(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026097
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法
(51)【国際特許分類】
B64D 1/18 20060101AFI20230216BHJP
B08B 3/10 20060101ALI20230216BHJP
H02S 40/10 20140101ALI20230216BHJP
H02S 40/12 20140101ALI20230216BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20230216BHJP
B64C 37/02 20060101ALI20230216BHJP
E01H 1/08 20060101ALI20230216BHJP
E01H 3/04 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B64D1/18
B08B3/10 Z
H02S40/10
H02S40/12
B64C27/08
B64C37/02
E01H1/08 Z
E01H3/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131766
(22)【出願日】2021-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】521357711
【氏名又は名称】渡辺 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(71)【出願人】
【識別番号】522289688
【氏名又は名称】近藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 聡
(72)【発明者】
【氏名】長澤 精久
(72)【発明者】
【氏名】宮川 博人
(72)【発明者】
【氏名】クアル リアン カム
【テーマコード(参考)】
3B201
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
3B201AA02
3B201AA31
3B201AB52
3B201BB24
3B201BB57
3B201BB88
3B201CA05
3B201CB01
3B201CC12
3B201CD43
5F151BA18
5F151JA15
5F251BA18
5F251JA15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】人間の手作業やそのための足場が不要で、高所・難所等の太陽光パネル等の物体の設置環境を問わず、太陽光パネル等の物体の表面を十分に洗浄することができ、界面活性剤等の環境負荷の高い洗浄剤を使用しないため自然環境を損なうことのない超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法を提供する。
【解決手段】超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。(A)ドローンの風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程。(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かす工程。(C)ドローンの風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに前記微細ゴミまたは水分を吹き飛ばす工程、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)~(B)の工程を順次経ることを特徴とする超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
(A)エア排出装置から排出される風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かし、前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに洗い流す工程
【請求項2】
下記の(A)~(C)の工程を順次経ることを特徴とする超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
(A)エア排出装置から排出される風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かす工程
(C)エア排出装置から排出される風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに前記微細ゴミまたは水分を吹き飛ばす工程
【請求項3】
下記の(A)~(B)の工程を順次経ることを特徴とする超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
(A)ドローンの風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かし、前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに洗い流す工程
【請求項4】
下記の(A)~(C)の工程を順次経ることを特徴とする超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
(A)ドローンの風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かす工程
