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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026029
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20230216BHJP
【FI】
F04D29/44 M
F04D29/44 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131607
(22)【出願日】2021-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大内田 聡
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB47
3H130AB62
3H130AB65
3H130AB69
3H130BA66A
3H130CA07
3H130CA12
3H130DA02Z
3H130DD01Z
3H130EB02A
3H130EB04A
(57)【要約】
【課題】流体損失を低減する。
【解決手段】遠心圧縮機100は、シャフト210の軸方向のうち第1方向に向く第1インペラ220と、第1インペラ220と軸方向に離隔し、第1方向と反対の第2方向に向く第2インペラ230とが設けられた回転体200と、ハウジング500に形成され、第1インペラ収容室530から径方向外側に向けて延在する径方向延在部542aと、径方向延在部542aから軸方向に向けて延在する軸方向延在部542bとを有し、第1インペラ収容室530と第2インペラ収容室550とを連通させる連通路540と、第2インペラ収容室550と径方向外側に連通するディフューザ流路560と、ディフューザ流路560に設けられ、連通路540の一部を構成する貫通孔508aが形成されたベーンドディフューザ508と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの軸方向のうち第1方向に向く第1インペラと、前記第1インペラと前記軸方向に離隔し、前記第1方向と反対の第2方向に向く第2インペラとが設けられた回転体と、
前記第1インペラを収容する第1インペラ収容室と、前記第2インペラを収容する第2インペラ収容室とが形成されたハウジングと、
前記ハウジングに形成され、前記第1インペラ収容室から径方向外側に向けて延在する径方向延在部と、前記径方向延在部から前記軸方向に向けて延在する軸方向延在部とを有し、前記第1インペラ収容室と前記第2インペラ収容室とを連通させる連通路と、
前記第2インペラ収容室と径方向外側に連通するディフューザ流路と、
前記ディフューザ流路に設けられ、前記連通路の一部を構成する貫通孔が形成されたベーンドディフューザと、
を備える遠心圧縮機。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記第1インペラ収容室側から前記第2インペラ収容室側に向かって流路断面積が大きくなる、
請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記ディフューザ流路は、前記軸方向の幅が径方向外側ほど大きくなるテーパ部を有する、
請求項1または2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記連通路は、前記第1インペラ収容室から前記貫通孔に向かって周方向の幅が漸減する漸減部と、前記貫通孔から前記第2インペラ収容室に向かって周方向の幅が漸増する漸増部とを有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シャフトの軸方向に並んで前段インペラと後段インペラとが互いに背中合わせに設けられた多段圧縮機について開示がある。特許文献1に記載の多段圧縮機は、前段インペラによって圧縮した流体を後段インペラによってさらに圧縮することができる。
【0003】
特許文献1に記載の多段圧縮機は、前段インペラの外周を取り囲むように前段スクロール流路が形成された前段ハウジングを備える。また、特許文献1に記載の多段圧縮機は、後段インペラの外周を取り囲むように後段スクロール流路が形成された後段ハウジングを備える。そして、前段ハウジングと後段ハウジングの外部には、前段ハウジングの前段スクロール流路の吐出口と、後段ハウジングの後段インペラの吸気口とを接続する配管が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-193653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の多段圧縮機において、実際に圧縮流体が吐出されるのは、後段スクロール流路の吐出口である。そのため、前段ハウジングに前段スクロール流路を設ける構成は、多段圧縮機において流体損失の増大に繋がる。また、前段ハウジングと後段ハウジングの外部に、前段スクロール流路の吐出口と後段インペラの吸気口とを接続する配管を設ける構成は、多段圧縮機において流体損失の増大に繋がる。
