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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026119
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】電池配送システム、及び電池配送方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20230216BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20230216BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20230216BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20230216BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20230216BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
G06Q50/06
H02J13/00 301A
H02J13/00 311R
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 160
B65G61/00 550
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131797
(22)【出願日】2021-08-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 開催日 令和3年8月3日 開催場所 第5回 気候変動対策推進のための有識者会議(官邸2階大ホール)
(71)【出願人】
【識別番号】305062549
【氏名又は名称】ヤマト運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】福田 靖
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA04
5G064AC01
5G064AC05
5G064AC09
5G064BA02
5G064CB03
5G064CB06
5G064CB12
5G064DA11
5G066AA02
5G066AA04
5G066AE01
5G066AE07
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5L049AA16
5L049CC06
(57)【要約】
【課題】発電設備で発電された電力を有効に利用すること。
【解決手段】電池配送システムは、移動体を用いて発電設備へ電池を配送する配送指示と、発電設備で充電された電池を移動体を用いて需要家へ配送する配送指示とを行う管理部、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体を用いて発電設備へ電池を配送する配送指示と、前記発電設備で充電された前記電池を前記移動体を用いて需要家へ配送する配送指示とを行う管理部、
を備える電池配送システム。
【請求項2】
前記管理部は、
少なくとも気象情報に基づいて複数の前記発電設備のそれぞれの発電量の予測を行い、前記発電量の予測に基づいて前記電池の配送先となる前記発電設備を決定し、配送先として決定した前記発電設備に前記電池を配送するための配送指示を行う、
請求項1に記載の電池配送システム。
【請求項3】
前記管理部は、
複数の前記需要家のそれぞれの前記電池の残容量に基づいて電力の需要予測を行い、前記需要予測に基づいて前記電池の配送先となる前記需要家を決定し、配送先として決定した前記需要家に前記発電設備で充電された前記電池を配送するための配送指示を行う、
請求項1または請求項2に記載の電池配送システム。
【請求項4】
前記管理部は、
前記発電設備に配送した前記電池を、前記電池の充電状況に基づいて集荷するための集荷指示を行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電池配送システム。
【請求項5】
前記管理部は、
前記発電設備から集荷された前記電池を所定の拠点に配送するための配送指示を行い、前記需要家に前記発電設備で充電された前記電池を配送する際に、前記発電設備から前記所定の拠点に配送された前記電池を前記需要家に配送するための配送指示を行う、
請求項4に記載の電池配送システム。
【請求項6】
前記管理部は、
前記発電設備で充電された前記電池を前記需要家に配送する際に、前記需要家で使用されていた前記電池を集荷するための集荷指示を行う、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電池配送システム。
【請求項7】
前記管理部は、
前記電池に位置情報及び充電量に関する情報を関連付けて管理する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電池配送システム。
【請求項8】
前記移動体は、
宅配便システムにおいて荷物の配送に使用されるものであり、
前記電池を前記荷物として配送する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の電池配送システム。
【請求項9】
前記管理部は、
前記荷物の配送の指示に対して前記電池の配送の指示の優先度を決定する、
請求項8に記載の電池配送システム。
【請求項10】
前記管理部は、
複数の前記移動体のうち前記荷物の積載が多い移動体よりも前記荷物の積載が少ない移動体の方を優先して前記電池の配送に用いる、
請求項8に記載の電池配送システム。
【請求項11】
前記発電設備は、
再生可能エネルギーを用いて発電を行い、
発電した電力を前記需要家へ送電線を介して送電する送電系統と、
発電した電力を前記電池に充電する充電系統と、
を備える請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の電池配送システム。
【請求項12】
前記発電設備への前記電池の配送には買電価格に関する情報が設定されており、前記需要家への前記電池の配送には売電価格に関する情報が設定されている、
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の電池配送システム。
【請求項13】
電池配送システムにおける電池配送方法であって、
管理部が、
移動体を用いて発電設備へ電池を配送する配送指示を行うステップと、
前記発電設備で充電された前記電池を前記移動体を用いて需要家へ配送する配送指示を行うステップと、
を含む電池配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池配送システム、及び電池配送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
