(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026034
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】制御装置、充電システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/12 20060101AFI20230216BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230216BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230216BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20230216BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
H02J1/12
H02J7/00 P
H02J7/02 A
H02J1/00 306K
H02M3/00 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131616
(22)【出願日】2021-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】河合 智成
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
5H730
【Fターム(参考)】
5G165DA01
5G165DA06
5G165EA06
5G165GA09
5G165HA20
5G165JA07
5G165JA09
5G165MA01
5G165MA10
5G165NA01
5G165NA03
5G165NA05
5G503AA01
5G503BB01
5G503CC08
5G503DA16
5G503DA18
5G503FA06
5G503GA01
5G503GD03
5G503GD06
5H730AA14
5H730AS17
5H730BB57
5H730FG07
(57)【要約】
【課題】電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる制御装置、充電システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】制御装置7は、複数の電力変換器50のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得部74と、複数の電力変換器50のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置5における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する設定部76と、設定部76において設定された動作に基づいて、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を制御する制御部78と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器を複数備える電力変換装置の動作を制御する制御装置であって、
複数の前記電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得部と、
複数の前記電力変換器のそれぞれの前記出力値毎の前記電力変換効率に基づいて、前記電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する設定部と、
前記設定部において設定された前記動作に基づいて、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を制御する制御部と、を備える、制御装置。
【請求項2】
前記設定部は、複数の前記電力変換器のそれぞれに対して変換する電力の割り当てを設定し、
前記制御部は、前記設定部において設定された前記割り当てに基づいて、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を制御する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記電力変換装置から出力される出力電力に対して前記最適化計算を行い、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記電力変換装置から出力される前記出力電力が前記電力変換装置の定格出力容量よりも小さい場合に前記最適化計算を行い、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記電力変換装置に入力される入力電力に対して前記最適化計算を行い、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記入力電力が所定電力よりも低下した場合に前記最適化計算を行い、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記取得部は、複数の前記電力変換器のそれぞれの定格出力容量を取得し、
前記設定部は、複数の前記電力変換器のそれぞれにおいて前記定格出力容量を超えないように前記最適化計算を行い、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記設定部は、複数の前記電力変換器のそれぞれの前記出力値毎の前記電力変換効率に基づいて効率データを生成し、当該効率データにおいて複数の前記電力変換器のそれぞれが前記定格出力容量で最高効率となる場合、前記電力変換器における前記最高効率での動作を優先的に設定する、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記設定部は、複数の前記電力変換器のそれぞれの前記出力値毎の前記電力変換効率に基づいて効率データを生成し、当該効率データにおいて複数の前記電力変換器のそれぞれが前記定格出力容量で最高効率とならない場合、複数の前記電力変換器のそれぞれに動作を分散する分散動作を優先的に設定する、請求項7に記載の制御装置。
【請求項10】
前記設定部は、複数の前記電力変換器のそれぞれの前記出力値毎の前記電力変換効率に基づいて効率データを生成し、複数の前記電力変換器において前記効率データの特性が異なる場合、前記効率データに基づいて前記出力値と前記電力変換効率との関係を有する領域を複数設定して、当該領域に基づいて複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記設定部は、複数の前記電力変換器のそれぞれの前記出力値毎の前記電力変換効率に基づいて効率データを生成し、
複数の前記電力変換器のそれぞれの電力変換効率の実測値を取得し、前記効率データと前記電力変換効率の前記実測値との差異を算出して、当該差異が閾値以上である場合に報知する報知部を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
電力変換器を複数備える電力変換装置と、
請求項1~11のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記電力変換装置から出力される電力で充電を行う充電装置と、を備える、充電システム。
【請求項13】
電力変換器を複数備える電力変換装置の動作を制御する制御方法であって、
