(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026013
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】包装システム、及び、包装方法
(51)【国際特許分類】
B65B 49/00 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
B65B49/00
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131576
(22)【出願日】2021-08-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-09-20
(71)【出願人】
【識別番号】000125912
【氏名又は名称】株式会社あじかん
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渕 康一郎
【テーマコード(参考)】
3E051
【Fターム(参考)】
3E051AA03
3E051BA01
3E051HD05
3E051HE01
3E051JA03
(57)【要約】
【課題】簡易に複数の対象物をフィルムで区分けして包装することができる包装システム、及び、包装方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る包装システムは、対象物tが配置される配置プレート11と、配置プレート11の左端側に連結する左プレート12と、配置プレート11の右端側に連結する右プレート13と、を1つのセットとし、右プレート13の右端側に別のセットの左プレート12が連結するように複数のセットが連結して構成されるプレートユニット1と、プレートユニット1の上面にフィルムを配置するフィルム配置手段2と、左プレート12と右プレート13との連結箇所を山折りに変形させる変形手段と、配置プレート11の箇所に対象物を配置する対象物配置手段3と、プレートユニット1の上面のフィルムfと対象物tとを袋bの内部に移送する袋詰め手段4と、を備える。
【選択図】
図1F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の対象物をフィルムで区分けして包装する包装システムであって、
対象物が配置される配置プレートと、前記配置プレートの左端側に連結する左プレートと、前記配置プレートの右端側に連結する右プレートと、を1つのセットとし、前記右プレートの右端側に別のセットの左プレートが連結するように複数のセットが連結して構成されるプレートユニットと、
前記プレートユニットの上面にフィルムを配置するフィルム配置手段と、
前記左プレートと前記右プレートとの連結箇所を山折りに変形させる変形手段と、
前記プレートユニットの上面に配置されたフィルム上であって、前記配置プレートの箇所に対象物を配置する対象物配置手段と、
前記変形手段によって変形した前記プレートユニットの上面のフィルムと対象物とを前記プレートユニットから袋の内部に移送する袋詰め手段と、
を備える包装システム。
【請求項2】
前記配置プレートの上面左端角部と上面右端角部とが面取りされており、
前記左プレートの下面左端角部と上面右端角部とが面取りされており、
前記右プレートの上面左端角部と下面右端角部とが面取りされている請求項1に記載の包装システム。
【請求項3】
前記フィルム配置手段によって配置されたフィルムを前記プレートユニットの上面に固定するフィルム固定手段を備える請求項1又は請求項2に記載の包装システム。
【請求項4】
前記配置プレートの左端部と第1連結具の右端部とが軸を介して回動可能に連結されているとともに、前記左プレートの右端部と前記第1連結具の左端部とが軸を介して回動可能に連結され、
前記配置プレートの右端部と第2連結具の左端部とが軸を介して回動可能に連結されているとともに、前記右プレートの左端部と前記第2連結具の右端部とが軸を介して回動可能に連結され、
前記右プレートの右端部と第3連結具の左端部とが軸を介して回動可能に連結されているとともに、前記左プレートの左端部と前記第3連結具の右端部とが軸を介して回動可能に連結されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装システム。
【請求項5】
複数の対象物をフィルムで区分けして包装する包装方法であって、
対象物が配置される配置プレートと、前記配置プレートの左端側に連結する左プレートと、前記配置プレートの右端側に連結する右プレートと、を1つのセットとし、前記右プレートの右端側に別のセットの左プレートが連結するように複数のセットが連結して構成されるプレートユニットの上にフィルムを配置するフィルム配置工程と、