再生可能エネルギーを用いた発電設備では、常に一定の発電量が得られるとは限らない。例えば太陽光発電では、時間帯や天候によって発電量が変わるため、発電量が少ない時間帯でも送電可能な電力を得られるように太陽光パネルが過積載されていることがある。そのため、発電量が多い時間帯では余剰電力が生じるため、余剰電力を電力事業者へ供給して売電することが行われている(例えば、特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-242827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電力事業者へ送電線を用いて供給できる電力量には限度があり、限度を超えて送電を行うと停電などの問題を引き起こす可能性がある。そのため、余剰電力が大きくなると送電できない電力が生じて電力ロスが発生している。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたもので、発電設備で発電された電力を有効に利用する電池配送システム、及び電池配送方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、移動体を用いて発電設備へ電池を配送する配送指示と、前記発電設備で充電された前記電池を前記移動体を用いて需要家へ配送する配送指示とを行う管理部、を備える電池配送システムである。
【0007】
また、本発明の一態様は、電池配送システムにおける電池配送方法であって、管理部が、移動体を用いて発電設備へ電池を配送する配送指示を行うステップと、前記発電設備で充電された前記電池を前記移動体を用いて需要家へ配送する配送指示を行うステップと、を含む電池配送方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、発電設備で発電された電力を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る電池配送システムの概要を示す図。
図2】実施形態に係る発電設備における余剰電力の説明図。
図3】実施形態に係る電池配送システムの構成の一例を示すブロック図。
図4】実施形態に係る配送管理装置の構成の一例を示すブロック図。
図5】実施形態に係る発電設備への配送指示処理の一例を示すフローチャート。
図6】実施形態に係る発電設備からの集荷指示処理の一例を示すフローチャート。
図7】実施形態に係る需要家への配送指示処理の一例を示すフローチャート。
図8】実施形態に係る電池宅配システムの電力市場への展開例を示す図。
図9】実施形態に係る電池宅配システムによる事業への展開例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
[電池配送システムの概要]
まず、本実施形態に係る電池配送システムの概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る電池配送システムの概要を示す図である。発電設備10は、再生可能エネルギーによる発電事業者が保有する発電設備である。ここでは、発電設備10は、太陽光発電を行う設備を例にして説明するが、風力、水力、地熱、バイオマスなどの再生可能エネルギーで発電を行う設備であってもよい。また、発電設備10は、再生可能エネルギー以外の発電を行う設備あってもよく、化石燃料による発電や原子力発電等を行う設備であってもよい。また設備は、各家庭での太陽光発電、小型水車、または車両等の発電装置が含まれてもよい。
【0011】
太陽光発電では、シリコン半導体で作られたセルがモジュール化された太陽光パネル11が太陽の光を電気エネルギーに変換して出力する。例えば、太陽光パネル11の1パネル当りの発電出力は約180W~230Wである。太陽光パネル11で発電された電力はパワーコンディショナー12に送られる。
【0012】
パワーコンディショナー12は、直流を交流に変換して送電できるように電圧を調整する役目と、太陽光パネル11が発電しやすい電圧を調整する役目を担う。分電盤13は、送配電網20に逆潮流させる役目を担っており、発電設備10から決められた電力量を送電線に送り出す役割を担う。送配電網20は、送電線及び変電所などを含み、発電設備10から高圧の電力を需要家30へ送る。送配電網20は、需要家30の近くで降圧して家庭などで使いやすい200Vや100Vに変圧して送電する。需要家30は、発電設備10から供給される電力を使用する商業施設、工場、会社、一般家庭などである。
【0013】
発電設備10は、時間帯や天候によって発電量が変わるため、発電量が少ない時間帯でも送電可能な電力を得られるように太陽光パネル11が過積載されているのが一般的である。例えば、発電設備10は、朝晩の日射量の少ない時間帯でもパワーコンディショナー12の規定量の電力を得る為に、余裕を持たせた枚数(例えば1.5倍)の太陽光パネル11が積載(過積載)されている。そのため、発電量が多い時間帯では余剰電力が生じる。なお、発電量に影響する環境条件として、天候には温度または湿度などの気象情報も含まれ、気象情報の他に、月日や季節などの情報も含まれてもよい。
【0014】
図2は、発電設備における余剰電力の説明図である。この図において、横軸が時刻であり、縦軸が太陽光パネル11の発電容量(以下、「パネル容量」と称する)である。パネル容量とパワーコンディショナー12の容量との比率により電力ロス(余剰電力)が生じる。符号d1が示す線は、パネル容量と同容量のパワーコンディショナー12を採用したときの1日の変化を示している。この場合、日中のパネル容量がピークとなる時間でもパワーコンディショナー12の容量(パワコンの容量)を超えないため電力ロスの発生は抑えられる。しかし、ピークを迎える時間は1日のうちの短い期間であり、例えば朝晩の時間帯では発電量が低く、発電設備10の利用率が低くなる。
【0015】
符号d2が示す線は、太陽光パネル11を積み増して、パワーコンディショナー12の容量よりパネル容量の方を大きくしたときの1日の変化を示している。また、符号d3が示す線は、さらに太陽光パネル11を積み増して、パワーコンディショナー12の容量に対するパネル容量の比率を大きくしたときの1日の変化を示している。
【0016】
日中の時間帯でパネル容量がパワーコンディショナー12の容量を超える分は電力ロスとなるが、パネル容量がパワーコンディショナー12の容量を超えない範囲で増加している部分(斜線部)は発電量の増加となる。例えば、符号d2が示す線の特性において、電力ロスが生じたとしても年間を通して発電量が最大となる日や時間は限られているため、電力ロスとなる分は限定的であり、トータルでは発電設備10の利用率が向上する。
【0017】
さらに太陽光パネル11を積み増していくと、符号d3が示す線の特性のように、パネル容量がパワーコンディショナー12の容量を超えて電力ロスとなる分が増加する。パワーコンディショナー12の容量に対するパネル容量の比率が大きくなりすぎると、パネル容量のピーク時の電力ロスが大きくなり、発電設備10の利用率向上のメリットよりも、発電コスト増のデメリットの方が大きくなる。
【0018】
発電設備10は、上記のメリットがデメリットを上回る範囲で太陽光パネル11を過積載した構成とし、パネル容量がパワーコンディショナー12の容量を超える時間帯はあるものの、トータルでの発電設備10の利用率が向上させている。さらに、発電設備10は、このパネル容量がパワーコンディショナー12の容量を超える分(即ち、送配電網20を用いて送電できない分)の余剰電力を捨ててしまわずに利用することで、電力ロスを抑制する。
