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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026131
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】日射遮蔽装置のヘッドフレーム
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/323 20060101AFI20230216BHJP
   A47H 5/02 20060101ALN20230216BHJP
   A47H 5/08 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
E06B9/323
A47H5/02
A47H5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131837
(22)【出願日】2021-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】521292744
【氏名又は名称】株式会社Nasnos
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】那須野 邦夫
【テーマコード(参考)】
2E043
2E182
【Fターム(参考)】
2E043AA04
2E043BC01
2E043DA01
2E182AB03
2E182AC15
2E182DD01
2E182EF01
2E182EG03
(57)【要約】
【課題】日射遮蔽装置のヘッドフレームにスライド装入されたケースを所望の設置位置に容易に固定するための固定構造を提供する。
【解決手段】下端側に開口が形成された長手形状のフレームと、フレーム内で移動可能に支持されたケースと、ケースをフレームの内部の設置位置に固定するための弾性線状金具であって、底線状部と、一対の縦線状部とからなる弾性線状金具と、を有し、ケースの長手方向の一端側に位置する側壁部の外面には、長手方向から視て左右両側にそれぞれ凸部が形成されており、これらの凸部にはそれぞれ上下方向に延びる係合溝部が形成されており、縦線状部は、フレームの内面に向かって屈曲した係止線状部と、中間線状部とからなり、中間線状部は前記凸部の係合溝部に係合するとともに、係止線状部は前記フレームの内面を弾性線状金具の弾性力により押圧することを特徴とする日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端側に開口が形成された水平方向に延びる長手形状のフレームと、
前記フレーム内で該フレームの長手方向にのみ移動可能に支持されたケースと、
前記ケースを前記フレームの内部の設置位置に固定するための弾性線状金具であって、底線状部と、底線状部の両端から屈曲して上方に延びる一対の縦線状部とからなる前記弾性線状金具と、を有し、
前記ケースの前記長手方向の一端側に位置する側壁部の外面には、前記長手方向から視て左右両側にそれぞれ凸部が形成されており、これらの凸部にはそれぞれ上下方向に延びる係合溝部が形成されており、
前記縦線状部は、前記フレームの内面に向かって屈曲した係止線状部と、前記係止線状部と前記底線状部とを繋ぐ中間線状部とからなり、
前記中間線状部は前記凸部の前記係合溝部に係合するとともに、前記係止線状部は前記フレームの内面を前記弾性線状金具の弾性力により押圧することを特徴とする日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【請求項2】
前記弾性線状金具及び前記係合溝部を係合させる前の非係合状態において、
前記中間線状部は、少なくとも一部にテーパー線状部を有していることを特徴とする請求項1に記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【請求項3】
前記弾性線状金具及び前記係合溝部が係合した係合状態において、前記凸部の上端は、前記テーパ線状部の上端よりも下方に位置することを特徴とする請求項2に記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【請求項4】
前記フレームの内面には、前記長手方向に延びる上下一対のガイド突起部が設けられており、
前記ケースは、前記ガイド突起部に移動可能に支持されることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【請求項5】
前記ケースの側壁上面には、前記ガイド突起部に下側から接触する被ガイド突起部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【請求項6】
前記ケースは、昇降コードの巻き取り及び巻き出しに用いられるボビン、前記ボビンの駆動モータ、前記駆動モータの駆動制御を司る操作基板及び前記駆動モータの電源のうちいずれかを収容するケースであることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一つに記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローマンシェード等電動式の日射遮蔽装置のヘッドフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
