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特開2023-26076鋳造方法、鋳造システム及び鋳造用プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026076
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】鋳造方法、鋳造システム及び鋳造用プログラム
(51)【国際特許分類】
   B22C 7/02 20060101AFI20230216BHJP
   B22D 3/00 20060101ALI20230216BHJP
   B22C 7/00 20060101ALI20230216BHJP
   B22C 9/04 20060101ALI20230216BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230216BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230216BHJP
【FI】
B22C7/02 103
B22D3/00
B22C7/00 112B
B22C9/04 N
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131703
(22)【出願日】2021-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】501065085
【氏名又は名称】三栄産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 康郎
【テーマコード(参考)】
4E093
【Fターム(参考)】
4E093FA03
4E093FC01
4E093GA05
4E093GC16
4E093GC20
(57)【要約】
【課題】鋳造においてアルミニウムなどの金属製の立体物を少量製作する際の製作コストを低減する。
【解決手段】2次元の画像又は動画である2次元データ群D1に基づいて被写体を立体化した3次元データD2を生成するとともに、3次元データD2を複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータD31,D31を製作する造型モデルデータ製作工程と、各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型3を製造する樹脂模型製造工程と、樹脂模型3を鋳物砂に埋設して砂型5を造型する造型工程と、砂型5の外面の少なくとも1箇所に配置された吹込口42から溶融させた金属を注入して樹脂模型と接触させ、樹脂模型3を構成する樹脂を分解・気化して樹脂模型3を実質的に消失させるとともに、樹脂模型3の消失により形成された空洞に注入した溶融金属を溶湯として充填する注湯工程とを含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元の画像又は動画である2次元データ群に基づいて、前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作工程と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造工程と、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設して砂型を造型する造型工程と、
前記砂型の外面の少なくとも1箇所に配置された吹込口から、溶融させた金属を注入して、前記樹脂模型と接触させ、前記樹脂模型を構成する樹脂を分解・気化して当該樹脂模型を実質的に消失させるとともに、前記樹脂模型の消失により形成された空洞に、注入した溶融金属を溶湯として充填する注湯工程と、
を含むことを特徴とする鋳造方法。
【請求項2】
前記造型工程において、前記吹込口と前記樹脂模型とを連結する連結部材を前記樹脂模型とともに前記鋳物砂に埋設することを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。
【請求項3】
2次元の2次元データ群に基づいて前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作部と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造手段と、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する砂型算定部と
を備えることを特徴とする鋳造システム。
【請求項4】
前記砂型算定部は、前記吹込口と前記樹脂模型とを連結する連結部材を前記樹脂模型とともに前記鋳物砂に埋設する位置決めも算定することを特徴とする請求項3に記載の鋳造システム。
【請求項5】
コンピューターを、
2次元の2次元データ群に基づいて前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作部と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造手段を制御する制御部、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する砂型算定部として機能させることを特徴とする鋳造用プログラム。
【請求項6】