【0006】
本開示の目的は、流体損失を低減可能な遠心圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の遠心圧縮機は、シャフトの軸方向のうち第1方向に向く第1インペラと、第1インペラと軸方向に離隔し、第1方向と反対の第2方向に向く第2インペラとが設けられた回転体と、第1インペラを収容する第1インペラ収容室と、第2インペラを収容する第2インペラ収容室とが形成されたハウジングと、ハウジングに形成され、第1インペラ収容室から径方向外側に向けて延在する径方向延在部と、径方向延在部から軸方向に向けて延在する軸方向延在部とを有し、第1インペラ収容室と第2インペラ収容室とを連通させる連通路と、第2インペラ収容室と径方向外側に連通するディフューザ流路と、ディフューザ流路に設けられ、連通路の一部を構成する貫通孔が形成されたベーンドディフューザと、を備える。
【0008】
貫通孔は、第1インペラ収容室側から第2インペラ収容室側に向かって流路断面積が大きくなってもよい。
【0009】
ディフューザ流路は、軸方向の幅が径方向外側ほど大きくなるテーパ部を有してもよい。
【0010】
連通路は、第1インペラ収容室から貫通孔に向かって周方向の幅が漸減する漸減部と、貫通孔から第2インペラ収容室に向かって周方向の幅が漸増する漸増部とを有してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、流体損失を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る遠心圧縮機の概略断面図である。
図2図2は、本実施形態に係る仕切板の概略平面図である。
図3図3は、図2中、III-III矢視図である。
図4図4は、本実施形態に係るディフューザ流路の概略拡大断面図である。
図5図5は、変形例に係る遠心圧縮機の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本実施形態に係る遠心圧縮機100の概略断面図である。遠心圧縮機100のうち、シャフト210より図1中、下側の部位は、図示された部位と大凡同じ形状であるため図示を省略する。
【0015】
図1に示すように、遠心圧縮機100は、回転体200と、軸受300と、電動モータ400と、ハウジング500とを含む。
【0016】
回転体200は、シャフト210と、第1インペラ220と、第2インペラ230とを備える。
【0017】
シャフト210は、円柱形状を有し、軸受300により回転自在に支持される。シャフト210の一端には、電動モータ400の出力軸410が取り付けられる。シャフト210は、電動モータ400により回転駆動される。
【0018】
第1インペラ220は、シャフト210の中間部に設けられ、第2インペラ230と軸受300との間に設けられる。第1インペラ220は、ハブ222と、羽根224とを有する。ハブ222は、円錐形状を有し、電動モータ400から離隔するほど外径が大きくなる。羽根224は、ハブ222の外周に設けられ、ハブ222の周方向(以下、単に周方向という)に複数形成される。
【0019】
第1インペラ220は、シャフト210と一体的に形成される。ただし、これに限定されず、第1インペラ220は、シャフト210と別体で構成され、例えば、シャフト210に圧入されてもよい。
【0020】
第2インペラ230は、シャフト210のうち電動モータ400と接続する側とは反対側の端部に設けられる。第2インペラ230は、ハブ232と、羽根234とを有する。ハブ232は、円錐形状を有し、第1インペラ220に近接するほど外径が大きくなる。羽根234は、ハブ232の外周に設けられ、ハブ232の周方向に複数形成される。
【0021】
ハブ232および羽根234の最大外径は、ハブ222および羽根224の最大外径よりも小さい。換言すれば、第2インペラ230の最大外径は、第1インペラ220の最大外径よりも小さい。ただし、これに限定されず、第2インペラ230の最大外径は、第1インペラ220の最大外径と等しい、または、大きくてもよい。
【0022】
ハブ222の底面222aとハブ232の底面232aとは、シャフト210の軸方向(以下、単に軸方向という)に対向している。つまり、第1インペラ220と第2インペラ230とは、互いに背中合わせに設けられる。このように、回転体200には、シャフト210の軸方向のうち第1方向に向く第1インペラ220と、第1インペラ220と軸方向に離隔し、第1方向と反対の第2方向に向く第2インペラとが設けられる。
【0023】
第2インペラ230は、シャフト210と一体的に形成される。ただし、これに限定されず、第2インペラ230は、シャフト210と別体で構成され、例えば、シャフト210に圧入されてもよい。
【0024】