複数の前記電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得ステップと、
複数の前記電力変換器のそれぞれの前記出力値毎の前記電力変換効率に基づいて、前記電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する設定ステップと、
前記設定ステップおいて設定された前記動作に基づいて、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を制御する制御ステップと、を含む、制御方法。
【請求項14】
電力変換器を複数備える電力変換装置の動作を制御する制御プログラムであって、
複数の前記電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得ステップと、
複数の前記電力変換器のそれぞれの前記出力値毎の前記電力変換効率に基づいて、前記電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を設定する設定ステップと、
前記設定ステップおいて設定された前記動作に基づいて、複数の前記電力変換器のそれぞれの動作を制御する制御ステップと、をコンピュータに実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、充電システム、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電力変換器を備えるシステムにおいて、電力変換器の動作を制御する制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電力変換器を備える電力変換装置では、複数の電力変換器のそれぞれにおいて電力変換を行って出力させることができるため、複数の電力変換器のそれぞれにおいて最高効率で動作させることが可能となる。ここで、一般的に、電力変換器の最高効率は、定格出力容量での動作に設定されている場合が多い。しかし、電力変換装置では、複数の電力変換器のいずれかが、定格出力容量よりも小さい電力で変換を行う場合がある。この場合、制御装置は、電力変換器のオン・オフを切り替えたり、予め設定された順番に基づいて動作させる電力変換器を一律に選択したりする等の制御を実施する。この制御では、一又は複数の電力変換器が定格出力容量以外で動作するため、電力の変換効率が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる制御装置、充電システム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る制御装置は、電力変換器を複数備える電力変換装置の動作を制御する制御装置であって、複数の電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得部と、複数の電力変換器のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する設定部と、設定部において設定された動作に基づいて、複数の電力変換器のそれぞれの動作を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本発明に係る制御装置では、複数の電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する。これにより、制御装置では、電力変換器の出力毎の固有の電力変換効率を取得することができる。制御装置は、出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御装置では、電力変換器が定格出力容量以外で動作する場合であっても、変力変換効率が良い電力変換器において電力の変換をさせることができる。したがって、制御装置では、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0008】
設定部は、複数の電力変換器のそれぞれに対して変換する電力の割り当てを設定し、制御部は、設定部において設定された割り当てに基づいて、複数の電力変換器のそれぞれの動作を制御してもよい。この構成では、電力変換装置における電力の変換効率が最適となるように電力変換器の動作を制御することができる。
【0009】
設定部は、電力変換装置から出力される出力電力に対して最適化計算を行い、複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定してもよい。負荷からの要求電力に変動が生じ、電力変換装置からの出力電圧が定格出力容量よりも小さくなると、電力変換器において最大効率での電力変換が行えなくなり得る。制御装置では、出力電力に応じて電力変換装置における電力の変換効率が最適となるように最適化計算を行い、複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御装置では、出力電力に変動が生じた場合であっても、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0010】
設定部は、電力変換装置から出力される出力電力が電力変換装置の定格出力容量よりも小さい場合に最適化計算を行い、複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定してもよい。この構成では、出力電力に変動が生じて定格出力容量よりも小さくなった場合であっても、最適な効率で電力変換を行うことができる。
【0011】
設定部は、電力変換装置に入力される入力電力に対して最適化計算を行い、複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定してもよい。電源からの入力電圧に変動が生じ、電力変換装置からの出力電圧が定格出力容量よりも小さくなると、電力変換器において最大効率での電力変換が行えなくなり得る。制御装置では、入力電力に応じて電力変換装置における電力の変換効率が最適となるように最適化計算を行い、複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御装置では、入力電力に変動が生じた場合であっても、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0012】
設定部は、入力電力が所定電力よりも低下した場合に最適化計算を行い、複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定してもよい。例えば、分散型電源(太陽電池等)から電力が入力される場合、入力電圧に変動が生じ得る。制御装置では、入力電圧に変動が生じて所定電力(定格出力容量等)よりも低下した場合に最適化掲載を行って動作を設定するため、入力電力に変動が生じた場合であっても、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0013】
取得部は、複数の電力変換器のそれぞれの定格出力容量を取得し、設定部は、複数の電力変換器のそれぞれにおいて定格出力容量を超えないように最適化計算を行い、複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定してもよい。この構成では、電力変換器において定格出力容量を超える動作が実行されることを回避できるため、電力変換器に故障等の不具合が生じることを抑制できる。
【0014】