遮光性の生地を電動式の昇降装置に吊り下げ、昇降コードで昇降移動させるローマンシェード等が知られている。
【0003】
特許文献1には、支持部材に巻取軸を回転可能に支持させ、その巻取軸に昇降コードの上端部を取着した昇降コード巻き取り装置をフレーム内に収めた日射遮蔽装置が開示されている。さらに、特許文献1には、弾性変形する金属線材を折り曲げて作成した圧接部材を回動させて、突起に乗り上げさせることにより、圧接部材の先端をフレームの内側面に圧接させ、支持部材をフレームに対して移動不能とする技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、ブラインドのヘッドボックス取付構造であって、ヘッドボックスの両側面に取付金具を挿通するための透孔を設け、ヘッドボックスを取り付けるための取付枠体に取付金具と係合する係止部を設け、ヘッドボックス内側からその透孔に挿通した取付金具を前記係止部に係合させてヘッドボックスを取付枠体に取着する技術が開示されている。さらに、特許文献2には、取付金具の構成として、弾性を有する線材をU字状に屈曲させ、その先端を外側へ屈曲させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5784950号公報
【特許文献2】実開昭61-140099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された日射遮蔽装置では、支持部材をフレームに固定する際の圧接部材の動作機構が複雑であり、固定作業が煩雑となる。
【0007】
そこで、本願発明は、日射遮蔽装置のヘッドフレームにスライド装入されたケースを所望の設置位置に容易に固定するための固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本願発明の日射遮蔽装置のヘッドフレームは、(1)下端側に開口が形成された水平方向に延びる長手形状のフレームと、前記フレーム内で該フレームの長手方向にのみ移動可能に支持されたケースと、前記ケースを前記フレームの内部の設置位置に固定するための弾性線状金具であって、底線状部と、底線状部の両端から屈曲して上方に延びる一対の縦線状部とからなる前記弾性線状金具と、を有し、前記ケースの前記長手方向の一端側に位置する側壁部の外面には、前記長手方向から視て左右両側にそれぞれ凸部が形成されており、これらの凸部にはそれぞれ上下方向に延びる係合溝部が形成されており、前記縦線状部は、前記フレームの内面に向かって屈曲した係止線状部と、前記係止線状部と前記底線状部とを繋ぐ中間線状部とからなり、前記中間線状部は前記凸部の前記係合溝部に係合するとともに、前記係止線状部は前記フレームの内面を前記弾性線状金具の弾性力により押圧することを特徴とする。
【0009】
(2)前記弾性線状金具及び前記係合溝部を係合させる前の非係合状態において、前記中間線状部は、少なくとも一部にテーパー線状部を有していることを特徴とする
上記(1)に記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【0010】
(3)前記弾性線状金具及び前記係合溝部が係合した係合状態において、前記凸部の上端は、前記テーパ線状部の上端よりも下方に位置することを特徴とする上記(2)に記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【0011】
(4)前記フレームの内面には、前記長手方向に延びる上下一対のガイド突起部が設けられており、前記ケースは、前記ガイド突起部に移動可能に支持されることを特徴とする上記(1)乃至(3)のうちいずれか一つに記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【0012】
(5)前記ケースの側壁上面には、前記ガイド突起部に下側から接触する被ガイド突起部が形成されていることを特徴とする上記(4)に記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【0013】
(6)前記ケースは、昇降コードの巻き取り及び巻き出しに用いられるボビン、前記ボビンの駆動モータ、前記駆動モータの駆動制御を司る回路基板及び前記駆動モータの電源のうちいずれかを収容するケースであることを特徴とする上記(1)乃至(5)のうちいずれか一つに記載の日射遮蔽装置のヘッドフレーム。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、日射遮蔽装置のヘッドフレームにスライド装入されるケースの固定が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ヘッドフレームの概略正面図である。
図2】ボビンケースの側面図である。
図3】ボビンケースの平面図である。
図4】Y軸方向から視た弾性線状金具の図である(非係合状態)。
図5】フレームの断面図である。
図6】弾性線状金具をボビンケースに係合させる前の状態を示している。
図7】弾性線状金具をボビンケースに係合させて下死点まで移動させた直後の状態を示している。
図8】ボビンケースをフレームの設置位置まで移動させた直後の状態を示している。
