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  • 特開-酸化的カルボニル化反応用触媒 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023026190
(43)【公開日】2023-02-24
(54)【発明の名称】酸化的カルボニル化反応用触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 27/057 20060101AFI20230216BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20230216BHJP
   C07C 273/18 20060101ALI20230216BHJP
   C07C 275/06 20060101ALI20230216BHJP
   C07C 269/04 20060101ALI20230216BHJP
   C07C 273/02 20060101ALI20230216BHJP
   C07C 275/00 20060101ALI20230216BHJP
   C07D 295/205 20060101ALI20230216BHJP
   C07D 211/16 20060101ALI20230216BHJP
   C07D 235/26 20060101ALI20230216BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20230216BHJP
【FI】
B01J27/057 Z
B01J35/02 H
C07C273/18
C07C275/06
C07C269/04
C07C273/02
C07C275/00
C07D295/205
C07D211/16
C07D235/26 B
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021131945
(22)【出願日】2021-08-13
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 世津子
(72)【発明者】
【氏名】細野 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】北野 政明
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 雅義
(72)【発明者】
【氏名】李 江
(72)【発明者】
【氏名】横山 壽治
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169BC25A
4G169BC25B
4G169BD09A
4G169BD09B
4G169CB07
4G169CB25
4G169CB38
4G169CB61
4G169CB72
4G169DA08
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EB18Y
4G169EB19
4G169FA01
4H006AA02
4H006AC56
4H006AC57
4H006BA13
4H006BA15
4H006BE14
4H006BE30
4H006BE40
4H039CA73
(57)【要約】
【課題】 酸化的カルボニル化反応を効率的に進行させる触媒であって、高価な貴金属を使用せず、分離が容易で、しかも繰り返し使用が可能な触媒を提供する。
【解決手段】 Bi2Se3を含有することを特徴とする酸化的カルボニル化反応用触媒。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Bi2Se3を含有することを特徴とする酸化的カルボニル化反応用触媒。
【請求項2】
アミン類の酸化的カルボニル化反応に用いられることを特徴とする請求項1に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒。
【請求項3】
Bi2Se3がナノパーティクルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、アミン類から尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(Ia)
【化1】
〔式中、R1及びR2は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。但し、R1とR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
で表されるアミン類と一般式(Ib)
【化2】
〔式中、R3及びR4は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。但し、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。〕
で表されるアミン類から一般式(Ic)
【化3】
〔式中、R1、R2、R3、及びR4は上記と同じ意味である。〕
で表される尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法。
【請求項6】
一般式(Ia)及び(Ic)におけるR1がn-ブチル基であり、R2が水素原子であり、一般式(Ib)及び(Ic) におけるR3がn-ブチル基であり、R4が水素原子であることを特徴とする請求項5に記載の尿素類の製造方法。
【請求項7】
一般式(Ia)及び(Ic)におけるR1及びR2が水素原子であり、一般式(Ib)及び(Ic)におけるR3及びR4が水素原子であることを特徴とする請求項5に記載の尿素類の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(IIa)
【化4】
〔式中、Cyは置換基で置換されていてもよいシクロアルカンを表す。〕
で表されるアミン類から一般式(IIb)
【化5】
〔式中、Cyは上記と同じ意味である。〕
で表される尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法。
【請求項9】
一般式(IIa)及び(IIb)におけるCyがシクロヘキサンであることを特徴とする請求項8に記載の尿素類の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、アミン類からカルバミン酸類を得る工程を含むことを特徴とするカルバミン酸類の製造方法。
【請求項11】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(IIIa)
【化6】
〔式中、R5及びR6は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。但し、R5とR6は互いに結合して環を形成してもよい。〕
で表されるアミン類と一般式(IIIb)
【化7】
〔式中、R7は水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。〕
で表される化合物から一般式(IIIc)
【化8】
〔式中、R5、R6、及びR7は上記と同じ意味である。〕
で表されるカルバミン酸類を得る工程を含むことを特徴とするカルバミン酸類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化的カルボニル化反応用触媒、並びにこれを用いた尿素類及びカルバミン酸類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿素及びその誘導体は、重要な含窒素カルボニル化合物であり、医薬、農薬、樹脂、ポリマー、石油化学など幅広い分野で利用されている(Vishnyakova, T. et al., Usp. Khim. 54, 429-449 (1985))。従来の尿素誘導体の合成では、カルボニル源として有毒なホスゲン又はホスゲン誘導体を使用しており、環境に優しいプロセスではなかった(Bigi, F. et al., Green Chemistry 2, 140-148 (2000))。そのため、最近では二酸化炭素や一酸化炭素がこれらの反応の代替カルボニル源として使われている。しかし、二酸化炭素とアミンを原料とする尿素誘導体の触媒合成は、比較的低い転化率(80%以下)と厳しい反応条件(130℃以上、1~10MPa)という欠点がある。
【0003】
このようなことから、一酸化炭素と酸素を用いてアミンを酸化的にカルボニル化し、尿素誘導体を生成する方法が注目されている。この反応に使用する触媒については、セレン含有触媒(非特許文献1、特許文献1)やPd等を用いた不均一系触媒(非特許文献2~6)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】米国特許第6127575号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】JACS, 1971, 93, 6344.