(C)ドローンの風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに前記微細ゴミまたは水分を吹き飛ばす工程
【請求項5】
前記超微細気泡水が、純水に超微細気泡を含有させてなるものであることを特徴とする請求項1または2に記載の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
【請求項6】
前記超微細気泡水が、予め純水に超微細気泡を含有させて容器に収納され、前記超微細気泡水が収納された前記容器がドローン上に搭載されたものであることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
【請求項7】
前記超微細気泡水が、予めドローン上に搭載された超微細気泡精製装置と純水により、ドローン上で精製されたものであることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
【請求項8】
前記超微細気泡水に含有される超微細気泡の直径が、100μm未満であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
【請求項9】
前記超微細気泡水に含有される超微細気泡の直径が、1μm未満であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
【請求項10】
前記超微細気泡水が、40℃以上であることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光パネル、屋根、壁面、路面その他洗浄が必要な物体の表面を、超微細気泡水を物体表面に噴霧または放水することにより洗浄する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、国内においては再生可能エネルギーの活用が盛んに行われ、その中でも太陽光発電に用いられる太陽光パネルは、全国各地のあらゆる場所に設置されるようになっている。
このあらゆる場所に設置される太陽光パネルは、各人の家屋の屋根のほか、ビルの屋上等の高所や山の急斜面等の難所にも設置されている実情にあるが、太陽光パネルを設置し、運用する者にとっては、所有する太陽光パネルが太陽光の照射を効率よく受け続け、十分な発電効率を維持して運用したいと考える者も多い。しかしながら、太陽光パネルは、屋外での運用が基本であり、日々の環境変化に伴い、その太陽光パネル表面には大小さまざまゴミ等が堆積してしまい、発電効率が低下する一因となっていた。
【0003】
そこで、太陽光パネルの表面を洗浄する各種方法が提案されている。
例えば、特許第6755062号公報(特許文献1)には、太陽光パネル用非接触除雪システムとして、地面に設置された架台(3)および太陽光パネル(4)と、太陽光パネル(4)の表面の積雪量を検出する積雪センサ(15)と、モータとプロペラが連結した複数の揚力発生部と、モータの回転制御を行いプロペラの回転により発生する揚力(推力)により飛行姿勢制御を行う無人飛行体制御装置から構成され、3次元空間の移動を行ういわゆるドローンまたはUAVなどの無人飛行体(5)と、無人飛行体(5)の移動経路をあらかじめ設定し回転制御装置に指示を出す3次元飛行経路指示部を有し、前記積雪量が所定量に達した場合に、3次元飛行経路指示部の指令に基づき飛行することで無人飛行体(5)のプロペラから発生する排気流により太陽光パネル(4)に堆積した雪を非接触で太陽光パネル(4)の表面から除去する方法が提案されている。
【0004】
このように、ドローンを用いて太陽光パネルの表面を非接触で洗浄する方法を用いれば、人間の手作業で洗浄することなく、太陽光パネルの簡単な洗浄をおこなうことができるものではあるが、上述の特許文献1のように、ドローンから排出される風力のみを利用して、太陽光パネル表面のゴミを吹き飛ばす方法では、太陽光パネル表面に強力に付着してしまった微細ゴミ、その他の汚れを除去することはできず、十分に洗浄できる方法であると言えるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明が解決しようとする課題は、エア排出装置を用いて太陽光パネル等の物体の表面の粗大ゴミを吹き飛ばし、さらに、超微細気泡水を噴霧または放水することで、太陽光パネル等の物体の表面に強力に付着した微細ゴミ等を浮き上がらせて洗い流し、またはエア排出装置を用いて超微細気泡水とともに微細ゴミや水分を吹き飛ばすことにより、界面活性剤等の環境負荷の大きい洗浄剤を使用せずに太陽光パネル等の物体の表面を十分に洗浄することができ、界面活性剤等の環境負荷の大きい洗浄剤を使用しないため自然環境を損なうことがなく、また非常に安価で、取り扱いにも手間がかからない超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法を提供しようとするものである。
【0007】
また、本発明が解決しようとする課題は、洗浄しようとする物体が高所・難所等にあって人間の手作業での洗浄が危険で困難な場合に、遠隔操作のドローンを用い、ドローンから排出される風力を利用して太陽光パネル等の物体の表面の粗大ゴミを吹き飛ばし、さらに、超微細気泡水を噴霧することで、太陽光パネル等の物体の表面に強力に付着した微細ゴミ等を浮き上がらせて洗い流し、またはドローンから排出される風力を利用して超微細気泡水とともに微細ゴミや水分を吹き飛ばすことにより、人間の手作業での洗浄を行うことなく、そのための足場の設置も不要で、高所・難所等の太陽光パネル等の物体の設置環境を問わず、太陽光パネル等の物体の表面を十分に洗浄することができ、界面活性剤等の環境負荷の高い洗浄剤を使用しないため自然環境を損なうことがなく、また非常に安価で、取り扱いにも手間がかからない超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法をも提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するための手段として、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、下記の(A)~(B)の工程を順次経ることを特徴とするものである。
