(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026121
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/52 20060101AFI20230216BHJP
B29C 33/20 20060101ALI20230216BHJP
B29C 33/34 20060101ALI20230216BHJP
B29C 33/02 20060101ALI20230216BHJP
B29C 43/18 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
B29C43/52
B29C33/20
B29C33/34
B29C33/02
B29C43/18
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131824
(22)【出願日】2021-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(74)【代理人】
【識別番号】100170748
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】水間 敬太
(72)【発明者】
【氏名】森田 健
(72)【発明者】
【氏名】高田 直毅
【テーマコード(参考)】
4F202
4F204
【Fターム(参考)】
4F202AA36
4F202AC07
4F202AD03
4F202AD04
4F202AD05
4F202AH33
4F202AH37
4F202AK13
4F202AR06
4F202CA09
4F202CB01
4F202CC01
4F202CK18
4F202CL02
4F202CM73
4F202CN01
4F202CN05
4F202CN14
4F202CN15
4F202CN27
4F202CQ01
4F204AA36
4F204AC05
4F204AD19
4F204AH37
4F204AJ08
4F204AK01
4F204AM35
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ15
4F204FQ40
(57)【要約】
【課題】樹脂成形品に及ぶ悪影響を抑制した上で樹脂成形品の反りを抑制可能な樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法を提供する。
【解決手段】樹脂成形装置は、熱硬化性樹脂を用いることによって成形対象物の樹脂成形を行なうように構成されている。この樹脂成形装置は、成形型と、型締め機構と、温度調節機構とを備えている。型締め機構は、成形型の型締めを行なうように構成されている。温度調節機構は、成形型の温度を調節するように構成されている。温度調節機構は、樹脂成形時に型締めが完了した状態で成形型を加熱し、樹脂成形後に型締めの完了状態が維持された状態で成形型を冷却するように構成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂を用いることによって成形対象物の樹脂成形を行なうように構成された樹脂成形装置であって、
成形型と、
前記成形型の型締めを行なうように構成された型締め機構と、
前記成形型の温度を調節するように構成された温度調節機構とを備え、
前記温度調節機構は、前記樹脂成形時に前記型締めが完了した状態で前記成形型を加熱し、前記樹脂成形後に前記型締めの完了状態が維持された状態で前記成形型を冷却するように構成されている、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記成形型の内部には配管が配置されており、
前記温度調節機構は、前記配管に熱媒体を供給することによって前記成形型の温度を調節するように構成されている、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
樹脂成形済みの前記成形対象物を搬送するように構成された搬送機構をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形対象物を前記成形型に供給するステップと、
前記温度調節機構により加熱された前記成形型の型締めを行なうことによって前記樹脂成形を行なうステップと、
前記樹脂成形後に前記型締めの完了状態が維持された状態で前記温度調節機構によって前記成形型を冷却するステップとを含む、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2012-045839号公報(特許文献1)は、樹脂封止済基板の搬送装置を開示する。この搬送装置においては、樹脂封止済基板が冷却板に吸着された状態で、樹脂封止済基板の搬送が行なわれる。これにより、樹脂封止済基板の冷却が行なわれ、樹脂封止済基板の反りが防止される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されている搬送装置においては、樹脂封止済基板の搬送中に樹脂封止済基板が冷却板に吸着された状態で冷却される。しかしながら、樹脂封止済基板の搬送開始時には樹脂封止済基板の冷却が完了していないため、樹脂封止済基板の反りを十分に防止できない可能性がある。例えば、熱硬化性樹脂を用いることによって成形対象物の樹脂成形が行なわれた場合に、搬送開始直後に樹脂成形済みの成形対象物(以下、「樹脂成形品」とも称する。)が反ることも考えられる。例えば、成形対象物がウェハ等の脆い部材を含む場合に、一度反った樹脂成形品をクランプして矯正すると、樹脂成形品に悪影響が及ぶ可能性がある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、その目的は、樹脂成形品に及ぶ悪影響を抑制した上で樹脂成形品の反りを抑制可能な樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある局面に従う樹脂成形装置は、熱硬化性樹脂を用いることによって成形対象物の樹脂成形を行なうように構成されている。この樹脂成形装置は、成形型と、型締め機構と、温度調節機構とを備えている。型締め機構は、成形型の型締めを行なうように構成されている。温度調節機構は、成形型の温度を調節するように構成されている。温度調節機構は、樹脂成形時に型締めが完了した状態で成形型を加熱し、樹脂成形後に型締めの完了状態が維持された状態で成形型を冷却するように構成されている。