【非特許文献2】J. Catal. 1988, 114, 246.
【非特許文献3】Tetrahedron Lett., 2001, 42, 2161.
【非特許文献4】Adv. Synth. Catal., 2009, 351, 1233.
【非特許文献5】Chem. Mater. 2017, 29, 3671.
【非特許文献6】Green Chem., 2019, 21, 4040
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のように、アミンの酸化的カルボニル化に使用される触媒は以前から知られていたが、セレン含有触媒は均一なプロセスで機能するため、触媒を完全に回収できないという欠点があり、不均一系触媒はPd等の高価な貴金属を含んでおり、また安定性に欠けるという欠点がある。本発明は、このような背景の下でなされたものであり、酸化的カルボニル化反応を効率的に進行させる触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、Bi2Se3を触媒として用いることにより、アミン、一酸化炭素、酸素から効率的に尿素誘導体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、以下の(1)~(11)を提供するものである。
(1)Bi2Se3を含有することを特徴とする酸化的カルボニル化反応用触媒。
【0009】
(2)アミン類の酸化的カルボニル化反応に用いられることを特徴とする(1)に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒。
【0010】
(3)Bi2Se3がナノパーティクルであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の酸化的カルボニル化反応用触媒。
【0011】
(4)(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、アミン類から尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法。
【0012】
(5)(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(Ia)
【化1】
〔式中、R1及びR2は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。但し、R1とR2は互いに結合して環を形成してもよい。〕
で表されるアミン類と一般式(Ib)
【化2】
〔式中、R3及びR4は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。但し、R3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。〕
で表されるアミン類から一般式(Ic)
【化3】
〔式中、R1、R2、R3、及びR4は上記と同じ意味である。〕
で表される尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法。
【0013】
(6)一般式(Ia)及び(Ic) におけるR1がn-ブチル基であり、R2が水素原子であり、一般式(Ib)及び(Ic) におけるR3がn-ブチル基であり、R4が水素原子であることを特徴とする(5)に記載の尿素類の製造方法。
【0014】
(7)一般式(Ia)及び(Ic)におけるR1及びR2が水素原子であり、一般式(Ib)及び(Ic)におけるR3及びR4が水素原子であることを特徴とする(5)に記載の尿素類の製造方法。
【0015】
(8)(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(IIa)
【化4】
〔式中、Cyは置換基で置換されていてもよいシクロアルカンを表す。〕
で表されるアミン類から一般式(IIb)
【化5】
〔式中、Cyは上記と同じ意味である。〕
で表される尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法。
【0016】
(9)一般式(IIa)及び(IIb)におけるCyがシクロヘキサンであることを特徴とする(8)に記載の尿素類の製造方法。
【0017】
(10)(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、アミン類からカルバミン酸類を得る工程を含むことを特徴とするカルバミン酸類の製造方法。
【0018】
(11)(1)乃至(3)のいずれかに記載の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(IIIa)
【化6】
〔式中、R5及びR6は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。但し、R5とR6は互いに結合して環を形成してもよい。〕
で表されるアミン類と一般式(IIIb)
【化7】
〔式中、R7は水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。〕
で表される化合物から一般式(IIIc)
【化8】
〔式中、R5、R6、及びR7は上記と同じ意味である。〕