(A)エア排出装置から排出される風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かし、前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに洗い流す工程
【0009】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、下記の(A)~(C)の工程を順次経ることをも特徴とするものである。
(A)エア排出装置から排出される風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かす工程
(C)エア排出装置から排出される風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに前記微細ゴミまたは水分を吹き飛ばす工程
【0010】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、下記の(A)~(B)の工程を順次経ることをも特徴とするものである。
(A)ドローンの風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かし、前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに洗い流す工程
【0011】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、下記の(A)~(C)の工程を順次経ることをも特徴とするものである。
(A)ドローンの風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かす工程
(C)ドローンの風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに前記微細ゴミまたは水分を吹き飛ばす工程
【0012】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法において、前記超微細気泡水が、純水に超微細気泡を含有させてなるものであることをも特徴とするものである。
【0013】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法において、前記超微細気泡水が、予め純水に超微細気泡を含有させて容器に収納され、前記超微細気泡水が収納された前記容器がドローン上に搭載されたものであることをも特徴とするものである。
【0014】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法において、前記超微細気泡水が、予めドローン上に搭載された超微細気泡精製装置と純水により、ドローン上で精製されたものであることをも特徴とするものである。
【0015】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法において、前記超微細気泡水に含有される超微細気泡の直径が、100μm未満であることをも特徴とするものである。
【0016】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法において、前記超微細気泡水に含有される超微細気泡の直径が、1μm未満であることをも特徴とするものである。
【0017】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法において、前記超微細気泡水が、40℃以上であることをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法の奏する作用効果としては、次のものが挙げられる。
(1)純水と超微細気泡からなる超微細気泡水を用いることで、超微細気泡の効果によって十分な洗浄力を発揮することができる
(2)純水と超微細気泡からなる超微細気泡水を用いることで、洗浄する対象物への物理的負荷がなく、界面活性剤や融雪剤等の環境負荷の大きい洗浄剤を使用せずに済み、環境に優しく、自然環境を損なうことがない
(3)超微細気泡水は、純水に超微細気泡を含有させて精製されるものであり、純水のほか、例えば水道水を用いる場合であれば所定のフィルタを通してカルキ等を除去して純水として用いることもでき、調達コストを非常に安く抑えることができる
(4)純水を用いることにより、太陽光パネル等の物体の洗浄後の、洗浄に用いた水分による二次的な汚損、例えばカルキ汚れ等がない
(5)太陽光パネル等の物体の設置場所が高所・難所等であっても、ドローンを用いることにより、人間の手作業での洗浄を不要として、場所を問わず安全に洗浄することができる
(6)ドローンを用いることにより、人間の手作業での洗浄が不要となるため、太陽光パネル等の物体の洗浄時の足場を作る必要がなく、手間・費用を抑えることができる
(7)ドローンを用いることにより、人間の手作業での洗浄が不要となり、足場も不要とすることができるため、太陽光パネル等の物体の設置場所が高所・難所等に限定されることがなく、例えば住宅街や狭小地であっても、問題なく洗浄することができる