図9】設置位置において、弾性線状金具を固定位置に移動させた直後の状態を示している。
図10】Y軸方向から視た弾性線状金具の図である(リニア形状+直線形状)。
図11】Y軸方向から視た弾性線状金具の図である(二段テーパ形状)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態である日射遮蔽装置のヘッドフレームについて説明する。
【0017】
図1はヘッドフレームの概略正面図であり、図2はボビンケースの側面図、図3はボビンケースの平面図、図4はボビンケースに取り付けられる前の弾性線状金具の図、図5はフレームの断面図である。X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する三軸である。
【0018】
図1を参照して、ヘッドフレーム1の外面を構成するフレーム30の内部には、モータケース4、コントロールボックス6、ボビンケース10等が収納されている。フレーム30は、Y軸方向に延びており、両端の開口がサイドカバー7によって閉塞されている。本実施形態では、ボビンケース10が三つ設けられており、両端に位置するボビンケース10の位置は予め決まっている。具体的には、両端に位置するボビンケース10は、フレーム30の端部から80mm程度離れた位置から昇降コードが落ちるように設置される。中央のボビンケース10は、生地(日射遮蔽機能を有する生地)の幅に応じた適宜の位置に配置することができる。
【0019】
夫々のボビンケース10には、X軸方向に並ぶ一組のボビン(巻取軸)2が設けられている。図1は、手前側に位置するボビン2のみを図示する。図1に図示されたボビン2は、Y軸方向において回転軸3を介して接続されている。回転軸3を回転させることによって、これらのボビン2が同時に回転動作する構成となっている。同様に、図1に図示しないボビン2(紙面奥側のボビン)についても、回転軸3を介して互いに接続されている。
【0020】
それぞれのボビン2には不図示の昇降コードが巻き付けられている。回転軸3を正逆回転させることにより、ボビン2に巻きつけられた昇降コードを巻き取ったり、巻き出したりすることができる。なお、昇降コードとは、生地を昇降動作させるために用いられるコードのことである。
【0021】
モータケース4には、駆動モータ4aと、駆動モータ4aの減速比を決定するギアボックス4bが収納されている。駆動モータ4aの出力軸は継手5を介してボビン2の回転軸3に接続されている。したがって、駆動モータ4aを作動させることによって、ボビン2を正逆回転させることができる。
【0022】
コントロールボックス6の内部には、電源ユニット、操作基板等が収納されている。操作基板によって、駆動モータ4aの駆動制御を行うことができる。
【0023】
図2及び図3を参照して、ボビンケース10は、Y軸方向に延びる箱型形状に形成されており、長尺第1側面部11、長尺第2側面部12、短尺第1側面部13、短尺第2側面部14及び底面部15からなる。底面部15は、Z軸方向から視て長方形に形成されており、長尺第1側面部11及び長尺第2側面部12は底面部15の長辺からZ軸方向に向かって立ち上がるように形成されており、短尺第1側面部13及び短尺第2側面部14は底面部15の短辺からZ軸方向に立ち上がるように形成されている。
【0024】
長尺第1側面部11の上端面には、Y軸方向における両端部に平板状の第1被ガイド突起部11aが設けられている。これらの第1被ガイド突起部11aは同一形状に形成されており、板厚は長尺第1側面部11の板厚と同じに設定されている。本実施形態では、第1被ガイド突起部11aの本数を2本にしたが、1本、或いは3本以上としてもよい。
【0025】
長尺第2側面部12の上端面には、Y軸方向における両端部に平板状の第2被ガイド突起部12aが設けられている。これらの第2被ガイド突起部12aは同一形状に形成されており、板厚は長尺第2側面部12の板厚と同じに設定されている。本実施形態では、第2被ガイド突起部21aの本数を2本にしたが、1本、或いは3本以上としてもよい。第1被ガイド突起部11a及び第2被ガイド突起部12aはX軸方向において互いに対向する位置に設けることが望ましい。第1被ガイド突起部11a及び第2被ガイド突起部12aは、ボビンケース10と一体的に形成することができる。
【0026】
ボビンケース10は、例えば射出成型によって製造することができる。
【0027】
短尺第2側面部14の外面には、Y軸方向から視た左右両側にそれぞれ左側凸部14a、右側凸部14bが形成されている。左側凸部14aは短尺第2側面部14の左端からX軸方向に若干シフトした位置に立設されており、右側凸部14bは短尺第2側面部14の右端からX軸方向の反対方向に若干シフトした位置に立設されている。ただし、左側凸部14a及び右側凸部14bをそれぞれ短尺第2側面部14の左端及び右端に対して面一となる位置に立設してもよい(つまり、シフトさせない)。
【0028】
図3を参照して、左側凸部14a及び右側凸部14bにはそれぞれ、短尺第2側面部14と向き合う面にZ軸方向に延びる一条の左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1が形成されており、これらの左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1は、X軸方向において互いに向き合っている。左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1のX軸及びY軸方向の寸法は、Z軸方向において一様(つまり、リニアな溝形状)とするのが望ましい。