で表されるカルバミン酸類を得る工程を含むことを特徴とするカルバミン酸類の製造方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、新規な酸化的カルボニル化反応用触媒を提供する。この触媒は、高価な貴金属を使用せずに、安価なBi2Se3によって酸化的カルボニル化反応を効率的に進行させることができる。また、不均一系触媒なので分離が容易で、しかも繰り返し使用が可能である。更に、幅広いアミンを原料として使用できるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ブチルアミンの酸化的カルボニル化に関する図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において「ハロゲン原子」とは、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
【0022】
本発明において「炭素数1~3のアルキル基」とは、炭素数が1以上3以下の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基である。
【0023】
本発明において「炭素数1~10のアルキル基」とは、炭素数が1以上10以下の直鎖又は分枝鎖アルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基、ヘキシル基、iso-ヘキシル基、ヘプチル基、iso-ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基である。
【0024】
本発明において「炭素数1~3のアルコキシ基」とは、炭素数が1以上3以下の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基である。
【0025】
本発明において「炭素数3~7のシクロアルキル基」とは、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基である。
【0026】
(1)触媒
本発明の酸化的カルボニル化反応用触媒は、Bi2Se3を含有することを特徴とするものである。本発明の酸化的カルボニル化反応用触媒は、通常、Bi2Se3のみからなるが、他の物質を含んでいてもよい。
【0027】
触媒の性状は特に限定されず、バルク触媒であっても、ナノパーティクル触媒であってもよいが、ナノパーティクル触媒が好ましい。ここで、「バルク触媒」及び「ナノパーティクル触媒」という用語の意味は、当業者が通常用いる意味に解釈されるが、「バルク触媒」を平均粒子径が1μm以上の粒子からなる触媒、「ナノパーティクル触媒」を平均粒子径が0.2μm未満の粒子からなる触媒と定義することもできる。
【0028】
Bi2Se3は、公知の方法(例えば、Ota, J. R. et al. Nanotechnology 17, 1700-1705 (2006))に従って製造することができる。
【0029】
本発明において「酸化的カルボニル化反応」とは、一酸化炭素と酸素が、基質と反応して、反応生成物を生ずる反応をいう。基質や反応生成物の種類は特に限定されないが、基質としては、アミン類を挙げることができ、反応生成物としては、尿素類、カルバミン酸類を挙げることができる。ここで、「アミン類」とは、アミン及びアンモニアを意味する。「尿素類」とは、尿素及び尿素誘導体を意味する。「尿素誘導体」とは、尿素分子中の水素原子を置換基で置換した化合物を意味する。「カルバミン酸類」とは、カルバミン酸及びカルバミン酸誘導体を意味する。「カルバミン酸誘導体」とは、カルバミン酸分子中の水素原子を置換基で置換した化合物を意味する。
【0030】
(2)尿素類の製造方法
【0031】
本発明の尿素類の製造方法は、上記の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、アミン類から尿素類を得る工程を含むことを特徴とするものである。
【0032】
具体的な方法としては、上記の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(Ia)
【化9】
で表されるアミン類と一般式(Ib)
【化10】
で表されるアミン類から一般式(Ic)
【化11】
で表される尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法を挙げることができる。
【0033】
一般式(Ia)及び(Ic)においてR1及びR2は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。ここで、アルキル基は炭素数1~10のアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。シクロアルキル基は炭素数3~7のシクロアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。「置換基で置換されていてもよいアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。「置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0034】
R1とR2は互いに結合して環を形成してもよい。環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、アゼパン環、オキサゾリジン環、モルホリン環などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの環における水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0035】