前記フィルム配置工程の後に、前記左プレートと前記右プレートとの連結箇所を山折りに変形させる変形工程と、
前記変形工程の後に、前記プレートユニットの上面に配置されたフィルム上であって、前記配置プレートの箇所に対象物を配置する対象物配置工程と、
前記対象物配置工程の後に、前記フィルムと対象物とを前記プレートユニットから袋の内部に移送する袋詰め工程と、
を含む包装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の対象物を区分けして包装する包装システム、及び、包装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
対象となる品物(対象物)を包装する作業に関して、作業効率を向上させる観点や人為的ミスの発生を低減する観点などに基づき、多くの企業が自動化(オートメーション化)を検討しており、これまでにも様々な発明が創出されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、2つの物品を袋の底部及び上部に並べた状態で包装した製品を製造する包装システムであって、上部が開口した状態の袋を所定位置に供給して物品が投入された袋の上部をシールする給袋包装機と、前記所定位置に供給された袋の上方に上下に同一垂直平面内に並んで位置して物品を貯留する一対のホッパと、物品を搬送してこれらのホッパに供給する搬送手段とを有すると共に、上側のホッパを開状態かつ下側のホッパを閉状態にして下側のホッパに物品を供給し、次いで上側のホッパを閉状態にして該ホッパに物品を供給した後、両方のホッパを同時に開いて袋に2つの物品を投入するようにホッパ及び搬送手段を制御する制御手段が備えられていることを特徴とする包装システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、特許文献1のような包装システムではなく、複数の対象物を包装する際に、対象物同士が接することなく区分けされた状態で包装できるようなシステムの創出を検討した。
【0006】
ここで、複数の対象物を区分けする場合、一般的にはトレイを用いた方法が挙げられる。この方法の場合、トレイの各凹部に対象物を1つずつ配置させることになるが、対象物をトレイから取り出す際、凹部の側面部と対象物との間に指を差し込んだり、凹部を対象物とは逆側から押圧して対象物を押し出したり、といった複雑な作業が必要となってしまう。また、トレイは立体構造を呈することから、製造コストは低くないとともに、当然、廃棄の際にかさばるといった問題も生じる。
【0007】
そこで、本発明者は、複数の対象物をフィルムで区分けする方法を検討した。具体的には、
図2に示すとおり、1枚のフィルムfで複数の対象物tの間を仕切るように区分けする方法である。
この方法の場合、対象物tとフィルムfとを袋bから取り出した後、フィルムfの端を左側又は右側に広げるだけで、容易に対象物tをフィルムfから外すことができる。また、この方法によると、フィルムは単純な膜状構造を呈することから、トレイと比較して製造コストが抑えられるとともに、廃棄の際にもかさばることはない。
【0008】
しかしながら、複数の対象物tをフィルムfで区分けされた状態(
図2に示す状態)とするのは、複雑な作業が要求され、仮に、手作業で実施するとなると、作業時間だけでなく作業人数も多く必要となってしまう。
【0009】
そこで、本発明は、簡易に複数の対象物をフィルムで区分けして包装することができる包装システム、及び、包装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)複数の対象物をフィルムで区分けして包装する包装システムであって、対象物が配置される配置プレートと、前記配置プレートの左端側に連結する左プレートと、前記配置プレートの右端側に連結する右プレートと、を1つのセットとし、前記右プレートの右端側に別のセットの左プレートが連結するように複数のセットが連結して構成されるプレートユニットと、前記プレートユニットの上面にフィルムを配置するフィルム配置手段と、前記左プレートと前記右プレートとの連結箇所を山折りに変形させる変形手段と、前記プレートユニットの上面に配置されたフィルム上であって、前記配置プレートの箇所に対象物を配置する対象物配置手段と、前記変形手段によって変形した前記プレートユニットの上面のフィルムと対象物とを前記プレートユニットから袋の内部に移送する袋詰め手段と、を備える包装システム。