前記砂型算定部は、前記吹込口と前記樹脂模型とを連結する連結部材を前記樹脂模型とともに前記鋳物砂に埋設する位置決めも算定することを特徴とする請求項5に記載の鋳造用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム等の金属を用いた鋳造方法、鋳造システム及び鋳造用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ペットなど思い出に残るものを立体物として再現したいという要望があり、例えば特許文献1に開示されているような、ペットなどを石膏素材などで3次元データを製作する方法が考案されている。この特許文献1に開示された技術では、ユーザーが所望する3次元データを製作する手段と、製作された造型モデルデータに基づき立体物を石膏素材で造型する手段とを備えている。
【0003】
詳述すると、この特許文献1に開示された方法では、先ず、ユーザーが所望する立体物の形状や色に関するデータに基づき3次元データを製作し、この3次元データを複数のレイヤーに分割し、その分割した一層毎にレイヤーデータを製作し、各層のレイヤーデータに基づいて、石膏素材の粉末を延ばして粉末レイヤーを形成し、レイヤーデータをこの粉末レイヤー上にプリントする。その後、レイヤーデータをプリントした石膏素材の粉末を固化し、実物の各2次元断面層を形成し、各層の実物の2次元断面層をそれぞれ結合し、ユーザーが所望する形状及び色の立体物を製作する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-101661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザーによっては、立体物の素材としてアルミニウムなどの金属を望む声もあり、金属で立体物を成形するには金型が必要になったり、溶接により立体物を構成する必要があるなど、製作コストが高くなるため少量製作には不向きであり、商業的に適用が困難であるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題を解決するものであり、アルミニウムなどの金属製の立体物を少量製作する際の製作コストを低減できる鋳造方法、鋳造システム及び鋳造用プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の鋳造方法は、
2次元の画像又は動画である2次元データ群に基づいて、前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作工程と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造工程と、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設して砂型を造型する造型工程と、
前記砂型の外面の少なくとも1箇所に配置された吹込口から、溶融させた金属を注入して、前記樹脂模型と接触させ、前記樹脂模型を構成する樹脂を分解・気化して当該樹脂模型を実質的に消失させるとともに、前記樹脂模型の消失により形成された空洞に、注入した溶融金属を溶湯として充填する注湯工程と、
を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の鋳造システムは、
2次元の2次元データ群に基づいて前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作部と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造手段と、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する砂型算定部と
を備えることを特徴とする。
【0009】
なお、上述した本発明に係る鋳造方法や鋳造システムは、所定の言語で記述された本発明の鋳造用プログラムをコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明のプログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有するシステムを構築して、鋳造方法を実施することができる。
【0010】
すなわち、本発明の鋳造用プログラムでは、コンピューターを、
2次元の2次元データ群に基づいて前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作部と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造手段、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する砂型算定部として機能させる。
【0011】
このような本発明の鋳造用プログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。この記録媒体として、具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステム及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0012】
なお、上記各発明において造型する際には、前記吹込口と前記樹脂模型とを連結する連結部材を前記樹脂模型とともに前記鋳物砂に埋設することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の鋳造方法及び鋳造システム及び鋳造用プログラムによれば、2次元の画像又は動画である2次元データ群から3次元データを生成し、これに基づいて3Dプリンターによって樹脂模型を作り、この樹脂模型を砂型に埋設してアルミニウム等の溶融金属を注湯して鋳物製品を製作することができる。樹脂模型は3Dプリンターを用いて造型可能であるため、少量を安価に製作することができ、また樹脂は溶融金属により消失させることができるため、少量製作する場合であっても製作コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る鋳造システムの全体構成を示す概念図である。