(8)ドローンを用いることにより、人間の手作業での洗浄が不要となり、足場も不要であるため、太陽光パネル等の物体の表面が略上向きの場合に限らず、ドローンからの超微細気泡水の噴射方向を調整することにより、例えばコンビニエンスストアのガラス状の壁面等であっても、全く問題なく洗浄することができる
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の超微細気泡水により物体表面を洗浄する工程を示し、まず、エア排出装置を用いて物体表面の粗大ゴミを吹き飛ばしている状態を示す概略斜視図である。
【
図2】次いで、超微細気泡水を物体表面に噴霧または放水している状態を示す概略斜視図である。
【
図3】最後に、噴霧または放水された超微細気泡水により物体表面から浮き上がらせた微細ゴミ等を、エア排出装置を用いて吹き飛ばしている状態を示す概略斜視図である。
【
図4】本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法の実施方法を示し、ドローンを用いて太陽光パネル等の物体の表面に超微細気泡水を噴霧しようとする状態の概略斜視図である。
【
図5】本発明のドローンを示し、(a)はその概略側面図、(b)はその概略平面図である。
【
図7】洗浄前の物体表面にゴミ等が積もっている状態を示す概略側面図である。
【
図8】本発明のドローンを用いて超微細気泡水により物体表面を洗浄する工程を示し、まず、ドローンから排出される風力を用いて物体表面の粗大ゴミを吹き飛ばしている状態を示す概略側面図である。
【
図9】次いで、ドローンに搭載された超微細気泡水を物体表面に噴霧または放水している状態を示す概略側面図である。
【
図10】最後に、ドローンから噴霧または放水された超微細気泡水により物体表面から浮き上がらせた微細ゴミ等を、ドローンから排出される風力を用いて吹き飛ばしている状態を示す概略側面図である。
【
図11】融雪洗浄前の物体表面に雪が積もっている状態を示す概略側面図である。
【
図12】本発明のドローンを用いて超微細気泡水により物体表面に積もった雪を融雪洗浄する工程を示し、まず、ドローンから排出される風力を用いて物体表面の雪の表層を吹き飛ばしている状態を示す概略側面図である。
【
図13】次いで、ドローンに搭載された超微細気泡水を物体表面に噴霧または放水している状態を示す概略側面図である。
【
図14】最後に、物体表面の水分を、ドローンから排出される風力を用いて吹き飛ばしている状態を示す概略側面図である。
【
図15】本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法を用いて、山の急斜面に設置された太陽光パネル等の物体の表面を洗浄しようとする状態の概略図である。
【
図16】本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法を用いて、家屋の屋根に設置された太陽光パネル等の物体の表面を洗浄している状態の概略図である。
【
図17】本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法を用いて、コンビニエンスストアのガラス状壁面を洗浄している状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法を、図面を用いて詳細に説明する。
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、大別すると、人間が洗浄作業を行う方法と、洗浄する対象物の設置環境等により人間が作業を行うことが難しい場合、あるいは人間の洗浄作業よりもドローンを用いたほうが効率的に洗浄作業が行える場合等のドローンを用いて洗浄作業を行う方法、とに分けることができる。
【0021】
(人間が洗浄作業を行う方法)
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、
図2に示すように、超微細気泡水31を噴霧または放水可能な散布装置61を用いることで、太陽光パネル等の物体21の表面の洗浄を行うことができるものである。
このとき、前記超微細気泡水31に含有された超微細気泡の高い洗浄能力により、前記太陽光パネル等の物体21の表面を容易にかつ十分に洗浄することができるのである。
【0022】
前記超微細気泡水31は、噴霧または放水の対象である前記太陽光パネル等の物体21への物理的負荷、基本的に屋外環境であることによる環境負荷等を考慮して、不純物を含まないかほとんど含まず純度の高い水である純水に、前記純水に直径が極めて小さい超微細気泡を含有させることにより得られるものを用いる。
前記純水としては、蒸留水や脱イオン水等の不純物が十分に取り除かれたものであればよく、水道水であってもフィルタを介して純水として使用することもできる。
前記純水に含有される前記超微細気泡の直径は100μm未満とすることがよく、特に1μm未満の超微細気泡(いわゆるウルトラ超微細気泡)を好適に用いることができる。
加えて、洗浄する対象物の形状、構造、材質等に合わせて、最も効果的な前記超微細気泡の直径を適宜選択して用いれば、洗浄する対象物がどのような性質のものであっても、常に高い洗浄能力を発揮させることができるのである。
【0023】
前記散布装置61は、前記超微細気泡水31を搭載し、前記太陽光パネル等の物体21の表面に前記超微細気泡水31を噴霧または放水することができるようにしてある。
この散布装置61は、前記超微細気泡水31を前記太陽光パネル等の物体21の表面に十分に噴霧または放水することができるものであれば、既製の農薬散布機等を用いてもよい。
【0024】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、人間が洗浄作業を行う場合の第1実施例として、