(2)前記配置プレートの上面左端角部と上面右端角部とが面取りされており、前記左プレートの下面左端角部と上面右端角部とが面取りされており、前記右プレートの上面左端角部と下面右端角部とが面取りされている前記1に記載の包装システム。
(3)前記フィルム配置手段によって配置されたフィルムを前記プレートユニットの上面に固定するフィルム固定手段を備える前記1又は前記2に記載の包装システム。
(4)前記配置プレートの左端部と第1連結具の右端部とが軸を介して回動可能に連結されているとともに、前記左プレートの右端部と前記第1連結具の左端部とが軸を介して回動可能に連結され、前記配置プレートの右端部と第2連結具の左端部とが軸を介して回動可能に連結されているとともに、前記右プレートの左端部と前記第2連結具の右端部とが軸を介して回動可能に連結され、前記右プレートの右端部と第3連結具の左端部とが軸を介して回動可能に連結されているとともに、前記左プレートの左端部と前記第3連結具の右端部とが軸を介して回動可能に連結されている前記1から前記3のいずれか1つに記載の包装システム。
(5)複数の対象物をフィルムで区分けして包装する包装方法であって、対象物が配置される配置プレートと、前記配置プレートの左端側に連結する左プレートと、前記配置プレートの右端側に連結する右プレートと、を1つのセットとし、前記右プレートの右端側に別のセットの左プレートが連結するように複数のセットが連結して構成されるプレートユニットの上にフィルムを配置するフィルム配置工程と、前記フィルム配置工程の後に、前記左プレートと前記右プレートとの連結箇所を山折りに変形させる変形工程と、前記変形工程の後に、前記プレートユニットの上面に配置されたフィルム上であって、前記配置プレートの箇所に対象物を配置する対象物配置工程と、前記対象物配置工程の後に、前記フィルムと対象物とを前記プレートユニットから袋の内部に移送する袋詰め工程と、を含む包装方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る包装システム、及び、包装方法によれば、簡易に複数の対象物をフィルムで区分けして包装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】プレートユニットの側面の模式図であって、プレートユニットが変形する前の状態を示す図である。
【
図1B】プレートユニットの上面にフィルムが配置された状態を示す側面の模式図である。
【
図1C】プレートユニットが変形した後の状態を示す側面の模式図である。
【
図1D】プレートユニットの上面にフィルムが配置されているとともに、配置プレートの上に対象物が配置された状態を示す側面の模式図である。
【
図1E】配置プレートの上に対象物が配置された後で、プレートユニットを左右方向(幅方向)に幅寄せを行った状態を示す側面の模式図である。
【
図1F】配置プレートに配置された対象物を袋詰め手段によって押圧する状態を示す側面の模式図である。
【
図2】対象物とフィルムとの一部が袋に入っている状態を示す斜視図である。
【
図3】配置プレートと第1連結具と第2連結具と軸との関係を説明するための斜視図であり、配置プレートと第1連結具と第2連結具を軸で連結する前の状態を示している。
【
図4】プレートユニットの側面の模式図であり、各プレートの面取りの構成を説明のために連結具を外した状態を示している。
【
図5A】配置プレートの側面の模式図であり、面取りの第1態様を示している。
【
図5B】配置プレートの側面の模式図であり、面取りの第2態様を示している。
【
図6A】プレートユニットの側面の模式図であり、変形後の第1態様を示している。
【
図6B】プレートユニットの側面の模式図であり、変形後の第2態様を示している。
【
図6C】プレートユニットの側面の模式図であり、変形後の第3態様を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る包装システム、及び、包装方法を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
なお、本明細書における上下左右は、図面に示すとおりの方向である。そして、プレートユニットの左右(左側/右側)に関しては、基本的に変形前の状態(
図1A、プレートユニットが水平な状態)での左右であり、プレートユニットの上下(上面/下面)に関しては、シートを配置する側を上(上面)、シートを配置しない側を下(下面)としている。
また、以下の説明において参照する図面は、本実施形態の構成を概略的に示したものであり、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張したり、部材の一部の図示を省略したりしているものがある。
【0014】
[包装システム]