図2】実施形態に係る情報処理端末の内部構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る鋳造方法の手順を示すフロー図である。
図4】実施形態に係る鋳造システムの動作を示すシーケンス図である。
図5】実施形態に係る造型モデルデータ製作工程を示す説明図である。
図6】実施形態に係る造型モデルデータ製作工程を示す説明図である。
図7】実施形態に係る樹脂模型の外観を示す斜視図である。
図8】実施形態に係る型枠の外観を示す斜視図である。
図9】実施形態に係る造型造型工程を示す説明図である。
図10】実施形態に係る脱型工程を示す説明図である。
図11】実施形態に係る鋳物製品の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る鋳造方法及び鋳造システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0016】
(鋳造方法の概要)
本実施形態に係る鋳造方法の概要について説明する。図3に鋳造方法の手順を示す。同図に示すように、先ず、本実施形態に係る鋳造システムにおいて、ユーザーが使用する例えばスマートフォン等の情報端末装置1を用い、樹脂模型を製造するために必要な3次元データ及びレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作工程(S01)を実行する。
【0017】
造型モデルデータ製作工程では、2次元の画像又は動画である2次元データ群に基づいて、2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成する。ここで、2次元データ群である画像は、2次元の画素群からなり、例えば2次元平面上に行列状に整列配置される多数の画素の位置(x,y)と、位置(x,y)で特定される画素は色情報(色調・階調など)を持つ。例えばRGBなどの色調により、画素毎の色が定まり、256階調の輝度により画素毎の明るさが決まる。なお、画素とは、例えば、ディスプレイ上の画面を構成する最小単位のことであり、画素は色情報を持った点として存在する。ディスプレイは画面に縦横に敷き詰められた画素の集合によって画像の表示が可能となる。
【0018】
被写体をカメラで撮影することで、2次元画像データとして解像度と画素毎の輝度及び色調が取得されることになる。2次元データ群である動画は、このような画像の集合体であり、多数の画像がフレームとして時系列に従って連続させて、各種コーデックにより圧縮されてファイル形式として構成されている。なお、2次元データ群には属性データが付加されており、例えば、撮影倍率、撮影日時、撮影場所などのデータが保持可能となっている。
【0019】
このような2次元データ群は、本実施形態では、情報取得部141が、カメラ121で撮影した静止画や動画を取得したり、他のデバイスで撮影した静止画や動画をファイル形式で取得したりする。そして、この2次元データ群に基づき、例えばフォトグラメトリ法等の方法を用いて、被写体の形状及び色を示す立体的な3次元データを生成する。フォトグラメトリ法では、例えば、立体的な物体を複数の観測点から撮影して得た2次元画像から視差情報を解析して寸法及び形状を算出し、算出された立体形状をポリゴンで定義された3次元データを生成する。なお、カメラ121に3Dスキャナとしての機能を持たせてもよく、この3Dスキャナ機能により立体的な対象物の形状及び色の読み取りを行い、直接3次元データを生成するようにしてもよい。
【0020】
次いで、造型モデルデータ製作工程では、3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する。その後、3Dプリンター2を制御して、レイヤーデータに基づいて樹脂模型を製造する樹脂模型製造工程を行う(S02)。造型モデルデータ製作工程では、図4に示すような静止画や動画等の2次元データ群D1に基づいて、図5に示すような、2次元データ群の被写体を立体化した3次元データD2を生成するとともに、この3次元データD2を複数のレイヤーデータD31,D31…に分割して一層毎に2次元的なレイヤーデータ群D3を製作する。
【0021】
また、樹脂模型製造工程では、3Dプリンター2を用いて、各レイヤーデータD31,D31に基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型3を製造する。この樹脂模型製造工程における3Dプリンター2の制御は、情報端末装置1からの操作により行う。
【0022】
本実施形態において樹脂模型を構成する樹脂材料としては、砂型の内部に導入される溶融されたアルミニウムなどの金属によって分解・気化される樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、発泡ポリスチレン(EPS)、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどを採用することができる。
【0023】
その後、このようにして製作された樹脂模型3を用いて鋳造を行う。この鋳造工程には、図7図10に示すような、砂型5を造型するとともに造型された砂型内に溶融させた金属を注入する造型・注湯工程(S03)と、注湯した金属を冷却するとともに砂型から完成した鋳物製品6を脱型する冷却・脱型工程(S04)と、脱型した鋳物製品6を研磨するなどの整形工程(S05)が含まれる。
【0024】