好適なR1とR2の組み合わせとしては、n-ブチル基と水素原子、シクロペンチル基と水素原子、シクロヘキシル基と水素原子、フェニルメチル基(ベンジル基)と水素原子を挙げることができる。また、R1とR2は互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、又は4-メチルピペリジン環を形成することも好ましい。
【0036】
一般式(Ib)及び(Ic)においてR3及びR4は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。ここで、アルキル基は炭素数1~10のアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。シクロアルキル基は炭素数3~7のシクロアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。「置換基で置換されていてもよいアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。「置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0037】
R3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、アゼパン環、オキサゾリジン環、モルホリン環などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの環における水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0038】
好適なR3とR4の組み合わせとしては、n-ブチル基と水素原子、シクロペンチル基と水素原子、シクロヘキシル基と水素原子、フェニルメチル基(ベンジル基)と水素原子を挙げることができる。また、R3とR4は互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、又は4-メチルピペリジン環を形成することも好ましい。
【0039】
一般式(Ia)で表されるアミン類と(Ib)で表されるアミン類は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
【0040】
本発明の尿素類の製造方法の別の具体的な方法としては、上記の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(IIa)
【化12】
で表されるアミン類から一般式(IIb)
【化13】
で表される尿素類を得る工程を含むことを特徴とする尿素類の製造方法を挙げることができる。
【0041】
一般式(IIa)及び(IIb)においてCyは置換基で置換されていてもよいシクロアルカンを表す。ここで、シクロアルカンは炭素数3~8のシクロアルカンが好ましいが、これに限定されるわけではない。「置換基で置換されていてもよいシクロアルカン」における「置換基」としては、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0042】
好適なCyとしては、シクロヘキサンを挙げることができる。
【0043】
本発明の尿素類の製造方法における反応条件は特に限定されない。反応温度は0~100℃とすることができるが、好ましくは、20~80℃である。反応時間は0.1~48時間とすることができるが、好ましくは、0.3~36時間である。一酸化炭素と酸素の分圧は0.1~10MPaとすることができるが、好ましくは、0.5~6MPaである。一酸化炭素と酸素のモル比(CO:O2)は95:5~5:95とすることができるが、好ましくは、90:10~29:71である。基質とするアミン類(一般式(Ia)で表されるアミン類と一般式(Ib)で表されるアミン類、又は一般式(IIa)で表されるアミン類)の濃度は0.05~1.00mol/Lとすることができるが、好ましくは0.1~0.75mol/Lである。触媒の量は、バルク触媒を使用する場合は基質とするアミン類 1mmolに対して10~200mgとすることができるが、好ましくは、20~100mgであり、ナノパーティクル触媒を使用する場合は基質とするアミン類 1mmolに対して1~50mgとすることができるが、好ましくは、5~30mgである。
【0044】
本発明の尿素類の製造方法において使用する溶媒は特に限定されないが、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、又はこれらの混合溶媒などを使用できる。
【0045】
(3)カルバミン酸類の製造方法
本発明のカルバミン酸類の製造方法は、上記の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、アミン類からカルバミン酸類を得る工程を含むことを特徴とするものである。
【0046】
具体的な方法としては、上記の酸化的カルボニル化反応用触媒、一酸化炭素、及び酸素の存在下、一般式(IIIa)
【化14】
で表されるアミン類と一般式(IIIb)
【化15】
で表される化合物から一般式(IIIc)
【化16】
で表されるカルバミン酸類を得る工程を含むことを特徴とするカルバミン酸類の製造方法を挙げることができる。
【0047】
