IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社信防エディックスの特許一覧

<>
  • 特開-就寝時用具 図1
  • 特開-就寝時用具 図2
  • 特開-就寝時用具 図3
  • 特開-就寝時用具 図4
  • 特開-就寝時用具 図5
  • 特開-就寝時用具 図6
  • 特開-就寝時用具 図7
  • 特開-就寝時用具 図8
  • 特開-就寝時用具 図9
  • 特開-就寝時用具 図10
  • 特開-就寝時用具 図11
  • 特開-就寝時用具 図12
  • 特開-就寝時用具 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023025991
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】就寝時用具
(51)【国際特許分類】
   A47C 29/00 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
A47C29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131523
(22)【出願日】2021-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】597071803
【氏名又は名称】株式会社信防エディックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 正武
(57)【要約】
【課題】就寝時における就寝者のプライバシーを確実に保護すると共に、私物の取り間違い等の被害を防止することが可能な就寝時用具を提供すること。
【解決手段】底面シート10と、底面シート10の幅方向の第1端縁12Aから第2端縁12Bまで就寝者の顔面上方側を経由して掛け渡された顔側シート20と、顔側シート20を保持する顔側シート保持体30と、顔側シート20の就寝者の胸部側端縁と底面シート10との間に掛け渡された胸側シート40と、顔側シート20の就寝者の頭部側端縁と底面シート10との間に掛け渡された頭側シート50と、顔側シート20の外表面と胸側シート40の外表面に取り付けられ、顔側シート20と胸側シート40とを係止する面ファスナ60を具備し、底面シート10の設置面と胸側シート40の底面シート側端縁に底面シート10と胸側シート40とを着脱する第1ファスナ80が取り付けられた就寝時用具100である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝時において就寝者の胸部から頭部までが進入可能な大きさの胸頭部被覆空間を形成して、前記就寝者のプライバシーを保護するための就寝時用具であって、
底面シートと、
前記底面シートの幅方向の第1端縁から起立して前記就寝者の顔面上方側を経由して前記幅方向の第2端縁に掛け渡された顔側シートと、
前記顔側シートを前記底面シートから起立保持させる顔側シート保持体と、
前記顔側シートの前記就寝者の胸部側端縁と前記底面シートとの間に掛け渡された胸側シートと、
前記顔側シートの前記就寝者の頭部側端縁と前記底面シートとの間に掛け渡された頭側シートと、
前記顔側シートの外表面と前記胸側シートの外表面のそれぞれに取り付けられ、前記顔側シートと前記胸側シートとを係止する係止具と、を具備し、
前記底面シートの設置面と前記胸側シートの底面シート側端縁とに、前記底面シートと前記胸側シートとを着脱する第1ファスナが取り付けられていることを特徴とする就寝時用具。
【請求項2】
前記底面シートは、前記頭側シートから前記胸側シートの間に敷設された第1底面シートと前記胸側シートから前記就寝者の脚側に延設された第2底面シートとを有し、
前記第1ファスナにより前記第1底面シートと前記第2底面シートとが連結されていることを特徴とする請求項1記載の就寝時用具。
【請求項3】
前記頭側シートは、外表面に取り付けられた前記係止具と前記胸頭部被覆空間の内側の少なくとも前記底面シートから所要高さ範囲に取り付けられた頭側メッシュシートとをさらに有し、
前記頭側メッシュシートの取り付け範囲において、前記頭側シートがめくりあげ可能なフラップ部に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の就寝時用具。
【請求項4】