【0007】
本発明の他の局面に従う樹脂成形品の製造方法は、上記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法である。この樹脂成形品の製造方法は、成形対象物を成形型に供給するステップと、温度調節機構により加熱された成形型の型締めを行なうことによって樹脂成形を行なうステップと、樹脂成形後に型締めの完了状態が維持された状態で温度調節機構によって成形型を冷却するステップとを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂成形品に及ぶ悪影響を抑制した上で樹脂成形品の反りを抑制可能な樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】樹脂成形装置の平面を模式的に示す図である。
【
図3】圧縮成形モジュールの一部の側面を模式的に示す図である。
【
図4】
図3のIV-IV断面を模式的に示す図を一部に含む図である。
【
図5】圧縮成形時における圧縮成形モジュールの一部の側面を模式的に示す図である。
【
図7】樹脂成形装置の動作手順の一例を示すフローチャートである。
【
図8】第1変形例における第1上型部材の断面を模式的に示す図である。
【
図9】第2変形例において、配管に接続される構成を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について、図面を用いて詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、各図面は、理解の容易のために、適宜対象を省略又は誇張して模式的に描かれている。
【0011】
[1.樹脂成形装置の構成]
図1は、本実施の形態に従う樹脂成形装置10の平面を模式的に示す図である。樹脂成形装置10は、熱硬化性樹脂を用いて成形対象物に樹脂封止を施し、樹脂成形品を製造するように構成されている。成形対象物の一例としては、半導体チップ等の電子部品が搭載された樹脂成形前基板144A(基板144)が挙げられる。例えば、樹脂成形装置10においては、樹脂成形前基板144Aのうち電子部品が搭載された面が樹脂封止される。なお、本実施の形態においては、樹脂成形前の基板144が樹脂成形前基板144Aと称され、樹脂成形済みの基板144が樹脂成形済基板144Bと称される。
【0012】
基板144は、例えば、シリコンウェハ等の半導体基板、リードフレーム、プリント配線基板、金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板又はセラミック製基板で構成される。基板144は、例えば、FOWLP(Fan Out Wafer Level Packaging)、FOPLP(Fan Out Panel Level Packaging)に用いられるキャリアで構成されてもよい。基板144においては、配線が既に施されていてもよいし、配線が施されていなくてもよい。
【0013】
図1に示されるように、樹脂成形装置10は、離型フィルム切断モジュール110と、樹脂材料供給モジュール120と、圧縮成形モジュール130と、搬送モジュール140と、制御部150とを含んでいる。各モジュールは、隣接するモジュールに対し、互いに着脱可能に構成されている。
【0014】
離型フィルム切断モジュール110においては所望の形状の離型フィルム11が作製され、樹脂材料供給モジュール120においては離型フィルム11上に樹脂材料として液状樹脂(熱硬化性樹脂)が供給される。なお、液状樹脂の粘度は特に限定されないが、本実施の形態では比較的高粘度の液状樹脂を用いる。
【0015】
圧縮成形モジュール130においては、搬送モジュール140によって搬送された樹脂成形前基板144Aと、液状樹脂が供給された離型フィルム11とが成形型231の所定位置に配置された状態で、圧縮成形が行なわれる。これにより、樹脂成形品(樹脂成形済基板144B)が製造される。なお、本明細書において「所定」とは、予め設定されていることを意味する。例えば、「所定位置」は、予め設定された位置を意味する。製造された樹脂成形品は、搬送モジュール140によって搬送され、所定位置(成形済基板収容部146)に収容される。以下、各モジュールについて詳細に説明する。
【0016】
離型フィルム切断モジュール110は、長尺の離型フィルムから円形の離型フィルム11を切断及び分離するように構成されている。離型フィルム11は、圧縮成形モジュール130における圧縮成形後に樹脂が成形型231に付着するのを防ぎ、樹脂成形品の成形型231からの取り出しを容易にするために用いられる。離型フィルムの材料としては、耐熱性、離型性、柔軟性、伸展性等の特性を有する樹脂材料が用いられ、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、ポリプロピレン、ポリスチレン又はポリ塩化ビニリデンが用いられる。
【0017】
離型フィルム切断モジュール110は、フィルム固定台移動機構111と、ロール状離型フィルム112と、フィルムグリッパ113とを含んでいる。フィルム固定台移動機構111は、矢印Y方向において、ロール状離型フィルム112とフィルムグリッパ113との間に位置している。
【0018】
フィルム固定台移動機構111は、離型フィルム切断モジュール110及び樹脂材料供給モジュール120間において移動するように構成されている。フィルム固定台移動機構111は、例えば、矢印X方向及び矢印Y方向の各々において移動可能である。
【0019】
フィルム固定台移動機構111の上面には、テーブル12が配置されている。テーブル12は、離型フィルム11を固定するための固定台である。テーブル12上には、ロール状離型フィルム112から引き出された離型フィルムが固定される。フィルムグリッパ113は、ロール状離型フィルム112から離型フィルムを引き出すと共に、引き出された離型フィルムの先端を固定するように構成されている。フィルム固定台移動機構111上においては、カッター(不図示)によって離型フィルムが切断され、円形の離型フィルム11が作製される。例えば、テーブル12の上面に形成された吸引孔(不図示)から減圧ポンプ等の吸引機構(不図示)を用いた吸引を行なうことによって、離型フィルム11がテーブル12の上面に固定されてもよい。
