程S3にかかる時間よりも揚げ工程S5にかかる時間の方が短い。このため、豆腐を成型して成型豆腐Tとしてから第2食用油で揚げるまでに待ち時間が生じる。この待ち時間を解消するためには、予め大量の豆腐を成型工程S3で成型することによって成型豆腐Tを大量にストックしておく必要がある。
【0023】
しかしながら、成型豆腐Tを大量にストックしておくと、ストックした成型豆腐Tを揚げ工程S5で揚げるまでの時間が長くなる。すると、成型豆腐Tの表面から水分が蒸発するので、成型豆腐Tが乾燥する。そして、乾燥した状態の成型豆腐Tを揚げ工程S5で揚げて油揚げを製造すると、出来上がった油揚げがぱさぱさになってしまう。この結果、油揚げを食べたときに得られるしっとり感や滑らかさなどが低下するので、油揚げが美味しくなくなるだけでなく油揚げの食感も悪くなってしまう。
【0024】
この点、本実施形態の油揚げの製造方法では、成型工程S3の後にコーティング工程S4で成型豆腐Tの表面が第1食用油でコーティングされるので、成型豆腐Tに残存する水分の蒸発が抑制される。このため、成型工程S3の後、すぐにコーティング工程S4を行って、常温の第1食用油が入った容器12内に大量の成型豆腐Tをストックしておくことで次のような効果が得られる。
【0025】
すなわち、コーティング工程S4を行ってから揚げ工程S5を行うまでの時間が長くなっても、成型豆腐Tからの水分の蒸発を効果的に抑制できる。このため、成型豆腐Tをいつでも揚げ工程S5において水分を適度に保持した状態で高温の第2食用油で揚げることができる。したがって、美味しくて良好な食感が得られる油揚げを効率よく大量に製造することができる。
【0026】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)油揚げの製造方法は、豆腐を脱水する脱水工程S1と、脱水した豆腐を予め設定した寸法形状に成型する成型工程S3と、成型後の成型豆腐Tを常温の第1食用油でコーティングするコーティング工程S4と、第1食用油でコーティングした後の成型豆腐Tを高温の第2食用油で揚げる揚げ工程S5と、を備えている。
【0027】
この構成によれば、コーティング工程S4で成型豆腐Tの表面が第1食用油でコーティングされるので、成型豆腐Tに残存する水分の蒸発を抑制できる。このため、第1食用油でコーティングした後の成型豆腐Tを、水分が適度に保持された状態で揚げ工程S5において高温の第2食用油で揚げることができる。この結果、出来上がった油揚げを食べたときに得られるしっとり感や滑らかさなどが向上されるので、より美味しい油揚げを製造できる。
【0028】
(2)油揚げの製造方法は、脱水工程S1と成型工程S3との間に、脱水後の豆腐を練る練り工程S2を備えている。成型工程S3では、練り工程S2で練った後の豆腐を予め設定した寸法形状に成型する。
【0029】
この構成によれば、練り工程S2で豆腐を十分に練ることで、出来上がった油揚げの食感を向上できる。
(3)油揚げの製造方法において、コーティング工程S4では、成型後の成型豆腐Tを常温の第1食用油の中に入れる。
【0030】
この構成によれば、成型後の成型豆腐Tを常温の第1食用油によって確実且つ迅速にコーティングすることができる。
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0031】
・油揚げの製造方法において、練り工程S2は省略してもよい。
・コーティング工程S4では、成型豆腐Tに常温の第1食用油を噴霧したり塗布したりすることによって、成型豆腐Tを第1食用油でコーティングするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0032】
11…成型機
12…容器
13…フライヤー
S1…脱水工程
S2…練り工程
S3…成型工程
S4…コーティング工程
S5…揚げ工程
T…成型豆腐
図1
図2