前記フラップ部の前記底面シート側端縁は、前記底面シートから離反していることを特徴とする請求項3記載の就寝時用具。
【請求項5】
前記胸側シートは、前記幅方向に二分割された右側シートと左側シートとを有し、
前記第1ファスナは、前記右側シートおよび前記底面シートと、前記左側シートおよび前記底面シートとに対して個別に取り付けられていて、
前記右側シートの左側端縁と前記左側シートの右側端縁には、前記右側シートと前記左側シートとを着脱する第2ファスナが取り付けられていることを特徴とする請求項1~4のうちのいずれか一項記載の就寝時用具。
【請求項6】
前記胸側シートと前記胸頭部被覆空間との間には胸側メッシュシートが配設されていて、
前記胸側メッシュシートは前記底面シートから離反していることを特徴とする請求項1~5のうちのいずれか一項に記載の就寝時用具。
【請求項7】
前記顔側シート保持体は、前記胸側シートと前記頭側シートとの間で、前記幅方向に延びる軸線周りに回動可能な複数本のフレーム体により構成されていることを特徴とする請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の就寝時用具。
【請求項8】
前記フレーム体には過開き防止ストッパが配設されていることを特徴とする請求項7記載の就寝時用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は就寝時用具に関し、より詳細には、災害時における避難所等において就寝者のプライバシーを保護するための就寝時用具に関する。
【背景技術】
【0002】
就寝時において、就寝者の胸部から頭部にかけての範囲を被覆することで、就寝者のプライバシーを保護するための就寝時用具が知られている。このような就寝時用具としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているような構成のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案公報昭57-11583号公報
【特許文献2】特開平9-154678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および特許文献2には、就寝時において少なくとも頭部を隠すことができる被覆体を有する構成が開示されている。しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されている就寝時用具は、就寝者の胸側部分が常時開口しているため、外部からの視線の角度によっては、就寝者のプライバシー保護が十分行うことができないといった課題がある。また、災害発生時等の避難所での使用にあたっては、多数の避難者がいるため、自分の就寝場所から離れる際に就寝時用具にしまっておいた私物の取り間違えや盗難等の被害が発生するといった課題も有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明は上記課題を解決すべくなされ、その目的とするところは、就寝時における就寝者のプライバシーを確実に保護すると共に、私物の取り間違いや盗難等の被害を防止することが可能な就寝時用具を提供することにある。
【0006】
上記課題を解決するために発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。すなわち本発明は、就寝時において就寝者の胸部から頭部までが進入可能な大きさの胸頭部被覆空間を形成して、前記就寝者のプライバシーを保護するための就寝時用具であって、底面シートと、前記底面シートの幅方向の第1端縁から起立して前記就寝者の顔面上方側を経由して前記幅方向の第2端縁に掛け渡された顔側シートと、前記顔側シートを前記底面シートから起立保持させる顔側シート保持体と、前記顔側シートの前記就寝者の胸部側端縁と前記底面シートとの間に掛け渡された胸側シートと、前記顔側シートの前記就寝者の頭部側端縁と前記底面シートとの間に掛け渡された頭側シートと、前記顔側シートの外表面と前記胸側シートの外表面のそれぞれに取り付けられ、前記顔側シートと前記胸側シートとを係止する係止具と、を具備し、前記底面シートの設置面と前記胸側シートの底面シート側端縁とに、前記底面シートと前記胸側シートとを着脱する第1ファスナが取り付けられていることを特徴とする就寝時用具である。
【0007】