【0020】
樹脂材料供給モジュール120は、離型フィルム11上に液状樹脂を供給すると共に、液状樹脂が供給された離型フィルム11を成形型231の所定位置へ搬送するように構成されている。樹脂材料供給モジュール120は、吐出機構17と、樹脂ローダ121と、後処理機構122とを含んでいる。
【0021】
図2は、吐出機構17の側面を模式的に示す図である。
図2に示されるように、吐出機構17は、ディスペンサ13と、ディスペンサ13の先端に取り付けられたノズル14とを含んでいる。吐出機構17は、フィルム固定台移動機構111(テーブル12)が下方に位置する状態で、テーブル12上に配置された離型フィルム11に向けて液状樹脂を吐出するように構成されている。液状樹脂は、ノズル14の先端から吐出され、離型フィルム11上に供給される。
【0022】
吐出機構17(ディスペンサ13及びノズル14)は、例えば、矢印X方向及び矢印Y方向の各々において移動可能である。例えば、液状樹脂の吐出中に吐出機構17を移動させることによって、離型フィルム11上における液状樹脂の吐出位置が調節される。また、液状樹脂の吐出中にフィルム固定台移動機構111(テーブル12)を移動させることによって、離型フィルム11上における液状樹脂の吐出位置が調節されてもよい。
【0023】
再び
図1を参照して、樹脂ローダ121及び後処理機構122は、例えば、一体的に構成されている。樹脂ローダ121及び後処理機構122は、レール142を介して、樹脂材料供給モジュール120、圧縮成形モジュール130及び搬送モジュール140間を移動するように構成されている。
【0024】
樹脂ローダ121は、液状樹脂が供給された離型フィルム11の周縁部を上方から吸引することによって離型フィルム11を保持すると共に、離型フィルム11をフィルム固定台移動機構111から成形型231の所定位置(下型キャビティ132内)へ移動させるように構成されている。後処理機構122は、成形型231による圧縮成形後に、成形型231のクリーニング及び成形型231における離型フィルム11の除去を行なうように構成されている。
【0025】
搬送モジュール140は、成形前基板収容部145に収容された樹脂成形前基板144Aを成形型231の所定位置へ搬送すると共に、圧縮成形モジュール130において製造された樹脂成形済基板144B(樹脂成形品)を成形済基板収容部146へ搬送するように構成されている。搬送モジュール140は、基板ローダ141と、レール142と、ロボットアーム143と、成形前基板収容部145と、成形済基板収容部146とを含んでいる。搬送モジュール140においては、例えば、基板144(樹脂成形前基板144A又は樹脂成形済基板144B)を保持する基板ローダ141がレール142上を移動することによって、基板144の搬送が行なわれる。
【0026】
成形前基板収容部145は樹脂成形前基板144Aを収容するように構成されており、成形済基板収容部146は樹脂成形済基板144Bを収容するように構成されている。ロボットアーム143は、成形前基板収容部145から樹脂成形前基板144Aを取り出し、樹脂成形前基板144Aの表裏を反転させ、樹脂成形前基板144Aを基板ローダ141の下面に保持させる。これにより、樹脂成形前基板144Aは、電子部品の搭載面が下方を向いた状態で、基板ローダ141に保持される。
【0027】
また、ロボットアーム143は、成形型231による圧縮成形後に、基板ローダ141から樹脂成形済基板144Bを取り出し、樹脂成形済基板144Bの表裏を反転させ、樹脂成形済基板144Bを成形済基板収容部146へ収容する。これにより、樹脂成形済基板144Bは、樹脂成形済みの面が上方を向いた状態で、成形済基板収容部146へ収容される。
【0028】
レール142は、搬送モジュール140、圧縮成形モジュール130及び樹脂材料供給モジュール120の各領域に跨って延びている。基板ローダ141は、レール142上を移動することによって、基板144を搬送するように構成されている。基板ローダ141は、例えば、樹脂成形前基板144Aをロボットアーム143付近の所定位置から成形型231の所定位置まで搬送し、樹脂成形済基板144Bを成形型231の所定位置からロボットアーム143付近の所定位置まで搬送するように構成されている。
【0029】
制御部150は、樹脂成形装置10全体を制御するように構成されている。制御部150は、例えば、離型フィルム切断モジュール110、樹脂材料供給モジュール120、圧縮成形モジュール130及び搬送モジュール140の各々を制御する。制御部150は、ハードウェアプロセッサであるCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を含み、プログラム及び各種データに基づいて情報処理を実行するように構成されている。なお、制御部150は、樹脂成形装置10内のいずれの場所に配置されていてもよいし、複数のコンピュータによって構成されてもよい。
【0030】
図3は、圧縮成形モジュール130の一部の側面を模式的に示す図である。圧縮成形モジュール130は、いわゆるコンプレッションモールド法(圧縮成形法)を用いることによって、樹脂成形品(樹脂成形済基板144B)を製造するように構成されている。
【0031】
図1及び
図3を参照して、圧縮成形モジュール130は、基盤213と、タイバー214と、固定プラテン211と、可動プラテン212と、型締め機構215と、成形型231と、温度調節機133とを含んでいる。
【0032】
基盤213は、平面視矩形状の板状部材である。複数(4本)のタイバー214の各々は、上下方向に延びる棒状部材である。複数のタイバー214は、基盤213の四隅にそれぞれ固定されている。固定プラテン211は、平面視矩形状の板状部材であり、複数のタイバー214の上部に固定されている。可動プラテン212は、平面視矩形状の板状部材であり、基盤213と固定プラテン211との間において、上下方向に可動な状態で、タイバー214に取り付けられている。可動プラテン212は、圧縮成形モジュール130において固定プラテン211及び基盤213の双方と対向している。