設定部は、複数の電力変換器のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成し、当該効率データにおいて複数の電力変換器のそれぞれが定格出力容量で最高効率となる場合、電力変換器における最高効率での動作を優先的に設定してもよい。この構成では、一又は複数の電力変換器を最高効率で動作させることができるため、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0015】
設定部は、複数の電力変換器のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成し、当該効率データにおいて複数の電力変換器のそれぞれが定格出力容量で最高効率とならない場合、複数の電力変換器のそれぞれに動作を分散する分散動作を優先的に設定してもよい。この構成では、複数の電力変換器のそれぞれを最高効率で動作させることができるため、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0016】
設定部は、複数の電力変換器のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成し、複数の電力変換器において効率データの特性が異なる場合、効率データに基づいて出力値と電力変換効率との関係を有する領域を複数設定して、当該領域に基づいて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定してもよい。この構成では、領域に基づいて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定するため、電力変換装置における電力の変換効率が最適となるように電力変換器の動作を制御することができる。
【0017】
設定部は、複数の電力変換器のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成し、複数の電力変換器のそれぞれの電力変換効率の実測値を取得し、効率データと電力変換効率の実測値との差異を算出して、当該差異が閾値以上である場合に報知する報知部を備えていてもよい。この構成では、実測値との間にずれが生じていることを報知することができる。これにより、効率データの修正等を行うことが可能となる。
【0018】
本発明に係る充電システムは、電力変換器を複数備える電力変換装置と、上記の制御装置と、電力変換装置から出力される電力で充電を行う充電装置と、を備える。
【0019】
本発明に係る充電システムでは、上記の制御装置を備えている。そのため、充電システムでは、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0020】
本発明に係る制御方法は、電力変換器を複数備える電力変換装置の動作を制御する制御方法であって、複数の電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得ステップと、複数の電力変換器のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する設定ステップと、設定ステップおいて設定された動作に基づいて、複数の電力変換器のそれぞれの動作を制御する制御ステップと、を含む。
【0021】
本発明の係る制御方法では、複数の電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する。これにより、制御方法では、電力変換器の出力毎の固有の電力変換効率を取得することができる。制御方法では、出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御方法では、電力変換器が定格出力容量以外で動作する場合であっても、変力変換効率が良い電力変換器において電力の変換をさせることができる。したがって、制御方法では、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0022】
本発明に係る制御プログラムは、電力変換器を複数備える電力変換装置の動作を制御する制御プログラムであって、複数の電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得ステップと、複数の電力変換器のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する設定ステップと、設定ステップおいて設定された動作に基づいて、複数の電力変換器のそれぞれの動作を制御する制御ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0023】
本発明に係る制御プログラムでは、複数の電力変換器のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する。これにより、制御プログラムでは、電力変換器の出力毎の固有の電力変換効率を取得することができる。制御プログラムでは、出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御プログラムでは、電力変換器が定格出力容量以外で動作する場合であっても、変力変換効率が良い電力変換器において電力の変換をさせることができる。したがって、制御プログラムでは、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電力変換装置における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る充電システムの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、記憶部に記憶されている効率情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、電力変換器の効率情報をグラフとしてイメージ化した図である。
【
図7】
図7は、電力変換器の効率情報をグラフとしてイメージ化した図である。
【
図8】
図8は、効率データの生成方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、領域の設定方法を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、領域の設定方法をイメージ的に示すものである。
【
図11】
図11は、効率データと実測値とを差異を説明するための図である。
【
図12】
図12は、制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第二実施形態に係る制御システムの構成を示す図である。
【
図14】
図14は、制御装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0027】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る車両充電システムを示す図である。
図1に示されるように、車両充電システム1は、EV(Electric Vehicle)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle)等の車両Vの蓄電池(図示省略)を充電するシステムである。車両充電システム1では、一又は複数の車両Vの充電を行うことが可能である。車両充電システム1では、電源100から供給される電力を使用して車両Vを充電する。電源100は、例えば、商用電力であり、交流電力(三相200V)を供給する。