これにより、就寝時および未使用時において、底面シートと胸側シートとを第1ファスナで閉じることができるため、就寝時における就寝者のプライバシーを確実に保護すると共に、私物の取り間違いや盗難等の被害を防止することが可能になる。
【0008】
また、前記底面シートは、前記頭側シートから前記胸側シートの間に敷設された第1底面シートと前記胸側シートから前記就寝者の脚側に延設された第2底面シートとを有し、前記第1ファスナにより前記第1底面シートと前記第2底面シートとが連結されていることが好ましい。
【0009】
これにより、就寝者の体重が第2底面シートの上にかかり、就寝時用具が寝具からずれることを防ぐことができる。
【0010】
また、前記頭側シートは、外表面に取り付けられた前記係止具と前記胸頭部被覆空間の内側の少なくとも前記底面シートから所要高さ範囲に取り付けられた頭側メッシュシートとをさらに有し、前記頭側メッシュシートの取り付け範囲において、前記頭側シートがめくりあげ可能なフラップ部に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、前記フラップ部の前記底面シート側端縁は、前記底面シートから離反していることがさらに好ましい。
【0012】
これらにより、胸頭部被覆空間内と外部との空気の流通を促進することができ、息苦しさを解消し、快適な睡眠を提供することができる。
【0013】
また、前記胸側シートは、前記幅方向に二分割された右側シートと左側シートとを有し、前記第1ファスナは、前記右側シートおよび前記底面シートと、前記左側シートおよび前記底面シートとに対して個別に取り付けられていて、前記右側シートの左側端縁と前記左側シートの右側端縁には、前記右側シートと前記左側シートとを着脱する第2ファスナが取り付けられていることが好ましい。
【0014】
これにより、胸側シートを底面シートの中央部分から幅方向両側に開くことができるため、就寝時や起床時における姿勢を楽にすることができる。
【0015】
また、前記胸側シートと前記胸頭部被覆空間との間には胸側メッシュシートが配設されていて、前記胸側メッシュシートは前記底面シートから離反していることが好ましい。
【0016】
これにより、胸頭部被覆空間内と外部との空気の流通をさらに促進することができ、息苦しさを解消し、快適な睡眠を提供することができる。
【0017】
また、前記顔側シート保持体は、前記胸側シートと前記頭側シートとの間で、前記幅方向に延びる軸線周りに回動可能な複数本のフレーム体により構成されていることが好ましく、前記フレーム体には過開き防止ストッパが配設されていることがより好ましい。
【0018】
これらにより、前記胸頭部被覆空間の展開および収納を容易に行うことができ、収納時における占有スペースを小さくすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明における就寝時用具の構成を採用することにより、就寝時および就寝時用具の未使用時において、底面シートと胸側シートとを第1ファスナで閉じることができるため、就寝時における就寝者のプライバシーを確実に保護すると共に、就寝時用具の未使用時における私物の取り間違いや盗難等の被害を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態における就寝時用具の未使用時の胸側斜視図である。
図2図1に示した状態から胸側シートの左側シートをめくりあげた状態を示す胸側斜視図である。
図3図2に示した状態から底面シートを繰り出して胸側シートの右側シートをめくりあげた状態を示す胸側斜視図である。
図4図3中の矢印IV方向における矢視図である。
図5】第1実施形態における就寝時用具の未使用時の頭側斜視図である。
図6図5に示した状態から頭側シートをめくりあげた状態を示す頭側斜視図である。
図7】第2実施形態における就寝時用具の未使用時の胸側斜視図である。
図8図7に示した状態から胸側シートの左側シートと右側シートをめくりあげた状態を示す胸側斜視図である。
図9図8に示した状態から胸側メッシュシートをめくりあげた状態を示す胸側斜視図である。
図10】第2実施形態における就寝時用具の未使用時の頭側斜視図である。
図11図10に示した状態から頭側シートをめくりあげた状態を示す頭側斜視図である。
図12】第2実施形態における過開き防止ストッパの変形例を示す正面図、平面図および右側面図である。