図1ないし
図2に示すように、下記の(A)~(B)の工程を順次経ることを特徴とするものである。
(A)エア排出装置から排出される風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かし、前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに洗い流す工程
以下、上記第1実施例の(A)~(B)の工程について詳述する。
【0025】
前記太陽光パネル等の物体21は、主に屋外に設置され、周囲の自然環境の影響を受けて、その表面に大小さまざまなゴミが堆積してしまう。こうなると、前記太陽光パネル等の物体21の本来の機能は著しく損なわれ、前記太陽光パネル等の物体21の表面の洗浄が必要となる。
そこで、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、
図1に示すように、まず、エア排出装置71から排出される強力な風力を用いて、前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した粗大ゴミを吹き飛ばす。このとき、前記太陽光パネル等の物体21の表面に強力に付着した微細ゴミの一部は前記エア排出装置71の風力をもってしても吹き飛ばずに付着したままとなる。
そこで、
図2に示すように、前記散布装置61に搭載した超微細気泡水31を前記太陽光パネル等の物体21の表面に噴霧または放水すると、前記太陽光パネル等の物体21の表面に付着した微細ゴミが浮き上がり、前記超微細気泡水31とともに洗い流すことができ、前記太陽光パネル等の物体21の表面を十分に洗浄することができるのである。
【0026】
また、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、人間が洗浄作業を行う場合の第2実施例として、
図1ないし
図3に示すように、下記の(A)~(C)の工程を順次経ることを特徴とするものである。
物体表面の洗浄方法。
(A)エア排出装置から排出される風力で物体表面の粗大ゴミまたは雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、または物体表面に付着した雪を融かす工程
(C)エア排出装置から排出される風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに前記微細ゴミまたは水分を吹き飛ばす工程
以下、上記第2実施例の(A)~(C)の工程について詳述する。
【0027】
前記太陽光パネル等の物体21は、主に屋外に設置され、周囲の自然環境の影響を受けて、その表面に大小さまざまなゴミが堆積してしまう。こうなると、前記太陽光パネル等の物体21の本来の機能は著しく損なわれ、前記太陽光パネル等の物体21の表面の洗浄が必要となる。
そこで、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、
図1に示すように、まず、エア排出装置71から排出される強力な風力を用いて、前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した粗大ゴミを吹き飛ばす。このとき、前記太陽光パネル等の物体21の表面に強力に付着した微細ゴミの一部は前記エア排出装置71の風力をもってしても吹き飛ばずに付着したままとなる。
そこで、
図2に示すように、前記散布装置61に搭載した超微細気泡水31を前記太陽光パネル等の物体21の表面に噴霧または放水すると、前記太陽光パネル等の物体21の表面に付着した微細ゴミが浮き上がる。
最後に、
図3に示すように、前記エア排出装置71から排出される強力な風力を用いて、前記微細ゴミを前記超微細気泡水31とともに吹き飛ばすことにより、前記太陽光パネル等の物体21の表面を十分に洗浄することができるのである。
【0028】
このように、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法においては、人間が洗浄作業を行う場合であっても、純水と超微細気泡からなる超微細気泡水を用いることで、超微細気泡の効果によって十分な洗浄力を発揮することができるとともに、純水と超微細気泡からなる超微細気泡水を用いることで、洗浄する対象物への物理的負荷がなく、界面活性剤や融雪剤等の環境負荷の大きい洗浄剤を使用せずに済み、環境に優しく、自然環境を損なうことがないようにすることができる。
さらに、超微細気泡水は、純水に超微細気泡を含有させて精製されるものであり、純水のほか、例えば水道水を用いる場合であれば所定のフィルタを通してカルキ等を除去して純水として用いることもでき、調達コストを非常に安く抑えることができ、純水を用いることにより、太陽光パネル等の物体の洗浄後の、洗浄に用いた水分による二次的な汚損、例えばカルキ汚れ等を生じさせないようにすることができる。
【0029】
(ドローンを用いて洗浄作業を行う方法)
図4に示すように、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、超微細気泡水31を噴霧または放水可能なドローン11を用いることで、太陽光パネル等の物体21の表面の洗浄を行うことができるものである。
このとき、前記超微細気泡水31に含有された超微細気泡の高い洗浄能力により、前記太陽光パネル等の物体21の表面を容易にかつ十分に洗浄することができるため、人間の手作業やそのための足場の設置を不要とし、一定の範囲の敷地内に設置された多数の太陽光パネル等の物体21であっても、前記ドローン11を用いて、非常に効率的に前記太陽光パネル等の物体21の表面を洗浄することができるのである。