【0033】
型締め機構215は、基盤213の上面及び可動プラテン212の下面の各々に固定されている。型締め機構215は、駆動源216と、駆動源216の駆動力を伝達する伝達部材217とを含んでいる。駆動源216は基盤213の上面に固定されており、伝達部材217は可動プラテン212の下面に固定されている。
【0034】
駆動源216の駆動力が伝達部材217を介して可動プラテン212に伝達され、可動プラテン212が上昇することによって、成形型231の型締めが行なわれる。また、駆動源216の駆動力が伝達部材217を介して可動プラテン212に伝達され、可動プラテン212が下降することによって、成形型231の型開きが行なわれる。型締め機構215は、成形型231の型締め及び型開きのために、可動プラテン212を昇降させるように構成されている。すなわち、型締め機構215は、成形型231の型締め及び型開きをするように構成されている。
【0035】
例えば、駆動源216はサーボモータ等の電動モータで構成され、伝達部材217はボールねじで構成されてもよい。また、駆動源216は油圧シリンダで構成され、伝達部材217はロッドで構成されてもよい。また、トグルリンク機構を用いることによって型締め機構215が構成されてもよい。
【0036】
成形型231は、金属製の上型201と、該上型201に対向する金属製の下型202とを含んでいる。上型201は複数(例えば、4つ)の断熱機構210を介して固定プラテン211の下面に固定されており、下型202は複数(例えば、4つ)の断熱機構209を介して可動プラテン212の上面に固定されている。
【0037】
上型201は、第1上型部材203と、第1上型部材203の下面に連結された第2上型部材205とを含んでいる。第1上型部材203は、平面視矩形状の金属製部材であり、複数の断熱機構210を介して固定プラテン211の下面に固定されている。各断熱機構210は、例えば、金属製であり、ピラー形状(柱形状)を有する。例えば、第1上型部材203の上面の四隅近傍の各々には、断熱機構210が配置される。また、第1上型部材203の内部には、配管204が配置されている。
【0038】
図4は、
図3のIV-IV断面を模式的に示す図を一部に含む図である。
図4に示されるように、第1上型部材203の内部には、温度調節機133に接続された配管204が配置されている。
【0039】
温度調節機133は、配管204(又は配管207(
図3))に熱媒体を供給し、配管204(又は配管207)において熱媒体を循環させることによって、上型201(又は下型202)の温度を調節するように構成されている。熱媒体は、水、油等の液体であってもよいし、気体であってもよい。温度調節機133は、例えば、熱媒体の温度を上型201の温度よりも高温にし、配管204において熱媒体を循環させることによって上型201の温度を上昇させる。また、温度調節機133は、例えば、熱媒体の温度を上型201の温度よりも低温にし、配管204において熱媒体を循環させることによって上型201の温度を低下させる。圧縮成形モジュール130においては、成形型231の温度を調節することによって、基板144の温度が間接的に調節される。
【0040】
温度センサ250は、例えば、第1上型部材203に連結された第2上型部材205の温度を検出するように構成されている。制御部150は、例えば、温度センサ250による検出結果に基づいて温度調節機133を制御する。なお、第1上型部材203と固定プラテン211との間には複数の断熱機構210が配置されているため、第1上型部材203と固定プラテン211との間には空間が形成される。この空間が断熱層として機能するため、上型201及び固定プラテン211間における熱伝導が抑制される。その結果、上型201の温度制御が比較的容易となっている。
【0041】
再び
図3を参照して、第2上型部材205は、平面視円形状の金属製部材であり、第1上型部材203の下面に連結されている。第2上型部材205は、基板144を保持するように構成されている。圧縮成形前に、第2上型部材205の下面には、樹脂成形前基板144Aが取り付けられる。
【0042】
下型202は、第1下型部材206と、第1下型部材206の上面に連結された第2下型部材208とを含んでいる。第1下型部材206は、平面視矩形状の金属製部材であり、複数の断熱機構209を介して可動プラテン212の上面に固定されている。各断熱機構209は、例えば、断熱機構210と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1下型部材206の下面の四隅近傍の各々には、断熱機構209が配置される。
【0043】
また、第1下型部材206の内部には、配管207が配置されている。配管207には、配管204と同様、温度調節機133が接続されている。下型202の温度は、上型201と同様、温度調節機133によって調節される。制御部150は、例えば、第2下型部材208の温度を検出する温度センサ(不図示)の検出結果に基づいて温度調節機133を制御する。なお、第1下型部材206と可動プラテン212との間には複数の断熱機構209が配置されているため、第1下型部材206と可動プラテン212との間には空間が形成される。この空間が断熱層として機能するため、下型202及び可動プラテン212間における熱伝導が抑制される。その結果、下型202の温度制御が比較的容易となっている。
【0044】
第2下型部材208は、平面視円形状の金属製部材であり、第1下型部材206の上面に連結されている。第2下型部材208の上面には、下型キャビティ132が形成されている。圧縮成形前に、下型キャビティ132には、液状樹脂が供給された離型フィルム11が配置される。第2下型部材208の下型キャビティ132内に液状樹脂が配置され、かつ、第2上型部材205の下面に樹脂成形前基板144Aが取り付けられた状態で成形型231の型締めが行なわれ、圧縮成形が行なわれる。
【0045】
[2.樹脂成形品の反りの抑制]