図13図12に示した過開き防止ストッパのフレーム体への取り付け状態の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明にかかる就寝時用具の実施形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
【0022】
(第1実施形態)
本実施形態における就寝時用具100は、図1図6に示すように、寝具としての簡易ベッド200に載置される底面シート10と、顔側シート20と、顔側シート保持体30と、胸側シート40と、頭側シート50と、係止具としての面ファスナ60を具備している。底面シート10と、顔側シート20と、胸側シート40と、頭側シート50と、のうち少なくとも顔側シート20は通気性および透湿性を有する不織布で形成されていることが好ましいが、不織布に限定されるものではない。また、本実施形態における就寝時用具100は、底面シート10と、顔側シート20と、胸側シート40と、頭側シート50とにより囲まれた空間である胸頭部被覆空間70に就寝者の胸部および頭部を進入させることで他人の視線から就寝者のプライバシーを保護するためのものである。さらに、本実施形態においては寝具として簡易ベッド200を採用した形態について説明するが、寝具は簡易ベッド200に限定されるものではなく、布団等の公知の寝具を用いることもできる。
【0023】
本実施形態における底面シート10は、頭側シート50から胸側シート40との間に敷設された第1底面シート12と、胸側シート40から就寝者の脚側に延設された第2底面シート14と、を有している。第1底面シート12と第2底面シート14は、簡易ベッド200の側の面(設置面)に取り付けられた第1ファスナ80のコマのみを有する部分により連結されている。このように第1底面シート12および第2底面シート14の簡易ベッド200の側の面に第1ファスナ80のコマ部分が取り付けられたことで、第2底面シート14を胸頭部被覆空間70から繰り出した就寝時の状態において、就寝者の背中への第1ファスナ80のコマ部分直接の接触がなくなり、違和感を軽減している。また、第1ファスナ80のスライダ付部分は、後述する胸側シート40の右側シート42Rの下端縁42Rdと左側シート42Lの下端縁42Ldにそれぞれ取り付けられている。
【0024】
顔側シート20は、上面部22と底面連結部24とを有している。上面部22は、底面シート10の幅方向寸法の2倍程度の長さを有すると共に外周縁に沿って鋼線環状コイルからなる顔側シート保持体30が取り付けられている。底面連結部24は、上面部22の長手方向両端部に取り付けられており、上面部22との取付端部と反対側の端部が底面シート10(第1底面シート12)に連結されている。また、簡易ベッド200等への設置状態における上面部22の外側面には、就寝時用具100の識別情報等を表示するためのポケット26が配設されている。ポケット26は透明材料により形成されており、氏名等の識別情報を記載した識別シート(図示はせず)を収納することで、それぞれの就寝時用具100を区別することができる。そして、上面部22の外側面には胸側シート40を係止するための面ファスナ60が複数箇所に取り付けられている。
【0025】
本実施形態において顔側シート保持体30を構成する鋼線環状コイルは、上面部22を平面にさせようとする付勢力を有している。このため、底面シート10の幅寸法よりも十分に長い長さ寸法を有する顔側シート20は、顔側シート保持体30の付勢力により図4に示すように第1底面シート12の幅方向の第1端縁12Aから第2端縁12Bまで就寝者の顔面上方を経由して上に凸の湾曲面状をなした状態で掛け渡されている。また、就寝時用具100を収納する際には、顔側シート保持体30を顔側シート20の長手方向に沿った中心軸周りに捩じり、鋼線環状コイルの線材が交差した部分で折り曲げ、鋼線環状コイルの線材どうしを重ねた状態で図示しない収納袋に収納することで顔側シート保持体30の平面領域を半分程度にすることができる。
【0026】
本実施形態における胸側シート40は、顔側シート20の上面部22の胸部側端縁に吊り下げられた外部胸側シート42と、外部胸側シート42の内側位置において顔側シート20の上面部22に吊り下げられた胸側メッシュシート44とを有している。外部胸側シート42は底面シート10の幅方向に二分割されており、就寝時における就寝者の右側になる右側シート42Rと同左側になる左側シート42Lとを有している。右側シート42Rの下端縁42Rdと左側シート42Lの下端縁42Ldとには、底面シート10に配設した第1ファスナ80のコマ部分と対になるスライダ付部分(いずれも図示はせず)が取り付けられている。なお、胸側メッシュシート44の下端部は底面シート10から離反した状態で上面部22に吊り下げ保持されている。