まず、本実施形態に係る包装システムの構成について説明する。
本実施形態に係る包装システムは、
図2に示すような複数の対象物tをフィルムfで区分けして包装(袋bに封入)するシステムである。
そして、
図1A~
図1Fに示すように、本実施形態に係る包装システムは、プレートユニット1と、フィルム配置手段2と、変形手段(図示せず)と、対象物配置手段3と、袋詰め手段4と、を備える。
【0015】
(プレートユニット)
プレートユニットは、上面において、複数の対象物をフィルムで区分けするためのものであり、蛇腹状に変形できるように複数のプレートが連結して構成されたものである。
そして、
図1Aに示すように、プレートユニット1は、配置プレート11と、左プレート12と、右プレート13を1つのセットとして、複数のセットが連結して構成(左から右に、左プレート12→配置プレート11→右プレート13→左プレート12→配置プレート11→右プレート13・・・)される。
なお、
図1Cに示すように、詳細には、プレートユニット1の左端部は、所定のセット(左プレート12→配置プレート11→右プレート13)の左側に右プレート13と左支板1aが連結しており、プレートユニット1の右端部は、所定のセット(左プレート12→配置プレート11→右プレート13)の右側に左プレート12と右支板1bとが連結している。
【0016】
(プレートユニット:各プレート)
図3に示すように、配置プレート11は、上面視で略長方形を呈する板材である。そして、配置プレート11は、上面左端角部と上面右端角部とが面取りされており、4隅(左側手前部、右側手前部、左側奥部、右側奥部)に接続具r1、r2が取り付けられるように切り欠きがある。そして、配置プレート11と連結具r1、r2とは、軸aを介して回動可能に連結される。また、配置プレート11は、上面と下面とを連通する吸気孔11hを備えている。
図4に示すように、左プレート12は、基本的には、配置プレート11と同様の構成の板材であるが、下面左端角部と上面右端角部とが面取りされている点で異なる。
図4に示すように、右プレート13は、基本的には、配置プレート11と同様の構成の板材であるが、上面左端角部と下面右端角部とが面取りされている点で異なる。
なお、左プレート12と右プレート13とは、配置プレート11と同様に吸気孔を備えていてもよいが備えていなくてもよい。
【0017】
「面取りされている」とは、角部が落とされている状態であり、
図5Aのように丸面に加工(R面取り)されていてもよいし、
図5Bのように角面に加工(C面取り)されていてもよいし、図示しないが複数の角面(多角面)に加工されていてもよい。
【0018】
(プレートユニット:連結具)
図1Aに示すように、配置プレート11の左端部と第1連結具r1の右端部とが軸aを介して回動可能に連結されているとともに(軸aは
図3を参照、以下同じ)、左プレート12の右端部と第1連結具r1の左端部とが軸aを介して回動可能に連結されている。
また、配置プレート11の右端部と第2連結具r2の左端部とが軸aを介して回動可能に連結されているとともに、右プレート13の左端部と第2連結具r2の右端部とが軸aを介して回動可能に連結されている。
また、右プレート13の右端部と第3連結具r3の左端部とが軸aを介して回動可能に連結されているとともに、左プレート12の左端部と第3連結具r3の右端部とが軸aを介して回動可能に連結されている。
このように、各プレートと連結具とが回動可能に連結していることによって、
図6A、
図6B、
図6Cに示すような、様々なサイズの凹部を形成することができる。
【0019】
図3を用いて、配置プレート11と第1連結具r1と第2連結具r2との接続関係をより詳細に説明する。
図3において、手前側に位置する第1連結具r1の右端部に設けられた連結孔と、配置プレート11の左端部に設けられた連結孔と、奥側に位置する第1連結具r1の右端部に設けられた連結孔と、を軸aが連通して各部材を連結する。このように連結することによって、第1連結具r1(手前側の第1連結具r1と奥側の第1連結具r1)と配置プレート11とが軸aを中心として回動可能に連結することとなる。
また、手前側に位置する第2連結具r2の左端部に設けられた連結孔と、配置プレート11の右端部に設けられた連結孔と、奥側に位置する第2連結具r2の左端部に設けられた連結孔と、を軸aが連通して各部材を連結する。このように連結することによって、第2連結具r2(手前側の第2連結具r2と奥側の第2連結具r2)と配置プレート11とが軸aを中心として回動可能に連結することとなる。
なお、各プレートと各連結具との接続関係は、配置プレート11と第1連結具r1と第2連結具r2との接続関係と同様である。
【0020】