【0028】
車両充電システム1は、計測器3と、電力変換装置5と、制御装置7と、充電装置9と、を備えている。
【0029】
計測器3は、電源100から電力変換装置5に供給される電力を計測する。
図2は、計測器3の構成を示す図である。
図2に示されるように、計測器3は、電圧計測部30と、電流計測部32と、算出部34と、通信部36と、を有している。
【0030】
電圧計測部30は、電源100から電力変換装置5に供給される出力電圧を計測する。電圧計測部30は、計測した電圧値を算出部34に出力する。電流計測部32は、電源100から電力変換装置5に供給される出力電流を計測する。電流計測部32は、計測した電流値を算出部34に出力する。
【0031】
算出部34は、電圧計測部30から出力された電圧値と、電流計測部32から出力された電流値とに基づいて、電力値を算出する。算出部34は、電力値、電圧値及び電流値を含む計測情報を通信部36に出力する。通信部36は、制御装置7と通信を行う。通信部36は、制御装置7と有線通信又は無線通信を行う。通信部36は、算出部34から出力された計測情報を制御装置7に送信する。
【0032】
図1に示されるように、電力変換装置5は、電源100から供給される電力を変換して充電装置9に供給する。電力変換装置5は、複数の電力変換器50を有している。本実施形態では、電力変換装置5は、四つの電力変換器50を有している。本実施形態では、電力変換器50は、単相変圧器である。電力変換装置5は、交流電力を単相電力に変換して充電装置9に供給する。電力変換器50のそれぞれの定格出力容量は、例えば、10kWである。この場合、電力変換装置5は、40kWの出力が可能である。以下の説明においては、四つの電力変換器50を、電力変換器50A、電力変換器50B、電力変換器50C及び電力変換器50Dと区別して記載する場合もある。
【0033】
複数の電力変換器50のそれぞれは、同様の構成を有している。そのため、一つの電力変換器50を一例に、電力変換器50の構成について説明する。
図3は、電力変換器50の構成を示す図である。
図3に示されるように、電力変換器50は、電流センサ500と、第一コンデンサ部502と、スイッチング部504と、リアクトル部506と、第二コンデンサ部508と、電圧センサ510と、出力制御部512と、記憶部514と、通信部516と、を有している。
【0034】
電流センサ500は、電源100から電力変換装置5に供給される出力電流を検出する。電流センサ500は、検出した出力電流の電流値を出力制御部512に出力する。第一コンデンサ部502は、電源100から供給された入力電力を平滑化する。
【0035】
スイッチング部504は、複数のスイッチング素子(図示省略)を有している。スイッチング素子は、電気的な開閉を切り替え可能な要素である。スイッチング素子としては、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、及びバイポーラトランジスタ等が用いられる。
【0036】
リアクトル部506及び第二コンデンサ部508は、スイッチング部504から出力された出力電力を平滑化する。電圧センサ510は、電力変換器50の出力電圧を検出する。電圧センサ510は、検出した出力電圧の電圧値を出力制御部512に出力する。
【0037】
出力制御部512は、電力変換器50の動作を制御する。出力制御部512は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等、及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納され得る。
【0038】
出力制御部512は、スイッチング部504を制御することによって、充電装置9に供給される出力電力の大きさ(容量)を制御する。出力制御部512は、制御装置7からの制御指示に基づいて、スイッチング部504を制御する。電力制御は、例えば、位相シフト制御を用いて行われる。出力制御部512は、スイッチング部504のオン期間を変更することによって、交流電力の大きさ(周波数)を変更する位相シフト制御を実施する。出力制御部512は、スイッチング部504の複数のスイッチング素子への駆動信号を用いて、各スイッチング素子のスイッチング周波数を調整し、各スイッチング素子のオン期間を変更する。
【0039】
出力制御部512は、制御装置7からの情報要求信号に応じて、記憶部514に記憶されている後述の効率情報及び定格情報を通信部516から制御装置7に送信するように制御する。出力制御部512は、電流センサ500から出力された電流値及び電圧センサ510から出力された電圧値に基づいて、電力変換器50における出力電力を算出する。出力制御部512は、出力電力に係る電力情報を記憶部514及び通信部516に出力する。
【0040】
記憶部514は、各種情報を記憶し得る。記憶部514には、電力変換器50の電力変換効率に係る効率情報が記憶されている。
図4は、記憶部514に記憶されている効率情報の一例を示す図である。
図4に示されるように、効率情報では、出力容量[kW]と、効率[%]とが対応付けられている。
図4に示す例では、出力1kW毎に効率が対応付けられている。
図4に示す例では、出力1kW毎に効率が対応付けられているが、出力容量は適宜設定されればよく、例えば0.5kW毎等であってもよい。記憶部514に記憶されている効率情報は、変更(書き換え)可能である。
【0041】
記憶部514には、電力変換器50の定格出力容量に係る定格情報が記憶されている。本実施形態では、記憶部514には、電力変換器50の定格出力容量として、10KWを示す定格情報が記憶されている。記憶部514は、出力制御部512から出力された電力情報を記憶する。
【0042】
通信部516は、制御装置7と通信を行う。通信部516は、制御装置7と有線通信又は無線通信を行う。通信部516は、制御装置7から制御指示を受信する。通信部516は、制御指示を出力制御部512に出力する。通信部516は、出力制御部512の指示に基づいて、記憶部514に記憶されている効率情報及び定格情報を制御装置7に送信する。通信部516は、出力制御部512から出力された電力情報を制御装置7に送信する。
【0043】
図1に示されるように、制御装置7は、電力変換装置5の動作を制御する。制御装置7は、集積回路に実装されたコンピュータシステムあるいはプロセッサである。監視制御装置14は、CPU、ROM、RAM等、及び入出力インターフェース等から構成される。ROMには、各種プログラム又はデータが格納されている。
図5は、制御装置7の構成を示す図である。
図5に示されるように、制御装置7は、通信部70と、記憶部72と、取得部74と、設定部76と、制御部78と、報知部80と、を有している。
【0044】
通信部70は、計測器3、電力変換装置5(電力変換器50)及び充電装置9と通信を行う。通信部70は、計測器3から送信された計測情報を受信する。通信部70は、計測情報を記憶部72に出力する。通信部70は、電力変換装置5の電力変換器50のそれぞれから、効率情報、定格情報及び電力情報を受信する。通信部70は、効率情報、定格情報及び電力情報を記憶部72に出力する。通信部70は、充電装置9から要求指示を受信する。通信部516は、要求指示を設定部76に出力する。
【0045】