【0027】
また、右側シート42Rの左側端縁42Rlと左側シート42Lの右側端縁42Lrには、それぞれに沿ってスライドする第2ファスナ90が取り付けられている。就寝時用具100の未使用時においては、図1に示すように第1ファスナ80を底面シート10幅方向中央部分に向けてスライドさせることで、底面シート10と右側シート42Rおよび左側シート42Lとを係合することができる。また、第2ファスナ90を底面シート10の側に向けてスライドさせることで、右側シート42Rと左側シート42Lとを係合することができる。これら第1ファスナ80および第2ファスナ90の操作により胸頭部被覆空間70を閉塞することができ、避難所等において私物の取り間違えや盗難等の発生を抑止(防止)することができる。
【0028】
また、右側シート42Rの左側端縁42Rlと下端縁42Rdとによる角部と左側シート42Lの右側端縁42LRと下端縁42Ldとによる角部と胸側メッシュシート44の下端部には、顔側シート20の上面部22に取り付けた面ファスナ60と対になる面ファスナ60が取り付けられている。右側シート42Rおよび左側シート42Lと胸側メッシュシート44を顔側シート20に向けて跳ね上げると共に、面ファスナ60どうしを係合させることにより、図2図4に示すように胸頭部被覆空間70に開口部が形成され、就寝者の頭部の出入りを容易に行うことができる。胸頭部被覆空間70に就寝者の頭部を進入させた後、就寝者は面ファスナ60の係合を解除すれば胸頭部被覆空間70の開口をなくすことができ、外部の視線を遮断することができる。
【0029】
本実施形態における頭側シート50は、図5および図6に示すように、顔側シート20の上面部22の頭部側端縁に沿って胸頭部被覆空間70の頭側を被覆していると共に、底面シート10側の所要高さ範囲がめくりあげ可能なフラップ部52に形成されている。フラップ部52の内側(フラップ部52よりも胸頭部被覆空間70の側)には、底面シート10とフラップ部52との間を被覆する頭側メッシュシート54が取り付けられている。
【0030】
また、フラップ部52と頭側シート50の外表面には、互いに対になる面ファスナ60が取り付けられている。面ファスナ60はフラップ部52の幅方向の中央部所要幅範囲に取り付けられていて、図6に示すようにフラップ部52を頭側メッシュシート54の取り付け範囲でめくりあげた状態を維持することが可能になっている。これにより、胸頭部被覆空間70は頭側メッシュシート54の部分においては常時風通しを良好な状態にすることができる。また、フラップ部52を下げた状態においてフラップ部52の底面シート側端縁53を自由端にした状態や、フラップ部52を下げた状態においてフラップ部52の底面シート側端縁53を底面シート10から離反させた状態にしても同様の効果を得ることができる。
【0031】
本実施形態における就寝時用具100の構成によれば、使用時においては第1ファスナ80と第2ファスナ90を開放位置にスライドさせることで胸頭部被覆空間70に開口部を形成し、胸頭部被覆空間70への就寝者の頭部を容易に進入させることができる。また、未使用時や就寝場所を離れるような場合においては、第1ファスナ80と第2ファスナ90を閉塞位置にスライドさせることで胸頭部被覆空間70を閉塞し、胸頭部被覆空間70の内部状態を隠すことができ、私物の取り間違いや盗難などのトラブルを回避することができる点で好都合である。そして、胸頭部被覆空間70の開放および閉塞を可能にするための第1ファスナ80を底面シート10の底面側に取り付けることにより、就寝時において第1ファスナ80が就寝者の背中に直接接触せず、違和感による就寝の阻害を防止することができる。
【0032】
(第2実施形態)
続いて、図7図11を参照しながら第2実施形態における就寝時用具100について説明する。なお、本実施形態において第1実施形態における就寝時用具100の構成と同様の構成部分については、第1実施形態で使用した符号と同一の符号を付すことにより、ここでの詳細な説明は省略している。本実施形態における就寝時用具100は、底面シート10と、顔側シート20と、顔側シート保持体30と、胸側シート40と、頭側シート50と、係止具としての面ファスナ60を具備している点において第1実施形態と共通している。しかしながら、顔側シート20、顔側シート保持体30、頭側シート50の具体的形態が異なっている。