(フィルム配置手段)
フィルム配置手段は、プレートユニットの上面にフィルムを配置する手段である。
そして、
図1Bに示すように、フィルム配置手段2は、プレートユニット1の上方からフィルムを供給する装置である。
【0021】
(変形手段)
変形手段は、右プレートと左プレートとの連結箇所を山折りに変形させる手段であって、プレートユニットを蛇腹状に変形させる手段である。
そして、
図1Cに示すように、変形手段(図示せず)は、プレートユニット1の左右側から中央に向かって押圧する装置である。
【0022】
(対象物配置手段)
対象物配置手段は、プレートユニットの上面に配置されたフィルム上であって、配置プレートの箇所に対象物を配置する手段である。
そして、
図1Dに示すように、対象物配置手段3は、プレートユニット1の配置プレート11の上方から対象物tを供給する装置である。
【0023】
(袋詰め手段)
袋詰め手段は、フィルムと対象物とをプレートユニットから袋の内部に移送する手段である。
そして、
図1Fに示すように、袋詰め手段4は、対象物tを図の紙面奥側に押圧し、対象物tとフィルムfとを紙面奥側に位置する袋bの内部に移送する装置である。
【0024】
(対象物)
図1Eに示すように、対象物tは、配置プレート11と左プレート12と右プレート13とで区分けされる領域に適したサイズのものであれば特に限定されない。
そして、対象物の一例として、巻き寿司の巻芯が挙げられる。なお、巻き寿司の巻芯とは、巻き寿司の中央に延在する具材群のことであり、棒状の具材(又は棒状に形成された具材)の集合体である。そして、巻芯に用いられる具材としては、例えば、玉子、カニかまぼこ、干瓢、シイタケなど、巻き寿司の具となる一般的な食材であれば特に限定されない。
【0025】
[包装方法(包装システムの動作)]
次に、本実施形態に係る包装方法について、図面を参照して説明する。なお、前記した本実施形態に係る包装システムの動作も併せて説明する。
【0026】
本実施形態に係る包装方法は、フィルム配置工程と、変形工程と、対象物配置工程と、袋詰め工程と、を含み、さらに、フィルム固定工程や幅寄せ工程を含んでもよい。
以下、本実施形態に係る包装方法をライン生産に適用した場合について、工程ごとに説明する。
【0027】
(フィルム配置工程)
フィルム配置工程は、前記したプレートユニットの上にフィルムを配置する工程である。
図1Bに示すように、フィルム配置工程では、フィルム配置手段2の下(フィルム配置手段2の設置場所)にプレートユニット1が移送されると、そのタイミングで、フィルム配置手段2からフィルムfが投下され、プレートユニット1の上面にフィルムfが配置される。
【0028】
(フィルム固定工程)
フィルム固定工程は、前記したプレートユニットの上に配置されたフィルムを固定する工程である。
図3に示すように、配置プレート11は、上面と下面とを連通する吸気孔11hを備えており、フィルム固定工程では、吸気手段の上(吸気手段の設置場所)にプレートユニット1が移送されると、そのタイミングで、吸気手段が配置プレート11の下面側から吸気孔を介して吸気する。その結果、プレートユニット1の上にフィルムfがしっかりと固定されることとなる。
なお、フィルム固定工程は、前記のフィルム配置工程や後記の変形工程においてフィルムの位置のずれを防止するため、フィルム配置工程の際(又は、フィルム配置工程の後)から変形工程の前(又は、変形工程の期間中)に実施すればよい。また、フィルム固定工程は、袋詰め工程の前までのタイミングであれば、適宜、実施を継続してもよい。なお、継続してフィルム固定処理を実施する場合は、継続期間中、常に吸気手段によって移送されるプレートユニットの下面から吸気することとなる。
そして、プレートユニットとフィルムとのずれが発生し難い場合は、フィルム固定工程を省略してもよく、当該フィルム固定工程は必須の工程ではない。この場合、吸気手段は必要なく、配置プレートにも吸気孔を設ける必要はない。
【0029】
(変形工程)
変形工程は、前記したプレートユニットの右プレートと左プレートとの連結箇所を山折りに変形させる工程である。
図1Cに示すように、変形工程では、変形手段の設置場所にプレートユニット1が移送されると、そのタイミングで、変形手段がプレートユニット1の左右端(左支板1a、右支板1b)を中央に向けて押圧する。その結果、
図1Cに示すとおり、配置プレート11は生産ラインにおけるレーンの面と略平行な状態(つまり、水平な状態)を保ちつつ、右プレート13の右端部と左プレート12の左端部が立ち上がる。言い換えると、左プレート12と配置プレート11と右プレート13とで対象物tを囲むような谷部を形成するように、プレートユニット1が変形することとなる。