一般式(IIIa)及び(IIIc)においてR5及びR6は同一若しくは異なって、水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。ここで、アルキル基は炭素数1~10のアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。シクロアルキル基は炭素数3~7のシクロアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。「置換基で置換されていてもよいアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。「置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0048】
R5とR6は互いに結合して環を形成してもよい。環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、アゼパン環、オキサゾリジン環、モルホリン環などを挙げることができるが、これらに限定されるわけではない。これらの環における水素原子は置換基で置換されていてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0049】
好適なR5とR6の組み合わせとしては、n-ブチル基と水素原子、シクロペンチル基と水素原子、シクロヘキシル基と水素原子、フェニルメチル基(ベンジル基)と水素原子を挙げることができる。また、R5とR6は互いに結合してピロリジン環、ピペリジン環、モルホリン環、又は4-メチルピペリジン環を形成することも好ましい。
【0050】
一般式(IIIb)及び(IIIc)においてR7は水素原子、置換基で置換されていてもよいアルキル基、又は置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基を表す。ここで、アルキル基は炭素数1~10のアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。シクロアルキル基は炭素数3~7のシクロアルキル基が好ましいが、これに限定されるわけではない。「置換基で置換されていてもよいアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。「置換基で置換されていてもよいシクロアルキル基」における「置換基」としては、フェニル基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を挙げることができる。
【0051】
好適なR7としては、n-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニルメチル基(ベンジル基)を挙げることができる。
【0052】
本発明のカルバミン酸類の製造方法における反応条件は特に限定されない。反応温度は0~100℃とすることができるが、好ましくは、20~80℃である。反応時間は0.5~48時間とすることができるが、好ましくは、1~36時間である。一酸化炭素と酸素の分圧は0.5~6MPaとすることができるが、好ましくは、1~4MPaである。一酸化炭素と酸素のモル比(CO:O2)は95:5~5:95とすることができるが、好ましくは、90:10~29:71である。基質とする化合物(一般式(IIIa)で表されるアミン類と一般式(IIIb)で表される化合物)の濃度は0.05~1.00mol/Lとすることができるが、好ましくは0.1~0.75mol/Lである。触媒の量は、バルク触媒を使用する場合は基質とする化合物 1mmolに対して20~80mgとすることができるが、好ましくは、40~60mgであり、ナノパーティクル触媒を使用する場合は基質とする化合物 1mmolに対して5~50mgとすることができるが、好ましくは、10~30mgである。
【0053】
本発明のカルバミン酸類の製造方法において使用する溶媒は特に限定されないが、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミド、トルエン、アセトニトリル、1,4-ジオキサン、又はこれらの混合溶媒などを使用できる。
【実施例0054】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0055】
〔実施例1〕 触媒の調製
(1)Bi2Se3バルク触媒の調製
3gのBiと1.7gのSeを、アルゴンを充填したシリカチューブに封入し、800℃で6時間溶融した後、炉内で室温まで冷却した。得られたインゴットは銀色をしていた。このインゴットをメノウ製の乳鉢を用いて粉砕した。
【0056】
(2)Bi2Se3ナノパーティクル(NPs)触媒の調製
Bi2Se3ナノパーティクル触媒は、既知の方法(Ota, J. R. et al. Nanotechnology 17, 1700-1705 (2006) )に従って調製した。具体的には以下の通りである。20mlの水に7.5mmolのNaOH、3.7mmolのSe粉末、0.4mlのヒドラジン水和物を加えた。1.5時間撹拌した後、2.6mmolのBi(NO3)3・xH2O粉砕物を含む5mlのトリエタノールアミンを加え、さらに15分間撹拌を続けた。得られた溶液をテフロン製のオートクレーブに移し、150℃で24時間保持した。生成物を回収し、水、エタノールで繰り返し洗浄した後、60℃で4時間真空乾燥した。
【0057】
(3)Se/Al2O3の調製
Se/Al2O3は,アルゴン雰囲気下でSe粉末5mgとγ-Al2O3粉末2gを密閉したシリカチューブ内で混合して調製した。この試料を10時間で750℃まで加熱し、その温度で1時間保持した後、室温まで冷却した。得られた粉末の色は薄いピンク色であった。