記憶部72は、各種情報を記憶し得る。記憶部72は、通信部70から出力された計測情報、効率情報、定格情報及び電力情報を記憶する。記憶部72には、制御プログラムPが記憶されている。制御プログラムPは、制御装置7を動作させるためのプログラムであり、制御部78による制御等が実行されるようにコンピュータ等を動作させる。
【0046】
制御プログラムPは、複数の電力変換器50のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する取得ステップと、複数の電力変換器50のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置5における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する設定ステップと、設定ステップおいて設定された動作に基づいて、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を制御する制御ステップと、をコンピュータに実行させる。制御プログラムPは、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等の有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、制御プログラムPは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0047】
取得部74は、複数の電力変換器50のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する。取得部74は、記憶部72に記憶されている効率情報を取得して設定部76に出力する。取得部74は、複数の電力変換器50のそれぞれについて、定格出力容量を取得する。取得部74は、記憶部72に記憶されている定格情報を取得して設定部76に出力する。
【0048】
設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれの出力値(出力容量)毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置5における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。設定部76は、記憶部72に記憶されている効率情報に基づいて、電力変換器50毎の効率データを生成する。設定部76は、効率情報(出力容量[kW]、効率[%])から得られるグラフに対して近似曲線を作成し、多項式を求める。近似曲線は、一次以上の曲線であり、次数に関しては指定しない。設定部76は、多項式を効率データとして設定する。
【0049】
図6及び
図7を参照して、設定部76における効率データの生成方法について具体的に説明する。
図6及び
図7は、電力変換器50の効率情報をグラフとしてイメージ化した図である。
図8は、効率データの生成方法を説明するための図である。
図6~
図8において、縦軸は効率[%]を示し、横軸は出力容量[kW]を示している。
図6~
図8に示すグラフは、説明の理解を助けるために示すものである。本実施形態では、設定部76は、効率データを生成する際にはグラフは作成せず、計算処理によって効率データを生成する。
【0050】
図6及び
図7では、例えば、複数の電力変換器50のうちの一の電力変換器50の変換情報をグラフとしてイメージ化している。
図6に示す特性を有する電力変換器50の効率データの生成を一例に説明すると、
図8に示されるように、設定部76は、グラフに対して近似曲線を作成し、近似曲線から多項式を求める。設定部76は、電力変換器50A,50B,50C,50Dについて、多項式を求めて効率データとして設定する。
【0051】
設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれにおいて定格出力容量を超えないように、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。設定部76は、定格情報に基づいて、定格出力容量を超えない、制約付き計算を実行する。設定部76は、例えば、カルーシュ・クーン・タッカー条件(KKT条件:Karush-Kuhn-Tucker condition)等の公知の技術を用いて、制約付き計算を実行する。本実施形態では、設定部76は、電力変換器50の定格出力容量が10kWであるため、10kWを超えないように制約付き計算を実行する。
【0052】
設定部76は、電力変換装置5における電力の変換効率が最適化されるように、効率データに基づいて制約付きの最適化計算を行う。本実施形態では、設定部76は、電力変換装置5における電力の変換効率を最大にするために、最適化計算を行う。設定部76は、計算結果に基づいて、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれに対して変換する電力の割り当てを設定する。本実施形態では、設定部76は、電力変換装置5から出力される出力電力が電力変換装置5の定格出力容量よりも小さい場合に最適化計算を行い、計算結果に基づいて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。
【0053】
具体的には、設定部76は、充電装置9からの要求容量が電力変換装置5の定格出力容量(40kW)よりも小さい場合には、最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。設定部76は、通信部70から出力された要求指示に基づいて、充電装置9からの要求容量を取得する。設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれの効率データと、要求容量(出力電力)とに基づいて最適化計算を実行し、複数の電力変換器50の動作を設定する。具体的には、設定部76は、効率データの特性に基づいて、以下のように電力変換器50の動作を設定する。
【0054】
(1)第一制御
設定部76は、複数の電力変換器50(50A,50B,50C,50D)の効率データにおいて、複数の電力変換器50のそれぞれが定格出力容量で最高効率となる場合、電力変換器50における最高効率での動作を優先的に設定する。設定部76は、複数の電力変換器50の全てにおいて、効率データが
図6に示されるような特性を有する場合、すなわち定格出力容量(10kW)で最高効率となる場合には、電力変換器50において最高効率で動作するように設定する。
【0055】
具体的には、設定部76は、例えば、要求容量が20kWである場合、最適化計算によって、二つの電力変換器50において最高効率で動作するように設定する。設定部76は、例えば、電力変換器50Aにおいて10kWの電力を変換し、電力変換器50Bにおいて10kWの電力を変換するように設定する。すなわち、設定部76は、電力変換器50Aにおいて10kWの電力を変換するように割り当て、電力変換器50Bにおいて10kWの電力を変換するように割り当てる。設定部76は、設定した割り当てに係る制御信号を制御部78に出力する。
【0056】
(2)第二制御
設定部76は、複数の電力変換器50(50A,50B,50C,50D)の効率データにおいて、複数の電力変換器50のそれぞれが定格出力容量で最高効率とならない場合、複数の電力変換器50のそれぞれに動作を分散する分散動作を優先的に設定する。設定部76は、複数の電力変換器50の全てにおいて、効率データが
図7に示されるような特性を有する場合、すなわち定格出力容量(10kW)で最高効率とならない場合には、複数の電力変換器50のそれぞれに動作を分散して設定する。