【0030】
(対象物配置工程)
対象物配置工程は、前記したプレートユニットの上面に配置されたフィルム上であって、配置プレートの箇所に対象物を配置する工程である。
図1Dに示すように、対象物配置工程では、対象物配置手段3の下(対象物配置手段3の設置場所)にプレートユニット1が移送されると、そのタイミングで、対象物配置手段3が対象物tを投下し、配置プレート11の上(詳細には、配置プレート11のフィルムf上)に対象物tが配置される。
【0031】
(幅寄せ工程)
幅寄せ工程は、プレートユニットを左右方向(幅方向)において狭くすることによって、左右方向における複数の対象物同士の間隔をつめる工程である。
図1Eに示すように、幅寄せ工程では、幅寄せ手段(図示せず)を用いてプレートユニット1を左右方向から押圧することによって、プレートユニット1の左プレート12の下面と右プレート13の下面とが接することとなる。その結果、この幅寄せ工程によって、左右方向における対象物t同士の間隔を狭くすることができる。
なお、変形工程において、
図1Eに示すような形状にプレートユニット1を変形できている場合は、幅寄せ工程での幅寄せ処理を行う必要はなく、当該幅寄せ工程は必須の工程ではない。
【0032】
(袋詰め工程)
袋詰め工程は、フィルムと対象物とをプレートユニットから袋の内部に移送する工程である。
図1Fに示すように、袋詰め工程では、袋詰め手段4の前方(袋詰め手段4の設置場所)にプレートユニット1(詳細には、プレートユニット1上の対象物t)が移送されると、そのタイミングで、開口した袋b側に袋詰め手段4が対象物tを押圧し、袋bの内部に対象物tとフィルムfとが移送される。
なお、袋詰め工程では、前記した吸気手段による吸気は実施されていないことから、対象物tが押圧されると、プレートユニット1に固定されていないフィルムfが対象物tと一緒に(くっついた状態で)袋bの内部に移送されることとなる。
【0033】
(その他の工程)
本実施形態に係る包装方法は、以下のアルコール吹付工程、幅調整工程、封止工程などを適宜含んでもよい。
【0034】
アルコール吹付工程とは、フィルム配置工程の前に、プレートユニット1の上面にアルコール(又はアルコールを含む液体)を吹き付ける工程である。プレートユニット1の上面にアルコールを吹き付けることによって、プレートユニットの上面とフィルムとの間の摩擦力が小さくなる一方、フィルムと対象物との間の摩擦力は小さくならないことから、袋詰め工程において、対象物とフィルムとがくっついた状態で適切に袋の内部に移送することができる。また、プレートユニットの上面にアルコールを吹き付けることによって、プレートユニットの除菌も行うことができる。
幅調整工程とは、前記した袋詰め工程において、複数の対象物とフィルムとがプレートユニット上から袋の内部に移送される間に、左右方向から幅寄せを行う工程である。幅調整工程を経ることによって、
図1Fに示す「左プレート12と右プレート13との厚さ」の分だけ、左右方向における複数の対象物のサイズが小さくなる。言い換えると、
図2に示すように、フィルムfの下面同士が接する状態となる結果、左右方向における複数の対象物tの間隔が更に狭くなり、より適切に袋bの内部に移送することができる。
封止工程とは、袋の内部に複数の対象物とフィルムとを移送した後、袋の開口部を封止する工程である。なお、この封止工程において、適宜、袋の内部を脱気する処理を実施してもよい。
そして、対象物に応じて、封止工程の後、凍結処理を施す凍結工程や殺菌処理を施す殺菌工程を適宜実施してもよい。
【0035】
[本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法の効果]
次に、本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法の効果について、適宜、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法によれば、所定の構成のプレートユニットを使用することから、複雑な作業を簡易に行うことが可能となり、ライン生産に好適に適用することができる。
具体的には、所定の構成のプレートユニットを使用することによって、プレートユニットの上面へのフィルムの配置、プレートユニットの変形、対象物の配置、袋詰め、という一連の作業をライン上で行うことが可能となる結果、作業員の負担の軽減(人員数の削減など)や、作業員による作業ミスの発生の抑制といった効果が発揮できる。
【0036】
本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法によれば、