軸受300は、シャフト210の外周面に取り付けられ、第1インペラ220と電動モータ400との間に配される。ハウジング500の内周面には、支持体310が配される。軸受300は、支持体310によりハウジング500に取り付けられる。軸受300は、シャフト210を回転自在に軸支する。本実施形態では、軸受300は、転がり軸受であり、ハウジング500内に一対設けられる。ただし、これに限定されず、軸受300は、すべり軸受であってもよい。
【0025】
電動モータ400は、ハウジング500の外部に設けられ、電力が供給されることにより、シャフト210を回転駆動させる。
【0026】
ハウジング500には、吸気口510、吸気流路520、第1インペラ収容室530、連通路540、第2インペラ収容室550、ディフューザ流路560、スクロール流路570が形成される。連通路540は、ハウジング500内において、第1インペラ収容室530と第2インペラ収容室550とを連通させる。本実施形態の連通路540は、上流連通路542、中間連通路544、下流連通路546を含む。
【0027】
本実施形態のハウジング500は、第1ハウジング502と、仕切板504と、第2ハウジング506とを含む。第1ハウジング502、仕切板504、第2ハウジング506は、互いに軸方向に接続される。第1ハウジング502、仕切板504、第2ハウジング506は、不図示の締結具により接続されてもよいし、溶接、接着等により接続されてもよい。
【0028】
第1ハウジング502は、仕切板504および第2ハウジング506よりも電動モータ400側に配される。仕切板504は、第1ハウジング502と第2ハウジング506との間に配され、第1ハウジング502と第2ハウジング506とにより挟持される。第2ハウジング506は、第1ハウジング502および仕切板504よりも電動モータ400から離隔する側に配される。
【0029】
第1ハウジング502には、吸気口510、吸気流路520、第1インペラ収容室530、上流連通路542が形成される。吸気口510は、第1ハウジング502の外部に開口し、流体としての空気が流入する流入口である。
【0030】
吸気流路520は、吸気口510および第1インペラ収容室530に接続される。吸気流路520は、吸気口510から流入する空気を第1インペラ収容室530に導く。
【0031】
第1インペラ収容室530は、第1インペラ220を収容する収容空間である。第1インペラ収容室530は、第1インペラ220の外形よりわずかに大きい形状を有する。第1ハウジング502は、分割体502a、502bを含む。分割体502a、502bは、互いに軸方向に離隔して配される。分割体502aは、第1インペラ220の羽根224の外周面と軸方向および径方向に対向して配される。分割体502bは、第1インペラ220のハブ222の底面222aと軸方向に対向して配される。分割体502a、502bの間の空間により、第1インペラ収容室530および上流連通路542が形成される。
【0032】
上流連通路542は、第1インペラ収容室530の径方向外側に形成される。上流連通路542は、環状に形成される。本実施形態では、シャフト210の中心軸線と直交する断面において、上流連通路542は、シャフト210の中心軸線を中心とした円形の断面形状、もしくは、リング状の断面形状を持つ。特に、中心軸線上、第1インペラ220の背面から表面に向かう方向に沿って、上流連通路542のシャフト210の中心軸線と直交する断面形状は、リング状の断面形状から円形の形状に移行する。また、上流連通路542の外周側の円の半径も、第1インペラ220の背面から表面に向かう方向に沿って、単調に減少している。上流連通路542は、シャフト210の径方向(以下、単に径方向という)に延在する径方向延在部542aと、軸方向に延在する軸方向延在部542bとを有する。径方向延在部542aは、第1インペラ収容室530の外径端部と連通し、第1インペラ収容室530から径方向外側に向けて延在する。軸方向延在部542bは、径方向延在部542aから軸方向に向けて延在する。
【0033】
仕切板504は、平板形状を有し、第1ハウジング502と第2ハウジング506との間に配される。仕切板504の少なくとも一部は、第1インペラ220と第2インペラ230との間に配される。仕切板504は、第1インペラ220と第2インペラ230との間の空間を仕切る。
【0034】
仕切板504の第1インペラ220側には、分割体502bが取り付けられる。分割体502bは、仕切板504により支持される。仕切板504の第2インペラ230側には、ベーンドディフューザ508が形成される。
【0035】
ベーンドディフューザ508は、仕切板504と一体的に形成される。ただし、これに限定されず、ベーンドディフューザ508は、仕切板504と別体に構成され、仕切板504に取り付けられてもよい。
【0036】