造型工程では、垂直断面により二分割された外枠41,41で函状に構成された型枠4内に、樹脂模型3を設置するとともに型枠4内に鋳物砂を充填し、樹脂模型3を鋳物砂に埋設して砂型5を造型する。ここで使用される砂型を構成する鋳物砂としては、従来公知の鋳造方法に使用されるものを好適に使用することができ、例えば、珪砂などの天然砂及び球状骨材などの人工砂を用いることができる。また、砂型を構成する鋳物砂は、通常、注湯工程で必要な強度を確保するために粘結剤により結着されている。ここに、粘結剤としては、特に限定されるものでなく、例えばフラン樹脂を挙げることができる。鋳物砂に要求される強度としては、その抗圧力(破壊圧縮強度)が、通常15kg/cm2 以上であることが好ましく、さらに好ましくは20kg/cm2 以上とする。
【0025】
また、この造型工程においては、吹込口42と樹脂模型3とを連結する連結部材31を樹脂模型3に取付けて鋳物砂内に埋設する。このとき、砂型算定部146が算定した連結部材31の埋設位置に合致させて、外枠41に吹込口42を穿設し、外枠41内に鋳物砂を充填しつつ樹脂模型3を設置するとともに、砂型算定部146が算定した接続部位に連結部材31を固定し、連結部材31により樹脂模型3と吹込口42とを接続し外枠41,41を閉止する。
【0026】
注湯工程では、砂型5の外面の少なくとも1箇所に配置された吹込口42から溶融させた金属を注入して、内部に埋設された樹脂模型3と接触させ、樹脂模型3を構成する樹脂を分解・気化させて樹脂模型3を実質的に消失させるとともに、樹脂模型3の消失により形成された空洞に、注入した溶融金属を溶湯として充填する。
【0027】
このとき、連結部材31が配置されているため、吹込口42から導入される溶融金属によって最初に連結部材31が消失して空洞が形成され、その後に吹込口42から導入される溶融金属が、この空洞を通って樹脂模型3に案内されるので、樹脂模型3に対して溶融金属を効率的に且つ確実に接触させることができる。
【0028】
そして、溶融金属を溶湯として充填した状態において注湯した金属を冷却するとともに、砂型5を破砕して、完成した鋳物製品6を脱型し、脱型した鋳物製品6を研磨するなどの整形工程を行う。
【0029】
(鋳造システムの全体構成)
本実施形態に係る鋳造システムの構成について説明する。図1に実施形態に係る鋳造システムの全体構成を示す。本実施形態に係る鋳造システムでは、ユーザーが操作する情報端末装置1と、3D印刷により樹脂模型を造型する3Dプリンター2とから概略構成される。なお、本実施形態では、情報端末装置1を情報処理端末装置の一例として説明する。
【0030】
本実施形態に係る鋳造システムは、通信機能やアプリケーション実行機能を有する情報端末装置1と、情報端末装置1と通信手段を介して接続され、3D印刷により樹脂模型を造型する3Dプリンター2とから概略構成される。鋳造システムでは、ユーザーが使用する例えばスマートフォン等の情報端末装置1を用い、樹脂模型を製造するために必要な3次元データ及びレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作工程を実行するとともに、製作されたレイヤーデータに基づいて3Dプリンター2を遠隔操作して樹脂模型3を製造する樹脂模型製造工程を行う。
【0031】
3Dプリンター2は、各レイヤーデータD31,D31に基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型3を製造する樹脂模型製造手段の役割を果たす立体印刷装置である。本実施形態では、Wifiネットワークや、有線LAN、USBケーブルなどの通信網を通じて、ユーザーの情報端末装置1と接続され、情報端末装置1からの3次元データや操作信号に応じて立体印刷を実行する。この3Dプリンター2では、ポリゴンで立体形状を定義した3次元データD2を基にして、スライスされた2次元の層(レイヤー)を1層ずつ積み重ねていくことによって、立体模型を製作する装置であり、3Dプリンター2としては、薄い層を積み上げる積層方式を基本動作として、液状の樹脂を紫外線で少しずつ硬化させる「光造型方式」や、熱で溶かした樹脂を積み重ねる「FDM方式」など、様々な方式のプリンターが採用可能である。
【0032】
情報端末装置1は、無線通信を利用した携帯可能な情報処理端末装置であり、CPU等の演算処理装置を備え、本発明である鋳造用プログラムを含む種々のアプリケーションソフトを実行することによって種々の機能を提供する装置である。この情報処理端末装置としては、スマートフォンの他、例えば、パーソナルコンピューター等の汎用コンピューターや機能を特化させた専用装置により実現することができ、タブレットPCやモバイルコンピューター、携帯電話機、ウェアラブル端末装置、ゲーム機その他の情報処理端末装置が含まれる。
【0033】
また、情報端末装置1は、無線基地局等の中継点と無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。この通話やデータ通信の通信方式としては、例えば、3G(3rd. Generation)方式、LTE(Long Term Evolution)方式、4G方式、FDMA方式、TDMA方式、CDMA方式、W-CDMAの他、PHS(Personal Handyphone System)方式等が挙げられる。また、この情報端末装置1は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、GPS(Global Positioning System)などによる位置情報取得機能等、種々の機能が搭載され、タブレットPC等のモバイルコンピューターも含まれる。
【0034】
なお、情報端末装置1に備えられた位置情報取得機能は、自機の位置を示す位置情報を取得して記録する機能であり、この位置情報取得機能としては、例えば、GPSのように、衛星からの信号によって自機の位置を検出する方法や、携帯電話の無線基地局や、Wifi通信のアクセスポイントからの電波強度などによって位置を検出する方法が含まれる。
【0035】