【0019】
図1に示すように、発電設備10は、送配電網20への送電系統とは別に、余剰電力をDC/DCコンバータ14で降圧して電池40に充電可能な充電系統を備えている。電池40は、充放電が可能な二次電池である。電池配送システム100は、この余剰電力で充電された電池40を、宅配便システム50で荷物の集配に使用している車両51(トラックなど)を用いて需要家30へ配送する。宅配便システム50は、例えば一般の荷物を配送する既存の宅配便のシステムである。需要家30は、配送された充電済みの電池40から供給される電力を使用することができる。また、電池配送システム100は、需要家30で電力が使用されて放電した電池40を、車両51を用いて発電設備10へ配送する。この配送された電池40は発電設備10において余剰電力で充電される。
【0020】
このように、電池配送システム100は、送配電網20への送電系統へ流せない余剰電力を電池40に充電し、送配電網20に代えて車両に載せて需要家30へ運ぶことにより、発電設備10で発電された電力のロスを減らし、発電された電力を有効に利用することができる。
【0021】
[電池配送システムの構成]
次に、電池配送システム100の構成について詳しく説明する。
図3は、本実施形態に係る電池配送システムの構成の一例を示すブロック図である。この図において、図1の各部に対応する構成には同一の符号を付している。再生可能エネルギー発電事業者の複数の発電設備10として2つの発電設備10を図示している。発電設備の10の数は、2つに限られるものではなく3つ以上であってもよい。複数の発電設備10のそれぞれは、一部または全部が同一の再生可能エネルギー発電事業者の発電設備であってもよいし、異なる再生可能エネルギー発電事業者の発電設備であってもよい。なお、本実施形態では、電池40の充電を行うことが可能な複数の発電設備10が備えられている例を説明するが、一つの発電設備10が備えられている構成としてもよい。
【0022】
電池配送システム100は、複数の発電設備10それぞれの発電量を予測し、予測した結果に基づいて、複数の発電設備10の中から余剰電力の発生が見込まれる発電設備10へ電池40を配送する。電池40を配送する発電設備10は、一つであってもよいし、複数であってもよい。発電設備10は、配送された電池40を余剰電力で充電する。そして、電池配送システム100は、電池40の充電状況を確認し、充電が完了した電池40を集荷する。例えば、発電コストに基づいて買電価格が定められており、充電された電池40の集荷に応じて買電の取引が行われる。なお、電池配送システム100は、複数の発電設備10それぞれで、再生可能エネルギーであるか否か、再生可能エネルギーの割合、及び再生可能エネルギーの種類等の電力の質(内容)、並びにその発電量を予測してもよい。再生可能エネルギーの種類は、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の発電要因によって分類されてもよいし、発電に起因する温室効果ガス排出量によって分類されてもよい。また、買電価格は、電力の質によって定められてもよい。
【0023】
また、電池配送システム100は、複数の需要家30の需要予測または電池残量の確認を行い、需要が見込まれる需要家30(或いは電池残量が少ない需要家30)へ発電設備10で充電された充電済みの電池40を配送する。例えば、発電コスト、電池コスト、及び配送コストなどに基づいて売電価格が定められており、充電済みの電池40の配送に応じて売電の取引が行われる。
【0024】
また、電池配送システム100は、需要家30で使用された電池40(放電された電池40)を、充電するための電池40として発電設備10へ配送する。
【0025】
電池40は、取り外しが可能なカートリッジ式のバッテリであって、単体で持ち運びが可能である。発電設備10では、DC/DCコンバータ14(図1参照)を介して電力が供給される充電系統に接続するための充電端子部などに電池40を取り付けることで充電が可能となる。また、需要家30では、需要家30に設けられている電源接続用の電源端子部などに電池40を取り付けることで、電池40の電力を需要家30へ供給可能となる。
【0026】
また前述したように、電池40の配送には宅配便システム50を用いる。宅配便システム50は、例えば一般的な荷物の宅配を行う宅配便業者による宅配便システムであり、電池40を荷物として扱う。つまり、荷物の集配に使用している車両51に、荷物と同様に電池40を載せて運搬することによりに電池40を配送することができる。車両51は、典型的には、荷物の集配及び運搬に使用するトラックであるが、トラック以外の車両であってもよい。
【0027】
また、車両51は、EV(Electric Vehicle)であってもよく、EVの場合には車両51に設けられているバッテリで走行可能なものであってもよいし、当該バッテリに代えて又は加えて電池40からの電力で走行可能なものであってもよい。なお、車両51に限らず、ドローンなどの他の移動体を用いてもよい。
【0028】
また、電池配送システム100は、発電設備10で充電された充電済みの電池40を、需要家30以外に、宅配便システム50を提供する宅配便業者の配送拠点31へ配送してもよい。例えば、充電済みの電池40は、需要家30への配送の途中で配送拠点31を一旦経由してもよい。また、充電済みの電池40は、一旦配送拠点31へ配送されて保管され、その後、需要に応じて需要家30へ配送されてもよい。また、充電済みの電池40が配送された配送拠点31で、当該電池40が使用されてもよい。また、配送拠点31で保管されている電池40は、保管状況(例えば、保管期間)などによって配送拠点31で充電または放電が行われてもよい。
【0029】
また、電池配送システム100は、発電設備10で充電された充電済みの電池40を、宅配便システム50を提供する宅配便業者以外の業界他社32に対して配送してもよい。業界他社32に対して充電済みの電池40を配送する場合も、配送に応じて売電が行われる。業界他社32は、配送された電池40を、業界他社32で使用してもよいし、業界他社32が需要家30へ配送(売電)してもよい。
【0030】
このように、電池配送システム100は、送配電網20に代わって、発電設備10から電池40へ充電して需要家30へ運ぶことにより、発電設備10から買電して需要家30へ売電するという電力取引の仕組みを提供することができる。これにより、電池配送システム100は、送配電網20で送電できない発電設備10の余剰電力を需要家30で利用可能にすることができるため、発電設備10における電力ロスを低減し、発電設備10で発電された電力を有効に利用することができる。
【0031】
電池配送システム100は、上述した発電設備10の発電量予測、需要家30の需要予測、電池40の配送指示を行う配送管理装置500を備えている。例えば、配送管理装置500は、配送管理装置500が有する機能を実現するためのプログラムを実行するコンピュータを備えるサーバである。例えば、配送管理装置500は、電池40の配送指示を、車両51で集配業務を行う集配作業者が所持する端末に対して行う。
【0032】
[配送管理装置の構成]