図2は、本実施形態に係る仕切板504の概略平面図である。図2に示すように、ベーンドディフューザ508は、三角形状を有する。ベーンドディフューザ508は、径方向内側ほど周方向の幅が小さくなり、径方向外側ほど周方向の幅が大きくなる。
【0037】
ベーンドディフューザ508には、貫通孔508aが形成される。一のベーンドディフューザ508に、一の貫通孔508aが形成される。貫通孔508aは、ベーンドディフューザ508のうち径方向外側に形成される。貫通孔508aは、ベーンドディフューザ508を軸方向に貫通する。また、図1に示すように、仕切板504には、貫通孔504aが形成され、貫通孔508aは、貫通孔504aと軸方向に連通している。
【0038】
図2に示すように、貫通孔504a、508aは、シャフト210の周方向に複数形成される。貫通孔504a、508aは、上流連通路542の軸方向延在部542bと軸方向に連通している。
【0039】
貫通孔504a、508aの径方向の位置は、上流連通路542の軸方向延在部542bの径方向の位置と等しい。また、貫通孔504a、508aの径方向の幅は、上流連通路542の軸方向延在部542bの径方向の幅と等しい。ここで、等しいとは、完全に等しい場合と、許容誤差(加工精度や組付誤差等)の範囲内で完全に等しい場合からずれている場合とを含む意味である。以下、等しい、または、同じとは、完全に等しい(同じ)場合と、許容誤差(加工精度や組付誤差等)の範囲内で完全に等しい(同じ)場合からずれている場合とを含む意味である。貫通孔504a、508aは、円環状の軸方向延在部542bの一部と等しい形状を有する。本実施形態の貫通孔504a、508aは、円弧状に形成される。
【0040】
図1に戻り、第2ハウジング506は、分割体506a、506bを含む。分割体506aは、分割体506bと仕切板504との間に配される。分割体506bは、分割体506a、仕切板504を支持する。分割体506a、506b、仕切板504により、下流連通路546、第2インペラ収容室550、ディフューザ流路560、スクロール流路570が形成される。
【0041】
分割体506aには、貫通孔506cが形成される。貫通孔506cは、シャフト210の周方向に複数形成される。貫通孔506cは、貫通孔504a、508aと軸方向に連通している。また、貫通孔506cの径方向の位置は、貫通孔504a、508a、および、上流連通路542の軸方向延在部542bの径方向の位置と等しい。貫通孔506cの径方向の幅は、貫通孔504a、508a、および、上流連通路542の軸方向延在部542bの径方向の幅と等しい。貫通孔506cは、貫通孔504a、508aを介して上流連通路542と連通している。
【0042】
図3は、図2中、III-III矢視図である。図3では、貫通孔504a、508a、506cを平面状に展開して表している。図3に示すように、貫通孔504aは、一端が上流連通路542に接続され、他端が貫通孔508aに接続される。貫通孔508aは、一端が貫通孔504aに接続され、他端が貫通孔506cに接続される。貫通孔506cは、一端が貫通孔508aに接続され、他端が下流連通路546に接続される。貫通孔504a、508a、506cは、上流連通路542と下流連通路546とを連通させる中間連通路544を形成する。つまり、貫通孔504a、508a、506cは、連通路540の一部を構成する。
【0043】
貫通孔504aは、上流連通路542から下流連通路546に向かって周方向の流路幅が漸減するテーパ形状を有する。このように、貫通孔504aは、第1インペラ収容室530からベーンドディフューザ508の貫通孔508aに向かって周方向の幅が漸減する漸減部として機能する。貫通孔504aがテーパ形状を有することにより、上流連通路542を流れる流体を滑らかに貫通孔508aに導入させることができ、圧力損失を低減することができる。
【0044】
貫通孔508aは、周方向および径方向に一定の流路幅を有する。ただし、これに限定されず、貫通孔508aの流路幅は、周方向あるいは径方向に変化してもよい。貫通孔506cは、上流連通路542から下流連通路546に向かって周方向の流路幅が漸増するテーパ形状を有する。このように、貫通孔506cは、ベーンドディフューザ508の貫通孔508aから第2インペラ収容室550に向かって周方向の幅が漸増する漸増部として機能する。貫通孔506cがテーパ形状を有することにより、貫通孔508aを流れる流体を滑らかに下流連通路546に導入させることができ、圧力損失を低減することができる。
【0045】