【0033】
本実施形態における顔側シート20は上面部22のみを有し上面部22の底面シート側端部が底面シート10に直接連結されており、底面連結部24を有していない。また、本実施形態における顔側シート保持体30は、半円弧状に形成された複数本のフレーム体32の両端部がそれぞれ軸支され、底面シート10の幅方向に延びる軸線周りに回動可能な状態に配設されている。このような形態により、互いのフレーム体32どうしの胸頭部被覆空間70の奥行方向における配設間隔を変更することができ、使用時においては顔側シート20を頭部側から胸部側の方向に展開させ、収容時においては顔側シート20を頭部側から胸部側の方向に収縮させることができる。これにより、収納時においては収納袋を用いなくても就寝時用具100をコンパクトにすることができる点で好都合である。
【0034】
また、本実施形態における顔側シート保持体30には過開き防止ストッパ34が配設されている。過開き防止ストッパ34は、図12に示すように、同一形状に形成された2本のストッパ体34Aにより構成することもできる。すなわち、ストッパ体34Aは長手方向両端部に連結孔35Aが形成された平板部35と平板部35の長手方向における一方の端縁から起立する起立部36とを有するL字型断面形状をなし、平板部35の長さが起立部36の長さよりも長く形成されている点が特徴的である。このように同一形状のストッパ体34Aの形態を採用することにより、1つの金型でストッパ体34Aを形成することができるので、過開き防止ストッパ34の製造コストを低減させることができる点においても好都合である。
【0035】
また、起立部36の長手方向中間部分には切欠部37が形成されており、ストッパ体34Aを軽量化している。さらに起立部36の長手方向両端部には肉厚部38が形成されており、起立部36および肉厚部38の連結側端面により傾斜面39が形成されている。図12の正面図にも示されているように、傾斜面39は、連結孔35Aの中心から平板部35の短手方向に離反するに伴って、連結対象のストッパ体34Aから離反する方向に傾斜している。このような形態のストッパ体34Aを用いて、図13に示すようにフレーム体32が過開きになる直前の状態(維持すべきフレーム体32の特定状態)において隣接するストッパ体34Aの傾斜面39どうしを密着させた状態(ストッパ体34Aを曲折させた状態)でフレーム体32に過開き防止ストッパ34が取り付けられている。これにより、過開き防止ストッパ34は安定した状態で顔側シート保持体30の過開きを防止することができる。
【0036】
本実施形態における頭側シート50は、頭側メッシュシート54と外部頭側シート56を有している。頭側メッシュシート54と外部頭側シート56は、顔側シート20と底面シート10との間に掛け渡すことができる長さを有している。頭側メッシュシート54と外部頭側シート56は、いずれも上面部22により吊り下げ保持され、頭側メッシュシート54の下端縁のみが底面シート10に取り付けられている。すなわち、本実施形態においては、外部頭側シート56の全体がフラップ部52を構成していることになる。また、本実施形態における外部頭側シート56には面ファスナ60が取り付けられていて、上面部22に取り付けられた面ファスナ60に係合させることで、図11に示すように外部頭側シート56をめくりあげた状態に維持させることができる。このような頭側シート50の構成を採用することにより、胸頭部被覆空間70における頭側壁面の通気性を大幅に向上させることができる。
【0037】
また、外部頭側シート56の下端縁を頭側メッシュシート54の高さ範囲内に配置させて、底面シート10から離反させた状態にすることもできる。このような形態を採用することにより、フラップ部52を閉じた状態にしても、頭側メッシュシート54が外部に露出することになるため、胸頭部被覆空間70は常に外部と連通し、十分な空気の流通を確保させることができる。さらには、外部頭側シート56の下端縁を底面シート10に連ねた形態であったとしても、外部頭側シート56の外表面に頭側メッシュシート54を露出させた状態が維持可能な位置に面ファスナ(図示はせず)を配設した形態にすることもできる。この形態によっても、外部頭側シート56の高さ方向の一部を折り畳んだ状態で外部頭側シート56に配設した面ファスナに係合することにより、頭側メッシュシート54の底面シート10の側の所要範囲を外部に露出させることができる。