次に、図4を参照して、配送管理装置500が有する機能構成について説明する。
図4は、本実施形態に係る配送管理装置の構成の一例を示すブロック図である。配送管理装置500は、通信部510と、制御部520と、記憶部530とを備える。
通信部510は、通信ネットワークを介して、発電設備10、需要家30、車両51、及び気象情報などを提供する外部のサーバなどと通信を行う。
【0033】
制御部520は、情報取得部521と、発電量予測部522と、需要予測部523と、集配計画部524と、配送指示部525とを備える。また、記憶部530は、発電設備情報記憶部531と、需要家情報記憶部532と、車両情報記憶部533と、電池情報記憶部534と、予測情報記憶部535と、集配計画記憶部536とを備える。
【0034】
情報取得部521は、通信部510を介して通信ネットワークに接続されるは発電設備10、需要家30、車両51、外部サーバなどから各種の情報を取得する。例えば、情報取得部521は、複数の発電設備10のそれぞれから発電設備10の名称及び所在地とともに発電設備情報を取得し、発電設備情報記憶部531に記憶させる。例えば、発電設備情報には、太陽光パネル11のパネル容量、パワーコンディショナー12の容量、容積などが含まれる。なお、発電設備情報には、所定期間における発電設備10の実際の発電量や余剰電力の履歴データが含まれてもよい。発電設備情報記憶部531には、例えば、発電設備10の名称及び所在地、発電設備情報などが関連付けられて記憶される。
【0035】
また、情報取得部521は、複数の需要家30のそれぞれから需要家情報を取得し、需要家情報記憶部532に記憶させる。例えば、情報取得部521は、需要家30の名称及び所在地とともに需要家30で使用されている電池40の電池情報を需要家情報として複数の需要家30のそれぞれから取得する。電池情報とは、例えば、電池40を識別するための電池ID、電池40の電池残量(例えば、充電率(SOC:State Of Charge))に関する情報などである。需要家情報記憶部532には、例えば、需要家30の名称及び所在地、電池情報(電池ID、電池残量など)などが関連付けられて記憶される。なお、情報取得部521は、複数の需要家30のそれぞれから需要家30の電力使用量(例えば、1日当たりの電力使用量)を需要家情報として取得し、需要家情報記憶部532に記憶させてもよい。
【0036】
また、情報取得部521は、宅配便システム50において車両51を用いて荷物や電池40の配送(または集荷)を行っている集配作業者が所持する端末から車両情報を取得し、車両情報記憶部533に記憶させる。車両情報とは、例えば、車両51を識別するための車両ID、車両51の位置情報、及び車両51の積載物情報(荷物、電池40などの情報)である。集配作業者が所持する端末には、予め使用する車両51の車両IDが登録されてもよいし、車両51と通信することにより車両IDが登録されてもよい。通信には、無線通信の他、RFID(Radio Frequency Identifier)技術を用いた通信等の非接触型の通信や有線接続も含まれる。また、車両51の位置情報は、集配作業者が所持する端末が検出する位置情報であってもよいし、車両51に搭載されている位置検出機能が検出する位置情報を利用してもよい。積載物情報は、集配作業者が所持する端末に配送拠点で登録されてもよいし、集配作業者の操作により端末に入力されてもよい。また、情報取得部521は、上記端末の機能の一部または全部が車両51に備えられてもよく、情報取得部521は、車両51から車両情報を取得してもよいし、車両51と集配作業者が所持する端末とのそれぞれから車両情報を取得してもよい。
【0037】
なお、電池40には、電池40の温度や膨張率、発火、液漏れなどの電池監視情報を検出するセンサーが取り付けられてもよく、情報取得部521は、電池情報として、電池IDごとに電池監視情報を取得してもよい。例えば、情報取得部521は、各車両51の積載物情報として、各車両51に積載されている電池40の電池情報として、電池監視情報を含む電池情報を取得してもよい。これにより、電池40の正常性や異常を監視でき、電池40の発火や破裂などによる事故を防止できる。
【0038】
車両情報記憶部533には、例えば、車両ID、位置情報、積載物情報などが関連付けられて記憶される。なお、積載物情報としては、例えば、荷物を識別するための荷物ID、電池40を識別するための電池IDなどが含まれる。荷物ID及び電池IDは、それぞれを識別可能な情報であればよく、例えば、荷物及び電池40を配送する際の配送伝票の伝票番号でもよい。
【0039】
また、情報取得部521は、電池40の電池情報を取得し、電池情報記憶部534に記憶させる。電池情報記憶部534には、電池ID、位置情報、充電量または電池残量などが関連付けられて記憶される。
【0040】
例えば、情報取得部521は、発電設備10で充電されている電池40の電池情報として、電池ID及び充電状況に関する情報を発電設備10から取得する。電池40の充電状況とは、例えば、電池40の充電量(例えば充電率(SOC))などである。情報取得部521は、発電設備10から取得した電池情報に基づいて、発電設備10にある電池40の電池ID、位置情報、充電量(例えば充電率(SOC))などを電池情報記憶部534に記憶させる。位置情報は、発電設備10の名称または所在地であってもよい。なお、情報取得部521は、電池40の充電状況に関する情報として、電池40を発電設備10に配送してからの時間または充電開始してからの時間の情報を取得してもよい。
【0041】
また、情報取得部521は、需要家30から取得し需要家情報に含まれる電池情報に基づいて、需要家30にある電池40の電池ID、位置情報、電池残量(例えば充電率(SOC))などを電池情報記憶部534に記憶させる。位置情報は、需要家30の需要家IDであってもよいし、所在地であってもよい。
【0042】
また、情報取得部521は、集配作業者が所持する端末から取得した車両情報に基づいて電池情報記憶部534に記憶されている電池情報の位置情報を更新する。例えば、発電設備10または需要家30にある電池40が車両51に積載された場合、当該電池40の位置情報を車両情報に含まれる位置情報に更新する。
【0043】
具体的には、電池40が発電設備10から需要家30へ配送された場合、情報取得部521は、まず電池40が車両51に積載されたことに応じて当該電池40の位置情報を当該車両51の車両情報に含まれる位置情報に更新し、次に電池40が需要家30に配送されたことに応じて当該電池40の位置情報を需要家30の名称または所在地に更新する。また、電池40が需要家30から発電設備10へ配送された場合、情報取得部521は、まず電池40が車両51に積載されたことに応じて当該電池40の位置情報を当該車両51の車両情報に含まれる位置情報に更新し、次に電池40が発電設備10に配送されたことに応じて当該電池40の位置情報を当該発電設備10の名称または所在地に更新する。
【0044】
なお、電池40が配送拠点31に配送された場合には、情報取得部521は、電池40が配送拠点31に配送されたことに応じて当該電池40の位置情報を当該配送拠点31の拠点ID(或いは拠点の名称)または所在地に更新する。
【0045】