図1に戻り、下流連通路546は、断面がU字形状に形成され、一端が貫通孔506cに接続され、他端が第2インペラ収容室550に接続される。下流連通路546は、第2インペラ230に空気を供給する流路である。連通路540を介し、シャフト210の中心軸線の一方側に向かって供給されてきた空気は、連通路540で折り返され、シャフト210の中心軸線の一方側に向かう速度成分をもって、第2インペラ230に供給される。つまり、下流連通路546のシャフト210の中心軸線の他方側の断面では、下流連通路546の上流側に対応する外周側のリング状の流路断面と、下流連通路546の下流側に対応する円形の流路断面が形成されており、円形の流路断面はリング状の流路断面の内側にある。また、第2ハウジング506には第2インペラ230と対面し、シャフト210の中心軸線の一方側に向かい拡径する部材を備える。当該部材が、下流連通路546の外周面の一部を形成している。上流連通路542、貫通孔504a、508a、506c、下流連通路546は、第1インペラ収容室530と第2インペラ収容室550とを連通させる。下流連通路546は、分割体506a、506b間の軸方向に離隔する空間に形成される。
【0046】
第2インペラ収容室550は、第2インペラ230を収容する収容空間である。第2インペラ収容室550は、第2インペラ230の外形よりわずかに大きい形状を有する。分割体506aは、第2インペラ230の羽根234の外周面と軸方向および径方向に対向して配される。仕切板504は、第2インペラ230のハブ232の底面232aと軸方向に対向して配される。分割体506aおよび仕切板504の間の空間により、第2インペラ収容室550、ディフューザ流路560、スクロール流路570が形成される。
【0047】
ディフューザ流路560は、第2インペラ収容室550の径方向外側に形成され、第2インペラ収容室550と径方向外側に連通する。ディフューザ流路560は、円環形状を有し、径方向内側において第2インペラ収容室550と連通し、径方向外側においてスクロール流路570と連通する。
【0048】
図4は、本実施形態に係るディフューザ流路560の概略拡大断面図である。図4に示すように、ディフューザ流路560は、内径部562と、テーパ部564と、外径部566とを有する。
【0049】
内径部562は、一端が第2インペラ収容室550に接続され、他端がテーパ部564に接続される。内径部562の軸方向の幅は、一定である。
【0050】
テーパ部564は、一端が内径部562に接続され、他端が外径部566に接続される。テーパ部564の軸方向の幅は、径方向外側ほど大きくなる。具体的に、テーパ部564の軸方向の幅は、径方向外側ほど漸増している。このように、テーパ部564は、径方向外側ほど軸方向の幅が漸増するテーパ形状を有する。
【0051】
テーパ部564には、ベーンドディフューザ508が配される。ベーンドディフューザ508は、一端が仕切板504に接続され、他端が第2ハウジング506の分割体506aに接続される。ベーンドディフューザ508の軸方向の幅は、テーパ部564の軸方向の幅と等しい。そのため、ベーンドディフューザ508の軸方向の幅は、径方向外側ほど漸増している。ベーンドディフューザ508は、径方向外側ほど軸方向の幅が漸増するテーパ形状を有する。
【0052】
上述したように、ベーンドディフューザ508には、貫通孔508aが形成される。そのため、ベーンドディフューザ508の周方向の幅は、貫通孔508aの周方向の幅以上に大きく形成する必要がある。ベーンドディフューザ508の周方向の幅を大きくすると、ディフューザ流路560の周方向の流路幅が小さくなる。ディフューザ流路560の流路幅が小さくなると、第2インペラ230を通過した後の流体の圧力をディフューザ流路560で高めることが困難になる。
【0053】
そのため、ディフューザ流路560は、ベーンドディフューザ508が設けられるテーパ部564において、径方向外側ほど軸方向の流路高さを高くしている。これにより、ディフューザ流路560は、ベーンドディフューザ508に貫通孔508aが形成される場合においても、第2インペラ230を通過した後の流体の圧力を高めるために必要な容積を確保することができる。
【0054】
外径部566は、一端がテーパ部564に接続され、他端がスクロール流路570に接続される。外径部566の軸方向の幅は、一定である。
【0055】
スクロール流路570は、一端が外径部566に接続され、他端が第2ハウジング506の外部に開口する吐出口に接続される。スクロール流路570は、環状に形成される。スクロール流路570は、例えば、ディフューザ流路560よりもシャフト210の径方向外側に位置する。
【0056】
シャフト210が回転し第1インペラ220が回転すると、吸気口510から吸気流路520内に空気が吸気される。吸気された空気は、第1インペラ220の羽根224の間を流通する過程において加圧加速される。加圧加速された空気は、上流連通路542、貫通孔504a、508a、506c、下流連通路546を通って、第2インペラ230に供給される。第2インペラ230に供給された空気は、第2インペラ230の羽根234の間を流通する過程においてさらに加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路560およびスクロール流路570で昇圧される。
【0057】