図4に示すように、配置プレート11の上面左端角部と上面右端角部とが面取りされており、左プレート12の下面左端角部と上面右端角部とが面取りされており、右プレート13の上面左端角部と下面右端角部とが面取りされていることから、変形手段による左右からの押圧によって、簡易に所望の形状にプレートユニット1を変形させることができる。
具体的には、プレートユニット1に対して左右から力が加わると、面取りされている箇所が谷となるように各プレートが動き、その結果、
図4に示すように左プレート12と右プレート13との連結箇所が山折りに変形することになる。
【0037】
本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法によれば、フィルムをプレートユニットの上面に固定するフィルム固定手段(
図3の吸気孔11hと図示しない吸気手段)を備えていることから、
図3に示すように、配置プレート11の下面側から吸気孔11hを介して吸気することによって、プレートユニット1に対してフィルムfを適切に固定することができる。
具体的には、配置プレート11の下面側から吸気孔11hを介して吸気手段(図示せず)によって吸気すると、プレートユニット1とフィルムfとの間の空気が吸気され、プレートユニット1とフィルムfとがピッタリと吸着することになる。その結果、プレートユニット1にフィルムfを配置する作業やプレートユニット1を変形させるといった作業において、プレートユニット1に対してフィルムfがズレにくくなり、各作業を適切に実施することができる。
【0038】
本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法によれば、
図1A、
図4に示すように、配置プレート11の左端部と第1連結具r1の右端部とが軸aを介して回動可能に連結されているとともに、左プレート12の右端部と第1連結具r1の左端部とが軸aを介して回動可能に連結され、配置プレート11の右端部と第2連結具r2の左端部とが軸aを介して回動可能に連結されているとともに、右プレート13の左端部と第2連結具r2の右端部とが軸aを介して回動可能に連結され、右プレート13の右端部と第3連結具r3の左端部とが軸aを介して回動可能に連結されているとともに、左プレート13の左端部と第3連結具r3の右端部とが軸aを介して回動可能に連結されていることから、様々なサイズの凹部を形成することができる。
具体的には、
図6Aに示すとおり、プレートユニット1の変形後、第1連結具r1、第2連結具r2、第3連結具r3が、配置プレート11の上面と略平行(生産ラインにおけるレーンの面と略平行)となる場合、左右方向(幅方向)において少し大きい対象物tを配置できるサイズの凹部を形成することができる。
また、
図6Bに示すとおり、プレートユニット1の変形後、第1連結具r1、第2連結具r2が、配置プレート11の上面と略垂直となり、第3連結具r3が、配置プレート11の上面と略平行となる場合、左右方向(幅方向)において少し小さい対象物tを配置できるサイズの凹部を形成することができる。
また、
図6Cに示すとおり、配置プレート11の上面と、右プレート13の上面とが略平行になるように変形させることも可能である。この場合は、左右方向(幅方向)においてかなり大きい対象物tを配置できるサイズの凹部を形成することができる。
【0039】
なお、
図6Aでは、第1連結具r1、第2連結具r2が、配置プレート11の上面と略平行となっているが、当然、配置プレート11の上面に対して斜めになる構成(例えば、45°となる構成)にすることもできる。
更には、対象物tが円柱状である場合、複数のプレートで対象物tの上下左右方向の全周囲(
図2の方向を参照)を囲むような構成にすることも可能である。
【0040】
[本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法の変形例]
次に、本実施形態に係る包装システム、及び、包装方法変形例について、適宜、図面を参照して説明する。
変形手段としては、プレートユニットを左右から押圧する装置に加えて(又は、置き換えて)、各連結具と各プレートを連通する軸a(
図3参照)の端部をメカニカルな機構によって駆動させることにより、確実に所望の位置に各連結具を移動(つまり、プレートユニットを変形)させるような装置であってもよい。
【0041】
変形手段としては、プレートユニットを左右から中央に向けて押圧する装置を説明したが、プレートユニットの左端部又は右端部(つまり片側)を固定しつつ、固定していない端部を中央に向けて押圧する装置であってもよい。
【0042】