また、情報取得部521は、気象情報を提供する外部サーバから各発電設備10の所在地の気象情報(例えば、天気予報)を取得する。この気象情報は、発電設備10の発電量の予測に利用される。
【0046】
発電量予測部522は、情報取得部521が取得した情報に基づいて、複数の発電設備10のそれぞれの発電量の予測を行う。例えば、発電量予測部522は、少なくとも気象情報(例えば、天気予報)に基づいて複数の発電設備10のそれぞれの日射量を予測して発電量の予測を行う。また、発電量予測部522は、発電量の予測結果と設置されているパワーコンディショナー12の容量とから余剰電力の予測を行う。
【0047】
ここで、発電量予測部522は、AI(Artificial Intelligence)を用いて発電量(または余剰電力)の予測を行ってもよい。例えば、発電量予測部522は、複数の発電設備10それぞれの発電設備情報及びそれぞれの発電設備10の所在地の気象(例えば、天気)と、そのときの発電量(または余剰電力)とに基づいて機械学習した学習済みモデルを用いて、各発電設備10の発電量(または余剰電力)の予測を気象情報(例えば、天気予報などの気象予測の情報)に基づいて行ってもよい。
【0048】
なお、発電量(または余剰電力)の予測には、天気の他に温度または湿度などの気象情報を利用してもよい。また、発電量(または余剰電力)の予測には、気象情報の他に、月日や季節などの情報も利用してもよい。
【0049】
また、発電量予測部522は、予測結果に基づいて発電量予測情報を生成して予測情報記憶部535に記憶させる。例えば、予測情報記憶部535には、発電量予測情報として、発電設備10の設備ID、発電量予測結果、余剰電力予測結果などが関連付けられて記憶される。
【0050】
なお、風力発電の場合には、例えば風予測に基づいて発電量の予測を行ってもよいし、水力発電の場合には、例えば雨予測に基づいて発電量の予測を行ってもよい。
【0051】
需要予測部523は、複数の需要家30のそれぞれの需要予測を行う。例えば、需要予測部523は、複数の需要家30のそれぞれの電池40の電池残量に基づいて、各需要家30の電力の需要予測を行う。例えば、需要予測部523は、電池40の電池残量が所定量以下の需要家30を、充電済みの電池40を配送する必要がある(需要がある)と予測する。なお、需要予測部523は、複数の需要家30の1日当たりの電力使用量と電池40の電池残量とに基づいて、各需要家30の電力の需要予測を行ってもよい。
【0052】
ここで、需要予測部523は、AIを用いて需要予測を行ってもよい。例えば、需要予測部523は、複数の需要家30それぞれの需要家情報(例えば、1日当たりの電力使用量、電池残量など)と、そのときの電池40の需要とに基づいて機械学習した学習済みモデルを用いて、各需要家30の需要予測を行ってもよい。
【0053】
なお、需要予測には、各需要家30の所在地の気象情報を利用してもよい。また、需要予測には、各需要家30に充電済みの電池40を配送してからの経過時間の情報を利用してもよい。
【0054】
また、需要予測部523は、需要の予測結果に基づいて需要予測情報を生成して予測情報記憶部535に記憶させる。例えば、予測情報記憶部535には、需要予測情報として、需要家30の需要家ID、需要予測結果などが関連付けられて記憶される。
【0055】
なお、需要予測部523は、各需要家30の所在地の気象情報を需要予測に利用してもよい。
【0056】
集配計画部524は、各発電設備10の発電量(または余剰電力)の予測結果に基づいて電池40の配送先となる発電設備10を決定し、決定した発電設備10へ充電用の電池40を配送する配送計画を作成する。例えば、集配計画部524は、発電量(または余剰電力)の予測結果に基づいて、複数の発電設備10のうち余剰電力が多く生じることが予想される発電設備10へ優先的に充電用の電池40を配送するように計画する。
【0057】
発電設備10への配送計画には、例えば、配送先の発電設備10の情報(名称、住所(所在地)など)と、発電設備10へ配送する電池40の情報(電池ID、電池の位置情報など)と、配送に使用する車両51の車両IDとが含まれる。また、配送計画には、配送日(配送予定日)または配送日時(配送予定日時)の情報が含まれてもよい。なお、発電設備10へ配送する電池40は、例えば、需要家30で充電済みの電池40と交換されて集荷されたもの、需要家30から集荷された後に配送拠点31で充電用の電池40として保管されているもの、或いは新規の未充電の電池40などである。
【0058】
また、集配計画部524は、各需要家30の需要予測結果に基づいて電池40の配送先となる需要家30を決定し、決定した需要家30へ発電設備10で充電された充電済みの電池40を配送する配送計画を作成する。例えば、集配計画部524は、複数の需要家30のうち各需要家30で使用されている電池40の電池残量が少ないところ又は電池残量が不足する見込みが大きいところへ優先的に充電済みの電池40を配送するように計画する。
【0059】
需要家30への配送計画には、例えば、配送先の需要家30の情報(名称、住所(所在地)など)と、需要家30へ配送する電池40の情報(電池ID、電池の位置情報など)と、配送に使用する車両51の車両IDとが含まれる。また、配送計画には、配送日(配送予定日)または配送日時(配送予定日時)の情報が含まれてもよい。なお、需要家30へ配送する電池40は、例えば、発電設備10で充電済みとなって集荷されたもの、発電設備10で充電済みとなって集荷された後に配送拠点31で保管されているもの、或いは新規の充電済みの電池40などである。
【0060】
また、集配計画部524は、発電設備10から充電済みの電池40を集荷する場合、電池情報記憶部534に記憶されている電池情報を参照し、各発電設備10で充電されている充電状況に応じて、充電が完了した電池40または充電完了までの時間が所定時間未満の電池40を集荷対象とした集荷計画を作成する。所定時間とは、例えば集荷に向かう車両51が到着するまでにかかる時間(見込み時間)である。なお、集配計画部524は、電池40を発電設備10に配送してからの時間または充電開始してからの時間の情報に基づいて、充電が完了したと判断できる電池40を集荷対象としてもよい。
【0061】
また、集配計画部524は、発電設備10から集荷した充電済みの電池40及び需要家30から集荷した使用済みの電池40を、配送拠点31へ配送する配送計画を作成してもよい。また、集配計画部524は、発電設備10から集荷した充電済みの電池40を、業界他社32へ配送する配送計画を作成してもよい。
【0062】
また、集配計画部524は、電池40以外の一般の荷物の積載量、種類に基づいて電池40の配送に用いる車両51を選択してもよい。例えば、集配計画部524は、電池40の配送に用いる車両51を選択する際に、電池40以外の一般の荷物の積載が多い車両51よりも積載が少ない方の車両51を優先して選択してもよい。例えば車両51は、行きのルートで荷物の積載が多く帰りのルートでは荷物の積載が無い又は少ない場合や、その逆に、行きのルートでは荷物の積載が無い又は少なく、帰りのルートで荷物の積載が多い場合がある。集配計画部524は、車両情報記憶部533に記憶されている車両情報を参照して、それぞれ荷物の積載が無い又は少ない方のルートで電池40を積載するように配送計画を作成してもよい。