上述のように、樹脂成形装置10においては、熱硬化性を有する液状樹脂を用いて圧縮成形が行なわれる。すなわち、樹脂成形装置10においては、液状樹脂が加熱されて硬化することによって圧縮成形が行なわれる。
【0046】
図5は、圧縮成形時における圧縮成形モジュール130の一部の側面を模式的に示す図である(一部に断面が含まれる。)。
図5に示されるように、上型201にチップ15が搭載された樹脂成形前基板144Aが保持され、かつ、下型202に離型フィルム11を介して液状樹脂16が配置された状態で、成形型231の型締めが行なわれる。例えば、成形型231の型締め時に、上型201及び下型202の各々は加熱されている。加熱された上型201及び下型202によって型締めが行なわれることによって、液状樹脂16が硬化し、樹脂成形済基板144B(樹脂成形品)が製造される。
【0047】
仮に、液状樹脂16が硬化した直後のタイミングで成形型231の型開きが行なわれるとする。この場合には、樹脂成形済基板144Bが高温な状態で、成形型231による樹脂成形済基板144Bのクランプ(以下、単に「クランプ」とも称する。)が解除される。「クランプ」とは、上型201と下型202とによって基板144を挟み、基板144を固定することをいう。例えば、基板144がシリコンウェハによって構成されている場合を考える。この場合には、樹脂の熱収縮率がシリコンウェハの熱収縮率よりも大きいため、樹脂が熱収縮することによってシリコンウェハは反る方向に引っ張られる。すなわち、樹脂成形済基板144Bが高温な状態でクランプが解除されると、樹脂の熱収縮に起因して生じる力によって樹脂成形済基板144Bにおいて反りが発生する。
【0048】
このような樹脂成形済基板144Bの反りを抑制するために、圧縮成形時に上型201及び下型202の温度を高温(例えば120℃以上)にはせず、比較的低温(例えば100℃~120℃)にすることが考えられる。しかしながら、この場合には、樹脂の硬化に長時間を要するため、結果的に樹脂成形品の製造に長時間を要する。
【0049】
このような問題を解決するために、本実施の形態に従う樹脂成形装置10において、制御部150は、圧縮成形時に成形型231の型締めが行なわれた状態で成形型231を加熱し、圧縮成形後に成形型231の型締めが継続された状態で成形型231を冷却するように温度調節機133を制御する。すなわち、温度調節機133は、圧縮成形時に成形型231の型締めが行なわれた状態で成形型231を加熱し、圧縮成形後に成形型231の型締めが継続された状態で成形型231を冷却する。
【0050】
本実施の形態に従う樹脂成形装置10においては、圧縮成形後に成形型231の型締めが継続された状態で成形型231の冷却が行なわれる。樹脂成形済基板144Bが成形型231によってクランプされた状態で樹脂成形済基板144Bが冷却されるため、高温で圧縮成形が行なわれたとしても、樹脂の熱収縮に起因した樹脂成形済基板144Bの反りの発生が抑制される。また、高温で圧縮成形が行なわれるため、結果的に樹脂が短時間で硬化し、樹脂成形済基板144Bの製造速度が向上する。
【0051】
また、樹脂成形済基板144Bが一度反った後に樹脂成形済基板144Bの反りが伸ばされるわけではないため、反りを伸ばすことに起因して樹脂成形済基板144Bにおいて生じる悪影響が抑制される。例えば、反りを伸ばすことに起因する樹脂成形済基板144Bの故障等の発生が抑制される。また、冷却後に樹脂成形済基板144Bの搬送が行なわれるため、搬送モジュール140における耐熱性の要件が緩和される。その結果、樹脂成形済基板144Bの搬送が容易になり、搬送の高速化が可能である。
【0052】
図6は、成形型231(上型201及び下型202)の温度遷移の一例を示す図である。
図6を参照して、横軸は時間を示し、縦軸は成形型231の温度を示す。線L1は本実施の形態に従う樹脂成形装置10における成形型231の温度遷移を示し、線L2は比較対象における成形型の温度遷移を示す。なお、
図6において、時刻及び温度の各々の具体的な数値はあくまでも一例である。
【0053】
線L1の推移を参照して、時刻0~時刻t1においては、例えば、樹脂成形前基板144Aが成形型231まで搬送される。そして、樹脂成形前基板144Aが上型201に取り付けられる。時刻0~時刻t1において、成形型231の温度はH1である。温度H1の一例は、50℃である。温度H1の下限は特に限定されないが、温度H1の上限は、例えば、60℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがさらに好ましく、40℃以下であることがより好ましい。
【0054】
時刻t1~時刻t2においては、例えば、温度調節機133が成形型231(上型201及び下型202)の温度を上昇させる。温度調節機133は、成形型231の温度が目標温度H3になるように熱媒体の温度を調節する。温度H3は、温度H1よりも高い。温度H3の一例は、180℃である。温度H3は、例えば、120℃以上、200℃以下であることが好ましく、160℃以上、200℃以下であることがさらに好ましく、160℃以上、180℃以下であることがより好ましい。
【0055】
時刻t2~時刻t3においては、例えば、液状樹脂が供給された離型フィルム11が成形型231まで搬送される。そして、液状樹脂が供給された離型フィルム11が下型202上(下型キャビティ132内)に配置される。下型202上に配置された液状樹脂は、加熱されて粘度が低下する。液状樹脂が下型202上に配置され後、型締め機構215を用いて下型202を上昇させることによって型締めが行なわれる。型締めが完了すると、上型201と下型202とに所定の力が与えられて、下型202の上昇が停止した状態となる。なお、液状樹脂を下型202上に配置した後で型締めが完了するまでの間に、成形型231の内部を減圧することによって液状樹脂内に存在する気体が取り除かれてもよい。
【0056】
時刻t3~時刻t4の時間は、いわゆるキュアタイムである。キュアタイムとは、型締めが完了したタイミングから、少なくとも型開きした場合に樹脂成形品を適切に離型できる程度に液状樹脂が硬化するまでの時間のことをいう。時刻t2~時刻t4においても、温度調節機133は、成形型231の温度がH3で維持されるように成形型231の加熱を継続する。成形型231の温度が高いため、樹脂が比較的短時間で硬化し、結果的に圧縮成形が短時間で終了する。なお、キュアタイム開始のタイミングは、厳密に型締めが完了するタイミングでなくてもよく、例えば型締め完了直後のタイミングとしてもよい。