以上説明したように、遠心圧縮機100では、第1インペラ収容室530から径方向外側に向けて延在する径方向延在部542aと、径方向延在部542aから軸方向に向けて延在する軸方向延在部542bとを有する上流連通路542を備える。これにより、ハウジング500にスクロール流路570とは別のスクロール流路を形成することなく、第1インペラ220を通過した後の流体を第2インペラ230に向けて導くことができる。つまり、ハウジング500に単一のスクロール流路570を形成することができる。
【0058】
また、ベーンドディフューザ508には、貫通孔508aが形成される。貫通孔508aは、第1インペラ収容室530と第2インペラ収容室550とを連通する連通路540の一部を形成する。これにより、ハウジング500の外部に配管を設けずとも、ハウジング500の内部で第1インペラ220を通過した圧縮流体を第2インペラ230に導くことができる。その結果、遠心圧縮機100の流体損失を低減することができる。
【0059】
ディフューザ流路560は、軸方向の幅が径方向外側ほど大きくなるテーパ部564を有する。そのため、ディフューザ流路560は、ベーンドディフューザ508に貫通孔508aが形成される場合でも、第2インペラ230を通過した後の流体の圧力を高めるために必要な容積を確保することができる。
【0060】
連通路540は、第1インペラ収容室530から貫通孔508aに向かって周方向の幅が漸減する漸減部と、貫通孔508aから第2インペラ収容室550に向かって周方向の幅が漸増する漸増部とを有する。そのため、上流連通路542を流れる流体を滑らかに貫通孔508aに導入させることができ、また、貫通孔508aを流れる流体を滑らかに下流連通路546に導入させることができ、圧力損失を低減することができる。
【0061】
(変形例)
図5は、変形例に係る遠心圧縮機1000の概略断面図である。上記実施形態の遠心圧縮機100と実質的に等しい構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。本変形例の連通路1540は、上記実施形態の連通路540と異なる形状を有する。連通路1540以外の構成については、上記実施形態の遠心圧縮機100と同じである。
【0062】
図5に示すように、ベーンドディフューザ508には、貫通孔1508aが形成される。本変形例の貫通孔1508aは、上記実施形態の貫通孔508aと異なり、第1インペラ収容室530側から第2インペラ収容室550側に向かって流路断面積が大きくなる。具体的に、貫通孔1508aの径方向の幅は、第1インペラ収容室530側から第2インペラ収容室550側に向かって漸増する。
【0063】
また、貫通孔1508aの流路断面積が増加した分、貫通孔1506cの径方向の幅は、上記実施形態の貫通孔504aの径方向の幅よりも大きくなる。したがって、貫通孔1506cの流路断面積は、上記実施形態の貫通孔504aの流路断面積よりも大きくなる。さらに、貫通孔1506cの流路断面積の拡大に伴い、下流連通路1546の流路断面積も、上記実施形態の下流連通路546の流路断面積よりも大きく形成される。
【0064】
本変形例によれば、連通路1540のうち、仕切板504の貫通孔504aよりも第2インペラ収容室550側の流路断面積が、上記実施形態よりも大きく形成される。これにより、本変形例では、連通路540の一部をディフューザ流路として機能させることができ、上記実施形態に比べ、流体の圧力を高めることができる。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】
上記実施形態では、ディフューザ流路560にテーパ部564が形成される例について説明した。しかし、これに限定されず、ディフューザ流路560にテーパ部564が形成されなくてもよい。
【0067】
上記実施形態では、連通路540が漸減部と漸増部とを有する例について説明した。しかし、これに限定されず、連通路540は、漸減部と漸増部とが形成されなくてもよい。
【符号の説明】
【0068】
100 遠心圧縮機
200 回転体
210 シャフト
220 第1インペラ
222 ハブ
222a 底面
224 羽根
230 第2インペラ
232 ハブ
232a 底面
234 羽根
300 軸受
310 支持体
400 電動モータ
410 出力軸
500 ハウジング
502 第1ハウジング
504 仕切板
504a 貫通孔(漸減部)
506 第2ハウジング
506c 貫通孔(漸増部)
508 ベーンドディフューザ
508a 貫通孔
510 吸気口
520 吸気流路
530 第1インペラ収容室
540 連通路
542 上流連通路
542a 径方向延在部
542b 軸方向延在部
544 中間連通路
546 下流連通路
550 第2インペラ収容室
560 ディフューザ流路
562 内径部
564 テーパ部
566 外径部
570 スクロール流路
1000 遠心圧縮機
1506c 貫通孔
1508a 貫通孔
1540 連通路
1546 下流連通路
図1
図2
図3
図4
図5