【0057】
図7に示す例では、電力変換器50は5kWにおいて最高効率となる。この場合、設定部76は、例えば、要求容量が20kWである場合、最適化計算によって、四つの電力変換器50において最高効率で動作するように設定する。すなわち、設定部76は、電力変換器50A、電力変換器50B、電力変換器50C及び電力変換器50Dにおいて5kWの電力を変換するように設定する。設定部76は、電力変換器50Aにおいて5kWの電力を変換するように割り当て、電力変換器50Bにおいて5kWの電力を変換するように割り当て、電力変換器50Cにおいて5kWの電力を変換するように割り当て、電力変換器50Dにおいて5kWの電力を変換するように割り当てる。設定部76は、設定した割り当てに係る制御信号を制御部78に出力する。
【0058】
(3)第三制御
設定部76は、複数の電力変換器50(50A,50B,50C,50D)の効率データにおいて特性が異なる場合、効率データに基づいて出力値と電力変換効率との関係を有する領域A1,A2(
図10参照)を設定し、領域A1,A2に基づいて複数の電力変換器50の動作を設定する。ここでは、電力変換器50A及び電力変換器50Cにおいて、効率データが
図6に示されるような特性を有し、電力変換器50B及び電力変換器50Dにおいて、効率データが
図7に示されるような特性を有する場合を一例に説明する。設定部76における領域A1,A2の設定方法について、
図9を参照して説明する。
図9は、領域の設定方法を示すフローチャートである。
【0059】
図9に示されるように、設定部76は、近似曲線の交差する交差点を算出する(ステップS01)。続いて、設定部76は、各電力変換器50の出力容量の効率を比較する(ステップS02)。続いて、設定部76は、各電力変換器50の出力容量の効率において、同一の効率点の有無を判断する(ステップS03)。設定部76は、同一の効率点が有ると判断した場合(ステップS03:YES)には、ステップS04に進む。設定部76は、同一の効率点が無いと判断した場合(ステップS04:NO)には、ステップS05に進む。
【0060】
ステップS04では、設定部76は、同一の効率点を交差点として決定する。ステップS05では、設定部76は、各電力変換器50の効率において、最も近い効率点を交差点として設定する。設定部76は、交差点に基づいて、領域A1,A2を設定する(ステップS06)。設定部76における具体的な領域A1,A2の設定について、
図10を参照して説明する。
図10は、説明の理解を助けるために、領域A1,A2の設定方法をイメージ的に示すものである。
図10では、電力変換器50A,50Cの効率に係るグラフを実線で示し、電力変換器50B,50Dの効率に係るグラフを一点鎖線で示している。
図10では、電力変換器50A,50Cが効率について同じ特性を示し、電力変換器50B,50Dが効率について同じ特性を示しているため、2つのグラフのみが表示されているように見えている。
【0061】
図10に示されるように、本実施形態では、設定部76は、2つのグラフの交差点を境界として、領域A1と領域A2とを設定する。領域A1は、領域A2に対して、出力容量が小さい領域に設定される。言い換えれば、領域A2は、領域A1に対して、出力容量が大きい領域に設定される。領域A1においては、電力変換器50B及び電力変換器50Dの効率が高い。領域A2においては、電力変換器50A及び電力変換器50Cの効率が高い。設定部76は、設定した領域A1,A2に係る領域情報を記憶部72に記憶させる。なお、設定部76は、「領域A1」を容量が大きい領域に設定し、「領域A2」を容量が小さい領域に設定してもよい。
【0062】
設定部76は、例えば、要求容量が4kWである場合、領域A1で効率が高い電力変換器50B及び電力変換器50Dを動作させるように設定する。具体的には、設定部76は、例えば、電力変換器50Bにおいて2kWの電力を変換し、電力変換器50Dにおいて2kWの電力を変換するように設定する。すなわち、設定部76は、電力変換器50Bにおいて2kWの電力を変換するように割り当て、電力変換器50Dにおいて2kWの電力を変換するように割り当てる。設定部76は、設定した割り当てに係る制御信号を制御部78に出力する。
【0063】
設定部76は、例えば、要求容量が20kWである場合、領域A2で効率が高い電力変換器50A及び電力変換器50Cを動作させるように設定する。具体的には、設定部76は、例えば、電力変換器50Aにおいて10kWで動作させ、電力変換器50Cにおいて10kWで動作させるように設定する。すなわち、設定部76は、電力変換器50Aにおいて10kWの電力を変換するように割り当て、電力変換器50Cにおいて10kWの電力を変換するように割り当てる。設定部76は、設定した割り当てに係る制御信号を制御部78に出力する。
【0064】
設定部76は、充電装置9からの要求容量が電力変換装置5の定格出力容量(40kW)である場合には、電力変換器50において定格出力容量(10kW)での動作を指示する制御信号を制御部78に出力する。すなわち、設定部76は、要求容量が定格出力容量である場合には、最適化計算を実行せずに、定格出力容量での動作を指示する制御信号を制御部78に出力する。
【0065】
図5に示されるように、制御部78は、設定部76において設定された動作に基づいて、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を制御する。制御部78は、設定部76から出力された制御信号に基づいて、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を制御する。制御部78は、制御信号を通信部70に出力する。制御部78は、効率情報及び定格情報を電力変換器50に要求する情報要求信号を通信部70に出力する。制御部78は、例えば、制御装置7の初期設定の際に、情報要求信号を通信部70に出力する。
【0066】
報知部80は、複数の電力変換器50のそれぞれの電力変換効率の実測値を取得し、複数の電力変換器50のそれぞれの効率データと、電力変換効率の実測値との差異を算出し、当該差異が閾値以上である場合に報知する。報知部80は、計測器3から送信された計測情報と、電力変換器50から送信された電力情報とに基づいて、電力変換効率の実測値を算出する。報知部80は、効率データと実測値とを比較して、その差異が閾値以上である場合には、その旨を示す報知情報を出力する。閾値は、設計に応じて適宜設定される。
【0067】
図11は、効率データと実測値とを差異を説明するための図である。
図11では、定格出力容量(10kW)での実測値を三角のプロットで示している。
図11に示される例では、効率データと実測値との間に、閾値以上の差異が生じている。この場合、報知部80は、報知情報を外部装置に出力する。外部装置としては、上位装置(例えば、コントロールセンターのサーバ装置)、ディスプレイ、ブザー等が挙げられる。例えば、報知情報が出力されたディスプレイでは、効率データと実測値とに差異が生じている旨を表示する。これにより、作業者等は、効率データの修正(再設定)等の対応を取ることが可能となる。
【0068】
続いて、制御装置7の動作(制御方法)について、
図12を参照して説明する。
図12は、制御装置7の動作を示すフローチャートである。
【0069】