【0030】
前記ドローン11は、前記超微細気泡水31を搭載し、前記太陽光パネル等の物体21の表面に前記超微細気泡水31を噴霧または放水することができるようにしてある。
すなわち、前記ドローン11は、
図5ないし
図6に示すように、ドローン本体12と、前記ドローン本体12とブリッジ部13aを介して取り付けられた複数のプロペラ部13と、前記ドローン本体12から垂下された脚部14から構成されるとともに、前記ドローン本体12の下部には、前記超微細気泡水31を収納する収納容器15が搭載され、さらに前記プロペラ部13の下部には噴霧放水ノズル16が取り付けられている。
【0031】
前記ドローン11から、前記太陽光パネル等の物体21の表面に前記超微細気泡水31を噴霧または放水する場合は、前記収納容器15に収納された前記超微細気泡水31をチューブ等の供給手段(図示せず)介して前記噴霧放水ノズル16に供給されるようにして、前記噴霧放水ノズル16から噴霧または放水すればよい。このとき、前記噴霧放水ノズル16は、噴霧または放水の対象物に応じて鉛直下向きのほか、任意の角度の向きのものにしてもよい。もちろん、前記噴霧放水ノズル16を用いず、前記収納容器15に直接噴霧放水機構(図示せず)を搭載させて直接噴霧または放水してもよい。
【0032】
なお、
図5ないし
図6においては、前記収納容器15内に、予め精製された前記超微細気泡水31を収納する実施例を説明したが、もちろん、前記収容容器15には純水のみを収納しておき、別途超微細気泡精製装置(図示せず)を前記ドローン本体12に搭載させることにより、前記ドローン11を用いて前記超微細気泡水31を前記太陽光パネル等の物体21の表面に噴霧または放水する段階で前記純水に超微細気泡精製装置を介して超微細気泡を含有させて前記超微細気泡水31を精製するようにしてもよい。
【0033】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、第3実施例として、
図7ないし
図9に示すように、下記の(A)~(B)の工程を順次経ることを特徴とするものである。
(A)前記ドローン11の風力で前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した粗大ゴミを吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧して物体表面に付着した微細ゴミを浮かし、前記噴霧された超微細気泡水とともに洗い流す工程
以下、上記第3実施例の(A)~(B)の工程について詳述する。
【0034】
前記太陽光パネル等の物体21は、主に屋外に設置され、周囲の自然環境の影響を受けて、
図7に示すように、その表面に大小さまざまなゴミが堆積してしまう。こうなると、前記太陽光パネル等の物体21の本来の機能は著しく損なわれ、前記太陽光パネル等の物体21の表面の洗浄が必要となる。
そこで、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、
図8に示すように、まず、前記ドローン11から排出される下向きの強力な風力を用いて、前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した粗大ゴミを吹き飛ばす。このとき、前記太陽光パネル等の物体21の表面に強力に付着した微細ゴミの一部は前記ドローン11の風力をもってしても吹き飛ばずに付着したままとなる。
そこで、
図9に示すように、前記ドローン11に搭載した超微細気泡水31を前記太陽光パネル等の物体21の表面に噴霧または放水すると、前記太陽光パネル等の物体21の表面に付着した微細ゴミが浮き上がり、前記超微細気泡水31とともに洗い流すことができ、前記太陽光パネル等の物体21の表面を十分に洗浄することができるのである。
【0035】
また、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、第4実施例として、
図7ないし
図10に示すように、下記の(A)~(C)の工程を順次経ることを特徴とするものである。
(A)前記ドローン11の風力で前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した粗大ゴミを吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧して物体表面に付着した微細ゴミを浮かす工程
(C)ドローンの風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに前記微細ゴミを吹き飛ばす工程
以下、上記第4実施例の(A)~(C)の工程について詳述する。
【0036】
前記太陽光パネル等の物体21は、主に屋外に設置され、周囲の自然環境の影響を受けて、
図7に示すように、その表面に大小さまざまなゴミが堆積してしまう。こうなると、前記太陽光パネル等の物体21の本来の機能は著しく損なわれ、前記太陽光パネル等の物体21の表面の洗浄が必要となる。
そこで、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、
図8に示すように、まず、前記ドローン11から排出される下向きの強力な風力を用いて、前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した粗大ゴミを吹き飛ばす。このとき、前記太陽光パネル等の物体21の表面に強力に付着した微細ゴミの一部は前記ドローン11の風力をもってしても吹き飛ばずに付着したままとなる。
そこで、
図9に示すように、前記ドローン11に搭載した超微細気泡水31を前記太陽光パネル等の物体21の表面に噴霧または放水すると、前記太陽光パネル等の物体21の表面に付着した微細ゴミが浮き上がる。