【0063】
また、集配計画部524は、荷物の配送の指示に対して電池40の配送の指示の優先度を決定する。例えば、集配計画部524は、荷物の配送の指示に対して電池40の配送の指示の優先度を下げてもよい。例えば、集配計画部524は、車両51に電池40を積載することにより積載できなくなる荷物が生じないように、荷物を優先して車両51に積載し、積載する余裕がある場合に、電池40を積載するようにしてもよい。また、集配計画部524は、荷物の配送の指示に対して電池40の配送の指示の優先度を上げてもよい。例えば、集配計画部524は、緊急で充電済みの電池40が必要になった需要家30がある場合、優先的に電池40を配送するにようにしてもよい。
【0064】
ここで、集配計画部524は、AIを用いて電池40の配送計画を決定してもよい。例えば、集配計画部524は、上述した各発電設備10の発電量(または余剰電力)の予測結果、各需要家30の需要予測結果、電池情報記憶部534に記憶されている電池情報、車両情報記憶部533に記憶されている車両情報、又は、配送経路、配送経路状況等学習用に作成された配送計画(または実際に使用された配送計画)などに基づいて機械学習した学習済みモデルを用いて、配送計画を作成してもよい。
【0065】
また、集配計画部524は、上述した複数の発電設備10それぞれの発電設備情報及びそれぞれの発電設備10の所在地の気象(例えば、天気)、複数の需要家30それぞれの需要家情報(例えば電池残量、または、1日当たりの電力使用量及び電池残量、など)、電池情報記憶部534に記憶されている電池情報、車両情報記憶部533に記憶されている車両情報、又は、配送経路、配送経路状況等学習用に作成された配送計画(または実際に使用された配送計画)などに基づいて機械学習した学習済みモデルを用いて、配送計画を作成してもよい。
【0066】
なお、集配計画部524は、電池40の使用期間や、充放電のサイクル数、季節、温度などの使用状況(使用履歴)に基づいて、配送計画(例えば、配送する電池40の選択)の作成や用途の変更(例えば、EVの動力に用いるか否かなど)を行ってもよい。例えば集配計画部524は、電池40の使用期間や、充放電のサイクル数、季節、温度などの情報を機械学習に用いる特徴量として加えてもよい、これらの情報に基づいて機械学習した学習済みモデルを用いて配送計画を作成してもよい。これにより、集配計画部524は、電池40の使用期間や、充放電のサイクル数、季節、温度によって電池40に蓄電される容量が異なっても、精度の高い配送計画を作成できる。
【0067】
また、集配計画部524は、作成した配送計画及び集荷計画を集配計画記憶部536に記憶させる。配送計画には、例えば、配送先の情報(名称、住所(所在地)など)、配送する電池40の情報(電池ID、電池の位置情報など)と、配送に使用する車両51の車両IDなどが関連付けられる。また、集荷計画には、例えば、集荷先の情報(名称、住所(所在地)など)、集荷する電池40の情報(電池ID、電池の位置情報など)と、集荷に使用する車両51の車両IDなどが関連付けられる。
【0068】
配送指示部525は、集配計画部524により作成された配送計画に基づく配送指示を車両51へ送信する。または、配送指示部525は、集配計画部524により作成された配送計画に基づく配送指示を、配送拠点31を介して車両51へ送信してもよい。
【0069】
例えば、配送指示部525は、配送先として決定された発電設備10に充電用の電池40を配送するための配送計画に基づいて配送指示を行う。また、配送指示部525は、配送先として決定された需要家30に発電設備10で充電された電池40を配送するための配送計画に基づいて配送指示を行う。一例として、この配送指示は、一般の荷物の配送に使用される配送伝票に対応するものである。
【0070】
また、配送指示部525は、発電設備10または需要家30から電池40を集荷するための集荷計画に基づいて集荷指示を行う。また、配送指示部525は、配送拠点31または業界他社32へ電池40を配送するための配送計画に基づいて配送指示を行う。
【0071】
なお、配送指示部525は、配送拠点31で保管されている電池40に対して配送指示を行う場合、保管されている電池40の保管状況(例えば、保管期間、保管環境(自然災害有無等))などによって、事前に充電または放電の指示を配送拠点31に対して行ってもよい。例えば、配送指示部525は、発電設備10へ配送する電池40に対して放電の指示を行ってから発電設備10へ配送するように配送指示を行ってもよい。また、配送指示部525は、需要家30へ配送する電池40の保管期間が長い場合、当該電池40に対して充電の指示を行ってから需要家30へ配送するように配送指示を行ってもよい。
【0072】
[電池配送システムにおける配送処理]
次に、電池配送システム100において配送管理装置500が実行する配送管理処理の動作について説明する。
【0073】
まず、配送管理装置500が充電用の電池40を発電設備10へ配送するための配送指示処理の動作について説明する。
図5は、本実施形態に係る発電設備への配送指示処理の一例を示すフローチャートである。
【0074】
配送管理装置500は、複数の発電設備10のそれぞれから発電設備10の名称及び所在地とともに発電設備情報を取得する(ステップS101)。また、配送管理装置500は、気象情報を提供する外部サーバから各発電設備10の所在地の気象情報(例えば、天気予報)を取得する(ステップS103)。
【0075】
次に、配送管理装置500は、取得した発電設備情報と気象情報(例えば、天気予報)とに基づいて複数の発電設備10のそれぞれの発電量及び余剰電力の予測を行う(ステップS105)。
【0076】
続いて、配送管理装置500は、各発電設備10の発電量(または余剰電力)の予測結果に基づいて電池40の配送先となる発電設備10を決定し、決定した発電設備10へ充電用の電池40を配送する配送計画を作成する。例えば、配送管理装置500は、発電量(または余剰電力)の予測結果に基づいて、複数の発電設備10のうち余剰電力が多く生じることが予想される発電設備10へ優先的に充電用の電池40を配送するように計画する(ステップS107)。
【0077】
そして、配送管理装置500は、作成した配送計画に基づいて車両51に対して配送指示を行う。例えば、配送管理装置500は、作成した配送計画に基づいて、決定した配送先の発電設備10へ充電用の電池40および電池40の個数を配送する配送伝票を発行して車両51に対して配送指示を行う(ステップS109)。なお、電池40の個数は、需要家が消費する電力量によって定められてもよい。
【0078】
次に、配送管理装置500が発電設備10から充電済みの電池40を集荷するための集荷指示処理の動作について説明する。
図6は、本実施形態に係る発電設備10からの集荷指示処理の一例を示すフローチャートである。
【0079】
配送管理装置500は、発電設備10で充電されている電池40の充電状況に関する情報を取得する(ステップS201)。例えば、配送管理装置500は、発電設備10から電池40の充電量(例えば充電率(SOC))の情報を取得する。
【0080】