【0058】
〔実施例2〕 各種アミンの酸化的カルボニル化(1)
各種アミンの酸化的カルボニル化の一般的な反応条件は、下記の通りである。
反応温度:20~80℃
反応時間:1~36時間
反応圧力:1~4MPa
COとO2のモル比:90:10~29:71
アミン濃度:0.1~0.75mol/L
触媒の量:バルク触媒の場合は50mg、ナノパーティクル触媒の場合は20mg
【0059】
酸化的カルボニル化反応の詳細は下記の通りである。すべての反応は、マグネチックスターラーを備えた30mlのステンレス製オートクレーブで行った。典型的な反応では、1.0mmolのアミン、0.2mmolのビフェニル(内部標準)、及び触媒(Bi2Se3 NPsは20mg、その他の触媒は50mg)を2mlのTHFに入れて混合した。その後、オートクレーブに0.5MPaのO2と0.5MPaのCOを投入した。この混合物を約20~80℃で撹拌した。生成物をガスクロマトグラフィー(キャピラリーカラム付きGC-2014、島津製作所、日本)を用いて定量的に分析し、生成した尿素誘導体をさらにプロトン核磁気共鳴スペクトル測定(NMR、400MHz、AVANCE III 400A、Bruker、ドイツ)で確認した。
【0060】
転化率(conversion)と収率(yield)は、下記の式で算出した。
【数1】
【0061】
また、反応速度は、「mmolformed ureas per gcatalyst per h」又は「mmolformed ureas per m2 catalyst per h」と定義される。
【0062】
〔実施例3〕 ブチルアミンの酸化的カルボニル化(1)
Bi2Se3バルク触媒を使用し、40℃での反応の経時的変化を図1aに示す。遠心分離で触媒を除去してホットフィルトレーション試験を行っている。5時間で反応が完了したが、触媒を除去すると反応が進まない。
【0063】
Bi2Se3バルク触媒、Bi2Se3ナノパーティクル触媒、又はSe/Al2O3を使用し、20℃での反応速度を図1bに示す。Bi2Se3ナノパーティクル触媒の反応速度(Rate(mmolg-1h-1))は、Bi2Se3バルク触媒やSe/Al2O3の反応速度よりはるかに高かった。しかし、表面積で割った反応速度(Rate(mmolm-2h-1))は、Bi2Se3ナノパーティクル触媒とBi2Se3バルク触媒と間に大きな違いはなかった(表1)。
【0064】
Bi2Se3バルク触媒及びSe/Al2O3の40℃、1hでのリサイクル回数と収率の関係を図1cに示す。Bi2Se3バルク触媒及は優れた安定性を示したが、Se/Al2O3は活性が急激に低下した。これらの結果は、表2に示したICPの結果と一致している。
【0065】
リサイクル実験後のBi2Se3バルク触媒のXRDパターンを図1dに示す。反応条件は触媒(50mg)、ブチルアミン(1mmol)、THF(2ml)、CO(0.5Mpa)、O2(0.5Mpa)である。リサイクル回数が増えても、XRDパターンに大きな変化はなく、Bi2Se3の高い安定性が示唆された。
【0066】
Bi2Se3を使用した反応条件は、これまでの不均一系触媒(貴金属触媒は90℃以上の高温が必要)の反応条件よりもはるかに穏やかなものである。
【0067】
〔実施例4〕 ブチルアミンの酸化的カルボニル化(2)
異なるBi2Se3触媒におけるブチルアミンの酸化的カルボニル化の反応速度(Formation rate)を表1に示す。
【表1】
【0068】
表面積で割った反応速度(Rate(mmolm-2h-1))は、異なるBi2Se3触媒間でほぼ同じであった。このことは、表面積をさらに大きくすることで、より高い活性が得られることを示唆している。
【0069】
誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)による酸化的カルボニル化反応のリサイクル測定後の遠心分離液中の溶存Se(Dissolved Se)量を表2に示す。
【表2】
【0070】
Bi2Se3は、Se触媒とは異なり、反応に対して安定しており、堅牢である。
【0071】
Bi2Se3バルク触媒の反応速度に対するCO及びO2分圧の影響を表3に示す。また、Bi2Se3バルク触媒の反応速度に対するブチルアミン濃度の影響を表4に示す。
【表3】
【表4】
【0072】
これら二つの表は、異なる条件(CO及びO2分圧、並びにブチルアミン濃度)でブチルアミンの酸化的カルボニル化反応が起こり得ることを示す。
【0073】
〔実施例5〕 各種アミンの酸化的カルボニル化(2)
各種アミンの酸化的カルボニル化反応における転化率(Conversion)、収率(Yield)、選択率(Selectivity)を表5に示す。酸化的カルボニル化反応では、第一級アミンと第二級アミンを含む9種類のアミンを調べている。
【表5】
【0074】
また、生成した尿素誘導体の性状及びNMRデータを以下に示す。
1,3-ジブチル尿素(1)
白色固体, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 4.60 (brs, 2H), 3.17 (t, 4H), 1.54-1.43 (m, 4H), 1.42-1.29 (m, 4H), 0.93 (t, 6H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 158.55, 40.28, 32.37, 20.04, 13.76.