【0029】
図2を参照して、左側凸部14aの右側には左側軸孔部141が形成されており、右側凸部14bの左側には右側軸孔部142が形成されている。これらの左側軸孔部141及び右側軸孔部142には、ボビン2の回転軸3が挿通される。それぞれのボビン2に巻きつけられた昇降コードは、コード挿通孔143、144を挿通して、ボビンケース10の外部に引き出されている。
【0030】
図4を参照して、弾性線状金具20は、底線状部21と、底線状部21の左端から上方に向かって延びる左側縦線状部22と、底線状部21の右端から上方に向かって延びる右側縦線状部23と、からなる。弾性線状金具20は、弾性の金属材を折り曲げることにより構成されている。弾性線状金具20には、例えばステンレスを用いることができる。
【0031】
後述するように、ヘッドフレーム1の組み立て状態において、弾性線状金具20の左側縦線状部22及び右側縦線状部23はそれぞれ、左側凸部14aの左側係合溝部14a1及び右側凸部14bの右側係合溝部14b1に係合することにより弾性変形するが、図4では弾性線状金具20がボビンケース10に取り付けられる前(弾性変形する前)の状態を実線で図示している。この弾性変形する前の弾性線状金具20の形状を、「ベース形状」と称するものとする。
【0032】
ここで、底線状部21のX軸方向における中心を通ってZ軸方向に延びる仮想線を中心線Mと定義する。左側縦線状部22は、中心線Mから離間する水平方向(言い換えると、X軸方向の反対方向)に突出する左側係止線状部22aと、この左側係止線状部22aと底線状部21の左端を繋ぐ左側中間線状部22bとから構成されている。ベース形状において、左側中間線状部22bは、Z軸方向に対して傾いており、下端が上端よりも中心線Mに近接したテーパー線状部によって構成されている。
【0033】
右側縦線状部23は、中心線Mから離間する水平方向(言い換えると、X軸方向)に突出する右側係止線状部23aと、この右側係止線状部23aと底線状部21の右端を繋ぐ右側中間線状部23bとから構成される。ベース形状において、右側中間線状部23bは、Z軸方向に対して傾いており、下端が上端よりも中心線Mに近接したテーパー線状部によって構成されている。
【0034】
図5を参照して、フレーム30は、左側縦フレーム31、右側縦フレーム32、天面フレーム33からなる断面コの字状のフレームであり、Y軸方向に向かって延びている。フレーム30の下端側は開口している。Y軸方向において、フレーム30は、ボビンケース10よりも十分に長い寸法を有しており、後述するようにボビンケース10はフレーム30内において、Y軸方向における設置位置を容易に変更することができる。
【0035】
左側縦フレーム31の内面には、Y軸方向に延びる上下一対の左側第1ガイド突起部31a及び左側第2ガイド突起部31bがフレームの略全長に亘って形成されている。左側第2ガイド突起部31bは平板状に形成されており、左側縦フレーム31の下端部からX軸方向に向かって突出している。
【0036】
左側第1ガイド突起部31aは左側第2ガイド突起部31bよりも上側に形成されており、左側第2ガイド突起部31bと同様に平板状に形成されるとともにX軸方向に向かって突出している。左側第1ガイド突起部31a及び左側第2ガイド突起部31bの間隔(Z軸方向の距離)は、ボビンケース10の長尺第1側面部11及び第1被ガイド突起部11aの総高さと略同じサイズに設定されている。
【0037】
右側縦フレーム32の内面には、Y軸方向に延びる上下一対の右側第1ガイド突起部32a及び右側第2ガイド突起部32bがフレームの略全長に亘って形成されている。右側第2ガイド突起部32bは平板状に形成されており、右側縦フレーム32の下端部からX軸方向の逆方向に向かって突出している。
【0038】
右側第1ガイド突起部32aは右側第2ガイド突起部32bよりも上側に形成されており、右側第2ガイド突起部32bと同様に平板状に形成されるとともにX軸方向の逆方向に向かって突出している。右側第1ガイド突起部32a及び右側第2ガイド突起部32bの間隔(Z軸方向の距離)は、ボビンケース10の長尺第2側面部12及び第2被ガイド突起部12aの総高さと略同じサイズに設定されている。
【0039】
次に、図6乃至図8を参照しながら、ヘッドフレーム1の組み立て方法について詳細に説明する。図6は、弾性線状金具をボビンケースに係合させる前の状態を示している。図7は、弾性線状金具をボビンケースに係合させて下死点まで移動させた直後の状態を示している。図8は、ボビンケースをフレーム内の設置位置まで移動させた直後の状態を示している。図9は、設置位置において弾性線状金具を固定位置に移動させた直後の状態を示している。
【0040】