【0057】
時刻t4以降(圧縮成形後)においては、例えば、成形型231の型締め完了状態が維持された状態で、温度調節機133が成形型231の温度を低下させる。温度調節機133は、成形型231の温度が目標温度H1になるように熱媒体の温度を調節する。なお、成形型231の冷却時における目標温度は、必ずしもH1である必要はない。冷却時の目標温度は、例えば、H1より高い温度であってもよいし、H1より低い温度であってもよい。成形型231の温度が目標温度まで低下すると、成形型231の型開きが行なわれ、樹脂成形済基板144Bが搬送される。
【0058】
一方、線L2の推移を参照して、比較対象においては、例えば、成形型231の温度がH2(例えば、120℃)で一定に保たれる。例えば、本実施の形態において成形型231の温度が175℃の状態で型締めが完了した場合には、キュアタイム(時刻t3~時刻t4)が約120秒となる。一方、成形型231の温度が120℃の状態で型締めが完了した場合には、キュアタイムが約600秒となる。すなわち、成形型231の温度が120℃である場合には、成形型231の温度が175℃である場合と比較して、キュアタイムが約5倍となる。その結果、成形型231の温度が120℃で一定に保たれる場合に、樹脂成形品の製造に要する時間(成形型231の温度上昇、搬送、型締め及び冷却に要する時間)は、本実施の形態に従う樹脂成形装置10における樹脂成形品の製造に要する時間と比較して約1.5倍となる。
【0059】
[3.樹脂成形装置の動作]
図7は、樹脂成形装置10の動作手順の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、例えば、制御部150によって所定サイクルで実行される。
【0060】
図7を参照して、制御部150は、成形対象物(樹脂成形前基板144A)を成形型231の所定位置へ搬送するように搬送モジュール140を制御する(ステップS100)。制御部150は、成形型231の加熱を開始するように温度調節機133を制御する(ステップS110)。制御部150は、温度センサ250等の検出結果に基づいて、成形型231(上型201及び下型202)の温度が第1所定温度まで上昇したか否かを判定する(ステップS120)。第1所定温度(例えば、
図6における温度H3)は、例えば、液状樹脂(熱硬化性樹脂)が比較的スムーズに硬化する温度である。
【0061】
成形型231の温度が第1所定温度まで上昇していないと判定されると(ステップS120においてNO)、制御部150は、所定速度で成形型231の温度が上昇するように温度調節機133の制御を継続する。
【0062】
一方、成形型231の温度が第1所定温度まで上昇したと判定されると(ステップS120においてYES)、制御部150は、成形型231の温度が第1所定温度で維持されるように温度調節機133の制御を継続すると共に、液状樹脂が供給された離型フィルム11を成形型231の所定位置へ搬送するように樹脂材料供給モジュール120を制御する(ステップS130)。なお、液状樹脂の離型フィルム11への供給は、例えば、樹脂材料供給モジュール120において、本フローチャートに示される処理と並行して行なわれる。
【0063】
その後、制御部150は、成形型231の型締めを開始するように型締め機構215を制御する(ステップS140)。なお、成形型231の型締め完了状態(圧縮成形中)においても、温度調節機133による成形型231の加熱は継続され、成形型231の温度は、例えば、第1所定温度に維持される。また、「型締め完了状態」、「型締めの完了状態」及び「型締めが完了した状態」の各々は、例えば、成形型(例えば、成形型231)を構成する互いに対向する2つの型(例えば、上型201及び下型202)が互いに近付く方向に相対的に移動し、これら2つの型に所定の力が与えられて、これら2つの型の相対的な移動が停止した状態である。
【0064】
制御部150は、型締めの完了から所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS150)。なお、所定時間は、第1所定温度で加熱した場合に、少なくとも型開きして樹脂成形品を適切に離型できる程度にまで液状樹脂(熱硬化性樹脂)が十分に硬化する時間である。所定時間が経過していないと判定されると(ステップS150においてNO)、制御部150は、型締めの完了状態を維持するように型締め機構215を制御すると共に、成形型231の温度が第1所定温度で維持されるように温度調節機133を制御する。
【0065】
一方、所定時間が経過したと判定されると(ステップS150においてYES)、制御部150は、型締めの完了状態を維持するように型締め機構215を制御すると共に、成形型231の冷却を開始するように温度調節機133を制御する(ステップS160)。制御部150は、例えば、所定速度で成形型231の温度が低下するように温度調節機133を制御する。
【0066】
制御部150は、温度センサ250等の検出結果に基づいて、成形型231の温度が第2所定温度まで低下したか否かを判定する(ステップS170)。第2所定温度(例えば、
図6における温度H1)は、例えば、樹脂等の熱収縮がほとんど生じない温度である。成形型231の温度が第2所定温度まで低下していないと判定されると(ステップS170においてNO)、制御部150は、型締めの完了状態を維持するように型締め機構215を制御すると共に、成形型231の温度の低下が継続するように温度調節機133を制御する。
【0067】
一方、成形型231の温度が第2所定温度まで低下したと判定されると(ステップS170においてYES)、制御部150は、成形型231の型開きを行なうように型締め機構215を制御する(ステップS180)。型開きが完了すると、制御部150は、製造された樹脂成形品(樹脂成形済基板144B)を搬送するように搬送モジュール140を制御する(ステップS190)。
【0068】
[4.特徴]