そして、この情報端末装置1は、情報を表示する液晶ディスプレイ等の表示部を備えるとともに、ユーザーが入力操作を行うための操作ボタン等の操作デバイスを備え、この操作デバイスとしては、液晶ディスプレイに重畳されて配置され、液晶ディスプレイ上の座標位置を指定するタッチ操作などによる操作信号を取得する入力部としてのタッチパネルが含まれる。具体的にこのタッチパネルは、ユーザーの指先やペンなどを用いたタッチ操作による圧力によって操作信号を入力する入力デバイスであり、グラフィックを表示する液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイに表示されたグラフィックの座標位置に対応した操作信号を受け付けるタッチセンサーとが重畳されて構成されている。
【0036】
そして、造型モデルデータ製作工程では、情報端末装置1のカメラ121や、他の撮影機器などで撮影された実写である静止画や動画を2次元データ群D1として取得し、これら2次元データ群D1に基づいて、図5に示すような3次元データD2を生成するとともに、この3次元データD2を複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータD31,D31…を製作する。また、樹脂模型製造工程では、情報端末装置1から通信を介しての遠隔操作により3Dプリンター2を制御して、各レイヤーデータD31,D31に基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型3を製造する。
【0037】
(鋳造用プログラム)
上述した本実施形態に係る鋳造方法や鋳造システムは、所定の言語で記述された本発明の鋳造用プログラムであるアプリケーションを情報端末装置1等のコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明の鋳造用プログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有する鋳造システムを構築して、鋳造方法を実施することができる。
【0038】
具体的に、本実施形態の鋳造用プログラムでは、情報端末装置1を、
(1)2次元の2次元データ群に基づいて2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作部と、
(2)各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造手段を制御する制御部、
樹脂模型を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する砂型算定部
として機能させる。
(情報処理端末の内部構造)
以下に情報端末装置1の内部構造について説明する。図2に本実施形態に係る情報端末装置1の内部構成を示す。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。図2に示すように、情報端末装置1は、通信インターフェース11と、入力インターフェース12と、出力インターフェース13と、アプリケーション実行部14と、メモリ15とを備えている。
【0039】
通信インターフェース11は、データ通信を行うための通信インターフェースであり、3G~5G、Bluetooth(登録商標)、Wifiを含む無線通信や、USBなどのケーブル、アダプタ手段等により接触(有線)通信をする機能を備えている。入力インターフェース12は、マウス、キーボード、操作ボタンやタッチパネル12aなどユーザー操作の他、カメラ121で撮像された静止画や動画が入力されるデバイスである。また、出力インターフェース13は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特にこの出力インターフェース13には、液晶ディスプレイなどの表示部13aが含まれ、この表示部13aは、入力インターフェースであるタッチパネル12aに重畳されている。
【0040】
メモリ15は、OS(Operating System)やファームウェア、各種のアプリケーション用のプログラム、その他のデータ等などを記憶する記憶装置であり、このメモリ15内には、ユーザー又は情報端末装置1を識別する各種IDの他、本発明の鋳造用プログラムなどのアプリケーションデータを蓄積するとともに、アプリケーション実行部14で処理された各種データが蓄積される。
【0041】
アプリケーション実行部14は、一般のOSや各種アプリケーション、ブラウザソフトなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、通常はCPU等により実現される。このアプリケーション実行部14では、本発明に係る鋳造用プログラムが実行されることで、情報取得部141と、表示データ生成部142と、表示制御部143と、操作情報取得部144と、造型モデルデータ製作部145と、砂型算定部146と、造型制御部147とが仮想的に構築される。
【0042】
情報取得部141は、カメラ121で撮影した静止画や動画を取得したり、他のデバイスで撮影した静止画や動画をファイル形式で取得したりするモジュールである。なお、この情報取得部141における情報の取得としては、メモリ15に蓄積されたデータを読み出す場合や、通信インターフェース11を通じて他のデバイスから受信する場合、また、情報端末装置1内で生成又は加工されたデータを読み込む場合のいずれも含まれる。
【0043】
表示データ生成部142は、表示部13aに表示させるための表示データを生成するモジュールである。表示データは、3Dグラフィックデータの他、画像データや、文字データ、動画データ、音声その他のデータを組み合わせて生成されるデータである。この表示データ生成部142で生成された表示データの表示処理は、表示制御部143で制御される。
【0044】