図1Aに示すように、プレートユニット1の配置プレート11と左プレート12と右プレート13とが、左右方向(幅方向)において同じサイズの態様を説明したが、対象物tのサイズに対応させるように、左プレート12の幅や右プレート13の幅と比較して配置プレート11の幅を広くしたり、狭くしたりしてもよい。
【0043】
例えば、対象物が巻き寿司の巻芯であって、棒状の具材の集合体である巻芯を一度にフィルム上に配置する場合は、
図1Dに示すような態様(対象物配置手段3が対象物tを投下する態様)であればよいが、玉子、カニかまぼこ、干瓢などを其々配置する場合は、複数の対象物配置手段を用いて配置するような構成としてもよい。
具体的には、変形工程の後、一つ目の対象物配置手段の下にプレートユニットが移送されると、一つ目の対象物(例えば、玉子)が投下され、その後、二つ目の対象物配置手段の下にプレートユニットが移送されると、二つ目の対象物(例えば、カニかまぼこ)が投下され、その後、三つ目の対象物配置手段の下にプレートユニットが移送されると、三つ目の対象物(例えば、干瓢)が投下されるといった構成であってもよい。
【0044】
袋詰め手段については、
図1Fに示すような対象物tを図の紙面奥側に押圧する装置を説明したが、袋bの内部に対象物tを適切に移送できれば、どのような装置であってもよい。
具体的には、複数の薄板を備えるフォーク状の構造体を用いて、対象物配置工程の後、複数の対象物が配置された配置プレートとフィルムとの間に、複数の薄板を挿入し、プレートユニットから複数の対象物(及びフィルム)を当該薄板に乗せた状態で抜き取り、そのまま、フォーク状の構造体を袋の内部に挿入して、複数の対象物(及びフィルム)を袋の内部に移送するという装置であってもよい。
【0045】
図3に示すように、フィルム固定手段として、配置プレート11の吸気孔11hと吸気手段(図示せず)を用いる態様を説明したが、この態様に限定されない。
例えば、フィルム固定手段としては、静電気を用いてフィルムfをプレートユニット1に固定する手段が挙げられる。具体的には、プレートユニット1にフィルムfが配置された状態でプレートユニット1の内部に設けた電極(又はプレートユニット1の下に設けた静電チャック)の電圧を印加して、フィルムfをプレートユニット1の上面に固定する。なお、固定を解除する場合は、電圧の印加を止めればよい。
【0046】
包装方法の各工程の順番として、フィルム配置工程→変形工程→対象物配置工程の順で説明したが、例えば、変形工程→フィルム配置工程→対象物配置工程の順でもよく、フィルム配置工程→対象物配置工程→変形工程の順でもよい。
【0047】
図1Bに示すフィルムfについては、薄膜状の構造のものであれば素材などは特に限定されないが、例えば、対象物tがドリップ(内部から流出する水分)などを発生する食材の場合、吸湿性や吸水性を有するシートなどを用いてもよい。
また、フィルムfとして、蛋白質、澱粉、糖類、増粘多糖類などの食材で構成された可食性のシートを用いてもよい。
【0048】
図2では、左右方向(幅方向)において対象物tが3つ並ぶ状態を示しているが、当然、本発明は、対象物tの個数が2つの場合でも、3つ以上の場合でも適用することができる。また、
図2では、上下方向(縦方向)において1段の対象物tが袋bに入っている状態を示しているが、2段以上の多段の対象物tを袋bに入れるといった構成としてもよい。
【0049】
図2では、各対象物tの左面と下面と右面に接するようにフィルムfによって区分けされ包装されているが、この態様に限定されない。
例えば、
図2に示すよりも、左右方向にフィルムfが長く構成されており、左右方向に余ったフィルムfが各対象物tの上面を覆うような態様であってもよい。つまり、フィルムfが各対象物tの左面と下面と右面だけでなく上面にも接する態様(全体として、各対象物tがフィルムfに区分けされるとともに包まれるような態様)であってもよい。
【0050】
図3では、各接続具について、それぞれ手前側と奥側に2つずつ設ける構成を示したが、手前側又は奥側に1つずつ設ける構成であってもよいし、手前側と奥側だけでなく、手前側と奥側の間に更に1つ以上設けることによって合計3つ以上とする構成であってもよい。
【0051】
なお、本実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、本実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0052】
1 プレートユニット
11 配置プレート
11h 連通孔
12 左プレート
13 右プレート
2 フィルム配置手段
3 対象物配置手段
4 袋詰め手段
t 対象物
f フィルム
b 袋
a 軸
r1 第1連結具(連結具)
r2 第2連結具(連結具)
r3 第3連結具(連結具)