以上のように、本実施の形態に従う樹脂成形装置10において、制御部150は、圧縮成形時に成形型231の型締めが完了した状態で成形型231を加熱し、圧縮成形後に成形型231の型締めの完了状態が維持された状態で成形型231を冷却するように温度調節機133を制御する。すなわち、温度調節機133は、圧縮成形時に成形型231の型締めが完了した状態で成形型231を加熱し、圧縮成形後に成形型231の型締めの完了状態が維持された状態で成形型231を冷却する。
【0069】
このように、樹脂成形装置10においては、圧縮成形後に成形型231の型締めの完了状態が維持された状態で成形型231の冷却が行なわれる。したがって、樹脂成形装置10によれば、樹脂成形済基板144Bが成形型231によってクランプされた状態で樹脂成形済基板144Bが冷却されるため、高温で圧縮成形が行なわれたとしても、樹脂の熱収縮に起因した樹脂成形済基板144Bの反りの発生を抑制することができる。
【0070】
なお、樹脂成形装置10は、本発明の「樹脂成形装置」の一例である。成形型231は、本発明の「成形型」の一例である。型締め機構215は、本発明の「型締め機構」の一例である。温度調節機133及び配管204,207からなる構成は、本発明の「温度調節機構」の一例である。液状樹脂16は、本発明の「熱硬化性樹脂」の一例である。樹脂成形前基板144Aは、本発明の「成形対象物」の一例である。配管204,207は、本発明の「配管」の一例である。搬送モジュール140は、本発明の「搬送機構」の一例である。
【0071】
[5.他の実施の形態]
上記実施の形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施の形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0072】
<5-1>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10においては、上型201及び下型202の内部に配管204,207がそれぞれ配置され、温度調節機133が各配管内に熱媒体を供給することによって、上型201及び下型202の各々が加熱された。しかしながら、上型201及び下型202の加熱方法はこれに限定されない。
【0073】
図8は、第1変形例における第1上型部材203Aの断面を模式的に示す図である。
図8に示されるように、第1上型部材203Aの内部には、配管204の他に、複数のヒータ300が配置されている。ヒータ300は、金属加熱用のヒータである。上型及び下型の内部に配管204,207に加えてヒータ300を配置することによって、上型及び下型の温度上昇速度をより高めることができる。
【0074】
<5-2>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10においては、配管204,207に供給する熱媒体の温度が温度調節機133によって下げられた。しかしながら、熱媒体の温度を下げる方法はこれに限定されない。
【0075】
図9は、第2変形例において、配管204,207に接続される構成を模式的に示す図である。
図9に示されるように、配管204,207には、温度調節機133及びオイルクーラ350が接続されている。すなわち、配管204,207内を流れる熱媒体は、温度調節機133及びオイルクーラ350によって冷却される。これにより、上型及び下型の温度低下速度をより高めることができる。
【0076】
<5-3>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10においては、コンプレッションモールド法(圧縮成形法)によって樹脂成形が行なわれた。しかしながら、樹脂成形の方法はこれに限定されない。例えば、トランスファーモールド法によって樹脂成形が行なわれてもよい。トランスファーモールド法によって樹脂成形が行なわれた場合であっても、型締めの完了状態が維持された状態で成形型の冷却が行なわれることによって、基板の反りが抑制される。また、冷却後の基板が搬送されるため、搬送モジュール140における耐熱性の要件が緩和される。その結果、樹脂成形品の搬送が容易になり、搬送の高速化が可能である。
【0077】
<5-4>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10において、断熱機構209,210は、ピラー形状である必要はなく、板状であってもよい。この場合に、断熱機構209,210は、例えば、断熱材で構成されてもよい。断熱機構209,210は、例えば、金属材料とセラミック材料とによって構成されてもよい。セラミック材料としては、例えば、ジルコニア、アルミナ等が用いられてもよい。
【0078】
<5-5>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10においては、液状樹脂によって樹脂成形が行なわれた。しかしながら、樹脂成形に用いられる樹脂は、液状樹脂に限定されない。例えば、上記実施の形態に従う樹脂成形装置10において、粉粒体状樹脂(顆粒状樹脂)によって樹脂成形が行なわれてもよい。
【0079】
<5-6>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10においては、液状樹脂が供給された離型フィルム11の搬送、及び、成形型231の型締め前に成形型231の加熱が開始された。しかしながら、成形型231の加熱開始タイミングはこれに限定されない。例えば、液状樹脂が供給された離型フィルム11の搬送が成形型231の加熱開始前に行なわれ、成形型231の型締めが成形型231の加熱開始前に開始され、成形型231の型締め途中に成形型231の加熱が開始されてもよい。また、液状樹脂が供給された離型フィルム11の搬送が成形型231の加熱開始前に行なわれ、その後、成形型231の加熱が開始され、成形型231の温度が目標温度(第1所定温度)まで上昇する前に成形型231の型締めが開始されてもよい。
【0080】
<5-7>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10は、1つの圧縮成形モジュール130を含んでいた。しかしながら、樹脂成形装置10に含まれる圧縮成形モジュール130の数はこれに限定されない。例えば、樹脂成形装置10は、2以上の圧縮成形モジュール130を含んでいてもよい。