図12に示されるように、制御装置7は、充電装置9からの要求負荷の有無を判断する(ステップS11)。制御装置7は、要求負荷が有ると判断した場合(ステップS11:YES)には、ステップS12に進む。制御装置7は、要求負荷が無いと判断した場合(ステップS11:NO)には、処理を終了する。
【0070】
ステップS12では、制御装置7は、要求負荷の容量(要求容量)が定格出力容量であるか否かを判断する。制御装置7は、要求容量が定格出力容量である(要求容量=定格出力容量)と判断した場合(ステップS12:YES)には、電力変換器50に定格出力容量での動作を設定する(ステップS13)。すなわち、制御装置7は、電力変換器50A、電力変換器50B、電力変換器50C及び電力変換器50Dにおいて、最大効率(10KW)での電力の変換を実施させる制御信号を生成する。
【0071】
制御装置7は、要求容量が定格出力容量ではない(要求容量≠定格出力容量)と判断した場合(ステップS12:NO)には、制約付き効率データを用いて最適化計算を行い(ステップS14)、計算結果に応じて電力変換器50の動作を設定する(ステップS15)。具体的には、制御装置7は、上記の第一制御、第二制御及び第三制御のいずれかを実行し、制御信号を生成する。制御装置7は、制御指示を電力変換装置5に出力する(ステップS16)。
【0072】
図1に示されるように、充電装置9は、車両Vの蓄電池の充電を行う。充電装置9は、一又は複数の車両Vの充電を行う。充電装置9と車両Vとは、充電ケーブルCによって接続される。充電装置9には、電力変換装置5から電力が供給される。充電装置9と制御装置7とは、互いに通信可能に接続されている。充電装置9は、車両Vの充電容量を算出し、充電に必要な充電容量(要求容量)を要求する要求指示を制御装置7に送信する。充電装置9は、充電電流を制御し、車両Vの蓄電池の充電を行う。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係る車両充電システム1では、制御装置7は、複数の電力変換器50のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する。これにより、制御装置7では、電力変換器50の出力毎の固有の電力変換効率を取得することができる。制御装置7は、出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置5における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御装置7では、電力変換器50が定格出力容量以外で動作する場合であっても、変力変換効率が良い電力変換器50において電力の変換をさせることができる。したがって、制御装置7では、電力変換装置5における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0074】
また、車両充電システム1では、電力の変換効率の向上を図ることができるため、電力変換装置5の熱損失の低減を図ることができる。これにより、電力変換装置5の熱設計が容易となるため、電力変換装置5の小型化を図ることが可能となる。
【0075】
本実施形態に係る制御装置7では、設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれに対して変換する電力の割り当てを設定する。制御部78は、設定部76において設定された割り当てに基づいて、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を制御する。この構成では、電力変換装置5における電力の変換効率が最適となるように電力変換器の動作を制御することができる。
【0076】
本実施形態に係る制御装置7では、設定部76は、電力変換装置5から出力される出力電力に対して最適化計算を行い、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。具体的には、設定部76は、電力変換装置5から出力される出力電力が電力変換装置5の定格出力容量よりも小さい場合に最適化計算を行い、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。充電装置9(負荷)からの要求電力に変動が生じ、電力変換装置5からの出力電圧が定格出力容量よりも小さくなると、電力変換器50において最大効率での電力変換が行えなくなり得る。制御装置7では、出力電力に応じて電力変換装置5における電力の変換効率が最大となるように最適化計算を行い、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御装置7では、出力電力に変動が生じ、定格出力容量よりも小さくなった場合であっても、最大効率で電力変換を行うことができる。したがって、制御装置7では、電力変換装置5における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0077】
本実施形態に係る制御装置7では、取得部74は、複数の電力変換器50のそれぞれの定格出力容量を取得する。設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれにおいて定格出力容量を超えないように最適化計算を行い、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。この構成では、電力変換器50において定格出力容量を超える動作が実行されることを回避できるため、電力変換器50に故障等の不具合が生じることを抑制できる。
【0078】
本実施形態に係る制御装置7では、設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成し、当該効率データにおいて複数の電力変換器50のそれぞれが定格出力容量で最高効率となる場合、電力変換器50における最高効率での動作を優先的に設定してもよい。この構成では、一又は複数の電力変換器50を最高効率で動作させることができるため、電力変換装置5における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0079】
本実施形態に係る制御装置7では、設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成し、当該効率データにおいて複数の電力変換器50のそれぞれが定格出力容量で最高効率とならない場合、複数の電力変換器50のそれぞれに動作を分散する分散動作を優先的に設定してもよい。この構成では、複数の電力変換器50のそれぞれを最高効率で動作させることができるため、電力変換装置5における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0080】
本実施形態に係る制御装置7では、設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成し、複数の電力変換器50において効率データの特性が異なる場合、効率データに基づいて出力値と電力変換効率との関係を有する領域A1,A2を設定して、領域A1,A2に基づいて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定してもよい。この構成では、領域A1,A2に基づいて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定するため、電力変換装置5における電力の変換効率が最適となるように電力変換器50の動作を制御することができる。
【0081】