配送管理装置500は、電池40の充電状況に基づいて、電池40の充電が完了したか否か(或いは、充電完了までの時間が所定時間未満であるか否か)を判定する(ステップS203)。配送管理装置500は、充電が完了した電池40(或いは、充電完了までの時間が所定時間未満の電池40)が無いと判定した場合(NO)、ステップS203の処理を再び行う。
【0081】
一方、配送管理装置500は、充電が完了した電池40(或いは、充電完了までの時間が所定時間未満の電池40)があると判定した場合(YES)、発電設備10から当該電池40を集荷する集荷計画を作成する(ステップS205)。
【0082】
そして、配送管理装置500は、作成した集荷計画に基づいて車両51に対して集荷指示を行う。例えば、配送管理装置500は、作成した集荷計画に基づいて、決定した配送先の発電設備10から充電済みの電池40を集荷する集荷指示を車両51に対して行う(ステップS207)。
【0083】
次に、配送管理装置500が充電済みの電池40を需要家30へ配送するための配送指示処理の動作について説明する。
図7は、本実施形態に係る需要家30への配送指示処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
配送管理装置500は、複数の需要家30のそれぞれから需要家情報(例えば、電池残量など)を取得する(ステップS301)。なお、配送管理装置500は、複数の需要家30のそれぞれから電力使用量(例えば、1日当たりの電力使用量)を需要家情報として取得してもよい。
【0085】
次に、配送管理装置500は、取得した需要家情報に基づいて複数の需要家30のそれぞれの需要予測を行う(ステップS303)。例えば、配送管理装置500は、複数の需要家30のそれぞれの電池40の電池残量に基づいて、各需要家30の電力の需要予測を行う。なお、配送管理装置500は、複数の需要家30の1日当たりの電力使用量と電池40の電池残量とに基づいて、各需要家30の電力の需要予測を行ってもよい。
【0086】
続いて、配送管理装置500は、各需要家30の需要予測結果に基づいて電池40の配送先となる需要家30を決定し、決定した需要家30へ発電設備10で充電された充電済みの電池40を配送する配送計画を作成する(ステップS305)。例えば、配送管理装置500は、複数の需要家30のうち各需要家30で使用されている電池40の電池残量が少ないところ又は電池残量が不足する見込みが大きいところへ優先的に充電済みの電池40を配送するように計画する。
【0087】
そして、配送管理装置500は、作成した配送計画に基づいて車両51に対して配送指示を行う。例えば、配送管理装置500は、作成した配送計画に基づいて、決定した配送先の需要家30へ充電済みの電池40を配送する配送伝票を発行して車両51に対して配送指示を行う(ステップS307)。
【0088】
配送管理装置500は、需要家30へ充電済みの電池40の配送指示を行う場合、配送先の需要家30で使用されていた電池40の集荷指示も行ってもよい。
【0089】
以上説明してきたように、本実施形態に係る電池配送システム100は、車両51(移動体の一例)を用いて発電設備10へ電池40を配送する配送指示と、発電設備10で充電された電池40を車両51を用いて需要家30へ配送する配送指示とを行う配送管理装置500(管理部の一例)を備える。
【0090】
これにより、電池配送システム100は、発電設備10の余剰電力を電池40に充電して車両51を用いて需要家30へ送ることができるため、発電設備10における電力ロスを低減し、発電設備10で発電された電力を有効に利用することができる。
【0091】
例えば、配送管理装置500は、少なくとも気象情報に基づいて複数の発電設備10のそれぞれの発電量の予測を行い、発電量の予測に基づいて電池40の配送先となる発電設備10を決定する。例えば、配送管理装置500は、発電量の予測に基づいて余剰電力を予測し、余剰電力の予測に基づいて電池40の配送先となる発電設備10を決定する。そして配送管理装置500は、配送先として決定した発電設備に電池40(充電用の電池40)を配送するための配送指示を行う。
【0092】
これにより、電池配送システム100は、複数の発電設備10のうち発電量(または余剰電力)の多いところから電池40へ充電して需要家30へ送ることができるため、発電設備10における電力ロスを低減することができる。
【0093】
また、配送管理装置500は、複数の需要家30のそれぞれの電池40の残容量に基づいて電力の需要予測を行い、需要予測に基づいて電池40の配送先となる需要家30を決定する。そして、配送管理装置500は、配送先として決定した需要家30に発電設備10で充電された電池40を配送するための配送指示を行う。
【0094】
これにより、電池配送システム100は、複数の需要家30のうち電力の需要が高いところへ発電設備10で充電された電池40を送ることができるため、発電設備10における電力ロスを低減し、需要家30に必要な電力を供給することができる。
【0095】
また、配送管理装置500は、発電設備10に配送した電池40を、電池40の充電状況に基づいて集荷するための集荷指示を行う。例えば、充電状況とは、電池40の充電量(例えば充電率(SOC))、または電池40を配送してからの時間または充電開始してからの時間である。
【0096】
これにより、電池配送システム100は、発電設備10で充電された電池40を適切なタイミングで集荷して、需要家30へ配送することができる。
【0097】
また、配送管理装置500は、発電設備10から集荷された電池40を配送拠点31(所定の拠点の一例)に配送するための配送指示を行い、需要家30に発電設備10で充電された電池40を配送する際に、発電設備10から配送拠点31に配送された電池40を需要家30に配送するための配送指示を行う。
【0098】
これにより、電池配送システム100は、発電設備10から充電済みの電池40を集荷するタイミングと、需要家30へ充電済みの電池40を配送するタイミングとが合わない場合、配送拠点31で保管し、適切なタイミングで需要家30へ配送することが可能である。
【0099】
また、配送管理装置500は、発電設備10で充電された電池40を需要家30に配送する際に、需要家30で使用されていた電池40を集荷するための集荷指示を行う。
【0100】
これにより、電池配送システム100は、需要家30へ充電済みの電池40を配送したときに使用済み電池40と交換して集荷するため、配送効率が良い。
【0101】
また、配送管理装置500は、電池40に位置情報及び充電量に関する情報を関連付けて管理する。
【0102】
これにより、電池配送システム100は、各電池40の場所と充電状態を管理できるため、電池40を発電設備10及び需要家30へ適切に配送することができる。
【0103】
また、車両51は、宅配便システム50において荷物の配送に使用されるものであり、電池40を荷物として配送する。
【0104】
これにより、電池配送システム100は、既存の宅配便システム50を利用して電池40を宅配するため、配送コストを抑えることができる。
【0105】
また、配送管理装置500は、荷物の配送の指示に対して電池40の配送の指示の優先度を決定する。
【0106】