【0081】
<5-8>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10において、吐出機構17及びフィルム固定台移動機構111の各々は、矢印X方向、矢印Y方向及び矢印Z方向の各々において移動可能であってもよい。
【0082】
<5-9>
上記実施の形態に従う樹脂成形装置10において、第1上型部材203及び第2上型部材205は一体的に形成されていてもよく、第1下型部材206及び第2下型部材208は一体的に形成されていてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施の形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明及び添付の図面が開示された。よって、詳細な説明及び添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明及び添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0084】
また、上記実施の形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0085】
10 樹脂成形装置、11 離型フィルム、12 テーブル、13 ディスペンサ、14 ノズル、15 チップ、16 液状樹脂、17 吐出機構、110 離型フィルム切断モジュール、111 フィルム固定台移動機構、112 ロール状離型フィルム、113 フィルムグリッパ、120 樹脂材料供給モジュール、121 樹脂ローダ、122 後処理機構、130 圧縮成形モジュール、132 下型キャビティ、133 温度調節機、140 搬送モジュール、141 基板ローダ、142 レール、143 ロボットアーム、144 基板、144A 樹脂成形前基板、144B 樹脂成形済基板、145 成形前基板収容部、146 成形済基板収容部、150 制御部、201 上型、202 下型、203,203A 第1上型部材、204,207 配管、205 第2上型部材、206 第1下型部材、208 第2下型部材、209,210 断熱機構、211 固定プラテン、212 可動プラテン、213 基盤、214 タイバー、215 型締め機構、216 駆動源、217 伝達部材、231 成形型、250 温度センサ、300 ヒータ、350 オイルクーラ、L1,L2 線。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂を用いることによって成形対象物の樹脂成形を行なうように構成された樹脂成形装置であって、
成形型と、
前記成形型の型締めを行なうように構成された型締め機構と、
前記成形型の温度を調節するように構成された温度調節機構とを備え、
前記温度調節機構は、前記樹脂成形時に前記型締めが完了した状態で前記成形型を加熱し、前記樹脂成形後に前記型締めの完了状態が維持された状態で前記成形型を冷却するように構成されており、
前記成形対象物は基板を含み、前記基板の面が樹脂封止される、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記成形型は、
前記成形対象物を保持する上型と、
前記上型に対向し、前記樹脂成形に用いられる樹脂が配置される下型とを含む、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記成形型の内部には配管が配置されており、
前記温度調節機構は、前記配管に熱媒体を供給することによって前記成形型の温度を調節するように構成されている、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
樹脂成形済みの前記成形対象物を搬送するように構成された搬送機構をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形対象物を前記成形型に供給するステップと、
前記温度調節機構により加熱された前記成形型の型締めを行なうことによって前記樹脂成形を行なうステップと、
前記樹脂成形後に前記型締めの完了状態が維持された状態で前記温度調節機構によって前記成形型を冷却するステップとを含む、樹脂成形品の製造方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性樹脂を用いることによって成形対象物の樹脂成形を行なうように構成された樹脂成形装置であって、
成形型と、
前記成形型の型締めを行なうように構成された型締め機構と、
前記成形型の温度を調節するように構成された温度調節機構とを備え、
前記温度調節機構は、前記樹脂成形時に前記型締めが完了した状態で前記成形型を加熱し、前記樹脂成形後に前記型締めの完了状態が維持された状態で前記成形型を冷却するように構成されており、
前記成形対象物は、電子部品が一面に搭載されている基板を含み、
前記基板においては前記電子部品が搭載されている面が樹脂封止される、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記成形型は、
前記成形対象物を保持する上型と、
前記上型に対向し、前記樹脂成形に用いられる樹脂が配置される下型とを含む、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記成形型の内部には配管が配置されており、
前記温度調節機構は、前記配管に熱媒体を供給することによって前記成形型の温度を調節するように構成されている、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
樹脂成形済みの前記成形対象物を搬送するように構成された搬送機構をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形対象物を前記成形型に供給するステップと、
前記温度調節機構により加熱された前記成形型の型締めを行なうことによって前記樹脂成形を行なうステップと、
前記樹脂成形後に前記型締めの完了状態が維持された状態で前記温度調節機構によって前記成形型を冷却するステップとを含む、樹脂成形品の製造方法。