図6を参照して、弾性線状金具20の左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bをそれぞれ左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1の直上に位置決めした後、弾性線状金具20を短尺第2側面部14の外面に沿って下向きに押し込むことにより、左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1に対して左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bを係合させる。位置決めは、手作業であってもよいし、治具などを用いてもよい。左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bが左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1に係合するにしたがって、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bは徐々にリニアな形状に弾性変形し、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aが中心線Mに向かって移動する。
【0041】
図7に図示する下死点まで弾性線状金具20を下向きに押し込むと、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bはそれぞれ略Z軸方向に延びるリニアな形状に弾性変形する。これにより、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aを、フレーム30の左側縦フレーム31及び右側縦フレーム32と干渉しない位置まで移動させることができる。
【0042】
すなわち、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bが左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1に係合する前の状態において、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aはY軸方向から視たとき、短尺第2側面部14からはみ出しているが、図7に図示する位置まで弾性線状金具20を押し込むことにより、短尺第2側面部14からはみ出さない位置まで左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aを退避させることができる。
【0043】
これにより、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aが左側縦フレーム31及び右側縦フレーム32に干渉して、ボビンケース10が組み込み不能となることを防止できる。
【0044】
次に、ボビンケース10の第1被ガイド突起部11a及び第2被ガイド突起部12aをそれぞれ左側第1ガイド突起部31a及び右側第1ガイド突起部32aに位置決めするとともに、短尺第2側面部14の左下角部及び短尺第2側面部14の右下角部をそれぞれ左側第2ガイド突起部31b及び右側第2ガイド突起部32bに位置決めして、Y軸方向からフレーム30の内側に向かってボビンケース10を押し込む。位置決めは、手作業であってもよいし、治具などを用いてもよい。
【0045】
図8を参照して、ボビンケース10をY軸方向に向かって押し込むと、第1被ガイド突起部11a、第2被ガイド突起部12a、短尺第2側面部14の左下角部及び短尺第2側面部14の右下角部がそれぞれ、左側第1ガイド突起部31a、右側第1ガイド突起部32a、左側第2ガイド突起部31b及び右側第2ガイド突起部32bによってガイドされながら、ボビンケース10がフレーム30の内側をスライド移動する。
【0046】
ボビンケース10が設置位置に移動すると、押し込み作業を停止し、図9に図示するように、弾性線状金具20を短尺第2側面部14に沿って上向きに押し込む。弾性線状金具20を上向きに押し込むと、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bの上端側が
左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1から離脱して、ベース形状(つまり、テーパ形状)に復帰しようとする。
【0047】
しかしながら、ベース形状に復帰する前に左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aがそれぞれ左側縦フレーム31及び右側縦フレーム32に接触するため、弾性線状金具20はベース形状(図4の実線参照)及びリニア形状の中間の形状(以下、圧接形状ともいう)となる。この圧接形状を破線にて図4に図示する。圧接形状において、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aは弾性線状金具20の弾性力により、左側縦フレーム31及び右側縦フレーム32に圧接するため、ボビンケース10をフレーム30内の設置位置に確実に固定することができる。
【0048】