表示制御部143は、造型モデルデータ製作部145で用いられる2次元データや、作成された3次元データを表示したり、これらのデータに対する操作や、3Dプリンター2に対する操作など、種々のGUI(Graphical User Interface)を提供するモジュールである。操作情報取得部144は、表示制御部143で制御されるGUIに対する操作をタッチパネル12aからの操作信号に基づいて入力するモジュールである。
【0045】
造型モデルデータ製作部145は、2次元の2次元データ群D1に基づいて、2次元データ群D1の被写体を立体化した3次元データD2を生成するとともに、3次元データD2を複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータD31,D31を製作するモジュールである。砂型算定部146は、樹脂模型3を鋳物砂に埋設する際の砂型5内における位置決めを算定するモジュールである。この砂型算定部146は、本実施形態では、吹込口42と樹脂模型3とを連結する連結部材31を、樹脂模型3とともに鋳物砂に埋設する位置決めも算定する。
【0046】
具体的に、造型モデルデータ製作部145は、2次元データ群D1の被写体を示す立体的な3次元データD2を生成する機能を備えており、この機能では、2次元データ群D1に含まれる複数の画像や、動画中に含まれる複数のフレーム画像に基づき、例えばフォトグラメトリ法等の方法を用いて、被写体の形状及び色を示す3次元データD2を生成する。このフォトグラメトリ法では、例えば、立体的な物体を複数の観測点から撮影して得た2次元画像から視差情報を解析して寸法及び形状を算出し、ポリゴンデータなどにより立体物外表の各頂点座表を定義する。なお、カメラ121に3Dスキャナとしての機能を持たせてもよく、この3Dスキャナ機能により立体的な対象物の形状及び色の読み取りを行い、造型モデルデータ製作部145によって直接3次元データを生成するようにしてもよい。
【0047】
砂型算定部146による連結部材31の位置決め算定にあっては、樹脂模型3の砂型5内における位置決めが算定された後、砂型5内における樹脂模型3の最頂部を算出する。この最頂部は、砂型5内における樹脂模型3の高さ方向の一番高い位置で、且つ樹脂模型3表面における連結部材31の水平断面積を確保できる部位を走査し、その部位を特定する。この際、吹込口42の位置決め調整も同時に行うようにしてもよい。すなわち、樹脂模型3表面の連結部材31を接続する部位(接続部位)が決定された後、樹脂模型3の砂型5内における位置を調整し、接続部位の垂直方向上方に吹込口42が位置されるように、吹込口42の外枠41に対する穿設位置を調整する。
【0048】
造型制御部147は、ユーザー操作に基づいて、製作されたレイヤーデータD31,D31に基づいて3Dプリンター2を遠隔操作して制御するモジュールである。具体的には、操作情報取得部144で取得されたユーザー操作に基づいて3Dプリンター2に対する制御コマンドを生成し、通信インターフェース11に送信するとともに、3Dプリンター2からの応答信号を、通信インターフェース11を通じて取得し、表示制御部143によって制御されるGUIに反映させる。
【0049】
(鋳造システムの動作)
以上説明した鋳造システムを動作させることによって、本発明の鋳造方法を実施することができる。図4に鋳造システムの動作を示す。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0050】
同図に示すように、先ず、情報取得部141を通じて、2次元データ群D1及び型枠情報を取得する(S201)。取得された2次元データ群D1に基づいて2次元データ群D1の被写体を立体化し、3次元データD2を生成する(S202)。具体的には、造型モデルデータ製作部145が、2次元データ群D1に含まれる複数の画像や、動画中に含まれる複数のフレーム画像に基づき、例えばフォトグラメトリ法等の方法を用いて、被写体の形状及び色を示す3次元データD2を生成する。このフォトグラメトリ法では、例えば、立体的な物体を複数の観測点から撮影して得た2次元画像から視差情報を解析して寸法及び形状を算出し、ポリゴンデータなどにより立体物外表の各頂点座表を定義する。なお、カメラ121に3Dスキャナとしての機能を持たせてもよく、この3Dスキャナ機能により立体的な対象物の形状及び色の読み取りを行い、造型モデルデータ製作部145によって直接3次元データを生成することもできる。
【0051】
次いで、3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する(203)。これと合わせて、砂型算定部146により樹脂模型3を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する(S204)。また、この位置決めの算定にあたっては、吹込口42と樹脂模型3とを連結する連結部材31の位置決めも算定する。
【0052】
このようにして製作されたレイヤーデータの立体印刷を実行するために、情報端末装置1から3Dプリンターにアクセスし、3Dプリンター2に対しレイヤーデータを転送する(S205)。このレイヤーデータを受信した3Dプリンター2側では(S101)、情報端末装置1による制御に従って、立体印刷を開始する。立体印刷が開始された3Dプリンター2では、各レイヤーデータD31,D31に基づきそれぞれ実物の2次元断面層が、順次樹脂により造型されつつ積層され、樹脂模型が製造される(S102及びS103における「N」)。
【0053】