1,3-ジシクロペンチル尿素(2)
白色固体, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 4.44 (brs, 2H), 4.09-3.87 (m, 2H), 2.07-1.88 (m, 4H), 1.75-1.47 (m, 8H), 1.47-1.25 (m, 4H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 157.83, 52.11, 33.66, 23.61.
1,3-ジシクロヘキシル尿素(3)
白色固体, (様々な重水素化溶媒への溶解性が低いため、ピーク強度は非常に弱い。) 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 4.09 (brs, 2H), 3.61-3.38 (m, 2H), 2.04-1.83 (m, 4H), 1.77-1.51 (m, 6H), 1.44-1.31 (m, 4H), 1.24-0.97 (m, 6H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 156.73, 49.17, 33.96, 25.63, 24.92.
1,3-ジベンジル尿素(4)
白色固体, 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.41-7.15 (m, 10H), 6.45 (t, 2H), 4.26 (d, 4H). 13C NMR (101 MHz, DMSO-d6): δ = 158.60, 141.35, 128.67, 127.48, 127.02, 43.51.
ジ(ピロリジン-1-イル)メタノン(5)
黄色油状物質, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.44-3.29 (m, 8H), 1.90-1.73 (m, 8H). C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 161.44, 47.90, 25.53.
ジ(ピペリジン-1-イル)メタノン(6)
黄色油状物質, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.25-3.02 (m, 8H), 1.65-1.43 (m, 12H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 164.79, 47.89, 25.76, 24.75.
ジモルフォリノメタノン(7)
無色固体, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.68 (t, 8H), 3.27 (t, 8H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 163.78, 66.58, 47.23.
ビス(4-メチルピペリジン-1-イル)メタノン(8)
無色油状物質, 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 3.64 (dq, 4H), 2.73 (td, 4H),1.62 (dd, 4H), 1.51 (dtd, 2H), 1.15 (qd, 4H), 0.95 (d, 6H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 164.62, 47.26, 34.11, 31.27, 21.87.
オクタヒドロ-ベンゾイミダゾール-2-オン(9)
反応物がtrans-とcis-の構造を持っているので、生成物も2種類の構造を持っていることになる。2.02-1.08ppmの1H-NMRピークを2つの相に分離することは困難である。
無色固体, Trans-: 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 5.90-5.59 (s, 2H), 3.18-2.95 (m, 2H), 2.02-1.08 (m, 8H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 164.16, 61.09, 29.53, 24.02.
cis-: 1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 5.59-5.28 (s, 2H), 3.68-3.53 (m, 2H),2.02-1.08 (m, 8H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3): δ = 165.30, 51.99, 28.36, 20.43.
【0075】
〔実施例6〕 アンモニアの酸化的カルボニル化
(1)Bi2Se3バルク触媒
Bi2Se3バルク触媒を50mg、THFを2ml、メタノールを1ml、マグネチックスターラー付きの30mlのステンレス製オートクレーブに入れて混合した。オートクレーブ内を真空にした後、12mmolのNH3、5mmolのO2、10mmolのCOを投入した。反応後、溶液に2mlの水を加えて生成した尿素を溶解させ、ろ過により触媒を除去し、残渣液から溶媒を蒸発させることで、350mg(5.83mmol)の尿素を得た。NH3の転化率は100%で、反応したNH3に対する尿素の収率は97%であった。
【0076】
(2)Bi2Se3ナノパーティクル触媒
Bi2Se3ナノパーティクル触媒を20mg、THFを2ml、メタノールを1ml、マグネチックスターラーを備えた30mlのステンレス製オートクレーブで混合した。オートクレーブ内を真空にした後、12mmolのNH3、5mmolのO2、10mmolのCOを投入した。反応後、溶液に2mlの水を加えて生成した尿素を溶解させ、ろ過により触媒を除去し、残渣液から溶媒を蒸発させことで、345mg(5.75mmol)の尿素を得た。NH3の転化率は99%、導入したアンモニアに対する尿素の収率は96%であった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、尿素類の合成に有用なので、尿素類に関連する産業において利用可能である。
図1