【0038】
また、胸側シート40および頭側シート50を二重構造にしたことにより、外部胸側シート42や外部頭側シート56を跳ね上げた状態にしても、胸側メッシュシート44および頭側メッシュシート54が底面シート10に対する庇としての作用するため、通気性を向上させても飛沫の落下を防止する効果が期待でき、避難所等において感染症の拡大を防止することもできる。
【0039】
本実施形態における就寝時用具100の形態によれば、通気性に優れ、収納袋がなくても収納時スペースを少なくすることができる点において好都合である。
【0040】
以上、実施形態に基づいて本発明にかかる就寝時用具100について実施形態に基づいて具体的に説明をしたが、本発明にかかる就寝時用具100は、以上の実施形態に限定されるものではない。例えば、以上の実施形態においては、底面シート10が第1底面シート12と第2底面シート14とを有する形態について説明しているが、この形態に限定されるものではない。第2底面シート14の構成を省略し、底面シート10の設置面と右側シート42Rの下端縁42Rdおよび左側シート42Lの下端縁42Ldに第1ファスナ80を取り付けた形態であってもよい。この形態であっても胸頭部被覆空間70を閉塞させることができる。そしてこの形態を採用した場合には、簡易ベッド200にくくりつけて就寝時用具100を固定するための係止用紐やゴム紐環(いずれも図示はせず)を配設することが好ましい。
【0041】
また、以上の実施形態においては、胸側シート40には胸側メッシュシート44が配設され、頭側シート50には頭側メッシュシート54が配設された形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。顔側シート20、胸側シート40および頭側シート50のうちの少なくとも一部が通気性および透湿性に優れた材料で形成されていれば、胸側メッシュシート44および頭側メッシュシート54の配設を省略した形態を採用することもできる。
【0042】
そして、以上の実施形態においては、胸側シート40が右側シート42Rと左側シート42Lとにより構成されている形態を例示しているが、この形態に限定されるものではない。左右に分割されていない胸側シート40の形態を採用することもできる。
【0043】
また、以上の実施形態におけるストッパ体34Aには軽量化のために切欠部37を設けた形態について説明しているが、ストッパ体34Aの軽量化が不要な場合等においては、切欠部37の配設が省略された形態を採用することもできる。
【0044】
また、第1実施形態における上面部22の胸頭部被覆空間70の側の面には、就寝者の頭部を進入させる方向にロープ体(図示はせず)を掛け渡した形態を採用することもできる。このように胸頭部被覆空間70内にロープ体を張設することで、胸頭部被覆空間70内に洗濯物を干すことができ、洗濯物を他人に見られる心配がない点において好適である。また、就寝者がまぶしさを感じる場合には、ロープ体にタオル等をかければ、眩しさを軽減することもできる。このように胸頭部被覆空間70内に張設するロープ体の両端部は、顔側シート保持体30として用いた鋼線環状コイルに係止させることが好ましい。
【0045】
さらには、以上に説明した実施形態および各種変形例を適宜組み合わせた構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10:底面シート
12:第1底面シート,12A:第1端縁,12B:第2端縁,14:第2底面シート
20:顔側シート
22:上面部,24:底面連結部,26:ポケット
30:顔側シート保持体
32:フレーム体,34:過開き防止ストッパ,34A:ストッパ体,
35:平板部,35A:連結孔,36:起立部,37:切欠部,38:肉厚部,
39:傾斜面
40:胸側シート
42:外部胸側シート,42L:左側シート,42Ld:下端縁,42LR:右側端縁
42R:右側シート,42Rd:下端縁,42Rl:左側端縁,
44:胸側メッシュシート
50:頭側シート
52:フラップ部,53:底面シート側端縁,54:頭側メッシュシート,
56:外部頭側シート
60:面ファスナ(係止具)
70:胸頭部被覆空間
80:第1ファスナ
90:第2ファスナ
100:就寝時用具
200:簡易ベッド(寝具)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13