その後、全ての断面層が造型されると(S103における「Y」)樹脂模型3が完成し、終了処理が実行される(S104及びS206)。このようにして製作された樹脂模型3は、上述したように、型枠4内に設置されるとともに型枠4内に鋳物砂が充填されることにより、樹脂模型3が鋳物砂に埋設され砂型5が造型される。砂型5の吹込口42から溶融させた金属を注入して、樹脂模型3を構成する樹脂を分解・気化させて樹脂模型3を実質的に消失させるとともに、樹脂模型3の消失により形成された空洞に注入した溶融金属を溶湯として充填させる。この状態において注湯した金属を冷却させて溶湯を凝結させるとともに、砂型5を破砕して、凝結した鋳物製品6を脱型し、脱型した鋳物製品6を研磨するなどして整形を行う。
【0054】
(作用・効果)
本実施形態に係る鋳造方法及び鋳造システム及び鋳造用プログラムによれば、2次元の画像又は動画である2次元データ群から3次元データを生成し、これに基づいて3Dプリンターによって樹脂模型を作り、この樹脂模型を砂型に埋設してアルミニウム等の溶融金属を注湯して鋳物製品を製作することができる。樹脂模型は3Dプリンターを用いて造型可能であるため、少量を安価に製作することができ、また樹脂は溶融金属により消失させることができるため、少量製作する場合であっても製作コストを低減できる。
【0055】
また、本実施形態に係る鋳造用プログラムによれば、コンピューターにインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有する鋳造システムを構築して、鋳造方法を実施することができる。なお、本実施形態に係る鋳造用プログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、また、コンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。この記録媒体として、具体的には、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述した鋳造システム及び鋳造方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0056】
なお、本発明は、上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0057】
D1…2次元データ群
D2…3次元データ
D3…レイヤーデータ群
D31,D31…レイヤーデータ
1…情報端末装置
2…Dプリンター
3…樹脂模型
4…型枠
5…砂型
6…鋳物製品
11…通信インターフェース
12…入力インターフェース
12a…タッチパネル
13…出力インターフェース
13a…表示部
14…アプリケーション実行部
15…メモリ
31…連結部材
41,41…外枠
42…吹込口
121…カメラ
141…情報取得部
142…表示データ生成部
143…表示制御部
144…操作情報取得部
145…造型モデルデータ製作部
146…砂型算定部
147…造型制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2022-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元の画像又は動画である2次元データ群に基づいて、前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作工程と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造工程と、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設して砂型を造型する造型工程と、
前記砂型の外面の少なくとも1箇所に配置された吹込口から、溶融させたアルミニウムを注入して、前記樹脂模型と接触させ、前記樹脂模型を構成する樹脂を分解・気化して当該樹脂模型を実質的に消失させるとともに、前記樹脂模型の消失により形成された空洞に、注入した前記溶融させたアルミニウムを溶湯として充填する注湯工程と、
を含み、
前記造型工程において、前記吹込口と前記樹脂模型とを連結する連結部材を前記樹脂模型とともに前記鋳物砂に埋設する
ことを特徴とする鋳造方法。
【請求項2】
前記樹脂は、アルミニウムによって分解・気化される、発泡ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の鋳造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の鋳造方法で用いられるシステムであって、
2次元の2次元データ群に基づいて前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作部と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造手段と、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する砂型算定部と
を備え
前記砂型算定部は、前記吹込口と前記樹脂模型とを連結する連結部材を前記樹脂模型とともに前記鋳物砂に埋設する位置決めも算定する
ことを特徴とする鋳造システム。
【請求項4】
請求項1に記載の鋳造方法で用いられるプログラムであって、コンピューターを、
2次元の2次元データ群に基づいて前記2次元データ群の被写体を立体化した3次元データを生成するとともに、前記3次元データを複数のレイヤーに分割して一層毎に2次元なレイヤーデータを製作する造型モデルデータ製作部と、
前記各レイヤーデータに基づきそれぞれ実物の2次元断面層を樹脂により造型しつつ積層させて樹脂模型を製造する樹脂模型製造手段を制御する制御部、
前記樹脂模型を鋳物砂に埋設する際の砂型内における位置決めを算定する砂型算定部として機能させ
前記砂型算定部は、前記吹込口と前記樹脂模型とを連結する連結部材を前記樹脂模型とともに前記鋳物砂に埋設する位置決めも算定する
ことを特徴とする鋳造用プログラム。