すなわち、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aと左側縦フレーム31及び右側縦フレーム32との間に働く摩擦力により、ボビンケース10がY軸方向にスライド移動することを抑制できる。このように、本実施形態によれば、弾性線状金具20を左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1に向かって下向きに押し込んだ後、ボビンケース10をフレーム30の内部にスライド装入するだけで、ボビンケース10を所望の設置位置に移動させることができる。また、所望の設置位置に到達した後、弾性線状金具20を上向きに押し戻して、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aを弾性線状金具20の弾性力によりフレーム30の内面に圧接させるだけで、ボビンケース10を設置位置に固定することができる。
【0049】
さらに、図9に図示する状態において、左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1の上側に左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bのテーパー部分が位置するため、弾性線状金具20が自重落下することを防止できる。
【0050】
(変形例1)
上述の実施形態では、ボビンケース10を固定する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、モータケース4、コントロールボックス6の固定方法に本発明を適用することもできる。
【0051】
(変形例2)
上述の実施形態では、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bの全体をテーパ線状部によって形成したが、本発明はこれに限るものではなく、少なくとも一部にテーパ線状部を有していればよい。
例えば、図10に例示する通り、左側中間線状部22b(右側中間線状部23b)のうち一部をテーパ線状部、残りをリニア形状部としてもよい。図示例では、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bの上端側をテーパ線状部、下端側をリニア線状部としている。リニア線状部とは、Z軸方向にリニアに延びる形状を意味する。この場合、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bのリニア形状部のX軸方向における間隔は、左側係合溝部14a1及び右側係合溝部14b1のX軸方向における間隔に略一致させることが望ましい。
また、図11に例示する通り、途中で水平方向に対する傾斜角θが変化する二段テーパ形状に左側中間線状部22b(右側中間線状部23b)を形成してもよい。以下、二段テーパ形状について説明する。左側中間線状部22b(右側中間線状部23b)は、第1左側テーパー線状部22b1(第1右側テーパ線状部23b1)及び第2左側テーパー線状部22b2(第2右側テーパ線状部23b2)によって構成されている。第1左側テーパー線状部22b1(第1右側テーパ線状部23b1)の上端及び下端は、それぞれ左側係止線状部22a(右側係止線状部23a)及び第2左側テーパー線状部22b2(第2右側テーパ線状部23b2)に連設しており、第2左側テーパー線状部22b2(第2右側テーパ線状部23b2)の下端は、底線状部21に連設している。第1左側テーパー線状部22b1(第1右側テーパ線状部23b1)の傾斜角θ1は、第2左側テーパー線状部22b2(第2右側テーパ線状部23b2)の傾斜角θ2よりも小さい。なお、傾斜角θ2が90°未満であることはいうまでもない。すなわち、以下の(1)及び(2)の効果を発現させることができるように、左側中間線状部22b及び右側中間線状部23bはそれぞれ少なくとも一部にテーパー線状部を有していればよい。
(1)ボビンケース10をフレーム30に組み込む際に、弾性線状金具20を弾性変形させて、左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aをフレーム30と干渉しない非干渉位置に退避させる。
(2)ボビンケース10の固定時に左側係止線状部22a及び右側係止線状部23aがフレーム30に圧接する。
【0052】
(参考例)
本発明は、サイドカバー7の固定構造に応用することができる。すなわち、サイドカバー7の外面に左側凸部14a及び右側凸部14bを設け、弾性線状金具20をこれらに係合させることにより、サイドカバー7を固定することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 ヘッドフレーム
2 ボビン
3 回転軸
4 モータケース
5 継手
6 コントロールボックス
7 サイドカバー
10 ボビンケース
11 長尺第1側面部
11a 第1被ガイド突起部
12 長尺第2側面部
12a 第2被ガイド突起部
13 短尺第1側面部
14 短尺第2側面部
14a 左側凸部
14a1 左側係合溝部
14b 右側凸部
14b1 右側係合溝部
20 弾性線状金具
21 底線状部
22 左側縦線状部
22a 左側係止線状部
22b 左側中間線状部
23 右側縦線状部
23a 右側係止線状部
23b 右側中間線状部
30 フレーム
31 左側縦フレーム
31a 左側第1ガイド突起部
31b 左側第2ガイド突起部
32 右側縦フレーム
32a 右側第1ガイド突起部
32b 右側第2ガイド突起部
33 天面フレーム


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11