本実施形態に係る制御装置7は、設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれの出力値毎の電力変換効率に基づいて効率データを生成する。制御装置7は、複数の電力変換器50のそれぞれの電力変換効率の実測値を取得し、効率データと電力変換効率の実測値との差異を算出して、当該差異が閾値以上である場合に報知する報知部80を備えている。この構成では、実測値との間にずれが生じていることを報知することができる。これにより、効率データの修正等を行うことが可能となる。
【0082】
[第二実施形態]
続いて、第二実施形態について説明する。
図13は、第二実施形態に係る電力変換システムを示す図である。
図13に示されるように、電力変換システム1Aには、分散型電源110から電力が供給される。分散型電源110は、例えば、再生可能エネルギーを利用した太陽光発電、風力発電等である。分散型電源110の定格出力(発電量)は、例えば、40kWである。
【0083】
電力変換システム1Aは、計測器3と、電力変換装置5と、制御装置7と、を備えている。電力変換システム1Aにおいて、電力変換装置5は、所定の出力先に電力を出力する。出力先は、例えば、充電装置、蓄電池等であり得る。
【0084】
本実施形態では、制御装置7の設定部76は、分散型電源110から入力される入力電力が電力変換装置5の定格出力容量よりも小さい場合に最適化計算を行い、計算結果に基づいて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。
【0085】
具体的には、設定部76は、分散型電源110からの入力電力が電力変換装置5の定格出力容量(40kW)よりも小さい場合には、最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。設定部76は、計測器3から出力された計測情報に基づいて、分散型電源110の入力電力を算出する。設定部76は、複数の電力変換器50のそれぞれの効率データと、入力電力とに基づいて最適化計算を実行し、複数の電力変換器50の動作を設定する。設定部76は、効率データの特性に基づいて、上述の第一制御、第二制御及び第三制御により、電力変換器50の動作を設定する。具体的には、設定部76は、第一制御、第二制御及び第三制御において、上記の要求容量を入力電力とすることにより、電力変換器50の動作を設定する。
【0086】
制御装置7の動作(制御方法)について、
図14を参照して説明する。
図14は、制御装置7の動作を示すフローチャートである。
【0087】
図13に示されるように、制御装置7は、分散型電源110から電力変換装置5に供給される出力電圧の低下の有無を判断する(ステップS21)。制御装置7は、計測器3から出力された計測情報に基づいて、出力電圧の低下の有無を判断する。制御装置7は、出力電圧の低下が無いと判断した場合(ステップS21:YES)には、分散型電源110の発電量(入力電力)を算出する(ステップS22)。制御装置7は、計測器3から出力された計測情報に基づいて、発電量を算出する。制御装置7は、出力電圧の低下が有ると判断した場合(ステップS21:NO)には、ステップS25に進む。
【0088】
続いて、制御装置7は、発電量が定格出力容量であるか否かを判断する(ステップS23)。制御装置7は、発電量(入力電力)が定格出力容量である(発電量=定格出力容量)と判断した場合(ステップS23:YES)には、電力変換器50に定格出力容量での動作を設定する(ステップS24)。すなわち、制御装置7は、電力変換器50A、電力変換器50B、電力変換器50C及び電力変換器50Dにおいて、最大効率(10KW)での電力の変換を実施させる制御信号を生成する。制御装置7は、発電量が定格出力容量ではない(発電量≠定格出力容量)と判断した場合(ステップS23:NO)には、ステップS27に進む。
【0089】
ステップS25では、制御装置7は、最大電圧点であるか否かを判断する。制御装置7は、最大電圧点であると判断した場合(ステップS25:YES)には、電力変換器50に定格出力容量での動作を設定する(ステップS26)。制御装置7は、最大電圧点ではないと判断した場合(ステップS25:NO)には、制約付き効率データを用いて最適化計算を行い(ステップS27)、計算結果に応じて電力変換器50の動作を設定する(ステップS28)。具体的には、制御装置7は、上記の第一制御、第二制御及び第三制御のいずれかを実行し、制御信号を生成する。制御装置7は、制御指示を電力変換装置5に出力する(ステップS29)。
【0090】
以上説明したように、本実施形態に係る電力変換システム1Aでは、制御装置7は、複数の電力変換器50のそれぞれについて、出力値毎の電力変換効率を取得する。これにより、制御装置7では、電力変換器50の出力毎の固有の電力変換効率を取得することができる。制御装置7は、出力値毎の電力変換効率に基づいて、電力変換装置5における電力の変換効率の最適化計算を行い、計算結果に応じて複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御装置7では、電力変換器50が定格出力容量以外で動作する場合であっても、変力変換効率が良い電力変換器50において電力の変換をさせることができる。したがって、制御装置7では、電力変換装置5における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0091】
本実施形態に係る制御装置7では、設定部76は、電力変換装置5に入力される入力電力に対して最適化計算を行い、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。具体的には、設定部76は、入力電力が所定電力よりも低下した場合に最適化計算を行い、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。分散型電源110からの入力電圧に変動が生じ、電力変換装置5からの出力電圧が定格出力容量よりも小さくなると、電力変換器50において最大効率での電力変換が行えなくなり得る。制御装置7では、入力電力に応じて電力変換装置5における電力の変換効率が最適となるように最適化計算を行い、複数の電力変換器50のそれぞれの動作を設定する。そのため、制御装置7では、入力電力に変動が生じた場合であっても、電力変換装置5における電力の変換効率の向上を図ることができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0093】
上記実施形態では、車両充電システム1において、電源100として商用電力を使用する形態を一例に説明した。しかし、電源100は、分散型電源であってもよい。この場合、制御装置7は、第一実施形態における制御と、第二実施形態における制御とを実施する。
【0094】
上記実施形態では、設定部76において、カルーシュ・クーン・タッカー条件を用いて制約付き計算を実行する形態を一例に説明した。しかし、設定部76は、その他の技術を用いて制約付き計算を実行してもよい。
【0095】
上記実施形態において、制御装置7は、クラウド上のサーバに設けられてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…車両充電システム、5…電力変換装置、7…制御装置、50,50A,50B,50C,50D…電力変換器、74…取得部、76…設定部、78…制御部、80…報知部、A1,A2…領域、P…制御プログラム。