最後に、
図10に示すように、前記ドローン11から排出される下向きの強力な風力を用いて、前記微細ゴミを前記超微細気泡水31とともに吹き飛ばすことにより、前記太陽光パネル等の物体21の表面を十分に洗浄することができるのである。
【0037】
本発明のドローンを用いた超微細気泡水による物体表面に洗浄方法は、物体表面に雪が堆積した場合の融雪方法に係る第5実施例として、
図11ないし
図14に示すように、下記の(A)~(C)の工程を順次経ることを特徴とするものである。
(A)前記ドローン11の風力で前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した雪を吹き飛ばす工程
(B)超微細気泡水を噴霧または放水して物体表面に付着した雪を融かす工程
(C)ドローンの風力で前記噴霧または放水された超微細気泡水とともに水分(融けた雪)を吹き飛ばす工程
以下、上記第5実施例の(A)~(C)の工程について詳述する。
【0038】
前記太陽光パネル等の物体21は、主に屋外に設置され、周囲の自然環境の影響を受けて、
図11に示すように、その表面に雪が堆積することがある。こうなると、前記太陽光パネル等の物体21の本来の機能は著しく損なわれ、前記太陽光パネル等の物体21の表面の洗浄が必要となる。
そこで、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法は、
図12に示すように、まず、前記ドローン11から排出される下向きの強力な風力を用いて、前記太陽光パネル等の物体21の表面に堆積した雪の表層部分を吹き飛ばす。このとき、前記太陽光パネル等の物体21の表面に強力に付着した雪の深層部分の一部は前記ドローン11の風力をもってしても吹き飛ばずに付着したままとなる。
そこで、
図13に示すように、前記ドローン11に搭載した超微細気泡水31を前記太陽光パネル等の物体21の表面に噴霧または放水すると、前記太陽光パネル等の物体21の表面に付着した雪が融けだす。
最後に、
図14に示すように、前記ドローン11から排出される下向きの強力な風力を用いて、水分(融けた雪)を前記超微細気泡水31とともに吹き飛ばすことにより、前記太陽光パネル等の物体21の表面の雪を十分に融雪除去することができるのである。
【0039】
なお、本発明の超微細気泡水を用いた物体表面に洗浄方法を上述の融雪方法として適用した場合、その奏する作用効果としてさらに次のものを挙げることができる。
(1)豪雪地帯等では除雪作業の大きな問題として、除去した雪のストックヤード(一時保管場所)の確保が困難であるという点が挙げられるが、本発明に係る融雪方法では雪を融かして除去するので、豪雪地帯等であっても、雪のストックヤードのスペースを大幅に縮小することができ、あるいは省略することができる。
(2)さらに、ドローンを用いることで、雪を融かして生じた水分についても、融雪後にドローンの強力な風力によって吹き飛ばすことができるので、水分が残留して凍結することを防ぐこともできる。
【0040】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法を用いれば、前記ドローン11を用いることにより、前記太陽光パネル等の物体21が
図15に示すような山の急斜面等の高所・難所等であっても、前記ドローン11を遠隔操作するだけでよく、問題なくその表面を容易にかつ安全に、そして十分に洗浄することができるのである。
さらに、前記ドローン11を用いる利点として、前記太陽光パネル等の物体21の設置場所が高所・難所でなくとも、住宅街や狭小地においても、人間の手作業やそのための足場の設置が不要であり、
図16に示すように、家屋の屋根等に設置された太陽光パネル等の物体21であっても、問題なくその表面を容易にかつ安全に、そして十分に洗浄することができるのである。
【0041】
また、前記ドローン11の前記プロペラ部13から垂下させた前記噴霧放水ノズル16の先端部を折り曲げ等して噴霧または放水の向きを調整すれば、
図17に示すように、例えばコンビニエンスストアのガラス状壁面に、前記ドローン11に搭載した前記超微細気泡水31を噴霧または放水することができるので、人間の手作業やそのための足場の設置が不要であり、問題なくその表面を容易にかつ安全に、そして十分に洗浄することができるのである。
【0042】
前記ドローン11を用いた洗浄作業の対象物としては、上述の高所・難所・家屋の屋根やコンビニエンスストアのほか、例えば、高速道路の道路上部分、スーパー等の大型施設の駐車場部分等を挙げることができ、人間の手作業での洗浄が困難なあらゆる物体を対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の超微細気泡水を用いた物体表面の洗浄方法によれば、洗浄する対象物の設置環境を問わず、人間の手作業やそのための足場の設置が不要で、離れた場所からドローンを遠隔操作して対象物の表面を容易にかつ安全に、そして十分に洗浄することができるので、ありとあらゆる場所に設置された太陽光パネル等の物体の表面の洗浄に適用することができることはいうまでもない。
また、洗浄に際して超微細気泡水を用いているので、界面活性剤等の設備への物理的負荷や周囲の自然環境への負荷の大きい洗浄剤を不要とすることもでき、あらゆる設備に対応することができるとともに、周囲の自然環境を損なうことのない洗浄方法となっている。
【符号の説明】
【0044】
11 ドローン
12 ドローン本体
13 プロペラ部
13a ブリッジ部
14 脚部
15 収納容器
16 噴霧放水ノズル
21 太陽光パネル等の物体
31 超微細気泡水
61 超微細気泡水の散布装置
71 エア排出装置