これにより、電池配送システム100は、一般の荷物の配送と電池40の配送とを適宜調整することができる。例えば、電池配送システム100は、荷物の配送の指示に対して電池40の配送の指示の優先度を下げることにより、宅配便システム50で配送される一般の荷物へ影響を与えずに、電池40を用いて発電設備10から需要家30へ電気の宅配を行うことができる。また、例えば、電池配送システム100は、荷物の配送の指示に対して電池40の配送の指示の優先度を上げることにより、緊急で充電済みの電池40が必要になった需要家30には、優先的に電池40を配送することができる。
【0107】
また、配送管理装置500は、複数の車両51のうち荷物の積載が多い車両51よりも荷物の積載が少ない車両51の方を優先して電池40の配送に用いる。
【0108】
これにより、電池配送システム100は、宅配便システム50で配送される一般の荷物へ影響を与えずに、電池40を用いて発電設備10から需要家30へ電気の宅配を行うことができる。
【0109】
また、発電設備10は、再生可能エネルギーを用いて発電を行い、発電した電力を需要家30へ送電線を介して送電する送電系統と、発電した電力を電池40に充電する充電系統とを備える。
【0110】
これにより、電池配送システム100は、発電設備10が発電した電力のうち送配電網20に流せない余剰電力を充電系統を用いて電池40へ充電して需要家30へ配送することができる。
【0111】
また、発電設備10への電池40の配送には買電価格に関する情報が設定されており、需要家30への電池40の配送には売電価格に関する情報が設定されている。
【0112】
これにより、電池配送システム100は、電池40を利用した電気の宅配において、設定された取引価格で発電設備10から買電及び需要家30への売電の取引を行うことができる。
【0113】
また、電池配送システム100における電池配送方法は、配送管理装置500が、車両51を用いて発電設備10へ電池40を配送する配送指示を行うステップと、発電設備10で充電された電池40を、車両51を用いて需要家30へ配送する配送指示を行うステップと、を含む。
【0114】
これにより、電池配送システム100は、発電設備10の余剰電力を電池40に充電して車両51を用いて需要家30へ送ることができるため、発電設備10における電力ロスを低減し、発電設備10で発電された電力を有効に利用することができる。
【0115】
[電力市場・事業への展開]
図7は、本実施形態に係る電池配送システム100の電力市場への展開例を示す図である。電池配送システム100は、VPP(Virtual Power Plant)事業へ市場参加(電力の売買)することも可能である。例えば、電池配送システム100は、電池配送システム100における発電事業者からの電力と火力発電や原子力発電などを含む他の発電事業者からの電力とを含む全体の電力の供給と需要とを合わせるために必要な電力(調整力)の売買を行って電力リソースを調整する需給調整市場または卸電力市場への参加も可能である。
【0116】
例えば、電池配送システム100は、電池配送システム100内の電力が余っている場合には、発電設備10から買電した電力を、他の発電事業者からの電力を送電する送配電事業者または当該他の発電事業者から電気の売買を行う小売電気事業者へ売電してもよい。また、電池配送システム100は、電池配送システム100内の電力が不足する場合には、他の発電事業者からの電力を送配電事業者または小売電気事業者から買電してもよい。これにより、全体的な需給バランスと電力の安定供給を図ることができる。
【0117】
なお、電池配送システム100内の配送拠点31に保管している電池40は、他の発電事業者からの電力を送電する送配電事業者へ放電、または当該送配電事業者から充電されてもよい。
【0118】
図8は、本実施形態に係る電池配送システム100による事業への展開例を示す図である。電池配送システム100では、電池40を用いて電気の宅配便を実現できるため、図7を参照して説明したようにVPP事業へ展開することができる。また、電池配送システム100では、電池40としてカートリッジ式のバッテリを用いることにより、EVを用いたカーシェアビジネスやバッテリシェアビジネスなどのシェア事業にも展開することができる。
【0119】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0120】
例えば、電池配送システム100において、配送管理装置500は、電池40の配送を指示する際に、事前に配送先へ通知を行ってもよい。また、配送管理装置500は、例えば電池40を発電設備10へ配送する配送指示を行う際に、事前に配送先へ発電量が多く余剰電力が生じる見込みであることを通知し、配送先の発電設備10から依頼を受けてから電池40を配送する配送指示を行ってもよい。また、配送管理装置500は、例えば電池40を需要家30へ配送する配送指示を行う際に、事前に配送先へ電池残量が不足する見込みであることを通知し、配送先の需要家30から依頼を受けてから電池40を配送する配送指示を行ってもよい。
【0121】
例えば、上記実施形態において、既存の宅配便システム50を利用して電池40の配送を行う例を説明したが、任意の配送システムを利用することができる。例えば、電池40の配送に特化した専用の配送システムを構築しても構わない。
【0122】
なお、上述した配送管理装置500は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した配送管理装置500のそれぞれが備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した配送管理装置500のそれぞれが備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、複数の記憶媒体を用いたクラウド型の記憶媒体やブロックチェーンの形式で各データが保存された記憶媒体も含まれる。
【0123】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に配送管理装置500が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムやデータのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0124】
また、上述した実施形態における配送管理装置500が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0125】
10 発電設備、11 太陽光パネル、12 パワーコンディショナー、13 分電盤、14 DC/DCコンバータ、20 送配電網、30 需要家、31 配送拠点、32 業界他社、40 電池、50 宅配便システム、51 車両、100 電池配送システム、500 配送管理装置、510 通信部、520 制御部、521 情報取得部、522 発電量予測部、523 需要予測部、524 集配計画部、525 配送指示部、530 記憶部、531 発電設備情報記憶部、532 需要家情報記憶部、533 車両情報記憶部、534 電池情報記憶部、535 予測情報記憶部、536 集配計画記憶部
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